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2024年3月31日
Jamin-Lebedeff干渉顕微鏡はこの十数年,筆者がもっとも使ってみたかった顕微鏡です。ふだんから位相物体の標本を制作している身からすると,透明体の光路差をどのようなコントラストに変換するのかという命題には常に興味があります。そのもっとも欲しかったものの動態保存を顕微鏡のプロ中のプロから命ぜられるのですからこれ以上の話があるでしょうか。中年オッサンの必殺技,「いつまでも忘れない」を発動した結果が出たのです。
どのくらい使ってみたかったのかということを示したのがきょうの画像。これは研磨途中の方解石です。当室にはオプチカルグレードの方解石がゴロゴロしているのですがその理由は光学実験材料として使うためです。見かけたら多少高くとも買ってしまいます。相場は上がる一方なのでかならず「買っておいて良かった…」となります。
で,きょうの画像の方解石は,大きな塊にクサビを打ち込んで板状の破片をいくつも作り,これを砥石研磨して平面を出して,そこから砥粒研磨に移行してポリッシングをして,ビームスプリッタとして使えるように加工している途中のものなのです。用途は? もちろんJamin-Lebedeff干渉顕微鏡の自作です。そこまでして干渉像を見たかったのです。
しかしその自作の試みはうまくいきませんでした。いま考えれば敗因はたくさんあるのがわかります。どんな干渉法でもそうですが,光干渉を起こす条件は極めてシビアで方位角にしてコンマ数度くらいの感じで調節しないといけません。加えてポラライザに対するコンデンサ方解石の配置,そこにのせる波長板の方向,対物側の方解石の配置,アナライザの方位,対物とコンデンサの方解石の傾き角のコントロールと,パラメータがありすぎる中で,それぞれのパラメータが精密制御できない条件のもとで干渉像を出そうと試みたわけなのでうまくいくはずはありません。もちろん方解石のセットが干渉を起こす正しい厚みで制御できているかも不明です。
10年以上前の話なのでいま振り返るとバカだったなーとも思いますが,それほどまでして見たかったという執念が今回の動態保存に結びついたことは間違いありません。その意味では,「干渉顕微鏡ごっこ」のようなお遊びでも興味関心を持続して将来につなげる超強力な力を持っていたわけです。中年オッサンになるとわかりますが,ときには人はバカになることも大事なんです(画像/MWS)。
2024年3月30日
S-KPL 10x /20ハイアイがカビだらけでした。入射側からみて第二面と第三面に問題があり,第二面は投影レンズとして使うと像面と共役の位置にあるので美しいカビの模様が常に撮影できるような状況です(笑)。要するに使い物にならないので,壊してもいいので分解清掃するのです。きょうの画像はその途中経過。
いろんな接眼レンズを分解メンテナンスしてきましたが,この接眼レンズのメンテは超高難易度の部類です。レンズの曲率がありすぎて清拭が難しくレンズのハンドリングも困難です。非常に凝った設計で工作精度も高く,それだけ分解も面倒になっています。
こういったレンズのメンテナンスで心がけるべきことは「完璧を目指してはいけない」ということです。手作業でのメンテナンスでは一点の曇りもなく完璧に溶剤拭きをしようとか目指すと作業の困難さはとてつもないものになり,作業時間は長くなり,事故確率が上がります。多少の問題は許容しつつも,巨大なゴミやカビはきれいに除去する,くらいの気分でやったほうがよろしいです。
どうしても完璧にやりたければ,レンズを手で触れることはできないので,適当なホルダーを作り,レンズ洗浄の水槽を用意してと,光学メーカーみたいなことになってきますが個人でやることではありません。
全体の状態をみて作業のバランスをとることも大事です。今回のレンズは射出側の第一面が傷だらけの劣化状況でしたので,いくら内部のカビが見えなくなったところで,明視野でコンデンサを絞り込めば光学的に劣化した部分の光路差が明暗となって筆者の網膜に投影されることでしょう。この状況ではいくら「完璧」にメンテナンスしても完全な状態にはなりません。ので,ほどほどでいいのです。
あともう一つは筆者の眼球の問題もあります。2018年晩秋に右目の硝子体剥離・硝子体出血,2023年晩秋に左目の硝子体剥離・硝子体出血を経験しています。このため,筆者の両目は絞られた光束のもとでは,血球粒子,毛細血管,剥離して縮んだ硝子体の脈理など,さまざまな位相物体や光吸収を生じる物体により「ゴミだらけ」に見えます。接眼レンズが完璧でも目の中がゴミだらけなので透過明視野絞り込みで明快な像が見えることは理論上ありません。
超優秀な眼科医にお願いして硝子体を吸い取ってもらい飛蚊症の原因を除去する手術を受けたとしても,血球の一粒まで完璧に除去することはほとんど不可能です。硝子体手術の手技の過程で微量の血球はどうしても残存するはずなので。
そういったこともありますので,まぁこのくらいならいいよね,という妥協ポイントを設定し,すいすいと作業をしてさっさと終わらせるのです。
念のために書き添えれば,こういった接眼レンズ分解メンテナンスの清拭は「超高難度」といえども,Jシリーズのカバーガラスや基板の清拭に比べれば,床の雑巾掛けと,デジタルカメラのセンサーの拭きくらいの違いがあります。筆者が超高難易度の機材メンテも気軽にやってしまうのは,それよりも遙かにレベルの高い作業を日常的に行っているからです。よい子の皆さんはくれぐれも,簡単にできると誤解して貴重な機材を破壊することのないようにお願いしたいと思います。カビが生えていて視野が汚く見えても,壊れて完全に使えないよりはマシなはずです。そういった価値判断を考えてみることも大事だと思います(画像/MWS)。
2024年3月29日
Jamin-Lebedeff干渉顕微鏡としての調整はすでに終了している段階ですが,偏光干渉を用いているわけですので,当然のことながら偏光顕微鏡としても機能します。しかも回転ポラライザ付きです。偏光顕微鏡というならばベルトランレンズがなければおかしいのでは?とのご意見もあるかもしれませんが,筆者はふだんから心出し望遠鏡で対物BFPを見ているような人間なのでベルトランレンズはかえって邪魔者くらいにしか思っていません。そんなわけできょうは偏光顕微鏡の構成にしてテスト撮影を行いました。
対物レンズはPlan 6.3x/0.16 160/- です。これにライツペリプランで投影しています。物体はバニリン結晶。画像一枚目は偏光クロスニコルそのまま。二枚目は検板を挿入したもの。じつに使い勝手のよい偏光顕微鏡で,画像品質も充分なことを確認できました。こうして動態保存としてのレベルがまたワンランクアップしました…(画像/MWS)。
2024年3月28日
Jamin-Lebedeff干渉顕微鏡に載っている三眼鏡筒にはJIS鏡筒のような直筒がついていますのでカメラとの接続は簡単です。筆者が高校生の頃にお小遣いを叩いて八王子の時計屋さんから入手したミザールの顕微鏡カメラアダプタを使えばいいのです(笑)。もうそろそろ40年前というむかしの話です。これにNikon Fマウントアダプタがあるので,そこにFT-1をつけてNikon1J5をくっつければいいのです。
この手の安価なアダプタは鏡筒との固定部が締め付け式や三点ネジではないので軸ズレする可能性がありますし,最悪,ネジをキツく締めて直筒部を変形させてしまうかもしれません。そういったことを防ぐためにアダプタ内部にはスペーサーとしてテープを三点固定になるように仕込んであり,そのままでもぴったりはまるようにしてあります。そして固定ねじはそのままだと金属が金属に当たることになり傷がつくので,ネジの先端にカグスベールというテフロンのチップを仕込んであります。これで直筒部の変形も防げて軸ズレも起こさずに撮影できるシステムの完成です。
倍率も可変できます。投影距離を変え,そこで生じた対物WDの変化分を鏡筒長の変化で吸収します。この操作で常に対物WD一定で倍率可変の撮影ができます。このシステムで撮影したピンヌラリアがきょうの画像ですがおかしなことは起きていません。
投影レンズはライツペリプラン10xです。倍率色収差補正がツァイスと同じに見えるので実用上問題はありません。スリーブが異様に長いレンズなので鏡筒長補正も簡単です。
残念なことに,手持ちのツァイス接眼レンズ,投影レンズは15本くらいあるのですが全滅でした。コーティングの傷,バル切れ,擦り傷,歪みによるヒビなど,あらゆる欠陥のオンパレードでクリアで抜けのよい撮像には不向きでした。
もちろん観察用にも不向きで,パーフェクトとはほど遠いノイジーな絵になります。ので,検鏡時にはニコンのHKWを使っています。この接眼レンズは状態の良いものがいまでも入手できます。もちろんコンペン度合はツァイスとは全く異なるものなので本来は組合せ不可なのですが,Jamin-Lebedeffのカラーコントラストという特殊性により,偏光色で敷き詰められたような視野にあっては,倍率色収差補正はまったく気にならないので,この組合せはまぁOKなのです(画像/MWS)。
2024年3月27日
このところ連載中のJamin-Lebedeff干渉顕微鏡は顕微鏡のプロ中のプロから動態保存を条件に管理を委託されたものです。ほんとうに有り難い話で念願のJamin-Lebedeffをひさしぶりに本気でいじることができ大変べんきょうになっています。しかし責任も重大です。それまではパーツごとに保管されていた顕微鏡セットをマニュアルも何もない中で部品の特性を読み解いて正しい組合せを探し,それぞれのパーツの調整法を理解して完璧な像を実現しないといけません。
干渉顕微鏡ですので正しい使い方は1つです。それは原理を理解して追い込めば見つかるものです。そこはいいのです。筆者も今月初めにある場所でこのセットをポンと渡されて,コンデンサの装着方法すら分からない素人だったのですが悪戦苦闘して約2時間弱で一応の干渉像はでました。
しかしこれは「はじめの一歩」です。何しろレクチファイアからLSMまで何でも知ってるプロ中のプロから動態保存を命ぜられたのです。その意味を考えてみましょう。たとえば鉄道分野ではD51蒸気機関車を渡されて「動態保存たのむよ」と言われれば,拝命して緊張しない人はいないでしょう。プロ中のプロから仕事を任されるというのは,どんな欲しかった顕微鏡が転がり込んできたとしても,それは最高難度の資格試験に臨むようなものでもの凄い緊張感とともにあるのです。
きょうの画像を見れば,この顕微鏡が少なくとも34年前には販売終了しているだろうことが分かるかと思います。じっさいにはそれよりも前に販売されていたもので,筆者がたぶん小学生から高校生くらいの頃の製品かと思います。このくらいの時間が経過したカールツァイス顕微鏡は,メンテナンスに特別の注意がいるように思います。
むかしのカールツァイス顕微鏡の特徴といえばバル切れです。バルサムの貼り合わせ面が剥離して接合面が空気面になってしまうことを通称ではバル切れと言っています。これがとにかく多いのです。筆者の手持ちでも,接眼レンズ,投影レンズ,対物レンズ,DICプリズム,DICスライダー,リレーレンズ,あらゆるところにバル切れがあります。こうなる原因はよくわからないのですが,歪みをあまりに気にしすぎて硬度の低い接着剤を使用していることと,その接着剤の濡れ性が悪くガラス表面との接着強度も低いのではないかと想像しています。
この顕微鏡にもあらゆる劣化が生じていて,もちろんバル切れもありますし,ほぼすべての光学面が劣化しています。動態保存を命ぜられたからには,D51が走り出すように,全ての光学素子が機能不全を起こすことなく,完璧な顕微鏡観察像を生み出すように調整しないといけません。そしてそれを実現するためには可能な限り光学面を最良の状態にメンテナンスする必要があります。
そのための技術の詳細は経験に頼るしかないのですが決定的に重要なことが1つあります。ツァイス有限系の顕微鏡メンテナンスは,よほどの自信がなければ有機溶剤を使わないことです。ごく微量の界面活性剤(中性)を含む水で清拭,そのあと超純水で清拭,の繰り返しがたぶんもっとも事故が少ない気がします。何もしなくても長期保管だけでバル切れしているのです。そこにはどんな有機溶媒の蒸気も禁忌な気がします。
そうはいいつつも,少しは使う場面もあります。きょうの画像一枚目は,さっき清掃した色温度補正フィルタが載ったベースの光射出部分。この光射出部分はIRカットガラスが使われていることが多いと思いますが見た目は白板でした。硝子材は分かりませんが経年の割には傷が少ないので当時のBK7かなと思いました。表面の清拭は容易ですが裏面は曇っていて微結晶もでていてどうにも気分が悪いです。ので,完璧な動態保存を目指すわけなので,このガラスを外して清拭しました。
まず形状確認。ネジ止めの位置から見て,このガラスはベースに落とし込んであるだけで,上から化粧板で押さえて固定しているものと推測。ので早速ネジで化粧板を外します。しかし露出したガラス板は固着していて外れません。こういったときにはまずガラス板にテープを貼って引っ張ります。何回やってもダメです。うむむ。
次は,あまりやりたくないけれども,ガラス板とベースの隙間に刃物をさし込んでぐりぐりします。下手にやればガラス板を破損しますし何もいいことありません。そしてこれもダメ。
ここまできて,何らかの固着を否定することができず,溶剤を使うことになります。溶剤の選択肢は経験上いろいろあります。たとえば,ヘキサン,EE-3310,エタノール,アセトン,キシレン,トルエンなどです。どれがほんとうに大丈夫で使えるのかはどこにもデータはないと思います。大丈夫と言われていた溶剤でぶっ壊すこともあります。(現代の対物レンズは重合系で不溶性の樹脂が多いのでそこいらへんの溶剤では劣化しませんが)。
恐る恐るエタノールを一滴落として観察します。何も起こりません。拭き取ってから一滴,さらに一滴追加。何かの溶剤がガラス面の裏側に回った感じ。この時点で溶剤を拭き取ります。そしてガラス窓を手で動かしてみます。動きません。ならば細い刃物を刺しててこの原理で揺すってみます。マイクロ単位で動く気がしました…。
その手先の感覚を信頼し,精密ピンセットをつっこんでみたらなんとかガラスを外すことに成功しました。ので裏側の曇り・結晶析出面はまず薄い界面活性剤で清拭して,蒸留水で清拭して,無水エタノールで清拭しました。すっかりきれいになったガラスをもとに戻して飾り輪を装着してネジ止めしてやれやれです。
顕微鏡のプロあるあるなんですが,年代物の顕微鏡で,ベース部の光射出面や,フィールドレンズ,接眼レンズの目レンズがきれいに清拭されている顕微鏡を見ると,その顕微鏡の管理者と初対面でも,「おぬし,なかなかやるな」と顕微鏡的武士道を感じるのです…。検鏡してノイズを感じる部分を知りそれを除去できる人はプロですね。
まーそういった細かな話は別としても,顕微鏡デスクに鎮座するJamin-Lebedeff干渉顕微鏡が,ランプハウスから接眼レンズまでクリアーな光学系で運用できれば,動態保存といえるわけで,与えられた任務の1つは,顕微鏡のプロ中のプロからみて隔たりがあるものとしても,少しは果たせたのかもしれないと思うことにしています(画像/MWS)。
2024年3月26日
このところ整備中のJamin-Lebedeff干渉顕微鏡は時代物でもあるので光学面の清掃が欠かせません。きょうは中間鏡筒のリレーレンズ系の4面,回転ポラライザの4面,そのほか明視野・位相差用のターレットコンデンサ乾燥系,油浸系の2セットのメンテナンスなども行っていました。ところで,手元の部品を調べるとどうみてもDICスライダーにしか見えない部品があります。中間鏡筒に刺さります。しかしDICコンデンサーはありません。でも空っぽの穴があるターレットコンデンサは2つあります。これらを装着して珪藻を見てみるともちろんDIC効果はありません。しかし対物BFPを見ると細い干渉縞が黒々とでています。さてどうするか。
答えを出すのに一秒は必要ありません。パーツの組合せを理解した瞬間に「これはPlasDICで遊ぶべきだね」と脳みそが教えてくれます。PlasDICなんて20年前くらいの開発当初に論文を見ていたくらいで以後,使ったこともなく何の縁もなかったのですが実現できそうなパーツが目の前にあると勝手に最適解が出てくるのです。脳みそってのはほんとうに不思議なんですが,ま,勉強しておいて損なことはないよねと中年オッサンは深く実感するのです。
さてそうしたらほうじ茶でも飲みながら小学生の工作時間。厚紙に植毛紙を貼り付けたものを円形にカットしてスリット絞りを作ります。このスリット絞りを干渉縞と平行になる方位に装着します。あとはケーラー照明にして,DICスライダーを操作して,ゼロ次の干渉縞をスリットの近傍に寄せていきます。
するとあらふしぎ,変形瞳+干渉像のようなものが出てくるのです。検出感度は明視野の比ではなく明らかに干渉顕微鏡の像です。しかしスリット絞りによる変形瞳像になるので解像の方向性や焦点深さの方向性は残ります。そういった欠点があるにしても,NA=1.2の水浸対物レンズでPlasDIC効果がかかるとは,これはほんとうに有り難いことなのです。
こうして,何の役にも立たないはずのDICスライダーと,12年半これまで一度の出番もなかったツァイス油浸ターレットコンデンサは突然,眠りから覚めた巨人のような働きをすることになるのです。いやー過去の勉強はほんと役に立つ。10代半ばから30代の勉強の勉強の蓄積が50代になって稔るんですよ。これこそが人生の醍醐味ってやつじゃないかしら。
さて最後にお約束の文句。こういったことをすいすいできるのは,手元に光学的に正しい珪藻標本があるからです。これを30年以上検鏡してきた経験があるので像を見れば顕微鏡の状態がわかるのです。基準となる標本を常に使っていれば状態の少しの違いも判別できます。「光学的に正しい」ここが大事なんです(画像/MWS)。
2024年3月25日(2)
ほうさんちゅうの頭頂部の骨針を検鏡するのは専門家によれば難易度の高い仕事とのこと。そうだろうとは思います。光学的特性の異なる封入剤に封じられゴミだらけの散布標本で精密な検鏡をするのはほとんど無理ゲーな感じもします。当室では処理後の標本を精密にマウントすることができますので頭頂部の骨針を検鏡することもそんなに難しいことではありません。そこにJamin-Lebedeff干渉顕微鏡が転がり込んできたので,さてどんなアドバンテージがあるのかと見てみたのがきょうの画像。
ゼロ次の干渉で見ても視認しやすいコントラストを生成しますが,一次以降のカラーコントラストで見てみると視認しやすいポイントが明らかにあるように感じます。むかしから偏光顕微鏡領域における第一次赤色などの肉眼検鏡の有利さは知られていましたが,Jamin-Lebedeffでみてみるとまさにそんな感じがします。このことの指摘はすでに こちら で示されていますが,まさにそんな感じかも,という気がしています(画像/MWS)。
2024年3月25日
のらぼうが入荷。まだ大丈夫なようだ。夜の入荷だけれども直ちに茹でます。水を切ったあとにジップロックに入れてチルド室へ。手で触れずに菜箸で扱えば熱湯消毒の無菌的な操作になりますのでチルド室での保管ならまったく品質の劣化を感じません。といってもこの大量ののらぼうも3日くらいでぺろっと食べてしまうのですが。今年はあと何回食べられるだろうかなー。例年なら桜が散る頃までは大丈夫なので,あと2週間くらいいけるのだろうか…(画像/MWS)。
2024年3月24日
Jamin-Lebedeff干渉顕微鏡をいじる毎日はまるでバラ色の日々です(笑)。きょうは別の筒を組み合わせてFT-1経由でNikon1J5と接続できるようにしました。これで3つの方法で光学的に正しい接続ができたことになります。鏡筒長もより精密に変えられるようにしました。そしてさっき(深夜)に撮影したのがきょうの画像。サンプルはアクチノキクルス(ヒトツメケイソウ属)のテスト封入品。
画像を見るに「正しさ」を感じます。おかしなことは起きていないようです。もちろん,そのように撮影システムを組んだのですが。
この顕微鏡は筆者にとってあたらしいコントラスト法なので,いままで見たことのない風景が広がります。何がどのように見えるのか,経験を積まなくてはなりません。ので,手持ちのあらゆるサンプルを覗く時間が続いています。大昔,大学院の頃,はじめて手製の暗視野を実現してバクテリアが見え,いつまでも覗いていました。それからすぐに位相差セットを貸してもらい,その仕組みに感動していつまでも位相差像をみていました。そして位相差では謎の偽構造ができるとか,いろいろ発見しました。
そんな初心者のころのような新鮮な体験ができるのはほんとうに素晴らしいことです。Jamin-Lebedeff干渉顕微鏡はほとんど文化財のようなもので現代では研究上の存在意義はそんなに認められていないのかもしれません。しかし顕微鏡屋さん,標本屋さんとしては,歴史を追体験できることはほんとうに貴重なことなのです(画像/MWS)。
2024年3月23日
Jamin-Lebedeff干渉顕微鏡はずっと大昔に廃盤になり,いまでは市販はありません。その理由は干渉顕微鏡の特性にあるのだろうと思います。透過検鏡ではノマルスキーの微分干渉顕微鏡が対物レンズの自由度,コントラスト,分解能,副像の問題がないこと,製造の容易さなど,あらゆる面でアドバンテージがあるように思います。では,Jamin-Lebedeff干渉顕微鏡はノマルスキーのDICと比較して欠点だけがあったのかというと,それも違う気がします。
そのことを示してみたのがきょうの画像。トリケラチウムの化石種です。ずいぶんむかしのたぶん1000万年前くらいの珪藻被殻ですが,この頃もちゃんと六角形,そして五角形と七角形のペアは健在です。
同じ視野をJamin-Lebedeff干渉顕微鏡のカラー画像と,その画像をグレースケールにしたものを並べてみました。みなさんどちらが,視線固定できますか?
筆者の個人的な感覚だと,グレースケールの画像は,「目が迷います」。カラー画像の方が明らかに格子欠陥を探しやすいです。
このことが万人に共通なのかどうかは知りませんが,大昔になくなった検鏡法も,現代的な観点から利点を洗い出しておくことはサイエンスの仕事としては意味のあることと感じています(画像/MWS)。
2024年3月22日
きのう紹介したE995システムを一日運用して問題点などを洗い出ししました。その結果,光学的な接続は正しく,収差補正も理論上問題ないのですが,コリメート法ゆえに投影法と比較して約20面ほどの光学面が存在し,それらの研磨痕,チリ,脈理などをブランク減算したとしてもなお,画像のS/Nは下がっていることが確認されました。ので,E995システムは緊急運用以外に出番はないであろうとの結論に達しました。
ではどうするか。Nikon1J5で撮影システムを組むしかないのですが,このツァイス顕微鏡はJIS鏡筒とほぼ同じ規格の三眼がついているのでニコンのJIS鏡筒→42mm筒アダプタを使い,そこに謎のリングを介して,さらに52mmのメスメスリングをつけて,52mmオス→Nikon1マウントをねじ込むとぴったりのNikon1撮影鏡筒が出来上がりました。家から一歩も出ないで問題解決です。わはは。
投影レンズはいろいろあるのですがツァイスのものはどれも劣化が激しくメンテナンスが必要なので,手持ちでいちばん状態のよいライツペリプラン10xを使いました。コンペンはツァイスと同じに感じるので問題を生じません。これをそのまま三眼鏡筒に挿入すると投影距離の問題で対物のWDが変化してしまいます。目で見たピントとカメラ光路のピントが一致しないのです。低NAであれば「鏡筒後退法」という光学的には間違った,しかし実用上は問題のない方法で解決します。しかし珪藻の微細構造などを撮影するには球面収差を完全に排除する必要があるので,そうですね,NA=0.5くらいからは鏡筒後退法は使えませんね。
ではどうするか。有限鏡筒長時代のTL160mmの顕微鏡ですが,素子までの投影距離が短いぶん,TLを延ばすのです。どこかで肉眼のピントとカメラ光路のピントが一致するTLがあります。その位置では対物のWDは変化しないので設計値通りの対物の性能が発揮されます。
しかし,正規の投影レンズでなく,接眼レンズでの投影で,しかも撮像素子も投影距離も設計値から外れた使い方になっています。そこに起因する球面収差ほかの問題は理論的には必ず生じています。
では,対物WDを変化させることと,撮像系の投影距離を変化させることと,どちらが有害かというと高NA領域では圧倒的に前者です。ですので,対物WD不変で撮像系を組んでみることは,素人のホビー領域であったとしても理に叶った良い方法なのです。
きょうの画像はきのう掲載した珪藻の撮り直しと,ジュラ紀の放散虫。Jamin-Lebedeffでは光学的厚さを色に変換できるような感じの像ができますが,これが構造理解の一助となる場面があるように感じています。単純に輝度分布だけだと,ここが分厚い,ここが薄いというのを実感として捉えにくいですが,この色の濃い部分が骨太だよ,と言うと誰でもふーんと納得してくれるような気もします(画像/MWS)。
2024年3月21日
きのう紹介したシステムで撮影したのがきょうの画像。標本はJシリーズ(J166)で,検鏡法は,Jamin-Lebedeff interferece contrastです。これは干渉顕微鏡なのですがゼロ次からn次までの干渉縞局在面で観察できます。きょうの画像では一次の干渉縞にあわせています。このようにすると明暗コントラストではなくてカラーコントラストになります。カメラはクールピクスE995で撮像素子はCCDです!。この頃は偽色が出やすく偏光色や干渉色の色再現はそれほどよくありません。そこのところはお見逃しを(画像/MWS)。
2024年3月20日
いま整備中のツァイス顕微鏡は初めての機種なので手持ちのパーツが少なくてベストの像を出すのに工夫が必要です。ぜんぶツァイス純正でいければ申し分ないのかもしれませんが,そもそもこの顕微鏡はフィルム時代の旧設計で,デジタル時代の現代で使いこなすにはまた工夫が必要です。そこで筆者が考えたのがコリメート法。ツァイスの対物レンズに対してライツのペリプランを使い鏡筒長を調節してコリメート法で撮影し,ブランク画像を撮り減算して光学ノイズの少ない像を取得しています。半世紀以上経過した顕微鏡にそろそろ四半世紀経過したデジタルカメラを組み付けた前時代的な,それでいて最良の像を結ぶシステムです(画像/MWS)。
2024年3月18日
すこしは春っぽい画像ものせないと…(画像/MWS)。
2024年3月18日
なんと「宮城ふるさとプラザ」が閉店するとのこと。いやー頭を抱えるような案件です。ウチの食生活はこのお店なしでは成り立たないのです…。閉店の原因は宮城県が賃貸契約更新をせず,年間テナント料(1.3億円)の支払いを拒否したためとも言われています。しかし運営団体は「宮城ふるさとプラザ」の継続をあきらめてはいないとのこと( こちら )。うーん,何とかして都区内で継続して欲しい。いつも混んでいて人気があってすばらしいお店だったのに…(画像/MWS)。
2024年3月17日
いやー顕微鏡メンテというのは本当に面白いです。いままでいじったことのない機種をみてそのメカを理解してメンテして最良の条件に持ち込むのは充実した時間以外の何者でもありません。それまでの知識,経験,技術の全てが試されてそれを活かす時間だからでしょうね。
そこまで書いて思い当たりました。優れた心臓外科医や眼科手術医はきっと,似たような感覚を味わっているのかもしれません。それまでの勉強,経験,技術,自分の持てる全てを投入してリアルに変化する患者に対応して完全に「メンテ」してしまう。生き物を相手にするのか機械を相手にするのかという違いはありますが,やっていることはそんなに変わらないのかもしれません。
もちろん,筆者が担当した「患者さん」は,最良の治療を受けてすっかり元気になりました。光波が油浸の領域できっちり干渉していることが結像からわかります(画像/MWS)。
2024年3月16日
メカメカしていていじるところ,調整するところがいっぱいある顕微鏡は,スイッチだらけのむかしのオーデオ機器とか,航空機のコクピットとか,宇宙船内部を想起させるものです。それらの多数のスイッチをわけも分からずにいじって操縦ごっこをするのも子ども的には最高に楽しい時間です。でも大人になれば,その多数のスイッチ,ノブ,ダイヤルを寸分の狂いもなく正確に操作して,考え得る最良の結果を得るというプロとしての技術の時間があります。どちらも楽しい時間ですが,両方を経験した筆者としては後者の時間が卓越して充実感があるものと断言します。それはなぜか。「わけもわからずいじって」の子ども時代から,数々の勉強を経ての「プロとしての技術」の違いです。アスリートが身体を作って新記録を目指すように,学者,研究者,職人は知識と技術を絶え間なく更新して次のステップにいくのです(画像/MWS)。
2024年3月15日
14日は夕方から光学設計者を囲んでの宴席でした。筆者はたぶん職人に分類されるのだろうと思いますが,その前は不良研究者をやっていました。不良研究者時代に山ほど顕微鏡の勉強をして現在の仕事に発展した経緯があります。その立場からは光学設計者と技術論議ができるという時間は脳天が喜びに震えるような時間なのです。干渉顕微鏡をいじりながらその道のトップ3人と顕微鏡談義をする。時間は消え去り,気がつけば4時間半が経過してお開きとなったのでした。これを書いているいまも全身が幸福に包まれているのがわかります。このような機会を頂いたみなさま,おいしい料理を作ってくれたお店の人,みんなに感謝なのです(画像/MWS)。
2024年3月14日
せんしゅうまつに食べたお刺身。近所のスーパーにはたぶん産直っぽいいろんな魚種が入っていて助かります。そこからカミさんが適当なものを連れて帰ってくるのです。寿司ネタや刺身のランキングを見ると,サーモン,マグロのトロ,養殖ブリ,養殖マダイなどが上位の常連ですが,個人的には口にしないものばかりです。ブラインドテストをしても養殖魚は一発でわかりますしおいしいとは感じません。先日,何かの間違いで畜養マグロの赤身が入荷したので25年ぶり?くらいに口にしましたがキツかったです…。
そういったわけですので,天然魚の取り扱いが豊富なスーパーはたすかるのです。ヒラスズキもオナガダイもホウキハタも,好きな寿司ネタランキングの圏外のものばかりですが,個人的には好みで,酢飯を作って小さな鮨を何個も食べてしまいます。週末の楽しみの1つなのです(画像/MWS)。
2024年3月13日
ゆうはんのメニューで悩むことはあまりありません。その理由の1つは,買い物はカミさんの係なので,筆者はひたすら食材のストックを消費することを念頭に作業しなければならないからです。「何かを作ろう」というよりは,「この食材とこの食材とあの食材をきょうは消費しよう」と考えるのです。するとあとは組合せの問題で,食べられる組合せを見つければ良いのです。
先ほどの夕飯がその一例。むね肉があったのでタムパク源としてしゃぶしゃぶにすることにしました。むね肉は薄切りにして少量の濃い塩水を加えて混ぜておきます。むね肉の皮と脂身は別に外して刻んでおきます。早煮昆布を水でもどしてから火にかけて数分沸騰させたら昆布を取り出します。この昆布出しでむね肉をしゃぶしゃぶすればまず一品完成。
さて早煮昆布を捨てるのはもったいないのでこれを刻みます。これはダイコンの皮と油揚げと酒,しょう油で煮るとまことにおいしい田舎料理の味になります。のでさっそく巨大なダイコンの2/3ほどを切り,皮をむいて刻み,昆布と混ぜ混ぜします。そこに日本酒としょう油を加えます。容器はどんぶりを使います。そこに油揚げ2枚を刻んでのせて,フタをして電子レンジでチンします。これでまた一品完成。
すると皮をむいたダイコンがあるので,これを土鍋に入れて電子レンジでチンします。600Wで15分くらい。これでチンダイコンのできあがり。甘くておいしいのです。レンジの過程で出てきた水分はマグカップに受けて飲みます。筆者はこれをダイコン水と呼んでいるのですがすばらしいのみものです。
さて,しゃぶしゃぶしたダシが残っているのでこれでダイコンの味噌汁にします。残りのダイコン1/3は皮をむいて,身の方をダシで煮ます。ダシには先に鳥皮と脂身を加えて火を通しておくとよいでしょう。水も少し加えます。ダイコンに火が通ったら味見をします。薄い塩味になっているので,適量の味噌を加えて味噌汁というかダイコンの味噌煮のできあがり。鶏のダシと油がきいていてまことにおいしいのです。
するとまな板の上にはダイコンの皮が余っているのでこれを刻んで深鉢に入れてごま油をからめます。そこにしょう油を加えます。日本酒を少し入れてもいいです。フタをして電子レンジにかければあらふしぎ,だいこんの皮のきんぴらができあがっています。七味をかけるとよろしいですね。
半額シールが貼られたメバチマグロが発見されたので,「剥がし」の技術を駆使して筋のないマグロの漬け込みを作ります。これはミニ鉄火丼に使います。マグロの筋には塩コショウをしてなじんだら電子レンジでチン。柔らかなマグロの筋のおつまみになっています。
夕飯としてはこれでじゅうぶんですが,明日朝のカミさんのご飯も作らないといけませんので,ブナシメジを手で裂いて,エノキダケを適当に切って,その上にベーコン切り落としをのせて電子レンジでチンして少量のバターをからめておきます。4〜5分割に折ったパスタ(5分茹で)を塩を加えないで茹で,水気を切ったらすぐに混ぜて出来上がり。パスタを食べるとほぼ等量のきのこが食べられるという健康優良メニューです。
こうして全ての食材はどこかの一品に収まり,ゴミが出ることもなく,おかずとしておいしいものになりました。食材をできるだけ有効活用して料理をまとめあげようと考えると,メニューに頭を悩ます必要もなく,深町純のピアノでも聞きながらフンフンと軽やかに料理作業が続き,さーて終わったなーという頃に,お腹を空かせたカミさんが帰ってくるのです(画像/MWS)。
2024年3月12日
さくねんの夏は暑すぎて蚊があんまり出なかったのだけれども冬になって蚊が飛び交うようになりました…。きょうの画像は今年の1月,2月に手づかみでつかまえた蚊です。このほかに輪ゴム鉄砲で粉砕したものや取り逃がしたものもいます。なんで暖房もない寒い当室を狙って入り込むのか謎です。これらの蚊の羽はいつかプレパラートになるかもしれないので保管しています(画像/MWS)。
2024年3月11日
きょうの画像はあの日の津波で海にさらわれ海底から引き上げられた対物レンズ群。あの日のことは一生忘れられないと思いますが,能登半島の地震はそれと同等のひどい被害で,いったい人生でどれだけのひどい災害を目にしなければいけないのかと思ったりもします。
これまでも宮城県沖地震,阪神淡路大震災,岩手・宮城内陸地震,東日本大震災,熊本地震,北海道胆振東部地震といろいろあったのです。もう勘弁してくれといいたいところですが,事実を見るに,日本列島は50代の中年オッサンが何度も地震災害に直面するのが現実なんですね。まだ人生経験がそれほどでもない若造でもありますが,大きな災害はだいたい5年に一回くらいはあるという感じかもしれません。
と,ここまで書いて行き詰まりました。被災者の立場を考えると,軽々しく何かを述べる気がしません…(画像/MWS)。
2024年3月10日
9日の土曜日はひさびさに快晴だったので,晴れの日の日課としている謎の日光浴タイムができました。朝起きたらお茶飲みながら裸族で日に当たるという謎の健康法です。直射日光は目に悪いので太陽が目に入らないようにしますが,ぎりぎり太陽の近傍の光は見るようにしています。
そうしたら珍しく回折リングが見えました。それがきょうの画像1枚目。これは時期的に考えても明らかに花粉光環でしょう( こちら )。なかなかきれいな回折リングだったので思わず撮影してしまいました。センサーに直射日光が当たると焼けるので注意深く避けながらの撮影です。
夕方に用事で外出するとまだ花粉光環は見えていましたが,画像2枚目のようにかなり薄くなっていました。たぶん昼間の強風や,産業活動に伴う排ガス等の増加で種々雑多な粒子が舞い,それらの散乱光が回折光を薄めてしまったのだろうと推測しています。明日も晴れの予報。また回折リングが見えるでしょうか。花粉が飛んでくるのはよろしくないことですが,光学現象を見ることができるのは面白いことです。ちょっとだけ楽しみです(画像/MWS)。
2024年3月9日
この本は当サービスのお客様から恵与頂いたもの。すこし前の土曜日に謎の日光浴をしながら朝から開いてみたら読むのが止まらなくなり一気に読んでしまいました。一人の男の生き様,そこにあふれる情熱が伝わってきて,筆者の人生でも最高の読書体験と言って過言ではないものでした。汚物処理と物質循環を扱った内容なのですが,筆者はもともと環境論を10代後半から独学で学んできましたのでこの分野についての素養はあります。それも没入できた原因なのかもしれません。この本のダイジェストのような感じの記事が こちら で読めます。もしこの記事を読んで面白いと思ったら,ぜひともこの本をお手にとってじっくりとご覧になることをおすすめいたします。Amazonさんは こちら です。職人としての筆者の感想としては,この著者は, こちら の職人と魂が共通するものを感じます。そう思えるのは,この著者も,三鷹光器の中村さんも,筆者も,みな貧しかったことがあるのかもしれません。ものを作る動機形成には,なにもない貧しさが大事なのかもしれません(画像/MWS)。
2024年3月8日
きょうの画像はカールツァイス社の有限補正系対物レンズ。多重液浸とかマルチイマージョンと呼ばれるタイプのレンズで,液浸は水でも,グリセリンでも,オイルでも使えます。もちろん,浸液の屈折率が異なれば大きな球面収差が発生しますので補正環を回してベストな位置に調節します。カバーガラスは原則0.17mmを使いますが,補正環があるのでほかの厚みのものでも調節範囲内であれば球面収差の少ない像が得られます。
このレンズ,浸液ごとの補正環の位置についてマークがあるのですが,このデザインがまたイケてるものなのです。画像2枚目は,「浸液は水,カバーガラスなし」つまり水にドボン(water dipping)で使う補正環の位置を示すマークです。画像3枚目は,「浸液は水,カバーガラスあり」で,water immersionで使いますよというマークです。画像4枚目は浸液グリセリンで,カバーガラスあり,なしでの位置が示されています。
画像5枚目は,オイルで使う補正環の位置ですが,マークが独特です。これは,ガラスもオイルも屈折率が1.52で同じなので,カバーガラスがあってもなくても補正環の位置は変わりませんよ,ということを示しています。
こういったマークをデザインするのは誰なのでしょう。光学設計者なのかそれともインダストリアルデザイナーなのかわかりませんが,このレンズの場合はよくできていると感じます。
この手の補正環付きで大開口数のレンズは,厚みのある水マウントで微生物を観察するときなどでも,球面収差補正がききますのでとてもシャープに観察することができます。お気に入りのレンズの1つです(画像/MWS)。
2024年3月7日
きょうは野菜ばっかしでタンパク質が足りないなーというときに,冷蔵庫の在庫もなく,さてどうしようというときに当室では選択肢がいくつかあります。ひとつはサバ缶(水煮),もう一つはハムエッグもどきです。きょうの画像はもちろん後者です。鎌倉ハムブランドのソーセージは薄切りにして皿に敷きます。そこにタマゴを落としてフタをします。これを電子レンジの解凍キー(160〜200W)で約2分30秒。時間は出来具合と余熱での火の入り方を見ながら決めます。
料理とはいえないくらい簡単ですし,加熱後は無菌的な状態なので保存も安心です。お腹いっぱいだから明日の朝にたべようというときも傷むことはまずありません。ご飯好きな人は白飯にのせてもいいですし,パン好きな人はパンに挟んでもいいでしょう。サバ缶も優秀なタンパク供給源ですが,タマゴとハム,ソーセージ,ベーコンも入手も容易で調理も簡単で子どもから大人まで好まれる優秀なタンパク源です。
健康で長生きする年寄りが増えたのは肉を食うようになったからという研究報告が15-20年くらい前にあった気がしますがけっこう真実な気がします。亡くなる2週間前くらいまでなんの問題もなくピンピンしていて,ギョウザを10個以上食べていた100歳超えの人を知っています。その方の家にお伺いしたこともあったのですが,すでに90歳を超えていましたが,近所の肉屋さんと仲良くしていて,特上の牛肉をごちそうになったことがあります。身の回りのことはほとんど自分でできて,牛炒めも作ってくれました。今考えると道場六三郎みたいですね。ショウガ汁を絞り落としたその牛炒めは,お肉の質の良さもあって,未だに記憶に残っています。
ということで,大事なものはタンパク質ですよ,というお話しでした(画像/MWS)。
2024年3月6日
ツァイスの補正環付き対物レンズ,カバーガラス厚さを示す指針の部分のデザインにこだわりを感じますねー(画像/MWS)。
2024年3月5日
すこしだけ水がちょろちょろと垂れている溝。大都会の道路の片隅のこんなところでも珪藻は生きています。さんぽの途中でこういった場面に遭遇し,どんなカッコイイ珪藻がいるかなーと思いながら過ぎ去るのです。珪藻を知ると言うことは,世の中が違って見えるということでもあります。顕微鏡的な生き物を知ることにより風景の見方や解釈に深みが出て,世界が広がるのです(画像/MWS)。
2024年3月4日
ホコリのない暮らしというのは人が生活している以上は無理なのですが,ホコリを少なくすることはできます。きょうの画像がその工夫の一例。洗濯物はこの十数年間,必ずバルコニーで叩いて折りたたんでいます。全部終わったら自分の身体についているホコリを払い落とし,周囲のホコリが遠くに去った頃に部屋に入れるのです(画像/MWS)。
2024年3月3日
さっき(4分間)茹でたのらぼう。今期2回目。シーズン真っ盛りの感じです。食べたことのない人,この茹でたのらぼうを適当なダシつゆとかでさっと煮て卵とじにして食べてみて下さい。野菜の卵とじってこんなにウマいんだーと,きっと野菜嫌いのお子様でもパクついてくれると思います。親子丼を作るときにタマネギ代わりにのらぼうを大量投入も素敵なものです。まだ食べたことのない方,八王子,五日市方面で今なら入手も容易です。ぜひぜひお試しを(画像/MWS)。
2024年3月2日
Mallomonasu(ミノヒゲムシ)を強引に拡大撮影。シリカの鱗片をもつ原生生物ですが,微細構造の一部が見えています。電子顕微鏡で観察すればもっと細かい構造があることがわかります( こちら )。池などのたまり水で割と見かけます。きょうの画像のミノヒゲムシは個人宅の庭の池にいたものです(画像/MWS)。
2024年3月1日
ドジャースの大谷君が結婚を発表。それはもちろん目出度い。しかし大谷君,貴方はメディアジャックできる立場にいる御方だよ。少しは社会を眺めてタイミングというものを考えるが良い。いま日本の政治で何が行われているか。反社会的脱税集団,自民党議員の政治倫理審査会が行われているではないか。これは政治が腐って国家的な危機に至っていることの証であり,議論を通じてまともな政治とは何かを国民が考えるまたとない機会ではないか。
その機会が大谷君のメディアジャックで大幅に失われてしまった。自民党幹部は心から大谷君に感謝しているだろう。官房機密費から一千万円プレゼントするかもしれない。
大谷君の結婚発表で,意図しないにせよメディアジャックが起こってしまった。これは本当に残念なことだ。本来はきょう,国民はたとえば こちら のような議論を報道を通じて繰り返して見ることで,反社集団,カルト宗教集団,脱税集団,裏金脱税党について知り,とうぜんこれを社会から排除すべきということを考える一日だったのです。
大谷君,貴方は本当に誠実で素晴らしい選手だ。次回はこんな過ちを起こさないでくれよ。中年オッサンとの約束だぞ(画像/MWS)。
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