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MWSが顕微鏡下の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


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原子力災害関係の記事だけを見たい人は こちら をどうぞ。


2011年7月31日


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現在開催中の『2011年 仮説実験授業研究会 夏の全国合宿研究会 福岡・宗像大会(7/29〜7/31)』には,なんとか,数枚のJシリーズも展示ができました。時間的な厳しさがありましたが,台風6号さんのお陰で,過ごしやすい温度になりましたので作業効率があがりました。朝起きてから,一切の空調もつけず,忍び足でホコリをたてないように歩き,封入剤の蒸気にノドをいがらっぽくさせながら作るこの標本は,室温が33℃を越えると筆者の脳温が上昇しすぎるので,製作できなくなるのです。でも,台風6号さんのお陰で,室温が高くても32℃台で済みましたので,何とかなりました。助かった…(画像/MWS)。








2011年7月30日


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植物の繊維は偏光性を持つものが多く,偏光観察もお薦めです。きょうの画像2枚はいずれも偏光法で撮影したもので,上はコルクの薄片,下は竹串の横断面です。偏光法では背景光がカットされるので,偏光性物質が高いコントラストで見えます。コルクの細胞壁など,とてもよくみえていることがお分かりかと思います。偏光法というと,小難しい理論がたくさん出てきますが,そういったことを一切無視して,単にコントラストを上げる一つの方法として,もっと活用されても良いのではないかと思います(画像/MWS)。








2011年7月29日


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ひじょうに珍しく入手が難しい珪藻が突然見つかることがあります。Jシリーズの製作用に珪藻を拾っていると見つかるのです。これを自分用に保存してもよいのですが,筆者はお客様のために標本製作をしていますので,珍しくても封じてしまいます。すると出荷までの時間が筆者にとっての検鏡時間となります。今回みつかったコイツは,たった5分の検鏡時間しかとることができませんでした。本当は一週間くらいかけて数百枚の撮影をやりたいのですけど〜。これを購入した方はラッキーといえます(画像/MWS)。








2011年7月28日


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暗視野で珪藻を検鏡するのは本当に楽しいものです。低倍率ではカラフルに,高倍率では精細な紋様が見えてきて飽きません。レンズを交換すれば像の見え方も変わり,コンデンサを換えればまた変化します。美しく見える組合せはいくつもあるのですが,筆者のお気に入りは,乾燥系暗視野コンデンサに20倍対物レンズ(NA=0.4)の組合せです。上の画像のように珪藻がある程度の大きさに見え,構造も見え始め,それでいて微細構造を持つ種の干渉色が楽しめます。普段はプランアポクロマートやプランフルオールで検鏡することの多い筆者も,暗視野のときはアクロマート系対物レンズに交換します(画像/MWS)。








2011年7月27日


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材木を蛍光顕微鏡で観察すると,V〜UV励起で大抵は自家蛍光を発します。蛍光染色することなく観察が可能です。切片になっていれば,カバーグラスをかけるだけで,液体で封じる必要もありません。切片の表面が鮮明に観察できます。上の画像はそのようにして観察したヒノキの木口面です。自家蛍光により,年輪部分の構造がよく見えています(画像/MWS)。








2011年7月26日


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こんなものも福岡に持ち込みたいのですが…,決定的に時間が足りません。一枚くらいは皆様にごらん頂けるように努力しますが,ちょっと厳しい戦いになってきました。結果は現地でご確認ということになりそうです。よろしくお願い致します…(画像/MWS)。








2011年7月25日


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これはミドリヒョウモンの鱗粉です。タテハチョウの仲間です。デジタルのノイズで画面がざらついているように見えますが違います。この鱗粉のいぶし銀のような美しさが,このようになっているのです。淡い虹色に輝く様子がひじょうに美しいのですが,これはさすがに生の光をみていただくよりほかはないようです。この標本も若干枚数,福岡に持ち込む予定です(画像/MWS)。








2011年7月24日


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今月紹介してきました標本は,『2011年 仮説実験授業研究会 夏の全国合宿研究会 福岡・宗像大会(7/29〜7/31)』のために製作してきたものです。ライトスコープ/生物顕微鏡兼用のドライマウント標本,珪藻封入標本,サファイヤ標本(若干枚数)など,多数の標本を展示販売致しますので,大会に参加される方や,玄海ロイヤルホテルの近くにお住まいの方は,ぜひお立ち寄りいただければと思います。顕微鏡と展示用の見本も持ち込みますので,その場で観察することもできます。なお,筆者は参加しません(画像/MWS)。








2011年7月23日


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上の画像はクモノスケイソウが入っている標本,下の画像は能登半島・珠洲市の珪藻化石です。大きいので低倍率でも珪藻がよくみえます。今月は身近にある標本を低倍率で検鏡してきましたが,珪藻の幾何学的な美しさは,ほかの植物標本などと比較しても別格のような気がします。なんというか,クールな感じがするんですよね(画像/MWS)。








2011年7月22日


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上の画像はキャベツの芯,下の画像はヒノキの横断面です。すでに透過明視野による画像を掲載していますが,こんどは,ライトスコープなどと同じように,標本の上から照明しています。上の画像では,液体をたっぷり含んでいた細胞と木化した細かい細胞,下の画像ではヒノキ材の破断面が明瞭に見えます。封入剤を使用しない空気封入なので,表面を照らす検鏡法にも適していることがおわかりいただけることと思います(画像/MWS)。








2011年7月21日


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これはスギ材の縦断面です。薄い削り屑を封入しています。セルロース繊維が見えていますが,封入剤との屈折率差が小さいので,コントラストが低くなっています。これを偏光顕微鏡で見ると,それぞれの繊維が鮮明に見えます。セルロースの微結晶が一定の方向を向いており,偏光性を示しているのでしょう。構造が格段に見やすくなるのでお薦めの検鏡法です (画像/MWS)。









2011年7月20日


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これは先日掲載したイチョウ材の横断面です。こんどはライトスコープなどと同じように,標本表面を上から照らしています。材の構造が教科書の写真のように鮮明に見えます。肉眼では,ペラペラの薄片でこの構造は見えません。しかし30倍もあれば,じゅうぶんにこのように見えてしまうのです。30倍というのは線倍率ですから,面積にすれば900倍にもなります。1平方センチの紙が,30センチ四方の大きさに拡大されるわけですから,けっこうな拡大率なのです(画像/MWS)。









2011年7月19日


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これはタケの横断面です。手近にあった竹串を薄くスライスしています。切片の作成はかなり難しいですが,筆者の研ぎ技術と丸尾山砥石の威力により,何とかなっています。画像は標本の上から照らしたものです。ドクロマークがたくさん見え,誰でも食べる焼き鳥の串が,こんな断面だったのかと,面白みのある標本です(画像/MWS)。



きょうは電子工学の専門家をお招きして放射線宴会会議となりました。巷にあふれる線量計も良いですが,放射線量の数値化や可視化自体は古くからある物理の研究テーマです。光学機器に興味を持つ筆者と電子工作の専門家が話をするわけですから,酒が足りるわけがなく話が尽きることなく,お開きまで技術関係の話で盛り上がりました。上の標本も鑑賞頂こうかと思っていたのですが,そんな時間もありませんでした。





2011年7月18日


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ロバート・フックが観察に用いた顕微鏡は,ランプの光を試料の表面に集光して観察する,(軸外・偏斜)落射暗視野顕微鏡の構成になっています。したがって背景が黒で,構造物が明るくなっているはずですが,残されたコルクのスケッチは確かにそのようになっています。上の画像はフックの顕微鏡と似たような配置で撮影したものです。たぶん,フックはこのような像をみたのでしょう。このような観察法は,ライトスコープなどの安価に市販されているポケット顕微鏡で採用されている方法です。ライトスコープで観察すれば,ロバート・フックが細胞の構造を発見したときと同じような絵が見えるわけです。生物学の授業では,フック→コルク→細胞,というような連想記憶が試験問題になってしまいますが,どのような顕微鏡で観察したのか,どうやって光をあてたのか,といった問題も取り上げてくれれば,知識のネットワークが広がりやすく,いいことなのではないかと思います(画像/MWS)。








2011年7月17日


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これはコルク切片の顕微鏡画像です。2年前にも一度とりあげています。コルク材の構造が整然と並ぶ様子はロバート・フックにより観察記録が残され,細胞という概念の誕生につながったと教科書には書かれています。学校教育でも定番のテスト問題で,筆者も遠い昔にこれを暗記?したような覚えがあります。しかしこのときは,知識だけが受け売り的に頭に入力され,単なる知ったかぶりになったに過ぎないのでした。自分でコルクの切片を作って検鏡してみたのはそれから20年以上あとのことです。なるほどコルクは,フックがスケッチで残したものとそっくりなのでした。

ロバート・フックなる人物は,物理方面に詳しい人はフックの法則(バネの弾性)でおなじみだと思います。フックは物性にも多大な興味をもっていたようで,コルクの観察も,なぜ軽くて弾力があるのかを確かめようとしたことが動機だと伝えられています。博識な学者はひと味違いますね。顕微鏡観察により,空気の袋がたくさんあることがその原因だと突き止められたことでしょう。

忙しく,いろいろなものが高度化した現代では,すべての事象を自分で追体験することは不可能です。しかし顕微鏡観察は,そのスタイルがここ数百年変わらないままです。コルクの薄片を顕微鏡で観察して,フックのみたものはこれだったのかと追体験することも難しいことではありません。読み書きで得た知識を,『自分で見た』という実体験と結びつける行為は,知識の定着という観点から見ても有意義に思います(画像/MWS)。








2011年7月16日


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天然サファイヤの内部に含まれる液体や気体や固体(インクルージョンと呼ばれます)は,そのままルーペや実体顕微鏡などでもある程度見えますが,サファイヤ表面の結晶模様の関係で,内部を精密に観察するのは難しいことが多いです。表面が完全に平面になっていれば,そのまま深いところも覗けるのですが…。このようなときは,サファイヤを同じ屈折率の封入剤で封じてしまえば,屈折面がなくなりますので,内部を鮮明に観察できます。ちょうど珪藻用の封入剤が手頃なので早速封入してみました。

まだ封入剤が固まっていないので,多少のフレアがありますが,それでも内部のインクルージョンがひじょうに見やすくなっています。内部に空間があり,そこに液体・気体・固体が詰まっていたりする様子は興味深く,不思議で,地中深くの高温高圧の世界を連想させます。偏光顕微鏡では,線状の構造は他の鉱物が混入しているような感じに見えます(画像/MWS)。



*1 昨日紹介のリンク先では早速取り上げていただきました。ありがとうございます。第一人者から褒められて光栄です。ちなみに,昨日の書き込みは洗浄技術について指摘したつもりではありません。天然の鉱物は粘土鉱物にまみれていることが多いので,これらの微細な鉱物を取り除くことにより結晶の平面や構造が鮮明に見えると思っていることを書いたのでした。

*2 サファイヤの場合は,界面活性剤,アルカリ,キレート剤などで超音波処理を行い,最後は蒸留水で何度もすすいで,プランクトンネット上にひきあげ,ネットの裏からキムワイプで水を吸い取り乾燥させています。重要なのは,ク溶性分画あるいはそれに近い成分を完全に除去することではないかと思います。

(追記)

*3 珪藻用の封入剤(マウントメディア=Pleurax)は,フェノールを硫黄で架橋重合したようなものだと思いますが,かなりいい加減な屈折率表記がなされてきて,諸説があります。n.d.=1.75-1.77というのがとある専門書に記載の数値ですが,実際はこれよりも低いものも多いです。封入温度によっても到達屈折率はまちまちで,精密な制御は難しいです。今回の封入は,サファイヤの屈折率(2軸)の中間に合わせるようなことは考えず,境界面での屈折反射散乱を少なくする程度のものです。精密にやるならカーギルの浸液などを使うべきでしょうが持ち合わせがありません。なお,上の画像の状態で,封入剤の屈折率は1.6程度と推測しています。きちっと固めれば,インクルージョンがもっとはっきりと見えます。けれども,封入剤を加熱すると発泡するので,サファイヤが動いて逃げてしまいます。なので無理やり固化させずに,柔らかい状態で観察しています。

*4 常に技術を磨き続けておられる方が第一人者なのだと筆者は思っています。doubletさんが先月掲載された金の画像など,輝度差がデジタルに収まるように照明するテクニックが素晴らしく,なかなか真似のできるものではありません。。





2011年7月15日


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久しぶりに天然サファイヤを検鏡してみました。このサファイヤは奈良県の二上山付近に産するもので,大きさは1ミリ以下程度です。砂粒くらいの大きさなので顕微鏡下では相当に大きく見え,取扱も容易です。顕微鏡の倍率は20〜40倍もあれば十分美しく,100倍では高すぎるくらいです。ここのサファイヤは深い青色のものがあり,内部には気体や液体を含んでおり,結晶成長の様子もうかがえる構造が随所にみられ,見飽きない美しさです。大きな画像はこちらにご用意致しました。

このような鉱物結晶の美しさを専門的に追求している方々がおられます。こちらこちらのサイトは筆者がよく覗いているところですが,宝石級の鉱物画像が満載です。撮影技術が素晴らしく,機材もよだれが出そうです凝っています。ぜひご参照下さい(画像/MWS)。



*1 天然の鉱物を美しく検鏡するには,どのように洗うかが重要な気がします。上の画像のサファイヤは,筆者の,珪藻洗浄技術を応用して,一点の曇りもなく洗い上げています。きれいに洗うと,輝きが違います。





2011年7月14日


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衣類から採取した鳥の羽毛を暗視野で検鏡していたら,細い中心軸に網目模様があるのに気付きました。倍率を上げて撮影し,画像処理してみると,コンマ数ミリ以下の太さの軸にもかかわらず,肉抜き構造になっているのがはっきりと見えます。鳥の骨は軽量化のためにスカスカなのは,全国の主婦が知っていることですが,風に舞う小さな羽毛でも,ちゃんと軽量化されているんですね(画像/MWS)。








2011年7月13日


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こんどはカラスアゲハの鱗粉を落射照明(表面を表面側から照らしてやること)で観察してみました。するとどうでしょう。昨日と同じ標本を検鏡しているのに,まるで異なる色彩です。カラスアゲハの鱗粉の一部は,表面からの光の入射に対して,とてもきれいな干渉色を示します。チョウやガの鱗粉は,乾燥状態の標本を落射照明で観察したときにいちばん美しく見えます。封入剤を浸透させて封入してしまうと,この面白みがなくなってしまいます。その代わりに,微細構造が見えます。何を観察するか,どのような顕微鏡で観察するかによって,封入法を変えなければなりません(画像/MWS)。








2011年7月12日


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これはカラスアゲハの鱗粉です。透過照明(透かして見ること)で観察しています。カラスアゲハのような黒っぽい翅(羽)でも,少しは光を通しますので透過光による観察もできます。このようにすると,鱗粉の配列が把握しやすいように思います。個々の鱗粉を観察すれば,微細構造の一端も見ることができます。チョウは入手が面倒ですが,注意して見ていれば,都会でも落ちていたりします。こういったものでも,なかなか良い観察試料ですから,チャンスを逃さないようにしましょう(画像/MWS)。








2011年7月11日


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こんどはイチョウ材の木口面を検鏡してみました。切片を作るのがけっこう難しいのですが,何とかできました。きのうのヒノキ材と比較すると,ずいぶん構造が異なることがわかります。ぱっと見ると,違う,ということだけわかりますが,スケッチしてみると,構造の違いが良く理解できます。イチョウ材は適度な柔らかさと油があり,刃当たりがやさしいので,まな板の材料に適しているとされています。専門店では驚くほどの価格がついていますが(もちろんそれなりによいものです),たまに地方の道ばたで安価な切れ端があったりもします。家庭用のまな板には十分なので見かけたら連れて帰るのもいいかもしれません(画像/MWS)。








2011年7月10日


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先日削ってみたヒノキ(木曽檜)の木口面はこのようになっていました。連続する網目模様がなかなかの美しさです。ヒノキは,『法隆寺を支えた木』としても有名ですが,あれだけの建築物を1300年も支えているのに,空間的にはほとんど空気だということが不思議です。恐らく,重力加速度の働く地球上では,強度の高い材料にどれだけの空間を含ませて,軽くて強い材料にするかが,巨大構造物を支えるキーなのだと思います(画像/MWS)。








2011年7月9日


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これは砂漠の砂(オマーン)です。封入して透過光で撮影しています。非常に細かいパウダーのような砂で,指紋の間に入り込んでしまうほどです。反射光で見ると明るい茶色なのに,透過光で見ると無色にみえます。どの粒も角が取れていてエッジがありません。日本の砂はガラスの破片のように角が尖っているものばかりで,砂いじりをすると手が荒れますが,この砂漠の砂なら,いくら触っても手が荒れる(皮膚が切れる)ようなことはないように思います。しかしあまりにも細かくて,光学機器など,一発で壊れそうな気がします(画像/MWS)。








2011年7月8日(2)


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これはキャベツの芯です。根に近いところを薄切りにして,サフラニン染色しています。木化した部分がよく染まりますが,ちょっと濃いですね,これは。その木化した部分には,特に導管が多いように見受けられます。水の通り道は強化材料で丈夫に作ってあるのでしょうか。野菜は柔らかいものが多いので,カミソリやカッターなどで薄片を作れます。夕飯の切れ端を覗いてみるのも面白いかと思います(画像/MWS)。








2011年7月8日


九電の「やらせメール」が世をにぎわせています。マスコミは追求姿勢のようですが,まぁこれは演技でしょうね。この類の「やらせ」は,ニッポンの伝統といってもいいくらいで,原子力やダム開発に反対してきた方々には,むかしからある「よくあること」の一つに過ぎないでしょう。メールの指示を出した人も,メールを送信した人も,当人たちにとっては何ともないことですし,こんなことで社長がやめるなどということは,考えもしなかったことでしょう。今まで当たり前だったことをやっただけなのですから。

しかし今回は,九電の社長が早々と辞任を示唆しています。たぶん,このようなやらせが「ごく普通のこと」であると国民に悟られる前に,火消しを行いたいのでしょう。今まではバレない世の中だったのですが,3.11を境に,世の中が少し変化したのです。

ちなみに,このタイプの「やらせ」は自民党の18番でしたよね。皆さん,「タウンミーティング」なんて素晴らしい企画,覚えておられることと思います。あれと一緒ですよね(画像/MWS)。



追記(2011.7.10 03:35) 上の記事は7日深夜の更新ですけど,さっそく,8日になって,副社長さんの関与が報道されています。もう隠すことができなくなったのですねぇ〜。今までなら,協力会社からのタレコミもなかったでしょうに。この副社長さんや,部長さん,課長さんの過ちは,『今までのやり方が通る』と思っていたことです。これまでも,同じことを何度もやってきたと筆者は推測していますし,報道でも慣例だと述べられていますが,3.11以降でも,そのやり方が通用すると思っていたとするならば,この副社長さんは,本当に空気が読めないんですね。同僚も部下も,ストレスを抱えて大変な職場になっていることでしょう。ストレステストでもやってもらい,悪い結果が出たならば,転職をお薦めする次第です(^^)。








2011年7月7日


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これはマアジの鱗です。鱗がついたまま,三枚に下ろしただけというやる気のないマアジが売っていましたので,これを酢締めにしたわけですが,引いた皮についている鱗もついでに検鏡材料にしました。界面活性剤とアルカリに数十秒だけ浸してすぐに水洗いします。こうして脂を落とします。マウントは貼り付けて乾燥させています。鱗は表皮から生えているので,鱗を剥がすと表皮の細胞も一緒に観察できます。この画像でも左側にそれが見られます(画像/MWS)。








2011年7月6日


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木材の切片を作るには刃物の切れ味が重要です。筆者は刃物の良し悪しを論じられるほど刃物は持っていませんが,砥石はたくさん持っていますので,最高の切れ味が出るようにあれこれと工夫します。上の画像はヒノキ(木曽檜)の鉋屑です。木口面なので,年輪が見えています。鉋は,研ぎを始めた頃に,急に木を削ってみたくなって,近所の雑貨屋で購入した安物です。刃角をひじょうに浅くしていて,先を丸っ刃にしています。刃先だけを黄色巣板(丸尾山)でちょいちょいと研いで仕上げます(画像/MWS)。








2011年7月5日


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木は根から水を吸い上げて葉から蒸散させます。その途中,幹や枝の中が水の通り道です。上の画像はユズの枝の横断面ですが,細い管がいくつも見えています。水はこの細い管の中を通るのですが,セルロースでできた,このくらい細い管の中にはいると,水はふつうの水ではなくなります。

ふつうの水は0℃で凍結し100℃で沸騰するわけですが,これはコップや鍋に入ったような大きな水の場合です。顕微鏡的な隙間に入り込んだ水は,-20℃でも凍らなくなります。このような水は,水分子がお互いに鎖のようにつながっていて,向きをかえずらいので,なかなか凍らないわけです(簡単な説明ではそういうことになります)。鎖のようにつながっているのですから,ふつうの水よりも切れにくく,ふつうの水が10メートル以上吸い上げられないのに対して,隙間の水は100メートルくらいなら吸い上げられます。吸い上げる力は,葉の蒸散によります。

樹木は水分子の振る舞いを知っているかのようです。生物の構造には何らかの意味があることが多いですが,樹木の微細構造は強度確保もさることながら,水の性質とも密接に関係しています(画像/MWS)。








2011年7月4日


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日射により地表面に到達するエネルギーは,多いときで,1平方メートル辺り700Wくらいです。コタツの天板くらいの面積で,電気ストーブくらいのエネルギー(熱)が発生しているのですから,そりゃ暑くもなります。しかしこの熱を地表から天空へ逃がす方法があります。水の蒸発を利用するのです。水は1グラム蒸発すれば2200ジュールくらいの熱を,周囲の温度変化なしに奪ってくれます。ところで,1ワットは1ジュール/秒ですから,700Wは,700ジュール/秒です。太陽から,コタツの天板くらいの面積には,1秒に700ジュールくらいのエネルギーが来ていて,これが熱に変換すれば,地表面の温度を上げてしまいます。

そこで,コタツの天板くらいの面積で,3秒に1グラムの水が蒸発してくれれば,太陽熱が水の蒸発熱に変換され,温度が上がらずに済みます。1時間は3600秒ですから,1200グラムの水が必要です。太陽高度や夜もあることを考慮すれば,一日に,1平方メートル辺り2〜3リットルもあれば,日射を潜熱に変えて上空に輸送できそうです。

水の蒸発というのはそれほどすごいのです。人間が汗をかくのも,ワンコが舌をだら〜んとだしてハァハァするのも,水の蒸発熱を利用した冷却システムなのです。

この貴重な冷却システムを破壊して,東京や大阪などの都市圏は作られてきました。これは,国家百年の大計という観点からは,誤っているのです。

木を植えておくだけで,勝手に水を吸い上げて,光合成に利用し,水も蒸発させてくれる。周囲の温度上昇を緩和してくれる。ビルの谷間は暑いけれど木陰は涼しい。この,小学生でも知っているような事実に気付かぬふりをして,コンクリートジャングルは作られてきたのです。

オマエは都心に住んでいて何をぬかすか,という声が聞こえそうです。済みません。その通りです。。でも,筆者は,自分が発生した熱量を潜熱輸送できるくらいの水まきは,しているつもりです。皆さん,都市にお住まいの方は,水をまきましょう。ダムに余裕のあるときは水道水でもOK。そうでないときは,一度使った水をまきまましょう。歴代政府が,暑くて死ぬような都市を建設することを止めないのですから(そういう政府を維持する有権者も賢くないのですが),せめて健康を害する前に,水をまいて自衛しましょう。

ひょっとすると目の前のコンクリートとアスファルトに慣れているかもしれません。でも,そこは,ほんとうは樹木が生い茂って,たくさんの生き物がいて,うっそうとしている涼しい場所だったのですよ。人間がいなければ(画像/MWS)。



*1 上の画像は奥多摩のモミジです。広葉樹を植えれば,葉が落ちますので,冬には潜熱輸送を抑えることもできます。落葉はゼロエミッション燃料にもなります,というのは言い過ぎかもしれませんが…。



*2 画像はリバーサルからの複写です。エクタクローム64です。二十数年経ちますが,このフィルムは色再現いいよなぁと思います。なんというか,あじがあるんですよね。





2011年7月3日


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都市部がいかに熱を溜め込む構造になっているかを示したのが上の図です。NASAのホームページからダウンロードした熱画像です。都市部が周辺域にくらべて,高熱になっていることがわかります。特に関東地方は,山に囲まれて熱の逃げ場がなく,深刻な状況になっていることがよくわかります。都市圏をコンクリートとアスファルトで固め,建築物の容積率をアップして,農地や丘陵を破壊して宅地にすれば,こうなってしまうのは当たり前なのです。熱的には,こういった都市構造を過去60年間以上,一貫して作ってきたのです。

このまま,その延長線上で都市化を加速させ,駅前高層マンションをこれ以上林立させるならば,待っているのは熱地獄です。これまでも,たくさん犠牲者が出て尊い人命が奪われましたが,さらに多くの人が,毎年毎年,死に続けることになります。

ですから,熱地獄がイヤならば,やらなければならないことは明らかです。これまでの逆を行う必要があります。単位面積あたりのエネルギー消費を減らし,コンクリートもアスファルトも減らし,水と緑を増やすことです。

エネルギーが足りないとか,原発が必要だとか行っている議員さんは,少なくともヒートアイランド現象に関しては,決定的にお勉強が足りないのです(画像/NASA,文責/MWS)。








2011年7月2日


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今年は暑くなるのが早いですね。夏に弱い筆者はホント,困ります。昨年は7月の暑い中にずーっと標本作ってたら一気に体調を崩してたくさんの方にご迷惑をおかけすることとなってしまいました。そんなことにならないよう,安全運転を心がけるようにしたいのですけど,でもやっぱし暑い夏になりそうです。

ご年輩の方はご存じでしょうが,むかしの夏はこんなに暑くなかったのです。少なくとも,夜の気温は下がったのですよ。でもそうならなくなったのは,自民党が日本をコンクリートとアスファルトだらけにしてしまい,それが巨大な蓄熱体となって都市を覆い尽くしたからなのです。特に森政権から小泉政権頃の規制緩和,都市再生プロジェクトは最悪で,関東圏にミニバブルを発生させ,ヒートアイランドを加速させたと筆者は思っています。

コンクリートからは水が蒸発しませんので,潜熱輸送ができません。汚い空気が空を覆えば,放射冷却も妨げられます。自民党は一生懸命,土建事業を支援して,立派な都市を建設しようとしたのかもしれません。しかしそれは熱学的な目で見れば,巨大な蓄熱体を作ることであり,地下水涵養を遮ることであり,潜熱輸送をカットして,とどめとして日射を熱に変換する装置を大量発生させたのです。

こういった構造的な問題に目を向けずに,暑い暑いと騒ぎ,電力需要の増加に一喜一憂するなど,人間とは,なんと愚かで想像力の足りない存在だろうかと思わずにはいられません。毎年夏に熱中症で死者が出るのは,自然現象と言うよりは,そういう環境を作り出した政治に原因がある人災だと筆者は考えています(画像/MWS)。








2011年7月1日


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試料処理中などでは,一滴とってカバーグラスもかけずに検鏡という場面がよくあります。処理状況や中身の確認がメインで,細かいことはわからなくてもOKです。そんな用途には簡易顕微鏡が手元にあるのが便利なのです。これまでは携帯顕微鏡H型を使うことが多かったのですが,上からのぞくというのが,首に負担がかかり,ちょっとやりにくいのです。それで簡易顕微鏡で45度の角度からのぞけるものを作ってみました。

使ったのはビクセン社の正立プリズムです。顕微鏡とのジョイントには,30mlのシリンジをカットした円筒を使い,周囲はテープを巻いて太さを調節し,内側には植毛紙を仕込んであります。接眼レンズは,鏡筒長を守る関係から,スリーブを外して正立プリズムに挿入しています。とっても簡単な工作で,正立像が見える45度傾斜型の単眼顕微鏡になりました。もちろん,MWS特製の拡散板+LED照明によって「よくみえる改造」が行われていますので,照明ムラもなく気持ちのよい像で観察できます。

実際使ってみると,アミチプリズムの稜線が多少は見えますが,簡易検鏡にはじゅうぶんな性能で,なかなかいい感じです。これで首に負担をかけることなく,気軽に使えそうです(画像/MWS)。








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