本日の画像
MWSが顕微鏡下の世界を伝えるコーナーです。 日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します 【サイトトップ】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2008年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2009年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2010年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2011年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2012年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2013年1月】 【2月】 【3月】 【今月】 原子力災害関係の記事だけを見たい人は こちら をどうぞ。 2011年7月31日
現在開催中の『2011年 仮説実験授業研究会 夏の全国合宿研究会 福岡・宗像大会(7/29〜7/31)』には,なんとか,数枚のJシリーズも展示ができました。時間的な厳しさがありましたが,台風6号さんのお陰で,過ごしやすい温度になりましたので作業効率があがりました。朝起きてから,一切の空調もつけず,忍び足でホコリをたてないように歩き,封入剤の蒸気にノドをいがらっぽくさせながら作るこの標本は,室温が33℃を越えると筆者の脳温が上昇しすぎるので,製作できなくなるのです。でも,台風6号さんのお陰で,室温が高くても32℃台で済みましたので,何とかなりました。助かった…(画像/MWS)。 2011年7月30日
植物の繊維は偏光性を持つものが多く,偏光観察もお薦めです。きょうの画像2枚はいずれも偏光法で撮影したもので,上はコルクの薄片,下は竹串の横断面です。偏光法では背景光がカットされるので,偏光性物質が高いコントラストで見えます。コルクの細胞壁など,とてもよくみえていることがお分かりかと思います。偏光法というと,小難しい理論がたくさん出てきますが,そういったことを一切無視して,単にコントラストを上げる一つの方法として,もっと活用されても良いのではないかと思います(画像/MWS)。 2011年7月29日
ひじょうに珍しく入手が難しい珪藻が突然見つかることがあります。Jシリーズの製作用に珪藻を拾っていると見つかるのです。これを自分用に保存してもよいのですが,筆者はお客様のために標本製作をしていますので,珍しくても封じてしまいます。すると出荷までの時間が筆者にとっての検鏡時間となります。今回みつかったコイツは,たった5分の検鏡時間しかとることができませんでした。本当は一週間くらいかけて数百枚の撮影をやりたいのですけど〜。これを購入した方はラッキーといえます(画像/MWS)。 2011年7月28日
暗視野で珪藻を検鏡するのは本当に楽しいものです。低倍率ではカラフルに,高倍率では精細な紋様が見えてきて飽きません。レンズを交換すれば像の見え方も変わり,コンデンサを換えればまた変化します。美しく見える組合せはいくつもあるのですが,筆者のお気に入りは,乾燥系暗視野コンデンサに20倍対物レンズ(NA=0.4)の組合せです。上の画像のように珪藻がある程度の大きさに見え,構造も見え始め,それでいて微細構造を持つ種の干渉色が楽しめます。普段はプランアポクロマートやプランフルオールで検鏡することの多い筆者も,暗視野のときはアクロマート系対物レンズに交換します(画像/MWS)。 2011年7月27日
材木を蛍光顕微鏡で観察すると,V〜UV励起で大抵は自家蛍光を発します。蛍光染色することなく観察が可能です。切片になっていれば,カバーグラスをかけるだけで,液体で封じる必要もありません。切片の表面が鮮明に観察できます。上の画像はそのようにして観察したヒノキの木口面です。自家蛍光により,年輪部分の構造がよく見えています(画像/MWS)。 2011年7月26日
こんなものも福岡に持ち込みたいのですが…,決定的に時間が足りません。一枚くらいは皆様にごらん頂けるように努力しますが,ちょっと厳しい戦いになってきました。結果は現地でご確認ということになりそうです。よろしくお願い致します…(画像/MWS)。 2011年7月25日
これはミドリヒョウモンの鱗粉です。タテハチョウの仲間です。デジタルのノイズで画面がざらついているように見えますが違います。この鱗粉のいぶし銀のような美しさが,このようになっているのです。淡い虹色に輝く様子がひじょうに美しいのですが,これはさすがに生の光をみていただくよりほかはないようです。この標本も若干枚数,福岡に持ち込む予定です(画像/MWS)。 2011年7月24日
今月紹介してきました標本は,『2011年 仮説実験授業研究会 夏の全国合宿研究会 福岡・宗像大会(7/29〜7/31)』のために製作してきたものです。ライトスコープ/生物顕微鏡兼用のドライマウント標本,珪藻封入標本,サファイヤ標本(若干枚数)など,多数の標本を展示販売致しますので,大会に参加される方や,玄海ロイヤルホテルの近くにお住まいの方は,ぜひお立ち寄りいただければと思います。顕微鏡と展示用の見本も持ち込みますので,その場で観察することもできます。なお,筆者は参加しません(画像/MWS)。 2011年7月23日
上の画像はクモノスケイソウが入っている標本,下の画像は能登半島・珠洲市の珪藻化石です。大きいので低倍率でも珪藻がよくみえます。今月は身近にある標本を低倍率で検鏡してきましたが,珪藻の幾何学的な美しさは,ほかの植物標本などと比較しても別格のような気がします。なんというか,クールな感じがするんですよね(画像/MWS)。 2011年7月22日
上の画像はキャベツの芯,下の画像はヒノキの横断面です。すでに透過明視野による画像を掲載していますが,こんどは,ライトスコープなどと同じように,標本の上から照明しています。上の画像では,液体をたっぷり含んでいた細胞と木化した細かい細胞,下の画像ではヒノキ材の破断面が明瞭に見えます。封入剤を使用しない空気封入なので,表面を照らす検鏡法にも適していることがおわかりいただけることと思います(画像/MWS)。 2011年7月21日
これはスギ材の縦断面です。薄い削り屑を封入しています。セルロース繊維が見えていますが,封入剤との屈折率差が小さいので,コントラストが低くなっています。これを偏光顕微鏡で見ると,それぞれの繊維が鮮明に見えます。セルロースの微結晶が一定の方向を向いており,偏光性を示しているのでしょう。構造が格段に見やすくなるのでお薦めの検鏡法です (画像/MWS)。 2011年7月20日
これは先日掲載したイチョウ材の横断面です。こんどはライトスコープなどと同じように,標本表面を上から照らしています。材の構造が教科書の写真のように鮮明に見えます。肉眼では,ペラペラの薄片でこの構造は見えません。しかし30倍もあれば,じゅうぶんにこのように見えてしまうのです。30倍というのは線倍率ですから,面積にすれば900倍にもなります。1平方センチの紙が,30センチ四方の大きさに拡大されるわけですから,けっこうな拡大率なのです(画像/MWS)。 2011年7月19日
これはタケの横断面です。手近にあった竹串を薄くスライスしています。切片の作成はかなり難しいですが,筆者の研ぎ技術と丸尾山砥石の威力により,何とかなっています。画像は標本の上から照らしたものです。ドクロマークがたくさん見え,誰でも食べる焼き鳥の串が,こんな断面だったのかと,面白みのある標本です(画像/MWS)。 2011年7月18日
ロバート・フックが観察に用いた顕微鏡は,ランプの光を試料の表面に集光して観察する,(軸外・偏斜)落射暗視野顕微鏡の構成になっています。したがって背景が黒で,構造物が明るくなっているはずですが,残されたコルクのスケッチは確かにそのようになっています。上の画像はフックの顕微鏡と似たような配置で撮影したものです。たぶん,フックはこのような像をみたのでしょう。このような観察法は,ライトスコープなどの安価に市販されているポケット顕微鏡で採用されている方法です。ライトスコープで観察すれば,ロバート・フックが細胞の構造を発見したときと同じような絵が見えるわけです。生物学の授業では,フック→コルク→細胞,というような連想記憶が試験問題になってしまいますが,どのような顕微鏡で観察したのか,どうやって光をあてたのか,といった問題も取り上げてくれれば,知識のネットワークが広がりやすく,いいことなのではないかと思います(画像/MWS)。 2011年7月17日
これはコルク切片の顕微鏡画像です。2年前にも一度とりあげています。コルク材の構造が整然と並ぶ様子はロバート・フックにより観察記録が残され,細胞という概念の誕生につながったと教科書には書かれています。学校教育でも定番のテスト問題で,筆者も遠い昔にこれを暗記?したような覚えがあります。しかしこのときは,知識だけが受け売り的に頭に入力され,単なる知ったかぶりになったに過ぎないのでした。自分でコルクの切片を作って検鏡してみたのはそれから20年以上あとのことです。なるほどコルクは,フックがスケッチで残したものとそっくりなのでした。 2011年7月16日
天然サファイヤの内部に含まれる液体や気体や固体(インクルージョンと呼ばれます)は,そのままルーペや実体顕微鏡などでもある程度見えますが,サファイヤ表面の結晶模様の関係で,内部を精密に観察するのは難しいことが多いです。表面が完全に平面になっていれば,そのまま深いところも覗けるのですが…。このようなときは,サファイヤを同じ屈折率の封入剤で封じてしまえば,屈折面がなくなりますので,内部を鮮明に観察できます。ちょうど珪藻用の封入剤が手頃なので早速封入してみました。 2011年7月15日
久しぶりに天然サファイヤを検鏡してみました。このサファイヤは奈良県の二上山付近に産するもので,大きさは1ミリ以下程度です。砂粒くらいの大きさなので顕微鏡下では相当に大きく見え,取扱も容易です。顕微鏡の倍率は20〜40倍もあれば十分美しく,100倍では高すぎるくらいです。ここのサファイヤは深い青色のものがあり,内部には気体や液体を含んでおり,結晶成長の様子もうかがえる構造が随所にみられ,見飽きない美しさです。大きな画像はこちらにご用意致しました。 2011年7月14日
衣類から採取した鳥の羽毛を暗視野で検鏡していたら,細い中心軸に網目模様があるのに気付きました。倍率を上げて撮影し,画像処理してみると,コンマ数ミリ以下の太さの軸にもかかわらず,肉抜き構造になっているのがはっきりと見えます。鳥の骨は軽量化のためにスカスカなのは,全国の主婦が知っていることですが,風に舞う小さな羽毛でも,ちゃんと軽量化されているんですね(画像/MWS)。 2011年7月13日
こんどはカラスアゲハの鱗粉を落射照明(表面を表面側から照らしてやること)で観察してみました。するとどうでしょう。昨日と同じ標本を検鏡しているのに,まるで異なる色彩です。カラスアゲハの鱗粉の一部は,表面からの光の入射に対して,とてもきれいな干渉色を示します。チョウやガの鱗粉は,乾燥状態の標本を落射照明で観察したときにいちばん美しく見えます。封入剤を浸透させて封入してしまうと,この面白みがなくなってしまいます。その代わりに,微細構造が見えます。何を観察するか,どのような顕微鏡で観察するかによって,封入法を変えなければなりません(画像/MWS)。 2011年7月12日
これはカラスアゲハの鱗粉です。透過照明(透かして見ること)で観察しています。カラスアゲハのような黒っぽい翅(羽)でも,少しは光を通しますので透過光による観察もできます。このようにすると,鱗粉の配列が把握しやすいように思います。個々の鱗粉を観察すれば,微細構造の一端も見ることができます。チョウは入手が面倒ですが,注意して見ていれば,都会でも落ちていたりします。こういったものでも,なかなか良い観察試料ですから,チャンスを逃さないようにしましょう(画像/MWS)。 2011年7月11日
こんどはイチョウ材の木口面を検鏡してみました。切片を作るのがけっこう難しいのですが,何とかできました。きのうのヒノキ材と比較すると,ずいぶん構造が異なることがわかります。ぱっと見ると,違う,ということだけわかりますが,スケッチしてみると,構造の違いが良く理解できます。イチョウ材は適度な柔らかさと油があり,刃当たりがやさしいので,まな板の材料に適しているとされています。専門店では驚くほどの価格がついていますが(もちろんそれなりによいものです),たまに地方の道ばたで安価な切れ端があったりもします。家庭用のまな板には十分なので見かけたら連れて帰るのもいいかもしれません(画像/MWS)。 2011年7月10日
先日削ってみたヒノキ(木曽檜)の木口面はこのようになっていました。連続する網目模様がなかなかの美しさです。ヒノキは,『法隆寺を支えた木』としても有名ですが,あれだけの建築物を1300年も支えているのに,空間的にはほとんど空気だということが不思議です。恐らく,重力加速度の働く地球上では,強度の高い材料にどれだけの空間を含ませて,軽くて強い材料にするかが,巨大構造物を支えるキーなのだと思います(画像/MWS)。 2011年7月9日
これは砂漠の砂(オマーン)です。封入して透過光で撮影しています。非常に細かいパウダーのような砂で,指紋の間に入り込んでしまうほどです。反射光で見ると明るい茶色なのに,透過光で見ると無色にみえます。どの粒も角が取れていてエッジがありません。日本の砂はガラスの破片のように角が尖っているものばかりで,砂いじりをすると手が荒れますが,この砂漠の砂なら,いくら触っても手が荒れる(皮膚が切れる)ようなことはないように思います。しかしあまりにも細かくて,光学機器など,一発で壊れそうな気がします(画像/MWS)。 2011年7月8日(2)
これはキャベツの芯です。根に近いところを薄切りにして,サフラニン染色しています。木化した部分がよく染まりますが,ちょっと濃いですね,これは。その木化した部分には,特に導管が多いように見受けられます。水の通り道は強化材料で丈夫に作ってあるのでしょうか。野菜は柔らかいものが多いので,カミソリやカッターなどで薄片を作れます。夕飯の切れ端を覗いてみるのも面白いかと思います(画像/MWS)。 2011年7月8日
九電の「やらせメール」が世をにぎわせています。マスコミは追求姿勢のようですが,まぁこれは演技でしょうね。この類の「やらせ」は,ニッポンの伝統といってもいいくらいで,原子力やダム開発に反対してきた方々には,むかしからある「よくあること」の一つに過ぎないでしょう。メールの指示を出した人も,メールを送信した人も,当人たちにとっては何ともないことですし,こんなことで社長がやめるなどということは,考えもしなかったことでしょう。今まで当たり前だったことをやっただけなのですから。 2011年7月7日
これはマアジの鱗です。鱗がついたまま,三枚に下ろしただけというやる気のないマアジが売っていましたので,これを酢締めにしたわけですが,引いた皮についている鱗もついでに検鏡材料にしました。界面活性剤とアルカリに数十秒だけ浸してすぐに水洗いします。こうして脂を落とします。マウントは貼り付けて乾燥させています。鱗は表皮から生えているので,鱗を剥がすと表皮の細胞も一緒に観察できます。この画像でも左側にそれが見られます(画像/MWS)。 2011年7月6日
木材の切片を作るには刃物の切れ味が重要です。筆者は刃物の良し悪しを論じられるほど刃物は持っていませんが,砥石はたくさん持っていますので,最高の切れ味が出るようにあれこれと工夫します。上の画像はヒノキ(木曽檜)の鉋屑です。木口面なので,年輪が見えています。鉋は,研ぎを始めた頃に,急に木を削ってみたくなって,近所の雑貨屋で購入した安物です。刃角をひじょうに浅くしていて,先を丸っ刃にしています。刃先だけを黄色巣板(丸尾山)でちょいちょいと研いで仕上げます(画像/MWS)。 2011年7月5日
木は根から水を吸い上げて葉から蒸散させます。その途中,幹や枝の中が水の通り道です。上の画像はユズの枝の横断面ですが,細い管がいくつも見えています。水はこの細い管の中を通るのですが,セルロースでできた,このくらい細い管の中にはいると,水はふつうの水ではなくなります。 2011年7月4日
日射により地表面に到達するエネルギーは,多いときで,1平方メートル辺り700Wくらいです。コタツの天板くらいの面積で,電気ストーブくらいのエネルギー(熱)が発生しているのですから,そりゃ暑くもなります。しかしこの熱を地表から天空へ逃がす方法があります。水の蒸発を利用するのです。水は1グラム蒸発すれば2200ジュールくらいの熱を,周囲の温度変化なしに奪ってくれます。ところで,1ワットは1ジュール/秒ですから,700Wは,700ジュール/秒です。太陽から,コタツの天板くらいの面積には,1秒に700ジュールくらいのエネルギーが来ていて,これが熱に変換すれば,地表面の温度を上げてしまいます。 2011年7月3日
都市部がいかに熱を溜め込む構造になっているかを示したのが上の図です。NASAのホームページからダウンロードした熱画像です。都市部が周辺域にくらべて,高熱になっていることがわかります。特に関東地方は,山に囲まれて熱の逃げ場がなく,深刻な状況になっていることがよくわかります。都市圏をコンクリートとアスファルトで固め,建築物の容積率をアップして,農地や丘陵を破壊して宅地にすれば,こうなってしまうのは当たり前なのです。熱的には,こういった都市構造を過去60年間以上,一貫して作ってきたのです。 2011年7月2日
今年は暑くなるのが早いですね。夏に弱い筆者はホント,困ります。昨年は7月の暑い中にずーっと標本作ってたら一気に体調を崩してたくさんの方にご迷惑をおかけすることとなってしまいました。そんなことにならないよう,安全運転を心がけるようにしたいのですけど,でもやっぱし暑い夏になりそうです。 2011年7月1日
試料処理中などでは,一滴とってカバーグラスもかけずに検鏡という場面がよくあります。処理状況や中身の確認がメインで,細かいことはわからなくてもOKです。そんな用途には簡易顕微鏡が手元にあるのが便利なのです。これまでは携帯顕微鏡H型を使うことが多かったのですが,上からのぞくというのが,首に負担がかかり,ちょっとやりにくいのです。それで簡易顕微鏡で45度の角度からのぞけるものを作ってみました。 Copyright (C) 2011 MWS MicroWorldServices All rights reserved. (無断複製・利用を禁じます) 本ページへの無断リンクは歓迎しています(^_^)/ トップに戻る |