画像のご利用について





本日の画像

MWSが顕微鏡下の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


【サイトトップ】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2008年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【8月】  【9月】  【10月】  【11月】  【2009年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【8月】  【9月】  【10月】  【11月】  【12月】  【2010年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【8月】  【9月】  【10月】  【11月】  【12月】【2011年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】   【7月】   【8月】   【9月】 【10月】 【11月】 【12月】  【2012年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【8月】  【9月】  【10月】  【11月】  【12月】  【2013年1月】  【2月】  【3月】  【今月】

2008年12月31日


ps

2008年は多くの方に珪藻をご覧いただくことができてとても有意義な年となりました。来年も珪藻の美しさをはじめとしてミクロの世界を紹介して行きたいと思っております。みなさま,今後とも宜しくお願い申し上げます。来年早くに(2009年1月4〜6日),仮説実験授業 冬の全国大会(愛知県蒲郡市)がありますが,そこで教育用プレパラートセットとDVDを販売の予定です。上の画像は製作途中の教育用プレパラートです(撮影/MWS)。





2008年12月30日


ps

ps

室内の隅,アルミサッシ,照明器具などには昆虫類の死骸が溜まっていることがよくあります。そんなものを見つけたら,ぜひ観察してみましょう。小バエや蛾などでも,触覚,複眼,羽など,検鏡材料に事欠きません。いつも見慣れているようなハエでも,顕微鏡下ではまた違った姿を見せてくれることでしょう。上の画像はハエですが,緻密に敷き詰められて構成されている複眼が見事です。これまでの経験で昆虫の複眼は紫外線で蛍光を発することが判明しているので試してみると,やはりハエの複眼も光ります。六角形で構成されるハニカム構造がまるで珪藻を見ているようです。生物の種はまったく違っても,自然界で形成される構造は共通点があるかのようです(DF/epiFL,撮影/MWS)。





2008年12月29日


ps

ps

これはCellana nigrolineataという貝の中腸腺内容物の画像です。珪藻がたくさん見えています。岩に貼り付いている貝類の多くは付着藻類を食べています。彼らは付着藻類の多いところを知っていて,せっせと摂餌しているでしょうから,藻類捕集装置でもあるわけです。筆者がせっせと石に歯ブラシをかけるよりも,彼らに採集はまかせた方が効率的かもしれません。さて,その予測は当たっているでしょうか。試料処理中です。なお,生物(生命)を無駄にしてはいけませんので,この貝も中腸腺を摘出後,軟体部は人間が利用することにしています。幸い,この貝は無毒です。また,貝を採取するときには漁業権設定種に該当するかどうかを調べておきます。少しでも関係ありそうな種は採取しないことにしています。海岸での採集は非常に気を遣います(oblique,撮影/MWS)。





2008年12月28日


ps

ps

27日夜の相模湾は,夕方まで吹き荒れていた暴風がぴたりと止み,波も静かでサンプリングに好適でした。しかし西高東低の気圧配置が非常に強まっており寒気も流入して,この冬いちばんの寒さに見舞われました。この影響で空はこのうえなく澄み切っており,頭上に輝く星々のあまりの美しさに,サンプリングは早々と切り上げ,星を見ていました。冬の天の川を見たのはいったい何年ぶりになることでしょうか。ふだんは東京から空を見上げているのですが,下の画像(左側の部分)でわかるように,東京方面は空自体が輝いているので,星と空の明るさの間でコントラストがつきません。だから星はほとんど見えないのです(撮影/MWS)。





2008年12月27日


ps

これは南極の海底に沈んでいた珪藻で,言うまでもなく非常に貴重な試料です。かなり洗っていますが,まだ鉱物粒子が多く残っています。日本近海ではあまり見ることのない珪藻をはじめとして,多数の放散虫,ケイ質鞭毛藻が見られます。南極海は栄養豊富な海域で,太陽光さえ供給されれば多くの植物プランクトンが増殖します。特に珪藻類は低温でも増殖できるものが多くいますので,珪藻は豊富です。ここで増殖した珪藻は海底に沈みますが,温度が低いので溶けにくく,永く残ります。南極の海底泥を採取すると,このように多数の珪藻が出てくる結果になるわけです(oblique,撮影/MWS)。





2008年12月26日


ps

顕微鏡画像がどうもうまくとれない,微細構造が鮮明に表現できない,というときは拡大率を調べてみることも大切です。フィルムとは違い,CCDやCMOSの1画素は数μメートル以上の大きさがありますから,投影された物体の構造が画素サイズよりも大きくないと構造が表現できません。たとえば,| | | | | という構造を表現するには,白黒白黒白黒白黒白黒白という信号が出力される必要があり最低でも横11画素が必要です。実際には,構造のコントラストはこれほど高いことはないので,クリアカットに構造が表現できず,この数倍の画素数が必要になります。このとき大切なことは,トータルの画素数は分解能と関係がないということです。38万画素のCCDを用いても,適正な拡大率を設定できれば,理論分解能を表現できる画像が得られます(視野は狭くなります)。上の画像は顕微鏡の解像限界となる200nmの構造を表していますが,その撮像には,上で述べたようなことを考慮しているわけです(oblique,撮影/MWS)。





2008年12月25日


ps

無色の物体をコントラストよく検鏡するには染色がいちばんです。染色剤はいろいろあって,ものによってはインクなども使えますが,専用のものが市販されていますので,それを利用するのも一法です。上の画像は,一昨日掲載した植物の根部(ゴボウでした)に(株)ビクセンから供給されている染色液(サフラニンO)を一滴垂らして染めたものです。セルロース部分がよく染まり,組織によって染色度合いが異なるのがわかります(BF,撮影/MWS)。





2008年12月24日


ps

ps

これは新品の白スライドグラス表面です。購入後一年も経たないものですが,表面が腐食しており,白い結晶状の構造が見えます。ちょっと見た目には透明で,通常の検鏡には差し支えありませんが,Jシリーズやテストスライドなどの特殊用途には非常に気になります。塩酸洗浄で多少は綺麗になりますが,完全に除去することはできません。これを取り除くには研磨するしかなさそうです(たいへん手間がかかります)。各種コントラスト法がふつうの検鏡法になっている現代においては,スライドグラスの品質も重要になることがありますので,耐久性のよい品物を供給くださるよう,メーカーには一層の努力をお願いしたいところです(BF,撮影/MWS)。





2008年12月23日


ps

ps

これはある植物の断面です。その植物は主に根を食用とし,歯ごたえと香りが身上です。サラダ,漬け物,煮物,揚げ物,何にでも使えるのです。歯ごたえが良いので繊維質なのだろうと検鏡してみると,視野には一面に広がる細胞でした。この細胞はけっこう緻密で,それぞれがセルロースでできていますから,きっとそれが歯ごたえの原因なのでしょう。上の画像は根の中心部,下の画像はそこからやや外れた部分です(BF,撮影/MWS)。





2008年12月22日


ps

高倍率の検鏡時に欠かせないのが油浸オイルです。このオイルで対物レンズ第一面とカバーグラスの間,コンデンサの先玉とスライドグラスの間を連結するのです。油浸用オイルは,その屈折率がガラスと同じように調整されている特殊なもので,これでレンズとガラスを連結すると,屈折面がなくなりますので光が直進します。それで大きな角度の光を取り込むことができるようになり,高い分解能で検鏡できるようになるのです。油浸に使う対物レンズは必ず「HI」「oil」などと記載のある専用のものを使います(ふつうの乾燥系対物レンズを油浸にすると壊れます)。コンデンサも可能であればアクロマチックアプラナートという油浸用に設計されたものを用います。油浸検鏡の欠点は,オイルの拭き取りが面倒なことです。どのくらい面倒かというと,19世紀の文献に,なんてやっかいな作業なんでしょう!,という記述があるくらいです。上の画像はニコンの油浸用オイルです(撮影/MWS)。





2008年12月21日


ps

きょうも海底の泥を検鏡していました。代表的な出現種を画像に収める仕事なのですが,当サービスの観賞用プレパラートとは異なり,鉱物まみれの研究用試料ですので,珪藻の状態が悪く作業が難航します(昨日の画像参照)。特に,封入剤に沈んでしまっている珪藻の撮影はやっかいで,収差が無視できる程度までの絞り込みや,瞳操作,場合によっては照明波長も変えます。よりよい個体を探す時間もかかります。そうした作業の合間に,おやっと思う瞬間があります。上の画像もその例で,おそらくPlagiogramma属の一種ではないかと思いますが,普段はなかなかお目にかかれないものです(BF,撮影/MWS)。





2008年12月20日


ps

ps

きょうは海底の泥を検鏡していました。海にもたくさんの珪藻がいますが,これらの遺骸は海底に沈積して,他の鉱物と共に埋もれていきます。大型の珪藻などは比較的溶けにくいので,そのままの形を保ったまま埋もれてゆくのです。ですから,昔に埋もれた泥を掘り起こせば,その時代の珪藻を観察できることになります。江戸時代にはどんな珪藻がいたのか,そういったことを調べる研究が,いま,できるわけです。珪藻の種類がわかれば,ある程度環境も推測できますから,過去の環境に関する情報が得られることにもなります。こうしたことを考えると夢は広がるのですが,実際に検鏡してみると,相当に精製した試料でも鉱物が多く,そこに破損した珪藻がちらほらと混じっている現状に直面します。これを根気強く検鏡して,分類群ごとに計数したり,写真を撮ったりします。なかなか地味な作業です。上の画像は大阪湾の海底泥プレパラートの一部,下の画像は中央部の珪藻を拡大した様子です(BF,撮影/MWS)。





2008年12月19日


ps

きのうに引き続き珪藻の画像です。コンデンサの開口絞りを絞り込むと分解能が低下するのと引き替えにコントラストが向上することを先に記しましたが,分解能を低下させずにコントラストを向上させる方法もあります。偏斜照明と呼ばれている方法がそれで,軸外し照明法とも呼ばれます。方法は簡単で,コンデンサ絞り面を,中央に向かってではなく,周辺に向かって絞り込めばよいのです。こうすると,絞り込まれることによるコヒーレンス向上効果(コントラストアップ,焦点深度増加)が得られるとともに,コンデンサ周辺からの高開口数の照明光が結像に用いられますから分解能は低下しません。

しかしこの方法にも問題があって,解像に方向性があります。偏斜の方向を正しく行わないと,物体の構造を忠実に再現することはできません。したがって構造に対する知識と,それをフィードバックしたコンデンサ操作が求められます。上の画像はきのう撮影した珪藻に対して,偏斜照明を適用した例です。 機材はきのうと同じで,対物レンズは40倍(開口数は0.65),照明波長は約550nmです。コンデンサ絞りは125%(NA=0.80)まで開き,暗視野光束を混ぜて偏斜照明を行っています。分解能,コントラストともに高く焦点深度の深い画像が得られています。

なお,偏斜の方法は,紙などを使ってコンデンサ絞り面に軸外しで光が通過するように工夫すればOKです。他に,ランプの心出しができる機種では,ランプを抜き差ししてフィラメントの大きさを小さめの状態にして,次にフィラメントを光軸から外して偏斜効果の高い位置に移動することで偏斜照明にできます。もちろん,旧型機などで偏斜照明装置が内蔵されていれば,それを操作すればOKです(oblique,撮影/MWS)。





2008年12月18日


ps

ps

ps

ps

ケーラー照明の記述は教科書によって微妙に差はあるものの,1)物体にピントを合わせ,2)視野絞りにピントを合わせ,3)視野絞りを視野に外接する程度まで開き,4)コンデンサ絞りを対物レンズ開口数の70〜80%まで絞る,と書いてあります。1)はピント,2),3)は迷光処理に関する操作ですが,4)は何でしょうか。4)は必要とする分解能とコントラストを最も好ましい量に調節する操作です。この絞り操作はきわめて重要なので,珪藻を使って実例を示しましょう。使用対物レンズはプランアクロマート40倍で開口数は0.65です。照明波長は約550ナノメートルです。画像はそれぞれ下記の条件で撮影し,一部をコントラスト強調して比較しやすくしてあります

1枚目 コンデンサ絞り100%(NA=0.65) 分解能0.52μm
2枚目 コンデンサ絞り 80%(NA=0.52) 分解能0.57μm
3枚目 コンデンサ絞り 70%(NA=0.45) 分解能0.61μm
4枚目 コンデンサ絞り 50%(NA=0.33) 分解能0.68μm

分解能の数値を見るとあまり変化がないように感じるかもしれません。しかし,この寸法の構造を観察するときには,わずかな分解能の低下も大きな影響があります。

1枚目はコントラストが低く,珪藻の微細構造(3方向に交差する線)が見えにくいですが分解能は最も高くなっています。もしデジタル画像でコントラスト強調ができるのであれば,分解能を活かすために,この条件で撮影するという考えもあります。

2枚目は微細構造のコントラストが上がり,無処理でも構造が見やすくなっています。80%まで絞るとコヒーレンスが若干上がって,結像のコントラストが上がりますが,分解能はそれほど低下しないので,肉眼観察や銀塩撮影に適した絞り値です。

3枚目は70%まで絞ったものですが,コントラストはアップしますが,この珪藻にある斜めに交差する線が消えてしまっています。この珪藻に対しては70%は絞りすぎなのです。

4枚目は50%にまで絞ったものですが,3方向すべての線が消えてしまっています。これでは,この開口数の対物レンズを使った意味がなくなってしまいます。

このように,コンデンサ絞り値は像質に決定的な影響をもたらすので,物体の構造やコントラスト,検出器の特性や画像処理まで考慮して最適になるよう,注意深く操作する必要があります。上の比較に用いた珪藻はプレウロシグマ(Pleurosigma)の仲間で,当サービスのE-M1によく入っているものです(BF,撮影/MWS)。





2008年12月17日


ps

ps

生物試料の中には,紫外線を照射すると蛍光を発するものがあります。これは昨日の尾ビレ(マアジ)ですが,紫色LEDの光を照射すると骨格の一部分が特によく蛍光を発し,構造が浮き出るように見えます。蛍光撮影は通常撮影と条件的にはあまり変わりませんので,それほど難しいことはありません。十分な露光で適正露出が確保できればけっこうよく写ります。ちょっと工夫が必要なのは色再現で,目で見たような色にならないことがよくあります。そんなときは,デジタルカメラのホワイトバランス設定を変えてみて最適条件を探すと,かなり効果があります。特に青系の発光が弱いとき(上の画像)には,電球モードにすると効果的(下の画像)です(epiFL,撮影/MWS)。





2008年12月16日


ps

ps

これはマアジ(浦賀水道)の尾ビレです。きっと誰もが食べたことのある魚でしょう。尾ビレは肉眼的には不透明に見えますが,顕微鏡で見ると,透明なアクリル樹脂でも見ているかのようです。黄色味の強い本体に,ところどころ黒点があります。そして表面にはウロコのような模様もあります。きっと流体力学的に何らかの役割を持っているのでしょう。これらの構造は総合倍率40倍以下で十分に観察できるので,夕食にアジを食べたときは,観察してみるのも面白いかもしれません。ところで,このマアジの尾ビレはずいぶんと黄色いのですが,これは,沿岸に居着いているマアジの特徴でもあります。体全体に黄色味が強く,体高も高く,身の締まりがよくて,最高の味わいなので,キアジとかキンアジとか呼ばれているものです(epiDF,撮影/MWS)。





2008年12月15日


ps

これは12月13日付けの画像で紹介したテストプレートに用いている珪藻で,十字が鮮明に見える種です。この中央部の強拡大ですが,十字の交差部分,縦溝の中央部分と点紋列がはっきりと見て取れます。ここまで拡大すると,まるで宇宙船の窓から月面を見ているような不思議な感覚があります。各種テストに用いるテストプレートですが,このように一つの珪藻を何度もじっくりと観察する観賞用としても有用と考えています(oblique,撮影/MWS)。





2008年12月14日


ps

顕微鏡下での微妙な操作に欠かせないのが柄付き針ですが,皆さんはどのようなものをお使いでしょうか。筆者は幾つか所持していますが,よく使うのは,上の画像のように,ステンレス線を研磨して針を作り,シャープペンシルをホルダにしたものです(使うときはステンレス線をもっと伸ばします)。ステンレス線(バネ用の硬めのものが適当)は約0.5mm径のものが市販されていますから,これを使えば0.5mmのシャーペンにそのまま合います。ステンレス線はニッパーなどで適当な長さに切り,#600程度の粗い耐水ペーパー(または砥石)で先端をとがらせて針状にして,目の細かい砥石(#3000〜#8000)で仕上げます。先端の太さは10〜20μm程度にすると適当な強度もあり使いやすいようです。簡単に作れますし,手になじんだシャーペンを選んで使えば,とても使い勝手のよい物ができます。なお,上の画像の背景はアルカンサス砥石です。関係者の間では「アルカン」と呼ばれなじみのあるもので,ステンレス系刃物や工具の仕上げ研磨に最適なものの一つです。精密ピンセットの修正にも欠かせません。柄付き針は,たまにこの「アルカン」で修正研磨しながら使うのです(撮影/MWS)。





2008年12月13日


ps

これは現在開発中のテストプレートです。周期構造のピッチが異なる珪藻を一列に並べてあります。つかいみちは色々あって,実視による対物レンズのテストや,CCDなどのデジタル撮影時のコントラスト調整や,微分干渉法などのリファレンスなどとしても有用です。従来から国外において供給されてきたテストスライドと異なり,この製品ではカバーグラス面に珪藻を並べていますので,ピントが揃う上に封入剤から発生する収差がありません。また画像でわかるように夾雑物の混入をできるだけ低く抑え,背景ノイズを少なくすることに成功しています。技術的にはできあがっているのですが,問題は,安定供給できるほど珪藻を集められるかどうかです。準備ができ次第,販売したいと思います(DF,撮影/MWS)。





2008年12月12日


ps

これは当サービスで供給している【RL-TEST】に使用しているAmphipleura pellucidaという珪藻の画像です。油浸対物レンズ(開口数1.40)での撮影です。この珪藻の持つ周期構造は条線が250〜270ナノメートル,点紋列が約200ナノメートルの間隔で並んでいます。微妙な個体差はあるものの,この珪藻は世界中のどこで採集しても,同じピッチの周期構造を持っています。油浸対物レンズのテスト用として適当なので,1800年代後半から,実視テストに利用されています。こうした実用性もさることながら,この珪藻のすらりとした姿は優美で,数ある珪藻の中でも,最も筆者の好む種でもあります(oblique,撮影/MWS)。





2008年12月11日


ps

ps

これは当サービスで供給している【F-TEST】の画像です。40倍対物レンズ(開口数0.95)使用による高倍率での撮影です。F-TESTは蛍光顕微鏡用に製作しているもので,様々な大きさに砕かれた畜光粒子が封入されています。写真の練習用や,励起光の光軸・フォーカス調整用,視野絞りの確認などに使えます。上の画像は明視野検鏡法で見た場合の像で,下の画像が落射蛍光顕微鏡による像です。明視野の場合はコントラストが低いが二点分解能は高いように見えます。蛍光の画像ではコントラストが高いので,非常に高い検出能があるように見えます。こうしたことを具体的に検討する試料としても使えます。畜光粒子は無機系で耐久性の高いものを用いています(BF/epiFL,撮影/MWS)。





2008年12月10日


ps

ps

これはサンマのパックに付着していた魚の鱗です。サンマの鱗ではありません。もっと大きく,マダイではないかと思うのですが,顕微鏡を覗いても「まだい」と書いてあるわけではありませんので,筆者の経験からはわかりません。魚は全体を見るのがいちばんです。ところで,この鱗は大きく丈夫です。きょうの画像は4倍対物レンズを用いたものですが,中心の一部しか視野に収まりません。ごっついのでコントラストが良く出て表面のギザギザがよくわかります。入門用の顕微鏡でも十分に構造が判別できますので,たとえば小学校の授業用教材としても好適なのではないかと思います(BF,撮影/MWS)。





2008年12月9日


ps

ps

上の画像の珪藻は海産アクナンテス属の一種で,片面に縦溝を持ち被殻がくねっていて表裏が異なる模様という特徴があります。いままで,下の画像のような処理した被殻ばかり検鏡していて,生きている個体を見たことがありませんでした。今回培養したサンプルを覗くと,上の画像のように,透明な柄があって,そこに珪藻がくっついています。ゴンフォネマ(2008年3月11日画像参照)のように柄を持った種だったのですね。やはり生サンプルを覗くと言うことは大切です。なお上の画像上端は偶然通りがかった繊毛虫です(oblique,撮影/MWS)。





2008年12月8日


ps

珪藻の被殻はガラス質ですから,伸び縮みができません。細胞分裂のときは,親被殻の内側に娘被殻ができます。すると,娘被殻は必ず親よりも若干小さくなっています。これを繰り返すと,細胞はどんどん小さくなってしまいます。しかし実際には,あるサイズに達すると,一部の細胞が卵,もう一部から精子が形成して,泳ぎだした精子が卵となる珪藻細胞に達して受精します。すると受精細胞からは細胞内容物がいったん外に出て,そこからサイズを回復した大きな珪藻被殻が形成します。この過程は増大胞子形成と呼ばれていて,特に中心目の珪藻(の多く)がこの様式で有性生殖を行います。画像は,増大胞子形成後,初生殻が二分裂した様子です(BF,撮影/MWS)。





2008年12月7日


ps

ps

珪藻は単細胞の藻類ですから,細胞分裂により増えていきます。上の画像は海産のメロシラ属珪藻ですが,ながく伸びている細胞が分裂間近な状態です。この状態がしばらく続いたあとに,下の画像のように真ん中がくびれて,二つの細胞に分かれます。分かれるとすぐにその周囲には新しいガラス質の被殻が作られます。分裂に要する時間は小一時間くらいです。くびれが大きくなってから2つの細胞に分かれるまでの時間は数分程度でかなり早いです。活発に増殖している珪藻群集を観察していると,細胞分裂間近な個体が見つかることがありますから,興味のある方は観察に挑戦してみてはいかがでしょうか。スライドグラス上に池を作って上手に観察すれば,細胞分裂の全過程を見ることもできるでしょう(BF,撮影/MWS)。





2008年12月6日


ps

先日のサンプリングで採取した浮遊物に栄養を加えて培養を試みているのですが,割と小さな種が多く発生してきました。珪藻標本として使えるかどうかは微妙なところです。きょうはその試料を検鏡していたのですが,発生してきた藻類を餌に,動物プランクトンも結構な数が入っていました。上の画像はその一例で,カイアシ類に属する一種です。赤い眼点と,消化管内に詰まった食物がよくわかります。動きは非常に速く,とても顕微鏡で追えるものではありません。このような物体は,カバーグラスとスライドグラス間の,水の厚みをうまく調節して,プランクトンがやや動きにくくなる程度にまで圧迫するのがコツかもしれません。あとは撮影枚数で勝負です(oblique,撮影/MWS)。





2008年12月5日


ps

ps

この珪藻はコスキノディスクス属の一種で,海に浮かんでいるプランクトン珪藻です。この分類群は仕分けが難しく,種はもちろん,属レベルでも確実に分けるのはけっこう難しいです。いくつかの種については見分けるポイントがあり,属レベルまでならなんとかなります。上の画像は被殻表面にピントを合わせたものですが,中央付近にコスキノディスクス属に割と特徴的な花紋があるのがわかります(これがない種もあります)。下の画像は,ごくわずかだけ内部にピントをずらしたものですが,被殻の4時と8時の位置に小さな凹みがあり,その部分に内部へ向かう小さな突起があるのが見えます。これは唇状突起と呼ばれるものですが,このような位置に2個認められるのはコスキノディスクス属の特徴とされています。総合すると,コスキノディスクス属珪藻で良いと思われます。この仲間は,当サービスで配布している【COS-01】【E-M1】に入っていますので,お手持ちの方は,上の画像を参考に突起を見つけてみてください。個体によっては非常に微妙なピント合わせ,コンデンサ操作が要求され,よい検鏡訓練になります(BF,撮影/MWS)。





2008年12月4日


ps

この珪藻も先月収集した珪藻の一つで,ライレラ属の仲間です。この珪藻は沿岸のサンプルに少しは入っているのですが,一度にたくさん入っていることがあまりないので,どうしたものかと思っていました。あちこち岩場を歩き歯ブラシをかけて珪藻を採取したところ,けっこう分布にムラがあり,同じ地点でも数十メートル移動しただけで本種が比較的たくさん採取できる場合があることがわかってきました。やはり,収集するには足で稼ぐしかないようですね(DIC,撮影/MWS)。





2008年12月3日


ps

Jシリーズに用いる珪藻は日本各地の沿岸・池・河川等から採取したものを多く使用しています。一部は化石も利用します。珪藻は数万種もいるとされていますので,全部を集めることは無理ですが,形が面白い種はぜひJシリーズ用に集めたいと思っています。しかし実際は結構むずかしい課題です。並べるには0.03ミリメートルよりも大きな珪藻が望ましく,また,破損がないことが条件で,泥まみれの試料から分離できることも大事です。並べるときに取り扱いやすいことも要求されます。そして数が集まらないと,プレパラートを作成すればすぐになくなってしまいます。こうした条件を満たす珪藻はなかなかいなくて,サンプリングに通う日々です。たまによい試料に巡り会うと,1〜5種類くらいの新しい珪藻が確保できたりします。上の画像は先月収集した珪藻の一つで,ディプロネイスの仲間です(DIC,撮影/MWS)。





2008年12月2日


ps

ピンヌラリアの仲間は大きくて丈夫で,沼の泥などに多くいるので見たことがある方もいるかと思います。この珪藻の条線はかなり粗いので20倍程度の対物レンズでも容易に見ることができます。そして太い条線の中は透明に見えます。しかしこの部分は透明な珪酸膜でできているわけではなく,非常に小さな穴が多数開いている構造に(もっと複雑ですが)なっていることが電子顕微鏡による研究から明らかにされています。この微少な穴の間隔は,光学顕微鏡で解像できる限界付近ですので,よい個体を選び,光を上手に操ってコントラストを制御できれば見える可能性があります。上の画像はそうやって可視化したピンヌラリアの条線内部です(oblique-VEC,撮影/MWS)。





2008年12月1日


ps

珪藻の中にはとても不思議な形態をしているものがあります。そんな種はぜひとも集めたいのですが,たいていは希少種で数を集めるのが困難です。上の画像はAuliscusという珪藻で,長らく追い求めているのですが,まだ,現世のサンプルでは2粒(!)しか見つけていません。きのうたまたま,教育用プレパラートE-FM1を検鏡していたら,この種が突然視野に飛び込んできて驚きました。この試料は秋田県に産出する珪藻化石由来なのですが,多くは沿岸の浮遊珪藻で,付着種はなかなか見当たりません。すでにプレパラート数百枚分の珪藻をかき分けて探しましたが本種は見つかっていません。しかし例外はあるもので,どこからか流されてきた本種が一緒に堆積し,しかもすでに封じたプレパラートに入っていたのです。偶然とはいえ,お宝が見つかった気分です(BF,撮影/MWS)。






Copyright (C) 2008 MWS MicroWorldServices All rights reserved.
(無断複製・利用を禁じます)



トップに戻る



.