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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。 日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します 【サイトトップ】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2008年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2009年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2010年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2011年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2012年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2013年1月】 【2月】 【3月】 【今月】 2012年7月31日
きのうのグリセリン浸対物レンズで珪藻を撮影してみました。この蛍光専用対物レンズは,可能な限り明るさを追求していて,また光学設計も現代の最先端のものとは異なるようで,像面湾曲は盛大に残っています。何も知らない人が見たら,故障しているのではないかと思うくらいです。しかしデジタルイメージングで視野中央部を利用するのであれば像面湾曲はそれほど気になりません。きょうの画像でも,ディディモスフェニアが,まあまあフラットに写っていて,何とか見られます。倍率色収差はかなり激しく,どうしたものかと思っています。浸液が合っていないのか,グリセリンに指定の濃度があるのか,それとも修理時に対物レンズを狂わせたか。はたまたこれは設計上の仕様なのか。珪藻プレパラートを覗き続けて結論を出そうかと思っています。こうしたレンズの品質判定にはどうしても珪藻プレパラートが必要になります。熟練者なら染色標本でも「見え」は十分に判定できます。でも,微妙な収差の具合を見るには,色のない標本で周期構造を持っていることが大事な用件なのです(画像/MWS)。 2012年7月30日
これは液浸対物レンズの先端付近です。オレンジ色のラインがグリセリン浸であることを示しています。はげしいほどにたくさんの傷がついていて,一部が掘れています。恐らくこれは,ショートバレルとロングバレルの対物レンズを混ぜて使ったため,レボルバを回すたびに標本押さえに衝突して傷がついたものと想像されます。それにしてもひどい傷で,相当な力を加えてレボルバを回しているようです。グリセリン浸対物レンズを使用するほどの研究者/技師でありながら,これほど繰り返して傷つけることも考えにくく,謎です。素人が乾燥系で使ってピントが合わないと繰り返し試したのでしょうか…(画像/MWS)。 2012年7月29日
ここのところの異常な暑さで,河川がどんどん短くなっています。ここはもともと水無瀬といわれるような場所で,渇水期になると干上がります。そして,干上がると,水際で繁茂していた珪藻が一気に乾燥し,強い直射日光で光漂白され,まるで石灰でひいたような白いラインが出現します。これを検鏡すると,淡水性の付着珪藻が無数に見られます。こういうものを拾い集めておいて,夏休みの自由研究なんてのもいいかもしれません(画像/MWS)。 2012年7月28日
これは何をしているのかというと,学習用の初級顕微鏡の絞り盤を外して,孔に拡散板を貼り付けているところです。学習用の初級顕微鏡では,コンデンサは省略されたものがあり,その代わりに絞り盤にいくつかの,サイズの異なる孔があいています。孔か大きく光源が大きければ標本に向かう光がある角度分布を持ちます。孔がうんと小さければ標本を照射する光は一本のビームです。ですから,単なる孔でもコンデンサの役割をするのです。 2012年7月27日
これは,先日開催された国立環境研究所・夏の大公開で展示された珪藻標本の一つです。三角形,四角形,円形,ブーメラン型などの珪藻が正面と横から観察できるようになっています。すべてピント面はそろえてあります。珪藻標本は古くから製作されてきたものの一つですが,このような展示標本は相当に珍しいものと思います。このような標本の製作が簡単であるはずはなく,向きの制御や封入剤の浸透には,経験から発生する技術を応用する必要があります。頭で考えた技術をそのまま応用するのではだめで,目の前で起こっている現象を読み取り,絶えずフィードバックをかけてゆくことで一つの技法が決まってくる,そういう感じです。ですから,製作は超絶に難しいものの,どこか法則に導かれているような気分もあって,そこをトレースしていけば,途中で投げ出すようなことはありません(画像/MWS)。 2012年7月26日
仮説実験授業夏の大会(宮城・松島)ではアクロマートレンズを30個入り3パック+αくらいを販売の予定です。予定より数量が減りましたが,100枚くらいはあるので,お見逃しなく。このレンズが二枚玉でコーティング付きのまともなものであることはすでに述べましたが,単にレンズを眺めて言っているわけではなく,このレンズを用いて試作をして確かめてもいます。きょうの画像がその一例です。いちばん上は牛乳パックカメラ。このレンズを円形にくり抜いた紙に装着して,牛乳パック側にはシャラシャラ袋(半透明ポリ袋)をスクリーンにしています。鮮明な明るい像が投影されます。非常にシャープなので,投影された文字も読めますし,外に持ち出せば夜景でも楽しめます。真ん中は一倍望遠鏡で,レンズを二枚使っています。レンズのサイズがラップの芯にぴったりなので,ラップの芯に植毛紙(黒いフエルトでOK)を詰め込み,レンズ二枚を入れて動かないように固定し,工作は終わりです。正確に1倍の倍率で,みたいものを逆さまにできます(笑)。小さなルーペも製作しています。このレンズは焦点距離100mmなので単独倍率は約2.5倍です。これを二枚重ねにして紙筒に入れています。高性能なレンズがたくさんあれば,こうした遊びが自由にできます(画像/MWS)。 2012年7月25日
秋葉原などをふらふらしていると,安価な中国製の光学製品をよくみかけます。とんでもなく粗悪なものが多いのですが,一応は見えるので,何かが見えていればそれ以上の疑問を持たない人は,粗悪であることに気付くこともなく,幸せになれるのかもしれません。一方,粗悪な製品であることを知っている人は,安価な部品取り用のとして重宝して,幸せになれるかもしれません。そういった製品です。筆者はおもしろがって,望遠鏡,双眼鏡,単眼鏡,顕微鏡と買っては分解して遊んでいます。 2012年7月24日
カビのひどい対物レンズが転がり込んできました。画像は蛍光用対物レンズの後玉ですが,全面をカビが覆っていて,まつげが2本も入り込んでいます。ホコリも堆積していて,日常空間の範囲で考えれば,最悪の保管状態といえるかもしれません。先端レンズの金枠は,これでもか,というほど激しい傷がついていてすり減っています。レボルバを回してこれほどの傷をつけることは通常考えられません。安全装置は完全に固着していて,外側からは緑青が噴き出しているのが見えます。 2012年7月23日
きのうの珪藻はとても薄く,そのなかに生命の実質が詰まっているわけです。きょうの画像の珪藻はとても厚みがあり,画像では半被殻ですが,これにもう片方に同じ厚みの被殻があり,中間をつなぐガードルバンドがあって,大容積になっています。生命の実質をどの容積に収めるかは,珪藻さんの自由であるわけですが,不思議ですね。きっと必要な容積が決まっているというよりも,環境条件に適応して形態が決まってくるのでしょうね。そういえばきょうの画像の珪藻は,ヒドロセラというのですけど,被殻が小さくなったものを見かけることがほとんどありません。なぜなんでしょう(画像/MWS)。 2012年7月22日
ミクロワールドサービスでは高度な技術を駆使して珪藻を並べていますが,珪藻を整列するだけでなく,観察したい部分を正面に持ってくることもある程度はできます。きょうの画像がその一例で,クモノスケイソウを被殻の外側からと,側面から見られるように,しかもピント面を揃えて一視野で観察できるように並べたものです。これの製作は,通常のJシリーズよりもはるかに難しいものですが,珪藻の特徴がよくわかるので少数ながら製作しています。昨日(21日)に行われました国立環境研究所・夏の大公開にも正面と横から観察できる9種18被殻を並べた標本を展示いただきました。ご覧になった方はいらっしゃいますか。珪藻の表,裏で並べた標本は昔から存在しますが,このような標本は見たことがありません。ひょっとすると相当にめずらしい標本かもしれません(画像/MWS)。 2012年7月21日
ネオジム磁石が8個で100円。恐るべき商品です。これまで磁石をくりぬいて使っていた人には最適なものかもしれません。100円ショップへ急げ急げ,という感じです(画像/MWS)。 2012年7月20日
今週土曜日(21日)は,国立環境研究所一般公開です。数々の興味深い研究紹介に加えて,環境生物保存棟では,珪藻を顕微鏡で観察できるコーナーも開設されます。当サービスの誇るJシリーズも幾つか見られる予定ですので,一般公開に参加の方はぜひ,環境生物保存棟にもお立ち寄りください。なお,筆者は時間がなく,残念ながら作業の一日ということになりそうです。 2012年7月19日
きのうの画像ではちょっとわかりにくい面もありましたので,輪帯照明法と明視野法の比較画像を作ってみました。標本は珪藻が細胞分裂初期につくる薄膜で,きわめて薄く,コントラストの低いものです。画像左側が明視野,右側が輪帯照明です。右側では,珪藻の薄膜が存在しない背景が,ピント面で暗くなっています。この現象により,構造のコントラストが高く表現されています。不思議ですね(画像/MWS)。 2012年7月18日
コンデンサの中央部を丸く遮蔽して,リング状の光で照明する方法は輪帯照明と呼ばれます。最近ではこの言葉を知っている方々も増えてきましたが,10年くらい前は専門家しか知らないような言葉だったと思います。web上で検索しても顕微鏡照明としてのヒットは皆無だったので,『光の鉛筆』の記述から「輪帯照明」という表現を引用して,自分のサイト(八王子のきのこ)に載せました。その後,筆者のサイトから学んだ人が自分のHPで紹介して,主にきのこ関係のアマチュアに広まったように思います。 2012年7月17日
小中学校の先生方に標本を見てもらう機会がありますが,数十分も展示すれば,きょうの画像のような状態になります。スライドグラスをべたべたと触り,指紋だらけになって,唾液が飛び散り,標本面も汚れています。さいきんは,学校の先生方ですら,大学の生物学実習などで,顕微鏡の使い方を叩き込まれることは希になっています。そういうわけですので,スライドグラスの持ち方など,気にしたこともない先生方も多いのでこのようなことになるわけです。教員養成大学の先生方には,教職課程の学生教育をもっとしっかりして欲しい,と言いたいですね。習ってないことは教えられませんから,能力のない先生がずっと間違ったことを教え続けることになっちゃうのですよ。それは防がないといけません(画像/MWS)。 2012年7月16日
放電管式のブラックライトは誰でも知っているものの一つですが,電球式のブラックランプというものもあります。真っ黒というか,黒紫色のガラスにフィラメントが覆われていて,点灯するとロウソクよりも暗く弱々しく紫色に光ります。紫色LEDよりもずっと弱い光強度で,よほど明るく反応する蛍光体でなければ蛍光性を確認するのも難しいほどです。そのせいか,このブラックランプの説明書には紫外線の一文字も見当たりません。蛍光とも書いてありません。でも熱を発することは書いてあります。じっさい,発光強度を波長ごとに見てみると,紫外線よりもはるかに多くの赤外線が出ていて,まさに,赤外線ブラックランプなのです。 2012年7月15日
液浸系対物レンズ3本をメンテナンスしました。一本は外観清掃のサビ取りでしたが,ほかの2本は安全装置が固着してスプリングが効かなくなっていて,それの修理です。筆者は液浸系でも乾燥系でも,対物レンズ先端を標本に衝突させることは滅多にありません。一年の大半は顕微鏡を覗いていると思いますが,衝突事故は年に1回もないくらいです。ですので安全装置が壊れていても問題はないのですが,この部分が壊れているということは,対物レンズが傷み始めているということでもあるので,修理はしておくべきだと思っていました。それで重い腰をあげたのです。 2012年7月14日
国立環境研究所夏の一般公開につきましては先頃アナウンスしたところですが,当サービス提供の珪藻標本をご覧いただける予定です。顕微鏡も研究用の高級なものを準備してくれるとのことで,微分干渉法でも観察できる予定です。珪藻を微分干渉法で検鏡すると,浅い焦点深度でくっきりと珪藻が浮かび上がり,それは素晴らしい眺めになります。当サービスの珪藻標本はピント面を揃えてありますので,焦点深度の浅い光学系でもぴしっと決まった姿を見ることができます。きょうの画像は微分干渉法で撮影した珪藻ディプロネイス(たぶん)の仲間です。相模湾から採取したものです(画像/MWS)。 2012年7月13日
直径28mm,焦点距離100mm程度の手頃なアクロマートレンズが入荷しています。1群2枚のこのレンズは,光を虹色に分解する度合い(分散といいます)の異なる凸レンズと凹レンズを組み合わせて,色ズレが出ないように設計されたものです。100円ショップの凸レンズなどは単レンズといって,これで像を結ぶと色ズレがひどいですし,収差も大きくて像質が悪いのです。それに比べるとこのアクロマートレンズは,比較にならないほど上質な像を結びます。鮮明な像が見られますのでレンズを覗いていても楽しいですし,2.5倍のルーペにもなります。望遠鏡を作ることもできます。牛乳パックカメラの素材に使えば,信じられないくらい上等な像が見えることでしょう。多層膜の反射防止コーティングが施されており,そのせいで明るい,透過率の高いレンズになっています。まともなルートで買い求めれば,一枚3000円とか,4000円になるでしょう。 2012年7月12日
ここに写っている珪藻は全部,相模湾沿岸で採取したものです。海藻に付着していたり,砂の上にいたり,岩にくっついていたりしたものです。数が少ない珪藻も中にはいますが(星形の珪藻など),分布自体は広く,特別めずらしいものではありません。世界中の海からみつかります。海に出向いたら,こんなにきれいな珪藻たちが足元にいるんだと,想像してみて下さい。またひと味違った海の姿を感じられるかもしれません。携帯型の簡易顕微鏡などをお持ちであれば,探してみるのも乙なものです。ここに写っている種のほとんどは,40倍くらいの倍率で形を確認することができます(画像/MWS)。 2012年7月11日
依頼作業が続いていてなかなか忙しい日々になっています。そんなときは作業の合間に顕微鏡を覗いて一息つきます。お茶で一服,という時間が,お茶を飲みながら顕微鏡をのぞく,という時間になっているわけです。美しい珪藻を眺めていると,日常の雑事に伴って発生した頭の中のゴチャゴチャが,だんだんと透き通ってきて心が落ち着くのがわかります。美しいものを鑑賞するというのは,リラックス効果が高いのです。ストレスに悩まされている貴方は,高級な顕微鏡を購入して珪藻を眺めるとよいかもしれません(画像/MWS)。 2012年7月10日
手元に修理したい顕微鏡対物レンズが数本あるのですが,いずれも高価なもので,高NAで,どこから手をつけてよいかもわからない代物です。顕微鏡対物レンズは非常に巧妙に組み上げられていて,金属の加工精度も高く,どことどこが組み合わさっているのかがわからないほどです。そこで分解したいときには,そのレンズを毎日眺めて,ときにはルーペや実体顕微鏡で観察し,分離可能なポイントを探します。ときには接着箇所を溶かして除去したり,パテで埋めてある部分を掘り返したりすることも必要になってきます。分解方法はメーカーにより異なりますし,マニュアルなど存在しませんから,とにかく観察,試行錯誤の毎日です。慌てれば数十万円のレンズが取り返しのつかないことになるので,一歩一歩進むしかありません。分解できるまでに三ヶ月かかったレンズもあります。でも,それでいいのです。有限補正系の対物レンズはすでに生産中止で,メーカー修理も不可能でしょう。自前で修理するしかないのです(画像/MWS)。 2012年7月9日
比較的急ぎの注文で検査板を製作/計測しなければならないのですが,作業に取りかかりにくい状況が続いています。100メートルくらい離れたところで建物の解体工事が行われているのですが,鉄筋コンクリートの建築物らしく,粉塵の発生がものすごいのです。肉眼ではなにもわかりませんが,顕微鏡下で作業していると,室内にまでコンクリートの粉らしきものが入り込んでいるのがわかります。検査板やJシリーズは極限まで異物の混入を排除していますので,空気の汚れはきわめて重大な問題です。加えて,重機で解体作業している振動が問題で,油浸でイメージングしていると,例えばRL-TESTの構造(きょうの画像)が写りません。1/1000〜1/5000ミリメートルくらいの振動がきているようです。防振に配慮している作業台の上でも微細な振動が伝わってきていて作業になりません。とにかく都内は工事だらけで騒音にはいつも悩まされているのですが,振動に粉塵まで加わって,ちょっといただけないですね,これは(画像/MWS)。 2012年7月8日
普段づかいのノートパソコンはファンレスで,本体のフレームやキーボード下の放熱パネルから自然空冷で熱放散するような設計のものです。ファンがないので静かで助かるのですが,夏は本体上部やメモリ周辺が熱くなって困っていました。例年は扇風機で風を当てたり,こまめに電源を切ったりしていたのですが,今年は根本的な解決にしようとパソコン冷却装置を作りました。名前だけが大げさなこの装置は,パワーLEDの冷却用に買っておいたICファンにAC-DCアダプタをつなげただけのものです。安定をよくするためにアクリル棒を刺してゴム管で固定してあります。5V 0.11Aで静かに回るこのファンは,指先に少しだけ感じる程度の風を送り出します。ノートパソコン本体を1cmほど浮かして,側面から,上面下面に風が入るようにしてやると,効果は絶大です。キーボードの熱もだいぶとれますし,底面の熱さはすっかりなくなりました。冷却には熱勾配をつくることが大事です。強風は必要なく,滞留している暖かい空気を吹き飛ばせば十分冷却効果が望めます(画像/MWS)。 2012年7月7日
コンデンサを絞り込むと干渉色が美しい珪藻は,低開口数対物レンズではコンデンサを開いていても色が見えます。しかし色はかなり薄くなります。この色を薄くする原因は低開口数対物レンズに対する暗視野光束の影響にも見えます。しかし高開口数レンズで見ると干渉色は消えてしまうので,単に暗視野光束が色を薄めているだけでなく,低開口数の照明が色を発する原因になっているように思えます。透過光でこれだけ強い色が出るということは,この珪藻のどこかに空気膜があって大きな屈折率差とともに微細な構造がびっしりと敷きつめられているのではないかと想像したくなります。実際のところ,原因はさっぱりわかりません(画像/MWS)。 2012年7月6日
国立環境研究所をご存じでしょうか。環境に関して幅広く研究を行っている独立行政法人です。筆者も知人が何人かおりますし,この隣の研究所に通っていたこともあるので,なじみ深いところです。7/21は国立環境研究所の一般公開日です。たくさんの展示があり,最先端の研究をわかりやすく説明してもらえるほか,基礎的で地道な活動を行っている縁の下の力持ちの方々のお仕事を見ることもできます。プレゼントをもらえる展示もあるようです。 2012年7月5日
明視野で観察すると干渉色が出るという驚異的な珪藻がいくつかあるので,それの拾い出しに挑戦しています。このような現象が起こるのはヒトツメケイソウの仲間のようで,ほかの種ではあまり覚えがありません。開口数0.4くらいまでの対物レンズで観察すると,コンデンサを対物レンズの開口数と同じくらいに絞り込んだときに,鮮明な干渉色が見られます。このような美しい現象はぜひとも標本にしたいわけですが,拾い出しは相当に難しい印象です。なぜなら,外観がまったく同じに見えるのに,干渉色が全然違うことがあるからです。しかも拾い出しの,珪藻が乾燥しているときには干渉色は見えません。封じてはじめてわかる現象です。そういうわけなので,見えないものを識別して拾い出す,という超技術が必要になります…。画像は10倍対物レンズで干渉色を観察した例と,そのなかの青色を発する珪藻を60倍対物レンズで観察した例です。どちらもカラー撮影ですが,後者では色が消えてしまっています(画像/MWS)。 2012年7月4日
当サービスが提供しているDL-TESTやJシリーズでは小型の特注カバーグラスを使用しています。そのため,自分でもカバーグラスのカットができると好都合なのですが,今回5mmの円形に切ったのは別の目的がありました。生物顕微鏡用の対物レンズは,通常カバーグラス直下の物体に対して収差補正されているので,カバーグラスを使用しないで物体表面を直接検鏡すると像質が著しく悪化します。それでもNA=0.4くらいまでなら我慢もできますが,NA=0.65にもなれば実用に耐えません。しかし,対物レンズ先端に小さく切ったカバーグラスを貼り付けてしまえば,カバーグラスを通して観察したことになるので,乾燥粉末を直接検鏡できるノーカバー・ドライ対物レンズとして使えるというわけです。きょうの画像は試作一個目で,NA=0.65の40倍対物レンズ(短頸)です。貼付はけっこう難しいですが,封入操作の応用でもあるので,一発で決めました。実際に使ってみると,ちゃんとノーカバー対物として使えます。これでS型用のノーカバー対物ができました。ニコニコニコン(画像/MWS)。 2012年7月3日
先日の技術検証会でカバーガラスの切り方を教えていただき,また光学研磨に関する文献も紹介いただきました。有り難いことです。それで文献をパラパラと見ていたらハタとひらめくものがあり,カバーガラスを円形にくり抜いてみました。するとどうでしょう。ふつうのガラスでさえカットが苦手で,カバーガラスに至っては歩留まりの悪さに辟易として,円形カットなど夢の世界の出来事かとおもっていたのに,歩留まり50%越え程度で,使える程度の円形カバーグラスができました。画像は直径5mmにくりぬいたマツナミカバーガラスNo.1です。さっそく勉強の成果が出た気分というのはよいものです(画像/MWS)。 2012年7月2日
ニコンS型の光源内蔵型のベース部分には,照明切り替えレバーがあります。L,M,Hとレバーを切り替えると,低開口数広視野から高開口数/限定視野に照明を切り替えできます。Lでは内部に拡散板も入っていて,低倍対物レンズで観察するときもムラのない照明ができるように工夫されています。この機構により,ハネノケコンデンサがなくても,4倍〜油浸までの照明がレバーひとつでできるようになっています。なかなか便利なのですが,照明法をきちんと理解していないと,特に高開口数対物レンズ使用時に性能を低下させてしまう恐れもあり,完璧に使いこなす人はちょっとした玄人かもしれません。そのためか当時ニコンでは,このレバーの使い方や照明の調整について記した下敷きを配布していました(画像/MWS)。 2012年7月1日
サンマは目黒に限る,ネジバナはアップに限る,という気がしてきましたのでスーパーマクロ撮影システム(*1)を用いて撮影してみました。アップの画像だけで見れば大きなランの花を見ているようで,ちょっとゴージャスな感じです。少しの振動でもブレてしまうので,カメラから離れてセルフタイマーでの撮影です。こんなに真面目にネジバナを撮影したのははじめてですが,なんとなく『かき氷』を連想させるような透き通った細胞ですね(画像/MWS)。 2012年7月1日(2)
ニコンS型の鏡基にはコンデンサの下にフィルタ受けがついています。これがけっこう絶妙な位置にあって重宝します。画像のようにアクロマートコンデンサの直下に丸い遮光板を置けば,暗視野コンデンサのできあがりです。遮光板の大きさを変えれば輪帯照明も可能です。もちろん偏斜照明もできますが,偏斜照明装置はコンデンサ組み込みなので,変形偏斜照明が必要な時に限られますが…。このほか,このフィルタ受けに凹レンズを置けば,コンデンサのパワーを弱めたLWDコンデンサのできあがりです。3mmの台ガラスに試料を載せなければならなかったときにこの方法が活躍しました。大学院時代は,このS型を使いこなすことによって,じつに色々な勉強になったのでした(画像/MWS)。 Copyright (C) 2012 MWS MicroWorldServices All rights reserved. (無断複製・利用を禁じます) 本ページへの無断リンクは歓迎しています(^_^)/ トップに戻る |