画像のご利用について





本日の画像

ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


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2012年10月31日


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ミクロワールドサービスのお客様は研究者,企業関係者,光学関係,顕微鏡観察家などいろいろなのです。どのように標本をご利用頂いているのかは,お便りがないとなかなか分からないので,ご満足頂いていることを願うばかりです。そして数は少ないのですがホームページなどに画像をアップして下さる方もいて,そんな画像を拝見させていただくと,それはもう,心から感謝の気持ちでいっぱいになります。きょうはそういったお客様の一人で,以前も紹介しましたが, こちら を再掲したいと思います。久しぶりに訪問してあちこち拝見しましたが,もう,ここまでやっていただくと,何というか恐れ多くて畏敬の念すら感じます。世界でも希少と思われる珪藻画家さんです。有り難いことです(画像/MWS)。








2012年10月30日


ps

ミクロワールドサービスはあまりにもマイナーな存在なので,一般の人はまったく認知していないことと思います。しかしながらインターネットの時代ですから,検索などで『本日の画像』をみつけて,それ以来,あまりの素晴らしさに毎日見ているという方もおられるかもしれません。どんな検索用語で飛んでくるのかは筆者には想像もつきませんが,一部の方々については判明しています。けっこう多いのが「丸尾山砥石」ですね。砥石のページに反響があったりします。ほかには「珪藻」は普通として,「携帯顕微鏡H型」などというものもあります。

携帯顕微鏡H型は筆者も永らく愛用しています。このページでも何度が採り上げましたので,このタイミングで

こちら

に記事をまとめておきました。コンパクトなのに高性能で,タフで,そして像質がよいのです。現代のデジタルカメラの多くが50年後には存在していないであろう耐久性かと思われますが,携帯顕微鏡H型は1958年からあるのです。筆者が使用しているのはたぶん筆者の年齢と同じくらいの代物です。世界中で人気があり,今なお高価で取引されています。時代を超えて愛される価値を有しているのです。すばらしい製品を作りますね,ニコンは。

携帯顕微鏡H型は倒立顕微鏡の構成となっていて,ボディ底部には長大な台形プリズムが入っています(きょうの画像)。なぜミラーとせずにプリズムを採用したのか,ながねんの謎だったのですが,きょうからちょうど二年前に,ニコン本社で,携帯顕微鏡H型の設計者に3時間以上にわたって話を伺うという機会があり,この問題を真っ先に質問して謎が氷解しました。それは物理的な要請で,結像点をどこに配置するかという問題を解決するためだったのでした。あまりにも当たり前のことに聞けば瞬時に納得し,自らの知識を活用できないことを思い知らされることにもなりました。。

筆者はこの顕微鏡を良く理解した上で使い倒している自覚がありましたので,山のように質問させていただき,設計者や同席者からたくさんの答えをもらいました。この日のミーティングで得られた情報量は恐るべきもので,携帯顕微鏡H型以外にも倒立顕微鏡や無限遠補正系,倍率色収差補正,無限遠補正系の特殊対物などに関して多くの収穫がありました。ネット時代といえども,決してネットなどに上がることのない,リアルな,同時代の人間関係も含んだ情報に触れることの有意義さを感じたものでした(画像/MWS)。



*1 物理的要請とはいえ,ミラーを使わずにプリズムを採用したことがこの顕微鏡の評価を高めたと思っています。理由はいくつかあります。ニコンは伝統的に裏面鏡やハードコートのミラーを使っていますが,それでもプリズムの耐久性にはかなわないと思います。それにプリズムであれば軸出しの必要がなくなります。もう一つの理由はサイズです。結像点を最適な位置に配置したことによりホールディング性がよくなり,大人が両手で持ってしっくりくる大きさになったのだと思います。実際,かなり使いやすいです。プリズムは内面反射が大きいので長い光路長には使いたくないものですが,それをあえて採用し,側面を丁寧なつや消しとして実用可能にした開発陣には拍手を送りたい気分です。




2012年10月29日


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26日,28日の画像は少し無効拡大気味に表示していますので,甘い画像だと感じた方も多いかと思います。きょうは同じプレパラートから拡大率1/1.5にして表示しています(NAは同じ)。珪藻は40年ほど前の東京湾にいた,たぶんディプロネイスの一種と思われる珪藻で,このコーナーには初登場です。拡大率が少し落ちただけで,ずいぶんぼやけ具合が減ったのがお分かりいただけることと思います。この例でも明らかなように,拡大率をどのくらいにするかということは,見栄えと,見せたいものを表現するためにとても大事なポイントなのです(画像/MWS)。








2012年10月28日


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珪藻の殻は単純な構造のものからひじょうに複雑な構造のものまで様々です。複雑なものでは,ピントを変えると別の構造が見えてくるものもいます。きょうの画像がその一例ですが,同じ珪藻を撮影していながら,表面に見える模様が異なっています。ただ画像だけ見せられたら,この二枚は別種と判断する人もいるかもしれません。ピントを変えて撮影することの大切さがよくわかります。光学顕微鏡では珪藻の表も裏も見えます。これは電子顕微鏡にない利点ですが,逆に表も裏も重なった像も得られるわけで,撮影や像の解釈には注意も必要です(画像/MWS)。








2012年10月27日


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光学顕微鏡で撮影したデジタル画像を加工すると,走査型電子顕微鏡で撮影したイメージに近い物ができます。まず透過明視野で撮影したものをモノクロ画像にして,その画像をImageJを用いてbackgroundsubtraction処理を行い,その後に白黒反転し,ガンマやコントラストを調整します。これで背景が黒で珪藻被殻が白の画像ができあがります。珪藻被殻はガラス質でできていますから順光で見れば白く輝きます。ガラス質をイメージしやすいので白い被殻も悪くない感じです(画像/MWS)。








2012年10月26日


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New Nikkor 200mm F4の筒を利用した筒長可変のシステムでテスト撮影した結果がきょうの画像です。まず接眼レンズを正しく160mm鏡筒長の位置にあることを確認し,物体を覗いてピントをあわせます。光路を切り替えてCMOSカメラの画像をモニタで確認します。ほぼピントは揃っていますが,微妙なズレがあるので筒長をかえて最適な位置を見つけます。その筒長でコントラストが最大になることが確認できるなら正しい位置です。絵をみればわかるように,何の問題もなく撮影できています。自由度のある接続方法としては悪くない印象です。撮影は例によってNA=0.95の手抜きで,輪帯照明,130万画素のモノクロCMOSカメラを使用しています(画像/MWS)。








2012年10月25日


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New Nikkor 200mm F4は,しばらくその美しさを眺めたあとに,一度も写真撮影に使うことなく分解されてしまいました。この筒は長さが適当な上にフォーカシングで伸び縮みするので,Cマウントカメラなどの投影用鏡筒に最適と考えたのです。その目的を達するためにはレンズを抜く必要があるので,鳥屋さんなどでおなじみの「玉抜き」をすることにしました。幸い日頃からレンズをばらすのは慣れていますので,エタノールでネジ止めをゆるめつつ,5群5枚のレンズを抜き取りました。レンズは問題なく使えるので清掃後にまとめて保管ということになります。筒の方は元通りに組み直して出来上がりです。この玉抜き望遠レンズを,投影レンズを装着した三眼鏡筒部に取り付ければ長さ可変の投影用筒となります。内部の絞りは活かしたままにして,迷光カットの絞りとして機能させます(画像/MWS)。



*1 定価で考えたら贅沢を通り越して犯罪的な使い方な気もします。しかし30年以上前の中古製品ですから,筒だけでも有効活用と思えばよい使い方でもあります。この方法の利点は筒長可変ということもありますが,ほかにも,顕微鏡メーカ以外の機種を取り付け可能(かもしれない)という点もあると思います。適当な筒を探せば,キヤノンでもペンタックスでもOKです。顕微鏡との接続はステップアップリングなどを利用して工作するなどのほか,センタリングできればテープで固定してしまってもかまいません。なおCMOSサイズの大きな(ニコンFXフォーマットなど)カメラでは,ケラレが発生することがあります。この点は十分考慮の上で工作するとよいでしょう。




2012年10月24日


ps

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レンズを買ってしまいました。パーツ探しに中古屋さん巡りをしていて探し当てたものです。ニコンの200mmf4,非Aiのニューニッコールです…と書くとマニアックすぎますかね。この時代のレンズはずいぶんと値崩れしていて,カメラ小僧だった中学生時代からは考えられないほどです。あのころ,ニッコールは高くて買えなかった。一本目はニコンレンズシリーズEズーム36-72mmf3.5でした。次は望遠が欲しかったけど買えなかったので,ニッコール85mmf2Ai(not S type)。ミヤマ商会の中古で\28.4k,高すぎですが当時の最安値でした。中学生がお年玉を貯めたお金を握りしめてぶるぶる震えながらレンズを買っていたわけです。三本目はトキナーSL300mmF5.6,\18.8k,フジヤカメラ。高校に入ってニッコール50mmF1.8Ai,キムラカメラ,価格は覚えていないが安かった。大学に入りトキナーのSL17mmF3.5。フジヤカメラで\18kくらいだったか。最後は大学院でトキナーAT-X M90mmF2.5でこれもフジヤカメラ。確か\18kくらいだったか。そしてきょうのレンズは新宿のアルプス堂で価格はふつうの寿司屋で「松」を頼んだくらいか(3.5k)。。安いというのは有り難いことでもあるのですが,こうして書いてみると何だか恐ろしい時代に生きている気がします。でも買っちゃうんだな,これが。

ところでレンズの正しい利用方法は,完璧に清拭してから,演色性の高い照明のもとで澄んだガラスの美しさと多層膜コートの色を楽しむことです。カメラ小僧だった(過去形)筆者は,反射光の色を眺めているだけで不思議でいろいろ思いを巡らせていました。コーティングがフッ化マグネシウムであることは中学生時代に知り,高校では,フッ化マグネシウムを作ろうとフッ化物を用いて実験したものです。当時は,レンズのコーティングの色が薄膜の干渉であることを知らず,物質そのものの色だと思っていたので,その物質を作ってみたかったのです。いま考えるとバカみたいなお話しですが,そういうことも真剣にやってみるというのは悪い経験でもなかったと思っています。負け惜しみかもしれませんが…(画像/MWS)。



*1 カメラレンズというものは,つや消し黒で塗装されて迷光がきれいにカットされるような筒の中に,カラーバランスを整えるために緑や紫やアンバーに多層膜コートされたレンズが収められているわけです。このレンズの正面に向かって斜めから光を入れ,その反射光を覗く配置にすれば,光学的には,表面反射を観測する装置みたいなものです。フィルム一眼の時代には,このコーティングが美しく撮影されたカタログが多かった気がします。それで85mmF1.4とか,使いもしないのに欲しくなってしまうんですよね。。




2012年10月23日


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佐野眞一は執念ともいえる取材能力を発揮して読み応えのあるレポートを書く作家だと思っています。ですから佐野が橋下のことを書くならそれはまぁ,かなりえげつない部分もえぐりだしてくれるのだろうと思っていました。それが橋下vs朝日の対決で,朝日があっさりと白旗をあげてしまい,佐野も出てこなくなり,かなりつまらない方向に物事が動いているように見えます。これについてはなかなか興味深い分析がありますので, こちら を読んでみてください。

ところで,この問題に関連して東京都副知事が佐野の盗用疑惑について暴露し,これがネット上で大きな騒ぎになっています(例えばこちら)。ほかの記事なども探して読んでみると,文章に適当な改変を加えて引用した例が相当数あるようです。もはや逃れられないところまできている感じですね。ありもしない事実を書いたり捏造したりといったこととは違い,引用部分も情報を含んでいてその趣旨は曲げられていないので,著作そのものの論旨には影響しないでしょうが,パクリというのは悪質ですね。他人の仕事を横取りし,さらにばれないように適当な改変を加える…。これは大学のレポートならば不可をつけられる行為です。佐野は,今回この行為がばれたことで,地に落ちるでしょうね。明示して引用すれば問題なかったでしょうに,バカなヤツですね。これが団塊の世代の頂点ですか。

さて,橋下氏は予想通りに怒り狂っていますが,この怒りがパフォーマンスか本物か,注視する必要がありそうですね。もしパフォーマンスなら,小泉元総理と同じように人気取りをしていることになりますし,もし本物なら,敵を徹底的に叩き潰すそのやり方をみておく必要があるからです。筆者のウオツチングによれば,「自分が正しい」との信念を持ち相手を徹底的に「叩き潰す」人は,危険な人が多い感じがしています。少なくとも集団のリーダーに不適格なように見えます。

そもそも日本がこのようになったのは,国民が自民党を甘やかし,自ら愚民になりはてて,国が何かしてくれると信じ,原発は安全だと信じ,取り返しのつかないポイントをはるかに過ぎてからようやく政権交代し,そしてヨチヨチ歩きで何の能力もない(当たり前だ)民主党に文句を言っているからです。国民が日本の民主主義政治の中でまともに機能できていない。もし橋下氏が敵は国民と認識して,国民の政治に対する姿勢を徹底的に叩き潰そうとするなら筆者は橋下氏の言うことをまじめに聞いてもいいかと思います。しかし気にくわない政治屋さんに文句を言って国民の人気取りをしているようでは,彼に政治を任せたところで,何も変わらないでしょう。

ところできょうの画像は,佐野眞一の著作です。この人の本は何冊か読んでそれなりに面白かったのですが,いちばん傑作と思ったのは遠い「山びこ」です。次が「本コロ」ですかね。きっと今回の事件で中古価格が暴落するでしょうから,皆さんもブックオフ辺りでみつけてどうぞ(画像/MWS)。



追記(10月23日22時10分): 上の記事を書いたら翌日には下のような報道がなされています。怒り狂って暴走するからこんなことになるんですよね。見苦しい。





橋下市長:週刊朝日「鬼畜」発言謝罪 「完全に事実誤認」
毎日新聞 2012年10月23日 21時16分(最終更新 10月23日 21時32分)

 橋下徹大阪市長は23日、自身の出自に関する週刊朝日の連載を巡り、誤った認識に基づいて同誌を「鬼畜集団」と批判したとして、ツイッターに「おわび」を掲載した。橋下氏は、同誌が記事を掲載した週刊誌を実母に送りつけたとして批判していたが、そのような事実はなく、「勘違いしました」と釈明した。
 連載は、同誌が10月26日号で始めた「ハシシタ 奴の本性」。22日に橋下氏は、同誌がこの号を実母に郵送して「話を聞かせてほしい」と申し入れてきたと記者団に説明した上で、「こいつら異常ですよ。人間じゃない。犬猫以下。本当に鬼畜集団ですね」などと批判していた。
 橋下氏は23日、ツイッターで「訂正・おわび」と題し、「実母に送り付けた事実は存しませんでした。現物は実妹が購入してきたものです」と説明。同誌が実母へ送ったのは取材申し込みの文書だけだったとし、「以後、公言する際はしっかりと事実確認をしていきます」と陳謝した。
 橋下氏は同日、市役所で記者団に対し、母親の指摘で間違いに気付いたと明かし、「完全に事実誤認」と話した。ただ、「ツイッターのおわびで十分」として、週刊朝日側に直接謝罪はしないという。【津久井達】





2012年10月22日


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デジタル画像では画像間の演算ができるので,画像のなかに含まれている情報を強調したり弱めたりすることができます。きょうの画像は,ピントをずらした二枚の画像間で減算を行い,その結果得られる微細構造が強調された絵を,もう一度原画と合成したものです。10月12日付けで紹介した画像と同じ珪藻で,同じ画像を使っていますが,出来上がりのイメージはずいぶん異なり,被写界深度が大きめで微細構造がよくみえています。この手法は一種のアンシャープマスクともいえるもので,画像全体に同じ処理を施して原画に含まれる構造を抽出しているだけなので,"作り物"ではありません。考え方にもよりますが科学写真として許容されうる範囲ではないかと思います(画像/MWS)。








2012年10月21日


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20日の浦賀水道は暑くもなく寒くもなく,風に吹かれて海を眺めるのに最適な一日でした。次々と沖に出て行くタンカー,その背後の房総半島,静かに繰り返す潮騒,背中をほんのりと温める西日。秋のこのひとときは,日々の雑事に紛れて心に付着したほこりを叩いて飛ばすのに好適…とでもいえばいいでしょうか。皆さんも,とくに目的もなく,浜辺に出てみて下さい。そうですね,京急ストア(でなくてもいいですが)で適当なつまみとビールでも買って,ぶらぶらと浜辺でのどを潤せば,帰宅する頃にはまた風景が違って見えるかもしれません(画像/MWS)。








2012年10月20日


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珪藻のイメージングで難しいことは,全体の大きさと微細構造のサイズのバランスをとることです。大きくて立派な珪藻を撮影しようとすると,その珪藻の微細構造を再現するには大きな画素数が必要になることがよくあります。もし,微細構造と全体像を両立させたいのなら,なるべく小さな個体を狙うのがいいのです。珪藻は被殻サイズが大きくなったり小さくなったりしますが,微細構造の寸法は一定です。ですから,限られた画素数の中で微細構造と全体像を両立するには,小さな珪藻ほど有利なのです。きょうの画像は,大きな珪藻を撮影して微細構造が見づらくなった例です。通常ならボツにする絵ですが,たまにはこういうものも(画像/MWS)。








2012年10月19日


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「いつかは手に入る」と念じ続けると,まったく予想もしなかった方面から光が射してきて,ついには手元に転がり込んでくるという実例がきょうの画像です。このレンズは記憶が定かではないのですが,たぶん15年くらい前に存在に気付いて,ほしいなぁと思い続けてきたものです。自分で作ることも何度か挑戦しましたがすべて失敗しました。真ん中が凹んだ凸レンズで,光をリング状に集光します。なので暗視野透過蛍光検鏡のときに無駄になる光が減り,また入射角がある広がりをもつので照明範囲が広くなるという代物です。現在では落射蛍光法が一般的になり,この場合は光を無駄なく利用できる上に位相差などとの組合せも自由ですから,このレンズの重要性はかなり低下してしまった気もしますが,でも一度欲しくなったものはいつか入手したいわけです(笑)。

名前もわからないので,勝手にドーナツレンズと呼んでいましたが,存在そのものを知っている人が少ないので,このレンズの話をできる人も希でした。それが昨年はじめ頃に顕微鏡販売店の社長さんとお話ししていたら,「ああ,アンパンレンズのことですか」と普通にご存じでした。取扱経験も幾度かあったようでしたが,現在は在庫がないとのことでした。それからしばらくして顕微鏡の午後などという集まりでかくかくしかじか話をしていたら,参加者のお一人がこれをよく知っているということで,今度見かけたら確保しておくということで,そして目出度く筆者のもとにやってきたのでした。筆者が狂喜乱舞したことは言うまでもありません。時代の遺物でも宝物です。

というわけで,「関心を持ち続ける」ことの大切さを学んだ気がします。皆さんも,何か欲しいと思ったら,ずーっとこだわり続けて,あるときは話題にしてみるといいかもしれません。暗闇の時代が続いても,やがて光の勝利がやってくるかもしれないのですから(画像/MWS)。








2012年10月18日


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本が届きました。シャットネラという渦鞭毛藻の赤潮を主題に,赤潮生物の生理生態等をまとめた本で,一種の生物をとりあげたモノグラフは大変珍しいものと思います。著者はこの分野の大御所ですから,この本は多くの人に参考になることは間違いなく,また著者の長年の経験を読むことができるので科学読み物としても貴重です。

夏のはじめ頃に出版されたので買ってもよかったのですが,著者とは知り合いでもあるのであわよくばタダでもらえるのではないかと良からぬ期待をしていたのでした。しかし待てど暮らせど届く気配はなく,時折交わすメールでも話題ならず,まぁ筆者は対象外なのでした。それで先日の学会に行きましたら書籍販売コーナーにこの本が並んでいたので,一瞬買おうかと思いましたがぐっとこらえました。著者とも会って長時間話し込みましたが本はくれそうにない。その代わりに「白い恋人」を拝受しました…。

その後の懇親会でこの本が話題になり,「いやー,一冊もらえるかと思ったら来ませんでしたねー」と正直に告白したところ,参加者のN川さんが「それでは一冊送りますよー」とのこと。N川さん曰く,出たから買ったのだけど著者からも届いたから手元に二冊ある,とのこと。いやー言ってはみるものですねー。N川さんのお心遣いには感謝,感謝でございます。

こう書くと筆者がケチの極みみたいな感じですが,そうでもないのです。筆者は書籍が必要だと思ったらすぐにポンと買います。この本も2,400円と安いので悩むほどのことではありません。でも今回は,何というか,どこからか転がり込んでくるかもしれないような予感があって,その予感が当たるかどうか試してみたかったのです。中年オヤジになってから認識したのですが,欲しいものが「いつかは手に入る」と念じ続けていると,予想もしなかったルートから本当に入手できることがあるのです。皆さんもあきらめずに,あたまのどこかに欲しいものを常駐させてみてください。きっと良いことがありますよ(画像/MWS)。








2012年10月17日


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フランスのタイヤメーカさんが三つも星をつけてしまった山のてっぺんでは,ほんの少しだけ,もみじの先が色づきはじめていました。まだまだ山頂は気温が高く,本格的な紅葉には,あと一ヶ月はかかるでしょう。いつもお昼ご飯を食べる中腹では,例年ならきのこが大量発生してそろそろ終わる頃ですが,今年はカラカラでほとんど見つけることができません。それでも何とか見つけたのは,小指の先より小さなきのこ。画像をよくみるとありさんが写っているので,大きさがわかることかと思います。ちゃんと調べていませんが,たぶんコテングタケモドキでしょう。このきのこ,ちゃんと例年通り雨が降っていれば,体積計算でこの100倍にはなるはずです。乾燥しても無理やり出てきて,小型化するんですね(画像/MWS)。








2012年10月16日


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ずかんプランクトンで抜群のイラストを次々と生み出した友永たろさんの個展が阿佐ヶ谷で開かれます。きょうの画像はそのダイレクトメールですが,タイトルは『化石水族館』となっています。ふーむという感じがします。何が見られるのでしょう。ご案内はこちらにもあります。興味ある方,お近くの方,ずかんプランクトンをお持ちの方,覗いてみるのもいいかもしれません。JR阿佐ヶ谷駅北口から徒歩で数分のギャラリーOPPO。OPPOとは,尾っぽのことだそうで,なかなか骨のあるポリシーという感じがします…(画像/MWS)。








2012年10月15日


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都内やその近郊は大都市圏ですから,澄んでいるようでいても空気があまりよくありません。乾燥気味で細かい粒子が漂っていて,排ガスや各種の油煙,煙などもも含んでいます。そんな都会でも,雨が降ればずいぶんとよい空気になります。少しでも緑のあるところに入ればさらによく,呼吸がうんと楽になります。雨の中を歩けば,この時期は土から菌類の香りが立ち上ります。なんとも言えないよい匂いです。雨よけの東屋から霧に煙る郊外を眺めていれば肺が洗われるようです。落書きに記された若い人たちの記憶にほのぼのとしながら,少しのんびりといた時間を過ごしたのでした(画像/MWS)。








2012年10月14日


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13日は電子工学系の高級エンジニアをお迎えして情報交換となりました。28年を越えるつきあいのある大先生で電子関係の貴重な相談先でもあります。いつものように各種の刺身を並べて大宴会となりましたが知らないうちに時間が過ぎていき,二時間くらいのつもりが半日経過していました。。時を忘れることができるのは,仕合わせですね。

きょうの画像はそんなこととは全然関係のない,東京湾市川沖の海苔(一番摘み)とホンビノスガイの瓶詰めです。板海苔は東京湾が発祥地ですから本場の製品と言うことになるでしょうか。これを生産している福田海苔店の福田さんによれば,海苔は11-3月の収穫期のうちでも,11月の一番摘みの味が格別なのだそうです。筆者はかねてから東京湾の海苔が好みで,よい品質のものに当たれば他を凌ぐ味わいなのを知っています。しかし最近はよいものが出回らずに困っていました。だからこの一番摘みは開封するのが楽しみです。瓶詰めのほうは,ご存じの方も多いと思いますが,東京湾に外国から侵入した外来種,ホンビノスガイを収穫してたべてしまおうという試みです。この貝,ウチムラサキみたいに歯ごたえはあるけど旨味に欠ける感じの味なので,適度に味を補いながらのつくだ煮風は正解かもしれません。これも楽しみです。

このお土産,じつは日本プランクトン学会・日本ベントス学会秋期大会で購入したものです。さすがに海洋生物を専門に扱う学会だけのことはあって,"専門店"が出ていたのでした。店主が,筆者のポスター発表を聞きに来て下さる常連さんだったので嬉しくなり,ちょっとたくさん買い込んでしまいました(画像/MWS)。








2012年10月13日(2)


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どのような事故だったが,どの配管がどのように破損し,どこから放射能が漏れ,どこから水が抜けたのか,燃料がどのように過程を経てどのように移動して現在どの位置にあるのか,まだ何もわかっていないのです。事故は終わったわけでもなく,人の近寄ることのできない放射能まみれのプラントは爆発後にそのまま残っています。

そしてこの会社は,多くの人々が地震の危険性や津波の危険性を訴えてきたにもかかわらずそれを想定できないことを理由に無視を続けてきました。そして事故後は想定外だったから不可抗力と言い続けて原賠法を逃れようとしました。

それがここにきて,想定を上回る津波の可能性を突き詰めて考慮すれば対処できたとは,いったい何事でしょうか。

優秀な社員,善良な社員がいることも承知の上で言いますが,上のような見解を恥もなくさらけ出す東京電力の幹部は,一度地獄に堕ちるべきです。いや,我々が地獄に落とすべきと言った方がよいかもしれません(画像/MWS)。








2012年10月13日


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きのうと同じようなモノクロ画像をもう一つ。但しきょうの画像はピントをずらした二枚の画像を平均化したものを画像処理にかけています。ライレラと呼ばれる珪藻の一種ですが,けっこう凹凸があるのです。この画像ではそこそこのピント深さと先鋭度がバランスしていて,この珪藻の造形美が迫力をもって迫ってくるようにも感じられます。例によって撮影はNA=0.95の手抜きで,カメラはNikon1 J1です(画像/MWS)。








2012年10月12日


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珪藻被殻はモノクロ撮影が基本ですが,カラーのデジタルカメラの場合は画素の抜け落ちが発生するので特別な場合を除いて白色光での撮影となります。白色光ではコントラストが低くて珪藻の微細構造がかすれて見えますが,画像処理でモノクロ風に変換することができます。このとき大事なことが幾つかあって,まず無効拡大で撮影することと,画像処理の順番です。上の画像は十分に無効拡大して撮影したカラー画像をグレースケールに変換し,ヒストグラムを引き延ばしてコントラスト強調し,次に「輪郭以外をぼかす」コマンドで画像処理による画素の荒れ(輝度の違い)を平均化し,そのあとで縮小して,アンシャープマスクで引き締めたものです。撮影は乾燥系対物(NA=0.95)による手抜きですが,それなりに滑らかさのある絵になっているように思います。カメラはNikon 1 J1です(画像/MWS)。








2012年10月11日


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今回の学会会場となった東邦大学は手入れの行き届いた校舎もさることながら,何となく校風というか精神というか,教育的配慮が感じられる好ましい雰囲気が漂っていました。画像は実験室入り口に展示されていた化学天秤です。50代以上の方なら取扱経験のある方もいらっしゃることでしょう。金メッキされた分銅を載せ,さらに天秤の腕の部分にライダ(乗子)を載せてバランスを取り,指針の触れ幅から釣り合いポイントを探して秤量するのです。その操作の難しさと緊張は大変なもので,周囲をよく掃除して正しく天秤の前に座り,深呼吸して心を落ち着かせ,手が震えないように注意しながら使うという代物です。これらの操作は載せればおしまいの電子天秤からは想像もつかない難しさです。

この大学は,このような歴史的な機器を専用のショーケースを廊下にビルトインで設置して学生に示しているのです。説明を見れば「本学で1985年まで使用したもの」とのこと。もちろん建物よりもずっと古いのです。理学研究棟を設計するときに,歴史的な重要機器を展示して教育効果を高めるという狙いを誰かが持っていたとしか考えられません。学生がその存在に気付かずに通り過ぎたとしても,この大学は,このような教育的配慮ある素敵な先生がいるという点で,魅力的だと筆者には感じられます(画像/MWS)。








2012年10月10日


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山中伸弥教授がノーベル賞をもらうことになったようです。山中教授については本ページの2011年2月11日付けの記事で紹介していますが,ノーベル賞はまぁ当たり前で,もらえなかったら背後に悪意を感じざるを得ない,というくらいの業績の持ち主です。

ところでノーベル賞を創設したNobelさんは,どうしてそんな基金を積み上げることができたのかというと,爆薬を開発した人だからです。戦争ばかりでなく,採掘現場や土木工事などでも爆薬は必要で,世界中で使われているわけですから,よい爆弾ができればたいへんな収益をあげることができるわけです。爆薬として当時はニトログリセリンが知られていましたが,この化合物は不安定で衝撃を加えただけで爆発します。ですから事故が絶えなかったのです。ノーベルさんはこれを何とか使い勝手のよいものにしようと考え,珪藻土に吸わせる実験を行いました。すると,3.5ポンドのニトログリセリンを1ポンドの珪藻土に吸わせると,過剰なニトログリセリンが垂れることはなくなり,衝撃で爆発することがなくなりました。輸送,取扱,使用の各プロセスにおいても安全が確保されたのです。彼はこれでアメリカ特許を取得しています(U.S.Patent 78,317)。たくさんの収益があったことでしょう。

これだけでも当時は大革命だったのですが,ノーベルさんの頭のよいところは,珪藻土ダイナマイトの着想をさらにひろげ,珪藻土の選択肢を捨て,それ自体が爆発的な可燃性を持つニトロセルロース(固体)にニトログリセリン(液体)を吸わせ,さらに強力な爆弾を開発したことにあります。さらなる収益があったことでしょう。それで集めた財産がノーベル賞のお金となっているわけです。

ということで,山中伸弥教授の受賞を祝いながら,世の中に珪藻土があってよかったと思うことにして,さらに珪藻土の中の珪藻をみてみたい人はミクロワールドサービスを利用することにしませうー。画像は北秋田市に産出する珪藻土です(画像/MWS)。



*1 きょうのお話しは,Robert Calvert (1930): DIATOMACEOUS EARTH, The Chemical Catalog Company. New York, 251pp.からの引用です。珪藻土は産業的にも重要ですから,むかしはこんな本も出版されていたのです。

*2 珪藻土を袋から出して撮影したいところですが,そうすると珪藻が部屋中を舞うことになり製作中の標本にのっかってしまうなどということが起きかねません。それで袋越しの撮影となります。開封するときは換気扇の下か屋外です。こういう作業上の配慮も標本づくりでは大切な点です。





2012年10月9日(2)


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学会最終日は東日本大震災とプランクトン・ベントスに関するシンポジウムでした。大地震や大津波はプランクトン生態系,ベントス群集にどのような影響をもたらしたのか,第一線の研究者が専門分野の立場から詳しい報告を行いました。筆者にとっては心が震えるような内容で,それぞれの方の取り組みを食い入るように聴講させていただきました。このような大津波は定期的に起こるイベントとして認識しなければいけないこと,起きたことに対して研究者がどのようなプロジェクトで立ち向かっていくのかという組織論,現場観測から見た震災の影響,干潟生物の攪乱,海底生物群集の破壊,化学物質汚染,放射能汚染の広がりと今後といった問題,どの発表も水準が高く,大変な勉強になりました。どこにも楽しい研究,といった要素のないものですが,しかし使命感に満ちた発表者の仕事はぐっと来るものがあり,これはほんとうに大変な勉強だと感じました。

個人的にうれしかったのは,昨年釜石でお手伝いした研究者の方が精力的に研究を継続し,その結果をシンポジウムで報告してくれたこと。釜石以来の再会となりましたが,こういう場での再会はうれしいものです。お話しによれば,被災地での復興はまだまだこれからとのことで,私たちも何かお手伝いできることがあれば,今後も継続して協力していかねばなりません。

重い内容を取り扱ったシンポジウムでしたが,会場は満員,聴衆は真剣そのもので,企画は大成功以上の成果だったといえるのではないでしょうか。筆者は帰りの電車の中で,このシンポジウムに出席することにより得られた,「何か吹っ切れた感じ」が頭の中に生じているのに気が付きました。それが何なのかはまだよくわかりませんが,重くのしかかったストレスのひとつが取り除かれた感じです。たぶん「パワー」に関係したような何かをもらったような,そんな気がしています。

画像は放射能汚染の今後について講演する(テレビでもおなじみになった)石丸 隆教授です(画像/MWS)。



*1 石丸先生には大学院時代に大変お世話になりました。何でも知っている本当にスゴイセンセイです。つねにフィールドを大切にして,研究練習船の乗船日数(教官)のランキングで常にトップを争う位置にいる,常人には想像できないパワーを秘めた先生です。

*2 ネット上の情報を信じて石丸先生を「御用学者」だと思っている人がいるかもしれません。とんでもありません。この先生こそは,周囲がどうあろうと自分の判断で動くサイエンティストの鏡のような方です。嘘だとお思いなら,研究室まで出向いて1対1で話し合ってみてください。筆者が震え上がった(1996年頃)知性の持ち主です。発言のすべてに根拠と裏付けがあります。マスコミの流す表面的な印象からは何もわかりませんよ。

*3 会場となった大学構内にはアワタケとヤナギマツタケが大量発生しており,講演者の方とちょっとだけ遊ぶこともできました(^_^)





2012年10月9日


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日本プランクトン学会,日本ベントス学会合同大会に参加してきました。昨年は震災関係に時間を費やしたこともあって,今年は研究発表することができず,長い間続けてきた学会講演も途切れることとなりました。ですから学会には聴講者という立場で参加のわけですが,あまりにも知人が多く,会うのも久しぶりだったので,あっちでもこっちでも打ち合わせや近況報告という感じで,あっという間に時間が過ぎ去りました。夜になれば別の打ち合わせが入っていて長時間の討論となり,初日から午前様の帰宅。二日目も似たような感じで,講演を聴いてたいへん勉強になり,そのあとのいろいろな方との議論がまた面白く,学生時代にお世話になった先生方もお見えになり,脳みそフル回転のまま懇親会に突入。この懇親会がまた素敵で,東邦大学のスタッフ等が外来移入種の貝焼きを振る舞ってくれたり,炭火で焼きたてのくさやの差し入れ,それとなくくさやから距離をおく方々(笑)など,圧倒的に面白い時間が過ぎてゆくのでした。

さて帰ろうかと思えば,かつて筆者の顕微鏡講義を受けた北と南と西の大学院生たちが現れて,「オクセンセイと二次会やりたい」とのこと。なんてうれしいお誘いなのでしょう。翌日も朝からなのですが,そんなことは言っていられません。皆が集う機会はカネでは買えないのです。いまこの瞬間を大切にすべきです。ということで二日目も午前様で帰宅…。あまりにも充実した時間のお陰で,まったく疲れを感じません。お付き合いいただいた皆さま,そして学生の皆さん,ありがとう!! (画像/MWS)。



*1 自分が講演するという意味では今年は成果を残せませんでしたが,共同研究としては3本ほどの成果がありましたので,まぁ良しとしましょう,と自分に言い聞かせています。




2012年10月8日


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鏡筒長(投影距離)の問題が解決して,ようやくぴりっとした絵が出るようになった気がしています。ほんの僅かな違いなのですが,でも,ピントのピークがとらえ切れていないような,今ひとつしゃきっとしていないような曇った気分が晴れ上がるというのはいいものです。皆さんも自作のシステムで撮像している方は,ぜひ鏡筒長や投影距離を検討してベストの像が出るポイントを探してみてください。高NAの対物レンズを使うと問題がはっきりしやすいと思います(画像/MWS)。








2012年10月7日(2)


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この記事に関してコメント致しますが,これは,岡田副総理が100%正しいのです。筆者は地震直後から原発の爆発を確信し,11日から気象情報をトレースするとともに,放射能の放出が始まってからも全体的な傾向がどのようになっているのか見てきました。見積値はいろいろありますが,大気経由で放出された放射能は,少なくとも80-90%が太平洋方面に向かったのです。しかも総量だけでなく,最も濃い放射能を含んでいた大気の多くは海に流れました。もし原発災害が,いまのシーズンに起きたなら,流れ込む北東気流と降雨によって,放射能の大部分が陸地に向かい,福島県から茨城(数十〜数百μSv/h),千葉,東京(数μSv/h)を越える汚染域になった可能性が否定できません。いまこの程度の汚染で済んでいるのは,「幸運」以外の何者でもありません。岡田副総理の言葉は,事象を正確に認識していることを示しており,この人物が正しい危機意識を持っている可能性を示しています。

皆さん,よく覚えておいてください。日本のマスコミはどれだけ強調してもしきれない今回の原発災害の幸運を,一部の人物の個人攻撃のために,じづらをとらえて曲解するのだということを。

現在も避難が続いている方々が不幸なことは当たり前です。しかし風向きが北東気流だっただけで,福島県から北関東で数百万人が避難せざるを得ない事態になった可能性があるのです。政府の中枢部にいる人物がそのような危機感を持っているということは,批判どころか,正しい状況認識として肯定されるべきものと筆者は思います(文責/MWS)。



*1 このような記事は,偏向報道としては初級レベルでやさしく見分けがつくものと思います。しかし「印象操作」としては悪質です。

*2 マスコミが一斉にコレと同じような記事を流しているところに日本の悲劇があります。記者の判断能力が皆無なのか,偏向報道の指示が出ているのか。記事というのは発言の内容を吟味して,裏を取り,客観性や科学性とも突き合わせた上で,責任をもって発するものです。ところが,この記事では,「幸運」という「ことば」を使っただけで発言内容の検証もせず,岡田副総理の言葉選びがまずかったような印象を与えるような内容を表現しています。これでは井戸端会議のレベルにも達していません。記事を書いた人やこれを報道する会社の精神構造が問われます。

*3 このような偏向報道が一斉になされるときには,大抵,何か裏の動きがあると筆者は想像しています。最近では菅タタキが激しく行われたことが印象に残っていますが,このときも裏では産業界/経済界の激しい抵抗があったものと考えています。今回の一件だけからは判断できませんが,全体の方向を俯瞰していくことで力の流れはわかるかもしれないので,そのようなメタな観点から情報を追跡したいと思っています。





2012年10月7日


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これはsurirella gemma(旧名)と呼ばれている珪藻です。沿岸の泥の上から見つかることの多い珪藻です。被殻はひじょうに薄いシリカの薄膜で,とても細胞を保護しているようには思えません。少しでも無理に力を加えると割れてしまいます。珪藻を洗っているときに壊れてしまうものもあります。薄いのでコントラストは低く,Jシリーズとして封入した場合は,きょうの画像のように輪帯照明でもコントラストが出ません。

この珪藻,透明に見える薄い薄膜の部分に微細構造があります。かなり細かい構造で,通常は油浸レベルの検鏡で確認します。上級者であればNA=0.95の対物レンズでイメージングを行うことにより,見事な点紋列を確認できるでしょう。本種はそっくりな形態で殻の厚いものと薄いものがあるようで,厚みのあるものは若干コントラストが高いので確認も容易になります(画像/MWS)。



*1 最近の分類ではPetrodictyon gemmaと呼ばれますが,あまり通りがよくないようです。




2012年10月6日


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これはDL-TESTに使用した珪藻のひとつです。DL-TESTはミクロワールドサービスの珪藻標本の中でも注目されているもので,研究教育機関ばかりでなく,顕微鏡観察をはじめた方や,菌類や微生物系の観察をしている方もお求めになるケースが多いのです。低コントラストの位相物体なので,ちょうど,無染色の物体を水封入で検鏡しているときのコントラストと似ています。だから練習用標本として使えます。画像処理もふくめていろいろ練習して,この標本が美しく写せるようになったなら,水封標本も難なくきれいに撮影できるようになるのです。

DL-TESTは多数製作してストックしておくこともできるのですが,できるだけ注文主の要望にお応えできるように受注生産としています。多くの方は「おまかせ」なのですが,中には海外で製作されたこの種のスライドと比較するために種を指定するケースもありますし,写真撮影用標本としてのリクエストもあります。顕微鏡ユーザーのリクエストにお応えできることが一番なので,お決まりの珪藻を並べて作っておくことはしないのです。ジュウジケイソウを並べてくれとか,メガネケイソウが見たいとか,そういう注文もあるのです。

ところでこのDL-TEST,製作は本当に難しいのです。きょうの画像に示したディプロネイスなど,構造が複雑で封入剤がなかなか浸透しないのです。浸透する場合も,エアを追い出しながら浸透する場合と,エアを溶解しながら浸透する場合があるようで,後者のときは,封入剤が硬化するときに気泡が生じることがあるようで,珪藻に気泡が残ってしまいます。この場合,暗視野や偏斜照明では気になりませんが,透過明視野では気になります。気泡が1つ2つくらいなら許容範囲と考えていますが,たくさんあったらB品扱いで正規品にはできません。珪藻が100個並んでいたら,少しの気泡は許容いただきたいと考えているのですが,DL-TESTのように少ない珪藻数の場合はそうもいかないのです。だからDL-TESTは珪藻の数が少ない割りには高価になるのです(画像/MWS)。



*1 気分的にはもう少し値上げしたいのですが… がんばれるところまでがんばってみます…。

*2 値上げさせないひとつの方法は,まだお持ちでない方が買うことです…。

*3 DL-TESTはコントラストが低いので,光学系の欠点を残酷なまでに暴き出します。中古品販売などで染色標本の画像を載せて出品商品のアピールをしている場面を見かけますが,あれでは,よほどひどい欠陥品でなければ差が出ません。染色標本は光学系の優劣が出にくい標本なのです。染色標本を使い,しかも拡大率の低い絵を表示しているのは,一応は光が通過していることの参考にはなりますが,レンズの性能を示しているものとは言えません。珪藻を高い拡大率で撮影した画像を載せていれば,そのレンズの性能がかなりの程度推測できます。





2012年10月5日


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先日の記事でNikon1 J1と顕微鏡を接続すると,CMOSを接続した場合よりも鏡筒長が5mm短くなることを書きました。そこで書いた鏡筒長とは筒の外側から測った投影距離のことでした。球面収差補正量を見てみると投影距離はもっと伸ばす必要がありそうです。純正の部品で結合しているにもかかわらず不思議だったのですが,どうもカメラ内部の光学素子の光路長も真面目に考えなければならないようです。種々検討して,結局26mmほど投影距離を伸ばすと,機械的鏡筒長TL=160mmのまま投影できることがわかりました。これでこの問題は解決のはずで,一般検鏡では球面収差量を最小に追い込んだ像が得られることとなります。画像はその条件で撮影したヒトツメケイソウの仲間です(画像/MWS)。








2012年10月5日(2)


10月8日(月曜日)に,公開シンポジウム「プランクトンとベントス―3.11大地震と放射性物質の影響」(2012年度日本プランクトン学会・日本ベントス学会公開シンポジウム)が行われます。場所は東京海洋大学品川キャンパスです。品川駅港南口から徒歩15分ほどです。震災関連の報告となりますので,プランクトンを楽しむというわけにはいかない内容なのですが,ご関心のある方は聴講してみるのもよいかもしれません。案内はこちらにあります。筆者も勉強に行こうと思っています(画像/MWS)。








2012年10月4日


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改造用の部品を探しにジャンク屋さんに出向いたところフィルタが豊富な品揃え。最近ではあまりお目にかかれないものもあったので顕微鏡用にとまとめ買いしました。L39.3,L40,O1,R60,W12,V-COLORといろいろな種類です。これ,適当に色を見て買っているわけではないんです。型番をみてフィルタの色をみると頭の中に分光透過率のグラフが浮かぶので,用途が明確になり,所有しているフィルタとの違いもわかり,よし購入,となるのです。顕微鏡は光を扱う機器ですから,フィルタはいろいろなものを一通り持っているといいのです。顕微鏡では現在でもモノクロ撮影が有効ですが,銀塩写真用のモノクロフィルタはこれから少なくなることが予想されますので,見かけたら躊躇せずに連れて帰ることをお薦めします。そのためには,普段からフィルタの分光特性を理解しておくことが必要です(画像/MWS)。








2012年10月3日


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これは珪藻試料に紛れていた生物由来の鉱物です。貝殻の破片や,ナマコの骨片のように見えるもの,サンゴの破片に見えるものなどがあります。偏光法で見ると色づくものもあり結構おもしろく検鏡できます。Jシリーズの技術では,珪藻と同じくらいのサイズの鉱物を並べることができますので,サンプルさえ入手できればこうした標本も製作可能です(画像/MWS)。








2012年10月2日


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今年はJシリーズの供給もできる見込です。特注でのお申し込みでは震災以降も製作していましたが,ストックができるほどの量がありませんでした。珪藻在庫も徐々に増やしていますので,時間をみて製作していくつもりです。完璧に洗浄された珪藻が整然と並んだ美しさを多くの方々にお届けしたいと思います(画像/MWS)。








2012年10月1日


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きょうの画像は宇田道隆の「海と魚−潮目の話」岩波書店,昭和16年の一部です。この時代の本は相当にレベルが高いものが多い印象で,この本も小学生向けながら,植物プランクトンの基礎生産から動物プランクトンへの食物連鎖のつながりをやさしい言葉で手抜きなく解説しています。著者は宇田道隆ですから,大物中の大物ですね。昔はこういう大学者が自ら筆を進めて一般向けの書物を著すのが珍しくありませんでした。この本の巻末には索引があるのですが,その前のページに,「索引とは何か」という解説まであります。子どもたちに本物の学問を知って欲しいという宇田の気持ちが見えるようです。21世紀になっても,「索引とは何か」を知らずに,とにかくテストでよい点をとるために暗記に明け暮れている学生さんが多数存在しています。きっとその学生さんの周囲には,宇田のような先生がいなかったのでしょう(画像/MWS)。



*1 個人的には上記の文章で最も重要な部分は「かうして,いろいろな本を読みあはせてゆくうちに」だと感じます。索引を頼りに「いろいろな本を」調べるのです。かつて偏斜照明について調べていたとき,図書館にこもり,関連のありそうな本を片っ端から手に取り,索引を見て関連事項を見つけて「読みあはせ」たことがあります。山のような本を手に取ることになりました。また別のときは,顕微鏡が理論分解能に達した頃の検鏡法を調べるために,RMSのバックナンバー1800年代-1900年代について索引を頼りに「読みあはせ」たこともあります。かうして,筆者は,いろいろな本を読みあはせていくうちに,ほっておいたらバラバラなままの知識は網の目のように結びついてきて,現在に至る−というわけなのです。




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