本日の画像
ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。 日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します 【サイトトップ】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2008年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2009年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2010年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2011年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2012年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【11月】 【12月】 【2013年1月】 【2月】 【3月】 【今月】 2012年10月31日
ミクロワールドサービスのお客様は研究者,企業関係者,光学関係,顕微鏡観察家などいろいろなのです。どのように標本をご利用頂いているのかは,お便りがないとなかなか分からないので,ご満足頂いていることを願うばかりです。そして数は少ないのですがホームページなどに画像をアップして下さる方もいて,そんな画像を拝見させていただくと,それはもう,心から感謝の気持ちでいっぱいになります。きょうはそういったお客様の一人で,以前も紹介しましたが, こちら を再掲したいと思います。久しぶりに訪問してあちこち拝見しましたが,もう,ここまでやっていただくと,何というか恐れ多くて畏敬の念すら感じます。世界でも希少と思われる珪藻画家さんです。有り難いことです(画像/MWS)。 2012年10月30日
ミクロワールドサービスはあまりにもマイナーな存在なので,一般の人はまったく認知していないことと思います。しかしながらインターネットの時代ですから,検索などで『本日の画像』をみつけて,それ以来,あまりの素晴らしさに毎日見ているという方もおられるかもしれません。どんな検索用語で飛んでくるのかは筆者には想像もつきませんが,一部の方々については判明しています。けっこう多いのが「丸尾山砥石」ですね。砥石のページに反響があったりします。ほかには「珪藻」は普通として,「携帯顕微鏡H型」などというものもあります。 2012年10月29日
26日,28日の画像は少し無効拡大気味に表示していますので,甘い画像だと感じた方も多いかと思います。きょうは同じプレパラートから拡大率1/1.5にして表示しています(NAは同じ)。珪藻は40年ほど前の東京湾にいた,たぶんディプロネイスの一種と思われる珪藻で,このコーナーには初登場です。拡大率が少し落ちただけで,ずいぶんぼやけ具合が減ったのがお分かりいただけることと思います。この例でも明らかなように,拡大率をどのくらいにするかということは,見栄えと,見せたいものを表現するためにとても大事なポイントなのです(画像/MWS)。 2012年10月28日
珪藻の殻は単純な構造のものからひじょうに複雑な構造のものまで様々です。複雑なものでは,ピントを変えると別の構造が見えてくるものもいます。きょうの画像がその一例ですが,同じ珪藻を撮影していながら,表面に見える模様が異なっています。ただ画像だけ見せられたら,この二枚は別種と判断する人もいるかもしれません。ピントを変えて撮影することの大切さがよくわかります。光学顕微鏡では珪藻の表も裏も見えます。これは電子顕微鏡にない利点ですが,逆に表も裏も重なった像も得られるわけで,撮影や像の解釈には注意も必要です(画像/MWS)。 2012年10月27日
光学顕微鏡で撮影したデジタル画像を加工すると,走査型電子顕微鏡で撮影したイメージに近い物ができます。まず透過明視野で撮影したものをモノクロ画像にして,その画像をImageJを用いてbackgroundsubtraction処理を行い,その後に白黒反転し,ガンマやコントラストを調整します。これで背景が黒で珪藻被殻が白の画像ができあがります。珪藻被殻はガラス質でできていますから順光で見れば白く輝きます。ガラス質をイメージしやすいので白い被殻も悪くない感じです(画像/MWS)。 2012年10月26日
New Nikkor 200mm F4の筒を利用した筒長可変のシステムでテスト撮影した結果がきょうの画像です。まず接眼レンズを正しく160mm鏡筒長の位置にあることを確認し,物体を覗いてピントをあわせます。光路を切り替えてCMOSカメラの画像をモニタで確認します。ほぼピントは揃っていますが,微妙なズレがあるので筒長をかえて最適な位置を見つけます。その筒長でコントラストが最大になることが確認できるなら正しい位置です。絵をみればわかるように,何の問題もなく撮影できています。自由度のある接続方法としては悪くない印象です。撮影は例によってNA=0.95の手抜きで,輪帯照明,130万画素のモノクロCMOSカメラを使用しています(画像/MWS)。 2012年10月25日
New Nikkor 200mm F4は,しばらくその美しさを眺めたあとに,一度も写真撮影に使うことなく分解されてしまいました。この筒は長さが適当な上にフォーカシングで伸び縮みするので,Cマウントカメラなどの投影用鏡筒に最適と考えたのです。その目的を達するためにはレンズを抜く必要があるので,鳥屋さんなどでおなじみの「玉抜き」をすることにしました。幸い日頃からレンズをばらすのは慣れていますので,エタノールでネジ止めをゆるめつつ,5群5枚のレンズを抜き取りました。レンズは問題なく使えるので清掃後にまとめて保管ということになります。筒の方は元通りに組み直して出来上がりです。この玉抜き望遠レンズを,投影レンズを装着した三眼鏡筒部に取り付ければ長さ可変の投影用筒となります。内部の絞りは活かしたままにして,迷光カットの絞りとして機能させます(画像/MWS)。 2012年10月24日
レンズを買ってしまいました。パーツ探しに中古屋さん巡りをしていて探し当てたものです。ニコンの200mmf4,非Aiのニューニッコールです…と書くとマニアックすぎますかね。この時代のレンズはずいぶんと値崩れしていて,カメラ小僧だった中学生時代からは考えられないほどです。あのころ,ニッコールは高くて買えなかった。一本目はニコンレンズシリーズEズーム36-72mmf3.5でした。次は望遠が欲しかったけど買えなかったので,ニッコール85mmf2Ai(not S type)。ミヤマ商会の中古で\28.4k,高すぎですが当時の最安値でした。中学生がお年玉を貯めたお金を握りしめてぶるぶる震えながらレンズを買っていたわけです。三本目はトキナーSL300mmF5.6,\18.8k,フジヤカメラ。高校に入ってニッコール50mmF1.8Ai,キムラカメラ,価格は覚えていないが安かった。大学に入りトキナーのSL17mmF3.5。フジヤカメラで\18kくらいだったか。最後は大学院でトキナーAT-X M90mmF2.5でこれもフジヤカメラ。確か\18kくらいだったか。そしてきょうのレンズは新宿のアルプス堂で価格はふつうの寿司屋で「松」を頼んだくらいか(3.5k)。。安いというのは有り難いことでもあるのですが,こうして書いてみると何だか恐ろしい時代に生きている気がします。でも買っちゃうんだな,これが。 2012年10月23日
佐野眞一は執念ともいえる取材能力を発揮して読み応えのあるレポートを書く作家だと思っています。ですから佐野が橋下のことを書くならそれはまぁ,かなりえげつない部分もえぐりだしてくれるのだろうと思っていました。それが橋下vs朝日の対決で,朝日があっさりと白旗をあげてしまい,佐野も出てこなくなり,かなりつまらない方向に物事が動いているように見えます。これについてはなかなか興味深い分析がありますので, こちら を読んでみてください。 2012年10月22日
デジタル画像では画像間の演算ができるので,画像のなかに含まれている情報を強調したり弱めたりすることができます。きょうの画像は,ピントをずらした二枚の画像間で減算を行い,その結果得られる微細構造が強調された絵を,もう一度原画と合成したものです。10月12日付けで紹介した画像と同じ珪藻で,同じ画像を使っていますが,出来上がりのイメージはずいぶん異なり,被写界深度が大きめで微細構造がよくみえています。この手法は一種のアンシャープマスクともいえるもので,画像全体に同じ処理を施して原画に含まれる構造を抽出しているだけなので,"作り物"ではありません。考え方にもよりますが科学写真として許容されうる範囲ではないかと思います(画像/MWS)。 2012年10月21日
20日の浦賀水道は暑くもなく寒くもなく,風に吹かれて海を眺めるのに最適な一日でした。次々と沖に出て行くタンカー,その背後の房総半島,静かに繰り返す潮騒,背中をほんのりと温める西日。秋のこのひとときは,日々の雑事に紛れて心に付着したほこりを叩いて飛ばすのに好適…とでもいえばいいでしょうか。皆さんも,とくに目的もなく,浜辺に出てみて下さい。そうですね,京急ストア(でなくてもいいですが)で適当なつまみとビールでも買って,ぶらぶらと浜辺でのどを潤せば,帰宅する頃にはまた風景が違って見えるかもしれません(画像/MWS)。 2012年10月20日
珪藻のイメージングで難しいことは,全体の大きさと微細構造のサイズのバランスをとることです。大きくて立派な珪藻を撮影しようとすると,その珪藻の微細構造を再現するには大きな画素数が必要になることがよくあります。もし,微細構造と全体像を両立させたいのなら,なるべく小さな個体を狙うのがいいのです。珪藻は被殻サイズが大きくなったり小さくなったりしますが,微細構造の寸法は一定です。ですから,限られた画素数の中で微細構造と全体像を両立するには,小さな珪藻ほど有利なのです。きょうの画像は,大きな珪藻を撮影して微細構造が見づらくなった例です。通常ならボツにする絵ですが,たまにはこういうものも(画像/MWS)。 2012年10月19日
「いつかは手に入る」と念じ続けると,まったく予想もしなかった方面から光が射してきて,ついには手元に転がり込んでくるという実例がきょうの画像です。このレンズは記憶が定かではないのですが,たぶん15年くらい前に存在に気付いて,ほしいなぁと思い続けてきたものです。自分で作ることも何度か挑戦しましたがすべて失敗しました。真ん中が凹んだ凸レンズで,光をリング状に集光します。なので暗視野透過蛍光検鏡のときに無駄になる光が減り,また入射角がある広がりをもつので照明範囲が広くなるという代物です。現在では落射蛍光法が一般的になり,この場合は光を無駄なく利用できる上に位相差などとの組合せも自由ですから,このレンズの重要性はかなり低下してしまった気もしますが,でも一度欲しくなったものはいつか入手したいわけです(笑)。 2012年10月18日
本が届きました。シャットネラという渦鞭毛藻の赤潮を主題に,赤潮生物の生理生態等をまとめた本で,一種の生物をとりあげたモノグラフは大変珍しいものと思います。著者はこの分野の大御所ですから,この本は多くの人に参考になることは間違いなく,また著者の長年の経験を読むことができるので科学読み物としても貴重です。 2012年10月17日
フランスのタイヤメーカさんが三つも星をつけてしまった山のてっぺんでは,ほんの少しだけ,もみじの先が色づきはじめていました。まだまだ山頂は気温が高く,本格的な紅葉には,あと一ヶ月はかかるでしょう。いつもお昼ご飯を食べる中腹では,例年ならきのこが大量発生してそろそろ終わる頃ですが,今年はカラカラでほとんど見つけることができません。それでも何とか見つけたのは,小指の先より小さなきのこ。画像をよくみるとありさんが写っているので,大きさがわかることかと思います。ちゃんと調べていませんが,たぶんコテングタケモドキでしょう。このきのこ,ちゃんと例年通り雨が降っていれば,体積計算でこの100倍にはなるはずです。乾燥しても無理やり出てきて,小型化するんですね(画像/MWS)。 2012年10月16日
ずかんプランクトンで抜群のイラストを次々と生み出した友永たろさんの個展が阿佐ヶ谷で開かれます。きょうの画像はそのダイレクトメールですが,タイトルは『化石水族館』となっています。ふーむという感じがします。何が見られるのでしょう。ご案内はこちらにもあります。興味ある方,お近くの方,ずかんプランクトンをお持ちの方,覗いてみるのもいいかもしれません。JR阿佐ヶ谷駅北口から徒歩で数分のギャラリーOPPO。OPPOとは,尾っぽのことだそうで,なかなか骨のあるポリシーという感じがします…(画像/MWS)。 2012年10月15日
都内やその近郊は大都市圏ですから,澄んでいるようでいても空気があまりよくありません。乾燥気味で細かい粒子が漂っていて,排ガスや各種の油煙,煙などもも含んでいます。そんな都会でも,雨が降ればずいぶんとよい空気になります。少しでも緑のあるところに入ればさらによく,呼吸がうんと楽になります。雨の中を歩けば,この時期は土から菌類の香りが立ち上ります。なんとも言えないよい匂いです。雨よけの東屋から霧に煙る郊外を眺めていれば肺が洗われるようです。落書きに記された若い人たちの記憶にほのぼのとしながら,少しのんびりといた時間を過ごしたのでした(画像/MWS)。 2012年10月14日
13日は電子工学系の高級エンジニアをお迎えして情報交換となりました。28年を越えるつきあいのある大先生で電子関係の貴重な相談先でもあります。いつものように各種の刺身を並べて大宴会となりましたが知らないうちに時間が過ぎていき,二時間くらいのつもりが半日経過していました。。時を忘れることができるのは,仕合わせですね。 2012年10月13日(2)
どのような事故だったが,どの配管がどのように破損し,どこから放射能が漏れ,どこから水が抜けたのか,燃料がどのように過程を経てどのように移動して現在どの位置にあるのか,まだ何もわかっていないのです。事故は終わったわけでもなく,人の近寄ることのできない放射能まみれのプラントは爆発後にそのまま残っています。 2012年10月13日
きのうと同じようなモノクロ画像をもう一つ。但しきょうの画像はピントをずらした二枚の画像を平均化したものを画像処理にかけています。ライレラと呼ばれる珪藻の一種ですが,けっこう凹凸があるのです。この画像ではそこそこのピント深さと先鋭度がバランスしていて,この珪藻の造形美が迫力をもって迫ってくるようにも感じられます。例によって撮影はNA=0.95の手抜きで,カメラはNikon1 J1です(画像/MWS)。 2012年10月12日
珪藻被殻はモノクロ撮影が基本ですが,カラーのデジタルカメラの場合は画素の抜け落ちが発生するので特別な場合を除いて白色光での撮影となります。白色光ではコントラストが低くて珪藻の微細構造がかすれて見えますが,画像処理でモノクロ風に変換することができます。このとき大事なことが幾つかあって,まず無効拡大で撮影することと,画像処理の順番です。上の画像は十分に無効拡大して撮影したカラー画像をグレースケールに変換し,ヒストグラムを引き延ばしてコントラスト強調し,次に「輪郭以外をぼかす」コマンドで画像処理による画素の荒れ(輝度の違い)を平均化し,そのあとで縮小して,アンシャープマスクで引き締めたものです。撮影は乾燥系対物(NA=0.95)による手抜きですが,それなりに滑らかさのある絵になっているように思います。カメラはNikon 1 J1です(画像/MWS)。 2012年10月11日
今回の学会会場となった東邦大学は手入れの行き届いた校舎もさることながら,何となく校風というか精神というか,教育的配慮が感じられる好ましい雰囲気が漂っていました。画像は実験室入り口に展示されていた化学天秤です。50代以上の方なら取扱経験のある方もいらっしゃることでしょう。金メッキされた分銅を載せ,さらに天秤の腕の部分にライダ(乗子)を載せてバランスを取り,指針の触れ幅から釣り合いポイントを探して秤量するのです。その操作の難しさと緊張は大変なもので,周囲をよく掃除して正しく天秤の前に座り,深呼吸して心を落ち着かせ,手が震えないように注意しながら使うという代物です。これらの操作は載せればおしまいの電子天秤からは想像もつかない難しさです。 2012年10月10日
山中伸弥教授がノーベル賞をもらうことになったようです。山中教授については本ページの2011年2月11日付けの記事で紹介していますが,ノーベル賞はまぁ当たり前で,もらえなかったら背後に悪意を感じざるを得ない,というくらいの業績の持ち主です。 2012年10月9日(2)
学会最終日は東日本大震災とプランクトン・ベントスに関するシンポジウムでした。大地震や大津波はプランクトン生態系,ベントス群集にどのような影響をもたらしたのか,第一線の研究者が専門分野の立場から詳しい報告を行いました。筆者にとっては心が震えるような内容で,それぞれの方の取り組みを食い入るように聴講させていただきました。このような大津波は定期的に起こるイベントとして認識しなければいけないこと,起きたことに対して研究者がどのようなプロジェクトで立ち向かっていくのかという組織論,現場観測から見た震災の影響,干潟生物の攪乱,海底生物群集の破壊,化学物質汚染,放射能汚染の広がりと今後といった問題,どの発表も水準が高く,大変な勉強になりました。どこにも楽しい研究,といった要素のないものですが,しかし使命感に満ちた発表者の仕事はぐっと来るものがあり,これはほんとうに大変な勉強だと感じました。 2012年10月9日
日本プランクトン学会,日本ベントス学会合同大会に参加してきました。昨年は震災関係に時間を費やしたこともあって,今年は研究発表することができず,長い間続けてきた学会講演も途切れることとなりました。ですから学会には聴講者という立場で参加のわけですが,あまりにも知人が多く,会うのも久しぶりだったので,あっちでもこっちでも打ち合わせや近況報告という感じで,あっという間に時間が過ぎ去りました。夜になれば別の打ち合わせが入っていて長時間の討論となり,初日から午前様の帰宅。二日目も似たような感じで,講演を聴いてたいへん勉強になり,そのあとのいろいろな方との議論がまた面白く,学生時代にお世話になった先生方もお見えになり,脳みそフル回転のまま懇親会に突入。この懇親会がまた素敵で,東邦大学のスタッフ等が外来移入種の貝焼きを振る舞ってくれたり,炭火で焼きたてのくさやの差し入れ,それとなくくさやから距離をおく方々(笑)など,圧倒的に面白い時間が過ぎてゆくのでした。 2012年10月8日
鏡筒長(投影距離)の問題が解決して,ようやくぴりっとした絵が出るようになった気がしています。ほんの僅かな違いなのですが,でも,ピントのピークがとらえ切れていないような,今ひとつしゃきっとしていないような曇った気分が晴れ上がるというのはいいものです。皆さんも自作のシステムで撮像している方は,ぜひ鏡筒長や投影距離を検討してベストの像が出るポイントを探してみてください。高NAの対物レンズを使うと問題がはっきりしやすいと思います(画像/MWS)。 2012年10月7日(2)
この記事に関してコメント致しますが,これは,岡田副総理が100%正しいのです。筆者は地震直後から原発の爆発を確信し,11日から気象情報をトレースするとともに,放射能の放出が始まってからも全体的な傾向がどのようになっているのか見てきました。見積値はいろいろありますが,大気経由で放出された放射能は,少なくとも80-90%が太平洋方面に向かったのです。しかも総量だけでなく,最も濃い放射能を含んでいた大気の多くは海に流れました。もし原発災害が,いまのシーズンに起きたなら,流れ込む北東気流と降雨によって,放射能の大部分が陸地に向かい,福島県から茨城(数十〜数百μSv/h),千葉,東京(数μSv/h)を越える汚染域になった可能性が否定できません。いまこの程度の汚染で済んでいるのは,「幸運」以外の何者でもありません。岡田副総理の言葉は,事象を正確に認識していることを示しており,この人物が正しい危機意識を持っている可能性を示しています。 2012年10月7日
これはsurirella gemma(旧名)と呼ばれている珪藻です。沿岸の泥の上から見つかることの多い珪藻です。被殻はひじょうに薄いシリカの薄膜で,とても細胞を保護しているようには思えません。少しでも無理に力を加えると割れてしまいます。珪藻を洗っているときに壊れてしまうものもあります。薄いのでコントラストは低く,Jシリーズとして封入した場合は,きょうの画像のように輪帯照明でもコントラストが出ません。 2012年10月6日
これはDL-TESTに使用した珪藻のひとつです。DL-TESTはミクロワールドサービスの珪藻標本の中でも注目されているもので,研究教育機関ばかりでなく,顕微鏡観察をはじめた方や,菌類や微生物系の観察をしている方もお求めになるケースが多いのです。低コントラストの位相物体なので,ちょうど,無染色の物体を水封入で検鏡しているときのコントラストと似ています。だから練習用標本として使えます。画像処理もふくめていろいろ練習して,この標本が美しく写せるようになったなら,水封標本も難なくきれいに撮影できるようになるのです。 2012年10月5日
先日の記事でNikon1 J1と顕微鏡を接続すると,CMOSを接続した場合よりも鏡筒長が5mm短くなることを書きました。そこで書いた鏡筒長とは筒の外側から測った投影距離のことでした。球面収差補正量を見てみると投影距離はもっと伸ばす必要がありそうです。純正の部品で結合しているにもかかわらず不思議だったのですが,どうもカメラ内部の光学素子の光路長も真面目に考えなければならないようです。種々検討して,結局26mmほど投影距離を伸ばすと,機械的鏡筒長TL=160mmのまま投影できることがわかりました。これでこの問題は解決のはずで,一般検鏡では球面収差量を最小に追い込んだ像が得られることとなります。画像はその条件で撮影したヒトツメケイソウの仲間です(画像/MWS)。 2012年10月5日(2)
10月8日(月曜日)に,公開シンポジウム「プランクトンとベントス―3.11大地震と放射性物質の影響」(2012年度日本プランクトン学会・日本ベントス学会公開シンポジウム)が行われます。場所は東京海洋大学品川キャンパスです。品川駅港南口から徒歩15分ほどです。震災関連の報告となりますので,プランクトンを楽しむというわけにはいかない内容なのですが,ご関心のある方は聴講してみるのもよいかもしれません。案内はこちらにあります。筆者も勉強に行こうと思っています(画像/MWS)。 2012年10月4日
改造用の部品を探しにジャンク屋さんに出向いたところフィルタが豊富な品揃え。最近ではあまりお目にかかれないものもあったので顕微鏡用にとまとめ買いしました。L39.3,L40,O1,R60,W12,V-COLORといろいろな種類です。これ,適当に色を見て買っているわけではないんです。型番をみてフィルタの色をみると頭の中に分光透過率のグラフが浮かぶので,用途が明確になり,所有しているフィルタとの違いもわかり,よし購入,となるのです。顕微鏡は光を扱う機器ですから,フィルタはいろいろなものを一通り持っているといいのです。顕微鏡では現在でもモノクロ撮影が有効ですが,銀塩写真用のモノクロフィルタはこれから少なくなることが予想されますので,見かけたら躊躇せずに連れて帰ることをお薦めします。そのためには,普段からフィルタの分光特性を理解しておくことが必要です(画像/MWS)。 2012年10月3日
これは珪藻試料に紛れていた生物由来の鉱物です。貝殻の破片や,ナマコの骨片のように見えるもの,サンゴの破片に見えるものなどがあります。偏光法で見ると色づくものもあり結構おもしろく検鏡できます。Jシリーズの技術では,珪藻と同じくらいのサイズの鉱物を並べることができますので,サンプルさえ入手できればこうした標本も製作可能です(画像/MWS)。 2012年10月2日
今年はJシリーズの供給もできる見込です。特注でのお申し込みでは震災以降も製作していましたが,ストックができるほどの量がありませんでした。珪藻在庫も徐々に増やしていますので,時間をみて製作していくつもりです。完璧に洗浄された珪藻が整然と並んだ美しさを多くの方々にお届けしたいと思います(画像/MWS)。 2012年10月1日
きょうの画像は宇田道隆の「海と魚−潮目の話」岩波書店,昭和16年の一部です。この時代の本は相当にレベルが高いものが多い印象で,この本も小学生向けながら,植物プランクトンの基礎生産から動物プランクトンへの食物連鎖のつながりをやさしい言葉で手抜きなく解説しています。著者は宇田道隆ですから,大物中の大物ですね。昔はこういう大学者が自ら筆を進めて一般向けの書物を著すのが珍しくありませんでした。この本の巻末には索引があるのですが,その前のページに,「索引とは何か」という解説まであります。子どもたちに本物の学問を知って欲しいという宇田の気持ちが見えるようです。21世紀になっても,「索引とは何か」を知らずに,とにかくテストでよい点をとるために暗記に明け暮れている学生さんが多数存在しています。きっとその学生さんの周囲には,宇田のような先生がいなかったのでしょう(画像/MWS)。 Copyright (C) 2012 MWS MicroWorldServices All rights reserved. (無断複製・利用を禁じます) 本ページへの無断リンクは歓迎しています(^_^)/ トップに戻る |