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MWSが顕微鏡下の世界を伝えるコーナーです。 日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します 【サイトトップ】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2008年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2009年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2010年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2011年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2012年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2013年1月】 【2月】 【3月】 【今月】 原子力災害関係の記事だけを見たい人は こちら をどうぞ。 2011年8月31日
海の珪藻を検鏡していると,ときどきUFOが現れます。着陸用の脚までついていて,完璧なスタイルです。で,このUFOの本性は,Chaetocerosという珪藻が作る休眠胞子と呼ばれる特別な細胞です。もちろん,ケイ酸でできています。この細胞は海底の泥の上などでお休みするときに作られるもので,高等植物でいえば種子のようなものです(単細胞ですが)。筆者はこの特殊な細胞について専門的に調べたことがあります。休眠胞子については知られていないことが多すぎて,研究テーマはまだ山ほどあります。たとえば,このUFOの脚が,どんな役割を持つのか,まだ論文がありません。まぁ,論文があったからといって,何かが解明されたと思ったら大違いなのですけど(画像/MWS)。 2011年8月30日
夕暮れ時の写真は,露出が難しいですね。デジタルではラチチュードが狭いこともあってか,オートでぱちりと写しても,何かが違う雰囲気になることが多いです。夕暮れ時は特にそうで,筆者の使っているカメラではガンマ補正しないと,暗い感じの画像になってしまいます。上の画像は+1.3ほどガンマ補正したもので,この補正をかけてこそ, 2011年8月29日
ギョロメケイソウにも,もちろん微細構造はあります。あるのですが,これを見るのはたいへんです。個体によってはNA=1.4の対物レンズとコンデンサを使って照明波長400nmでも厳しいです。こういった個体でも365nmなら見えますが,この領域になると市販機材では対応できません。それでも一部の先端的なmicroscopistたちは,見えないものを見る努力を続け,ついには可視化してしまったりします。そのような努力が歴史を越えて行われてきた道具,それが顕微鏡です。筆者の個人的な感想では,こういった先端的なmicroscopistは国外に多く,世界最高レベルの顕微鏡を生産し続ける日本の国内では,あまり見かけません(画像/MWS)。 2011年8月28日
いろいろな珪藻を眺めていると,お気に入りが出てきます。筆者は珪藻の精密な構造に魅了されますので,きのうの珪藻や,一昨日,一昨昨日の珪藻などをたいへん好んでいます。が,きょうの画像の珪藻もお気に入りの一つです。こんなかっこええ珪藻が海の底にいるなんて不思議です。そして,ある形態に対して感情(好み)を生じる人間の脳にも不思議さを覚えます。きょうの珪藻はAuliscus属の一種で,和名ではギョロメケイソウ属ということになります。ギョロメは生物の本能に働きかけてインパクトを与えるのでしょうか(画像/MWS)。 2011年8月27日
研究用の標本を製作し,撮影に入っています。研究用の標本では,珪藻が壊れていても,破片であっても並べる必要があり,その手技には最高級のテクニックが求められます。珪藻はガラス質ですので,割れ,カケが生じたものは扱いが難しく,すぐにバラバラになってしまうからです。上の画像がその例で,フリッケア属の珪藻です。この珪藻は報告例が極めて少なく,標本を手にする機会も滅多にないことと思います。おそらく世界中にいると思うのですが,まとまって見つかることがなく,生態はよくわかっていないと思います。筆者は九州と関東から合わせて10被殻程度をみつけています。見つけるまでにかき分けた珪藻の数は,たぶん,一千万から数千万粒にもなろうかと思います。 2011年8月26日
検鏡の練習に珪藻プレパラートが最適なことは,このコーナーで繰り返し述べてきました。実際,当サービスが供給しているプレパラートであれば,教育用のものも含め,どれでも,基本的な練習から高度なイメージングの訓練まで使えます。筆者が顕微鏡の勉強を継続できたのも,技術の向上を確かめられたのも,20年ほど前に製作した一枚の珪藻プレパラートがあったからです。そういうわけですので,練習には必ずしも高価な検査板が必要なものでもなく,たとえばASK-01やDDM-STDなどの人気の高いプレパラートでも十分です。しかしこれらの散布標本では,毎回決まった珪藻を見つけるのが難しく,違う珪藻では像が異なりますので精密な練習にはなりません。この点,分解能検査板は決まった珪藻が常に見られるので,技量の差がはっきりします。きょうの画像はDL-TESTにマウント可能な種で,上がライレラ,下がキンベラの仲間です。毎回この微細構造のコントラストやピントの具合をみて,顕微鏡の状態や自分の技術を確認することができます(画像/MWS)。 2011年8月25日
当サービスの誇るプロフェッショナルスライドは,専門家が機器の調整やテストに使うことを目的に製作していますが,お買い求めになるのはアマチュアの方が多いかもしれません。アマチュアの方々はとても熱心で色々なことを深く調べていて,卓越した技術で顕微鏡を扱う方々がおられます。見えの追求,技術の向上自体を一つの目的として取り組む方も多く,素晴らしいことだと思います。技術向上にはよい標本を持つことがひじょうに大切で,当サービスは各種の珪藻標本を製作して,いろいろな目的に対応できるように努めております。上の画像は分解能検査板RL-TESTの撮影例です。自分で製作していながら,気を抜くとまともに構造が写らないという,とても繊細な構造を持つ珪藻を使っています。Amphipleura pellucida,和名をアミバリケイソウといいます。こういう珪藻も,どこかにいないかなと,探し回って見つけてくるのです(画像/MWS)。 2011年8月24日
海にうかぶプランクトン性の珪藻(浮遊珪藻ともいいます)の仲間には,細い毛や糸を持ったものが数多くいます。上の画像がその一例で,ツノケイソウの仲間,キートセロス・ローレンチアヌスです。細胞よりも,珪酸質の毛(専門的には刺毛といいます)がずっと長く伸びています。この刺毛は,水の抵抗を増して浮くのに役立っていると言われていますが,別の研究では,ここからも栄養を吸収しているとの結果もあります。ほかの珪藻では,珪酸質の毛を作る代わりに,粘液の糸を伸ばす種もいます。いずれにしても,水中に漂うには,細長い構造が役立つようです(画像/MWS)。 2011年8月23日
繊毛虫の極めて細い繊毛を明瞭に撮影するなら,微分干渉法が第一選択になるとお考えの方も多いことと思います。分解能を損なわずに高いコントラストが得られるからです。その反面,消光光学系を含むため,像は暗くなり,露出時間が増加しますので動く物体の撮影では不利になります。ところで,明視野法では絞りを開くと繊毛など全然写りませんが,コンデンサをギリギリまで絞り込むと,少しボケた繊毛が写ります。絞り込みの効果により対物レンズの性能が半分になってしまいますが,その反面,コントラストは高くなります。画像処理でさらに高めることもできます。そして消光光学系を含まないので,明るい像ができ,早いシャッターが切れるので,動いている物体でも写し止められます。被写界深度も深くなるので,微分干渉法のような浅いピントとは異なった像になります。 2011年8月22日
当サービスがJシリーズなどで提供している珪藻・ピンヌラリアは,流れのない池や沼を探すとよく見つかります。浅いところにある泥をそーっとすくって持ち帰り,それを検鏡してみると,すでに殻だけになったものや(上の画像),生きていて動くものが見られます。大きくて立派でカッコイイ種ですが,けっこうどこでも見つかる類の珪藻なので,夏休みの宿題?に調べてみてはいかがでしょうか(画像/MWS)。 2011年8月21日
海水中のプランクトンはいろいろいて楽しいものです。先日も,東京湾の表層水にこんなものが入っていました。真ん中の大きなヤツはたぶん,ウニの仲間の幼生です。スカシカシパンあたりでしょうか。。その周りには,数珠がつながったようなかたちのスケレトネマ,細い毛が出ているキートセロスが見えています。動物プランクトンは透明なものが多いので,そういうときは,ちょっと斜めから照明すると,コントラストがつき,立体感のあるような像ができます。上の画像はそうやって表現してみました(画像/MWS)。 2011年8月20日
筆者はシリンダーミクロトームの古いやつを一つ持っています。これでたまに木材などの横断面を作るときがあります。先月はイベント用に竹の切片とユズの枝の横断面を作りました。こういった木材はとても堅いので,カミソリなどを使うと一発で壊します。そこで鉋を使います。上の画像が一例ですが,実家に転がっていた,380円の古い鉋から抜き取った刃です。全鋼製で裏すきもいい加減なものですが,木材が相手なのでとても役立ちます。ひじょうに硬い材木などは,砥石を横に置いておき,一枚切片を切るごとに研ぎ直し,革砥をかけて,それから次の一枚を切り出します。こうして作った竹の薄片でも,誰も驚いてくれない…,これが世の中の実態だったりします。経験者が見ると,こりゃすごいねーと褒めてもらえるんですが。ということで,研ぎ技術がたまには製品に反映されることもあります。(画像/MWS)。 2011年8月19日
砥石の研ぎ面はつねに平面を維持していなければなりません。平面維持にはいろいろな方法がありますが,筆者は,多面法とでも呼ぶべきやり方で行っています。よく使う10本ほどの天然仕上砥石は,ランダムにすり合わせて平面をつくります。どの砥石と合わせても,水膜が均一で滑らかに滑走するようなら,精度の高い平面が出ています。この方法の一つのコツは,鉋を一枚持っておくことと,ひじょうに硬い合砥を混ぜておくことです。 2011年8月18日
筆者が切り出しを研ぎはじめたのは10年くらい前なのですが,特に必要だったわけでもなく,鋼材の感触を確かめたかったからなのでした。何しろ,刃物といえばホームセンターで買った格安の鉋,ノミ,ステンレスの安物包丁くらいしか持っていなかったので,いったい青紙一号という鋼材はどれほど素晴らしいのか,と興味を抱いたのでした。それで購入したのが,きょうの画像の切り出しです。 2011年8月17日
カバーグラスを500枚も清拭したので手がボソボソになってしまいました。こういうときには指先のリハビリにと,10分だけ切り出しを研ぎました。切り出しは簡単に研ぎ直しができて,切れ味もよく,姿もかっこよく(ここが大事),天然砥石で研ぐのも楽しいので,筆者のよき遊び相手です。そしてまた切り出しは,いい加減に研ぐと研ぎの汚さが露呈し,おのれの手抜きを鏡のように映し出します。たとえ10分でも,手抜きすることなく,きれいに面で研ぎます。 2011年8月16日
15日は,もう日も暮れかけてから,試料調達に出掛けました。いつもの定点なのですが,予想通りで,かわいい奴らがたくさん発生していました。上の画像のモノなど,誰が見てもにっこりしてくれるような可愛さです。下の画像は,原色の色彩が少ない日本の自然にあって,遠くからでも判別できる鮮やかさです。目的に叶いそうなものを4つだけ採取し,LEDライトを片手に下山して,先ほど帰りつきました。山の上でも,信じられないほど暑く,もう時代は変わってしまったのだと,毎年来るたびに思います(画像/MWS)。 2011年8月15日
上の画像は,『ヒートアイランド』尾島俊雄 著の図を撮影したものです。むかしは,当然,東京付近にもたくさんの河川があったのです。しかしそれらは,主に昭和の中期に,高度経済成長の美名のもとに,つぎつぎと廃止されていきました。その総延長は671キロメートルにも及ぶのだそうです。埋め立てられたものもあれば,コンクリートでフタをされた暗渠になっているものもあります。いずれにしても,東京にあったクールスポットは,人為的に,徹底的につぶされ,壊滅したのです。 2011年8月14日
ちょっと用事で郊外に出ましたが,暑いですね。夕方なのに33℃くらいあります。30年くらい前は,この時間なら30℃を切るくらいだったのですが,関東一円がヒートアイランドになってしまった現代では,もうそのような涼しさは望めないでしょう。それでも,河川の周辺は水のお陰で多少は涼しく,人々が涼を求めて集まってきます。市街地ならまだアスファルトが40℃以上で,犬の散歩など危険行為ですが,河川敷きなら大丈夫です。夏場の河川周辺は,とても貴重なクールスポットなのです(画像/MWS)。 2011年8月13日
デジタル時代になって,飛び回るワムシを追いかけ回して写すことが可能になりました。なかなかのスピードで動くので追うだけでも大変ですが,マウントする水の量を減らして,xy平面だけで動くようにして,コンデンサを深く絞り込み,対物レンズの性能を犠牲にしつつも深い被写界深度を確保します。ランプ出力は上げて,1/1000程度の高速シャッターを切ります。これで下手な鉄砲を撃ち続ければ,生きているワムシを写し止めることができます。上の画像はその一例ですが,高速で動く繊毛もほぼ止まり,細胞内の咀嚼器なども,多少の重なりはありますが,構造が判別可能な程度に写っています(画像/MWS)。 2011年8月12日
きのう紹介したスリレラの殻は,たとえばこんな形のものがあります。たいてい湾曲していて,葉っぱみたいな感じです。ふちが補強されたような構造に見えます。コントラストの弱い部分には,油浸対物レンズで上手に照明してやっと見えるくらいの微細構造があります。この珪藻,和名ではコバンケイソウという名前がつけられています。珪藻の分類では,和名よりも学名を使った方が調べ物が進むことが多いので,ぜひ,スリレラ(Surirella)という名前も覚えてしまいましょう。そうすれば,たとえば,googleにSurirellaと放り込んで画像検索すれば,それっぽい大量の画像が見つかります(画像/MWS)。 2011年8月11日
沼や池の泥をすくって検鏡してみると,スリレラという巨大な珪藻を見ることができます。けっこうどこにでもいる珪藻です。先日も千葉の小さな池から採取した試料を覗いていたらスリレラが出てきました。重厚な戦車が動くように堂々と移動していきます。よくみると,スリレラに別の珪藻が付着しています。珪藻の上に珪藻が住んでいるようです。木の上にヤドリギが生え,きのこの上にヤグラタケが生えるように,珪藻の上にも珪藻がいても不思議ではありませんが,どんなメリットがあるのでしょうか(画像/MWS)。 2011年8月10日
封入剤を垂らしてカバーグラスをかける。このとき,カバーグラスに重しを載せたいことがよくあります。植物組織などでは平面が出ていないものもあり,しっかりと押しつけたいのです。こういったときに専用のおもりがあれば便利なのですが,あいにく筆者は知りませんし,手頃なものもありませんでした。頭のよい人ならすぐに何かを思いついて使うのでしょうが,筆者はこの類の発想がまったくダメな部類の人間なので,何年もその場しのぎの方法でやっていました。ところが今年は,目の前の電池がカバーガラスのおもりに見えるじゃありませんか。やってみると重さがちょうどよく,面積もちょうどよく,ガラスも傷つけませんし,なかなか良い具合です。上の画像のように,地震が起きると震源の方向に倒れるというおまけ付きです(^^; 廃物利用で問題が解決すると,ちょっと嬉しい気がする小市民な筆者なのでした(画像/MWS)。 2011年8月9日
前回封入したサファイヤは無事にお得意様の手に渡りましたので,こんどは別のサファイヤを封入してみました。今回は封入剤を十分に硬化させて,サファイヤと同じ程度の屈折率にしてあります。1枚目の画像を見ればわかるように,表面の結晶構造が完全に消失して,インクルージョンが透けて見えています。サファイヤと封入剤の屈折率が揃っている証拠です。結晶の縁が若干色づくのは,分散の値が異なるからでしょう。 2011年8月8日
その日のうちに中央線にのらなければならない,という妙な用事が発生しましたので出掛け,用事が終わると何もすることがないので足を伸ばして清流に降り立ちました。すでに夕暮れで,積乱雲もくもく,遠くでゴロゴロという雰囲気でしたが,なんとなく落ち着きました。ここのところずっと忙しかったので…。筆者はこの川原から一山越えたところで長く過ごしたので,この川原も庭みたいなものです。所々に転がっている堆積岩を割って化石を探して遊び,日も暮れて真っ暗になってから帰路につきました。夏のお出かけは夕方からがラクです(画像/MWS)。 2011年8月7日
きのうの記事に対して,読者の一人が,10mWの光出力が危険性の一つの目安となるというわかりやすい記事を書いてくれました(こちら)。ありがたいことで,皆さんもぜひ読んでみてください。 2011年8月6日
紫色レーザーは405nm±10nm程度の波長純度なので,蛍光顕微鏡のV励起に最適な感じです。この波長では,多くの植物の葉緑体を効率的に励起することができ,クロロフィル由来の赤色蛍光を観察することができます。この赤色蛍光を検出すれば,いっけん生物がいないように見える試料の中に隠れている藻類などを簡単に見つけることができます。そこで,入手した100mW紫色レーザーと,日本光学の誇る携帯顕微鏡H型を使って,蛍光顕微鏡の配置で撮影してみました。レーザーは対物レンズの開口数よりも大きな開口角で照射して斜光暗視野の配置とします(上の画像)。接眼レンズの中には420nmのシャープカットフィルタを仕込んで,多少残存するレーザーの光を遮断します。透過蛍光顕微鏡の基本的な配置ですが,使ってみてびっくりです。下の画像のように,ひじょうに鮮明な赤色蛍光が確認できました。 2011年8月5日
レーザーは波長純度が高く輝度も高いので顕微鏡の光源に役立ちそうですが,実際に使ってみるとスペックルノイズがひどくて見られたものではありません。しかし最近は短波長のレーザーも安価になってきて,これを蛍光顕微鏡の光源とするなら,光った物体は自己発光体ですからスペックルノイズとは無縁になります(よね?)。などという屁理屈をつけて,405nm紫色レーザーや532nm緑色レーザーを仕入れました。安物買いの銭失いに限りなく近い製品ですが,木材などの自家蛍光を観察する蛍光顕微鏡用の光源としては十分使えることを確認しました。暗視野照明の配置で上手に照明すると,シャープカットフィルタがなくても蛍光観察ができます。一昔前までは考えられなかったことです。上の画像は筆者が各種実験用に使用しているレーザーです。以前から持っていた赤色レーザーは,主に回折現象の実演用と望遠鏡の光軸調整,ふつうのレーザーポインタとして使いますが,紫色レーザーは蛍光観察用に,緑色は天体観察用のポインタとして使えそうです(画像/MWS)。 2011年8月4日
今回の出先では,試料を顕微鏡で確認したかったので,日本光学の誇る携帯顕微鏡H型を持ち出しました。この顕微鏡には手製のホールスライドグラスや交換式のLED照明,コリメート撮影用レンズを装備していて,現場での顕微鏡写真撮影にも対応しています。東京湾の青潮発生直前の現場から,表層海水を2リットルほど汲んだのですが,これを目の細かい洋服の布地で1リットルほどろ過して濃縮した試料を検鏡してみました。珪藻がたくさんいるのは当然として,今回は鞭毛藻も活きのよいのがたくさんみられました。どちらかといえば鞭毛藻は夏場がシーズンです。上の画像は携帯顕微鏡H型を用いて出先で撮影したプランクトンです。真ん中のカッコイイ奴は,プロトペリディニウムという名の鞭毛藻だと思います(画像/MWS)。 2011年8月3日
1日の夜から2日の明け方にかけて,採集した各種サンプルの撮影を行いました。淡水あり海水ありの色々な面白い試料でしたが,夏場はとくに傷みが早いので,可能な限り迅速に撮影する必要があります。持ち帰りすぐに撮影を始めましたが,海水試料の一部は鮮度を失い,よい画像が得られませんでした。青潮が迫った悪水ということもありますし,水温が高いということもありますし,生物を濃縮しすぎという原因もあるでしょう。なかなか難しいものです。よい画像を得るいちばんのポイントはよい試料を入手することです。試料の状態が悪くなれば打つ手がありません。 2011年8月2日
1日は編集者とフォトグラファーの方とご一緒してプランクトンの採集や観察に関する打ち合わせ/撮影を行いました。千葉県よりの東京湾岸もサンプリングに訪れたのですが,サンプリングも終わる頃,海色がだんだん変化してきて,乳青色になりました。典型的な青潮です。恐らくは浦安沖の浚渫による深い穴で発生した貧酸素の水塊が市川沖〜船橋方面に流れてきたものと想像します。酸素がなくなると海水中の硫酸(SO4)の酸素が酸化に使われるようになり,酸素を奪われた硫黄のコロイドが生成します。これが乳青色の原因とも言われています。硫化水素泉と共通した色です。この水の中では好気性生物は住むことができずに死滅します。いま,ここの海底では,大量の生物が死に,屍が累々としていることでしょう(画像/MWS)。 2011年8月1日
『2011年 仮説実験授業研究会 夏の全国合宿研究会 福岡・宗像大会』では,小さな販売コーナーにも関わらず,たくさんの方にお越し頂きましてありがとうございました。筆者は,顕微鏡の世界の水先案内人として,webでは画像を,現物では標本を提供しているわけですが,何しろ日本ではマイナーな世界なので,興味関心を持ってもらえないのではないかと,いつも不安と戦っています。そんななか,小さな販売ブースにお越し頂き,デモの標本を覗いたり,気に入った標本をお買い上げ頂いたりすると,孤独な戦いも報われたように思い,すーっと気分が軽くなります。皆様,どうもありがとうございました。何かありましたら,遠慮なくメールを頂ければ幸いです。 Copyright (C) 2011 MWS MicroWorldServices All rights reserved. (無断複製・利用を禁じます) 本ページへの無断リンクは歓迎しています(^_^)/ トップに戻る |