画像のご利用について





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MWSが顕微鏡下の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


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原子力災害関係の記事だけを見たい人は こちら をどうぞ。


2011年8月31日


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海の珪藻を検鏡していると,ときどきUFOが現れます。着陸用の脚までついていて,完璧なスタイルです。で,このUFOの本性は,Chaetocerosという珪藻が作る休眠胞子と呼ばれる特別な細胞です。もちろん,ケイ酸でできています。この細胞は海底の泥の上などでお休みするときに作られるもので,高等植物でいえば種子のようなものです(単細胞ですが)。筆者はこの特殊な細胞について専門的に調べたことがあります。休眠胞子については知られていないことが多すぎて,研究テーマはまだ山ほどあります。たとえば,このUFOの脚が,どんな役割を持つのか,まだ論文がありません。まぁ,論文があったからといって,何かが解明されたと思ったら大違いなのですけど(画像/MWS)。








2011年8月30日


ps

夕暮れ時の写真は,露出が難しいですね。デジタルではラチチュードが狭いこともあってか,オートでぱちりと写しても,何かが違う雰囲気になることが多いです。夕暮れ時は特にそうで,筆者の使っているカメラではガンマ補正しないと,暗い感じの画像になってしまいます。上の画像は+1.3ほどガンマ補正したもので,この補正をかけてこそ,ビールを飲む気分も夕暮れ時の雰囲気が増すというものです。このコーナーでは,ふつうはだいたい,縮小とアンシャープマスク程度の画像処理ですが,輝度差の大きい夜景や日射しが強いときの画像などは,ガンマ補正もしています(画像/MWS)。








2011年8月29日


ps

ギョロメケイソウにも,もちろん微細構造はあります。あるのですが,これを見るのはたいへんです。個体によってはNA=1.4の対物レンズとコンデンサを使って照明波長400nmでも厳しいです。こういった個体でも365nmなら見えますが,この領域になると市販機材では対応できません。それでも一部の先端的なmicroscopistたちは,見えないものを見る努力を続け,ついには可視化してしまったりします。そのような努力が歴史を越えて行われてきた道具,それが顕微鏡です。筆者の個人的な感想では,こういった先端的なmicroscopistは国外に多く,世界最高レベルの顕微鏡を生産し続ける日本の国内では,あまり見かけません(画像/MWS)。








2011年8月28日


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いろいろな珪藻を眺めていると,お気に入りが出てきます。筆者は珪藻の精密な構造に魅了されますので,きのうの珪藻や,一昨日,一昨昨日の珪藻などをたいへん好んでいます。が,きょうの画像の珪藻もお気に入りの一つです。こんなかっこええ珪藻が海の底にいるなんて不思議です。そして,ある形態に対して感情(好み)を生じる人間の脳にも不思議さを覚えます。きょうの珪藻はAuliscus属の一種で,和名ではギョロメケイソウ属ということになります。ギョロメは生物の本能に働きかけてインパクトを与えるのでしょうか(画像/MWS)。








2011年8月27日


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研究用の標本を製作し,撮影に入っています。研究用の標本では,珪藻が壊れていても,破片であっても並べる必要があり,その手技には最高級のテクニックが求められます。珪藻はガラス質ですので,割れ,カケが生じたものは扱いが難しく,すぐにバラバラになってしまうからです。上の画像がその例で,フリッケア属の珪藻です。この珪藻は報告例が極めて少なく,標本を手にする機会も滅多にないことと思います。おそらく世界中にいると思うのですが,まとまって見つかることがなく,生態はよくわかっていないと思います。筆者は九州と関東から合わせて10被殻程度をみつけています。見つけるまでにかき分けた珪藻の数は,たぶん,一千万から数千万粒にもなろうかと思います。

ところで,ふつうは研究でも,散布標本を検鏡するのです。では何故筆者が研究用の標本でも拾い上げて並べてしまうかというと,その方が種数を見るためにはよいからです。出現がまれで,しかしそこに必ずいる,という種があります。こういった種は,プレパラートを何十枚〜100枚作って,その中に一つみつかるかどうか,といった頻度です。そういう種でも,珪藻を山と積み上げて,かきわけて探して集めておき,マウントして撮影すれば,失敗なくその種類の画像が得られるわけです。きょうの画像のフリッケア属珪藻も,プレパラート数十枚分の試料をかき分けて,たった一つの被殻が見つかっただけです(画像/MWS)。








2011年8月26日


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検鏡の練習に珪藻プレパラートが最適なことは,このコーナーで繰り返し述べてきました。実際,当サービスが供給しているプレパラートであれば,教育用のものも含め,どれでも,基本的な練習から高度なイメージングの訓練まで使えます。筆者が顕微鏡の勉強を継続できたのも,技術の向上を確かめられたのも,20年ほど前に製作した一枚の珪藻プレパラートがあったからです。そういうわけですので,練習には必ずしも高価な検査板が必要なものでもなく,たとえばASK-01やDDM-STDなどの人気の高いプレパラートでも十分です。しかしこれらの散布標本では,毎回決まった珪藻を見つけるのが難しく,違う珪藻では像が異なりますので精密な練習にはなりません。この点,分解能検査板は決まった珪藻が常に見られるので,技量の差がはっきりします。きょうの画像はDL-TESTにマウント可能な種で,上がライレラ,下がキンベラの仲間です。毎回この微細構造のコントラストやピントの具合をみて,顕微鏡の状態や自分の技術を確認することができます(画像/MWS)。








2011年8月25日


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当サービスの誇るプロフェッショナルスライドは,専門家が機器の調整やテストに使うことを目的に製作していますが,お買い求めになるのはアマチュアの方が多いかもしれません。アマチュアの方々はとても熱心で色々なことを深く調べていて,卓越した技術で顕微鏡を扱う方々がおられます。見えの追求,技術の向上自体を一つの目的として取り組む方も多く,素晴らしいことだと思います。技術向上にはよい標本を持つことがひじょうに大切で,当サービスは各種の珪藻標本を製作して,いろいろな目的に対応できるように努めております。上の画像は分解能検査板RL-TESTの撮影例です。自分で製作していながら,気を抜くとまともに構造が写らないという,とても繊細な構造を持つ珪藻を使っています。Amphipleura pellucida,和名をアミバリケイソウといいます。こういう珪藻も,どこかにいないかなと,探し回って見つけてくるのです(画像/MWS)。








2011年8月24日


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海にうかぶプランクトン性の珪藻(浮遊珪藻ともいいます)の仲間には,細い毛や糸を持ったものが数多くいます。上の画像がその一例で,ツノケイソウの仲間,キートセロス・ローレンチアヌスです。細胞よりも,珪酸質の毛(専門的には刺毛といいます)がずっと長く伸びています。この刺毛は,水の抵抗を増して浮くのに役立っていると言われていますが,別の研究では,ここからも栄養を吸収しているとの結果もあります。ほかの珪藻では,珪酸質の毛を作る代わりに,粘液の糸を伸ばす種もいます。いずれにしても,水中に漂うには,細長い構造が役立つようです(画像/MWS)。








2011年8月23日


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繊毛虫の極めて細い繊毛を明瞭に撮影するなら,微分干渉法が第一選択になるとお考えの方も多いことと思います。分解能を損なわずに高いコントラストが得られるからです。その反面,消光光学系を含むため,像は暗くなり,露出時間が増加しますので動く物体の撮影では不利になります。ところで,明視野法では絞りを開くと繊毛など全然写りませんが,コンデンサをギリギリまで絞り込むと,少しボケた繊毛が写ります。絞り込みの効果により対物レンズの性能が半分になってしまいますが,その反面,コントラストは高くなります。画像処理でさらに高めることもできます。そして消光光学系を含まないので,明るい像ができ,早いシャッターが切れるので,動いている物体でも写し止められます。被写界深度も深くなるので,微分干渉法のような浅いピントとは異なった像になります。

そして,デジタル画像では拡大縮小は自在なので,絞り込みで低下した分解能が目立たなくなる程度に縮小することが簡単です。すると,対物レンズ分解能の低下(1/2)を知った上で縮小することも念頭に撮影すれば,明視野でも良い絵が得られ,しかも動く物体に対して効果的ということになります。上の画像はその一例です(画像/MWS)。








2011年8月22日


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当サービスがJシリーズなどで提供している珪藻・ピンヌラリアは,流れのない池や沼を探すとよく見つかります。浅いところにある泥をそーっとすくって持ち帰り,それを検鏡してみると,すでに殻だけになったものや(上の画像),生きていて動くものが見られます。大きくて立派でカッコイイ種ですが,けっこうどこでも見つかる類の珪藻なので,夏休みの宿題?に調べてみてはいかがでしょうか(画像/MWS)。



*1 夏休みの宿題は最後の数日が勝負です(^^)/~ 筆者も例外ではありませんでした。





2011年8月21日


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海水中のプランクトンはいろいろいて楽しいものです。先日も,東京湾の表層水にこんなものが入っていました。真ん中の大きなヤツはたぶん,ウニの仲間の幼生です。スカシカシパンあたりでしょうか。。その周りには,数珠がつながったようなかたちのスケレトネマ,細い毛が出ているキートセロスが見えています。動物プランクトンは透明なものが多いので,そういうときは,ちょっと斜めから照明すると,コントラストがつき,立体感のあるような像ができます。上の画像はそうやって表現してみました(画像/MWS)。








2011年8月20日


ps

筆者はシリンダーミクロトームの古いやつを一つ持っています。これでたまに木材などの横断面を作るときがあります。先月はイベント用に竹の切片とユズの枝の横断面を作りました。こういった木材はとても堅いので,カミソリなどを使うと一発で壊します。そこで鉋を使います。上の画像が一例ですが,実家に転がっていた,380円の古い鉋から抜き取った刃です。全鋼製で裏すきもいい加減なものですが,木材が相手なのでとても役立ちます。ひじょうに硬い材木などは,砥石を横に置いておき,一枚切片を切るごとに研ぎ直し,革砥をかけて,それから次の一枚を切り出します。こうして作った竹の薄片でも,誰も驚いてくれない…,これが世の中の実態だったりします。経験者が見ると,こりゃすごいねーと褒めてもらえるんですが。ということで,研ぎ技術がたまには製品に反映されることもあります。(画像/MWS)。








2011年8月19日


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砥石の研ぎ面はつねに平面を維持していなければなりません。平面維持にはいろいろな方法がありますが,筆者は,多面法とでも呼ぶべきやり方で行っています。よく使う10本ほどの天然仕上砥石は,ランダムにすり合わせて平面をつくります。どの砥石と合わせても,水膜が均一で滑らかに滑走するようなら,精度の高い平面が出ています。この方法の一つのコツは,鉋を一枚持っておくことと,ひじょうに硬い合砥を混ぜておくことです。

ひじょうに硬い合砥は,少しも弾力がなく,また摩耗も少ないので,凹凸がすぐにわかります。中硬くらいの砥石(丸尾山の硬口くらい)で完全に平面に研いだ鉋刃を,ひじょうに硬い砥石に当ててみます。もしその砥石の平面が出ていれば,1分もあれば,鉋刃全体に砥石がかかるでしょう。もしその砥石が少しでも狂っていたら,鉋の中央だけが研磨されるか,あるいは,鉋刃の両耳に近い部分が研磨されるかのどちらかでしょう。このひじょうに硬い砥石を平面にできれば,他の砥石は簡単に平面維持できます。

シャプトンオレンジは,目が粗いので,仕上砥とは別に平面維持します。こちらの維持には大きめの大村砥の表裏を使っています。とても相性がよく,サラサラと慣らしているうちに平面が出てきます。もっとも,中砥の場合は,面なおしと同じくらいに,平面を維持しながら研ぐことが大事です。そうしないと,砥石の大半を面なおしで削って消費し,捨ててしまうことになるからです。

中砥でも合砥でも,きちんと平面が出ていれば,研ぎ時間がかなり短縮されます。1分も研げば,全体がきちんと研磨されるからです。全体がきちんと砥石に当たるまでに時間を消費する場合は,砥石か刃物のどちらか,あるいは両方が平面になっていないものと思います。平面を維持するのは,結局,作業時間の節約になります。しかし楽しさはアップするので長々と遊んでしまいます(^^;

上の画像は筆者の試し研ぎ用の鉋刃と,ひじょうに硬い尾崎産合砥,それに丸尾山の千枚です。どれも大事な宝物です(画像/MWS)。








2011年8月18日


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筆者が切り出しを研ぎはじめたのは10年くらい前なのですが,特に必要だったわけでもなく,鋼材の感触を確かめたかったからなのでした。何しろ,刃物といえばホームセンターで買った格安の鉋,ノミ,ステンレスの安物包丁くらいしか持っていなかったので,いったい青紙一号という鋼材はどれほど素晴らしいのか,と興味を抱いたのでした。それで購入したのが,きょうの画像の切り出しです。

この切り出しは,はじめ二段に研いであって,裏は輪郭をなぞっただけのものでした。研ぎ直しをしてみると,全体が捻れていて,まともな裏をつけることができません。これはひどいなぁと,どんどん研ぎ減っていきました。しばらくしてからとうとう我慢ができなくなり,一度裏を研ぎおろしてベタ裏に近いところまで持っていき,それから,凸面にした中砥で長い長い時間をかけて裏を掘りました。そのとき作った形がけっこう気に入ったので,そのまま使っています。

研ぎ直しは#1000(シャプトンオレンジ)からはじめて,#3000(スエヒロ),丸尾山黄色巣板の順に研ぐことが多いです。そこから先はその日の気分で石が変わりますが,上の画像では,丸尾山新大上,丸尾山千枚の順に研いで仕上げました。この切り出しは主にプラスチックのバリ取りに使っていて,そのために切っ先を尖らせてあります。このくらい尖っていると,研ぎには添え棒を使った方が仕上がりが早く,指にもやさしいです(画像/MWS)。








2011年8月17日


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カバーグラスを500枚も清拭したので手がボソボソになってしまいました。こういうときには指先のリハビリにと,10分だけ切り出しを研ぎました。切り出しは簡単に研ぎ直しができて,切れ味もよく,姿もかっこよく(ここが大事),天然砥石で研ぐのも楽しいので,筆者のよき遊び相手です。そしてまた切り出しは,いい加減に研ぐと研ぎの汚さが露呈し,おのれの手抜きを鏡のように映し出します。たとえ10分でも,手抜きすることなく,きれいに面で研ぎます。

購入時の切り出しや,骨董市で入手した切り出しは,ほとんどすべて,まともに研げてはいません。裏は適当になぞっただけ,全体によじれていたり,表は二段刃になっていたりと,ゴマカシのデパート状態です。こういった刃物をきれいな平面に研ぎ,きれいな裏を出しますと,一仕事終えたような良い気分です。作業自体は実に単純で簡単です。しかし気を抜くことはできません。もーこのくらいでいいかと,安易に仕上砥石に移ると,必ず失敗します。

筆者の経験によれば,切り出し研ぎの極意は,#600〜#1000程度の中砥の研ぎにおいて,刃先と切っ先まで完全平面になっていることを確認できるかにかかっています。砥粒が粗いので見てもほとんど分からないくらいの段差が残っていることがあります。これを見抜けないと,後で時間だけが消費されていくことになります。もちろん,中砥の平面をどれだけきちんとしているかが,大切になってきますし,手元が狂うなどは論外です。刃先を見てすぐに中砥に戻れる人は,たぶん研ぎの得意な人であろうと思います。全国221人の研ぎファンのことも考えつつ,そうやって筆者は指先のリハビリをしていたのでした。上の画像は筆者が持っている切り出しのうち,平面に研いでいるものです。修正中のものもあります(画像/MWS)。








2011年8月16日


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15日は,もう日も暮れかけてから,試料調達に出掛けました。いつもの定点なのですが,予想通りで,かわいい奴らがたくさん発生していました。上の画像のモノなど,誰が見てもにっこりしてくれるような可愛さです。下の画像は,原色の色彩が少ない日本の自然にあって,遠くからでも判別できる鮮やかさです。目的に叶いそうなものを4つだけ採取し,LEDライトを片手に下山して,先ほど帰りつきました。山の上でも,信じられないほど暑く,もう時代は変わってしまったのだと,毎年来るたびに思います(画像/MWS)。








2011年8月15日


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上の画像は,『ヒートアイランド』尾島俊雄 著の図を撮影したものです。むかしは,当然,東京付近にもたくさんの河川があったのです。しかしそれらは,主に昭和の中期に,高度経済成長の美名のもとに,つぎつぎと廃止されていきました。その総延長は671キロメートルにも及ぶのだそうです。埋め立てられたものもあれば,コンクリートでフタをされた暗渠になっているものもあります。いずれにしても,東京にあったクールスポットは,人為的に,徹底的につぶされ,壊滅したのです。

上の図をよくみてください。河川だけでなく,運河もたくさん埋められています。そして,東京湾も埋め立てられて,海面が狭くなっていることがわかると思います。東京湾の水面もクールスポットなのですが,それが遠くに移動してしまったのです。

これだけでも大変なことなのに,農地を潰し,丘陵地を宅地に変え,道路をアスファルトで固めて,水の行き場をなくしました。そして高層建築物という蓄熱体を敷きつめ,さらに,エネルギーを多量に消費する家電や自家用車が普及して熱を発生させます。

このようにして,日本人は,どのようにしても夜冷えない都市を造り出すことになりました。しかし現在生活している人々の多くは,その上で生まれ,育ってきたので,河川が潰されたことも知りませんし,緑地や水田を潰して都市が建設されてきたことも過去の記憶でしょう。もはや,ヒートアイランドの原因が何であるかに,気付くことも難しいと思います。こうなると,解決しようという動機も,もちにくいでしょう。こうして,我々は,先人の残していった負の遺産の上で過ごしていくことになります。

未来になればなるほど過ごしにくい世の中を作ってはいけません。我々の世代は,もーちょっと賢くなって,次の世代に迷惑をかけないように考えていかねばならないと筆者は思っています(画像/MWS)。








2011年8月14日


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ちょっと用事で郊外に出ましたが,暑いですね。夕方なのに33℃くらいあります。30年くらい前は,この時間なら30℃を切るくらいだったのですが,関東一円がヒートアイランドになってしまった現代では,もうそのような涼しさは望めないでしょう。それでも,河川の周辺は水のお陰で多少は涼しく,人々が涼を求めて集まってきます。市街地ならまだアスファルトが40℃以上で,犬の散歩など危険行為ですが,河川敷きなら大丈夫です。夏場の河川周辺は,とても貴重なクールスポットなのです(画像/MWS)。








2011年8月13日


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デジタル時代になって,飛び回るワムシを追いかけ回して写すことが可能になりました。なかなかのスピードで動くので追うだけでも大変ですが,マウントする水の量を減らして,xy平面だけで動くようにして,コンデンサを深く絞り込み,対物レンズの性能を犠牲にしつつも深い被写界深度を確保します。ランプ出力は上げて,1/1000程度の高速シャッターを切ります。これで下手な鉄砲を撃ち続ければ,生きているワムシを写し止めることができます。上の画像はその一例ですが,高速で動く繊毛もほぼ止まり,細胞内の咀嚼器なども,多少の重なりはありますが,構造が判別可能な程度に写っています(画像/MWS)。








2011年8月12日


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きのう紹介したスリレラの殻は,たとえばこんな形のものがあります。たいてい湾曲していて,葉っぱみたいな感じです。ふちが補強されたような構造に見えます。コントラストの弱い部分には,油浸対物レンズで上手に照明してやっと見えるくらいの微細構造があります。この珪藻,和名ではコバンケイソウという名前がつけられています。珪藻の分類では,和名よりも学名を使った方が調べ物が進むことが多いので,ぜひ,スリレラ(Surirella)という名前も覚えてしまいましょう。そうすれば,たとえば,googleにSurirellaと放り込んで画像検索すれば,それっぽい大量の画像が見つかります(画像/MWS)。








2011年8月11日


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沼や池の泥をすくって検鏡してみると,スリレラという巨大な珪藻を見ることができます。けっこうどこにでもいる珪藻です。先日も千葉の小さな池から採取した試料を覗いていたらスリレラが出てきました。重厚な戦車が動くように堂々と移動していきます。よくみると,スリレラに別の珪藻が付着しています。珪藻の上に珪藻が住んでいるようです。木の上にヤドリギが生え,きのこの上にヤグラタケが生えるように,珪藻の上にも珪藻がいても不思議ではありませんが,どんなメリットがあるのでしょうか(画像/MWS)。








2011年8月10日


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封入剤を垂らしてカバーグラスをかける。このとき,カバーグラスに重しを載せたいことがよくあります。植物組織などでは平面が出ていないものもあり,しっかりと押しつけたいのです。こういったときに専用のおもりがあれば便利なのですが,あいにく筆者は知りませんし,手頃なものもありませんでした。頭のよい人ならすぐに何かを思いついて使うのでしょうが,筆者はこの類の発想がまったくダメな部類の人間なので,何年もその場しのぎの方法でやっていました。ところが今年は,目の前の電池がカバーガラスのおもりに見えるじゃありませんか。やってみると重さがちょうどよく,面積もちょうどよく,ガラスも傷つけませんし,なかなか良い具合です。上の画像のように,地震が起きると震源の方向に倒れるというおまけ付きです(^^; 廃物利用で問題が解決すると,ちょっと嬉しい気がする小市民な筆者なのでした(画像/MWS)。








2011年8月9日


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前回封入したサファイヤは無事にお得意様の手に渡りましたので,こんどは別のサファイヤを封入してみました。今回は封入剤を十分に硬化させて,サファイヤと同じ程度の屈折率にしてあります。1枚目の画像を見ればわかるように,表面の結晶構造が完全に消失して,インクルージョンが透けて見えています。サファイヤと封入剤の屈折率が揃っている証拠です。結晶の縁が若干色づくのは,分散の値が異なるからでしょう。

インクルージョンはかなり見やすくなります。画像2枚目は,閉じこめられた空間に液体と気体が存在しているものですが,よくみると,その周囲にも,小さなインクルージョンがあって,その中にも液体と気体を含有しているものがあります。大きな液体/気体インクルージョンは,周囲から成長してきた結晶にじわじわと追い込まれつつも逃げた液体/気体が,最後に残された部分のようです。逃げ遅れた部分は細かなインクルージョンとなって周囲に散らばるわけですね。

このサファイヤは封入剤と屈折率が一致していますが,分散はそれぞれ異なるので,光の波長によっては,サファイヤの凸凹によって位相差が生じていると想像されます。そこで位相差顕微鏡でみてみると,明視野では見えなかったトライゴン的な構造が色つきで浮かび上がります。これの詳しい解説は本ページの読者のブログにお任せすることにして,ここではその美しさを鑑賞することとしましょう(画像/MWS)。








2011年8月8日


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その日のうちに中央線にのらなければならない,という妙な用事が発生しましたので出掛け,用事が終わると何もすることがないので足を伸ばして清流に降り立ちました。すでに夕暮れで,積乱雲もくもく,遠くでゴロゴロという雰囲気でしたが,なんとなく落ち着きました。ここのところずっと忙しかったので…。筆者はこの川原から一山越えたところで長く過ごしたので,この川原も庭みたいなものです。所々に転がっている堆積岩を割って化石を探して遊び,日も暮れて真っ暗になってから帰路につきました。夏のお出かけは夕方からがラクです(画像/MWS)。








2011年8月7日


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きのうの記事に対して,読者の一人が,10mWの光出力が危険性の一つの目安となるというわかりやすい記事を書いてくれました(こちら)。ありがたいことで,皆さんもぜひ読んでみてください。

ところで,筆者はきのう曖昧な書き方をしたのには理由があります。本ページを熱心にごらんになっている,自分で実験環境を構築できるような方々なら,10mWと聞いてピンとくるので何も問題ないのです。でも,ふつうに暮らしているふつうの方々は,そもそも,ワット(W)といっても,その意味を知らないのです。筆者は数百人の,理系,文系の学生にワットって覚えてますか?と質問をした経験があるのですが,ワットを知っている人はひじょうに希でした。5mW,50mW,500mWといっても,たぶんよくイメージできていないことでしょう。そして光の波長の方はもっとひどい認識で,可視光が約400nm〜700nmであることを知っている学生は非常に少なく,さらに,可視光のある波長が,『だいたい何色か』ということを知っている学生はもっと少ないのです。そういう現状では,波長がいくつとか,出力が何mWとか言っても,話が通じていないのです。

こういう方々は,レーザーで遊ぶ前に,光のお勉強をするべきです。その方が安全に扱えますし,何より知識がついて,遊んでも楽しさが倍増することでしょう。危険なことを行うには,それなりの知識と経験が必要で,さらにそれなりの準備と覚悟をもって行うことが望ましいのです。

ところで,筆者は10mW以上が取扱要注意のレーザーであることはもちろん認識していますが,1mWでも危険なものには違いがないとの認識で,出力が低くても慎重に扱います。ある波長の光が網膜面で30J/cm2の強度で傷害を引き起こすとしましょう。その波長のレーザーが3mWで,スポット径が非常に小さな場合,10秒照射でこのエネルギー蓄積量に達します。網膜細胞は積算でダメージを受けますから,いっけん閾値以下と思われる安全な光でも,照射時間によっては傷害を起こすのです。ですから,「まぶしい」と感じるすべての光源は,直接目に入らないように準備/取扱することが望ましいと思います。

さて,レーザーが危険なのはよく周知されているところですが,なぜ危ないのかというと,組み込み光源ではないからです。手で振り回してどこにでも照射できる強い光源,これが危ないのです。

最近は,ひじょうに強力なLEDライトが出現してきて,これらも,高出力レーザーほどではないものの,視力障害を引き起こすほどの出力があるので要注意です。とくに,網膜の光化学反応による傷害は,g線付近(436-440nm)の光でもっとも起きやすいことが明らかにされています。g線は単波長でみれば青紫色の光ですが,ほかの色と組み合わせるとこの色は消えてしまいます。最近の強力な白色LEDは,440nmに強いピークを持つ製品が数多くあり,この光で蛍光体を励起して黄色〜橙色の蛍光を発生させて,励起光と蛍光の両方の光で白色になるように設計されています。見た目には白でも,エネルギー的には440nmの危険な光を多く含んでいるのです。これの強力なやつを長時間直視すると,視力障害が起こる可能性がありますので注意しましょう。

顕微鏡もけっこう危険な要素を含んでいます。ハロゲン12V-100Wのランプを11V付近に設定し,NDフィルタとNCBフィルタを入れて検鏡するのはふつうの使い方です。検鏡中に,光路上からフィルタが全部外れれば,非常に強い光が目に入射します。筆者はこの照明条件のときに,標本面に小さな半導体温度計を置いて測定したことがありますが,じつに60℃以上の温度になりました。赤外線の直接加熱と可視光が熱に変換された二つの効果によるものです。顕微鏡も正しい取扱が大切です。

ハロゲンランプやタングステンランプは多量の熱を出していて,顕微鏡に内蔵の熱カットフィルタだけでは十分に取り除けていないケースも多いと思います。筆者は,ハロゲンランプで検鏡するときは最低でも1枚,多ければ5枚,熱カットフィルタを追加しています。

高分解能の検鏡では,440nmなどの短い波長で照明することがあります。これを直接目視して検鏡を続けると目に傷害(白内障など)を起こす可能性があります。400〜440nmの光は,網膜の感度がそれほどよくないので,あまり明るく感じません。しかしエネルギーはたくさん来ています。暗い部屋で実験すると,短い波長では,あまり明るく感じないのに,残像現象がかなり長く続きます。短い波長での検鏡は安全とは言いがたいので,筆者は,目視するときは緑色などを使い,400〜440nmの光はCCDやCMOSを使ってイメージングすることにしています。

白LED内臓の顕微鏡でも,440nmの光はたくさん出ています。照明は落とし気味に検鏡し,必要な場面で明るくするようなクセをつければ,網膜に与える積算エネルギーを減らせます。筆者の顕微鏡は上の画像のように,いろいろな波長のLEDに改造していますので,検鏡時にはそれにあった操作を行い,目を保護するように努めています。

とまぁ,こういった記事を30分ほどで書き上げることができたということは,筆者はいちおう,それなりの経験と知識があるということだと,自己診断しています(まだまだ勉強が足りていないのは事実ですが…)。なお,この話題に興味がある方は,『第7 光の鉛筆』をご覧下さい(画像/MWS)。








2011年8月6日


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紫色レーザーは405nm±10nm程度の波長純度なので,蛍光顕微鏡のV励起に最適な感じです。この波長では,多くの植物の葉緑体を効率的に励起することができ,クロロフィル由来の赤色蛍光を観察することができます。この赤色蛍光を検出すれば,いっけん生物がいないように見える試料の中に隠れている藻類などを簡単に見つけることができます。そこで,入手した100mW紫色レーザーと,日本光学の誇る携帯顕微鏡H型を使って,蛍光顕微鏡の配置で撮影してみました。レーザーは対物レンズの開口数よりも大きな開口角で照射して斜光暗視野の配置とします(上の画像)。接眼レンズの中には420nmのシャープカットフィルタを仕込んで,多少残存するレーザーの光を遮断します。透過蛍光顕微鏡の基本的な配置ですが,使ってみてびっくりです。下の画像のように,ひじょうに鮮明な赤色蛍光が確認できました。

試料は東京湾海水で,プランクトンが増殖して活性を失い,沈殿したものです。珪藻をはじめとして多くのプランクトンが死滅していますが,中には生きているものもいて,それらの保持する葉緑体が鮮明な赤色蛍光を放っているのが見えます。対物レンズはアクロマート10倍(NA=0.25),接眼レンズは10倍,これをデジタルカメラのコリメート法で撮影しています。水銀灯も使わず,フルオール対物レンズも使わず,これだけの蛍光画像が簡単に得られるのは,レーザーの輝度が高いお陰です。有り難いことです。

なお,老婆心ながら付け加えると,このような実験は,それなりの知識と経験がある方が,それなりの準備と覚悟をもって行うことが望ましいと筆者は考えます。高出力レーザーは,取扱を誤れば,簡単に回復不可能な傷害を引き起こします。ガラス面に照射すると言うことは危険な反射光が生じることでもあります。試みるときはじゅうぶんに注意してください。また,お子様のおられる家庭などでは,レーザーは,電池を抜くだけでは不十分で,ダイオード部分だけでも取り外して持ち歩くなど,時空間的に手の届かないところに保管すべきです。こんなピカピカ光って楽しそうなものは,ダメと分かっていても覗いてみたくなるものです。筆者が子どもの頃にこんな楽しいものがあったら,一瞬だけでも,目で覗いたことと思います。子どもの好奇心とは,そんなものだと思います(画像/MWS)。








2011年8月5日


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レーザーは波長純度が高く輝度も高いので顕微鏡の光源に役立ちそうですが,実際に使ってみるとスペックルノイズがひどくて見られたものではありません。しかし最近は短波長のレーザーも安価になってきて,これを蛍光顕微鏡の光源とするなら,光った物体は自己発光体ですからスペックルノイズとは無縁になります(よね?)。などという屁理屈をつけて,405nm紫色レーザーや532nm緑色レーザーを仕入れました。安物買いの銭失いに限りなく近い製品ですが,木材などの自家蛍光を観察する蛍光顕微鏡用の光源としては十分使えることを確認しました。暗視野照明の配置で上手に照明すると,シャープカットフィルタがなくても蛍光観察ができます。一昔前までは考えられなかったことです。上の画像は筆者が各種実験用に使用しているレーザーです。以前から持っていた赤色レーザーは,主に回折現象の実演用と望遠鏡の光軸調整,ふつうのレーザーポインタとして使いますが,紫色レーザーは蛍光観察用に,緑色は天体観察用のポインタとして使えそうです(画像/MWS)。








2011年8月4日


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今回の出先では,試料を顕微鏡で確認したかったので,日本光学の誇る携帯顕微鏡H型を持ち出しました。この顕微鏡には手製のホールスライドグラスや交換式のLED照明,コリメート撮影用レンズを装備していて,現場での顕微鏡写真撮影にも対応しています。東京湾の青潮発生直前の現場から,表層海水を2リットルほど汲んだのですが,これを目の細かい洋服の布地で1リットルほどろ過して濃縮した試料を検鏡してみました。珪藻がたくさんいるのは当然として,今回は鞭毛藻も活きのよいのがたくさんみられました。どちらかといえば鞭毛藻は夏場がシーズンです。上の画像は携帯顕微鏡H型を用いて出先で撮影したプランクトンです。真ん中のカッコイイ奴は,プロトペリディニウムという名の鞭毛藻だと思います(画像/MWS)。








2011年8月3日


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1日の夜から2日の明け方にかけて,採集した各種サンプルの撮影を行いました。淡水あり海水ありの色々な面白い試料でしたが,夏場はとくに傷みが早いので,可能な限り迅速に撮影する必要があります。持ち帰りすぐに撮影を始めましたが,海水試料の一部は鮮度を失い,よい画像が得られませんでした。青潮が迫った悪水ということもありますし,水温が高いということもありますし,生物を濃縮しすぎという原因もあるでしょう。なかなか難しいものです。よい画像を得るいちばんのポイントはよい試料を入手することです。試料の状態が悪くなれば打つ手がありません。

撮影枚数は7時間半で400枚程度でした。1時間に53枚。大半は生物を探したり追いかけている時間です。36枚撮りフィルム換算で11本。この撮影量はデジタル時代ならではのものと思います。一度にたくさんの仕事をこなせるという意味でもデジタルの力は大きいですが,それ以上に,下手な鉄砲を何百と撃てることの利点が大きいです。走り回って視野に入れることすら難しい繊毛虫類や鞭毛藻なども,たまに写るのです。生きたままの姿を写せるということは,試料の理想的な状態でもあります。泳ぎ回る珍しい種の画像が得られたときは,なかなかうれしい気分になるものです(画像/MWS)。








2011年8月2日


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1日は編集者とフォトグラファーの方とご一緒してプランクトンの採集や観察に関する打ち合わせ/撮影を行いました。千葉県よりの東京湾岸もサンプリングに訪れたのですが,サンプリングも終わる頃,海色がだんだん変化してきて,乳青色になりました。典型的な青潮です。恐らくは浦安沖の浚渫による深い穴で発生した貧酸素の水塊が市川沖〜船橋方面に流れてきたものと想像します。酸素がなくなると海水中の硫酸(SO4)の酸素が酸化に使われるようになり,酸素を奪われた硫黄のコロイドが生成します。これが乳青色の原因とも言われています。硫化水素泉と共通した色です。この水の中では好気性生物は住むことができずに死滅します。いま,ここの海底では,大量の生物が死に,屍が累々としていることでしょう(画像/MWS)。








2011年8月1日


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『2011年 仮説実験授業研究会 夏の全国合宿研究会 福岡・宗像大会』では,小さな販売コーナーにも関わらず,たくさんの方にお越し頂きましてありがとうございました。筆者は,顕微鏡の世界の水先案内人として,webでは画像を,現物では標本を提供しているわけですが,何しろ日本ではマイナーな世界なので,興味関心を持ってもらえないのではないかと,いつも不安と戦っています。そんななか,小さな販売ブースにお越し頂き,デモの標本を覗いたり,気に入った標本をお買い上げ頂いたりすると,孤独な戦いも報われたように思い,すーっと気分が軽くなります。皆様,どうもありがとうございました。何かありましたら,遠慮なくメールを頂ければ幸いです。

上の画像は展示用に製作したJシリーズです。ミクロの世界は驚きと感動の世界ですから,それを,展示の短い一瞬で伝えるように努力しました。これを一度みたら,一生忘れないことと思います。373個の珪藻被殻を祈るような気持ちで並べた製品です。さ,来年の宮城・松島大会でもがんばるぞー(画像/MWS)。








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