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MWSが顕微鏡下の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


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2008年11月30日


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珪藻の分類は被殻の構造を細かく調べなければならないので,なかなかたいへんな作業です。筆者が判別できる分類群など,ごくわずかといっていいくらいです。円盤状の珪藻は分類が特に難しく,属を言い当てるにも迷うほどです。そんななかで,特徴的な模様を持った種は,ある程度の確からしさで属まではわかります。上の画像でわかるように,この珪藻は6時の位置にぽっかりと穴が開いています。これはちょっとした傷や欠けではなく,しっかりとした穴なのです(下の画像)。ということは,アクチノキクルス属でいいのでしょう(ね?)。この珪藻は当サービスの誇る好評プレパラート,E-M1に入っていたものです(撮影/MWS)。





2008年11月29日


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珪藻化石(微化石)を研究するとどんなことがわかってくるのか,微化石研究者はどんな仕事をしているのか,そんなことを分かりやすく説いてくれる絶好の書籍が出版されましたので紹介します。この本は主に子ども向けとのことで,難しい漢字にはふりがなもあって,誰でも読めるものになっています。研究者の取り組みが順を追って平易に述べられていて,大人にも,微化石研究の入門書としてたいへん優れた内容となっています。珪藻化石,特に休眠胞子の研究が中心に記述されていて,珪藻好きの人は必見です。独創的な内容で,世界的に見ても類書は存在しません。ぜひ,内容をお確かめになることをお薦めいたします。『0.1ミリのタイムマシン−地球の過去と未来が化石から見えてくる』,須藤斎 著,くもん出版,2008.11,1400円(撮影/MWS)。





2008年11月28日


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11月25日の画像ではダストに沈む大都市圏を紹介しましたが,きょうは空気がきれいな場合の水平線の画像です。相模湾沖の画像ですが,水平線近くではさすがに大気厚さの影響でもやがかかりますが,都心部のようにダストの色合いが濃くなるようなことは見られません。詳細に見れば相模湾は都市圏に近いので,これでもやや濁りがあります。人間活動の影響をあまり受けない遠方では,星が海に沈む様子が見られると聞きますが,筆者はまだ未見です(撮影/MWS)。





2008年11月27日


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これは珪藻を並べたテストプレートの部分拡大で,受注制作したものです。カバーグラスは9×9mm(通常の1/4の面積),その中央部に12個体の珪藻が並んでいます。四隅には珪藻と同じ厚みの海綿骨針を入れて,珪藻が潰れるのを防ぎ,同時に平面性を確保しています。テストプレートにもいろいろなレベルがあり,珪藻を並べただけのものから,特殊検鏡法に適合する高度なものまであります。特注品として要望をお知らせくださったお客様には,最適なプレートとなるように設計し,細心の注意を払って製作しています(撮影/MWS)。





2008年11月26日


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きのうダストに覆われる都市圏を紹介しましたが,きょうの画像はダストそのものです。鉄筋コンクリート建築物の壁面は洗ってもすぐにダストで灰色に汚れてしまいます。その汚れを蒸留水とブラシで採取して水マウントで検鏡したのが上の画像です。油浸対物レンズを用いて,高倍率で撮影しましたが,きわめて小さな粒子が目につきます。黒っぽい粒々は0.0002〜0.001ミリメートル(0.2μm〜1μm)の大きさで,ディーゼル車の排気ガスを由来とする粒子(DEP)が多いものと推測されます。このサイズになると,呼吸により肺にまで容易に到達しますので,大気中の排ガス粒子などの有害成分濃度は,できる限り低く抑えなければなりません。いま都心でやらなければならないことは,高層建築物を次々と建てる(認可する)都市再生ではなく,自動車(排ガス)を減らし,可能なスペースすべてに樹木を植える,環境政策です。きのうは遠景写真を根拠にそのことを主張しましたが,都心のチリを顕微鏡で観察しても同じ主張ができるのです(撮影/MWS)。





2008年11月25日


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森林は大気の浄化装置です。空気が森林を通過するとき,漂うチリやホコリは流線上に存在する木の葉や枝やクモの巣にぶつかり,捕らえられてしまいます。そこに毎朝降りる朝露の作用でしっかりと固定され,やがて降雨によって土壌に運ばれます。だから森林を通過した大気はきれいになるのです(上の画像)。一方,大都市には森林がありませんので,チリはいつまでも漂います。もし湿った土があれば着地して,そこで固定されるのですが,都会では土壌もコンクリートでフタをされています。するといったん着地したチリは再び舞い上がります。大都市の湿度は年々低下していて,もう相当に昔から,朝露という現象は見られなくなっています。この結果,大都市はチリ(ダスト)で覆われることになります。下の画像は東京郊外から都心方面を望んだもので,快晴にもかかわらず,大都市圏がダストに沈んでいる様子が明瞭に見られます。この画像を見ればもはや明らかでしょう。大都市圏にほんとうに必要なものは,高層オフィスビルでも,マンションでもなく,高速道路でもなく,緑と土なのです(撮影/MWS)。





2008年11月24日


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23日の相模湾は比較的風が強く,通常ならサンプリング日和とは言えない条件でした(画像上)。しかし今回の目的はプランクトンネットによる採集でしたので(画像下),多少の荒れは歓迎です。海産珪藻には,未だ生活史が不明なものが多く,どうやってサンプリングを行えばいいのか見当がつかない種がかなりいます。そのような種でも,プランクトンネットに,時たまに入ることは昔から知られています。そこで,多少荒れ気味の日にプランクトンネットで採集すれば,浮遊生活種も,巻き上げられた底生生活種も,両方採集できて好都合というわけです。で,その結果は… なかなかうまくいなかいようです(撮影/MWS)。





2008年11月23日


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22日の関東地方は朝から快晴で,お散歩日和でした。筆者も久しぶりに郊外の空気を吸いに外出しましたが,青空が美しく,何度も空を見上げては,空の色を楽しんでいました。空が黒ではなくて青いのは,大気分子による散乱(レーリー散乱)のためと説明されています。この散乱光は,大きな粒子によるミー散乱とは違い偏光性があります。太陽から90度の位置にある空からの光は特に大きな偏光性を持つとされています。ですから,青空をバックに映える被写体を見つけたときは,太陽の方角を気にしながら構図を決め,偏光フィルタで空の青さ(濃さ)をお好みに調節して撮影するというのが,筆者の中学生時代からの作法です。上の画像はそうやって撮影した錦秋の銀杏です(撮影/MWS)。





2008年11月22日


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これは巻貝(ウミニナ)のフンです。愛媛の干潟泥から珪藻を採取した残りをペットボトルに入れて,海水を注いでおき屋外に放置したら,ウミニナが発生してきたのです。同時に海藻や珪藻,繊毛虫も発生してきて,過酷な東京の気候にも負けることなく現在にいたっています。このフンは藻類を摂取したものらしく,珪藻の殻などがちらほら見えますが,その他に大量の藻類が付着しており,フンから発生する栄養を頼りに生きているようです(上の画像)。拡大すると珪藻らしき姿が見え(画像2枚目),蛍光顕微鏡で見ると葉緑体の赤色蛍光がはっきり確認できます。干潟の泥に海水を注いで放置しただけで,巻貝と珪藻,それに原生生物や細菌類などで構成される小さな生態系ができているのです(DF/epiFL,撮影/MWS)。





2008年11月21日


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珪藻の被殻は表と裏で模様が異なることがあります。これは種によるのですが,当サービスで供給しているプレウロシグマなどはその代表格でしょう。上の画像は中心部の表面にピントを合わせたもので,縦溝のスリット状構造が曲がって見えます。下の画像は少し内部にピントを合わせたもので,まっすぐな縦溝の終点が見えます。この違いは電子顕微鏡でも確かめられています。光学顕微鏡はピント位置を変えるだけで内部が見えますから,注意深く観察すると表と裏側の模様を見ることができます(oblique,撮影/MWS)。





2008年11月20日


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きのうに引き続き,特殊検鏡法に使うテストプレパラートの試作を行いました。すべての材料に最高の資材を投入し,珪藻被殻は,入手そのものが困難な大型珪藻の増大胞子を包む鱗片を用い,封入剤はこれ以上不可能なほど薄くしてあります。被殻そのものが薄いため,封入剤の厚さはきのうの試料の数分の1です。上の画像は40倍対物レンズ(開口数0.95)によるものですが,きわめて薄い物体のため,ほとんどコントラストが出ません。下の画像はコントラスト強調を行ったものですが,繊細な微細構造が視野全面にフラットフィールドで浮かび上がるのがわかると思います。この撮影条件では,焦点深度は光の波長の半分程度です(300nm)。全面にピントが合っているというのは,たいへんなことなのです(oblique,撮影/MWS)。





2008年11月19日


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珪藻は古くから顕微鏡対物レンズのテスト試料として用いられてきました。160年を超えるその歴史のなかから,倍率(開口数)に応じて使われる種も選ばれてきました。しかし,それらの種が光学的な観点から最適な種というわけではありません。単に周期構造が対物レンズの分解能テストにふさわしいというだけのことです。焦点深度や封入剤の屈折率,物体の厚み,物体と封入剤の屈折率差,照明法,コントラスト法など,各種の条件を考えると,過去にテスト試料としてふさわしいとされた珪藻は必ずしも適していません。そこで最先端の検鏡法でもテスト試料として耐えうるプレパラートの開発を行っています。上の画像は試作品で,トリゴニウムという珪藻を割って平面構造を採取し,これを可能な限り薄い封入剤でマウントしたものです。高倍率(40倍対物レンズ,開口数0.95)を用いての撮影ですが,整然とした周期構造が,高度なフラットフィールドで浮かび上がり,視野全面でピントが合っています(oblique,撮影/MWS)。





2008年11月18日


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発光ダイオードは量子効果で発光している以上,基本的に単波長の光を放出します(半値幅は数十nmありますが)。単波長の光(可視光線)には必ず色がついていますから,白色の光は出てきません。しかし市販の発光ダイオードは白色のものもあります。このタイプの発光ダイオードは,窒化ガリウムの発光体(通常は青色)を中心に置き,その青色で照らされると黄色っぽく輝く蛍光体を上から広く塗布してあります(上の画像)。すると,発光体自身の青色光と,蛍光体の黄色っぽい光が合わさって「目で見て白く見える」光ができあがります。下の画像は白色発光ダイオードに微弱な電流を通して撮影したもので,青っぽく光る窒化ガリウムと黄色っぽい光を発する蛍光体の部分が判別できます。もちろん,この発光部分は反射傘の上に作られていますから,後ろに逃げる光は前方に返されています(撮影/MWS)。





2008年11月17日


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発光ダイオードは各色単波長の照明ができますので,モノクロ写真用途やアクロマートでシャープに見たいときなど重宝します。上の画像は筆者が観察用照明としてよく使う緑色発光ダイオード(波長526nm)ですが,凹面カップの中央に黒色の窒化ガリウム結晶が載っており,金のリード線が2本接続されているのが見えます。これに,きわめて微弱な電流を通して撮影したのが下の画像です。窒化ガリウム結晶そのものが発光していることがわかります。周囲の凹面金属カップもリング状に光っていますが,これは窒化ガリウム結晶が四方に放った光を前方に反射しているためです。発光ダイオードは光を無駄にしないために,きのうお話をした反射傘がちゃんと内蔵されているのです(撮影/MWS)。





2008年11月16日


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14日深夜の東京湾は風も穏やかで気温も高く,サンプリングに好適でした(上の画像)。相模湾沿岸と比べても東京湾は空が明るく,主要な作業がライトなしでできるほどです。露出時間で見ると約10倍の明るさで,ということは10倍もの光エネルギーが無駄に空へ放出されているわけです。深夜なのに夕焼けのように写ってしまうのは,ナトリウムランプのD線(オレンジ色)が雲や大気中の塵に反射していることが原因です。このような空が明るくなる現象を光害と呼びます。昔は上を向くだけで星々が目に飛び込んできたのですが,いまはお金をかけて遠くに出かけても,光害ばかりを拝む状況です。夜間照明の必要性はいうまでもありませんが,照明に反射傘を付けて,上方に逃げる光を地面に返してやれば,数十%もの光エネルギーの有効利用になりますし,電力節約にもなりますし,光害も軽減します。しかし,その程度のことも全体として実行できていないのが現状です。こう言うからにはもちろん,筆者の利用する照明器具には,すべてアルミホイル等で反射傘を付けてあり,上方へ逃げる光はすべて下方へ戻し,明るさを変えることなく蛍光灯などの本数を減らしています(撮影/MWS)。





2008年11月15日


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ながく箱の中に放置したスライドグラスを見ると,クモノスらしきものが貼り付いていました。さっそくカバーグラスを載せて検鏡してみると驚きの精細な世界です。上の画像は10倍対物レンズ(開口数0.45)による画像ですが,やや太めの糸と,きわめて細い糸が敷き詰められています。細い糸は高倍率(開口数0.95)で検鏡してもやっと太さがわかる程度で,1μmの数分の一程度の太さしかないように見えます(下の画像)。クモの糸は太さ当たりの強度が極めて高いといわれていますが,いったいこの細い糸で何を捕らえて捕食するのでしょうか(DF,oblique,撮影/MWS)。





2008年11月14日


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自然の浄化機構をうまく機能させると,薬品やろ過処理を行う人工浄化装置が,まったく足元にも及ばない程の高い浄化能を発揮します。しかも高い安全性も確保されるので,昔から浄水処理に使われてきました。上の画像は鍋屋上野浄水場(名古屋市)の緩速ろ過池で,藻類や微生物が活躍するように設計された池です。何と大正時代の池がまだ稼働しています(下の画像)。緩速ろ過池では,敷き詰められた砂の上に数十センチほどの水深で水を張り,一日に4〜5m程度の通過速度でろ過を行います。すると砂の上には,太陽光を浴びて藻類・微生物群集が発生し,昨日までに述べてきたような浄化機構か働きます。これで浄化処理は終わりですが,ある程度栄養分に富むような原水であっても,きわめて良好な処理水が得られ,その質は都市部で使われている急速ろ過処理とは比較にならないほどです。どのくらい良好な水質かというと,かつて日本のトップシェアを誇ったビールは,この処理を経た水で醸造されていたのです。藻類・微生物の持つ力は偉大だと言わざるを得ません(撮影/MWS)。





2008年11月13日


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河川敷には,いったん砂利の下に潜り込んだ水(伏流水)が再びわき出てくるような場所があります。このような場所はたいてい,流れが緩やかで,自然の浄化機構の主役珪藻,メロシラ・バリアンスの活躍する場となります。上の画像がその例で,このような場所は皆さんも見たことがあるのではないでしょうか。一見してヘドロに見える茶色物質が水際にありますが,これがメロシラの塊です。水際からやや離れた乾燥している石ころは白っぽいですが,これは付着しているメロシラやシネドラなどの珪藻とそれに捕まった粘土などの鉱物が乾燥して,ガラスの粉状態になっていることが原因です。多くの方々はこうした風景を見て,汚いものと認識するかもしれません。この茶色いドロドロを採取して顕微鏡で見たのが下の画像です。メロシラ・バリアンスの濃密な群体が見え,それにとらえられた鉱物粒子や,そこで増殖している原生生物などが見えます。これらの生物はみな,伏流水の中に入っていた栄養分から発生したものです。つまり,これらの生物が増殖した分,水は栄養分を吸い取られて浄化されたわけです。そして増殖した生物も,上の画像に見られるように,干上がって乾燥したり,水生昆虫の餌となり,水生昆虫は成体になると陸生になったりして,水から切り離されます。こうして,川を流れる水は自然に浄化されていくのです(DF,撮影/MWS)。





2008年11月12日


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珪藻が自然の浄化機構を担っているというお話を先日書きましたが,これには条件が整っていなければなりません。たっぷりの日射しを受けることができ,場所により様々な流速であること,水深も多様であること,石や砂利が存在すること,有害物質が多量には流れ込まないこと,増水時にもすべてがフラッシュアウトされないような河川形状であることなど,いくつもの条件がありますが,簡単に言うと自然の河川状態が近いと言ってもよいでしょう。長らく水環境に関心を寄せてきた筆者としては,どのような河川を見てもその環境条件に目がいきます。上の画像はJR中央線高尾駅付近を流れる南浅川ですが,多量の生活排水が流れ込み,直線化された単純な河川形状で,護岸は急角度のコンクリートで固められ,河川水は中央部を単調に流れるだけです。これでは,せっかくの自然浄化機構も活かされないのです(撮影/MWS)。





2008年11月11日


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質感を表現するというのは難しい課題です。質感というのは個人の記憶と結びついたものだからです。ガラスの質感は,ふつうの人にとってはキラキラと反射する透明な物体という印象でしょう。このとき,キラキラとガラスが輝いている場面の背景は明るいわけですから,顕微鏡で言うと明視野条件で,ガラスが輝いているということになります。ところで,生物顕微鏡で透過明視野照明を行うと,光は正確に物体の裏側から照明されますから,ガラスを照らしても輝いてくれません。そうすると,放散虫や珪藻を観察しても,ガラスっぽく見えない,ということになります(画像1枚目)。そんなときは暗視野照明にすれば物体が輝き,キラキラしますが,こんどは背景が真っ暗なため,個人の印象と結びついた「ガラスの質感」とは異なる表現になってしまいます(画像2枚目)。背景が明るく,そして珪藻や放散虫もキラキラすれば良いわけですから,1枚目と2枚目の画像を「比較(明)」処理で合成してみましょう。すると3枚目の絵ができあがりますが,明るい背景に輝く珪藻や放散虫が浮かび上がり,ガラスっぽい質感になったわけです。これでようやく,多くの人にガラスっぽいと思われる絵になったわけですが,同じことは画像合成しなくても,照明の工夫で可能です。明暗視野同時照明になるようにすればよいからです。(BF/DF,撮影/MWS)。





2008年11月10日


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MWSが運営しているwebサイト『珪藻の輝き』に放散虫コーナーを追加しましたのでどうぞご覧下さい。化石種をいくつか含みますが,現世の放散虫を多く含んだ,比較的めずらしい画像集なのではないかと思います。上の画像は放散虫の一例です(BF,撮影/MWS)。





2008年11月9日


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メロシラ・バリアンスという珪藻が高い水質浄化機能を持っていることは昨日お話した通りですが,そのメカニズムは多くの微生物が関与するほとんど小宇宙ともいえる複雑さです。しかしこの珪藻がいるからこそ,微生物・原生生物群集が働き浄化作用が機能することは間違いありません。上の画像がその証拠です。藻体に絡みついている多くの気泡は,光合成によって生産された酸素を豊富に含みます。実測した研究では酸素濃度40%の値が得られています(信州大学・中本らの研究による)。これは珪藻に太陽光が降り注げば当然起こる当たり前のことなのですが,その意味することは重大です。水中に酸素を吹き込む装置になっているからです。この酸素供給装置により,河川水中の有機物が酸化され,多くの生物の酸素呼吸が保証され,健全な生態系が維持できるのです。この酸素の泡は藻体から外れて大気中に拡散するものもあれば,捕まったままのものもあります。後者は,光合成が起きない夜間においても水中に酸素を供給する酸素タンクの役割も果たしています。こうした浄化機構を人間が作れば,途方もない(数兆円では足りないでしょう)投資が必要になるでしょう。しかしはメロシラによる浄化機構は無料です。ただ,ある程度の自然環境が維持されていないと働きません。だから,人間は自然を・生態系を破壊してはならないのです(撮影/MWS)。





2008年11月8日


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11月2日付けの画像で紹介したメロシラ・バリアンスという珪藻は,日本各地の河川でふつうに見られますから,きっと皆さんも見たことがあるに違いありません。上の画像はその一例で,河川中流部のコンクリート護岸近くで増殖している様子です。群体が繊維状ですから,成長すると綿のようにふわふわとした塊になります。この塊が種々の濁り物質をとらえてしまうので,水をきれいにする働きがあります。もちろん,珪藻の増殖にともなって水に溶けている栄養分も吸い取られますから,水質化学的にも水が浄化されます。この珪藻群集にはたくさんの原生生物が住み着き,彼らは好んで細菌を捕食するので,細菌学的にも水が浄化されます。見た目がキタナイこの茶色い物体は,水質を浄化する重要な生物なのです(撮影/MWS)。





2008年11月7日


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きょうの画像も骨片です。といっても何の構造の一部か皆目見当がつきません。わかるのは炭酸カルシウムでできているであろう平たい構造で,中央部に円形の窪みがあり,その窪みの中に小穴が数個開いているということだけです。これは明視野検鏡でも,わずかながら見えています。実体顕微鏡下で試料を吊り上げるときにも小さく見えています。しかし詳細な構造はわかりません。これを偏光法で検鏡すると,下の画像のように構造がはっきりとわかります。炭酸カルシウムの薄層が層状になっていることが原因(?)で,干渉色が様々に現れていて,検鏡していてもじつに興味深い眺めとなっています(Pol,撮影/MWS)。





2008年11月6日


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海で採集した泥などを検鏡していると骨片や骨針が目に付きます。炭酸カルシウムの骨片は珪藻よりも少し屈折率が高く,一般的な封入剤でマウントするとかなり低コントラストになります(上の画像)。そんな場合はコンデンサ下に偏光板,対物レンズ上にも偏光板を入れ,簡易偏光の配置で検鏡すると効果的です(下の画像)。屈折率の差でコントラストを稼ごうとしても限界がありますが,偏光を検出すれば高いコントラストで観察できます。物体によっては画像のように干渉色が出て虹色に見えることもあります。手持ちの顕微鏡で簡易偏光の配置が難しいときには,薄い偏光フィルムをプレパラートの上に載せ,コンデンサ下にも偏光板を入れ,コンデンサ下の偏光板を回転させながら背景が暗くなる位置で検鏡します。10倍対物レンズ(開口数0.25〜0.3程度)であれば,この方法でも十分な効果があります(Pol,撮影/MWS)。





2008年11月5日


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生物が作り出す鉱物(バイオミネラル)は,その多くがケイ酸や炭酸カルシウムを材料としています。このうち,炭酸カルシウムの微結晶を主成分とするものは偏光顕微鏡(クロスニコル)で観察すると暗い背景に輝いて見えます。上の画像は有孔虫ですが,偏光顕微鏡下で殻が輝いています。微結晶の配列がランダムな多くの種では,ステージを回転させても光ったままなのですが,上の画像の種ではステージを回転させると下の画像のように消光位があります。ということは,この有孔虫が形成する炭酸カルシウムの微結晶は一定の配列を持っているということになります。何のメリットがあるのでしょうか(Pol,撮影/MWS)。





2008年11月4日


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珪藻や放散虫を並べた美しいプレパラート『Jシリーズ』の今秋製作分を配布開始しましたので,興味のある方はもちろん,関心のない方も(笑)ご覧下さい。今回は第三ロットとしていますが,製作次第,追加していく予定ですので,たまにチェックしていただければと思います。購入予定のない方も,画像鑑賞ができますので,気軽にチェックしてみてください(DF,撮影/MWS)。





2008年11月3日


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大学祭の催しにゲストとして呼ばれたので参加してきました。サイエンスカフェという試みで,参加者とゲストがお茶でも飲みながら科学について語り合えるという素敵な企画です。こうした試みは好きなので,いろいろ準備して参加者との会話を楽しみました。熱心な参加者に恵まれ,たくさんのご質問を頂戴し,とても楽しい時間を過ごすことができて幸せでした。参加者と企画担当の方々には心から御礼申し上げたい気分です。テーマは水環境についてでしたが,もちろん,得意の顕微鏡観察を織り込み,珪藻を参加者にみてもらいました。これでまた,地球上に,「珪藻を見た人」が増えたわけです。上の画像は当日の様子をノスタルジックに表現したものです(撮影/K.K.)。





2008年11月2日


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きょうは教材に使う生きた珪藻を採取してきました。河川のゆるやかな流れの部分や,伏流水が河川敷に顔を出したような流れに発生するメロシラ・バリアンスという珪藻です。この珪藻は,一つ一つの細胞は茶筒のような格好をしていますが,群体は長く繊維状になります。この珪藻でできた繊維が絡まり合って巨大な塊ができあがります。この巨大な塊は濁りをろ過してしまう強力な機能を持っています。同時に酸素発生装置でもあり,原生生物への自動給餌装置でもあります。原生生物の多くはバクテリア捕食者でもありますから,この珪藻が大量に発生したところを通過した水は,バクテリアも少なくなっています。このメロシラ・バリアンスはこれから冬の主役級珪藻ですが,浄水場にもよく発生します。ろ過池で発生するこの珪藻を生かして浄水を行っているところでは,水道水質が非常に良く,味も良好です。この珪藻は自然の浄化機構を担う生き物として,現在注目を浴びているのです(BF,撮影/MWS)。





2008年11月1日


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現世の放散虫プレパラートを作るとなると,個体数が少なく貴重なのですが,2,3個体を並べただけでは寂しいので,どのくらいの数を入れようか悩んでいます。珪藻プレパラートでも多種類が数多く入っているものが好評ですので,まずは多めに個体を入れたプレパラートを作成してみました。上の画像は36個体の放散虫を,9×9mmのカバーグラス中央部に並べたものです。一枚でいくつもの種が観察できますので,使い勝手がいいですし,また希少価値のあるものといえるでしょう。放散虫プレパラート(Jシリーズ)は,少なくとも数枚は製作する予定です(BF,撮影/MWS)。






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