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MWSが顕微鏡下の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


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2009年6月30日


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これは内曇という砥石の拡大画像です。倍率は一連の砥石シリーズと同じです。青砥よりも細かい仕上げ砥石クラスの粒子であることがわかります。またこの砥石には所々に穴ぼこがあいていて,別の粒子が詰まっているように見えます。内曇という砥石は刃先の研磨に使われることは希で,刃物の紋様を浮きだたせるために使います。人造砥石で研ぐと,刃物の地金と鋼の部分が同じように鏡面になり区別がつきませんが,内曇をかけると地金が曇り,鋼は輝いたままです(下の画像)。地金が霞のように浮かび上がるからか,本霞仕上げと呼ばれます。研ぎの専門家や研ぎ愛好家以外はまず使うことのない砥石です。(epiDF撮影/MWS)。





2009年6月29日


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これはスエヒロというメーカの工具用砥石です。粒度は#3000で中〜仕上げ用です。昨日の青砥よりも緻密で詰まった感じがありますが,実際の研ぎ味もそのような感触があります。粒子の大きさは数マイクロメートル程度です。この砥石でカンナや鋼の包丁を研ぐと,地金も鋼も区別なく研ぎ上がり境目がわからなくなります。粒子が鋼に比べて十分に高い硬度で,地金も鋼もサクサクと削られてしまうものと思われます(epiDF撮影/MWS)。





2009年6月28日


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これは京都・丹波産の「青砥」です。この砥石は中砥〜仕上げの中間くらいの粒度で,よく#3000付近と説明されますが,上の画像のものはもう少し粗く,#1500程度の印象です。肉眼では硬い石に見えますが,顕微鏡下では,ほぐれやすそうな角の丸い粒子で構成されていることがわかります。この石は軟らかく,また油分を含んでいて,研いでいると油膜が浮かんできます。そのお陰で研ぎ味はなかなかよいのですが,平面が崩れるのが早く,頻繁に面修正を行う必要があります。カンナやノミよりは,包丁を軽くシャリシャリ研ぐのに適している感じです。この砥石で研ぐと,包丁の地金と鋼の境目が,やや粗いながらもくっきりと出てきます(epiDF撮影/MWS)。





2009年6月27日


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干潮時に干上がった砂表面はよくみると茶褐色の珪藻的な色合いをしています。実際,この色が珪藻であることも多いのです。上の画像がその例で,カニが掘った穴と砂だんごを撮影したものですが,手つかずの表面の砂と,ちょっと掘られた砂層では全く色が異なることがわかります。この色合いのときは珪藻がまだ生きていることが多いのですが,乾燥が進むにつれて変色して,生命活動が変質(停止)したことを暗示します。下の画像がその例で,砂層表面の色合いが,上と比較するとやや緑っぽく見えます。乾燥に耐えられず珪藻が死んだのでしょう(撮影/MWS)。





2009年6月26日


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25日の東京湾は天気もよく,風も弱まりサンプリング日和でした。十分な量の試料を採取するため,23日と同じ場所でのサンプリングとしました。ここは埋め立て地に砂を持ち込んで人工砂浜としているので,地下には残土や廃棄物が埋まっている可能性が高いところです。砂地をみて歩くと,ところどころにクレーターのような凹みがあります。これはおそらく,地下で有機物が発酵して生成したメタンガスが勢いよく噴出してクレーターを作ったのでしょう。

さて,サンプル採取も終わり,カメラを持って歩いていると一昨日のカニさんがまた出迎えてくれました。このカニさん,止まってポーズをとってくれるので実に撮影しやすいモデルさんです。きょうは穴に入ろうとして,体のサイズが大きすぎてうまく行かないよ〜というポーズと,オレ様は怒ると怖いんだぞ〜と体を大きく見せるポーズをとってもらいました。背中側は保護色の色合いですが,腹側はなかなか美しいカラーリングです。きっと好きな人(カニ)に見せるためなのでしょう(撮影/MWS)。





2009年6月25日


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これは大村砥の画像です。ピントは砥粒の先端に合わせてあります。大村砥は荒砥石に分類されますが,比較的細かく研げますので,中砥との相性も良い砥石です。砥粒は画像にみられるようにとても大きいのですが,角に鋭さがなく,たぶんこれがきめ細かく研げる理由なのでしょう。この砥石は減りが早いので面修正は頻繁に行う必要があります。最近は人造の荒砥によいものが出てきましたので,刃研ぎでの出番は少なくなりましたが,別の用途に常用しています。プラスチックの平面を出すなどの研磨用途の他,砥石の面修正用に優れた特性があるように思います。特に,シャプトン(オレンジ)との相性が良く,これの面修正に欠かせないものになっています(epiDF,撮影/MWS)。





2009年6月24日


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23日の東京湾は前日の雨もやみ,風は強いもののまずまずのサンプリング日和でした。ここは荒川河口部の人工砂浜(上の画像:葛西臨海公園)ですが,これまでも幾度かサンプリングに訪れ,その度にまともな試料とすることができずに敗退を続けています。しかし数回程度のサンプリングであきらめていては,そこにどんな珪藻がいるのか分かるはずもありません。きょうは砂上にいる珪藻の採取を試みました。

干潮のピーク時刻も過ぎ,砂浜を駅に向かって歩き出すとカニさんがたくさんいます。数センチ程度の小さなカニです。砂だんごがあちこちにあるのでコメツキガニの仲間でしょうか。筆者は甲殻類は苦手でなかなか分類を覚えられないのですが,このカニさんがポーズをとってくれたので,記念写真を撮影してあげました(笑)。砂浜のあちこちにカニさんの穴ぼこがあいています。そっと覗いてみるとカニさんが中からしっかりとカメラ目線でみてくれましたので,これもパチリ。こうした暗い穴の中を撮影するときは,スポット測光が基本です(撮影/MWS)。





2009年6月23日


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これは中砥石(シャプトン「オレンジ」#1000)の画像です。倍率は昨日と同じですが,荒砥と比較するとずっと細かい粒子であることがわかります。。着色された粒子が白色の微細な粒子に包み込まれているように見えます。この砥石は天然砥石の荒砥にも匹敵する研削力を持ちながら,中砥の砥目で,しかも硬くて減りにくいというたいへん優れた砥石です。初めてこの砥石を使ったときは,その研削力に「これは魔法なのか?!」と思うほどに驚きました。それ以来,中砥の定番として活躍しています。やや粗いので主に修正用に使いますが,減りにくいので面が変わりにくく,ノミやカンナ,小刀の刃を研いで形を修正するのに最適です(epiDF,撮影/MWS)。





2009年6月22日


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これも荒砥石(シャプトン「モス」#180)の画像です。倍率は昨日と同じです。砥石は番手が大きくなればなるほど,目が細かくなります。昨日の画像よりも若干,砥粒が小さいのがおわかりいただけるかと思います。このメーカーの砥石は,番手の違いを色で表現しているので,砥粒にも着色した粒子を混ぜているようです。この砥石も強力な研削力があるので,出刃の欠け修正や,何年も研いでない家庭用包丁の研ぎ直し(修正研ぎ),購入後の包丁を正しい刃線に修正する目的などに使います(epiDF,撮影/MWS)。





2009年6月21日


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これは荒砥石(シャプトン刃の黒幕「白」#120)の画像です。荒砥石は欠けた刃を修正するために大きく研ぎおろすときに使う砥石です。グラインダーの方が楽ですが,きっちり正しい刃線を出そうとするなら平砥石で手研ぎの方が高い精度が出ます。この画像は昨日の「赤レンガ」と同じ倍率での撮影ですが,砥粒の大きさがまるで違うことがおわかり頂けることと思います。高い研削力を確保するために大きく鋭い砥粒が入っていて,それをきめの細かい粘土質のような微細粒子が包み込むように保持しています。シャプトンの砥石は比較的硬いのに高い研削力があり,職人の評価も高いものの一つです。筆者は研ぎものをよくやるのですが,ある人の出刃包丁(一本)を修理(修正研磨)するために,この荒砥石一本を2日で使い切ったことがあります(epiDF,撮影/MWS)。





2009年6月20日


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これは砥石(鎌砥石)の画像です。料理人,木工職人や研ぎマニアには「赤レンガ」と言えば通じるでしょう。#1000番程度の中砥石の定番です。外見は,まさに赤煉瓦そのもの,といった感じですが,顕微鏡で見ると#1000番ではまだまだ粗く,研粒がはっきりと見えます。赤い粒はおそらく酸化鉄(ベンガラ)で,透明な粒は石英でしょうか,ガラスでしょうか。これらの粒がほぐれて刃物の上で転がり,刃に微細な研磨痕を残しつつ研ぎが進んでいくのでしょう。赤レンガは軟らかい研ぎ味で砥石の減りも早いので,面なおしは頻繁に行う必要があります。しかしこの砥石で,最後に力を抜くように軽くシャリシャリと刃先を仕上げるとけっこう良い刃がつきます。ステンレス系の包丁やハサミと相性のよい砥石です。

木工職人の方に,4月には砥石の画像をいくつかアップする予定ですとお知らせしたのですが,多忙に紛れ,もう6月後半になってしまいました。済みません(epiDF,撮影/MWS)。





2009年6月19日


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これは当サービスのRL-TESTに含まれるAmphipleura pellucidaという珪藻です。この珪藻には270nmの条線がありますが,これをレンズテストに用いることができます。通常は油浸対物レンズの試験用に使うのですが,上級者は乾燥系対物レンズのテストにも使うことができます。開口数0.95の場合,照明開口数も同じとすると,440nmより短い波長で条線を解像することができます。上の画像がその例です。レーリーリミットを計算すると,0.61x0.44÷0.95=283nmとなりますから,分解能±10nm付近のぎりぎりです。これがきちんと解像できれば,レンズも高性能で,撮像テクニックも相当なものでしょう(oblique,撮影/MWS)。





2009年6月18日


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これは海底の「泥」を拡大したものです。泥,というとそれはドロドロした泥以外の何者でもなく,それはドロだ,というのが大方の認識かもしれません。確かに,海底の泥は肉眼で見る限りはそんなイメージです。しかし顕微鏡で見ると,泥は鉱物と生物の遺骸で構成されていることがわかります。海底の泥には上の画像のように,多数の珪藻被殻が破片の状態で含まれます。この珪藻はプレートの動きに乗って,地殻作用により,やがては堆積岩に生まれ変わることでしょう(BF,撮影/MWS)。





2009年6月17日


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いろいろなものを検鏡していると,何となく,初見のものでも予想がつくこともありますが,見事に予想が裏切られることもあります。上の画像がその例で,カイコの幼虫の糞を蛍光顕微鏡で撮影したものです。赤く光る葉緑体の分解物に,緑に光る何者かが混在してインパクトのある絵です。草食性の昆虫は葉の汁を飲んでいるだけで,繊維質は消化せずに排出するのですが,そんな繊維の集合体からはかけ離れたイメージに感じられました(epiFL,撮影/MWS)。





2009年6月16日


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そろそろコレのシーズンになってきました。都会には自然が少なく野生の動植物を目にする機会はあまりないのですが,蚊やゴキブリはいっぱいいます(笑)。コガタアカイエカはどこから沸いてくるのか,今ごろから11月程度までは普通に見られます。部屋に侵入した蚊は手づかみで捕獲してプレパラートの材料にすることにしています。上の画像は先日捕獲したものを落射蛍光顕微鏡で撮影したものです。昆虫類の目は紫外線を当てると蛍光を発するものが多いことは何度か述べてきましたが,面白いのは,通常の蛍光染色標本と違い,なかなか退色しないことです。太陽光に含まれる強い紫外線を蛍光放散により逃がして目を守るために,耐久性が優れているのかもしれません(epiFL,撮影/MWS)。





2009年6月15日


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培養して増えてきた珪藻(スケレトネマ属)を検鏡していると,多数の典型的な群体(上の画像)に混じって,ごく少数の見慣れない群体(下の画像)が見られることがあります。この分類群は仕分けが難しく,上の2枚の画像に見られる群体が,同じ種なのか違うのか分かりません。群体の格好が異なるから別種としたいところですが,刺毛の連接部分などを詳細に(電子顕微鏡レベルで)調べないと結論はでないでしょう。それにしても,スケレトネマがらせん群体を作るとは面白いものです。ちょっとマニアックな話題ですがー(BF,撮影/MWS)。





2009年6月14日


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9日のサンプリングで持ち帰った海水に栄養を添加して培養したところ,藻類がたくさん発生してきました。ここに目的の種がいれば分離して株を作りたいのです。早速検鏡してみると,残念ながらスケレトネマ属珪藻が主で,他の珪藻が少々という具合でした。上の画像は検鏡中の一コマで,Cerataulinaと思われる珪藻が折れて,細胞質がはみ出しているところです。細胞膜が破れなければ,被殻が破損しても生命活動は続くのです(BF,撮影/MWS)。





2009年6月13日


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珪藻被殻の屈折率は1.43程度です。これを水(1.33)やグリセリン(1.48)で封入すると,屈折率の差が非常に小さくなり,珪藻と封入剤の境目がだんだんわからなくなってきます。このため,珪藻の微細構造をよく見ようと思えば,屈折率が大きな封入剤を使った方がよい,ということになります。しかし誰もが高屈折率の封入剤を持っているわけでもありませんので,他の方法も考えなくてはなりません。昔から利用されてきた方法は,空気封入することです。空気の屈折率は1ですから,珪藻との屈折率の差が大きくなり,輪郭がくっきりと見えます。空気封入ですので,コンデンサの開口数を大きくすることはできませんが,乾燥系対物レンズで簡易検鏡する程度であれば,まあまあ見えます。上の画像は空気封入したプレウロシグマを開口数0.95の対物レンズで観察した例です(BF,撮影/MWS)。





2009年6月12日


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これは大量の珪藻を含む泥状のサンプル(海産)を保存しているところです。珪藻をはじめとして大量の生物が入っていますから,盛んに呼吸をしています。このような海水サンプルを暗所に保管すると,あっという間に酸素がなくなります(酸欠)。海水の場合,酸素がなくなると,溶けている硝酸塩の酸素が代わりに使われます(硝酸呼吸)。それはすぐになくなってしまい,つぎに硫酸塩の酸素が呼吸に使われます(硫酸呼吸)。硫酸が還元されてしまうわけですから,イオウの析出や硫化水素の発生が伴います。これらの毒性によりプランクトンや藻類の多くは速やかに死んでしまいます。このプロセスは,試料濃度が濃い場合には,数時間で進行してしまいます。午後に採取したサンプルが翌朝には腐臭を発しているということになるのです。

そこで筆者は,サンプルにLEDで強い光をあてて保存しています。このようにすると珪藻類が光合成を行い酸素を発生するので,無酸素状態が発生するのを防ぐことができるのです。こうしたことは中学・高校の知識の応用に過ぎませんが,実際にやってみると効果を実感することができて興味深いものです(撮影/MWS)。





2009年6月11日


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珪藻は独特の色調をしていますので,これを覚えればある程度は採集時の目安になります。上の画像は潮だまりの様子ですが,沈んでいる石が珪藻独特の色になっています。これは面白そうなサンプルだと,歯ブラシ採取をして持ち帰り,早速検鏡してみると,確かに珪藻だらけでした。しかし目的としている海産大型珪藻は非常に少なく,微細な珪藻が卓越していました。色で判断できるのは珪藻ということだけで種やサイズまではわかりません。欲しい試料を手にするには,やはり試行錯誤の連続が必要なようです(撮影/MWS)。





2009年6月10日


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9日の相模湾は薄日のさす穏やかな天気でサンプリングに好適でした。満月の時期ですから,新月の大潮よりは干潮時の引きが弱く,いちばん潮が引いた時刻でも2週間前の干潮時に空気と太陽に曝された海藻が水中に没しています(上の画像)。そこできょうは海に入り,砂表面の珪藻と,海藻に付着する珪藻を採取したのですが,その途中,海の中で鮮やかなブルーにひらひらとする物体が目に付きました。ホウボウの子どもです(下の画像)。筆者の大好物で,一本買ってくると刺身に潮汁にと余すところがありません。鮮魚店でもよく見かけますが,たまにニュージーランドからやってきたミナミホウボウだったりします。どちらもおいしいのですが,ヒレの鮮やかな美しさは日本沿岸のホウボウが勝ります(撮影/MWS)。





2009年6月9日


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顕微鏡にはいろいろな種類があって,それぞれの役割があります。一台で済む場合も多いですが,試料の状態や撮影方法によっては2台,3台と使うこともあります。生試料で,いろいろな検鏡法で確認しなければならない試料の場合は,状態が変わらないうちに手早く検鏡したいので,顕微鏡を並べての作業となります。こうした作業をさっさと行うためには日頃の整理整頓が大切ですが,もう一つ,体力も必要だと痛感するこのごろです。この2台で50kg以上の重さがあるからです(撮影/MWS)。





2009年6月8日


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顕微鏡写真撮影はそれほど難しいというものでもなく,接眼レンズにカメラのレンズを正しく向けてピントを合わせれば,あとはシャッターを押せば写ります。これをコリメート法といいますが,やりやすいカメラとやりにくいカメラがあります。顕微鏡のアイポイントとカメラの入射瞳がうまく合えば,広い視野が確保できてよいのですが,カメラの機種によってはなかなかうまくいかないのです。ニコンのクールピクス9xx系列と4500はこの点で顕微鏡写真に適しています。筆者も永らくE995を使っているのですが,最近リコーの機種を使えないかと,GX-8で検討しています。上の画像が一例ですが,縮小すれば使えるかな,という印象です。オリジナルのサイズではノイズがひどいのですが,ビニング処理で消せるので,半分以上に縮小するなら目立ちません。カメラを変えると撮影方法も画像処理法も変わります。そこがデジタル写真の難しいところでも,面白いところでもあります。

ところで,このコーナーは筆者が思いのままに顕微鏡をのぞき,その画像を読者に紹介するというのが趣旨ではあるのですが,ここ一ヶ月以上とても忙しく,ほとんど業務日誌化しています。もっと自由に顕微鏡観察をしたいところですが,なかなか時間がありません。すみません…(oblique撮影/MWS)。





2009年6月7日


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干潟で採取した泥の上澄み海水をペットボトルに入れ,適度に陽が当たる場所に放置したところ,大量の珪藻が沸いてきました。干潟の泥は豊富な栄養を含みますので,海水にはその栄養分が供給されていたわけです。さっそく検鏡してみると,非常に細かい小さな種が発生しています。多くはChaetoceros属ですが,これの小型種は分類がとても難しいのです。群体の構造を見るとChaetoceros socialis/radians と判別できるものも多数見られましたが,ばらけているものは判別困難です。Chaetoceros属は上の画像でよく確認できるように細い刺毛を持っていますが,この細い毛はガラス質でできています。珪藻はこのような,1/1000ミリメートルないような微細な毛さえも,珪酸(ガラス質)で作ってしまうのです(DF/oblique撮影/MWS)。





2009年6月6日


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珪藻は微細構造のお手本のような存在ですから,電子顕微鏡や原子間力顕微鏡などを用いた工学的な研究も盛んに行われています。自然のナノテクから学ぼうというわけです。こうした研究には材料集めが大切になってきますが,良質の珪藻を大量に入手するというのは案外難しいものです。大型で丈夫な珪藻を集めるのであれば,沿岸の珪藻が適していますが,沿岸といえども広く,どこに目を付けるかはこれまた難しいものです。上の画像は紅藻類の一種ですが,この藻には大量の大型珪藻が付着していることがあり,採取時に考慮するものの一つです。この紅藻も,同じ海岸なのに,珪藻が大量に付着しているものと,ほとんど採取できないほど数が少ないものがあります。流れや,栄養状態などが効いているのでしょう(撮影/MWS)。





2009年6月5日


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顕微鏡の性能を引き出すと,NA1.4の対物レンズとコンデンサを用いて,240nmの構造を解像できます。しかしそこから先を見ようとすると,ほとんどレーリーリミットになりますので,関係するあらゆるパラメータをチューニングするぎりぎりの戦いとなってきます。きょうの画像は,このような試験に利用されるAmphipleura pellucidaという珪藻です。この珪藻は横の条線が270nm程度,縦の条線が200nm程度です。そして縦の条線の一部は密に詰まっているところがあって,そのような部分では180nm付近にもなります。このような繊細な試料ですから,顕微鏡の性能テストに最適で,ヨーロッパでは古くから光学メーカーや顕微鏡観察家の間で利用されてきました。しかし日本ではこの珪藻のよくできたプレパラートを所持している人がほとんどいないのが実情です。当サービスではRL-TEST(Resolution Limitの試験用)として供給しています。この製品のウリは,ただ珪藻がマウントされているというだけでなく,光学的にほぼパーフェクトなことを確認しているという部分です。海外のプレパラートでは,この珪藻が封入されているのに,光学的な問題があり,よく見えないものが存在するのです(oblique, 撮影/MWS)。





2009年6月4日


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3日は研究打ち合わせでした。研究協力依頼に応じてメニューを考え,珪藻に関する基礎的な知見を300分ほどにまとめてお話させていただきました。研究者や技術者からの問い合わせなどにはできるだけ応じられるように努力しています。要求される技術や情報は様々なので,なけなしの知恵を絞って考えますが,楽しくもあり,難しくもあります。果たして役に立っただろうかと,昔からの心配性はいつになってもなおりません(撮影/MWS)。





2009年6月3日


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珪藻を他のものとよりわけるには,沈殿速度の差も使えます。鉱物粒子は比較的早く沈むものが多いので,大きな鉱物が沈んだ直後に上澄みを採取すれば,珪藻が濃縮されているというわけです。この方法も一長一短で,大型珪藻などは速やかに沈む種もいますし,沈みにくい鉱物や有機物などは珪藻と同様濃縮されます。ですから色々な方法の組合せにより対処していくしかないと思います。上の画像は比較的きれいになった試料ですが,これでもJシリーズ用には精製度が不足していて,乾燥試料にすると様々な粒子が発生して珪藻を汚します (DF,撮影/MWS)。





2009年6月2日


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干潟の泥から,まだ収集していない珪藻種が含まれていないか検討しています。泥だらけの試料の場合,大型種を分離する目的であればネットによるろ過が使えます。珪藻よりも小さなメッシュの網を使い,泥の細かい粒子を流し去ります。流れやすくなるように,酸やアルカリ,界面活性剤などを用いることもあります。上の画像はそのようにして集めたものですが,当然,網目にひっかかるのは珪藻ばかりではなく,大きな粒子はみんな乗ってきます。これを酸化処理すると,再び泥だらけになったり,有機物の小片が無数に生じたりして,その都度,対応を考えつつ,あの手この手で精製していきます(BF,撮影/MWS)。





2009年6月1日


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干潟の泥を検鏡してみると,ほとんどは泥なのですが,少しは珪藻がマウントできていることもあります。上の画像は泥から這い出てきた珪藻を撮影したものです。泥を端にマウントしておけば,視野がきれいなところにまで移動したときに,きれいな画像を得ることができます。でも,毎回そんなにうまくいくわけではありません。泥まみれのまま,その場で滑走運動している珪藻も多いのです(BF,撮影/MWS)。





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