画像のご利用について





本日の画像

MWSが顕微鏡下の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


【サイトトップ】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2008年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【9月】  【10月】  【11月】  【12月】  【2009年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【8月】  【9月】  【10月】  【11月】  【12月】  【2010年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【8月】  【9月】  【10月】  【11月】  【12月】【2011年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】   【7月】   【8月】   【9月】 【10月】 【11月】 【12月】  【2012年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【8月】  【9月】  【10月】  【11月】  【12月】  【2013年1月】  【2月】  【3月】  【今月】

2008年8月31日


ps

珪藻は殻表面にある微細構造も興味深いですが全体の姿形もまた,多様性に富んでおり興味が尽きません。形態というのはおそらく,何らかの理由があって決まってきたものと思います。魚と鯨が似ているのも,グライダーと鳥が似ているのも,流体力学的特性からの要請でしょう。では,珪藻はどんな理由で多様な形態が生じてきたのでしょう。四角もあれば三角も,五角形も六角形もあります。円盤もあれば円筒も球もあります。ケイ酸を材料として,大きさ・構造と強度の関係から得られる最適解が無限とということなのでしょうか。上の画像は教育用プレパラートE-M1の一ショットです。数分の1ミリメートルの視野内に4つの形態の異なる珪藻が写っています(BF,撮影/MWS)。





2008年8月30日


ps

珪藻の表面には胞紋や条線などの用語で呼ばれるいろいろな構造があります。ガラス質の珪酸上にこのような構造があるので,まさに微少なガラス細工です。この胞紋や条線の間隔は種により異なっていて,しかし種が同じなら一定しています。そして,ちょうど顕微鏡対物レンズの性能を調べるのに都合のよい大きさになっています。ですから珪藻をたくさん含む良質のプレパラートを揃えておけば,いつでも対物レンズの性能判定に使うことができます。上の画像はMWSで供給しているプレパラートから選び出した珪藻のいくつかをスケールとともに表示したものです。構造の周期が種により異なることがはっきりとわかります(BF,撮影/MWS)。





2008年8月29日


ps

ps

これはアブラゼミの単眼です。8月24日付けの画像で紹介した簡易顕微鏡での撮影です。セミの単眼は三つで,三角形に配置されています。アブラゼミの場合は二つが上についていて上を向いています。一つは下に付いていてやや下を向いているように見えます。この光センサで天空光と地面を明るさとして認識し,水平をとりながら飛んでいるといわれていますが,筆者は確かめたことはありません。セミを捕まえて単眼の一つを目隠しして飛ばしてみればヒントが得られそうに思います。でも何だか可哀相で,できませんね。何でも試してみた少年時代にやっておくべきでした。きょうのモデルとなったセミ君も,カラスが運んできて干からびていたものを有効活用したのです(撮影/MWS)。





2008年8月28日


ps

ps

一昨日の画像で歪曲収差を取り上げましたので追加です。歪曲収差はデジタルカメラでもふつうに見られます。特に広角ズームの広角側ではタル型の歪曲が目立つ場合があります。上の画像がその例で,あまり利口な設計とはいいたくない某社のコンパクトデジタルカメラによる絵です。水平線が画面中央部で大きく膨らんでおり,しかも実際にはタル型歪曲の軸中心が画面中央部にありません。周辺減光もあり,収差の見本のようなレンズです。フィルム一眼レフ時代であれば,これほどひどい収差をもったレンズは市場に出回ることは少なかったように記憶しますが,デジタル全盛になって「何でもあり」になってきています。注意が必要です。さて,デジタル画像では歪曲収差もある程度補正できます。球面補正をかける方法や,タル型,糸巻き型歪曲の補正が簡単にできるソフトもあります。フリーソフトも出回っているようです。下の画像は,周辺減光・タル型歪曲・水平を修正し,わずかにガンマ補正を行ったものです。まあまあ修正はできましたがまだ水平線に違和感があります(撮影/MWS)。





2008年8月27日


ps

ps

ここ数日,塩ビ管を加工していましたので,ヤスリがけで出てくる切削クズを検鏡してみました。上下水道用の塩ビ管なので不透明な灰色ですが,小さくなれば光を通すようになります。上の画像は10倍対物レンズを用いて撮影したもので,数百から数十マイクロメートルの切りくずがたくさん見えています。ビニールが引きちぎられたような形状をしていて,あちこちにカギ状の構造があり,塩ビの切りくずがなかなか洗い落とせない理由がわかる気がします。引きちぎられた樹脂の多くは偏光性を持っているので,簡易偏光で検鏡してみると,暗い視野に切りくずが明るく光ります。強い応力によって樹脂の構造に方向性ができ,偏光性を持った証拠でしょう。いつもは厄介者のゴミですが,検鏡材料にすれば興味深いものでした(BF/Pol,撮影/MWS)。





2008年8月26日


ps

ps

写真撮影というのはふつう,光が像を結ぶまでに何枚ものレンズを通過します。そしてできあがった像はもとの物体と相似であることが望ましいのですが,実際には変形していることもあります。特にコリメート法で顕微鏡写真(あるいは望遠鏡でも同じですが)を撮影する場合,使用するアイピースやカメラレンズの性質により歪曲が大きくなることがあります。上の画像は対物ミクロメータ(1目盛0.01ミリメートル)を撮影した画像で,画像周辺で糸巻き型の歪曲が見られます。ピントは合っているので,中心と外側で倍率が異なる現象と言い換えてもいいでしょう。これでは物体の正確な形を表さないので修正が望ましいですが,うまいことに多くの画像処理ソフトには歪曲収差の補正機能が備わっています。下の画像は,上の画像に大して糸巻き型収差の補正を行ったものです。周辺でもきちんと直線が出ていて気持ちのよい画像になっています(BF,撮影/MWS)。





2008年8月25日


ps

ps

ルーペは拡大率にして2倍程度から20倍程度のものがよく利用されます。低倍率でもそれに応じた働きがあり,特性を知って使えば便利なものです。通常,肉眼の分解能は25cm前方に置かれた物体に対して一ミリの数分の一弱程度です。ですからルーペを使えば,一ミリの数十分の一の物体を一ミリの数分の一まで拡大してくれるので,肉眼で楽に見えるようになるわけです。高倍率のルーペを使えば,珪藻もある程度見えてきます。上の画像は14倍のルーペで珪藻プレパラートを観察しているようすで,下の画像は,デジタルカメラでルーペをのぞき込むようにして撮影した珪藻です(Jシリーズ,J022)。14倍の拡大率ともなると,面積では二乗で196倍です。0.1〜0.4mmの珪藻がはっきり見えています(撮影/MWS)。





2008年8月24日


ps

ps

筆者がはじめて複式顕微鏡を自作したのは5,6歳の頃だったでしょうか,何かの付録についてくるような小さなプラスチックレンズを組み合わせて,像が逆さに見える様子を何度も確かめたものです。次にもうちょっとまともな複式顕微鏡を作った(?)のは10歳の頃で,望遠鏡のアイピース2個をテープでくっつけたものでした。こちらはとても高倍率で,照明がやりにくく,布団の繊維や新聞の活字などを見たくらいで,あまり活用できませんでしたが・・。『顕微鏡』というと難しそうな感じがしますが,とりあえずレンズが二枚あれば複式顕微鏡が作れる,顕微鏡はそのくらいに簡単なものでもあります。家に転がっているレンズを組み合わせて試してみてはいかがでしょう。レンズの焦点距離によっては望遠鏡になりますが,それはそれで良いでしょう。上の画像は,ほとんど使用していない年代物のズームレンズ(一眼レフ用,36〜72mm)と,望遠鏡の接眼レンズを組み合わせて作ったズーム顕微鏡です。ズームレンズをベローズリング(Nikon,BR-2)で逆向きにして(顕微鏡としてはこの向きで使う),それに接眼レンズが付くようにアダプターを介しています。こんな適当な組み合わせながら,意外によく見え,絞りが使える便利さもあります。下の画像はこのズーム顕微鏡を用いて撮影した,ノートパソコンの液晶モニタです(撮影/MWS)。





2008年8月23日


ps

海に浮かんで生活しているプランクトン性の珪藻類の中には,環境条件が生存に適さない環境になると分厚い珪酸被殻を新しく作って休眠状態に入るものがいます。Chaetoceros属の珪藻が代表的で,休眠するために作られた分厚い被殻を持つ細胞は休眠胞子と呼ばれます。「胞子」と名前がついていますが,生殖とは直接の関係はなく,耐久カプセルのようなものです。上の画像は相模湾でふつうに見られるChaetoceros radiansというプランクトン珪藻ですが,弱々しくコントラストの低い被殻(四角く写っています)と刺毛(長い毛のように写っている部分です)に対して,中央部の休眠胞子は極度に分厚くなっていることがわかります。ガラス質の珪酸を使って,海に浮かぶための殻を作ることもできれば,沈んで泥に埋もれても壊れない丈夫な殻を作ることもできる,珪藻は材料工学と構造力学を熟知している達人のようです(BF,撮影/MWS)。





2008年8月22日


ps

この画像はリサーチグレードのMZR-01の一部を拡大したものです。このプレパラートには画像に見るように三角形(トリゴニウム)や面白い形態(ビドゥルフィア)の珪藻を含み,さらに優雅な形態で知られるアラクノイディスクス(クモノスケイソウ)も入っています。いずれも大型の珪藻で,0.1ミリくらいある種類が多いです。ですから,どのような顕微鏡でも楽しむことができると思います。解剖顕微鏡でも,小学校にある簡易顕微鏡でも,ルーペでも,研究用の顕微鏡でもOKということです。10倍程度のルーペであれば,拡大率10倍ですから,珪藻が1ミリの大きさに見え,三角形や丸形の珪藻が判別できますし,照明の角度によってはキラキラ輝いて,色がついて見えることもあり綺麗です。同じように,大きな珪藻ばかり入っているプレパラートには,教育用のE-M1があります。こちらもきれいです(BF,撮影/MWS)。





2008年8月21日


ps

星の砂(有孔虫の殻)は一昨日とりあげましたが,ちょっと思いつくところがあってきょうも撮影してみました。有孔虫の殻は炭酸カルシウムが主成分で,結晶構造はカルサイトだといわれています。カルサイトといえば方解石のことですから,偏光性があります(自然光から偏光を取り出すために,むかしは方解石製のプリズムが利用されました)。ということは,偏光で透過照明を行い(つまりポラライザを使い),星の砂を通過した光をさらに偏光でブロックしてやれば(つまりアナライザを使えば),偏光性のある星の砂は暗い背景に明るく輝くことになるだろうと予想できます。そこで市販の偏光フィルムをコンデンサ下に入れ,これまた市販の偏光グラスを対物レンズと接眼レンズの間に入れ,偏光フィルムを視野が暗くなる位置まで回転させました。すると暗い背景に星の砂が浮かび上がりました。このように,物体の光学的性質を考慮すれは,観察方法が広がります。なお,背景が青紫色なのは,安価な偏光板を用いたときによく見られる「青漏れ」という現象です。青や紫などの短い波長域で偏光の純度が悪くなるためにアナライザでカットできずに漏れて見えるのでこの名があります。今回は色彩効果として利用しています(Pol,撮影/MWS)。





2008年8月20日


ps

珪藻をあるデザインに並べる過程はどの工程も根気のいる作業ですが,特に「どのように並べるか」は難しい問題です。大きさの揃った珪藻には数に限りがありますし,希少種を大量投入することもできません。ランダムに並べると,とてもデザインとは呼べないものになってしまします。設計図を書いても,仕様を満たす珪藻を揃えるのは至難です。すると現状では,ぼんやりとスケッチを思い浮かべて,それを参考に並べていき,あとは微調整ということになります。上の画像は,多人数に顕微鏡を一度だけ覗いてもらうということを想定して,珪藻の美しさ,形態の違い,形態の類似性・多様性が一見してわかるように並べてみたものです(配布済み)。中心目珪藻の多くを中央に,羽状目珪藻で取り囲むように並べ,近縁種は近い配置で,全体が総合倍率100〜200倍(広視野)で見えるようにデザインされています(DF,撮影/MWS)。





2008年8月19日


ps

これは「星の砂」の拡大像です。いろいろな形態のものがありますが,特に星に似たものを拾ってみました。星の砂は琉球列島などでは定番のおみやげ品として有名ですが,これは有孔虫の仲間の残骸です。有孔虫は炭酸カルシウムの殻を持っている生物ですが,死後,炭酸カルシウムが海水に溶けにくいのでそのまま残ったものです。砂浜などでは流れによる篩い分け効果により星の砂が集積しているところもあるといいます。目で見ても星の形がよくわかりますが,低倍率の顕微鏡で見ると細かな構造が見えてきて面白いものです(DF,撮影/MWS)。





2008年8月18日


ps

ps

きのうの珪藻は横倒しでしたが,たくさんの珪藻被殻を検鏡して起きているものを探してみたところ,いくつか見つかりました。いずれもやや傾いているのですが,正面から見た特徴は出ています。上の珪藻は,きのうの珪藻の外側の被殻を細胞に対して外側から,下の珪藻は,きのうの珪藻画像の内側に相当する被殻を細胞の内側から見たものとなります。合成画像を作成すればボケのない絵が作れますが,その場合でも,どちらが手前でどちらが向こう側かは一目ではわかりません。説明を付けた方が無難です。なお,この珪藻はリサーチグレードのMZR-01に含まれています(BF,撮影/MWS)。





2008年8月17日


ps

珪藻はガラス質(ケイ酸)ですから硬いのです。その丈夫な殻が上の画像(ゲフィリア属の一種)のような形をしていたら,カバーグラスの上に落としても横倒しになってしまいます。珪藻の上殻・下殻が合わさっているところを見るのには都合がよいのですが,上面・下面の模様を見るには甚だ不都合です。このような場合は,大量の散布サンプルを作って,たまたま都合の良い向きの珪藻を探すように努力しますが,種によってはそれも限界があります。むしろ,一つ一つ拾って,封入剤の上に縦横に並べてしまった方が確実なこともあります。単に珪藻被殻の模様を見るだけのことですが,いろいろ工夫が必要になる場面もあるのです(oblique,撮影/MWS)。





2008年8月16日


ps

この画像も天橋立で採取した海藻から出てきたアメーバです。非常に薄くてコントラストが異常に低く,明視野でうっかりすると気づかないかもしれません。微分干渉法でCCD撮影し,コントラスト強調をかければ明瞭に見えます。上の画像はそうやって撮影したものです。技術的な困難があって,高精細な画像となっていません(すみません)。動作は非常に速く,変幻自在に形を変えます。珪藻も摂食するようで,珪藻を包んだ個体もみかけます。何とか摂餌のシーンを撮影しようと執拗に追いかけましたが,ついにとらえることはできませんでした。アメーバは光を嫌って逃げる種もいて,そのような種は顕微鏡下で摂餌をしにくいこともあります。他方,お構いなしにガブガブと他の生物を飲み込む種もあります。こうしたことから,生態撮影には照明条件や顕微鏡上の培養条件を調節する必要も出てきます。生きた微生物を顕微鏡観察するのは簡単で楽しいものですが,それを映像化して届けようとなると,いろいろ難しい問題が出てきます(DIC,撮影/MWS)。





2008年8月15日


ps

モノクロCCDによるコントラスト強調は珪藻検鏡にも非常に有用です。適当な拡大率を設定し,最適な照明条件になるように工夫を凝らし,あとはモノクロカメラのチューニングで画像を作り上げていきます。撮像システムが良い状態になれば,肉眼でもみえにくい細部がモニタに浮かび上がるようになります。上の画像は市販のモノクロCCDを用いて撮影したコスキノディスクス(コアミケイソウ)の一種で,中央部の強拡大です。通常,電子顕微鏡で観察されるような構造が浮かび上がっています(oblique,撮影/MWS)。





2008年8月14日


ps

きょうもアメーバを追いかけてみたのですが,不調でした。わずか一日で培養の状態は大きく変化し,多くのアメーバが姿を消していました。特定の種がいくつか残りましたが,あまり活動せず,ゆらゆらとうごめくだけでした。代わりに他の原生生物を追ってみましたが,動きの速いものばかりで芳しくありません。CCDカメラをパソコンに接続し,キャプチャーしながらスナップショットを繰り返すと,ビデオ用CCDをデジカメのように使うことができます。上の画像はそうやって撮影したもので,繊毛虫の一種です。画質が荒れていますが,画素数の少ないCCDカメラで,感度を上げ,さらにコントラスト強調を行っていることが原因です(DIC,撮影/MWS)。





2008年8月13日


ps

きょうは海産のアメーバを撮影していました。これも天橋立の海藻から出てきたものです。アメーバはその独特な動きに特徴がありますので,動画で記録します。カラー動画で記録することも普通にありますが,アメーバは無色透明ですので,モノクロカメラでコントラスト強調を行うのが効果的です。微分干渉法などが併用できればさらに明瞭に記録できます(DIC-VEC)。通常のビデオ出力のCCDカメラは画素数が少ないので,その分,拡大率をあげて対物レンズの分解能が発揮されるように配慮します。視野は狭くなりますが,高分解能な記録を行うのに不都合はありません。上の画像は,微分干渉法にモノクロカメラを用いて撮影し,コントラスト強調を行った動画の一コマです。アメーバが珪藻を食べようとしている瞬間です。背景の粒子はバクテリアで,約1〜2μm(1/1000〜1/500ミリメートル)の大きさです(DIC,撮影/MWS)。





2008年8月12日


ps

ps

ps

これも一昨日の試料から見つかった珪藻です。まだ名前は調べていません。細胞中央部にピントを合わせると丸い核と思われる構造が明瞭に見えます(上の画像)。ごくわずかにピントを手前に持ってくると,この核のような構造が極を持つ構造になっていることがわかります(画像2枚目)。さらにピントを手前に持ってくると,核の構造は消え,取り囲んでいる葉緑体にピントが合います(画像3枚目)。このように,光学顕微鏡は,物体の連続切片像を得ることができ,しかも生きた物体が見えるのが強みです。被写界深度が浅く,走査電顕像のように深いピントが得られないことを欠点のように言う人がいますが,それは言い過ぎでしょう。もし上記の画像がすべて重なって見えたら,何がなんだかわからなくなってしまうでしょう。被写界深度が浅い方が良いこともあるのです(DIC,撮影/MWS)。





2008年8月11日


ps

これは昨日と同じ試料から見つかった珪藻でプレウロシグマの仲間です。軽いS字型をしており,被殻上には斜めに交差する構造があります。この構造は対物レンズのテストにも使われてきたのでメガネケイソウという和名もついています。画像の珪藻は生きている試料ですので,ケイ酸被殻にある細かい構造は見えにくいですが,その代わりに細胞内の小器官がよく見えます。複雑な構造を持つ葉緑体は青緑色のクロロフィルの他に橙赤色のカロテノイドを含んでいますので,合わさって茶色っぽく見えます。中央部にはコントラストが低いですが核も見えています(DIC,撮影/MWS)。





2008年8月10日


ps

天橋立付近から少量の海水と海藻が入荷しましたので検鏡してみました。海水の沈殿物はほとんど鉱物粒子でしたので,同じ場所で採集した海藻にもあまり期待はしていなかったのですが,海水で振り洗いをしてみるとたくさんの珪藻が出てきました。画像はその一部で,コッコネイス属珪藻のコロニーと思われます。密集していますが,その間を埋めている小さな粒子はバクテリアのようです。細長いヒモのように見えるものはシアノバクテリアのようにも見えますが詳細はわかりません。夏期の海藻には付着珪藻が少ないことがあるのですが,この採取場所は近くに湧き水があるらしく,珪藻の栄養である珪酸が豊富に供給されているようです(DIC,撮影/MWS)。





2008年8月9日


ps

ps

きょうもコルクを覗いてみましたが,ちょっと現代的に蛍光観察です。コルクは染色しなくても,紫外線により強い自家蛍光を発しますので,細胞壁の構造が容易にできます。昨日と同じく,縦と横に切った切片をそのままスライドグラスに載せ,封入剤を用いずに乾燥標本のままカバーグラスをかけます。これを紫外線LEDの波長(400nm)で観察しました。コルクの細胞壁が明瞭に見え,縦断面と横断面では形態が異なることもわかります。コルクは柔らかな感触で弾力性に富みますが,その原因はきっとセルロースの質にだけあるのではなく,この波打った構造(バネの役割)や,内部で保持された空気にも求めることができるのではないかと,この検鏡結果から想像されます。なお,教材等としてコルクのプレパラートが必要な方には,安価に供給できますのでメールにてご連絡をいただければと思います(BF,撮影/MWS)。





2008年8月8日


ps

ps

ロバート・フックはコルクを顕微鏡で観察してスケッチを残しました。そこには明瞭な細胞壁の構造が記されていたため,フックは細胞の発見者ということになっています。このことは多くの教科書にも載っていて,教育の現場で紹介されることも多いようです。ところで,実際にコルクを薄切りにして顕微鏡で覗いたことがある人は,いったいどのくらいいるでしょうか。知識としては当然知っているべきものとされ,テストにまで出題されて,学力の評価にまで利用される題材ですが,それが単に教科書に書いてあることを覚えるだけという勉強であり,教員もまた実物を見たことがなく「受け売り」をするだけならば,それはかなり危ういと思うのです。コルクはどこにでも転がっていますから,薄片を作って検鏡してみてはいかがでしょう。ロバート・フックはけっこう手先が器用だったに違いない,ということが実感されるかもしれません。画像は,フックの残した絵をまねて,縦横に切ったコルクの薄片です(BF,撮影/MWS)。





2008年8月7日


ps

珪藻には印象的な形態の種がいくつもあり,MWSではなるべくそのような種を集めようと努力しています。上の画像はAsterolampra属の一種で,海産の中心目珪藻です。なかなか美しいのですが,これを大量に集めるのは難しく,いまのところ化石のコレクションを所持するにとどまります。化石の場合は破損個体が多く,完全なものはごくわずかしか含まれていませんが,検鏡しているとそれなりに美しさを味わうことができます。この珪藻を見てみたい方は教育用プレパラートのうち,【E-FM1】を選ぶと,その中に入っています(DIC,撮影/MWS)。





2008年8月6日


ps

ps

これは蚊の羽(コガタアカイエカ)の縁辺部にある鱗粉です。微分干渉法で,比較的高倍率(開口数0.95)での撮影です。この鱗粉には0.5μmを切る微細な構造がありますが,コントラストが低いため,見づらい構造の一つです(油浸ならば明瞭に見えます)。微分干渉法では解像に方向性がありますので,試料をセットする方向が大切です。上の画像は鱗粉の長軸方向にシャーがかかっていて,この方向にビームスプリッタが効いています。このとき,鱗粉の微細構造がはっきりと見えます。下の画像はステージを90度回転させて撮影したものです。微細構造のコントラストが低くなり,ほとんど見えなくなってしまいます。上記2枚の画像は,微分干渉法において試料を適切にセットすることがいかに大事かを,あまりにも明瞭に示していると思います(DIC,撮影/MWS)。





2008年8月5日


ps

かつてそこは海だった,という場所が日本にはたくさんあります。珪藻は約2億年前頃(他の説もある)に誕生して分布を広げたとされていますので,それ以前に海だった場所では放散虫が主役になりますが,数千万年前,数百万年前に海だったという場所であれば,たくさんの珪藻が堆積している可能性があります。上の画像は荒川中流部の様子ですが,露出している堆積岩には海の珪藻が含まれています。そこはまぎれもなく,海だったわけです(撮影/MWS)。





2008年8月4日


ps

ps

ps

蚊の羽プレパラートの在庫がある程度できましたので,販売を開始いたします(こちら)。室内に侵入した蚊を手づかみで捕獲し,乾燥保存しておいたものを使用しています。コガタアカイエカが大部分でヒトスジシマカが少量あります。いずれも1枚500円です。メールでご請求下さい。上の画像に見るように,蚊の羽はなかなか美しい姿で,鱗粉に微細な構造も持ちますので,低倍率から高倍率まで楽しむことができます。画像1,2枚目はヒトスジシマカ,3枚目はコガタアカイエカの羽です(BF,撮影/MWS)。





2008年8月3日


ps

これは蚊取りマットの表面(裏側)を拡大したものです。蚊取りマットは加熱により殺虫成分を徐々に放出する優れものですが,この「徐々に」の部分をどのようにコントロールしているのかが謎でした。この画像を見ると,緻密なセルロース繊維のように見えます。横から見ると何重にも重なっている様子がわかりますから,蚊取りマットは紙の束なのでしょう。紙に吸着させた成分が,加熱によって分子運動が活発になり,紙から空気中に放散されるようになっていて,加熱温度と紙の緻密さ・厚みのバランスで数時間にわたって薬効成分を放出させ続けることができるというわけなのでしょう(epiDF,撮影/MWS)。





2008年8月2日


ps

日本海側から少量の海水試料が入荷しましたので検鏡してみました。茶色の沈殿物が見られますのでこれを拾って検鏡すると,ほとんどが微細な鉱物が凝集したフロック(ふわふわした浮遊物)です。しかし検鏡を続けているとたまには上の画像のような珪藻が出現します。Hyalodiscusの仲間に近いように思いますがコントラストが低く細部はわかりません。茶色いふわふわは,冬季に見られる比較的しっかりしたものは珪藻を多く含むように思いますが,夏期に見られる明るい色のばらけやすいものは,珪藻よりも鉱物を多く含んでいるようです(BF,撮影/MWS)。





2008年8月2日


御礼
『仮説夏の大会in宮津』では小さなお店を出店しましたが,たくさんの方に珪藻をご覧&お求めいただき,とても有意義であったと思います。「珪藻? なにそれ?」というよくある質問から,展示方法へのご意見,「これだけの試料を準備するのはどれだけ大変かと思います」「生物系出身だからわかるけど,これは安すぎる。もっと高く売らなきゃダメだ」「学校の備品よりもきれいですね」など,多くのご意見をいただきました。貴重なご意見をありがとうございました。今後の参考にしたいと思います。プレパラートの使い方などのサポートに関してはメールでご案内いたしますので,質問などありましたらどうぞ遠慮なくお寄せ下さい(MWS)。





2008年8月1日


ps

夏の果物でもとりわけおいしいのがナシです。ナシに含まれる水がのどを潤してくれますし,体の余分な熱を取り去る作用もありますので,ほてる体質の方には最適です。筆者はほてる体質ですので,夏はナシを食べてしのいでいます。しかし顕微鏡でナシの果皮を見たのはきょうが初めてです。果皮はすでにカキ,トマト,モモなどをとり上げていますが,ナシの果皮もそれらと似た傾向があります。中身の細胞にくらべてずっと緻密に詰まっており,細胞容積は小さく,固そうです。表面を守るためにそのようになっているものと思います。ナシの果皮は緑色の場合がありますが,これを蛍光顕微鏡で見ると,上の画像のように赤色蛍光が見られます。ナシの皮には葉緑体が残っているようです。と,いうことは微弱ながらも光合成を行っているというわけですね(epiFL,撮影/MWS)。






Copyright (C) 2008 MWS MicroWorldServices All rights reserved.
(無断複製・利用を禁じます)



トップに戻る



.