画像のご利用について





本日の画像

ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


【サイトトップ】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2008年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【8月】  【9月】  【10月】  【11月】  【12月】  【2009年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【8月】  【9月】  【10月】  【11月】  【12月】  【2010年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【8月】  【9月】  【10月】  【11月】  【12月】  【2011年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】 【6月】   【7月】   【8月】   【9月】 【10月】 【11月】 【12月】  【2012年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【8月】  【9月】  【10月】  【11月】  【12月】  【2013年1月】  【3月】  【今月】



2013年2月28日


ps

愛読書『日本の薬草』にもキャベシは「おすすめの薬菜である」と書かれています。その本を読んでいた20代後半頃は,そんなもんかな,と思っていましたが中年オヤジになってからはキャベシの凄さを実感することとなりました。頻尿の症状で2年以上も苦しんでいたある日,顕微鏡のカタログを読んでいて痛風検査板のところでふと思いつくことがあり,頻尿≒痛風の仮説を立て,痛風であれば尿アルカリ食が有効だろうとの推測から食事を組み立てました。そのときに体質を問わずに食べられて,続けて食べても安全で,しかもおいしくて飽きないものということで到達したのがキャベシ+ワカメでした。この組合せを食べ続けた結果は驚くべきもので,頻尿にはかなり早く効き,一ヶ月もすれば十分に効果が実感できるものでした。恐らくは尿路を通過する液体成分のpHが微妙に変化したことにより痛覚を生じる部分の修復等が効果的に行われたのであろうと推測しています。

東洋医学的には食材は体を温めるものと冷やすもの,中立なものがあって,これをよく知らずに偏った飲食を続けているととんでもないことになります。砂糖は体を冷やす最たるもので,甘いものを常食し,飲んでいる人は体を内部から冷やし,カゼばかりひくことになります。熱産生能力が低下することにより免疫力が低下し,あらゆる病気に対する抵抗力が落ちます。東洋医学というとバカにする人もおられるかもしれませんが,砂糖の害はグリケーションという形で西洋医学的にも解明が進んできています。人類が長い歴史の中で見つけてきた食材の性質は一個人の思い込みで否定できるほど軽いものではないというのが筆者の実感です。で,キャベシはどちらかというと中立的なのだそうで,確かに食べていてもそんな感じがします。こういう優れた野菜がどこでも入手できるのですから有り難いものです(画像/MWS)。



*1 小学校で「ツ」と「シ」の違いを教わった覚えがなく,大人になってもツだかシだかわからないような文字を書いていた記憶があります。ソとンも,クとワもわかりにくいですね。そんなわけで自宅ではきゃべしきゃべしと呼んでいたら,ある水産系の研究者が同じように「きゃべし」と呼んでいることが明らかになり,それ以来さらに胸を張ってきゃべしと呼んでいる次第です…。




2013年2月27日


ps

ps

きょうの画像は当店自慢の健康回復メニュー,あったかキャベシです。そのむかし慢性(約3年間)の体調不良で大変な苦労をしたときに食事内容を見直して徹底的に野菜を摂取することで復調したという得難い経験をしました。そのときに種々考えて考案したメニューのひとつです。キャベシは適当に切ってレンジでチンして水を切っておきます。これに油揚げとしらすを混ぜるだけです。油揚げはよいものを使い,そのままでも,油抜きしても,キッチンペーパーで拭き取るだけでも,焼いてからでも,どれでも結構です。味付けはしらすの塩分だけです。キャベシの甘味にしらすの塩分がよいアクセントになって,油揚げのコクと風味でまとまりがでます。軽く温めると口当たりもよくてたくさん食べられます。これを二日に一度でも茶碗一杯食べれば健康維持効果間違いなしというところです。今回は駿河湾産の釜揚げしらすを使っていますので風味も格別です。うまうま(画像/MWS)。



*1 慢性の体調不良に悩んでおられる方は,一度,甘いもの(食べ物と飲み物)をすべてやめて,油物と肉類を減らし,煮野菜,ご飯,魚中心の和食を一年間続けてみるとよいでしょう。体調不良の原因は生活習慣にあることは周知ですが,特に,野菜不足と砂糖の過剰が引き起こす症状は多彩なもので,肩こり,腰痛,花粉症,風邪などで困っている人の多くは食生活に原因があるものと筆者は考えています。しょっちゅう風邪をひいている人が昼食はインスタントラーメン,飲み物はコーラなどというケースは皆さんの周りにも珍しくないことでしょう。

*2 野菜はたくさん食べています,と言う人の「量」を聞いてみると,週に一度はサラダを茶碗一杯食べているとか,そんなレベルのことが多く,非常に野菜不足であることが珍しくありません。茶碗一杯の生野菜は煮野菜でスプーン二杯くらいです。これでは全く足りません。一日の必要量は約400g弱とされていますが,それだけの量を野菜サラダで食べるのは至難です。だから煮野菜にするのです。きょうの画像はドンブリ一杯分のキャベシ(加熱済み)ですが,これを二人で,一食で食べてしまうのです。もちろんこれだけではなく,この晩は他にニンジン,ゴボウ,レンコン,ウド,春菊と食しています(さらに青汁と野菜ジュースも飲んでいます)。毎日野菜と戦うように料理しないと必要量を摂取することはけっこう大変です。(だから包丁がよく研げていないと話にならんのです…)

*3 きょうのレシピはしらすでなくてもOKです。コウナゴの柔らかいものでもOKですし,それがなければちくわを薄く切ったものを混ぜても同じように美味しいです。要するに魚肉を調味料として,油揚げをドレッシングの油+具として使っているわけなので,その方向性で味付けを行えばいいわけです





2013年2月26日


ps

Yahoo! Japanの地震関連のページは過去情報へのアクセスが容易で非常に便利です。筆者は二日に一度はこのページをチェックして地震の傾向を眺めています。きょうの地震は栃木県北部でしたが,全く予想はできませんでした。こちら のページを眺めてみると,この地方の地震は一日に何度も揺れるということを繰り返していて,断層の破壊が徐々に進んでいるような印象があります。こうした傾向が何となく見えても地震予知はまったくできないのですから,日本で暮らしている以上は常に地震が起こると思っておいた方が,備えができてよいでしょうね(画像/スクリーンショット)。








2013年2月25日


ps

噴火湾のケガニの話をしたら翌日には駿河湾の海の幸が届きました。思いがけないことがあるので人生はおもしろいわけですが,こうして筆者のことを案じてくれる人々が世の中におられるということが嬉しいですね。心より御礼申し上げる次第です。釜揚げしらすはカタクチイワシの稚魚ですが,キロ当たりの価格は高級魚クラスです。お値段だけのことはあって,味も最高ですし栄養的にも大変優れています。しらすはそのまま食べてもよいですが,ちょっとトッピングなどに利用すると味に深みが出てよいものです。例えば納豆に放り込めばおいしくて栄養価の高いまことに優れたおかずになるのです。画像は同封されていたパンフレットです(画像/MWS)。








2013年2月24日


ps

これは噴火湾の海底を歩いていたケガニの毛です(背景はキムワイプです)。細かいものを取り扱う関係上,いろいろな種類の毛があると便利なのですが,なかなか理想的なものはありません。そこでケガニの毛も保管しておいて,いつか利用しようと思っていたのです。手触りが硬いので丈夫であろうことは想像がつきますが,この毛の先端が異常に硬く,試しに削って細くしてみようとポケットアルカン(アルカンサス砥石)で研いでみれば,砥石面を凹ますのです。こういう茶色っぽくて硬い物といえば,マグネタイトでできているヒザラガイの歯舌を思い出します。そこでケガニの毛にネオジム磁石を当ててみると,先端側が吸い寄せられませす。ということでケガニの毛の先端には,硬度を高めるためにマグネタイトであろう磁性物質が存在して いるものと予想されます。ひょっとすると世界初の発見かもしれませんので(笑),ここに記しておきます。筆者はこれ以上深追いしませんので,研究テーマが浮かばずに困っている大学の先生方,来年度のテーマにいかがでしょうか。アイデア料はケガニの中身で結構です…(画像/MWS)。








2013年2月23日


ps

ps

久しぶりに蚊の羽を封じる作業があり,そのために刃物を製作しましたので備忘録です。0.5mmのステンレス線は適当な長さにカットしてシャープペンシルにセットします。ステンレス線の先端をダイヤモンドのフラッシャー#320で薄く削り,ヘラのようにします。ヘラができたら切っ先が自然なカーブになるように刃をつけていきます。表裏同じように刃をつけたら,こんどはダイヤの#1200で切刃を研ぎ,より自然で滑らかな刃先にします。だいたい形ができたら,折り畳んだ新聞紙を用いて刃先のカエリを取り去ります。この段階で荒刃のついた刃ができていますが,乾燥した小昆虫などを着るときは刃先にひっかかりがあると試料をボロボロにしてしまうことがあるので,より鋭い刃にします。

こんどはポケットアルカンを使い,空研ぎで刃先を仕上げます。刃物が小さいので軽い力でも十分な圧力で研磨が進み,それほど時間はかかりません。表,裏と同じ角度で研いで,ペーパーでカエリをとって作業はお仕舞いです。なお,刃がついているのは切っ先のRの部分のみです。平らな部分に刃がついていてもシャーペンホルダでは使うことができないので,切っ先だけで十分なのです。画像一枚目はできあがった刃物と蚊の羽。二枚目は羽の根元をカットしたところです。よく切れます(画像/MWS)。








2013年2月22日


ps

この画像に写っている四角い珪藻はミスミケイソウの四角型ですが,封入剤が浸透しにくく厄介者です。画像に写っている胞紋の中にもっと細かい孔があるようで,そこに封入剤が入っていかないのです。完全に洗浄できていれば孔は通じていますから封入剤も入るはずなのですが,珪藻を乾燥する工程で使用する水に含まれる蒸発残留物が残るらしく,それによって孔が塞がれてしまえば封入剤は入らなくなります。似たような珪藻はほかにもあって,コスキノディスクスやトリケラチウム,ディプロネイスは特に封入がむずかしい種です。プレウロシグマも厄介です。その一方で,スタウロネイスやライレラ,ディディモスフェニアではこのような現象が起きません。封入剤や溶剤の染み込み具合は恐らくこれらの珪藻被殻上に存在するナノメートルサイズの孔の有無を表しているように思えます(画像/MWS)。








2013年2月21日


ps

ps

絶大な人気を誇る珪藻プレパラートJシリーズは,注文によっても製作しています。これまで製作したデザインであれば類似のものができる可能性が高いです(但しかなり時間がかかります)。これまでもクリスマスツリーの注文製作をはじめ,DL-TESTで珪藻指定や,多種類プレート,特殊な配置などの製作実績があります。過去の販売品目などを見ると番号が飛んでいることがありますが,そのような場合は注文製作かイベントなどで販売したものです。きょうの画像はJ220と,このタイプをとの注文により製作したJ227です。このクラスになると格段に難しく,珪藻の大きさが変わっただけで空間をどう処理するかが問われます。J227では珪藻で埋めることにより自然な配置にしています(画像/MWS)。








2013年2月20日


ps

中年オヤジになってから実感するようになったのは,人体というのは正しくつかってこそ維持できるということです。若い頃は暴飲暴食しても多少睡眠不足だろうがオーバーワークだろうが何とかなるものですが,中年にさしかかる頃になるとそうはいきません。いろいろなことが偏らないように努力する必要が出てきます。ここ数十年ほど,人類はかつてないほどに豊かになり,食べたい物を好きなだけ食べられる状況になっています。すると一部の人は,本当に好きなものだけを食べたりしてしまいます。その結果,満腹なのに栄養失調となる人が出てきます。現代は飢えと貧困の時代に次いで栄養不足が蔓延しているのかもしれません。口当たりのよいものばかり食べていると,咀嚼もしなくなってしまいます。いっけん便利に見えますが,実は「噛む」というのは人体維持に必要な運動らしいのです。

噛むだけで脳血流が増し全身の循環が改善します。ということは,噛まなければ循環が停滞して全身状態の悪化につながるのです。動物実験でも流動食と固形食で比較すると固形食の方が知能維持に優れているそうです。単純に噛むという運動ですが,それは栄養をとるだけでなく運動により全身の循環状態をよりよく保つ動作でもあったわけです。さすが動物の体は一石二鳥的に作られていたのでした。最近はよく噛むことがボケ防止にもよいし,記憶力アップにもつながるということが判明してきています。文明が進んでも人間の体は同じ速度で適応していくわけではないので,狩猟生活時代の運動量や生活スタイルをある程度まねて健康維持をしなければならないようです。

ということで筆者のカミカミ運動の友が本日の画像です。これ,2010年冬に見つけて大喜びだったのですけど,本ページで紹介したら店頭から姿を消してしまい,なかなか入手困難だったのです。久しぶりの入荷でおいしくカミカミしながら健康と,珪藻を拾える集中力を維持している今日この頃です。ちょっと冷えてきたなと思ったとき,これをカミカミすると指先まで温まるのです(画像/MWS)。








2013年2月19日


ps

「ホームページに毎日どのくらい時間をかけていますか?」との質問を頂戴しました。「本日の画像」は毎日更新で5年間以上休みなく続いているので,毎日ご覧頂いている方は当然抱く疑問かもしれません。実際のところ,時間をはかったことはないので正確にはわかりませんが,普段は10分〜15分以内程度で,ちょっとしっかり書くぞというときには30分程度。長文の記事のときでは一時間以上かかることもありますが,平均してみればそれほど時間も労力もかけていないという感じです。「本日の画像」は業務でもあるので,いくら時間をかけても良いのですが,筆者が暴走すると読者が読み切れない恐れもあり(^^; 毎日かるく読めるけれども何らかの有用な情報が得られるという程度にチューニングしているつもりです。

このサイトを解説した第一日目から,ftpが使える日は休むことなく続いているのは不思議な気もします。最初はタイトル通りに,「画像」が先にあってそれに解説を加えていたのですけど,そのやり方だと時間を浪費しかねないことに気がついて,「言いたいこと」が先にあってそれに画像をつける方が効率的なことが分かりました。日記ですら一週間以上書いたことのない筆者ですから,最初の2,3ヶ月はなかなかつらいこともありましたが,このくらいの仕事ができないようなヘタレの作る標本なんて誰が買うかバカヤロー,と自分に言い聞かせて続けた結果が今日につながるのです。。

ちなみに,最近もっとも時間を費やした記事は何かというと,『Siセンサー付きガスコンロを捨てた話』です(笑)。怒りが爆発し責任者を八つ裂きにしたい気持ちを抑えつつ,Siセンサーに怒りを炸裂させている仲間をネット上で捜して勉強して記事を書きました。先日の顕微鏡関連集会で本ページの読者がおられ,「業務用バーナー買えば,いいじゃん? でもオレも同感だぜ」なるお言葉を頂戴し,世の中には本質を見極められる人がまだまだ存在するとの思いを深くして勇気を得たのでした。内角高めの記事で定評のある(^^; 「本日の画像」をこれからもよろしくお願い申し上げます(画像/MWS)。



*1 2011年は原子力災害関連の記事を書いたため,かなりの時間を費やしました。




2013年2月18日


ps

ps

『ショートランチャー9』はあまりにも便利なので増殖中です…。本ページの読者からの反響も続いており,また出先のデモにおいても「便利ですねー」「いいですねー」と好評です。ときにはばらまいたりもしますが,それ以上に入荷している模様。。運動不足の解消に歩く散歩コースにぶら下がっていたりするので,ついつい連れて帰ってしまうのです。『ショートランチャー9』は画像一枚目に示すように,45mm同焦点の対物レンズよりも短いという驚異のコンパクトさでありながら,白LED9灯による,大面積大光量を確保したライトです。実際の長さは40mm弱程度なので,顕微鏡のステージ下に配置できるケースが多いことはすでに述べました。

このほかにも多様な使い方が考えられます。画像二枚目は,『ショートランチャー9』を筆者の常用サプリ,『チョコラBBピュアー』のビンに入れた様子です。『チョコラBBピュアー』のビンはひじょうに優れた拡散板の機能をもちますので,LEDライトのまぶしく硬い光を和らげ,屋外などでランタン的に使うには最高です。このビンは防水ケースにもなりますので,水中ライトとしても使用できます。もちろん,ほかの気密性のよいビンに入れてしまってもOKです。

電池はCR2025を2個使いますが,「どーせすぐに消えてしまうだろー」との予想に反し,一時間や二時間は顕微鏡照明として使えます。連続点灯40時間と書いてありますが,web上のテスト記事によれば,明るさは別にしても,本当に40時間点灯していたそうです。そして電池はCR2032でもOKとのレポートもみられます。CR2025を三個詰め込んで明るさギリギリまでアップという記事も見かけました。某国製品のきわめて粗雑な造りが自由度を生みだし,実用性が高く遊べるライトになっているようです。まだ持っていない方,筆者が買い占める前に走れ走れ(画像/MWS)。








2013年2月17日


ps

2/15に顕微鏡関係者の集いがあり出席してきました。12月に行われました豪華本『マイクロスコープ』出版記念会のパート2という趣旨です。顕微鏡関連会社の社長さんや科学写真家,大学の先生,研究所のセンター長,システムエンジニア,出版社の関係,顕微鏡二大メーカーの幹部クラスといった重鎮揃いの恐ろしい集いです。今回は参加者それぞれの個人体験を聞くことができ,それはそれは重要な大変なお勉強になりました。筆者など生まれる前から顕微鏡と戯れている/研究に活用している方々もおられ,1000台ほど所有している人,130台ほど持っている人,50台くらい持っている人,ウルトラフォトを持っている人やニコンMDをお3台持っている人など,世の中にはなんて人たちがいるのだと思わされました。細かいものを数えても20台程度しか持っていない筆者は穴にでも入りたいような気持ちも生じつつ,参加者のお話を拝聴させていただきました。

後半はジェントルマンたちのサロンといった感じで酒とつまみを楽しみながら顕微鏡談義が続き,各人が持ち寄った機材紹介などが行われました。特に分担を決めたわけでもないのに,いろいろな機材が集まりそれは興味深い眺めとなりました。驚異的なことに,20世紀初頭のポケットマイクロスコープが2セット,レーウェンフックのレプリカが2台,滅多に見ることのできないライカユニバーサルステージ(完品)などが展示され,極めつけはライヘルトの携帯顕微鏡でした。精巧な造り,よく考えられた構成,そして美しさ。筆者は後半,ずっとこの顕微鏡を撫で回していました。このような素晴らしい製品を生み出そうと執念を燃やした知性が世の中に存在した,そのこと自体が奇跡的な気がします。

筆者は携帯顕微鏡H型と千代田MKQを持参して,多数の標本とともに展示しました。千代田の方は光学系を完璧に手入れした上で簡易暗視野コンデンサに改造してあり,『ショートランチャー9』の威力も相まって,珪藻をキレのある暗視野像でご覧頂けたと自画自賛しています。あまりに楽しい集いは時間を足りなくさせ,まだまだ皆さまと話足りない感じがしているにもかかわらず深夜となり,午前様の帰宅となったのでした。

秋山実先生のお話によると,豪華本『マイクロスコープ』の売れ行きは順調のようで,残部も少なくなってきているようです。入手困難になる前に,

出版元のページ

こちらで購入をお勧めする次第です。本当に素晴らしい本です。現時点でamazonでも入手できるようです(画像/MWS)。








2013年2月16日


ps

この珪藻はビドゥルフィアの仲間です。大形でコントラストが高く簡易顕微鏡でもよくみえるのでJシリーズ入門用などには重宝する珪藻です。この種は海にいて,海藻などに付着していることが多いようです。"目"のような部分から粘液を出して別の細胞とつながり群体を形成します。運がよければ潮だまりの海藻などから大量に採取できます。筆者は2008年に相模湾東部から純度の高い試料を得ました。それ以降もけっこう採っていますが,一攫千金型の高純度試原料にはまだ出会っていません。手持ちの在庫が尽きる前にまた見つけたいものです(画像/MWS)。








2013年2月15日


ps

ps

西の方の大学の先生とメールでお話ししていましたら,出前授業に行った先で,中学3年生の授業「食物連鎖」の項目で,カタクチイワシの胃内容物の観察をされたばかり(班によって、巧くいかないことがあるとのこと),との報告をいただきました。いまどき「カタクチイワシの胃内容物」の観察をしているのは珍しいし,生魚なら班によって巧くいかないことがあるというのも変なので,念のため「それ,煮干しの解剖じゃないかしら?」と聞いてみました。結果は大当たりです。

もしそれが理科の授業であって科学的な態度を重視するのであれば,煮干しの解剖は間違っても「カタクチイワシの胃内容物」とは言えないはずです。それを大学の先生に向かって「煮干しの解剖」とは言えなかったところに,担当の先生の遠慮がうかがえます。

文部科学省(とそのときの政権)によって理科の時間が一貫して減らされ続けたことは本ページでくわしく紹介しましたが(2012年9月13日付け),その影響もあって,教えられる内容に偏りができて,魚やカエルの解剖はほとんど行われない状態が続いています。しかし昔は違いました。現在50代以上の方なら,半数くらいが,小学校5年生か中学校で生き物の解剖を経験しているのではないかと思います。現在では40代よりも若いくらいの先生は自分自身も解剖を教えられた経験がないし,自分で教材研究して魚の解剖を身に付けた人も希有でしょうから,実際問題としては解剖の授業を行う担当能力がない,そんな状況ではないかと想像します。魚を三枚おろしにできない人が普通の世の中ですし…。

煮干しの解剖については,『煮干しの解剖教室』という優れた本が出版されていて,これをテキストに使えば家庭で十分に学習することができます。手も汚さず,いちおうは体のつくりがわかりますし,上手に行えば珪藻を食べていたことも観察できます。ですから文科省が理科を壊滅させた中で,このような優れたテキストを利用して少しでも自然科学への興味を絶やさないようにしようという活動は評価(理解)できます。

でも,個人的な意見を述べれば,それは,学校教育でやることとは思えません。教育の専門家が児童や生徒にホンモノを見せる,そこに専門家の価値があります。先生の存在意義があります。生徒や児童はキャーキャー騒ぐでしょうが,それをサクサク解剖して,消化管やうきぶくろやエラや目や脳を見せて,浮き袋をパフパフさわらせて,消化管を開いてみせ,フンを検鏡し,生き物が生き物とのつながりの中でしか生きていられないことを真剣につたえなければなりません。

生きているということは,袋に入った流体が自発的に循環して自分自身を維持しているということです。だから細胞も袋でできています。消化管も袋で,中に流体を流すようになっているでしょう。体だって袋です。血管は流体を流す袋です。袋+流体の仕組みはどんな生き物でも変わらない普遍的なものです。そして地球もまた,重力という袋が存在していて,一部の軽元素以外は宇宙に逃げることなく地球に留まっています。そして地球上には水と空気という「流体」が存在していて,それらの流体は,宇宙から降り注いだ太陽エネルギーの力を借りて,袋の中を「循環」しているのです。地球自体が生物の「袋+流体」の構造をしていたからこそ,地球上に生命が生まれたと言ってもいいでしょう。だから生の,循環構造を持つ,体の仕組みを観察してもらうことが重要なのです。乾燥品では「流体」の部分がなくなってしまいます。煮干しで血液を見ることは至難ですし,乾燥植物で原形質流動を教えることは不可能でしょう。

文科省が理科教育をメチャクチャにしたので,現場の先生方にはぜひともがんばって欲しいものです。コールドチェーンが発達し,どこでも新鮮な魚が入手でき,実験材料には事欠かないのですから,日々の夕食時にでも解剖の練習を積み,ホンモノを用いた教育を行って欲しいと思います。きょうの画像は乾燥する前のカタクチイワシと,そのウロコの拡大像です(画像/MWS)。

閑話休題

小学生の頃,確か5年生だったと思います。魚の解剖が教科書か何かに載っており,それを楽しみにしていました。しかし先生はそれを採り上げることなく次に行ってしまった感じでした(よく覚えていません)。それで不満を持った筆者は,理科クラブの時間に魚の解剖をやってくれるようにお願いしました。が,受け入れてもらえなかったので,実力行使に出ることにしました。小学生ですからお金を持っていません。それで近くの川に行き,得意の手づかみで大きなウグイを捕まえて学校に持っていきました。そうしたら放課後に理科室を使ってもよいことになり,仲間と一緒に自分たちで解剖して,スケッチしました。はじめての経験ですからとても下手で,きれいに内臓が見えるように開くことはできなかったのですが,それでもいくつかの臓器は自分で確かめることができました。

中学生の頃,カエルの解剖を楽しみにしていました。「心臓は取りだしても動き続ける」ということが不思議で,ぜひともそれを見たいと思いました。しかし授業ではカエルの解剖は行われずに,麻酔をかけたカエルの水かきを顕微鏡で観察し,血管と血流を見ただけで終わりました。麻酔はクロロホルムだったので,あのカエルはたぶんあとで死んだのではないかと思うのですが,解剖できなかったことが残念でした。それで自分でアカガエルを川からとってきて解剖することにしました。興味をもった仲間三人を呼んで自宅の縁側での解剖です。麻酔薬はないので35度の焼酎を使いましたがぜんぜん麻酔がかかりませんでした。それならば脊髄麻酔と,脳天から背骨の辺りを細い針で貫通してみましたが,効果がみられませんでした。

そのうちにあまり動かなくなったので開腹してみました。抱卵しているカエルで,腹腔内に収まった卵にまとわりつく粘液の粘性が強力で刃物からなかなかとれなかったことを思い出します。解剖道具をほとんど持っていなかったので,うまく展開することができず,内臓の観察を正確に行ったとは言い難い結果となりました。しかし心臓は見つけることができ,前後の血管を切断して取りだし,いい加減に作った生理食塩水もどきに入れて観察することができました。確かに教科書の通りに,取りだした心臓はしばらくの間動き続けました。それはとても「生命」を感じさせる,インパクトのある光景でした。目分量で作った生理食塩水もどきだったので濃かったらしく,だんだんと塩漬け的な感じになっていき,やがて動かなくなりました。

カエルの方は,心臓が取り出されてもかなり長いこと生きていました。これは教科書にもなかったことです。中学生の少ない知識の中で,皮膚呼吸と体内への酸素保持能力が優れているから,循環器系が停止しても生きていられるのだと思いました。まだ生きているので処分するのはためらっていたところ,何と,胸が開かれて心臓を失っているカエルが飛び跳ねて逃げました。1回ではありません。2度3度と跳ねるのです。「想像を絶する」とはまさにこのことです。「生命」というのは教科書に収まるような薄っぺらい存在ではなかったのです。命の凄まじさに震え上がりました。生命というものに心から畏敬の念を抱いたのはこれが最初かもしれません。

魚もカエルも土に埋めました。その埋めた場所を見るたびに,胸が開いたまま飛び跳ねたカエルの姿が思い出されます…。

こうした貴重な体験が現在の筆者の活動につながっていることは間違いありません。ここで紹介したささやかな経験でも,生物の仕組み以外にもさまざまなことを学ぶことになるのです。例えば,魚もカエルも,自前で調達しました。それが可能だったのは,川(流体)が絶え間なく流れて生命活動を保証していたからです。そこには子どもでもみてわかる食物連鎖がありました。魚もカエルも,アルコールではすぐには死なないとか,そんなことも知りました。生物の皮膚は思っていたよりずっと丈夫だとか,何でも切れると思っていたエグザクトのカッターは意外に切れないとか,生理食塩水は思っていたよりずっと薄いとか,解剖は教科書に書かれている展開図のようにはいかないとか,想像以上に自分が不器用だったとか,解剖にはさまざまなものを準備しなければいけないとか…。魚もカエルも,いま思い起こせば可哀想な気もしますが,それ以上に,生命の凄みを学んだ「あのときしかできない」経験だったと思っています。



*1 現在でも生魚や動物の臓器などを使って解剖の授業を行っている先生方がおられます。児童に大きな魚を解剖して見せている教師もいます。そのような活動を継続されておられる方々には敬意を表します。

*2 海に近いところなどでは,子どもの頃から魚を自分でさばいて料理するなどというのも珍しくないことです。そういった子どもは解剖学的な知識もある程度持っているでしょう。筆者は料理はできませんでしたが,魚は大好物だったので料理するところはよくみていました。目,鼻,耳(側線)エラ,ひれ,骨は当たり前ですが,心臓,肝臓,胃,浮き袋,脳,卵巣,精巣,耳石くらいは10歳までには判別できたように記憶しています。そういう子どももいるわけなので,生魚を解剖したほうが違和感が少ないですし情報価値も高いと思います。

*3 料理学校では,サバがこっちを見ているというだけで怖くなり魚を扱えない,泣き出す,という生徒がいるそうです。もちろん活魚の話ではありません。この話を最初に聞いたのは15年くらい前のこと。ホンモノを重視しない,きれい事の世の中に暮らすとこういったおかしな人間を大量生産することになります。小さな頃から生き物と慣れ親しんでおくことが何より大切かと思います。





2013年2月14日


ps

標本整理をしていましたら,きのうのおはなしに書いたプレパラートが出てきました。多少の懐かしさもあり数年ぶりに検鏡してみました。コスキノディスクス(コアミケイソウ)が封じられたこの標本には多くを教えられ,この一枚がなかったら現在の筆者はいないであろう,という代物です。どんなに顕微鏡の勉強をしようとも,実践に有用な標本がなければ検鏡技術は身につきません。この標本を思いつきで製作したことにより,たくさん勉強した知識が検鏡経験と結びつくことになり,知識を活用できるようになってきたわけです。

・油浸ってこんなに見えるんだ
・コンデンサ油浸って大事だなぁ
・均質液浸系ではないので球面収差が発生するなぁ
・封入剤+カバーグラスの厚さは大切だなぁ
・封入剤の屈折率でコントラストが変わるなぁ
・偏斜照明ってこれほど効果的なんだ
・単色光照明ってうんと有効なんだ
・輪帯照明って簡単で効果的なんだ
・補正環の調節はシビアなものだ
・コンデンサは「開く努力」をするといいなぁ
・暗視野のコントラスト向上は大きいなぁ
・像面湾曲ってこんな具合なんだ
・ほか多数…

などといったことを20年前くらいに気がつくことができ,それまで「知識としては知っていた」ことが「実体験として理解され」,以後,顕微鏡マニアになって 顕微鏡に詳しくなって現在に至るわけです。特筆すべきはイメージングの練習用としての用途です。筆者はこの標本を銀塩による撮影からデジタルイメージングまで,約10年間使い続けました。それにより検鏡法だけでなくイメージング技術についても技量が向上し,画像処理の手法も独自に学ぶことができました。昨日は珪藻に魅了されるきっかけを述べましたが,その珪藻は顕微鏡という機器を理解するのに役立ち,実用性は最高だったのです。

きょうの画像はこの標本に多数入っているコスキノディスクスです。20年を経過していますが全く問題なく使えます。この標本を作ったときの方法と現在の製作法は多少の違いはありますが,一種の耐久試験と見なしてもよいと思います。つまり現在ミクロワールドサービスで販売されている標本は20年を経過しても全く問題なく使えるということです。皆さま安心してご利用くださいませ(画像/MWS)。



*1 コスキノディスクス属の珪藻を多数含む標本はCOS-01として販売しています。検鏡の練習用として有用ですが,他のものでも全く差し支えありません。




2013年2月13日


ps

大学の先生と有機物の分解法についてメールを交わしていましたら,珪藻に興味を持ったきっかけのようなものの記憶がよみがえってきました。学部で卒論に取り組んでいた頃,プランクトン中の全リンを測定するために,海でネットを引いて採集してきたプランクトンをフリーズドライにして,それを試験管に入れて硝酸で分解し,さらに過塩素酸−硝酸溶液を加え,ブロックヒーターで還流しながら加熱していました。この酸化分解法はきわめて強力で,実験スケールを誤れば研究室のドラフトを吹っ飛ばすような事故になるほどです。乾燥プランクトン粉末はあとかたもなく酸化されてきれいに透明な溶液になってしまいます。

しかし仔細に見れば試験管の底に純白色の濁りがありました。おかしいなぁ,カルシウムなら溶けるはずだし何だろうと思っていました。それからしばらく後にふと気になって顕微鏡を覗くと,そこにはおびただしい数の純粋な珪藻の殻があったのでした。珪藻の殻は酸に対しては滅法つよく,丈夫な種ならば硫酸だろうが硝酸だろうがへっちゃらです。全リンの測定のための前処理(有機物の分解)は,珪藻被殻を取り出す方法でもあったのでした。そこで封入法をにわか勉強してプルーラックスで封じた標本を製作してみると,目の前には,きょうの画像のような精密な美しい光景が広がったのでした。

珪藻は子どもの頃から知っていましたし生きているものもよく見ていましたが,それほど興味を持ったことはありませんでした。同じ視野に入っていてもミカヅキモの方がお気に入りでした。それがある一瞬で珪藻の姿に魅了されることになったのは,繊細な構造がはっきりみえる,純度の高い標本と出会うことができたからです。過塩素酸とか硝酸とか過酸化水素でぐつぐつ煮るという分析化学上の操作を経験したお陰で,現在は珪藻と顕微鏡と戯れているのかと思うと不思議な気もします(画像/MWS)。








2013年2月12日


ps

素晴らしい本が出版されました。ミジンコ観察家としても有名な坂田明氏の『私説 ミジンコ大全』です。こうしたややマイナーな内容の本が晶文社から出るというのも羨ましく素晴らしく,本屋にも平積みになっていたりして発行部数もけっこうありそうです。内容は読んでのお楽しみですが,坂田明氏特有のパンチの効いた表現がそこここに見られながらも,意外や?硬派な感じもします。分類のお勉強にも,生態系のお勉強にも,遺伝子の勉強にもなるという不思議な本です。中ほどのカラーページに収録されているミジンコの写真は必見です。レインバーグ照明の見本のように(筆者には)見えます。そしてまた嬉しいことに,この本にはCDが一枚ついているのです。映像じゃぁありません。ジャズプレイヤーが水棲生物たちに捧げた名演が収録されているのです。本屋へ急げ急げ!(画像/MWS)。








2013年2月11日


ps

ps

高級な顕微鏡対物レンズ,正確にいえば高開口数のレンズほど,観察時の指定条件が厳しくなります。きょうの画像はカバーグラスを使用して検鏡することが条件の20倍対物レンズで,カバーグラスなしのむき出しの珪藻を比較撮影してみたものです。上の画像は20倍のプランアクロマート,開口数0.4です。下の画像は20倍のプランアポクロマート,開口数は0.75です。後者のレンズは非常に高価なものですが,今回の検鏡条件ではまともに結像していないことがお判りいただけることと思います。開口数が0.75ともなると,指定厚さ(0.12-0.18程度)のカバーグラス直下に物体が位置していないとまともな像にはなりません。一方,開口数0.4の安価なレンズですと,ノーカバーでも一応検鏡できます。このような事情がありますので,筆者は一台の顕微鏡に開口数の異なる同じ倍率の対物レンズを装着して使用しています。処理中の試料をノーカバーで簡易検鏡するときは低開口数で,封入標本を検鏡するときは高開口数のレンズで検鏡するわけです(画像/MWS)。



*1 オマエの画像が良く写っているのは高級な対物レンズを使っているからだろーと言わんばかりのご意見を頂いたこともあります。それは一面の真実でもありますが,それ以上に重要なのは,その標本を完璧に結像させるために必要な条件を見抜くことでもあります。すでに製作された標本の場合は,その封入条件によっては安価なレンズの方がよく写るケースもありますし,標本をこれから作るなら,最高級のレンズに合わせて標本を作れば最上の絵が得られます。




2013年2月10日


ps

ps

顕微鏡対物レンズは指定条件を守ったときに正しい像を結ぶように設計されています。これを理解せずに使うと,どれほど美しい標本でもまともには見えなくなったりします。きょうの画像は基盤上に乗せた珪藻をむきだしのまま撮影したものです。画像一枚目は,カバーグラスなしに対応している40倍対物レンズを用いて撮影したものです。正しい像を結んでおり珪藻の構造を見ることができます。画像二枚目はカバーグラスを使用することを前提とした40倍対物レンズ(プランアポクロマート,最高級品)で撮影したものです。たった一枚の薄いカバーグラスが存在しないだけで,像はほとんど結んでおらず,珪藻の構造を読み取ることはできません。最高級のレンズを入手しても,そのレンズの性質を理解して光学的に正しい使い方をしなければ性能は引き出せないのです。

画像二枚目では珪藻以外のところも霞んで明るくなっています。これは別にレンズが汚れているとか,フレアが出ているというかいう問題ではありません。指定条件を守らなかった結果,珪藻から発した光が結像面で揃わなくなり,撮像素子の手前と向こう側に結像するような光束が生じていることが原因です。この光束をある断面で撮像素子に切り取るわけですから,ボケた光がフレア的に生じるわけです。ボケ像の光です。

こういう収差は球面収差と呼ばれます。像面湾曲と勘違いしている人がおられますが,全く異なるものです。球面収差の症状は「霞んだ像」です。顕微鏡観察の熟練者は標本を覗いてすぐに球面収差の有無を見分け,適切な対策を施し,最終的に正しい像に持ち込みます(画像/MWS)。








2013年2月9日


ps

海のプロフェッショナルから恵送頂きました試料を処理開始しました。目的の珪藻がかなり入っている感じがしていてぜひともものにしたい試料ですが,陸起源の難分解性有機物が大量に混在していてこれを除去する方法が見当たりません。2年の時間をかければやる方法はあるのですが…。画像のような貴重な珪藻も入っているので,ぜひとも回収したいのですが,歩留まりをとるか,時間をとるか,新しい方法を考えるか,試行錯誤が必要な感じです(画像/MWS)。








2013年2月8日


ps

先月の記事でSIセンサー付きのガスコンロ(解除機能なし)が絶望的に使えないことを述べましたが,関心のある方もおられたようで,同感のご意見も頂戴しています。火力調整すらできないガスコンロ。炒め物が強制的に煮物になってしまうガスコンロ。販売の文句にはどこにも『網焼き不可』と特筆大書していないのに,購入して取扱説明書を開くとはじめて「網焼きはできません」と書いてある詐欺的な販売手法。筆者のところではこんな馬鹿げた製品は一日で捨てることができましたが,多くの方は不便を強いられても,不満のやり場もなく我慢しておられるのでしょう。本当にひどいことだと思います。

過剰な安全機能がついたことにより,馬鹿人間が事故を起こしにくくなった代わりに,火を扱うという人間にとって基本的な経験/知識/技術の習得もできなくなりました。これからの世の中は,天ぷら油を火にかけたまま買い物に行き,やかんを火にかけたまま布団に潜り込み,鍋を火にかけたまま風呂に入るようなキチガイがどんどん増殖することでしょう。そしてその行く末は,安全機能に踊らされて学習ができなかった人間がおもしろ半分に放火して火災をまねく,あるいは火の扱いを理解していない人間が信じられないほど稚拙な火の扱いで事故を起こす,そういう世の中になっていくのではないかとすら思えます。

きょうはこの現状をご理解いただくために,web上に転がっているSIセンサー付きガスコンロへの不満を並べてみました。料理好きな方でガスコンロの買い換えを検討している方は,参考になるかもしれません。お暇なときにでもどうぞ。

        

        10

11  12  13  14  15

16  17  18  19  20

21  22  23  24  25  26



早い時期からSIセンサーコンロの問題点を記事にして下さったリンク先の皆さまには深く感謝申し上げます(画像/MWS)。



*1 重ねて申し上げますが,安全機能が不要と言っているわけではありません。調理者がその場にいて火を取扱中であるならば,火力調整の主導権は人間側に渡せ,と言っているのです。

*2 SIセンサーのせいで網焼きができないと困っている方には,こちら の製品が代わりになってくれるかもしれませんね。不便なSIセンサーコンロは捨てて,SIセンサーコンロを製造していないメーカーの一口コンロを購入し,網焼き用にカセットコンロを購入し,パロマやリンナイにお灸を据えてやりましょう。






2013年2月7日


ps

ps

きょうの画像はレイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』です。あまりにも有名な本で,ここで紹介するまでもないかもしれません。。筆者は大学院生の頃に環境教育についてかなり勉強したことがあって,そのときに行き当たった本です。このタイトル,訳しようがない気もします。直訳ならば「驚きのセンス」とでもいうのでしょうが,意訳するならば「自然に対して畏敬の念を感じる心」あるいは「自然界をとらえる感性」とでも言えばいいでしょうか。

この薄いエッセイは,日頃感じていたことに対して言葉を与えてくれました。知識に先行して感性があるのであって,この順番を間違えてしまうと,面白くないことになるのだと思います。

このことは色々な場面について言えることだと思っていて,筆者はサイエンスカフェでも,講義でも,セミナーでも,知識を詰め込むような話し方は極力やらないようにしています。詰め込んだ知識なんてのは忘れてしまうに決まっています。でも「おもしれぇ〜」と思いながら,楽しみながら学んだことは揮発しません。だから相手に興味を持ってもらえるような仕掛けを多数用意して,しかもそれが押しつけにはならないように主観を排除して事実を積み上げます。興味を持ってもらえるかどうかは受講者次第ですが,知識の押しつけを教育と勘違いするようなことは避けられる可能性があると思っています。

手持ちの本はだいぶ古くなって汚れていますが,これからも幾度か開くことになるだろうと思っています。どんな専門書にも教育書にも書かれていなかったことが,この本の中にはあるような気がするからです(画像/MWS)。








2013年2月6日


ps

ps

これも現在製作中の標本です。ピュアなキンベラ(クチビルケイソウ)がいっぱい,という夢のようなプレパラートですが,2月3日付けで紹介したものとは違う試料です。もちろんキンベラの種類も違います。中型程度のキンベラがクリヤな視界に無数に広がるというテイストを達成できそうです。入荷した試料は混合群集でしたが,繊細な珪藻が絡まってしまい,きれいにマウントすることが難しかったのでキンベラを分離して標本としています。当サービスで販売している標本は現場の組成を忠実に反映したものが大半ですが,中には特定の珪藻種に着目して精製しているものもあります(画像/MWS)。








2013年2月5日


ps

3日は至るところで?豆まきが行われていましたが,筆者は淡水珪藻のサンプリングに行っていました。検査板に使う珪藻が少なくなってきて,将来的には必要になるだろうとの判断からです。検査板に利用している珪藻のうち,プレウロシグマは比較的入手がしやすいのですが,スタウロネイスやピンヌラリアの美麗な被殻を大量に入手するのはけっこう難しいので探し回ることになります。関東近辺はどこも開発が進み,河川でも池でも大きな環境改変が行われているところが多いのです。そのようなところでは小型の珪藻を中心とした群集が多く,誰がみても美しい大型珪藻が入手できません。地図とにらめっこして推理をはたらかせ,環境が保存されているような水域を探します。きょうの画像はサンプリング中に近寄ってきたカモさんです(画像/MWS)。



*1 で,気になるサンプリングの結果は… 検査板用の珪藻という意味では敗退のようです…。まぁ,まいどのこと。




2013年2月4日


ps

これはオニギリ型が可愛らしいミスミケイソウ(トリゴニウム)を横から見たものです。反対側はオニギリの頂点ですから,カバーグラスに接しているケースはまれで,一般的には観察が難しいものです。しかしものは考えようで,もしオニギリのお尻が見えたなら,裏側から検鏡すれば頂点が見えるわけです。そこでプレパラートをひっくり返して,長作動対物レンズを用いて補正環を調整してみれば,オニギリの頂点が観察できることになります。本格的に両面プレパラートにするには,台ガラスもカバーガラスも両方カバーガラスを使いますが,補正環調整の範囲内で観察する分には通常のプレパラートでも良好な像が得られます。特にJシリーズではカバーグラスが小さいので裏側から検鏡がやりやすく,屈折率のマッチングも良いのでよく見えます。倒立顕微鏡には長作動対物(補正環付き)が装備されていることが多いので,お持ちの方は試してみるのも面白いかもしれません(画像/MWS)。








2013年2月3日


ps

ps

これは現在製作中の標本です。ピュアなキンベラ(クチビルケイソウ)がいっぱい,という夢のようなプレパラートです。このような標本を製作するには,よい天然試料に行き当たることが何より大事なのですが,たまたまキンベラが大量に増殖しているところに遭遇し,100年分くらい採取しました。これを精製することにより純粋な標本にすることができました。数えてはいませんが,珪藻に関しては標準試薬なみの純度です(画像/MWS)。








2013年2月2日


ps

雪が降ったかと思えばその後は晴天続きで,小河川は水無瀬になってしまいました。水の流れていたところは珪藻が繁茂していたわけですので,これが干上がればガラスの粉となってしまいます。きょうの画像を見ると河川がいかに珪藻で敷きつめられていたかがよくわかります。この白い粉を一つまみとって顕微鏡で見れば珪藻だらけです。教材としては便利かと思いますので,採取してストックしておくのも一法かと思います。すでに珪藻の殻ばかりなので標本をつくるのも簡単です。但し,一度乾燥した試料はきれいにならないことが多く,珪藻を完璧にきれいにしたいときは生きているものを採取した方が無難です(画像/MWS)。



* 1月分の『本日の画像』をアップし損ねました。先ほど修正しました。すみません。




2013年2月1日


ps

ps

プロの調理師さんからビーズアートを頂戴しました。上から3つめのものですが,なんとMWSのロゴが入っています。そして不思議なことに筆者の名刺をみたことはないはずなのに,名刺にたった一色だけ使っている青緑色のラインと同じカラーが使われています。アイコンのアルカンシエルも入っています。そして裏返すと,どうみてもJシリーズのツリー図案がそのまま再現されています。ツリーには飾りがぶら下がっています…。まぁ調理師さんだから器用なのは当たり前としても,想像を超えたものを突然渡されて,大変驚くとともに勉強にもなったのでした。ありがたや〜。ちなみにこの絵柄を眺めていてふと思ったのは, キャラ弁 に似ている感じがすること。やっぱし関係があるのでしょうか…(画像/MWS)。









Copyright (C) 2012 MWS MicroWorldServices All rights reserved.
(無断複製・利用を禁じます)
本ページへの無断リンクは歓迎しています(^_^)/


トップに戻る



.