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MWSが顕微鏡下の世界を伝えるコーナーです。 日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します 【サイトトップ】 【9月】 【10月】 【12月】 【2008年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2009年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2010年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】【2011年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2012年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2013年1月】 【2月】 【3月】 【今月】 2007年11月30日
新しいデジタル機材や対物レンズを導入したときには,まず,その機材がどの程度使用に耐えるのかテストを行います。このとき基準となるスケール(物体)で比較検討しないと,導入機材が優れているのか劣っているのか判別が難しくなります。またこのような作業とは別に,新規器材を導入したら,拡大率の設定や照明系の見直しなど,新たなセットアップが必要になります。このようなときに珪藻プレパラートが一枚あると便利で,対物レンズやCCDの性能を簡単にチェックできますし,微細構造を手掛かりに適正な拡大率やカメラ側の諸設定を追い込めます。画像はCCDのテスト中に撮影したものです(oblique, 撮影/MWS)。 2007年11月29日
蛍光顕微鏡とか蛍光染色法と聞くと何やら難しそうなイメージを持つかもしれませんが,原理は簡単で,蛍光を発している物体を顕微鏡で見ているだけのことです。精密な観察研究を行うためにはそれなりの機器にそれなりのテクニックを必要としますが,蛍光顕微鏡による像を楽しむだけならテクニックは必要ありません。この画像はスギ材の鉋屑に蛍光ペンで線を引き,ブラックライトで光らせて撮影したものです。こんなものでも「蛍光染色法による蛍光顕微鏡画像」なのです(epiFL, 撮影/MWS)。 2007年11月28日
みかんの房についている白い筋を覗いてみると,太い繊維束の周囲に網目状の繊維がまとわりついているのが見えます。ブラックライトの光では青緑色に光り,中央の繊維束がとくに強く発光します。一個150グラムのみかんでも,成長に150日かかるとすれば一日一グラムは重くならなければなりません。こんな細い経路を介してあんな大きな果実ができるというのは不思議な気がします(DF/epiFL, 撮影/MWS)。 2007年11月27日
これは色鉛筆の削り屑の画像です。軽い力でそっと削れば薄い屑が出て構造が観察しやすいです。一緒に削れた群青色の芯は,まるで鍾乳洞かロッククライミングか,岩壁を思わせる姿です。鉛筆の削り屑は木材の繊維が明瞭に見えますので,学校等の実験授業に好適な試料になりそうです。下の画像は透過暗視野照明ですが,色鉛筆の芯は光を通しませんので表面構造は写らないはずです。ではなぜ写っているのかというと,カバーグラスをかぶせて,暗視野光線をガラスの表面反射で試料側に向け,結果として落射暗視野になる現象を利用しているからです(DF, 撮影/MWS)。 2007年11月26日
これは「もずく」の画像です(正確にはオキナワモズク)。一本の茎に見えても実はこのように細かいふさふさした細胞の集合体です。画像に用いたものは,生のもずくですからで生きています。さて,上の画像にはたくさんの付着珪藻が写っていますがおわかりでしょうか。下の画像は珪藻の葉緑体蛍光が強いことを利用して,珪藻を強調したものです。明るい赤色の粒々はみな珪藻です(暗い赤はもずくの細胞)。もずくを食べるということは,一緒に珪藻もいただくということですね。もちろん,害はありません(BF/epiFL, 撮影/MWS)。 2007年11月25日
これは半透明ビニール袋の顕微鏡写真です。100倍程度の倍率で観察すると半透明の原因となる網目状模様がよくみえます。偏光顕微鏡で見ると,複雑な力がかかって歪みが生じ,透過光の偏光状態が変化している様子がよくわかります。偏光観察はプラスチックの歪み検査に有用で,産業分野でも利用されています(BF/Pol, 撮影/MWS)。 2007年11月24日
これはイカの吸盤内部にある角質環です。イカとタコを区別する重要な形質です。目でも見えますし感触もざらざらしているのでご存じの方も多いでしょう。これを顕微鏡で見ると立派な歯がついており,しかもこの歯は繊維がぎっしりと束ねられた構造になっています。一方,輪(環)の部分はハニカム構造の凹凸に加えて内部にも微細な凹凸があります。つまりイカ吸盤の角質環は,獲物を捕まえる歯の部分は引張強度に耐える構造で,環の部分は引き抜きの力に抵抗するような構造になっているわけです(DF, 撮影/MWS)。 2007年11月23日
さてこの画像は何でしょうか。ピンときた方はかなりの観察家でしょう。これは食品用のトレーに多用されている発泡スチロール(発泡ポリスチレン)の画像です。ざらざらしているものを選んで表面を観察すると,まさに発泡していて見事です。透過光で照明すると発泡スチロールが拡散板の働きをするので拡散光照明になります。この場合はコントラストが低下しますが,分解能はほとんど低下しないので画像処理でコントラスト強調を行えば見やすい画像に仕上がります(DF/BF, 撮影/MWS)。 2007年11月22日
これは海の表面に漂っている珪藻を集めて撮影したものです。海水にもガラス成分(珪酸)は溶けていて,これを利用して珪藻が増殖します。重力が働く環境で浮いていなければならないので,長い刺毛が伸びたり,殻がとても薄くなっていたりと,淡水産の付着珪藻とは違った特徴が見られます。この画像に写っている珪藻は珍しいものではなく,沿岸の海水をバケツ一杯汲めば大抵見つかるもので,世界中に分布しています(DF, 撮影/MWS)。 2007年11月21日
これは淡水産珪藻Amphipleura pellucidaを乾燥系対物レンズ(開口数0.95)で撮影したものです。この珪藻は古くから油浸対物レンズのテスト用として知られ,開口数が1.15以上あれば画像のような細かい条線(約270nmです)が見えるとされています。しかしこれは標準的な検鏡法の場合で,照明法を工夫して最良の条件を設定してデジタルイメージングを行い,コントラストを強調すれば乾燥系でも見ることができます。なお,この珪藻には画像の条線に直交する条線も走っており,これは約200nmの間隔です。MWSではこれらの構造を観察できるように最良の個体をマウントした分解能検査板【RL-TEST】を供給しています(oblique, 撮影/MWS)。 2007年11月20日
蛍光顕微鏡でクロロフィルの観察をしているとき,細胞形態の概略を知りたいことがあります。このようなときには蛍光位相差法や蛍光微分干渉法で観察すると細胞の形もわかり,蛍光を発している部分もわかります。しかしもっと簡便な手法でも十分な効果が上がることもあります。観察する蛍光が赤であれば,青や緑で透過照明を行い,さらに偏斜や暗視野にすれば効果的に色分けできます。この画像はクロロフィルが赤,核が水色,ミトコンドリアが橙,無色の構造が青の偏斜照明で色分けされています(epiFL&oblique, 撮影/MWS)。 2007年11月19日
この画像は池の水の沈殿物を放置したときに沸いてきたバクテリア(細菌)です。覗いている視野は一滴(0.025ml)の数分の1のさらに数百分の1以下です。ということは一滴に含まれるバクテリアの数は天文学的な数字になることでしょう。バクテリアの検鏡にはふつう,蛍光顕微鏡法や位相差法が使われますが,この画像のように暗視野法も簡単で利用価値が高いと思います(DF, 撮影/MWS)。 2007年11月18日
上の画像は焼き海苔(千葉県産)表面を4倍対物レンズを用いて撮影したものです。中央に小さく珪藻らしきものが写っています。倍率を上げて撮影すると(下の画像),付着珪藻に間違いのない形態が浮かび上がります。このように珪藻はいたるところに入り込んでいますが,海苔は手軽で観察しやすい対象です。焼き海苔は緑色なので,透過照明で撮影すればグリーンフィルタを付けて撮影したのと同じになり,アクロマートでもコントラストの高い像を得られるというおまけつきです(BF/DF, 撮影/MWS)。 2007年11月17日
MWSで供給している珪藻プレパラートにはいろいろな珪藻が含まれています。上の画像はBKK02(お薦めセットに入っている一枚)に含まれるキンベラ属珪藻です。下の画像は同じくBKK02に入っているフルスツリア属珪藻です。種により決まった大きさの構造を持っているので,対物レンズの見えを確認する用途や,もっと厳密なテスト用途に用いることもできます。例えば下の画像のフルスツリアは乾燥系対物レンズで撮影したものですが,透明で空白に見える部分に,油浸対物レンズを用いて注意深く観察して初めて見える微細構造を持っています(oblique, 撮影/MWS)。 2007年11月16日
これは珪藻(シネドラ属)を含む濁り水を,ときどき明かりが差し込む薄暗い条件に10日間ほど放置したものです。色素体は縮んで小さくなり,細胞内に顆粒状のものが見え,いかにも弱々しく見えます(上の画像,11月6日の画像も参照のこと)。しかしこの細胞は死んでおらず,条件がよくなれば再び色素体が充満した元気な細胞になります。おそらくこの画像のような細胞は,ただ弱っているだけではなく,代謝活性を落として環境条件が好転するのを待っている状態にあるものと考えられます。蛍光顕微鏡で見ると,色素がないように見える透明な顆粒構造の中にも赤色蛍光を発するものがあります(下の画像)。葉緑体の一部分なのか,蛍光タンパクなどの光受容体なのか,興味をそそられます(oblique, epiFL, 撮影/MWS)。 2007年11月15日
イカを食べているとプラスチックのようなものが出てくることがあります。顕微鏡で見ても鱗紋構造が見えるほかは透明で樹脂のようです(画像)。これはイカの甲で貝の貝殻に相当するものです(イカは泳ぐ貝のようなものです)。主成分はキチンやキトサンで,純度が高い上に人体との親和性も高く,外科用材料として注目されています(oblique, 撮影/MWS)。 2007年11月14日
無洗米でもすすぐように研ぐと風味よい炊き上がりになります。米のとぎ汁は白く濁っていていかにも顕微鏡観察の試料といった感じです。そこでさっそく一滴とって覗いてみると米の破片らしい非常に細かい物体がたくさん見えます(上の画像)。試しにイソジンうがい液(ポピドンヨード)で染めてみると紫色のヨウ素デンプン反応が起こります(下の画像)。このようにデンプン質に富む水を下水に入れると水中の酸素を多量に消費してしまい,河川や海の汚濁につながりますから,植木の水やりなどに利用しましょう(oblique, 撮影/MWS)。 2007年11月13日
夜中にちょっと錆落しがしたい。でもヤスリ紙がない。そんなときにトクサ(砥草・木賊)をちぎって代用したことがあります。トクサのざらざらは硬質で鉄さびも容易に落とせますが,これは珪酸質でできているからです(珪藻と同じです)。上の画像はトクサの珪酸突起を撮影したもので,イボイボのようにみえます。下の画像は燃やして灰にしたトクサで,珪酸質は燃えませんから構造が残ります(epiDF, 撮影/MWS)。 2007年11月12日
珪藻はガラス質(正確には珪酸モノマーの重合体)ですから,質感もガラスそのものです。透明感があり界面では光の反射・屈折・透過・吸収・回折などが起きています。照明法を工夫して望む光成分を強調すれば,簡単に珪藻の質感(表現)を変えられます。画像は制作中のJシリーズですが,上は構造に重点を置いた例,下はガラスっぽさを強調した例です(BF, oblique 撮影/MWS)。 2007年11月11日
これはトイレットぺーバーの画像です。最近の製品はほとんど古紙を混入した再生紙ですが,顕微鏡で見るとカラー印刷のインクが脱色されずに残っているのが見られます(下の画像)。トイレットペーパーは繊維が粗く隙間がたくさんあります。ある研究によると,軟便では8枚以上,硬便でも6枚以上重ねないと微量の便が手に付着する恐れがあるとの結果が得られたそうですが,これだけ空間があれば無理もないかもしれません(oblique&BF, 撮影/MWS)。 2007年11月10日
手当たり次第なんでもかんでもブラックライトの光を当ててみると,蛍光を発するものがたくさんあることに気付かされます。この蛍光を利用すると顕微鏡観察が容易になったり,構造の区別がついたりと観察のバリエーションが広がります。この画像はカキ(柿)果実の表皮ですが,ハンドセクションで薄い切片にするのが難しく,細胞を写しにくいのです。しかしカキがブラックライトで光ることを思い出し,蛍光顕微鏡で観察すると簡単に表皮の緻密な細胞が見えました(epiFL, 撮影/MWS)。 2007年11月9日
タマネギの薄皮を観察していると,ときおり画像のような気孔に似た構造がみられます。両側の赤い部分は染色された核です。中心から放射状に伸びる微細構造も弱く見えていますが,これは何でしょうか。生物を観察しているとわからないことだらけです。タマネギの薄皮は顕微鏡観察の試料として好適ですが,本格的に撮影しようとなると,染色が必要になったり,そうすると一部分だけがコントラストがつきすぎて微細構造が見えにくくなったりと,なかなか手強い相手です(BF, 撮影/MWS)。 2007年11月8日
この画像は心臓(ヒト)の切片です。左右方向に走る筋繊維を上下方向に横切る構造が見えますが,このような構造を持つ筋繊維を横紋筋といいます。この構造のサイズは珪藻の微細構造に匹敵します。一般に動物組織の切片は無色透明でコントラストが弱いことが多いので染色が必要になります。この試料ではschmorl's methodによってベルリン青を沈着させる染色法を採用しています(標本作成/H. Tohyama, BF, 撮影/MWS)。 2007年11月7日
キャベツの葉の内側,根本付近に,白あるいは黄色の粉末状物体がたまっていることがあります。これを顕微鏡で見るとかなり細かいようで,結晶構造などはよく見えません。試しに蛍光顕微鏡で見ると緑色蛍光を発するもの(上の画像)と赤色蛍光を発するもの(下の画像)があります。水には不溶です。何だかよくわかりませんが,このような蛍光を発するものがこれだけの純度で存在するところを見ると,無機鉱物粒子という可能性はないでしょう。有機性成分が水などで洗い流されて葉のくぼみにたまったものでしょうか(epiFL, 撮影/MWS)。 2007年11月6日
珪藻(シネドラ属)を採取して蛍光顕微鏡で観察してみました。Hoechst33258(核,青色),Rh123染色(ミトコンドリア,橙色)で,395-405nmが励起,撮影波長は420-700nmです。励起光はLEDを使用していますが,この波長を使うとクロロフィルの赤と核の水色をマルチバンドをフィルタを使わずとも映し出せます。Hoechst33258を使うと珪藻被殻も薄く染まります。核酸のA-T領域を染める試薬ですが細胞膜透過時に膜成分に吸着する部分があるようです(epiFL, 撮影/MWS)。 2007年11月5日
ぶりかまの塩焼きを食したせいか,やや胃が落ち着きません。そこでこの画像に示される粉末を飲んでみると多少らくになりました。ありがとう,いーくすりです,の文句で知られる薬ですが,顕微鏡で見ると幾つかの無機成分の結晶らしきものと無定型の黄褐色物体が目に付きます。結晶はかなり細かく,また黄褐色系の生薬成分も原料粉末ではなく抽出物を乾燥させたものが配合してあるようです。(DF, 撮影/MWS)。 2007年11月4日
この画像はイワヒバの胞子をグリセリンで封じて撮影したものです。イワヒバは観賞用として栽培されていますがシダ植物の仲間ですから胞子をつくります。今ごろの時期には赤っぽい胞子を見ることができます。顕微鏡で拡大してみると色が薄まって見えますが実際はかなり濃色です(BF, 撮影/MWS)。 2007年11月3日
この画像の物体は機材と床のわずかな隙間にたまったホコリです。油浸オイルで封じたものを暗視野で撮影しています。大きなホコリのほとんどは衣服や紙の繊維で,ブラックライトを当てると数本に一つくらいが青色に光ることから,蛍光剤入りの繊維が混入しているようです。小さなホコリは紙の破片が多いようですが,下の画像のように昆虫の鱗粉も一定の割合で見つかります。このような混合物を指してハウスダストと呼んでいるわけです(DF, 撮影/MWS)。 2007年11月2日
これはアルミホイルの光沢面を4倍対物レンズを用いて撮影したものです。光をよく反射する面でも完全な鏡面ではないので,顕微鏡的にはかなり大きな凹凸があります。ロールの巻き取り方向の痕跡(上の画像)だけでなく,ランダムに微細な凸凹があるように見えます(下の画像)。アルミニウムの光反射率は高いので,落射暗視野照明では明暗のコントラストが大きくなり,デジタルカメラで表現するにはむずかしい対象です(DF, 撮影/MWS)。 2007年11月1日
珪藻はたくさんの種がありますので,珍しい種,希少な種や珍しい派生型を探し出すのがたいへんです。数千個体くらいを検鏡した程度では,その試料中に本当にいないのか,見落としているだけなのかわからないのです。この画像は珪藻化石をよりわけて,おそらく数千万,あるいは数億粒の化石の山からたった一個だけ見つかったものです(oblique, 撮影/MWS)。 【サイトトップ】 【9月】 【10月】 【今月】 Copyright (C) 2007 MWS MicroWorldServices All rights reserved. (無断複製・利用を禁じます) トップに戻る |