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MWSが顕微鏡下の世界を伝えるコーナーです。 日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します 【サイトトップ】 【9月】 【11月】 【12月】 【2008年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2009年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2010年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】【2011年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2012年1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2013年1月】 【2月】 【3月】 【今月】 2007年10月31日
この画像は先日のクロソイ君の鱗を水封で撮影したものです。鱗紋が見事ですが,数えてみると約140あります。ということはこのクロソイ君は日齢140以上ということになりますでしょうか。鱗のように大きなものを撮影するときには低倍率の対物レンズを用い,照明にも工夫をこらします。この画像では2倍対物レンズを用いて,コンデンサは外し,簡易偏光によって背景の明るさを調節し,鱗紋を見やすくしたものです(Pol, 撮影/MWS)。 2007年10月30日
この画像は堆積物を洗って粒度を揃えている途中で撮影したものです。土をスプーン一杯とり,水で気長に洗って粘土鉱物を流していくと,このように粒度の揃った鉱物が見えるようになります。これを初めて知ったのは小学校5年で,放課後に解剖顕微鏡の使い方と一緒に先生が教えてくれたのでした。低倍率で鉱物のきらめきを見ると当時が懐かしく思い出されます(DF, 撮影/MWS)。 2007年10月29日
イワシのフンには珪藻がたくさん入っている話をしましたが,大事なことを書き忘れました。多くは砕かれて破片になっているのです(上の画像)。研究者であれば破片を見ただけでどんな珪藻が入っているか想像がつきますが,専門外の人にはかなりむずかしい課題でしょう。そしてたまに丸のまま残っている珪藻に出くわします。下の画像のような美しい珪藻を外洋に行かなくても拝めるという点では,やはり生のイワシは便利ですね(DF, 撮影/MWS)。 2007年10月28日
冬に向かっておいしくなる魚が多くいます。クロソイもその一つで,刺身や煮付けにするとおいしいのです。画像はクロソイの下あごで,煮付けになって食べられてしまった骨を洗浄したものです。肉眼では毛のようにしか見えませんが,顕微鏡で見ると顎歯が見事です。この歯は食道を向いていて,くわえた獲物が外に逃げようとすると刺さる"かえし"の役割を持っています(DF, 撮影/MWS)。 2007年10月27日
海にいかなくても海の珪藻を採集する方法があります。いちばん簡単なのは生のイワシでしょうか。100m歩けば300円で入手できます。イワシのフンをつまみ出し,そのまま検鏡するとたくさんの珪藻がみられます。これを薬品で処理して殻だけにすることもできます。画像はそのようにして得た珪藻で,Hyalodiscus属の珪藻です。模様が細かく,強い球面なので撮影がむずかしいですが,整然とした美しさがあります(oblique, 撮影/MWS)。 2007年10月26日
低倍率の暗視野で珪藻をみていると干渉色が観察できることは前に述べました。この干渉色は珪藻の構造によって光源の光がスペクトルに分解したものですから,虹の一部または全部を観察していることにたとえられるでしょう。このスペクトルを捉える範囲は対物レンズの開口数によって変えることができます。ふつう,開口数が大きければ青色に,開口数が小さければ赤色に変わります。この画像は干渉色を示す珪藻化石の殻を倍率は同じで異なる開口数のレンズで撮影したものです。上が開口数0.25,下が0.45です。観察される干渉色が明らかに違います(DF, 撮影/MWS)。 2007年10月25日
並べスライドでは珪藻以外の物体も並べることができます。この画像は海綿骨針を使って描いたカツオ(のつもり)で,米粒より一回り小さいサイズです。目は珪藻二種を重ねています。海綿骨針は太さも長さも形態も多様なので,根気強く探せばヒレやアゴに適したものを見つけることができます(DF, 撮影/MWS)。 2007年10月24日
珪藻を並べたデザインスライドはヨーロッパが発祥の地のようで,既に19世紀半ばには種々のデザインスライドが流通していたようです。一世紀半もお待たせしてしまいましたが,MWSでも簡単な並べスライドを発売いたします。トップページの新着情報からお入り下さい(DF, 撮影/MWS)。 2007年10月23日
きのこ狩りの収穫を選別して洗っていると小さなトビムシがぴよーんと飛ぶのが目に付きます。一ミリもない小さな節足動物です。試しに顕微鏡で覗いてみるとなかなか迫力のある顔つきをしています。表面にはゴルフボールのようなディンプル構造が見えます。このトビムシ類は森林一平方メートルに10,000個体はいるといわれます。せっせと摂餌活動を行うことにより,有機物の分解を進め森林の物質代謝を促進しているのです(DF, 撮影/MWS)。 2007年10月22日
低倍率の対物レンズを用いて暗視野法で検鏡していると,ときどき特定の色や虹色に輝く物体を見つけることがあります。この場合たいていは物体に色がついているのではなく,光の干渉によるのです(干渉色)。ちょうど,CDの記録面を見ると虹色が見えるようなものです。倍率を上げて(開口数を大きくして)しまうと「虹色のもと」となる回折光を拾ってしまい,虹色が見えなくなるかわりに構造が見え始めます。だから低倍率での観察がよいのです。この画像は化石に含まれていたおそらくオドンテラ属珪藻の一部分で,リング状なので波長別の回折光を観察することができ,虹色に輝いて見えます(DF, 撮影/MWS)。 2007年10月21日
珪藻は数万種もいるといわれ,その形態も様々です。ですから奇抜な種や精妙な種をついつい集めたくなります。けれども簡単に集めることはできません。顕微鏡を覗いてみるまではそこにどんな形のどんな種がいるかわからないのです。現場で覗いても限界があり,どうしても処理済みの試料を封入して精密に検鏡することになります。そして,こんな種を見つけたときの喜びは何とも表現しがたいものがあります(DIC, 撮影/MWS)。 2007年10月20日
小昆虫は乾燥標本を封入することもできます(かなり無理矢理ですが)。例えば蚊やアブラムシを乾燥して封じることができます。かなり厚みのあるプレパラートになりますが,平面ガラスで覆われ,それほど深い位置にないのでNA0.5程度までは実用上支障はありません。それどころか,ノーカバー対物を使う必要がないので便利でもあります。上の画像はアブラムシ乾燥標本の全景,下は蛍光画像です。なんとこのアブラムシの羽は,紫外線で青に発光するラインが入っています。昆虫の多くは紫外領域まで可視波長なので,種や性の識別に役立つラインではないかと推測されます(BF, epiFL, 撮影/MWS)。 2007年10月19日
砂浜の波打ち際を見ているときらきら光る鉱物が目に付きます。陽光を反射して金色に輝くので,金だ金だとはしゃいだ幼少の頃を懐かしく思い出します。この鉱物の正体は雲母(マイカ)の薄片です。雲母は薄片になりやすく,この画像のように顕微鏡サイズになっても薄片のままです。表面は平面で平滑なので光をよく反射し,これがキラキラの原因になっています。雲母は耐熱性・絶縁性に優れているので電気関係で多用されています。たとえば顕微鏡のハロゲンランプを装着する台座に雲母が使われている機種があります。学校でおなじみの煙突石油ストーブの窓も雲母でできていました(oblique, 撮影/MWS)。 2007年10月18日
海綿骨針はきわめて細いガラス管のようにみえます。高倍率で検鏡しても細く見えるほどの管になっていて,ガラス管を引き延ばして作ったキャピラリーよりも精密に見えます。海綿骨針は物性的にはガラスというよりも石英(無水珪酸)に近く,きわめて丈夫です。珪藻被殻もほぼ純粋なケイ酸ですが水を含んでおり,骨針よりもずっと華奢です。このため,珪藻が崩れてしまうような堆積環境でも海綿骨針はよく保存されていることがあります。上は海綿骨針を集めて揃えたところ,下はその部分拡大です(BF/DF, 撮影/MWS)。 2007年10月17日
沿岸各地では地層から珪藻化石が産出するところがたくさんあります。海産の珪藻化石は火山灰や粘土鉱物と一緒に埋積していることが多く,ほぐして珪藻を探し出すのにも工夫が必要です。この画像は細かい粘土鉱物を流し去り,大きな粒子ばかり集めたものの一部です。鉱物,海綿の骨針などに混じって比較的大型の珪藻を見ることができます(BF/DF, 撮影/MWS)。 2007年10月16日
MWSで使用しているパソコンが突然エラーを吐き出しフリーズしました。しばらくすると立ち上がるのですが,数分もすると再びフリーズしたり再起動したりと不安定状態になります。出張中でたいへん困りました。何度も再起動を行って様子を見ていると,どうもPCの温度が上がるとフリーズするようです。ファイルのバックアップもできません。帰宅後にふと思い立ち,肉眼では何の異常も認められない増設メモリを顕微鏡でみてみました。すると微少な電子部品の配線周りでフラックスが溶けて周囲を埋め尽くしている場所が数カ所あります。これが温度上昇で融解して含有成分の一部がイオン化して通電し,短絡したのだとすると前述の症状は一応説明できます。そこで注意深くフラックスを粉砕して溶剤で拭き取り,再びPCに組み込みました。するとPCは正常に動作しました。直ったかと喜んだのもつかの間,数時間後に再びフリーズ。メインマシンの故障なので今後の業務に支障が出そうです(epi, 撮影/MWS)。 2007年10月15日
これはMWSプレパラート【COS-01】に入っているコスキノディスクスという珪藻の画像です。合わさったシャーレの片方に相当する部分で,面の部分にこのような細かい模様が整然と並んでいます。何度見ても不思議で美しい模様です。この珪藻にはまだ見えていない微細構造があります。油浸対物レンズで注意深く検鏡すると,この並んだ穴の中に微細な点々が並んでいます。光学顕微鏡で見えるのはここまでですが,その穴の中に透過型電子顕微鏡を使わなければ見えない,さらに細かい構造があります(DIC, 撮影/MWS)。 2007年10月12日
これは鰹節を体長方向に削った削り節の画像です。加熱・乾燥を経て著しく収縮した乾物でも,筋肉繊維らしき構造を確認することができます。簡易偏光でステージを回転させながら見ると,消光/発光を繰り返します。これは偏光性の証で,筋肉組織の極細の繊維列を通過した光が部分偏光になっていることを示していると思われます。一般に,きわめて微細な構造が一定の配列をもっているときに,そこを通過した光は偏光状態が変化することが知られています(BF, Pol, 撮影/MWS)。 2007年10月11日
珪藻を覗いているとたまに完全な個体に出会うことがあります。ここで言う完全というのは珪藻被殻の破損が皆無で,正面を向き,ゴミや他の珪藻が重なっていることがなく,周囲に鉱物などもない,ということです。経験者には周知のことですが,このような個体は本当に少ないのです。ですからたまに出会うととても得した気分になります。撮影してきれいな画像として残せた場合はなおさらです。この画像はピンヌラリアの一種で,沼の泥上から採集したものです。上は全景,下は条線の内部構造です(BF, AIPL, 撮影/MWS)。 2007年10月10日
上の画像は薄い紙にシャープペンシルで細線を引いたものです。シャーペンの芯に含まれる炭素が紙の繊維に均一に付着している様子がわかります。顕微鏡で見るとポロポロ落ちてきそうですが実際はかなり強く付着していて離れません。そして主成分の炭素は大気中で安定ですから100年経ても保存されています。消しゴムをかけると炭素の粉がゴムに付着してきれいに落ちます。顕微鏡で見てもごくわずか残っている程度で相当に注意して観察しないとわかりません(下の画像)。そして紙の繊維は傷んでいません。普段は気にも留めない鉛筆の字も,顕微鏡で見ると炭素,紙繊維,ゴムの絶妙なバランスの上で成り立っていることがわかります(BF, 撮影/MWS)。 2007年10月9日
これはバナナの皮を薄切りにしたものをグリセリンで封じたものです。気泡がたくさん入って美しくありませんが一応の構造はわかります。バナナの黄色の原因となっている部分や,液体が通過する管などが見えています(上の画像)。試しに蛍光を観察してみると,かつて緑色だった頃の葉緑体が一部残っていました(下の画像,赤い部分)。葉緑体は紫〜青色の光を吸収して赤色の光を発しますから,微量,痕跡量でも残っていれば検出できます(BF, DIC, 撮影/MWS)。 2007年10月8日
顕微鏡を初めて覗く方から「これ何ですか」と,よく質問を受けるのが上の画像です。これは封入剤中に発生した液体の泡ですが,他の試料でもよくみられます。水封プレパラートでも気泡が発生しますし,気泡がなくても生物が潰れたりして脂質が放出されれば油滴となります。いずれも表面張力によって見事な真円(真球)になっているのが特徴です。大きさは様々ですが,この画像では髪の毛の太さほどもありません。油滴や気泡の界面における光学現象はまだ解明されていないことがあるそうです(BF, DIC, 撮影/MWS)。 2007年10月7日
吸血性のコガタアカイエカは華奢で動作も鈍く素手で捕まえられるほどですが,実体顕微鏡で観察するとじつに迫力のある姿をしています。昆虫類のような大型の生物は実体顕微鏡の方が立体視効果によって構造が把握しやすいように思います。作動距離の関係で倍率は100倍程度が限界なので,羽や口吻の詳細を観察する場合には,封入試料を作成して生物顕微鏡で観察します(epiDF, 撮影/MWS)。 2007年10月6日
この画像は,多くの人が目にしたことがある生物の一部です。日本近海でたくさん漁獲され,八戸や函館で名物のスルメイカです。画像は刺身にするときに剥いた表皮を撮影したものです。スルメイカは4枚の表皮があって,色素細胞は一枚目と二枚目の間にあります。そのため,黒々とした色素細胞の上に白っぽい皮が一枚のっており,そこを透かして見ているわけです。ですから観察していても霞んでいますし,撮影してもぼやけてしまいます(epiDF, 撮影/MWS)。 2007年10月5日
画像はシバンムシの複眼です。昆虫の複眼はたくさんの目の集合体で,六角形の一つ一つが個別に目の機能を備えています。この六角形が組み合わさった形をハニカム構造といいますが,最小の材料で最大の強度を保たせる構造です。珪藻もハニカム構造を持つものがいますが,生物は独自に最適構造に到達するのが不思議ですね。さて,この複眼は紫外線を当てると蛍光を発します。上の写真は400nmの光で励起した複眼の蛍光顕微鏡写真です。個々の複眼の間には毛が生えており,これも蛍光を発します(下の写真)。毛は目の保護のためにあるのでしょうか(epiFL, ex.400nm, 撮影/MWS)。 2007年10月4日
画像はシバンムシの一種です。この昆虫は家屋内に棲息し,畳や食品,昆虫の死体などを食べています。運悪く糠や小麦粉,漢方薬,乾物などの食品に紛れ込むと大発生することがあります。こんな害虫でも顕微鏡で観察すると結構面白く,いろいろな発見があります。体長は2mm程度なので実体顕微鏡の得意とする領域ですが,低倍率の対物レンズを装着した生物顕微鏡でも十分に観察できます。この画像は生物顕微鏡に2倍対物レンズを用い,ステージの上で両側からライトで照らして撮影したものです(epiDF, 撮影/MWS)。 2007年10月3日
画像は100万画素カラーCCDの一部です。R,G,Bの受光素子が整然と並んでいます。これが銀塩カメラのフィルムにあたる部分ですが,このようなものを考案し,設計して,製品化した先人の努力にはただただ頭が下がります。この模様のサイズは珪藻の粗い模様に匹敵するので,低倍率のテストチャートに使えそうです。CCDは光を通しませんので通常は落射照明の金属顕微鏡で撮影しますが,カラーCCDの場合,表面のRGBフィルタが蛍光を発する場合があるので紫外線や紫色光で照明して蛍光を撮影することでも可視化できます。上記画像はその例です。画像がやや劣化していますが,CCD保護ガラスによる球面収差と,RGBフィルタの単色性によるjpeg圧縮劣化,基板傾きの影響です(epiFL, ex.400nm, 撮影/MWS)。 2007年10月2日
バクテリア(細菌類のこと)は顕微鏡の観察対象として重要ですが,濃い色がついている種は少なく,そのままでは透明なので観察しにくいことがほとんどです(見えないわけではありません。9月30日写真上段参照)。暗視野顕微鏡や位相差顕微鏡を使うとコントラストがはっきりしてよく見えます。微分干渉法でも同様です。しかしこれらの方法では,同じような大きさの粒子もはっきりとしたコントラストで観察できるので,バクテリアなのか,他の粒子なのか区別がつかないことがよくあります。このようなときは,バクテリアを染めて他の粒子を染めないような染色法が有効です。例えば核酸を染める蛍光試薬で染色すれば,バクテリアだけが染まるので明瞭に区別できます。画像は河川の淀みに存在するバクテリアを蛍光染色して撮影したものです。形態や色からみて数種類のバクテリアがいることがわかります(epiFL, Hoechst33258, 撮影/MWS)。 2007年10月1日
上の画像は線虫の内部構造です。生殖細胞が並んでいるように見えます。また黄色の顆粒が見え,これは偏光顕微鏡下(クロスニコル)で輝く粒子として検出できます。この画像は微分干渉による像に,偏光法で検出した偏光性の顆粒を重ね合わせたものです。蛍光染色を用いなくても,細胞内の構造に光学的な特徴があればそれを強調表現に利用できます。下の画像はこの線虫の卵です。すでに細胞分裂が進み,小さな線虫の形をしていて,中で動いている様子が観察できます(DIC+Pol, DIC, 撮影/MWS)。 Copyright (C) 2007 MWS MicroWorldServices All rights reserved. (無断複製・利用を禁じます) トップに戻る |