画像のご利用について





本日の画像

MWSが顕微鏡下の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


【サイトトップ】 【9月】 【10月】 【11月】 【12月】 【2008年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【8月】  【9月】  【10月】  【11月】  【12月】  【2009年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【8月】  【9月】  【10月】  【11月】  【12月】  【2010年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【8月】  【9月】  【10月】  【11月】    【12月】【2011年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】   【7月】   【8月】  【9月】  【10月】 【11月】 【12月】  【2012年1月】  【2月】  【3月】  【4月】  【5月】  【6月】  【7月】  【8月】  【9月】  【10月】  【11月】  【12月】  【2013年1月】  【2月】  【3月】  【今月】

2010年11月30日


ps

ps

ps

暗視野照明では,微細な周期構造をもつ珪藻に独特の干渉色が出ることは,これまでも何度か書いてきました。この干渉色は光の回折・干渉という性質が関係していますので,どのような方向や角度から照明光を当てたかによって,色が変化します。暗視野コンデンサをあげたり下げたり,照明光源の軸をずらしたり,はてはLEDライトで上から照らしたり横から照らしたりしてみてください。色や輝き方がさまざまに変化します(撮影/MWS)。






2010年11月29日


ps

ps

ps

都内はちょうど紅葉が見頃です。東京都心は世界でも有数の緑地の少ない都市ですが,なかでも豊島区はひどいものです。そこで文京区周辺を散歩して,一万歩くらいあるけば,ちょっとした樹木の色づきを見ることができます。今年は赤くなる葉がやや茶色になっているような気がしていて,紅葉としては今ひとつの感じですが,イチョウだけはいつも裏切ることなく輝いています(撮影/MWS)。






2010年11月28日


ps

これはダイヤモンドマーカーでガラスに円を描いた直後の様子です。当サービスで販売しているRL-TESTやPSG-01などでは,必要な珪藻に印を付けてから出荷しているのですが,そのときにこのような作業を行っています。これまで,顕微鏡で覗いたことがなかったので,切った直後を覗いてみると実に興味深い眺めです。何もしていないのに,あちこちからガラスの粉が舞い上がっては落ちます。応力に耐えかねて,時間差で割れているようです。そして驚いたのは,ガラスがコイル状になって切れていることです。ガラスは砕けるものとばかり思っていましたが,ダイヤモンドで削るときは,金属の切削のようにらせん状の繊維が生じているようなのです。ちょっとした検鏡ですが,新しい発見でした(撮影/MWS)。






2010年11月27日


ps

いま拾い上げている珪藻の大きさが知りたくて,対物ミクロメータの上に乗せてみました。本来は接眼ミクロも使うか,または画像から計測すべきでしょうが,珪藻を拾っているときには,なるべくほかのことをしたくないので,えいやっと力業で解決です。大きな珪藻は長さ220μm,小さな珪藻は長さ60-70μmくらいのようです。前者は淡水産のクチビルケイソウの一種ですが,0.22ミリメートルというのはなかなかの大物で,顕微鏡で見ると立派な姿を楽しめます(撮影/MWS)。






2010年11月26日


ps

珪藻を暗視野照明法で検鏡すると,種によってはきれいな干渉色が出て見事な眺めになります。この色は,周期構造が単一で平面の珪藻では一色になるようです。珪藻が湾曲していたり捻れていたり,あるいは微細構造が部分的に異なる場合には,種々の色で輝くことがあって楽しい眺めになります。上の画像は海底の砂上から採取した種名がよくわからない珪藻ですが,ねじれている珪藻の被殻が虹色に輝いています(撮影/MWS)。






2010年11月25日


ps

拾い上げた珪藻は,ガラス基板上で転がして傷や汚れをチェックします。時には付着している鉱物や別の珪藻の破片を払い落としたりもします。そうして検査に?合格した珪藻は別のガラス基板に保管します。筆者はこれを在庫と呼んでいます。この段階では,珪藻を種ごとに,大きさがわかるように並べておきます。美麗な珪藻がたくさん集まると,ちょっとリッチな気分が味わえます(撮影/MWS)。






2010年11月24日


ps

ps

カロネイス(ニセフネケイソウ属)についてもよい試料が得られたのでJシリーズ用の拾い出しを行っています。粘土鉱物の大量に入った試料でしたが,気長に処理した甲斐もあって,まぁまぁきれいになりました。この珪藻はけっこう小さくて,毛先でつついても割れやすいので拾い出しが難しい方です。そういった珪藻は厚く積み上げておいてから崩します。そうすると乾燥時の貼り付きが軽減することもあります。きょうの画像は拾い出し中の様子ですが,実体顕微鏡で撮影しています。色収差がひどいレンズなので,画像二枚目の蛍光プラスチックを使って白色LED中の青色光をカットしてモノクロ撮影しています(撮影/MWS)。






2010年11月23日


ps

ps

ps

Jシリーズ用の拾い出しも進行しています。Cymbella(クチビルケイソウ属)のよい試料が得られたので,細心の注意を払って処理を行い,珪藻を洗浄し,乾燥します。必ず鉱物が混在していますので,これをいかにして分離するかが勝負です。混入している鉱物にはアロフェン−鹿沼土のようなものです−もあって,これが入っていると微粉末を生成して珪藻を汚してしまいます。また珪藻や鉱物がだんごになって離れなくなることもあります。よい試料ができてきれいな珪藻が取り出せたときは,なかなかよい気分です。静電気の力と重力を感じながら,地球はよくできてるよなぁと感動しながら,毛先で珪藻を拾い集める作業が続きます(撮影/MWS)。






2010年11月22日


ps

当サービスで販売している珪藻プレパラートの中では,Jシリーズが注目度ナンバーワンですが,ほかの製品も同じくらいに貴重なものがあります。上の画像はきょう製作したASK-01で,0.1ミリ程度の視野に8種類の珪藻が見えています。トップレベルのユーザーからは,この製品には100種程度の珪藻種を数えることができるとの報告も届いています。一日一種の写真をとっても,全部撮り終えるのに100日も楽しめるというわけです(実際はもっとかかりますが…)。リサーチグレードやエデュケーショングレードのプレパラートは,珪藻が並んでいるわけではありませんが,それが逆に宝探しのような楽しさを生み出します(撮影/MWS)。






2010年11月21日


ps

ps

木枯らしは早かったのに冷え込みは進まなかった東京都心も,ゆっくりと秋の気配です。近所のサクラもほどよく色づき,葉が散り始めました。とてもきれいで,持って帰って撮影してみました。難しいだろうなぁーと思いながら拾った葉っぱですが,これの撮影はあまりにも難しく,15枚ほど撮影してあっさりとあきらめました。露出補正もシビアで,色も正しく出ません(自分のPCモニタでも)。やはり自然光の中で散りゆく姿を眺めるのがいちばんのようです(撮影/MWS)。






2010年11月20日


ps

ps

骨董市で入手した鉋は,多いときには一日数回も合砥にのせて感触を確かめています。すべて掲載するとこのコーナーが埋まってしまいますので撮影していませんが,全国256人の研ぎファン(^^;のためにも,たまには画像を掲載しなければなりません。きょうの画像は丸尾山砥石の千枚→山不明の微細な巣板→山不明の深緑色コッパと研いだものです。明るく均一な仕上がりが魅力です。撮影にはマクロレンズを装着したコンパクトデジタルカメラ,蛍光灯に拡散板,レンズを使った照明を施しています。刃物は反射率が高く,輝度の高い部分と暗部とではうまく表現できません。撮影では主に照明テクニックを磨くということになりますが,光源の大きさや照射角度などで様々に絵が変化し,これは顕微鏡照明並みに奥が深そうです。上は反射光を撮影した例,下は反射光を逃がした例です(撮影/MWS)。

P.S. それにしても,この鉋の前の持ち主は,ノミと同じ部分を叩いて裏出ししていますねぇ。研ぎ落としたいような気もします。。





2010年11月19日


ps

きのう紹介したTokina AT-X 90mm F2.5は,カミソリマクロと呼ばれた最初のレンズだったと思います。最近ではほかのレンズがそう呼ばれていますが,元祖はこちらなのです。画像をご覧のとおり,その切れ味は素晴らしいのです。それぞれの珪藻の形も判別でき,Arachnoidiscus(クモノスケイソウ属)では,放射状の模様も見えています。この珪藻,レンズから21センチ先の遠方にあるのです。絞りは開放,蛍光灯と緑色下敷きによる照明です。画像はもちろん,等倍切り出しで加工はしていません。ハロは背景に反射した珪藻の光です。球面収差ではありません(撮影/MWS)。





2010年11月18日


ps

ps

筆者は30年くらい前から一眼レフを振り回していました。もちろんフィルムで撮るのです。そのころからコツコツ入手したレンズが何本かあるのですが,一部はデジタル時代でも通用するものがあります。上の画像は90mmマクロレンズの筆頭ともいえる,Tokina AT-X 90mm F2.5です。設計は海外,生産は国内で,まず海外で販売されました。後に国内でも販売されました。web上の噂によれば,タムロンのSP90mm F2.5は,このトキナーレンズを目標に設計されたとのこと。AT-X 90mmF2.5は,絞り開放からコントラストが高く,被写界深度は浅く,中心解像度は申し分のないレンズです。モノクロ2/3インチCCDに接続し,手持ちの簡易チャートを撮影してみましたが,まずは申し分のない絵になっています。絞り開放,レンズ先端(フィルターネジ)から被写体までの距離は24センチです。皆さんもお手持ちのレンズで簡易チャートを撮影してみてはいかがでしょうか。ひょっとすると素晴らしいレンズが発掘できるかもしれません(撮影/MWS)。

P.S. それにしても,こういったレンズがあるのにミニコピーHRUがなくなるとは…





2010年11月17日


ps

カメラ機材を放出しますので,興味ある方は放出品コーナーをご覧下さい(撮影/MWS)。





2010年11月16日


ps

ps

珪藻の微細構造が頭に入っていると,世の中のいろんなところに珪藻(の構造)が潜んでいることがわかります。先月も,JRの駅で列車を待っていましたら,駅名の背景にPleurosigma(メガネケイソウ属)が潜んでいました。何度見ても,まぎれもない,珪藻の模様です。もっとも,この案内板を設計した人が珪藻を忍ばせたと考えるには無理がありそうで,たぶん,この構造には,光の反射制御なのか,それとも塗料節約なのか,何らかの意味があり,その結果が珪藻の微細構造を同じになったと想像しています。真相をご存じの方はおられますでしょうか(撮影/MWS)。





2010年11月15日


ps

骨董市で入手した鉋は,今ひとつ裏が気に入りませんでしたので,全国210人の研ぎファン(^^;のことも考え,すきなおしました。筆者はこれまで,小刀や包丁,鉋の裏すきを作り直したことが何度かありますが,いずれも砥石に手研ぎという原始的な方法でした。今回ははじめて電動工具(リューター)を使って削りました。電動工具は何となく邪道な気もしていたのですが,京都で会った宮大工さんが,リューターで削ってますよ,と言っていたのを聞いて考えを改めました。そういえば人類は,その時代に使えるものを使って生きてきたのでした。早速やってみると,効率がよいことこの上ありません。あまり奇麗にはできませんでしたが,入手時よりはずいぶんマシになりました(撮影/MWS)。





2010年11月14日


ps

顕微鏡はヒトの網膜やフィルムやCCDに像を投影する光学系ですので,とうぜん,紙やスクリーンにも像を投影できます。光源が明るく,部屋が暗ければ,白い紙などに投影された像が鮮明に見え,皆で観察できます。上の画像は携帯顕微鏡H型に超高輝度白LED(NSPW500GS-K1)をセットして,紙に像を投影したところです。もちろん,ふつうの生物顕微鏡でも同じことができます。プリズムやミラーなどを使って光路を曲げれば観察もしやすいでしょう。こういう遊びをまだやったことのないひとは,早速やってみましょう。白い紙を用意して,部屋を暗くして,ピントを合わせてみてください(撮影/MWS)。





2010年11月13日


ps

当サービスで年に1〜2回販売しているJシリーズでは,色とりどりの珪藻が拝めるものも製作しています。これは珪藻に着色しているわけではなく,珪藻の微細構造によって照明光が分光された結果なのです。珪藻には様々な模様がありますので,色の出方も様々です。この特性を利用して,特定の照明条件できれいな色が出るような珪藻を選別して,並べたスライドを作っているわけです。偶然きれいなのではありません。上の画像のような色が出ることを念頭に,ちゃんと考えて製作しているのです(撮影/MWS)。





2010年11月12日


ps

当サービスのプレパラートは出荷前にすべて検品しています。その関係で,筆者は同じプレパラートを何回も繰り返し検鏡することになります。しかし何度見ても,かっこええ珪藻が視野に現れて,ついつい見とれてしまいます。子犬を何度見てもかわいいように,珪藻も何回みてもきれいなのかもしれません。上の画像はきょう発送したスライド(AAC-01)に入っていた珪藻です。40倍対物レンズを用いて暗視野で検鏡すると,精細な網目が何ともいえない感じです。お届け先でもコレを見つけて欲しいと思いながらの発送作業となりました(撮影/MWS)。





2010年11月11日


ps

きょうは石川県と長崎県から珪藻土関連業界の代表取締役2名が来室しました。珪藻そのものにも関心をお持ちで,いろいろな意見交換ができて楽しい時間を過ごしました。よい機会なので,筆者の製作した珪藻スライドを種々の検鏡法でご覧頂き,製作法などについても簡単にご案内しました。筆者は珪藻を扱い始めてから,いろいろな方々と知り合うことができ,今さらながら珪藻が取り持つ不思議な縁というものを感じています。美しさに敏感な方々が珪藻の引力に吸い寄せられるのかもしれません(撮影/MWS)。





2010年11月10日


ps

今年もコレを作らなくてはいけない気がして(笑),作ってみました。珪藻のことを考えない日は一日もない生活を送っているのですが,それでも飽きずにこんなものを作りたくなるのですから不思議です。少し小物を作って暖機運転したあとに,今期のJシリーズ製作に取りかかろうと思います。12月中には販売できるように取り組みますので,長い目で見て下さると有り難いです(撮影/MWS)。





2010年11月9日


ps

これは簡易培養庫の画像です。発泡スチロールにLED照明,冷却剤の組合せです。こんな簡単なものでも,この時期であれば10℃付近を維持できます。小型で輝度が高く,製作も容易なLED照明が出てきたからこそできる工夫でもあります。これで北国の珪藻を一時的に培養できないかテスト中です(撮影/MWS)。





2010年11月8日


ps

ps

顕微鏡の性能を検査するには珪藻プレパラートが便利です。きちんと設計され調整された顕微鏡であれば,収差の除去された気分のよい絵を見ることができ,照明法を工夫して解像限界付近の撮像を試みればレンズの性能もわかります。と,いうことで整備が済んだ携帯顕微鏡H型に青緑色LED(505nm)を装着し,モノクロCCDで珪藻プレパラートを撮像しました。上の画像が撮像の様子で,下の画像が等倍切り出し(無加工)です。短波長・単色光照明とモノクロCCDの効果,それに顕微鏡の設計の良さから,すばらしい像が得られます(撮影/MWS)。





2010年11月7日


ps

ps

ps

ps

ps

携帯顕微鏡H型のクレンメルねじ折損は,にわかに筆者の人生を暗くしました。やはり大事なものが壊れるのは,目の前が暗くなるのです。しかし壊れた瞬間から対策は始まっています。ネジコレクションから適当なネジを探すことから始まり,それが無駄だと判明すると,どうにかして修理できないか,できることなら,元通りにならないかを考え続けます。きょうはその備忘録です。

結局,真鍮ネジが削り出しの特殊なものなので,これを活かす方向で考えます。オスネジ部分を削り落とし,そこに穴を掘ってメスネジを切り,袋ナットにします。プレート側からネジを入れ,袋ナットでプレートを押さえつけるようにします。テフロン製?ワッシャが入っていますので,テンションはそれで調節可能です。鉄製ネジを使えば強度確保にも好都合です。これが最終的な結論でした。

まず,広瀬テクニカルに走ります。筆者が頼りにしている工具店です。千石電商やマルツなどと比較しても,格段に品物が豊富で,ほかの店にない小物も店頭にあるのが魅力です。今回は,M1.4 P0.3のねじ穴を作る必要がありますので,そのサイズのタップと,1.1mmのハイスのドリルを購入しました。万一,穴あけに失敗したときのために,M1.7 P0.35のタップと,1.4mmのハイスのドリルもあわせて購入しました。

さて,体調がよいことを確認して作業開始です。まず,特殊真鍮ネジの折損部分をリューター(砥石付き)で研削します。ある程度平面に近くなったら,ダイヤモンドチップに変えて,慎重に中心軸を見極めながら浅く掘り下げます。この掘り下げた穴はドリルの最初の取っ掛かりになるので,センターが出ている必要があるわけです。この作業が終わったら,1.1mmのドリルで穴を掘っていきます。油はCRC5-56を使いました。時々注油しながら,何度も穴を洗い流して,ゆっくりと掘ります。貫通してしまうと困るので手前で止めますが,なるべく深く掘ります。そうしないとタップが立てられないからです。

所定の深さまで掘り下げたら,こんどは0.8mmのドリルで穴を少し掘ります。タップの先は細くなっていてネジが切れませんが,この部分の逃げをつくるためです。強度確保のために,ねじ穴はなるべく深くしたいのです。

穴あけが済んだら,穴を洗浄してふたたび注油し,タップをたてます。M1.4ですから細くて折れやすいですが,相手が真鍮なので掘りやすいです。進んでは後退し,進んでは後退してネジを切っていきます。行き止まりになるまで慎重に進みます。タップ作業が済んだら,ネジ穴周辺のバリをとるために,アルカンサス砥石で平面に研磨します。これでステンレスプレートとの密着が確保されます。

次はネジの加工です。ステンレスのプレートにはねじ穴が切ってありますので,空回りしてくれません。ネジそのままですと,真鍮ピンの組み付けが面倒です。そこで,ネジの頭近くの部分のねじ山を削ります。ここを空回りさせるわけです。プラスのドライバーで抑えながら,細いダイヤモンドチップで削ります。

いずれの作業も問題なく進み,組み付けた結果,完全に復元されました。見た目にも何の問題もありません。動作は完璧です。ネジ部分は真鍮から鉄製になったので,破損前よりも強度的にアップしました。修理というものはこうでなくちゃいけません。壊れてよかった,前より良くなった,そうなれば気分的にも良いのです。今回は,闇に打ち勝つ光の勝利で終わったのでした(撮影/MWS)。





2010年11月6日


ps

電気系の調子がよくなった携帯顕微鏡H型の最終調整をしようと,標本押さえ部分のたわみを修正していたときのことです。力のかけかたを誤り,しまったと思った瞬間,ぽろりとクレンメルが落ちました。小学生のころ,大事な宝物を壊してしまったときのような残念な気持ちが全身を駆けめぐり,取り返しのつかないことをしてしまったことを教えてくれます。何が起きたのか見てみると,ステンレスのプレートにクレンメルを固定するためのネジが折れています。このネジは真鍮削り出しでクロムメッキされている凝ったもので,クレンメルの固定と摺動性の確保,クレンメル移動時の取っ手,外観の装飾も兼ねています。同じネジを入手することは不可能です。ステンレスのプレートに残ったネジは,超硬チップで中央にすり鉢型の穴を掘り,そこにマイナスドライバーを噛み付かせて回し,抜きとりました。しかし残った真鍮ネジをはめてみてもまったく固定できません。これまでどこも欠損のなかったH型なのですが…。絶体絶命の大ピンチです(撮影/MWS)。

追記:11月3日記載の画像2枚目は,ネジコレクションから拾った真鍮ネジと削ってサイズを合わせたワッシャで仮止めした姿です。





2010年11月5日


ps

ps

珪藻を生の状態で濃縮できれば,鉱物などの混入を少なくすることができ,よい試料になる可能性があります。そこでちょっと試してみました。目の細かいネットなどで珪藻をふるい落とすと珪藻がぽろぽろ落ちてきて,けっこうよい感じです。しかしご存じの通り,珪藻は粘液質に覆われていますし,べたべたくっつく性質があります。このため,回収率はよくない感じです。回収率をあげようとして,界面活性剤や漂白剤を使って試料をほぐすと,粘土鉱物も一緒にほぐれてどどっと混入してきます。難しいものです(撮影/MWS)。





2010年11月4日


ps

ps

ps

一枚目の画像に示す照明装置も携帯顕微鏡H型とともに持ち歩いています。非常用照明?と思った方もおられるかもしれません。違うのです。画像二枚目,三枚目を見るとお分かりいただけるかと思いますが,これは偏斜照明用の光源です。顕微鏡のミラーに紙製のホルダを挟むと,ちょうどNA=0.65に対して偏斜照明の位置に光源を固定できます。このときの結像は画像に示した通りで,明視野光束と暗視野光束が混ざった偏斜照明になっています。この条件では対物レンズの分解能をフルに活かすことができ,また,微分干渉に類似の(しかし被写界深度は深い)上品な像を結びます。100円の簡易照明ですが,こういった工夫は価格以上の価値があると思います。

ちょっと蛇足になりますが,こうした技術を活用できるのも,珪藻プレパラートがあるからだ,ということは覚えておくと良いと思います。珪藻プレパラートは,対物レンズの性能を判定し,照明法を勉強するための最良の標本なのです。顕微鏡ユーザーの多くは,主に染色標本を覗いていますが,この場合は対物レンズの開口数よりもちょっと絞り込んだくらいがよく見え,ほかのテクニックをほとんど必要としません。だから偏斜照明などのテクニックを覚えられないのです。横紋筋や脳細胞を専門に検鏡している方は別ですが…(撮影/MWS)。





2010年11月3日


ps

ps

筆者の携帯顕微鏡は照明光源として各種の5mmφLEDが使用可能になっています。20mAの定電流駆動です。電球のソケットには,E10口金を改造してLEDソケットにしてあります。なんでこんな面倒なことをしているのかというと,まだE10口金のLEDが売り出されるよりもかなり前から,LED化の改造をしていたからです。現在では,電池2本で点灯可能な白LED(E10口金)も売っていますから,何の改造もなくLED化できます。

LEDソケットを使用すると,市販のLEDの多くが使えますから,好きな光源を選べます。526nmのLEDを使えば緑色の単波長照明によって,上質な像を結びます。470nmや505nmのLEDを使えば,短波長の効果によって分解能が上がることを確認できます。最高輝度の白LEDを使用すれば,絞り込んでも明るい照明ができます。広角の白LEDをうまく使えば,瞳を充足した光学的によい状態の照明にもなります。遊びで紫外線照明を施すこともできます。

50年以上前に生まれた携帯顕微鏡ですが,現代の発光素子を装着され,デジタル撮影に用いられるとは夢にも思わなかったことでしょう。しかし使用してみると便利で手放せません。性能も正立型顕微鏡と何ら遜色なく,基本設計の優れていることを感じずにはいられません(撮影/MWS)。





2010年11月2日


ps

携帯顕微鏡H型の修理をしましたので備忘録です。この機種を入手してからというもの,電池ボックスの接触不良にはずっと悩まされてきました。全分解して組み直せばいいのはわかっているのですが,数年以上が経過し,ついにきょう電源部分の分解修理を行いました。

この電池ボックスの接点は特殊な構造です。ふつうの電池接点はコイルバネを使うことが多いと思いますが,この顕微鏡では真鍮の可動式ピンが電池と接触するようになっています。この可動式ピンにはバネが仕込まれていて,バネの押す力によって電池と真鍮ピンの接触が保たれるようになっています。電池の液漏れなどにより,この可動ピン周辺が腐蝕すると接触不良を起こし,調子が悪くなるのです。

そこで問題の可動ピンを取り外すのですが,固着していて外れません。可動部の外側から外し,全体を超音波洗浄しますが,ビクともしません。仕方がないので,万力にゆるくセットして,ヤナギの木槌で叩きます。これでなんとか外れました。腐食部分は#2000の耐水ペーパーで磨き,可動ピンの接触部分をラッピングします。これでOKかと組み直して見ると,まだどことなく接触不良です。もう一度外し,電池と接触する部分も研磨します。それでも調子は今ひとつです。

そこでハタと気がつき,バネの錆(緑青)を落としてみました。するとその輝きの色から,リン青銅のようです。なるほど,導電部分は可動ピンだけではなく,リン青銅のバネも担っていたのでした。バネが真鍮部分に突き刺さり,導電性を保ったまま摺動性を確保していたというわけです。そこでバネと,真鍮ピンのバネに当たる部分を研磨したところ,復活しました。なんと巧妙な設計でしょうか。これならば,万一リン青銅のバネに寿命がきても,真鍮の可動ピンが生きていれば,バネ交換だけで修理ができます。

接点の問題が解決したので,小型のDC-DCコンバータ(定電流回路)を組み込み,各部点検清掃して,修理と改造は完了しました。これで,市販の5mmφLEDをすべて利用可能な携帯顕微鏡H型の完成です。以前からその仕様でつかっていたのですが,接触不良の問題で動作がうまくいかないこともあったのです。今度は完全に治った感じで,気分も爽快です(撮影/MWS)。





2010年11月1日


ps

ps

上の画像はキンベラ(クチビルケイソウ属)という珪藻の柄です。この珪藻は粘液質の柄を出して群体を形成します。柄と珪藻本体は外れることもありますが,通常はけっこうしっかりとくっついていて,河川の瀬などの流れ程度では,簡単にはちぎれないようです。珪藻が二分裂すると,柄も2本に枝分かれします(下の画像)。こうして大きな群体になっていきます。珪藻と一口に表現することも多いわけですが,浮遊性のものもいれば,付着性もあり,このように粘液の枝で群体を作るものもいて,多様です。自然というのものの奥深さを垣間見る思いです(撮影/MWS)。





Copyright (C) 2010 MWS MicroWorldServices All rights reserved.
(無断複製・利用を禁じます)
本ページへの無断リンクは歓迎しています(^_^)/


トップに戻る



.