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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


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2013年3月31日


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30日は相模湾〜浦賀水道方面でサンプリングの予定でしたが,都内滞在中の先生より呼び出しを受けまして打ち合わせとなりました。ストレス社会を反映したかのように現代的な問題がいろいろあって,筆者は個人的な経験からアドバイスできる立場にあるので,じっくりとお話しを聞かせて頂いた上で思うところを述べさせていただきました。狭い世の中,皆で助け合って生きていかねばならないので,顕微鏡や標本製作等以外の問題でも,できることがあれば協力させていただくつもりです(画像/MWS)。








2013年3月30日


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29日は大潮でしたのでサンプリングとなりました。時間がなくて3月最初のサンプリングとなってしまいました。。遠出する余裕がありませんでしたので東京内湾部干潟でのサンプル採取です。干潮は昼間なので,採取に適した時刻になると珪藻が濃いところではこげ茶色の部分から酸素の泡が見えます。太陽光により光合成が起きているわけです。この酸素の泡部分をかき取るように採取して持ち帰ります。場所により種が異なり,カロネイスだったりプレウロシグマだったりギロシグマだったりします。たいていは小さな種が多くJシリーズには使えないのですが,一攫千金のこともあるので,試してみないわけにはいきません。ぽかぽか暖かい日で,オニギリもおいしく,ここのところの学会気分を鎮めるのにちょうどよい感じでした(画像/MWS)。








2013年3月29日


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28日は微細藻類に関する研究員2名と教員一名の訪問を受けました。主目的は微分干渉顕微鏡の操作法と,接眼レンズメンテナンスの実演と実習です。まずは複雑な照明を施した標本を実体顕微鏡でご覧頂き和んでいただいたあと,微分干渉顕微鏡で珪藻標本をご覧頂き,調整のポイントや回転ステージの重要性を理解してもらいました。質疑をはさみつつ,レンズメンテナンスの実習に突入です。まずは汚れの見方を覚えてもらい,次にレンズやフィルタの持ち方,拭き跡を残さない清拭方法を実演しました。これらの手技をそれぞれ取り組んでいただき,概ねできたところで接眼レンズの清拭を行いました。最後は対物レンズ先玉の汚れの見方と拭き取りを行いました。いずれも短時間で身につくようなものではありませんが,一度体験しておくということが大切だと思っています。皆さん熱心に取り組んでいただき大変楽しい時間を過ごさせていただきました。予定の時間はあっというまに過ぎてしまい,名残惜しい感じでしたがまたの機会ということになりました。春の嵐のような怒濤の日々が過ぎましたが,色々な方と顕微鏡のお話しができてこの上ない喜びでした。いまは華やいだ祭りが終わったあとに人がいなくなり,しかしそこに満開の桜が残っている,そんな気分です(画像/MWS)。








2013年3月28日


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27日は渦鞭毛藻に関する研究者,博士一名,大学院博士課程一名の訪問を受けました。筆者の行った大学院特別講義の受講生でもあるので,久々の再開となり本当に楽しい時間を過ごしました。複雑な照明を施した標本を実体顕微鏡でご覧頂き,微分干渉顕微鏡でご覧頂き,H型を操作してもらいました。鞭毛藻の微細構造を見るために,久しぶりに微分干渉を油浸で使いました。珪藻拾いも体験していただき,一名はフリーハンドで花柄をつくるという離れ業の持ち主でもありました。プランクトン学会シンポジウムで発表した内容も紹介でき,話題も尽きることなく,日も沈めば酒も肴も出てきて盛り上がり,最後は必修科目の包丁研ぎ講習となり時間切れとなりました。訪問頂きました研究者2名の方には心より御礼申し上げます。きょうの画像はこの日のために製作したツリー標本です。総合倍率100倍,視野数20に全てが収まるように製作したもので,精密に組まれ,こちらもひじょうに完成度の高いものです(画像/MWS)。








2013年3月27日


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26日は海に関する研究情報機関のセンター長と海産ほ乳類の研究者2名の訪問を受けました。主目的は珪藻標本の引き渡しと鑑賞です。教育啓蒙用途のご利用をお考えのようでしたので,標本の取扱方法や適切な照明方法についてお話しさせていただき,後に実際の見え具合や見え方の変化をご覧頂きました。豪華大形標本を特注いただきましたので,標本のポテンシャルを引き出す凹面鏡併用暗視野照明できらめく珪藻をご覧頂きました。また製作法の一端や,珪藻を拾い集める作業の概要なども紹介しまして,標本の奥深さを見てもらいました。実体顕微鏡,S-Ke,H型,千代田MKQ,千代田ポケット顕微鏡,フルオフォト,ダイアフォトなどがずらっと並び,それぞれの顕微鏡でJシリーズを心ゆくまで観察頂き,要するにいい年した大人三人が顕微鏡をひっくりかえして遊んでいる教育啓蒙を真剣に考える大人三人が顕微鏡を操作して思考を深める午後の時間となったのでした。話は途切れることがなく,あっというまに夜になってしまい,翌日の準備もあることなのでお開きとなりました。訪問頂きました研究者2名の方には心より御礼申し上げます。きょうの画像は納品しました大形ツリーの一部です。完璧な状態で封入された希な完成度の標本です(画像/MWS)。








2013年3月26日


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25日は日本海洋学会シンポジウムと日本プランクトン学会シンポジウムの掛け持ちでした。海洋学会の方は海洋堆積物中のセシウム挙動に関するものでしたので何が何でも出ないわけにはいかず,プランクトン学会のシンポジウムは講演者のピンチヒッターとして控えている必要がありましたので駆け回る感じで両者に出席しました。幸い,同じ大学内でのシンポジウムでしたので午前午後をうまく切り分けて,途中15分でオニギリチャージをして一日を過ごしました。いずれのシンポジウムも大変内容の濃いもので勉強になりました。が,セシウム問題とプランクトンのイメージングではあまりにも問題意識の方向がかけ離れていて,日頃両方のことを考え続けている筆者としても頭の切り替えが大変でした。。学内の桜が満開で,ちょうど卒業式でもあり,袴姿の華やかな賑わいもあり,旧知の先生方とも挨拶ができてじつに充実した一日でした(画像/MWS)。



*1 きょうの画像はシンポジウムでの講演の様子です。もともとは共同研究ではなくて,発表者の研究に対して技術的な観点からのアドバイスを行っていたのですが,仕事をまとめる段階で共同研究ということでお申し出を頂戴しました。有り難く拝受して,万一のときは代理発表できるように勉強しました。。タイトルから見ると素朴な,趣味レベルの研究に見えなくもないのですが,実際に,まともな画像が得られて専門的な技術を要せずに誰にでも使えるようなプランクトンモニタリング装置を組むのは案外難しいのです。ようやく民生品の機器で使えるものが出てきましたので,ワンショットで群集組成を記録できるようなものが可能な時代に突入したとの認識です。そこでプランクトンのプロが実際に装置を組んで北の海に生息する動物プランクトン群集を撮影し,その画像を評価することによって太鼓判を押し,関係者に利用してもらおうというわけです。




2013年3月25日


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何となく本屋に入り,ほんの少ししか品揃えのない図鑑コーナーを通ったら,こんな本に呼び止められました。おやおやと思いパラパラ見てみると豊富な情報量です。即買いでおうちに連れて帰ることとなりました。写真を多用した海藻の図鑑は少ないので本書はとても貴重なものですが388種という圧倒的な掲載種でこの先ながい間重宝することと思っています。筆者はサンプリングでよく海に出ますが,海藻の分類は苦手でよくわかりませんでした。これで少しは名前がわかりそうです。絵合わせレベルではありますが,その一歩を踏み出せるのが有り難いですね(画像/MWS)。








2013年3月24日


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指先のしびれはだいぶよくなりました。多少なりとも回復傾向にあることを確認できて一安心です。いろいろ調べてみるとスジを損傷した場合は回復が遅いらしく,とにかく休ませることが大事なようです。野球選手が登録抹消するように,筆者もしばらくは登録抹消…というかヘビーな標本製作はお休みすべきとの結論ですね。回復が遅い理由は血管が少ないからと書いてあるサイトがあって,その情報の真偽はわかりませんが,鶏肉を料理していても確かにスジには血管が少ないよなぁと思い,それならば物質代謝の速度が遅くなるわけだから,修復には時間がかかるだろうと納得しました。たくさん血管が走っているところを損傷すると出血してびっくりするわけですが,その後の修復は早く,湿潤療法でも行えばすぐに治ってしまいますよね。スジは大事にしなければならないなぁと,指先のしびれからずいぶんいろいろなことを学びました(画像/MWS)。








2013年3月23日


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来週月曜日(25日)にきょうの画像に示したようなシンポジウムが開催されます。誰でも聴講できます。詳細は こちら です。 プランクトンのイメージングに関するシンポジウムですが,生物顕微鏡を駆使するような内容は少なく,測器を使ったイメージングが主体です。プランクトン研究の現場を垣間見られる機会ですから,関心をお持ちの方は覗いてみるのもよいかもしれません。なお,筆者は海洋中におけるセシウム挙動に関するシンポジウムに参加の予定があり,このシンポジウムには(可能であれば)後半から参加できればと思っています(画像/MWS)。








2013年3月22日


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ダメなものはダメとの結論を出しておかないと,大切な標本撮影などで致命的な欠陥画像を生み出すことになりますので対物レンズのテストをしてしまいましょう。今回は最も簡単な相対テストで,同じスペックのレンズを三本並べて,同じ標本を撮影するというものです。標本はこのようなテストに適した,面積の広い,微細構造がどこでも比較できるようなものを選びます。選ぶといってもなかなかそのような標本の入手は難しいわけですので,自分で製作するわけです。一枚目の画像がその製作例ですが,クモノスケイソウを敷きつめています。10倍対物レンズの像を1xリレーレンズで伝送してNikon 1J1に結像するとCMOS全面を覆えます。それで画像の各所を比較すれば結像の傾向が判別できるわけです。きょうは画像右上のクモノスケイソウで比較してみます。リレーレンズによる像劣化もあるので,多少は甘い採点で見ていきます。

画像2枚目が問題のレンズ。明らかにぼけています。内側の珪藻ではかろうじてピントを保持できている感じもありますが,外側(右側)の珪藻はボケボケです。像面湾曲+片ボケの症状ではないかと思います。画像3枚目は同じ種類(NCF PlanApo10x)のレンズでバックアップ用です。これは画像の隅々まで良好です。画像4枚目はほかの顕微鏡に使用している同じ種類のレンズです。これもまあまあ良好です。ランクをつけるなら,バックアップ用が最も高性能で次がほかの顕微鏡で使用しているもの,問題のレンズは論外の性能,ということになります。残念な結論ではありましたが,件のレンズは少なくとも写真撮影用には宜しくない,という結果になりました。

こういったテストは,手持ちのレンズの性能を残酷なまでに暴き出しますので,気分的にはなかなか厳しいものがあります。しかしものは考えようで,最高のものを選別していることにもなりますから,ランクの低いものは安心して屋外用途や簡易顕微鏡に装着するなどして,最高ランクのものは厳密な管理下に保存して性能を維持することもできます。当サービスでは手持ちのレンズの一部についてはこのようなテストを施して,著しく問題のあるものを排除しています。

それにしても,こうしたテストをしていると,珪藻というのは良い標本だと思います。例えば染色した組織切片で同じことをするのは難しいと思います。相当に薄く切られていて,無染色で,微細構造のある脳の切片などですと使えますが,入手が面倒ですし,珪藻のように構造が安定しているわけでもありません。周期構造があって,大きさも厚みもある範囲に収まっていて,無染色で構造が見え,どこにでもいて,保存性が良い。1841年頃から対物レンズのテストに利用されていたらしいのですが,昔の人の観察眼はさすがですね(画像/MWS)。



*1 さて,ダメレンズは煮て焼いて…にしましょうかね。分解したい気分が生じてきます…

*2 一世代前の有限補正系対物レンズで仕事をしている以上,このような残念な結果は,当然起こりうることです。そのため,たいていのレンズはダブル,トリプルで揃えています。通常は滅多に出番がないわけですが,今回のように,こんなこともあろうかと準備していて本当に役立つこともあるのです。

*3 そういうわけで,中古品を入手して顕微鏡を楽しんでいる方は,レンズの検査をできるような標本をお手元に置いておくことをお薦めします。珪藻はもちろん役立ちますが,チョウの鱗粉などを掻き落として無理やり封入したようなものでも結構役立ちます。





2013年3月21日


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きょうはきのうと同じ標本を別のレンズで撮影してみました。照明条件は同じで,使用対物レンズはCF Plan10xです。切り出し画像を見ると左端のクモノスケイソウはピントが合っていますが右端のクモノスケイソウでは,少しだけピンボケしています。しかしこれなら,まぁ,許容範囲内だと思います。すると昨日のピンボケは対物レンズそのものに原因がある可能性が濃厚になってきました。。しかしそれにしても,部分的にぼけるのは珍しい症状です。この手の高級レンズは,個人的な経験の範囲内では,ダメなときは視野全体にダメダメ感が満ちていてわかりやすいのですがー。原因究明が必要です。やだなぁ(画像/MWS)。








2013年3月20日


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これは一枚の画像の右端と左端を等倍で切り出したものです。左端のクモノスケイソウはピントが合っていますが右端のクモノスケイソウではピンボケしています。標本はかなり正確に平面性を確保していて,標本の傾きによってここまでピントが狂うことはないと思っています。この症状はNikon 1J1導入当初から気になっていたのですが,原因追及をしていませんでした。撮影画像を検討してみると,どうやら,NCF PlanApo10xを使うとこの症状が出るらしいことがわかってきました。より詳細に調べないと断定はできませんが,レンズの片ボケのような感じがします。あまり見られない症状なので半信半疑ですが,大事なプランアポクロマートが一本,使い物にならないとするなら,何とも残念な気分です(画像/MWS)。








2013年3月19日


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ここのところ昼頃から夜半まで製作作業が続いていて手を使いすぎてしまいました。右手中指が痺れてしまい治りません。人差し指,薬指もわずかに痺れています。早速インターネットで調べてみると手根管症候群の典型的な症状ですね。作業が長引き手が痺れることはよくあるのですが翌日には治っていました。今回は大物の製作で毎日酷使し過ぎたために痺れが残ったようです。まだ初期の段階ですから無理をしなければ治るでしょう。インターネット上の医療に関する情報は本当に助かりますね。

そういうわけで今日は機材の点検整備に時間を費やすことにしました。春はデモの機会が多く珪藻をいかに魅力的に検鏡頂くかが勝負なので,それぞれのプレパラートに適した照明方法を検討します。珪藻は種により微細構造もコントラストも異なりますので,美しく見るためには種ごとに適した照明法が必要になってきます。たとえば暗視野法でも,乾燥系暗視野コンデンサで十分に美しく見えますが,一部の種は位相差コンデンサを利用した暗視野照明の方が適しているものもあります。本当に微妙なチューニングなのですが,見え味は驚くほど変化します。ニコンS型に電池式LED照明を搭載し,これに適したコンデンサを探っているとあっという間に時間が過ぎていきます。本当に久しぶりに自分の製作した標本をじっくりと見ることになりました。しばらくはこのような作業等を優先して手を休ませようと思います(画像/MWS)。








2013年3月18日


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現生の珪藻と化石の珪藻を比較すると,化石珪藻の方がごつくて丈夫な種が多いと感じます。化石珪藻が大量に降り積もった頃の海は,現在よりも豊富に珪酸が存在していたのでしょう。同じ分類群と考えられるグループで比較してみても,化石種の方が圧倒的に分厚い殻を持っています。丈夫で分厚い殻は取扱が容易なので有り難い存在です。しかも化石珪藻はある程度風化が進んでいるようで,封入剤が素直に染みこむことが多いのです。ナノメートルサイズの微小な孔が,風化によって広がっているのだろうと思っています。分厚い殻は明視野でも高いコントラストで見えます。これもよい点です。でも残念なことに,化石珪藻は破損した被殻が多く完全なものを探し出すのが大変です。また鉱物にまみれているのでこれを完璧に洗い上げるのが困難です。この2つの欠点さえなければじつに有り難いのですが…。きょうの画像は能登半島・珠洲市の珪藻土から取り出した珪藻化石です。多少の破損はありますが,けっこうきれいな被殻を拝むことができます(画像/MWS)。








2013年3月17日


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暗視野検鏡時にホワイトバランスをプリセットしたいことがありますが,そのようなときに明視野コンデンサに付け替えるのは面倒ですし,高NAの照明光だけの暗視野コンデンサと低NAの照明光も含む明視野コンデンサでは照明条件が異なるのでプリセットしても意味がないようにも感じています。そんなときは特大の珪藻を視野に持ってきて高倍率で観察し,それでプリセットします。これには使える珪藻とそうでないものがいて,暗視野で多少なりとも発色してしまうような珪藻は使えません。この点,クモノスケイソウはまあまあ大丈夫な感じで,けっこうきれいにホワイトが合います。画像はその例で,左半分がプリセット前,右半分がプリセット後です(画像/MWS)。








2013年3月16日(2)


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第7期販売分のJシリーズでは透過明視野でも色の出る不思議な珪藻を多数マウントしました。この珪藻は恐らく珪藻被殻が層構造になっていて途中に空気膜があるのではないかと想像しています。きれいな色を出すには条件があるようで,

対物レンズ開口数 NA=0.25  コンデンサ絞り NA=0.19〜0.20程度
対物レンズ開口数 NA=0.40  コンデンサ絞り NA=0.25程度

↑のように調節すると鮮明な色を見ることができます。きょうの画像はNA=0.4の対物レンズでコンデンサ絞りNA=0.25程度で撮影したものです。高級な顕微鏡では高NAの対物レンズがついていることがありますが,そのようなレンズでは色があまり出ません。その一方で,小学校や中学校にあるような初級の顕微鏡では10倍対物レンズの開口数はほとんど0.25なので,絞り盤を調節すればきれいな発色を見ることができます(画像/MWS)。








2013年3月16日


原発汚染水 専用港に流出し続けていた可能性 (3月15日 4時15分)

東京電力福島第一原子力発電所の専用港で、海水の放射性セシウムの濃度がほとんど下がらなくなっていることについて、東京海洋大学の研究グループが試算したところ、汚染水の流出が止まったとされるおととし6月以降も、1年間で事故前の排出限度の73倍に当たる放射性セシウムが専用港に流れ出た可能性があることが分かりました。 研究グループは、詳細な調査を実施すべきだ、としています。

東京海洋大学の研究グループは、福島第一原発の専用港で海水に含まれるセシウム137の濃度が、去年春以降、高いところで、国の基準を上回る1リットル当たり100ベクレル前後からほとんど下がらなくなっていることから、原因の究明に役立てるため独自に試算を行いました。
試算では、専用港の海水は、海流や潮の満ち干で1日に44%が入れ替わると推定され、セシウム137が公表されている濃度になるには1日当たり80億から930億ベクレルが流れ込んでいる計算になる、としています。
その結果、汚染水の流出が止まったとされるおととし6月以降の1年間では、事故前の保安規定で定められた排出限度の73倍に当たる16兆1000億ベクレルが専用港に流れ出た可能性がある、ということです。
専門家によりますと、1年間に排出限度の73倍に当たる放射性セシウムが流出したとしても、外洋の生物にはほとんど影響はありませんが、港の中に生息する魚介類が体内に取り込むおそれがあるということです。
東京海洋大学の神田穣太教授は「海水の測定データから、原発の敷地内の土が雨で流れ込んだ影響とは考えにくく、地下水や壊れた配管などを通じて汚染水が漏れ出している可能性がある。詳細な調査を実施し、原因を特定すべきだ」としています。
これに対し東京電力は「さまざまな調査の結果から、発電所の敷地から放射性物質が海に流出しているとは考えていない。ただ、専用港の海水で放射性セシウムの濃度が下がらない原因は分かっていないので調査を続けたい」と話しています。
(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130315/k10013213841000.html)


海水への放射性物質の放出が続いているのではないかという指摘はこれまでもありましたが,長い時間経過を丹念に追いかけて,専用港のセシウム収支を計算した結果はこれを支持するものという結果が出ました。東京海洋大学の研究グループには敬意を表したいと思います。

トレンチ経由の高濃度汚染水の大量放出は震災後3ヶ月の段階でほぼ止まったわけですが,今回の収支見積から,まだどこかに漏れがあると考えられるわけです。この「どこか」がわからないので漏れ出しを止めるのはかなり困難です。現在も核燃料の本当の状態は不明で,核燃料に接した水がどのような経路で格納容器内に分布し,あるいは容器内から外に漏れているかもわからないわけです。地面のひび割れのようなところからの漏れとすれば,今後数十年の間に起こりうる地震によって傷口が拡大しかねません。もちろんその間には遮水工事も進んでいるでしょうが,燃料取り出しはまだ不可能な段階でしょうから,汚染水の管理は続くことでしょう。時間をかけても肝心の部分には手をつけられない,これが原子力災害の恐ろしいところです(文責/MWS)



*1 実際は100年程度では燃料取り出しは不可能にも思えます。溶け落ちた燃料を回収して固着している部分は剥がして人間が作業可能な放射線レベルに持ち込む…といった作業を全てを遠隔操作で行うことは現時点の技術では無理といってよいでしょう。




2013年3月15日


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画像左端中段の珪藻に気泡が見えています。これまで製作したものでも最大級の失敗作です。たった一粒のミスですが超高品質を目指す以上は不良品判定となります。失敗した原因は珪藻を拾い集めるときによく確認しなかったことにあると思っています。一目見てコッコネイスの仲間であることはわかりましたが,反射光の様子が扱い慣れている種とは異なっていました。きっと珍しい種なのだろうと,そのまま封じてしまいました。その結果がコレなわけです。反射光の様子が異なっていたのはコッコネイスの凹みの内側にぴったりはまるように別の珪藻が重なっていたからなのでした。そしてその密着度合いがすごく,封入剤が入っていかずに失敗となったわけです。実体顕微鏡下での作業では珪藻に珪藻が重なっていると認識できないことがあり,このようなミスが発生します。今回の珪藻の場合は生物顕微鏡に載せ替えても珪藻の重なりがよくわからないほどのものでしたので,不運だったと思うしかありません(画像/MWS)。








2013年3月15日(2)


あの大地震から2年と少しが経過しました。筆者は一日たりとも震災のことを忘れずに毎日を過ごしています。どのような日々を過ごしていても,あれだけの災害があったのだから忘れることなんてできません。でも何だか今年はうまく言葉にまとめることができなくて,震災2年を経ての所感を書きようがなく,途方にくれるような気分です。書いては消し,書いては消し,ということの繰り返しです。何を書いても真意を表しているように思えません。なんなのでしょう。この感覚は。 ともかく,できることをやって,前に進みましょう,そう自分に言い聞かせることにします(文責/MWS)。








2013年3月14日


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これは作業部屋の机に降ってくるチリの例で,数ヶ月間,ガラス板上に集めた(放置したともいう)ものです。たいていはこの画像のような鱗片状のチリが降ってきます。サイズはちょうど珪藻と同じくらいのものが多いです。成分はわかりませんが,恐らくセルロースが半分以上,皮膚の角質が少々といった感じではないかと想像しています。このチリは油を吸っているものとそうでないものがあり,油を吸っていないものは降ってきても除去することができるので標本製作の大きな障害とはなりません。一方,油を吸い込んだものは基板も珪藻も汚してしまうので非常な邪魔者です。

ところで13日は東京地方でも大嵐のような暴風の吹き荒れる一日でしたが,意外にも降下物は少なく,9日午後と比較すると1/10程度でしょうか。風が強いと微粒子が増えるという相関はあるような,ないような感じです。天気は下り坂ですが,これから雨が降って空気がきれいになると思うとじつに楽しみです(画像/MWS)。








2013年3月13日


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先日(3月10日)の砂嵐性の降下物を6時間ほどスライドグラスに採取して封じてみました。まだざっとしか見ていませんが,珪藻が空を飛んできています。画像に写っているのはネイディウムの仲間で,池や沼などでふつうにみられます。気象庁によればあの砂嵐は北関東のチリが舞い上がったものだそうですが,どこかの池で増殖した珪藻が干からびて殻だけになり,そのガラスの粉末が空を飛んで東京までやってきたのでしょう。見られたのはこの種だけではなく,ざっとみて数種類はいそうです。時間ができたときにじっくり検鏡してみたいですね(画像/MWS)。








2013年3月12日


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11日は前日の砂嵐を感じさせない澄み切った空気で,ほとんど降下物のない作業環境でした。大気はいろいろなものを運んできますが本当に不思議です。室内での微細な粒子の落下量は9日午後が最も多かった気がしていて,砂嵐の日は外はスゴイことになっていましたが,それに比例して増えた感じはしませんでした。そして次の日はクリヤーなのです。細かい粒子は見た目ではわからないものです。画像は少し前に注文製作したものです。空気が澄んでいないとこういうものは作れないのです。いつも空気がきれいなところはどこでしょう。長野県辺りでしょうか(画像/MWS)。








2013年3月11日


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10日は風が強く落下物も多いことが予想されたので,スライドグラスで粒子を採取してみました。玄関前の廊下に3時間ほどスライドグラスを置いて,そのままドライで検鏡しました。画像一枚目はNA=0.25の暗視野で撮影していますので昨日の画像一枚目と比較してみて欲しいのですが,粒子の大きさが全く異なることがお判りかと思います。室外では風の影響を強く受けるので室内よりも大きな粒子が舞っています。画像二枚目は,3時間で降り積もった量を表したものです。画像3,4枚目に見られるように花粉も多数混じっています。ということで10日の粒子はPM2.5よりもずっと大きな粒子(鉱物や花粉)が強風で巻き上げられたものということが判明しました。気象庁は関東地方で「煙霧」が発生したことを発表しましたがまさにその通りの結果に思えます。但し,少量ずつ降り積もった黄砂が再び巻き上げられたということは,あるでしょうね。

ところで昨日の記事で示した粒子は「黄砂」であると書きましたが,はっきりいいまして根拠はありません。砂漠起源であることを証明したわけではないですし,室内採取ですから,通常の黄砂よりも小さな粒子で典型的な画像とも思えません。なぜ黄砂と判断したのかというと,黄砂が西日本で観測されたのちに南風が関東地方に入り込むと急に大気中の粒子が増加するからです。ふだん室内では鱗片状の生物由来と思われる微粒子の落下が多いのですが,この時期は鉱物と思われるフロック状の塊が落ちてくることが多く明らかな違いがあります。秋から冬にかけて砂嵐が発生するような日の落下物とも違う印象です。そのようなわけで春先のこういった落下物は疑いもなく黄砂粒子だと思っていましたが,よく考えるときちんとした根拠がないですね。昨日の記事はそういった先入観と偏見?に満ちたものであったことをお断りしておきます(画像/MWS)。








2013年3月10日


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これは数時間の間にカバーグラス上に落下した黄砂です(画像一枚目)。NA=0.25の対物レンズで暗視野法です。採取場所は最後に換気してから6時間以上気流を起こさないようにした室内です。つまりJシリーズの作業環境です。1〜2日前から粒子の落下が増えたと思っていましたら,9日の朝になって激増しました。ものすごい落下量ですぐに珪藻を汚してしまいます。とても作業になりません。画像2枚目は粒子を封じてみたものです。NA=0.95,輪帯照明での撮影ですが粒子が非常に細かく,余裕でPM2.5の領域です。赤みのある粒子で,触れると細かい粒子に砕けます。酸化鉄の微粒子のような感じです。

細心の注意をしている作業環境でもこの粒子量というのは非常に問題です。デリケートな光学素子などはこの黄砂粒子によって細かい擦り傷がつくことも考えられます。顕微鏡愛好家の皆さま,ぜひ,二重にカバーするなど十分な対策を講じて大切な顕微鏡を守ってください(画像/MWS)。








2013年3月9日


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本ページの読者層は幅広いので教育関係者や将来教員になりたい方もご覧になっていることと想像しています。そんな方々に特にお薦めの本をきょうは紹介致します。『若い教師の成功術』(大前 暁政 著)です。この本には新卒/新任の小学校教員が現場に放り込まれて悪戦苦闘し,何とか自分なりの教育方法をものにするまでの経過が盛り込まれています。

レビューはamazonにたくさんありますのでそちらを参照ください(こちら)。

この本は主に小学校教員で若い方に向けられたものです。しかしこの本が役立つのは人と人との関係に悩んでいるほとんどすべての人,といっても良いのではないかとさえ思います。中堅教員でも授業が成立しないような現場に直面している人は必読でしょうし,年配の教員でもこの本を読んで過去を振り返ることは有用でしょう。中学校や高等学校の現場でも応用できることが多いと思います。それだけでなく,大学ですらも,この本に書かれた基本的事項は通用するように思います。この本の著者は『児童』を「一人の人格者」としてみています。そこのベースがきちんとしているので,児童との信頼関係が確立できるのです。これは大学だろうが企業だろうが同じことです。そこの心理的背景を読み取れる方なら,どのような人にも役立つことと思います。

教育者というのは生き方を指す言葉だと思っています。本ページでも何度かそのように書いた記憶もあります。この本の著者は,人に教育を施すために自分が何よりも学び続ける姿勢を失わない,素晴らしい生き方を実践しています。だからこそ言葉に説得力があり,行動に迫力があり,授業が熱中できる時間になり,人を惹きつける魅力が生まれ,人との間に信頼が生じるのだと思っています。そんな先生の授業を受けてみたかったですね(画像/MWS)。



*1 授業崩壊を気にもせず独善的な講義を行っている大学の先生には,ぜひ,この本をプレゼントしてあげてください(そんな奴は読まないだろうけどね)。小学校も大学も本質は何も変わりませんから。

*2 なぜこの本を見つけることができたのかというと,筆者は「自分が学ばないような人は,人に教える資格はない」といつも思っていて,そういう哲学を持った教師はいないものかと探していたからです。

*3 ある大学で講義をするにあたって,授業の設計や方針に相当な労力を注ぎ込みました。なぜならその大学は,ほとんどの授業が崩壊していて,出入り自由のサロン状態の講義室で,講義を聞いているのは2割,ほかは遊んでいて,出席のタイミングだけ部屋に入って名前を書いて出る人や,前の机の上に足を載せている人,休み時間に講義室前の廊下に座り込んでカレーライスを食べている人など,乱雑を極めていたからです。経済学の授業など,第一回目が四則演算でした。その現状に対して筆者は綿密な対処法を考案し,初回からそれを詳細に説明して受講者に納得してもらう形で講義を進めました。いちばん大事なのは講義自体が充実していることなので,そこにも当然,力を注ぎました。その結果,授業崩壊は起きませんでした。で,『若い教師の成功術』を読んで思ったことは,「オレがやっていたことは,これだったのか」ということです。筆者が知恵を絞って到達した方法と,この若い小学校教員が現場で編み出した方法は,そのエッセンスだけ抽出してみれば同じもののように思えるのです。しかもこの小学校教員はその方法を理論化して言葉で残している。素晴らしい。

*4 この本を読むと,人の前に立って何かを講じるという作業には,ある決まった作法のようなものがあって,それは普遍的なものらしい,そんな感じがします。それを物事に例えるのは難しいのですが,コミュニケーション技術の一種かもしれません。猿山のボスになるような。





2013年3月8日


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これだけの労力を投入してきれいになったカバーグラスは5枚…。ちょっとひどすぎますね。Jシリーズに採用しているカバーグラスはマツナミの特注品ですが,表面が劣化しているものがあって,歩留まりが極端に悪い感じです。いま使っているロットは下手すると半分は捨てるような感じです。しかも表面の欠陥は拭かなければわからないのです。劣化がなければ品質は問題ない,というか,最高の品質なのでどうしてもマツナミを使ってしまいます。海外製品のカバーグラスも所有がありますが,こちらは表面の劣化があまり見られません。が,暗視野検鏡でやっと浮かび上がるような傷がついていることが多いのです。このレベルの傷は,照明方向により見えたり見えなかったりするので厄介です。傷をよけてマウントすれば使えますが中央付近に傷があれば使う気は起こりませんので廃棄となります。どこの製品でもいいですから,まともなロットをまとめ買いした気もしますが買って拭いてみないと品質が判定できないのでウン万円分買い込むのも冒険です。難しいものです(画像/MWS)。








2013年3月7日


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LED電球は高価なものの,蛍光灯と比較しての発光効率もだいぶよくなってきました。頻繁にonn/offしても何の問題もないので節電効果もあります。そういうわけでLED電球を昨年夏頃から導入してみましたが,幾つか気になる点もあります。まず一つは色が青みがかっていること。昼白色にしても青すぎます。これはフィルタを入れれば多少は改善できるのでカメラ用のガラスフィルタ(アンバー,ピンク)を二枚仕込んで使っていました。もう一つは発光波長の450nm付近の輝度が高すぎて目によくないこと。LEDランプが目に入ると残像がしばらく残ります。波長が目に有害な上に,発光素子が小さすぎて,蛍光灯と比較した場合,輝度が高すぎるのです。蛍光灯なら直視しても目をそらせば不快な感じは少ないのですが,明るいLED電球の場合は一瞬見ただけでも残像がちらついてしまいます。発光部分の輝度は蛍光灯の数倍〜10倍程度ありますから目に対する影響もそれだけ増すことになります。

そういったことを真面目に考えてLED電球に改良を加えたのがきょうの画像です。縦長に切ったスーパーの買い物袋をU字状にして貼り付け,天井方向に逃げる光はガスレンジ用のアルミパネルで下方向に戻します。スーパーの買い物袋は青い光をややカットする効果もあり,拡散能力も高く,LEDの点光源を面光源に近い状態にしてくれます。これにより輝度が下がって目に対する負担が減る上に,点発光による硬い光が面発光による柔和な光になり,影の輪郭がぼやけて作業がしやすくなります。

顕微鏡照明でも極力コンデンサを絞らないように心がける筆者は,室内照明においてもコンデンサを開いたような光が好みなのです。LEDの硬い光が気になっている方,こうした改造は思いの外効果があって楽しいですよ(画像/MWS)。



*1 改造費用はアルミパネルの105円です。

*2 LED電球は1400lmという最高レベルの明るさのものを使っています。

*3 LED電球の放熱を妨げるような改造は絶対にしないでください。電球の寿命が縮まりますし,最悪火災の可能性もあります。





2013年3月6日


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きれいに清拭したガラス面に人差し指を押しつけてそっと剥がせば指紋がつきます。それを観察してみたのがきょうの画像です。低倍率では指紋の一本一本が砂浜の模様みたいに見えています。これを拡大しますと油滴の集合体なのです。まるで鉄板焼きのときに油をひいたような感じにべたべたです。スライドグラスやカバーグラス,レンズは指で触れてはいけないわけですが,その理由は『触る』という動作が『油を塗布する』ということを意味しているからです。油は拭いても延びるだけで,きれいに除去することがひじょうに困難です。Jシリーズに使っているスライドグラスやカバーグラスは一度も手で触れていないものを研磨や清拭して使っています。指で触れたらガラス表面の状態が変化してしまい使うことはできません(廃棄します)。読者の皆さんもレンズ等を取り扱うときは油でベタベタの画像を思い出して,注意深く作業するようお薦めする次第です(画像/MWS)。








2013年3月5日


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590nmの超高輝度LEDも載せ替えましたので画像を掲載することとしました。これを実体顕微鏡の光源として使うわけです。使用している実体顕微鏡には補助対物レンズがついていて,総合倍率は160倍にもなります。この拡大率で珪藻の構造を見ながら十分な作業を行うためには輝度の高い照明が必要になるわけです。通常は超高輝度の白LEDを使っていますが,白LEDは青い光を多く含んでいて直視すると目に傷害を引き起こす可能性があります。また見た目よりも強いエネルギーが出ていて,長時間の作業では網膜に対する影響が積算されてよろしくない可能性もあります。そこで作業ごとにLEDを使い分けることにしてみたのです。

ちなみに光化学反応による網膜損傷と光波長の関係を調べた研究によれば,波長425〜450nmが有害なピークです。この波長帯(青紫〜青色)は最近の白色光LEDの励起帯に相当します。500nmになると影響は1/10,600nmになると1/1000になります。590〜610nmの光は視感度的にはピークの近くなので425〜450nmの青色光よりも少ない光量で明るく感じます。視感度の高い光で照明すれば網膜に到達するエネルギー量も少なくなります。したがって590nm〜610nmのLEDでは相対的に目を保護できる可能性が高まるわけです。

590nm照明を使用してみると思っていたよりも覗きやすく,単色光による気分悪さはほとんど感じません。それどころか白色光照明よりも澄んだ感じがして微細構造が見やすいようです。これは実体顕微鏡の補助対物レンズから生じる盛大な軸上色収差と球面収差の色による差が,設計波長のD線に近い照明のお陰で見えなくなり,像質が改善されたためだと考えられます。ちょっとした工作でしたが効果はなかなか大きい感じです(画像/MWS)。



*1 きょうの記事は『第7・光の鉛筆』(鶴田匡夫)を参考にしています。




2013年3月4日


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可視光の長波長側でさらに高輝度の照明が必要になり,LEDを交換しました。今までも十分に高輝度のLED(アジレントのHLMPシリーズ)を使ってきましたが,最近の状況を調べてみると光出力の小さかった590nm〜606nm付近でパワーアップしたものが出ていて十分に交換に値すると判断しました。結果は正解で,定電流20mAの電源で照射角15度タイプのもの4灯を集光すると590nmで真昼の直射日光の半分程度,610nmで直射日光の1.5倍ほどの光強度が得られました。これならば顕微鏡の落射照明用としても十分な明るさを確保できます。特殊培養用の光源としても十分に使えます。念のため型番を記せば,

OS5YAA5111P (585-595nm)
OS6OGA5111A (606-616nm)

です。秋月電子ほかで入手できます。画像は606-616nmタイプ4灯を20mAでドライブ中の様子です(画像/MWS)。








2013年3月3日


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皆さんは何かストレス解消法をお持ちでしょうか。筆者はその辺りが不器用な人間のようで,ストレスが生じるようなことがあったら,その原因自体を勉強するというストレス増強的なことばかり繰り返した人生のような気もします。子どもの頃から,過去の失敗が脳内を覆い尽くしてそれは中年オヤジになっても変わることがありません。起きているときはもちろん寝ていても何かに追われているような夢ばかりです。それらは消えないので消そうともせずに今日に至ります。大学院時代は人生の一生分くらいのストレスを受けた気がしているので,それは大変で大量の白髪が発生したことは以前にも書いた記憶があります。ところが最近は珪藻在庫の管理がけっこうストレス解消的な感じがしています。珪藻の山(画像一枚目)をかき分けて無傷のきれいな珪藻を拾い出して山を作り(画像二枚目),その珪藻の山から再び珪藻を拾い出して在庫用の基板に移植します。このとき,サイズに大きなばらつきのある珪藻の場合はサイズごとに整理しておきます。珪藻が整理されると,何となく,頭の中も整理されたような感じがします。それが錯覚なのは明らかですが(笑)。ちなみにこの作業,フリーハンドで行いますから相当な器用さが要求されると思います。どうもこの指先を使う作業,というのがストレス解消的な気もします。脳みその感覚的によく似ている別の作業は『研ぎ』です(画像/MWS)。








2013年3月2日


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確定申告は毎年計算していても煩わしい作業です。一年間を振り返るという意味ではよいのですが,細かい計算が面倒すぎてまったく労力に見合わない感じもします。給与所得の場合は非常にいい加減な源泉徴収をするくせに,申告納税は面倒なのですから,何だかバランスがとれない気もします。大雑把に納税すれば細かい計算を免除するような仕組みができないものか,などと考えてしまいます。毎年3月はひじょうに忙しいのに面倒なことが重なるのは面白くないですね…と珍しくグチを書いてしまいました。そういったグチとは関係なく珪藻たちの何と美しいことか(画像/MWS)。








2013年3月1日


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珪藻を並べて封入しているときには実体顕微鏡を使っていて,基本は暗視野照明で珪藻の状態をみています。このため,分解能や検出能に制限があり,光学顕微鏡のように微細な構造を見ることはできません。これが悩みのたねで,珪藻の隠れた部分に小さな破片がついていたり,小さな珪藻が入り込んでいたりしても見えないのです。苦労して並べて,うまくいったなーと思って,封入剤をきちっと固めてから検鏡してみて愕然とすることになります。もともと,全てにおいて完璧な標本製作は不可能だと思いますが,可能な限りベストな状態に持ち込みたいもの。あれこれと工夫する挑戦は今後もずっと続きそうです。画像は珪藻に破片が残っている一例です。よく見ると見えますよね? (画像/MWS)。









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