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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
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2012年12月31日


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Jシリーズの製作者としてかなり悩ましい問題点は,「手放したくない」ことです。珪藻をひとつひとつ配置していくと,自然と完成したことがわかります。全体の形が整ったような気がするのです。作業自体は苦しいのですが,整った瞬間は感動的です。このあとの,神様に祈るような封入操作の過程を経て,ようやく無事に完成したことを確認すると宝物が増えたような気になります。全部手元に置いて大切にしたい感じがするのですが,でもこれは皆さまに自然の美しさを味わってもらうための標本なので,サンプル写真だけ撮影し,以後は見ないようにして,販売リストにのせるのです。本当は一日中でも見ていたくなるのですけど,それで眺めているとますます愛着がわくので,見ないように努力します。そういうわけなので,筆者の手元にあるのは,カバーガラスにキズがあるとか,封入に問題があるとか,何らかの問題があって表に出さないものばかりなのです。

今年も皆さまに大変お世話になりました。来年も珪藻と顕微鏡を追求して参りますので,どうぞよろしくお願い申し上げます。明日夜にはJシリーズを掲載致しますのでどうぞごらんください(画像/MWS)。








2012年12月30日


ps

Jシリーズは常に改良を施しています。今期製作分は過去のものと比較していくつかの変更点があるものもございます。今回の特徴は明視野で青色に見える珪藻を安定して取り扱えるようになったこと,基板をクラウンガラスから並ガラスに変えたこと,小型種のゴムフォネマを扱い可能になったこと,プレウロシグマが濁りにくくなったことなどです。ディプロネイスに生じる気泡の問題はまだ解決していません。筆者はかなり厳しい目で選別して高レベルのものを世に出すように努力していますが,顕微鏡レベルの全ての欠点を取り除くことは不可能なので,ある程度の問題点は許容いただきたいと思います。

基板はこれまでマツナミのクラウンガラス(白スライド,S1111,S1112)を使用してきました。しかしこのガラスは最近になって特に表面の荒れが目立つようになり,経時変化が激しく,使い物になりません。もともとそのままでは使うことができず,光学研磨してから用いていたのですが,最近のものは一年も経たないうちに研磨でも奇麗な面が得られず,Jシリーズ基準は満たさなくなってしまいました。このため,よりよい表面品質の基板を探し求めた結果,水スライドグラス(マツナミ,S7213)に辿り着きました。これもそのままでは使えないのですが,光学研磨すればかなり透明になります。暗視野ではバックグラウンドが黒に抜ける爽快感が味わえます。

ガラスの問題は深刻です。封入剤の寿命は数十年を想定していて,珪藻被殻の寿命は1千万年を想定しています。しかしガラス表面が劣化すると標本の美しさが損なわれるので,なるべく劣化の少ない製品を用いないといけないと考えています。もちろん,劣化したら研磨すればある程度復活しますが,一般に行うのは無理があります。これまで販売してきたJシリーズは,J047以前は基板を研磨していないので,ガラスが若干濁る可能性があります。それ以降は研磨しているので耐久性は上がっていると考えています。劣化しやすいガラスでも,一度研磨して生成した表面は耐久性が高くなるのです(画像/MWS)。








2012年12月29日


ps

今期製作分Jシリーズの販売開始は,2013年1月1日の20時頃とさせていただきます。時間は多少前後する場合があります。しかし21時になっても発表がない場合は,何かトラブルがあったものと思って下さい。その場合は後に周知するとともに,後日の販売といたします。

今回は時間のやりくりの都合でお正月の販売となってしまいますが,一年365日,顕微鏡のことを考えて暮らしておられる皆さま,正月番組よりも顕微鏡が楽しいという皆さま,ぜひともご覧頂ければと思います。よろしくお願い申し上げます(画像/MWS)。








2012年12月28日


ps

Jシリーズの注文方法はほかのものと同一で,メールで品番をお申し込みください。短い時間に注文が押し寄せることも想定されますので,注文確認メールは返しません。メールの受信時点で予約確定とさせていただきます。予約でき次第,順次返信致しますが,先に売れてしまった場合はどうかご容赦ください。予約状況については,順次Jシリーズのページに掲載いたします。

現在,1月初めの販売にむけて全力で作業しております。今期製作分は,1000円の処分品から3万円台のものまで準備できるよう努力しています。今回は,制作順(Jナンバー)ではなく価格順で品物を掲載する予定です。

ところで,Jシリーズはリピータの方がとても多く,新規の方が少ないという特徴があります。おそらく一度手にすればその価値に納得するからだと思っています。珪藻の精巧な細工模様はパソコンの画像だけでは価値が伝わらないのです。でも,

【こちら】

に価値が伝わるように努力した画像を掲載しましたので,ぜひご覧下さい。対物レンズPlan 10x (0.25) 160/-使用,乾燥系暗視野コンデンサによる照明です。肉眼のイメージに近くなるように,ガンマ+1.6,コントラスト+15%だけ補正し,ほかは無加工のJPG画像です。実視では,この画像よりももっと深みのある,キラキラ感のある像に見えます(画像/MWS)。








2012年12月27日


ps

Jシリーズは作業時間や在庫珪藻数の関係もあって作り溜めておくということがなく,ある期間にまとめて作ることが多くなっています。それで年に1,2回の販売となるわけですが,毎回,製作時には何らかの共通課題に取り組んでいます。今回は「封入条件」です。これまでもJシリーズは最高レベルの完成度で提供して参りましたが,製作者の立場からは,克服すべき課題を抱えていることも事実です。現在製作中の標本では,珪藻の封入状態を極限まで良いものにしようと追求しています。特にプレウロシグマ属が濁る現象を極力排除し,ディプロネイスの内部に気泡が生じる現象を回避できるように取り組んでいます。これらの取り組みがうまくいけば,明視野でクリアで,暗視野時には純度の高い輝きをご覧いただくことができるわけです。画像は非常に封入状態のよいプレウロシグマ属の一種です(画像/MWS)。








2012年12月26日


ps

今月紹介している珪藻画像の多くは,プランアクロマート対物レンズ(10倍 NA=0.25,20倍 NA=0.40)等で撮影しています(4倍対物レンズを用いた作例ではプランアポクロマートを使っています)。つまり,どこにでも転がっている普通のグレードの対物レンズで撮影したものと思ってよいのです。暗視野検鏡では開口数の低い対物レンズの方が美しく見えることが多く,高級な対物レンズを持っていないからとがっかりする必要はありません。筆者はふだん微細構造を重視する撮影のときにはプランアポクロマートを多用しますが,Jシリーズを検鏡するときはプラン対物レンズや,ただのアクロマート対物レンズに付け替えます。そのほうが見栄えがするのです。Jシリーズは普及品のレンズの方が美しく見えるという要素ももっている,嬉しい標本なのです(画像/MWS)。








2012年12月25日


ps

暗視野で色の出るメカニズムはよくわかりませんが,ひとつは回折でひとつは干渉のように思っています。単純な格子の珪藻では暗視野で青色が見えることがほとんどで,対物レンズの開口数を上げていくと青色が見えなくなり,その代わりに微細構造が見えてきます。この場合は回折光が近くに乱反射したのものを見ているのかな,と想像します。金色やほかの複雑な発色をするものは干渉と思いますが,どれも微細構造が複雑です。どのような珪藻がどのような発色をするのかがわかればいいのですが,照明開口数にも,照明方向にも,対物開口数にも依存するのでなかなか難しいものがあります。暖色系のものが比較的少ないので探しているのですが,今回製作中のものでは,ピンク色に発色する珪藻を集めることができています。小さいけれど,なかなかきれいです(画像/MWS)。








2012年12月24日


ps

これ,並べるのにどのくらいかかるの? という質問をよく受けます。なかなか答えにくい質問でいつも困ります。全ての準備が整っていて,さあ,並べるぞ,となったら上の画像のプレパラートで数時間以内には終わります。しかしこれはコトの一面だけしか見ていない感じがして,このように答えたくない気持ちもあります。何しろ,珪藻は海や川や池から自分でとってきて,ごみだらけ,泥だらけのものを信じられないほどの時間をかけて洗い上げ,その試料を乾燥し,その中から無傷の珪藻を見つけ出して保管し…といった作業を一種一種について行っているわけです。ですから,たとえてみれば,畑で野菜を育てるところから料理を作っているのに,調味料も全て準備済みで,すでに刻んであってナベに放り込むだけの状態になっている炒め物の「調理時間」だけを聞かれているような気分になるわけです。

ま,それでも「調理時間」だけでも数時間はかかるわけで,もっと複雑なものでは,気がつくと夜になっていた,などということもあります。さらにトラブルなども生じるので,それへの対処を施して,封入がうまくいかないときはじっと我慢の子で…製作開始から封入まで数日ということもあります。

準備もなかなか大変です。基板に使用しているガラスは光学研磨しています。暗視野検鏡でバックグラウンドが光らないようにするためです。カバーグラスは暗視野検鏡して一枚一枚選別しています。表面が劣化していて使えないものがあるのです。この特注品のカバーグラスを拭くのも技術を要します。カバーグラスは貼り付き防止のための特殊なコーティング剤が塗布してありますが,これをすべて除去してチリのひとつも残さず,表裏全面をきれいにして,さらに表面状態を変えずに濡れ性を保ったままにするには高度な技がいるのです。カバーグラスには表面が荒れているものもあり,これはカバーグラスを拭き上げてはじめて判明します。不良品が多いときなど,マウントに使える一枚を拭き上げるのに20分もかかることもあります。封入剤は市販のままだと顆粒が多くて使えないので,0.2μmのフィルタで精密ろ過していますが,これも高度な技術を要するのです。

珪藻を極限まで美しく見せようというこれらのこだわりが,世界最高レベルの高度な展示用標本「Jシリーズ」を生み出しているのです。

そのようなわけで,工数から単価を積み上げれば,Jシリーズはとても価格が付けられないようなものなのですが,それではいけませんので,珪藻一個あたり100円〜300円以内になるようにがんばっています。これは製作者側からは,ほとんどバーゲンプライスです。一枚だけの価格を見れば高いなぁと思う方もおられるかもしれませんが,とても製作が難しく入手も困難なものが,高くても数万円程度でお手元に届き,それは少なくとも数十年以上の寿命があるわけですから,考えようによっては安い買い物でもあります。特に,学生教育などに用いる方にとっては,この標本を見せるだけで学生の興味関心をひきだせるので,どんな教材と比較しても劣らないでしょう。

などとつらつら考えつつ,ちまちまと小さな作業に集中し,数ミリ四方の中に小さな生き物の殻を閉じこめる今日この頃なのです(画像/MWS)。








2012年12月23日


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今期製作のJシリーズでは,明視野で色の出る珪藻(染色してあるわけではなく干渉色です)を扱うことができるようになっています。これまでJシリーズは評価用標本(検査板の代用など)としての利用のほかは,暗視野や位相差,微分干渉などの各種コントラスト法で楽しまれている方々が多かったように思っています。低開口数で色の出る珪藻が加わったことにより,総合倍率40〜100倍程度で明視野検鏡する楽しみが生まれたことになり,これまで以上に高い価値を持つ標本を提供できるようになることを嬉しく思います。せっせと準備に励んでいます。

少数の販売になってしまうと,皆さまにご迷惑をおかけするだけになる可能性もありますので,少なくとも例年通りの数量は揃えたいと思います。このためまとまった時間が必要なので,Jシリーズ販売は年明けにいたします。2013年1月の早い段階で販売開始したいと考えております。予定が決まりましたら本ページでアナウンス致します。

このページで製作中のJシリーズの画像(一部)を順次掲載しています。これらが販売に回されることになりますので,楽しみに見て頂ければと思います(画像/MWS)。








2012年12月22日


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珪藻は個々の種が完璧な造形美を持っているので,適当に並べただけですばらしい美しさが醸し出されます。つまりデザインに凝らなくてよいという利点があります。これは製作上,ひじょうに助かります。一方,何らかの形を作らなければならないときは,珪藻の形に束縛されてしまうので,使える種が限られてしまい,製作は極端に難しくなります。クリスマスツリーの飾り付けに使う小さな珪藻など,サイズで制限がかかってしまうので種を増やすのが大変です。スターパターンでも大きさの揃った同種の珪藻を揃える必要があるので,これも大きな制限となります(画像/MWS)。








2012年12月21日


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暗視野照明で色のつく珪藻ばかりを集めると実に見事な眺めになります。これを画面でも表現したいのですけど,何かが違います。最近はNikon 1 J1で撮影していますが,多少色再現がよくなった程度で,きらびやかな感じは出ないですね。撮影技術が未熟なこともありますが,デジタル画像の限界の気もします。階調のせいでしょうかね(画像/MWS)。








2012年12月20日


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Jシリーズでは珪藻を並べたプレパラートが主力商品となりますが,珪藻以外の物体も並べることができます。鉱物が作業しやすいですね。きょうの画像はF-TEST RGBに用いられている発光粒子を円形に整理したものです。4倍対物レンズによるV励起蛍光画像ですが,まるで花火のようです(画像/MWS)。








2012年12月19日


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星の女神を探しに出かけたライレラ君は,無事にめぐり合うことができるのか? (画像/MWS)。








2012年12月18日


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ライレラは対物レンズの分解能試験にもよく用いられる珪藻ですが,けっこういろいろな種があるようで,良く似ていても微細構造のピッチは異なっていたりします。きょうの画像に示しますように,たくさんのライレラを並べて暗視野で検鏡すると,分光を主な原因とした発色が個体により異なることがわかります。実際高倍率で比較検鏡すると微細構造が異なっているのがわかります。こういった比較にはたくさんの珪藻被殻が必要ですが,検討には部分的に殻が残っていればよいので,今回も壊れたものをストックしておき,それを並べてみました。壊れているのは残念ですけど,大きなものを揃えているので迫力があります。少しだけ壊れていないものが入っています(画像/MWS)。








2012年12月17日(2)


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北の国から原料が届きました。16リットルの海水を採水して,これを130mlに濃縮して送付,これを半日仕事で片づけてしまうのですから頼もしいものです。実際やればわかりますが,けっこう大変な仕事です。やはりプロの仕事は確実迅速で,かっこええですね。この度の試料送付に感謝感謝と思っております。

ところできょうはもう一つ北の国から届きものがあり,その届きものは珪藻を餌として育ったプランクトンを食べた動物を食べて育つ動物の煮物詰め合わせだったので,さらに高次捕食者の筆者がさっそく食べてしまいました…。おいしいです…。画像はありません…。こちらも感謝感謝でございますー(画像/MWS)。








2012年12月17日


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それでテスト封入してみたのがきょうの画像です。ディプロネイスがそれほど数が多くなく,多数使うとすぐになくなってしまうのが難点です。おまけにこの珪藻,汚れがつきやすいのか,奇麗な無傷のものがまた少ないのです。そういうわけで破片なども寄せ集めておくと,このように封入できて,構造を詳しく調べるにはいいだろうということになります。この珪藻の構造はかなり複雑で内部に部屋がいくつもあるらしく,封入するときに,最初は大丈夫に見えるのに,あとで固まってから見てみると珪藻被殻の内部に気泡が生じているという実に嘆かわしい現象が発生したりします。原因を推定し対策を施すのですが,完璧に制御するのが難しく,いつも悩みながらの作業となります。このような単純な標本でも,けっこうな技術の集大成なのです(画像/MWS)。








2012年12月16日


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復旧作業も進んできて週明けにはマウント再開も可能ではないかという感じです。ご心配をおかけしましてすみません。複数の方から心温まるメールを頂戴しました。本当に有り難いことです。何しろ,Jシリーズ製作に必要な最たるものは心に注ぎ込む燃料ですからね。収集してきた大切な珪藻を無駄にしないように心をこめてマウントしなければなりません。こうした作業は非常に微妙なので,数日休止しただけで慣らし運転が必要になります。作業再開時にはいきなり大物を製作するようなことはせず,一日程度かけてテスト封入や小物を製作するのです。ちなみに,小物というのは数個から数十個程度の珪藻が入っているものという感じで,大物というのは100個を越えるようなヤツです。大物製作のときには,入試前のような,期末試験前のような,独特な気分になります。ゆっくりと数回,深呼吸してからはじめるのです。画像は,本文とは関係ありませんが,Jシリーズの技術で封入したディプロネイスの一種です。うっかりすると見えませんが,かなり微細な構造があります(画像/MWS)。








2012年12月15日


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今月中旬以降に販売予定だったJシリーズですが,8日から作業できない事態が発生し,大きな遅延となっております。誠に申し訳ありませんが,最悪の場合は年明け程度になることをご了承ください。ほんとうにすみません。このような微妙な製品を製作するには,作業環境の構築はもちろん,資材,気力,体力,まとまった時間,あらゆるものが揃っていないとだめで,どれかひとつ欠けているだけでも,手も足も出なくなってしまうのです。でも,自分で満足できるものを作らない限りは,世に出すわけにはいきません。気ばかり焦ってもよいものはできませんので,注意深く復旧作業をすすめたいと思っております(画像/MWS)。








2012年12月14日


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美麗なカザグルマケイソウの一種,Actinoptychus splendensはいつも筆者が探し求めている珪藻のひとつで,このページでもたびたび紹介してきました(例えば2010年9月12日)。これを覚えていてくれたプランクトンのプロフェッショナルから連絡が入り,北海道余市でたくさん発生していて,よければ採取/濃縮して送ってくれるとのこと。送られてきた画像(きょうの画像です)を見れば紛れもなく求めていたもので,万歳三唱の気分です。常に海の状態を監視しているプロだからこそ出会えるタイミングなのだと思います。有り難く頂戴して,Jシリーズの原料にしたいと考えています。ちょうど珪藻在庫の中の本種が少なくなってきていて,相模湾に行こうかどうしようか考えているところだったのです(画像提供/北海道中央水試 H.S.氏)。








2012年12月13日


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暗視野照明は要するに照明光が目に届かないようにすればよいので,いろいろな方法があります。透過光の場合は暗視野コンデンサを使えば便利ですが,自作もできます。対物レンズの中央を遮蔽して,コンデンサを取り去るかギリギリまで絞り込んで使えば,やはり照明光が目に入りませんから,この場合も暗視野照明になります。きょうの画像はそのことを示した図で,朝倉良三氏の『顕微鏡写真術』(昭和11年)を撮影したものです。ほかの本ではみかけない図です。対物レンズの中央を遮蔽するのは面倒ですしメリットもないように思いますが,照明光の通過経路を理解するには,試してみる価値があるかもしれません。筆者も大昔にいろいろ試したものです。もともと輪帯開口をもつ対物レンズであれば最初から遮蔽板が入っているわけですので,簡単に実験できます(画像/MWS)。








2012年12月12日


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明視野で色の出る珪藻はコンデンサを開くと色が薄くなります。理由はよくわからないのですが,特定の入射角の光のときに干渉色が強く出るようです。コンデンサを開くと干渉色の出ない光成分が重なる形になり,青色光のコントラストが低下するように見えます。この現象,珪藻の微細構造を見ようとするときにコンデンサ中央付近の光成分が解像に寄与せず,コンデンサ縁の入射光により形成された像を薄めてしまうということの逆のような感じで,面白いですね(画像/MWS)。








2012年12月11日


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明視野で色の出る珪藻は主に青色なのですが,そう思って封じてみて検鏡すると茶色が出たり青紫色だったり,少し緑っぽくなっていたりします。色の出る細かな理由はわからず,干渉だろうとしかいえません。狙った色は出せないのでランダム的な配置が適しているように思います。一面に敷きつめると素晴らしい鮮やかさで,いつまでも眺めていたい気持ちになります(画像/MWS)。








2012年12月10日


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今季販売予定のJシリーズでは,明視野で色の出る珪藻を扱うことが可能になっています。狙ったとおりの色が出るわけではないのが難しいところですが,適当に配置するとアクセントになって素晴らしい眺めになります。この青色に発色する珪藻は,暗視野では金色に輝きます(画像/MWS)。



*1 個人的な事情で3日間まるまる作業不可能になってしまい,明日以降もどうなるかわからず,早くも遅延が発生しています。場合によっては年明けくらいのJシリーズとなってしまうかもしれませんが,そうならないようにがんばりたいと思います…。 しかしふと思ったのですが,「1月」の方が「J」シリーズには合っているのかも。。




2012年12月9日


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いつみてもJシリーズのツリーは素晴らしい美しさです。マスコットも健在です。作るのはほんとうに大変なのですが,出来上がったものはいつまでも眺めていたくなります(画像/MWS)。








2012年12月8日(2)


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写真集『MICROSCOPE』の出版記念パーティーに呼ばれましたので嬉々として参加してきました。行ってみると,写真家の秋山実先生,浜野顕微鏡の浜野社長は当然として,カールツァイスマイクロスコピー,ライカマイクロシステムズ,光学会社の社長,自然科学分野の写真家,出版社,デザイナー,大学教員,システムエンジニアと驚異的な顔ぶれのパーティーで,極めつけはサックス奏者の坂田明さんもおられました。写真集『MICROSCOPE』に掲載されているような顕微鏡も多数持ち込まれ,フックの顕微鏡の再現品やレーウェンフックの顕微鏡レプリカ,ニコン携帯顕微鏡H型,19世紀の顕微鏡などがずらりと並び盛況でした。色々なものが飛び交い,どこの席の誰と話をしても楽しい夢のような時間でした。筆者は特別チューンのニコンS型と標本多数を持ち込み,参加いただいた方にご覧頂きました。皆さん初対面の方も多かったのに,筆者のことも珪藻のこともご存じで,大喜びでS型に見入って頂きました。話が尽きることはなく,19時から始まった宴もあっというまに終電時刻となり,電車参加組の方々が帰宅される一方で,まだまだ残存組がしぶとく楽しく顕微鏡談義を継続してお開きになったのは24時半頃でした。これだけの人間が集結して顕微鏡の話に明け暮れるのと言うのは希有な出来事と思われますが,これは秋山実先生と浜野社長のお人柄に起因した人脈と,ツァイスの田中さんの包容力によるところが大きく,こうした素晴らしい方々に恵まれて時間を過ごすことができたことに喜びを感じるとともに深い感謝の念を抱きます。皆さまありがとうございます。

画像はツァイスさん向けに特別製作した分解能検査板と,おなじみのツリーです(画像/MWS)。








2012年12月8日


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Jシリーズはどれだけ数をこなしても製作が簡単になるということはなく,目の前には困難があるだけです。製作するには,あらゆる困難に立ち向かう,つよい意志が必要です。毎日製作していても,過去の製作物を画像で確認すると,『これをどうやって作ったんだろう』と,その製作にかかる準備/時間/集中力を想像して恐れおののきます。過去の自分に対して恐れているのです。Jシリーズとはそういう恐ろしい製作物なのです。

しかし何とかして一ミリでも前に進まなければなりません。そこで手持ちの珪藻在庫のうちでも小さなものを用いて,技術を試すようなこともします。画像がその一例で,かなり小さな珪藻を選んで組んでみたものです。取扱も大変ですが,試料調製のも大変です。高度な課題設定ですが乗り越えなければ前に進みません。きょうの画像の珪藻たちは,総合倍率400倍で視野数20のときに,一視野で全景が見えるように作ったものです(画像/MWS)。








2012年12月7日


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カルサイトの柱状結晶は珪藻と同じ程度のサイズなので組みあわせて何かできないかなと思いますがなかなか難しいようです。これは試しにたくさん並べてツリー的に組んだものですが,まるで茅葺きのような雰囲気になってしまっています…。難しいもんだ(画像/MWS)。








2012年12月6日


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きのうのお魚さんはカルサイトですから偏光性があります。ポラライザに円偏光フィルタ,アナライザに直線偏光フィルタを用いれば,お魚さんが虹色に輝きます。なかなか可愛らしいじゃないかと,自画自賛 (画像/MWS)。



*1 偏光色だから虹色じゃない,というツッコミがあるかもしれません。でも,お魚さんの色表現としては,虹色,というのが合っている気がします…




2012年12月5日


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カルサイトの柱状結晶を用いてお魚さんができましたー。これまで,目玉はコントラストを出すために珪藻を二枚重ねにしていたのですが,今回は珪藻ひとつで緑色の素敵なお目々になりました。作るのはひどく難しいですけど,誰が見ても魚にみえますよね? (画像/MWS)。








2012年12月4日


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都内はようやく紅葉のシーズンといった感じでしょうか。イチョウにモミジがそこそこ色づいていて,いい感じですね。今年は日照りが続いて,そのあとに雨が続いたので,昨年よりも紅葉がきれいなのかもしれません。



【お知らせ】 毎回ご好評いただいております珪藻プレパラートJシリーズにつきましては,今月半ば以降に若干枚数を提供できる見込です。現在せっせと準備に励んでおります。近くなりましたらこのページでアナウンスしますので,引き続きご覧頂けますと幸いです(画像/MWS)。








2012年12月3日


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大変素晴らしい植物プランクトン写真集を入手しました。恒星社厚生閣から出た新刊で,西部北太平洋の海洋植物プランクトン写真集です。日本沿岸で見られる植物プランクトンの写真が豊富で,これをパラパラと見ていれば,顕微鏡を覗いたときに,「これはあれかも!」というひらめきにつながるものと思います。英語表記の本ですが,一部の種以外は種名が書いてあるだけの写真集なので,英語に関係なく眺められます。本ページの読者にも推奨する次第です。何しろ信じられないほどの低価格なのです。出版社のページは こちら です。amazonでも取扱があります。こんな本,学生時代に見ておきたかった…(画像/MWS)。



*1 読者の方から出版社名の誤字をご指摘いただき,修正致しました。こうして読者に助けられながら「本日の画像」は運営しております。ありがたく思っております。この出版社の本は山ほど持っているのですが,パソコンに慣れきって文字変換をよく見ないで誤記してしまう…。恥ずかしいことです。




2012年12月2日


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11月30日は東京湾海洋環境シンポジウムでした。筆者も関係者の一人でしたので参加させて頂き,一日お勉強になりました。東京湾をどうやって再生していくべきか,そのために必要な方策は何かを研究者サイドから考える試みはすでに16年以上も続いていますが,一冊の大部な書籍を刊行して委員会は発展的解消となりました。しかし人のつながりは消えません。これからも東京湾を改善していきたい研究者,市民,行政の取り組みは続きます(画像/MWS)。








2012年12月1日


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このくらいコントラストがつけば文句ないですかね。珪藻のコントラストを左右するのは(封入剤の話は別として)被殻の厚みと構造です。光の干渉が起きるような構造があると薄い被殻でもコントラストが出ます。きょうの画像で言えば,クモノスケイソウやミスミケイソウは厚みによるコントラスト,クチビルケイソウは厚みと干渉によるコントラスト,ヒトツメケイソウは干渉によるカラーコントラスト(青色)です。いろいろな珪藻を観察してコントラストの高い種を選べばいいのですが,干渉色の出る珪藻などは封じないとどうなるか予測できず,封じてみて透明になってしまうこともあります。その辺りのカンが難しいところです(画像/MWS)。









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