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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
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気仙沼のパノラマ画像を配信しています。こちら をどうぞ(2012年8月)。



2012年8月31日


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画像はhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20120827/k10014576281000.htmlより引用

練馬区の気象庁観測点が,「周辺にビルが建って風通しが悪くなったので」移転するそうです。そして,移転先は伏せられていますが,記事の内容からすると石神井公園です。そこは,練馬区で最も気温が低くなる可能性がある場所です。来年から,その区内でいちばん低いであろう温度が,「練馬区の気温」になります。皆さんはこのニュースを見てどう思われますか。

気象観測データは歴史的な同一性/整合性が大事で,そのために測定条件も方法も厳密に決められています。したがって,環境条件が悪化したので,過去から伝統的に行われてきたような条件の場所に移動する,というのは,一応は理に適っています。しかし,東京都区部で,空が空いていて,近くに水面や雑木林があって,広い芝生の上に百葉箱を置いて計測できるような場所など絶滅寸前です。点々と残る公園か,国立/私立大学の敷地を使うくらいしか方法がありません。そして当然,多くの都民は集合住宅に住んでいるのであって,区部で一戸建てはかなりの贅沢品です。ましてや,広い芝生の庭付きの家など,数千人に一人くらいしか所有していないでしょう。つまり何がいいたいのかというと,気象観測データというのは,気象庁による,気象庁のための,データのためだけにとられたデータだということです。人間生活の実態を反映するものではないのです。

そんなものに何の意味があるのでしょうか。

学術上の意味があることは考えられますが,現在の気象観測データは,その測定値がリアルタイムに公開され,それが人々の役に立つものとなっています。学術上というよりも,人々の生活に深く入り込んでいるので,学術上要求される値よりも,人々が生活する空間の値が求められていると思います。東京なら,多くの人が通過する駅前とか繁華街などの気温の方が,人々の役に立つことは間違いないでしょう。

それにしても,

練馬区の丸山慎一環境課長は、「練馬と言えば暑いというイメージがついているが、正確な観測でそれが変わることに期待している」と話しています。
この課長さん,暑さで脳みそのタンパク質が変性してしまったのか,それとも,リン脂質が溶解して神経の電気パルスが漏れ出たのか,なかなか理解が難しいことを言っておられますね。環状7号線の路上で一日,交通整理でもしたらどうですかね。一生忘れられない素敵な体験になることと思いますよ(画像/MWS)。



*1 これまでの練馬の測定値は,むしろ都市型気候をよく表していました。筆者は豊島区と文京区の境界くらいのところに住んでいますが,ビルだらけで,風通しも悪く,熱が抜けない都市構造になっています。このため,大手町の気温は全く参考にならず,練馬の気温の方が近いことが大半でした。もっとも,実際には,最低気温は練馬よりも高いことが多く,最高気温は同じ程度だったと思っています。練馬の測点がなくなることで,都市型気候の特徴を見るには,ひぐらし気象台くらいになってしまいました。。ここの私設気象台は,気象庁の気温よりも+2〜3℃高い表示が出ますが,現状を正確に表しているように思えます。都内の路上温度など,もっと高いところもあります。

*2 今月中旬からずっと,都区内は最低気温が26℃とか27℃の予報でしたが,当室の最高最低温度計では南側バルコニー計測(三階)で最低が29.5℃でした。これは排熱と蓄熱の効果を含むのですが,都内の温度状況の実態といえます。室内は,北東面の空調がない部屋の壁につけた最高最低温度計が,最高33℃,最低31℃を示しています。32℃設定の高精度インキュベータ,という感じです。

*3 画像2枚目は現在の練馬の観測点です。練馬区の一般的な街角を思い浮かべれば,この観測点は素晴らしく風通しが良さそうに見える好条件な立地です。この画像を見る限り,現在の観測点でそのまま観測を続けておかしくありません。空撮でこのように百葉箱が見えていて,芝生も茂っているし,何の問題もありません。現在の測定値ですら,練馬区の代表的な温度とはほど遠く,区民はもっと過酷な温度環境の中で暮らしているに違いありません。それを,税金を使って,さらに計測値が低く出る可能性のある場所に移すのですから,そこには何か利権側の意図が感じられる気もします。石神井公園は開発が規制されているので,これからも公園です。そこに観測点を移動しておけば,あとはどれだけ高層マンションを建てても,その影響は見えにくくなります。今回の移動は,10年先の高層マンション乱立を見越したものと邪推したくなります。





2012年8月30日


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全国的に暑い日が続いています。東京都区内では,雨がまったく降らず,カラカラになっています。地球上の地面は自然状態であれば,気象条件とそこに生息する植物のはたらきにより自動調湿,温度コントロールが行われているわけですが,都市部ではこの大切な機能をわざわざ壊し,さらにコンクリートとアスファルトという,効果的な蓄熱体で塗り固めるという念の入れようです。このため,湿度が下がり,露が降りなくなりました。もし露により地面が濡れていれば,朝になって日射しが照りつけても,しばらくは潜熱輸送によって昇温がゆるやかになります。しかし都市部ではそのようなことは起きないので,日の出と同時に気温が直ちに急上昇します。そして建築物や道路がひたすら蓄熱し,この熱が夜間放出され続けるので,最低気温は日の出前の一瞬だけ27,8℃まで下がるだけで,日平均気温が30℃を下回らないような状態が続いています。

政治・業界の利権保護と国民の無関心の相乗効果によって都市化は際限なく進み,気が付いたら毎年何万人もの熱中症患者と千人を超える死者を出す,破滅的ヒートアイランド状況になってしまいました。有名な「ゆでガエル」のお話しをご存じの方も多いかと思いますが,すでに現在が茹だって死んだカエルが発生している状況なのです。

にもかかわらず,「ヒートアイランド」の問題が軽視されているのは,この問題に対して,きちんと結果が出るように正面から立ち向かうことは,業界や政治家にとっては,うまみのない話だからだと筆者は考えています。彼らは,ヒートアイランドのような人を死に追いやるような深刻な現象があると,それを逆手にとって,さらに業界が潤い,殺される人が増加するような政策を立案する連中だからです(画像/MWS)。



*1 たとえば,屋上緑化ボーナス制度を調べてみればよいでしょう(「屋上緑化,容積率,緩和」のキーワードが宜しいかと思います)。高層建築物をたてるとき,屋上のきまった面積を緑化すれば,容積率上限をアップするという制度です。自民党の主張などにより東京都が採り入れ,現在ではほかの自治体でもたくさん採用されています。その高層建築物のもつ蓄熱効果,居住/産業活動に伴う単位面積あたりの発熱量を考えれば,屋上緑化で散水した程度の蒸発量で熱が処理できるはずはありません。それどころか,実際にはボーナスで加算された部分の熱の潜熱輸送もできないでしょう。見た目だけ緑にして,熱地獄を生み出してゆでガエルを作るための「屋上緑化ボーナス制度」なのです。

*2 鳥インフルエンザなど,大騒ぎしたところで単なるカゼです(症状はひどく重いですが)。予防に徹するに越したことはありませんが,あまりにも騒ぎすぎです。製薬会社が儲かるのでしょうか。ヒートアイランドによる熱中症の方がはるかに大騒ぎすべき問題に思えますが,熱中症の対策は水分と塩分の補給と過剰な暑さから逃れるといった常識的なもので,業界の利権的には騒ぐ価値もないのかもしれません。

*3 セシウムがどうだの,地球温暖化がどうだのと騒ぐのも結構ですが,この都市化に伴うヒートアイランド熱地獄が意図的に作られ,毎年人が死に,これにより将来も苦しめられるということにも,目を向けていただきたいと思います。

*4 国民の無関心と書きましたが,これも意図的に操作されている疑いが濃厚です。ヒートアイランドは誰でも理解のできる現象で難しいものではありません。重要な問題ですから,義務教育課程の中でじゅうぶんな時間を割いて,科学的,社会的な面から勉強しても何ら損はないでしょう。しかし日本の国民は,「戦争には負けない」と思い込んだり,「原発は絶対安全」だと思い込むのが得意な人の集団です。問題の所在を教えられなければ,土建業界の利権のためにどれほど破壊的な都市化が行われてきたのか,気付くこともできないかもしれません。このコーナーのお読みになってくれる,意識の高い方々に期待するしかありません。

*5 筆者がむかし不動産学部で環境論を講じていたとき,ヒートアイランドは必ず最終回にしていました。そして,「もし,講義中に私語が一つもなければ,きょうの授業内容を来週の期末試験に出し,そこの部分が十分に書けていたら,たとえ出席していなくても「可」の単位は保証する。もちろん試験はノート持ち込み可。だから板書はもれなく写しておけ,オレの言うことも漏れなくメモしておけ。いいかお前ら,一つでいいから,よーしおれはこれがわかったという分野を持てよ。」と宣言してから講義を行っていました。もちろん,この宣言で矛盾がおきないように,講義初回に,出席点,レポート点,テストの配分などを詳細に説明してあります。

そのようにすると,学生は目の色変えて一生懸命に講義を聞いてノートをとります。講義内容はもちろん聴くに値するものですし,資料は盛りだくさん,ヒートアイランドの何たるかを90分間まくしたてます。授業にずっと出てきた学生にとっては,ヒートアイランドを学ぶことは環境論の総まとめ的な学習になり,エネルギーや水循環や原子力や土壌や森林などの過去の授業内容が有機的に連結して知識が深まるでしょうし,最後の授業だけ出てきた学生にとっては,ヒートアイランド現象のイロハをじゅうぶんに学ぶ機会になったことと思います。しかも,講義最終回は7月2週頃なので,ひじょうに暑く,実感が伴うので,学生は筆者の説明に相づちを打ちながら講義が進むわけです。

そして約束通りにヒートアイランド現象をテストに出題し,多くの学生がそれを選択して,目出度く単位をもらっていきました。このように書くと,大甘の授業で,それはおおよそ大学の講義ではない,というお叱りを受けるかもしれません。そんな単位のやり方は倫理的にどうなの,という意見もあるかもしれません。しかしこの方法は相当深く考えた結果の末に案出したもので,ランクのそれほど高くない大学の授業としては一つの方法かと思います。なぜなら,少なくとも「ヒートアイランド」という,人間の生死にかかわる,重要な環境問題の一つを勉強させることができるからです。一つができないヤツは一つ以上のことはできません。一つもやろうとしないヤツに一つのことを叩き込むことは,教育者としては必要なことだと考えます。

テストには,きちんと授業に出た証として具体的な感想を書かせるのですが,そこには毎年必ず,「こんなにためになる授業なら最初から出ればよかった」とか,「大学ではじめて意味のある授業を聞いた」というような意味のことが書かれていました。筆者もほんとうに残念だったのですけど,講義は最初からつまらないと決め込んで,出てこない人がいるのですよね。かといって出席を義務化すると,それはそれで別の問題が生じるので,むずかしい問題です。

「講義を聞いてから毎日,水をまいています!」と何人もの学生が書いてくれました。うれしいですね。「これは将来大変なことになると思いました」と書いてくれた学生もいます。先を案じるその姿勢を持ち続けてほしいものです。「もう一度先生の話を聞きたくなった」といって,卒業生が仕事を休んでヒートアイランドの講義を聞きにきたこともありました。学生の学力云々が問題になるきょうこの頃ですが,こうした学生が存在していることもまた事実です。大事なのは行動を起こす動機を生み出す核となる原動力です。講義でそれを与えることはほとんど不可能ですが,個々の心の中にある原体験を引き出して結びつけ,動機にまで成長させるお手伝いをすることは,できることもあるかもしれません。

*6 画像は,岩殿山(山梨県大月市)の直下を流れる相模川(通称:桂川)です。話題が暑すぎますから,画像だけでも,涼しげなものを。まーこのときの気温は35℃を越えていて,外出したことを心から後悔していたのですが…





2012年8月29日


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Nikon1 J1の自動露出は,逆光条件が標準の顕微鏡写真に対しても正しい判定をしているようです。きょうの画像は明視野で干渉色が出る不思議な珪藻を並べたものですが,自動露出でこの珪藻の干渉色が見た目に近い雰囲気で再現されています。二枚目は部分的に切り出したものです。干渉色が見えているときは微細構造が見えないというルールがあるようなので,この画像ではNA=0.25の低倍率レンズで,あえて構造を表現せずに色を表現しています。暗視野にするとこの珪藻は,黄金色に輝きます。微細構造を持つ多くの珪藻は,青系統の干渉色が多いので,これはけっこう珍しく,見飽きない感じです。この暗視野の場合も,自動露出で適正露出になっています。不満の多い機材が,こうしてだんだんと気に入っていくのです(^^; (画像/MWS)。








2012年8月28日


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画像一枚目は10年前のデジタルカメラ(coolpix 4500)で撮影したケイ藻標本です。画像二枚目はNikon1 J1による珪藻画像です。この10年間,さまざまな技術革新があり,新しい規格が生まれ,星の数ほどのデジタルカメラが世に出されたわけですが,筆者は模様眺めをしていました。その理由は,視野の広さ(≒画素数)以外の問題で,E4500(E9xx系列)よりも大きなアドバンテージが見いだせないからでした。きょうの画像を見ても,10年前のデジタルカメラと昨年のデジタルカメラで,天と地ほどの差は生じていないことが確認できると感じています。

では画素数以外に全く進歩がないのかというとそうでもなく,際だっているのは色再現です。デジタルカメラでは青紫から紫色の色再現がひじょうに不安定で,現在でも正しく再現するのは難しいと思います。むかしの機種ではさらにひどく,偏光顕微鏡などで鋭敏色板を入れると,第一次赤色の色がまともに再現されません。スペクトル色や偏光色を撮影すると,おかしなことになるのです。

しかし最近の機種ではある程度の改善があったようで,紫系統の再現もできるようになってきました。きょうの画像でも確認できるように,新旧2つのカメラで,色再現はかなり違います。特に,メガネケイソウの一種で,旧機種では紫と青の二色で写っているものが,新機種では青に写っています。後者の方が本物に近い色を表しています(画像/MWS)。



*1 ホワイトバランスが微妙に異なっていることについてはお許しを…




2012年8月27日


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この画像は8月25日付けのものと同じ標本ですが,投影方法とレンズが異なります。Nikon1 J1にマウントアダプターFT1を装着し,その先にAi Nikkor 50mm F1.8をつけて,接眼レンズ(10倍)に対してコリメート法の配置で撮影したものです。投影レンズで撮影できるので,光学的にノイズが生じやすいコリメート法で撮影するメリットはないと思うかもしれませんが,コリメート法ではズームを使うと撮影倍率を自由に変えられるというメリットがあります。また,純正レンズでコリメート法の配置にすれば,カメラ側の機能制限がなくなるという利点もあります。ですから一般には簡易撮影法と思われているコリメート法でも,きちんと絵が出ることを確かめておけば,このカメラならではの絵をとれるかもしれません。新しい機材を手にしたときは,まず,この機材で何ができるのかを調べることが大事ですが,何ができるのかを思いつくということは結構むずかしい感じがしています。あらあら,こんなことにも今まで気付かなかったの,ということがよくあります(画像/MWS)。



*1 ところで,きょうの画像,8月25日付けのものと比較すると,倍率色収差の傾向が逆転しています。不思議ですね。




2012年8月26日


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いままではNikon1で撮影したものを等倍切り出しか縮小したものを掲載していましたが,きょうは画像処理したものを掲載します。デジタルイメージングの良いところは画像処理が簡単なことですし,顕微鏡の観察像は細かい部分ほどコントラストが低いという特性がありますから,画像処理でこれを補うのはよい表現法で,これを活用しない手はありません。画像処理は自然の記録に人工的に手を加える悪いことだ,という間違った概念をお持ちの方にたくさん出会ってきましたが,そもそもフィルムであれCMOSであれ,画像(写真)ができた時点でそれは画像処理されたものなのです。フィルタの使い方を知らずに間違った照明を与えて全体が黄ばんだ写真を頑なにそのまま提示したり,CMOS上に載っているゴミを標本と一緒に写し取っているのに,CMOS上のゴミを背景減算などで除去する行為を小細工と決めつけるような考え方は,個人の主義主張としては大いにやっていただいてかまいませんが,それほど筋が通っているものでもない,と筆者は考えています。

ということで,きょうはジュウジケイソウを偏斜照明で撮影し,背景減算で照明ムラや投影されたゴミを減算して除去し,次にヒストグラムを引き伸ばし,さらに縮小して,アンシャープマスクをかけた画像を作ってみました。いままでの機材で掲載してきた画像も,そのような処理を経たものが多いです。Nikon1では画素数が増えましたので,画像処理に伴う画像のざらつき(劣化)が多少は抑えられ,これまでよりも広い視野を滑らかに表現することが可能になりました。画素数が増えてもそれに比例して画質がよくなるわけではないのですが,さすがに,334万画素から1015万画素くらいの差があれば,同じ画質を保ちつつ1.5倍〜2倍くらいの視野を確保できるようです。やや大きな画像はこちらに置いておきます(画像/MWS)。



*1 画像処理は画像全体に対して均一な処理をすることが科学写真では重要と思います。スポット修正するようなことは,それを行うことが許される十分な科学的根拠が認められない限り,行わないほうが良いでしょう。




2012年8月25日


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きょうはNikon1で,低倍率対物レンズ(2倍,NA=0.1)と投影レンズ(2.5倍)の組合せによる作例です。暗視野照明で自動露出です。どういうわけか,露出補正を行わなくても,それなりのレベルで適正露光になっています。不思議な気もしますが,おそらく飽和する部分と背景を解析して,夜景モードと判断してプログラムが動いているのかもしれませんね。細かいことを言わなければ,このままで実用可能です。高開口数の暗視野照明を施し,低倍率の対物レンズで観察すると,この画像のような色とりどりの輝きがみられるのですが,その雰囲気はある程度再現できているようにも感じられます。もちろん,生の光と比較すればほど遠いのですが(画像/MWS)。








2012年8月24日


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きょうもNikon1によるテスト画像です。一枚目は珪藻化石を並べたもの。二枚目は放散虫を並べたものです。低倍率の投影レンズで比較的広い写野を記録したものです。本来はラージフォーマットの機材で記録すべきものですが,1インチCマウント相当(13.2mm x 8.8mm,対角線15.86mm)のCMOSでも記録は可能です。顕微鏡対物レンズが伝送する情報量は非常に多いので,プランアポクロマート系列を使えば,これでも無効拡大にはならない印象です。光学的な条件はきちんと考えてからカメラを選択したので,きょうの画像のように,カメラをセットしてシャッターを押しただけでも,それなりにまともな絵になります。細かい点をみていくと不満もあるのですが,もともと民生品を妥協して使っているわけなのであまり贅沢はいえません。大きな画像はこちらを参考にしてください。対物4倍(NA=0.2),投影レンズ2倍で,カメラお任せのまま手を加えていない画像です(画像/MWS)。








2012年8月23日


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きのうの画像の,どこの微細構造の写り具合で性能をみているのかということを表したのが,きょうの画像です。ヒストグラムを調整して,微細構造を強調してあります。大きな縞々模様(条線)など,どんなに安価なレンズでも見えます。ただ大きく見えただけで喜んでいたのでは,高性能な精密機材も泣いてしまいます。画像に示した,条線の間に見える二列の点紋を見て,白色光照明で,NA=0.95の対物で,輪帯照明でこれがこの程度写っているのなら,撮影システムとしては合格点を与えられる,といった判断をしているのです。この例をみても,珪藻プレパラートが顕微鏡の性能判定に欠かせないことが明らかです。しかしもっと大切なことは,その手持ちのプレパラートを,繰り返し何度も,詳しく検鏡し続けて,珪藻の見え方を頭に叩き込むことです(画像/MWS)。








2012年8月22日


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Nikon1をとりあえず撮影できるようにしてみました。ファームウエアが1.0でしたのでそのままではマウントアダプターFT1が使えません。ファームアップを行い,バージョンを1.20にして,FT1を装着し,投影用のFマウントチューブを装着し,投影レンズ(CF PL系)を仕込みます。まずはカメラブレと分解能とコントラストの再現を確認したいので,Jシリーズ(DL-TESTも同じです)をセットして,対物NA=0.95,乾燥系暗視野コンデンサで輪帯照明にします。そうやって撮影したのがきょうの画像で,JPG記録したものを等倍で切り出したものです。微細構造から振動の有無を判定できますが,さすがは電子シャッター+リモコンの組合せで,振動は皆無です。自動露出での細部の再現も特に問題なく,単純な記録用としてはこのままでも使える印象です(画像/MWS)。








2012年8月21日


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津波が運ぶ中身には地域差があります。海の珪藻をたくさん運び込むところもあれば,河口域の干潟の珪藻を運ぶ場所もあるでしょう。きょうの画像は津波の泥に入っていた珪藻化石と思われる被殻です。宮城県沿岸は珪藻化石と火山噴出物が厚く堆積しているところがあるので,津波でこれらが巻き上げられれば,現生の珪藻以外の珪藻(化石)も運び込まれるというわけです。この点は十分注意して顕微鏡を覗く必要があります。津波の泥にはほかに,花粉なども多く含まれます。画像一枚目の左下に少し見えています(画像/MWS)。








2012年8月20日


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これは津波が運んだ泥の中に入っていた珪藻です(泥は宮城県内で採取しています)。津波は泥を巻き込んで真っ黒な水となり陸地を襲いますが,このときに,陸に多数の海産生物を残していきます。陸に残された泥を調べると,海の珪藻が見つかり,津波が襲ったことの証明になります。東日本大震災はまだ人々の記憶に新しいわけですので,このようなことは当たり前に思われるかもしれません。しかし数百年前に,その場所を襲った津波があるのかないのかを決定するには,地面を掘り起こし,過去の堆積層に含まれる珪藻を調べてみることがとても有力な手掛かりになるのです。顕微鏡の視野に現れた小さな破片から,あの恐ろしい津波を想像することができるのです(画像/MWS)。








2012年8月19日


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カメラも届いています。(株)サイトウカメラというお店に頼んだのですが,注文受付メール(自動)が15:19,お店からの発送通知が15:32,宅急便の受付時刻が15:41という驚異的なスピードで処理され,翌日には手元に届きました。割安感もあり,なかなかのサービスと思いましたので特筆しておきます。このカメラ,ぜんぜん気乗りしないのですが,ほとんど使う気も起こらないのですが,そんなことを言っているとますます時代に遅れてしまうので,半ば最近のカメラをテスト的に使ってみる気分で取り寄せたものです。顕微鏡に使うカメラに要求されるスペックはいろいろあります。それらを全て満たすカメラは存在せず,どこかを妥協しなければならないのが現状です。筆者はこれまでニコン・クールピクスのE99x系と,Cマウントカメラを中心に使用してきましたので,それらの機材からスムースに移行できることも大事です。検討事項を書き出してみると…

・光学的に正しく接続できること
・手持ちの顕微鏡機材をすべて活かせること
・フォーカルプレーンシャッターは好ましくない(振動対策)
・できれば電子シャッターのみ
・ライブビューは必須
・電子ズームも欲しい(ピント確認用)
・2000万画素クラス以上が好ましい
・できれば24x36mmフォーマット
・バリアングルモニタが望ましい
・外部モニタ接続可能
・モノクロ機能付き
・マニュアル露光
・ニコンFマウントで使用可能なこと
・Cマウントでも使えること
・52mmフィルタネジ接続でも使用可能なこと
・コリメート法でも接続可能なこと
・可能な限り機能制限なし
・セルフタイマー
・レリーズまたはリモコン
・ゴテゴテしたソフトウエアは好ましくない
・ACアダプタで使用可能
・手ブレ補正が内蔵されているものは不可
・ダスト除去機能もないほうが望ましい
・イメージセンサ保護ガラスはあった方がよい
・顕微鏡に接続した状態で測光できること
・顕微鏡に接続した状態で自動露出できること
・外部モニタ利用可能
・継続して販売されるであろうこと
・ユーザーが比較的多く使用例を参考にできること
・手持ちのAi Nikkorやトキナーレンズで遊べること


など,多岐に渡ります(ほかにもいろいろあります)。多数所持している機材に対して,これまでのカメラと同様に使用でき,作業効率を低下させることなく,目に見えて画質を向上させるのは至難の業に近いものがあります。メーカーが供給している顕微鏡専用デジタルカメラもありますが,それらは機能的には民生品と比較して見劣りするものすらあり,そして価格は現実的ではありません。なかなか落としどころが難しいですね。結局は,いろんなことをあきらめて,ニコンFマウントとCマウントが使えて,電子シャッターのみで可動部がなく,CMOSが保護されていてリモコンシャッタが切れるカメラということで,きょうの画像のカメラになりました。特にニコンが好きというわけではないのですが,またニコンを買ってしまいました。。うまく嵌められたのか…。購入したものは

・Nikon1本体
・10-30mmズームレンズ
・ACアダプタEH-5b
・パワーコネクタEP-5C
・バッテリーEN-EL20
・マウントアダプターFT1
・リモコンML-L3
・KIPONアダプターリングC-N1
・KIPONアダプターリングNIK-N1
・ステップアップリング40.5mm→52mm

お金に羽がはえて飛んでいきました…が,これで一応,顕微鏡写真用カメラシステムといえるものになりました。リモコンシャッターが可能で,電子シャッターのみですから,原理的に振動を排除できますし,顕微鏡とはFマウント(投影レンズ使用),Cマウント(Cマウントアダプタ,リレーあり/なし),コリメート法の3つの方法で接続が可能になります。Cマウントではマニュアル撮影のみで,Fマウントでは一応,測光ができます。コリメート法では画質低下を伴いますが,ズーミングができ,機能制限がなく,このカメラの持つ特殊機能をフルで使えます。動画も可能です。AC電源により,オートパワーオフの煩わしさから解放されます。

さて,入手したのはいいものの,使い勝手はどんなもんでしょう。理論上はこれまで以上に写ることになりますが,現在まで使ってきたクールピクスシステムは,画像処理技法も含めて顕微鏡写真システムとしては完成の域に達しているので,目で見てぱっとわかるほどの違いは生じないかもしれません(画素数が増えるのは好ましいですが)。つまり,視野を狭くとってもかまわない(画素数が少なくても許容できる)のであれば,10年前のカメラでも,対物レンズの性能を使い切った,理論分解能を表現できる作画が可能なので,新しいデジタルカメラを導入する主なメリットは,その分解能を維持したまま撮影範囲を広くできる,ということに尽きてしまいます。そして新しいカメラでは,数々の機能制限がかかってしまいます。例えば,1秒以上の露出ができないとするならば,そんなの糞カメラ蛍光撮影には向きません。そういうわけですので,「ほとんど使う気がしない」と冒頭に書いたわけなのです。

ただ,連写や動画機能は格段に向上していますから,生きているプランクトンの動きを記録するには,とても良いのです。ながく使う間には,「このカメラでなければ記録は難しかった」というようなことにも遭遇するでしょう。そんな出会いを楽しみにすることにしませう(画像/MWS)。



*1 Fマウントにこだわり続けたニコンが新たなマウント規格とCMOSサイズを提唱したわけなので,まぁ,10年くらいは製品が供給されることを期待しています。この規格を2,3年でポイしたら,袋叩きにあうことはニコンもわかっているでしょう。Nikon 1はサブカメラとしてプロにも人気が出そうなので,一つの規格として定着して欲しいものです。

*2 どこのメーカーのカメラでも,相性を見抜いてきちんと接続すれば,顕微鏡カメラとして使えると思います。特にニコンが優れているということはないように思います。当サービスのユーザーの方々は凄腕の顕微鏡写真家ばかりなのですが,ニコンの一眼レフ,キヤノンのカメラを使っている方,ソニーのカメラを使っている方,オリンパスのカメラを使っている方,筆者のようにコンパクトカメラを使っている方など,いろいろです。ただ共通点が一つあります。皆さん,珪藻プレパラートを練習用標本にして,自前でいろいろな工夫をして,振動や露出や鏡筒長の問題をクリヤしているのです。

*3 光学的にきちんと接続することはとても大切です。これを守らないと,特に高倍率(高NA)領域で像質が著しく劣化します。ミクロワールドサービスが提供しているような,標本が収差の原因になっていないことがはっきりしている,高品質な珪藻プレパラートを使うと,この問題ははっきりと判別できます。巷でよく利用されているような染色標本では,光学系の評価はかなり難しいものになります。市販のデジカメアダプターでも,いい加減な設計のものがあって,その製品を使うと対物レンズの性能を全く発揮できないということになります。同様のことは手作りの一眼レフアダプターでも起こります。投影距離を理解しないで作られた一眼デジカメアダプターを使うと,低倍率では問題なく撮影できますが,NAが0.5を越えるくらいから像質が劣化し,油浸ではひどく劣化した像にしかなりません。このようなアダプタは,かなりの数出回っているように見受けられますが,目で見たピントとカメラ側のピントがずれているのが特徴です。もし珪藻プレパラートで像質チェックをしたならば,観察側でよくみえているのに撮影側で像質が劣化しているのが,珪藻の周期構造のコントラストで判別できるので,撮影システムの問題であることが直ちに判別できます。間違った撮影システムでは,鏡筒長を補正する機構を組み込まない限り,どれほど努力しても良好な像は得られません。誤った像(結果)を吐き出し続けることになります。利用している撮影システムが顕微鏡メーカーの品物でないならば,そのシステムで正しい像がカメラ側に伝送されていることを,正しい標本で確認しておくことが大事です。

*4 コリメート法では,一度正しい位置に接眼レンズを置いて,それをカメラレンズでのぞき込んで撮影するわけですので,鏡筒長の問題はクリアされています。多数のレンズ群が追加されるので像質は多少劣化しますが,間違った設計のアダプタを使うよりも問題が少ないことが多いでしょう。ただ,接眼レンズを使わず,リレーレンズを内蔵したタイプのアダプタを使ってコリメート法にする場合は,やはり鏡筒長が守られず,像質が劣化します。そのような製品を利用している方も多数みています。残念なことです。





2012年8月18日


ps

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このようなせんべいがすでに売られていること自体,驚異なのですが,もともとあったお店が一つでも業務再開できるのはいいことですね。素朴で真面目な味のせんべいを囓りながら裏の説明を読めば,支援とひと言でいっても,いちばん強力なのは同業者からの技術支援なんだよなあと,しみじみ思います。いくら特別に予算が認められても,それだけでは支援にならないんですよね(画像/MWS)。








2012年8月17日


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お休みモードの時期を利用して顕微鏡用のカメラを注文したのはいいけれど,AC電源を忘れてしまい,買いにでかけました。ACアダプタと,カメラとACアダプタをつなぐコネクタと,充電池一個で一万八千円也…。目が回りそうなお値段です。なんと悪辣な商売かと思いきや,ACアダプタを見ると9Vで4500mA…。確かにこれでは,秋月電子の電源では代用できないなぁと,ある程度は納得したのでした。それにしても,ACアダプターが一万円するとは,ちょっとした驚きでした(画像/MWS)。








2012年8月16日


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近年の日本列島はほとんど熱地獄と化していて,暑くなれば熱中症と水難事故が増え,多数の犠牲者が出ています。前政権が都市部をコンクリートで塗り固めたために,蓄熱が起こり,水の蒸散が効かず,熱地獄はどんどんひどくなる一方です。そのため,夏場の昼間に外出するのはもはや危険なことになってしまいました。

盆の時期ですから,それらしいことをしようとしても生命に危険が及ぶほどの暑さですから,安易に動くわけにはいきません。ここ数年は,あまりに暑い時期は,日没前後に動くようにしています。目的地に日暮れくらいに着き,用事を済ませ,夜に帰宅するような時間帯で動けば,熱中症で健康を害する危険性は少なくなります。人気(ひとけ)も少ないですし,渋滞も緩和してきて,悪くない印象です。皆さまもぜひ,暑いときにはムリをせずに,ご自愛下さいませ(画像/MWS)。








2012年8月15日


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5年以上もまったく問題なく点灯した電球型蛍光灯が明滅するようになったかと思うと,数十分もせずに点灯しなくなってしまいました。直管型の蛍光灯などでも明滅を繰り返して点灯しなくなってしまうのはふつうのことで,そろそろ寿命がきたのかと,軽い気持ちでいました。するとまもなく樹脂が焦げる臭気が部屋に充満し始めたので,直ちに電源を落としました。蛍光灯はひじょうに発熱しており,根本の耐熱・難燃性樹脂が溶けて焦げ付いています。そのまま放置すればさらに事態は悪化したことが想像されます。照明器具の傘はアルミニウム,天井は不燃ボードなので安全上の配慮はしてありますが,宜しくない状況かと思われます。インバータタイプの蛍光灯は,放電ができなくなるとフィラメントが高熱になるようで,このような事故に結びつくわけです。対策としては,点灯しなくなったら直ちに電源を落とし,交換することでしょう。皆さまも注意して下さい(画像/MWS)。








2012年8月14日


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12日の晩から13日の明け方にかけてはペルセウス座流星群の極大でした。筆者は小学生の頃からこの流星群を見続けていて,流星群観望会を開催したり,天候が悪いときは振替大宴会を開催したりと毎年欠かせない夏の行事になっています。天気予報はずーっと,12-13日は曇/雨の予報で固定していて動くこともありません。例年は,12-13日はずーっと晴れの表示で,いざその日が来ると,雨,大雷雨,霧,集中豪雨などになるという経験をしてきたわけですので,まぁ今年も雨が降るのだろうと思いつつ,空と気象レーダーを眺めていました。

昼過ぎまでは晴れる徴候もなさそうで,天気予報も曇りのまま。今年はやっぱりムリかと思い,運動不足解消に夕方の徒歩散歩にでかけます。どうも空がおかしい。所々に青空が覗いていて,天高い感じがするのです。しかし日没とともに気温が下がり,それで若干の雲が出てきて最終的にベタ曇り,というのが日頃の経験でもあるので,まぁムリかと,早めの夕飯をモリモリと食べて,それでも気になる外の様子を見ると,この夏で一度もないような晴れ方で,南にアンタレスが輝いています。時刻は19時半を回っていました。

直ちに流星群観望会の面々に『総員配置指令』を出し,各自観望を推奨しました。同時に筆者も観望出撃体制に入り,携帯用望遠鏡,三脚などいつもの簡易装備を持って出発です。山に登る時間はなさそうでしたので,海に向かうこととしました。こういうときにはサンプリングでの経験が役立ちます。相模湾西部方面に決定しました。幸いなことに日曜の晩でしたから列車は比較的空いていて,移動もスムーズで,日付が変わる少し前に目的地に到着しました。

多少の湿気がありましたが,何とか,最良で最微4等星程度の条件で観望することができました。一枚目の画像はカシオペア座〜ペルセウス座方向です。画面下の方にはプレヤデス星団も写っています。まずまずの星空です。望遠鏡で見る二重星団や天の川も美しく,劣悪な都心とは比較にならない潮風に当たりながらビールをちびちび飲めば,頭の中が澄み渡るようです。流星はけっこう調子よく飛び,30個くらいは見ることができたでしょうか。非常に明るいマイナス等級のものもあって,度肝を抜かれる気分もまた,格別なのでした。

ちょうど満潮の時間で潮が上がってきていたので,カニさんや巻き貝などを観察して回れば,東京方面の光害が大きく見えていて,木星があがってきています。でも,東京方面は薄雲とスモッグに覆われている感じもあって,空気が澄んでいるときよりも光害は弱い感じもしました。ほどなくして三日月があがってきて,海面に白い光の帯を作ります。当たり前な光の現象ですが,荘厳な感じもあって,なぜか目が離せないような気分になります。

このあと金星が出てきて,薄明も始まれば流星観望も終わりが近づきます。結局あさまで曇りませんでした。読みは正解です。眺めのよい海岸で朝焼けを拝み,軽い朝食を済ませて早朝の列車で戻りました。なかなか満足度の高い,流星群観望となりました。皆さんは,流れ星,ご覧になりましたか(撮影/MWS)



*1 『総員配置指令』は,『総員配置に付け! 撤収!』の号令とともに行われてきました。長い観望歴では様々なハプニングなどに遭遇し,我らが観望会の面々は,それをかいくぐり抜けてきた精鋭たちなのです。あるとき,晴れるまでクルマを走らせて流星を求め,ついに西沢渓谷近くまで到達して天頂にベガが一瞬だけ見え,やっぱりだめだとシートを敷いて大宴会を開始したところ,大粒の水滴がぽつ,ぽつと落ちてきました。この時点で『総員配置に付け』が命令され,恐らくは2分もかからずに大宴会が撤収され,各自安全なところに居場所を確保しました。そして『ぽつ ぽつ』から2分もかからずに,つまり撤収完了から数秒という感じで,土砂降りの雨と雷がはじまり,これが明け方まで続いたのでした。判断が30秒遅れて,片づけが30秒遅れれば,全員がぬれねずみになって大変なことになったでしょう。精鋭たちの動きは特殊部隊級なのです(^^;

*2 そういうわけなので,『総員配置指令』が観望を目的で出されたのは今回が初めてとなります(当社比)。

*3 海岸は湿気が多いので,より良い空を求めるなら山の方がいいでしょう。が,展望がよくてアクセスしやすくて,一晩中ゆっくりできる山頂って,それほどないんですよね。

*4 睡眠障害はこういうときに大変役立ちます。徹夜で流星を眺めても何ともありません。若干眠気を感じた時間帯が少しあったくらいで,あとはふつうの感じです。帰りの列車でも,眠くないわけでもないのですが,二時間の車中で一睡もできませんので,乗り越すこともないし周囲の乗客に迷惑かけることもなさそうです。帰宅して軽く食事を摂り横になれば,二時間で目が覚めます。あとはうとうとしているだけなので起きて適当に活動。頭の芯がぼやけているのはいつものことですし(笑),寝られない,というのは天体観望にはけっこう便利なのです。ちなみに,ペルセウス座流星群観望会の過去30年の歴史の中で,寝袋に入って少しでも寝られた覚えは1回もありません。皆のイビキを聞きながら,山頂をうろうろしているのが毎年のことでした。。








2012年8月13日


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この復旧班の人物は,12日に一号機が爆発したあとに,このように発言しているわけです。素人勉強を続けてきた筆者ですら,運転中の原発が緊急停止しても,初期の崩壊熱は7%近くはあり,その冷却ができなければ確実に爆発することは知っていました。当然,この復旧班の人物もその程度の知識はあったものと想像します。そのような知識がありながら,全電源喪失で淡水による冷却が即時に続行できると思っていたなら,よほど現場感覚がないというか,常人をはるかに超越したレベルの阿呆としかいいようがありません。

冷却がうまくいかずに格納容器の破損が大規模に起きてしまえば,気象条件にもよりますが被害の範囲は一桁アップすることでしょう。そのような厳しい状況で,隣の一号機はすでに爆発して放射能をまき散らしている現状で,それ以上の被害拡大を第一優先とせず,機器の腐食を起こさないために海水による冷却を躊躇する…。筆者には,どのように考えても論理的には思えません。崩壊熱の除去は一刻を争う性質のものですから,海水だろうが淡水だろうが,冷却を躊躇する,その判断自体が事故を破局へと向かわせる誤ったものだからです。

皆さん,よく覚えておいてください。人は企業に洗脳されてしまうと,ここまで狂うことができるのだということを。このような頭の完全におかしくなった人物が,「復旧班」なる部署に存在していることの恐ろしさを。この人物の言っていることは,「復旧」どころか,「破滅」に向かわせる内容です。たとえ廃炉になろうとも,海水でも何でも使えるものを使い,放射能をまき散らさずに事故を制圧できたとするならば,その損失は「現実」とは比較にならぬほど軽いものになったでしょう。その程度の,子どもでもわかる性質のことが理解できなくなる,それは企業勤めで利潤追求しかしてこなかったからでしょう(画像/MWS)。








2012年8月12日


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カエルというのはじつに魅力ある被写体で,フィルム時代から何度か撮影してきたものの一つです。都区内に引っ越してからは,カエルなどなかなか見ることができず,近所から聞こえる雨蛙の鳴き声で雨を察知する程度のことしかできず,つまんないですね。最近は,近所の民家のお庭にカエルさんがけっこういることが判明したのですが,「カエル見せて下さい…」などというわけにもいかず,わざわざ見に行くほどのものでもないので(自然に身のまわりにいることが大事),つまらない思いをしています。

そんなわけですから,旅先などでカエルが出てくると大喜びで記念撮影となるわけです。このカエル君は,カメラを数センチまで近づけても,ポーズの姿勢を崩さない優等生で,7年もむかしの旧式のデジタルカメラでも,かわいい姿を残すことができました。カエルについても想い出は尽きないのですが,その一つは,むかし研究所にいたころ,そこの室長が育てていたハイビスカスの鉢植えにアマガエルがついていて,それを冬になったので室内に持ち込んでヒーターの上に置いておいたところ,干からびてしまい,アマガエルの干物ができたことでした。

そのアマガエル君は,気象条件からいつの日か雨が降ることを知っていたわけですが,室内では雨が降らず,幹にしがみついたままの姿勢で乾燥したのでした。その忍耐に感心するとともに,人工条件ということの異常さを認識したことでした(画像/MWS)。








2012年8月11日


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いろいろな撮影分野でも特に難しいのが料理撮影かと思います。誰でも数万回は目にしている数々の料理を,魅力的に,正確な色再現で撮影するのはむずかしく,この分野で抜きんでた能力を発揮している方々には脱帽します。『海の幸』の写真の素晴らしさは昨年6月30日に本欄でも紹介しましたが,デジタル時代になってからは,青砥茂樹氏(講談社写真部)の作画が明快です。料理写真では,ハイライトと影の部分のバランスと,ホワイトの修正具合で見た目がいくらでも変化します。どこをとっても正解ですが,どこをとったら美味しく見えるか,それが難しいのです。

たまたま手元にRa=97の演色性の高い照明機材がありますので,それで長万部の毛ガニを撮影してみました。安価なコンパクトデジタルカメラといえども照明条件は大切で,演色性の高い照明ではトマトの赤色も,毛ガニのアスタキサンチン系統の赤色も,ほどよく再現されています。夏の噴火湾の毛ガニは,緻密で甘味があり,軽い酢飯に大量にのせて,キュウリを添えて,蟹味噌を和えながら食べるのが最上です。日本酒との相性は言うまでもなく,気仙沼の銘酒,男山の冷やでいっぱいやりながらつまめば,夏の体の火照りも遠い日のノスタルジーとともに冷めていきます。部位ごとに味が異なり,その繊細かつ余韻のある味わいは,万人を喜ばせるだけでなく,食通も唸らせるような恐ろしい食材ですが,演色性の高い照明により,その身質も読み取れるような色再現です。目利きの方であれば,これが鮮度の高い冷凍品であることを見抜くでしょう(*1)。

大型の毛ガニを剥くには,毎年同じことをしている筆者でも,かなり時間がかかります。3つで2時間くらいかかってしまいますね。でも夕飯の準備としては,そんなものではないでしょうかね。剥いたあとのカニ殻には,若干の身が付着していますし,エキスもありますし,ミソも残っているわけなので,これを細かく刻んで,煮出します。その出汁を濾して,豆腐の味噌汁にするのです。これを,珪藻土で磨きをかけて漆を光らせた輪島塗の椀に注いで頂戴するわけです。この味噌汁は,ひょっとするとこの世でいちばんうまい飲み物ではないかと思わせるような味わいなのですが,高演色の照明により,その味噌汁と輪島塗の椀がうまく再現されているように思います。

やっぱし高演色の照明というのは素晴らしいものだったわけです(^^)  (撮影/MWS)



*1 現代ではコールドチェーンが発達し,超速宅急便なるものも出現していますので,国内のほとんどのところで,現地とそれほど変わらない味で名産物を味わうことができます。有り難いことです。噴火湾の海底を歩いていた毛ガニさんが,都内の食卓にあがるのですから,どれほど感謝しても感謝し切れません。浜茹で冷蔵便という驚異的なものもあるのですが,これですと,現地で食するのと遜色ありません。冷凍便でも,水気の差を感じる程度で,味や風味はまったく問題なく,世の中にはこのような食べ物もあったのかという味わいを感じられます(毎年喰っていますがー)。椀ものには吸い口が必要なわけですが,三つ葉を切らしていました。いい毛ガニだったので許してくださいー。

*2 青砥氏の作画は,野崎洋光氏の『分とく山 和食の素』(講談社)で見ることができます。野崎氏のほかの本では違う写真家が担当していますので,作画の違いが比較できます。

*3 タグはカニさんにつけてあったものです。デザインがよく,アクセントになるので,洗っておき,盛りつけに利用しました。ただのカニ山盛りよりも,締まった絵になるように思います。写真が下手な筆者が思いつくゴマカシ手法の一つです。プロなら杉や南天の葉を使うのでしょうけど。

*4 きょうはキュウリも味噌も北海道産でまとめてみました。ほんとうに現代というのは贅沢ができる時代だと思います。感謝の気持ちを持ちつつ,このようなことが当たり前ではないと思いつつ,つつしんで,それでいて思いっきり北の食材を楽しみました。食欲さえ維持できれば,夏バテなんて怖くありません。

*5 夏の噴火湾の毛ガニは,ひと味もふた味も違う気がします。とにかく素晴らしいのです。この食材は地元の浜っ子出身の方に教えてもらったものです。子どもの頃はおやつに食べるようなものだったらしいですが,そういった経験をされている方に教えてもらった食材というのは間違いがありません。都内でいくら机の上で勉強したってわからないことです。有り難いことです。








2012年8月10日


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60倍と表示のある詐欺マイクロスコープを改造しました。何しろ,購入するときも詐欺であることはわかっていて,しかし改造用に最適な感じもしていたので,二つも買ったのです。分解は簡単なのですが,けっこう力が必要で,その点がちょっとハードルが高い感じでしょうか。金属の筒にレンズが仕込まれていますが,てっきりプラスチックレンズが二枚出てくるものと思えば,三枚出てきました。レンズの間隔も均等ではなく,視野レンズと目レンズに分けたような感じの構成です。但し,レンズの種類は1つに見えます。これで十分な収差補正はむずかしく,とりあえず大きくする,といったことしかできないでしょう。

ちなみに,薄凸レンズを何枚か重ねて高倍率にするという手法は,光学的にはそれほどおかしいことでもありません。むかしは,国産の安価なオモチャの顕微鏡にこの手が使われていて,対物レンズを分解すると青板ガラスを研磨したような,薄くて小さなガラスレンズが複数枚出てきたものでした。現代では,それがプラスチックになっているわけですね。

さて分解が済めばこんどは組み込みです。シュタインハイルルーペの20倍レンズ(トリプレット)を取りだし,詐欺マイクロスコープの筒に仕込みます。レンズが小さくて径があわないので,適当なゴム管をカットして挿入し,そこにはめ込みました。あとは摺動部分の硬さを調節して,元通りに組めばおしまい。じつに簡単な改造でした。

シュタインハイルルーペの20倍レンズは解剖顕微鏡用のもので,ルーペとしてはきわめて優秀です。これに白LEDの落射照明が加わり,目薬くらいのサイズに収まっているのですから,これはもう手放せませんね。じつにいいものができました(画像/MWS)。








2012年8月9日


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暑い盛りに元気なのはハチです。きょうの画像は大月市内で見かけたハチの巣ですが,なんとガードレールの凹みに作っています。どう考えても雨があたりますし,良い場所に思えないのですが,ハチさんにとってはここが良かったのでしょうか。路上温度は40℃近くで,人間にとっては劣悪なところです。巣の感じから見るとキボシアシナガバチのようですね。

ハチに関してはいろいろな想い出があります(笑)。小学校の夏休みの自由研究で,誰も作らないだろうと,ハチの標本づくりに挑戦しました(挑戦しただけです)。網を振り回してクマバチ,スズメバチ,アシナガバチ,セイヨウミツバチなどをつかまえましたが,ハンドリングを誤り,クマバチ,アシナガバチ,ミツバチに刺されました。クマバチに刺されると,痛いですよぉー。ミツバチは,花に潜り込んでいるときに両方のハネをつまんでしまえば,簡単につかまえられますし,上手に持てば針が指先まで届きませんので刺されません。必死になって針を出すので,この針をつまんで指で引っこ抜いてしまうこともできます。

さういう悪い遊びをしていたところ,抜いた針と毒腺が蠕動運動して,ハチの針だけに刺されてしまったことがあります。ミツバチの針には返しがありますので簡単には抜けない。そりゃーぁ痛いのなんの。しかしそれ以上に,針だけでも刺す能力があることに驚きでした。

ところで本ページをご覧の読者はご存じのことと思いますが,ハチに刺されたときには,アサガオの葉っぱが特効薬です。葉っぱ数枚をちぎって刺された部分に擦り込みます。すぐに痛みが和らぎます。寝られない小学生だった頃,家庭の医学という本をほとんど読んでしまい,特に面白かったのが民間薬のページでした。そこにアサガオの葉がハチ刺されに良いと書いてあり,ハチには度々刺されていたので確かめたところ,これはすごい!と感動したのでした。抜群に効きます。

もちろんアナフィラキシーの症状(徴候)が感じられたなら,一刻も早く救急車を呼ぶべきです。そこのところは,お間違えのないように(画像/MWS)。








2012年8月8日


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今回,在来線で東北にむかって北上したのは,沿線の放射能汚染の状況を調べるためでした。新幹線では空間分解能が低くて平均的な値しか見えず,また高架の上なので低めのバイアスがかかり,実態を反映するには不適と考えたからです。2012年8月1日測定のガンマ線量を画像で示しますので参考にしてください。測定は堀場PA-1000で,JR在来線の車内で測定しています。したがってこれでも低目の値となっていて,実際はこれよりも高いところが多いことに留意して下さい。放射能汚染が依然,厳しい状況であることがわかります。高線量の場所はいずれも美しい風景のところで,こういったところが放射能で汚染され続けるのは本当に悲しいことと言わざるを得ません。

駅間で鋭く線量が上がるところがあって,PA-1000が60秒の平均値を表示していることから考えると,沿線でも1μSv/hを越えている場所がまだらにあると考えるのが自然です。日常浴びることは推奨できない値で,こうした中で日々,通勤通学している方々を思うと,何ともやるせない気になります。少しでも放射能が溜まりやすい場所では,数μSv/h〜十数μSv/hの値になってもおかしくありません。原発事故以前のように,何も気にせず生活することはむずかしいでしょう。

テレビではオリンピックが賑わっているようですが,福島の現実はまだまだ厳しいのです。原発事故は終わったわけではないのは明らかなのに,責任者の追求もなされないまま,メディアの関心に国民が振り回されているようではいけません。この測定値を読者の皆さんで共有していただきたいと思います(画像/MWS)。








2012年8月7日


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東京にすぐ戻るには時間があったので,一ノ関の近場を見てから帰ることにしました。毛越寺を見るつもりだったのですが,予定を変更し,厳美渓を眺めました。なぜ厳美渓になったのかというと,ゲンビケイという響きがケンビキョウという感じに似ていたからです(笑)。岩石の浸食度合いは景勝地に値する感じもしましたが,ここも農業排水(+生活排水)が多量に入り込んでいる水質で,水の汚い渓谷というのは興ざめです。しかも,折からの熱波でひじょうに高温で,湿気も凄く,歩いていてもむんむんむれむれという感じです。さっさと切り上げて一ノ関祭りの飾り付けを見て,地物の農産物を買い込んで,新幹線とRadiのいつもの組合せで帰京となったのでした(画像/MWS)。








2012年8月6日


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 さて旅先で目が覚めれば,次の目的地が待っています。大船渡線,快速スーパードラゴンに乗って一路気仙沼に向かいます。ここは水産上も重要な拠点でありますし,幼少の頃に来たことがあって,丘の上から眺めた,キラキラ光る気仙沼湾の印象が焼き付いているのです。とても気になる場所で,この目で確かめることにしました。まずは進行方向左側,北側の景色を順光で楽しむこととします。


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キハ100系は非常に快調に走りますね。釜石線でも感動しましたが,大船渡線でも同じですね。画像は川を渡っているところですが,農業廃水が多量に入り込んだような感じの水が流れていました。美しい田園風景なので,水が汚いのは残念なことです。


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途中駅の雰囲気はのどかで,ムダがなく,旅情を盛り上げます。


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列車はひたすら川沿いの田園地帯を走り抜けるのですが,その風景がすばらしい。代表的な一枚がこの画像です。


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気仙沼に近づくとまた川沿いを走るのですが,やはり農業排水がたくさん入っている水の印象です。


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一時間二十分程度で気仙沼駅に到着。一ノ関も気仙沼も暑いのですが,列車の中は冷房がきいていて涼しく,緑の中を駆け抜ける気分は想像以上に爽快なものがありました。オススメです。


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おう,来たさ。おら仙台生まれだから遠くないっちゃ。東京さ住んでても遠くないっちゃ。おら何にもでぎねえけど,きたっちゃ。気仙沼さ気になって,きたっちゃ。


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お弁当とお茶を購入して,まずは市役所方向に向かいます。画像は気仙沼駅です。屋根にカジキマグロが書いてあります。


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市役所に到着。ここまで津波が来たようです。ここから裏に入ります。安波山(標高239m)を目指すのです。


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ほどなくして,安波山(あんばさん)登山口の案内がありました。ふつう,このように案内があると,この画像の階段のどちらかを登るわけですが,ここでは違います。この階段は上らずに,アスファルトの道を直進して下さい。


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するとまもなく安波山山頂への目印が見えてきます。ちょうど市役所の裏側です。

ここで,安波山の登山道について書いておきます。ネットで調べても,徒歩での安波山の登山口がどこなのか,まったく情報が拾えません。しつこく検索するといくつかヒットするのですが,確実な情報として書いてあるものがほとんどなく,観光客にはかなり不便なことと思います。安波山は,徒歩で登るには,気仙沼市役所の裏が登山口として便利です。ここからまっすぐに安波山山頂に向かって道が切ってあります。迷うところはありません。



*1 ではなぜ筆者が登山口を見つけられたのかというと,たまたま偶然です。むかしワンゲル部にいたので,何となく山歩きには慣れていて,登山道はどんなところにつけられるか,体験的に理解していたので,安波山の地形図を読んで,これはどう考えても市役所裏側から直登の道をつけてるだろうなぁと。グーグルマップは細い道などはけっこういい加減で,これを信じると痛い目にあうこともあります。地図を過信しないで,いくつかの候補を頭にいれておき,一つ一つつぶすくらいの用心さがあった方がよいかもしれません。


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指示にしたがって登るとすぐに線路を渡ります。大船渡線の不通区間の線路です。信号は昨年の3月11日に赤になったままです。再び青になる日が来ることを願わずにはいられません。


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民家の横を抜けると,よく手入れがされた杉林を登ります。気温が33,4℃くらいあります。あまりの暑さに体調が急低下してきます。


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途中,赤土山の分岐を合流し,階段で整備された道を上ると,舗装路に出ます。ぜんぜん登っていないのに,息も絶え絶えです。市役所までのアスファルトの道が異常に暑く,体に熱がこもったのが敗因です。


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この舗装路には駐車場もあって,クルマで来る方は,ここに駐車して登ることになります。ドラゴンがお出迎えしてくれます。このドラゴン君は,ホタテガイとアワビがメインの素材なのですよ。


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ふりかえると,このような風景が見えます。


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とても眺めのよい場所なのですが,見えているものが恐ろしく,何とも複雑な気分です。


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少し登ると6合目に到着。展望台があります。頂上はもうすぐなのですが,体調があまりにも悪く,このままだと脱力感が進行して,食欲もなくなってしまうので,まずは昼食にすることにしました。山での事故は,「まだ大丈夫」といって行動する人が起こすのです。筆者は,「まだ大丈夫」という気分なら,大事をとって休憩します。

ところで,気仙沼にきたのですから,食べるべきは,このお弁当ですよね。。350円というあまりの安さに,申し訳ない気がします。観光客には,倍の値段でもいいです。駅員さんも買っていたので,きっとおいしいお弁当なのでしょう。


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気仙沼がかつてのにぎわいを取り戻す日が来ることを願って,つつしんでお弁当をいただくことにします。


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こちらにもお祈りして,いただきます…。おいしいです。。


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気仙沼の眺めを,何度も目に焼き付けます。衣服を脱いで風に当たっていたところ,30分ほどで体温が下がりはじめ,活力が回復してきました。


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放射能のヤツは,こんなところまで来ています。一度三陸沖に流れたプリュームが,ほんの少し吹き戻したときにこの山を汚染したのでしょう。気にするほどのレベルとはいえせんが,知っておくべきレベルともいえます。


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元気回復で歩き始め,山頂に到着です。眺めは山頂手前の電波塔に一歩譲りますが,開放的で気分のよいところです。山の上から海を眺めるのは,なかなかいいもんです。見えているのは,気仙沼湾です。



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山頂すこし手前の電波塔からみた気仙沼湾一帯のパノラマ画像を作成しました。本画像に限り出典を明示して画像に一切の手を加えないのであれば,画像の再配布,ブログへの掲載など自由です。こちらをごらんください。

被災前の様子は,全く同じ構図でとらえた素晴らしい画像が こちら のブログに掲載されていますのであわせてご覧下さい。


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さて,時間がなくなってきたので下山して,街の様子を見ることにします。画像はさっきまで上にいた安波山です。道路越しに撮影していたら,通りがかったタクシーの運転手さんが邪魔にならないようにと減速してくれました。そんなやさしい心遣いが困ります。もう筆者の胸はだいぶ前から一杯になっているんです…。


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これは多くのブログにも紹介されたのでご存じの方も多いでしょう。現地で見ると,とても異様で,何だかただならぬ感じなのです。どうみても基礎が壊れたという感じではなく,建物の2階か3階です。あとで「気仙沼 男山」で画像検索して,何が起きたのかを理解しました。本ページの読者も調べてみてください。


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船着き場も水没しています。現場の状況を見るに,これを修復する段階ではないことは確かです。


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それでもお魚いちばは営業中です。総力を結集してがんばったのでしょう。何をさておいても,ここだけは覗いていかなければなりません。


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店内には,店内の被災状況が展示されていました。それは,何か言葉で説明できるものではなく,「見て下さい」としかいいようのないものです。私たちもしっかりと見て,後世に伝えなければいけません。


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でも,店内はすっかりきれいになって,冷凍機もあり,鮮魚も冷凍品も,乾物も,調理品もたくさん並んでいました。嬉しくなって,いろいろと買い込みました。さすがは気仙沼と思わせるものも,ぽつぽつ並んでいて,少しではありますが,地元の漁業者が活動していることがわかります。


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さて,列車の時間があるので帰らなければなりません。現地では多くの建築物が解体撤去されてしまい,津波の被害を物語るものがだんだんと減ってきています。そんななか,残された痕跡を見ながら歩きます。画像は津波が破ったガラスです。釜石でも似たようなものをたくさん見ましたが,水圧で中心からガラスが割れるようです。


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この建物は津波の到達点がペンキで塗られているように見えました。


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これは水たまりにも見えますが,海と通じています。この一帯はどぶ川のような臭気に包まれていて,最初は下水管の関係かと思いましたが,海まで歩いてみて違うとわかりました。地盤が沈下していて,海水があがってくるのです。海水中には硫酸イオンがたくさん含まれているので,無酸素状態になるとすぐに硫化水素が発生してどぶ川の臭気が発生するのです。


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ここも海とつながっています。大潮の日でしたが,満潮までにはまだ二時間ありました。ここから+30cmくらいの水位になることもあるはずですし,雨が降ればもっとひどいことになるでしょう。


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そして水が引けばこういうものが残されるわけです。

このあと復興商店街で,道ばたにパンを並べているおじさんからうまそうなブドウパンとフルーツパンを買いました。そうしたら二個買ったのに二個おまけ…。ダメですそんなことしちゃ。涙腺が決壊しそうです。しばらく上を向いて歩くしかありません。


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列車に乗り込む前には,スーパーマーケットに立ち寄ります。地元の方々が利用している食材を買い込むのが旅の楽しさです…


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そして気仙沼に別れを告げ,一ノ関に向かいます。キハ100系は快調に緑の中を走ります。この画像は何を撮影したのかというと,この田んぼが除草剤を利用しているということを示すためです。


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こんどは南側の景色を楽しみながらの帰路です。それにしても素晴らしい風景だー。


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そして河川はやっぱり,農業排水が入ったような,独特の汚濁状況でした。これだけは残念なことです。


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このバスは「夏山」に行くらしい。。シンプルでいい響きです。


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景色が素晴らしいと時間を感じさせません。すぐに一ノ関です。


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スーパーマーケットではなんと,「マンボウ」がふつうに置いてありました。自分で購入して食べたことはないので,嬉々としてお持ち帰りです。それにタコが良い感じだったので,これもお持ち帰り。ほかに,気仙沼のアナゴの煮付けが晩飯用に最適な感じでしたので,これもお持ち帰り。こんなにたくさん食べられませんが,余りはしょうゆ漬けにしておけばいいのです。現地の銘酒をちびちびやりながら,マンボウの不思議な食感を味わい,タコを噛みしめていると,やっぱり東北の旅はよいなぁとしみじみしたりします。パンは噛むたびにおじさんの誠実さを感じる真面目な味です。。不眠病など,小さなことのように思えてきて,治療効果も出そうです。皆さんも東北沿岸はいかがですか。行って,見て,食べて,歩いてみれば,何かをもらえるかもしれません(撮影/MWS)。









2012年8月5日


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少しは寝られるようになるかと列車に乗り込みました。不眠が続いていたので体調は宜しくない感じで,朝から乗り込んですでにぐったりです。が,下り列車なので空いていて,適当に水分補給しながら車窓の風景を眺めていればだんだん日常から遠ざかっていきます…。が,さすがに不調なときに長旅は厳しいようで,北に向かって宇都宮を過ぎる頃には頭痛がひどく,必死に耐えながら乗っているような状態でした。服薬して少しは楽になったかと思えば,郡山かくらいからまた急降下して福島,仙台と厳しい時間を過ごしました。ところが松島を過ぎる頃から何となく体が慣れてきて,小牛田を過ぎる頃には頭痛もとれてきました。終点の一ノ関では,まぁこれなら夕飯もおいしく食べられるかな,という感じで,ほっとしたことでした。ここまで読んでお分かりのように,東北本線を北上したのですよ。乗り越し精算で一ノ関まで(笑)。

目的地についても,すぐに宿には入らないのがいつもの行動パターンです。はじめて降りる町では,まず駅前をぐるっと一周し,次に商店街方向に歩いて町の空気を吸い込みます。すると,素敵な蒸気機関車が出迎えてくれたので,記念に撮影。物産館も見つけて,東北の街のオバチャンたちが持ち込んだ農産物が安価に売られています。そこでかわいらしいスイカを買い込み,宿に向かいます。筆者にとっての観光というのは,景勝地に行ってご馳走を食べるというよくある旅行記のようなものでなく,その街にいって,どんなところか歩いてみて,そこのスーパーマーケットで地元の食材を見てあるき,気に入ったものがあったらそれらを買い込んで夕飯にする,といった感じです。ようするに,旅先でふつうに暮らしてみる,というのが観光です。そのようにすれば,飲食店で養殖魚を食わされるようなこともないし,タバコの煙で食事ができなくなることもありません。自分の食べたいものをゆっくりと味わえるわけで,記憶に残りやすいのです。

そいういうわけで宿で地元産のスイカを食べて体を冷やし,今度は遠くのスーパーマーケットまで散歩&買い物です。岩手県まできても内陸部は暑く,日暮れ時なのに30℃はあります。ただ,川を下る風が吹き込むと少しだけ涼しく,また高層建築物が少ないので,建物の蓄熱に焼かれる感じは少ないですね。大船渡線の車庫を眺めつつ,水田の脇を歩いてスーパーまで。あまり珍しいものはありませんでしたが,北東北を思わせるものもあって,適当に買い込んで戻ります。きょう一日の車窓の風景を思い起こしつつ,やはり写真で見るのと生でみるのは違うわねと東北沿線の風景の美しさを再認識して,地元の方々と同じものを食べて横になれば,都内よりも体が楽な感じがします。不眠病の治療としては効果がありそうです(画像/MWS)。








2012年8月4日


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仮説実験授業夏の全国大会・宮城松島では,多くの方にお立ち寄りいただきましてありがとうございました。珪藻というたいへんマイナーな,しかし生態学的にはとても大切な生き物を扱っているわけですが,毎年覗きに来てくれる方もいて嬉しいです。今年の一番人気は『ずかんプランクトン』。持ち込みの20冊はすべて完売。見本の一冊まで売れてしまいました。「イラストがいい」という意見がけっこうあったようです。写真と解説ばかりの図鑑よりも,イラストで大事な点を強調しているのがいいんですよね。ほかにも,レンズや標本をお求め頂き感謝の限りです。写真は会場付近の松島湾です。来年の千葉勝浦でも,面白いものを製作・紹介できるようがんばりたいと思います。皆さま今年もありがとうございました。来年もよろしくお立ち寄り下さい(画像/MWS)。








2012年8月3日


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このコーナーはミクロワールドサービスの大事な仕事の一部です。なので日々欠かさず更新し,絶えず何らかの情報を掲載することにしています。筆者にとってはそれほどの手間ではないのですが,それでも一日の少しの時間を消費することも事実です。で,夏の暑さも厳しいことですし,睡眠時間(不眠病の治療時間)を確保するためにも,ちょっと時間を先取りして更新してみます。。あとから遡って更新してもぜんぜんかまわないのですが,それだと宿題を抱えた気分になるかもしれないので,ゆっくり寝るために先回りするわけです(^^)。

で,この画像は,あるところにしばらく貸し出しした標本を撮影したものです。暗視野での撮影ですが,ゴーストというか,バックに白いボケ像が写っています。これは,スライドグラスの裏側についた傷です。Jシリーズはスライドグラスの両面を研磨していて,このようなノイズが一切でないものを選別して使っています。しかし使用条件が悪ければ,あっさりと傷がつくので注意が必要です。特に顕微鏡のステージはホコリが積もっていることが多く,ここに標本を置いて,それを滑らせて標本押さえにセットするとかなりの確率で傷がつきます。畑などが多い地域では砂ぼこりが舞っているので特に危険です。

大事な標本をセットするときは,まず丁寧にステージを掃除するのです。そして次に標本押さえを手前一杯までもってきて,片手で標本押さえを開き,もう片方の手でスライドをセットします。このとき,スライドの観察部分の裏面は,決してステージには触れないようにするのです。こうすれば傷がつくことを防げます。Jシリーズは世界で一枚の貴重な標本です。丁寧に取扱いただき,末永く鑑賞してもらえればと願っています(画像/MWS)。








2012年8月2日


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オルファのクラフトナイフLを研ぎ直しました。このコーナーにもたびたび登場しているこのナイフは,デザインがよく,握り部分のステンレスのバリさえ丁寧にとれば,なかなか重宝する製品です。普段は机の引き出しに入っていて,ちょっとした紙工作や梱包などに使います。ステンレス刃なのでサビを気にせず使えます。切刃があるわけなので当然,研ぎ直しができますが,手研ぎでぴしっと決めて研ぐのは,かなり難しい部類です。表は刃幅2.5mm,裏は刃幅3mmです。表は鈍角なので押さえがきくのですが,裏は鋭角で,寝かせて手をぴたっと止めることが難しく,丸刃になりやすいです。研ぎ直しの練習にこのナイフがよいとの書き込みも世間のブログには散見されますが,ご冗談でしょうファインマンさん,という感じです。ところで多くの方が知っているとは思いますが,OLFAは日本のメーカです。折る刃によって切れ味を保つカッターナイフを発明した会社です。こちらの漫画がなかなかおもしろいです(画像/MWS)。








2012年8月1日


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ここのところの都心部は,ヒートアイランド特有の,夜気温が低下しない現象になっています。この7月終わりの一週間ほど,バルコニーの日陰に置いた最高最低温度計は,最低31℃,最高38.5℃を指し示していました。これは人間活動から出る排熱の効果も含んでいるので仕方がない面もありますが,それにしても,最低気温が高すぎます。この間,天気予報では都心の最低気温として24-26℃が示されていましたから,実感とはまったくかけ離れます。

こうした実感とはほど遠い予想というのは,何の役に立つのか昔から疑問なのです。芝生の上に百葉箱を置いて芝生はつねに枯らさないように管理され,風通しのよいところで測定された気温ですら,予報値よりも高くなっているわけですから,人々が生活する空間ではさらに高い気温になっているわけです。ですから天気予報は,意味が薄い気象学的な温度ばかり予報しないで,路上温度や,アスファルト到達温度,放置車内温度などを予報すれば,少しは人の役に立つのにな,と思います。

そういってぶつくさいいながら,バルコニーの掃除をしました。筆者は東京砂漠を緩和するためにたくさんの植木鉢を置いていて,夏場は一日に10リットルもの蒸発量になります。これにより5500キロカロリーの熱を潜熱輸送して,ヒートアイランドの抑制をしているわけです。その植木鉢群から多少の枯葉や土が発生しますので,定期的にそうじとなるわけです。それで集めたゴミの放射線量がきょうの画像です。何度か掃除をして,そのたびに放射線の値は減り,当初の1/3くらいになりました。が,完全になくなるわけでなく,しつこいですね。都内ですと,このくらいの値は珍しくもありません。あの事故から時間が経過して,放射能の分布に大きな濃淡ができてきた感じです。濃いところはそのまま変わらず,薄いところは洗い流されて値が低くなっているところもあるようです(画像/MWS)。








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