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MWSが顕微鏡下の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


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原子力災害関係の記事だけを見たい人は こちら をどうぞ(2011年9月再開)。

ユーザー様には海洋の放射能汚染に関するテキストを こちらで配布中です。
パスワード等を紛失した方は再請求してください。


2012年6月30日


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ニコンS型のステージについている標本押さえにプラスチック製のカバーを作って取り付けました。昔からの謎なのですが,古今東西の高級顕微鏡において,プレパラートやスライドグラスはガラス製がふつうで,標本押さえは金属製,それもステンレスや鋼鉄+クロムメッキなどがふつうです。この組合せは最悪で,スライドグラスの角が欠けてしまうのです。いいや,オレはていねいに扱っているから欠けたことがない,という方は,ぜひスライドグラスの角を顕微鏡で覗いてみましょう。微小に欠けていることがあるのです。当サービスでは,顕微鏡ももちろん大切なのですが,標本がもっとも大切にすべきものです。二度と作ることのできない貴重なものも多いですし,特注品で一枚しか製作できないようなものは,それはそれは気を遣います。標本押さえにストッパーをつけたり,クレンメルにストローでカバーをつけたりする工夫はこれまでも本欄で掲載してきました。今回はニコンS型ですが,書類挟みのプラスチックをカットしてカバーを作りました。これを両面テープで接着してあります。動作も問題なく,スライドグラスの角が欠けることもなくなりました。小さな工夫ですが,効果は大きいのです(画像/MWS)。








2012年6月29日


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よくみている自然科学系のブログにネジバナの写真が出ていましたが,ウチのネジバナもちょうど見頃をむかえています。いつも写真を撮ろうと思うのですが,そしてたまには撮るのですが,背景が雑然としていて鑑賞どころではありません。ことしは,ちょっとそのあたりのことを考えて撮影することにしました。小学生の頃に,「日野の植物」という本に,ネジバナはランの仲間でタネから開花するまでに5年以上かかる,と書いてあったのを読んで,そんなに長い時間誰が追跡したんだと,気の長い話に驚いた記憶があります。でも,中年オヤジになってみてわかることは,5年など,あっというまですね。接写で見るネジバナは,小さくてもランの花そのものですね。水やりだけで毎年ランの花が拝めると考えれば,ちょっとだけトクした気分です(画像/MWS)。








2012年6月28日


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ニコンS型の時代の顕微鏡には,偏斜照明装置が標準で付属しているものもたくさんありました。偏斜照明装置とは,コンデンサを中央に向かって絞り込む代わりに,周辺に向かって絞り込む機構のことです。コンデンサ絞りを絞り込むと物体のコントラストが上がることは誰でも知っていますが,これは,コンデンサの中央に向かって絞ったからコントラストが向上した,と,ひと言で片づけるような現象ではありません。コンデンサを周囲に向かって絞り込んでもコントラストは向上するのです。この偏斜照明装置は,低倍率では物体に陰影をつけて立体感のある作画をするために利用価値がありますし,高倍率では,分解能を低下させない照明法として大切なものです。現在では偏斜照明装置は,ひっくり返るほど高価な価格設定になっていて,何も知らない人はそれを買うわけですが,顕微鏡光学を知っている人なら,紙一枚で偏斜照明を実現したり,あるいは旧式のニコンS型で満足したりしています。画像はS型で撮影した放散虫で,偏斜照明を施しています。ガラス細工の質感が美しいですね(画像/MWS)。








2012年6月27日


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現在市販の白LEDは青色発光体と黄色蛍光体の蛍光で白色としていますから,スペクトル成分としては青色を多く含んでいます。肉眼の視感度からみても青色の感度は悪いので,多くする必要があるわけです。このことが顕微鏡のイメージングには有利にはたらきます。適当なフィルタで緑〜赤色光をカットしてやると青色光成分が残るわけですが,白LEDにはもともと青色成分が豊富なので,暗くならないのです。タングステンランプでこのようなことをすると,極端に暗くなります。タングステンランプは熱で発光していて黒体輻射的な光成分で,青よりは赤,赤よりも赤外を多く出しているからです。

青色光は可視光の中でも波長が短い方ですから,撮像に使えば分解能が向上します。また光の波長が揃っていることで,コントラストもよくなります。きょうの画像はニコンS型顕微鏡に白色LED(NSPWR70AS)を使い,ショートパスフィルタで青色光だけを通して撮像したものです。画像一枚目は35年以上前の短頸のPlan40(0.65),二枚目は同じ年代のApo40(0.80)でいずれも乾燥系です。DDM-STDに入っている優美なヒシガタケイソウ,Frustulia amphipleuroidesの条線と点紋列が分解されている様子がわかります(画像/MWS)。








2012年6月26日


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改造記事ばかりではいけませんので,結果も掲載しましょう。ニコンS型にNSPWR70AS(白色LED)を光源として使用したときのデジタル画像です。鏡基も対物レンズも接眼レンズも35年以上経過した古いものです。しかし1970年代にもなりますと,顕微鏡は理論分解能を満たすように設計製作されているものがほとんどで,レンズはコーティングされ,像のキレも悪くありません。標本は,当サービスのプレパラート群の中でもクリアだとの評価の高いDDM-STDです。

30mAで点灯したLEDでも明るさは十分で,暗視野照明も可能です。NA=0.4の20倍対物レンズと乾燥系暗視野コンデンサを用いた条件で,カメラ感度ISO100設定で1/15のシャッターが切れます。白色に発光していますからホワイトバランスを気にする必要もなく,じつに快適に観察できます。明視野ではややまぶしいくらいに照明できますので,偏斜照明でもじゅうぶんな明るさを確保できます。発光面積もそこそこあるので,照明ムラもそれほどはなく,高倍率であれば気になりません。視野内に次々と現れる珪藻の姿が美しく,ついつい電源を入れて顕微鏡をのぞいてしまいます(画像/MWS)。








2012年6月25日


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結局のところ,ニコンS型(SFR-Ke)顕微鏡のLED載せ替えは,DC-DCコンバータの定電流電源を廃止して,乾電池電源とする案を採用することにしました。この方が持ち運びに便利で,コンセントを必要とせず,LED側で電流制御できるので自由度が増すからです。電流制御はCRDで行うこととして,フィラメントの面積と同等の発光面積を持つような(持たせられるような)LEDを選んで使うこととしました。できあがりが上の画像です。一つはNSPWR70ASでこれは発光部が一つで輝度が高いタイプです(定格40mA)。CRDを2個並列で30mA定電流としています。もう一つはNSDW570GS-K1で,これは発光部が2つで輝度が低いのですが,全光束は大きいので,拡散板をかぶせることにより面光源としています。これの定格は70mAなのですが,CRDを4本並列で60mA定電流としています。いずれのLEDも6V30Wタングステンランプを割って作った台座に固定していますので,ニコンS型の電球ソケットがそのまま使えます。

電球の口金は単独でも市販品がありますが,筆者は電球を割って使っています。というのは,フィラメントの位置がLEDの発光部の位置になるので,工作するときの目安がつけやすいからです。もちろん,はんだ付けするまえにガラスを砕いて取り除き,ガラスの破断面にはすべてヤスリ掛けをして,さらにホットボンドで埋めておきます。こうすれば手を傷つけることがありません。運用の結果は良好で十分な明るさで広視野を照明できます。特に拡散板を用いた方のLEDでは,発光部のフォーカスを一切変えることなく,4倍から油浸まで,きわめて均一な照明を実現できています。これはタングステンランプ時代にはできなかったことです。フィールドレンズのL,M,Hを切り替えると,厳密にはフォーカス調整が必要になったのです(画像/MWS)。








2012年6月24日


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23日は顕微鏡に詳しい大学教員の方と,レンズ一般に関して卓越した取扱経験を持つ方の二名をお迎えして顕微鏡の午後となりました。ニコンCF対物レンズ群をチェックいただいたあと,S型顕微鏡の設計と見え,携帯顕微鏡H型の実際と続き,大量の機材と顕微鏡を並べての時間が過ぎました。検討すべき課題は多く,ここに書き出すだけでも相当な時間を必要とするほどですが,要するにいい年した大人が高級な顕微鏡をひっくりかえして遊んでいる顕微鏡の技量を追求するmicroscopistが技術紹介をする時間だったわけです。筆者もいろいろと実演してご覧頂きましたが,実技を見せてもいただきました。なかなか魅力的なシステムを組み上げていて,丸ごとポンともらえるなら使いたくなるような気がしました。ガラスの切り方を指南頂いたのはとても貴重な経験となりました。梅雨空ではありますが涼風も吹く初夏の午後は,底抜けの楽しさで過ぎゆくのでした。画像は実体顕微鏡の偏光透過照明用の,面発光型のLEDを拡大したものです。これを使って標本をご覧頂きました(画像/MWS)。








2012年6月23日


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現在市販でもっとも高効率な明るいLEDは日亜化学のNSDW570GS-K1ということで定評がありますが,まだ使ったことがなかったので,顕微鏡照明用に購入してきました。さっそく点灯して光強度を簡易測定すると,確かにこれまでのLEDよりもはるかに強い光が出ています。さっそくLED電球を製作して組み込み顕微鏡観察してみると明るくない。アレレ。光源をのぞき込むと青白い励起光発光体が二つ見えます。なるほど,このLEDは単に一個のパッケージに2個の白LEDを組み込んだものだったのでした。ルーペで拡大してみれば,配線が二組あります。顕微鏡で明るい照明を行いたいときは輝度が高いことが必要です。全光束が大きくても輝度が低ければ明るい照明はできません。このLEDは発生する光の総量は多いけれども,単位立体角あたりからの放射束はそれほど強くなかったのでした。LEDを並べていろいろ調べてみると,最新のものでなくても,ひじょうに輝度の高いものがあります。要注意なのです。ちなみに,この日亜のNSDW570GS-K1ですが,全光束の値は比較的大きいので,この特性を活かすならば,拡散板組み込みですね(画像/MWS)。








2012年6月22日


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ニコンS型顕微鏡のLEDを更新しました。これまでは6V30W電球を壊して作った台座に日亜化学のNSPW510DSに拡散板をつけたものを使用していました。今回はFlux系のLEDにしてみました。NSPWR70ASというやや古いタイプなのですが,在庫豊富なLEDをひっくり返してみて,いちばん適当な形状でした。発光部の面積がそれなりにあって,S型のコレクターレンズでも問題なく高NAの照明ができることが条件です。それから,駆動回路を新規に作るのは面倒なので,常用の20mA定電流回路で使えることも条件です。一度はんだ付けを行い,鏡基に装着して心出しを行い,フォーカスを調節してみます。フォーカスが出なかったのではんだ付けをやりなおして再度調整。こんどはうまくいきました。発光部の位置決めは1mm単位の精度で行う必要があります。

電球をLEDに交換するのは簡単ですが,きちんと性能を出すには照明系を理解している必要があります。相性の悪いLEDに交換すると,とんでもなくひどい像になることもあります。照明系を理解している,と,ひと言でいうのはたやすいのですが,結局それは照明の変化に伴う像質の変化を熟知しているということです。つまり,珪藻プレパラートなど,照明の変化に敏感な標本をいつも覗いて,パーフェクトな状態の像を知っていることが前提になります。ですから,手持ちの顕微鏡をLED化するにあたって,最初にやるべきことは何かというと,珪藻などの微細構造を持つ標本で練習を積んで顕微鏡照明法の勉強をすること,が答えになります(画像/MWS)。








2012年6月21日


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パワーLED用の回路に市販の電源とコネクタを接続しようと久しぶりにはんだ付けしました。ちょっとした工作時間のはずだったのですが,電源との相性問題が生じ,コネクタ形状も微妙に異なっていて,結局はおもちゃ箱をひっくり返して部品や電源を探し出して対処することになりました…。筆者の顕微鏡はどこのメーカも製作していない頃からLED化していて,その意味では時代を先取りしていたのですが,気がついてみれば,LEDの素子がどんどん進化してきていて,むかしの部品のままだと時代遅れになってしまうのでした。最初にLEDを組み込んだ頃は,5WのLEDが8000円もしたのですが,いまではもっと安く買えますし,いろいろな製品から選べます。出力もいろいろになってきたので,ドライブ回路も強力なものが必要な場面も出てきています。時代遅れにならないように,たまには電子工作をしなければと思う今日この頃です(画像/MWS)。








2012年6月20日


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微分干渉法の光学切片効果を確認できる標本との依頼に応じて製作したものがきょうの画像です。珪藻が細胞分裂初期につくる薄膜などを用いて,これを積み重ねています。この薄膜はきわめて薄く,一発で重ねないと破損してバラバラになります。細心の注意が必要な,非常に高度な標本といえるかもしれません。コントラストは低いですが,位相差では上の画像のように,重なっている薄膜がよくわかります。微分干渉法や明視野+ビデオコントラストなどで被写界深度の浅くしてイメージングすれば,ピントを送ると積み重ねた数だけパターンが変化する,まさに光学切片効果そのものの標本になっています。なお標本の厚みは球面収差を感じない程度にしてあります(画像/MWS)。








2012年6月19日


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蛍光画像のイメージングはデジタル素子にとって大敵かもしれません。輝度の差が極端に大きいときは,暗いところを狙えば飽和してしまい,明るいところを狙えば暗いところがつぶれます。フィルム時代では写ったものがデジタルでは困難な場面もありそうです。デジタル画像では,輝度が飽和してしまえば救済することができません。もちろん,黒くつぶれても救済できないのですが,暗い方はけっこうゼロにはならないもので,画面では見えないけれども,情報としては記録されていることがあります。これを画像処理で救ってやれば見えるようになることもあります。そういったわけで,蛍光画像を撮影するときには,露出を種々にかえて白飛びをできるだけ防ぐことに留意し,また黒つぶれが起きないような範囲で露出調整することになります。こういった練習は,大事な研究用サンプルではできないのは当然です。練習用の蛍光顕微鏡標本が求められるゆえんです。きょうの画像は現在テスト中の蛍光体です(画像/MWS)。








2012年6月18日


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高分解能のイメージングを行うときは,じゅうぶんな拡大率で撮影します。デジタルイメージングでは,光学的に解像された像が同じ画素上に乗ってしまえば,画像的には解像していないことになってしまいます。それを避けるためにも,計測の精度を十分に確保するためにも,うんと拡大するわけです。きょうの画像は対物ミクロメータ(1/100mm)を撮影したものを等倍で切り出したものです。10μmで820画素程度になるので,画像では,ミクロメータの一本の線しか写っていません。このくらい大きく投影すれば,200nmの構造も余裕をもって表現することができます(画像/MWS)。








2012年6月17日


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少数しかいないけれど,いることはわかっているので,力業で大量のサンプルを処理して集めている珪藻もあります。きょうの画像がその代表で,Auliscus属,ギョロメケイソウの仲間です。まとまっているところは見つけたことがありません。しかし河口域の砂浜などで海よりのところを探すと,少数ながら見つかることがあるので(見つからないこともあります),そういったときは大量の珪藻鉱山を築いて,掘り掘りして探し出してしまいます。Jシリーズのイケメン珪藻はそうやって供給可能になったのでありました。この珪藻は形が面白いのでぜひとも集めたい気分がそのようにさせるのでありまして,現在も供給可能です。河口域のサンプルは多様性が高く,この珪藻以外にもいろいろ見つかるので,効率はさほど悪くはない感じです。しかし難しいこともあって,鉱物だらけの泥のようや試料を,汚れのない珪藻だけの状態に持っていくことがとても難しいのです。水が濁らない鳴き砂のようなところに多様な珪藻がどっさり生えているようなところはありませんかね。安い電車賃でいけるところで(^^) (画像/MWS)。








2012年6月16日


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たくさん集めて並べてみたい珪藻がたくさんいるのですが,きょうの画像もその一つです。エピテミア(Epithemia)属の珪藻で,淡水産ですが河口域のサンプルにもよく出てきます。どこにいるのかと思えば,山奥で見つけたこともあります。分厚くてコントラストが高く,見栄えがするので,たくさん集めたいのですけど,そんな試料にはまだ行き当たっていません。大量の試料を濃縮して,そこからかきわければいいのですが,拾い出しはよほど珍しい種か,そうでなければ多種類が一度に拾えるサンプルでないと効率が悪すぎるので気が進まないところです。いつも思うのですが,大事なことはよいサンプルを入手することです。そうすると,いままでの苦労は何だったのか,というブレークスルーが味わえます。ということで珪藻探しの旅は続くのです(画像/MWS)。








2012年6月15日


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台所の流しの排水管を掃除するときの楽しみは,中に溜まっている砂を検鏡することにあります。それまでの作業などで発生した粒子のうち,適当に大きくて重いものだけが比重選別で残存しています。ひょっとしたらアレが見つかるかもしれないと想像しながら顕微鏡を覗くわけです。今回はよくみかける砂や石英粒子に加えてたくさんの砂鉄,方解石,真鍮の削り屑,アルミニウム片,それにグラファイト粒子が見られました。それぞれの由来はたぶん,泥つきゴボウ,方解石研磨,S型顕微鏡のギヤ修理,渦電流ブレーキ製作,出刃包丁と切り出し修正,といったところでしょう。流しに溜まっている砂は明らかに作業の履歴を残していました(画像/MWS)。








2012年6月14日


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原田正純氏は20数年前に集中的に水俣病について勉強した筆者にとって忘れることのできない方です。まだお若いのに突然の訃報に驚きました。今ごろは宇井純氏のところに遊びに行こうとしているような気がしますね。ここに原田氏の著書(上の画像)から一部を引用して,故人の業績を再確認し,私たちが二度と同じ過ちを繰り返さないための心の支えとしましょう。

 このような背景のなかで,さすがの通産省も,やっと十月二十一日になって,チッソに対して,水俣川川口への廃水放出を即時中止し,従来通り百間港の方へもどすこと,年内に排水浄化装置をつけることを指示した。そこでようやく,チッソは排水浄化装置の工事に着工し,サイクレーターを中心とする廃水処理設備を三十四年十二月十九日に完成したのである。

 ところが驚くべきことに,このサイクレーターはまったくその効果がなかったことが明らかになった。新潟における水俣病裁判で,水俣の前例があるのに,排水その他にまったく対策を立てなかったことを追求された昭和電工の安藤信夫氏(常務取締役)は,次のように答えている。「当時,チッソに問い合わせたところ,チッソは,チッソの浄化槽は,社会的解決の手段としてつくられたもので,これは有機水銀の除去にはなにも役に立たないと回答した」と証言している。ということはつまり,サイクレーターは実際の効果はないが,世論の手前つけたのだとチッソの幹部が言ったので,私のところ(昭電)ではそのようなごまかしはやらなかったという意味であろう。このようなごまかしをチッソがやっていたことを,日本全国の人々に知ってもらいたい。今日,水俣の患者や住民たちが,いかに長い苦しみを背負って生きているのかを考えたとき,人間として,このようなことを決して許してはならないのである。

 あまつさえ,サイクレーターが完成すると,その竣工式のときに,寺本熊本県知事をはじめとする多数の来賓の前で,チッソ社長は,サイクレーターを通した水を飲んでみせるという茶番劇を演じた。このとき実は,アセトアルデヒド廃水はサイクレーターを通さなかったのである。だから当然に社長の飲んでみせた水は有毒であったはずがない。おそらくチッソが,アセトアルデヒド廃水をサイクレーターに通さなかったのは,さきに述べた細川院長のネコ実験の結果を知ったためと,サイクレーターの効果をはじめから信用していなかったからであろう。まったく欺瞞である。

 その後やっと三十五年六月から,一部廃水循環方式をとり,四十一年六月から完全循環方式をとったが,この段階でようやく理論的には排水中には水銀は含まれなくなった。しかし実は,四十三年五月,アセトアルデヒド製造中止になるまで,廃水は,オーバーフローや洗浄のために大量に流されていた。

 なお昭和四十一年五月ごろ,チッソができるだけ市民の目につかない方法で,八幡プールからパイプを三本引き,排水を直接海中に放出していたことが発覚している。(これは一市民の通報で,水俣市議会公害対策特別委員会が摘発した)。

 これらの結果として,当然水俣湾の魚介類の危険性は去っていなかったのである。そのことは水俣湾およびその付近の魚貝の水銀量を追跡調査をしていた入鹿山教授の報告によって,はっきりと証明できる。これらの事実は,水俣病がいつまで発病していたかという問題がにのちに検討されるとき,重要な意味をもつ。

このとき,チッソは工場廃水が飲めるということをほかの媒体でも宣伝しています。月刊「水」,昭和36年1月号の記事(p.12-p.17),「廃液をめぐって-座談会」を紹介しましょう。出席者の「昆」はチッソの工務部長,昆吉郎氏です。「大宅」は大宅壮一氏,八木氏は司会のNHKアナウンサー,日比谷京氏は東大水産学科,小島久哉氏は荏原インフェルコの営業部長です。



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このようなふざけた座談会の記事が業界紙に掲載され,記事を読んだ業界関係者はチッソの廃水はそれなりに浄化されたと認識したことでしょう。その間も,水銀は水俣湾を汚染し続けたのです。なお,水俣病に関するくわしい年表(PDF)がこちらにあります。ぜひ読んでみましょう(画像/MWS)。



*1 水俣病はチッソの廃液による水銀汚染を原因として,有機水銀が生じ,これが食物連鎖等を通じて動物が摂取し,この有機水銀は血液脳幹門を通過するので脳に蓄積され,各種障害を引き起こしたものと説明されることが多いです。現象の因果関係を説明するのはそれでいいとしても,水俣病はそんな単純化できるようなものではありません。魚介類の摂取が原因であることは明らかなのに,厚生省も政府も,漁業を強制的にストップさせることをしませんでした。漁業補償を避けようとしたのです。それを食べれば人が死ぬ恐れがあるのに,漁獲禁止も出荷停止の命令もしなかった。昭和30年代の早い段階で,原因が不明であっても,漁獲禁止の措置を施していれば,どれほど被害者が減ったことでしょう。同時に,旧水質二法があるにもかかわらず,そして水俣で甚大な環境汚染が生じていたにもかかわらず,時の政府はこの法律を水俣湾に公使することはなかった(こちら)。これが当時の官僚と政府(自民党)の正体だったわけです。水俣病は,当時の企業と官僚と政府が一体になって引き起こした,組織的犯罪の要素さえ持っていると感じられます。

*2 これに比べると,福島第一原子力発電所事故で放射性物質が大量に放出された際に,次々と暫定基準に照らし合わせて出荷停止の指示を出した政府の対応は評価されてよいと思います。その数値や対応の早さなどに文句のつけどころはあるでしょうが,水俣病の頃に比較すれば,信じられないくらい迅速に処理しています。猫が踊り狂い,人が死んでもまともな対策をしなかった当時と,被害が出る前に未然に防ごうとの予防原則で動いている現代では,明らかに後者のほうがまともでしょう。時代が進み,法整備ができ,情報が素早く共有され,いろいろなことが隠すことができなくなってきた現代。起きた事故は不幸でしたが,その対応を見れば,すべてが悪いことばかりではない一つの例といえるでしょう。

*3 猫実験の話をご存じない方は,「400号 猫」で検索してみましょう。

*4 400号の猫の話を知っている方は,こちらを読むと面白いかもしれません。

*5 原田正純さんのお話は聞きたかったのですが,著書を通じて勉強させていただくだけで,結局,一度もお会いする機会がありませんでした。残念です。







2012年6月13日


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手元にジャンクの対物レンズがあるのですが,けっこうな高級品でもあるので,分解修理を試みました。NAが0.7もあるので,まず自前での分解修理は不可能なのですが,もともと使えないものなので気兼ねなくバラせます。画像はバラしてレンズを取りだしたところです。故障の症状は典型的な軸ズレに加えて球面収差的な症状もあります。どこかのユニットがズレただけなら,組み直せば復活する可能性もあるので,清掃後に組み直してみます。結果は,さらに盛大なコマ収差が発生しました…。原因がわからず,100回ほど組み直しましたが,修理の方向性が見つかりませんでした。

このレンズ,先玉の半球レンズは光軸ズレに極めて敏感であることは当然にしても,途中のレンズユニットは比較的鈍感な設計です。そして後群最後のレンズがとてつもない曲面の凹レンズで,これは恐ろしく敏感です。このレンズはひょっとすると,後群を最初に組んでしまい,あとから先端レンズの軸出し調整をしているのかもしれません。そうだとすると,修理はちょっとお手上げな感じです(画像/MWS)。








2012年6月12日


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狭帯域の励起光を指定された場合,まずはその光を作らないと仕様に見合うものを作れません。今回は488nm指定でしたので,alexa fluor 488などを利用していると仮定すれば,490±10nmの励起光を考えればいいでしょう。それで手持ちのフィルタを組み合わせて光源にのせて,出てくる光のスペクトルをとります。こういったことは日頃から慣れているので,実現できそうな組合せはすぐに浮かびます。その結果できた励起光が上のグラフです。489nm±3.5nmですから,これで光源の準備はOKですね。こういった仕事は分光屋さんの専門ですが,顕微鏡では光の波長をいじることも多いので,対応できるに越したことはありません(画像/MWS)。








2012年6月11日


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狭帯域の励起光かつ狭帯域の観察波長という厳しい条件でも使えるF-TESTをという注文があり,これに応えるべく作業を続けています。世の中に光るもの(蛍光を発するもの)はたくさんあるのですが,励起光がUV領域よりも長波長になると蛍光を発するものもやや減ってきます。BG励起辺りでしかも狭帯域になってくると,その領域で効果的に励起される分子を見つける必要があり,さらに発光波長も狭帯域が求められるとなると,材料の選択余地も「狭帯域」になってしまいます。蛍光検査板F-TESTでは,数十秒も観察すれば退色が認められるようでは使い物にならないので,材料にも高い耐久性が求められます。耐久性を高めるなら無機材料がよいのですが,求められる観察波長で高い効率で光ってくれるものはなかなか見つかりません。有機材料なら蛍光分子がいろいろありますが,退色を防ぐには染色すべき相手や封入条件などを考えなければなりません…。

さらに作ったものが本当に蛍光を発するのかどうか調べなければなりません。そのためには,目的の波長の光を純度よく作り出す必要があり,大量のフィルタと光源と分光器とにらめっこになります。うまく光源ができれば,それを蛍光顕微鏡の配置にして,実際にプレパラートの蛍光観察ができるかどうか調べます。スペクトルもとってみて,本当に光っているのか,迷光の影響はないか,励起光のどの波長で叩かれているのか,などを推測していきます。きょうの画像はそんな検討中に撮影した蛍光粒子です(画像/MWS)。








2012年6月11日(2)


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鱒寿司をこんなにウマイと思ったのは初めてだー(画像/MWS)。








2012年6月10日


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受注品の製作と並行してリサーチグレードの検品です。よいプレパラートに仕上がっていることはわかっていても,異物の混入や封入剤のトラブルをチェックするために欠かせない作業です。検品といっても特殊なことをするわけではなく,スライド全面をスキャンして異常の有無をチェックするだけです。基本的に暗視野で検鏡しますが,面白い珪藻が出てくると位相差や明視野でも検鏡します。検品といっても観察も兼ねているわけで,いろいろな珪藻と巡り会えて面白いものです。きょうの画像はMZR-02に入っていた珪藻で,Lampriscus属の一種と,おなじみクモノスケイソウ(アラクノイディスクス)の一種です。両方とも位相差法での撮影です。クモノスケイソウは被殻の裏面側をみていますが,いつもと違った雰囲気で,なかなか精密な感じが美しいですね(画像/MWS)。








2012年6月9日


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他人様の包丁を研ぐと,皆さんよいものを持っているなぁと感心します。出刃もたくさん研がせていただきましたが,正本の大きなものや,有次のじつに素晴らしい形のものなど,いろいろありました。極めつけはお祖母さんの形見だという明治時代の出刃で,これは口輪が銅巻きで,合わせの炭素鋼ですが,裏すきが異常に深く,裏押しすると素晴らしい裏刃が浮かび上がるものでした。白二のような硬さは感じなかったのですが,切れ味も凄いもので,いまでもあの包丁が一番だと思っています。

対して筆者がどのような出刃を持っているのかというと,40年くらいたった安価な出刃です。これをくれた人の話によると,出張先でピカイチの鯖が売っていて食べたくなり,鯖と一緒に近所のホームセンターみたいな店で千円くらいの出刃を買ったとのこと。そういう品です。永らく放置されてハガネも地鉄もサビだらけ。刃は欠けてそのまま。そういう代物をもらってきたのでした。10年くらい前の話です。

安くても,炭素鋼で焼きがきちんと入っていれば,あとは研ぎで切れ味は決まるので,使えます。サビを落として,徹底的に整形して,きれいな裏刃をつくり,表は出刃にふさわしい切刃にしてあげます。最初はベタで研いで,最後はハマグリ刃。切れ味は刺身包丁と同等。しのぎを崩さずにきちっと立てて,切刃は天然砥石で本霞仕上にしておきます。こうすると,気分がいいのです。そうやってスタンバイしておけば,不意に魚が入荷しても,即,作業に入れます。先日も,思いがけずもサクラマスが入荷したわけですが,きれいにおろして分け,消化管とエラ以外は,きれいに有り難く頂戴したのでした。

こう書くと,まるで弘法筆を選ばず,みたいな話に聞こえてしまうかもしれませんが,事実は全然逆です。何しろ,筆者が砥石遊びに投じた金額の1〜2割くらいを出刃包丁に投じたなら,それはそれは上等な出刃が入手できたことは間違いのないところ。本来やるべき方向性から大きく逸脱しているのです。ワハハ(画像/MWS)。








2012年6月8日


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特殊標本が終われば今度は特注品の製作です。DL-TEST標準に加えて,低コントラストで光学切片効果を確認するのに効果的な標本という指定です。DL-TESTでも実際には珪藻の厚みを利用して光学切片効果を確認できるのですが,それだけでは芸がないので,より面白くてわかりやすいものを製作できないかと試行錯誤しています。アイデアはいくらでもありますが,実物を製作完了できないことには仕方がありません。手持ちの材料を使って効果的なものができるように工夫するのが近道のようです。きょうの画像はDL-TESTに使った珪藻で,Lyrella属の一種とStauroneis属の一種です。後者はジュウジケイソウとも呼ばれる大型で美麗な珪藻です。両者ともに昔からテストプレートによく利用されています(画像/MWS)。








2012年6月7日


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6日は金星日面通過だったのですが,豊島〜文京区方面は一日中小雨と曇りの空模様で何も見ることができませんでした。金星は子どもの頃からみていますが,まだ一度も真円の金星を見たことがありません。今回はそのチャンスだったわけなので,ちょっと残念です。知識で知っているというのも大事ですが,それを目で見て確かめる,というのも重要なことですからね。

そういうわけで,空模様をチラチラ気にしながらも,作業に追われた一日となりました。特殊な結晶基盤の上に指定の珪藻を並べるという,きわめて先端的な仕事です。こういった繊細な作業のときにはとにかく体調を整えることが第一なので,C2H5OHを体内に入れないようにするとか,特段の配慮が求められます(画像/MWS)。



*1 当サービスは封入標本がメインの販売物ですが,たとえば「電子顕微鏡のデモ用にきれいな珪藻が欲しい」などといった依頼に応えることもできます。ご要望に応えられるかどうか,いつでもメールでお返事いたします。




2012年6月6日


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顕微鏡対物レンズがきわめて精密に組み上げられていることは周知の事実ですが,そのわりには,腫れ物を触るように扱っている人が少ないような印象があります。机の上で横に倒しただけでも,像質が劣化するレンズもあるでしょう。そのくらい微妙なのです。中古品などでは,どれほどきれいに見える新品同様の品物でも,用心しないとハズレをつかむことになります。きょうの画像は中古品の油浸対物レンズですが,まともに像を結びません。レンズ外周部をよくみればご覧の通りです。かなり小さな傷で,恐らく,落下距離は5cmとか10cmとか,小さなものに思えます。それでも,だめなのです。顕微鏡のレンズ(に限りませんが)は,大切に両手で,しっかりとホールドしていることを確認しつつ,慎重に取り扱うに越したことはありません(画像/MWS)。



*1 レンズが未使用品に見えるのに,まともに像を結ばないものに出会ったこともあります。この場合はケースごと落下したことが考えられます。じじつ,そのときのケースは小さな欠けが一箇所にありました。ケースがクッションになっていて本体には一切傷がないのに,レンズは使い物になりませんでした。




2012年6月5日


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いやー北国の海にはいいものが泳いでいるもんだ(画像/MWS)。








2012年6月4日


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RL-TESTでデータ付きの依頼があったときは,テストプレート品質の珪藻(マーク入り)をイメージングして,条線間隔が判別できるようなレポートを書いて同封しています。RL-TESTに使用している珪藻Amphipleura pellucidaの条線間隔は270nm,縦条線の間隔は約200nmです。実際には縦条線は190-210nmの範囲で変化することが多いようで,一つの被殻上でも,どこを計測するかによって変わります。当サービスのRL-TESTでは,この珪藻の画像も同封しています。この検査板が「高い品質であること」を示し,「見えない不良品」ではないことを証明する何よりの方法です。RL-TESTは,標本というよりもむしろ,光学製品です。

きょうの画像はRL-TESTの検査途中のものです。偏斜照明で撮影していますが,光の波長の半分しかない微細な構造が鮮明に写っています。検査レポートでは偏斜照明の絵はつけていません。解像に方向性のない条件で,対物ミクロメータの画像と正確に比較できるように撮像しています。撮像は狙って一枚だけ撮影するようなスタイルで,きょうの画像もこの構図は一枚だけの撮影です。何度も撮影しないとまともな絵にならないようでは技術が確立しているとはいえません。狙ったら一発で決め,さっさと次に行くのです。RL-TESTの製作は,プレパラートの封入技術はもとより,きわめて高度なイメージング技術により支えられています(画像/MWS)。



*1 この珪藻を検鏡してみれば,技量がはっきりわかります。高解像のイメージングが得意な方ならば,きっと,愛用顕微鏡の良いお供になること間違いありません。

*2 当サービスの先端的ユーザーの方であれば,このくらいの構造は簡単に見える,という方もおられるかもしれません。そのような方には,もっと難しい標本をご用意できます(^^)

*3 この珪藻を解像できたのは19世紀です。そして現在に至るまで,多くの顕微鏡観察家が解像に成功してきました。それらの方々は,顕微鏡の性能を完全に引き出したのです。一方,とくに現代において,プロの方々がこの珪藻で腕試しをしていないことは残念です。なぜなら,顕微鏡は,「腕試し」をしなければ,自分の技量を判別することが不可能な機器だからです。

*4 そういうわけなので,プロの学者の先生方よりも,アマチュアの顕微鏡観察家の方がはるかに顕微鏡の技量が上,ということがしばしば見られます。

*5 全国のアマチュア観察家の皆さん,どんどんプロの先生方を引き離しましょう(^^)  そしていつの日か,プロの先生方に顕微鏡の何たるかを教えてあげてください。そうすれば日本の高等教育はもっとよくなります。大切なことはプロ・アマ関係なく,わかっている人が世の中に存在しているということです。

*6 RL-TESTは,計測データ付き,データなし,どちらでも珪藻の品質は同じです。高解像イメージングの練習用にはデータなしで十分使えます。構造が見えたら自分で計測して条線間隔を求めれば,とてもよい練習になります。





2012年6月3日


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こんどはRL-TESTの製作です。在庫が切れてしまったのでマウントからの作業となります。一滴たらせば100%この珪藻が含まれる試料を調製してありますので,そこから封入作業に入ります。当サービスのプレパラートは,封入する珪藻によって封入剤の厚みを変えてあるものがほとんどです。RL-TESTでは小型で薄い珪藻をマウントするわけですので,封入剤もきわめて薄く仕上げてあります。封入された珪藻には,テストプレートの品質にふさわしいものにマークを入れ,要望に応じて計測データをつけています。マークはダイヤモンドでつけていますが,珪藻の品質の判断は乾燥系対物レンズで行っています。乾燥系対物レンズ(NA=0.95)でみて,珪藻が光学的に正しい位置にあり,270nmの条線が完全に解像できて珪藻に傾きがないならば,油浸対物のテスト用としても合格です。きょうの画像は品質のよい珪藻を探しているときのもので,乾燥系での撮像です(画像/MWS)。








2012年6月2日


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小物を仕入れに近所まで出掛けて店を出ると,真っ黒な雲でいまにも降り出しそうです。まず逃げられないだろうなと思いつつ,雨宿りの時間ももったいなかったので店を出ました。それから4分後。予想通りに土砂降りです。10代の頃は月に1000kmくらい自転車で走り回っていた経験があるので,外出中に雨に打たれて帰るのは慣れていますし,初夏の雨はなかなか気分がよいものですが,大都会ではなんだか奇人に見られているようで困りますね。

そうやって雨に打たれながら考えていたことは,これなら一時間後に虹が見られそうだということ。着替えてカメラを用意して待っていると,雲の間から日が射した一瞬だけ,虹を見ることができました。5分もなかったでしょうか。この虹が見える場所には100万人くらい住んでいそうですが,虹に気付いた人はどのくらいでしょう。世の中には,見ようと思わなければ気づきもしない現象がたくさんあるものです。例によって,画像処理して虹の構造も見てみましたが,前回の虹とはだいぶ雰囲気が違いますね(画像/MWS)。








2012年6月1日


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蛍光顕微鏡のお供としてご利用いただいていますF-TESTに関して,ユーザー様から,488nm励起で光らないとの情報をいただきました。詳しく聞いてみたところ,励起が500nm(バンド幅25nm)で観察が530nm(バンド幅30nm)のフィルタセットとのことです。確かにこの条件では厳しく,F-TESTの粒子は励起されて光ってはいるのですが,光も弱く,観察側に狭帯域バンドパスが入っていれば見えなくても不思議ではありません。F-TESTはUV,V,B励起での使用を想定したもので,観察側の吸収フィルタはロングパスを前提としています。狭帯域のフィルタセットで観察することは恥ずかしながら想像していなかったので,条件を書いていませんでした。ユーザー様には申し訳なく感じると同時に,何か解決法はないかと考えています。退色してよいのなら材料はありますが,高い耐久性を持つものとなると,材料の選択肢がそれほどないような気がしています。きょうの画像は,先月から評価をはじめていた蛍光性粒子を蛍光顕微鏡で撮影したものです(V励起)。これの波長帯域だと,残念ながら使えません(画像/MWS)。








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