画像のご利用について





本日の画像

MWSが顕微鏡下の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


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原子力災害関係の記事だけを見たい人は こちら をどうぞ(2011年9月再開)。


2011年9月30日


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「本日の画像」コーナーは有用な情報をきちんとした根拠をもとにお知らせする…というスタンスですので,「空き缶はくずかごへ」という前世紀の遺物となったフレーズも,きちんと画像でお示し致します(^^)。このアルミ缶飲料は1986年11月の製造ですが,どこにもリサイクルの文字は見られません。その辺をあるいているオジサン,オバサンが子どもだった頃,リサイクルという考え方は浸透していなかったのです。たった25年前くらいのことです。そのことを,空き缶を大切に25年間も保存し続けた筆者がお知らせしました〜(画像/MWS)。



*1 筆者よりももっと多くの空き缶を大切にコレクションしている方がおられます。こちら。驚異のページと言わざるを得ません。。






2011年9月29日


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相模湾沿岸の砂浜では,台風の影響により大量のゴミが打ち上げられていました。画像一枚目に示すように,大量の木くずなどが,手のつけようがないほどの塊になって打ち上げられています。海には河川を通じていろいろなものが流れ込みますので,これらの漂着物が吹き寄せられるのは仕方のない面もあります。しかし問題は画像2枚目です。この画像に見られるプラスチックの粒々は,レジンペレットです。聞き慣れない方もおられるかもしれませんが,プラスチック加工品を作るときの原料です。このペレットを流し込み圧縮成型してプラスチック製品が作られるのです。

このレジンペレットはひじょうに分解が遅く,環境中にいつまでも残ります。今や世界中の海岸から見つかるまでになっています。ある研究報告会で聞いた話ですが,中小企業などが,余ったレジンペレットの処分に困り,下水にざらざら流してしまう事例が多いとのことでした。廃棄処分にカネがかかるようになると,このようなことが横行します。下水を通じて海に運ばれたレジンペレットは,海辺の景観を損ねるだけでなく,様々な動物が餌と間違えて飲み込んでしまうことも報告されています。ウミガメがビニール袋をクラゲと間違えて食べてしまうのに似ています。

このようなタイプの環境汚染を防ぐには,個人の倫理観や行政の注意喚起に頼るだけではダメな気がします。レジンペレットに価値をつけて,捨てると損するような仕組みを作らないと,防ぐことができない気がします。若い人は知らないかもしれませんが,ちょっとのむかし,「空き缶はくずかごへ」と印刷されていたのです。そのころ,全国の野山で投げ捨てられた空き缶が散乱していたのです。それが,「空き缶はリサイクルへ」と表現がかわり,実際にリサイクルシステムが動き始めると,空き缶は買い取られるようになり,回収されるようになったのです(画像/MWS)。








2011年9月28日(2)


シイタケからセシウム 規制値超え 我孫子産露地もの

 県は二十七日、我孫子市産の露地栽培のシイタケから、暫定規制値(一キログラム当たり五〇〇ベクレル)を超える一九五五ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。出荷前で流通しておらず、県は同市にシイタケの出荷自粛を要請した。
 二十六日に五市町でシイタケを二キロずつ採取し、検査機関に検査を依頼。この結果、我孫子市以外の市原、成田、香取三市と東庄町産は規制値を下回った。四市町産はハウス栽培だった。
 県内のシイタケ農家は百五十七戸で、うち六十八戸が露地栽培をしている。露地栽培のシイタケは秋から冬にかけて出荷されるため、県は我孫子市を除く六十七戸が所在する十二市で検査に当たるとしている。
  (堀場達)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20110928/CK2011092802000051.html?ref=rank




本欄では,千葉でも埼玉でも東京でも,きのこの放射性セシウム濃度は暫定基準値を超えるだろうとの見通しを述べてきましたが,その通りになっています。これは本当に当たり前のことなのですが,まだ,多くの人には実感されないようで,その証拠にきのこの露地栽培が続けられています。あの事故で大量の放射性セシウムが降り注いだのです。行政が,空間線量率が平常に戻ったと強調したところで,放射性セシウムが降り注いだという事実がなくなったわけではありません。生活空間から洗い流されたということはあるにしても,土壌や生物体内に含まれるものは,そこに残り続けているのです。

上記の記事ではシイタケを採取して測定したとしか書かれていないので,たぶん湿重量での測定でしょう。これで2000ベクレルですから,干しシイタケにすれば一万ベクレルを軽く越えます。シイタケが好きな人は,一食で100ベクレル程度の放射性セシウムを取り込むことになってしまうので,出荷自粛は当然です。露地物は当面,利用できないと考えられますので,栽培法そのものを見直した方がよいと筆者は考えます。

上の記事で注目すべきは,ハウス栽培のものでは「規制値を下回った」と書かれていることです。つまり放射性セシウムが検出されている可能性を否定していません。この「ハウス栽培」がどのような方法なのか書かれていませんが,もし菌床栽培なら,材料のおが粉に放射性セシウムが含まれていた可能性があります。しかし菌床栽培は空調管理のもとで通年で行われることも多いので,たぶん原木栽培なのだと想像します。

原木栽培なら原木に汚染が及んでいることになります。しかしこの秋に収穫するシイタケであれば,どんなに早く発生する品種であっても,種駒の打ち込みは2011年3月以前です。つまり原発事故以前の原木を使っていることになります。汚染のない原木を使ってハウス栽培し,それでも放射性セシウムが検出されるとするならば,ハウス内まで汚染が広がっているか,原木の伏込みなどの作業でハウスから出したときに汚染されたか,散水に利用した水に放射性セシウムが含まれていたということになります(文責/MWS)。

*1 本欄で予想したように,放射性セシウムを含有するマツタケが見つかり,福島県外でもイノシシやシカの高レベルな汚染が明らかになっています。ついには,二本松市でコメから暫定基準値を超える放射性セシウムが見つかるほどに,汚染が広がっています。筆者は,コメは可食部分にそれほど放射性セシウムを濃縮しないので500ベクレル/kgを越える値はそうそう出てこないだろうと思っていましたが,予想を越える汚染があったようです。

*2 食品の放射能汚染のニュースをみて考えなければならないことは,「そこで収穫された農産物を利用できないということは,本来そこには住めない」ということです。人間は文明生活を謳歌しているようにも見えますが,土にへばりついて土から生み出された食物を利用して生きている,生態系の一員です。コメを育てても食べない方がよいものができてしまうような場所には,本来住むべきではないのです。しかし現実には,ふるさとを捨てられない方々がたくさんいます。放射能を浴びることを受け入れて,地元で暮らすことを選択しておられる方々もいます。そこで農業を営む人が,丹精込めて農作物を育て上げ,そしてそれが利用できないというのは,あまりにも悲惨なことと言わねばなりません。








2011年9月28日


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週末はよく晴れましたので,大仏様で有名なところの海岸に出掛けました。主な用事は砂鉄を含む細砂の採取で,満潮時だったので珪藻サンプリングはしませんでした。一列に並ぶウインドサーフィンを眺め,遊漁船を砂浜に引き上げる作業の手際よさなどをみていて和みました。地物のカマス君がこっちを見ていたのでお持ち帰りとなりました。カマスは水っぽいので一夜干しがうまいのですが,このくらい鮮度のいいカマスなら刺身でもOKですし,藻塩を振って塩焼きもまた,んまいのです(画像/MWS)。








2011年9月27日


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ワレカラが出てくるということは,ほかの生物も出てくるということです。きょうは海藻の塩抜きに使った水1リットルを目の細かい布でろ過して,集まった生物をみてみました。ぬめりがあるのでろ過は,ちょっとばかり忍耐が必要です。この海藻,種類がよくわからないのですが,ナガマツモ目の仲間ではないかと思います。検鏡すると細い繊維をまとった細胞が見られます(画像一枚目)。視野を散策していると有孔虫もいました。珪藻を探してみましたが,Hyalodiscusがたくさんいて,ほかの種もぱらぱらと見られました。顕微鏡が一台あると,テレビでも映画でも見られない世界が広がります。なかなか興味深いので筆者は多くの方々に,自分の顕微鏡を持つことをお勧めしています(画像/MWS)。








2011年9月26日


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土佐の国から帰ってきて一息ついていると,海藻の塩蔵品を恵与いただきました。まことに有り難いことで,うれしく頂戴しました。まずはそのまま味見して,その風味から,塩抜きして,湯洗いして,キュウリとポン酢で食べるとおいしいだろうとさっそく調理。これがまことにおいしいのです。この海藻,採取したものに塩を振りかけて貯蔵したもののようで,塩抜き中にワレカラ君が出てきます。せっかくなので記念撮影。とてもきれいな状態で保存されています。海産動物プランクトンの長期保存はホルマリンやグルタルアルデヒド固定と相場が決まっていますが,塩漬けもいいのでは,と思うような美しさです(画像/MWS)。








2011年9月25日


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 9月22日,朝から快晴です。すがすがしい。前日は運休だった特急列車も,きょうは朝から平常通り運行。あれだけの台風だったにもかかわらず,日本の鉄道は本当に優秀です。さあぁて,土佐の国から江戸にむけて出発です。


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暴風雨もおさまり,日光を浴びたカメさんも気持ちよさそうです。


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確か半年前に来たときには,コレはなかったはずなのですが…。青空がバックだとかっこええですねぇ。


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お楽しみの特急列車が入線です。ヘッドマークが間違ってます…。


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座席についてみると,なんと窓が泥だらけです。5日間も続いた,台風の暴風雨の中を走ったり抑止したりの連続で,汚れるのも仕方ありません。。


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筆者は「本日の画像」の読者に,ビビッドな画像を届けることを仕事にしていますので,迷わず列車の窓そうじをします。列車の窓は,車内から外に向けられたデジタルカメラにとっては,光学素子と同じと考えなければなりません。

筆者の誇る拭き技術をもってすれば,アサヒ飲料製造の「十六茶」を溶剤として,ポケットティッシュ5枚で,1.5平方メートルの泥だらけの窓を拭き上げることが可能です。せっせと拭き拭きしていたら,駅員さんが飛んできましたが,筆者の熱心な拭きをみて,何も言わずにいなくなりました。画像は拭き終わった窓です。この列車の乗客で,筆者だけが美しい景色を堪能できるという贅沢を勝ち取りました。


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こんなにきれいになりました。手が泥だらけ…。さて,発車です。


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ヤッホーっ! 最高でーす!


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素晴らしい眺め。3月7日にも同じ場所を撮影しています。あのときは雪景色でした。


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あれだけ雨が降ったのに吉野川上流は笹濁り程度でした。森林が深いと水はあまり濁らず,濁りのひくのも早いのです。


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吉野川沿いを列車はひたすら下ります。車窓に次々と現れる渓谷を見ていると飽きません。


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下流に向かうにつれて,だんだん増水して濁ってきました。


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水は川幅いっぱいで,すでに濁流に近い状態です


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この駅もゆきと違ってすっかり乾きました。


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きのうの画像と比較してみてください。同じ場所なので,どのくらい増水したのかがわかります。


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阿波池田に向かい,もともと水位の高い場所が,恐ろしいほどの水量になっています。


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阿波池田を過ぎたところでは,すんごい流れになっています。徳島県側からの支流が相当に増水していた印象です。


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吉野川に別れを告げると,農村地帯を突っ走ります。稲穂がきれいだー。


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瀬戸大橋にさしかかります。


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瀬戸内海の風光明媚な島々を鑑賞し


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きれいな海でさっそく釣りをしているボートを眺めます。


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筆者の高い拭き技術は窓の存在を感じさせません…。


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台風の降雨により潮境ができています。手前が辛い水,向こう側が甘い水です。


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岡山からの「のぞみ」に乗りましたが,窓際には座れませんので新大阪で乗り替えます。日本の水環境の将来を心配している筆者は「本日の画像」において,台風通過後の河川の様子を,熱心な読者に画像で伝えたいからです。


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桂川


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野洲川


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揖斐川


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長良川


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木曽川


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豊川放水路


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天竜川


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大井川


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富士川


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酒匂川


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相模川


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多摩川


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忙しく河川をチェックしていると,あっというまに東京駅に着きました。これで6泊7日にもなった土佐の国への学会・顕微鏡講習出張も終わりです。夏休みと称しながら,ぜんぜん休めないハードなスケジュールでしたが,全国の仲間と再会でき,お話も楽しく,貴重な情報交換もでき,ちょっとばかりの観光もできました。素晴らしい一週間でした(撮影/MWS)。







2011年9月24日


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 夏休みではあるのですが,学会発表をこなさなければならないので,西へと向かいました。16日の出発だったのですが,雲行きがあやしい。瀬戸大橋にさしかかると,待ちかまえていたように雨が降り出しました。。


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列車は土佐の国を目指して吉野川渓谷沿いを登ります。雨に煙る流れもなかなかオツなものです。まだ降り始めらしく,水かさもあまり増えていない印象で,水も澄んでいます。この場所,2011年3月7日付けの本欄でも紹介しています。2秒のシャッターチャンスです。


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かずら橋最寄りの駅も(といってもバスで揺られて一時間かかるらしい…),雨でしっとりと濡れています。


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到着した土佐の国は,ものすごい豪雨で,残念ながら写真はありません。叩きつけるような雨で身動きがとれず,40分間空を観察して,小やみになる瞬間を見極めて宿まで歩きました。この画像は翌朝の様子です。まだ台風は南にあって,水蒸気を日本列島に吹き付けています。高知の人はコカコーラをよく飲むのか?と思うような大きな看板が印象的。


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学会のポスター会場はこんな感じで,きれいな明るい部屋でした。部屋の両側に窓があるのです。とてもやりやすく,助かりました。今回は数が多く,二部屋に分かれてのポスター展示でした。


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会場となった大学は,こんな雰囲気です。敷地も広く,土地に余裕があっていいですね。


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メインストリートには,こんなものもあります。最近の学生さんが羨ましい。筆者の学生時代は,学内にベンチなど,ほとんどありませんでした。居場所があまりなかったのです。


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学内には水路があって,なんと天然魚が泳いでいます。これはウグイの仲間ですが,ドンコみたいな可愛いやつもいました。通年で通水している農業用水路の一部なのでしょうか。。


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ちょっと歩くときのこも生えています。いいなぁ。


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学会は3日間の日程だったのですが,筆者はさらに泊まって顕微鏡指導を行ってきました。ちょうど半年前にこの大学で,大学院特別講義を担当させていただきましたので,まぁ,アフターサービスの一環と言うことでもあります。東京から920キロも離れているところにせっかく来たのですから,何もせずに帰るのはもったいない。暗視野検鏡の実際と蛍光顕微鏡におけるイメージングの実演といった内容になりました。まぁ午前中くらいで終わるかな,と思っていたら,結局朝から晩まで…。熱心な学部学生と大学院生に囲まれて,たいへん幸せな時間を過ごしました。そのあと,台風接近の中,Y先生にご馳走になってしまいました。いやぁうまかったです。宿に戻ると風雨がスゴイ,明日帰れるんだろうか。。


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台風は最悪の進路をとり,何と,土佐の国から出る方法がほとんどなくなってしまいました。もし無理して出たとしても,筆者の予想によれば,台風によって東海道新幹線が不通になり,足止めを食らうことはほぼ確実。早々と朝には延泊を決定しました。まぁ,ホテルに泊まっていても,パソコンがあるのでお客様への返事や学会でもらってきた宿題など,いくらでもやることがあります。

…でも,やることの前に,せっかく晴れたのですから観光めいたことをしてみましょうか。すぐ近くにお城があるのです。土佐の国でも定点を作りたくて,ここは候補になりそうです。


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台風一過の澄んだ空気で,お堀のハスも美しいですね。


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お城は何だか,目の錯覚を起こしそうな不思議な形に見えます。


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お城に入らなくても,見晴らしはなかなかよいです。これは,夜にもう一度来なければなりませんねぇ。不思議なのは,もう秋だというのに,木々の緑が新緑の色に似ていること。光のいたずらなのか,台風のせいなのか,樹種が違うのか。。


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お城の周囲には立派な壁ができています。筆者は人生裏街道を歩んできましたので,お城の中には入らずに,塀の観察です。この塀は横倒しの材木の上に立てられています。ふつう材木を地面に横にすれば,湿気を吸って菌類が増殖し,すぐにボロボロになってしまいます。でもこの材木は腐っていません。そのわけは,少しだけ浮いているのです。材木の下に石が見えますが,これが礎石です。これの上に材が乗っかって,土とは接触しないようになっています。石は水を吸いにくいチャートが選ばれていました。もちろん,軒の深い屋根も,材を雨から守っています。水と土と接触しなければ,材木は驚くほど長い年月,耐久性を保ち続けます。


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石の積み方は,昔の方が上手ですね。


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お土産と,お昼ごはんを買いましょか。この画像の場所で調達してもいいのですけど,観光名所よりも,地元のスーパーの方が安くてよいものが手に入るというのが筆者の地元スーパー巡り経験です。けっきょく昼飯は,おじさんとおばさんが自分で作ってきたお弁当を売っているお店で買いました。やっとまともなご飯に…ありつけました。


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土佐みやげといえば,コレですよね。日本全国同じようなものばかり売っていて東京では何でも手に入る昨今において,旅先でピーンと来る名物を探すのがむずかしいのですけど,コレはこちらで買うのが本筋。安いのです。


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宿にこもってパソコンカチャカチャしていたら,あたりは真っ暗になってしまいました。夕飯買わないと。。ついでに,夜景を見にでかけました。お城は,強力な水銀灯の投光器でライトアップされていました。


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紫色レーザーを懐中電灯代わりに(なるわけない),夜道を歩けば,素敵な夜景が目の前に現れました。この雰囲気は筆者の好みです。何となく,函館山を思い出させるような雰囲気で,土佐の国の定点はここにしようかと思いました。でも,仕事先から遠いんだよなぁ。


宿に戻ってネットで調べてみれば,東海道新幹線は不通。都区内の各路線も運行停止です。まぁ予想された通りです。台風を追いかけて帰ることはないので,延泊して正解でした。旅費を安くあげたい人は,延泊せず,わざと新幹線に乗り,特急券の払い戻しを受けるという選択もあるのかもしれません。筆者は安全第一,健康第一,のんびり第一ですので,あわてて動くことは滅多にないような気もします。のんびりしていても平然としていられるようになったのは,としとったということでしょうか…(撮影/MWS)。







2011年9月23日


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今年の学会では若手の発表が例年よりも多いような気がしました。有毒渦鞭毛藻は,アサリやホタテなどの重要水産物を毒化してしまう藻類ですが,この分類群に関して若手の発表が多くありました。どれも優れた研究で,筆者もたいへん勉強になりました。最近の若手は(昔と違って)顕微鏡も上手な人が出てきて,海には潜れますし,プレゼンも上手です。このような若手が,給料ももらわずに,日本の研究業界を支えているのです。まぁ褒めてばかりでは何なので,ちょっと釘を刺しておくとすれば,専門分野以外の知識吸収という点では,むかし(昭和中期以前生まれ)の研究者が優れている気がします。でも,この問題に関しては,勝手に義務教育の理科の時間を削って捨てた文部省・文部科学省にも責任がありますけどね(画像/MWS)。








2011年9月22日


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先日開催された日本ベントス学会・日本プランクトン学会合同大会に出席してきました。筆者はどういうわけか日本プランクトン学会がお気に入りです。楽しい仲間たち大集合状態の楽しさがあるのです。今年は土佐の国で開かれましたのでけっこう遠いのですけど,まぁ毎年のことでもありますし,がんばって参加しました。筆者はこの研究大会では欠かさず発表を続けていて,今年はライブセルイメージングをやろうと思っていて,そのための機材も揃えつつあったのですが,途中で大震災が起きて研究どころではなくなりました。しかしこの大地震で,浦安〜千葉方面の湾岸に大規模な液状化現象が起きましたので,震災関連研究として緊急に浦安の液状化についてプランクトン学の見地から調査しました。

浦安の埋め立て地のうち,1970年代に埋め立てた場所は,埋め立ての材料として海底の泥を使ったと言われていました。実際には,埋め立て地にはいろいろなものが投入されますし,また地盤を固めたり,覆土の厚さや水抜きの手法の違いなどもあり,できあがる土地の土質力学的特性は種々に変化します。今回の浦安における大規模な液状化について,筆者は,東京湾の微細な海底泥を埋め立て材料に用い,締め固めも,水抜きも不十分なまま宅地としたことが原因だろうと想像しました。そこで,まずは液状化で大量に生じた噴砂を採取し,その中に含まれる珪藻を拾い出し,その種類を見ることによって液状化の原因に迫ろうと考えました。

標本製作は困難を極めましたが,浦安の液状化の噴砂からはおびただしい数の珪藻が見つかり,それをJシリーズの技術で並べた標本にすることができました。きれいな標本を製作できたことにより,分類に使える画像取得が可能になり,その結果,東京湾の海側の泥によく見られる珪藻が多いことが判明しました。もし岸よりや河口よりの底質で埋め立てたなら,液状化はもっと軽微で済んだ可能性もあり,シルト分の多い海底泥を埋め立て材料に用いることの危険性をたくさんの珪藻画像を見てもらいながら説明しました。

今回は社会問題の発表でもあり,いつもの顕微鏡技術に関連した研究ではなかったので,若干心配していましたが,発表が始まるとともに多くの方に聞いて頂き,コアタイムの105分の間に人が途切れなかっただけでなく,その後も多くの人が次々と聞いて下さり,結局180分もの間,喋り続けることとなりました。関心をお寄せ頂いた全ての方に感謝申し上げます。

発表では,ポスターのほかに,手持ちで使う印刷資料,噴砂の実物,珪藻標本も使いました。珪藻標本は,もちろん携帯顕微鏡H型で覗いて頂きました。ポスターに掲示した写真と同じものが携帯顕微鏡の視野に見えるようにしたのですが,ポスターを見てもリアクションはないのに,顕微鏡を覗いたとたん,「これは凄い!」と皆さん大きな反応を示されました。筆者にとっては,感動の質が,印刷物と,生の光ではいかに異なるかを実験するよい機会にもなりました(画像/MWS)。








2011年9月21日


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コガネムシのハネにあんな仕掛けが隠されているならば,この虫の赤色はどんな感じで発生しているのだろうかと思いますが,あいにく持ち合わせがありません。。蝶の羽は干渉色,タマムシも干渉色,ハンミョウも干渉色な感じがします。コガネムシも干渉色でしょう。するとこのカミキリムシの一種は干渉色なのか? それとも色素なのか?と確かめてみたくなります。干渉色の場合は,タンパク質を用いて微細構造を作れば必要とする色を実現できます。色素の場合はある物質を出発点として発色団を持つ有機化合物の合成経路を持っていなければなりません。生物界にはどちらも実例があるわけですが,どちらを選ぶかは,どんな原理に従っているのでしょうか(画像/MWS)。








2011年9月20日


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きのうのコガネムシのハネをさらに拡大すると,上の画像のような不思議な模様が見えてきます。このドーナツ状の模様がコガネムシの色に関係していそうな感じに見えます。光路上に円偏光板を配置すると,このドーナツが消えます。ある種のコガネムシは,その反射光が円偏光の性質を示すことはよく知られていますが,どうやらこのドーナツが円偏光を放つ正体のようです。どういう光の干渉を利用して円偏光を発生させているのか,筆者の想像範囲を超えますが,有り難いことに世の中には,コガネムシは円偏光という優れた解説が転がっていますので,読者の皆様もぜひ,読んでみてください。なお,このコガネムシは,豊島区でも文京区でも路上に転がっているのを確認していますので,都心でも見つかる,遊べる昆虫ということになりそうです(画像/MWS)。








2011年9月19日


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ベランダの放射性セシウムを取り除いたときに,コガネムシのハネが一緒にでてきたのでとっておきました。緑色のきれいなハネで,2009年9月25日に採り上げたものと同じ種だと思います。これをスライドグラスにのせて透過光で観察すると上の画像のように見えます。茶色のなかに細線で格子構造のようなものがみえています。これを同軸落射照明で観察すると下の画像のようになります。濃い緑にはみえませんが,光の干渉でできたような色がこまかく見えます。また小じわのような構造も見えます。チョウの鱗粉でもそうですが,干渉色を示す昆虫の構造は,透過光と反射光ではまったく異なるようにみえることがよくあります(画像/MWS)。








2011年9月18日


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きのうのサファイヤは13枚の画像を利用した全焦点画像ですが,一枚一枚の写りが重要です。上の画像は結晶成長のラインがたくさんみえている部分にピントを合わせた例で,次の画像はインクルージョンにピントをあわせたものです。どちらも,ピントの合っている範囲において十分シャープです。しかし不思議なことに,上の画像の方が,圧倒的によく見えるかもしれません。たぶん,人間が,「ピントがあっている」と感じる感覚に主観的な要素が含まれていて,「ピントがあっている部分のコントラスト」がけっこう重要なのかも知れません。動物画像なら決まって「目」にピントを合わせます。そうするとほかがぼけていてもピントがあっているように感じます。それと同じように,その物体のもっとも「目」に似た要素を持っている部分にピントがあっていると,ほかがぼけていてもピントがあっていると感じるのではないかと思うのです(画像/MWS)。








2011年9月17日


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先日なにげなく撮影したサファイヤがけっこう美しかったように思うので,別のサファイヤを撮影してみました。やっぱしきれいですね。このサファイヤは奈良県二上山付近に産するもので,サファイヤを含有する砂を入手して,そこから筆者が拾って洗いあげたものです。ガラス基板に接着してあります。このサファイヤ,インクルージョンが多すぎて不透明になっているものから,透き通って透明なものまで様々です。とうぜん,透明で形が整ったものは,ほとんどみつかりません。

しかし絵になる素材という点では,多少インクルージョンが入っていて,結晶の形も多少崩れていて,それでいて結晶化している途中のラインがきれいに入っているものが良いように思えます。完全に透明な結晶にトライゴンがいくつか見える,というのでは,なかなか絵にならないのです。たぶん,何らかの微細構造があると美しさが際だつのではないかと思います。この微細構造と結晶の色と,輪郭を同時に表現するには,暗視野光束と明視野光束を別々に制御しなければならないので,けっこう複雑で,また面白いと感じます。細線のコントラストと照明光の関係を探っていると,こんなに大きな物体でも,アッベの結像論なんだなぁと感心したりもするのです(画像/MWS)。








2011年9月16日


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筆者は130万画素のCMOSを多用していますが,油浸対物レンズの情報量をフルに伝えるには,画素数が足りません。しかし像を拡大すれば,対物レンズの限界性能を,狭い画角の中で漏れなく伝送することはできます。珪藻の精密な構造を,珪藻の全体の姿と一緒に撮像する場合,小さな珪藻ならばこれが両立することもありますが,大きな珪藻の場合は無理です。分解能を犠牲にして視野を広くとるか,視野を狭くして(=倍率を高くして)分解能を優先するかのどちらかになります。しかしどうしても,精細な構造で全体を表現したいときもあります。その場合はつなぎ合わせを行います。

油浸領域での,珪藻撮像におけるつなぎ合わせは,最高級のテクニックが必要になるものの一つです。照明ムラを完全になくし,撮像中のピント移動を完全になくし,震動をおさえ,ピントズレを起こすことなくステージを送り,撮像系はいかなる歪曲収差も許されず,露出は完全に同じにしなければならないからです。照明ムラは,たとえばハロゲンランプの温度変化や,電源電圧の変化も許されないほどに厳しいものです。ステージ送りの問題も深刻で,顕微鏡の機種によっては,精度が不足していて使えないものもあります。震動は,たとえば3メートル先を人が歩いただけでも許容できないほどです。

本来はこういった苦労がなくて済むように,一億画素以上で24×36mm程度のフォーマットを持つモノクロセンサが欲しいところですが,そのようなものが,近い将来発売になるとも思えませんので,筆者は機材をいつも最高の状態に調整して,画像のつなぎ合わせができるようにしています(画像/MWS)。








2011年9月15日


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当サービスでは開業当初から,上の画像の珪藻を提供してきました。多くのお客様がこの珪藻の微細構造の観察,撮影にいまも挑戦し続けていることと思います。お客様からは時々メールを頂戴することがあり,「難しいですねー」というご意見がほとんどです。しかしきょうは,2008年頃にお買い上げ頂いたお客様から,「何度も挑戦して最近やっと見えるようになってきました」という知らせが画像と共に送られてきました。まさに,一枚のプレートに挑戦し続けると技術が向上することの証明です。標本供給者として心底嬉しさを感じる瞬間です(画像/MWS)。








2011年9月14日(2)


茨城・高萩のキノコ、基準超セシウム 県が出荷自粛要請

 茨城県は13日、同県高萩市の山林で採取した野生キノコのチチタケから国の基準値(1キロ当たり500ベクレル)を超える8千ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。
 これを受け、県は、同市で採れたチチタケやマツタケなど土から発生する菌根性キノコ類は出荷や摂取を自粛するよう、同市と地元のJA(農協)に要請した。
 菌根性キノコ類に関しては、福島県棚倉町で採れたチチタケから2万8千ベクレルの放射性セシウムが検出され、今月6日に政府が同町で採れた菌根性キノコ類の出荷停止や摂取制限を指示している。
http://www.asahi.com/national/update/0913/TKY201109130561.html




昨日繰り返して指摘したところですが,さっそく福島県以外のきのこからも放射性セシウムが高濃度で検出されました。これは当たり前のことです。南関東から東北まで,みんな放射能に汚染されているのです。空間線量が平常になったと自治体がいくら報告したところで,汚染があった事実は否定できませんし,汚染はそこに残っているのです。きのこのように,地中からセシウムを吸い上げる生物は,放射性セシウムも一緒に濃縮してしまいますので,どうしても,高濃度の放射性セシウムを含むことになってしまいます。

チチタケを1キログラム食べることは,まずあり得ませんが,このきのこは条件が良いと広葉樹林に点々と発生してけっこうな収穫があります。100グラム程度をナスと油で炒めて,きのこそばを作るなど,ふつうの利用法です(おいっしい〜のです)。そのたった一食で,千ベクレル近い放射性セシウムを摂取することになるという,厄介なことになっているのです。些細なことと思ってはいけません。むかしの日本人は,山野に生えるきのこを利用することは,スーパーで食材を買うのと同じくらい,当たり前のことだったのですから。

ともかく,菌根性のチチタケ類でこれだけの濃縮が起こることが明らかになったのですから,関東から東北にかけて,早急に調査を行い,しかるべき対策をしなければなりません。何も知らない(気にしない)爺様が山に入り,数万ベクレルの放射能きのこ汁を作り,それを孫に食べさせるというようなことがあってはなりません(文責/MWS)。



*1 筆者もきのこ狩りをすることがあるので,いろいろな方々の振る舞いをみてきましたが,きのこ狩りの得意な年寄りには,採ることがメインで,採った物は人に食べさせるタイプの人がかなりの数,存在します。このタイプの中で,分類ができていない人が少なからずいます。こういう人からもらったきのこを食べて中毒しないのは,単なる偶然です。このタイプの人は放射能など気にしないだろうし,何でもかんでも「大丈夫大丈夫」といって振る舞います。絶対食べてはいけません。

*2 毒きのこはどこにでもあります。1本食べればまず助からないだろうというようなきのこも,そこらの雑木林でふつうにみられます。こういったきのこの危険性は,今回の原子力災害どころではありません。野生のきのこを利用する場合は,数冊の図鑑を片手に分類を試み,可能であれば顕微鏡観察を行ってからにすべきです。

*3 筆者も遠い昔,ハタケシメジを見抜くことができなくて捨てたことがあります。凄い量でした。あとから思いついて残りを採取しにいって,顕微鏡観察したところハタケシメジと同定してOKでした(翌年から食べました)。いま考えるともったいないの極みでしたが,判断としては安全側に振っていたわけで,間違っていません。

*4 茨城県でこのレベルの汚染が確認されたということは,同県のイノシシも高濃度に汚染されることを意味します。数万ベクレル/kgレベルに行くでしょう。放射能汚染は,生態系のエネルギーの流れが汚染されるということなので,単純にきのこだけを考えてはいけません。





2011年9月14日


ps

こんどは自作の小刀の研ぎ直しをしました。この小刀は,100円ショップで入手した金鋸の寿命がきたので(石切用に使っていました…),それを素材に作ったものです。作ったと言うのはちょっと大げさかもしれません。金鋸を折って,リューターで形をつくり,次に裏をつくります。#1000→#3000→#8000の順で研いでベタ裏にします。裏ができれば,同じように表を研いで切刃をつくり,完成です。ペラペラの鋼材なので,すぐにできあがりです。どんな鋼材なのかはわかりませんが,金鋸なので,たぶんハイスなのではないかと思います。グラインダーで火花を散らしながら削っても,まったく焼きが戻りません。じつに工作がやさしくて助かります。

きょうは神前産の巣板で刃をつけてみました。この小刀との相性は抜群で,ひょっとすると筆者の刃物でいちばん切れるのでは?と思うほどの刃がつきます。ペラペラなので,厚い木を削るような用途には向きませんが,表面を薄く削ったり,鉛筆削り的な使い方にはちょうどよいです。筆者は,ガラス面の清掃にサンショや竹を使うことがあるのですが,そのときは削って新鮮な面を出して使います。いつもはOLFAのナイフか骨董品の切り出しを使っていますが,この小刀も良い感じです。竹を削っても微細な刃こぼれがみられません(画像/MWS)。








2011年9月13日(2)


県全域の出荷停止検討=福島キノコのセシウム検出で−厚労省

 厚生労働省は12日、福島県内で採れた野生キノコから食品衛生法の暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を上回る放射性セシウムが検出されたことを受けて、県内全域の野生キノコを出荷停止と摂取制限の対象にする方向で検討を始めた。同県、農林水産省と協議した上で週内にも結論を出す。
 出荷停止や摂取制限となった場合、福島県内では秋のレジャーであるキノコ狩りの自粛を求めることになる。県側は県内一律の制限に難色を示し、市町村単位にするよう求めている。(2011/09/12-22:49)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011091200877




本欄では何度も指摘してきましたが,当然,この記事のような方向に行かざるを得ないのです。東京都内でも,道路脇の砂から0.5μSv/hの放射線がふつうに検出されるのです。大雑把な換算では,10000〜30000ベクレル/kgに相当するでしょうか。福島県内では,少なくとも都内の10倍から100倍の汚染を受けているので,そこに生えるきのこを利用することは,放射性セシウムを体内に取り込むことを意味します。まずは全県レベルで出荷停止,摂取制限するのが安全側に振った対応だと思います。

そして大事なことは,福島県以外のきのこについても十分調査を行うことです。福島県ほどの汚染を受けていなくても,放射性セシウムが集積すれば,そこは福島県と同じレベルの汚染域になってしまいます。ホットスポットについても同様で,局部的に放射性セシウムが多く降り注いでいる地域があります。こうした場所で発生するきのこは,高濃度の放射性セシウムを含んでいる可能性が高いので,利用を見送った方がよいと筆者は考えます。

汚染がそれほどでもない地方では,全県レベルでの出荷停止は受け入れられないかもしれません。しかしまずは,調査が進んで汚染の全容が見えてくることが大事です。福島県内に限らず,きのこ採取を行う人は,きのこを採取場所の放射線量を簡易計測して記録し,きのこは保存して,放射性セシウムの測定サンプルとして協力するというのも一つの方法かと思います。今回問題になっている核種は,現時点ではセシウムだけですので,たとえば塩蔵/冷凍保存して,放射線測定を行い,基準値以内であれば利用可,といった対応も考えれらます(文責/MWS)。








2011年9月13日


ps

いったん研ぎが始まると,あれもこれも研ぎたくなって困ります。こんどはステンレスの菜切りを修正しました。この菜切りは,980円で購入したもので,まさに安価なステンレス包丁そのものです。昨日と同じように,WA#400で切刃を均等につけます。ステンレス刃物鋼の場合,これがたいへんなのです。鋼材としてはそれほど硬くないくせに,粘りがあって,ちぎれない感じなのです。がんがん研いでも刃肉がなかなか減ってくれません。やっとこさの思いで切刃を平面にならしたら,次はシャプトンオレンジの出番です。これは10分くらいで済みます。そうしたらスエヒロ#3000で数分,最後はスエヒロ#8000で数分くらいで仕上がります。ステンレスの刃物は人造砥石で仕上げると鏡のようにピカピカになります。最後に,丸尾山の「合さ」で刃先を合わせてできあがりです。

安価なステンレス包丁でも,きちんと形を作って,刃先をきちんと研げれば十分に切れるものが多いです。たぶんステンレスの鋼材としては優秀なのだと思います。ただ,安価なプレス品だと,形はかなり妥協しているので,食い込みが悪く,切れないと感じる物もあります。

きょうの菜切りは切刃を鏡面化してしまいましたが,これは食い込みの滑らかさを重視しているからです。食材が貼り付くのを嫌って切刃を粗っぽく仕上げる方もおられますが,このあたりは好みの問題でしょう。筆者は,切刃がくさびとして機能するときに,くさびと食材の摩擦により刃の滑走が止まるのがよろしくないと感じているので,滑らかにしています。ま,気分の問題ですね(画像/MWS)。



*1 炭素鋼とステンレス鋼を比べれば,とうぜん炭素鋼の包丁の切れ味が上です。刃先が当たった瞬間の食い込みが違うように感じます。ただ,食材によっては違いがわからないものもあります。キャベツやキュウリなど楽に切れる食材でも,ひじょうに細かく(薄く)切ろうとすると,炭素鋼とステンレス鋼では違いが出てきます。ステンレス鋼は,よく研げていても,刃先が滑るように感じることがあるのです。何でですかね?



*2 近所のスーパーは,どういうわけかハラコ(生筋子)が安いのです。北海道内の最安値と同じくらいで,鮮度も変わりません。ありがたゃ〜ありがたや〜。なのでこれを買い込んでほぐし,煮きり酒,しょうゆ,昆布で味付けしてイクラ丼,というのが秋の定番メニューです。冷凍もできますよ。まだまだ暑いんですが,味覚は秋になりつつありますねぇ。



*3 the diatomsの上に包丁が乗っている…というあり得ない組合せの画像ですが,こじつけて見れば,サケは甲殻類が大好きですが,その甲殻類に含まれる色素(アスタキサンチン)がサケに移行してイクラの美しい色になるわけです。で,甲殻類は海の中で珪藻などの植物プランクトンを食べていて,the diatomsの表紙を飾っているタラシオシーラもその一つなのです。この遠大なる生態系の連鎖を,筆者の研ぎ技術とキュウリのクロロフィル色素の彩りによって,丼にまとめあげたのです(^^;。





2011年9月12日


ps

やっとこさムズカシイ作業も一段落しました。いやー長い夏だった…。こういうときは研ぎです。筆者の気分転換法としては上位に位置するものです。外は暑いし,さーてさてさて,きょうは切り出しの修正でもしましょうか。。

この切り出し,骨董市で仕入れたボロボロの鉄片にみえたものを再生したのですが,裏に何カ所か穴があり,ちょうどそこまできてしまったので,刃こぼれが生じていました。そこで思い切って立てて研ぎ,刃幅を若干狭くして耐久性をupさせることにしました。きょうはその備忘録です。まず,裏を作り直します。シャプトングリーンで裏押しして,きれいに平面を出します。薄い切り出しは力を入れて裏押しするとゆがんで裏がきれいに出ないことがあるので,さらりさらりと研ぎながら様子をみて,裏を出します。これできれいな平面が出たら,スエヒロ#3000,次にスエヒロ#8000の人造砥石で裏を鏡面化します。筆者は裏押しは人造砥石を使います。錆びにくくなるからです。

表は,ひじょうに硬い赤レンガにWA#400(スエヒロ)を擦り付けて,これを荒砥の代わりにして研ぎます。この赤レンガはある家のガスレンジの下から発掘されたもので,恐らく昭和初期ごろのものです。全体に油が染みていて,そのままでは砥石になりません。そこでこれを地盤としてWA#400で研磨するわけです。この方法は平面維持にもよく,何より安価で済みます。今までは,荒砥を使う大修理を行うと,シャプトンの荒砥がどんどん減ってしまっていたので,砥石代がバカにならなかったのです。

WA#400の研ぎでは,まず刃先側から立てるように研ぎ,そこから新しい切刃を半分くらいの刃幅でつけます。だいたいできたら,半分の刃幅がきちんと平面になるように研ぎ,平面が出たら,WA#400を補給しながら一気にその角度で切刃全面を仕上げます。それができれば荒砥は終了です。次はシャプトンオレンジですが,WA#400で平面をだしてあるので,研ぎは数分で終わります。その次がシャプトングリーン(#2000)ですが,これは1分程度でしょうか。それが終わればスエヒロの#3000,次に丸尾山黄色巣板で傷を取ります。合わせて数分以内です。

その後はお好みなのですけど,丸尾山新大上,丸尾山千枚,最後は山不明の浅黄の砥石で仕上げました。最後の砥石はきわめて細かい優れた砥石ですが,地をひきやすいので,ちょっとだけ歯磨き粉をつけて研ぎます。そうすると研磨が軽くなり,傷がつなかくなり,サビが出にくくなり,仕上がりのつやが増すのです。そうやって日曜日の午後一時間ほどを過ごしました。

そのあとは,鉋研ぎです。吸水しやすく,砥泥に粘りがあって貼り付きが強く,研ぎにくい戸前があるのです。こういう砥石は包丁にはいいのですが,鉋は研ぎにくいものです。それを何とかしようといろいろ試行錯誤していたのですが,きょうは油を試してみました。研ぎ面に食用油を染みこませます。数時間したら,これを拭き取ってしまいます。その石で,鉋を水研ぎします。すると,油の効果で吸水しなくなります。研ぐと砥泥がたくさん出るのに,貼り付きがなくなります。砥泥には油が浮いてきます。感触は,水研ぎなのに,空研ぎのような,独特な感じです。この油の効果でサビが出にくくなり,ただの水研ぎよりも研ぎ上がりが明るく仕上がります。これは水飲み石には良い方法かもしれません(画像/MWS)。








2011年9月11日


ps

鞭毛をムチのように振り回しながら泳ぐ鞭毛藻という生物がいます。海のプランクトンとしてふつうです。この鞭毛,絶えず動かしていることが多いので,撮影がとても難しいのです 。ストロボ一発で止めることができますが,筆者の設備ではデジタルカメラとストロボを同期させるのが面倒で,あまりやりません。最近試みているのは,透過明視野で光量を確保して高速シャッターを切る方法です。鞭毛は1/1000秒でも止まらないので成功率は低いのですが,何枚も撮影すればけっこう分かりやすい絵になっているものもあります。きょうの画像は東京湾にいた渦鞭毛藻(ケラチウム・フルカ)で,鞭毛がサインカーブ的に波打っているのがわかります(画像/MWS)。








2011年9月10日


ps

研ぐと生き返るのは包丁だけではありません。使い捨てにされているようなものでも,慣れるとけっこう研げます。上の画像はOLFAのクラフトナイフです。このナイフはワッシャー以外はすべて金属製でしっかりしており,ストッパーとなるネジも確実にはたらくのでお気に入りです。携帯用にも便利なので,むかし頻用していたホールディングナイフの出番がグッと減ったほどです。刃はステンレス鋼で切刃が狭いので研ぎが難しいですが,慣れると面で研ぐことができるようになります。上の画像は丸尾山砥石(戸前色物)で仕上げたところです。このクラフトナイフ,バリ取りがやや甘いので,全体を耐水ペーパー(#2000程度)で仕上げておくとよいでしょう。手触りもよい道具になります(画像/MWS)。








2011年9月9日(2)


ps

筆者が使っている包丁は幾つかありますが,ほとんどがもらい物です。もらい物でも,研げば切れるので,これでいいや,となってしまう面もあります。画像左は昭和初期の菜切りです。ご先祖様のお下がりです。割り込みですけど,鋼が甘く,永切れしません。ぜんぜんダメな包丁なのですけど,毎日研いでふつうに使っています。主に野菜の刻み物が出番です。その隣の出刃は,前の所有者によれば,出先で良いサバがあったので急に食べたくなり,包丁も一緒に買ったという代物です。関孫六と銘がありますが,昔はどこにでもあったふつうの出刃です。ボロボロに錆びていたものを再生しています。大抵の魚はこれで大丈夫です。その隣はステンの安物三徳です。一人暮らしをするときに,和包丁の形が気に入って買ったもので,けっこう使い勝手がいいので,一本目は研ぎ潰してしまい,これは二本目です。切刃を均等につけてあり,鏡面化してあります。現在は果物用に使っています。スイカやメロンなどがきれいに切れます。

その隣は,ネットで買った白紙二号の三徳です。とても硬く,研ぎの技術も必要ですが,筆者はこれを刀の代わりと考えて日々手入れしています。バランスがいいので,少し力が必要な食材(カボチャやゴボウなど)のときに活躍します。その隣の正本は,これももらい物です。ボロボロに錆びていたものを研磨して使っています。白二と甲乙付けがたい切れ味で,これは主に鶏肉やソーセージ,ハムなどをきれいに刻むときに使います。

その隣の柳刃は,刺身くらい切れなきゃダメだろと,若かりし日に買ったものです。おもちゃのようにペラペラで,裏すきもないという安物包丁でしたが,自分で裏を掘り,切刃を鏡面化して,刃先は丸尾山砥石で仕上げることにより生まれ変わりました。イカ,タコのときには9寸の柳に登場願いますが,それ以外の場面では,このステンで十分切れます。砥石がいいと,包丁がそれなりでも切れてしまいます。包丁にご不満をお持ちの方,必要なのは『砥石』です(画像/MWS)。








2011年9月9日


筆者が放射能汚染の問題を扱い続けるのは,それなりのリスクがあると考えているからです。すでに何回か書きましたが,「自分が病気になるかもしれない」という意味での個人のリスクは,現時点ではかなり低いと想像しています。しかし,集団の中では犠牲者が出るかもしれない,という意味でのリスクなら,確実にリスクがあるものと考えています。放射線によるDNAの破壊は,事故以前と比較すれば,数倍から数十倍以上になっていることに疑いはなく,体が修復してくれるからこそリスクは低くなっているのです。これまで以上にDNAの破壊が起きているという事実は否定のしようがありません。運の悪い人は,放射線を過剰に浴びたことにより病気になる可能性が否定できないのです。

個人のリスクと集団のリスク

ですから,集団全体の被曝量を少なくすることが大事です。そのためには,個人が努力する必要があるのです。放射線の話題はもう飽き飽きしている人も多いと思います。福島市で1μSv/hと聞いても,そんなもんかと思う方もおられるかもしれません。でも,慣れてはいけないのです(文責/MWS)。








2011年9月8日


ps

しょっちゅう珪藻画像を紹介している当サイトでも,まだ登場していない種がたくさんあります。画像の持ち合わせがないこともありますし,標本そのものがないこともあります。画像はあるけど絵にならないといった理由のものもあります。これからも新しい種を紹介できるように努めたいと思っています。上の画像は,たぶん初登場の種で,Bacteriastrum属の珪藻です。Chaetoceros属に近縁で,やはり細長い刺毛を持っています。Bacteriastrumは細胞の連接部分から放射状に刺毛が出ていますのでChaetocerosとの区別は容易です。上の画像は相模湾表層水中のものですが,本種は東京湾などの内湾はもとより,日本各地の沿岸で見ることができます。このようなデリケートな種は,群体のままの形を保った標本にできないのが残念なところです(画像/MWS)。








2011年9月7日(4)


ps

ps

当サービスで供給しているプレパラートは,珪藻の被殻だけになっているものをマウントしていますので,鮮明に微細構造が観察できます。生きているものでは,細胞内容物や被殻を取り囲む粘液,それに水(海水)の屈折率がお互いに近いこともあって,微細構造が見づらいのです。しかし生きている姿は,それはそれで興味深いものがあります。ケイ酸質のカプセル内部に葉緑体が散りばめられている様子が観察できます。きょうの画像は東京湾などでふつうに見られるカザグルマ珪藻ですが,生きているものも,被殻だけのものも,どちらもなかなか美しい姿です(画像/MWS)。








2011年9月7日(3)


クリからセシウム=福島県

 福島県は6日、同県南相馬市の農家が収穫したクリから、国の暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を超える2040ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。  同県のクリの検査は初めて。この農家のクリは出荷されておらず、県は出荷自粛を要請する。県は、福島市など16市町村のクリの検査を8日までに行う方針。(2011/09/06-21:36)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011090600872






本ページでは5月14日(2)の記事において,樹木から検出される放射性セシウムについて,菌根菌との関係を指摘しています。この記事に対して,読者から,秋には「栗」でも出るだろうとの指摘がありました。この指摘をもとにして,6月3日(2)の記事において,筆者は,

しかし人間が利用する植物に限ってみれば,菌根形成するものもあればしないものもあり,放射性セシウムの濃縮に種特異性が見られるという結果になるのではないかと想像します。メールをくれた方によれば,秋には「栗」から放射性セシウムが検出されるかもしれませんね,とのことでした。栗はあまり密集して植えませんし,当然菌根も形成しているでしょうから,広い範囲から放射性セシウムを濃縮する可能性がありますね。さて,どうなるでしょうか

と記しています。結果は上の記事の通りです。早い段階での読者の指摘に敬服する次第です。これまでも,ドングリの仲間は放射性セシウムを濃縮する傾向があることが知られていて,これら菌根と深い関係のある樹種は,菌類と栄養交換しながら,放射性セシウムを溜め込んでいったものと思われます。栄養物の通り道は樹皮の部分ですから,この部分は当然,放射性セシウムを含んでいるとみて良いでしょう。これがどういうことを意味するかというと,クヌギ,コナラ,クリといったきのこ栽培の原木となる樹種が,ことごとく放射性セシウムに汚染されているだろうということです。そしてドングリはイノシシの好物です。もちろん,ツキノワグマやリスといった動物も利用しています。

いったん生態系内の物質循環に乗ってしまったものは,その循環系のなかで回転し続けます。系外への流出により失われる部分もありますが,放射性セシウムは動きにくく,その場に留まる傾向がひじょうに強いことがチェルノブイリの調査でも明らかになっています。生態系内の物質循環を止めることはできません。その物質循環経路に存在する生物が,次々と放射能に染まっていくことになります。人間は放射能を測定することにより,放射性セシウム汚染を防ぐことができますが,人間も生態系内の循環系の一部を構成している以上,あらゆる経路に目を光らせないと,体内に放射性セシウムを取り込むことになってしまいます(文責/MWS)。



*1 栗好きの人は1シーズンに10kg〜20kgも消費します(筆者の観察結果)。2000ベクレル/kgの栗なら,体外への排出を考慮に入れても1万ベクレルの放射性セシウムを体内に取り込むことになってしまいます。出荷自粛は当然です。

*2 それにしても,つやつやと膨らんだ旨そうな栗を,すべて廃棄しなければならない気持ちはどんなに辛いことでしょう。農水産物でも畜産でもそうですが,豊穣な収穫はそれだけで従事者に生きる喜びを与えるものです。原子力災害は,それを奪ってしまうのです。








2011年9月7日(2)


ps

当室は東京都豊島区南大塚1丁目が所在地ですが,100メートルも歩かずに文京区なので,行動範囲は文京区内が多くなります。上の画像は文京区内の民家の雨樋下から採取した土です。雨樋下は放射性物質が洗われて流れ落ちてきますので高線量になります。土を採取させていただいた民家でも,雨樋下は1μSv/h〜2.3μSv/hを示していました。このくらいの値になりますと,とうてい安全とは言いがたく,また周辺の空間線量も高めになりますので,居住空間に近い場合は除染するという考え方もあります。

雨上がりでまだ土が濡れているときに,表層5〜10cmほどを削り取れば,最低でも放射性セシウムの7割ほどを取り除くことができるかと思います。除去した土は,掘った穴にビニールシートを敷き,そこに入れて,上からもビニールシートで包み,更に上から覆土しておけばいいでしょう。雨上がりに作業し,ビニールシートに包むのは,拡散させないためです。

当室付近から文京区にかけての空間線量は,道路沿いに測定しながら歩いていくと,0.07μSv/hから0.12μSv/h程度の値を指します。0.1μSv/hのところが多い印象です。道路の隅の地上を測定すると,0.2μSv/hから0.5μSv/hの値が普通です。放射性セシウムを含んだ土砂が溜まっているためだと考えられます。東京都の公式発表値は,地上18メートルの建物からさらに一メートル上方に置いた測定器の値で,カラスやハトなどのための値ですので,人間の生活空間である路上高さ1mの値と解釈してはいけません(文責/MWS)。



*1 道路の端は,「犬のさんぽ」のコースなのです。犬は高線量とも知らずに,道路の端を歩いて散歩します。都内でもこのレベルの汚染なのですから,北関東や福島県内ではもっと高いことは確実です。早期の除染を願いたいところです。








2011年9月7日(1)


ps

ps

ps

きのう雨水利用について心配したのには理由があります。筆者はヒートアイランド化を防ぐためにも,健全な水循環を促進するためにも,雨水の積極利用を推奨しています。当室のベランダでも,雨水は,植物たちへの水源として活用しています。特にアロエは水耕栽培状態で,排水パイプの水で育ち,お化けのように伸びてきています。数年に一度くらい収穫して,太いものは食用にしていたのですが,当然ことしは×です。降雨排水は放射性セシウムをたくさん含んでいるからです。

そこで試しに,今年の収穫についてガンマ線を簡易計測してみました。上の画像がバックグラウンド,中段がアロエを盛りつけたところ,下段が測定器を載せてその上にアロエの幹をかぶせたところです。画像でお判りと思いますが,何度測っても数値が上昇します。これはバックグラウンドの変動範囲を超えていて,明らかに有意です。このアロエは,ガンマ線を放射する何かを含んでいる可能性があります。

ふつうは,このような含水率の高い検体を置くと,水の遮蔽効果により測定値はバックグラウンドよりも低くなるか,バックグラウンドと同程度の値になります。測定値が上昇するものはお目にかかれません。この測定で,アロエが高濃度の放射性セシウムを含むとは結論できませんが,その可能性は低くないと筆者は考えています。機会があればさらに調べてみたいと思っています。(文責/MWS)。








2011年9月6日(2)


ps

ps

当室はマンションの一室で角部屋に位置しています。ベランダは東側と南側にあって,南側は頻繁に出入りするので,原子力発電所の事故後しばらくして放射性物質が降ってこなくなった頃に除染しています(水をまいてブラシをかけて水で流しました)。東側は福島方面からの風が当たる部分なのですが,植木鉢が並べてあることもあって,除染はしていませんでした。そこで先日,東側のベランダ掃除を行い,溝などに溜まった泥を取り除きました。とうぜん高い放射能を帯びている危険物ですので,いつもなら植木鉢に戻すところですが,今回はやめました。

その泥のガンマ線量を測定してみたのがきょうの画像です。上はバックグラウンドで,筆者の作業部屋です。ベランダの溝にたまった泥は,0.6〜0.7μSv/hもあります。年間の値に換算すれば5mSvを越えますので,よろしくない数値です。筆者はベランダの溝の上に寝ているわけではないので,この線量を浴びているわけではありませんが,こういった高線量の場所があると影響は半径1メートルくらいに及びますので,狭い狭い当室ではけっこう厄介な問題です。

このような測定例からおわかりのように,東京都内でも,放射能汚染が続いています。いま現実に身近に起きていることなのです。都区内でしたら,雨水の排水パイプや雨樋などの近くは周囲よりも放射性物質が集まっていると思って間違いありません。雨水は利用価値が高く,溜め水にしたり,植物の散水用などに利用している方も多いと思います。そのような利用法は合理的で環境負荷も小さくでき,素晴らしいことなのですが,今回の原子力災害により雨水の利用が庭木や家庭菜園,プランターなどの放射能汚染に結びつかないか心配です(文責/MWS)。








2011年9月6日


野生キノコ出荷停止へ 農水省・福島県、放射線検査強化

 福島県で採れた野生キノコから国の基準を超える放射性セシウムが相次ぎ検出されたことを受け、農林水産省などは、それらの地域のマツタケなどについて、原子力災害対策特別措置法に基づく出荷停止と摂取制限の対象とする方針を固めた。措置が決まれば入山が止められ、まもなくシーズンを迎えるキノコ狩りができなくなる。
 基準の1キロあたり500ベクレルを超えたのはチチタケ。古殿町で3200ベクレル、棚倉町で2万8千ベクレルが検出された。福島県は両町に出荷や摂取の自粛を要請し、市場に流通はしていない。しかし、汚染濃度が高いため、農水省と県は両町周辺での検査を強化するとともに、この地域での出荷と摂取を法律で禁じる必要があると判断した。生きた木と共生して養分を吸い上げる「菌根菌(きんこんきん)」類全体を対象とする方針で、ほかにホンシメジなどが含まれる。
 両町は福島第一原発から50キロ以上離れている。県が棚倉町の採取場所の空間放射線量を調べたところ毎時0.38マイクロシーベルトで、町中心部と変わらなかった。このため県などは、チチタケが腐葉土などからセシウムを吸ったとみている。
2011年9月5日8時0分
http://www.asahi.com/national/update/0904/TKY201109040352.html






この記事では菌根菌を対象としていますが,それ以外の菌類もセシウムを濃縮しますので,菌類全体を出荷停止と摂取制限したほうが現実的だと思います。だいたい,一般の人には,菌根菌かどうかなど,全く区別がつかないことでしょう。菌類が放射性セシウムを高濃度に蓄積することは過去からよく知られており,また,チェルノブイリ原子力発電所事故でも,事故後ひじょうに長い期間にわたり汚染が続くことがわかっています。日本だけが特別ということはありませんので,きのこは一切禁止にしてしまったほうがいいでしょう。

注意すべきは,農水省が福島県を対象としていることです。筆者の予想では,1キログラムあたり500ベクレルを越えるきのこは,栃木県や茨城県などでも見つかることと思います。きのこの種によっては,埼玉でも千葉でも東京でも見つかると考えています。放射性セシウムを摂取しないように努めている人は,福島県に限らず,放射性セシウムが降った地域では,しばらく様子を見るのが賢明です。

心配なのは栽培きのこの動向です。栽培きのこは広葉樹などを原料とした,原木/おが粉などを用いて栽培されますが,原木が放射性セシウムで汚染されていれば,それで栽培したきのこにも放射性セシウムが移ります。福島県はきのこ用原木の主要生産地なので,全国各県で福島産の原木をもちいたきのこ栽培が行われていると考えられます。原木に関しても,これから出荷停止などの措置が必要になるかもしれません。

本欄ではすでに紹介しましたが,菌根菌は樹木の根と結びついていて栄養物のやり取りをしています。菌根菌が土壌から吸い上げたセシウムは樹木にも移行するものと考えられます。菌根菌の出荷停止が政府の方針であるならば,菌根菌と結びついた樹木についても出荷停止を検討する必要があるかと思います(文責/MWS)。



*1 室内栽培のきのこについては,原木がある程度放射性セシウムを含んでいたとしても,基準値を超えるほどの汚染にはならないとの考え方もあるかと思います。しかし基準値以下でも,国内に幅広く放射性セシウム含有食品を流通させることになってしまうので,そのような事態が想定される以上,元を絶つのがよいと考えます。筆者など,毎日きのこを食べるほどのきのこファンで,市販品はもとより,そこいらへんに生えているものも顕微鏡でみたあとに食べてしまうのですけど…。原子力政策を推進し賛同した安全基準に手抜きした人たちのせいで,ながねんの人生の楽しみも奪われてしまいました。。





2011年9月5日


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この珪藻はRhizosolenia setigeraという種で,海にいる浮遊種です。ひじょうに細い針のような構造を持っています。細胞分裂のときも,お互いの細胞にこの細い針が食い込んだ形の被殻が形成されていきます。この針はバクテリアよりもずっと細く,先端を撮影するのに苦労するほどです。なぜそのような構造が必要なのかよくわかりませんが,ひょっとすると,針の先が障害になって,動物プランクトンなどに食べられてしまう機会が減るのかもしれません。この珪藻,日本沿岸にふつうにみられます。海水を数リットルくらいくんで,沈殿させるか,目の細かい布やプランクトンネットでろ過濃縮してから検鏡すると,けっこう見つかります。はやてとこまちの連結部分みたいな素敵な形を参考に,探してみて下さい(画像/MWS)。








2011年9月4日(3)


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珪藻の撮影では分解能を優先しますので,筆者は,あまりコンデンサを絞りません(照明NAが低下するような使い方をしないという意味です)。しかし目的によっては深く絞り込むこともあります(中央絞りで照明NAを低下させるという意味です)。特にプレゼン用の画像のときには,分解能を落として撮影します。筆者がまともに高分解能撮影すると,ふつうは写らない構造がたくさん写ってしまうので,珪藻を光学顕微鏡で見慣れた研究者にとって,かえって分かりにくい絵になることがあるからです。今回の撮影ではコンデンサ絞りを50%まで絞り込みました。

これでは分解能の低下が顕著なので,照明波長を短くしてあります。通常よく使われる550nmでコンデンサ開放の場合と,照明波長410nmでコンデンサ50%の絞り込みを比較すると,ほぼ同じ分解能になります。コンデンサを深く絞り込んでも,通常の油浸検鏡でコンデンサ開放レベル程度の分解能を得ることができます。こういった工夫がきちんと画像に反映されるので,顕微鏡というのは本当に楽しい(^_^)ですね(画像/MWS)。








2011年9月4日(2)


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上の画像はこちらから採取しました。すっかり有名になった山下先生が写っています。下の方をよくみてください,何て書いてあるでしょうか。

訂正:質疑応答の「100マイクロシーベルト/hを超さなければ健康に影響を及ぼさない」旨の発言は、「10マイクロシーベルト/hを超さなければ」の誤りであり、訂正し、お詫びを申し上げます。ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ありません。

本欄でも紹介したように,山下先生は次のように言っていたのです。

科学的に言うと、環境の汚染の濃度、マイクロシーベルトが、100マイクロシーベルト/hを超さなければ、全く健康に影響及ぼしません。ですから、もう、 5とか、10とか、20とかいうレベルで外に出ていいかどうかということは明確です。昨日もいわき市で答えられました。「いま、いわき市で外で遊んでいいですか」「どんどん遊んでいい」と答えました。福島も同じです。心配することはありません。

これが,福島県のホームページで,こっそりと修正されているのです。

専門家が根拠のないデマを流したり,専門外のことを平気で決めつけたりするなどの幼稚な振る舞いを行うことについては,本欄でも厳しく指摘してきたところですが,山下先生のこの行為についても,表に出し,真意を追究し,専門家としての資質を疑わなければなりません。

山下先生は,3月21日時点で,いわき市でも,福島市でも,どんどん遊んでいいと言ったわけです。この時点での福島市の空間線量は7μSv/hで,これは地表面の値ではありません。また,ホットスポットの値でもありません。これまでの測定でわかってきましたが,平均的な空間線量と比較すると,数十倍以上のホットスポットが地表面から見つかることは珍しくありません。この時点の福島市なら,100〜300μSv/hレベルのホットスポットがたくさん存在していただろうと思います。そして現在とは比較にならないほどの,内部被曝の危険性があったのです。

専門家であれば,そういったホットスポットの存在を指摘し,まだ汚染の実態はわからないから放射線の情報に留意するように,と述べるのが筋でしょう。しかし山下先生は,まだ原発が煙を噴き上げていて,東京には放射能の雨が降りはじめた3月21日の段階で,どんどん遊んでいいと言ったわけです。

そして一般市民に放射線を多量に浴びることを推奨し,浴びせたあとに,発言が修正されているのです。これが放射線健康リスク管理アドバイザーの専門家としての仕事です。こういう人が専門家として招かれる世の中自体に問題がありますが,それはともかく,山下先生の今後の仕事も,皆で追跡してゆかねばなりません(画像/MWS)。








2011年9月4日


チチタケから規制値大幅超セシウム…福島・棚倉

 福島県は3日、同県棚倉町の山林で採取した野生のチチタケから、国の暫定規制値(1キロ・グラム当たり500ベクレル)を大幅に上回る2万8000ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。
 チチタケはシーズン初めのため、市場に流通しているものはないが、県は同日、同町や販売業者に、チチタケを含む野生キノコ(菌根菌類)の摂取と出荷を自粛するよう通知した。
 県によると、このチチタケは1日に採取された。県は今後、付近の野生キノコの放射性物質検査を行うとともに、摂取自粛を呼びかける看板の設置などを行う。
 同県では、これまで野生のキノコで暫定規制値を超えたのは、同県古殿町のチチタケの3200ベクレルが最高値で、県は「ここだけ突然高い値が出たので困惑している。調査を続けて原因を調べたい」としている。
(2011年9月3日20時51分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110903-OYT1T00616.htm




筆者は4月3日付けの記事で,「さらに濃縮率が高くなる恐れのある天然きのこなどは,いったいどのような値になるのかと思うと,本当に恐ろしく思います。乾燥重量当たりでは,10万〜100万ベクレル/kgになる可能性もあります」と予想しましたが,上の記事はこの予想が正しかったことを裏付けています。記事には記述がありませんが,乾燥重量との断り書きがないので,湿重量での値でしょう。すると,このチチタケは,乾燥重量一キログラムあたりでは,20万〜50万ベクレルもの値になります。このくらいになると,ガイガーカウンターを近づけると激しく鳴り響きます。上の記事では,「ここだけ突然高い値が出たので困惑している」と書いていますが,筆者はこれが不自然な値とは思いません。放射性セシウムの降灰量や,地形的な効果,土壌の質などによって,濃縮率は様々に変わるでしょう。

本欄では,放射性セシウムの濃縮について,菌類の関与を指摘してきましたが,それは,上の記事のようなことが起こることが確実に予想されたからです。実際,ウメ,モモ,ナシ,チャなどの菌根を形成しやすい樹種からは低レベルながら放射性セシウムの検出が続いています。政府の野菜出荷制限の規制解除とは裏腹に,地面の下では,放射性セシウムの再吸収と移動が起きており,今後長い間,きのこや樹木,その果実などから放射性セシウムが検出され続けることになります。野菜や米の測定値が低かったからといって,放射性セシウムの汚染がなくなったわけではありません。

4月の記事でも書きましたが,福島県はきのこの名産地でもあります。県民の多くが秋になれば山に入り,きのこ狩りを楽しみます。冷凍庫には何キロもの天然きのこが詰め込まれ,山奥の宿などでは塩蔵品などを客に振る舞うところもあります。これは何百年と続いてきた一つの食文化であり,単なる趣味や嗜好品を楽しんでいるのとは根本的に異なります。こうした食文化が事実上,奪われたことになります。

ところで,人間は放射能汚染を測定して避けることができます。しかし自然の中で暮らす野生生物はそうはいきません。このような高度に放射性物質を蓄積した食物でも平気で食べてしまいます。きのこを食べる代表的な動物は昆虫とイノシシです。放射性のクワガタが出てくるだろうという予想はすでに書きました。放射性のイノシシはすでに宮城県で見つかっています。イノシシはチチタケだけでなく地上に生えるきのこをたくさん食べます。またミミズも好物で,コケの下などを掘り起こしてミミズを食べています。ミミズは土壌の浅いところにいて,土壌を体内に取り込みながら中に含まれる微生物や菌類を食べています。つまりミミズも放射化していて,きのこも放射化していて,それを食べて暮らすイノシシも放射性物質が蓄積していくということです。この秋から冬にかけて,湿重量一キログラムあたり,1万ベクレルから10万ベクレルにも達するイノシシが,福島県を中心に見つかることでしょう。

これが海も山も川も湖も汚染し尽くす原子力災害の恐ろしさなのです(文責/MWS)。



*1 福島県が天然きのこにまで目を光らせるようになったのは評価できます。県民の数%がきのこ狩りを楽しむとしても,数万人のレベルになります。この方々のきのこの消費量は,湿重量で,1シーズン数キログラム以上になります。もし,2万ベクレル/kgのきのこであれば,最低でも数万ベクレルの放射性セシウムを,短期間に摂取することになります。これは,政府の定めた暫定基準値からみても容認できないことは明らかで,摂取量が少ないからといって無視できるものでもありません。残念ながら,今後一世紀以上にわたって,福島県の天然きのこを楽しむことはできないでしょう。

*2 筆者の予想では,関東地方のきのこでも,暫定基準値を超える放射性セシウムを含むきのこは次々と見つかることと思います。福島県だけが危ないのではなく,地上数センチのγ線が,事故以前のバックグラウンド値よりも高くなってしまったところでは,どこでも汚染の可能性があると考えます。






2011年9月3日


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えんえんと撮影と画像処理が続き,うーむな状況です。筆者は研究用の撮影では,モノクロCMOSを多用しています。通常は,これで一発必中の撮影を行います。顕微鏡写真といえば,ピントを変えて何枚も撮影するのが定石ですが,そのようなことをやると収拾がつかなくなるので,一発撮りにするのです。画像はかならず,ブランク画像とセットで撮影して,背景減算ができるようにしておきます。

そのようにして得た画像をまず背景減算して,タイリング(つなぎ合わせ)して,画質調整して,その画像のコピーに対してbackground subtraction画像を作り(ImageJ),その画像と元画像を合成して,最終的な画質調整をして,珪藻部分を切り取り,報告用の絵とします。あまりにも面倒で時間もかかりますが,永年やっているうちに,自然とできあがってきたスタイルです(画像/MWS)。








2011年9月2日


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研究用の標本撮影が続いています。300以上の珪藻被殻を種々の方法で撮影するので最低でも1000枚にはなるでしょうか。その合間に撮影練習も行いました。最近忙しくて油浸検鏡をしない日がかなり長く続いたので,高分解能撮影の技術をチェックするためです。一度身に付けた技法はそう簡単に抜けないものですが,それでも,画像の品質には微妙な差が現れてきます。きょうの画像はコアミケイソウCoscinodiscusの胞紋の内部構造ですが,この微細構造は照明している光の波長の1/2よりも小さいというものです。こういった撮影が極度に難しい微細構造は本当によい練習になります。何とか映し出せて一安心しましたが,ちょっと品質にも不満があり,やはり時々は練習しないといけないと思いました(画像/MWS)。








2011年9月1日


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もう9月ですか。筆者は「もう8月」とはあまり思わないのですが,なぜか9月は特別です。たぶん,夏休みが終わる,という昔の記憶が無意識に刻まれているのかもしれません。でも,あと60日もすれば,ちらほらと枯葉が舞い,寒くなってくるなんて,何だか信じられない気もします。この夏は種々の作業に追われるままにここまできてしまい,外出したのも数えるほどという有り様ですが,まだ暑いうちに夏の遊びをやっておきたい気がします。川底から重金属元素を見つけるとか…。上の画像は,筆者が息抜きに出掛けることのある広場です。木々が奏でる風の音を聞いているだけで,なんとなく休まります(画像/MWS)。



原子力災害情報も永らく休止してしまい済みません。言いたいことは山ほどあったのですが余裕がありませんでした。そのうちに再開したいと思っています。





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