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MWSが顕微鏡下の世界を伝えるコーナーです。
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2008年2月29日


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珪藻プレパラートはテスト試料や展示用としての実用性の高さもさることながら,「なんとなく」顕微鏡を覗く対象として優れているのではないでしょうか。特に理由もなく,なんとなく見てみたくなったから見る,これこそ,人間の好奇心が動かされている証拠でしょう。仕事が終わったあとの珪藻を眺めるひとときは,忙しい日常モードをちょっとだけ忘れさせる,素敵な時間になるかもしれません。画像のプレパラートは珪藻プレパラート【ASK-01】で,一枚で多様な種が観察できるのでもっとも人気があるものです。微分干渉顕微鏡を用いてカラーコントラストモードで検鏡すると,色ガラスを散りばめたかのようです。(DIC,撮影/MWS)。





2008年2月28日


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アメーバはゆっくりと移動するというイメージをお持ちの方も多いと思います。事実そうですし,ゾウリムシのようにスタコラサッサと移動することはできないのですが,顕微鏡下では意外に素早い動作を見せたりもします。上の画像と中段の画像までの時間は十数秒です。まったく形態が異なっていることがわかると思います。アメーバは明るいところが嫌いな種が多く(負の走光性),観察の照明光を避けようと暗いところを求めて移動します。酸化鉄などの暗色鉱物があれば,下の画像のようにすぐに潜り込んでしまいます(DIC,撮影/MWS)。





2008年2月27日


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生きている(運動する)原生生物の姿を写し止めるのは,スポーツ写真のような難しさがあります。絶えず動き回り,形を変え,視野から消えていく原生生物を,ステージを操作し,ピントを合わせ,シャッターボタンを押さなければならない。手が何本か欲しくなる瞬間です。このワムシの仲間も動きが速く,伸び縮み運動も活発で,対角線視野いっぱいに伸びた姿が入るだけでも奇跡的で,輪盤が広がって毛が写るなど,ねらってできれば神業です。実際にはそんなにうまく行きませんので,執拗に追いかけ回し,撮影枚数で勝負します。うまくいけば,固定サンプルでは決して見られない姿を写し止めることができます。何十枚も撮影できるのはデジタル撮影ならではといって良いでしょう(BF,撮影/MWS)。





2008年2月26日


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池や沼の水を検鏡していると輝く太陽のような物体を見つけることがあります(上の画像)。これは太陽虫といって放射状に有軸仮足を出す,アメーバのような原生生物です。このグループは多数の種類がいて分類が難しいですが,下の画像に見られるような有軸仮足や液胞の形から,アクチノフリス属ではないかと考えられます。ぷっくりと膨らんだ液胞はよく見ていると,ときおり縮みます。また,細胞内の顆粒もゆっくりと動いています。このため撮影では速めのシャッターを切った方がブレの少ない絵になります(DF/BF,撮影/MWS)。





2008年2月25日


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キャベツの葉,とくに外側の葉は濃い緑色でクロロフィル含有量も高いですから,クロロフィルの自家蛍光を観察するのに良い素材です(食べませんし)。しかし蛍光顕微鏡でクロロフィルの自家蛍光を観察しても,他の部分が発光しませんので全体が赤く光るだけです。そこで,洗濯用洗剤の蛍光増白剤で細胞壁のセルロースを染めてしまえば,細胞壁が青,葉緑体(クロロフィル)が赤に発光してコントラストの対比が美しい絵になると予想されます。さっそくやってみると予想通りで,うまく染まっているところは葉脈や細胞壁がはっきりと青く見え,内部の葉緑体が赤く輝いていて,対比の美しい絵となりました。陸上植物の葉はクチクラ層が発達しているので,そのまま蛍光増白剤に漬けてもなかなか染まりませんが,葉裏は気孔だけが染まっています。これも蛍光浸透探傷法の一種でしょうか。細胞をうまく染めるにはクチクラ層を剥がした切片を何枚も染色し,具合の良い場所を選んで観察します(epiFL,撮影/MWS)。





2008年2月24日


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これはニシンの鱗の一部です。ニシンのウロコは水封ではコントラストが低いですが,コンデンサを少し絞れば構造がよく見えます。今回はこれに加えて,洗濯用洗剤の蛍光増白剤で染めてみたところ意外な結果となりました。ウロコ本体はほとんど染まらないのですが,深い溝となっている特定の部分が染まっています(下の画像)。これは割れ目に染みこんだ蛍光剤が抜けにくくて染まったままになったのだと考えられます。このようにひび割れ構造が染まりやすい特性を利用する手法に,蛍光浸透探傷法というものがあります。割れていては困る航空機ジェットエンジンのファンブレードなどは,このように蛍光剤で染めてブラックライトで照明を行い,目に見えない傷を探します。今回の蛍光染色は,ウロコそのものが染まるかどうかのテストだったのですが,やっていることは蛍光浸透探傷法だったわけです(BF/epiFL,撮影/MWS)。





2008年2月23日


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これはセネデスムスという緑藻の画像です。イカダモという和名でも知られています。上の画像のように,緑色の4つの細胞が並んでいる姿が多く見られます。この緑色はもちろん葉緑体で,光合成を行う重要な細胞小器官です。緑藻は葉緑体の自家蛍光が観察しやすく,紫色の光で励起すると赤色蛍光が見られます(下の画像)。セネデスムスはごくふつうに見られる種で,池,沼,河川の淀みなどいろいろなところで採集できます(BF/epiFL,撮影/MWS)。





2008年2月22日


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これはタマネギの薄皮の蛍光顕微鏡画像です。薄皮を洗濯用洗剤(蛍光増白剤入り)に浸して水ですすいだものを,そのまま水封にしています。この程度の染色でブラックライトでは鮮やかに輝き,いかにも細胞cellという感じです。そして細胞の区画として観察される部分以外も蛍光を発していることから,細胞がセルロースで包まれていることがわかります(蛍光増白剤はセルロースを染めます)。紫〜紫外線を照射しなければ蛍光を発しませんので,このまま透過明視野観察に使うこともできます(epiFL,撮影/MWS)。





2008年2月21日


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アメーバというのは何度みても不思議な生物です。得体の知れない形態といい,意志を感じる動きといい,エンドサイトーシスによって他の生物を取り込む姿といい,何ともいえません。飽きないのです。顕微鏡をお持ちの方はぜひアメーバを見つけて観察してみることをお薦めしたいと思います。アメーバは透明体なので,きょうの画像のように微分干渉法(上の画像)や位相差法(中段)を使うとコントラストがついて効果的です。しかし,コンデンサを絞り気味にしても十分に,怪しい姿を堪能することができます。アメーバは紫色励起だとほとんど蛍光を発しないようで,下の画像のように,取り込んだ生物だけが発光して見えます(DIC/ph/epiFL,撮影/MWS)。





2008年2月20日


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生物を構成するタンパク質や脂質には自家蛍光を持つものが多くあります。強力な紫外線を照射すると,身のまわりでも多くの蛍光物質を発見することができます。細菌や原生動物も例外ではなく,蛍光染色することなしに自家蛍光が観察できる場合があります。この画像は風呂釜から出てきた湯垢(1月3日,5日参照)を400nm励起の蛍光顕微鏡で観察したものです。無染色なのに弱く光る蛍光が肉眼でも確認できます。数秒程度の長時間露光を行えば比較的はっきりとした蛍光像をとらえることができます。この画像では,周囲のバクテリアのコロニーが発光しているようすや,ワムシ(?)の内部に光る球体が存在する様子などがよく写っています(epiFL,撮影/MWS)。





2008年2月19日


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対物レンズは同じ倍率のものでもいろいろな種類があります。色収差の補正度合いによって,同じ40倍の対物レンズでもプランアクロマート(NA=0.65)とプランアポクロマート(NA=0.95)があり,価格は数倍も変わります。もちろん,後者の方が開口数も大きく色収差もよく補正され,高性能であることは間違いありません。しかし高性能になるとそれだけ使い方も難しく,また高性能が発揮できる条件も少なくなります。きょうの画像は比較的安価なプランアクロマートで撮影したトリケラチウムです。2月17日の画像はプランアポクロマートでの撮影ですが,両者を比べても,色収差以外はそれほどの違いを感じません。むしろきょうの画像の方が味わい深いと感じる向きもおられるのではないでしょうか。物体が極限までのコントラスト,分解能を要求しない場合は,アクロマート系対物レンズの落ち着いた被写界深度のある画像がむしろ美しく見える場合もあるのです。この辺りを見抜いて,同じ倍率の対物レンズを使い分けると,プランアポクロマートではフレアが発生するような条件の試料をプランアクロマートですっきりと撮影できることがあります(DF,撮影/MWS)。





2008年2月18日


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海底堆積物(化石)を検鏡していると珪藻とよく似たガラス質の殻が目に付きますが,多くは放散虫です。珪藻よりも古くから出現した珪酸を利用する生物です。珪酸質の骨格は化石として残りやすく,また変成作用を受けてチャートなどの岩石に生まれ変わります。粘土鉱物と放散虫を良い割合で含み適度な硬さに変成した堆積岩は上等な砥石になります。放散虫は形態が多様で美しく,また比較的大きいのでピックアップが可能で,放散虫をコレクションするマニアが世界各地に存在します(DF/oblique,撮影/MWS)。





2008年2月17日


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珪藻は立体的に複雑な形状をしていますので,撮像のときはどこにピントを合わせたらよいのか悩みます。深度合成を行って全面にピントが合った絵を作ってもよいのですが,手間がかかります。動物写真などでは目にピントを合わせると,他がぼけていても見やすい写真になりますが,珪藻の場合,「目」に相当するポイントがないので,種ごとに最適なピント位置を探さなければなりません。この珪藻はトリケラチウムという種で三角型をしていますが,中心部からちょっと深いところにピントを合わせると,三角形の頂点にもピントが合い,どうやらその位置が最適なピントのようです(BF,撮影/MWS)。





2008年2月16日


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2月3日に検鏡した納豆菌を放置しておいたところカバーグラスが貼り付いて剥がれません。こういったプレパラートは,ものによっては,極めて薄くなっていて高倍率検鏡に適しています。そこで今回は対物レンズ,コンデンサともに油浸(NA=1.4)を行い,高分解能を与える照明法で撮影してみました(2月3日は乾燥系NA=0.95)。結果は歴然で,前回は点々にしか写らなかった菌が今回は納豆の粒程度まで拡大され,細部もある程度見えてきています。また,十分に薄いサンプルになっています。やはり,乾燥系対物レンズでどれほどの工夫をしても,油浸対物レンズを越えることはできません。これは当然のことなのですが,検鏡しているとついつい忘れ,乾燥系でも十分によく見えていると錯覚することがあります。注意しないといけません(annular,撮影/MWS)。





2008年2月15日


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珪藻は特徴的な形態をもっていますので低倍率で検鏡しただけである程度分類できる種も多いのですが,逆に,高倍率で精密に検鏡してもなかなか種を特定できない場合もあります。コスキノディスクス属やタラシオシーラ属はその代表で,専門的には電子顕微鏡による分類が行われます。電子顕微鏡が必要な種と光学顕微鏡で同定できる種の境界は不明確な部分も多く,両方の検鏡結果をフィードバックしながら情報を蓄積する必要があります。きょうの画像はコスキノディスクス属の珪藻二種の微細構造です(oblique,撮影/MWS)。





2008年2月14日


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コンデンサが分解能に大きな影響を与えることを述べてきましたが,光の波長も分解能に大きく影響します。高い分解能の画像を得るには,単にコンデンサの開口数を上げるだけでなく,照射する光の波長を短くすることも重要です。上の画像は440nm付近の青紫光,下の画像は570-620nm付近の橙赤色で照明していますが,短波長の光の方が分解能が高く,高空間周波数の成分に対して高いコントラストで像形成を行うことをあまりにも明瞭に示しています(annular,撮影/MWS)。





2008年2月13日


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コンデンサは分解能やコントラストを制御するとともに,視野絞りを物体面に投影するレンズとしても機能しています。このため,高さを勝手に変更すると,視野絞りではなく,他のレンズやガラス面のゴミを投影するレンズとなってしまいます。ですからコンデンサ高さは常に留意すべきです。さて,このコンデンサの機能をよく知れば,物体面に像を投影して遊ぶこともできます。このカツオが珪藻と戯れている楽しそうな像はデジタル合成ではありません。珪藻の観察像に,コンデンサでカツオの像を重ねているのです(BF,撮影/MWS)。





2008年2月12日


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高開口数の対物レンズは高い分解能を誇りますが,その分解能を十分に発揮するためにはコンデンサを注意深く取り扱う必要があります。ここでは二つの物体(珪藻被殻と放散虫の鱗片らしきもの)を例に,コンデンサ絞りの効果を説明しましょう。開口数0.95の対物レンズを用いて,コンデンサ開口数を0.7まで絞った場合,それぞれの物体にある微細構造は正しい像として記録されています。ところがコンデンサを0.4まで絞った場合では,いずれも,微細構造は消え,もとの物体に存在しない混乱させられる像が形成しています。単に微細構造が消えるだけなら良いのですが,構造らしきものが見えるところが厄介ですし,粗大構造のコントラストは逆に増加しますので見た目にはっきりとした印象もあります。このようなことから,コンデンサを絞ることを好む人は,微細構造を消して観察しているケースがあります。高開口数レンズの性能を発揮するには照明が大切で,コンデンサの正しい高さ,ランプが正しい位置にあること,物体の構造に対してコンデンサをどこまで絞れるかを把握していることなどが主な用件になります。コンデンサを絞り込むと,対物レンズの分解能は,最大で1/2まで低下します(BF,撮影/MWS)。





2008年2月11日


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高開口数の対物レンズでは,球面収差を見抜いて最良の条件を探すことが大切になってきます。上の画像は開口数0.95の対物レンズを用いて,正確に補正環を調節した場合の像で,ほぼ無収差の回折限界像となっています。下の画像は補正環をガラス厚さ0.01mm分だけずらして撮影したもので,カバーガラスの厚さが,対物レンズの要求する厚さから0.01mmだけずれていることと同じ状況になります。コントラストはいちじるしく低下し,霧が立ちこめているような霞んだ像になっています。これが球面収差に典型的な症状です。ごくわずかのズレも許されないので,高開口数対物レンズでの検鏡は注意深く行う必要があります(oblique,撮影/MWS)。





2008年2月10日


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これは市販のマイタケ(裏側の管孔)を拡大撮影したものです。タコウキン(サルノコシカケなどの仲間)に特徴的な管孔と呼ばれる構造は肉眼でも確認できますが,顕微鏡で見るとそこに小さな繊毛のような構造がみえます。「きのこ」はおいしい食品でもありますが,植物でいえば花に相当する部分であって,生活史でも特に大事なステージです。この画像でわかるように,きのこの菌糸などは無色で観察しづらい物体です。高倍率で担子器などの構造を観察するときには,コントラストを増すためにフロキシン染色などをがよく行われます(DF,撮影/MWS)。





2008年2月9日


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顕微鏡の対物レンズには0.65とか0.95などの開口数と呼ばれる数値が必ず記入されています。この数値はレンズの性能(分解能)を表すため,単独倍率を表す「40」などの数値よりも重要なものです。上の画像は開口数0.95の対物レンズ,下の画像は開口数0.65の対物レンズを用いて撮影したものです(ともに40倍で単色光520-570nmで撮影)。上の画像では珪藻被殻の微細な刻印が鮮明に見えるのに対して,下の画像では細部がややつぶれてボールドな感じの像質になっています。これが開口数の差に起因する分解能の差で,珪藻プレパラートを利用すると明確に把握することが可能です(BF,撮影/MWS)。





2008年2月8日


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珪藻の被殻は高純度なケイ酸(ガラス質)ですので無色透明です。珪藻被殻だけを集めることができれば,この画像のように純白の試料とすることができます。しかし通常は粘土鉱物などが混入し,そこに含まれる鉄分や他の鉱物によって着色し,黄褐色〜灰色の試料になることが多いです。きれいな珪藻被殻を得るために大切なことは,鉱物の混入が少ない試料を採集することですが,泥上に棲息する種類などもいますので,すべての試料について良好な珪藻被殻を得るのはなかなか難しいことです(撮影/MWS)。





2008年2月7日


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視野には屍が累々と…。というわけではないのですが,なぜか人骨(頭蓋骨)に見えてしまうのは気のせいでしょうか。それとも多くの方がそのように見えるのでしょうか。物体は竹串の断面で,焼き鳥の串をカッターで薄く削ったものです(BF, 撮影/MWS)。





2008年2月6日


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珪藻は生きているときもなかなか美しい姿をしています。この珪藻はピンヌラリアという種ですが,条線が大きくて深いので,生きているときでも被殻の模様を見ることができます。内部が茶褐色に見えるのは葉緑体の色で,クロロフィルの青緑とカロテノイドの橙赤色が合わさってこのように見えます。また,この個体では内部に油球のようなものが見えています。文献によれば珪藻は細胞内部に油球を溜めることがあるとのことです。珪藻石油説というのがあるのですが,このような油球が数限りなく集まって変成し,高純度の炭化水素が生成したものと想像されています(BF, 撮影/MWS)。





2008年2月5日


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メダカ池の沈殿物を小瓶に入れて4ヶ月ほど放置しておきました。それを覗いてみると凝集物がたくさんできていて,ちらほら珪藻が見えます。しかしどのくらい植物が含まれているのかは,雑然としていて見当がつきません(上の画像)。そこで蛍光顕微鏡モードで葉緑体の赤色蛍光を観察してみると,実にたくさんの葉緑体を持つ生物が存在していることがわかります(真ん中の画像)。そしてこの二枚の画像を合成すると,上の画像のどの部分に葉緑体が隠れていたのかを明示できます。蛍光顕微鏡は生物観察/研究を行う上で強力なツールとなりますが,その価値はデジタル技術の普及によってますます増しています(BF/epiFL, 撮影/MWS)。





2008年2月4日


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これはサンショウの枝(断面)です。木材は繊維方向に削るのは容易ですが,繊維と直角にすぱっと切るのは難しく,きれいな断面を得るのが困難です。この画像はよく乾燥させたサンショウの枝をカッターで削って断面を滑らかにしています。100倍程度の倍率でも緻密な構造が構造が観察でき,むかし,導管/師管/維管束などと習ったことを想い出します(上の画像)。サンショウは緑〜紫外線を照射すると強い自家蛍光を発しますから,蛍光でも撮影することができます。ノイズを画像処理で取り除いてやると,下の画像のように,セルロース繊維で作られた美しい構造が明瞭になります(oblique/epiDF, 撮影/MWS)。





2008年2月3日


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納豆を顕微鏡で観察すると当然のことながら納豆菌Bacillus subtilis var. nattoがたくさん見えます。しかしいくら当然とはいえ,こんな無数のバクテリアにしょうゆを垂らしてネギを加えて食べるのはとても不思議な気もします。さらに不思議なのは,この藁に付着している菌が熱に強い特性を利用して,顕微鏡などない時代から納豆菌を培養していた先人の知恵です。むしろ顕微鏡がないからこそ安心して食べられたのかもしれませんね。納豆菌は安全でどこでも入手でき,マウントも納豆のネバネバを少量採取するだけで済みますから,細菌観察を体験するにはとてもよい教材です。明視野照明でも,偏斜照明でも,暗視野照明でも観察することができます(oblique, 撮影/MWS)。





2008年2月2日


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高性能な対物レンズであっても補正範囲を超えた波長では収差が増大して結像が甘くなります。上の画像は840nm以上の近赤外線で撮影した珪藻ですが,コントラストが低い甘い像になっています。同じ対象を色収差補正範囲内の450nmで撮影するとシャープな像になります。収差補正範囲を超えると球面収差が増大しますので,像質の悪化は主にコントラストの低下として表れます。珪藻は広い波長範囲にわたって透明なので,広域で透明な封入剤で封じれば,対物レンズの波長別結像範囲を調べるためのチャートとしても利用可能です(BF, 撮影/MWS)。





2008年2月1日


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顕微鏡による写真撮影では,光の制御によって観察できる領域が変わります。画像はアブラムシの乾燥標本ですが,このような分厚い不透明体は,そのままでは内部まで観察することが困難です(上の画像)。このようなとき,赤外線を用いてモノクロカメラで撮影すると,可視光よりも透過性がよくなり深い部分もわかるようになります(下の画像)。専門的には赤外線用の対物レンズが欲しいところですが,700nm〜800nm付近であれば可視光用のレンズでも結像します。赤外線はハロゲンランプの光に多く含まれていますから,適当なフィルタで短波長をカットすれば簡易的な近赤外顕微鏡となります(BF, 撮影/MWS)。






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