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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
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2020年7月31日
今月は新型コロナ対策そのほかの関係から本ページに掲載する顕微鏡画像が不足し,料理特集みたいになりました。ので,最後の画像も料理にいたしましょう。
筆者は基本,素材の味を食べるのが好みなので最小限の味付けしかしません。素材がうまければそれで料理として成立しますし,「調味料を味わう」ようなこともなくなります。
別に「調味料を味わう」ことが悪いわけではありませんが,何にでも市販のダシつゆをかけてうまいうまいと言っている人を見ると,その人はダシつゆが好きなのでは?と思ったりもします。イクラのしょうゆ漬けを作るときに,本来は煮きり酒,しょうゆ,昆布が本筋ですが,ある人は大量のみりんを入れてイクラの味を殺しています。またある人は市販のダシつゆでイクラを漬けると最高といいます。
まぁその人が最高と思うのだからそれでいいのだけれども,その人は少なくとも,素材の味を大切にはしていないように思えます。だって創味のつゆをかけたら何でもおいしくなりますよ。つゆの味で。それは料理の伝統としてはどうかなーという気もします。魚料理は魚で味付けしないという不文律みたいなものがあって,たとえば煮魚に鰹節を加えたりしないでしょう。日本料理の伝統です。
だからイクラには昆布までなら許容範囲というわけですが,ダシつゆは行き過ぎです。でも最近は市販のイクラしょうゆ漬けにも鰹だしが入っているものがあって驚きます。お世話になっている先生のところで手巻き寿司をごちそうになったのですが,そのときのイクラがカツオの調味液が入っていました。一口食べた瞬間に人造イクラ?と思いましたが,二口目に,あれ,これは天然イクラに鰹だしだ,となったのでした。
さて話が大きく脱線しましたが,きょうの画像は当店のいい加減メニュー。タマネギはざくざくと切り,トマトは皮をむいて刻んで放り込み,ブナシメジは培養基のおがくず部分を切って捨て,本体は香料で着臭していなければそのまま放り込み,適当に塩,コショウ。あとはフタをして弱火で煮込みます。テフロンのフライパンを使うので油も入れません。水は一切加えません。なぜなら,加熱中に野菜組織が分解され水が出てくるからです。この水こそ,野菜のうまみを含んだ調味料です。
じゅうぶん煮込んで味がなじんだら,オクラを加えて少し煮てできあがり。この料理に名前はありません。タマネギの甘み,トマトのコクとすこしの酸味,ブナシメジのダシ,オクラの粘りが渾然一体となって,薄味なのにしっかりとした味わいのある煮野菜です。何にでもケチャップ,味の素,ソース,マヨネーズ,油を放り込んで調味料を食べるような料理とは対局にあるようなものです。
調味料たっぷりの料理が悪いというわけではありません。調味料たっぷりの料理は,「脳が喜ぶ」感じがします。幸せなのです。素材の味を食べる料理は,脳はそれほど喜びませんが,「身体がラク」な感じがします。身体が喜ぶのです。そのときの状況に応じてどちらかの料理をチョイスすればいいのでは,と思います。
こんなことを書くのも,筆者が毎晩,酒を飲んでいるからです。酒は「脳が喜ぶ液体」です。身体はそれほど喜びません…。 もっとも酒を飲まないと寝られないので,身体もぼろぼろになるんですが(画像/MWS)。
2020年7月30日
本を出版するということは,自分の経験や技術をさらけ出すことでもあるので,ある種の覚悟が必要です。誰でもできるようなことを得意顔になって吹聴するような本も世の中にはあるわけですが,筆者としてはそのような本をわざわざ出版する気にはなりません。では,どの程度の経験の蓄積があればよいのでしょう。
これはなかなか難しい問題です。そのむかし,学生だった頃,「論文を出版するタイミングはどうやって判断するのですか?」と大学教授に質問したことがあるのですが,明快なお返事をいただくことはできませんでした。厳格な方だったので,やはり突き詰めて考えてから執筆するタイプだったのでしょう。
筆者の最初の本『吸光光度法ノウハウ』は,人生の一部を詰め込んだような本ですが,この本に含まれている経験は出版日から過去16年くらいにはなります。高等学校時代から水質分析をやっていたので,その頃からの経験が生きています。はじめてJIS-K0102を読んだのは高校三年生のときです。そのときにJIS-Z8802とかJIS-R3503などの存在を知り,以後,JISハンドブックをひっくり返して読んだものでした。その後の大学時代や大学院時代の経験もすべて盛り込まれています。
それから長い年月を経て出版した単著がきょうの画像『珪藻美術館』(旬報社,絶版)です。この本は2015年12月の出版でしたが,この本に盛り込まれている経験は,やはり過去20年以上の蓄積があります。顕微鏡の勉強を始めたのが1993年頃。珪藻をまともに検鏡し始めたのが1995年頃です。その後も珪藻の研究を続け,研究職をやめてMWSを開業したのが2007年9月。そこから日々,顕微鏡と珪藻をいじって8年以上になります。
要領のよい人ならば,これだけの時間があればもっといろいろな出版物を作れるのかもしれません。でも,筆者としては,ほかにない,その分野で外せない一冊に仕上げたいとの思いがあります。本を書くからには,歴史にさらされても恥ずかしくないものを出したいのです。ので,よほど十分な経験を積んだ題材でなければ書けません。
この考え方は「昭和」のものです。現代は様々な情報が飛び交い消費され忘れ去られていく時代です。その流れの中でもまったく動かずに存在し続ける巨岩のような仕事を目指すのは,ほとんどの人に理解されないという意味において,はっきり言って阿呆です。それはわかっています。
でも,世の中には,阿呆も必要なんじゃないかとも思うのです…。
きょうの画像の本はすでに絶版なので入手は困難です。amazonさんでは価格高騰していていけませんね。筆者も手持ちがありません。問い合わせなどに対応する必要があるので仕事用に一冊は持っていますが,ストックは一冊あったかな? 処分したかな? という状態です。
たまーにオークションなどで安価に出ることがあるので,そういったものを狙うのもよいかもしれません。図書館にも所蔵があるところがあるので,ごらんになりたい方は探してみるのもよいかもしれません。amazonのレビューにもありますが,コンパクトな本ですけれども,この一冊にどれだけのエネルギーを注ぎこんだのか,というほどの労作であることは,作者であるわたくしが1番よく知っています(画像/MWS)。
2020年7月29日
あるいて2分のところにある中堅スーパーは,便利なこともあってここ20年ほどウオッチングしているのですが,あまりよい魚がない。数年前に改装してからお魚担当が変わったらしく,ちょっとはよい魚が入るようになったけれども,歩いて15分のところにある「よしや」には足下も及ばない。
でも,日曜日に入る?トロ箱には,たまにとってもよいものがあって「買い」なのです。このまえの日曜日には新潟産のスルメイカが入っていてカミさんが一パイぶら下げて帰ってきました。一目見るなりびっくり仰天,都心では珍しい鮮度です。こんなよいものを小さな一匹だけ料理しても仕方がありません。直ちに追加を指示しました。合計3バイ入荷。450円ほど。信じられない安さ。このところ,イカは高騰しているのです。
めちゃめちゃ鮮度がいいね,とカミさんに問いかけると,トロ箱の中で,氷・イカ・氷・イカの順番で入ってたとのこと。これは出荷業者がえらいですね。この鮮度ならブランド化を狙えます。何しろ,イカの寄生虫が元気100%でちょろちょろしているのです。素晴らしい。
ということで,きょうの画像は(東京にしては)久しぶりに良いイカが入ったので,超高演色タイプ(Ra=98)のLED電球で真面目に撮影したイカ画像。良い素材は人をやる気にさせます(笑)。画像2枚目に寄生虫がくっついているのを,本ページのグルメな読者は見落とさないでしょう。
画像3枚目は,当店特製のいかゲソバター醤油。これは炒め物ではありません。いかげそは沸騰したお湯(火を止めた直後)に投入し,ぐるぐると数秒〜10秒くらいかき混ぜて,ざるにあげます。そのまま水を切ります。
バター,しょうゆ,日本酒少々を深い鉢に入れて,電子レンジで加熱して水気を飛ばしてソースを作ります。フライパンとガス火を使ってもよろしいです。しょうゆと日本酒の水気がなくなり,オイルの感じになればOKです。いかげそはキッチンペーパーで水気をしっかりとり,バター醤油ソースと和えます。これで完成。お好みでコショウを挽いてかけます。
これで汁気の出ない,バター醤油味の,柔らかいいかげそを味わえます。…といっても,筆者が勝手に思いついてやっていることなので,プロから見たら鼻くそレベルの仕事かもしれません。そこんところは勘弁を。でも家庭料理ならこんなもんで十分です。
画像4枚目はイカのワタ和え。イカの胴体は開いて表の皮をむきます。裏側はエラなどを外しますが皮はそのままです。アニサキスほか寄生虫の宝庫なので,開いた身は,1)高輝度光源での透かし,2)暗室での紫外線照射,によって寄生虫を探します。どちらもよく見える方法ですが紫外線の方法はイカの身と寄生虫で色が異なって見えるので面白いです。すでに本ページでは2008年4月19日でアニサキスの蛍光画像を掲載していますが,それの応用です。今回は内部に潜り込んだアニサキス以外の寄生虫が一匹いたので,切開して,ピンセット(TS-11)で取り除きました。
開いた身は多めの振り塩(藻塩)をして冷蔵庫に入れます。イカのワタはべた塩をして冷蔵庫に入れます。途中,水が出てくるので捨てます。これを数回繰り返します。3〜5時間経過したら,ワタ和えを作ります。イカの身は,よく研いだ包丁でかなりの細切りにします(一応のアニサキス対策でもあります)。イカソーメン級でよろしいです。そこに塩で脱水したイカワタを絞るようにして加えます。
加えたらひたすら混ぜ混ぜ。もう本当にひたすら混ぜ混ぜします。そしてダマの部分と,イカワタのスジ,皮の部分を取り除きます。そして味見。足りなければしょうゆで補います。ほんの少しくらいです。味がきまれば冷蔵庫に放り込み,味をならします。1時間もあればOK。
このワタ和えは宮内庁御用達にしたいくらいの味わいでした。焼き海苔に白米を載せ,そこにこのワタ和えをのせて食するのです。手巻き寿司の感覚です。卵の黄身のようなふっくらとした味わいがあって,雑味,生臭さは皆無でした。風味の関係で鮮度を見極められなければ決して作れない,というか作ってはいけない部類の料理です。
超高演色の照明とNikon1J5の実力でその真価が伝わるとよいのですが…(画像/MWS)。
* イカのみみはどうしたんだ,と思ったそこのアナタは鋭い。あまりにうまそうなイカだったので,調理中のダンナを横目に夕方のビールを始めたカミさんにおつまみとして献上したのでした。水気をしっかりとって藻塩を振って皿の上に並べ,バーナーで炙って,『イカみみの半生炙り』としたのでした。
2020年7月28日
きょう紹介するのは『吸光光度法ノウハウ』(技報堂出版)です。筆者が書いたはじめての本です。もう17年以上も経過してしまいました。。
内容は水質分析で,特に植物の栄養となるケイ酸,リン酸,硝酸塩の定量に特化した本です。これらの成分は「栄養塩」と呼ばれ雨水にも地下水にも海水にも水道水にも入っていますが,その濃度は千差万別です。その上,たとえば河川水や海水などは,採水して放置すれば生物が増殖または死滅して,これらの成分の濃度も変化します。鮮度の高い生ものなのです。
このような成分を正確に測定するには,じつに細やかな配慮と知識,対応力,それに確かな分析技術が求められます。熟練者から直接教えてもらっても,完璧に各成分の測定をこなすようになるまでは,たぶん数ヶ月はかかります。
しかし現実には,技術者がほかの熟練者から学べる機会は限られていますし,水質分析を教えている大学などでも担当者が「栄養塩」の専門家であることはまれです。説明不十分な教科書をテキストに,正しいかどうかもわからない「測定データ」を得るということになりがちです。
本書はこのような現状に対して,『可能な限りの情報を与えれば正確なデータが得られるのではないか』という挑戦をしたものです。ので,水質分析の本でありながら,体調管理や室内環境,心理学的な考察など,ひじょうに広範囲の内容を扱っています。
この本は母校の実験授業や講座の後輩を指導する中で,質の高いデータを得るにはどうしたらよいかを考えて生まれたものです。もととなる原稿は,筆者が母校を去るときにお土産として研究室に置いてきました。
その原稿を読んでくれた神田先生(現・日本海洋学会会長)が,「この原稿は出版予定などあるのですか?」と連絡をいただき,筆者は,「出版したいけれどもチャンネルがなくてどうしたものかと思っています」とお返事しました。
それからまもなく,複数の筋から当たってみるとのことになり,まず,日本分析化学会経由で朝倉書店に打診が行きました。朝倉書店の返事は否定的なものでした。内容的に新味を感じなかったということです。
その後,神田先生から,技報堂出版の編集者の紹介がありました。小巻さんという重鎮の方で,ホテルメトロポリタンのラウンジではじめての打ち合わせでしたが,「それで,どんな本にしたいの?」というお言葉から打ち合わせが始まりました。このクラスの重鎮の方になるとおそらく,企画会議もなにもなく,本として出せるかどうかは原稿を読めばわかるのでしょう。
打ち合わせの頃は確か桜が咲いていた記憶があります。そのときに,12月の出版にしようかとスケジュールを示されて,この場合入稿は夏になるので,筆者は火の車の状態でした。何しろ専門書の単著ですから,原稿を頭からしっぽまで点検するのに時間がかかるのです。研究と並行して毎日原稿と取り組んでいたのでした。
最終稿は2002年10月頃だったかな。打ち出した原稿を背負って函館のプランクトン学会に参加して行きと帰りに原稿チェック。函館発盛岡行きの特急『はつかり』が青森の,錦秋の稲穂地帯を駆け抜ける中,原稿のチェックをしながら日本の美しい風景を楽しんだことでした。
この本,重鎮の編集者さんの読み通り,販売後はひじょうに好評です。何しろ,ここまで懇切丁寧にすべてを記述した教科書は希有な存在でしたので。ある国研出身の長老のご意見では,この種の本は大正時代まではあった,とのこと。社内でも一週間かけて輪読したい内容,というお言葉をもらいました。
機器分析全盛の現代であっても最後の砦は人間の能力です。ほんとうは,機器分析というのは,手分析が完璧にこなせる人が使うと最高の結果になるのです。もし水質分析に関して右も左もわからないという方がいたならば,本書を通読してみるのもよいかもしれません。なんとなく,その分野の作法みたいなものは見えてくるかもしれません。
きょうの画像2枚目は,日本分析化学会の会誌「ぶんせき」に掲載されたレビュー。『吸光光度法ノウハウ』が出版された当時は,データの質を高めるために詳細な記述をした本というのはありませんでした。「ケイ酸の分析」で3ページくらい。「リン酸の分析」で3ページくらい。硝酸塩の分析で10ページくらい,という感じでした。その,過去のテキストで十数ページに過ぎないものを137ページで詳述したわけですから,理解が進まないわけがありません。
以後,「サルでも分かる」のような,詳述した分析科学系の書籍が相次いで出版されることとなります。
でもこれは自信を持って言えるのですけど,その流れを作った一人は,間違いなく筆者であり『吸光光度法ノウハウ』が起爆剤となったのです。
さて,本ページの読者の多くはたぶん,分析化学者ではないだろうと思います。にもかかわらず,なぜ,本書をここで紹介したのかというと,この本は「読み物」としても面白いようになっているのです。
「ある一つの成分を測定するためにどれほどの配慮が必要か」 ということを書いた専門書なわけなので,本ページの読者の方々にも,いくらでも役に立つ場面があるものと思います。その「役に立つ」具体例は読者によって異なるのでここには書きづらいですが,筆者のもとには,ある仕事上のトラブルに関して,『吸光光度法ノウハウ』を思い出しました,などという連絡も舞い込んだりしています。
筆者にとっては,「栄養塩を可能な限り高精度に測定する」という作業と,「珪藻を可能な限り純粋な姿で封入する」という作業は,脳みその活動としてはほとんど同じです。何をやるために何を想定して対策しなければならないか,という問題です。
この本,まだ出版が継続されていて,技報堂出版さんには感謝のかぎりです(こちら)。amazonさんでもまだ取り扱いがあります(こちら)。ただ,出版社在庫が僅少なようですので,今後はどうなるかはわかりません。ジュンク堂さんの店頭で数年前に5刷までは確認していますが,その後があるかどうかは出版社さんの判断によります。
もし,「珪藻美術館(旬報社)」「珪藻美術館(福音館書店)」を気に入ってくれた方ならば,こんなものを作る筆者について興味をお持ちの方もおられるかもしれません。筆者が精密な珪藻・放散虫標本を製作できるのは,『吸光光度法ノウハウ』で示されたような,『それをやるためにはなにをしなければならないか』が,先読みできるからなのです。
この本(の出版)は,出版作業全般を知るという意味でも貴重な体験でした。ホテルのラウンジでの打ち合わせ作業。もちろん所場代は出版社持ち。入校の方法とイメージの伝え方。当時はまだデジタル写真のクオリティーが低かったので,そこも考えました。初校,再校,苦しみました。タイトルの決め方。表紙のデザイン。カラー印刷。版組で生じる謎のエラー。
見本ができあがったときにホテルのラウンジで受け渡しをして,そのときに『出版契約書』にサインをしました。なるほどこのタイミングでやるのね,と理解できました。そのあとは,そのまま出版社の重鎮に連れられて割烹へ。出版のお祝いです。
その頃,ちょうど筆者は研ぎの独自修行中でしたので,花板さんの見事な包丁さばきに見とれながら,重鎮編集者さんの話を聞いてほんとうに素晴らしい,人生で滅多にない経験をしたのでした。
そのときに重鎮さんが仰った忘れられない文句があります。奥さん,この本で,そこいらへんの先生方が一番驚く内容はどこだと思う? と聞かれました。筆者は答えられませんでした。重鎮編集者いわく,それはp7の10行目の下線をひいた部分とのこと。
その部分は,筆者が奴隷のように?こき使われて大学に何十泊と寝泊まりして苦しんできた部分でもあり,なるほど世の中ではそのようになっているのかと,認識を新たにしたことでした。
もしこの本を読んでみたいなーと思った人は こちら 。出版社のページは こちら 。
個人的にうれしいのは,web上の解説にも引用されていること( こちら )。あの穴が開くほど読んだ高田芳矩先生の著書と筆者が並んでいるというのは考えもしなかったこと。これは恐れ多いというか,なんとも表現し難いです(画像/MWS)。
2020年7月27日
きょう紹介するのは『ずかん プランクトン』です。子ども向けの本格的なプランクトン入門書なのですが,じつはこの本,専門家がみても恐れおののく内容なのです。
その理由はいくつかありますが,まず,それぞれの分野でトップを走る研究者が素材提供していて,写真の品質がひじょうに高いです。編集者さんが素晴らしく仕事のできる方で,妥協を許さずにハイレベルの写真を集めた成果です。プロでも撮れないレベルの画像をアマチュアが撮っていたりしますが,そういった最高レベルのアマチュアの方々からも画像提供を受けています。
そして内容が素晴らしい。プランクトンの研究者も細分化が進み,「珪藻はわかるけど緑藻はさっぱり」「オキアミとコペポーダはわかるけど渦鞭毛藻はダメ」などというのが世の中の現状なのですが,本書は一冊でひじょうに広範囲をカバーしていて,「プランクトン研究者が読んで役に立つ」のです。吸収力に優れている子どもが本書を読んで覚えてしまったなら,そこいらへんの研究者を部分的に凌駕する知識を得ることになります。
イラストは友永たろ先生ですが,これがまた核心をとらえた素晴らしいもので,このイラストにより難しいことがすーっと頭に入ってくるような構成になっているのです。
プロの視点で見て本当に素晴らしいのは,134-136ページです。この本を執筆・編集した清水洋美さんが,どれほどのフットワークでこの本を完成まで持ち込んだか,その苦労の一端が記されています。これは本当に恐るべきことで優れた編集者さんのお仕事を知ることができます。プランクトンに興味がある方ばかりでなく,出版社にお勤めの方にもぜひ見ていただきたい部分です。本当に優れた本はこうやって作るんだ,というお手本になっています。
ということで,『ずかん プランクトン』,オススメです。買って後悔などしないでしょう。ネット上では高価格だとの意見も見られますが,3000円もしない程度の価格で,これ以上の情報量を得られる媒体があれば教えてほしいほどです。一つのパッケージにまとまっていて,電気がなくてもネットがなくても読めて,おそらくはwebをほじくっても数ヶ月はかかるであろう情報量を手元に置いておけるということの意味を考えてほしいと思います。
本書は,その価値を理解する人からは大変な好評で増刷を重ねています。内容を考えればとうぜんのことといえます。すでに一万部以上は出ているようです。
まだ『ずかん プランクトン』を見たことのない人は,ぜひお手にとってご確認ください。新型コロナの世の中なので,さっさとamazonさんで購入するのも一法かと思います(こちら)。プランクトンは,そこいらへんの水をとってきて観察すればいいのでサンプル採取以外は室内作業です。緊急事態宣言が出ているような世の中でも安心して取り組めます。
この本は2011年12月の出版ですが好評で版を重ねています。こういった歴史に耐えた本は価値が高いです。
個人的には,この本の取材で編集者とカメラマンと出かけた東京湾が思い出深いですね。夏の不眠で息も絶え絶えの筆者を連れ回したパワフルな編集者さん,うちあげられたアカエイ,青潮の始まりのような海,ファミレスで食べたまずい海鮮丼と最悪なタバコの煙,サンプルが劣化するまえに撮影と,帰宅してから翌日の明け方まで寝ずに撮影したこと,などが懐かしいですね。
この本には筆者の画像が50枚以上収録されていますが,撮影機材は,Nikon COOLPIX995, 4500がメインです。当時はコリメート法で撮影していました。いま見てもよく写っているものがあり,現在のNikon1J5,直焦点でも写すのは簡単ではないなーというものがあります。
プランクトンとの出会いは一期一会かもしれず,いつも本気の勝負で撮影することが大事なのかもしれませんね(画像/MWS)。
2020年7月26日
『珪藻美術館』ハードカバー刊行のお知らせ
あの幻の雑誌,珪藻美術館(たくさんのふしぎ2019年6月号,福音館書店)が,たくさんのふしぎ傑作集『珪藻美術館』として刊行される運びとなりました。
たくさんのふしぎ2019年6月号はひじょうに好評で多くの方からの絶大な支持をいただきました。通常は数年かけて売れていくものなのに,実質,発売後3ヶ月で出版社在庫が底をつくこととなりました。雑誌なので再版はできませんでした。
このため,多くの方が入手困難になることとなってしまい,amazon価格も上昇の一途で(こちら),皆様には大変ご不便,ご迷惑をおかけすることになってしまいました。
この状況のもと,福音館書店では今春に「珪藻美術館・たくさんのふしぎ2019年6月号」を傑作集に推薦・内定していただき,出版にむけての作業が始まりました。今回の出版では絵本の専門出版社によるハードカバーの装丁ですから耐久性も十分なものとなります。また今回の出版は「雑誌」ではなくて「単行本」ですので,出版社在庫が底をついても需要があれば再版が可能です。これで「珪藻美術館」が皆様のもとに安定供給される見通しがつくこととなりました。出版社による案内は こちら です。
内容は雑誌版と同一です。好評だったスタイルをそのまま崩さずに,しっかりとした単行本になっていますので,末永くご利用いただけることと思います。
活用のシーンは様々なようです。これまでも,ご家庭(大人も子どもも)を初めとして,学級文庫,図書室,公共図書館,研究機関や教育機関での活用,出前授業の資料,プレゼント,病院の待合室(小児科等)での活用など幅広くご利用いただいております。
すでにamazonさんで予約受付が始まりました(こちら)。いま予約注文しておけば,発売日に届くこととなりますので好都合です。現在は冊数制限もかかっていないので,前回雑誌のときのような2冊しか注文できないような不便なことにもなっていません。
初版部数は限られていますので発売後に在庫がなくなれば,再版までの間に品薄になる懸念もあります。いまのうちに予約を入れておくことをオススメいたします。価格も1,430円と手頃です。
皆様,どうか『珪藻美術館(たくさんのふしぎ傑作集)』をよろしくお願いいたします。一人でも多くの方に入手いただけますよう,この情報を口コミ,webサイト,ブログ,Facebook,ツイッター,インスタグラム,メール,メーリングリスト,学会情報,回覧板,学級新聞など,あらゆる方法で拡散していただければありがたいです。
amazonさんの該当ページのURLは https://www.amazon.co.jp/dp/4834085643 です。
どうぞよろしくお願いいたします(画像/amazonのスクリーンショットより)。
2020年7月25日
24日は休日だというのに朝から道路工事の音でたたき起こされ,午前も午後も重機の騒音を聞かされる羽目になりました。本当にこれはしんどいです。仕方なく部屋を片付けたり,料理をしたり,望遠鏡のレンズをメンテナンスしたりしていました。
こういう不運な日々が続いてうんざりなのですが,たまには幸運もあります。それがきょうの画像。「ちびき」と書いてあって,まさにこれは大変良いちびきですねえ〜。たしかにちびきちびき。と喜んで入荷。本ページを毎日ごらんの皆様にはおわかりかと思いますが,この「ちびき」は,じつは「おながだい」なのです。このサイズなら今の相場でも1280円で,むかしの値付けなら2500円といったところです。
見た目でもオナガダイとわかりますが,一切れ何もつけずに味見をすれば,やはりオナガダイの味でした。
大きなサクで身割れもしていたので,きょうはしょうゆ漬けにしました。「漬け」というよりは,ほんの軽く含ませるという感じです。これを冷蔵庫で冷やしておき,食べるときにわさびをのせます。まことに深い味わいです。地方によっては,オナガダイを漬けにして寿司にするそうですが,なるほど納得の味わいです。
今回は久しぶりに鹿児島産でしたが,やはり東京産のものと比較すると,やや味が薄いように思いました。流通に要する時間の問題か,海域によって味が異なるのかわかりませんが,サンプル数が増えるごとに,違いが分かってくる感じもしています。
「オナガダイ」は関東での呼称で,「オナガ」とも呼ばれています。が,標準和名は「ハマダイ」です。でも「ハマダイ」として売っているのを見たことがありませんし,そう呼んでいる人とも会ったことがありません。出世魚でもないのに,標準和名を聞いたことがないというのは珍しい部類かもしれません。
(後日談)
このあと,同じスーパーでまた同じ「チビキ」が売っていた。そしてその横に「オナガダイ」も並んでいた。両者を比較するとオナガダイの方が明るい色合い。
…ということは,筆者が食べて「オナガダイ」と判定したのは誤りで,「チビキ」として売っていたものは「チビキ」ではないんだけれども,「アオチビキ」の柵だった可能性が高い。ぬわんということでしょう。
オナガダイに比べて「やや味が薄い」(具体的には甘みの度合いが小さい)というのもこれで説明ができそうです。同じフエダイ科なので味もある程度は似ているのかも。
ということで,やっぱしプロが正しかった可能性大。自信満々に書いた記事が誤りだった可能性があり,ここに恥をさらします…(画像/MWS)。
2020年7月24日
先日,大彗星を見たときに使った望遠鏡の対物レンズを見るとだいぶ曇っていました。アイピース側からLEDライトで照明してみると,きょうの画像のような感じです。これでも実用上はさしたる問題もなく使えるのですが,でも明らかにメンテナンスが必要ですね。
二枚玉分離式アクロマートで,口径70mm程度,焦点距離300mmです。おそらく安価な双眼鏡用のレンズなのかと思います。プラスチックのリングでレンズの間隔調整という代物で,センタリング機構がないので,レンズをばらして清掃すると100%,光軸が狂ってしまいます。F4クラスのレンズの光軸あわせはひじょうにシビアで,ピンホール光源を作って焦点内外像を高倍率で見ながら,レンズを素手でずらしていき,センタリングしなければなりません。
ので,メンテナンスはなかなかやる気がしません。。
それにしても,レンズというのはなぜ曇るのでしょうか。おそらくBK7-F2の組み合わせと思うのですが,耐候性はまあまあだし,ビニールで包んで保管していましたし,曇る要因があまりなさそうに思います。この望遠鏡を作ったのは2006年頃だったと思うので14年経過したわけですが,そのくらい放置するとどうしても曇ってくるということでしょうか。顕微鏡でもだいたい7,8年くらいでミラーやプリズムの清掃を行うことが多いです(画像/MWS)。
2020年7月23日
NHKの子どもむけ番組,『ミミクリーズ』は多くの方にご覧いただいたようでありがたく思っております。筆者が撮影した珪藻画像や放散虫画像が番組中に使われており,当サイトを知らないお茶の間の方々にも,ハイクオリティーの画像をご覧いただけたという点で,よかったなと思っております。もちろん,ディレクターさんが頑張って現場サンプルの画像や水中画像を撮影していて,無理のない構成となっています。脱力しつつぼーっと眺めるのに良い番組だったのではないでしょうか。
放散虫のところではJシリーズも登場し,RC GEARさんの神レベルの放散虫模型も全国放映となりました。当サービスもRC GEARさんもとんがった仕事をしていることで知られていますが,こうして同時に同じ番組内で採り上げていただけるというのも何かの縁を感じますね。
見逃した方は再放送もありますので,ぜひご覧いただければと思います。あまり小難しく考えず,ぼーっと眺めればいい番組なので,子どもだけでなく大人にも癒やし?になるのではと思います。
7/23(木)BSP 11:30〜(再放送)
7/25(土)Eテレ6:45〜 (再放送)
まだまだ間に合いますので録画のセットをお忘れなく。
きょうの画像は,番組にも登場したギョロメケイソウ。番組ではカラーの画像ですが,筆者としては,きょうの画像のようなモノクロ高解像の絵を全国放映してほしかったのでした。でも,番組作りはディレクターさんをはじめとして,いろいろな思惑が絡みますので,無理をお願いすることはできません。時間があれば詰めることもできたかもしれませんが,限られた時間で番組を製作していらっしゃるので,あまり無理もいえません。その中で,うまく落としどころを見つけたのかな,と思いました(画像/MWS)。
2020年7月22日
あまいものを一切食べない生活(果物除く)をしている筆者は料理をするときも砂糖もみりんも使いません。というか,家に置いてありません。素材がよければ煮物に砂糖は不要ですし,甘く味付けておいしいと思う料理はごくわずかしかありませんので,全く問題ありません。
さて昨日は全国的にうなぎを食べる日らしかったので,絶滅が迫っているうなぎを食べない当室でも,蒲焼きめいたものは食べようかと,ちらっと思いました。蒲焼きは筆者が許せる数少ない,甘みがあっても食える(うまいと思う)料理です。甘すぎるのは勘弁ですが。。そこにちょうど,缶ビールのおまけの焼鳥の缶詰(タレ)が目に入りました。筆者には甘ったるくてとても食うに値しない味です。これはいいと思いました。
米なすは細長い薄切りにしてテフロンのフライパンで素炒りにします。軽く焦げ目をつけてよく火を通します。焼鳥の缶詰(タレ)は,たれごと全部をすり鉢に入れてサンショウのすりこぎで肉を砕いてなめらかにすり潰します。そのままだと味が弱いのでしょうゆで補います。
なすは平たく盛り付け,そこに焼鳥すり潰しを加えて平たく伸ばします。食べる前に表面をバーナーで炙り香りを出し,サンショウの粉末をかけて完成。米なすの蒲焼風です。
そのままでは食べられない甘い焼き鳥をたれごと,『蒲焼きのたれ』にしてしまったわけです。こうするとふしぎと蒲焼き風味で食べられます。カミさんにも好評でした。
これでつかいみちのなかった缶詰の焼鳥も無事にしかも有意義に消費できて自己満足。筆者は料理をするときもレシピなどは一切参考にせずに,目の前にある材料を眺めて生まれてきた発想で調理をします。たいていは,同じようなものの繰り返しになるのですが,たまにこのように,新発想的な(大げさですが)アイデアが生まれる瞬間があります。
ふつうの人には,焼鳥の缶詰は『たれ』には見えないでしょうが,筆者は素材以外の市販のおかずやレトルト,フリーズドライ製品などを永年『調味料』として使ってきたので,ついに缶詰も『調味料』に見えるようになったのです。
料理は創造の時間。仕事が思うように進まなくてストレスフルな日が続いても,夕飯でたくさんのおかずを生み出せれば,それは生きるための仕事をしたのと同じこと。「良い仕事ができた」と思って差し支えないのです(画像/MWS)。
2020年7月21日
せんじつ料理写真における照明光の大切さを書いたところですが,その後に小さめのカツオが入荷したのでテスト撮影してみました。小型のカツオはまだ赤身が発達していない感じで赤色が薄いので,照明光の影響を大きく受けます。
画像1枚目は安価な白LEDで撮影したもの。カメラの設定はオートホワイトです。そのままの画像では見られたものではないので,自動カラーバランスで色温度を5500Kに補正しています。
画像2枚目は電球色のLEDで撮影。カメラのホワイトバランスはオートですがやや暖色寄りに設定しています。画像処理はしていません。
画像3枚目は自然光LEDで撮影したもの。超高演色性の照明で太陽光に似た特性を示します。カメラのホワイトバランスは晴天にしてあります。画像処理はしていません。
結果の説明が不要なくらいに,カツオの身の色が照明光に左右されています。自然光LEDは相関色温度5000K程度で,電球色LEDは3000K程度ですが,赤色の再現は色温度の高い自然光LEDの方がよいように見えます。
LEDにしても蛍光灯にしても,安価なものは赤色が欠けていることが多いので,そこを何とかするだけで色再現は良くなります。当室の天井照明はまだ蛍光灯を使っている部屋もありますが,片方を白,片方を電球色(高演色)にして両者のミックスで照明できるようにしています(画像/MWS)。
2020年7月20日
【お知らせ】
本日,NHKの子ども向け番組『ミミクリーズ』で「珪藻」がとりあげられます。再放送も含めた予定は次のようになっています。
放送日:ミミクリーズ「けいそう」
7/20(月)Eテレ17:35〜
7/23(木)BSP 11:30〜(再放送)
7/25(土)Eテレ6:45〜 (再放送)
番組webサイトは こちら です。テレビで珪藻がとりあげられるのは大変珍しいので,この情報を広く拡散していただくようお願い申し上げます。一人でも多くの方にご覧いただきたいです。
筆者もディレクターさんに多少の協力をいたしました。ので,当サービスのお客様や,本ページの読者の方々には親しみのある映像が見られるかもしれません。ぜひご覧いただきますようお願いいたします。
なお,筆者はテレビをもっていませんのでみられません(笑)。でもこういった意義深い取り組みには全力で応援いたします(画像/MWS)。
2020年7月20日(2)
久しぶりに早めの食事を終えて,さてきょうはどこに運動に行こうかと外を見ればなんと晴れていて木星が見えている。…ということはネオワイズ彗星を見るチャンスが東京都心にも巡ってきたということ。早速,国立天文台のサイトで彗星の大まかな位置を頭にたたき込み,当室からは死角であることが判明したので,機材をもって近所の駐車場へ。駐車場のクルマとクルマの隙間に身を潜めて街灯の明かりが目に入らないようにして,北西の低空を探します。都心の明るすぎる背景光のなか,2分も探さずに見つかりました。さすがは大彗星です。うっすらと尾も見えます。都心でも見えたよ,との記録を残しておきましょう。
・観察場所:東京都文京区千石3丁目付近
・機材:D=70mm,Fl=300mm屈折
・アイピース:テレビューワイドフィールド24mm
・倍率12.5倍
一緒に持参した8x23mmの双眼鏡(ニコン製)では,ぎりぎり見えるといった感じで,相当な経験者でなければ検出は不可能だと思います。7x50mm,10x70mmクラスの双眼鏡を持ち出した人は見つけることができたはずです。
ということで,今回の大彗星は,東京都心では一般の方々には確認が難しいものでした。さすがに7x50mmや10x70mmクラスの双眼鏡を持っている人はまれです。彗星を楽しみに肉眼で夜空を眺めた人には,見つけるのは不可能だったろうと推測されます。
しかし都心の低空で彗星が見えるというのは近年まれに見るとんでもないことであって,これが空の真っ暗な田舎の山の中などだったら,度肝を抜くような,双眼鏡の視野に広がる尾が見えるはずです。明日,明後日くらいはまだ見えるでしょうから,空の暗い,星降る町に住んでおられる方々はぜひ,双眼鏡を持って,そして長時間シャッターのできるカメラと三脚をもって,観察に挑戦してみてください(画像/MWS)。
2020年7月19日
金曜日(17日)の11時前頃,ちょっと何か飲もうかと電子レンジでお湯を作っていたところ,電子レンジが停止,部屋の照明も消えました。あれ?ブレーカーが落ちるようなことはしていないんだけれども…と思いつつブレーカをみても何の変化もなし。耳を澄ませば周囲の環境騒音も小さくなっています。近所一帯が停電のようです。ここまで10秒くらいでしょうか,やれやれと思っていると,「パーン」と何かが爆発するような音が聞こえました。近所の電柱でトラブル発生かも…。
ここ20年,この場所にいますが,これで3度目の停電です(瞬停を除く)。いずれも電柱の何らかのトラブルです。
これは時間がかかりそうだな〜,15時復旧かな〜と,まずパソコンの電源を切ります。筆者はすべてノートパソコンで仕事をしていますので停電でのデータ損失はありません。次に雑用水を貯めました。停電が長引けばポンプが動かなくなるので貯水タンクが空になれば水が出なくなります。その前に必要分だけ貯めておきます。もちろん,飲料水も分取しておきます。
それからLEDライトをかき集めて必要な場所に配置します。実体顕微鏡照明用のLEDライトは台所の炊事用,広角照明用のLEDライトはトイレにつるしました。洗面所にはgentosのLEDライト。食卓用にはショートランチャー9を含む各種のLEDライトを用意しました。
冷凍庫には大量の保冷剤が凍らせてあるので,これの一部を冷蔵庫の最上段に移して冷蔵庫の保冷を保つようにしました。室内は真っ暗なので遮光カーテンを除去して,要所にミラーを配置して採光できるようにしました。
さて,昼飯をどうするか。いつもは冷蔵庫に昼飯用のおかずが入っていて,それを電子レンジでチンするだけなのですが,停電ではどうにもなりません。ガスが使えても,換気扇が回りませんので,室内で火を使うことは不可能。仕方がないので,おかずは外に持ち出し,珪藻土の耐火レンガ(日本ダイヤコム製品)の上にのせて,バーナーでかき混ぜながら炙りました。
結果としてちょっと焼き目もついて,普段よりおいしいおかずになりました。
外を見れば電柱の電線の通電状態を確認している作業員の方。大変なお仕事です。どうかお怪我のないように…とお祈りしながら,昼食をいただきました。
食後も停電は続き,このまま修理できなければ夕飯は中華三昧かペヨングかな,と思いながら後片付けなどをしていました。そのあと,停電なので外出すべきか,それとも室内で何か憂さ晴らしでもするかと思いつつ,やっぱ外出よりは室内にいた方がいいかなと布団に寝転がったところで部屋が明るくなり,無事に停電が復旧しました。13時過ぎくらいだったでしょうか。
今回の停電は文京区千石と豊島区南大塚エリアで起きたもので,約1600世帯?が長時間停電しました。しかしそれにしても,トラブルが軽微なものだったとしても,たった2時間と数十分で,現場に駆けつけ,電柱を一本一本調べて原因を特定し,修理して復旧してしまうとは,本当に優れた仕事だなぁと感嘆せずにはいられませんでした。東京電力さんの関連企業さんのお仕事と思いますが,見事です。
停電ってどうやって復旧するんだろ,と思っていましたら,こちら に説明がありました。わかったような,わからないような(笑)気がしますが,インフラを維持する人たちは大変だなあと思いました。
筆者としては,今年は運気のない状態が続いているので,停電など可愛いものです。時間以外の損失はゼロですし,災害時の予行演習をさせていただいた面もあって,平和な日常にあらためて感謝することにもなったのです(画像/MWS)。
2020年7月18日
まいにち料理画像で更新している本ページは,もはや顕微鏡画像ではなくて料理のサイトになりつつあります…。本ページは大震災のときは災害モードで情報を流しましたし,そのときの状況に応じていろいろ内容が変化します。新型コロナ感染症が流行している状況では,在宅することが重要ですし,しっかり栄養をとって丈夫な身体を維持することが大事ですし,まぁ料理特集でもいいでしょう。
きょうは料理の写真の話。料理写真はけっこう難しくいろいろとコツがありますが,いちばん大事なことは何かというと,それはたぶん色再現です。食欲と色は深い関係があって,人間の本能の中に,「それは食っていいものなのか?」というのを色で判断している部分もあるからだろうと思います。鮮度の高そうな赤色が際立っている刺身と,どす黒くなっている刺身では,どちらがおいしそうに見えるかといえば,前者でしょう。(*1)
で,色再現をよくするにはどうすればいいのかというと,照明光が大事です。もし刺身の赤身をきれいに再現したいなら,照明光の中に十分な赤色光が含まれていないと,赤色が出ません。マグロの刺身でも,青い光で照明したら赤くは見えません。赤い光成分が反射して網膜細胞を刺激することが大事なのです。
蛍光灯は白色光だし,白色LEDも白だから,赤い光も含まれているのでは? と思うかもしれませんが,そうではありません。人間の目に「白」と感じる光の組み合わせは無限にあって,黄色と青を混ぜると白に感じたりもするのです。その光の中には深い赤色の成分は含まれません。この白色光でマグロの刺身を照らせば,黒っぽくなってしまいます。人間の視覚には記憶も関与しているので,黒っぽく見えても脳みそが「赤身だ」と補正してくれますが,写真に撮るとダメです。黒っぽく写ります。
では良好な色再現で写すにはどうすればいいのか? というといろいろあります。第一は自然光を使うこと。窓際などにおいて拡散板(障子紙でもよい)で柔らかくした光で撮影すれば色再現はよろしいです。第二は白熱電球を使うこと。もちろんホワイトバランスは「電球」にセットします。これも大変色再現はよろしいです。第三は,電球色LEDを使うこと。青緑付近の再現性が悪くなりますが,それ以外はよいので,刺身などはきれいに写ります。第四は電球色の蛍光灯を使うこと。これにも赤色の成分が入っているので刺身の赤色はきれいに出ます。
反対に,だめな光源は,まず第一に安価な蛍光灯。これはかなりバランスが悪く,料理を写してもくすんだような「まずそうな」色になることが多いです。第二に安価な白LED。これも赤色が弱く,鮮やかな赤色を出すことには無理があります。
きょうの画像は,オナガダイ,ムツ,イサキの昆布締め。電球色のLEDを照明光源として撮影したもの。ホワイトバランスはオートで少し暖色寄りに設定しています。テスト撮影して色合わせをしています。細かく見ると全然だめな色再現ですが,「おいしそうに見えるか」を基準に妥協しています。
ということで,きょうは料理の話を装った,光のお話だったのでした(画像/MWS)。
*1 スーパーや魚屋さんではお肉や魚のコーナーだけ照明の色が違うところがあります。それは赤色光を多く含む蛍光灯などを使って,おいしそうに見えるようにしているのです。
2020年7月17日
九州らーめん桜島(八王子市)が閉店して1年4ヶ月。未だにweb上では閉店を悲しむ声が続いています。あれだけ地元に愛された店も少ないでしょう。からだに優しい味で,ラーメンはジャンクフードと思っている人に一度食べてもらいたい,そんな,ごはんと味噌汁のようなラーメンでした。
本ページの読者も九州らーめん桜島に訪れた方がおられるでしょう。筆者と一緒に「みそわかめ」「ギョウザ」を食した人もいるでしょう。安心して連れて行ける数少ないお店でした。
筆者は閉店と決まったとき迷いましたが,行かないことにしました。あまりにも深入りして想い出の多いラーメンだったので,食べたら泣いちゃうと思ったからです。泣きながら食べるのは美しいのだけれども,感情を押し殺して生きていた筆者には,未だにできないことでもありました。
さてそれで今日の画像は何かというと,九州らーめん桜島の「みそわかめ」のエッセンスを凝縮した,肉味噌もやしワカメです。九州らーめん桜島の「みそわかめ」は,豚骨と鶏ガラのブレンドスープに,自家製麺・卵つなぎの太麺,もやし,わかめ,それに肉味噌がのっていて,肉味噌を自分で溶いて食べるというスタイルでした。あの味を再現するために考案した野菜料理です。
もやし(200-250g)は洗って水を切り電子レンジでチンします。1000Wなら3分くらい600Wなら4分くらいです。加熱したら水が出るので,水を切っておきます。塩蔵わかめは水でざっと洗ってから水につけて戻します。衛生上の問題で必ず水道水を使ってください。5〜10分放置して十分戻ったら,S字フックに20分ほどつり下げて水を切ります。これに適量の肉味噌を混ぜます。
肉味噌は次のように作ることが多いです。しゃぶしゃぶ用の豚肉をしゃぶしゃぶして冷まします。これをみじん切りにして仙台味噌(ジョウセンがよろしい)に混ぜます。よく練り練りします。これを冷蔵庫保管。日持ちしますのでいつでも使えます。
この料理はラーメンのトッピングを食べるものなので,温めて上卓します。電子レンジで600W, 2分程度あたためると味噌も柔らかくできますのでよく混ぜます。お好みで鶏ガラスープ少々と,ざっと湯通ししたニラをほんの少し,すりつぶした豆腐を少々加えます。そしてよく混ぜます。これでできあがり。あの懐かしい九州らーめん桜島の「みそわかめ」を感じるおかずの完成です。当室の定番おかずになっています。
このおかず,もちろんラーメンに応用可能です。まず,豚しゃぶをします。鶏ガラスープで豚しゃぶしゃぶして,残ったスープに追い鶏ガラ+塩を加えて調味します。これがラーメンスープ。適当な中華麺を茹でたら,このラーメンスープに入れて,肉味噌もやしワカメをトッピングすれば,九州らーめん桜島を懐かしむラーメンの完成。優しい味で,塩分もそれほどでなく,すーっと身体に染みいるおいしさです。
味の素とか砂糖に慣れた人には物足りない味に感じるかもしれません。でも,九州らーめん桜島は,筆者が体調の悪いときでも食べることができた唯一のラーメンです。がつーんとうまいものは,体調不良のときには食べられないものが多いです。そこの絶妙なバランスを,九州らーめん桜島の創業者はわかっていたのですね。50年も前に。恐ろしい慧眼です(画像/MWS)。
2020年7月16日
ちまたではやっている料理を眺めていると,あらゆる調味料を放り込んでウマイウマイと食べている感じのものが多く,それは調味料を食っているんじゃないの? という気もします。料理研究家と称する人の動画を見ていると,必ず砂糖を入れて味の素を入れて…といった具合です。ジャンクフード慣れして,さらに甘いもの大好きな人の味覚は相当に劣化していますが,そういった客層を明らかに狙っています。筆者にはとってもくどそうに見えます…。食べてるときはうまいだろうけれども,食後にノドがざらざらするだろうなぁと。
野菜も豆腐もなにもつけずに平気で食べる筆者にとっては,味付けは最小限にして,素材そのものを味わうという料理が好みです。そういった料理は自然に体内に入っていく感じがします。後味がよいのです。そして作るのも簡単です。きょうの画像はその一例。当店の定番メニューのサケキャベシです。だいぶ昔に,シャケはキャベシとよく合うことに気づき,突然ひらめいたメニューです。
キャベシは適当にちぎって大量に鍋に放り込みます。タマネギ1個はざくざく切ってキャベシの上に散らします。そこに骨をとった塩鮭のぶつ切りをのせ,上からキャベシを大量にのせます。ここに少量の水を入れ,あとは鍋にフタをして火にかけるだけです。水は野菜からも出るので,入れすぎないことがコツです。煮ると蒸すの中間くらいの感じです。調味料は一切入れません。
弱火でことこと煮れば,野菜のうまみ甘みとシャケから出たダシと塩分が調和して,このままで料理として完成しています。塩鮭を使っているのでぱさつくこともなく,しっとりとした仕上がります。食べるときは黒コショウを振ると引き締まってよいのでオススメです。
塩鮭は紅ザケがいちばんよろしいですが,ふつうの塩鮭でも構いません。端っこの切り落としなど安価で魅力的です。養殖銀鮭は脂がつよく風味があまりよくないので次点です。月桂樹を入れて煮ればよいかもしれません。生鮭を使うとぱさつくのでそのままでは使えません。強めの塩をして一晩置き,霜降りしてから使えばOKです(画像/MWS)。
2020年7月15日
スペアリブが入荷したら,すぐに処理することが大事。スペアリブは経験上,細菌数が多く劣化が早いように感じます。ので,入荷するとすぐに骨から外してしまいます。骨付きをかじるのが醍醐味なのは分かっていますが,そうやって食していたら歯の劣化していた一部が欠けたことがあって警戒しているのです。骨がなければ食べやすいですし,料理の幅も広がります。
骨から外したお肉はジップロックに入れて,ショウガ,ニンニク,コショウ,酒,しょうゆにつけ込みチルドで保管します。これを翌日取り出して,まず湯煎で予熱します。だいたい30〜40゚Cくらいです。そのあとに,炊飯器を用いて保温調理します。炊飯器はあらかじめ保温モードにしておき,沸騰した熱湯を十分量入れてからジップロックに入ったお肉を入れます。保温時間は適当ですが,40分以上1時間半以内くらいで十分です。
これでお肉には十分火が通っていますので取り出しで冷まします。冷めたお肉の表面をバーナーで炙って香りを出します。これを適当なサイズに切ります。ジップロックに入っていた煮汁は鍋に移して火にかけます。泡立ち具合をみて十分に濃厚にねっとりしてきたら火を止めあら熱を取ります。そこに切ったお肉を投入して混ぜ混ぜ,よく味をなじませて盛り付けます。
というのが当店特製のチャーシューなのでした。焼いても同じようなものができますがプロではない筆者には火加減が難しいので,炊飯器に頼っての加熱調理です。火が通りすぎて堅くなることを防げるので,失敗は少ないです。いつもは,ニンニクの代わりに長ネギのすり下ろしを入れるのですが,まぁどちらでもいいです。食べるときは少し温めてラードが溶けた状態のほうが味がよくわかります。もちろん,(゚д゚)ウマー なのです。
この当店特製のチャーシューは,各種料理のトッピングはもちろん,ラーメンやサラダとも相性がいいと(個人的には)思っています。炒めたキャベシに加えれば上等なおかずになります。作るのは面倒かもしれませんが,筆者的には,与えられた食材の良さを最大限引き出したいので,ついつい,いろいろやってしまいます(画像/MWS)。
2020年7月14日
カミさんの職場関連でPCR陽性の感染者(症状あり)が先週発覚。濃厚接触者は少なくとも数十人で現在検査中。カミさんは濃厚接触者ではありませんが数人の濃厚接触者と濃厚接触しています。このため,カミさんも感染していてもふしぎではなく,またいつ感染してもおかしくない状況です。カミさんの職場関連では3月下旬にもPCR陽性(症状あり)が出ていて,発覚しているだけで2件目です。この状況でも職場は閉鎖されないので,仕事と称して感染確率をあげに行くようなことになっています。
いっぽう,筆者は相変わらず誰とも会わない生活を続けていて,3月下旬から現在まで,カミさん以外は室内工事の方と,映像製作会社の人と打ち合わせしたくらいです。買い物も一ヶ月に一回くらいです。筆者がどこからか新型コロナウイルスをもらってきてカミさんに移す可能性はゼロです。
カミさんはいつウイルスを持ち込んでもおかしくない状況で仕事をしているので,筆者が感染するとすれば,カミさん→筆者 の経路以外はあり得ません。
そして現実にカミさんが感染者となる確率が相当に高まってきているのが現在です。すると,きょうの画像のようなことになるわけです。すべての夕飯内容は二分割して小皿に盛り付けて別々に食事ができるように準備して,すべての食材は筆者が手を触れて調理してカミさんに献上します。筆者はカミさんが触れたものを食べるわけにはいきません。職場の感染者発覚からみて,現在が潜伏期間である可能性を否定できませんし,あるいは不顕性感染の可能性もあるからです。
後片付けもすべて筆者がやることになります。買い物は,現在のところはカミさんが担当なので,カミさんの触れた食材を筆者がいじることになりますが,そこのところは洗浄と加熱で対処することにしています。夫婦共倒れは絶対に避けなければなりませんので,筆者が感染しないよう,最大限の努力が必要になってきています。
このような面倒な状況になっているので,これは正直言って,仕事どころではないですね。もちろん,こまごまとしたことはできますが,炊事の準備と後片付けだけでも膨大な手間がかかることになってしまいました。ウチはもともと野菜中心で品数が多かったのですが,これが二人分別々に用意するとなると,準備も洗い物もいろいろと大変。かといって手抜きをして栄養低下してはいけません。毎日数時間が飛んでいきます。
でも,それが「生きる」ということなのでしょう。
人間は見えないウイルスを想像する力があります。これは大変大きな武器です。ウイルス対策をしながらの調理は,ある意味では,ノロウイルスや病原性大腸菌などへの対策にもなる側面もあって,この災難をスキルアップの試練ととらえて日々鍛錬するのも一興かと(楽しみましょう)思います。さーて,次は何するべきかなーと脳みそを使いながら実行へ移すのです(画像/MWS)。
2020年7月13日
本ページに書きたいことはいろいろあるのですが,時間がなくてどうしようもないということは多いです。きょうも一日中食事の準備をしていたような有様で,食事後は健康維持のための散歩に時間がかかるので,すぐに夜中になってしまいます。。そういうときは,その日にやったことを書くと時間が節約できます。
近所のスーパーで宮城のカツオがよさげでした。宮城のカツオといえば気仙沼港でしょう。きょうはこれをありがたくいただくことにしました。カツオは船の関係,船の中のどこにカツオが保管されていたか,水揚げ後の取り扱い,輸送,販売店舗での取り扱いで品質は大きく変化します。きょうの品物は東京都心で見かけるものとしては良好でしたので当店の常法にしたがって処理することにしました。
キッチンペーパーで水気をよくとり血合いを除去して皿の上にのせます。これをバーナーであぶります。最初に皮側を焼き脂を出します。この垂れてきた油をほかの部分に含ませながら全体に焼き目をつけます。まんべんなく焼き目がついたら必ず厚めにカットします。そこに薬味を載せます。今回はネギ,ショウガを使っていますが,ネギ・ミョウガ・シソの組み合わせが特にオススメです。鮮度のよいカツオであればニンニクは必要ありません。
そしてしょうゆをぐるぐると回しかけて,身を崩さないようにそーっと,しかし何度も混ぜて均一に味を行き渡らせます。これを冷蔵庫のチルドに入れて2〜3時間寝かせます。好みもありますが,カツオはしょうゆに漬け込んでしまった方が得も言われぬ風味が出ておいしいです。
久しぶりのカツオでしたが,味でいえば気仙沼で食するのと変わりませんでした。テクスチャは少し違いますし,気仙沼のスーパーでは良いカツオしか並ばないのでさすがに地元の方がワンランク上ですが,でも自宅での調理はホテルの宿で行うなんちゃって料理とは異なるので良い面もあります。分厚く切った良く漬かったカツオを頬張ると,夏が来たなぁと思うのです。
ところで,本ページで料理の話をときおり書くのは,時間節約の意味もありますが,情報としては手抜きはしていません。想像するに本ページの読者は7割以上男性かと思います。その紳士たちに手抜きだけれどもおいしい料理をお伝えする,という意味もあるのです。たまには台所に立って,奥様を助けてあげてほしいのです。筆者は兼業主夫なので毎日台所に立ちますが,その労働量はけっこうなものです。
夫婦というのは支え合ってこそです。家事の負担でも特に大きいのが炊事です。顕微鏡を覗く紳士たるもの,奥様においしい料理をさくっと献上し,きれいに後片付けもして,風呂掃除もしてベッドメーキングもすれば,ただでさえ円満な家庭の円周率が2.9くらいから3.1415くらいになるかもしれません。そしてその効果によって新たな顕微鏡購入が許されるかもしれません(笑)。
ついでに老婆心を一つ申し上げると,たまに炊事をしたからといって,それは何ら大変なことでも何でもありません。豪華な食事を献上したとしても,決して感想を聞いたり見返りを求めたりしてはいけません。日本全国の奥様は,ダンナのだめ出しを軽くスルーしながらも,毎日の食卓を準備してくださっているのです。本ページの読者たる紳士は,毎日淡々と奥様に最高の食事を準備して,淡々と後片付けをしてしまうくらいのスキルを身につけていただきたく思います。
本ページをごらんの独身の方は,淡々と料理スキルを身につけて,たまにはそこいらへんの女性に振る舞うのも一法です。これは中年オッサンだからいえることですが,女性の食に関するこだわりは結構なものがあります。よく料理上手な女性が男性をゲットしてゴールイン! などというわかりやすい話がありますが,あれ,逆もまた真なりです。べつに捕まえなくても,楽しい時間を過ごせるだけでも,悪いことではありませんよね(画像/MWS)。
2020年7月12日
新型コロナウイルスの新規感染者が増加に転じてしばらくたちました。検査数が増えたから感染者数が増えた,との説明を東京都はしていますが,4月頃の検査数に換算しても50人くらいの感染者数ということになり,陽性率も上昇に転じているので,東京都の説明は不十分です。じっさいに市中感染者が増加してきたと見るのが正しい解釈です。
このさなかに,政府はGOTOキャンペーンを7月22日から行うと発表しました。補助を出すから旅行に行って宿泊しようとの内容です。さすが日本国政府のやることは斬新です。マスク二枚を必要がなくなった頃に配布というのも斬新でしたが,今回の補助を出して全国にウイルスをばらまく試みも斬新です。
以前も説明したように,自民党というのは利権調整団体そのものなので,『和牛券』『お魚券』などという発想が自然に出てきますし,『サービスデザイン推進協議会』などという実態のない会社を通じて電通にカネを流すこともごく自然に行います。GOTOキャンペーンもこういった利権調整と同じで,『旅行宿泊券』というと騒がれそうだから名前を変えただけで,『和牛券』などと同質のもののように思えます。これまでの伝統にしたがって,得意分野で仕事をしているだけのことです。
現政権の大好きなネトウヨさんたちは,なんて素晴らしい政策! と涙を流して心から感動していることでしょう。よかったですねえ。ネトウヨさん。
さて,都内や関東圏の新型コロナウイルス感染者の動向は,都が発表しているような「夜の街が危ない」「ほとんどは20代30代」という説明でひとくくりできるような状況ではありません。筆者の周囲でも,ここ数日で,知人の知人レベルで感染者が出たくらいです。数的な状況としては三月下旬頃によく似ていますが,あの頃よりもはるかに広範囲に浸透している印象です。
近所の保育園では園児20人が感染しています。高い確率で保護者も感染するものと想像されます。
また別の小学校では,職員が感染しています。職員と濃厚接触した児童は3学年で約50人で,これからPCR検査となります。
驚くべきは保健所の指導です。この小学校の場合,陽性だった職員と,その濃厚接触者のみ10日間の自宅待機で,普通授業を継続せよとの保健所の指導です。濃厚接触者の児童は,それぞれのクラスに属していてクラスメートと濃厚接触しているわけですが,陽性者に対する濃厚接触者のみを自宅待機させてほかは野放しです。そしてPCR検査を濃厚接触者に対して行い,その検査結果が出るまでは普通授業を継続せよとのことです。
このやり方は仮定が入っています。ウイルスが職員経由で学校にもたらされたという証拠がない限り,このやり方は合理的とはいえません。子ども経由で職員が感染しているケースもあり得ます。ここの保健所は新型コロナウイルスを拡散させたいみたいですね。それか,能なしなのか,あるいは,政府からそのようにしろと指導されているのか,どれかでしょうね。でも,ほかの保健所では,学校内で職員あるいは児童に感染者が出た場合は,直ちに休校にして適切な措置を施しているところもあるので,ここの保健所がバカなんでしょうね。
そしてその指導を「保健所の指導だから」と鵜呑みにする校長。アホかと。校長権限で休校にすればいいだろうに。それで感染者の把握がきちっとできたら再開すればいいのです。
こういったケースを見るにつけ,政府も役所も自治体も公共機関も,まともな能力を発揮できていないなぁと感じます。
日本は最初からPCR検査をほとんどやらなかったので感染者は広まるしかありません。感染者を把握してこなかったのだから。そのことは本ページでもすでに2月27日に書いています。そして4ヶ月以上経過して,市中広く感染者がばらまかれていることが明らかになったのがこの7月の状況。現在感染者が増加していることの責任の一端は明らかに政府にあります。
そして政府は,医療現場は逼迫している状況ではない,とのたまいます。狂気の発想です。ベッドが開いているから患者が増えてもいい。お医者さんよろしくね,という態度なのです。
逆でしょう。逼迫している状況ではない現在に,病院関係者には十分休養してもらい,これまで戦ってくれた感謝に一時給付金を一人100万円支給して,「政府としてはもうあんなひどい思いをさせないつもりで対応します,でもどうしても防げなかったときには力を貸してください」と医療関係者に感謝の意を述べ,さらに検査拡充そのほかのために,5000億円規模の投資をすべきでしょう。
5000億円というのは中型ダム一基くらいのお値段ですから,自民党にとっては「安い」代物です。土建屋にお金を流すのは慣れたものなのですから,医療業界にも流す仕組みを作ればいいだけのことです。
日本医師会もたまには政府を脅迫してに意見して,末端で大変な思いで働いている医師,看護師のためになるようなことをしれくれませんかね。京都大学病院がクラウドファンディングで新型コロナ対策費を集めていますが,はっきりいって馬鹿げています。まともな自民党議員がこのクラウドファンディングを見ていたら,逮捕された河井夫妻に送金したのと同額の一億五千万円くらい直ちに放り込むべきですね。
と,いろいろ書きましたが,ちょっとこの先,良い材料が見つかりませんね。結局のところ,政府がたいしたことをしなくても,優れた国民が勝手に『自粛』してくれることが,この国の危機管理なんでしょうね。マスコミが危機を煽り,国民が自粛する現在の方法が,最も効率よく機能しているように思えます。志村けんの感染そして死の報道が国民に危機意識を持たせ,感染拡大防止に最も大きな役割を果たしたのではないかと個人的には想像しています。
きょうの画像は新型コロナ感染症がまだ出ていない岩手県内,一関市の画像。毎年楽しみな夏の農水産物調査で行っているところですが,今年はちょっと難しそうですね。東京からの来客を歓迎しないだろうし,こちらとしても迷惑はかけたくありません。「いわいどり」の本場なんだけれども,次回はいつ行けることになるのかな(画像/MWS)。
2020年7月11日
せんじつ,ちくわが調味料になることを書いたわけなのですけれども,きょうの画像はもう一つの調味料,ザーサイです。ビールや日本酒とともに,そのままつまんでもよいものですが,市販のザーサイ(油炒め)は様々な調味料で濃く味付けされているので,当室では調味料として多用されているのです。使い方の一例がきょうの画像。レタスに混ぜ込んでいます。レタスサラダに,ドレッシングの代わりにザーサイみじん切りを混ぜ込んだ,というほどのもの。これが結構あうのです。ほかにもモヤシ,キュウリ,キャベシなどにも応用可能です。
このザーサイ調味法のよいところは,野菜が脱水しないこと。野菜にドレッシングや塩などをかければ浸透圧の関係でびちゃびちゃになってきます。でもザーサイを混ぜるだけなら塩は簡単には移らないので,ちゃんと塩気を感じつつも,野菜はシャキシャキしています。一つ欠点があるとすると,刻むのが面倒に思う人もいるかもしれないこと。切れない包丁だとけっこう大変です。
筆者はこういったこまごまとしたことを面倒とは思わないので,ザーサイを細かく切りながら,うんと細く切ったレタスとえんえんと混ぜ混ぜして,よーしきょうもおいしいおかずが一品増えたぞーと料理を続け,カミさんの帰りを待つのです…(画像/MWS)。
2020年7月10日
これまで,カフェインレスのお茶といえば生茶デカフェだけだったのですが,とうとう伊藤園からもカフェインレスのお茶が発売となりました。選択肢が増えるのはたいへん良いことです。生茶デカフェはお茶のまろみを大切にしたふっくらとした味わいで,粉末を混ぜていることもあり,しっかりと淹れたお茶に近づけた味わいです。他方,新発売の『おーいお茶カフェインゼロ』は新鮮な目茶を極限まで薄めたような味わいで,鮮度の高いお茶の風味をうっすらと感じる水,というテイストです。
両製品のコンセプトはまったく別の方向を向いているので,好みに応じて利用することも簡単でしょう。ちょっとお茶でも飲んで一休みしようかというときは『生茶デカフェ』にして,軽い運動や山登りの途中などで給水したいときは『おーいお茶カフェインゼロ』をゴクゴクと飲む,などといったシーンが浮かびます。
カフェインをとると眠れなくなる,動悸が激しくなる,胃が荒れる,めまいが起こる,不安になる,時間感覚がおかしくなる,といった人は多いです。中には気づかないまま永年,体調不良に悩まされている人もいます。そんな方はカフェインレスの生活をしてみるのも一法です。1〜2年も経てば,ぐっと調子が良くなった自分を発見できるかもしれません。
デカフェで味気ない生活になっては元も子もありません。せっかく市販されているデカフェ飲料を有効活用して見るのも一法です。筆者は一日一本,生茶デカフェを欠かしませんが,体調は良好です(画像/MWS)。
2020年7月9日
九州方面での豪雨は大変なことになっていて心が痛みます。ほんと,毎年毎年豪雨災害が起こるの,どうにかなりませんかね。。
ところでこのような災害があると決まって出てくるのが,ダムがあれば災害が防げた,との主張です。政治的意図をもって流されているものが大半で,その多くは民主党政権の事業仕分けなどに言及し,建設を凍結されたダムがあったら災害は防げたのに(=だから民主党が悪い)との主張です。
そしてこの科学的根拠の何もない情報をそのまま信じてしまう人々が大量に発生して,いとも簡単に情報操作に洗脳されてしまっています。
大きな豪雨に対してダムで洪水調節を行うことは困難ということは河川工学の教科書にも書いてあることです。高橋 裕『河川工学』より一部を引用してみましょう。
流域に降った雨量のうち,何mmまでを貯水池で貯留して洪水調節できるかは相当雨量によって判断できる。相当雨量とは,有効貯水容量もしくは洪水調節容量をダム地点での流域面積で割った値である。(一部略) 有効貯水容量に対する相当雨量を全国の353ダム(1980年現在の平地湖沼開発による貯水池を除くすべての多目的もしくは治水ダム,当時計画中を含む)について,大熊孝が整理した結果を紹介する。
相当雨量1000mmを超えるのは5ダムに過ぎず,400mmを超えるダムは54,200〜400mmは95,1ダム当たりの平均は238mmであった。さらに有効貯水容量の中に含まれる洪水調節容量については,相当雨量300mmを越すものはわずか11であり,大部分は200mm以下である。
日本では,一回の豪雨で2〜3日間に200〜400mmの総雨量の記録は珍しくないことを思えば,ダムによる洪水調節には特に大きな豪雨の場合には限界があると考えざるをえない。
専門書の記述なので少し難しいかもしれません。筆者が意訳すると,ダムを全部空っぽにしておいても,1000mmの雨量に耐えるダムは5,400mmを貯められるダムは54,ほかはそれ以下ということです。そして,実際は,ダムを全部空っぽにしておくなどということは運用上あり得ないので,あらかじめ割り当てられた洪水調節容量の中で洪水に対応することになります。
つまり見かけは大きな立派なダムでも,実際の洪水調節容量で見れば,ちっぽけなダムということになります。たった300mmの降雨を貯留できるダムが全国で11しかないわけです。
このデータは古いものですが,現在でもおおまかな状況に変化はありません。巨大なダムを建設する適地はすでにほとんどないので,以降に新たに完成したダムの多くは小さななものです。大きなダムも少数ありますがほとんどが多目的ダムなので洪水調節容量から見れば大きくありません。
さて,では川辺川ダムができていれば本当に今回の洪水は防げたのでしょうか? Wikipediaにのっている川辺川ダムの有効貯水容量と流域面積から計算すると相当雨量は225mmとなります。ダムを空っぽにしてすべてを洪水調節容量として待ち構えていても,225mmの雨で満水になります。実際には不特定利水の運用もあるので,実際の相当雨量は100mm台でしょう。
では今回の豪雨で,球磨川周辺の雨量はどうであったか? 場所にもよりますが,400mm-500mmの雨量がごく短い時間に降り注ぎました。ダムを空っぽにしておいた場合の相当雨量の2倍です。この状況では川辺川ダムが存在して適切な運用が行われたとしても,川辺川ダムの流域面積の降雨の一部を貯留できるだけで,球磨川水系のほかの場所からの流入は続きますので,球磨川全体の水位を大幅に低下させるほどの影響はないでしょう。氾濫を防ぐことは難しかっただろうと予想されます。
つまり,それほどの,空前の豪雨(異常気象)が起きている,と認識すべきなのです。
この認識ができず,「ダムさえあれば」と考えてしまう人々は,数値的根拠で考えることを放棄し,「ダム=治水」という訳の分からない土木信仰を信じている宗教的姿勢なのです。残念ながらそのような人々がSNS界隈で大量発生しています。
このお馬鹿な方々は,ダム推進側の人が書いた『河川工学』の教科書の内容でさえも否定するのでしょうか?
こういう人々を意図的に発生させる産経新聞のような悪質なマスコミもあるわけで(こちら),やれやれです。ダムとか雨量とかわかりやすい数値がそこいらへんに転がっているのですから,データで議論してくれませんかね。
それにしてもふしぎなのは,たとえば津波にやられる土地だったら,「津波が来たら終わりなのでここに住むべきではない」との判断で高台に移転するなどという判断ができるのに,なぜ大雨だと「ダムがあれば大丈夫」になるんでしょうか。もし1000mmの豪雨があればどこだっで水没します。お馬鹿な人たちは,1000mmの雨が降って河川から遠い平地が水没しても,「ダムがなかったからこうなった」と騒ぐのでしょうか? ほんとふしぎ。
ダムは我々の生活を支えときには防災に役立ってくれる面もありますが,治水機能に関しては河川全体の整備とともに考える必要があり,ダムがあれば大丈夫などというものではありません。
本ページの読者の方々はレベルが高いので,今回の「ダムがあれば騒ぎ」にころっと引っかかるような方々は皆無だろうと思います。そういうレベルの高い方々はたぶん,今回の騒ぎをみて,「定量的議論が一つもない」という点に気づかれたことと思います。印象だけで話をすすめて数字を出さないという,日本人特有かもしれない雑な面が露呈していますね(画像/MWS)。
2020年7月8日
世の中ではtik tokなるものが流行しているらしい。筆者は流行を一切追わない人間で,なぜなら,子どもの頃からカネがなかったので,流行を追うなどという概念そのものがなかったのです。但し,流行を作る,あるいは流行前にやっていたということはたくさんあって,中学校では紙飛行機を全校レベルで流行させたし,釣りは,1970年代後半の空前の釣りブームの前からやっていたのです。釣りはその後も続けたかったですけれども,大流行してからはやたら技巧の世界になっていき金食い虫になったので続けていません。
高校に入り,皆が一斉にバイクの免許を取り出しました。筆者はその頃にロードレーサーにのっていて,バイクにはまったく興味がなかったので手を出しませんでした。少ない小遣いではロードレーサーのチューブラータイヤのスペアを買うのも大変で,タイヤを外しては開腹手術してパンクを直し,また縫い合わせてリムセメントでリムに固定して乗っていました。当時のタイヤは耐久性がそれほどでもなく,だいたい2000kmで交換に近づいた感じで,当時月間1000kmはふつうに走っていたのでいつも金欠でした。
大学に入り皆が一斉にクルマの免許を取りました。筆者はクルマに興味がなく,またこの危険物を扱える自信もなく,さらにたった10km走るのに中東から輸入したガソリン1Lも消費する環境に悪いところも気に入らず,またカネもなかったので免許を取りませんでした。当時の筆者なら,オニギリ8個もらえれば150kmはラクに走れたわけなので。
大学院に入る頃には皆が一斉に携帯電話(PHS)をいじり始めましたがこれにも飛びつきませんでした。充電を要する機器は面倒です。カネもありません。2010年頃からこんどはスマホが大流行の感じです。でもすでにノートパソコンで自宅で個人事業主をやっている筆者には無用のものでした。。
ということで,流行を追わない(追えない)ことで定評のある筆者は,tik tokが何なのかまったくわかりません。時代からどんどん取り残されていきます。こうして頭の硬いものごとの分からない老人になっていくのかと思うと残念な気もしますが,流行に乗ってもそこいらへんの平均的人間に近づくだけで,何も良いこともなさそうです。
と,筆者の遍歴を長々と述べましたが,何がいいたいのかというと,きょうの画像で示したtik tokuは筆者には倍率色収差の見本画像にしか見えない,ということ。流行に乗らずに生活していると,流行に乗っている皆さんとは,別の風景をみて暮らしていることにもなるのです(画像/google検索スクリーンショット)。
2020年7月7日
筆者は兼業主夫でもあるので毎日カミさんの晩ご飯を作るわけであるが,料理は習ったこともないし,食材はすべてカミさんが好みで買い物してくるので,限られた食材の組み合わせの中でそれを余すことなく消化するゲームのような毎日です。けっこう鍛えられます。
調味料にも全然詳しくないですし,ウチにはそもそも調味料がほとんどありません。化学調味料の類いは使い方がわからないので置いていませんし,置いてなくてもめんつゆとか市販のおかずにはたっぷりと化学調味料が入っているので,それを利用すればよろしい。
昭和の生まれなので化学調味料を嫌っているとかではなく,子ども時代はよく食べました。マグロの刺身を食べるときはしょうゆに味の素を入れるのが普通でしたし,ほうれん草を茹でたらそこに味の素を振りかけてしょうゆをかけてといった時代でした。味噌汁は「ほんだし」のこともよくありました。
にもかかわらず化学調味料の類いを置かないのは,たとえばグルタミン酸ナトリウムとか,濃度が高すぎて使うのが難しいのです。ので代わりに昆布をたくさん使います。グルタミン酸ナトリウムを振りかける度合いがわかりませんけれども,昆布なら適当に放り込むだけでそれなりに味が決まるのでよしとしています。筆者は料理の最中に「計量」ということを一切しないずぼらな人間なので,化学調味料はハードルが高いです。
が,少々量を間違えても何とかなるものなら間違えても食えるので,ついつい安易な方向に流れてしまいます。
きょうの画像は調味料の一種,ちくわです。これはグルタミン酸ナトリウムとグリシンが入っているような味がします。魚の味はほとんどしません。ので,ここ十数年,ちくわをそのまま食べていないような気がします。市販のちくわはいろんな調味料の味がして,素材の味がほとんどしないので,ウチでは調味料として重宝しています。ちょっとダシがほしいよなとか,ちょっと甘みを追加したいよなというときにちくわを使います。
場面はいろいろですが,ポテトサラダにコクがほしいときはちくわの超薄切りを混ぜます。もっとおいしくしたいときは,ちくわの超薄切りを鉢に入れ上にはみじん切りのベーコンをのせて電子レンジでチンします。ベーコンから出た塩気と燻液をちくわが吸い取ってくれます。これを混ぜます。
野菜サラダに混ぜてもよろしいです。特に大根,わかめ,キュウリのサラダにちくわの千切りを混ぜて柚子の村で食せばなかなか洗練された風味になります。高菜やキムチの炒め物に増量材として混ぜてもいいですし,チャーハンに化学調味料の代わりに入れるのもよろしいですね。
使うときは,調味料なのですから細かく切ることが基本。きょうの画像では,きのこのバター炒めに調味料としてちくわを加えている様子。ちくわは開いてから半分の長さに切り,長方形に広げてこれを横から1/2の厚さに切ります。そのあとに千切りにします。こうすればエノキダケともきれいに均等に混ざり調味料としての役割を果たしてくれます。
味付けは塩,コショウ,バター,ちくわ,日本酒です。作り置きできますし,これをサラダに混ぜたりパスタにトッピングしてもよろしいし,そのままでもうまいです。料理は創造の時間と思っている筆者は,こんなちまちまとした作業をしながら日々工夫を凝らして夕飯を作っているのです(画像/MWS)。
2020年7月6日
東京都心ではこんな案内板が設置されるに至っています。緊急事態だから自粛して家にいろ。でも運動不足はよくないから散歩しろ。歩く程度ならマスクはいらない。→ ウオーキングでもジョギングでもマスクをしろ(今ここ) という具合になっています。おそらくこの案内板は,近隣住民対策でもあろうかと想像します。
クルマが少ないこの辺りの道路はジョギングコースになっていて,以前から昼でも夜でも走っている人がたくさんでした。それが新型コロナが出てきて,運動不足になる人が増え,さらにウオーキング勢が加わることになって,たくさんの人が歩いたり,走ったりしています。
その運動している方々がマスクをしていないものだから,近隣住民にとっては,どこからかやってきたマスクをしていない人類がうろついているのが気になって仕方がないのだろうと思います。文京区としては苦情が入れば対応しなくてはならないので,こんな案内板を設置したのでしょう。マスク警察は物陰で目を光らせているのです。
でも,この対策が過剰とは思えないほど都心というのは人が多いです。そこに本格的なランナーらしき人たちが毎日全力でハァハァいいながら走っていたら,相当量の飛沫が飛び散っていることは明らかで,マスクは飛沫の飛散防止に効果があるでしょう。
道路というのは安全と思っている人もいるかもしれませんが,そうでもありません。筆者など25年以上前から,前方を歩く人の流線にはのらずにずれて歩くよう心がけています。前方の人がインフルエンザで飛沫を飛ばし,後方にいる筆者がそれを吸い込む可能性が否定できないからです。
こういった動作の参考になったのが歩きタバコ。歩きタバコをしている奴らの肺の中にいったん入った汚らしい煙をなぜオレが吸わなくてはいけないのだ? 他人に煙を吸わせた人間は直ちに逮捕してブタ箱に入れても差し支えないと筆者は思っているのですが,残念なことに世の中はそうなっていません。
前方10メートル先を歩いている人のタバコでも流線上にのれば煙を吸ってしまいます。新型コロナも同じで,激しく飛沫をまき散らす人の場合は2メートルでは不足で,十分離れてさらに風下を避けるようにしないといけません。
ので,この文京区の案内板は,単に住民の苦情対策といった面だけでなく,じっさいに必要かもしれないといった面もあるのです。それにしてもすごい世の中になってしまいました…(画像/MWS)。
2020年7月5日
新型コロナウイルスの感染者数が増加傾向に転じて,都内では連日数十人から100人以上の新規感染者が出ています。感染者数の増加は集中的に検査した結果のようなことを言っていますが,実際には,検査してほしくても門前払いをくらうことがほとんどで検査してもらえません。現在は検査態勢にも病床も余裕があるはずですが,それでも高熱が続いた程度では風邪とか胃腸炎とか適当な診断を下されて検査してもらえません。感染者と接触していて濃厚接触者に該当しても検査してもらえない こんな 例も報告されています。
いまなお検査を絞り続けている国の方針が良いか悪いかには議論のあるところでしょう。筆者はあまりよろしくないような気がしています。新規感染者数がほとんど出なくなった頃に,徹底的に検査して市中感染者を拾い出して今後の方針をたてるのも一法かと思うからです。
現在の検査を絞るやり方を続けるかぎり,本来なら検査で拾い上げることができたはずの感染者が把握されないまま市中感染源となり,たとえ低レベルであれ市中感染者が薄く広くばらまかれることになるだろうと思います。その状態をこのまま継続すれば,冬が来る頃には,全国にまんべんなく感染者が潜伏している状態になる可能性があります。
これは明らかに,今年1〜3月の状況とは異なります。今年の場合は感染源が外部にあり,まだ対処できる可能性があった。しかし全国に感染者が潜伏していれば,そこから起きた第二波はクラスターだけを追うという対策ではどうにもならないはずで,大規模に感染拡大するかもしれません。もしこのウイルスが冬に感染拡大しやすい性質を持っているならば本当に危険で,いまのうちに可能な限り叩きつぶしておくことも一つのやり方であるように思われます。
でも,やらないんだろうなぁ (画像/MWS)。
2020年7月4日
さて都知事選です。特に支持者もなく誰に投票してよいかわからない,などという意見も聞きます。そういうときの投票法について記してみましょう。
まず,与党を支持しているわけではないけれども,野党が頼りないからとりあえず与党に入れる,といった考えで動く人が大勢います。これは考えられるかぎり最悪の方法かもしれません。矛盾している支離滅裂な方法ですし,こういった意見を言う人に聞いてみれば,国会中継は見ていないし,与党の政策が野党提案の横取りが多いということも知らないし,ただマスコミの流す情報で「なんとなく」野党がダメだと思っている人が大半です。野党がどうだめなのかを聞くと答えられない人が大半です。
この最悪な方法で動く人が多い結果,トイレで小便をしていたら背後からポケットに数十万円ねじ込まれるようなことをする政党が維持されてきたのです。
ということで,誰に投票してよいかわからないから与党に入れる,現職に入れる,というのはとりあえず除外。こういった脳みそを使わない方法はほんと最悪です。
さて次に筆者が考える方法は,「支持しない政党がもっともいやがる候補に入れる」こと。今回の都知事選では,ネトウヨさんをはじめとして自民系の方々が山本太郎候補をクソミソに叩いています。そこで,自民党が嫌いな人は,山本太郎を支持していなくても,山本太郎が大っ嫌いでも,自民党が嫌がるという観点から山本太郎候補に入れるのです。あるいは逆に,れいわ新選組は他の候補をほとんどけなしませんが,現職に対してだけは攻撃しています。そこで,小池百合子を支持していなくても,れいわ新選組が最もいやがる,小池百合子に入れるのです。
さらに別の方法は,選挙公報から候補者の名前を消し,政策だけを見ていって,「この一つだけでも実現してもらえれば」という項目だけで投票者を決めるやり方。たとえば筆者の観点で見ると,「都の職員3000人増員」は悪くないと思っています。「都民税ゼロ」というのも少し魅力があります。「公的保証人制度の導入」もいいですね。「食料自給率向上」というのもよろしいです。一つでいいから,かなったらいいな,と思うものを見つけて,その人に投票するというのもアリだと思います。
もう一つの方法は,上に書いたものの反対で,「これだけはやってほしくない」というものを見つけてその候補者を消していくという方法。「グレーター東京」などというわけのわからないことはやめてほしいと思えばその候補者は×。「大麻解禁」をやるべきではないと思えば×。「毎月8日をスマイルデーにする」というのは勘弁してほしいと思えば×。というように候補者を消していき,残った中から選ぶのです。選べなければくじ引きでもサイコロでもOK。とにかく考えて絞り込んだことにはなります。
ということで都民の皆様は,とりあえず脳みそを使って投票してくれればなぁと思います。でも「とりあえず現職だから入れる」という脳みそ停止した人たちが,今回もたくさん出現するんだろうなあ。。
きょうの画像はそんな話題とは関係のない,ミズダコメカブ。市販のメカブは洗いすぎでうまみも塩気も抜けているので調味の必要があるわけです。これまで,しらすやナメコを混ぜる方法を紹介してきましたがきょうはミズダコ。良く切れる包丁でミズダコを細長く切ってめかぶと混ぜ,しょうゆで調味。ミズダコの水っぽさとうまみがめかぶとよくマッチします。ぬるぬるにはぬるぬるしたものを混ぜるのがよろしいようです (画像/MWS)。
2020年7月3日
騒音でやられた筆者の脳みそはまともな動作を停止し,寝ることも停止し,ぼんやりとどうでもよいことをループする状態に入っています。昨晩は25時頃に横になったのですが寝られる気配はなく,かといってぱっちり覚醒しているわけでもなく,ごろんごろんと横になっていました。そうしたら,ガシャーンといった感じの突風で窓が鳴る感じがあって,あれ?そんな風吹いたかな?と思っているとその一発だけで終わりました。ふしぎだったのが突風なら全部の窓が反応するはずはないのに,今回は,南も東も北も,室内のガラス戸までも一斉に反応したことでした。
朝起きれば謎がとけていました。大火球が都内上空を通過して衝撃波が地面まで届いたようです(こちら)。どうせ寝られないなら外でも眺めていればよかったか。見たかったなぁ。
翌朝は09時からまたガス管の工事。終わったのは18時半。この間,ずっと発電機のエンジン音が鳴り響きます。前夜の睡眠不足のところにこの騒音攻撃は応えます。もちろん,この暑い中でガス管工事してくれる方々には感謝と熱中症にならないでねの心配しかありませんが,この工事があと一ヶ月続き,少なくとも一週間は至近距離での騒音が続くとなると,忍耐強さでは定評のある筆者でもばったりダウンかも。すでにもう何にもやる気がありません。。
昼間寝て夜作業をすればいいのですが,このうるささの中では寝ることもできません。耳栓すればと思うでしょうが,筆者は耳栓なしでは寝られない生活を19年続けてきた結果,外耳に炎症を起こしやすくなってしまい,さらに脳みそも敏感になりすぎて耳栓なしでは寝られない脳みそになってしまいました。それで一年かけて耳栓から離脱したところなのです。それでやっと,酒さえ飲めば耳栓なしでも寝られるようになってきたところ。
いやーきつい。騒音はほんと困る。このまま耐えられなければ防音箱でも作ってその中でひっそりと過ごすのか? 騒音が過ぎ去った今でも頭の中では重機の音が鳴り響いており,考えることは騒音のことばかりになりつつあります。でもふしぎと料理はできますが…。一日中ゴハン作っていればいいのか? (画像/MWS)。
2020年7月2日
顕微鏡デスクの真下に位置する場所(道路)でガス管の工事。朝から重機の騒音が続きデリケートな筆者の脳みそは狂う寸前といったところです。逃げる場所もなく,一日中部屋でカンズメになっていてこの拷問はなんの罰ゲームなのでしょうか。何にも悪いことしてないのに…。騒音は午後も続き夕方には止みましたがすっかり疲れ果ててしまいました。筆者は小さな頃から物陰に隠れて息を潜めて生きてきたので,音にはひじょうに敏感です。MT54の騒音なら害はないので何事もなく耐えられますが,重機の騒音,廃品回収車のうるさい放送,鳴り止まない電気製品の振動などはとても苦手。最も苦痛なのはテレビのバラエティー番組の音です。あの騒音を聞いていると全身に怒りが沸いてきてテレビを金属バットで粉々に粉砕したくなります。ので,テレビは持っていません。20年以上テレビのない生活をしていますが,くだらない報道に惑わされることもなく,騒音も聞かずにすんで,平和です。でも東京都心はつねにどこかで建設工事をやっていてうるさいです。ウチの前の道路を切り貼りしたの,これで何回目でしょう? 静けさがほしいですね。
画像はそんな話題とは何の関係もないピンヌラリア。画像くらいはクールなものをと過去に撮影したものから引っ張り出してきました。生きが良くて大きな細胞でコントラストもばっちりです(画像/MWS)。
2020年7月1日
円石藻のサンプルは安全のために幾つかの方法で保存中ですが,どうやらその一つをダメにしてしまったようです。濃縮して海水中で冷蔵庫で保存していたのですが,この条件では繊毛虫に都合がよかったらしく,わずか数ミリリットルの海水の中で繊毛虫が元気に食事をしていました。円石藻を片っ端から食べたようで,貴重なコッコスフェアが円石単体にばらけていました。残念無念。採水してきた約3割を失ったことになります。無理をしてでも,あと20Lくらいは採水してくるべくだったと反省。何しろ25年ぶりの現象でしたから。
画像は5月20日の白潮接岸時の様子。どこまでも灰色の海が広がっていて普段見慣れた青黒い相模湾とは異なります。重苦しい感じに見えて不気味ですね(画像/MWS)。
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