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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


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2013年9月30日


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これは砂糖,テンサイ糖の画像です。砂糖というのは人類が摂取するものの中でも非常に有害なものだろうと思います。何しろ純粋な炭水化物の塊で,吸収が早く,刺激もなく,甘い味が食べやすく,腹痛も酔いも起こらない。だからいくらでも摂取できます。それでいて,急速に吸収された糖分の代謝には体内のあらゆる栄養素が必要で,砂糖を多食すると,どれほどまともな食事をとっていたとしても栄養不良になってしまいます。しかもそれだけではなく,砂糖はグリケーションという現象の原因物質でもあるので,血管内皮をはじめとして,体内のあらゆるタンパク質を修飾し,細胞本来の機能を徐々に失わせてしまいます。その結果が循環の低下,免疫低下となって現れ,あらゆる病気の遠因となります。皆さんも注意してみれば,甘いものを常食している人はしょっちゅうカゼをひいていることがわかるでしょう。体調の悪い人の食生活を聞いてみると,野菜が不足して砂糖ばかり食べている人が多いので,砂糖(口に入れて甘いもの)を完全にやめるようにアドバイスしています。このアドバイスを受け入れた全員が,体調がよくなったと言っています。そんなわけで,このテンサイ糖は,たぶんあと20年くらいはなくならないかもしれません…。なぜなら,料理にも砂糖(みりんも)は使わないし,甘いお菓子も作らないのです。砂糖は玉子酒のときにしか使わないのです(画像/MWS)。








2013年9月29日


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これも塩の拡大画像で,撮影倍率はきのうと同じです。天人の藻塩という製品です。いちばんのお気に入りの製品で,何に使っても美味しくなります。この塩は製造過程でホンダワラの粉を使うらしく,この画像でも海藻粉末のような色合いがみてとれます。また塩の結晶が赤穂の天塩よりも小さいので,味が馴染みやすいだろうと考えられます。この塩はナトリウムもカリウムもちゃんと入っているので,専売公社がやっていたような,ナトリウムだけの塩を摂取させて国民の血圧を総引き上げなんてバカなことにはならないと思っています。皆さまもぜひお試しくださいませ(画像/MWS)。








2013年9月28日


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これは食塩の拡大画像です。サンプルとなったのは赤穂の天塩という製品です。やや角張った味がして,しかし精製塩のような下品な味はしない,という感じがするので,主に魚貝を塩で〆るときや,野菜を湯がくときなどに使っています。撮影はTokina AT-X 90mm F2.5にMacro Extenderをつけています。照明は自然光で障子を通した柔らかい光を使っていますが,それでも塩の結晶の冷たい感じが出ています。この画像だけ見れば,いかにも鉱物結晶という気がします(画像/MWS)。








2013年9月27日


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シンポジウムは津市内だったのですが,宿泊は松阪市にしました。これはいつも利用する宿がそこにしかなかったという理由なのです。同じ系列の宿であれば,部屋も寝具も装備品もみな同じなので,何にも気にせずに寝ることができます。しかもこの系列の宿は,かなりチープで割り切った運営のところなのですが,不眠症の筆者にとっては寝られることがあった数少ない宿でもあります。どうも枕が合っている気がします。。寝られないこともありましたが。

三重県には当サービスの熱心なユーザーの方々がおられ,Jシリーズがこの世に誕生する前から当サービスを見守りいただいている顕微鏡の達人もおられます。何と有り難いことかと思いつつ,駅前の夜景を眺めていると心も安らぐのでした。そしてお決まりのスーパー散歩。日本全国が均一に開発されて,どこに出向いても画一的な駅前,住宅街とつまらないことになってしまいましたが,食材だけはまだ地場産というものがあります。その地域でなければあまり見られない,地元に根付いた「食」を見て「地域」を感じたいのです。歩き回ってオークワとマックスバリューを見つけ,三重県産のものを購入して連れ帰りました(海藻2種,塩,マメ,なまり節など)。店先で面白かったのは,イカめかぶですね。初めてみました。

それにしても今回,松阪に行って本当によかった。画像一枚目を見て下さい。MATSUSAKAと書かれているのが見えるでしょうか。MATSUZAKAではないのです。恥ずかしながら筆者はマツザカだと思っていました。行きの「快速みえ(キハ75系)」で車内アナウンスが「まつさか」に聞こえたのでアレ?と思い,到着してみると「まつさか」でした。長年の勘違いが訂正されました(画像/MWS)。



*1 だから,「マツザカギュー」ではなくて,「まつさかうし」と読むべきなんですねー。ちなみに,オークワの精肉コーナーには「まつさかうし」はありませんでした。「かごしまうし」はありましたが。高級品は大都市圏に流れるのでしょうか。

*2 まつざか とタイプして変換すると「松坂」になります。まつさか とタイプして変換すると「松阪」になります。ATOKは間違いを教えてくれていたのに,気付かなかった…。





2013年9月27日


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連休の終わりに東京方面へ向かう列車は大混雑になります。特に名古屋駅での新幹線乗り換えは考えたくないものの一つです。夕方になれば絶望的で,東京まで立ったままということになります。それで昼過ぎには名古屋にいないとまずいので,早めに松阪を発つことにしました。ちょうど急行が停車していたので乗車し,発車時間までの間に汚れた窓を拭き拭きしました。列車の窓を拭き拭きしたのは2年ぶりで,高知駅以来のことです。JRで戻った方が安く,早く帰れるのですが,近鉄を選んだ理由は画像4枚目にあります。この河川の河口干潟はサンプリング候補地点で,数年前から一度見ておきたいと思っていたのです。交通の便や周囲の風景を見るだけでもある種の感覚をつかめますので,拭き拭きした窓から景色を眺めつつ,脳みそに次々とデータを詰め込んだのでした。

名古屋では12:43新大阪発の「のぞみ」に乗りましたが,平日なら窓際席を余裕で確保できるこの列車も,連休終わりだけあって満席。名古屋で数人降りたので最後の席にやっと座れたという感じでした。よかった。これより遅い時間は大変な思いをすることになります…。しかしせっかく座った席も,後ろでは甘やかされた1歳半くらいの子どもが豊橋から東京まで泣き叫び(親が子どもの意向を汲めていない…),横ではブーツを脱ぎ捨てた足を前に放り出して,音を出したまま娘と電子ゲームをやっている,脳みその使い方を誤っているママさんとまあ,無法地帯になっていたのでした。だから画像はありません…(画像/MWS)。



*1 新幹線は平日に限りますね。ビジネスマンで埋め尽くされた車内は静かです。家庭をそのまま車内に持ち込んだような休日とは違います。これって,仕事が人をつくるということなのでしょうかね。仕事のできる人は振る舞いも穏やかな気がします。

*2 近鉄急行の窓の汚れは土ぼこり+ブラックカーボンという感じがしました。明らかに高知県の窓の汚れとは違いました。やはり大都市圏が近いと人為活動の影響があるものなのでしょう。





2013年9月26日


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今回の出張は赤潮プランクトンに関するシンポジウムで,各分野最高水準の研究者が一同に会して赤潮研究の最先端を報告するというものでした。09:00はじまり,17:35終了という恐ろしく長いキツイスケジュールでしたが,それぞれの報告内容が興味深く,時間を感じさせない素晴らしい会合でした。企画したコンビーナの方々には深く感謝申し上げたいと思います。筆者はこのシンポジウムの関連学会には所属していませんが,会場に着くとすぐに懇親会のメンツに加えていただきまして,18:30はじまり,22:15終了というこれまた厳しい宴会となりました。宿に戻ったのは23時過ぎ。しかし全然疲れを感じません。不思議だー(画像/MWS)。








2013年9月25日(2)


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いつも見ている自然科学系のブログに,全国学力テストに対する静岡県の対応に関するひじょうに優れた論評が掲載されていました。まったく同感です。当サービスのお客様は教育関係者も多いことと思いますので,ぜひとも,その論評をごらん頂きたく紹介させていただきます。

システムの違いと個人の裁量の範囲について −ミクロ・マクロ・時々風景

筆者の個人的な感想としては,自治体のトップがテストの結果について一喜一憂するようでは,教員も子どもも迷惑な話だろうと思います。上の画像(スクリーンショット)に示したように,漢字のテスト結果を報じる記事で基本的な漢字も間違えるような新聞記者がいる時代です。まぁ,この新聞社は基本的素養よりはほかのことを重視して人材を採用しているかもしれませんが。

全国学力テストを行えば,必ずどこかがトップになり,どこかがビリになります。当たり前のことです。ビリを気にするよりも,理解度の水準を丹念に解析した方がよほど有用でしょう。「テストではビリだったが,これだけできていれば特に問題ない」という診断結果が得られるかもしれないのですから。それを校長の氏名を公表とは,いったい何がやりたいのでしょうか。知事は「責任の所在」といいますが,責任の所在がどこにあるのかは,上で紹介したブログの記事で明らかでしょう。

今回の騒動でよかったことが一つあるとすれば,この知事が,知性的に劣化した(論理的でない)部分を持っていることと,それを自覚せずに政策に反映させる危険人物であるということが明らかになったことでしょう。この知事は,たぶん認知が歪んでいて,人間が命令した通りに動くロボットのような存在とでも勘違いしていそうです。だから,人を動かす方法を知らないのでしょう(文責/MWS)。








2013年9月25日


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出先でお決まりの夜の散歩をしていると,どこかでみた文字が目に飛び込んできました。何も考えずに歩いていただけに,ここにあるのかーと衝撃を受けました。超絶な腕前の包丁研ぎ師がいる刃物屋さんです。それにしても人間,活字列がきちんと脳みそに格納されているんだと感心しました。翌々日にもう二度,店の前を通過してみましたが,残念ながら営業日,営業時間内に立ち寄ることはできませんでした。ううっ,滅多にない機会だったのに。まぁ夏休みを利用しての出張だったので仕方がありませんね(画像/MWS)。








2013年9月24日


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きょうの画像は日本の誇る高速鉄道から眺めた車窓の風景。東海大地震が迫り来る中で,この路線の大事故を心配している人を何人か知っています。そのうちの一人は,地震による鉄道事故に遭遇したくないがために,近畿方面へのちょっとした用事に行くにも必ず航空機を利用しています。この路線は大地震が起きても不思議ではないところを走っていて,特に危ない感じがするのは国府津あたりにある断層だろうと思います。この断層ははるか南のほうから来た伊豆半島が本州にぶつかって接合した関係のものらしく,丹沢山塊はこのときにできた地面のシワシワみたいなものと説明されています。トンネルも多く熱海の辺りでは壁の崩落による事故が心配されそうではあります。但しこの区間は170km制限がかかっているはずで,ユレダス的なシステムで初期制動がかかれば時速100km以下で揺れに遭遇することになるだろうから,大事故には結びつきにくいと想像します。浜名湖付近ではかなり低いところを走るので(画像二枚目),津波が恐ろしいところではありますが,この低地走行区間は短く,地震時にちょうどここで停車する確率はかなり低いだろうと予想します。そんなわけで,単独での列車大事故が起きる確率はかなり低いかもしれないと思うことにしています。しかし問題は対向列車が脱線してそこに突っ込む事故は相当な確率で起こりそうなことで,これは脱線を防ぐ対策を進めるしかないだろうと思います。

と,心配事を書いてみましたが,筆者はこういうことを常日頃考えつつも,あまり心配していません。非常に高い水準で安全運行を続けてきたこの路線で事故が起きたとしても,まぁそのときは運が悪かったとあきらめる程度の心の準備はできているからです。これに対して,乗用車に乗車するとときは,ひょっとすると人生は今日で終わるかもしれないなぁと思いつつ,乗る,そんな感じです。徒歩で信号待ちするときは死ぬ可能性があるので,必ず,突っ込んでくるクルマをよけられる準備をしています。何を信頼して何を疑うか,リスクの感覚を磨く訓練をしないといけないなぁといつも思っています(画像/MWS)。








2013年9月23日


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Nikon Lens Series E Zoom 36-72mm F3.5にBR-2を装着してリバースして,エクステンダー(26mm程度)を噛まして撮影したのがきょうの画像です。絞りは開放,ズーム位置は36mm側,レンズのピント目盛りは1.2mです。カメラはNikon1J1+FT1です。被写体は皆さんのお財布にも入っている福沢諭吉さんが印刷された紙で,ホログラムの部分を撮影しています。画像一枚目は全体の縮小,二枚目は中央部の等倍切り出しです。設計上の想定を超える使用方法ですし,投影距離も正しくありませんし,絞りも開放なので球面収差が残存しているのがわかりますが,それでもマクロレンズとして通用する写りになっていることがお判りかと思います。

筆者がこのレンズのマクロ性能に気付いたのは30年ほど前で,購入後まもなくの頃です。何とか手持ちのレンズを増やそうと,小遣いの異常に少ない中学生が考えたあげく,BR-2を購入したのでした。それでわかったことは,このレンズは標準ズームというよりもむしろマクロ用に最適だということ。手持ちのNikon FGはTTL自動調光もできたので,マクロでのストロボ撮影は便利で,砂粒クラスの被写体を撮影するのに重宝しました。しばらく後になってから,このレンズの構成図を眺めると,どうみてもリバースで使うとレンズの後群が顕微鏡対物的で,ズーミングが蛇腹の代わりになり,それなりの性能が出るなぁというように思えて,ますます手放せない存在になりました。

このレンズ,現在では中古品が安価に入手できるでしょう。これを逆付けするだけでこれだけの分解能が出るわけですからマクロ領域の拡大撮影用としては最安値の部類に思います。こういった遊びに興味を持った人,中古屋さんへ走れ走れ(画像/MWS)。








2013年9月22日


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この分解中のレンズは,Nikon Lens Series E Zoom 36-72mm F3.5です。ニコンEM,FG,FG-20用に作られたレンズで,ニッコールの廉価版的な位置づけでした。カメラ小僧だった筆者の,最初の一眼レフ用レンズです。1982年9月に新宿のさくらやで買いました。ですから,もう30年になるんですね。このレンズの分解は2回目です。最初は大学生の頃,レンズの中にカビをみつけて気になり,初めての分解清掃をやったのでした。あの一か八かの経験がなければ,いまの筆者はなかったようにも思います。あれから20年以上を経て,もう一度メンテナンスが必要になったわけです。学生の頃のようなドキドキ感はどこかにいってしまい,鼻歌まじりにフンフンと作業をすすめる感じでした。すっかり中年になってしまったことを自覚する瞬間でもありますが,ささいなことにびくびくしなくなったという意味では好ましいですかね。このレンズ,広角側ではなかなかぴしっとした絵になりますが望遠側の絞り開放が甘く,それが気に入らなくて使いにくかったですね。でも,このレンズはリバースすると本気出してきたりするのですよ(画像/MWS)。








2013年9月21日


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知人が本を出したので取り寄せをお願いして読んでみたら,いやーこれが面白いんですね。筆者が最初に結晶で遊んだのは小学校に上がる前で,ブラインシュリンプを育てていた海水が蒸発して,けっこうきれいな塩化ナトリウムの結晶が出てきて,それがきれいで遊んでいました。その後,小学校一年生くらいで,食塩の熱飽和溶液に髪の毛を吊して結晶が育つのを楽しみに見ていました。高校のときには硫酸銅の結晶をつくりました。きれいなんですね,あれは。そしてこの本はミョウバンの結晶ですが,なんと『育て方』が書いてあるのです。ちょうどSHG実験用にKDPの結晶を作ろうかと思っていたところで,じつに興味深く読みました。皆さんにもおすすめです(画像/MWS)。








2013年9月20日


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もう一つ作例です。きのうと同じ撮影条件で,画像一枚目はアマゾナイト,二枚目はコランダムです。LEDの演色性が向上している分,むかし撮影したものよりも良い写りになっているように思えます。トキナーAT-X M90mm F2.5の写りは申し分なく,ホント,20年前に買っておいてよかったーと思いました。スタンドもよくなったので,これで等倍撮影の倍率領域が格段にやりやすくなり,世界が広がった感じです(画像/MWS)。








2013年9月19日


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せっかくスタンドがよくなったので試しに撮影してみました。照明はオプトサプライの電球色LED(5mmφ×4灯),カメラはNikon1J1,レンズはTokina AT-X M90mm F2.5+Macro Extender,撮影倍率は等倍,絞りF4,マニュアル露出,リモコンシャッターです。物体はキングマックスのSDカードです。このカードはホログラム印刷なので何か構造があるかもしらんと撮影してみたものです。画像一枚目が全景,二枚目が等倍の切り出しです。さすがに実体顕微鏡のスタンドは使いやすく撮影の効率が格段に向上した感じです(画像/MWS)。








2013年9月18日


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これはマクロ撮影用の接写台です。いままでは化学実験用のクランプにレンズを取り付けて使っていましたが,撮影倍率が上がると少しの振動や甘いクランプの効きも気になるようになり,ちゃんとした架台を用意しないといけないな,と思っていました。しかしながら当室は大変狭いのでモノを増やしたくないのです。なるべくなら手元にあるものをそのまま使えた方がいいのです。それで実体顕微鏡のスタンドが使えるような気がしてずっと眺めていました。カメラネジを切ればいいのですが,工作が面倒ですし,付け替えも面倒です。なるべくなら,これをそのまま何もせず使えた方がいいのです。それでさらに眺めていたところ,天から光が射してきて,問題は解決しました。実体顕微鏡の取り付け径は76mmですから,それより大きなステップアップリングをレンズの前に取り付けて,スタンドに載せればOK。画像はTokina AT-X M90mm F2.5にMacro ExtenderをつけてNikon1J1を接続している例です。マクロレンズの先端にステップアップリング55mm→82mmをつけています。これでマクロの倍率変更は自在で,スタンドのフォーカスも利用でき,じつに使いやすい接写台となりました。出費は最低限度ですみました。こういうのって,思いつくのが大変なんですよね(画像/MWS)。








2013年9月17日


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10代の頃カメラ小僧だったお話しは以前にも書いたと思います。一眼レフを振り回していた理由は,とにかく風景写真が撮りたかったのです。とくに夕焼けを追いかけていて,川原に出向いたり山に登ったりしていました。台風通過後の夕焼けは格別に色づくので,そんな日は,夕焼けはいまかいまかとソワソワしていたものです。何しろ夕焼けの色づきというのは秒単位で変化するのです。一瞬を逃さないようにつねに空を見上げて待ちかまえる必要があるのです。16日は,そんなカメラ小僧時代を想い出すようなタイミングで表を歩いていました。残念ながら都会の空は狭すぎてまともに夕焼けが見えませんが,それでも台風一過特有の燃えるような夕焼けを記録することができました。画像一枚目から三枚目までの時間は16分です。中年オヤジは少しでも空の見えるところを求めて夕焼けを追いかけたのでした(画像/MWS)。








2013年9月16日


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15日は台風の合間をぬって顕微鏡の出張メンテナンスでした。メンテナンスは当サービス業務内容の範囲を超えるので原則としては受け付けておりませんが,共同研究者や筆者と関係の深い方々の場合に限って,内容をみて引き受けることもあります(もちろん高額なメンテナンス料金となります)。今回は関係者で火山系の地質学者からの依頼で偏光顕微鏡のメンテナンスです。少なくとも四半世紀は一度もメンテナンスされていない顕微鏡でしたので各部の分解が必要でした。ランプハウスから三眼鏡筒部分まで光路部分の空気面に関して,ほとんど清拭が必要という状況でしたので,時間との戦いでした。このようなときはまず外部清掃を行い,ランプハウス,コレクタレンズ,フィールドレンズ,コンデンサ,対物レンズ,検板,三眼鏡筒の順に攻めるのが筆者流です。全速前進のフルパワーで作業を行い,すっかり日も暮れてしまいましたが,いくつかのパーツを持ち帰って修理する以外は,ほとんどの問題を解決でき,明快な視野を取り戻すことができました。広いテーブルと十分な時間をご用意頂いたお陰です。いろいろな話題を楽しみながら,顕微鏡の何たるかを全身で示しつつ,最後は珪藻標本をごらん頂き作業終了としました。お世話になりました先生ご夫妻には記して感謝申し上げます(画像/MWS)。








2013年9月15日


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ニコン携帯顕微鏡H型はフィールドで使われることも多いので汚れやすいのです。この個体は海水検鏡をしたあとにそのまま放置されたようで,ガイドレールが錆びてしまい,クロムメッキが浮き上がっています。これでは標本が引っかかって検鏡上問題があるので分解修理です。慎重に慎重にネジを外し,ガイドレールを外します。真鍮にクロムメッキの精密な部品です。これを砥石で研磨してサビを落とし,うまくいかない部分は耐水ペーパーで錆を落としてから水洗いします。ネジ用の孔はこよりで掃除してきれいにします。

よく乾燥したら組み付けです。まず仮組みしてからプレートを差し込みます。プレートがきちんとスライドすることを確認してネジを締め,最後にもう一度動作確認して作業はおしまいです。一部はメッキが剥がれてしまいましたがこまめに手入れすれば問題なく使えることでしょう。画像はレールを外したところです(画像/MWS)。








2013年9月14日(2)


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13日午後は日本プランクトン学会長の訪問を受けました。8月中旬に続いて2回目となります。学会長は筆者が大学院時代に大変お世話になった先生で,最近では福島第一原子力発電所事故の海洋への影響を継続的に調査しておられます。テレビにもよく出演していますのでご存じの方も多いと思います。先生は機器に大変詳しく,特に旧型の光学機器の造りの良さを理解している数少ない方でもあります。前回は当サービスの誇る高解像顕微鏡や珪藻在庫をごらん頂きましたが,今回は旧型顕微鏡の活用について談義となりました。ともに高演色LED仕様に改造したSUR-Ke-PhとSFR-Ke-Phを二台並べてのひとときはひじょうに楽しく,珪藻プレパラートを観察しながらあっという間に持ち時間を使い切りました。博士課程時代の副査の先生とこんな形で交流できるとは考えもしなかったことで,これだから人生は取りあえずのほほんと生きてみるべきだと思ったりするのでした(画像/MWS)。








2013年9月14日


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電池室の修理が終われば,次はプリズムの清拭が待っています。さすがに40年も経過すると完全にきれいな状態のものはほとんどなく,うっすらと曇っていたり,ホコリは入り込んでいたり,カビが生えたりしていることが多いのです。この個体の場合はかなりきれいな状態でしたが,チリはいくつも見えましたので外して整備となりました。プリズムを押さえつけている金属プレートを外そうとネジを回すと,ネジがポロリ…。

何ということでしょう。恐らくは締めるときに締め付け過ぎたのだと思います。締めるときにねじ切るならわかりますが外すときに起こるとは何とも不運です。ま,起きたことは仕方がないので,作業を続けます。反対側のネジも外してプレートを取り去り,プリズムを抜き取ります。プリズムはガイドに沿って差し込まれているので,そっと,ぶつけないように抜き取り,レンズペーパーなどの上に置きます。プリズムと本体の間にスペーサーが挟んであることがあるので,それは外さずにそのままにしておきます。

さて,折れたネジの処理です。携帯顕微鏡H型で使用しているネジはほとんどが真鍮ネジをクロムメッキしたものです。このためネジが変形しやすく取扱も注意が必要ですが,ねじが折れた場合の対処は相対的には簡単です。今回のネジは1.7mmでしたので,まず折れたネジをプロクソンに装着したダイヤモンドで削り,ネジの中央を凹ませます。そうしたら1.1mmの鉄鋼ドリルでネジに穴を掘っていきます。十分な穴が掘れたら,注油して,こんどは1.4mmの鉄鋼ドリルで穴をさらうようにして残渣を取り除きます。次に本来ならタップを通せばよいのですが,ピッチの合うタップを持っていませんでしたので,筆者のネジコレクションからステンレスネジを探し,これをそろりそろりと通して穴の掃除をします。スムースにネジが回るようになったら,穴に油をつけた細い紙を差し込んで金属かすをきれいに掃除します。これで完了。

プリズムはブロワで吹いたあとにまずは水拭きです。今回は程度がよく,水拭きで十分きれいになったので溶剤拭きはせずに清拭はおしまいです。本体はブロワのちに掃除機をかけてきれいにして,プリズムを戻し,金属プレートをセットしてネジでとめます。金属プレートの厚みと弾力に比較して真鍮ネジは弱い感じがしたので,ネジは両方ともステンレスに交換しました。もとのネジはテープで封じられ,H型プリズムと書いて,ネジコレクションに加えました。これで無事にネジ折損修理完了,プリズムメンテナンス完了!です(画像/MWS)。



*1 筆者の修理ポリシーは「前より良くなる」ことです。今回の修理では強度アップしたので前より良くなったと感じています。いいぞいいぞ。




2013年9月13日


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日本光学の誇る名機,携帯顕微鏡H型は昭和30年代から50年代にかけて販売された機種が未だに中古で高値取引されています。未使用のものは滅多になく,ほとんどが酷使されて使用を終え,廃棄の運命にあったものを拾われてというパターンかと思われます。表で見えるところでは,拾われたあとでオークションへという流れが多いでしょう。この顕微鏡は単三乾電池を使用しますので,これを入れっぱなしにしたことによる液漏れが頻発し,電池室には液漏れの形跡があるものがかなり多いことは以前にも書きました。この液漏れにも色々なパターンがあって,横に寝かせたまま液漏れしたものは電池室内部を広く汚損,縦置きしたまま液漏れしたものは電池室から下部にかけて端子を汚損,といったことになります。

今回修理を試みる個体は画像一枚目に示すように電池室の下部がやられているケースです。電池が入ったまま液漏れして,端子が押し込まれたまま固着して,錆が噴き出しているという代物です。錆は見る限り,電池から移った鉄さびが多く,緑青は少ないように見えます。さて,作業開始です。

まず底部のカバーを外します。すると画像二枚目のように見えます。この画像に写っている一つのネジが電池側から押し込まれたままになっていますので,底部から押してみて元に戻るか試します。もしもとに戻れば軽い修理で済みます。戻らないなら底部をみんな分解しての大修理です。きちんと合ったドライバーを差し込み,プリズムに触れないように注意しながら押し込んで見ると,最初は動きませんでしたが徐々に動くようになりました。摺動面をよく見ると緑青が出てきているのが見えます。サビの程度は軽そうですが,電池室のバネでスムースに戻る程ではない状態なので,100回ほど摺動して動作を軽くします。多少は良くなった感じがあります。

この部分はシリンダーと筒の摺動ですから油を一滴させば話は早いのですが,電気接点なので注油は禁物なのです。また下手な油は長期的にはプリズムを曇らせることもあります。そこでこの摺動面には炭素粉末を使い滑らせるようにします。0.9mmのシャープペンシルで摺動面を黒く塗り,カシャカシャ動かすことを繰り返します。これで動きはすっかりよくなりました。

次は電池室の接点磨きです。この大きな真鍮接点はネジ式になっていて取り外しができるのですが,かなり硬く固着していて外すのが難しかったので(特殊パーツなので破損も恐ろしい),そのまま磨くことにしました。ダイヤモンドヤスリを突っ込み大きな錆をがしがし削って行き真鍮の光沢が見えるようにします。狭くて作業性が悪くなかなか手間がかかります。全面から金属光沢が見えるようになったら,鉛筆の尻に耐水ペーパー(#1000程度)を貼り付けたものを突っ込んで傷取りです。これもなかなか面倒ですが,やればいつかは終わる作業なので気が楽です。きれいになったら水で濡らした綿棒で何度も清掃を行い,電池室の修理はおしまいです。画像三枚目に見えるように,接点もすっかりきれいになり,動きも軽やかで,これでまた末永く使えるようになることと思います(画像/MWS)。








2013年9月12日


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久しぶりにターャジスを見かけました。このサイトを以前からご覧の方は,昨年4〜5月頃にターャジスが登場したのを覚えておられるでしょう。あれから不思議なことに数えるほどしか見かけないのです。先月からつい最近まで毎日秋葉原に通っていましたが,その間も遭遇しませんでした。きょうはショートランチャー9を新たに仕入れるべきかどうかなどと考えながら夕刻の街中を歩いていたら突然出ましたー。あわてて信号を渡り,右面を撮影したのでした(画像/MWS)。








2013年9月11日


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画像一枚目は高演色ショートランチャー9で照明して撮影したもの。画像二枚目はオリジナルのショートランチャー9で照明して撮影したもの。カメラのホワイトバランスはデーライトに固定しています。両者の違いがちょうど目で見た感じに表現できています。見どころは多々ありますが,机の木の色が全然違いますね。それから色鉛筆の橙色〜赤系統の発色がまるで違います。紫色(61番,62番)も大きな色の違いとなって画像記録されています。光に赤色が含まれていないと,とうぜん反射光にも赤色は含まれないので,加色法による紫色は通常の白LEDでは青っぽく見えてしまいます。高演色ショートランチャー9はデーライトに近い感じで,Ra=97という超高演色照明と比較しても大きな違いは感じられません。こういうものができるとカラスはうれしくて,枕元に何個も転がして寝るのでしたー(画像/MWS)。








2013年9月10日


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LED照明への飽くなき追求は色々な副次的効果をもたらしますが,これがその一つ。『高演色ショートランチャー9』です。ショートランチャー9の9個のLEDのうち,4個をオプトサプライの電球色,一個をオプトサプライのアイスブルーに置き換えて,さらに拡散板を追加したものです。厳しい目で見れば改善点もありますが,この演色性は感動的でもあります。改造は次のごとくです。

使用するLEDの型番は次のものです。

・OSM54K5111K(電球色LED,5mmφ砲弾型)
・OSB64L5111A(アイスブルーLED,5mmφ砲弾型)

ショートランチャー9は幾つかあるようなのですが,ローソン100円ショップで販売されているものは抵抗がなく電池直結,キャンドゥ系列などで販売されているものは抵抗が入っています。ここでは故障防止のおまじないの意味も込めて抵抗入りのショートランチャー9を使用します。

まずは分解ですが,このショートランチャー9は,LED部分はハメコミ式です。スイッチ部分を外し,電池を取りだしたら,金属製の筒などを差し込んで,木槌などで叩き出します。かなりきつくはまっているので様子を見ながら叩くと動くのがわかるので,外れるまで叩きます。するとLEDを保護している透明プラスチックが取れ,次にLEDが反射板と基板ごと抜けます。LEDと反射板は接着されていないので,そっと引き抜けば取れます。反射板は指で触れると反射率が低下するので触らないようにして保管します。

次にLEDをハンダゴテを使って抜き取ります。LEDの発光部分を下に向け,ハンダゴテで足の部分を両方加熱すればポトポトLEDを落とすことができます。ハンダゴテは40Wくらいのものが使いやすいかもしれません。外すLEDは周囲4個(電球色に交換),中央一個(アイスブルーに交換)です。

LEDを抜き取ったら,新たに装着するLEDの足を切ります。抜き取ったものと同じ長さにすればOKです。熱的には長い足のままはんだ付けして,あとでカットするのが正解ですが,手早くやればそこまでこだわらなくても大丈夫です。足を切ったLEDはアノード,カソードの向きに注意しながら基板に差し込み,指で押さえながら反対側の基板をコテで熱すればすっと差し込めます。うまく差し込めたらテープなどで留めて,逆さまにして,もう一度きちんとはんだ付けし直します。曲がって取り付くことも多いので正面から見て何度も修正すると良いでしょう。

きれいにLEDがついたらチリ紙にエタノールを染みこませてLEDをきれいに拭きます。見違えるように透明になります。保護用の透明プラスチックもきれいに拭きます。そうしたらブロワーでホコリを飛ばした後に反射板をかぶせて,透明プラスチックをかぶせて,本体に戻します。戻すときも叩き込みます。中に入っているスプリングのところで止まるので,そこまでしっかりと叩き込みます。基板からスプリングを介して本体に通電するようになっているのでしっかりと叩き込むことが大事です。組み込みが終わればこのままでも使えますが,近距離を照明するときに光の混ざり具合がよくないので拡散板を追加すると良いでしょう。

電池を戻してスイッチオン! 電球の光でもなく,蛍光灯の光でもなく,白LEDの光でもない自然な光です。画像三枚目のスペクトルがそのことを表しています(画像/MWS)。



*1 LEDは適当に選んでも高演色にはなりません。本改造では,スペクトルを吟味した上で最良のものを選んでいます。

*2 使用するLEDは全て青発光+蛍光体の組合せなので,発光色に関係なく順電流が同一です。混ぜて使用しても大丈夫なようです。





2013年9月9日


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これはLED探しの旅で見つけたLEDチェッカー。秋月や千石で販売しています。テスターもあるしドライブ回路もあるので要らないなーと思っていましたが,使ってみるとかなり便利です。点灯確認はもちろん,色の確認,電流値と明るさの確認,ちょっとLEDのスペクトルをとりたいときなどに手軽に扱えます。やはり専用に作られた道具は使いやすいものだと感心したのでした。画像で点灯中のLEDは左からアイスブルー,赤,青緑です(画像/MWS)。








2013年9月8日


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筆者の研いだ包丁で切ったキャベシが食べたいという声がどこからか聞こえてきたような気がしますので画像だけでも…。包丁がよく切れるとシャリシャリと弾けるように切れて気分も良いですね。食べてもおいしいのです。ちなみにこのキャベシでドンブリ一杯ありますが二人分です。こんな量では野菜不足になってしまいますので,ほかにもいろいろな野菜を摂取して補っていることは言うまでもありません。生野菜は見た目の量とは裏腹にスカスカで,サラダ好きの人などが野菜不足になりやすいのです。一日400g程度の野菜を摂るには煮野菜が基本です(画像/MWS)。



*1 包丁は安価なハガネ割り込みのもの。これをいつも通りにスエヒロ#3000で研いで丸尾山『合さ』で仕上げです。




2013年9月7日


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大規模な修正研ぎの依頼もあったので備忘録です。これは兼広作の牛刀で,一般家庭で時折みかけるものです。入荷時点では相当に使い込まれて研ぎ減っており,先端は極端なコンコルド,刃元は凹面(!),その中間は波打っているという状態でした。全体にサビも出ていたのでまず#2000程度の耐水ペーパーで丁寧に錆び落としして,全体をきれいにします。そのあとにひたすら観察です。単にコンコルドを修正しただけでは使えないので,どのような刃線にして何の用途にすべきか考えなければなりません。悩んだあげく,洋包丁ですけど刺身用にすることにしました。刃線がほぼ直線でよく,切っ先をあげて峰側を少し削り落とせば使えるようにはなるだろうとの予想です。

さて作業開始ですが,まずは包丁を立ててダイヤモンドで研ぎ,凹んだり波打っている刃を,少なくとも刃物として機能するラインに修正します。簡易研ぎ器で狂ってしまった刃は,簡単なことでは修正できません。ダイヤモンドの#300でひたすら削ります。すでに身幅がかなり狭くなっているので,完璧な形の追求はせずに,最低の削り落とし量で実用的な刃物になるように削っていきます。おおまかに形ができればダイヤモンドの#600で研ぎ,包丁の原形となる形に仕上げます。

形ができたら切刃を作るわけですが,このくらい身幅の狭い薄い包丁に切刃を均一に美しくつけるのはかなりの技術を要します。そこで包丁に切刃のガイドとなるガムテープを表と裏に貼り付けます。このテープを超えて研ぐことはできないので傷防止にもなりますし,研ぎ角を安定させるガイドの役割も果たします。そのテープを貼った様子がきょうの画像です。

テープを貼ったらダイヤモンドの#600で表を研ぎ,切刃を新しくつけます。相当に難しい作業です。ダイヤではちゃんとした平面を出せないので,荒削りで肉を落とすといった感じの研ぎとなります。研ぎ落とす量が多いのでえんえんと続く作業になります。肉落としが済んだ感じがしたら,シャプトンオレンジで切刃付けを行います。よく平面の出たシャプトンオレンジで指先をぴったり当てて指と一緒に切刃を研ぐような動作になります(実際に久しぶりに指を研ぎすぎて右手中指から出血しました)。指先で刃裏を感じながら砥石をなぞり,幅の狭い切刃に正確な平面をつけていきます。これも相当に難しい部類の作業です。

きれいな平面で切刃ができたかどうかを調べるために,切刃をスエヒロ#3000で研いでみます。出来上がっていれば短時間で切刃が鏡面に輝くので簡単に判定できます。今回はかなり丁寧に研いだのでOKでした。

次に裏ですが,刺身用なので片刃的な刃付けにしないといけません。それでダイヤは使わずに,シャプトンオレンジでごく浅い研ぎ角で切刃をつけます。切刃を作るというよりも,鋭い刃を作るために正確な裏刃を作るといったイメージです。表側のカエリを調べて裏が出来上がったかどうかがわかります。OKであれば,もう一度表裏をスエヒロ#3000で研いで,さらにスエヒロ#8000で表裏を研いでピカピカの鏡面にします。鏡面にしなくても十分ですが,家庭用のハガネ包丁の場合,鏡面化した方がサビが出にくいし,サビが出ても浅いのでメンテナンス上は鏡面がよいと思います。

最後はスエヒロ#8000で刃付けを行い,そのあとに丸尾山の『合さ』で刃付けを行い,残存する微細なカエリを紙で取り除いてから試し切りを行い,OKであれば水洗いをして乾燥し,一連の作業は終了です。まったく使い物にならなかった鉄片は刺身包丁としてよみがえったわけですが,今後,何切れの刺身を切り出してくれることでしょうか(画像/MWS)。








2013年9月6日


ps

出刃の研ぎ依頼がきましたので備忘録です。この出刃は種子島包丁の伝統の技によるもので,恐らくは昭和中期頃のかなり昔の製品に見えます。裏も表も研がれた形跡がなく,推測ですが,購入してそのまま数回使って仕舞い込まれたものでしょう。現在では高級品でも「すぐ使える」出刃も売っていますが,当時は自分で好みの刃をつけて使うものだったと思います。それを知らずに,そのままになってしまったのでしょう。こういう包丁は研ぎ素材としては最適です。大きな刃欠けもないので楽ですし,型くずれも少ないので美しく仕上がる可能性が高まります。

まずはカチカチの赤レンガを台座として使い,そこにGC#120程度の荒砥を擦り付けて粒子を出し,それで切刃を研ぎます。機械研ぎのあとが浮かび上がってくるので,エクボを消すように,がんがん研いでいきます。ひたすら研いでエクボがなくなってきたら,WA#400の粒子で研ぎ,切刃を滑らかにします。この段階で再びエクボがうかびあがって来るので,もう一度GC#120に戻り,全面を研ぎ直します。そして再びWA#400の粒子で研ぎ様子をみます。

もーいいかなというところになったら,シャプトンオレンジで切刃全面を研ぎ,しのぎのラインもほぼ決めて,全面を滑らかにするように研ぎます。この時点で再度エクボが浮かび上がってくるので,今度はシャプトンオレンジで研ぎおろしてどこにもエクボや傷のない状態に仕上げます。研ぎは中砥が勝負です。ここで手抜きすればきれいな仕上げにはなりません。切刃が流れるカーブになるようにイメージしながら力を抜いて研ぎます。

切刃ができあがったら裏押しです。シャプトンオレンジを面直しして裏押しします。たいていはきれいに裏がでないので裏刃が多少太くなってもいいので,どんどん押してしまいます。しかしこの包丁は欠陥があって,裏の切っ先から20ミリくらい下ったところに裏刃がつきません。これでは使い物にならないので,仕方なく,少し起こして裏研ぎします。表から叩きたいところですが,他人様の預かり品の場合は壊す恐れがあることはやりません。

こうして裏がついたら再び表から研ぎ,一度カエリを落として刃道を確かめます。形が気になるなら,この時点で切刃を修正研ぎします。その作業が済んだら,平,峰などを#2000程度の耐水ペーパーで磨き,サビなどを落とし,しのぎについた傷なども消します。それからシャプトングリーン#2000で切刃を研ぎ,スエヒロ#3000で切刃を研ぎます。しのぎのラインはこのときにきっちり決めます。次にスエヒロ#3000で裏押しして,スエヒロ#8000で切刃を研ぎ,裏押しします。この時点で切刃,裏ともにピカピカの鏡面になります。

ピカピカの鏡面化が完了したら化粧研ぎです。丸尾山の『白巣板』を用いて一度鏡面にした切刃を滑らせるように研いでいきます。刃当たりが柔らかくじつに滑らかな研ぎ心地です。ここでも全面をならすように,ムラにならないように均一に力を加えながら研ぎます。ときどき水洗いして出来を確かめながら全面に美しい内曇効果がでるようにまんべんなく研ぎます。

化粧研ぎが完了したら最終刃付けです。いちど切れる刃はついていますが,最後の確認の意味でもう一度刃付けします。スエヒロ#3000で表裏を研ぎ,次に丸尾山『合さ』で表裏を研ぎ,印刷物を用いて微小なカエリを取り去ります。厚く折った布を試し切りして刃付けは完了です。

この刃付けの段階で霞仕上げにムラができますので,最後にもういちど丸尾山『白巣板』を滑らかにかけてすぐに水洗いして,拭き専用の布で拭って乾燥させます。 きょうの画像はそうやって仕上げた種子島包丁です。はじめて刃をつけてもらって,化粧研ぎもしてもらって,本来こうあるべきという姿になりました。『白巣板』の内曇効果で,鋼と地金の境がくっきりと見えます(画像/MWS)。








2013年9月5日


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これは以前にも(透過明視野で)紹介したナマコの骨片です。カルサイトでできているとされています。それを偏光法(クロスニコル)で見たのが画像一枚目。偏光色が鮮明に出ています。オープンニコルにしても色が見えます。こういった材料に行き当たると嬉しいですね。きれいに洗って並べなければなりません(画像/MWS)。








2013年9月4日


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接眼レンズが完璧に清掃できても,標本と顕微鏡本体が完璧でも,視野内にゴミが見えることがあります。それは接眼レンズから網膜までの間に何かがあるのです。特に眼鏡をかけたまま検鏡すると大量のゴミを見ることになります。特別の理由がなければ,顕微鏡は裸眼で覗いた方がよくみえます。視力によるピントの移動は少なく,鏡筒長の補正が必要になるほどではありません。眼鏡を外していても,眼球内の物体が投影されて視野に現れるのは防ぎようがありません。筆者も右目と左目に,それぞれ形のことなる毛細血管があるようで,目の移動とともに絡まった糸のようなものが視野内を動いていきます。こればかりは加齢に伴って多少は生じるものなので仕方がありません。

この眼球内の物体は接眼レンズから出る細く絞られた光によって網膜に投影される影のようなものですから,接眼レンズの射出瞳が大きくなるような検鏡法では影響が軽くなります。具体的には,同じ倍率なら高開口数の対物レンズを用いて,コンデンサはなるべく開いて検鏡するのです。この理由により微分干渉法ではノイズの少ないと感じる像が見えます。対してコンデンサをきつく絞り込んだり,位相差法で検鏡する場合は光束が細いのでどうしても眼球内の異物が見えやすくなります。完全に見えなくするには,背景光のない暗視野法を使うと良いのです。真っ暗な背景に輝く珪藻を観賞するときは,眼球内の異物も気になりません(画像/MWS)。



*1 同じことはデジタルカメラで撮影するときに気になる,ローパスのゴミなどにもいえます。ローパスは掃除できる点が眼球とは異なりますが…。




2013年9月3日


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顕微鏡の見えを大きく左右するのは対物レンズの良否であることは誰でも知っていますが,じつは接眼レンズも非常に重要であることは意外に知られていません。接眼レンズは対物レンズとペアで使うように設計されていて,例えばニコンのCF対物レンズはニコンのCF接眼レンズと組みで使います。ところが大学などの研究室にお邪魔すると,CF対物レンズにHKW接眼レンズが使用されているケースを相当な頻度で目にします。1回だけ使用説明書を見れば理解できる程度のことを実行していない証拠ですね(*1)。

こういった基本的な問題は論外にしても,接眼レンズは汚れやすく,目レンズの完璧な清掃はかなりの経験を要します。内部が汚れてしまったら清掃はさらに難しいですし,一点の汚れもなく接眼ミクロメータを入れられたら職人級の腕前でしょう。ものによってはレンズが濁ってしまうものもありますし,接合部分が剥離してしまうものもあります。これらの問題は像に重なる影となって現れて不快なものです。物体を検鏡中にコンデンサを絞り込んで接眼レンズを回してみれば,ゴミも一緒に動くので汚れが判別できます。位相差検鏡のときに接眼レンズを回してもよくわかります。

レンズの濁りは暗視野検鏡で判別します。珪藻プレパラートJシリーズのような完璧に透明なものが好ましいですが,対物ミクロメータのようなものでも代用できます。暗視野コンデンサで強めの照明を施して検鏡すれば,濁った接眼レンズではフレアがでるので判別できます。別法として,接眼レンズに直接,LEDライトなどで強い光を入れてエレメントを照明するとフレアが見えて判別できることもあります。濁りの原因はガラス表面の結晶化のほか,光学接着剤の失透,汚れの拭き残しやコーティングの傷みなどからも発生するので,よく観察して見分けて,良品と不良品を分けておくことになります。頻用する接眼レンズが数十にもなると管理がなかなか面倒です(画像/MWS)。



*1 もちろん,像質の変化を理解した上でわざと異なる組合せで使っているのであればOKです。筆者は携帯顕微鏡H型にCFW10x接眼レンズを多用しています。倍率色収差補正から考えればH10xやHKW接眼レンズを使うべきですが,ハイアイで覗きやすいこと,眼鏡に傷がつきにくいこと,コンパクトになること,予備をたくさん持っていることなどの理由で,不特定多数の方に観察してもらうときにはCFW接眼レンズをチョイスすることも多いのです。

*2 新品の顕微鏡がすかっと爽快に見えるのは,多くの場合,(各光学面が汚れていないことに加えて)接眼レンズがきれいだからです。ふるい顕微鏡でも,きれいな接眼レンズを装着し,コンデンサを,どのエレメントも結像しない高さに調節できれば明快な見えに感動することでしょう。言うのは簡単で,行うのは難しいのですが。





2013年9月2日


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8月は空調をつけなくては生命が維持できないほどの日々が続きました。その関係で作業はメンテナンス関係が中心で,Jシリーズ関連の作業はまったくできませんでした。7月中旬〜後半が少しだけ涼しかったのを最後に,次に空調を止めても生きていられるのはいつになるのでしょう。最高によいものを作ろうとすると気象条件等にも影響されるので困ったものです。冬場は空調を入れずに済みますが,封入剤が固くなるので作業が遅くなります。夏場の方がやりやすいことも多いのですが,あつすぎて実際に作業可能な時間はそれほど多くありません。冬場にカバーグラスを温める赤外線ヒーターも使っていますが,これを使い続けると封入剤が変性するので,短い時間しか使えません。むずかしいものです(画像/MWS)。








2013年9月1日


ps

LED探しの旅は続いています。筆者は前世がカラスであったらしいので,LED光源を製作していたら毎日LEDを触っていないといけなくなってしまい,秋月電子と千石電商を往復することとなっています。その気になって試してみれば,それなりの分光特性をもつLEDがあるものです。きょうの画像は探し当てた2種の実測データです。黒線はオプトサプライの5mm砲弾型,赤線はソウルセミコンダクターの3WパワーLEDです。砲弾型の方は青のピークが低いので色収差が出にくいため,アクロマート補正の実体顕微鏡用照明に採用しました。パワーLEDの方はプランアポクロマートを多用する生物顕微鏡用の光源を製作しました。どちらもこれまで再現できなかった660nm付近の深赤色を含むので演色性は高まるものと思います。

ところでスペクトルを測定するときはPTFEの拡散板を介しています。このため拡散板の吸収特性も加味したデータになっていることには注意が必要です。白色や電球色などのLEDは発光しているGaNの結晶部分と,その励起光を受けて蛍光を発している部分とではスペクトルが異なります。分光器を少し傾けただけでグラフの形が変わります。そこで拡散板(というかオパールグラスやPTFEなどの完全拡散面が得られるようなもの)で光を混ぜ混ぜしないと平均のスペクトルがわからないのです(画像/MWS)。









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