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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


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2013年5月31日


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春が訪れつつある北国から山菜がとどきました。都内では見ることすら難しい品質のアスパラガス(緑,白)とユキザサ,ネマガリダケ,フキ…。雪が多かったこともあるのでしょうが,最高の品質です。さっそく焼き物,炒め,和え物等にして夕飯となりました。甘味のあるみずみずしい汁気が素敵です。いつもながら北に向かって感謝感謝でございます(画像/MWS)。








2013年5月30日


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29日はカルサイト系のバイオミネラルを探しに相模湾西部に出向きました。ここ5年間ほど通っている場所ですが,子どもの頃にも遊びに来ていたところなので,懐かしさを感じるところでもあります。この場所から良質の珪藻を採取するのはけっこう難しく,クモノスケイソウとミスミケイソウは大量確保ができましたが,あとはヒトツメケイソウと,プレウロシグマが少々といった感じです。しかしたまに五角形の珪藻が見つかることがあって,それが希少なだけに,ついつい足を運ぶことになります。きょうは珪藻採取はお休みで,まずは海の様子を眺め,必殺にゃーおん光線を(トンビに)発射しながらオニギリを食べ,カルサイト系のバイオミネラルを探してから帰路につきました。さすがに漁港があるだけのことはあって,道路に魚が落ちています。そして誰も見向きもしません。落ちている魚は決まってタカノハダイで,たぶん,臭いを嫌って漁師がポイしたものをネコやトンビが引きずって放置プレイしたのでしょうね(画像/MWS)。








2013年5月29日


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これはサンプリング先にあったテトラポッドですが,注目すべきは骨材です。度重なる波しぶきに曝されて結合材(セメント)が減っていて,骨材がむき出しになってきています。この骨材,角が丸くて比較的大きく,体積的にもたっぷりと投入されています。恐らく川砂利かと思いますが,現在ではなかなか見かけないほどの高品質コンクリートになっているように見えます。アルカリ骨材反応も起きにくいだろうし,角が丸いので圧縮強度も高いだろうと推測されます。いい加減なコンクリートだと,海砂利を塩抜きせずに混ぜたり,砕石をそのまま適当に投入したりといろいろあると聞きます。骨材はコンクリートの強度を左右する要因なのでついつい出先でもコンクリートがあると見てしまいます(画像/MWS)。








2013年5月28日


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27日は神奈川県東部方面へサンプリングでした。このシーズンにぜひとも入手しておきたい試料が幾つかあって探しています。天然の生物を見つけるのは簡単ではなく,何度も足を運ぶしかなさそうです。きょうは砂地の珪藻を狙いましたが,芳しい成果はなかったように思います。汚水が染み出るところにできた群集を採取してみましたが,小さなニッチアの群集だろうなとの予想通り,ニッチアの塊でした。大収穫の部類でしたが求めていたものとは違い,積ん読サンプルがまた増えてしまいました。丈夫なギロシグマとプレウロシグマがわんさかという試料を探しているのですが,2009年に出会ったキリで,久しくみていません(画像/MWS)。








2013年5月27日


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製造から四十数年を経ても調子よく見えるニコン携帯顕微鏡H型ですが,何カ所か経年による動作の変化が出やすい場所があります。きょうの画像がその一つで,採光用のミラーの付け根にあるヒンジです。これがゆるくなってきて,ミラーがカクカクと動くようになってしまうことがあります。ヒンジのピンは両側ともに中央が凹んでいるだけです。ミラーを動かしてもピンは動きません。このヒンジのピンはどうやって締めるのでしょう。筆者にはまったく思いつきません。誰か知っている方,いませんかー(画像/MWS)。








2013年5月26日


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これもピンヌラリアですが,5月21日付けで紹介したものとは違う種です。こちらの種は微細構造のピッチが若干広いので,21日に紹介した種の微細構造よりもコントラストが出ています。レンズによる結像では解像限界とコントラストの間に深い関係があるので,どのように微細構造のコントラストを上げるのかが勝負になります。

ところでこの珪藻は河川や池などでふつうに見られるものですが,DL-TEST用に大量確保することが難しい状態が続いています。今月供給したものはこの種が載っていると思います。二年半前に採集した試料の精製が比較的うまくいき,現在はそれなりの数が確保できています(画像/MWS)。








2013年5月25日


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ここのところの乾燥続きですっかり干上がっている川原ですが,水は見えなくなっただけで,河川流路の地下を流れています。それを表したのがきょうの画像です。カチカチに乾燥した川原でも,地下水位まで掘り下げれば水面が顔を出します。この小さな水面は強い日射しで一日で干上がってしまいそうにも見えますが,一ヶ月以上もこのままです。あまりにも珪藻が増えすぎてドロドロになっています(画像/MWS)。








2013年5月24日


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「いつかは手に入る」と念じ続けると,まったく予想もしなかった方面から光が射してきて,ついには手元に転がり込んでくる,ということを昨年10月19日に本欄で強調したところでありましたが,あれから半年以上を経て,また光が射してきました。だいぶ昔のレンズで,当時の販売価格も大したことはなかった代物なのですが,なぜか縁がなく,欲しいと思ってから十数年の月日が経ったのでした。これが突然,レンズの方から筆者のところまでやってくるのですから巡り合わせというのは不思議です。やや濁っていて,拭いてみても濁りが少し残りますがそんなことは全然構いません。まずは入手できたことを喜びたいと思います。お取り計らいを頂きました方には心より感謝を申し上げたいと思います(画像/MWS)。








2013年5月23日


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これは鉢植えのサルナシ。雄株と雌株があります。八王子の山の中から枝を取ってきて挿し木にしたものです。サルナシはキウイの原種とも言われ,晩秋の山歩きで頬張ることができる果実ではいちばんウマイような気もします。それで鉢植えで実をならせてみようと思ったわけです。しかし普通は沢沿いの水はけのよい斜面に生えるもの。コンクリートジャングルの熱地獄で鉢植えではさすがに厳しいらしく,最初の数年は伸びましたが,いつからかぱったりと伸びなくなり,毎年少しの葉っぱで一年を過ごしているという感じです。それでもこの葉っぱをみていると深山の空気が思い出され,一服の清涼剤になっています(画像/MWS)。








2013年5月22日


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さいきん研ぎの記事が全然ないではないかーという声が聞こえてくるような気もします…。すみません。現在も指先のリハビリ(大げさですが)中でして,指先で強く押さえる作業はできるだけ少なくしています。その関係で大規模な研ぎは見合わせています。中年オヤジともなると若い頃のような回復力はないので,体と相談しながらコトをすすめるしだいです。日常作業には何ら問題のないレベルに回復してはいますが,大量の珪藻を何日間も並べ続けるまでには回復していないと判断しています。ながく続けたいですから,それには体がまともに動くことが第一です。禁酒して,野菜をたくさん摂り,体を温めて回復に努めております。画像は夕飯用のレタス。丸尾山砥石(合さ)の威力により,ふんわりとするような細い千切りです。これをシャキシャキとよく噛んで食べれば一日の疲れも和らぐのです(画像/MWS)。








2013年5月21日


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ピンヌラリアの一種でどうしても微細構造が見えない種があるのですが,そのうちの一つで何とか解像に成功したようです。少なくとも170nm以下でおそらく150nmに迫る構造で,同じ開口数のレンズでも見えたり見えなかったりする不思議な領域です。こういった解像限界を追求する試みは,もちろん,より小さなものをみたいという気持ちから行われるわけですが,それだけではありません。レンズの解像限界をきっちり使い切ることができるということは,それより手前の構造は十分にコントロールの範囲内に入ることを意味するわけです。つまり,微細構造をイメージングする試みは,解像限界手前の構造をより鮮明に撮像できる技術につながっているというわけです。このことは高倍率の油浸対物レンズでも,低倍率の対物レンズでも同じです。見慣れている標本ならどのようなものでも練習材料になると思いますが,珪藻は一定の周期構造を持っているので,レンズの評価が容易です。練習用の標本としては優秀と思います(画像/MWS)。



*1 ここまで見えなくても良いのでは?という意見もあります。もちろん,それにも一理はありますが,技術を持たない人には言って欲しくないセリフではあります。もしこのような高解像イメージングの技術を身に付けたときに,「ここまで見える必要はない」と本当に思うかどうかはわからないからです。筆者の意見としては,指導的な立場にある人(大学教員で顕微鏡を教えている人など)は,可能な限りの技術を身に付けておくという考え方に対してポジティブな思考を持つべきと考えています。そしてできれば,高度な技術を駆使できるようになって欲しいと考えます。なぜなら,そうしなかったら,一体誰が学生に顕微鏡を教えられるのでしょうか? と思うからです。実際,顕微鏡を道具として使いながら大学院を卒業し,顕微鏡が全く理解できていない人はたくさんいます。そのような人が増えてしまったのは学生が悪いわけではなく,指導教員が不勉強なのです。

*2 光学顕微鏡は平等な道具です。どうあがいても分解能としてλ/2NAの壁を越えることは実現できそうにありません。しかしλ/2NAに限りなく近づくことは誰にでもできます。努力したものの勝ちです。同じ機材を使わせたらアマチュアが大先生よりも上手などということが普通にみられます。終着駅はλ/2NAです。そこまで到達すれば誰もがトップランナー,みんな仲良く同率一位です。





2013年5月20日


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読者でDL-TESTのユーザーの方から,ドイツ,Starnberg Seeの画像をお届け頂きました。海外に出向いても顕微鏡のことを忘れずに当サービスまで質問メールをいただきました。有り難いことですね。この画像は観光船からのものだそうですが,筆者的には,空に微かにスモッグの痕跡があるようにも見え,周囲の森林は完全に丸坊主になった丘に植林されたものにも見え,ヨーロッパの自然環境の移り変わりについて考えさせられる絵になっています(画像/MWS)。








2013年5月19日


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旧式顕微鏡の鏡基とコンデンサの適合性について質問を受けることがあります。それに対する回答の一つがきょうの画像です。ニコンS-Keで使用可能なコンデンサで,手近なものの一部を並べてみました。ご覧頂ければお判りのように,けっこういろいろ装着可能です。有限鏡筒長時代の,さらに短頸対物レンズ時代のコンデンサは多くのメーカで36.8mm径程度であって,オリンパスのコンデンサをニコンに,千代田の暗視野コンデンサをニコンに付けるといった使い方が可能でした。ニコンでは現在販売中のコンデンサにも旧規格の寸法が残っているものがあって,それらはS-Keに取り付きます。ただ,機械的に装着可能なことと,フォーカスが合って性能がきちんと出ることとは別の話です。オリンパスのコンデンサは入射瞳の径が大きいものがあり,それらをニコンの顕微鏡で使うと高NAの照明で光を入れるのに苦労することがあります。また一部の機種ではコンデンサを上げると機械的に干渉してまともな照明にならないものもあります。そういった事情はあるにしても顕微鏡は照明が命なので用途に応じたコンデンサは持っていて損ではありません(画像/MWS)。








2013年5月18日


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新規販売分のプレパラートには早速,複数のお申し込みをいただきまして有り難く思っております。ご購入をお考えの方がおられましたら,在庫は余裕がありますので,ゆっくりお選びいただければと思います。今回販売分のカラー画像は,約30年前の対物レンズで撮影しています。蛍光用の対物レンズで,プランになっていないので像面湾曲が残っています。それで平面性の高い珪藻を撮影すると端がボケたりします。色収差補正もアポクロマートではないので,カッチリとしたコントラストは出にくい面もあります。でも,このレンズ,グリセリン浸液なので取扱が楽です。いまではずっと性能の良いプランフルオールや蛍光対応のプランアポクロマートもありますから,このような旧式レンズを好んで使う人も少ないでしょう。出番をつくってあげました。SKK-01に入っているクチビルケイソウの微細構造がいい感じです(画像/MWS)。








2013年5月17日


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珪藻プレパラート【KRS-TDP】は今週から販売をはじめたものの一つですが,きょうの画像に示す珪藻を大量に含んでいます。この珪藻,光学顕微鏡でぱっと見た感じには,RL-TESTで利用しているAmphipleura pellucidaに似ていなくもない。それで昔はAmphipleura rutilansと呼ばれていました。のちにCox(*1)が電子顕微鏡で構造の検討を行い(画像一枚目),Amphipleuraの仲間ではないとして,Berkeleya rutilansとなって現在に至ります(と認識しています)。その珪藻を高分解能イメージングした画像が二枚目ですが,Coxの論文で使用されている電子顕微鏡写真で読み取れる構造はすべて写っているようにも思えます。光学顕微鏡も正しく使って限界まで性能を発揮すれば,現在は電子顕微鏡で観察することが普通になっている構造の幾らかは,カバーできる領域であるように感じます。そういうわけで,【KRS-TDP】は液浸系対物レンズの解像限界を試すには良い標本です。恐ろしく薄い,コントラストの低い被殻を完璧にイメージングするには技術を要します(画像/MWS)。



*1 E. J. Cox (1975) Br. phycol. J. 10: 1-12




2013年5月16日


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いつもみている自然科学系のブログにエッシャーの絵が出ていた。アートとは全く無縁の筆者もエッシャーには多少興味があって学生時代にこんな本を買っていたりした…。繰り返しパターンにはある法則性があるようなお話しで,面白かったがよく理解できなかったような記憶があります。あれからン十年。何となくこの繰り返しパターンは珪藻やその被殻上の微細構造を連想させる感じがする。いま読んだら少しは理解がすすむんだろうか(画像/MWS)。








2013年5月15日


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珪藻アートという言葉があるらしいのだけれども,自分に当てはめてみるとどうもピンと来ません。アート作品を作っているという自覚はほとんどゼロです。というのも珪藻は一つの殻が存在しているだけでも自然が作った完璧な作品で,単体で充分に鑑賞に堪えます。ですから筆者がやっている作業は,その自然の作った作品群をガラスの上に載せてあげるという気分なのです。組み上げられたツリーが作品として美しいとしても,それは個々の珪藻が生み出す精密さがあるからです。組んでいる気分は,珪藻の美しさを損なわずに,それぞれのポジションで役割を果たしてもらう,そんな感じでしょうか…。義務教育時代は,美術の成績が良かったことがありません。イカを描けばロケットになる,そんなセンスのなさです。模写はいくら書いてもこれ以上ない下手くそな絵になりました。学校にはいろいろお世話になりましたが,有り難いことに劣等感もたくさん頂きまして今日に至ります。才能がないことは周囲を見渡せば明らかなのに,さらに追い打ちをかけるような通知票の評価はもうコリゴリです。そんなこともあって,美術という分野には近寄りがたく(笑),無縁でいようと思うのです(画像/MWS)。








2013年5月14日


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きのう掲載したクチビルケイソウの中央付近を高分解能でイメージングしたところ,驚愕の微細構造が出現しました。これはCymbellaというよりもDidymosphenia的な感じのする構造ですね。注意深く検鏡すると,こういった予想もしなかった構造が現れることがあるので,顕微鏡いじりはやめられない面白さです。

この珪藻をはじめとして,新しい標本6品を掲載しましたので,こちらをご覧ください(画像/MWS)。








2013年5月13日


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これは大形のクチビルケイソウで,今月はじめ(5/2)にも紹介している種です。この特徴的な形態からみてCymbella janischiiと判断されます。立派で分厚い被殻でありながら,表面に広がる繊細な模様が素敵です。また微細構造もたくさんあって見どころの多い珪藻です。顕微鏡のお供に最適で,観賞はもちろん,写真撮影の練習用や対物レンズのテストにも使えます。すでにJシリーズでは2010年から使用していますが,手軽に入手できるように単品での販売を予定しています(画像/MWS)。








2013年5月12日


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こんどはコアミケイソウ(Coscinodiscus属)の微細構造です。このレベルの構造は比較的見やすく油浸の輪帯照明で結構見えるのでお手持ちの方は挑戦してみると良いでしょう。この属の微細構造は細胞壁の外側の面にありますので,細胞内部側を向こうに向けた珪藻被殻を選んでピントを手前側に持ってくるときに微細構造が浮き上がります。照明法によってはコントラストが低くほとんど見えないこともあります。また種により微細構造のピッチが異なり,光学顕微鏡では解像がむずかしい種もいます。油浸で検鏡していてちょっとでも「ざらつき」を感じたら怪しいと考え,解像限界を追求すると見えてくるかもしれません。驚くべきことは,この微細な孔もまだ最小構造ではないということです。この孔の中に,もう一回,同じような網目構造があることが透過電顕により明らかにされています(画像/MWS)。








2013年5月11日(2)


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珪藻(中心類の一部など)は有性生殖を行うことが古くから知られています。通常の栄養細胞が,あるとき精子と卵に分かれます。クローンでもちゃんと有性生殖が起こるのでなかなか不思議なのですが,この分化機構についての一端が明らかにされました。知人の研究成果なのですが,わかりやすい記事が掲載されていましたので紹介致します。

こちら

城川先生からは,この研究について3年近く前に東大でお話しを伺いました。材料選びと研究の進め方が素晴らしく,なかなか解明できなかったことの一端が見えてきた感じがあってとても感心しました。筆者もかつて珪藻のタイムラプス撮影を行っていたので有性生殖についても記録したかったのですが時間切れとなった経緯があります。城川先生の研究では細胞サイズの重要性が指摘されていますが,確かに筆者の経験でも,全ての細胞が小さくなると有性生殖は起こらなくなって珪藻株の維持培養が困難になりました。しかしその原因が栄養細胞→卵の経路が途絶えたためとは想像できませんでした。じつに天晴れな研究です。

この研究では並行してタイムラプス撮影ができる特殊な装置が組まれていて,そのお値段はバスが一台買えるくらいのものです。訪問時にJシリーズを持参し,微分干渉で検鏡させてもらったのは良い想い出となっています。ぜひこのシステムを活用してこれからも有性生殖や休眠にまつわる問題を解明して欲しいと思っています。画像はChaetoceros curvisetusという海の浮遊珪藻で,有性生殖直後に増大胞子を形成したときのものです(画像/MWS)。



*1 ぜんぜん関係ない話題ですが,同じマイナビニュースに都内のヒキガエルの話題が出ていました(こちら)。近所にお住まいの先生宅にはたくさんのヒキガエルさんもいるのですが,先生のお話ではどうも2系統のヒキガエルがいるようだとのことでした。まさに先生の観察通りで興味深く思ったことでした。




2013年5月11日


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画像一枚目はメロシラ・バリアンスという珪藻の生きている状態です。この時期の流れの緩やかな河川なら,川岸近くや伏流水が湧いているところなどでふつうに見られる珪藻です。生物浄化法(緩速ろ過法と呼ばれます)を採用している浄水施設ではこの珪藻が大量に繁茂します。画像二枚目は,この珪藻を高解像でイメージングしたものです。通常の検鏡ではまったく無構造の透明な被殻に見えるのですが,もちろんそんなことはありません。どこからか栄養を吸収しないといけないので,孔はあいているのです。この珪藻は極端に小さな孔が敷きつめられているように開いていて,そこから栄養素を吸収しているに違いないのです(画像/MWS)。








2013年5月10日


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これはSurirella gemmaと呼ばれていた珪藻です。今では Petrodictyon gemmaという分類に移されていますが旧名でも通じます。というか,旧名の方が有名かもしれません。この珪藻,淡水が流入する沿岸や干潟で見かけることが多く,恐らくは汽水域の海底で生活しているのではないかと思います。殻はかなり薄く,取扱は難しい部類です。被殻には整然とした点紋列があり,むかしから顕微鏡対物レンズのテスト試料として使われています。解像はそれほど難しいものでもなく,点紋の分解だけなら上級者であればNA=0.95で充分でしょう。しかしこの点々一つ一つが四角形である様子を鮮明に写し出すには技術を要します。練習用によい素材なので,DL-TESTやJシリーズでこの珪藻がマウントされているものをお手持ちの方は挑戦してみるのもよいかもしれません(画像/MWS)。








2013年5月9日


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まとまった雨の降らない日々が続き,関東の小河川は渇水状態になりつつあります。あれほど大量に繁茂していた珪藻も干上がればお陀仏です。珍しいほどに大規模な珪藻の乾燥粉末が広がっています。河床が白いのは乾燥した珪藻の色です。ここは海からは50キロメートル以上離れた場所ですが,なぜか潮の香りに近い空気が鼻をくすぐります。海藻にちょっとエビカニが混ざったような感じです。たぶん,珪藻とそこに生息していたたくさんの水生昆虫が干物になった匂いではないかと思います(画像/MWS)。








2013年5月8日


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DL-TESTやJシリーズなどでは大体5種くらいのクチビルケイソウをマウントしています。そうすると先日掲載したクチビルケイソウの微細構造以外のものもあるわけなので撮影してみました。これは先月はじめに納品したDL-TESTにマウントしたクチビルケイソウとたぶん同じ種の画像です。被殻末端部に粘液を分泌するであろう構造があって,その部分の微細構造がなかなか細かいのです。当室の機材で4番目くらいのものを用いてイメージングしていますが結構むずかしいです。NA=1.40,輪帯照明,波長400nmです。もちろんモノクロイメージングです。条線が途中でなくなって,急に細かい点紋になっていることがわかります(画像/MWS)。








2013年5月7日


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夕方に雷雨がありましたので虹が出るだろうと待ちかまえていました。待つこと15分,予定通りに予想の位置に虹が出ました。さっそくNikon1 J1を向けて撮影…あれ? シャッターが切れない。何度試してもダメ。時間が刻々と過ぎていきます。電源を入れ直してもだめ。露出等の設定を変更してもだめです。うーむ困った困った。初期設定に戻してもだめ。念のためにほかの被写体に向けると撮影できます。。ということいは,画像を認識して合焦するようなものは何も写っていないと判断して,シャッターにロックがかかっているのか…。

早速google様に聞いてみれば,その通り。AFを解除してマニュアルフォーカスにして,自分で無限遠に調節して撮影しなければならない。しかも無限遠の精度が怪しい感じがするので,モニタでピントを確認しながら撮影するしかない。。何とか撮ったのがきょうの一枚。虹が出ているわずかな時間にここまで辿り着く人は何人いるのでしょう。いくら女子カメだからといって,空に向けたらシャッターが切れないというのは写真を冒涜している気もしますが…。それともニコンは,女子は決して空や雲や虹などを撮影しないというデータを隠し持っているのでしょうかー(画像/MWS)。








2013年5月6日


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この連休は穏やかな天気で過ごしやすくお散歩にも最適だったかもしれません。近所の公園ではそろそろツツジが終わりという頃で早くも初夏の雰囲気でしたがすがすがしいものでした。昔と変わったのは,あらゆる人がカメラを持ち歩いていること。筆者はこれでも写真歴は30年近いのですが,むかしは,カメラを首からぶらさげている人は珍しかったのです。連休にもなれば張り切って一眼レフを振り回しに行ったものですが,出先でカメラを見かけることは少なかったですね。それがこれだけ普及したのですから,ヒトというのは,何かを見たら記録せずにおれない存在だということがよくわかります(画像/MWS)。








2013年5月5日


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3日に掲載したクチビルケイソウの微細構造を水浸対物レンズで狙ってみました。NA=1.2ですが紫外線検鏡OKで補正環つきという凝ったレンズです。照明光はUV-LEDによる365nmです。さすがに軸上色収差の補正範囲を大きく外れていて盛大な球面収差が発生します。このためコンデンサ絞りは開放では使いにくい印象です。絞れば多少マシにはなりますが分解能が低下します。NA=0.6まで絞り込んだのが画像一枚目ですが,分解能は250nm程度で,これは3日に掲載した検鏡法と同程度なので,細かい部分の解像が良くなった印象がありません。そこで偏斜照明を行い,NA=1.3までの光を入れて照明したのが画像二枚目です。こちらの分解能は180nm程度になりますが,画像を見ても確かに分解能の向上が確認できます。このように顕微鏡の像はコンデンサの使い方一つで大きく変化しますので,一つの物体を観察するにしても,絞りを変えてみたり偏斜照明を施したり暗視野で検鏡するなど,種々のコンデンサ操作で物体の構造を最適に可視化する方法を追求しなければなりません(画像/MWS)。








2013年5月4日


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これはCraticulaの一種で,淡水産の珪藻です。Craticula cuspidataはSEK-01に入っていたりすることがありますが,本種はそれとは異なるもので,少し大きく,縦条線が発達していて波打っています。これはなかなか入手できないので滅多にマウントできません。Craticulaは(横)条線を構成する点紋列が繊細で見事です。一般の方々がこのような整然とした構造を見ると「人工的」という感想が聞かれます。生物学者は顕微鏡下に整然とした周期構造が現れると,第一にそれを生物的な構造としてとらえる習性があるので「生物的」という感想になるでしょう。建築学者が見れば「構造材」という感想を持つかもしれません。筆者がこれを最初にみたときは穴あきの「トタン板」という感想でした。皆さんは何を思い浮かべましたでしょうか(画像/MWS)。








2013年5月3日


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きのう掲載させていただいた読者からの珪藻画像は上下両端が写っていませんが,この部分にはひじょうに微細な点紋列構造があります。きょうの画像がそれですが,乾燥系対物レンズNA=0.95,照明波長400nmの輪帯照明での撮影です。このくらいの分解能であれば縦溝の末端部分の構造が判明し,さらに両端部分の点紋構造も分解できはじめます。油浸対物レンズのテスト用としても好適なので,Jシリーズや最近のDL-TESTでこの珪藻をお持ちの方は眺めてみるのもよいかもしれません。いっけん何もなさそうな領域を最上級のテクニックで検鏡すると構造が見えてくる,これが珪藻検鏡のやめられない面白さの一つです(画像/MWS)。








2013年5月2日


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きのうの記事に対して読者の一人から丁寧な解説をいただきました。「Marquis Who's Who は歴史と伝統のある米国/世界紳士録の出版社」なのだそうで,「各方面で業績と名声を得た人の略歴を掲載した、分厚い本の紳士録が毎年出版されていて、これに掲載される事でその人の信用が裏付けされたようです」とのことです。確かに,どこの誰かわからないよりも,何かをしている何かの専門家であることがこの一冊で判明すれば,「信用」を判断する上での情報になりますね。そしてこうしたビジネスが存続しているということはきちんとニーズがあって,また同時に,掲載されている内容の「質」も確保されているということでしょう。単なる名簿ビジネスというものではなく,一定水準を超えた何かをしている人たちの要覧を発行する仕事のようです。画像一枚目はWho's Whoの現物で,この情報を提供いただきました読者の所有だそうです。確かに,もとの画像からは,お名前を確認することができました。

こうしたことをお教えいただいたことで,やはり筆者が歴史と伝統ある格式をすぐには理解できない存在であることが自覚できまして,社会のあり方を知る上で大変勉強になると同時に,ジェントルマンとはほど遠いちまちまとした細かいものをいじり回す生活を継続しようと思った次第です…。

さて画像二枚目は,Who's Whoについて教示いただいたメールに添付されていた珪藻画像です。標本はDL-TEST,顕微鏡はS-Ke,対物レンズはSPlan100 1.25 160/0.17,接眼レンズはWF10xで,コリメート法による画像とのことです。恐らくはLED照明で背景減算しているように見えます。どこに出しても恥ずかしくない,非の打ち所のない画像です。妥協のない丁寧なお仕事を続けてこられたものと拝察されます(画像/MWS)。



(5/2 16:00 追記) 撮影者から背景減算はしていないとの連絡をいただきました。するとこの画像は光路から徹底的にノイズの原因を取り除いて達成したものとなります。コリメート法で油浸100倍ともなると射出瞳が小さくなり少しのチリでも像面にノイズとして写ります。機材との相性も重要ですが,これだけきれいに写すのは至難と言っていいと思います。素晴らしいですね。このような高い技量をお持ちのユーザーにミクロワールドサービスの標本を撮影して頂く,それは筆者にとってもひじょうにうれしいことです。




2013年5月1日


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変なメールが舞い込むようになりました。たまに学術雑誌系のメールが来ることがあるので,それかな?と思いつつ一応は目を通すと怪しい感じです。特に本文の第二パラグラフが怪しさ全開です。失敗と敗北の人生街道を好んで進む(ここ,笑うところです) 筆者に対してa sign of true successとは何事でしょうか…。わはは。

それに,英語でCV書いて送るなんて面倒で,やらんよ,そんなこと。どこかでカネを請求してくるんだろうし。

たぶんこれは日本で言うところの(卒業者)名簿ビジネスのようなものなのでしょうね。1000万人に勧誘メールを送りつけて,1万人に1人がレスポンスすれば十分に利益が出るような仕組みなのでしょう。それにしてもどこから筆者のメールアドレスを入手したのでしょう。宛先がO.Okuになっているのも不思議です。だいぶ昔に学術誌に掲載された論文を参照しているのかもしれませんが,当時は大学か研究所のアドレスだったから現アドレスにはメールは来ないはず。関係者が案外真面目に調べているのでしょうか(画像/MWS)。



*1 そういえば,遠い記憶を振り返れば,十数年前にも紙でこんなメールを受け取った覚えがあります。あれと同じですかね。だとすると何らかの利益を生み続けることにはなっているのかー。





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