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2015年11月29-30日


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28日,29日は環境・経済系の勉強会で出張でした。もう二十数年も続けている勉強会ですが,そこで講演している先生方は三十数年も続けておられるのです。筋金の通った方の講演をたった1時間聞くためだけでも,筆者にとっては出席の価値があります。学会などで遊んでいる場合ではないという状況でもありますが,そういったときこそ,追いつめられた脳みそを開放するために出かけるという選択もアリです。画像は会場から見た展望と,会場周辺のスナップです。久しぶりに顕微鏡デスクから離れて,べつのことをまとまって考える時間ができました(画像/MWS)。








2015年11月28日


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旅行や出張が長引くと外食が続くことになりますので,食事には気をつけなければいけません。これまでは野菜ジュースを摂るとか,キャベツを持ち歩くとか,出先でトマトを買って食べるとか工夫していましたが,最近はきのこがお気に入りです。これを湯通ししてそのままカップ春雨とか,味噌汁に投入すれば手軽に食物繊維がとれますし,それ以上に大事なことは,うまいのです。ホクトのブナシメジは多少,人工香料の感じがしますが,ハサミかナイフがあれば簡単にばらすことができて,具材にするのに好都合です。若い頃は一週間くらい外出すると体調が崩れたりもしたものですが,野菜やきのこや海藻を毎日食するようにしてからは,けっこう良い感じです(画像/MWS)。








2015年11月27日


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これはARK-01に入っていたプレウロシグマの画像。透過明視野中央絞りのふつうの絵です。プレウロシグマは和名でメガネケイソウ属の名前となっていますが,これはレンズテストに使われた珪藻,という意味であることを何かの本(たぶん小林弘先生の記述)で読みました。もようの解像は比較的容易ですが,実は難しいともいえます。この種に限りませんが,珪藻は表と裏で構造が異なるものも多く,ピントの深さによって様々な周期構造が出てきます。その周期構造が前後のぼけ像と重なるので,解釈が難しく,照明テクニックも要求されます。最初は,単に格子模様が見えたと大喜びして楽しいわけですが,技術が身に付いてくると,その格子模様にも変化があったり表裏の構造が推測できたりと,また新たな世界が広がります。そういう意味では,珪藻プレパラートは,一粒で二度おいしいのです(画像/MWS)。








2015年11月26日


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珪藻試料をぶちまけました。。こういう危ない積み方をすると事故になるんだよなと思った瞬間,珪藻試料タワーが崩れ落ち,白い粉が机の上に広がりました。おっとっとと手で押さえ事故処理に移りますが,ざっとみて,あと三年は優に拾える試料を6個ほど喪失しました。付着した残余分があるので,それを拾って,潔く次の試料を起こすことにした方がよさそうです。こういったミスは滅多にしません。試料を落としたことはこれまで一度,一枚だけですが,今回は盛大にやってしまいました。

当然起きるだろうと思っている目の前の事故ですので,「ま,そうなるよな」と思いながら,まるで他人事のように状況を眺め,回収処理をするわけですが,どうも筆者は事前に察知できると「納得」しているので,残念とかもったいないとか,悔しいとか,頭に来る,といった感情がわかないようです。事故直後に珪藻の拾い出しをしていても,微塵も手の震えがありません。アドレナリンが出ていない証拠といってもよさそうです。電話が鳴ったり,お腹が空いたりしただけで微妙に手が震えるのに,珪藻試料をひっくり返しても手が震えないとは,人体のメカニズムというのは不思議なものです。画像はひっくり返した試料4つ。相模湾西部からのもので,これには星形の珪藻が多量に入っているほか,三角,四角の珪藻もたくさんとれて,なかなかよろしい原料だったものです(画像/MWS)。








2015年11月25日


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大量の珪藻を見ていると,ときどき奇形と思われる個体に遭遇します。ふしぎなことに,そういった奇形は,大型珪藻で顕著に感じます。きょうの画像はOTK-01に入っていたクチビルケイソウの奇形。整然とした周期構造が珪藻の特徴であるわけなので,こうした奇形を見ると,何かほかの生物を見ているような気分になります。そしてどこかしら,おどろおどろしい感じがします(画像/MWS)。








2015年11月24日


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スライドグラスのガラス材問題はその後,松浪硝子工業(株)のサービス担当者と連絡を取り合い,数々の有益なアドバスをもらいました。その結果,以前と同等の品質のガラス表面は,同社のS1214,S1215で実現できる可能性が高くなり,一件落着に向かって収束状況です。S1214,S1215は,旧製品のS7213のガラスと同じということですが,未洗浄なので表面の状態は異なります。すると入手してからの取扱法も全て見直しになるので,しばらくは検討が必要です。しかし数枚程度を抜き出して検討したところ,ひじょうに表面状態が良好です。絶体絶命の窮地かと思われましたが,ちゃんと光が射してきて,あかるい未来が開けそうなのでした。

しかしそれにしても,まさかスライドグラスのガラス材が変更になっているとは思い及ばず,メーカーさんのHPもチェックを怠っていました。なくなると困る素材というのは常にチェックしていないといけないということを学びました。同時に,メーカーさんのサービス担当さんから真のプロフェッショナルな対応を頂き,プロの意見を聞くことのすばらしさも学んだ気がします。

今後,ガラス材が再び変更になるとも限りませんし,今回の件で作業工程数がさらに増えてしまったので,このままで良いのかどうかは思案中です。生産が継続されそうで表面状態が良好なガラスを探し,それを入手することも検討しないといけないかもしれません(画像/MWS)。








2015年11月23日


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さいきんのLEDライトの動向を全く知らなかったので,この100円LEDライトを知ったのはつい最近です。早く入手したくてうずうずしていましたが,数日前にようやく連れて帰りました。ダイソーなどで売っているこのライト,100円なのに,なんとパワーLED採用なのです。まぁ,不良品の在庫がだぶついていればそういったものを使うのもあるのかもしれませんが,この製品はそれだけに止まらず,大口径レンズをズームさせてフォーカス調整までできるのです。さすがに電池はついていませんが,これで100円,もはや日本の物作り産業はなすすべがありません。恐ろしいことです。

連れ帰ったライトは一度も点灯することなく,さっそく分解します。各部のパーツはねじ込み式で,じつに分解しやすく,メンテナンスも改造も簡単に行えます。そこでさっそく,LEDを電球色に交換します(画像2枚目)。このLEDライトは,パワーLEDに放熱板がついていません。やり方によってはLEDが焼けるか,ハンダが溶けるかのどちらかになるのがオチなのですが,基板を見ると抵抗が入っており,明るさを測定すると電流を抑えて点灯しているようです。つまり,パワーLEDを,パワーを落として使うことにより放熱を省略し,しかしそこそこの明るさを確保して,発光面積の大きさを利用してズーム照明を可能にしているわけです。バランスのとれたうまい割り切り方で,設計した中国の方,頭イイ! 

そんなわけでこのスーパーズームライトは無事に電球色LEDに載せ替えて,さらにLEDの周囲にはルミノーバテープを貼り付けて,脅威の明るさのLEDライトが完成したのでした。消灯時はルミノーバが光りますので,暗闇でもライトの在処がわかります。さらに,ルミノーバに数秒間畜光して,ルミノーバの残光を利用した暗い照明も可能で,これは手放せない素敵なおもちゃになったのでした。こんなすばらしいLEDライト,生産されなくなったら終わりです。ぴかぴか光るものが大好きなそこの貴方,100円ショップへ走れ走れ(画像/MWS)。








2015年11月22日


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Jシリーズ用のスライドグラスはここ3年ほど,マツナミのS7213を使用してきました。これを研磨すると良好な表面が得られ,暗視野で完全黒バックを目指すJシリーズ基準を満たすからです。S7213は状態のよいロットをまとめ買いして使っていました。今季に在庫が底をつきましたので,新たにS7213を入手したところ,硝子材が変更になっていました。型番は同じですが,ガラスは明らかに異なるものを使っていて,表面の様子も異なります。今までの作業工程ではJシリーズ基準を満たしませんので,どうするか検討中です。よって,Jシリーズ製作作業は完全ストップしています。ながねんの努力でようやく見つけた,いちばん大切な材料がなくなる…。ま,筆者の人生ではよくあることです。はははぁー(画像/MWS)。








2015年11月21日


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今年は天然ブリの水揚げが好調なようで魚屋さんでも年中,大きなサクを見かけます。価格もお手頃な感じでおさかな大好きな筆者としては有り難い感じなのです。ブリというと,養殖物が圧倒的で,一時は天然物をなかなか見かけないほどでした。切り身になっていても,これを見分けるのは簡単で,身の色が白っぽく濁っていて,サクがまるまるとしていたら養殖物,身の色がピンク色でサクが直線的な感じならば天然物です。むかしは養殖物に天然シールが貼られていたりして,詐欺のような商売が横行していましたが,最近はそのようなことも少なく,天然物と養殖物を,売り場を分けているケースもよく見ます。

そうなってきたわけは,養殖物の評価が確立して,ときには天然物よりも高価になってきたことが背景にあるでしょう。15〜20年くらい昔の養殖物のブリは,劣悪な脂の香りで,テクスチャも悪く,筆者のノドを通過しませんでした。1〜2切れ無理に飲み込むのがやっとで,体が拒否するのです。それが近年,天然物っぽい養殖物が増えてきて,それは一応はノドを通過します。質の向上が起こったのです。むかしのブリは冷凍した小魚や切り身,ミンチなどを餌に養殖していて,劣化した餌の脂質が身に蓄積し,悪化した水質の臭気が移り,お世辞にもまともな食い物とはいえない感じでした。間違って養殖ブリが入荷してしまったときは,小さく切って何度もお湯で洗い,脂を落として調理したものでした。

ところが21世紀に入り,ブリ養殖につかう餌がペレットになりました。あの,鯉の餌で有名なスイミーみたいなやつです。これを使うことになってから,より管理した状況での給餌が可能になって,脂の質は向上し,水質の悪化も以前よりは防げるようになってきて,よりよい品質の養殖ブリとして生まれ変わったのでした。そして流通網や取引先との関係も確立し,計画的に出荷できるようになり,生け簀から水揚げ→活け〆→氷の中にドボン→出荷という作業が驚く短時間で行われるようになっています。それでひじょうに鮮度の高い養殖ブリが各地に届けられるようになってきています。時代は変わるものですね。

そんなわけでファンも多い養殖ブリですが,筆者的には,まだダメです。食べるなら天然物。理由はよくわかりませんが,養殖ものの脂は,筆者に「食べちゃダメだ信号」を発生させます。ブリに限らず,マグロ,サーモン,銀ザケも養殖物は食べません。なぜかウナギは養殖でも食べられるものとダメなものがあって不思議でしたが,資源が底をつくと困るので,最後に食べたのは2008年の夏で終わりにしています。。貝類は養殖でも天然でも,海のプランクトンを吸い込んで育っているので身質に根本的な違いはありません。どちらも美味しくいただけます(が,貝アレルギーっぽい症状が発覚し,食べられない悲しい人生が始まっています…)。

こういった状況下で,天然物が豊漁で,しかも養殖物よりも安い!というのは天から光が射してくるような現象です。ブリは刺身でも,煮ても焼いてもうまいので,大きなサクが安ければそれを買い込み,赤身は刺身,皮目から血合いは漬け,残りのサクはべた塩をして2時間,それをそのままジップロックに入れて穀物酢を流し込み冷蔵庫で2時間。取り出したらキッチンペーパーでぐるぐる巻きにしてチルドで一晩寝かします。それがきょうの画像で,おいしいブリの酢締めのできあがりです。蛇足ですけれども,ブリ,サバ,アジ,サンマといった脂のつよい刺身は,わさびよりもからし醤油が合います。お試しを(画像/MWS)。








2015年11月20日


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藤原ナチュラルヒストリーフォトコンテストの〆切は今月末です。あと10日ほどと迫ってきています。

こちら

このコンテストは,応募総数は少ないながらも,レベルは高いと思います。過去の入選作をみても,けばけばしく彩られたものを好んで選ぶ某コンテストのような下品さは一切なく,ナチュラルヒストリーという視線で一貫性のある選考が行われているように感じます。このような,貴重なコンテストが長続きするように,皆様じまんの一枚を応募してみてはいかがでしょうか(画像/MWS)。








2015年11月19日


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これは今月製作した特注品の一部を撮影したもの。方々から集めた珪藻化石を一度にマウントした超高級品です。穴ぼこがあいているものもいますが,一つの処理試料から一個しか見つからないようなものなので,マウントしてしまいます。不思議と,大量に数をマウントするとキズモノが混じっていても気にならず,むしろデザイン上のアクセントになるような気もします。こういった数の少ない貴重な珪藻は価格設定ができず,マウントすれば手持ちがなくなるので,消費するのが悩ましいですね…。でも特注品の場合は,その用途などをお知らせいただき,最良のものを製作するように心がけています。えーい,いつかまた会えるさと思い,貴重な一粒ものっけてしまうのです(画像/MWS)。








2015年11月18日


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秋月電子と千石電商のwebサイトを見ていたら買うべきものを発見してしまい,月曜の夕方にお買い物となりました。急げば買い物時間を含めて往復1時間ほど。ネットでお買い物が好みではない筆者にとっては便利で有り難いのです。画像のLEDはお買い物の一部で,左のLEDはスタンレーのガラス封止タイプの電球色LED(こちら)。どうやってガラス封止しているのだろうと不思議に思いましたが,ガラス管に接着していたのでした。味わいのあるデザインで,色味もよく,オーディオの計器用照明には最適ではないかと思います。

真ん中のLEDはオプトサプライのキャンドル色(こちら)。これは白LEDに赤色蛍光体を多めに盛りつけてろうそく的な色にしたもの。豆電球と比較すると,少し色温度が低めですがなかなか似ています。夜間に目に優しい照明としてよさそうです。右のLEDは,5mm砲弾型の紫外線LEDで,千石電商で販売されているノーブランド品です(こちら)。波長は370-375nmとの記載がありますが,実測では371nm程度でした。出力が弱い感じで,可視光も多く出ていて,ブラックライト的に使うにはフィルタが必要な感じですが,約20mAで点灯して密着して測定したところ1.4mW/cm2程度のUV-Aは出ていたので,用途によっては使えるでしょう。これまで紫外線LEDの単体は店頭売りを見かけたことがなく,その意味では貴重な感じです(画像/MWS)。








2015年11月17日


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これは実体顕微鏡用の透過照明用に使っているLED光源。秋月電子より購入したパワーLEDの電球色をヒートシンクにネジ止めして,LEDにはコレクタレンズをつけています。LED用のレンズは秋葉原に行けば別売しているものがみつかるので,それでもいいのですが,手元に不要なレンズが山ほどありますので,そこから適当なものを選んで使っています。パワーLEDには,秋葉原で数百円程度で売っているジャンク双眼鏡の接眼レンズがちょうどぴったりでした。変形ケルナー的なレンズ構成ですがコレクタレンズの用途には十分です。プラスチックの安っぽいバレルに仕込まれているので加工も簡単。これに富士フイルムのアセテートフィルタを乗せて整色しています(画像/MWS)。








2015年11月16日


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雨上がりの夕方に道具を買いに出かけたら,雪虫が飛んでいました。これを初めて見たのは5歳だったか6歳だったか。何なのか気になって昆虫図鑑をひっくりかえし,リンゴワタムシだと判明したのもその頃です。小さな頃に覚えた固有名詞は忘れることがありません。子どもの頃こそ,図鑑をひっくりかえして生活すると,大人になってから大層役にたつようになるかもしれません。。

都区内の紅葉はまだ。銀杏もこんな具合で,今年もじゅうぶんに紅葉となるのは12月初旬以降ですかね。この夏から秋は過ごしやすい日が多く,ヒートアイランド地獄に悩まされてきた身としては,とても有り難いシーズンでした。このまま温かい日が続くと作業がしやすいので,どうか,そうなりますように(画像/MWS)。








2015年11月15日


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(株)ニコンがワイピングに推奨しているシルボン紙を買いました。が,買ってからが大変なのです。まず購入したままの状態で,全体をキムワイプとエタノールで清掃します。大抵はホコリやチリが吸着しています。これを2回ほど繰り返したら,チャック付きのビニール袋に移します。包装紙は取り除きます。このとき,シルボン紙には決して手を触れません。ここからシルボン紙を,脱脂したピンセットで取り出します。

カバーガラス等を清拭するためには,これを三等分くらいに切って使います。脱脂したピンセットとステンレスのハサミを使い,どこにも手を触れないようにして切断します。単純ですがけっこうむずかしい作業です。切ったペーパーは,Whatman105の紙ケースに保管します。切る方向はハンドリングの関係で長くなるような方向にしていますが,本当はこの方向だとワイピング効果が低下します。ニコンのシルボン紙は繊維の折り方が悪く,拭く方向によってワイピングの性能が変化します。Whatman105は繊維の重なり方向がかなりランダムになっていて,拭き取り性能が拭く方向で変化しません。レンズペーパーとしてのグレードは,Whatman105の方が遙かに上です。

けれども,ニコンのシルボン紙は「安い」という点ではWhatman105を遙かに凌駕しますので,多少雑な拭きでもよいような場面や,仕上げ拭きの前までなど,使える場面はあります。手技に失敗すると細かい粉が出て,あまりお薦めできない感じもしますが,仕方なく使えば使えるという感じです…。残ったシルボン紙は,さらにビニール袋に入れてホコリやちりがつかないようにして保管します(画像/MWS)。








2015年11月14日


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鮮度良好なイサキの半身2枚の間に早煮昆布3枚をそのまま挟みます。そうして夕飯でも食べて再び見ると,昆布が魚の水分によりしんなりしています。これをペリペリとはがして広げ,半身の真ん中に一枚挟み,あとは両側を包みます。これをラップできつく巻いて,ビニール袋に入れ,冷蔵庫のチルド室に入れます。上からこんにゃくでも乗せて重しの代わりにします。12〜24時間経過後に,チルド室から出して,昆布をはがして,適当に切ればインチキ昆布締めのできあがりです。じつに簡単で,昆布も安物で済むので経済的ですが,十分うまいのです。

インチキ昆布締めと書いたのにはきちんと理由がありまして,昆布締めというのは本来,昆布が強力に水分を吸い取ることを利用して,魚肉中の水分を移行させ,水分活性を下げることにより雑菌の繁殖速度を低下させるという効果をもつ調理法です。同時に昆布のもつ各種アミノ酸が移行し,うま味が格段に感じられるようになります。

インチキ昆布締めでは,早煮昆布を使うので水分活性の低下はそれほど望めません。しかしうまみは移行しますし,身の水分もそこそこ抜けるので,中途半端な昆布締めの感じになります。したがって水分活性はあまり低下していないので,保存は一切できません。鮮度抜群の魚を買ってきて,翌日中には食べきる感じで作るのです。そういったインチキ思考の一品ですけど,和食の料理では,昆布に乗せてうま味をうつすようなワザは昔からあって,まぁそれの亜流といえなくもありません。ま,ウマければいいんです(画像/MWS)。








2015年11月13日


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なにげない簡単なデザインでも難しさに呻吟しているわけですが,これが複雑なデザインになってくると,その難しさは言語に絶します。バラバラに等間隔に配置するだけでも,角度の問題や大きさの問題などがあってプロポーショナルに並べるのは大変なのですが,これを組んでしまうとなると,珪藻の大きさの違いがシビアに効いてきますし,位置決めの精度が求められるので難しさは桁違いになります。画像は発送待機中の特注品。あまりの難しさに,オレはこんな難しい仕事をしていたのか!と半ば呆れながら作ったもの。途中であきらめれば全ての努力が無駄になりますので,根性で寄せ集めてかき集めて組み付けて,誰もが一目見て何かを感じるレベルにまで持ち込んだのです(画像/MWS)。








2015年11月12日


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これは別の特注品の一部分。珪藻で組んだ未来の自動車。クチビルケイソウは河川から,胴体部分の珪藻は相模湾の2カ所から。クルマの部分は北海道沿岸から採取したものです。こういったものを作るのに設計図を書くわけにもいきませんので,材料を用意して,大きさを選んで集めてみて,フリーハンドで珪藻を近づけてサイズ的に問題のないことを確認して,製作作業に入ります。組む精度はマイクロメートルレベルで,きちんと接していなければならないところは1μm以下の精度が求められます。作動距離の関係から製作時に使っている顕微鏡の分解能には制限があり,1.5μmほどです。分解能以下でも,無効拡大して位置決めすることはできますので,操作するときの微妙な感覚で珪藻が接しているかどうかを見極めて作業を進めます。もし,押しすぎれば,玉突き事故を起こして全体のデザインがぐちゃぐちゃになってしまうので,細心の注意が必要です。なにげない簡単なデザインでも,なかなか奥が深くて,作るたびに難しさに感動するのです(画像/MWS)。








2015年11月11日


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これは先日,某社に納品した一枚。これでだいぶ仕事が進んできて,あと数枚のバックオーダーを片づければ,標本を溜め込む作業に移れるのですが,はて無事に進むかどうか。。この標本は四角形に並べていますが,これは顕微鏡の視野内で詰め込んでたくさん見せるためです。珪藻のもつ繊細な構造の一端は,200倍(NA=0.4)くらいから,ぼちぼち見え始めますので,この倍率でばっちりと見えるような珪藻を詰め込んであります。もちろん,油浸にしてもOKで,左側の細長く青い色のニッチアや,右上の青いハマキガタのフリッケアなどは,見事な微細構造を見ることができます。カバーグラスは今季製作分からすべて,ツァイス社のハイパフォーマンスカバーグラス0.17mm±0.005mm(18mm角)を切って使っています。これの裏側に珪藻が配置されているので,高NAの補正環つき対物レンズでは,補正環を0.17にあわせておけば,まずは十分な見えになります(画像/MWS)。








2015年11月10日


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そろそろくたびれてきたセーターを交換と,あたらしいものを手に取ると,ふかふかした手触りです。少しは温かいかなと袖を通して,着心地はそれほど悪くない感じです。ところが,これを脱いでみて驚き。大量の繊維くずがワイシャツに付着しています。繊維の一本一本は細目でカールしていて宙を舞います。標本の清拭をしていても,このセーターから発生した繊維が落下してくるのがわかります。ぞうきんがけをしてみると,床にはこのセーターから発生した繊維で黒くなるほどに。これはまずい。

Tokina AT-X M90mm F2.5で撮影したのが画像二枚目と三枚目。このセーターは,ふつうに着ていれば解けてすり切れて壊れるような繊維を使って作ってあるのです。それは,ほんの一時期だけなら,空気含量があって温かく感じるかもしれません。しかしこの繊維ではワンシーズン持たないでしょう。筆者の目には,もはやセーターには見えません。この製品は,ホコリの集積体そのものです。Jシリーズを作り始めてから,ホコリ対策としてバスタオルを一度も使っていないような生活をしている筆者にとって,この有害物は捨てるのに何の惜しさも感じないゴミ以下の製品です。結局,三回だけ袖を通したところで限界が来て廃棄処分となりました(画像/MWS)。



*1 それでも気づくのが遅すぎました。一度袖を通した時点で捨てるべきでした。部屋中がこの繊維で汚染されてしまい,スライドケースなどに静電気で付着してきて不愉快この上ありません。雨が降って大気中のほこりが少なくなったのをよいことに,窓を開放して掃除機を数十分もかける羽目になりました。もちろん,掃除機はホコリを吸い取ると同時に,チリやホコリを巻き上げる機械ですから,その後に換気を2時間行って,窓を閉めて,半日以上を経て,ようやく珪藻取扱の作業ができるようになるのです。空気が汚いときには,カバーグラスなどは秒速で汚れます。そういった条件下で完璧な作業を行うことはできません。




2015年11月9日


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きのう掲載したJ238は,じゅうぶん使える状況になったので,仕上げにもう一度拭いて,暗視野で撮影。それがきょうの画像です。久しぶりに手元に帰ってきた珪藻たちで,感動的な出会い…。自分で作ったものでありながら驚異的な眺めです。こんな恐ろしいものをいったい誰が作ったんだ…と信じられない気分になります。過去の制作物ですけれども,いま学ぶところも多く,ついつい技術的な部分を想像しながら頭の中をキャリブレーションするような感じなのかもしれません。当然のことではありますが,少しの劣化も見られず,完全に新品のときと同じクリヤーさを保っていて,これこそが珪藻の価値なのかもしれません(画像/MWS)。



*1 こういったテスト検鏡はじつに楽しくて有意義な時間ですが,標本はどれほど丁寧に扱っても必ず汚れてしまいますので,一度でも取り出して検鏡したら,すべてメンテナンス(各部の清拭)です。これがじつに手間のかかる作業なのです。




2015年11月8日


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さんざん悩んだあげく,修理は上面からのガラス板による補強としました。修理品のJ238は珪藻が長方形に整列しているもので,一個一個の被殻を油浸検鏡するのに適しています。限界付近のイメージングを行う場合は当然コンデンサ油浸にしますので,下面からの補強では具合が悪いのです。

修理の方針が決まっても,作業の詳細はどうにも決められません。破断面と,破断片のそれぞれの平面と,補強板の平面がすべて完全に組み合わさった条件で一度に接着する方法は,どうも存在しないような気がします。ならば順番に行えばいいかというと,接着剤は「はみ出す」という現象があるので,はみ出た接着剤をマイクロメートルレベルで完全に除去しないと,次の接着で平面があいません。どこの接着強度を優先するかも問題で,修理という観点からは破断面なのだろうと思いますが,補強という観点からは補強板の接着強度が重要です。

そういうわけで,結局,破断面の一部分だけを仮止めにして全体の形をもとにもどし,そこに補強板をのせて接着するという手順でやることにしました。まず,補強板を作ります。ソーダガラスのスライドグラスを切って適当な形に整形し,全ての断面をダイヤモンドの砥石#1400で磨き,角を丸めます。これをよく洗い,最後はエタノールで清拭します。破損プレパラートもエタノールできれいに拭き上げます。繊維などが残らないように顕微鏡で確認します。

プレパラートの支持台を作り,そこに破片を置いて破断面の端っこを仮止めします。作業はすべて顕微鏡下で行います。この段階でずれていたら補強がうまくできなくなる恐れがあるので,慎重に位置あわせをします。仮止め後に補強板を接着します。一つの気泡も入れずに,完全透明になるように作業を行いますが,これは封入作業そのものでもありますので,何とかなります。顕微鏡下で補強板の位置あわせを行い,あとは水平に保って,接着強度を出します。接着ではエイジングが特に重要です。

エイジングが大方進んだら,プレパラートの裏側にはみ出た接着剤を完全に削り取ります。盛り上がっていると検鏡時に不安定ですし,傾きも生じるからです。0.5ミリメートルのステンレス線を研いでマイクロナイフを作り,顕微鏡でのぞきながら,破断面からはみ出た接着剤を削っていきます。よほど切れる刃にしないと,食い込んで刃が止まってしまいますし,切り込み角度も重要で,すくい上げるように切り進んで,くさび効果を活かしながら接着剤をはがします。

最後は清拭です。キムワイプにエタノールで全体を拭き上げて,最後は標本面の表と裏をレンズペーパーで,顕微鏡で観察しながら,溶剤拭きで完璧に拭き上げます。9ミリ角のカバーグラス一面を拭くのに,レンズペーパーを10回交換することもある,高度な作業です。

こうした作業でどうにか,元通りに不自由なく使えるようになりましたが,じつに大変でした。細かく見れば精度が出ていない部分もあって,一度破壊したものの修復の難しさを思い知らされました。同じ標本を最初から製作した方が,ずっと少ない時間でできたものと思うほどです。画像は修理後に清拭中のJ238。補強板がエアの一つもなく接着できているようすがわかります。

今季はなぜかJシリーズの修理作業が続きましたが,こういった作業には少しの楽しさもあります。それは何かというと,自分の作った標本を,もう一度拝めるということです。少しの劣化もなく,完璧な姿でクリアに封じられた珪藻を見ると,時空を超越した感覚というのか,むかしみた風景をもう一度見ることができたという感じなのか,じーっと覗いてしまいます(画像/MWS)。








2015年11月7日


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プレパラートは薄板ガラスなので,破損事故はよくあります。今回もちこまれた破損品は,どうやって破損したのかは聞いていませんが,筆者の観察によれば,一枚用あるいは二枚用の薄型スライドケースに入れて保管し,これを適当にカバンなどに入れて持ち運び,ねじれ応力が加わってガラスが破損したように見えます。破断面はきれいで,接着すれば形は元通りになります。しかしそれでは修理とはいえません。同じ力が加われば簡単に分離してしまいます。

プレパラートをつぶさに検鏡すると,油浸で利用していた痕跡が随所にみられ,光学的要件を完璧に満たして製作したJシリーズを高度なレベルで使いこなしているように見受けられました。有り難いことです。感謝の念を感じると同時に,修理後も油浸で使えるようにしないといけないという思いが強くなってきます。

このタイプの破損は,修理がむずかしいのです。前回の,全面ヒビだらけと,今回の単純破断と,どっちが難しいかと聞かれれば,今回の方が圧倒的に難しいです。特に破断片の幅が狭いので,接着時に精度が出しにくく,最終的にねじり応力に耐えるような補強をするのが難しいのです。裏打ちすれば丈夫にできますが,コンデンサ油浸は不可能に近くなります。コレ,どうするべえと,まずは破損品をじっと観察です(画像/MWS)。



*1 当サービスのすべてのプレパラートは,一枚のご注文であっても,郵送用スライドケース5枚用に入れて発送しています。これは,ハンドリング時の破損防止用なのです。ぜひそのままお使いください。熟練ユーザーは,一枚用や二枚用のスライドケースに入れ替えて使うこともあるでしょうが,当サービスの立場からはお薦めできません。当サービスのケースに入れてあれば,かなりの外力が加わってもプレパラートは破損しません。しかし市販の一枚用,二枚用のケースでは,簡単に破壊してしまいます。当サービスでは,こういった,製品の品質以外のところでも耐久試験を行っていて,過去に各社のスライドケース(一枚用)を試験しましたが,すべて失格でした。






2015年11月6日


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さいきんダイコンの葉を見かけなくなったように思います。探せばあるんでしょうけど,むかしのように普通にスーパーに並んでいません。好物なのに…。という状況が数年以上続いているところに,もらい物のダイコンの葉。これはいい。

まず溜め水で濯いで洗い,みじん切りにして水を切ります。フライパンにごま油を敷いて葉っぱを投入。強火で炒めます。早い段階で,酒,しょうゆ,ビミサンを投入。量は適当です。これでダイコンの葉から水が早くでるので,すぐにしんなりします。そのまま炒め煮にして水分が飛ぶのを,かき混ぜながら待ちます。水気が減ってきたら味見をして,しょうゆ等で微調整。あらかた水分がなくなれば火を止めて,仕上げのごま油を垂らし,唐辛子を少々振りかけてできあがりです。うま味と苦みが調和した得も言われぬ味。ダイコンの葉っぱは捨てちゃイカンように思うのです(画像/MWS)。








2015年11月5日


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科研費とはあまり縁のない研究室で大学院生時代を過ごしたので,修理は得意です(笑)。生物顕微鏡,分光光度計,定感量天秤など,不具合があれば分解して,理解できる範囲で直したものでした。もちろん,手持ちの天体望遠鏡やカメラレンズなども,素人工作の延長上の感じで分解清掃などをしていました。

そんなわけで,破損したプレパラートを見ると,「さーてコレをどう料理するか」と頭の中でぐるぐると考えが巡ります。実体顕微鏡で破損状況をつぶさに観察すると,スライドグラスは盛大に割れており,かろうじてカラーシールでつながっている状況…。足りないパーツはほとんどありません。固い封入剤を選んでいたこともあってカバーグラスは割れていませんでした。。という観察結果を受けて,まもなく最適解がはじきだされます。本当の最適解など知るはずもないのに,手持ちの道具・材料でできる最善の手が勝手に浮かぶのですから脳みそというのは大したものです。

こういったものは接着して補強するのが最善に思えたので,ダメ元でやってしまいます。いちばん大事な作業は適切な支持台を作ることです。少しでも力を加えればばらばらの破片になって元に戻せませんから,最小限の力しか加わらず,整形できて,平面性のある支持台を作り,そこで顕微鏡で観察しながら接着作業を行うのです。今回はアクリル樹脂で支持台を作りました。次に重要なのは作業の順番を間違えないこと。何度も頭の中でシミュレーションします。

作業は大方うまくいき,接着作業は完了しました。接着剤とスライドガラスの光学的な性質は若干異なりますので,傷が少し見えてしまいますが,含浸がうまくいったところは,少なくとも暗視野ではほとんど見えないレベルにまで目立たなくなりました。裏側から基板一枚を接着して,厚くなったプレパラートのために専用ケースを作り,修理はおしまいです。これでまた多くの人にご覧頂けるようになりました。めでたしめでたし(画像/MWS)。








2015年11月4日


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事故は起こるものです。Jシリーズといえども,薄板ガラスですから,力が加われば割れてしまいます。ユーザーさんは,まずミスをすることはないだろうと思います。しかし盲点はあるものです。きょうの画像は電動のオートフォーカス機能のついた最高級顕微鏡のステージ上で割れたプレパラート。電動で対物レンズと標本のWD調整が行える高機能な装置ですが,標本面を認識せずに行き過ぎれば,このようなことも起こるのでした。なかなか予想できないことで,この画像を,このようなこともあるという参考にしていただきたく掲載する次第です(画像/MWS)。








2015年11月3日


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これは拾い出した放散虫を金属対物レンズで撮影したもの。透過明視野の画像を三枚合成,明暗反転,ガンマ調整です。この放散虫に登場して頂いたのには訳があって,画面上部方向に,ほかの放散虫の破片?と思われるものが付着しています。いくらガラスの上を転がしても取れません…。ということで,この放散虫はせっかく見つけた貴重なものなのに,A品にマウントすることができない不良品なのです。そこでせめて画像の素材として役に立っていただき,労力を無駄にしないようにと,本ページに登場して頂いたわけなのでした(画像/MWS)。








2015年11月2日


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いまから十数年前のこと,まいにち研ぎの修行をしていました。手当たり次第,刃物を貸してくれる人をさがして,研いでは返していました。研究所の事務の方々はほんとうに好意的にいろいろ持ってきてくれて,最後は研ぎ講習会まで開催するほどになりました。その方々が教えてくれたのが,「パンがよく切れる! パンくずが出ない!」ということでした。

筆者はパンを常食せず,自分から食べるのは出張時くらいで,パンを切るということもしないので言われても「???」な状態でした。しかし家人がパンをパクつくのでパンが切れるらしいよと言ったところ,それからパンは包丁で切るモノに変質したのでした。きちんと刃先が立っているので,フランスパンでもなんでも,切れるのは当たり前と思っていた認識は,どうも間違っていたらしい…。パン切り包丁で大量のパン粉を出しながら無理矢理フランスパンを切断するのが普通のようなのです。。

画像はスーパーライフ「小麦の郷」ブランドのフランスパン。持った感じは硬いですけど,普段づかいの三徳包丁で難なく切れます。しかも薄く切ることができるので,クラッカー的な感覚で,いろいろなものをトッピングしておいしくいただけます。研ぎはスエヒロの工具用#3000で仕上げは丸尾山の巣板ぎわ大上です(画像/MWS)。



*1 パンくずが多量に出ているじゃねえか,と思ったそこの貴方,その通りなのですが,これはバゲット一本分を,あの厚さで二十何枚切ったあとのパンくずです。そこんところを見ていただければ…。

*2 フランスパンも硬いですけど,もっと硬いモノもたくさんあります。筆頭は,(焼き)ちくわの皮,ですね。うすいので硬いと思わない人も多いかと思いますが,これを,超薄切りにしようと思うと,ひじょうに硬いということが理解されると思います。

*3 キュウリなども,顕微鏡切片クラスに薄切りすると,食感がまったく変わります。野菜と言うよりも,海藻か何かを噛んでいるような感触になり面白いです。





2015年11月1日


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オランダアジなどの大型で良質な干物は,こんがり焼いたら身をほぐし,食べやすいように骨を取っておきます。お好みで,日本酒少々としょうゆを垂らし,少し置いておけば,焼き漬け風のうま味あふれるおかずになります。

のこった骨からは良いダシが出ますので,アジスープを作ります。まず,背骨は一個一個の単位になるようにポキポキと折っていきます。そこの随からダシがでるからです。あとは鍋に放り込み,日本酒を振り,水から煮込みます。沸騰したらときどきヘラなどでアラを細かく潰します。頭の部分からはとくに良いダシが出るので入念につぶしましょう。そしてフタをして弱火で煮込みます。

しばらくすると,クリーム色のよさげなスープになっていますので,茶こしなどで漉し取ります。このスープを放冷して温度が下がってくると,表面に油膜が固まってきます。この油膜は不飽和脂肪酸の酸化物を多量に含む毒物ですので,スプーンなどでそーっと集めてすくいとります。冷えていれば驚くほど簡単に除去できます。

そうしたらあとは煮詰めて味を決めて,ネギの入ったお椀に注げば上等な汁物のできあがりです。このアジの出し汁は,白ネギ,とうふ,そうめんとの相性が抜群です。これから寒い時期には,温かい,にゅうめんにこのダシがあれば,まずは文句のない一品かと。このアジ汁は,だいぶ昔に,大変よいアジの干物が入手できたときに,じーっと干物を見つめて考案したものです。最近の干物は,塩だけでなく,各種アミノ酸なども添加されていますので,そのまま煮込んだだけで,なかなかおいしいのです(画像/MWS)。









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