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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


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2013年10月31日


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「研ぎ」と「拭き」どちらが難しいかと問われれば,悩んでしまうでしょうね。「研ぎ」のような気もしますし,「拭き」のようにも思います。両者には共通点があって,うまくできたときには,頭を押さえつけるような曇天が,雲間から光が射し,快晴になったような気分になることです。筆者は実用的な意味では研ぎも拭きもできるわけですが,「完璧な研ぎ」や「完璧な拭き」というのは,まず体験できない気がしています。『拭き三年』というのは吉田正太郎先生のことばですが,筆者は拭き30年を超えていても,未だに難しいと思っています。

しかしそれでも汚れた光学面はきれいにしなければならないので,自分なりの方法は身に付けています。経験から生まれた方法ですし,読めば手技が身につくというものでもありませんが,参考までに記してみます。

・部屋の空気が落ちついていて落下物が少ないことを確認
・机を拭く。せっけんで手を洗う
・清拭するものの外装を掃除する
・まず汚れをよく観察する
・汚れが著しい場合は別部屋で掃除機で吸い取る
・通常の場合はブロワでホコリを払う。このときハケは使わない
・精製水で水拭きする
・水は多めに使い汚れをふやかしながら拭う ・この操作を繰り返す
・水拭きの最後は湿っている程度のペーパーで行う
・油性の汚れが残ったら溶剤拭きを行う
・折り畳んだキムワイプ等をレンズペーパーで包む
・ペーパーの拭き取り面に溶剤を1〜2滴たらす
・ペーパーを軽く振って溶剤を行き渡らせる
・光学面の中心から外に円を描くように拭う(レンズの場合)
・外周部で手を外側にひねりながら飛行機が離陸するようにペーパーを離陸させる
・強いLEDライトで拭きムラを点検する


・アルミ表面鏡は拭かない。中性洗剤で超音波処理
・あるいは洗剤を塗って水鉄砲で汚れを落とす
・いずれの場合も精製水でリンスして水滴を落として乾燥


・マツナミ製のカバーグラスは直接,レンズペーパー等でから拭きOK
・中性洗剤で煮沸して精製水ですすぐ方法もあるが難易度は高い


・プリズムは一方向に一定の速度で拭く
・綿棒は使えないものが多い
・きれいに拭けたように見えてもレーザー照明で顕微鏡観察するとたくさんの擦り傷


などなど,短い時間に思いつくだけでもたくさんのノウハウがあります。ほかにもペーパーの折り方とか,ペーパーの取りだし方とか,溶剤の保管方法とか,両面拭きの方法など,言葉で説明するのが難しいたくさんの留意点があります。筆者は研ぎが趣味でもあるので,研ぎのあとはレンズメンテナンスをしない,ということも一つの注意点です。どこかに砥石の砥粒が付着していないとも限らないからです。

ここで示した方法はそれぞれのステップに根拠があります。最初にブロワするのは,拭き取りを必要としない程度の,弱い付着力の汚れを取り除くためです。ここで大きな粒子は取り除かれますので,光学面に傷が入る可能性が減ります。次に水拭きするのは水溶性の汚れを除去するためです。硬い結晶のような成分でも,水溶性であれば,光学面に傷をつけずに除去できます。精製水を使用すると書いていますが,呼気で光学面を曇らせることもあります。その場合は唾液が飛ばないように特別な注意が要ります。

これらの操作で除去できない汚れに対して,はじめて有機溶剤を使います。溶剤拭きはオリンパスEE-3310と無水エタノールを主に使っています。エタノールとエーテルの混合物を使う人も多いのですが,筆者は無水エタノールで拭くのに慣れていますので,ほかの溶媒は使う気が起きないことも多いです。エタノールの量は,清拭している紙からレンズ面に膜状に広がって,それが1秒前後で消えていくくらいの状態を保つのがシミを残さないコツです。そして最後は滑走して滑らかに"離陸"させるのです。

最近分かったのですが,こうして筆者が経験的に到達した方法は,ツァイス社が配布していたレンズメンテナンスの方法というパンフレットに書いてある内容と,ほぼ同じでした。よく観察して経験的に探っていけば,正しい答えに導かれるのかもしれません。少し安堵しました。

ネット上にはメーカーが製作したと思われる拭きの動画や,拭き技術について述べているブログが多数ありますが,中には,どうみてもその方法を真似すると,高い確率で失敗するであろうというものがあります。『拭き三年』という言葉は三年の経験が必要なことを意味しています。ネット上の情報でのお勉強がどのくらい「経験」になるかは未知数で,それよりも観察能力をフルに発揮しながら自分なりの拭きの世界を探求した方が拭きを極められるようにも思います(画像/MWS)。








2013年10月30日


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せっかく京都に来たので,定点観察して帰ることとします。お決まりのポイントは南禅寺方面。市内のどこに宿泊していても,まずはここに向かいます。まずは五条烏丸を出発しててくてく錦市場を眺めてから四条にでて山の方に向かいます。久しぶりに来たので,南禅寺に直接出ようとして知恩院に出てしまいました。そのまま山に沿って歩けばいいので問題はありません。水路に沿って柳を見ながら歩くと,古川商店街という魅力的なアーケードがあり,そこを眺めながら平安神宮方面に歩きます。うまそうなものがいくつも並んでいましたが,腹も減っていないし,持ち歩くのも大変そうだったので見るだけにします。。南禅寺は観光シーズンということでけっこう混雑していました。どのくらいの混雑かというと,八つ橋の臨時販売所のテントが設置される程度です。

人生裏街道を好んで進む筆者にとっては,人ごみは,何か場違いを感じさせるものなので,さっさと退散することにします。普段の南禅寺は人も少なく,ゆっくりできるのですけれども。琵琶湖疎水をみて,水力発電所の方に歩けばもう観光客は皆無です。皆さんせっかく南禅寺に来ているのですから,発電所もインクラインも見て歩いた方がいいのにねぇと老婆心が生じます。発電所のところには,京都市内が一望できる展望スペースが新たに作られていました。ベンチもあるし,一休みには最適です。

さてこれだけ観光客が多いと,いつもの定点観察コースでも相当疲れるだろうと思い,方針変更します。このまま歩いて三条に戻り,そこから新京極を少しみて,再び錦市場に行くこととしました。そこでお土産があれば買い,京都駅まで歩くつもりです。勉強道具とパソコンと宿泊の荷物がリュックに入っているので肩が痛いですが,まぁ歩いてしまえば歩けます。平日でも混雑している新京極を抜けて錦市場をゆっくりと歩きます。

土産は何にしようかなぁと歩いていると有次の前に。日本の和包丁は外国の観光客に絶大な人気で,店内は満員です。このひとたち,買うのはいいけど,水研ぎで本刃をつけられるのかなぁと心配になります。ダイヤの棒でじゃりじゃりやったらせっかくの和包丁も一発でおシャカですから。。などと考えつつ歩いていると,川魚専門のお店にドジョウの蒲焼きが転がっていました。子どもの頃から食べたかった物でもあるので,一皿購入。アジメドジョウ(だと思います)を腹開きにして,卵巣だけを残して内臓を取り去っています。高度な職人技で,これで650円は安いと思いました。このドジョウ,どこから入ってくるの?と聞けば,滋賀だという。琵琶湖ですかときくと,そんなもんやね,といういい加減な返事。たぶん野洲川とか,その辺りですかね。

さらに歩いていると焼き栗が売っていた。秋になると栗を常食している人が頭に浮かんだので購入。丹波栗を特別な製法で焼いたのだという。確かに素晴らしい仕上がり。さらに歩いていると,今度は丹波栗の生が売っていた。これも購入。キロ3500円近い価格だった。少し高いね。そこから数軒先に,こんどは愛媛産の栗があり,栗を常食している人が喜びそうだったので1キロ購入。重い奴がいいなと栗が入ったネットを確かめていたら,これ,重いよ,と八百屋のお兄ちゃんが渡してくれたものが確かに重い。品物は良さそうだ。リュックもパンパンになってきたのであとは唐辛子を探す。よさげなお店があったので,チンピだけ多めに売ってくれないかというと,OKだという。しかも新しい原料袋を開封して詰めてくれた(これが大事なんです!)。すっかり気をよくして,ほかの原料(シソ,一味,サンショウ等)も買い込み,出来合いの七味も購入。大量になってしまった。。

そこからさっさと四条,五条,七条,京都駅と歩き,昼飯を待合室でかきこんで,いつも定番の,新大阪発のぞみ号に乗車して帰宅となったのでした。夕飯は丹波栗の味わいに感動し,本当に久しぶりにドジョウの風味を楽しみました。京都,すっかり観光地化してしまいましたが,まだまだ面白いところだと認識を新たにしたことでした(画像/MWS)。








2013年10月29日


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京都に来て驚いたのは,暖かいこと。この時期の京都は何度も来ていますが,東京との温度差をこれほど感じたことはありません。10月28日現在で,京都市内はキンモクセイが満開で,ホトトギスがふつうに咲いているのです。アベリアもいっぱい花をつけています。間もなく11月というのに,紅葉はまだ1%程度の色づき具合でしょうか。きのこはふつうの秋きのこが出始めといった感じで,むかしなら9月下旬〜10上旬の感じです。ホテルのコンクリートも温まっていて室内が暑いのです。二晩の宿泊でしたが,暑さで足むずむずが絶好調になり,ほとんど寝られませんでした…(画像/MWS)。








2013年10月28日


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西に向かったのは環境経済関係の研究集会に出席のためでした。今回は現職の国会議員による原発の話が出色でした。ほかにTPPの問題点や,東京オリンピック開催に伴い起こるであろう問題などが議論されました。筆者はこの勉強会に20代のはじめ頃から出席していますが,すっかり中年オヤジになってしまいました。当時バリバリに活躍していた先生方もお年を召されて,ほとんどの方がリタイヤされていて,高齢化社会の縮図のようです。それでも研究をやめない本物の学者が揃っている,そういう場になっています。20代の予感はある意味,当たっていたわけです。会場になった京都精華大学は山のふもとにあり,環境はとても良いところです。ここに来たのは10年振り以上の気がしますが,田畑が減って,ずいぶん宅地が増えた気がします。日本の人口は増えていないのに,農地が換金されて不動産になり,それでカネが動く土建経済は日本全国どこでも相変わらずに進行しています(画像/MWS)。








2013年10月27日


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台風を突っ切って西に向かうと,日本一の山は霧の中で見えませんでしたが,途中から台風の縁のような雲が見えてきて,きわめて鮮烈な晴れ方をしました。画像一枚目は晴れに向かって突っ走る様子。二枚目は晴れに抜けてから雲を振り返った様子です。じつに台風らしい渦巻きの雲です。そしてしばらく快晴の東海地方を走った後に古都に到着です。こういう風景の移り変わりはじつにおもしろいと思うのだけれども,多くの乗客は,寝るか,スマホを見ています。なんだか勿体ない気がする中年オヤジなのでした。

秋の行楽シーズンですから,土曜昼過ぎの「のぞみ」は混雑しているはずですが,台風のお陰でずいぶん余裕がありました。途中,新横浜過ぎから,パンクな雰囲気の女の子が「ここ,いーですかぁー」と隣席に来て,薦めるとスマホをいじりながら,ちょっとだけ小説読んで,あとは寝てしまいました。京都で降りるときにこちらを振り返り,ふかぶかとお礼をして立ち去ってゆきました。最近,こういうことが時々あるのです。ホント,最近の若い子は礼儀正しくてしっかりしていると思います。自分の若い頃を思い出しても,そんな丁寧な人はいませんでした。パンクな女の子に学ぶところがあるなぁと思った旅でした(画像/MWS)。








2013年10月26日


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秋は研ぎのシーズン…といいたいところですが,今年の東京は夏が終わらず,秋らしき雰囲気になったのは10月も半ばです。それで毎年恒例になっている秋の研ぎ研ぎができていません。それでも,手持ちの砥石を取りだして感触を確かめ,平面性をチェックしたりもしています。きょうの画像は中砥で,天然砥石としては2本目に購入したものです。五十嵐砥として販売されていましたが,当時はそれほど砥石に詳しくなくて,本当だったらいいな〜と連れ帰ったのです。最近ではよく知られているように,市販のセール品で出回っている五十嵐砥は,ほとんどが備水砥という話もあって,この砥石も例外ではありません。研磨力は低く,ステンレスとの相性は良いとはいえません。研ぎ出しが遅く,研ぎに時間がかかります。普段づかいには持て余す感じです。しかし精度の高い平面を出しやすく,面が崩れにくいので,青砥や赤レンガを名倉として擦り付け,中研ぎでの高精度の平面出しには使えます。十数年前に購入した砥石ですが,研ぎ技術を身に付けることによって新たな出番があって,再度活躍することとなっています(画像/MWS)。








2013年10月25日


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なんとなんと,ミョウバンの結晶が届きました。『はじめての結晶づくり』の著者,木村妙子先生からです。仙台のプランクトン/ベントス学会で木村先生にお会いしまして,そのときに著書の感想を述べたのです。ついでにいくつか質問もさせていただきました(学会とは全然関係ないのに…)。すると立派な結晶が届くこととなったのでした。詳しくは著書をごらんいただくとして,結晶は『育てる』のです。立派に育ったミョウバンの結晶を眺めて,うーんこれは大変だと思うことしばし。何でも試す人生を歩んできた筆者は,もちろん結晶もたくさん作ってきました。しかしこんなに立派なものはできた試しがない。形がしっかりと整っているのもお見事です。画像二枚目はカリミョウバンとクロムミョウバンの混晶を作り,それを核にしてカリミョウバンを成長させたものだそうです。紫水晶を思わせる上品な色彩を透明な結晶が包んでいて,なんともいえない味わいです。画像一枚目の背景は袋にたっぷり入ったカリミョウバンです。原料もお届け頂きました。有り難いことです。三重県に足を向けて寝られません… (画像/MWS)。








2013年10月24日


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池袋駅西口で古本市が開催されていました(23日〜25日)。早速出向いてみて,いくつか収穫がありました。それが画像二枚目。日本の食生活全集は,大学院生の頃に図書館から借りて片っ端から全部に目を通しました(熟読したという意味ではありません)。それでこの企画に驚嘆して,古本で見るたびに連れ帰って今日に至ります。明治,大正生まれの女性に聞き取りを行い,そのレシピを実際に再現した本は,出版当時も感激しましたが,いま読むとさらに感慨深いものがあります。なぜなら,聞き取り当時にご存命だった方々は,もうほとんど,三途の川の向こうで楽しく暮らしておられるに違いないのです。あのとき,あのタイミングでしかできなかった仕事をやり遂げた方々には,脱帽の思いです。まだ見たことのない人は,全国の図書館に入っていますから,ぜひパラパラとごらんになって下さい。きっと懐かしの郷土料理に出会えます。

ところで新たに連れ帰ったこれらの本,じつは2回に分けで買ったのです。5冊は先週に八王子で,2冊は先ほど池袋で買いました。同じ書店です。どうやら古本まつりなどに出店するお店は,各地を転々としていて同じものを並べているらしいのですね。それで池袋で取り残した2冊があるかもしれないと探してみると,ちゃんとあったのでした。骨董市などと同じで,クルマに品物を積んで,各地を巡回しているんですね。勉強になりました(画像/MWS)。








2013年10月23日


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顕微鏡には学習用の簡易なものから研究用との本格的なものまで,たくさんの機種があります。現行品だけでなく,これまで販売されてきたものも含めると,どれだけあるか分からないほどです。対象を生物顕微鏡ひとつに絞っても事情は同じで,小学校に置いてある簡素なものから,ベンツやレクサスが買えてしまうようなものもあります。高級な顕微鏡はどこが違うのかというと,まず鏡基の丈夫さです。金属の塊のようにつくられていてとにかく丈夫で,重い撮影機材などを載せても大丈夫なようになっています。また,きちんとした照明ができるような装置が内蔵されています。レンズの分解能は,開口数が同じなら学習用でも研究用でも変わりがありませんが,研究用は色収差の補正範囲が広かったり,カバーグラスの厚みを補正できる仕組みがあったり,超広視野に対応したりしています。重要な部分については調整機構がついていて,それらを微調整することによりパーフェクトな像を得るのです。きょうの画像は生物顕微鏡の一例で,1980年代頃に活躍したバイオフォト(ニコン)です。これは高級機です。後ろに写っているのはS型(ニコン),これは研究用の中級機で1960年代から70年代に活躍しました。高級機の造り込みのよさを一度味わうと,もう元には戻れません…というくらいに快適・確実な操作性です(画像/MWS)。








2013年10月22日


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シラスを撮影していたらメガロパ君がたくさん見えたので拾いたくなってしまい,スライドグラスの上に整列となりました。メガロパはカニの幼生の一時期の名前です。カタクチイワシの稚魚だけでも栄養豊かですが,カニさんが入っていたらさらに栄養は豊かになるでさうね。さっと塩ゆでされたメガロパ君は,まるで茹でガニのように見えて,これはこれでうまそうです。きょうの画像も,Tokina AT-X M90mm F2.5にMacro Extenderを装着してNikon1J1で撮影したものです。照明は超高演色のLED電球を使っています。撮影倍率はレンズ側の設定で等倍です。ここで写っているメガロパ君は,横幅2mmくらいです。上の画像は全体を縮小したもの。下の画像は撮影画像がら縮小せずに切り出したものです。メガロパの目の構造が少し解像できています(画像/MWS)。








2013年10月21日


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夕飯の材料だったシラスが佳品だったので撮影してみました。鮮度のよいシラスはマクロ撮影してもおいしそうですね。画像ではカタクチイワシの稚魚と,ハゼ? アナゴ?の稚魚らしきものがみえています。シラスのサイズは数ミリメートル〜十数ミリメートル程度のものが多いので,マクロ撮影の等倍領域用の練習試料として好適ではないかと思います。等倍ということは,被写体の大きさと像の大きさが等しいということ。撮像素子は長辺10mm〜36mm程度のものが多いので,そのくらいの大きさの物体を等倍撮影すれば,撮像素子に全体が乗るわけです。

このとき,レンズが十分な分解能を持っているとすれば,画像の分解能は撮像素子の画素ピッチによって決まってきます。画素が3μmごとに並んでいれば,2点を2点と分解するためには3画素使う必要があるので分解能は約9μm付近となります。これは低倍率の顕微鏡に近いですね。等倍以上に拡大すれば,撮像素子側の理屈としてはより分解能を上げられます。しかしレンズ側にも解像限界があるので,両者のバランスを取りつつ撮影する必要があります。レンズの分解能を活かしつつ諸収差抑えた絞り/照明法を選択して,その分解能を活かせる拡大率で撮像素子に像を投影したときに,マクロ撮影として最高の性能が発揮されます。

と言葉で書くのは簡単ですが,実際にやってみると,追い込みどころを見極めるには試行錯誤が必要で,すぐに判別できるほど簡単ではありません。撮影テストは避けて通れないでしょう。でも,それが楽しいんですよね。きょうの画像は,Tokina AT-X M90mm F2.5にMacro Extenderを装着してNikon1J1で撮影したものです。照明は超高演色のLED電球を使っています(画像/MWS)。








2013年10月20日


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デジタルカメラの色再現は素直でなく,フィルムならネガカラーでも青空はきちんと青空の色になりましたが,デジタルでは今なお変な色になることも珍しくありません。筆者がスナップ用に使っているカメラも,晴れの日にデーライト,あるいはオートのホワイトバランスにしていても,青空の色がおかしくなることがほとんどでした。ところできょうの画像は,ご先祖様が眠る地から上を見上げた光景です。なんともきれいな空と樹木だったので一枚撮影したものです。普段は絶対にこのような色には記録されないのですが,このときだけは,みたままのイメージが記録されていてびっくりしました。樹木の影と,雲と,青空のバランスがよくて,画面全体の平均反射率が一定の範囲に収まったので素直な色の記録になったものと推測しますが,実際のところはどうなのでしょう。やはりご先祖様の霊が助けて下さったのでしょうか(画像/MWS)。








2013年10月19日


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18日は編集者の方をお迎えして顕微鏡の午後となりました。まずは必修科目の包丁研ぎで切れるとはどういうことか,研げるとはどういうことかを体験してもらいました。昼食後に原生生物のサンプリングを行い,実体顕微鏡と生物顕微鏡による珪藻プレパラート観察のあとに,原生生物を倒立型生物顕微鏡(微分干渉法)で検鏡いただき,持ち時間を使い果たしました。たくさんの質問をいただき,お話しもはずんで,最高に楽しい秋の午後となったのでした。よく調整された顕微鏡で見える像の印象が,編集者さんの今後の仕事にきっと役立つことと思います(画像/MWS)。








2013年10月18日


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伊豆大島がたいへんなことになっていて心が痛みます。一人でも多くの方が無事であるように祈らずにはいられません。

むかし大島を一周して三原山に登ったときに,この災害現場付近に宿泊したことがあって,だいたいの雰囲気はわかります。とにかく,ただならぬことが起きた,という印象でいます。人を引率して山や海に行くことがあるので,防災意識はかなりハイレベルで持っているつもりです。たとえば津波の恐ろしさは十分に知っていて,サンプリング地点や海辺の宿泊地に着いてまずやることは,津波の場合の逃げ場を同行者に周知徹底することです。こうしたことは東日本大震災よりはるか以前から行っていて,学生さんに「地震が起きたらあそこまで逃げる」と言うと,「え,津波ですか?」と呆気にとられたものです。土砂崩れについても同じで,ここは雨で地盤が崩れそうだとか,増水したときはこの沢はダメだとか,そういったことは見極めて安全に配慮してきたつもりです。

しかし今回の伊豆大島の土石流は,とうてい予知困難で,筆者が現場にいたら逃げられずに巻き込まれたことと想像します。そもそも大島には川がなく,沢などにも水が流れていることはほとんどないでしょう。わずかに河口付近で水が染み出ているような感じです。溶岩に噴石が積もってできた大地なので水をいくらでも吸うのです。そして元町の山側一帯はうっそうとした常緑樹で覆われていて,地盤が悪そうには少しも見えません。今回の土石流は,恐らく,集中的な降雨によって,岩盤に乗っている地層と森林があわせて全体として滑り落ちたのではないかと想像します。それは,とても予測できるものではないと思います。

マスコミはせっせと「犯人捜し」をしているようです。気象庁や町長さんを犯人に仕立てることは彼らなら難しくないでしょう。でも実態はそんなに簡単なものではないです。深夜に迫り来る台風。時間雨量の最大値は2時〜3時といった時間帯。危険と判断できる状態になってから,避難する時間的な余裕はほとんどなかったのではないでしょうか。避難勧告を出していれば助かったかもしれない,それはその通りですが,避難勧告を出している当事者が,この大規模な土石流をイメージできていたとは,とても思えません。せいぜい部分的な土砂崩れの危険を予想していたのではないでしょうか。

これからは地質学者が地質と平均的な傾斜を考慮して,連続雨量がどれほどになれば危険になるのかをシミュレートしてハザードマップを作り,居住者の基本知識として周知徹底する方向が望ましいのではないかと思います。いまでは地震が起こると津波を連想して逃げる,という行動が周知徹底できていますが,それと同じように歴代で事故記録のない安全と考えられている土地であっても集中降雨が続けば自主的に避難,という作法が必要になってくるのではないかと思います。

きょうの画像はむかし伊豆大島で購入したトレーナーの布地。自転車で島を巡っていて,それまで着ていたものが傷んできたのと,少し寒かったので,店先に並んでいたものを買いました。そのお店は元町にあって,土石流が起きたところのすぐ近くにあったはずです。いま思い返しても,あの一帯が土石流でやられるというのが想像を超えている感じがします(画像/MWS)。








2013年10月17日


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これは夏に製作した特注品で,すでに手元にはありません。部分的な絵は一度掲載しましたが,全体はこうなっています。種々の珪藻とナマコの骨片を使ってフラワーポット的にまとめています。無傷で汚れのない珪藻にこだわっていますので,パーツ集めにとんでもない手間がかかりますが,それは時間が解決する問題でもあります。こういったものを製作する上でもっと難しく感じるのは,それぞれのパーツの角度をいかにして正確に出すか,ということです。顕微鏡を覗いていると角度の感覚が狂うらしく,スケールを入れて調整しているつもりでも,完成してみると微妙に違ったイメージになっていることがあります。人間の目は角度に敏感なので,一度の傾きがあればはっきりと認識してしまいます。コンマ何度という正確さでパーツを並べたいわけですが,これがたいへん難しいのです(画像/MWS)。








2013年10月16日


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きょうの画像はキュウリの切片です。左が最高によく切れる包丁で切ったもの。右がそこそこよく切れる包丁で切ったものです。左の画像では細胞がつぶれずに形を保っているのに対して,右では細胞がつぶれてしまいコントラストが失われています。包丁の切れ味が料理の出来に大きな影響を持つことはよく知られていますが,きょうの画像はその一つの理由を表しているとみて良いでしょう。こうした比較を行ったレポートが砥取家さんのHPに掲載されていますので(こちら)興味ある方はご覧下さい(画像/MWS)。








2013年10月15日(3)


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用事で東京タワーの近くを通りました。東京に住んでいながら行った記憶がなく,はじめて間近でみました。鉄骨が意外に細いなーというのと,このタワーは橋梁なんだなーと言うのが第一印象でした。次々と観光バスがやってきて,スカイツリーができた現在でも東京タワーは人気者のようです。まるで観光客のような気分になり,いくつか撮影してみましたが,むずかしいですねコレ。露出補正もむずかしいし,構図もむずかしい。ちゃんと写せない…。粗大構造の中に微細構造があるのは珪藻と共通で,コリャじっくりと機材を吟味して撮影しないとまともな絵にはなりそうもないとあきらめたのでした。スナップできれいな東京タワーを収めている方,感心します。カメラの性能がいいのでしょうかー(画像/MWS)。








2013年10月15日(2)


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よいものだけを国内から発掘してお知らせしている本ページで,ラーメンをとりあげるのは最初の気もします。ラーメンと珪藻,顕微鏡は何の関係もないのですが,筆者は一時期,ラーメンを常食していたので体の一部はラーメンから構成されています。八王子は30年前からラーメンのレベルがひじょうに高く,90年代に各地のラーメン戦争の話が出たときも,何を言ってるんだと思ったことでした。なぜなら,都区内やほかの土地でラーメンを食べても,当時は八王子のレベルをなかなか超えなかったからです。食にこだわる知人にうまいラーメン屋さんなるものに何度か連れて行ってもらったこともありますが,お返しに,その人を筆者の常食するラーメン店に連れて行ったらあっさりと,その店のファンになってしまったことも二度や三度ではありません。北海道在住の知人が,八王子と比べちゃだめ,と言っていたこともあります。。

そういったラーメン人生のなかでいちばん古くから通っている店がきょうの画像で,30年以上の付き合いになるラーメン屋さんです。八王子駅周辺に3店舗あります。名前は九州ラーメン桜島ですが,ラーメンは九州とも桜島とも何の関係もなさそうな独自開発のものらしいです。この店の定番はみそわかめだったのですが,そのメニューは消えてしまい,みそ+トッピングわかめで注文するのが筆者流です。ガラスープに手打ちの太麺,もやしとわかめに味噌が頂上に乗っています。この味噌を崩しながら風味の変化を楽しむという趣向でもあります。それから必ず頼むのが餃子。ここの餃子は一つの完成された頂上に到達していて,完璧な味,と思いながら食しています。

食べログなどを見ると評価は低いようです。まぁ,ラーメンにうまさを追求するような人たちには,理解されない味でしょう。ここのラーメンは,言ってみれば,ごはんと味噌汁なのです。うますぎることはない。しかしいつでも食べられる。まずいということもない。安心できる味。そんな感じです。じじつ,筆者にとっては体調が悪いときでも食べられる唯一のラーメンです。体が受け付けるのです。昼食べて夜食べても問題ありません。だから,ふっとラーメンが食べたくなったときに,この店よりもおいしいラーメン屋があることを知っていながら,でも足はこっちに向いてしまうことも多いのです。

このお店,味は30数年前とまったく変わりません。メニューもセットが増えたくらいであまり変化がありません。値段も安いまま。店員の愛想も悪いまま。店も古くさいまま。それでも店がつぶれないどころか,いつでも客が入っていて賑わっています。超有名店が次々と林立するラーメン激戦区の八王子でありながら,どことも戦っていないのです。創業者が作り上げた味を信じて守ることが,このお店の仕事です。だから客層も,家族連れ,生徒さん,学生さん,サラリーマン,工事労働などの仕事人さん,女性の一人客,若者からお年寄りまでのカップルと,あらゆる年齢層にまで広がっています(画像/MWS)。



*1 この店の欠点は禁煙ではないことです。食事とは,清浄な無臭の空気と一緒に食べてこそ美味しさが味わえるのですが,そこにタバコの煙がくると,公衆便所で飯を食わされているかのような腹立たしい気分になります。とても食べ続けられません。タバコを吸わない人にとっては,タバコの臭いというのは便臭とか塩素臭とか硫化水素臭に匹敵する臭いで,食品の香りもフレーバーもみんな汚染されて,衣服も髪の毛も臭くなり,食事が台無しになってしまいます。しかも喫煙者はラーメンの待ち時間や食後にタバコを吸って,周囲の人に迷惑をかけながら,自分が食べるときはタバコを消すという利己主義の最高峰のようなことを平気でやっています。ニコチン依存だから仕方がないことなのかもしれませんが,喫煙者とて,自分が人に迷惑をかけているのを好まないでしょう。タバコの煙がどれほどの迷惑かは知っておいて損はないと思います。

*2 ついでに飲食店(に限りませんが)の方に申し上げておくと,厨房の方や店主の方が,店先に出てきてタバコをふかしている場面によく出くわします。きっと店内をたばこ臭くしないために,店の外に出て「分煙」しているつもりなのでしょう。その心がけはいいのですが,タバコを吸わないひとからすると,店の前で煙のバリアを築かれているのと同じで,路上をたばこ臭くされて非常に迷惑です。そんな店主のいる店には絶対に入りません。タバコを吸うときには,業務用換気扇の下で,客から見えないような小部屋をつくって,隠れて吸いましょう。吸ってることがばれなければ,印象は悪くなりません。

*3 さらに申し上げますと,心ある喫煙者の方々にはいつも感謝しております。いちばん感心するのは,「吸わない人だと思っていた」喫煙者がおられることです。知人にも何人かいるのです。タバコを吸っているところを一切,みたことがない。たばこ臭くもない。しかしどこかでひっそりと吸っている。どうやったらそんな配慮ができるんだと感心しています。

*4 世の中まだまだ喫煙可能な飲食店が多いので,タバコの煙がだめな人々は大変な苦労をします。筆者など,外食はほとんどしなくなってしまいました。それでも最後に残る数少ない外食がラーメン屋さんなのですが,行くときは,おやつの時間帯を狙い,店内に人がいないときに入店し,さらに煙の流れる方向を見極めてもっとも被害の少なそうな席に着席するという念の入れようです。それでもあとから入ってきた客がライターをつけるときの音を聞いたときの失望感といったらありません。食事中だったら食べるのをやめ,そいつがタバコを吸い終わり,店内の空気がいくらかマシになるのをじっと待つしか方法がないのです。楽しみにしていたラーメンの時間は吹き飛び,地獄の試練と残飯処理の時間になってしまうのです。






2013年10月15日


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昨日の画像の一枚目,フランスのタイヤメーカが三つも星をつけてしまったお山の中腹からの眺めでしたが,カメラを少しだけ左に振ると,きょうの画像のようになっていたのでした。歩けば30分で下山できますが,下りのリフトに60分〜90分待ちの列。ケーブルカーも同じ。お,お前らそんなに歩くのイヤなのかぁー? \(^O^)/ 登山もせず下山もせず,水平移動しかしないのかぁー? 焼き団子にも長蛇の列。お土産品も長蛇の列。ソバ屋も満席で並んで待っています。お,お前ら並ぶのは平気なのかぁー? 歩かなければ一時間待ってもいいのかぁー? 本気なのか? 登山道は人で埋まってしまい,前に進むのが困難なほどでした。人が多い登山道を銀座通りと呼ぶことがありますが,明らかに日中の銀座を超える人口密度だったのでした。でも皆さん楽しそうですね…。

とゆーことで,写真は真実を切り取りますが真実を伝えないこともあるという真実をお伝えしましたー(画像/MWS)。








2013年10月14日


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フランスのタイヤメーカが三つも星をつけてしまったお山に出かけてきました。今年はいろんな事情の関係で気晴らしの散歩ができておらず,サンプリングと学会旅行を除けば,昨年以来のお出かけのような気もします。恐ろしいことです。心身を病まぬように気を付けないといけません。久しぶりに山の空気を吸って,ひとけのない山道を歩き,川原に生えるコスモスを愛でながらのリフレッシュタイムとなりました。筆者はもともと山猿なので,林道や沢筋を歩いていると得も言われず落ち着くのです。久しぶりに細流(ホソ)の冷たい流れに手を浸し,イノシシの掘り返した山道を歩きながら,昔はよくこの辺りを歩いたもんだと懐かしくも感じるのでした(画像/MWS)。








2013年10月13日


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放散虫プレートが久しぶりに手元に戻ってきたので検鏡してみました。Jシリーズが開発されて間もなくの頃に製作した想い出の標本で,相模湾産の現生の放散虫を並べたものです。この頃は全行程をフリーハンドでやっていて,製作の困難さは大変なものでした。何しろ放散虫は丸っこいのが多くて,転がるのです。。久しぶりに視野に現れた放散虫は相変わらずクリヤーで鮮明に見えます。しかし厚みがありますし,透明なケイ酸質なので撮影はけっこう難しいですね。つねに練習していないと,撮影が下手くそになった自分を発見することになります…。放散虫はとても美麗なのでプレパラートを供給したいところですが,現生のものは大変数が少なくて,現在の在庫はほとんどありません。新規の原料から拾い出しをすることになりますが,当分先のことになりそうです(画像/MWS)。








2013年10月12日


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きょうの画像は常に注文が入る人気プレパラート【MZR-02】です。このプレパラートには大型で美麗な沿岸性の付着珪藻が多数入っており,低倍率から高倍率まで使えます。大型珪藻でありながらその構造は繊細なので,一つの珪藻をじっくり検鏡するのにも向いていますし,まる,さんかく,しかくといった珪藻が多数入っているので多様性を一目瞭然的に理解するのにも好適です。もちろん,珪藻を選べば顕微鏡対物レンズの性能テストにも使えます。顕微鏡は持っているが珪藻標本を一つも持っていない,そのような方の最初の一枚にも最適です。ぜひともお薦めしたい標本です(画像/MWS)。








2013年10月11日


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これも汲んできた海水に入っていた珪藻です。プレウロシグマの仲間で,基本的には付着珪藻ですが,プランクトンとしてもよく出現します。この仲間の分類はむずかしく,種名まではわかりません。独特のひねった形もさることながら,被殻上には整然とした網目模様があって古くから顕微鏡関係者の間では知られた珪藻です。レンズのテスト用としても利用されていることから,メガネケイソウの和名がつけられています。沿岸域でふつうに見られます。波の穏やかなところの砂や泥の上でよく見つかります。画像左側でぼけているのはリゾソレニア,画面上方でぼけているのはChaetocerosの仲間,プレウロシグマの右横にいる小型の珪藻は…わかりません(画像/MWS)。








2013年10月10日


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海水を汲んできて捕まえることができるのは珪藻ばかりではありません。そこには色々な生物が入っています。珪藻を食べる動物プランクトン,動物プランクトンに寄生する原生生物,鞭毛藻,アメーバ,放散虫,大形動物の幼生,バクテリアなど顕微鏡サイズのたくさんの生き物が見つかることでしょう。海の食物連鎖はミクロの世界に出発点があります。世界中の魚や,イカや,海獣類を支えるだけのプランクトンが存在しているのです。ふだんは目につきませんが,顕微鏡があればそこには多様な生物の世界が広がります。きょうの画像は東京湾を漂っていた放散虫です。こういったものが珍しくもなく,海にはふつうにいるのです(画像/MWS)。








2013年10月9日


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これはアステリオネロプシス(Asterionellopsis)属の珪藻で,日本沿岸でふつうにみられます。まとわりついているのはスケレトネマの仲間で,これも普通に見られる海の珪藻です。両方とも浮遊珪藻といって,ある期間は浮いていられる珪藻です。珪酸の殻を持っているので少しは重たいと思うのですが,何らかの方法で浮遊して,光合成をしながら増えていきます。これらの珪藻は,海水を汲んできて静置し,沈殿したもやもやを顕微鏡で見ると観察することができます。海の水が茶色っぽく見えるときは浮遊珪藻が大量に増殖しているケースが多く,驚くほどの量,種類が見られることもあります。河川の付着珪藻観察は割とポピュラーなものですが,海の浮遊珪藻観察はまだまだ一般的ではありません。未体験の方はこれから秋〜冬の珪藻シーズンに,浮遊珪藻の検鏡に挑戦してみてはいかがでしょう(画像/MWS)。








2013年10月8日


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顕微鏡写真を撮っていて困る被写体はたくさんありますが,中でもコントラストの高い構造と,やっと見える程度の透明な構造があるような物体が厄介です。きょうの画像はその代表例といってもいい海産の浮遊珪藻Chaetocerosキートセロス(キートケロスともカエトケロスとも読みます)の仲間です。細胞は色素が詰まっているのでコントラストがでますが,その細胞から伸びている刺毛が細くて透明で,しかもピント平面からはみ出すような構造なので,明視野ではぼけて消失してしまいます。微分干渉法でも被写界深度が浅くてよく写りません。位相差なら良い具合に可視化できますが,位相差顕微鏡を持っている人向けの,独特の絵になってしまいます。暗視野では珪藻そのものの内部構造はあまり写りませんが,画像処理でガンマをプラスに振れば刺毛が十分に再現できます。この分類群は世界中に存在する最も重要なものなので,良い写真を世界中で蓄積できればいいのですが,実際問題としてはなかなか難しいのです(画像/MWS)。








2013年10月7日


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近くの駅に駅ビルができてしまい,また余計なものを作ったと苦々しく思っていました。一体,都心をどこまで開発し尽くして,熱地獄にして,地元商店街を破壊して,見かけだけはきれいで何も置いていない店舗を全国どこでも金太郎飴状態に展開する…。ほんとうに日本はつまらない国になってきたと思わずにはいられません。それでも,その駅ビルの中には本屋が入って,ろくな本屋が近くになかったので,その点は多少は良いかなとも思っていました。それで初めて足を運んだところ,棚がメチャクチャなのです。書店というのは棚の作り方が命で,これを疎かにすれば書店が乱雑な倉庫になり書店でなくなってしまいます。この書店は筆者がみてきた書店でも最悪の部類で,脳みそがかき混ぜられるような不快感を味わい,3分後には二度と行くもんか!という気分になってしまいました。

むかし出版社のお偉いさんと話していたのですが,そのお偉いさんは「三省堂書店の棚は良くできている」とのことでした。これには筆者も同感です。個人的には,「八重洲ブックセンター本店」の棚も非常によくできていると思っています。学生の頃は月に60件くらいの書店/古書店を回っていて,たくさんの本屋さんをみてきた経験からの結論です。最近の本屋さんはどこでも同じセットを仕入れている感じで,まるでコンビニエンスストアを見ているようです。情報を仕入れに行くという気分がしません(画像/MWS)。








2013年10月6日


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一昨日掲載した唐辛子の画像はこのようにして撮影しました。実体顕微鏡のスタンドを用いて,台ガラスの部分は外して,下に植毛紙を敷いています。その上に円筒形のホルダをのせて研磨したスライドグラスをのせ,唐辛子を散らしています。光は南側の窓から入る斜入射の自然光(拡散光)を利用しています。こうすることによりバックが暗黒になり,スライドグラスでの反射もレンズに入らず,柔らかい光のもとに被写体が鮮明に浮かび上がります(画像/MWS)。








2013年10月5日(2)


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【ご協力のお願い】 上の画像と同型の6V30W電球用,ニコンS型ランプホルダを探しています(2個)。心出し機構付きのものです。このホルダを持っていて処分可能な方は,ぜひメールでご連絡下さい。買取,または標本との物々交換とさせていただきます。動作品であれば古くても汚くても構いません。よろしくお願いいたします(画像/MWS)。








2013年10月5日


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これは顕微鏡の光路分割プリズムに生えたカビです。カビはどこにでも生えるものですが,なぜきれいに拭いてあるはずのガラス面を覆うように増殖するのか不思議な気もします。ほかの生物が生息していないので自由に生息域を拡大できるということでしょうか。カビは空気中の湿度で増殖できるので水やりをしなくても増えてしまいます。顕微鏡やレンズはなるべく乾燥したところに置くのが好ましいことは言うまでもありません。ながねん顕微鏡と付き合っていると,カビの具合から保管履歴が推測できることがあります。きょうの画像のようにプリズム面を広くカビが覆っていて,ほかの面にもカビがたくさん生えている場合は,通気性の悪い倉庫に長期間放置されたもののことが多い気がします。特に倉庫で床に置かれたものはカビの発生が著しいことがあります。この画像の顕微鏡も例外ではなく,代理店の倉庫にながねん眠っていたのです(画像/MWS)。








2013年10月4日


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これは七味唐辛子の拡大画像です。色鮮やかでなかなかきれいに感じます。Tokina AT-X 90mm F2.5にMacro Extenderをつけて等倍で撮影し,それを縮小したものです。鋭い方はお気づきかもしれません。この七味唐辛子には麻の実が入っていないのです。唐辛子は調合によっていくらでも風味が変化するので,筆者はお店を決めて永らくそこで購入していました。酉の市で決まって出店するそのお店は小柄なオジサンがやっていて,のちに太ったオバチャンが店番となりました。2000円分作ってくれる? 辛めで,麻の実なし,ミカンを多く入れて,と頼むと,別の原料袋から「ちょっといいの入れてあげる」といって調合してくれて,「大サービスだからね」と結構な量を袋に詰めてくれました。数年も通うと,「辛めだっけ? 麻の実入れないんだっけ?」と覚えてくれて,ちょっとしたやり取りに冬が来たなぁと感じたことでした。

その店の唐辛子の風味は他にない素晴らしいもので,特に豚汁やけんちん汁系には最高の相性でした。学生時代から中年オヤジになるまで通ったその露店も数年前にはなくなってしまい,いまは新たな入手先を探しているところです。個人的には七味唐辛子はミカンの粉が重要で,これを大量に入れた方が各種の料理に合う気がします。それでミカンの皮を自分で挽いて加えている今日この頃ですが,優しいおばちゃんがやっている良いお店,とこかにないかなぁーと思っています(画像/MWS)。



*1 露店で作ってもらう七味唐辛子は大手メーカなどの品物よりも香りが上等なものが多いです。好みを言えば作ってくれるお店もあるので,皆さまもお試しになられてはいかがでしょう。コツは並んでいるのを買わないこと。コレとコレが苦手だからそれを抜いて作ってと頼むと新しく調合してくれます。ウン千円分たのむと,新しい原料を別の袋から出して混ぜたりするので,そのときはさらに香り高いものになります。保管はビニールで何十にも密閉して冷蔵庫。風味が長持ちします。風味が抜けるので冷凍庫はだめです。




2013年10月3日


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学会も終われば帰宅となるわけですが,仙台去りがたく,足はぐるぐると市内を回ります。一般的には牛タンと,笹かまと,萩の月をお土産にして東北新幹線に乗り込むのでしょう。しかし人生裏街道をひたすら歩む筆者としては,まず仙台朝市を流してみて,次にダイエーの地下をチェックして,仙台朝市に戻り東北の物産を探して,エスパルをチェックするのでした。もちろん鐘崎の笹かま(プレーン)もお持ち帰りとなるわけですが…。仙台朝市はいつも活気があって好きなところです。近くに住んでいたら晩ご飯の材料になりそうな野菜と魚がふんだんにあって,遠くから運ばれてきたものしか置いていない東京とは全然違います。お魚さん,輝いている。。地元の人がたくさん買い物に来ています。学会のえらい先生方にも仙台朝市を紹介すべきだったのですが,口から泡を飛ばして議論しているうちに忘れてしまいました。皆さん,寄ったのだろうか。駅から近いのだけれども。本ページの読者はぜひとも仙台訪問時には仙台朝市に行ってみましょう。朝市といっても,10時以降くらいに行かないとモノが並んでいなかったりするので,昼から夕方前くらいがいいかもしれません。

帰路は東北本線。夏季休業中ですから急いで帰ることもなく,沿線にある『萩の月』生産工場をチラ見して,金色に輝く福島盆地を見ながら東北旅行の気分を味わい,学会気分から遠ざかるのです。画像は上から,仙台朝市,東北本線(福島盆地),小金井付近(湘南新宿ライン)です(画像/MWS)。



*1 試しにSUICAで改札を入り(仙台),そのまま都内で出ようとしたらダメでした。同じJR東日本でも,SUICAの指定エリアを越えて使用することはできないのだそうです。でも係員に言えば,運賃分を引いてはくれる。せっかく自動化しているのなら仙台−東京くらいはスイカで乗車できても良さそうですが…。ちなみに仙台から在来線で東京に向かう人はけっこうおられます。筆者が乗った列車でも,わかっているだけで10人くらいが東京方面に向かっていました。




2013年10月2日(2)


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仙台市内は宿がとりにくく,ホテルに直接申し込むとみんな満室。筆者の根気では28日の宿が確保できなかったので,一日だけ福島に泊まることにしました。一泊分に相当する料金が交通費に消えてしまいましたが,その代わりに新型車両が待っていてくれました。当サービスのお客様は,カメラが好きで顕微鏡が好きで鉄道を愛する人が多いような気もするので,やはりこういった画像を掲載しないわけにはいきません(笑)。画像を見れば筆者の鉄道に対する思いが見て取れるかもしれません。やまびこ君は24分ほどの乗車でしたが,夕暮れの中を秋の福島盆地へ疾走する気分は,なかなかのもの。福島で通過待ちとなったので,疾走する列車をバックに記念撮影をしたのでした(画像/MWS)。








2013年10月2日


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仙台到着は楽天イーグルス優勝の翌日でした。じつに良いタイミング。あちこちで優勝おめでとうセールをやっていて,市内に活気があふれている気がしました。仙台駅前のペデストリアンデッキ(歩道橋)にはたくさんの花が咲き乱れ,管理もよく,以前にも増して素敵なところだなーと歩いているだけで気分がいいのでした。ちょっと街中をあるいてみれば,鯛焼き77円に行列ができていたり,店内の販売価格の下2桁が77円になっていたりと,星野監督の背番号にちなんだセールをあちこちで見かけました。道行く人はみんなニコニコしているように見えました。仙台,本当にいいところです(画像/MWS)。








2013年10月1日(2)


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学会の研究発表では,学生の発表に関して最優秀者1名を表彰することになっています。発表レベルが高くて混戦状態だったのですが,今年は北海道大学大学院博士課程の夏池真史氏が選ばれました。有毒渦鞭毛藻に関する研究です。画像は夏池氏が石丸 隆,日本プランクトン学会長と並んでいるところです。夏池氏は筆者が2010年に北海道大学で行った顕微鏡講習会を(京都から駆けつけて)受講した後,顕微鏡が急に面白くなったとのことで,今回の発表でも,渦鞭毛藻のシャープな画像が使われていました。そう言う意味では,筆者も氏の研究に対して1%くらいはお役に立てたかな,という気がして,一緒に受賞を喜びたいと思います。(画像/MWS,公開許可済み)。








2013年10月1日


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夏休み後半を利用して日本プランクトン学会大会に出席していました。日本ベントス学会と共催で行われる研究発表大会なのですが,毎回楽しいのです。今回は東北大学農学部のお世話で仙台での開催となり,仙台うまれの筆者はじつによい気分の続く時間を過ごすこととなりました。諸事情で今年も研究発表はできなかったのですが,毎年質問ばかりしているせいか,ずいぶん久しぶりに座長を拝命し,仕事をもらった気分になったことでした。口頭発表,ポスター発表ともに盛況で,二日間朝から晩までの時間があっというまに過ぎ去りました。昨年ちょっとだけ会話した大学院生の方が筆者を覚えていて,HPもずかんプランクトンも吸光光度法ノウハウもみんなみてくれていたにことには,心から感謝とうれしさを感じるのでした。ありがとうー。

懇親会にもひじょうに多くの方々が参加して,その盛り上がり具合は相当なものでした。お天気にも恵まれ,カサなしで出向いた東北旅行でしたが大正解でした。これだけ楽しいと,学会気分を抜くのが大変になりそう…です(画像/MWS)。









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