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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


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2014年7月31日


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2014年仮説実験授業研究会夏の全国合宿研究会では,多くの方に放散虫を見て頂くことができて嬉しく思っています。おそらくは,生まれてはじめて見る,本物の放散虫でしょう。それが顕微鏡の視野に,きれいな個体が整然と並んでいるのですから,きっと何かのイメージが記憶に残ったのではないかと,そんなふうに期待します。また分子デザインビーズも多くの方にお求めいただきました。職人さんが手をかけて作った本物の良さが分かる人たちに恵まれたことを嬉しく思います。皆様,ことしもありがとうございます(画像/MWS)。








2014年7月30日


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当サービスは休息モードで営業中ですが,この時間を利用して実体顕微鏡にカメラを取り付けました。いままでは,主に作業上の困難があって,カメラポートを付けられなかったのですが,作業台やイス,足の位置,手の延ばし方などを検討するとともに,カメラの接続をあれこれ考えて,きょうの画像のような感じになりました。Nikon1は撮像素子がCマウントシステムで使えるサイズなので,カメラポートにダイレクトCマウントアダプタをのせて延長チューブを挟んで接続しました。

なぜ延長チューブをはさんだのかというと,こうすると目視と同焦点に近くなるからです。実体顕微鏡の像は大してよくありませんが,リレーレンズを使わない直接投影なので,それなりの絵にはなりそうです。運用はこれからですが,いちおうは使えそうな雰囲気です。これでカメラがこちらを向いていればさらに使いやすいのですが…。

それにしても驚いたのは,このカメラポートのCマウント部分の差し込み部。これにダイレクトCマウントアダプタをさしこむと,まるで規格が異なるようにがたがたします。遊びの寸法が,どう考えても信じられないくらい大きいのです。ネジによる3点留めなので,がたついても最終的にはしっかり固定できますが,工作精度としては全く釈然としません。公差の小さい物を作らせると不良品が大量発生するような外注先に委託して,いい加減なものを作らせ,最後はネジでごまかしているのでしょうか? それとも最近のCマウントアダプタは,これが正式な設計なのでしょうか。。

実体顕微鏡には時計がのせてあります。これは,珪藻や放散虫などを顕微鏡下で操作していると時間の感覚がなくなるため,いつでも瞬時に時間を確かめられるようにしたものです。筆者のような人間は,珪藻などを「いつまでも覗いている」ことが可能で,深夜に珪藻を拾い集めていると,知らない間に26時,27時と時間が過ぎてしまいます。また極度に難しい並べ操作をしていると,知らないうちに夜になっていたりします。いちおうは俗世間の時間で生きる努力はしなければなりませんし,仕事的にも,どの工程にどのくらい時間がかかるかというのは知っておいて良いので,顕微鏡に時計がついているのです(画像/MWS)。



*1 2,3年前頃,顕微鏡好きな女性にコーチしていたところ,その方はうれしそうにフルオフォトを操作しながら「いつまでも覗いてます」といいながらニコッとしてくれました。筆者のハートがずきゅーんされたのは言うまでもありません。。




2014年7月29日


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東京都心部の暑さがいかに異常かは,tenki.jpのスクリーンショット(きょうの画像)が物語っています。この時期の自然界からの熱源は太平洋高気圧の張り出しによる暖気の供給と日射であって,これの制御は人知の及ぶところではありません。自然界からの熱源だけなら,深夜0時20分に,東京と沖縄が同じ温度になるということは,そうそうあることではありません。それが,このようなことが普通になってしまっています。きょうの画像も特に珍しいものではなく,2,3日前はもっとひどかったのです。

このようなことになってしまったのは,自民党とそれにのせられた自治体が,50年以上の時間をかけて自然を破壊し,緑を壊し,コンクリートとアスファルトで塗り固め,何をするにもエネルギーが必要な世の中をつくってきたからです。コンクリートやアスファルトというのは蓄熱体であって,昼間に熱エネルギーを吸収し夜にそれを放射するという湯たんぽのような熱特性を持っています。また土壌や森林のように水が蒸発することがないので,潜熱輸送ができず,それ自体の温度が上がりやすい上に周囲の温度も上昇するのです。このような蓄熱体を,農地を潰しながら関東一円の規模に敷き詰めてしまったのですからたまりません。毎年,何人もの人が熱中症で殺される残念な事態になっています。

日本中の河川をふさいで約3000基のダムを造り,農地を潰して宅地にして,森林は放置して外材を輸入し,漁業は輸入品に押しつぶされ,その上でTPPを推進し,原発を一貫して推進する。国土のあらゆるところをコンクリートで塗り固め,ヒートアイランドを助長し,流域下水道を進めて水循環を破壊する。部分的に見れば,どれも必要な政策であったでしょう。しかし全体を俯瞰してみれば,何かが大きく間違っていたということに気づかないでしょうか? 筆者が言いたいのは政治的な議論ではありません。

東京都心に近い中野区辺りでも,1960年代くらいは朝靄がかかりカッコウが鳴いていたと聞きます。天の川が最後に見えたのもこのころだったと聞いたことがあります。朝は冷えるので,夏でも戸を閉めて寝たといいます。それが本来の環境だったとすると,今は明らかに異常です。その異常が感じ取れますか? といいたいのです(画像/MWS)。








2014年7月28日


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ここのところあまりにも暑く,室温も32〜33度となり,細かい作業ができなくなっております。空調をつけてしまうと,チリが落ちてくるので,珪藻や放散虫を操作して並べることはできません。この関係で,今週から来週後半にかけて,休息をはさみつつの営業とさせていただきます。天気予報では大手町の芝生の上の温度が「東京」の気温となっていますが,それよりも内陸側に入ったところでは+1〜2゚Cの実測気温となっていて,ここ3日くらいは36-37゚Cの最高気温,最低気温は29-30゚Cとなっています。何もしなくても体力が奪われていきます。

そんな熱地獄の都区内ですが,きょうの画像は放散虫で流れを表現したもの。画像だけでも涼しい感じのものを(画像/MWS)。








2014年7月27日


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まもなく2014年仮説実験授業研究会夏の全国合宿研究会です。今回は放散虫の販売に向けて種々の検討を行ったために時間がなくなってしまい,販売物は少なめです。その代わりに,世界中探し回っても見ることのできないレベルの,放散虫標本を展示しますので,皆様お立ち寄りいただき,拝んでいっていただければと思います。きょうの画像もその一つで,大型で美麗な放散虫を大量にマウントしたものです。専門家が見れば,おそらく驚いてくれるだろうという,そんな貴重なものです(画像/MWS)。








2014年7月26日


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この春から夏にかけて,小保方さんのことを聞かれることがたびたびあって,なんだかな〜と思っています。この問題については,最初にSTAP細胞の発表があったときから,その存在を直接疑いはしませんでしたが,うさんくささを感じていました。それは理研の発表のやり方があまりにも違和感があったので,大丈夫だろうか,という感じです。もしSTAP細胞が存在するのなら,その手法について,特許でガチガチに固めておくことは現在の競争社会では必須でしょう。ところが,話がぜんぜん特許の方にいかない。ネイチャーにのったとかのらないとか,そんなことは些細な問題のはずなのです。そもそも,ネイチャーは商業誌ですから,レフェリーがNOを出しても,編集チーフがOKを出せば,変な論文でも載ってしまう,そういう性格の雑誌です。ですので,ま,これは様子見だな,と思い,ニュースを追いかけることは全くしませんでした。バラエティー番組が何よりキライでテレビを持たない筆者にとっては,研究者のスキャンダルを追っかけるのもバカらしいと思ってしまうのです。

その後,いろいろな疑いが報道されるようになって,「そういう方向の話だったか」と,ますます関心がなくなりましたが,そのなかで決定的な印象を与えたのが,博士論文のイントロ部分(緒言)に大量のコピペが発覚したという報道です。

博士論文の緒言というのは,なぜこのような研究が必要なのか,著者の考えを述べる部分です。この分野でこれまでどのような研究が行われてきて何がわかっているのか,何が不明なのか。その不明な部分を明らかにすることが,その分野にどのように重要な貢献になるのか。そういったことを,自分が暖めてきた考えを,これまでの様々な研究を総括しながら述べるわけです。その,研究の動機に相当する大事な部分をコピペで済ませるというのは,全く考えられないことです。筆者にとっては,その「コピペ」の事実一つで,この人には学位は与えられるべきではなかったと判断するに十分です。

そういうわけで,出先などで小保方さん問題を聞かれたときには,

「彼女は変わった人だね」

「サイエンスや研究を深く愛しているようには見えないね」

「有名になろうとか,別の考えで動いているのかも」

「そう考える根拠は,博士論文のイントロに大量のコピペを使っているから」

「嬉々として自分の言葉で研究内容を語れないようなら博士の資格はないよ」

と答えていました。早稲田大学が博士の剥奪はしないと決めたとき,このような教育機関から,このような人材が生まれてしまうんだなぁと心の中で失笑しました。きょうの報道によると,早稲田には,まともな教員も何人かおられるようで,少し(少しだけですよ)安堵しました。その報道発表のスクリーンショットがきょうの画像で,出典は こちら です(画像/ヤフーのスクリーンショット)。








2014年7月25日


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2014年仮説実験授業研究会夏の全国合宿研究会では,『ずかん プランクトン』も販売予定です。この本もひじょうに好評で,現在3刷となっています。近日中にフランス語版も出版されるとのことです。海外も認めた素晴らしい内容ですので,ぜひお手にとって確かめて頂きたく思います。本屋の店頭で買うよりも,少しだけでも安く販売できるように準備しています。2冊,3冊と購入して知人に配っても大喜びされるでしょう。どこから読んでもよく,つまみ食い的に,暇なときにパラパラとめくるのにも最適です。20冊限定の予定なので,お早めに販売コーナーにお立ち寄りください。なお,筆者は参加しません(画像/MWS)。








2014年7月24日


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2014年仮説実験授業研究会夏の全国合宿研究会では,今年も,小さな販売コーナーを用意致します。昨年大好評だった『分子デザインビーズ』を数量限定で販売しますので,ぜひお立ち寄りいただければと思います。この分子デザインビーズは,ビーズ職人さんと当サービスの共同開発品で,ほかのどこに行っても入手はできません。一つ一つ手作りなので途方もない手間のかかる品物です。ビーズはよくあるプラスチックなどは使わず,高品質のガラスビーズだけを用いています。オリジナルのデザインとともに,ひんやりとした手触りもお楽しみいただけます。

このほか,販売コーナーでは,『放散虫』を展示いたします。顕微鏡の視野に広がる,ガラス細工のような不思議な世界をご覧いただければ幸いです(画像/MWS)。








2014年7月23日


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学生時代に有害生物と応急処置法を勉強していたことは昨日書きましたが,そのときのテキストの一つがきょうの画像。書店でみかけて購入したものです。コンパクトな本の中に,有害生物,事故事例や処置法がたくさん記載されていて参考になりました。この本に書いてあるような情報はwebでも知ることができますが,書籍と比較すると時間がかかりすぎるように思います。やはり一冊まとまった内容を持っている本というのは有用です。久しぶりにぱらぱらみていたら,ハチのページから新聞の切り抜きが出てきました。この切り抜きには,一回刺されても,そのあと刺されなければ,ハチ毒による抗体は3年で消えるのでアレルギー反応の心配はなくなるというようなことが書いてあって,勉強になったので切り抜いておいたのでした。ハチは野外活動ではもっとも危険な生物といえるほどなので,いつも注意していました。アレルギー反応でひっくりかえって死んでしまっては困るので,山に行くときはハチ刺されの履歴を聞いたりしたものです。本ページの読者の皆様も,夏に野外活動をされることも多いでしょう。ぜひ,危険な生物や,事故時の応急処置法は勉強しておきましょう(画像/MWS)。








2014年7月22日


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知り合いさんが南京虫(トコジラミ)の液浸サンプルを持っていたので分けてもらいました。南京虫は近年増加傾向なのだそうで,主に外国旅行帰りや外国人観光客の方が国内に持ち込み,ホテルや自宅に居着いてしまうという移入経路が知られているそうです。海/山/川に人を連れて行くことがたびたびあったので,有害生物と応急処置法は学生時代からつねに勉強していましたが,南京虫については全く勉強した覚えがなく,ほとんど知識がありませんでした。もちろん実物を見たこともないので,液浸サンプルがあると聞いて,ぜひ見せてくださいとお願いして,少量だけもらってきました。

トコジラミという名前がついていますが,分類上はカメムシの仲間だそうで,実体顕微鏡でみると5mmくらいのカメムシそのものです。きょうの画像がそれで,ほとんど成虫に近いトコジラミです。昆虫に詳しい人は顔を見るとカメムシであることが一目でわかると思います。ふつうのカメムシと大きく異なる点は,薄っぺらいということでしょうか。かなりぺらぺらな感じがします。

このような虫が室内のどこかの隙間に潜んでいて,人が寝ると這いだしてきて,あちこち刺して吸血する。身の毛がよだつようなイヤな話しです。そのイヤな話が全国的に増加傾向なのだそうで,困ったことです。本ページの読者の皆さんは,ぜひとも南京虫(トコジラミ)の姿を覚えて,その生態をweb等で調べ,この虫を自宅で見ることのないように防衛してください。種々の体験談を読むと,一度発生してしまえば,その駆除は困難を極めるようです。世の中には,あらかじめ知っておけばよかったという知識がたくさんあって,南京虫(トコジラミ)についてもその一つと思いましたので本ページで紹介しました。

なおきょうの画像はTokina AT-X M90mm F2.5にMacro Extenderを装着して等倍撮影したものです。このカミソリマクロにエクステンダーをつけたものは,数ミリ程度の大きさのものを撮影するのに大変便利です。照明は電球色LED(オプトサプライ)で,背景はキムワイプです。簡易撮影で,追い込んだ絵ではないので,その点はご了承ください(画像/MWS)。








2014年7月21日


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20日は仮説実験授業全国大会で販売する分子デザインビーズの受け取りに東京郊外まで出向きました。夕方からまとまった雨となる天気予報でしたが,夕方に出かけるという強気の攻めです。そんな攻め方ができるのも,世界に誇る『東京アメッシュ』のおかげです。どこでも公共交通機関と徒歩+自転車で出かける筆者ですから,カサと合羽くらいは持参しましたが,それを使わない完全勝利を目指して行動します。じっさいのところ,ビーズ職人さんから製品の引き渡しをうけて説明を受けている後半頃から強めの雷雨となって,ザーザー降りです。そこで『東京アメッシュ』を見せてもらい,雲の動きを解析して,雨が止む時刻を予想します。そして予想通りに雨が止み,カサも合羽も使わずに,雨上がりの涼風のなか,きれいな空気を楽しみながら駅に向かうという贅沢な時間を過ごすことができました。こう書くと,そんなの当たり前じゃん,といわれてしまいそうですが,1980年代に,朝5時台の富士山レーダーの画像を見てその日の天気を予測して行動していた頃とは段違いの正確さで,中年オヤジとしては,大した時代になったものだと密かに感動し,東京アメッシュに感謝するのでした。画像はちょっと前の,なかなか見られないくらいの大雷雨のときのスクリーンショットです(画像/MWS)。



*1 それでも,富士山レーダーを見て自分で考えた天気予測の方が,いわゆる「天気予報」よりも当たっていた気がしています。それは特に低気圧や台風の移動速度に関して,天気予報が「16時頃にくる」というと「12時くらい」に来ることが多く,そういった経験的な非線形現象を考慮に入れていたからだと思っています。先日の台風も,都内の教育機関では午前中を中心にお休みになったところもあったのですが,筆者は前日の21時頃に教員に「台風どうなるの」と聞かれて,「まもなく通過,明日は朝から何ともない」と答え,じじつはその通りになってしまったのでした。これ,決して自慢でもなんでもありません。多くの人が感じていると思いますが,気象庁の大型計算機は,「台風が本州に上陸して速度を速める」という現象に対して,あまり精度がよくない感じがします。防災上は最大限の備えをした方がよいので,予測精度だけで善し悪しを決められないという側面もありますが。




2014年7月20日


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夕方からまとまった雨となった土曜日でしたので,何か土曜日らしいことをしようかと画像のコマを引っ張り出しました。某ブログによれば地球ゴマは科学少年のアイテムらしいのですが,筆者もこれとは40年くらい遊んでいるでしょうか…。先日,店先でNo.Eという初めて見るサイズのものを見てしまい,衝動買いとなりました。しかし動かしてみるとゴロゴロする。。

地球ゴマはゴロゴロしてはいかんのです。電車が滑らかに走るように,軸のブレがないことが大事なのです。軸を外して顕微鏡で見れば,なんと粗い削り落とし方。超硬チップか何かでバリバリと削ったそのままという感じなのです。しかも注油されていない。そこで軸を耐水ペーパーで滑らかに磨き,軸受けに研磨剤を詰めて組み立て,何度か回して共擂りをします。そのあとに洗って,グリスを詰め込み,軸を調整して,できることは終わりです。それでさっそく回してみると,ダメ…。地球ゴマは恐ろしく奥が深くて,これを完璧に滑らかにできた試しがありません。今回もダメもとでやってみたわけですが,やっぱしダメなのでした。こうして土曜日の夕刻は有意義に暮れていくのです。地球ゴマをより滑らかにしようとする人生は,そうでない人生よりもきっと有意義なのです(画像/MWS)。



*1 世の中にはさらに追求している人がいて,地球ゴマのベアリング化という大技を紹介しているwebサイトもあったりします。まったく感心します。




2014年7月19日


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18日は編集者との打ち合わせ,そのあとは研究者との研究交流となり,お客様と有意義な時間を過ごすこととなりました。いろいろなお話しを伺うことができて楽しい上に,皆様,何かしら面白いものを持ってきてくださるので,有り難いこと。きょうの画像は編集者さんからお土産に頂いた本,「月のかがく」です。

主に児童向けですが,じつに素晴らしい出来映えです。何が素晴らしいかといえば,この本は,「余韻」を楽しむように作られていること。薄い冊子の写真集のような本で,写真についている解説もわずかです。そんな本でありながら,じつに内容が「濃い」のです。こういう本の作り方もあるんだと,大変勉強になりました。読者は写真から想像の世界に引き込まれます。きっと子どもたちは月について豊富なイメージを持つようになることでしょう。学級文庫に最適で,学校の先生方,小学生のお子様には特に推奨いたします(画像/MWS)。



*1 帯に印刷されている月食は,2011年の話です。お間違えなきよう。




2014年7月18日


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放散虫も珪藻も,どちらも非晶質のケイ酸でできていますが,構造はだいぶ異なる感じがします。珪藻の場合は,網目構造が見えたとしても,見た目通りの網目になっていることは少なく,その網目の中にもケイ酸質の細かい構造があります。電子顕微鏡で観察すると,外界側の開口部はごくごく小さなものです。ところが放散虫では,網目構造に見えるものが,そのまま網目になっていることもしばしばです。たとえばきょうの画像に示す放散虫でも,このあみあみ構造は実際に貫通していて,網目そのものです。珪藻がマニアックに微細構造を作る進化を続けたのに対して,放散虫は立体構造の多様性をマニアックに追求しているかのようです。

この構造上の違いから重要な結論が導かれます。それは,珪藻が高NA対物レンズを要求するのに対して,放散虫はむしろ低NA対物レンズとも相性がよいということです(笑)。つまり両者ともに,顕微鏡のお供に最適というわけです(画像/MWS)。








2014年7月17日


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暑いとどうしても部屋の換気をする機会が増えることとなります。換気をすると空気が動くので,珪藻や放散虫を拾ったり封じたりという操作が一切できなくなります。換気の影響は数時間後でも残っていて,換気によって取り入れてしまった粒子が時間をかけて落下してきます。今年とくに困っているのが油球です。どこかで発生している油煙がとんできます。これが珪藻や放散虫の原料や,拾い出した在庫に降りかかるのですからたまりません。ガラスの基盤上に,数μm程度の油が落ちてくるのです。

この油をそのままにしておくと珪藻を汚してしまいますから,拭き取らないといけません。といっても数μmをワイピングするのは至難です。珪藻の破片で平面性のよいものを探し出して,それを毛先で操作して,ガラス基盤上の油を吸わせます。粘性の低い油の場合は珪藻でけっこう拭き取れます。粘性の高い油の場合はそこに適当なサイズの壊れた珪藻をかぶせて汚れがそれ以上広がらないようにします。完璧なものを作ろうとすると,マイクロメートルの拭き技術も必要になってくるのです。

油球はどこから発生しているのかよくわかりませんが,ブルーインパルスの「スモークオン!」も機械油の霧ですし,タバコの煙にも大量の油球が入っていますし,フライパンから立ち上る煙も油の粒です。自動車からも排出されているでしょうし,とにかくどこにでも存在するので,排除するのがむずかしく,じつに困ったことになっています。きょうの画像はそういった災難をかいくぐって封入された放散虫。二枚の画像を合成しています。油汚れもなく,自然が生み出した完璧なスタイルが拝めます(画像/MWS)。








2014年7月16日


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虹の写真をとるときに持っているレンズはたいていズームばかりで,広角も中途半端で望遠も不足してばかりで,なかなか狙ったような絵にはなりません。たまたま先日出た虹では,Nikon1にトキナーのAT-X M90mmマクロをつけて撮影ができました。35mmフィルムカメラ換算で243mm相当になります。それで撮影したのがきょうの画像で,コントラストなどを調整していますがトリミングはしていません。画角は約10度くらいです。この絵を見る限り,虹のアップを撮るには200mm〜300mmのレンズが良さそうですね。意外に望遠が必要なんですね。なお手持ち機材での画角を正確に知りたい方は

こちら

で計算してみるとよいかもしれません(画像/MWS)。








2014年7月15日


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これはヨコエビの巣。潮下帯に生えている海藻の基部付近でよくみかけます。大きなコロニーになっていて,この泥の塊のようなものに穴がいくつもあいていて,そこにヨコエビが潜っています。巣の材料はいろいろですが,大きめの珪藻サイズの粒子がたくさん入っています。珪藻が出てくることもあれば,有孔虫が出てくることもあります。手頃な材料なら何でも利用している感じです。そこで,珪藻や有孔虫をねらってサンプリングする代わりに,ヨコエビの巣を採取すれば,ヨコエビが集めてくれた珪藻や有孔虫などが入手できるというわけです。もっとも,そんなうまい話ばかりではなく,処理してみてもゴミばかりという感じのこともありますが…。こうした試みを行うと,「ふーん,ここにはこんなものもいたのか」という発見をすることもあるので,バイオミネラル収集の一環として,やらないわけにもいかないのです(画像/MWS)。








2014年7月14日


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13日は三浦半島方面にサンプリングでした。昼間の大潮(干潮)も終盤なので,寝不足の体にむち打って出掛けました。潮位予報ではそんなに大きくは引かないはずだったのですが現場についてみてびっくり。どうみても予報より-15〜20cmは引いていて,異常な潮位です。予報通りなら,画像一枚目の左端のコンクリートブロック付近に水面がきているはずなのです。こういうことがあるから,無理してでもサンプリングに行く価値があるというものです。これまで海底だったところでサンプリングできるわけですからね。で,今回はバイオミネラル原料の調達で,主に炭酸カルシウム関係が欲しかったので,岩盤に積もった泥と,紅藻に付着した汚れと,紅藻に作られているヨコエビの巣を採取しました。

帰宅して,少し離れていますが,油壺の潮位偏差をみてみると,確かに十数センチはマイナスになっています。現場で感じたとおりで,異常潮位になっていたわけです。たぶんこの原因は,台風通過後の連続した風により吹送流が起こり,岸近くの水が沖に持ち去られたのではないかと推測します。こういった,予期せぬ現象が時々あるので,海というのはなかなか面白いものです。潮位偏差は戻りつつあるので,14日のサンプリングは中止の方向ですね。前日よりも20cmもあがった海面をみて,途方に暮れることになるからです(画像/MWS)。








2014年7月13日


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台風一過の夕方に虹が出現しました。いつも注意してみていますがずいぶん久しぶりの虹で久々の撮影です。Nikon1には,ピントが合わないとシャッターがおりないという素晴らしいクソ機能がついていて,虹に向けたらシャッターが押せずに,ぶん投げようかと思いました…。急いでMFに切り替え,無限遠にピントを合わせて撮影しましたが,虹の撮影というのは秒単位で変化があるので一刻を争うのです。どんなときでもシャッターが押せるカメラがいいですよね。

一枚目の画像は,この虹の画像をコントラスト強調して,ガウスぼかしをかけて,等倍で切り出したものです。二年ぶりに主虹の構造をとらえることができました。この虹,日没直前にも再び出現し,主虹の内側が紅く染まるという珍しい現象を見ることもできました(画像二枚目)。虹の撮影や表現はむずかしく,これからも何度でもトライしたいと思います(画像/MWS)。








2014年7月12日


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プランクトン観察の場面では,スライドグラスに一滴の,なまの水試料をたらして,そこにカバーグラスをかけて検鏡するというのがごく普通の方法でしょう。このようにすれば,生きている様々な原生生物やバクテリアなどを観察できます。菌類(きのこ)の検鏡などでも,薄く切った切片を水で封入して検鏡したり,カバーグラスに落とした胞子を水で封入したりすることは普通でしょう。しかし光学的には困ったことがあります。通常の対物レンズは,物体が屈折率1.5程度の封入剤で封入されていることを前提に設計されているのです。そして要求されるカバーグラスの厚さは0.17mmと決められています。水の屈折率は1.33程度ですから,その中に物体が存在していると,レンズの設計条件から外れてしまい像が悪化するのです。

実際の像の悪化は対物レンズの開口数と水の厚みによって決まります。開口数が0.65程度までなら,ふつうに検鏡していてもそれほど大きな問題を感じないでしょう。開口数0.8になってくると水膜の底に沈んでいる物体は目に見えてコントラストが低下しているのがわかります。開口数0.95のプランアポクロマートを使えば,どれほど補正環を調節しても,かなり霞んだ像になり,しぶしぶコンデンサをきつく絞り込まねばならないことになります。そして油浸対物レンズになるともっとシビアになり,水膜の厚さが数十μm程度でも目に見えて像が悪化します。対物開口数の1/3程度までコンデンサを絞り込むことすらあるでしょう。

では水で封入された物体を理想的な条件で検鏡するためのレンズはないの? という問いに対する答えがきょうの画像です。画像一枚目は現在も流通しているもの。画像二枚目は有限鏡筒長時代の品物です。どちらも,右側のレンズが「水試料にカバーグラスをかけたもの」に対して収差補正されています。これらのレンズはカバーグラスとレンズの間も蒸留水で連絡します。カバーグラス(使用)水浸対物レンズと筆者は呼んでいます。これらのレンズでは,浸液と試料の屈折率が1.33付近,その間に屈折率1.52の平行平面ガラスが挟まります。このガラスの厚さにより球面収差が発生して像がかすむので,補正環がついています。最良のコントラストになるように調節して使います。

画像の左側に写っているのはマルチイマージョン(多重液浸)と呼ばれる種類のレンズです。浸液として,水,グリセリン,オイルが使えます。それぞれの浸液で球面収差が最小になるように補正環を操作します。開口数もそれほど大きくないので,水で封入した物体でも良好に観察できます。このレンズはカバーグラス水浸対物レンズを使用中に,より低倍率で撮影を行いたい場合などに必要になります。物体を見失ったときにも有効です。

こういったレンズを使用することにより,光学的により理想に近づいた像になることが期待されます。ただネックになるのが価格です。画像一枚目の2本を入手するだけでも,ニコンDf4台分くらいにはなるでしょうか。気軽に購入できるものではありません。加えて,これら無限遠補正系のレンズが使える鏡基が必要です。これも低価格のものは少ない上に,鏡基の基本設計が手抜きのものが多く,せっかくのレンズの性能を出し切れないような照明系のものもあります。困ったことです。

水を使ってプレパラートを作り観察するというのは教育でも趣味でも世界中で行われている普通のことです。そして多くの研究者,観察家が,その条件で収差補正されている液浸対物レンズを望んでいます。このような状況が長く続いているので,カバーグラス水浸対物レンズで安価なものを,どこかのメーカーさんが開発してくれないかと思っています。補正環は省略してもいいでしょう。その代わりに厚さをそろえたカバーグラスを供給すれば済むことです。ニコンやオリンパスが作ってくれないのなら,板橋光学村やビクセンさん辺りの技術力で低価格(といっても数万円はしても良いと思います)のレンズを作ってくれるとうれしいのですが…(画像/MWS)。



*1 むかしロモ(LOMO)が安価な水封観察用の水浸対物レンズを供給していましたが,あまりにもむかしの話で,相当に古い中古品がたまに見つかるくらいです。解決法にはなりません。

*2 もう一つの解決法は,水浸対物レンズを使うことです。こちらはカバーグラスを用いずに,レンズ先端を試料に浸して使うものです。この水浸対物レンズには二つの種類があって,一つはレンズの第一面が水に浸かるもの。こちらは開口数が大きく,WDも大きく,像も良いのです。もう一つは,LWD乾燥系レンズにプロテクトガラスをつけたもの。こちらは開口数も小さくて,使う意味が感じられません。これら水浸対物レンズの問題点は,試料をレンズでかき回してしまうということと,コンデンサの性能を犠牲にしないチャンバを自分で作らないといけないことです。やりようによっては良い観察システムが組めます。

*3 次善の策としては,倒立顕微鏡を使うことでしょうか。倒立顕微鏡で,カバーグラスを用いたチャンバを使えば,物体はそこに沈んでくれますから,カバーグラス直上に位置してくれます。厚みのあるものですと球面収差も大きいですが,珪藻のような薄い物体なら良好な像に近づきます。この場合,倒立顕微鏡はコンデンサの交換できるものであることが必要です。普及機のなかには,コンデンサを交換できないように固定しているものがあります。

*4 次の策は,手持ちの顕微鏡でふつうに水で封入して,油浸検鏡することです。このとき,カバーグラスとスライドグラスの水の厚みは,物体が潰れる寸前まで薄くします。こうすれば像質はいくぶんマシになります。蒸発により観察時間が制限されるので,24x50mmなどの大型カバーグラスを使用します。大型カバーグラスは高価なので,ヘビーに検鏡するとランニングコストがかかります。





2014年7月11日


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顕微鏡対物レンズの規格は,むかしは大半の顕微鏡が有限補正系の鏡筒長160mmだったのですが,ここ20年ほどですっかり無限遠補正系の規格に変わってしまいました。対物レンズを無限遠補正にすると,正しいピント位置ではレンズから出た光は平行光束に近くなり結像しないようになっています。そこに,無限遠にピントを合わせた望遠鏡(結像レンズ)を組み込めば,無事に像ができるわけです。顕微鏡対物レンズと望遠鏡(結像レンズ)の間は平行光束(に近い)ですから,そこに蛍光ユニットや落射ユニットなどの中間鏡筒をそのまま挟むことができ,倍率がかかってしまう補正レンズ系を必要としません。確かに便利です。

しかしながら有限補正系と無限遠補正のレンズで結像特性が大幅に変わるものでもありません。80年代から90年代に製作された有限補正系の対物レンズには非常に優秀なものが多く,無限遠補正系の対物レンズと比較しても見劣りしません。規格が変わることによって,これらのレンズが全て使えなくなるのはあまりにも不経済で,不合理です。

そこで(株)ニコンでは「対物変換アダプター」なるものを供給しています。これは有限補正系のCF対物,NCF対物レンズ(同焦点距離45mm)をCFI60(同焦点距離60mm)に変換するものです。きょうの画像がその一例で,左のレンズはCFI60システムの無限遠補正系のレンズ,右のレンズはNCFシステムの有限補正系対物レンズ(鏡筒長160mm)に「対物変換アダプター」を装着しています。これによって同焦点位置が揃い,無限遠補正系として使用できるというものです。

ニコンとしては,過去の製品をいつまでも使い続けられるよりも,無限遠補正系の対物レンズを購入してもらった方が良いでしょう。それにも関わらず,ユーザーの立場で考え,このような製品を供給してくれる。これはニコンFマウントを頑なに守ってきたニコンのDNAに通じるものがあるような気がしています。当サービスのユーザー様のなかには,ニコンの無限遠補正系の顕微鏡をお使いの方々がいらっしゃいます。そういった方々が,このアダプタを一個持っていれば,中古市場で比較的安価に入手できる有限補正系のレンズを使えることになります。情報として知っておいて損はないものと思います。消費税が8%に変わる前の定価は42,000円でした。少し高いと感じるかもしれませんが,これに対物レンズをねじ込むと,造りの良さに納得するかもしれません(画像/MWS)。



注) 一部の対物レンズは使えないとされています。手持ちのレンズとの適合を知りたい人は販売店等に聞いてみるのが良いでしょう。




2014年7月10日


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放散虫を封じるにあたって難しいことはたくさんあるのですが,その一つは厚く封じなければならないということです。大きなものは厚みが0.2ミリメートルくらいはあるので,それ以上の厚みで封入剤を盛らないと,壊れてしまいます。封入剤というのは,どんなものでも,液体から固体になるにしたがって収縮しますので,余裕をみて厚盛りしておかないと,封入操作時には大丈夫でも,プレパラートができあがって喜んで検鏡してみると砕け散った放散虫が見つかったりして,厭世的になって旅にでも出たくなります…。

また,封入時に収縮するということは,圧縮の力がはたらくと言うことです。このとき,放散虫の大きさなどによっては,力のかかり具合が異なってしまい,放散虫の周囲を取り囲むように応力が集中して弱い偏光性が現れることもあります。偏光検鏡や微分干渉法による検鏡では好ましくないので,歪みなしに封じる工夫もしなければなりません。こういった諸注意は珪藻封入でも行ってきましたが,放散虫では封入が格段に厚いので対策が大変になります。まったく何て世界に入り込んだんだーと思っても後の祭り。やり始めたらやらニャーなりません。

画像は厚盛りで封じた放散虫で,Tetrapyleの仲間のように見えます。微分干渉法によるバックのグラデーションをみればわかるように,歪みは生じていません。そろりそろりと力を逃がしながら封じた結果かもしれません(画像/MWS)。








2014年7月9日


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放散虫は球形近似できるような形のものが多いので,顕微鏡で見るとピントが一部にしか合いません。画像表現として被写界深度のある絵を作りたいときには,低開口数の対物レンズの高倍率の投影レンズを用いるか,あるいは全焦点画像を作るのが一般的だろうと思います。ところできょうの画像,どちらもワンショットの微分干渉像です。同一の個体を写していて,用いている対物レンズもコンデンサ絞りも画像処理もみな同じです。にも関わらず,最初の画像はピントが深く,あとの画像はピントが浅いですね。こういうことができる秘密は次のリンク先で明らかになります。

なんちゃってリアルタイム深度合成 −牛肝菌研究所

この方法は人力でやるかぎりにおいて再現性に若干の問題があるにしても,なかなか強力な方法です。画像処理で何枚も積み上げると時間がかかる上に,不自然なノイズが現れたりして難しいものがあります。しかしこのNRS法(と呼ばせていただきます)では,一秒で数枚積み上げるような効果が出る上に,きょうの画像一枚目をご覧頂いてもわかるように,不自然なノイズも出てこないという強みがあります。何度もやれば良い絵が得られて,それは結局,画像処理による深度合成よりも効率的なこともあるかもしれません。微分干渉法とNRS法の相性はよいようです。連続送りで像のコントラストが落ちるので,得られた画像に対してヒストグラムを引き延ばしてやります。そうすれば,ピントのあった部分がコントラスト高く浮き上がるようになります。

上で紹介したサイトは当サービスでも当初からリンクさせていただいていますが,情報満載,あふれる工夫と深い学識を感じさせる内容で,達人の領域に到達する人は,そもそも心構えからして何かが違うのではと思ったりもしています。ぜひご参照下さい(画像/MWS)。



*1 もちろん,研究などで使う画像データであれば,多数枚撮影の連続焦点像を得ておくべきです。NRS法は,定性的に全体の見取り図が欲しいような場面で役立つことと思います。




2014年7月8日


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放散虫の中には殻がとても薄いものもいて,封入するとコントラストが出ないこともあります。もちろん位相差や偏斜照明を駆使する本ページの読者には何ら問題なく観察できるものですが,明視野での絵を出そうとすると,どうしても画像処理をして見やすくしたい欲求に駆られます。きょうの画像はその極端な一例です。うすーく霞んだ放散虫を,二値化して構造を表現しています。バックにムラのない照明ができれば,二値化はけっこううまくいきます。こんな格好のガラス細工が海の底に沈んでいる…。大自然というのは本当に素敵です(画像/MWS)。








2014年7月7日


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コロッケは筆者の天敵で,これまで何度,苦しめられたことかわかりません。うまそうなコロッケパンをパクついたあとに,お腹に鈍痛が発生して低空飛行の時間を過ごしたことなど,何度もあります。それで学習して,20代の後半頃にはほとんど食べなくなり,30代で食べたコロッケは数個くらいでしょうか。その後コロッケを食べた記憶がないまま過ごしましたが,先日,家人がコロッケ食べたいというので,画像のコロッケを購入しました…。

このコロッケはGIGAZINE編集部が絶賛していたので何となく覚えていたのです。近所のスーパーのコロッケは全滅で,少し遠い坂の途中にある有名なコロッケも一個でノックアウトされる筆者のお腹ですから,コンビニのコロッケなど食べたことがなく,それどころかコンビニの揚げ物は食べた記憶がありません。ですから挑戦には相当な勇気を必要としました(笑)。結果は,ギガジン流に言えば「コレは十分にアリ」という感じでしょうか。好みがありますが味も十分においしいし,お腹が文句を言わない。食べた感じでは,油で揚げていないコロッケという気がしました。ひょっとすると,「揚げずにフライ!」を使っているのかもしれません。

ということでよい物を国内から紹介している本ページで,ついにコンビニのコロッケを紹介する日がやってきてしまいました。これは果たして良いことなのか複雑な気分もありますが,まぁ夏でもありますし,たまにはビールにコロッケという感じの休日の午後があってもよいかと(画像/MWS)。



(追記) ここまで書いて,n=1で紹介するのも何かと思い,もう一個試してみました。少しお腹が重いような……気のせいか?(笑)。でも,ノックアウト級ではないですね。お腹が丈夫な人なら何の心配もなさそうです。




2014年7月6日


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今年は梅雨らしい天気が続いて,よいですね。暑くもなく,空気がきれいになって,放散虫と戯れるにも悪くない感じです。適度に湿り気があると,拭きがうまくいくことが多いので,カバーグラスをまとめて拭いたりもしています。雨が続いて湿気が増えると,レンズペーパーやキムワイプが湿ってきて柔らかくなるのがわかります。この状態で乾拭きをすると,紙のコシと拭き取り性と静電気発生のバランスがちょうどよい感じで,通常よりも少ない枚数でガラス面がきれいになります。カビの発生という面からは,レンズにはよろしくない季節ですが,ガラス面のワイピングにはやりやすい時期でもあります。

そうしたちまちました作業で一日を過ごすと頭の芯が本当に疲れるのですけど,今年の梅雨は夕方に小止みになることが多く,そこでニコワン散歩をしてリフレッシュすることにしています。筆者は山猿だったので,都会に暮らしてビルに囲まれているだけで憂鬱な気分になります。そこにクルマや工事現場の騒音が加わればなおさらです。そこでニコワン散歩は,なるべく裏通りを選んで,視界にビルが入らないようなところを選んで歩きます。そうすると,不思議ですけど,出発したときとは違う気分で戻ってくることができるのです(画像/MWS)。








2014年7月5日


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くる日もくる日も放散虫と戯れています。放散虫プレパラートの供給はながねんの課題でしたから,集中的に取り組んで何とか解決するつもりです。放散虫と過ごす日も3ヶ月くらいになってくると,何となく,なんとかなりそうだという気がしてくるから不思議です。海底堆積物や珪藻土などから大量の珪藻を捨てて放散虫を濃縮すれば,Jシリーズとして供給するだけの個体を確保できそうです。しかしそれにしても,放散虫は歩留まりが悪いですね。珪藻なら山のように積み上げて探せば,よい被殻をそれなりの数あつめることができますが,放散虫は保存状態も悪い物が多く,もともと数が少ないので,在庫を作るのに多大な時間がかかります。非現実的な作業量になっては困るので,なんとかしてよい試料を作る方法を探しています(画像/MWS)。








2014年7月4日


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待ち遠しい夏休みが近づいてきたので,ここで,『小さな生き物けんさくブック』を再度紹介いたしましょう。というのも,この本がある夏休みの方が,先生にとっても子どもにとっても良いに決まっているからです(笑)。このようなひじょうに優れたテキストが販売されているのに,それを知っていても利用しないというのは,もったいないことだと思います。たくさんの人が,多くの知識と経験と時間を注ぎ込んで,こんなに素敵なテキストを『製作してくれた』のです。それを『喜んで利用』しなければ,仕事は無駄になり,このような本が次に発行される可能性も下がってしまうことでしょう。よい物が世の中に出てきたら,ユーザーのわれわれはそれらを利用して,製作した方々の活動を支えなければ,世の中は回らず,つまらないものだらけになってしまいます。

ところで,この『小さな生き物けんさくブック』には,極小文字がどこかに印刷されていて,その隠し文字を探すのがひじょうに面白いのです。顕微鏡で見なければ読めないような極小文字は,軍事技術とも関係があったのですが,そんなことを思い出しながら,徐々に進行しているROGANという病も忘れて見入ってしまいます。

聞くところによると,この極小文字のアイデアは,印刷屋さんがその技術を紹介し,それを聞いた編集者が採用を思い立ち,編集委員会の学校の先生が各ページにちりばめて子どもが喜ぶようなものにしたということです。そして関係者の中には,そのようなことに対する反対意見もあったとのこと。このような面白い試みが実現するまで,関わった方々のポジティブなリレーがなかったら,アイデア止まりだったでしょう。一つのアイデアが採用されるということだけみても,綱渡りだなぁと感じます。

そういった関係者の工夫と情熱が詰まったこの本,学校の先生の自習用としても,子どもの自由研究用としても,パパママとお子様の自然観察教材としても,使い勝手がよいものかと思います。夏休みを前に,ぜひ一度現物を手にとってみてください(画像/MWS)。








2014年7月3日


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顕微鏡対物レンズの色々がわかるようになると,多くの人は,まず最高級レンズに目が向いて,それを何とかして入手しようとします。筆者もそうでした。大学院の頃に,生きている珪藻のネガカラー写真を撮影していて,色再現がよろしくないことに気がついたからです。運良くプランアポに研究費が使えた頃には博士課程の後半くらいでしたが,顕微鏡の勉強をしていた甲斐もあって,その写りに感激したものです。もちろん,博士論文の写真にはそのとき撮影した画像を使っています。写真屋さんにはうるさく注文して,ホワイトバランスを調整してもらったのも,今となっては懐かしい想い出です。

その後に自分の顕微鏡を入手して,レンズを揃え始めると,まずはプランアポシリーズを集めて,それからプラン対物やアクロマート,フルオールなど手当たり次第に集めていくことになります。その頃になると,レンズの個性のようなものも見えてきて,用途別に使いこなすようになっていたので,ますます,他のレンズも欲しいということになってしまいます。

顕微鏡対物レンズの分解能は,開口数で決まります。プランアポだろうがアクロマートだろうが,開口数が同じなら,解像限界は同じですから,同じように微細構造が見えます。当サイトの画像群を眺めて,高級なレンズを使っているから画像も綺麗なんだろうと思っている方々がいますが,コトはそう簡単ではありません。目的に応じて細かい使い分けをしているから画像がきれいなのです。

きょうの画像はその一例。厚みのある放散虫をモノクロでイメージングしたものですが,対物レンズはPlan 20x (0.50) 160/0.17を使っています。20倍対物レンズはNA=0.4からNA=0.8の間でたくさん所有していますが,物体の特性を見てレンズを選ぶと,超高級レンズよりも普及品の方がわかりやすい絵になったりするのです。こういった使い分けができるようになるには,珪藻や放散虫などの永久プレパラートを繰り返し何度でも検鏡して,何千枚とイメージングをしてみることです。いろいろな「気づき」が得られます(画像/MWS)。








2014年7月2日


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筆者がカメラ小僧だった30年前は,ちゃんとした写真が撮れるというのは一つの技術でした。重たい一眼レフと三脚と交換レンズを担いで歩いている人など,観光地でもなければ,まず見かけることはありませんでした。それが現在では,ほとんど全ての人々が何らかの形で撮像装置を持ち歩くということになっています。「写真」は特別なものではなくなり,誰でも風景や時間を切り取ることができるようになりました。このことは,それまで写すことが困難だった事象が記録として残る可能性がアップするということです。明治時代の写真記録がわずかしか残っていないように,意識的に切り取らないと,記録は残りません。むかしは,日常のどうでもいいようなことを撮影しようとはしませんでしたが,現代では,それこそどうでもいいようなことがどんどん記録されていきます。これは,後世にとっては,貴重な記録が残るという意味では良いことの気がします。

画像は,道ばたにいたハチ君。こういったものをフィルムカメラ時代に追いかけて撮影しようとしたひとは奇人の部類でしょう。でも,今なら誰も怪しみません。そしてNikon1の気軽さと1 Nikkor 18.5mm F1.8の高解像によって,手持ちのワンショットで記録が残せてしまうわけです(画像/MWS)。








2014年7月1日


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もう一年の半分が終わってしまったことに愕然としています。日々いろんなことに追われていると時間の経過も早いわけですけど,振り返って航跡を見れば,それなりの実りがあってしかるべきだと思っています。今年はそれがまだ少ない感じです…。ここまでのところ,都心は熱地獄というほどでもなく,特に夜は気温が下がってくれるので過ごしやすい日々が続いています。どうか,エルニーニョさん,たまには日本の夏を涼しくしてください,と願わずにはいられません(画像/MWS)。









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