本日の画像
ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。 日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します 【2015年】 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 2015年7月31日
これはEunotiaという珪藻。ユーノティアともエウノティアとも呼ばれています。淡水の湧水などでよく見られる珪藻で,うんと小さなものから大型のものまでいろいろです。よい試料を大量入手したことがなく,どこかで捕まえなければと思っている仲間でもあります。条線もけっこう細かいですが,そのなかにさらに細かい縦条線があって,高解像検鏡にも向いています。悪い試料はたくさん持っていますが,粘土鉱物などが抜けなくて,10年ものの試料を眺めてはビンに戻すといったこともやっていたりします。放散虫の場合は特定の種を得るために,試料の99.99%を捨ててしまうようなこともやりますが,珪藻でそういった分離を行うことは難しいので,持ってるのにどうにもならないといったことも生じます。汚い標本であればすぐにでもできるんですが…(画像/MWS)。 2015年7月30日
放散虫も封じにくいものですが,有孔虫に比べればだいぶマシです。きょうの画像の放散虫リクノカノマも,かなりの技術を要しますが,きちんと安定的に封じることができます。コイツはガラス質の厚い骨格で,輝きが素晴らしく,明視野でも,暗視野でも,偏斜でも,微分干渉でも抜群のコントラストで観察することができます。封入剤を選ぶ感じで,相性が悪いと脈理が出たり剥離が起きたりしますが,良好な封入剤では完璧な封入ができる感じでクリアなガラス質を拝むことができます。本種はきわめて希少なので普通は入手できない部類のものですが,当サービスでは,この放散虫を含む化石試料を大量に所有している上に,その化石試料から,この放散虫を取り出す技術を開発したので当面は供給できる条件が整った感じもしています。この放散虫を供給できるのは,おそらく,地球上では当サービスだけではないかと思います。時期のJシリーズでも供給できそうなので書き記す次第です(画像/MWS)。 2015年7月29日
放散虫スライドも大型化してくるとけっこうな面積になり,撮影がむずかしくなってきます。4倍対物レンズだとはみだしてしまい,2倍対物レンズだと小さ過ぎると感じることがあって,3倍対物レンズが欲しい今日この頃ですが,そんな都合のよいものはなかなかありません。。それで,縮小光学系的に,投影倍率を下げるようにして対応しています。きょうの画像は4倍対物レンズの後方に,ケンコーのクローズアップレンズを仕込んで縮小したもの。放散虫がたくさん並んだ姿がぎりぎり画面に収まっています。こういった工夫は鏡筒長の変化を伴うので,高NAでは像質の悪化をまねくのでほとんど無理ですが,NA=0.4以下くらいであれば多少のことは許容され,像質の悪化もほとんどみられません。ですから,正しくない使い方であることを理解した上で,像質の悪化が問題にならない程度の「間違っているともいえない使い方」を試してみる価値はあります(画像/MWS)。 2015年7月28日
久しぶりに有孔虫をいじっています。顕微鏡サイズの巻き貝,といった感じで,炭酸カルシウムの渦巻き状的な構造の殻を持っています。これの封入は困難の一言です。封入剤がとにかく入っていかないのです。溶剤を染み込ませてから入れれば入ることもありますが,それは溶剤が入っているだけで,封入剤とは簡単に置換されません。そして固化してみれば,そこに空洞ができたりします…。そんなわけで有孔虫はいつも次回以降の課題となったままです。大量入手も面倒で,拾い出しも相当困難です。炭酸カルシウムは濡れ性も悪いのでその点も封入作業を困難にします。できればJシリーズの技術で,いろいろなバイオミネラルを一枚のプレートに載せたいのですが,どうしても無理なら,有孔虫専用の封入方法を考えなければなりません。珪藻も放散虫も有孔虫も海綿骨針もフェオダリアも,似たようなサイズの微少な鉱物質ですが,取り扱い方法はどれも異なります。そこが難しくもあり,面白くもあるところです(画像/MWS)。 2015年7月27日
過去に太って体調を崩した経験から,健康を保つ上で,運動不足というのは食べ過ぎと同じくらい,危ないものだと認識しています。まあ太ったといっても,168cmで最大瞬間で64kgくらいでしたから,一般的には太ったとはいえないのでしょう。しかし20代前半くらいの体重は54kgくらいでしたから,そこから見れば太り過ぎだったのです。現在は56kg台に戻していて,まぁ悪くない感じです。食事の量を適量にして,食後に運動(さんぽ)しているのがけっこう効果があるように思っています。 2015年7月26日
放散虫は偏斜照明でも見映えがするので,偏斜照明専用の撮影システムを組んでみました。といっても大げさなものではなく,ニコンS型LED改造機に,CF対物レンズをつけて,アクロマートコンデンサの偏斜装置付きで,リレーレンズなしの直接焦点での撮像といった構成です。対物レンズは,同じ倍率のものでも低NAのものを選んで焦点深度を稼ぎ,偏斜装置の操作も,ピントが深くなり,コントラストが出て,質感もわかる微妙な位置を探して調整します。テスト撮影結果がきょうの画像で,画像処理は縮小のみです。ねらい通りの絵で,まあこれなら合格かな,という気もします。放散虫はでっかくて厚みがあるものが多いので,一枚撮りでこのような絵にするには,多少の工夫も必要です(画像/MWS)。 2015年7月25日
この放散虫は割と最近,新種記載されたもののように思います。筆者は国内の珪藻化石から取り出していますが,ひじょうに数が少なくて,通常の試料処理だとほとんど見つからない感じです。そこで,200mlの沈殿物を0.2mlにまで濃縮するような力業を行使しているのですが,それでようやく若干数だけ捕獲できる感じです。この濃縮という作業に引っかかってくる放散虫は,珍しい種であっても多数入手できる可能性がありますので,濃縮作業はやってみる甲斐があります。その一方で,それほど珍しくない放散虫でも,適切な濃縮方法が見つからない場合は,多数の個体を入手するのがむずかしくなったりします。こういった事情があるので,筆者の放散虫在庫には,けっこう希な種がある程度確保できていたり,普遍的な種が少なかったり,いろいろです。本当はたくさんの種を平均的に集めたいし,そうすれば多種類プレートも作りやすくなるのですが,そうは問屋がおろしません…。できれば解決したいですが,じつにむずかしい課題です(画像/MWS)。 2015年7月24日
1995年の7月頃,山野楽器のCD販売コーナーでこれを見つけて手に取り,能書きをよむと,「94年7月24日は日本におけるブルックナー演奏史上,特筆大書すべき日となった(宇野功芳)」との記述。宇野さんの推薦でずいぶんブルックナーを買った気もするけれども,どれも筆者とは,あと一歩のところで波長が合わない感じもしていて,このCDもどうなのかなと,いったんはその売り場を離れたのでした。生意気な若造だった筆者は,日本人指揮者の演奏でしかも大フィルという点でも,購入に踏み切れないと思いました。だいたい,朝比奈隆の演奏はそれまで一度も聴いたことがなく,彼の評判もまったく知りませんでした。しかし売り場を離れてみると,やっぱり気になり,4,500円もの大金を投じて,このCDを連れ帰ったのでした。 2015年7月23日
ここのところ,寝たんだか寝てないんだかという日々が続き,ただでさえ悪い筆者の脳みそがさらに劣化してきています。休息したからといって復活するわけでもありませんが,当面,休息モードでの営業とさせていただきます。メールへの返信や,発送作業は少し,反応が鈍くなるかもしれません。ご理解いただければと思います…。それにしても入眠困難というのは不思議な症状です。寝方がわからないのです。多くの方は暗い部屋で布団に横になれば寝られるらしいのですが,どうもうまくいきません。30分くらいで寝ついていることもありますが,2,3時間で目が覚めてしまい,すると今度は足むずむず症候群や,「足あつ」と呼んでいる足の裏が異常に熱くなる症状が絶好調になり,足を冷やしてみたり,うえに上げてみたり,体を冷やしてみたり,起きあがってみたりといろいろやるのですが不快なまま朝が来てしまいます。睡眠不足でも「眠気」がよわく,眠くて仕方がないという感じにはなりません。あくびも出ません。どうにも眠くて仕方がないという感じになるのは,ラーメン食べて電車に乗ったときです。どーも筆者の脳みその一部は,赤ん坊のまま停止していて,おまんま食べて抱っこしてゆらゆらしないと寝られないのかもしれません。そういう人は,ハンモックで寝るのいいのでしょうか? (画像/MWS)。 2015年7月22日
当サービスの珪藻プレパラートをお求めになったお客様からは,メールでのご連絡を中心にいろいろなご感想や画像などを頂戴しています。まことに有り難いことで,皆様がプレパラートを活用しておられることがわかると,ほっとします。きょうは木版画を楽しまれているという方から,素敵なお葉書を頂戴しました。こういうものをもらうと,何ともうれしくて,ついつい眺めてしまいますね。デザインの妙は,筆者だけが眺めるにはもったいないので,本ページでも紹介させていただきます。何ていうのか,珪藻で涼を呼ぶレイアウトになっているのですね。今日の東京は35゚C。暑くて忙しかった一日も,夕方のポストでこういうものを発見すると気分が違います(画像/MWS)。 2015年7月21日
梅雨も明けて暑くなると,ざるそばやそうめん,ひやむぎが美味しくなってきます。山ほど煮野菜を食したあとに,常温の水で洗った麺を食べるのが筆者流です。お腹を冷やすと良いことが何もないので,夏でも氷で冷やしたりはしません。だしつゆは,作り置きができないので,おでんなどを煮るとき以外は市販のものを使っていますが,どのメーカーのものも甘さがくどくて,ほとんど砂糖水です。調べてみればわかりますが,市販のほとんどのだしつゆは,原液状態では,コカコーラよりも糖度が高いのです。そして市販のだしつゆの糖度は,年々高くなっているのです。そんなもの,とても食べられません。我慢して食べていると,味覚が破壊されて慣れてしまいますので気をつけないといけません。 2015年7月20日
これは昨日の虹の反対側。こちらの方が明るい感じがします。日没時の虹でしたので,光源となる太陽光の波長成分が赤に偏っており,全体的に赤みの強い虹のようにも思います。もっと緑や青や紫色の強い虹を見てみたいのですが,そんな虹は洋上とか山の上で日中に出会うものなのかもしれません(画像/MWS)。 2015年7月19日
久しぶりに虹を見ました。日没直前のわずかな時間でしたが,久しぶりの大アーチでしたので早速ニコワンを持ち出しての撮影となりました。以前からやってみたいことの一つに,虹を高速連写して,その絵をコンポジットして,虹の微細構造を映し出すというのがありまして,トキナーマクロをつけての撮影となりました。画像二枚目は11枚のコンポジットで得た絵にコントラスト強調をかけています。虹は目で見たものとデジカメで撮影したものがまるで違って見えます。たぶん目は積算されたものをみていて,デジカメ写真は一瞬ですから,そこにS/N的な違いがあるのではと想像しています。特に夕暮れの虹で顕著です。本ページで紹介する画像は少しでも見た印象に近づけたいと思っています(画像/MWS)。 2015年7月18日
細かい作業がお休みの一週間は,寝不足でぼけた頭でひらすら実験作業を行っています。きょうの画像はそんな作業中にふと思いついて撮影した一コマ。今から10年以上前に封じたプレパラート中に発生した顆粒状の濁りです。珪藻用の高屈折率封入剤は保存中に濁るものが多く,封入条件が非常にシビアな気がしています。ヨーロッパなどで出回っているものでも,高屈折率の封入剤を使っているものは濁っているものが多く,比較的低屈折率のもので天然樹脂を使っているものは濁りが少ない印象があります。当サービスは常に「高品質」こそが皆様に喜ばれる第一条件と考えていますので,どこにも真似できないレベルの封入を目指しています。そうすると,実験的検討を行うことが「必然」になってくるのです(画像/MWS)。 2015年7月17日
Jシリーズ放散虫プレパラートは,まだ本格供給して間もないので,お手元にない方も多いことと思います。次回も供給できるように準備をすすめておりますが,ここのところの急な暑さで筆者の睡眠回路が壊れてしまい,細かい作業はいったんお休み状態になっています。きょうの画像は放散虫を並べたものにスケールを重ねてみたもの。これをみると,だいたい,数十μmから300μmくらいのサイズのものが多いようですね(もっと細かいものも並べられますが,おそらくは専門家以外に需要がないものと思いますので,基本的に特注としています)。数十μmから300μmという大きさは,光学顕微鏡の観察範囲としてちょうどよい感じです。放散虫は厚みもあってコントラストも高いものがいるので,透過明視野でばっちり見えますし,偏斜照明や暗視野で見るにも好適です(画像/MWS)。 2015年7月16日
当サービスの珪藻プレパラートは光学的な意味で高い品質のものとなっておりますので,鑑賞用途ばかりでなくテストプレパラートとしても使えます。じじつ多くの方々が当サービスのプレパラートを用いて顕微鏡対物レンズや撮影系のテストを行っています。顕微鏡のプロも当然使っていますが,きょうはお世話になっているグレンデルさんの記事を紹介します。 2015年7月15日
本ページでガラスカッターのことを書き記した翌日,家から一歩も出ずに,ネットでもお買い物もしていない筆者のもとに二種類のガラスカッターが転がり込んできました。ガラスカッターに足が生えて勝手にやってきたのです。まことに不思議なことですが,嬉しい不思議なら幾らあっても良い気がします。。早速使ってみると,13日付で掲載したオイルカッターと外観は変わらないにもかかわらず,切れ味は別次元です。スコアがするどく深く入るような感じで,ガラスを折るときに要する力が小さくてすみます。チップは片方が超硬っぽいもので(*1),もう一つは焼結ダイヤっぽいものです(*1)。後者の方がよく切れますが,前者の方が線がきれいなように見えます。ガラスカッターには詳しくありませんが,これらは薄板専用のものなのだろうと思います。 2015年7月14日
これはライカマイクロシステムズから供給されているダイヤモンドマーカーの先端。ダイヤモンドは透明なものが用いられており,三面を平面に研磨することにより,先端を,鈍角ながらも,エッジをきちんと出す設計となっています。こういった誠実さがライカマイクロシステムズだなぁと思わせる部分です。細部もしゃきーんとしているのです。 2015年7月13日
特注品のカバーグラスの品質が悪く歩留まりが半分程度なので最近は自分でカバーガラスを切っています。それで問題になるのがガラス切りです。筆者は思い返すに小学生の頃からガラスを切るのが苦手です。いまでは中年オヤジですが,苦手ですねえ。ガラスにスコアを入れるまではいいのです。問題はそのあとで,力のかけ方で,スコアとは別の方向に折れてしまうのです。きょうの画像には手持ちのガラス切りをいくつか載せていますが,カバーグラスを切るには,ERMAのマーカーの先端を使うのがいちばん歩留まりがいいのです。一方,いちばんきれいなスコアが入るのはオイルカッターです。しかしきれいに折れません。 2015年7月12日
これは当サービスで採用されている(笑)ご飯の再加熱方法。電子レンジで茶碗に入ったご飯を加熱すると,上面ばかり加熱されて底の部分の加熱が甘く,できあがりにムラが生じることがあります。あれは当サービスの調べによると(笑),マイクロウエーブがご飯の表面だけしか浸透しないからということになっています。つまり茶碗の中で起きていることは,ご飯の表面が温められ,そこで蒸気が発生し,その蒸気が容器全体を温め,マイクロウエーブが浸透しない部分を蒸しているいうことになります。蒸気が茶碗の上から逃げてしまえば底の部分は温まりません。ですからムラが生じるのはある意味当然です。解決策は,ごはんを薄く広く広げて,全体にマイクロウエーブが照射されるようにすることで,これはパックご飯などで採用されている方法です。 2015年7月11日
これは国外の珪藻化石から拾ったもの。種名は調べていないのでわかりません。まだ本ページに掲載していなかったと思うので登場してもらいました。ここのところ仕事が一気に降り注いできたようで心忙しいです。きょうはシンプルに画像だけの紹介です。 2015年7月10日
7月7日付けで掲載した放散虫は内部構造がありますので,これを一枚の絵にできないか考えていました。深度合成ソフトを使うのも手ですが,元画像が二枚なのでふつうの画像処理ソフトで十分です。細かい設定を変更するにはこちらの方が便利な側面もあります。できあがったのがきょうの画像です。内部が写っている絵と外側の殻が写っている絵を平均化し,得られた結果に対して,もう一度 内部が写っている絵を平均化します。平均化してしまうとコントラストが低下するので,まず,ガンマをプラスに振ってからヒストグラムを引き延ばしてコントラストをあげます。次にガンマを0.5くらいに振って適当なコントラストをつけます。処理が終われば縮小してアラを隠して,シャープフィルタを軽くかけます。こうした処理によって内部構造がある程度みえつつ,外側の殻も見える,ピントの深い絵ができあがりました。処理方法はいろいろあるので正解はないのだと思います。思いついたら試してみるのが,良い結果に辿り着く早道なのではないかと感じています(画像/MWS)。 2015年7月9日
会津特産のぜんまいは手順通りに戻しておきます。同じく会津特産のきくらげは,水で戻し,そのまま3分ほど茹でて冷ましておきます。もやしは湯通しして水を切っておきます。あとは,それぞれの材料を適当に切り,混ぜて,藻塩を振り,早煮昆布を少々加えてよく混ぜ,味がなじんだらごま油を垂らして和えます。あっさりとおいしいナムル風のできあがりです。 2015年7月8日
きのうの話とは反対に,暗視野検鏡は,背景が真っ暗で物体が光ります。するとカメラが背景も写るように露出をプラスに振ってしまい,物体の輝度は飽和してしまいます。デジタル画像では,飽和(255)してしまったら,そこにはもう情報は含まれていません。画像処理でも救済することはできません。それで,暗視野検鏡では,写って欲しい構造が輝度的に飽和していないことを確認する必要があります。この場合の露出補正は大抵マイナス側になります。露出アンダーの場合でも,輝度がゼロでなければそこには情報が残っていますので,画像処理などで救済することも可能ですし,多数枚撮影して,コンポジットしてS/Nを上げることも可能です。こうしたテクニックは本ページをご覧の皆様には周知の事実でしょうが,「こんな画像を撮影してみたい」という方も飛んできているかもしれないので,そういった方の参考になればと思います(画像/MWS)。 2015年7月7日
透過明視野検鏡は,光源を直視する配置になっていて,物体は基本的に光を透過するものが観察対象になります。これを簡単にいうと,半透明のものを逆光撮影している,ということです。ですから,カメラの露出は,物体にもよりますが,プラス側に補正するのが基本です。最近のデジタルカメラは自動露出でもなかなかよく写りますし,画像処理であとから救済することも可能ですが,科学写真として狙ったところをきちんと表現するには,やはり露出のコントロールは大切です。画像は放散虫の例ですが,内部構造などはどうしても暗くなりますので,そこを表現できているかを確認しつつ露出を決めてあげれば良いわけです(画像/MWS)。 2015年7月6日
ちょっと前に掲載した蚊のはねシリーズや,放散虫などは,どんな素晴らしい顕微鏡で撮影したのかーと思っている方もおられるかもしれません。その答えがきょうの画像です。これは筆者の研究成果が詰め込まれている,すばらしい顕微鏡なのです。画像に写っているのは観察用のシステムで,210mm鏡筒長の金属顕微鏡の対物レンズを用いて,表面検鏡用になっています。透過か,軸外落射で使います。ヘリコイドを外して延長筒をつけてカメラを装着すれば,写真専用の顕微鏡です。延長筒を外せば,160mm鏡筒長のレンズも使えるようになっています。もちろん,170mm鏡筒長もOKです。万能顕微鏡なのです。 2015年7月5日
この一週間はひじょうに運動不足でしたので,土曜日の午前は30分だけでもと,近所の公園にニコワン散歩をしました。これだけ雨が降ったので,30分一本勝負で,どれだけきのこが見つかるかという目的をもって,早歩きで運動不足解消です。予想はけっこう当たっていて,その気になって見れば,夏きのこがちらほらと顔を出しています。画像一枚目はイグチの仲間ですが,たぶん,アレです。バターで焼いてパスタに加えるとおいしいやつです。これが山なら連れて帰ったところです。。むかしは暇さえあれば裏山に入ってきのこ観察していたのですが,都区内に引っ越してからは身近な自然がなくなり,きのこ散歩がほとんどできないのがツライところです(画像/MWS)。 2015年7月4日
先月,珪藻スライドを納品してからはずっと放散虫を何とかしたいと思っています。前回のJシリーズでは,十分な数を供給できませんでしたし,微化石系の研究者にもまだ全然知られていません。この現状を打破して,光学的に世界最高水準の標本が国内にあるということを周知しないといけません。画像は,ここのところ拾い出しをしている珠洲市の珪藻土から見つけた放散虫。うまく割れていて,内部構造が見えるようになっています。放散虫は二重,三重の殻構造になっているので,内部が割れて中身がうまく見えるものは,かえって喜ばれます(画像/MWS)。 2015年7月3日
こんどは,ヒトスジシマカの羽。いわゆる「ヤブ蚊」と呼ばれているヤツです。ほんの小さな水たまりでも生きてゆけるので,竹藪とか,廃タイヤ置き場などには大発生します。人間を関知して攻撃する素早さは感心するほかはなく,先日,秋葉原で止まっているヒトスジシマカを認識しながら近づいたところ,筆者をみつけて刺すまでに4〜6秒ほどでした。もちろん,叩きつぶしましたが…。 2015年7月2日
これは,蚊の羽です。コガタアカイエカではないかと思います。羽の状態がひじょうによく,このようにきれいに封じられることは滅多にありません。落ちている蚊の羽は汚れていますし,手づかみで捕まえた蚊の羽は鱗粉が落ちることも多いです。この標本は,ある日の深夜に,顕微鏡カバーに止まっていた蚊を,輪ゴムで打ち落としたものです。輪ゴムが蚊の頭部を直撃し,ほかは無傷という奇跡的な現象が起き,夜中に実体顕微鏡を覗いて喜んだのでした。珪藻や放散虫の封入もむずかしいですが,蚊の羽もむずかしく,気泡が残ったり形が崩れたり,鱗粉が落ちたりします。乾燥マウントにすればコントラストも良く,いいのですが,それでは均質液浸系にできないので,鱗粉に存在するひじょうに微細な構造を検鏡できません。それで,アクリル系などの封入剤で運を天に任せながら封じてみるのです。 2015年7月1日
これは,貝形虫,オストラコーダ(Ostracoda)ともいい,和名ではカイミジンコという名前もあります。貝のような殻をもった甲殻類です。なかなか小さくて,大きい放散虫と似通ったサイズです。殻は炭酸カルシウムでできていて,化石となって残ります。古くからいる生物ですが,現在も水の中でふつうに生息しています。殻を封じてみたいと思ってからだいぶ経ちますが,ちょっとだけテスト封入してみたところ,なんとかなるような気もします。こういった厚みがあって変形しないものは,封入剤の収縮によって割れたりするので,Jシリーズとして作るのは,なかなかむずかしいのです(画像/MWS)。 Copyright (C) 2015 MWS MicroWorldServices All rights reserved. (無断複製・利用を禁じます) 本ページへの無断リンクは歓迎しています(^_^)/ トップに戻る |