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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
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2015年4月30日


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きょうの画像はプレウロシグマの一種で,主に干潟や沿岸に多い珪藻です。ARK-01に入っていたものを撮影していますが,ほかのプレパラートにも入っているものがあります。この珪藻は和名をメガネケイソウともいいますが,『顕微鏡のすべて』によると,これはレンズテストに使われていたからついた名前なのだそうです。この種では,約0.5μm付近の格子模様があって,これは上手な人なら40倍対物レンズのNA=0.65で容易に見えますから,レンズテストとしては簡単な部類です。しかしこれをNA=0.4とか0.5で解像とするなら,最高級のテクニックが必要になってくるかもしれません。良いレンズを買えばよくみえると思っている人が普通ですが,顕微鏡の場合は,それ以上に照明法や波長やプレパラートの状態などが大きく,かんたんにレンズテストなどといっていますが,実はパラメータの総合把握,判断能力を求められている作業であるのが実際のところです。こうした作業にも,珪藻はいつまでも不変の微細構造を見せてくれますので,安定して使うことができます(画像/MWS)。








2015年4月29日


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処理中の干潟の泥を検鏡していると,珍しい珪藻が見られます。フリッケア(Frickea)です。この珪藻はこれまで,東京湾や有明海の干潟試料で少数発見していましたが,まとまった数が出てきたことがありません。Jシリーズでもこれをマウントしたものは1,2枚しかありません。ARK-01には,たまに入っていますが,それでも,これまでに2,3枚くらいでしょうか。珪藻研究者でも,この実物を検鏡したことがないという人が多くいます。そのくらい入手困難なものですので,この試料はどうにかして,完璧な処理を施さねばなりません…。

ところで,この画像ですが,簡易顕微鏡で撮影しています。処理中の珪藻試料はひんぱんに検鏡するのですが,このときはスライドグラスに微量の界面活性剤をつけて,そこに試料を落とします。それで広がった試料面を,カバーグラスをかけずに走査します。簡易顕微鏡を使用するのは,サンプルを持って移動するのを避けるためで,ビーカーやピペットやホットプレートや濾過器や沈澱管などが並んでいるところに顕微鏡も置いておくのです。検鏡したあとは回収します。極端に希少な珪藻が発見されたときには,その場で,スライドグラス上から回収することもあります。こういった作業を行うときには,撮影用の簡易顕微鏡,観察用のSFR-Ke,手技用のSMZ-800,必要な場合は最終確認用のフルオフォト,と4台の顕微鏡を同時並行で使っています(画像/MWS)。








2015年4月28日


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干潟の泥を処理中です。猛烈に細かい泥で,有機物も多く,入荷時にはすでに腐敗が進行していたので,そのまま密封して嫌気性分解としました。分解が進んだところでアルカリと酸化剤を放り込み,珪藻を遊離させて,水で洗います。はじめは,生成したパイライトで真っ黒になっていて何も見えませんが,珪藻分画をあつめると,だんだんと珪藻の姿が見えてきます。Jシリーズに使えそうな珪藻がたくさん入っている,魅力的な試料です。これをどうにかして,完璧に洗い上げて,完全な珪藻被殻を収穫したいものです。この段階で見ると,簡単に処理できそうにも思えますが,ここから有機物の処理を行うと,フロックが分解してボロボロと細かい粒子が際限なく出てきて珪藻を汚します。干潟の試料は処理の難易度としても最高レベルなので,やりたくない作業の筆頭でもありますが,欲しい珪藻がたくさん入っているので,その意味ではなんとしても処理を完了させたいものでもあります。世の中むずかしいものです(画像/MWS)。








2015年4月27日


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26日は,たぶん今年に入ってはじめて,東京都内から脱出しました。宜しくないですね…。気晴らしに山歩きでもしたいところですが,そんな余裕はなさそうでしたので,ながねんの課題であった調味料の仕入れに出向いたというのが実際のところです。みそやしょうゆやだしつゆなどの調味料は地域性も豊富で,その土地ならではのものもあります。大都会東京は何でも手に入るといっても,じつは,現地に行かないと現物にお目にかかれないものというのはたくさんあります。それで読書時間の確保もかねて,緑のなかを歩きました。

いちばん時間的に近そうなお店屋さんは,山の方にあって,標高も300メートル以上あります。ちょうど新緑が見頃でしたので,お店屋さんに向かうまでの間,春山の風景を楽しみながら,わずかな時間のお散歩にもなったのでした。ふだん都会のごみごみとした物体ばかりを見ていると,山の小径に芽吹くすべてのものが美しく見え,脳みそが何を欲しがっているのかがわかったような気もしました。無事に買い物も済ませ,胃袋が何を欲しがっているかはわかっていたので,いつものラーメン屋でみそわかめとギョウザを食しての帰宅となりました…(画像/MWS)。








2015年4月26日


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ミクロワールドサービスは「本日の画像」の最初の日付が開業初日となっています。早いもので,ずいぶん時が過ぎました。こうして何年も同じような仕事をしていて嬉しいことは,開業当初からのお客様と,未だにお付き合いが続いていることです。おそらくは日本では初めての商売だったものと思いますから,海のものかも山のものかも分からないものを,お客様はお求めになったわけです。そしてそれを評価いただき,気に入っていただき,現在までお取引や情報交換などを頂いているというのは,商売冥利に尽きるといってもいいような気がします。

きょうの画像は,そのような,初期からのユーザー様から頂戴したものです。Jシリーズは照明法によっていろいろな姿を見せますが,明視野で絞り込むと発色する珪藻を,あえて暗視野でねらい,そしてふつうの暗視野コンデンサではまず,表現できない姿を写し止めています。この発色は独特で,おそらく開口数が可変の輪帯暗視野で,色のよいポイントを究明したのではないかと思います。こういった画像が送られてくると,スライドメーカー・マウンターの筆者としては,じつにうれしいのです。もとの画像は こちら をご参照下さい(画像/Jシリーズユーザー様)。








2015年4月25日


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都区内ではアミガサタケが顔を出しています。このきのこは,コンクリートジャングルの都会でも探せば見つかる貴重なものです。庭付き一戸建ての庭でアミガサタケを鑑賞しておられる方もいるようで,優雅でぜいたくな話です…。世の中の片隅の,隅っこの方に縮こまって生活している筆者としては,食後の運動に,若干の敗北感とともに,夜の公園まで出向いてアミガサタケ探しをするのがやっとのところです。でも,コイツを見つけると,春の重要な出来事をまた一つ確認した気がして,まもなく夏になるんだなぁと季節感をかんじたりもするのです。画像は,つい先ほど,カメラに収めたものです(画像/MWS)。








2015年4月24日


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画像一枚目はトリゴニウム(Trigonium)という珪藻です。和名はミスミケイソウということになっています。三角形の頂点のところに微細な孔のあいている部分があって,そこから粘液を出して連鎖群体を形成しています。この種もそれほど珍しいものではなく,やや穏やかな磯などで探せば見つかることが多いです。三角形のタイプと四角形のタイプがあって,後者の方が数が少いことが多いです(が,たまに逆転することもあります)。五角形のものもいるのですが,恐ろしく少なく,まだ2回しか見たことがありません。

撮影に用いた標本はMZR-02で,画像二枚目に示したように,沿岸性の大型珪藻がたくさん入っているものです。低倍率でも珪藻の立派な姿が拝めるので,初めて珪藻プレパラートを検鏡する方にお薦めしています。もちろん微細構造もあるので,カバーグラス直下の珪藻を選べば,油浸検鏡で迫力ある姿を見ることもできます(画像/MWS)。








2015年4月23日


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これはビドゥルフィア(Biddulphia)という珪藻。沿岸性の付着珪藻で,海藻や石などに連鎖群体を形成しています。それほど珍しいものではなく,やや穏やかな磯などで探せば見つかることが多いです。たまに,これの純度の高い群集に行き当たることもあって,一攫千金となりますが,たいていの場合は三角形のトリゴニウムやアラクノイディスクス(クモノスケイソウ)などとの混合物となっています。この珪藻は目玉のような部分から粘液を出して群体を形成しますが,人間の目から見ると,カニの顔のような感じがして,とてもこれが光合成を行う植物には見えませんね。この珪藻は,MZR-02に,少数ですが入っていることが多いです(画像/MWS)。








2015年4月22日


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これは当サービスの珪藻プレパラートACN-01を撮影したもの。クリアな視界に大量のアクナンテスが出現する希有な標本です。春先に,沿岸のサンプリングに出向いていて,2〜3リットルくらいの容量の小さな潮だまりが焦げ茶色になっていて,ひょっとするとこれは珪藻の群集かもしれないと,歯ブラシをかけて持ち帰ったものです。色の濃いぬるぬるの群集は珪藻以外のことも多いのですが,この試料はかなり純粋なアクナンテスで占められていて驚きました。通常,こんなアクナンテスの群集があれば,ヒザラガイなどが舐めて食べてしまうのです。

有機物処理を施して沈降分離しただけで,かなりきれいにできたので,この試料はJシリーズにも用いています。単独で並べることはもちろん,樹木デザインの「葉っぱ」に欠かせない珪藻なのです。あれ以来,純粋なアクナンテスの群集は,まだ見つけられていません(画像/MWS)。








2015年4月21日


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これは当サービスの珪藻プレパラート,リサーチグレードのSKK-01を撮影したもの。クリアな視界に大量のクチビルケイソウが出現する希有な標本です。当サービスでは開業当初から,数人の方々にサンプル採取などのご協力を賜ってきたのですが,この試料も顕微鏡の達人クラスの方が見つけたものです。珪藻の純度がきわめて高いものだったので,沈降分離するだけでひじょうにきれいな試料にできて,壮観な眺めになりました。このクチビルケイソウには0.5μmクラスの微細構造があるので,NA=0.65程度の対物レンズテスト用にも適しています。

ところで,画像二枚目には,左側に気泡らしきものが写っています。これは加熱封入操作中に生じた泡が,放冷しても消えずに残っているものです。封入温度を上げればあげるほど気泡が抜けにくくなるのですが,温度が高い方がプレパラートの品質はよくなるので,気泡の残存は許容しています。高品質の目印と思っていただければと思います。きょうの画像も撮影は簡易顕微鏡。きのうの撮影条件と同じです(画像/MWS)。








2015年4月20日


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これは当サービスの珪藻プレパラート,リサーチグレードのOTK-01を撮影したもの。大型のクチビルケイソウを精製し驚異的な純度と透明感を誇ります。このクチビルケイソウは大型でありながら,相当に細かい微細構造があるので,乾燥系から油浸系まで,開口数に応じた姿を見せます。つまり,乾燥系でも油浸系でも,この珪藻を用いてレンズテストも可能というわけです。先日も顕微鏡のプロ中のプロから,リサーチグレードで気軽に使えるレンズテスト用のものはないか? という問い合わせがあり,数点提示したのですが,そのプロが実視して選んだ一枚がOTK-01でした。

当サービスのプレパラートをレンズテストに用いると良いことがたくさんあるかと思います。何より,標本が光学的にひじょうに良い状態にあるので,理想的な条件でレンズテストができます。そして微細構造が選べるのも良い点です。さらには,撮影画像を当サービスに送付いただければ,その像について筆者が評価を下すことが可能な場合もあります。これがいい加減な標本だと,何が何だか判らなくなり,レンズが悪いのか標本が悪いのか,ほかの何かが悪いのか,原因究明が遠回りになってしまうこともあります。やはり,テストを行うときは標本の信頼性が絶対です。

ところで,そんなメリットとは別に,OTK-01やSKK-01などは,その澄み切った視野を漫然と眺めているだけで,なんか疲れが取れるような気がして,意味もなくぼーっと眺めてしまいます。河川のせせらぎや滝壺の水の泡,海の波や潮の流れはいつまでも見ていられるでしょう。珪藻も,それと同じ感じがします。観察というよりも風景という感じで,まるで展望台から遠景を見るように,顕微鏡下の世界を眺めてしまうのです(画像/MWS)。



*1 撮影は簡易顕微鏡。電球色LEDにLBDフィルタ。コンデンサの代わりに拡散板照明。レンズCF Plan 40 (0.65) 160/0.17で直接焦点。カメラはNikon1J2です。コンデンサすら使わない手抜きの画像ですが,標本と物体(珪藻)がひじょうに良いので,写りは抜群です。




2015年4月19日


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きのう海綿骨針を紹介しましたが,きょうの画像もたぶん,同系統のもの。これらの複雑な形状がガラス(ケイ酸)でできているというのは,どう考えても不思議です。ガラス職人はこういったものを作るのに,ガラスを高温で溶融して,吹いたり引き延ばしたり曲げたりして形を作っていくわけですが,生物は細胞の中でシリカ溶液を溜め込んで決まった形に固めて構造を作っているようです。ちょうどコンクリート建築みたいな感じですね。考えて作っているわけでもなく,進化の過程で形が決まってきたのでしょうが,人間から見れば,何か意味ありげな形に見えて,そこに意志の力が介在するように思えてなりません(画像/MWS)。








2015年4月18日


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海の底にはふしぎなものがいろいろ沈んでいます。このガラス管も海底に沈んでいたものです。太さは,1ミリの,数十分の1くらいで,目には見えない,顕微鏡で見るガラスの世界です。このガラス管は生物がつくったもので,ガラスの針(骨針)をつくるカイメンの遺骸です。成分は,かなり純粋なケイ酸で,海水にも溶けにくいので,ながく海底に残り,やがては化石になります。ガラス管ですから,もちろん中は空洞です。画像二枚目は,このガラス管の断面を撮影したものです。小さな孔があいているのがわかります。横から見ると孔が大きく見えますが,これはレンズ効果によって拡大されている面もありますし,肉厚の違いもあります。このガラス管は,珪藻土などの化石の中に多量に入っていることもありますし,海に行って,岩場などの海底の泥を持ち帰ってみるとたくさん入っていることもあります。これを知っている人は少ないと思いますけど,どこでもみつかる,ありふれたものでもあります(画像/MWS)。








2015年4月17日


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これは先週納品した一枚。多数の放散虫をマウントしています。新規試料から拾い出したものものせています。このくらいの種数になると,事前の準備が半端でなく時間も費やすので,価格は上昇します。しかしながらそれには条件があって,筆者の目で見てOKが出たものに限ります。画像の標本は,明視野で普通検鏡する限りは最上の出来映えですが,コンデンサを最小絞りにすれば歪みが見え,位相差でははっきりと見えてしまいます。筆者としては不合格品で,処分価格での納品となりました。ユーザー側から見れば,ほとんど瑕疵がないように見えて価格も安いのでお買い得ということになります。

この辺りの考え方はほんとうに難しいのですが,目指すレベルがはるか上である以上,妥協してはいけないのだと,いまは思っています。職人というのは技術の追求を何よりも重視します。「これでOK」と思える,目指すべき目標を持っているということは,製作者としては大事なことなのです(画像/MWS)。








2015年4月16日


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第6回ナチュラルヒストリーフォトコンテストの審査結果が発表となっています。

こちら

応募作品の半分ちょっとがマクロ的な視点で,あとは望遠が少し,標準レンズ的な画角が少しという感じでしょうか。マクロの対象を切り取る能力が,主題を明確にする上で有利に働いている気もします。応募作品数は,まだあまり多くないようですが,一つ一つみていくと,作品のレベルはけっこう高い感じがします。入選作品はもちろん素晴らしいですが,それ以外にも素敵な作品が多く,たとえばNo.2の作品など,河川の砂地のように見えますけど,自然光とは思えない不思議なライティングによって鮮明な絵になっていますし,No.15の視点は独特なものでしょう。No.14のアカモミタケは,煮物に放り込みたくなります…。

このコンテストは,今年も10〜11月頃に受付するでしょうから,皆様も自慢の作品を応募してみてはいかがでしょうか(画像/MWS)。








2015年4月15日


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これは先月,放散虫の間を歩いていたダニ。室内からダニを根絶することは不可能なので,ダニによる被害をどうしたら減らせるかを考えているのですが,名案がないような気もします。ダニが歩くだけなら,珪藻や放散虫在庫をまき散らすだけなので,まぁ,我慢もできることもあります。しかしダニは歩きながらフンをして,これが多少なりとも液体を含むので,珪藻や放散虫を汚すのです。そこが許し難いところであります。このダニもさっさとピックアップして,封入剤に沈めてしまいました。固めるのに時間がかかったせいか,脚を折りたたんでしまいましたが,比較的よい状態に封入できています。指先の指紋のような構造があって,コントラストも低いので,これは微分干渉向きの物体かもしれません(画像/MWS)。








2015年4月14日


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この花は今頃咲くんですね。ずいぶんと久しぶりに見た気がします。都内の道路脇に自生するはずはないので,誰かが植えたんでしょう。よいチョイスという感じがします。この花には花言葉があって,ひょっとすると日本全国のどこかには,筆者にむかって,その花言葉のようにお思いの方もいるかもしれません。。いないかもしれない。そんなことはどちらでもいいんです。筆者はきっと,その方々のことを,日々思い浮かべながら暮らしているのです(画像/MWS)。








2015年4月13日


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12日は穏やかな散歩日和でした。日頃の運動不足解消に少しだけ近所を歩き回りました。画像のカツラの木は定点観察中のもので,昨年4月にも本ページに登場しています。新緑の色がほかの草木と若干異なり,明るく鮮やかでお気に入りです。関東の低山を散歩していてもカツラはあまりみかけませんが,なぜか文京区の公園では見かけることが多いですね。昼過ぎの公園では,近所のわんちゃんもおさんぽ中で,キュートなお尻を披露していたのでした。わんこ好きにとっては,このお尻を見ながらリードに引っ張られ,おさんぽしてもらうのが,なかなか素敵な時間なんですね。うらやましい(画像/MWS)。








2015年4月12日


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この放散虫はボール型なのですけど,なんでこんな形のガラスの殻を作るのかと思うと不思議ですね。こういったボール型の放散虫は転がりやすいので封入には特別に気を遣います。あっと思ったら転がってしまい隣の放散虫とくっついてしまった…などということも普通に起こります。ですので,この放散虫を,ほかの放散虫が存在する谷間を動かすときなど,「寝ているネコのしっぽを引っ張って起こさずに移動する」くらいの気持ちで,極度の微速度で動かします。ほかにもむずかしい理由があって,封入剤というのは固まるときに縮むものなのですが,薄い殻の球状の放散虫は,硬化収縮に耐えられないものもいるようで,どこかにヒビが入ったりします。画像をよくみてください。ひび割れが見えるかと思います(画像/MWS)。



*1 観察眼の鋭い人なら,きょうの画像を見て何かに気づいたはずです。

*2 それは,この放散虫は,ピント面は平面でできているということです。完全な球状ではなくて,一カ所だけ平面の部分があるという,何とも不思議な形をしています。そこでマウントするときは,その平面な部分がカバーグラス面にくるようにしています。





2015年4月11日


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この放散虫も,昨日述べたように,くるくる回転させながら,写りが良さそうな向きで封入しています。頂点のトゲが良い感じで,かっちょええ放散虫です。画像はNCF Plan20x (0.50) 160/0.17によるものです。コンデンサの代わりに,拡散板照明を施しています。画像合成や減算などはしていなくて,一枚撮りです。それでここまで写るように封じてあるわけです。顕微鏡写真撮影では,撮影技術も重要ですが,まともな標本であることはもっと重要です(画像/MWS)。








2015年4月10日


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放散虫の封入方法は,まだとても確立されたとは言えない状態なので,新規試料や,しばらく間があいて封入するときなどはテスト封入を必ず行います。究極的に希少な,まだ一粒しか持っていないような個体を,いきなり封入することなど,とてもできません。先日から,今春に拾い上げた試料のテスト封入を続けていますが,課題が山積みな感じです。どうしても封入剤の均質な固化が起こらず,部分的に屈折率が異なるようで,原因追及の日々となりそうです。きょうの画像はテスト封入の後に,納品用に封じたもの。デリケートな放散虫が,きちんとピント深度の範囲で,こちらを向いています。これは偶然ではなく,撮影時にこのように写ることを念頭に置いて,放散虫が最もよく見えるように微妙に回転させながら向きを決めるのです。高いレベルの標本を製作しているわけですから,マウントされた放散虫を撮影すれば,過去に撮影された最良の画像に匹敵する絵が手軽に得られるようにしたいのです(画像/MWS)。








2015年4月9日


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ここのところ追いつめられたように作業が山積みになっています。「本日の画像」といいながら,「先日撮影した画像」をのせる毎日となっており,宜しくないなぁとも思っています。開業当初などは,4月はけっこう余裕があって,サンプリングに勤しみながらも良い息抜きになったものでした。今年はどうしたわけか,わっせわっせのフル回転です。

きょうの画像は,そんな忙しい毎日の合間に時間を費やしている試料。このごちゃごちゃとした山の中から,放散虫や珪藻を見つけて拾い出すわけです。この山で,全体の0.1〜1%くらいでしょうか。ひたすらかきわけてよい物を釣り出し,ガラスの上を転がしてみて傷などをチェックして,在庫にするわけです。誰に教えられたわけでもなく,自然に決まっていった作業ですが,筆者の性格からして,むやみに追求しすぎる傾向があり,人生の時間を山ほど消費しているような気もします…。しかし,この拾い出し作業が仕事の生命線でもあるので,無駄な時間ではないような気もするのです。良いんだか悪いんだかは,まだ,わかりません(画像/MWS)。








2015年4月8日


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このような,円錐形の放散虫で先端がとんがっているものは,なかなか取り扱いが難しいのです。この先端は40倍対物で内部を確認するようなサイズなのですが,もとの試料の段階では,しっかりと粘土鉱物等が詰まっていることが多く,泥まみれです。これを放散虫本来の姿に戻してあげたいのですが,汚れがなかなか落ちないのです。丈夫な構造であれば,超音波処理できれいにできる種もいるのですが,この円錐形は超音波処理を施すと,共振周波数の関係なのか,先端のとんがったところだけが「もげて」取れてしまいます…。大きければ試験管ブラシでも突っ込んでゴシゴシやりたくなるところですが,そうもいかず,処理加減の微妙なチューニングで回収率をあげるように努力しています(画像/MWS)。








2015年4月7日


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昨年は「放散虫の年」にしようと努力したわけですが,まだまだ供給数が少ないので,今年も継続的に放散虫標本を製作する予定です。新規の試料も処理を続けており,昨年同様に,クリアな放散虫をお届けできればと思っています。きょうの画像は先月から今月にかけて拾い出しを続けているもの。多様性があまりなく,時間的な効率が低いですが,特定の種は比較的大量に拾い出しが可能なようです。この春はこうした地道な作業が延々と続く見込みです(画像/MWS)。








2015年4月6日


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これは純度の高いクモノスケイソウの試料を処理して乾燥したもの。先月末から今月にかけての仕事の一つです。きれいに洗った殻が欲しいという要望はときどきあって,手持ちの試料でOKなときは応じています。きれいさの度合いが難しいところですが,基本的にJシリーズにそのまま使えるレベルで処理しています。完璧に洗浄できると,最後に水ですすいで乾燥させたとき,どこにもシミが見あたらず,乾燥させた珪藻がほっくりとほぐれます。そのようにして洗い上げた珪藻ですが,他の珪藻が混じっていることもありますし,鉱物粒子も存在しますので,完全な状態の被殻だけを分取して納品します。高度に専門的な作業ですが,ここまでやれば,そのまま研究材料等に使うこともできるので,依頼者にとっては当方に注文するメリットは大きいと思われます(画像/MWS)。








2015年4月5日


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子ども時代は山猿だったので,まさか都心暮らしの生活をするとは思ってもいませんでした。大学時代も,山から下りてきて都心に通い,一日往復4時間もの時間を費やしたほどです。下宿など考えもしませんでした。山猿には水と緑と土が必要だからです。それから時は過ぎ,実際に住んでみると,便利な面もあって助かってもいるのでした。

通勤するなら,ラッシュと逆方向になるので,それなりにやり過ごせます。何らかの専門店がどこかには存在しているので,ちょっと部品が必要だからと秋葉原に走り,ちょっと印刷用の特殊な用紙が足りないからと東急ハンズに歩いていき,といったことができるわけです。山猿時代であれば,秋葉原に出るだけで半日以上費やしてしまいます。サンプリングや学会出席などでも,新幹線はいつも飛び乗り。都内で開かれる会合も多く,参加も気軽です。そして驚くのは,顕微鏡関係者の方々は,都心にお住まいの方がけっこう多いのです。そういった方々と交流を深めるにも便利です。

しかし残念なこともあって,特に,緑が少ないことはよろしくありません。コンクリートに囲まれて一年中,クルマの音ばかり聞かされているというのが,まともな環境でないことは明白です。そこでたまには,公園へ出向いてベンチで一息,あるいは昼飯,などということもあるわけですが,これが結構,競争率が高かったりもするのです。きょうの画像は,そんな一息での一コマ。新緑の淡い美しさは,一年の中でもごくわずかの間だけです。今年は,気がついたら春が終わっていたなどということにならないように,気をつけたいと思っています(画像/MWS)。








2015年4月4日


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先月から今月にかけては,ひたすら試料処理と拾い出しを続けています。まだ昨年の宿題を片づけている段階で,サンプリングも学会もすべてパスして取り組んでいるのですが,まだ終わりが見えてきません。大丈夫なんだろうか…と不安がよぎります。

きょうの画像はそんな作業中に遭遇した謎の物体。微化石を掘り起こしていると,コレは何?と思うものに出くわすことがあります。ながねんやっていれば,たいていのものは見覚えがあって,大体の予想はつきますが,たまに,これは???と思うものもあります。分類が専門ではない筆者にとって,単なる絵合わせをすると間違った結論に行き着くだけです。専門家の意見を聞くことにしました。

その結果,この謎の物体はフェオダリア関係であることが明らかになりました。幸いなことに,フェオダリアを専門に研究している優秀な方を知っているので,何だか一安心な気もします。モノが何だかわかってしまばこちらのもの。拾い集めるのは「専門」ですから,きれいに洗った殻を種類ごとに集めて保管します。これを封じて検鏡したことはないので楽しみです(画像/MWS)。








2015年4月3日


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きょうはリコーのGX-8の画像を三枚と,Nikon1J1にTokina AT-X シリーズの90mmマクロレンズによる画像三枚の比較です。リコーの方はフルサイズで28mm相当の広角で,トキナーは243mm相当になります。ヒトの目は,遠近感的には85mmレンズ相当と言われますが,被写界深度については定義が難しく,画角は相当に広いでしょう。これらの特性を一度に満足するレンズというのは,あるのでしょうか?という気もします。

最初の画像3枚は,リコーによる作例ですが,とくに桜の描写には,経験的には『このカメラしかない』と思わせるほどです。28mmのワイド側に設定し,マクロボタンを押して,ぎりぎりまで桜に寄ります。それでパンフォーカス気味の絵が撮れれば,その絵が,桜の満開をよく表現しているように思えるのです(画像一枚目と三枚目)。遠近感も被写界深度も画角も,ヒトの目とは異なりますが,なぜか印象は,目で見たものに近いような気もします。

画像四枚目から六枚目はトキナーの90mmマクロによる絵ですが,背景はきれいにぼけて,対象が切り取られるように表現されています。これは対象に近寄って見たときの印象に近いとは思いますが,何かが違います。対象に近寄って見ると,肉眼の場合は,背景がもっときれいに消えているような印象があります。実際は目のレンズの方が短焦点で,近寄っても,これらの画像以上に背景の情報が入ってきているはずなのですが,脳が,対象に集中しているときは背景の情報を消しているように思えます。

ヒトの目は,注目していて見ている部分の画角は6度くらいだと,数十年前に本で読んだ記憶があります。すると,ヒトの目は,走査光学系として働いたときに広い視野が見えるということになりそうです。一方,ふつうのデジタルカメラは走査光学系ではありません。この違いが,印象の違いを生み出しているのかもしれません。広角レンズでぎりぎりまで物体に寄って細部を写し,しかもパンフォーカスにすると,目の走査光学系の機能を活かしたような絵になり,それで桜の満開が「それらしい」絵になるのかもしれません。単なる素人の想像ですが,そんな気がします(画像/MWS)。








2015年4月2日


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都区内では一斉に春の花が咲き始めた感じです。Tokina AT-X シリーズの90mmマクロレンズを持ち歩くのが実に楽しい感じです。きょう掲載した画像は縮小していますが,このマクロレンズは単体で1/2倍まで寄れるので,ピクセル等倍で鑑賞すると花粉が写っているのがわかります。野に咲く花を目で見て愛で,カメラの中に入れて持ち帰り,肉眼以上の情報をじっくり鑑賞できるのは素敵ですね。ぜひみなさまにも,マクロレンズをお薦めしたいところです。びっくりするほどよく写ります(画像/MWS)。








2015年4月1日


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都心の桜は満開になりました。31日は暖かな陽気で,最高の花見日和となりました。筆者も本当に久しぶりに息抜きに出かけ,近所の桜の下で昼ご飯にしました。せっかくの機会ですので,Nikon1J1にTokina AT-X M90mm F2.5 Macroを付けて,三脚担いでのお出かけです。桜は身近な存在ですが,きれいに写すのはなかなか難しいですね。少し風が吹けばぶれますし,透き通る花びらを表現する露出の範囲も難しいです。幹や枝のコントラストが高すぎて,背景を雑然とさせてしまうと作画的に見映えがしません。たくさんのことを考えながらトキナーのマクロを満開の花に向けたのでした(画像/MWS)。









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