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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
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新刊書のご案内
『たくさんのふしぎ2019年6月号 珪藻美術館 ちいさな・ちいさな・ガラスの世界』を出版しました!! 各方面から絶賛の声が届いております。本の紹介についてはこちら をご覧下さい。
2019年7月31日
『珪藻美術館 ちいさな・ちいさな・ガラスの世界(たくさんのふしぎ2019年6月号)』は出版社在庫が少なくなっています。アマゾンさんも在庫が少なく,もう一度出荷ができるか微妙な感じです。出版社さんの方で一度在庫切れになり,あまりの売れ行きに,流通漏れなどの本をかき集める努力をしていただきまして,それらの本を在庫登録していただきました。しかし限られた部数でしたので完全在庫切れが迫っています。
本書は夏休みにお子様にプレゼントするにも好適かと思われます。ご購入をお考えの方は早めにアマゾンさんや書店への注文をお願いいたします。
きょうの画像は珪藻たちとまつげの毛先。顕微鏡を覗きながらこの小さな珪藻を操作するのは本当に神経をすり減らすような作業です。特に夏場は気温が上がりすぎると熱中症の恐れがあるので空調を入れざるを得ません。そうなるとチリやホコリが舞いますので,作業はしばらくお休みになります(画像/MWS)。
2019年7月30日
放散虫は多重の殻をもつものがいて,封入剤などの浸透が悪いことがあります。表面張力の関係で,内部の殻で浸透が止まってしまい気泡が残ってしまいます。それは封入という面ではよろしくないのですが,でも観察という面では面白かったりします。きょうの画像がその一例で,三重の殻をもつ放散虫の二重の部分で浸透がとまってしまったもの。そのおかげで,中心部の殻の構造がこれ以上ないほど鮮明に見えています。観察法のヒントはいろんなところに転がっているのです(画像/MWS)。
2019年7月29日
microSDカードがお亡くなりになったかもしれない。昨日までなんともなかったものが,今晩になると認識しない。「フォーマットしますか?」などと聞いてくるのだけれども,そんなことできるわけないだろー,ワンウオーっと吠えたい気分。貴重な1000枚くらいの画像が消えてしまったのか…。しかもカードの不調に気づくきっかけが,画像のバックアップをしておこうかというタイミング。ふざけるなーという感じです。皆さん,こんな残念なことにならないようにバックアップはこまめにとりましょう(画像/MWS)。
2019年7月28日
大学院時代の可愛い後輩が雑誌に載ったというので買ってきた。泣く子も黙る『暮しの手帖』だ。初めて買った。彼女は海洋物理学の部屋にいたのだけれども記事は大学院の専門とは関係なく,料理についてだ。料理はいかにやり過ごすかが大事だという主張には全く違和感がない。記事にはご家族皆さん一緒の食事風景が写っているので,これは取材への準備や段取りがとてつもなく大変だったろうなと余計なことを考えつつ眺めてしまいました。と同時に,家族のある時期を切り取った一コマの写真をみて,将来この雑誌の記事がかけがえのない記念品になっていくのだろうな,などとも思ってしまいました。素敵なことですね。
『暮しの手帖』は,かつては商品テストの記事で有名だったもので,『焼いた食パン4万3千88枚』などの恐るべき企画などは現在でも語り継がれるところです。そういった噂話のレベルではよく知っている雑誌ではありましたが,じっくり手にとって読んでみたのは初めてです。驚きました。じつに内容が濃いのです。広告がなく,出版社のアイデンティティーに沿った記事の連続する200ページほどの紙面は,1050円の価値はじゅうぶんにあるものと感じられました。
こういった雑誌が十数万部発行され,今なお続いているということは出版不況の最中にある一点の光明のようにも思われます。良いものを支持している人々が存在していることの証だからです。そこに堂々と意見表明した記事を書いた後輩は,なかなかやるなぁと思ったりもするのです(画像/MWS)。
2019年7月27日
来月9日から東京・フジフィルム スクエアで写真展『放散虫』が開催されます(こちら)。放散虫で写真展をやってしまおうなどという突き抜けた考えをもつ人が世の中にいることにまずは感服します。そしてそれを実現しようと動く人がいることにも脱帽です。そしてほんとうにやっちゃうのですね。。
きっと多くの方々が,生まれて初めて,『放散虫』という物体に触れることになるのでしょう。素晴らしい企画かと思います。
ぜひみなさま,会場に足を運んで,写真鑑賞をするとともに,模型を見たり,顕微鏡を覗いてみたりして遊んでみて下さい(画像/MWS)。
2019年7月26日
ひじょうに珍しい本が出版されました。その名も「ほうさんちゅう」です。放散虫研究の第一人者の先生が,貴重な化石試料から取り出した放散虫を電子顕微鏡で撮影し,それらの画像がたくさん盛り込まれた対象年齢4才以上(!)の絵本です。放散虫単独で子ども向けの絵本というのは聞いたことがなく,ひょっとすると世界初?なのかしら。少なくとも日本初ではあるような気がします。
本書は読む絵本ではなく,走査型電子顕微鏡で得られた三次元構造が精密に再現された絵を『眺める』ものかと思います。文章としての情報量は少ないのに,ふしぎと眺めていられるのは,放散虫の多様性を微細構造とともに楽しむことができるからなのかもしれません。子ども向けのようなデザインですが,図版を眺めるものですので実のところは大人が娯楽に眺めるのが正解な気もします。
印刷にはかなりこだわっており電子顕微鏡画像でも奥行きの感じられるものとなっています。表紙は通常見かけない特殊な色で,何度デジタルカメラでホワイトバランスをマニュアル調整してもうまく再現できないところも面白いです。
現在アマゾンさんで販売中です(こちら)。
先日行われました博物ふぇすでも販売されましたが,とても人気があり,二日間で77冊が売れました。実際のところは,あまりの速度で売れるので二日目は予定で持ち込んだ本のほかに,スタッフが必死になってかき集めたものも販売したのですが早期完売してしまいました。十分な在庫があれば余裕で100冊は売れただろうとスタッフは嬉しい悲鳴状態でした。
全国の書店でも販売中ですので,子ども向けの絵本コーナーに立ち寄って,黄色とも山吹色ともつかない表紙のこの本を,ぜひお手にとってお確かめ下さい(画像/MWS)。
2019年7月25日
有孔虫は炭酸カルシウムでできていて,きょうの画像のような浮遊性有孔虫はけっこうな厚さの殻を持っているので,ひじょうに高いコントラストになります。もうちょっと薄っぺらいなら中身もよく見えるのにと思うのですが,この種は厚い殻をもつので仕方がありません。これが放散虫などのガラス質であれば,物体と封入剤の屈折率調整でコントラストの加減ができるのですが,分厚い有孔虫の場合はそうはいきません。カルサイトで殻ができているものは,二つの屈折率を持っているので屈折率調整が困難なのです。この場合,常光線と異常光の片方を消すような封入剤を使うべきなのか,それとも常光線と異常光の中間の屈折率を使うべきなのか,どちらなんでしょうね。当サービスでは基本的には後者を採用しているのですが(画像/MWS)。
2019年7月24日
一気に仕事が集中するということがたまにあって,今月はたぶんそれに該当するような気がしています。ちょっとした集会の翌日には出張で顕微鏡整備,帰ればイベント準備,合間に標本出荷とイベント用の標本製作,画像関連の仕事,特殊標本の多数の発注や問い合わせ,検鏡用機材の製作依頼,印刷物製作の相談,学会報告の準備,展示物の画像作成…などといった感じです。これに加えて参院選のお勉強も必要だったので,バタバタしましたねえ。
これに加えて日々の『ごはん作り』は筆者の仕事ですから,いくら時間があっても足りません。夕飯食べて,仕事して,夜中の23-24時頃に翌日の食事の準備をして,25-26時頃にまたパソコンの前にいるなどという個人事業主ならではの生活を満喫しています。 こう聞くとブラック的な労働と思うかもしれませんが,朝の始動は遅く,だいたい09時から10時30分くらいにのろのろと始めることが多いです。これも個人事業主ならではです(笑)。
きょうの画像は有孔虫の殻。仕事上の必要があって有孔虫の殻の画像が必要になったのですが,まともなものの手持ちがありません。ならば作らなければいけませんので,微化石在庫からいくつかマウントして撮影してみたものです。ベーリング海の底に沈んでいたサンプルですが,適切な封入剤に浸して撮影すれば複雑なチャンバーの形状がある程度はわかります。まぁバタバタした仕事は忙しいのですけれども,勉強になる時間でもあるのです(画像/MWS)。
2019年7月23日
新幹線というのは優れた交通システムではありますが,サービスとしては割と最低の感じもします。提供されるのは座席だけで,最近は車内販売も廃止された列車が多く,2〜3時間座席に拘束された上に飲み物も食べ物も提供されませんが,料金だけは飛び抜けて高いという代物です。このような集金システムと化けた交通機関はあまり歓迎できないのですが,在来線で同じ経路をたどろうとすると細かく分断されている上に列車の接続も悪く,ほとんど使えないようになっています。
むかしを懐かしむわけでもありませんが,筆者が子どもの頃には特急「ひばり」が一時間おきに出て,その合間に「はつかり」や「やまばと」「つばさ」などの特急列車が相次ぎ出発し,ほかにも急行列車が次々と各方面に出ていて,常磐線経由でも次々と「ひたち」が発車してそれはそれは賑やかなものでした。仙台−上野は4時間15分ほどかかりましたが,車内販売も食堂車もあり,東北の農村風景から東京方面に戻るのを,広いガラス窓を通した風景を見ながら,旅情のようなものを感じていたのでした。
当時それが不便とは,まったく感じなかったなー。上野-仙台ならば今よりも二時間余分にかかったわけだけれども,たかが二時間で,新幹線よりも安かったし,現在の新幹線よりもサービス面ではよかったかも。なんか,JRグループは経済合理性を追求しすぎて間違った方向に行きすぎている気がします。
そんな気がする筆者は,JRグループの経済合理性にそのまま乗っからずに旅行したりもします。きょうの画像は東北からの帰りのきっぷ。新幹線でそのまま東京まで戻り,地下鉄で新大塚までいけば便利なことはわかっています。でもまあ便利さばかり追求してJRさんにその分カネを払ったとしても,それで浮いた時間はせいぜい,帰宅してメールチェックして2,3通の返信を書いている間に消えるもの。
その時間を節約するために高い新幹線代を払っているの?
と聞かれればNo!でしょう。だから仙台からの帰りは,新幹線で宇都宮まで行って,そこから湘南新宿ラインの快速で池袋に出るのです。こうすると交通費は千円安くなる代わりに,追加で必要な時間はそれほどでもありません。新幹線は大宮からのろのろ運転ですし,乗り換えの時間なども考えると,接続さえよければ宇都宮乗り換えにもメリットがあるのです。
こうして時間的損失もたいしたことなく千円が浮いた筆者は,仙台駅の売店で「浦霞」「一ノ倉」の二合瓶を千円で買い,宇都宮からサラリーマンで混雑するイヤな新幹線を降り,宇都宮の餃子状況を視察したあとに,がらがらの湘南新宿ラインでうひひと帰路につくのです(画像/MWS)。
2019年7月22日
今回の参院選では一つ確かめたいことがあって,ポケットに秘密兵器を忍ばせて投票所に向かいました。そして選挙区・比例代表の選挙用紙に候補者の名前を書きながら,秘密兵器によって強力な紫外線(365nm)を照射してみました。結果は,目視で確認できるような蛍光は観察されませんでした。バーコードの印刷などの小細工はなされていないようです。
投票先は重度身体障害者の候補者が存在する政党にしました。ふだんは目に付かないことも多いですが,身体に障害を抱えた方は人口の一割くらいはいらっしゃるので,日本全体では大変な数になります。ならば国民の代表たる国会議員にも重度身体障害者の代弁者がいた方がよいだろうという考えです。
政治の世界はどちらかといえば「オレがオレが系」の人たちが競い合う世界ですが,世の中はもっと多様です。オタクもいればヒキコモリの方々もいらっしゃいます。いろいろな人が参加して意見を集約した方が,より本物の民主主義に近づくかもしれないです。
きょうの画像はそんな話題と関係なさそうな顕微鏡。でも,まったく関係ないかというとそうでもありません。日本製の顕微鏡の品質は,プラザ合意前と合意後ではっきりとわかる差があるように,筆者には感じられます。プラザ合意前はひたすら良いものを作ろうと努力していました。それがプラザ合意後に各種の簡略化が見られるようになりました。
ゴルフに行くふりをして変装して記者を騙し,隠れてプラザ合意の会議に出席した竹下登。国民に何の説明もせずにプラザ合意を行い中小企業・製造業に壊滅的な打撃を与えた当時の政権。それを支持してきた国民。
選挙というのは世の中を一ミリずつでも変えるための方法です。無関心で選挙にもいかない国民が半数以上の世の中では,政権側の思い通りにコトが運び,弱者は気づかぬまま茹でガエルになってしまうかもしれません。経済成長のさなかにひたすら良いものを一生懸命作ろうとして生み出された顕微鏡を眺めながら,そんなことを考えたりするのです(画像/MWS)。
2019年7月21日
このプレート,一枚で数十万円しそうな感じの立派なものですが,何か誇らしげで歴史の重みを感じさせるもので,これはいいものですね(画像/MWS)。
2019年7月20日
19日は新橋駅まで出向いて「れいわ新選組・れいわ祭2」の取材に出向きました。山本太郎率いるれいわ新選組は各地で選挙活動を行っていて,どこでも大変盛り上がり熱気を感じるのですが,マスコミでは一切無視されているそうです。そこで弱小メディアである「本日の画像」が現状をレポートするのです。
新橋駅前SL広場は18時-18時半頃ですでに満員の状況です。ざっとみて1000人は優に超えていて2000人くらい集まっているような気がします(こちら)。聴衆の様子を見るに熱心に候補者の話を聞いていることがわかります。これまでの選挙ではなかなか見られない珍しい光景がいくつか見られました。たとえば,
・チラシの受け取り率が異常に高いように見えた
・京浜東北線のホームから演説を見ている人がいて,ホーム上から拍手がわき起こった
・全国から見に来ている人がいるようだ(SL広場がどこか聞いている人が複数見られた)
・若い人がたくさん立ち止まって聴いている
・放映しないにもかかわらずテレビカメラが多数入っている
ネット上でもライブ配信していましたが,最大で7,500人くらい見ていました。ということは,現場と合わせて一万人弱の方が直接「れいわ祭2」を見ていたことになります。この規模での展開は過去にないものだと思います。
もしこの様子がテレビで放映されれば,より認知度があがると思いますが,演説では政権や産業界に批判的な内容が多いので,中身は放映されることはないでしょうね。
これら現場の状況からわかることは,市民の現政権への不満が極限に達しており,人々が政治を自分たちの手中に取り戻したいと思っているだろうということ。選挙への関心が深まり投票率があがるとすれば,それはとても良いことです。「れいわ新選組」が,その「良いこと」に寄与しているのは確かなようです。以上,現場からレポートしました(画像/MWS)。
2019年7月19日
カフェインを一切摂取しないデカフェ生活を続けて困ったのは,緑茶が飲めないこと。小学生の頃から緑茶が大好きで目茶を濃く淹れて飲むのが日常でした。カフェインに敏感な体質だと判明した現在でも,カフェインの入っていない緑茶なら飲みたいなぁと思っていました。コーヒーはデカフェが売っているのに,緑茶はなかなかないのです。
ところが家人が「生茶のデカフェがでてる」という考えもしなかったことを教えてくれたのでした。それで小躍りして探しにでてみたのですが,どこにも売っていない。ほんと,どこでも見かけないのです。6月,7月と探し回りましたが,東京都内の主要なコンビニ,ドラッグストア,スーパーなどで一度も見かけませんでした。出先の宮城県内でもマツモトキヨシやほかのドラッグストア,ドンキホーテ,コンビニ,イオン,コープ,駅売店などを見ても存在が確認できません。
筆者はアマゾンで買い物をするのが好みでないので,店先で探したいのです。それで東京駅に用事があった17日の帰りに,御茶ノ水駅から歩くこととして,秋葉原,本郷,白山,巣鴨の経路上にある主要な店を覗きましたがどこにもありません。頭にきて,帰宅後にもう一度出かけて,こんどは池袋,サンシャイン,文京大塚,新大塚で探しました。するとようやくサンシャインの西友で見つけたのでした。
早速買い求めて味見してみると,確かにお茶の味がします。風味がちゃんと残っている感じです。特筆すべきおいしさ,というものではありませんが,すっきりとしていてこれは素晴らしい飲み物です。こんな独創的な飲料を開発してくれた会社には感謝しかありません。
どうやってお茶からカフェインを抜くのだろうと不思議に思いました。コーヒーなどで行われている超臨界抽出をまねたら風味が飛んでしまうような気もしますし,価格的にも問題が出るでしょう。で,調べてみると開発物語がアップされていて(こちら),なんと「吸着」を用いてデカフェにしているのです。分子構造からして,カフェインの選択的吸着はかなり難しいテーマだと思いますが,よくぞ最後までたどり着いたと,拍手ものです。
全然本筋とは関係ないですが,この開発物語をみて筆者が何を思ったかというと,「液クロ欲しい」でした。こういった一つの目的のために推理を働かせて試行錯誤で実験するの,嫌いじゃないですね。お茶からカフェインを選択的に吸着させて除去に成功した塩野研究員さんは,カフェインのピークが検出されないクロマトグラムを見たときに脳天がしびれるような感動を味わったことだろうと思います。実験というのはつらいものでもありますが,喜びを生み出すものでもあります。まして成果物が世の役に立つものならなおさらです。
生茶デカフェのおかげで,カフェインに弱い人々はもとより,妊婦さんもお茶を楽しめるようになるなんて,ホントすばらしい。やっぱり拍手ものなのです…(画像/MWS)。
2019年7月18日
これは17日夕方にみかけた与党候補(東京選挙区)の演説模様。党員以外のほぼ誰も聞いていません。SPの方々も退屈そうです。。道行く人もほとんど振り返らずに全く興味もなさげに歩いて行きます。この場所は都内でも有数の大量の人が信号待ちする交差点なのですが,こんな具合です。
他方,野党候補の場合は共産党にしても,れいわ新選組にしても,都内どこでも数百から数千人もの聴衆であふれかえります。通行人の関心も高く熱気がまるで違います。
この現状がそのまま票に反映されるならば,この与党候補さんは,人気のある野党候補の1/100の票数になるはずですが,経験的にはそうなりません。なぜなんでしょうね…。
あとむかしから不思議なのは,なぜ選挙の投票用紙はあんなに書きにくいすべすべした紙で,そして自由に消して書き直せる「鉛筆」で記入しなければいけないのかということ。陰で不正ができる余地を残してあるようにも解釈できます。
消すことのできない油性ペンで投票を行うようにして,開票後は全ての投票用紙を投票所ごとに自動でスキャンして電子化し,選挙管理委員会のwebサイトにアップして,市民が自分の投票を自分の目で確認し,自分の手で集計して投票結果が正しいことを確認できるようにすべきだと思うのですが(画像/MWS)。
2019年7月17日
7月15日現在,東京都心をぐるぐる回る山手線には,きょうの画像のような吊り広告がぶらさがっています。この広告は出版社のものですが中身を見ると自民党広報そのものです。選挙期間中にこんなものを公共交通機関にぶら下げるというのは,やって良いことなのでしょうか? そしてこの吊り広告の財源は,表向きは出版社から出ているのだろうけれども,実際のところはどうなんだろうか? といろいろ疑念が浮かびます。
山手線の乗客の半分くらいは与党を支持してはいないだろうから,朝から通勤でこんなものをみせられて気分がよくない人もいるでしょうね。その一方で,この広告を心から素晴らしいと心酔しながら眺める産業界の方々もおられるかもしれませんが。。
こういう広告を眺めていても残念ながら大した情報は入ってきません。ので,きょうは日本経済がなぜ30年間にわたって低空飛行を続けているのかを理解するのに適した動画をご紹介しましょう( こちら )。経済入門の大学の講義みたいな内容で,長い動画なのに理解しやすく,時間のある方はぜひ通しでご覧になることをオススメします。この人の言うことに全て賛同するわけではありませんが,経済や政治を考える勉強素材としてはとても優れていると思います(画像/MWS)。
2019年7月16日
これはクモノスケイソウのガードルバンドの円内に23種の珪藻を詰め込んだもの。このようなものを作るときには,最初にバンドを配置して,その中に珪藻を落としていくのですが操作の難しさは言語に絶するかもしれません。限られたスペース内で間隔調整することも難しく,ほんの少し力加減を誤れば大事故になってしまいます。見た目には簡素ですが高度な技術が投入された作品なのです(画像/MWS)。
2019年7月15日
珪藻の殻の表面にある微細構造は,光学顕微鏡ではほとんど見えない小さなサイズから,楽勝で見えるサイズまでいろいろなものがあります。光学顕微鏡でぎりぎりなんとか見えるサイズのものは,顕微鏡操作によっては見えたり見えなかったりします。使用者の技量によって見えるものが変わるのです。ですので,ざっと眺めて全体像がわかった気になったとしても,たぶんそれは錯覚です。見えていないものが数え切れないほど存在することと思います。技術を磨き,細部の構造を見る訓練を積み重ねてようやく見えてくるものもあります。
この「ようやく見えてくる」微細構造は,すでに19世紀後半には見えていて,しかし現代でもなかなか見えないという代物です。見えるようになって100年間以上が経過しますが今なお簡単には見えないということは,見るためには光学機器の進歩ではなく,使用者の技術が必要なことを暗示しています。これこそが,珪藻が顕微鏡の技術向上に適している理由でもあります。適切な珪藻を選び,その微細構造を見ようと訓練することが,顕微鏡運用者のレベルを上げるのです。
きょうの画像は三十数年前に製造された微分干渉顕微鏡による珪藻の微細構造。使用対物レンズはCF Plan100xDIC(1.25)160/0.17です。21世紀の顕微鏡を用いても,全く変わらない絵が得られます。良い顕微鏡を使うことは大事ですが,それより大事なことは機材の特性を理解して性能を最大に引き出すことです。顕微鏡は難しいと言われる理由の一つはここにあるのかもしれません(画像/MWS)。
2019年7月14日
どれほど困難でも,作らねばならない世界がここにある… 完成したものを見るとそんな気がします。何もない空間にぽつんと物体が存在する。それはほとんど「宇宙」だ(画像/MWS)。
2019年7月13日
自然と科学の情報誌「ミルシル」が届きました。国立科学博物館植物研究部からの直送です。有り難いことです。この最新号は辻彰洋先生の全体監修による『プランクトンの世界』特集となっています。じつに読み応えのある記事が連続し,プランクトン学会員の筆者でも参考になります。
特筆すべきは,辻先生が効果的なプランクトン観察法を初心者向けに丁寧に手ほどきしてくれていることです。この部分だけでも本誌を入手する価値があり,これを読めば初心者の方でも身の回りにある安価な機材を活用し,ちょっとした工夫でプランクトンの世界を記録できるようになるでしょう。
『珪藻美術館 ちいさな・ちいさな・ガラスの世界(たくさんのふしぎ2019年6月号)』を気に入ってくれた方であれば,この『ミルシル2019年第四号』もきっと魅了されることと思います。
ミルシルは国立科学博物館(上野)のミュージアムショップ,上野駅構内の書店で購入できます。通販で買うこともできます(こちら)。売り切れれば増刷はありません。ぜひこの機会に自分用,プレゼント用を複数入手することをオススメいたします(画像/MWS)。
2019年7月12日
近年の生物顕微鏡のランプハウスでは妥協した設計のものがいくつかあり,高解像検鏡で理論分解能が満足に出せないという欠点がありました。ランプとコレクタレンズの距離が固定でいろいろとまずい問題が起こるのです。低倍率で広い視野を照明したいときと,高倍率で対物レンズ後側焦点面(B.F.P.)一杯に高NAの照明を施したいときでは,ランプとコレクタレンズの距離を変えるか(*1),間に補正レンズを追加(*2)するかしないといけないのですが,それを省略して固定して拡散板でごまかしたために,中途半端な性能の顕微鏡になってしまったのです。こういったことはほぼ全てのユーザーが知らされておらず,与えられた顕微鏡をそのまま使うこととなっています。
ところが先日,この設計不良のランプハウス問題をご存じの方とはじめて会いました。お若い方でしたが光学的理解がきっちりしており,筆者がこれまで会ってきたユーザーさんの中でも首位に位置する知識・経験があることは少し話をしてすぐに理解しました。対物レンズ後側焦点面(B.F.P.)を覆うことができない欠陥照明の顕微鏡についてもご存じでした。顕微鏡照明における対物B.F.P.の状態観察は基本技術として重要なものですが,ふつうのユーザーではそこまで会話を踏み込むことができません。きっと相当に勉強を積み重ねてきたのでしょう。
きょうの画像は妥協設計のランプハウスの一例。コンデンサとの組み合わせにもよりますが,20倍(NA=0.4)でもフィラメントが対物B.F.P.にすっぽり入ってしまい覆い尽くしてくれません。DICなどでは明らかな性能低下を伴う信じられない設計です。そのままでは使い物にならないのでセラミックの台座を外してクリップ止めしています。ランプのフィラメント位置はかなり後ろにずらしています。これでも高NAの対物レンズB.F.P.全面を覆うことはできないのですが,何もしないよりはマシです。
そしてこのようにすると高NAで性能改善する代わりに,低倍率では照明が中心部に集中してムラとなります。20世紀半ばでもこれよりまともな照明ができる顕微鏡はたくさんあったのに,21世紀初頭にこんな製品が売られていたのですからたまったものではありません(画像/MWS)。
*1 たとえばニコンではアポフォト,バイオフォト,フルオフォト,ダイアフォト,オプチフォトなど。
*2 S-Keのベース部分の切り替えレンズがこれに該当します。
2019年7月11日
対物レンズというものはたくさん所持していても不思議と自分が持っているものは覚えているものです。何本持っているかは把握していなくても,そのレンズが自分のものかどうかはわかる。不思議ですね。でも数十本,あるいは100本を超えてくるとさすがに管理上,リストを作っておいた方が安全です。
当サービスではレンズが転がり込んでくることもよくあるのですが,そんなときはまずレンズのメンテナンスを行います。外部,レンズ,徹底的に清掃します。その上で珪藻標本を用いて精密な検鏡を行い,そのレンズの実用性,劣化具合,劣化内容,修理可能性などを把握して,リストに入荷日とともに記録します。けっこう時間のかかる作業ではありますが,これを一度やっておくだけで入荷したレンズが即戦力に生まれ変わります。
きょうの画像はメンテナンス待ちレンズの一例。このほかにもあるのですが,そろそろたまってきたのでまとめて面倒をみて登録作業をしなければなりませんね(画像/MWS)。
2019年7月10日
これは出先の研究機関で見かけた対物レンズの一部。滅多に見ることのないラインナップです。このレンズ群を見るだけで,その研究機関の顕微鏡理解度が推測できるというレベルです。少なくとも,価格表を読みこなす程度のことはやっていて,使用目的に適したレンズを選ぶ程度の知識を持っている研究者が在籍しているに違いありません。
レンズが選べたからといって正しい使い方ができているかどうかは別の話ですし,これらのレンズを活用してパーフェクトに性能を引き出すには十分な光学的知識と経験が必要なことは言うまでもありません。でもレンズも選べないようでは「その先」には行くことができないので,機材購入時に正しいレンズを選ぶということはとても大切なことなのです。そして,その大切なことができていない研究機関がたくさんあるように見受けられるのです。
web情報が入手できるようになった現代では,顕微鏡のお勉強は30年前とは比較にならないほどに手軽にできるようになっています。ので,これからの時代は正確な情報を入手して機材選びができるような人材が増えていくことになるでしょう。そうであってほしいものです(画像/MWS)。
2019年7月9日
これまでかなり多量のレンズをいじってきた自覚はあるのだけれども,それでも見たことのない謎レンズと遭遇することはあります。きょうの画像がそれで,まさに謎のレンズ。一目見て落射暗視野装置が内蔵されたRMS顕微鏡対物レンズであることはわかるけれども,こんな製品が作られていたとは全く知りませんでした。しかしこのレンズ,出会って感動ものです。というのも,筆者は手持ちのBD Plan60x ELWDにLEDを内蔵してこれと同じものと作ろうとしたことがあるからです。工作が面倒で挫折しましたが,すでにこのような製品,しかも高輝度LEDの登場以前に作られていたということが理解でき,人間の考えることはみな同じなんだなと嬉しくなったのです(画像/MWS)。
2019年7月8日
若い頃は梅雨時があまり好みではなかったのですけれども,珪藻を並べるような生活をするようになって,梅雨のシーズンというのもよい物だと思えるようになってきました。『珪藻美術館 ちいさな・ちいさな・ガラスの世界』にも少し書きましたが,あの小さな珪藻たちを完璧にきれいに封入するのに最大の敵は,空気中から落下してくる粒子です。一般的にはチリとかホコリとか呼ばれていますが,実際にいちばん問題になるのは,大きさが0.001mm前後の微粒子です。
この微粒子はいろいろなものから構成されているようですが,たぶん黄砂,燃焼でできるスス,いろいろな煙が主な発生源みたいです。乾燥した日で,西から風が吹いてくると粒子が激増するので,大陸方面から来ているものも多そうです。この粒子はあまりにも小さいので,どんな隙間からも入り込み,締め切った部屋でもいつのまにか漂っていて,それが作業中に落ちてくるのです。梅雨時では雨が絶え間なく降っている日も多く,そういう日は西から風が吹いていても粒子が落ちてきません。雨が洗ってくれているのです。ので,作業に適した日もあるのです。とても助かります。
きょうの画像は梅雨時に見かけるきのこ。シバフタケかな,と思いますが調べてはいません。芝生に菌輪を作ります。このきのこが菌輪を作っているということはたぶん,ここの芝生は植えられてから数年くらいのものでしょうか。新しくできた公園などでよくみかける気がします。チリの少ない空気を吸いながら散歩して,作業環境も良くなるどころか,肺の中もきれいにできて,梅雨もいいものじゃないか,となるのです(画像/MWS)。
2019年7月7日
きのうは味噌汁から汁を抜いたらどうなるかという話をしたわけですので,きょうは対物レンズからレンズを抜いたものの紹介(笑)。対物レンズ−レンズ=対物,というのが数学的帰結でありますが,レンズを抜いた対物,というのはあり得なくなるのでこの数式は成立しない。そこで「筒」と呼ぶことにします。
ふつうの人にとって,この真鍮削り出しの「筒」は無価値なものに見えるわけですが,顕微鏡菌が体内深くに浸透し,もはや常在菌として身体維持に加わるようになってしまった方々にはこの「筒」も魅力的な物体に映ります。それで筆者は「筒」を大事に持ち帰り,たびたび握りしめては「これはいいものだ」と感触を確かめるのです。。
これはもはや病気の領域なのかもしれませんが,治療する方法は知られていません。「筒」と一緒に生きていくしか方法がありません…(画像/MWS)。
2019年7月6日
意外にご存じない人が多いのですが,食事中に多量の水分をとると胃に負担がかかります。胃液が薄まってしまい本来維持したいpH環境そのほかのバランスが崩れ,順調に消化活動が行われなくなります。結果,膨満感が発生したりいつまでも苦しかったりといった症状が出て,こういった痛めつけるようなことをしていると胃痛にまで発展することもあります。そのため,食事中に飲み物をごくごくと飲むようなことは止めるべきで,食事前の水分補給も30分前くらいまでに済ませておくのがよろしいのです。
ではスープとか味噌汁とかはどうなんだ,ということですが,少量なら問題ないでしょうが,それなりの量になるとやはり悪影響があります。食事の最後に味噌汁をがぶがぶ飲むようなことをすればお腹が苦しくなります。胃が痛めつけられているのです。
そこで当室では味噌汁は原則廃止の方針で食事をつくっていますが,他に代えがたい美味しい味噌汁というものもあるので,そういったものは味噌汁から「汁」を抜いたものを作っています。その一例がきょうの画像で,タマネギ,キャベシ,ごぼう,大根,ブナシメジ,油揚げを煮込んで味噌で調味したもの。水は最小限しか使っていないので,これは味噌汁ではありませんが,ちゃんと味噌汁の味がします。味噌汁−汁=味噌というのが数学的帰結ですが,それでは呼び名としておかしいので,ウチでは「野菜」と呼んでいます(笑)。
この「野菜」は茶碗二杯を食べると一日分の野菜量が補給できてしまうという優れものでもあり,温野菜に相当するので消化吸収もよく,胃もたれせず,大変すばらしいおかずです。豚汁の汁抜きバージョンとか,けんちん汁の汁抜き−バージョンとかいろいろ考えられます。
この「野菜」は放り込んで煮込み,味噌を加えるだけという簡単なものなので時間の節約にもなっています。そして水で薄まらないのでダシをとる必要がないというのも見逃せない利点です。食材から出るうまみだけで十分なのです。こうしたちょっとした工夫をしつつ,日々の栄養に配慮しながら,胃にも優しい食事を作り,毎日の健康維持に努力をしているのです(画像/MWS)。
*1 では食後はどのくらい経ってから水分をとればいいんだ? とのご質問には「3時間」と答えます。ここ5〜6年の経験では,3時間後には胃での消化活動はほとんど終わっているので水を飲んでも苦しくなりません。うんと消化のよいものだけを食べた(果物など)場合は2時間でも大丈夫です。このルールを守ると,胃が苦しいということが格段に減ります。食後にお茶で一服とか,コーヒー一杯とかやっている人で胃がしんどい人は,その習慣を見直してみるとよいかもしれません。
*2 とてもウマい寿司を出す有名店などでも,散々すしをつまんだ最後に「あら汁」などをどんぶりで出してくれるところがあります。有り難いのですが,それを全部いただくとあとで腹がふくれてつらいことになります。ただでさえ酢飯はお腹に残って消化しにくいのに,そこで汁物の直撃を受けたらたまりません。お寿司で腹がふくれて仕方がない,という人は,どんなふうに汁物をとっているか振り返ってみるのも一法です。
*3 もっとも世の中には,汁物を飲もうが,ビールをがぶ飲みしようが,全く関係なく胃に何の影響もないという,まるで胃粘膜の上部にゴム膜でも存在しているかのような人もおられます。羨ましい限りです。
2019年7月5日
顕微鏡対物レンズやコンデンサの先玉,フィールドレンズやフィルターなどはきれいに使うようにしていても,チリがついたり飛沫が飛んでいたりホコリが落ちていたりと汚れていくものです。ごく微量のチリなどは観察像に影響を及ぼさないことが大半なので放置の方がよいこともありますが,たとえばレンズにLEDライトの光を入れてみて,どこかの光学面からフレアが出ているのがはっきり見えたら,清拭した方がよいでしょう。
この清拭,拭き作業のことですが,これは大変難しく,『拭き三年』とか『拭き五年』などという言葉もあるほどです。筆者が最初に光学面の拭きを行ったのは10歳の頃で,望遠鏡接眼レンズ,対物レンズの清拭でした。当時は参考になるようなものは何も持っておらず,適当にちり紙で拭いていました。とうぜんコーティングなどがやられていったのです。高校生の頃にセーム革を使うと良好な拭きができることを発見し,カメラレンズはそれで拭いていました。まともな拭きができるようになったのはいつ頃か…,たぶん大学院に入った頃くらいでしょうか。だとするとおおざっぱに『拭き15年』でしょうか。
その後も拭きを追求しつつ現在に至り,拭き歴40年になるわけですけれども,いつでも難しいのが拭きでもあります。よいテキストがなかなかないのですが,近年,ZEISSさんが公開しているPDFは優れていて,ぜひ一読をお勧めします(こちら)。ここに書いてある方法は,筆者がながねんかけて到達した方法と見事に一致しています。だからこそ,単なる受け売りでなく,「このテキストは良いよ」とオススメできるのです。
でも,このテキストを読んだからといって拭きが上手になるわけではありません。内容を理解して,それをご自身の技能になるまで消化吸収するには,やはり長い経験を要します。でも経験だけでこのテキストのような技法にたどり着くことと比べれば,ずっと短い時間で会得できるはずです。
今から18年くらい前,ある顕微鏡メンテナンス技師の方に,「うまく拭けたと思うことはどのくらいありますか?」と質問したところ,「滅多にない」との返答をもらいました。それを聞いて筆者は,その人が本物の拭き技術を持っていることを理解しました。光学面の拭きとは,そんな会話がなされる世界です(画像/MWS)。
2019年7月4日
『たくさんのふしぎ2019年6月号』のアマゾン在庫が7月3日午後に復活しました(こちら)。
一度は出版社在庫がゼロになっており,流通漏れの書籍を再度在庫登録しての出荷となっています。このため,詳細はわかりませんが今回のアマゾン在庫が最終の可能性が高いです。ご入手はお急ぎ下さい。
きょうの画像はOamaru珪藻化石で製作した標本を撮影したもの。破損個体を使ったリハビリです。製作方法は体に染みついていますので数ヶ月のブランクがあっても作業はできます。しかし作業の流れ具合,細かな部分の手順などは継続して製作しているときの方が若干レベルが高いと感じることもあります。いすへの腰掛け方なども決まった作法があり顕微鏡と体の間隔もおそらくはミリ単位での調整を無意識に行っています。「動作がぴしっと決まっている」体の状態を作り出すのにリハビリが必要なのかもしれません(画像/MWS)。
2019年7月3日
小型の珪藻を用いたリハビリ作業で作ったものを撮影。じつに厳しい練習作業ですがなんとかなっているようです。何しろ本の出版等で標本製作が半年以上ストップして,4ヶ月もの間まったく手を付けられない期間があったので,技能維持に影響が出ていないか確認が必要です。修行の時間はまだまだ続くのです…(画像/MWS)。
2019年7月2日
顕微鏡のよいところは,古いからといって即,「使えない」を意味しないということ。現代の道具では,古ければ使えないものはたくさんあります。電気製品などが多いですが,カメラなどでも,50年前,100年前のものになるとさすがに,実用品としては厳しいということになってきます。例外もありますが。
顕微鏡の場合は,50年前のものでも,その製品がきちんと研究用の設計でよくできたものならば問題なく使えたりします。きょうの画像がその一例で,ニコンの携帯顕微鏡H型による化石珪藻(クモノスケイソウ化石種)の作例です。内蔵されている40倍対物レンズによるものですが全く問題のないことがわかります。
100年前のドイツ製顕微鏡などでも,きちんとメンテナンスすればまともに見えます。当室では120年以上むかしのライツ製の顕微鏡もありますが実用品として稼働状態です。
収差補正の観点から顕微鏡対物レンズが完成の域に到達したのは1886年以降くらいという感じで,その頃の学者が見ていた像と,現在の研究者が見ていた像とでは,分解能の観点からはそれほど大きな違いはありません。ですので,当時の顕微鏡を完全にメンテナンスすれば,「おっよく見えるじゃん」ということになるのです。
但し細かなところでは違いがあります。像面が平坦なプラン対物レンズが一般に普及したのは戦後のことですし,多層膜コーティング技術によって透過率が向上してフレアも減少したのも戦後のことです。ですから,50年前の顕微鏡ですとよく見えるものも多いですし,像面もフラットなものがありますが,100年前の顕微鏡では多少,フレアも感じることがありますし,像面は湾曲しています。
でも実際に使ってみると,サンプルの方がそんなにフラットではなかったりして,像面湾曲はあまり気にならないことも多いです。想像以上によく見える,といったケースが多いように思います。古い顕微鏡を修理して使う…,趣味には最適かもしれません(画像/MWS)。
2019年7月1日
業務正常化にむけて少しずつ前に進んでいます。本を出版するということはとても大変なことです。執筆にはたいへんな準備と作業が必要ですし編集・校正に入ってからも気の抜けない時間が続きます。出版したら一段落かと思えば,発行部数が多かったこともあり,とにかく関係方面への周知活動を続けなければならず,営業活動に多大な時間を費やしました。もちろん営業費用も必要で,油浸のプランアポクロマート対物レンズを1本購入できるくらいを注ぎ込みました。。
…というように多大な時間と労力とお金を費やしている間に2019年も半分終わってしまいました。すでに秋に三件の時間を要する仕事が入っているので,あとの半年でどれだけのことができるか心許ないですが,まぁでも一日一ミリでも進んでいればどうにかなるでしょう。楽観的に過ごすのが個人事業主生活のコツでもあります。
きょうの画像はリハビリをかねて製作しているもの。直径1mm以内の円内に小型の珪藻を詰め込む,といった条件を設定して鈍った技術の回復を図ります。このレベルになるとハンドリングはほんとうに厳しく,手先がわずかに狂っただけで玉突き事故が発生してやり直しになります。座り方,背筋の伸ばし方,肩の力の抜き方,指の使い方などを思い出しながら,0.01mm以下のスペース調整をするのです(画像/MWS)。
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