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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
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2016年9月30日


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きょうの画像はライツのふるい対物レンズ。同じレンズ設計のもので,どちらも100年は経過していそうです。分解して中身を見比べてみると,より古い方は,真鍮の削り出し? そのままなのですが,時代が進むと黒塗りしてあります。これはもちろん,内面反射によるフレアを減らすためでしょう。実際,両者を見比べると黒塗りのレンズの方がコントラストが高い感じがします。当時は反射防止コーティングのない時代ですから,レンズも貼り合わせを多くして空気面を減らし,なるべく透過率を稼ぐとともに表面反射によるフレアの低減をねらっていたに違いありません。当然,内面反射によるフレアの低減も行っていてよいはずなのですが,なぜか100年くらい前までは,内部の黒塗りが行われていません。塗料による経時変化でガラス面が曇るのを嫌ったのでしょうか…(画像/MWS)。








2016年9月29日


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手持ちの試料はジュラ紀ということまではわかっていましたが,正確な年代がわからなかったので,きのう,一億年以上もむかし一億年振りに,というあいまいな書き方をしたところ,早速専門家から指導!が入りました。このサンプルは1億6000万年〜1億8000万年前のものなのだそうです。試料はいろいろなところからの廃棄品などを利用させて頂いているので,出所などの詳細が不明なものがほとんどです。しかし専門家が見れば一目瞭然なのでしょう。有り難く指導を受けたのでした。きょうの画像も,きのうと同じ時代のもので丸っこいやつを整理している部分を撮影したものです(画像/MWS)。








2016年9月28日


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珪藻の画像が続いたので,きょうは放散虫化石。一億年以上もむかしの放散虫らしいです。このくらい古いと生物ケイ酸はほとんど残存しないのですが,何らかの形で鉱物に取り込まれて保護されると,残っていたりします。この放散虫は炭酸マンガン系のノジュール中に保存されていたもの。炭酸マンガンを溶解除去できれば,一億年振りに姿を現します。ほとんどのものが壊れていますが,粉々というほどでもなく,もとの形が推測できそうです。

きょうの画像は簡易顕微鏡での撮影。中学校の学習用顕微鏡に金属対物をつけて,単色緑LEDで軸外落射偏斜暗視野,Nikon1J2でリモコンシャッターです。拾い出した乾燥表面を撮影するときは,低NAであれば生物用対物も使えますが,光学的にきちんとして撮影したいので金属対物を使い鏡筒長を正しくあわせて撮影しています(画像/MWS)。








2016年9月27日


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きょうの画像はライツの約120年前の顕微鏡対物レンズの修復過程。液浸対物レンズの先玉は,扱いが悪ければ汚れが付着したり,樹脂が固化したり,金枠が錆びたりして使用不能になります。このレンズも入手時は使用不能な状態で,その程度のひどさから,修理も不可能かと思われました。しかし筆者にとっては,レンズは飾っておくだけでは意味のないもので使うために入手しているわけですから,壊れてもいいので修理を試みます。失敗すれば万単位,ものによっては十万単位のお金を捨てることになりますが,でも引き替えに修理体験ができるわけで,全てが無駄になるわけではありません。

画像一枚目は入手時の状態に近いもので精製水で拭き上げたものです。まったく使えないことがわかります。金枠はぼろぼろ,レンズもぼろぼろで,ガラスの劣化なのか,ものが付着しているのかも判断できません。画像二枚目は照明をかえて撮影したもので,表面の荒れがひどいことがよくわかります。

画像三枚目は手持ちの種々の溶剤を使って拭いてみたもの。初期の状態とは異なりますが,よごれが落ちてきれいになる気配は微塵も感じられません。あまり多量に溶剤を使っていると,接着剤を使っているレンズの場合,それが侵されれば全てが終わりになります。そこで適当に見切りをつけて切り上げ,研磨に移行します。

画像四枚目は研磨パッドに少量の研磨剤をつけて電動で研磨してみたところ。汚れが磨き取れてきているのがわかります。そしてガラス面が出てきています。ガラスの結晶化した部分が落とされたのか,固着した汚れが落ちたのかわかりませんが,とにかく光学面と呼べる程度のガラス面が顔を出しましたので,研磨を続けます。研磨は金枠のほうが早く削れてしまうので,ひじょうに気を遣います。最後はWhatman105を折って研磨剤をつけ,手研磨です。

そうして仕上がったのが画像5枚目。完全に汚れが除去できたわけではありませんが,完璧を追求するときに事故は起こります。ここでやめておきます。分解して他の光学面も全て清拭して組み上げれば,使用不能だったレンズが光を通すようになりました。そうしたら珪藻プレパラートを利用して対物レンズのテストです。液浸なので200nm領域のイメージングテストをモノクロ光源で行い,解像することを確認できればOKです。その結果は今月上旬の学会で報告した通りです。むかしの研究者が優れた観察記録を残していることはよく知られていますが,同じ機材を使って追体験しようとすると,古い機材の修復技術が多少なりとも必要になります。今回は運良く,まともに修理できましたが,いつもうまくいくものでもありません。この記事を読んで,皆様がまねしてレンズをダメにしてしまうことのないよう願っています(画像/MWS)。








2016年9月26日


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その後の調べで,ライツの約120年前の顕微鏡対物レンズの倍率色収差は,ツァイス有限補正系の接眼レンズで打ち消されることがわかりました。そこでツァイスの接眼レンズを投影レンズとして用いて撮影したのがきょうの画像。倍率色収差が消えているのがわかります。物体は東京湾表層水に入っていた浮遊珪藻,スケレトネマ(Skeletonema)の一種です。夏のスケレトネマは弱々しく細いものが多くて,液浸対物レンズでの高解像イメージングでも,この程度しか写りません。この細い糸のような構造も,シリカでできています。極細のガラスの糸です(画像/MWS)。








2016年9月25日


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琵琶湖疏水が今月の画像とどんな関係にあるのかというと,学会講演に用いたアンティーク顕微鏡対物レンズが生まれた時代と一致しているのです…。120年以上前,京都にはやっと水のトンネルが開通し,それを使って水力発電がはじまり,電灯がともって市電が走り始めたのです。その頃の日本に顕微鏡製作会社はありませんでしたが,ヨーロッパでは,NA=1.3以上のアポクロマート油浸顕微鏡対物レンズが生産されていました。そんな時代的なつながりがあるのでございます。

ここのところ載せている顕微鏡写真は,やや甘いものもありますが,何せ,濁って何も見えないような120年以上前のレンズをメンテナンスして,現代の鏡基に載せて,無理矢理微分干渉像を出してNikon1で撮像しているのです。倍率色収差が残っているので,逆の倍率色収差を持つリレーレンズで打ち消さないとまともなカラー画像になりませんが,まだ探している途上の画像なので視野の隅で明確な倍率色収差が出ています。そういった甘い面はあるにせよ,高NAでのライブセルイメージングとして,掲載に値するレベルに持ち込めていることも事実ですので,そんな一例としてみてやって下さいませ(画像/MWS)。








2016年9月24日


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秘技 「大事なものは画面の隅に」 を発動した結果。遠い国から京都まではるばる観光にきてくれたカップルのすてきな瞬間が(画像/MWS)。








2016年9月23日


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さて学会も仕事も無事に終わり,あとは帰るだけ。そしてここは京都。久しぶりの贅沢な時間だ。夏の京都は行くもんじゃない,という噂もあるが,運良く曇っていて暑さはそれほどでもない。そこでいつものように歩くこととなる。まずは五条から錦市場へ。ほとんど観光客相手なのだけれども,そして価格はべらぼうに高いのだけれども,置いてあるものは悪くない。魚と野菜を眺めながら三条方面へ。





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役所を通って南禅寺方向に向かうも,元気がよすぎて行き過ぎた…。岡崎公園から平安神宮の前を通り,間違えたことに気づいて,いつもの道に戻る。この白壁を見ないと,京都に来た気がしないんです。とちゅうの道を間違えた原因をつらつら考えるに,たぶん5,6年はとおっていないからかも,ということになった。





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そしてここに来るわけです。いつ来ても変わらないものがある。それは大切なことだ。若者に言いたい。いろんなところに出かけるのもいいが,定点観測をしろと。旅先で必ず立ち寄るところをつくれば,それを基準にじつに様々なものが見えてくる。過去の自分を振り返ることさえできるのだ。





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いつみてもこれは大変なものだ。琵琶湖から水を引いているのだけれども,ここは京都。いったい誰がそんなことを考えたのかと感心する。何しろ100年以上むかしの話なのだ。





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「現代社会で正気でいたければ、1日5分でいいから自然のものをじっと見つめることだ」 という言葉は本当だと思う。うまくいえないけど,落ち着くのです…。





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沢筋の風でしばらくクールダウンして,再び錦市場方面へ。けれどもその前に立ち寄るところがある。それが古川町商店街。閉まっているお店も多いのだけれども,なかなか風情のあるところ。

このあと,錦市場で唐辛子を買い,箸置きを買い,丹波栗を買い,丹波の豆と万願寺とうがらしを買って自宅用のお土産に。というか夕飯の材料という感じ。さらに,自家製の鯖寿司を二切れ買って京都駅でお昼ご飯。





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3時間半歩いて汗だくになったので,駅の個室で丸裸になって全部着替え。出張中も毎日洗濯しているので,着替えは2セット以上あります。ひじょうにさっぱりとして,混んでいる新幹線を3本見送り,のぞみ230号で悠々と帰宅となったのでした。これで約一週間に及んだ夏期休業中の学会旅行は終わり。学会中はいわゆる「学会気分」になるので,急いで帰らず,時間をかけて学会気分を抜きながら自宅に戻るようにしています。そうすると,帰宅してから日常モードに入るのが早くなるのです(撮影/MWS)。









2016年9月22日


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21日は帰省中の大学教員の訪問を受けました。いろいろなことにお詳しい先生ですが,たまにふらりと立ち寄られます。話題はいろいろあるのですが,年々,人間関係などの,誰がどうした,彼が何した系の話が増えてきているような気がします。どの分野でもそうでしょうが,人事問題は主要な話題です。座っているだけで関係業界の興味深い(=どろどろとした)情報がもたらされたりして有り難くも思うのでした。ウチに来たからにはそれらしい情報をお持ち帰りいただきたいところですが,ほとんど時間切れとなり,市販のおもちゃ顕微鏡の実情を紹介しておしまいとなりました。

そんな話題とは関係なさそうなきょうの画像。珪藻,たぶんギナルディアでしょうが,これにツボカビの仲間が寄生しているところです。ピントは表面と細胞中央部付近です。まだ取り付いたばかりのようで,珪藻は生きています。そのうちに栄養をとられてお亡くなりになることが多いようです。海のプランクトンを採集して,沈殿させるなどして濃縮して,高倍率で検鏡するとこのような場面を見ることができるかもしれません。きれいに精製された宝石的な美しさとは違って,生きているときの動きのある光景もまた,興味深いものです(画像/MWS)。








2016年9月21日


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これはProrocentrum minimum(たぶん)という渦鞭毛藻の一種。東京湾表層水に入っていたものです。内湾などにふつうに見られる種で,東京湾でもごくふつうかと思います。大きさは0.02〜0.03mmといったところで,かなり小さいのです。画像一枚目は細胞の断面,二枚目は表面にピントを合わせています。鞭毛がぷるぷるしているのですが,動きが止まったときをねらって撮影し,なんとか写りました。本種はときどき大発生して海の色を変えてしまい,いわゆる赤潮を形成することもあります。0.02mmの生物が海の色を変えるのですから,微生物の働きというのは大きいと言わざるをえません(画像/MWS)。








2016年9月20日


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くまもとの学会を後にして新大阪泊。学会のはしごで,奈良の近畿大学で開催されたシンポジウム「水圏環境の変動に対する植物プランクトンの応答とその影響」に参加しました。新大阪朝0730発で,近畿大には無事に到着。近鉄で生駒山方面に向かう景色がよろしい感じがしました。シンポジウムは長期観測の結果を惜しみなく披露した講演の連続で,滅多に聴くことのできない貴重なもので,大変勉強になりました。旧知の方々が次々と登壇していましたが,その方々とお付き合いを重ねている時間の間にも,見上げるような立派な成果を積み重ねていることが理解され,何だか身のすくむような思いも感じました。

シンポジウムでは,昨年末に顕微鏡の集中講義を行った大学の学生さんも出席していて,ひさびさの再会にうれしい思いもしたのでした。ちょっとだけですが,顕微鏡のお話しをしてきました。皆さん,NAで話が通じる優秀な方々ですので,話がスムースに通じて,集中講義の意義がきちんと感じられました。ほっとしました。

シンポジウムが終わるともう夕方,日暮れ時です。そこから京都に移動し,暗闇に時計が光る大学にお邪魔して,知人研究者の顕微鏡について状態判定のお仕事です。深夜の静まりかえった研究室で,筆者製作の標本をセットして顕微鏡の状態を探ります。いちおうは見えますが,かなり長い間,メンテナンスがなされていなかったようで,光学面を清掃するだけで相当な重労働になりそうな感じです。仕事を終えてから新京極方面に戻り少し歩いてコンビニご飯。宿に戻ったのは2230頃でハードな一日でしたが,前倒しで仕事が済んだので翌日がラクになりました(画像/MWS)。








2016年9月19日


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これは東京湾表層水に入っていたコスキノディスクスの殻。これも121年前のライツ対物レンズで撮影したもの。色収差補正はアクロマートですが,現代の対物レンズと比較してもそれほどひどくはありません。ご覧頂いてわかるように,コスキノディスクスの殻の微細構造が見えています。開口数通りの分解能で,当時の研究者は,照明技術が高ければ,このような像を見ることができたと考えられます。現代でも,きちんと顕微鏡と標本を扱わなければ,こういった微細構造は見えません。我々も技量を高めなければ,19世紀のレベルを維持できないのです(画像/MWS)。








2016年9月18日


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これは学会講演で用いた元画像をGチャンネルモノクロ処理したもの。対物レンズは121年前のライツのものですが,ちゃんと像を結ぶのです。もちろん,現代の同スペックレンズとは比較になりません。視野はせまく,像面湾曲は大きく,反射防止コーティングもありません。フレアのかかったゆがんだ像になります。しかし視野中心部だけは開口数から計算される分解能を持っています。むかしの研究者は視野中心の鋭い像を熱心に検鏡していたに違いありません(画像/MWS)。



*1 これだけ古いと中古で入手しても,そのままではまず使えません。ガラスは曇っているし汚れがひどいですし,内部に結露があったりして,霞んでいてほとんど見えない…という状態が多いかと思います。そういったレンズは分解メンテナンスするしかありませんが,ガラスの研磨が必要になるので,ダメもとの作業になります。今回の経験からいえそうなことは,ガラスが曇っていたり金属が錆びていたりするものは,修復できる可能性はだいぶ下がるだろうということ。先玉のガラスが曇っているとき,その金枠も腐食が進んでいて,研磨するのが恐ろしいのです。ぽろっと先玉が落ちたら終わりですから。その一方で,先玉と後玉を拭く程度できれいになるレンズは,古くても生き返り,使えるものが多いという印象です。




2016年9月17日


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ついに九州地区で ターャジス の捕獲に成功! (画像/MWS)。



*1 この夏は仙台でみかけたけれども,捕獲に失敗。瞬間的に右面を撮影するのは難易度高めなのです。今回は朝8時過ぎのバスの中から激写。いつも心にターヤジス。




2016年9月16日


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昔から新幹線の窓際に似合うものといえば顕微鏡対物レンズと相場が決まっていますよねー。これは熊本の学会終了後に,別の学会シンポジウムに出席のため新幹線で移動中の風景。古い対物レンズを眺めながらひたすらに画像処理。新幹線の車内というのはどうしてこんなにもパソコン作業がはかどるのでしょうか… (画像/MWS)。








2016年9月15日


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ついに本物がー  やったー  くまモンだー! (画像/MWS)。



*1 学会大会では学生優秀発表賞があるのですが,その授賞式でくまモンが登場しました。愛くるしい仕草。キレと躍動感のある動き。これは絶大な人気が出るはずです。筆者はもともとくまモンの大ファンで,自宅でもくまモンカレンダーや手提げ,ハンドタオルなどを持っていますが,まさか本物にこの距離(画像一枚目)で出会えるとは。細やかなサービスでホントに魅了されました。 ありがとう学会実行委員! ありがとうくまモン!




2016年9月14日


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お休み期間中に学会講演を一件片づけました。日本ベントス学会・日本プランクトン学会合同大会in熊本県立大学です。熊本県はこの春の地震で打撃をうけたわけなので,ぜひとも参加して盛り上げたいと思っていました。しかし今年はすでに学会講演の重量級を2件こなして時間を消費している上に例年をはるかに上回る睡眠障害でしたので,聴講のみでの参加にしようと思っていました。参加〆切も近づいてきた頃,関連学会が同時開催になり,参加者が分散してしまったことが判明したので,筆者は熊本を盛り上げるために急遽,講演をすることにしました。『プランクトン・ベントス撮像におけるアンティーク対物レンズの解像限界』というタイトルですが,こんな酔狂なタイトルを思いつくのは世界でも少ないかと思います。

今回は120年以上経過した液浸対物レンズの限界イメージングに挑戦し,可視波長で200nmを解像することで,油浸,水浸ともに当時の水準が高かったことを証明しました。この時代はプランクトン学も大きく発展したのですが,当時の研究者が利用していた対物レンズの性能が現代と遜色ないこと,当時の研究者が残した驚異的なスケッチは,解像限界からみて,信じてもよいだろうということを説明しました。

ポスター発表のコアタイムは2時間でしたが,人がとぎれることがなく,またコアタイム以外にも一時間半も説明に時間を費やし,計3時間半の筆者としては新記録となりました。多くの方に興味をもってもらえるのは嬉しいことで,お越し頂いた方々,遠巻きに眺めて頂いた方,こっそりと筆者のいないときにお読み頂いた方,全ての方に感謝いたします。ありがとうございます。

使用した対物レンズは持ち込んで,お越し頂いた方に触ってもらいました。触ってなにがわかるというものでもないのですが,120年以上前に製造された19世紀のテイストを,手触りの記憶として残すことは,個人的には有意義なことだと思っています(画像/MWS)。








2016年9月13日


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milsilほど新幹線に似合う雑誌はほかにない。 in 九州新幹線つばめ号博多行  (画像/MWS)。








2016年9月12日


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新幹線の座席にmilsilが… in 東海道・山陽新幹線のぞみ号博多行  (画像/MWS)。








2016年9月11日


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これは現在処理中の岩石試料から出てきた放散虫。歩留まりが極端に悪いのですが,何せ恐竜が歩いていたであろう時代のものなので仕方がありません。処理開始は約2年前で,そのときはほとんど出てこなかったので,専門家からハズレの試料と判定されたものです。その試料を時間をかけて漬け込んで,酸性条件下での風化を待ちました。その結果,2年前の100倍程度の収率にはなりそうだったので処理を開始したものです。脆弱で壊れやすく果たして乾燥試料に持ち込めるのかわかりませんが,恐竜時代の微化石は珍しいですから,やるだけのことはしてみたいと思っています。画像は水洗い中のものです。水に漬け込んだ中で,実体顕微鏡下で毛先でかき分けて放散虫を見つけ出して撮影したものです(画像/MWS)。








2016年9月10日


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大船渡線で気仙沼に向かうと,車窓の北側にこんな山が現れます。じつに素晴らしいカーブを描く山で,調べてみれば室根山というそうです。中二病時代はワンゲル部でしたので,こんな山を見ると気になって仕方がありません。しかし交通の便がよいとはいえず,登るならどこに宿泊するかが問題になります。

この山,以前から気になっていたのですが,この夏の気仙沼行きで,車内から写真を撮るべく,マイクロニッコール55mm,F2.8,Ai-sを持っていったのでした。これをNikon1につけてピント無限遠でシャッターを切れば,タイムラグなく,列車の車内から望遠撮影ができます。そうやって写したのがきょうの画像。一枚目は縮小のみ。二枚目は頂上部分の等倍トリミング。この山のてっぺんには,天体観測ドームがあることがわかります。降るような星空なんだろうなぁ。ううっ。そんな空,何年もみていない。。不眠にもなるわけです(画像/MWS)。








2016年9月9日


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これは初めて使った油浸対物レンズ。ニコンのPlan100x 1.30 160/- です。顕微鏡の情報が余りにも足りない現状で,図書館に何度も足を運び,古書店通いをして,珪藻を見るには油浸が大事らしいとの認識を得て,業者さんから油浸オイルを取り寄せて検鏡にこぎつけたのです。このときに覗いたのはコスキノディスクスで,乾燥系よりはるかによくみえたので驚いた覚えがあります。しかしその頃に「よくみえた」と思っていたのは不十分な認識で,そのレンズの性能について何もわかっていなかったですね…。ちゃんと使うとそんなものではない,ということが判明したのは,それから6年後くらいです。その間,もし顕微鏡のお勉強をやめていれば,そのレベルで終わってしまったわけで,いま振り返っても,解像限界を追求してきてよかったと思っています。

それにしても,最初に使ったレンズというのは思い入れのあるものです。このレンズ,10年くらい前に,人にあげてしまったらしく,手元になくなっていたのです。それからしばらく入手したいと思っていましたが, 中年オヤジの願いが届いたようで,レンズの方からこちらに転がり込んできました。久しぶりの対面で,先端にちょっとオイルをつけて珪藻をみれば,やはりよくみえるのです。自分をこの世界に導いてくれたきっかけはいろいろありますが,このレンズもその一つで,これからも大事にしたいと思っています(画像/MWS)。








2016年9月8日


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お休み期間中でも情報提供くらいは…とも思ってしまいます。そこで皆様にぜひとも詳しく読んで頂きたい重要情報を。

こちら

この辺りの話は,筆者にはいろいろなところから漏れ伝わってきたので,何らの違和感のない内容です。しかし,まとまって書かれた資料としては数少ないものと思います。これを読んで,自分の認識とのズレを調べることで,何か大切なことがわかるかもしれません(画像/MWS)。








2016年9月7日


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プリンタが故障してしまい業務が停止しました。プリンタというのは,大事なものを印刷するときに故障するという特性を持っているわけです。筆者にしては珍しく対物レンズのテスト画像を写真品質で印刷していたらB200なるエラーを吐き出し,プリンタ故障特性の本領が発揮されました(笑)。仕方がありませんので,プリンタはすぐにキヤノンの修理受付に持ち込みました。14日以降に受け取れるとのことでしたので,それまで夏期休業といたします。研究関連の仕事もたくさんあるので順次片づけます…。

キヤノンのサービスにははじめて行きましたが,超高層ビルの1階で,きれいなお姉さんが親切に対応して下さって中年オヤジとしては,まぁわるくない時間だったのでした。こういったサービス窓口のお姉さんの能力は高いのです。まだ学生だった頃,堀内カラーのお姉さんを受付スタッフと勘違いしていたら,「どんなご相談ですか?」と聞かれ,D76がどうの硬調処理が云々で印画紙が4号云々と伝えましたら完璧に対応してもらえました。外見で人を判断しようとしていた自分を深く恥じたことでした。

話がそれてしまいましたが,9月7日-9月14日は休業致します。メールにはなるべく返事をするつもりですが,ほかのことは後回しになります。ご了承くださいませ(画像/MWS)。








2016年9月6日


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対物レンズをよい状態に保つために,先玉の様子はよくチェックして,汚れているようならブロアでホコリを飛ばし,毛先で粒子をどかしてみて,それでも付着物があるようならレンズペーパーに精製水の組み合わせで拭いてみて,油性の汚れが残っているなら溶剤拭きで仕上げます。後端レンズの場合は引っ込んでいることが多く,このようなことを行うとかえって汚したり,傷をつけたりすることもあるので,ほどほどのところでやめておくのが無難です。この『ほどほど』がどの辺りなのかはレンズによっても,作業する人のレベルによっても異なりますが,参考になるのが昭和8年のツァイス社の解説書にある記述です。

接物鏡の掃除は,前端鏡玉の前面及び後部鏡玉の上部のみに止むべし。強倍率の接物鏡にあっては,後部鏡玉は特に鏡筒の深所に所在す。ピンセット又は針金等に布を纏き内部の掃除を為すは却って破損を招致する恐れあれば不可なり。内部の清掃には軟らかき毛筆最も可なり。


ということです。この記述は確かに当たっているように思います。軟らかい毛筆は毛先がレンズ面でいろいろな方向に散らばってくれるので付着していたチリを払うのに適していますし,硬い粒子がついていたとしても,毛筆で除去すれば,傷がつかないのです。ただ欠点もあって,十分に脱脂して清潔にしておいた毛筆を使わないと,レンズ面を油で汚すことにもなります。また一部の対物レンズでは,スプリングなどが後部から見えていて,そこからサビや油が毛筆につくこともあります。こうした点に注意して使えば,チリやホコリが入り込んでしまったレンズのメンテナンスには有効でしょう。

画像は古い対物レンズと細い毛筆の例。オオカミの毛で作ったという細い筆は骨董市で入手しました。もう一つの筆は,ニコンの顕微鏡に付属のもの。1970年代後半に納品されたニコンS型には,画像のような上等な筆(ハケ)がついていたのです。いまでは見かけないものですが,これ,ニコンが作ったものでしょうか。それとも三啓さんなどの販売店さんがサービスでつけてくれたものでしょうか。どこかで売っていたら2,3本ほしい気もします(画像/MWS)。








2016年9月5日


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こんな看板がみられるのは一関市くらいかもしれません…。喫茶店でもどこでも,『餅』が食べられるのです。餅専門店なるものもあるようで,いろんな味付けの餅セットをメニューにしているお店もちらほら見ました。そこいらへんのスーパーでも餅がふつうに転がっています。だいたい,丸餅で,つきたてのような柔らかさです。

イートインコーナーのある物産館的なお店で,地物野菜を買って食べていたら,どうみても90歳くらいの,身体のあちこちが不自由そうなお婆様が,餅パックを3つ購入してご着席。パックを開封するのも難儀するほどのろのろ動作で大丈夫かと思いましたが,この人,あんころ餅,ずんだもち,あと何とか餅,3パックを全部食べてしまいました。どうみても1000kcal超えで,一切の野菜も肉も食わず,餅だけを食べて帰っていったのでした。こんな光景は見たことがなく,さすが一関と思いました。

一関の餅がうまいのは確かですが,まーでも,くいすぎは良くないよ,婆さん。糖質でやられたあんたの医療費はどこから出ているんだよと,ちょっと言いたい気もしたのでした。一関に行って餅の試食は,まぁ3個までにしましょう。おすすめは納豆餅です(画像/MWS)。








2016年9月4日


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対物レンズは先玉を上に向けるのが正しい置き方です。うしろのレンズにゴミが入り込むと,これをきれいにとるのは至難の業だからです。ところが,むかしの真鍮ケースの対物レンズは,先玉を下に向けて収納するようになっていました。保管時にレンズ内部の塗装やサビが剥がれて後端レンズを汚すことが認識されていなかったのかもしれません。そう思っていましたら,昭和8年のツァイス社の解説書に,このことに関する記述がありました。

接物鏡内部に塵埃の侵入を極度に少なからしむる為,当社はカプセル内の鏡玉の位置,及びこれが取り出し方に改良を加へたり。従来,接物鏡はその前端鏡玉をカプセルの底部に向けカプセル内に懸垂するが如く収納する方法を採れり。然れどもその不可なること明らかなるが故,現在は先ず接物鏡の前端鏡玉を上方に向けカプセルの蓋に置き,後,カプセルの莢を被すことに改めたり。従って従前の収納方法とは全々反対の位置を採るなり。故に現在にては収納せらるる接物鏡の重要略号はカプセルの蓋(現在は底部に相当す)のみならずその底部(新様式の上部)にも刻記す。


ということなのだそうです。さういうわけで,本ページの読者の98%くらいの方は(^^; 古い対物レンズをお持ちのようですので,このツァイスの記述に従って,これまでとは反対の,逆さまにしてレンズを保管しましょう。

このことは,取扱上,かなり大事なことです。ふつうの人は,対物レンズの内部がどうなっているか,いちいち確認しないでしょう。そうすると,ホコリやチリが積もってコントラストが低下したレンズを知らず知らずのうちに使っていることになるのです。筆者は100年前の対物レンズでも頻繁に使いますが,けっこうゴミが入っているのです。ゴミはどこから来たのかというと,対物レンズのバレル内部です。つや消しの煤が,剥がれて落ちてくるのです。さかさまに保管すればそのようなことも少なくなります。そして使用前にバレル内部を,逆さまにしたままブロワーで吹いて,それからレボルバにつけ,対物レンズ後側焦点面を見て正常なことを確認し,それから検鏡するのです(画像/MWS)。








2016年9月3日


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これはレンズテスト中の様子。対物レンズの分解能テストは高度な技術が必要で,単に写せばいいというものではありません。無収差の標本。どんなコントラスト法を用いるか,それに対する最適な操作,照明の光量調節とCMOSのS/Nのバランスなど,考えつくあらゆるパラメータを調節して解像限界を確かめます。撮影枚数も数十から数百枚に及ぶこともあります。そうやって得た画像を,こんどはいろいろな方法で画像処理を施し,そのレンズの限界を見極めます。そうしてやっと,そのレンズの性能を出し切った像が得られ,その限界的な像を比較してレンズのランクを見るのです(画像/MWS)。








2016年9月2日


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過ぎゆく夏のおもひで… 東京・高尾山にて (画像/MWS)。








2016年9月1日


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東京湾海水にはこんな珪藻も入っていました。画像真ん中を斜めに横切っているのはプセウドニッチア(Pseudo-Nitzschia)属の珪藻です。いくつかの細胞がつながって群体を形成しています。このグループの一部の種の中の一部の株は,記憶喪失性の毒(ドウモイ酸)をつくることで有名です。そのような毒を持った群体の発生はかなり希ですが,たまに起きると,それが貝類に蓄積されて,それを食べた人間が中毒を起こすこともあります。珪藻は最低でも数万種もいるのに毒を作る種はほとんどいないのですが,これは陸上植物などと比較するとどのくらい特異なことかわかるかと思います。本種は例外中の例外のようなものですが,ニュースなどでは悪者扱いされ,さらに珪藻がニュースになるのはこういった毒の問題などに限られるので,珪藻のことをまったく知らない人がニュースを見れば,珪藻=毒,と覚えてしまうかもしれません。

なおこの珪藻の仲間は日本沿岸にもふつうで,東京湾にもたくさんいますが,ほぼ無毒で,問題となるほど毒を持った例は確認されていません(こちら)。そういうわけですので,珪藻=毒は正しくなく,本ページの読者には,ぜひとも正しい知識に訂正して下さるよう,ご協力をお願いしたいところです(画像/MWS)。









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