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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


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新刊書のご案内
 

『たくさんのふしぎ2019年6月号 珪藻美術館 ちいさな・ちいさな・ガラスの世界』を出版しました!! 各方面から絶賛の声が届いております。 まもなく在庫切れの見込みです。本の紹介についてはこちら をご覧下さい。






2019年10月31日




こうして画像を見るとけっこう良くできているプレパラートに見えますが,それは透過明視野で見ているからです。暗視野で見れば背景に粒子がいっぱい…ということになり,当サービスの出荷基準を満たしません。ので,試作はボツなのです。こうした試作は過去から行っていて,経験的には相当に厳しく見ておかないと危険だと感じています。安定した封入というのは時間をかけないとわかりません。これまでも封入後5年で剥離したとか,封入後10年で濁ってきたとか,封入後12年で謎の顆粒が出てきたなどの経験をしています。いずれのものも出荷しなかったのでお客様に迷惑をかけることはなかったのでホッとしていますが,他方,厳しい出荷基準のため製作難易度は大変なものになっていて商売上はよろしくありません。難しいものですね(画像/MWS)。








2019年10月30日




当サービスのプレパラートはどれも技術的に完成の域に達していて光学的には申し分のないように製作しています。しかし改良の余地もあり,よりよいもの,より新しいものを提供できればとの思いはいつでもあります。新しいものを作り出すには試験が欠かせませんが,これがけっこう難物なのです。きょうも新たな封入法を考えて試験を行いましたが,結果は思わしくありません。ダメなときにはすぐに結果がでます。何千円何万円で購入した資材がごみとなる瞬間が訪れるわけです。きょうがその日なのでした…。画像は封入試験中のもの。もったいないので,テスト封入には割れたりヒビが入っていたり汚れている珪藻を主に使います(画像/MWS)。








2019年10月29日




科博叢書『微化石』は現在でもamazonさんに在庫があります(こちら)。少なくとも,10月中の廃版は免れたようです。しかし絶版アナウンスが公式に流れたことから,出版契約解除はいつでも有効になる状態のはずで,在庫を売るか廃棄するかの選択は出版社の一存で決まる常態だろうと想像します。この状況で一日でもながく『微化石』が販売され続けるためには,継続的に売れることが第一です。これからが大事です。

皆様,ぜひ『微化石』を学校の理科の先生に紹介していただけないでしょうか? たとえば高校の科学クラブにこの一冊があれば,どれほど高校生に夢を与えることでしょう。理科準備室においておくのも良いでしょうし,図書室に入れてもらうのもよいでしょう。そして全国の高等学校,中学校などに配備されれば,出版社の在庫などすぐになくなることと思います。

この貴重な本が売れ残っているのは,単に情報が行き渡っていないだけなのです。科博叢書『微化石』を手にとって喜ぶ人は,日本には何千人も何万人もいるでしょう。でも,存在を知らなければ永遠に手に取ることはありません。人の手に渡らなかった本は倉庫に積み上がったまま,人知れず廃棄処分になり,裁断されて焼却炉で燃やされてしまいます。

大切なのは必要な人に情報を渡すことです。皆様,ぜひ情報戦を戦ってくれませんでしょうか。現代は情報の洪水状態になっており,必要な情報を残すように意図的な努力を行わないと,大切なものがどんどん埋もれて消えていく時代なのです。大切なものを残す戦いにぜひ参戦下さい。

きょうの画像は微化石の一つ,放散虫です。バルバドスの放散虫化石で,観音様を思わせる形態の小さな個体です(画像/MWS)。








2019年10月28日




少し前にニコン スモールワールドのコンテスト入選作が発表されていました。今年もマクロや深度合成のオンパレードで,黒バックにケバケバしくゴテゴテに表現したものを中心に選ばれているようです。なんとも言い難いですね。もう少しまともな審査員を選ぶことはできないものですかね。

そんな中,知人の作品も見ることができたのはちょっと良いできごとでした。赤く染めた酵母をゾウリムシに食べさせてDICで撮影したその手法は,発想も含めてなかなかだと思いました。そのままの酵母を食べさせてもコンテストの審査委員は見向きもしない。けれども酵母を赤く染めればぱくーっと食いつく。カラフルなら何でもよいという審査委員のレベルの低さを逆手にとったわけです。さすがです(画像/MWS)。








2019年10月27日






当サービスとお客さまの信頼関係は深いもので,『微化石』をお願いしますと本ページに掲載すれば多くの方々が救済に動いて下さり,『たくさんのふしぎ』をよろしくお願いいたしますとアナウンスすればamazon1位を連続キープしたりします。本当に有り難いことです。

そして『いわいどり』のから揚げはウマイ!とプッシュしたところ,南国からの出張帰りに立ち寄って早速購入との報告が届きました。ご家族との夕飯に上卓したそうですが,「肉質の良さに感激です! 味といい、歯ごたえといい、これは非常に質の高いものですね。濃すぎない味付け(でもきちんと味がついている)にも感心しました。」とのお言葉を頂戴しました。

うれしいですね。

世の中の片隅にひっそりと存在している当サイトですが,こうして情報を信頼してすぐに行動に移してくれる方々がおられることに,しみじみと感謝の気持ちを感じます。みなさまいつもありがとうございます。

きょうの画像は『いわいどり』のからあげ屋さんのPRを撮影してきたもの。ちょっとセンスがないなぁという気もします。これだけ品質の高いものを安定して供給していれば,「行列ができる」とか「グランプリ」がどうとか,関係ないと思います。室根山の写真と鶏舎の風景,きれいに盛り付けられたから揚げ,この二つがあれば十分です。

筆者にしても,こういったチラシに吸い寄せられたわけでなく,大船渡線からみた『いわいどり』の施設にピンとくるものがあったのと,一関市のスーパーJOISで購入したいわいどりの焼き鳥に驚いて,その記憶から『からあげ家 奥州いわい』にたどり着いたのです。

本当に品質の高いものは一回食べればわかります。記憶に残ります。ので,ぜひ『いわいどり』もグランプリ優勝とか行列ができるとか,そんなことは関係なく,高品質を安定して維持していただき,その品物を多くの人に味わってもらいたいと思います。味の記憶はどんなチラシよりも効果があると思うのです(画像/MWS)。








2019年10月26日




珪藻はうすーいガラスでできたカプセル,という表現をときどき使うのですが,それはお薬のカプセルとよくにた構造を珪藻が持っているからです。ほとんど同じ大きさの2つのパーツがしっかり組み合わさって閉じた空間(=細胞)を作っている。でもカプセルっぽい画像を撮るのはそんなに簡単でない。珪藻を真横から撮影すると,二つの容器がぴったりと組み合わさっていて溶着したような一つのパーツに見えてしまうことが多いのです。きょうの画像のDitylumという珪藻は被殻がとても脆弱でたわみやすく,カプセル構造になっていることがわかりやすい種です。むかし撮影したものですが,いまみても結構よく写ってるな〜と引っ張り出してきたのです(画像/MWS)。








2019年10月25日










本ページのコアな読者であれば,筆者が毎年夏に東北ブロック農産物調査に出向いていることをご存じでしょう。そしていつも,大船渡線から『いわいどり』を眺めて喜んでいることもご覧頂いていることかと思います。『いわいどり』は一関市の気仙沼寄りに位置する山の中の養鶏場で,その環境の良さや管理状態の良さは列車の車中から見てもすぐにわかるほどです。そして一ノ関のスーパーで見かけた『いわいどり』の焼き鳥は,これまで食べてきたものとは次元の異なるもので,魚介類や野菜以外でも,地場ものの良さがあるのだということに感嘆しました。

しかしそれからというもの,『いわいどり』はどこにいっても見つからない。地元一ノ関でもないのです。どうしたことかと思っていたところ,なんと秋葉原に『いわいどり』の唐揚げ屋さんができているではないですか(こちら)。

本ページのコアな読者はご存じのように,筆者は自宅で油料理を行いません。油煙が仕事の材料を汚すからです。ので,とうぜん唐揚げなど作ったこともありません。でも,全く食べないわけではなく,市販のもので良質なものであれば喜んでいただきます。でも,良質なものは少ない…のです。

そこに天から光が射してきたような『いわいどり』の朗報。これは出かけないといけません。ということで,もうだいぶ前の話になってしまいますが,夕方に運動不足解消がてら買い物に出向き,秋葉原から歩いて帰ってきたのです。(その途中でマツナミさんの前にばったりと出た)

さて期待の『いわいどり』ですが,やはりひと味違ううまさです。なんていうか,鶏肉の品質がワンランク上です。もものしょう油とむねの塩がオススメかもしれません。個人的には,塩気を2/3ほどにしてくれて,油をもう少し切ってきれれば100点満点かも,という感じでした。でもお弁当向けなので味を濃くしているのだろうから,そこは仕方のないところですね。

ということでよい物を精選して皆様にお届けしている本ページですが,6年ぶりくらい?に揚げ物の紹介なのでした(前回はローソンのコロッケ)。

室根からあげは,からあげグランプリで最高金賞もとっており,これは投票によるものだろうから,多くの人の支持があったものと想像します。秋のビールのつまみは何にしようかと思っているそこの旦那さん,『いわいどり』をぶらさげて帰れば奥様もよろこぶかもしれません。ゴーゴー(画像/MWS)。



*1 からあげは注文してから揚げてくれるので電車でのお持ち帰りはハードル高いです(笑)。ので筆者は歩いて帰ってきたのです。同行した調査員Aはすぐ近くの公園で出来たてあつあつの唐揚げをバクバクと2個味見をして(゚д゚)ウマー  とのことでした。




2019年10月24日




東京港(青海)でヒアリが発見されてニュースになっているきょうこの頃,皆さんもアリが気になっているのではないでしょうか。筆者はアリについては苦手意識があってダメでした。6,7歳の頃には「むしはかせ」と呼ばれ,そこいらへんを飛んでいる虫はほとんど名前をそらんじることができた少年だったのですが,アリはさっぱりダメ。数種類はわかりましたし,名前だけなら十数種くらいは頭に入っていましたが実物をみてもわからない…。

その後,大学院も終わる頃だったか,web上に日本産のアリデータベースが構築されはじめて,その膨大な情報をみて,アリにはとても手が出せない…と思い込んで平成の時を過ごしたのです。

ところが時代は令和に入り,とんでもない書籍が刊行されました。それがきょうの画像。身近なアリけんさくブック(仮説社)です。これは革命的な本といって差し支えないかと思います。膨大で手のつけようがなかったアリを,ごくふつうに見られる種を精選して絞り込んであります。そしてその絞り込まれた種については,ひじょうに詳しくわかりやすく特徴を記載して,けんさくブックの中ではきちんと区別がつくようにできています。

筆者がアリの同定に手をつけられなかった原因が膨大すぎるデータだったわけで,そのハードルを専門家が取っ払ってくれたので,いとも簡単に「身近なアリ」だけを学ぶことができます。実際問題としても多くの人々の居住地は都市化しているので,このハンドブックでかなりの部分はカバーできると想像します。とても凝った作りで,子どもが手荒に扱ってもじゅうぶんな耐久性をもった本に仕上がっているのも魅力です。こんな本を作れるのは発想力に富んだ編集者と,ある種元気のある出版社だからでしょう。皆様ぜひ,この革命的な本 (こちら) をチェックして下さいませ(画像/MWS)。








2019年10月23日




いつもお世話になっているテクノシナジーさんから,HPをリニューアルしたよ,との連絡をもらいました。いままでも情報豊富なwebサイトでしたが,今回のリニューアルではたくさんの解説コーナーが発生して,これまで以上に勉強になるサイトに変化していました。光の科学に興味のある方はぜひのぞいてみてください(こちら)。

テクノシナジーの田所さんは分光測定がご専門ですので,本ページの読者にはちょっとハードルが高いかもしれません。そう思った方には,こちら のページがオススメです。写真とはこのように撮るのだ,と言わんばかりの優れたお手本が満載で,写真表現の教科書としてそのまま成立するような内容です。ときどきおいしそうなラーメンを食されているのも必見です(笑)。

本ページの読者の方々は当然ご存じと思いますが,テクノシナジーの田所さんは多数の著作をお持ちで,中でも『光の科学』『光の実験』は名著として有名です。まだ見たことのない方がおられましたら,ぜひ,amazonさんの方もチェックしてみることをオススメいたします(こちら)。

筆者はもともと珪藻を研究していてのちにMWSを開業してしまったわけですが,開業後はなぜか生物系よりも光学,応用光学の方々とのつきあいが多くなり現在に至ります。テクノシナジーさんはその一つで,分光などについていろいろご教示いただきながら現在に至ります。御著書からも多くを学んでいます。有り難いことです(画像/MWS)。








2019年10月22日




買い物が終わり運動がてら自宅まで歩いて帰ろうと,まったく適当に通りを歩いていたら目の前にマツナミさんが…。マツナミさんの製品は何十年も使っているのでなんとなく親近感があり,こんにちは〜と扉を開けたくなるような気が(笑)。所在地は気にしたことがなかったのですけれども,周囲には医科系の大学も多く,なるほどよい場所なのかもしれません(画像/MWS)。








2019年10月21日






九州らーめん桜島(八王子市)が閉店してから半年が過ぎ,跡地にはホルモン焼き屋さんとたこ焼き屋さん…。八王子に行ったらどこでラーメンを食べれば良いのか…。途方に暮れるばかりです(画像/MWS)。








2019年10月20日








科博叢書『微化石』の絶版予告情報を流して以来,多くの方から「買ったよ」のお言葉を頂きました。十数人に及ぶことと思います。新たに入手した方々は,「うーん…」という表現を用いた一名を除いて全ての人が,「こんなに素晴らしい内容ならもっと早く入手しておけばよかった」「素晴らしい本」「絶版はもったいない」といった感じのご感想をお持ちでした。支持率90%以上の高率です。

きょうの画像一枚目はお客さまの一人からのメールです。本当に有り難いことで,また素晴らしい心がけの方々がおられることに明るい未来を感じます。『微化石』の保護活動にご協力頂きました皆様に心より感謝申し上げます。

連絡を頂いた方々以外にも,『微化石』を購入下さった方々はたくさんおられることと思います。出版社の方でも,在庫が動き出したとの判断が働いたのか,現時点でamazonの在庫が復活しています(こちら)。まだ入手可能のようです。出版社さんからの直接購入は(こちら と こちら)です。

まだ『微化石』をお持ちでない方は,この機会に一冊保護していただけませんでしょうか。一日でもながく販売が継続されるよう,皆様のご協力をお願いいたします(文責/MWS)。








2019年10月19日




試験湛水中の八ッ場ダムが洪水を防止した神様のように祭り上げられているようなのだけれども,そして,それを信じ切ってSNSなどで流しまくっている人々がいるようなのだけれども,なんか,こういった雰囲気が大本営発表を信じて戦争を突き進む国民性なのかしら,などとちらっと考えたりもします。

ダム関係者,あるいは河川工学を少し学んだことのある人なら,このダムがあってもなくても今回の洪水被害は似たようなものだったろうということはすぐにわかるかと思います。日本のダムで,今回のような降雨を全量受け止めて被害防止できるような規模のものはほとんどなく,実際には洪水調節容量はダムの容量よりも遥かに小さいので,大規模かつ継続した降雨についてはダムは無力です。そのことは河川工学の教科書にも書いてあることです。

無力なだけならいいのですが,ダム運用の操作を間違えれば,被害を拡大することもあります。放流量の予測を誤り,想定外の降雨が続いた場合は,すでに下流側で洪水が起きていてもダムの破壊を防止するために緊急放流を行うよりほかはなく,被害はさらに拡大することもあり得ます。

さて八ッ場ダムですが,yomiuri on lineに大変優れた記事が出ていました(こちら)。一部を引用すれば,

八ッ場ダム(群馬県長野原町)の水位が、台風19号による大雨で急上昇した。国土交通省関東地方整備局の速報によると、13日午前5時現在の水位は標高573・2メートルとなり、満水時の水位(標高583メートル)まで10メートルほどに迫った。台風によるダムの被害は確認されていない。

 八ッ場ダムでは、満水にした後に最低水位の536メートルまで下げていき、ダム本体や周辺の斜面の安全性を確かめる試験湛水が始まっている。国交省は、最高水位に達するまで「3〜4か月かかる」とみていたが、周辺では11日未明から13日朝までに累計347ミリの雨が降り、山間部から流れ込んだ水でダム湖の水位は約54メートルも上昇した。
この記事の優れているところは,重要な数字が記載されていることです。まず,このダムは試験湛水中で,ほとんどからっぽだったことがわかります。最低水位が標高536m,満水水位が583mということは,その差は47mです。ダムはこの間で運用することとなるわけです。さて,今回の降雨での水位上昇は54mと書いてあります。つまり水位は通常運用よりも9m低位置にあったわけです。正常なダム運用時よりも,たくさんの水をため込むことができる状態なわけです。

そこに347ミリの降雨があって,ダムは満杯に近くなってしまった。つまりこのダムの「相当雨量」は347ミリ以下ということがわかります。日本では台風や活発な前線活動による大雨では,500mmの降雨もまったく珍しいことではないですが,このダムはそれだけの相当雨量には耐えられず,場合によっては緊急放流まで追い込まれる,その程度の容量しかないのです。

そしてダムの立地をみればわかるように,集水面積はさして広いものでもなく,このダムがため込んだ水をを流域面積に均等に全量ばらまいても,水位の上昇は平均的には数ミリ?数センチ?,そんなレベルだと思います。正確な計算はあとで誰かがやってくれるでしょう。

という簡単な考察だけでこのダムが洪水防止の神様ではなかったことが容易に予想されます。

そしてこの八ッ場ダムは多目的ダムであるので,今後は,洪水調節容量はずっと小さくなります。利水のために水を貯めておかなくてはならないので,ダム本体の全容積を洪水調節に使うことは許されないのです。今回の試験湛水で貯留された容量の30%も使えれば良い方ではないでしょうか。つまり,見た目の1/3の容積の洪水調節ダムということです。

ダムで洪水が防げるというのは幻想です。

でも世の中の情報の流れをみていると,土建で世の中の災害が防げるようなものが多く,どこの大本営発表あるいは業界の洗脳に染まってしまったか,あまり考えずに信じ込んでしまっているようなレベルの情報が洪水のように氾濫しています。日本人の国民性なんでしょうかねぇ…。

あとそれから,今回の八ッ場ダムのように,試験湛水中に一日で満水近くにしてしまった事例は聞いたことがありません。ダム本体や周辺の地形は水圧で変形するので,試験湛水中にそれらの変化量を見ながらダム本体の歪みや斜面にかかる負荷などをモニターして,安全性を確保するのが常です。いきなり満水レベルというのは世界的に経験がないはずで,どのような経緯でOKがでたのでしょう。

日本のダム技術は世界最高のものをもっていることは疑いのないところですが,それでも,前例のない,ダム本体にいきなり負荷をかけることをやるのは相当に危険を伴うことだと思うのですけれども…。洪水調節効果は微々たるダムでも,ダム本体が破壊されれば50mを超える落差の水が一度に放出されるわけで,その影響は甚大で多くの被害者が出ることは容易に予想されることです。

土建技術で全ての災害を防ぐことは不可能です。沿岸地域の方々が,津波は必ず来るということを前提に暮らしているのと同じように,どこに暮らしていても,水害はいつでもやってくることを前提に備えのある暮らしをすることが重要に思います。ダムを賞賛してSNSに流しても人命は救われませんが,その不毛な時間を,災害時の備えと人助けに何ができるかを考える時間にすれば,救われる命は増えるだろうと思います(画像/MWS)。



(余談) 産経新聞の記事によれば(こちら

無所属の岡田克也元副総理は17日午後、台風19号に伴う利根川の氾濫防止に寄与した八ツ場(やんば)ダム(群馬県)の建設工事を一時、凍結した旧民主党政権を自民党が批判したことについて「的外れだ」と述べ、不快感を示した。国会内で記者団の質問に答えた。

ということだそうです。民主党が八ッ場ダムを一時凍結したことで,「治水に寄与するダム建設を凍結したのはけしからん」と自民党が非難糾弾し,自民党広報誌の一つである産経新聞が事実を確かめもせずにそれを報じるといういつものパターンです。

でもこれ,ちょっと考えると,民主党さんが八ッ場ダムの建設を止めたのでダムの完成が遅れ,そのお陰で今回の台風19号にピンポイントで試験湛水という僥倖に恵まれたわけです。利根川の氾濫防止に最大の寄与をしたのは,八ッ場ダムを空っぽの状態で台風を待ち受ける工期の遅れを作った民主党さんかもしれませんよ(笑)。自民党さんの思惑通りにダムが数年前に完成していたら,今回の6,7割増しの水を下流に流すことになったわけですから。

ということで,政治家のみなさんは,幼稚な議論はやめましょう…。





2019年10月18日




アクナンテス(海産)の連鎖群体。良い状態の群体をそーっとサンプリングしてきれいな海水ですすいで急送。鮮度の高いうちに撮影したものです。色素体の形状や色を見れば細胞の状態がよろしいことがおわかりになるかと思います。こういう絵を見ると,海の近くに顕微鏡を設置した別荘が欲しくなりますね…(画像/MWS)。








2019年10月17日




珪藻のガラスの殻は,フタと底部と,それをつなぐオビの部分から構成されています。そのことを示してみたのがきょうの画像。ゲフィリアという海産の付着珪藻を横から見たものです。微細構造をもつ上下の被殻と,それをつなぐ透明な帯(ガードルバンド)がよくわかります。何か必然的な理由があったのでしょうが,なぜこの形態を採用したのかは興味をそそられるところです(画像/MWS)。








2019年10月16日




いつもはスモッグのなかに沈んでいる東京都心も台風通過後のわずかな時間だけは空気が澄み渡ります。今回の台風は21時過ぎに通過していったので,26時〜27時頃は雲もとれて星空となりました。このようなチャンスを逃してはもったいないので,久しぶりに5インチアポをセットしてM42とM41を観察しました。ほんとうに久しぶりです。前回見たのは少なくとも5年前以上の気がします。。

画像は27時30分過ぎ頃に撮影したオリオン座の一部。M42のほか,けっこう暗い星まで写っています。満月の都内でこれだけ写る日は通常はありません(画像/MWS)。








2019年10月15日






時事通信によると同日、自民党本部で開かれた緊急役員会に参加した二階幹事長は台風被害について「予測されていたことから比べると、(被害は)まずまずに収まったという感じだが、相当の被害が広範に及んでいる」と発言。その後、自身の「まずまず」発言について二階幹事長は「日本がひっくり返るような災害から比べれば、という意味だ。想像も及ばない激甚な災害に抜かりない対応をしていく」と記者団に釈明したという。


言葉尻をつかまえてあれこれ言うのは好みではないのですけれども,このニュースはちょっと気になりますね。13日午後の段階で本当に被害状況の把握ができていたのでしょうか? 部分的に報道されている情報だけで全体を判断するには無理があります。交通の寸断にしても各地の洪水状況にしても,「日本がひっくりかえるような災害」と言っていいレベルではないでしょうか。多数の被災された方々が存在する以上,「まずまずに収まった」という言葉は少なくとも被災者に向けては使えないはずです。

御年80歳の人生の大先輩であり政府与党の幹事長という要職の立場なのですから,後輩議員たちの見本になるような,正しい現状認識と言葉遣いを期待したいところです。

画像は13日午後の八王子市内の様子。10年に一度あるかないかというレベルの出水状況でした(画像/MWS)。








2019年10月14日




北陸新幹線の車両10編成が長野新幹線車両センターで水没のニュース。これは本当に不思議なことです。

今回の台風が史上最大級のもので大災害になりかねないことは台風の来る5日前からわかっていたことで,多くの方々は水没してはまずいものを移動したり,風で飛ばされては困るものを移動したり,様々な備えをしていました。各鉄道会社も計画運休をして,災害防止に備えていました。新幹線も終日運休していました。

この状況で,台風が来る前に車両センターからそれぞれの編成を回送して駅に留置するなどして,編成に被害が及ばないようにすることは容易だったはずです。

車両センターは高台にあるわけでもなく,河川に挟まれた土地なので最悪の場合は浸水することは想定が難しいことではありません。台風が接近して降雨が強まってきた時点でも,記録的な降雨が続きそうなこと,それぞれの河川の水位が上昇して危険になってきたことなどを把握することは難しくありません。どう考えても避けることができたと思えてなりません。

JR東日本の誰も,長野新幹線車両センターの編成のことを思い浮かべなかったのでしょうか? それとも,わかっていて水没するのを見ていたのでしょうか? 危機管理部門はあるのでしょうか?

泥水が浸水すれば細かな粘土鉱物があらゆる部分に入り込みますので,機器類はまともに動作しないですし,洗浄して元通りにすることも困難でしょう。廃車しか方法がないように思えます。全編成が廃車になるとすれば,車両価格だけで300億円〜500億円規模の損害でしょう。

これだけの損害を出しながら,おそらくは誰も責任をとらず,会社が潰れることもない。ので,社員が痛みを感じることも希薄。

もしこれが地方鉄道だったら再起不能でしょう。なんとかして車両を守ろうとするはずです。

本当に不思議です(画像/MWS)。








2019年10月13日








台風の横殴りの雨により当室で雨漏り発生…。直ちに当サービスの技術班が出動し,画像のように応急処置。このような台風のもとで雨漏り修理は不可能なので,被害拡大を最小限にするのがよろしいです。ビニールひもを漏水位置に画鋲で貼り付けてタンクに導水します。速やかに導水すれば行き場を失った水が広がってあちこちを濡らすことを防げますし,ぽたぽたと垂れて飛沫で室内を汚すこともありません。音も静かになります。

雨漏りの量は一晩中置いても数リットルに達しない見込で,まったく大したものではないので,現時点ではごく軽微な事象といったところです。顕微鏡からも離れた位置での雨漏りでしたので光学機材への影響はなく,畳を30センチ四方濡らしてしまった程度の被害でした。

鉄筋コンクリートの建物といえど,微細なひび割れや構造上の隙間は存在する場合があるので,そこから水が伝ってしまえば雨漏りはとうぜん起きます。今回の台風は雨量がかなりのものですので,仕方のないところです。皆様もお気をつけ下さい(画像/MWS)。



(追記) 21時過ぎに当サービス付近を台風通過中…(画像三枚目)。中心部通過は21時12分頃でした(967.7hPa 本駒込気象台による)。なかなか厳しい強風の時間でしたが,千葉県に行かなくてよかったです。各地での災害規模が拡大しないよう祈ります。




2019年10月12日




巨大な台風が本州を直撃するのが確実のようです。繰り返し警戒情報が流され,多くの方は災害に備えているようですので,備蓄等の問題は少ないのではないかと思います。みなさまにぜひ気をつけて欲しいことは,「風」です。ニュースなどでは風速60メートルなどと言っていますが,実感がわかないでしょう。60m/sという風速は時速に換算すると216km/hです。新幹線から放り出されるくらいの風速です。人間は吹き飛び,重量物でも風を受ける面積が広ければ飛んでいきます。そのスピードで何かが飛んできて体に当たったら即死の恐れすらあります。台風通過中は安全な屋内に退避し,また,窓際は避けましょう。あとは文字通り,運を天にまかせるしかありません。どうか大きな災害になりませんように(画像/MWS)。








2019年10月11日




各社の顕微鏡メーカーさんは超高性能な光学系の開発をつねに続けていて,筆者が学生の頃に眺めていたカタログからは想像もできないような製品が次々と発売されるに至っています。レンズに求められる性能は厳しく,これを満たそうとすると自然と光学系は巨大なものになります。あらゆる収差を補正して,補正環を装備して,さらに長大なWDを確保するとなると,レンズを大型化させる以外に方法はありません。むかし33.6mmとか36.65mmだった同焦点も45mm,60mmとなり75mm,90mmのものさえあります。対物レンズが巨大化したことを如実に示しています。

ハイスペックなレンズはお値段の方も上昇するわけで,きょうの画像のレンズは軽自動車が買える価格です。もはや化け物のようなレンズですが,医学方面ではこのようなレンズに実際に需要があるので生産されているわけです。

でも…,メーカーさんも,もう少し「小型高性能」の方にも目を向けてくれないかしらと思います。メーカーさんが医学方面の需要に応えることはもちろん重要ですが,子どもやアマチュアが本格的で高性能な顕微鏡に触れられる機会を増やせば,将来,顕微鏡を正しく使える人材がたくさん生まれることと思います。そのためにも,現代の技術で,手のひらの上に乗る,光源内臓で,低NAから高NAまで対応するコンパクトな顕微鏡を作って欲しいのです。そのような顕微鏡は教育用途に適しているだけでなく,フィールドでの生物調査や,工場の品質管理部門でも大いに役立つことと思うのです。どこかやってくれませんかねえ(画像/MWS)。








2019年10月10日








9日は必要なパーツを買いに こちら のお店に出向きました。前から行きたいお店でしたが,なかなかタイミングが合わずに数年がたってしまいました。さすが直営のショールームだけあって,細かなフィルターものやリング類なども豊富に在庫していて助かりました。他にも高級なレンズ群や望遠鏡がずらっと並んでいて,じつに癒やされる空間でした。それらの中でいちばん目をひいたのがトキナーのSL28mm,SL35mmという単焦点レンズ。このレンズ,中学生の頃から欲しかったのです…。でもまったく見かけないレンズだったので入手することはできませんでした。そのレンズの実物を初めて見ることができて感激でした。中学生のころ好きだった女の子のことはいまでも好きなままであるのと同じように,中学生の頃ほしかったレンズは今でも欲しいままであるのです…。

などと余計なことを書いてしまいましたが,このショールームはオススメです。まだ行ったことのない方は何かのついでにぜひ訪問して,帰り際には,フジヤカメラジャンク館フジヤカメラ本店も覗くことを推奨いたします…。中年オッサンの謎の押し売りです(画像/MWS)。








2019年10月9日




これはバキラリアという珪藻に似た雰囲気をもっているのだけれども,ふつうはこんなにきれいに整列しない。ので,よくわからない…。長細い珪藻の群体を同定するのはけっこう難関です。半被殻にばらして封じて高解像検鏡しないと確実なことが言いにくいことが多いです(画像/MWS)。








2019年10月8日






プレウロシグマ(Pleurosigma)属の珪藻。生細胞の色素体,核,被殻構造をイメージング。このような状態のよい絵を作るには何よりも生きのいい細胞を得ることが大事で,サンプリング方法や処理,輸送,保管,撮影のトータル的な管理技術が求められます(画像/MWS)。








2019年10月7日




【お知らせ】

10月7日(月)16時から10月11日(金)21時までの期間で,IKITERASU いきとしいけるものをてらす展が開催されます(こちら)。場所は株式会社神戸酒心館 酒心館ホール(〒658-0044 神戸市東灘区御影塚町1-8-17)となります。

とても個性的な作家の方々が参加しての展示会となります。ミクロの世界を身近に感じられる素敵なイベントです。当サービスはモニターによる画像展示と『たくさんのふしぎ2019年6月号』を若干数販売します(筆者は参加しません)。お近くの方は覗いてみて仕事疲れを癒やすのもよろしいかもしれません。「酒」があるのもじつに魅力的なところです…笑(画像/MWS)。








2019年10月6日




ラブドネマ(Rhabdonema)の群体。こうしてみると珪藻の形態というのは本当に多様だなと感じます(画像/MWS)。








2019年10月5日




運が良ければ出会う珪藻だらけの視野(画像/MWS)。








2019年10月4日




ヒトツメケイソウ(Actinocycles属)の一種。海産の珪藻です。生きが良いものを撮影。色素体の形状や分布に加えて被殻表面の点紋列が見えています(画像/MWS)。








2019年10月3日




Shinya Inoue先生が9月30日に亡くなったという発表がありました(こちら)。ご高齢ではありましたが,大変残念なことで,ご冥福をお祈りしたいと思います。

先生のご業績については自伝に詳しいですが,個人的にはVideo Microscopyの出版がとても大きなものだったと感じています。一生を顕微鏡に捧げた大学者であったことは間違いないでしょう。

Inoue先生なき現在に私たちのするべきことは,先生の教えを守り,正しく顕微鏡を扱える人材を育て続けることでしょう。のこされたもののつとめとして,心して取り組みたいと思います(画像/MWS)。








2019年10月2日




当サービスを初期からご利用の方々はご存じと思いますが,当サービスでは開店当初より消費税を頂いておりません。筆者は日本の消費税を悪税と認識していてささやかな抵抗をしてきたわけです。税率が5%から8%になったときも価格の改定を行いませんでしたし,今回の改訂で10%になりましたが価格は据え置きといたします。ただ,請求書には「税込」の記載があるので,形式的には消費税を頂いていることとなっています。つまり,消費者観点では,当サービスは税率が上がるごとに同じ割合で値下げして価格不変を保っているように見えるわけです。

ただ,値上げする可能性の商品もたくさんあります。検査板やJシリーズの類いは,一点一点手作りなので,製作工程や時間,技術から考えると一枚数万円は当たり前のものになってしまいます。にもかかわらず,個人ユーザーさんの入手可能性を考えて,あえて利益を無視した価格で出しているものもあるのです。開業から10年以上過ぎ,そろそろ少しは認知されてきた段階で,正当な価格に移行することは当然のことなので,いつまでもバーゲンプライスということは,たぶんありません。

消費税については不満が多く書きたいことが山ほどあるのですが,時間がないので割愛します。ちょろっとだけ言うならば,制度設計がへたくそすぎるということです。消費行動に一手間加えるだけで生産性が低下します。もし本気でGDPを底上げしたいなら,「収益を生み出さない事務作業という時間」を世の中から極力排除すべきなのです。政権与党が導入した今回の増税では,何ら収益を生み出さない煩雑な作業が増加し,その分,純粋にGDPが低下します。バカじゃねえの?と,無から価値を生み出す仕事をしているオッサンは呆れるのです(画像/MWS)。








2019年10月1日




よく買い物をするスーパーでは週末にキハダマグロ(冷凍品)を放出している。安いので財布には優しいのだけれども,解凍してもお味の方はいまひとつ。そこでキハダマグロのお命を大切に頂くためにも食べ方を工夫するのです。その成果はこれまでも何度か書いてきました,今回は昆布締め。キハダマグロの柵に振り塩して,そのままキッチンペーパーで包んでラップで包んで,チルドで一晩寝かせます。塩が回ってドリップが身に吸収されたところで,こんどは早煮昆布で昆布締めにします。ふつうは酒を含ませるなどして昆布を柔らかくして使いますが,当室の作り方では昆布は硬いままで,これをゆっくりと平らにのばしてそこにマグロをのせます。上面にも昆布を置いてサンドイッチにして,ラップで包んで半日。

できあがったものがきょうの画像。キハダマグロの刺身からは似ても似つかぬ味わいの昆布締めですが,これはこれでつまみにもおかずにもなります。鉄火丼にもOKです。身はしっとりとして,ドリップの類いは全く感じません。昆布の風味とうまみが移っており熟成した味わいです。驚くほどおいしいといったものではありませんが,そのまま解凍して切ったものよりは2ランクアップくらいの感じで,ちょっとだけ上等な一品です(画像/MWS)。









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