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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します
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お知らせ
仕事が飽和しているため,納品等が遅れております。現在のところ解消の目処はたっておりません。すみませんが,短納期のご希望には添えないことがありますことをご承知下さい。
2018年12月31日
きょうの画像はマルロモナスの一種。月井先生の本によればMallomonas mesolepisのように見えます。池の泥の上でよく見つかります。シリカの殻を持っていて,透過明視野絞り込みでもある程度その存在はわかります。細胞内部にピントを合わせると,全体が殻に覆われていることがわかります。色素体の色は珪藻と同じ感じです。撮影しようとするとすーっと動いて移動するので,なかなかきれいな絵にできませんが,今回はたまたま何もないところに移動してくれたので,すっきりした画像を撮ることができました。
本年はいろいろな仕事に振り回されて,標本製作のペースががくっと落ちてしまいました。その代わりに,ライブセルイメージングの絵をお届けできるよう努力しました。ご覧いただいた皆様,どうもありがとうございます。来年は仕事のやり方を見直して,もう少し標本を多産できるようにしたいと考えています。引き続きよろしくお願い申し上げます(画像/MWS)。
2018年12月30日
筆者は高校生の頃から年末に大忘年会を開催しており現在に至ります。もう30回以上,大忘年会を開いたことになります。かつての大忘年会は18時頃からの開催だったのですが,中年おっさんになるに従って昔話に花が咲くようになり,最近では16時開催,23時半お開きという耐久レースのようなことになっています。今年の先着は15時18分頃。飲む気マンマンです。こういう仲間と毎年過ごす忘年会は,一年のイヤなことも全て吹き飛ばす爽快さです。筆者は総料理長を務めているので,6人前,7時間分の食事を全て準備して次々に上卓します。それをわーいわーいとバクバク食べてくれる仲間は,かけがえのないものです。
画像はそんな話題とは完全に関係のない,放散虫散布スライド。その道のトッププロであれば,これの産地を当てることもできるでしょう。中山層の放散虫群で,厚みのある,コントラストの高い放散虫がいっぱいです(画像/MWS)。
2018年12月29日
これはミジンコの目玉部分の拡大。高NAでの撮影。いくつか,マイクロレンズのような構造があるように見えますが,実際の機能はどうなのでしょう。光の方向を感知するためのものでしょうか。水中にあるわけで,このレンズは高屈折率のタンパク質なのだろうと想像しますがどうなんでしょう。ついつい光学的な側面が気になってしまいます(画像/MWS)。
2018年12月28日
きょうの画像は最近届いたメールの文章。誰がみてもスパムですが,ひょっとすると引っかかる人もいるのかもしれません。当サービスでは,メールはサーバー上に残し,そこからnPOPQでテキストを抽出して読み,信頼できるメールのみをパソコンに取り込んでいます。ので,きょうの画像のようなメールはテキストをチラ読みした段階で速攻削除です。ご丁寧にウイルスらしき添付ファイルもついていましたが,いつものように,ダウンロードすることなしに消し去りました。
それにしてもきょうの画像,実在する会社なのです。こういうことをやられた会社はたまったものではないですね。株式会社スーパーツールさんのところでも注意喚起が出ていました(こちら)。世の中,ほんとうに暇な人がいるようで,困りますねぇ(画像/MWS)。
2018年12月27日
これはクンショウモの葉緑体自家蛍光の画像。落射蛍光顕微鏡を用いV励起で葉緑体を光らせています。対物レンズは水浸NA=1.2です。軸上色収差,倍率色収差の残ったレンズなのですが,赤色蛍光のみを撮像する場合は色収差の問題がなくなるので,すっきりした絵になります。水浸対物の効果によって球面収差は小さく,クンショウモの細胞内部の葉緑体という,とても小さな小器官の構造が見えてきています(画像/MWS)。
2018年12月26日
水の中の生き物を顕微鏡で見ていると何を見ても面白いのですが,大型珪藻が視野に入るとついつい追いかけてしまいます。このピンヌラリアなど,とっても立派な姿をしていて,コントラストもばっちりで,滑るように動く様子は何か優雅さのようなものを感じます。きょうの画像は水浸対物による絞り込みの像。動き回るのでピント合わせが難しいのですが,この絵は,ごく浅い被写界深度に全体を収めることができています(画像/MWS)。
2018年12月25日
ここ3日ほど集中して拾い出しをしています。リハビリです。
何のリハビリなのかというと,パソコン仕事でおかしくなってしまった体を,Jシリーズ仕様に変えるためのものなのです。実体顕微鏡作業は,軽いものをのぞけば,9月下旬〜10月初め以来です。二ヶ月半も実体顕微鏡から遠ざかり,パソコン仕事(と生サンプルのイメージング)ばかりしていたので,姿勢がおかしくなってしまい,体がすっかり歪んでしまいました。
拾い出しの一日目は,どうやってもポジションが定まらず,同じイスと同じ顕微鏡を使っているのに,アイポイントの高さが見つかりませんでした。そのせいで強力な腰痛が発生し肩こりも生じました。早歩きと自転車運動で体をほぐし,二日目の拾い出しでは徐々にからだが慣れてきて,姿勢が見つかるようになり,腰痛が消えていきました。三日目の拾い出しでは背中のハリが改善に向かっています。やはり毎日顕微鏡に向かうことが重要であることを実感しました。
画像は拾い出しの成果の一部。指先の動きは,ふだん砂糖を一切摂らないこともあって,安定した血糖値のもとで狂いなく動いています。見慣れたサンプルをつついていると,ようやく本業にとりかかれた安堵感があって,ストレスの少ない作業となりました。
本来なら今頃は,年末のJシリーズ販売で大忙しのはずなのですが,今年はこの時期にぴったり合わせるように別の仕事が入りましたので販売は見合わせました。来年は数を作りたいので,仕事のやり方を全面的に見直したいと思っています(画像/MWS)。
2018年12月24日
適切に設定した撮影装置でうまく撮影できたとしても,その画像をパソコン画面で開いてみれば,肉眼で顕微鏡を見ているときの絵とはまるで違います。露出のほんの少しのズレの問題もありますし,主観/客観焦点深度の問題もあります。しかしもっとも大きいのは階調でしょうね。顕微鏡では真っ暗な視野から,「目がっ,目があ〜」となるほど眩しい輝度にもできます。微細な物体を視認するにはある程度の明るさが必要で,暗い視野ではよく見えません。しかしパソコンの画面ではそんなに輝度を上げることもできませんから,限られた輝度範囲の中で256階調をいじるしかありません。そんなわけで,パソコンモニタで「自然に見えるように」画像処理は必須なのです。
きょうの画像は珪藻と太陽虫。そのままの絵だとコントラストが低すぎて,顕微鏡を覗いているときのイメージではありません。眠たい感じになっています。そこで明るさ+10,コントラスト+40の処理を施しています。技法的にはコントラスト強調像ですが,見た目には顕微鏡の視野に近くなっています。処理の強度は目的に応じて変えればいいので正解はありませんが,個人的には,きょうの画像くらいの処理が好みです。ふだんから低コントラストを見る練習をしているので,このくらいがちょうどよい感じがします(画像/MWS)。
2018年12月23日
久しぶりにカバーグラスのカットを行いました。もちろんJシリーズ用です。カールツァイス社から供給されているハイパフォーマンスカバーグラス(18×18mm)をより小さくする作業です。やり方は年々変わってきていて,現在の作業風景はきょうの画像のような感じです。
ツァイス社のカバーグラスは,カットがやや雑で,ガラスとガラスの間にガラスの破片が挟まっています。これが悩みのタネで,カットするときに定規でガラスを押さえるわけですけれども,その過程でガラスの破片がガラス面に傷をつけてしまうのです。その傷というのが,暗視野で見える場合もあれば,位相差顕微鏡でようやく見える程度のものもあって,これを避けるのがじつに難しい課題なのです。
傷を避けるためには,表裏全面を完全に清拭して顕微鏡でチェックしてからガラスをカットすればよいのですが,表裏をピンセットを用いて完全清拭するのはひじょうに手間がかかります。また清拭できたとしても,ダイヤモンドでスコアを入れている最中に飛び散るガラスもあって,これをカット作業中に除去することも困難。
ガラスを水で洗うこともできなくはないですが,乾燥時の条件があまりにシビアで,完全無欠の表面を得ることが難しいので,拭きで対応するしかありませんし。
下に敷くものによっても傷の発生確率が変わるような気がしていて,これまではカッティングシートにカバーグラスを置いて切っていたのですが,最近はコピー用紙を使っています。切るたびにガラス粉末を除去し,別の場所でカットして,傷の発生確率が下がるようにしています。
たぶんこのような工夫でもまだ万全ではないでしょう。来年の今頃は,また別の方法でカットしているかもしれません…(画像/MWS)。
2018年12月22日
市販品を改造して製作した高演色LED照明が故障したので修理しました。中央部のLEDが点灯しなくなり,断線であることは明らかなので,分解してLEDの足を一つ一つハンダし直しました。これで簡単に修理は終わるはずだったのが,なぜか点灯しないまま…。するとこれは基板のプリント配線がどこかで断裂しているはずで,基板をあちこち押してみて破断箇所を探します。しかしこれが見つかりません。。
それでハタと思い立ち,ランプを点灯して基板の配線の光漏れを探しました。破断箇所は小さいはずなので10倍ルーペで見ていくとあっさり見つかりました。それで破断箇所を適当な線材で結線して修理は完了。それが画像二枚目。Aiマイクロニッコール55/2.8での撮影です。光漏れの箇所に配線があるのがお判りかと思います。元通りに点灯するようになりました。このように,人生にルーペやマクロレンズというものは必須のものなのです…。
画像二枚目は修理後に点灯したものを撮影したもの。オプトサプライの電球色LEDと,メーカー不明の白LEDを混ぜて使い(Vfは同じ),演色性Ra=85以上を示すようになっています。こうしてみると,電球色と白のLEDでは全く色が異なることがよくわかります。このLEDライトには光栄堂のEB-04拡散板をはり付けていて,暗くはなりますがマイルドで高演色の照明ができるようにしてあります。ながねん顕微鏡をいじっていると,ついついちょっとした光源でもこだわってしまいます(画像/MWS)。
2018年12月21日
20日は生物検鏡法開発のための出張でした。当室では保有のない機材を必要としたので関係者の助力を得て,顕微鏡の鏡基を借りてイメージングを続ける顕微鏡の午後でした。出先の担当者からは深度合成時の撮影手法を教え得て欲しいとのリクエストがありましたので,持ち込んだ機材で天然サンプルの深度合成用画像をNA=0.3レベルで撮影しました。いろいろと興味深い成果もあって光学の奥深さを感じた技術検討の時間となりました。そのあとは繁華街まで出向いてささやかな忘年会となり,この一年を振り返りつつも光学談義に花が咲きました。
きょうの画像はそこで初めて知った面白いカメラ。こんなものが開発されているんですね。これは顕微鏡写真分野でも,いろいろな応用が考えられると思います。価格もそれほどではないという噂で,そうなると用途も思いつく前に一台欲しくなりますね…。こういった貴重な製品はぜひとも開発を続けて販売を継続頂きたいので,本ページで皆様にお知らせする次第です(画像/MWS)。
2018年12月20日
原生生物を観察していると,ときおり分裂途中のものを見かけます。きょうの画像はユープロテスと思われる繊毛虫の分裂中の様子ですが,よく見ると何かがおかしい。分裂最後のところで,珪藻(ナビキュラ)が引っかかってしまい分裂が完了しないのです。
珪藻のガラス質は硬く,これを乗り越えて細胞膜が閉じるということはあり得ないので,珪藻がどちらかの細胞に移動しない限りは分裂は完了しません。ところが分裂がすすんで最終過程のところのくびれに珪藻が引っかかってしまったものだから,珪藻がどちらかの細胞に移動することもできなくなり,分裂がそこで止まっているのです。
この人たちはよほど分裂を望んでいるらしく,何かに体をこすりつけるようにして,お互いを引き離そうと努力していました。まるで意思を持っているかのような動きに見えました。その間,約30分間,カバーグラス下に水を継ぎ足しながら観察を続けましたが,離れることはありませんでした。細胞分裂にはタイミングがあるので,あとで珪藻の殻がどちらかに排出されたとしても,その後に分裂するのは困難だろうと思います。
それにしてもふしぎな現象に出会うものだと思いました。珪藻はどこにでもいるし,ユープロテスもどこにでもいるので,ある一定の割合でこのような現象が起きているものと推測されますが,それが個体群の維持に不利にならないのかなと思います。
撮像はNA=1.2の水浸対物,透過明視野中央絞りです。絞りを変えながら撮影を続けましたが,ベストの絞り位置は撮影後に判明するので,歩留まりは悪いものでした。それでも分裂中の細胞に珪藻が挟まっており,その珪藻の種類がナビキュラであることが分かる品質の絵が得られたのは,液浸系の威力でしょう。
動き回る繊毛虫を高NAでカメラフレームに収めるのは当然,高度なステージ操作技術を必要とするのですけれども,このような現象に出会うとアドレナリン? ドーパミン?が出るらしく,苦行と感じずにえんえんと操作し続けられます。それほど,顕微鏡観察というのは楽しいものなのです(画像/MWS)。
2018年12月19日
ピンヌラリアという珪藻はけっこうどこにでもいるものなのですが,純度の高い群体となると話は別。きょうの画像は過去に1回だけ採集できたピンヌラリアの群体。たぶん群集中の半分以上がピンヌラリアという異常なサンプルでした。閉鎖性の池でポンプで水を循環させているらしい感じのところで,また行けば採れるだろうと思っていましたが,一年後に採集したものは似ても似つかぬ別の珪藻群集になっていました。ちょっとした環境条件や増殖の初期条件で組成か変わるのでしょうが,もったいないことをしました。。
これとは反対に,いつでも同じ珪藻が安定して採れるというところもあります。メロシラ・バリアンスやある種のニッチアがそうで,いつでも優占種になっていたりします。
珪藻はどこでも生えてくるので,東京都心の人工池を清掃したあとに珪藻をばらまき,新宿区はスタウロネイス,文京区はピンヌラリア,練馬区はメロシラ,などといった親水公園珪藻構想もできるはずなのですが,珪藻は見た目には茶色のドロ。行政は認めてくれないでしょうねえ(画像/MWS)。
2018年12月18日
これはミジンコの仲間を偏光クロスニコルで撮影したもの。露出にえらく時間がかかるので,部分的に被写体ブレがありますが何とか写ってくれたものです。対物NA=0.95での撮影。偏光で見ても何かが分かる,というほど簡単なものではないのですが,このミジンコの例では,筋繊維の構造偏光っぽい感じに,白い筋状の明るい構造が見えています。また消化管内にある鉱物粒子の一部が検出されているように見えます。明視野とも暗視野とも異なる情報が取り出せることがあるので,とりあえず偏光でみてみる,という習慣をつけるのは,悪いことではないように思っています(画像/MWS)。
2018年12月17日
さくじつ白雲母を大人買いしたお店には黒雲母と金雲母が転がっていて,帰宅してからも気になる存在だったので,再びミネラルショーに出向いて黒雲母を購入してきました。何に使うのかは買ってから浮かんだりするものです。料理だってそうでしょう。キャベシやダイコンやきのこや鶏肉をとりあえず買っておけば,何かの料理にはなります。それと同じで,光学材料も買っておけばそこから思考がはじまるのです。
きょうの画像は黒雲母に強い光をあててみたところ。黒雲母ってのは反射光で見ると,真っ黒な感じに見えるのですけれども,透過光を見ればこんな具合なんですね。これは,化学屋さん的には,鉄の色ですね。子どもの頃から数え切れないほど眺めてきた黒雲母も,透過光を見たのは初めてで,とりあえず購入したことにより,一つかしこくなりました。
買い物というのは,旅行みたいな感じもしますね。旅先に出掛けなければ,そこの現地の食べ物を食べることもできないし,空気を吸うこともできないし,歩くこともできないし景色を見ることもできません。それと似た感じで,買い物をして材料を入手しなければ,触れることもできないし,物性を確かめることもできないし,そのものについて何らかのインスピレーションを得る機会も減ってしまいます。手元にものが存在しているというのは,大脳の活動をゆたかにするという意味において,とても大きなことだと思います(画像/MWS)。
2018年12月16日
池袋で東京ミネラルショーが開催中でしたので,関係者への挨拶を兼ねて,調査に行きました。いつもRC GEARさんと立ち話をするのですが,そうすると今年も年末だなあという実感がわいてきます。筆者は毎年,何らかの光学材料がないかと探しにいくのですが,方解石はじゅうぶん手持ちがありますし,NaClの大結晶も入手済みで,だんだんと探すものが少なくなってきた感じです。
それでざーっと眺めながら歩いていたところ,164〜166番ブースのCODAさんという会社で雲母を見つけました。机の下のザルに一枚200円の手頃な雲母があったので15枚ほどを選んでお会計。すると店主が,「こっちにたくさん入って1000円のがあるから,こっちの方がオトクだよ」と教えてくれました。目につかないところに置いてありました。普通の人ならオトクな方を選ぶのでしょうけれども,筆者の脳みそは,「じゃあそれも頂戴」という答えを瞬時にはじき出しました。ぜんぜんオトクではありません(笑)。
すると店主は,ユークリッド空間を超越した数学を駆使して,「じゃあ2000円ね」という答えがはじき出されました。試しに一万円札で払ってみると,おつりが8,000円でした。結局オトクでした(笑)。
こんなちょっとしたやりとりに粋なものを感じつつ,年は暮れていくのです。東京ミネラルショーは17日の月曜日まで。きれいなものに関心のある方は,鉱物に興味がなくても,覗いてみることをお薦めしたいところです。どばーっとあふれる膨大な物量の鉱物展示を眺めて,そのどれもに興味が沸かない,などということはほとんど不可能だろうと思うからです(画像/MWS)。
2018年12月15日
顕微鏡写真撮影でもっとも簡単な方法はコリメート法だろうと思います。名前は難しそうですが,やり方は簡単で,覗いている接眼レンズに,目の代わりにカメラを置いて撮影するというものです。昭和のオジサン世代なら,この方法で望遠鏡で月の写真を撮ったり,顕微鏡でプランクトンの写真を撮った経験がある方も多いことでしょう。
21世紀に入りデジタル時代になって,コリメート法は一層やりやすくなりました。画像処理が行えるので,例えばホワイトバランスの修正もできますし,レンズに付着していたゴミ消しもできるようになりました。撮影装置が固定されていれば,何もない視野を撮影して減算することにより,ホワイトバランスとゴミ消しの両方も行うことも可能になりました。
近年のスマホやiPhoneの発達により,コリメート法はさらに簡単になりました。素子の感度が向上し,レンズの収差補正はひじょうによくなって,しかもこれらの携帯機器の入射瞳面はカメラの外側にあるので,顕微鏡の接眼レンズの出射瞳面と合わせることができ,ケラレのない有効視野の広い撮像を行うことも可能になりました。何より,スマホやiPhoneは誰でも持っているので,顕微鏡さえあれば,すでに撮影道具は持っていることになります。そこが素晴らしいのです。
この状況にあって,エビ水槽のチビたんでおなじみのStudio Phizさんが,素晴らしいソフトウエア,顕微鏡撮影専用カメラアプリ「mScopePal」をリリースされました(こちら)。iPhone/iPod touchがコリメート法に最適なカメラに変身してしまうという,まさに望まれていた機能が搭載されていて,なんと無料です。いくらなんでも無料はやりすぎだと思うのですが,Studio Phizさんなりのお考えがあってのことでしょう。ぜひ多くの方にご利用いただき,ストレスなく撮影ができることの喜び,適正な設定で得られる画像の美しさを体験していただきたいと思います。
このような重要情報は多くの方に広まってこそです。本記事をご覧の方は,ぜひ,多くの方に紹介頂ければ幸いです。よろしくお願い致します(画像/MWS)。
2018年12月14日
照明系のフリッカー問題が解決したのかどうか試験撮影。顕微鏡の光源の電源は,とくに昔のものでは交流制御なのか,激しいフリッカーが出てビデオエンハンスに向かないものがあります。最近の製品は高周波なのかそれとも直流なのか,12V100Wのハロゲンを使っていてフリッカーを感じることはありません。それで最近の機種から電線を引いてランプハウスに結線したわけです。
テスト撮影の物体はそこいらへんに転がっていたミカヅキモ。中央部の核がある付近が大きくがらんどうに見えます。こういった状態になっているものを見たことがなかったので重点的に観察。こういう,透明で,いっけん何もない空間というのは,筆者にとって「そそられる」物体です。早速イメージングして処理をしたものが二枚目の画像。透明の空間に何かがあります。核は見えず,何かが並んでいるような様子。これは分裂前の細胞なのでしょうか?
幸い,フリッカー問題は解消され,また新たに導入したランプハウスと顕微鏡との相性も問題なく,ようやく無限遠補正系の対物レンズの性能をフルに引き出せる照明系になりました。ただ,鏡基の設計が悪すぎてBFPと照野のバランスがとれないので,ランプハウスは7023対応のものなのに7724をセットせざるを得ませんでした。まだ山ほどの不満がありますが,致命的な欠点が一つ取り除かれたので,これからの使用頻度は少しづつ上がるかもと思っています(画像/MWS)。
2018年12月13日
12日は都内で業務打ち合わせでした。今回は進捗状況を報告をする役割であったので,約3時間の間,喋りっぱなしでした。内容については理解頂き,前向きな返事も頂戴し,仕事が順調に進みつつあることを確認しました。少しだけほっとしました。が,筆者は注意深いので,仕事が完了するまでは何があるかわからないとの心構えを失うことはありません。いつも,全く想像もしていなかった方向から,おおよそ常識では考えられないような問題が降りかかってくるのがこれまでの人生です。仕事の完了までは安心できません…。完了しても事件が発生したこともありますが…(笑)。
きょうの画像は打ち合わせの部屋。取調室のような雰囲気で,何となく昭和の時代の刑事物ドラマを思い出しました。ここ20年ほどはテレビをまったく見ていないので,最近の刑事物ドラマではどんな取調室なんだろうとちょっと気になったりもしました。この見た目とは裏腹に? 打ち合わせの部屋は光の加減がちょうどよく,ストレスなく報告をさせていただきました。
ある分野では首位に位置する優良企業さんなのですが,こういった部屋一つみても,無駄な経費を使っている形跡が見られず,堅実なる経営を継続しているのだろうことが忍ばれました。世の中の片隅でひっそりと暮らしている個人事業主には最も遠い存在であるはずの優良企業さんに,仕事として訪問できるのは有り難いことです(画像/MWS)。
2018年12月12日
長崎ペンギン水族館では,冬の催し物としてJシリーズの画像展示が行われています(こちら)。筆者には遠すぎて現地に行くことができませんが,お近くの方,お暇がありましたら出向いてみて話のネタにするのも一興かもしれません…(画像/MWS)。
2018年12月11日
原稿と画像整理の間に機材いじりをしました。使い物にならない無限遠鏡基の照明系をどうにかしなくてはいけなくて,他の鏡基の照明を流用していたのですが,フリッカーの問題がどうしても解決できず,別の電源から12V100Wを取ることとしました。それで顕微鏡の改造となったわけです。作業自体は電線の引き直しで,特殊なコネクタも中古機材の中に見つかったので,すぐに終わりました。
それで気をよくして,黒い顕微鏡を磨きたくなり,管理番号の白ペイントをアセトンで落とし,全体を『激泡』で拭き拭きして,そのあとに入念な乾拭きを行い,XYステージのグリスを入れ替え,固着していた対物レンズを力業で外し…と久々の中古機材メンテナンスとなりました。むかしの黒い顕微鏡を磨いていると,何だか心が落ち着きます。同じようなご意見を他の方からも聞いたことがあって,きっとそこには何か魔力があるのでしょう。ほこりにまみれ,油だらけの機材を磨いて,やがて黒光りするようになると,何だかとっても良いものを手にしたような気分になるのです。ストレス解消に最適かもしれません。
ということでストレスが解消された気がするので,再び原稿整理と画像整理に戻ります…(画像/MWS)。
2018年12月10日
40倍対物レンズは青のラインを入れることになっていますが,ニコンの対物レンズでは1970年代くらいから? 青のラインが入り始めた気がします。古いレンズでは青ラインがないものもたくさんあります。ふしぎなのは位相差対物で,後期のデザインであるのに青ラインが入っていないものが手元に一つあります(DLL)。この頃に青ラインを入れ始めたのが,それともたまたまラインを入れなかったのか…,並べてみると1個だけ仲間はずれな感じがします。真相はいかに(画像/MWS)。
2018年12月9日
これはたぶん,ツヅミモの仲間。コスマリウムとも呼ばれます。池や沼にいるとされていますが,川にもいます。流れのゆるい川の岸近くや,河原にできた水たまりのようなところで見つかることが多い気がします。たくさんの種類があって,立派なやつもいるのですが,きょうの画像の種は小さくて,20〜30μmくらいでしょうか。これでも,かなりよく写っている方なのですが,見映えがしない感じなのが少し残念…。やはり池などで探した方がよさげです。きょうの画像は対物NA=1.2,透過明視野中央絞り込みです(画像/MWS)。
2018年12月8日
珪藻は細胞分裂時に,親細胞の内側に新しい被殻を作りますので,分裂を繰り返すと被殻はどんどん小さくなっていきます。ある程度のサイズ分布になった頃,どこかの細胞が卵の役割,どこかの細胞が精子の役割を持つようになって有性生殖を行います。受精後は殻を脱ぎ捨てて増大胞子を形成し,そこから大きな最初の被殻ができて,再びふつうの細胞分裂に戻ります。きょうの画像はメロシラ・バリアンスの増大胞子形成と最初の被殻から分裂した大きな殻ができている様子です。メロシラ・バリアンスは流れのゆるやかな河川で大増殖し,秋から春までが採集のよいシーズンでもあります。顕微鏡でみれば,大小様々なサイズの被殻とともに,けっこうな頻度で増大胞子を見ることができます(画像/MWS)。
2018年12月7日
研究用の顕微鏡は完成された状態で出荷されているわけで勝手に改造してはいけないのだけれども,中古で不具合が出た場合などは他の部品などを流用できれば便利です。きょうの画像は筆者がむかし使っていた顕微鏡。ニコンSFR-Keのベース部分にニコンS型の2軸を移植して,対物レンズはニコンCF系,接眼レンズもニコンCF系,コンデンサはオリンパスDCというもの。まるであり合わせのパーツを適当に組み付けただけのようにも見えますが,実は全て正解の組み合わせで,光学的にも問題ありません。
もちろん,メンテナンスを施した上で,光軸だしをできる腕前がなくてはこのようなことはできません。でも,この禁断の領域?に足を踏み込むと,いろいろな可能性が広がることも事実で,泥沼の中で藻掻きながらも本人は楽しいなどといったことが起こるかもしれません。けっしてお薦めはしませんが何かの参考になれば…(画像/MWS)。
2018年12月6日
遠い南の島々の近くで大地震が起こると,それから約一ヶ月以内くらいに日本でも大きな地震が起こるかもしれないという,バヌアツの法則なる言葉があるそうです。きょうまさに,南の国で大きな地震があり小規模ながら津波も発生したので,もしバヌアツの法則がありそうなら,日本も要注意ということになります。
でも,「法則」はいくらなんでも無理なところ。因果関係が多少認められたにせよ,地震自体は予知できずにある確率で突然起こるものだから,発生時期にばらつきが生じるのは当然でしょう。だから,南の国々で地震があったら,日本も気を引き締めて備えようという,バヌアツからの注意,というくらいに思うのがよろしいかもしれません。
筆者はいつでも大地震が起こると思って生活していますが,それでも,気のゆるみはあるもの。たとえ海外でも大きな地震が起きたら,身のまわりに注意して減災に結びつくよう,個人個人が努力することも大事だと思っています。
きょうの画像はそんな話題とは関係のない,太陽虫と思われるもの。この仲間の分類も難しくよくわかりません。ひじょうに細い糸のようなもの(軸足)を本体からのばします。こんな細いものがどうしてこんなに直線に伸びるのかいつも不思議に思いますが,『プランクトンハンドブック』によると微小管で支えられているそうです。へーそうなのか…。とてもコントラストが低いので微分干渉で撮影されることが多いですが,そうすると,シャーの方向によって解像/検出に方向性が出てしまいます。きょうの画像のように,透過明視野+画像処理を行えば物体の形そのままに表現できます(画像/MWS)。
2018年12月5日
【お知らせ】 年末恒例のJシリーズ販売ですが,まとまった数を揃えることが困難な見通しのため,今月中の販売はほぼ不可能となりました。来年春から連休頃までの間に販売したいと考えていますが,まだ予定をお知らせできる段階ではありません。誠に申し訳ありませんが,お待ち頂きますようお願い致します。
今年はJシリーズ製作時に別の仕事が入り,落ち着いた条件でじっくり取り組める時間を作ることができなくなりました。そのため集中して製作することはあきらめ,別件の仕事に労力を投入することにしております。この仕事は来年2月後半には終わる見込みですので,その後に製作に取りかかりたいと思っております。
いつもお待たせばかりで本当に申し訳ありません(画像/MWS)。
2018年12月4日
この人はいつもどこかに潜り込んでいて,なかなかカバーグラス上に姿を現さない。ので,背景になにもなく,本人だけが写っているような良い絵が撮れたことがない。イタチムシという名前がついていてなるほどと思う姿形であるけれども,中年オッサンとしてはツチノコを連想させる。小さいながらも何か説得力のあるスタイルで,滑るように動く姿は気持ち悪さを感じさせません。ふつうの人に紹介しても毛嫌いされないという意味では貴重な繊毛虫微生物かもしれません(画像/MWS)。
*1 うっかり繊毛虫と書きましたが違いますよね…。アップ後に読み返していてどきっとしました。
2018年12月3日
ミジンコのような大型のプランクトンは低倍率の対物レンズで撮影することが多いのですが,視野の許す限り高NAの対物レンズで撮像してみるのも一つの試みです。きょうの画像はマルミジンコの仲間っぽいもの。ミジンコの仲間では比較的小型なので,高NAでの撮像を試みたものです。NA=0.95直接焦点の絞り込みです。こういう物体を高NAで撮像するときには,補正環をいかに操作するかもテクニックの一つです。
今回はミジンコの複眼,単眼を観察しながら補正環を繰り返し操作して球面収差補正をしています。NA=0.95の乾燥系対物レンズですから,水系のサンプルに対しては,設計上は球面収差補正は対応していません。しかし実用的には補正環の効果があって,「薄いカバーグラス+ある程度の水の厚み」であれば,補正環で0.23mm以内で球面収差極小のポイントが見つかります。もちろん,操作時はコンデンサ絞りは開放です。よい補正位置が見つかれば,そこからコンデンサを絞り込んでいき撮像するのです(画像/MWS)。
2018年12月2日
淡水微生物のプロなら,きょうの画像を見て採集環境を言い当てることができるかもしれません。ミカヅキモは一般には湿地や池,沼に多いとされています。ので,きょうの画像のミカヅキモもそういったところで採集したのだろう…となるかもしれませんが,周囲を取り囲んでいるのがメロシラ・バリアンスなのです。この珪藻は高濃度の珪酸が連続的に供給される流れのゆるい河川で大増殖するものです。メロシラ・バリアンスに取り囲まれたこのミカヅキモは,流れのゆるやかな河川で採集された,というのが正解になります。
このミカヅキモは,種名はよくわかりません。ひじょうにたくさんの種があるので,安易に同定できるものでもありません。そのむかし大学に入学した18歳の頃,淡水生物の分類くらいはちゃんとできないとと思い,近所の河川に出向いてサンプリングして顕微鏡を覗き,そこで見つけたミカヅキモを川村先生の大図鑑で分類しようと四苦八苦して放り投げた経験があります。そう簡単に素人が取っつけるものでもないのです。
でもまあ久しぶりに,「三日月」っぽいミカヅキモに出会えた気分は上々です。このミカヅキモがなぜ,河川という流水環境に生息しているのかというと,プランクトン性ではないっぽいのです。付着藻類といってよいほどに,すぐに器物に付着します。そして相当な流水を吹き付けても剥がれません。それでいて,運動することもできて,くるくる反転したりします。ゆるやかな流れで豊富な栄養が与えられる環境に適応しているようなのです(画像/MWS)。
2018年12月1日
冷凍物の水びちゃびちゃの安価なビンチョウマグロをどうすればおいしく食べられるか。いくつか方法はあるのだけれども,当店オリジナルの調理法でできあがったのがきょうの画像。ビンチョウマグロはドリップを捨て,表,裏ともに振り塩します。藻塩が適当です。量はそのまま酒のつまみになるくらいの塩気が適当なのでやや多めです。次に表裏にコショウを挽いてふりかけます。そうしたらラップで巻いてチルド室へ。上からこんにゃくで重しをしておきます(なくても可)。
一日経過したら,ラップを取り,もし水気があればキッチンペーパーで拭き取って,あとは刺身包丁で薄切りにしてできあがり。じつに簡単で料理とはいえないほどですが,藻塩とコショウがビンチョウマグロによく馴染んで,ねっとりした身に変化して,ごはんのおかずに,酒のつまみに上等です。この方法は10年近く前に,スモークソルト(燻煙塩)を使って作っていたのをヒントに改良したものなので,市販のスモークソルトをふりかけるだけでもOKです。
安物の冷凍ビンチョウマグロをどうにかしたいと思っている方は,試してみるのもいいかもしれません。ただ包丁が切れないと,きょうの画像のようにはなりません。へたするとボロボロになります。本ページの読者は研ぎもお得意な方ばかりなので心配はいらないと思っていますが,そこんところは一応ご注意を(画像/MWS)。
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