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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
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2018年11月30日








透過明視野による検鏡法は,コンデンサ高さはケーラー照明位置で,照明の色温度と熱線カット等に配慮したあとは,ピント操作とコンデンサ絞り操作,それに伴う露出操作が主になります。いっけん簡単そうですが,実際はじつに奥の深いもので,良い絵がとれる許容範囲はひじょうに小さいものです。きょうの画像はPhacus gigasという種で,ミドリムシに近縁で,ウチワヒゲムシの和名が与えられているものです。これを絞りを変えて撮影しました。

コンデンサNAは対物NAの100%から20%付近までいろいろ変えて撮影します。コンデンサ絞りは0.1刻みで調節することもあれば,0.05刻みで合わせることもあります。どこかに良好なバランスの取れる領域があるのです。きょうの画像一枚目はコンデンサを開き気味にしたもの。コントラストが低くいので分解能の高さを生かし切れていません。ピントは浅く,色素体の重なりに立体感があります。画像二枚目は少し絞ったもの。ピントは深くなり,コントラストが向上してきています。バランスの取れた感じのする絵です。画像三枚目はさらに絞り込んだものですが,眼点付近にある鞭毛にも充分なコントラストがつき,細胞表面の筋状模様や,パラミロンなどもはっきりと再現されています。それらと引き替えに分解能は低下しているのですが,解像限界付近に表現すべき微細構造がなければ問題になりません。

目的によってはどの絵も使えるので,唯一の正解というのはないのですが,ウチワヒゲムシの特徴を一枚で表現したもの,と注文されれば,きょうの画像なら三枚目を提示することになるでしょう。そういった絵を手に入れるには,条件を変えていろいろ撮影するのが早道です。撮影時はほんの少しの微妙な違いなのですが,データを画像処理してみると,あと少し絞った絵が欲しいとか,あと1μmピントを送った絵が欲しいなどということがあって,一枚撮りでは危険です。単純な透過明視野でも奥の深さを感じるのです。

今月は半ばからは透過明視野による原生生物特集として,透過明視野中央絞り,透過明視野・拡散板偏斜照明による作例のみを載せました。微分干渉法や位相差法を使わなくても,多くの原生生物が充分に写ることを示しました。透過明視野は顕微鏡法の基本であり,またデジタル時代の現代にあっては高感度素子による高速シャッターと電子シャッターによる無振動撮影ができるので,過去の時代以上にひじょうによく写る強力なツールとなるのです(画像/MWS)。








2018年11月29日






きょうの画像はたぶんトリシグモストマ。ちょっと自信なさげに書いたのは,追いかけ回している時点ではキロドネラと思っていて,形も泳ぎ方もキロドネラそのものに見えて疑いませんでした。ところが高NAで追い回した画像を見ると,お腹の下の方で盛り上がっている部分があり,縫合線付近の剛毛らしきものも写っています。するとこれはキロドネラではない…ということで月井先生の『淡水微生物図鑑』によればトリシグモストマということに落ち着いたのです。

この子もほかの繊毛虫同様にじつによく動きます。フレームに収まっている時間がなく,左手でステージXYとピント,右手でシャッターを操作しながら撮像できるタイミングを狙って追いかけ回します。一つ救いなのは,動き方にあるパターンがあること。前進と後退を繰り返すのですが,その周期はほとんど決まっているので,少しは予測して「待つ」ことができます。きょうの画像はそうやってようやく収めたもの。本来なら4Kとか8Kの動画で撮って切り出すのがよろしいのかもしれませんが,一枚撮りで高速シャッターというのもそれなりに魅力があります。鞭毛や繊毛の動きを止めやすいからです。

それにしてもこの生き物,何かに似てるなぁと思いながら撮影していたのですが,こうやって画像になって眺めると,これは「カキ」ですね。ふっくらとしてプルルンとしたカキを連想させます…(画像/MWS)。








2018年11月28日










きょうの画像はソライロラッパムシ,初登場です。緑色の生物はたくさんいますが,青緑になると藍藻類など少数になり,ソライロとなるとかなりレアな色という印象です。ながねん顕微鏡を覗いていても見たことのなかった生き物で,視野に現れたときは「おっ!」と思いました。何ともいえずうれしいものです。

このラッパムシ,器物に付着していれば撮影はラクなのですが残念ながら自由遊泳していました。遊泳速度は速く,遊泳方向は予測ができません。当てずっぽうでシャッターを切ったとして,モニタに次の画面が出るまでの間に視野から消えています。撮影難易度は相当に高いという印象です。

しかしそんなことは気にしていられません。根性でNA=0.75レベルで追いかけます。透過明視野中央絞りで,ランプ輝度を上げ,シャッター速度を速くして,分解能の犠牲を引き替えに高コントラストと高速シャッターを手に入れます。ミラーレスカメラの振動の少なさが利点として働き,シャッターは全て手押しです。

パソコンで画像処理をしていると,はじめて見たカッコイイ生き物を記録として残せたうれしさを感じます。「よかったー」という感じなのです。たとえて言えば,就寝中にとても面白い楽しい夢を見て目が覚め,その日はスタートから何となく「良いことがあった」という嬉しさに包まれながら経過する,そんな感じです。

…というように,顕微鏡は確実に人生に幸せをもたらすものです。地球の歴史は原生生物の歴史と言っても過言ではありません。そこから我々人類も発生してきたのです。果てしない原生生物の世界を探索することは,アマゾンのジャングルを探検することにも匹敵するかもしれません。顕微鏡という武器を入手すれば,すぐに探索の世界に没入できるのです(画像/MWS)。








2018年11月27日






前回のウロレプタスはNA=0.75の乾燥系対物レンズによる画像でした。今回はNA=1.2で追いかけ回して数枚だけ画像が撮れました…。NA=1.2レベルとなると視野内に被写体が収まっている時間はたぶん1秒以内という感じなので,部分的にでも視野に被写体が収まって部分的にでもピントの合った画像を得るだけでも大変です。一枚目の画像は,25日付けで掲載したマルロモナスと同時に写っているので,大きさの違いが一目でわかります。二枚目の画像からは珪藻を食べていることや,細胞中央に核らしきものがあるのがわかります(画像/MWS)。








2018年11月26日








きょうの画像はよく判らない繊毛虫。たぶんゾウリムシ目の何かなのだろうけれども似ているものが山ほどあるので分離培養して詳細を見ないとわからないかもしれません。きょうの画像は生きていて自由に泳ぎ回っているゾウリムシを追い回して撮影したものですので,よく見かけるような,メチルセルロースで動きを止められてカバーグラスで押しつぶされた格好のゾウリムシとは異なります。。

そこいらへんのゾウリムシを顕微鏡で見たことのある人なら誰でも知っていますが,ゾウリムシは全然「草履」ではありません。もっと分厚くて,1990年代後半に流行した「厚底靴」を参考にするならば「厚底草履虫」という感じです。少しだけ平べったい筒といった感じの生き物です。

なかなか高速で移動するので,水たっぷりの水封マウントだと撮影には忍耐を要します。ひたすら追いかける不毛な時間が過ぎゆきます。水を減らしたり,狭い空間に閉じこもるのを待ったりして,よい絵が撮れる瞬間を待つのです…。よい絵がとれれば不毛な時間は有意義な時間に変質します。その充実感がまた,いいのです(画像/MWS)。








2018年11月25日














追いかけ回すのが困難なのは繊毛虫ばかりではありません。藻類も小型のものは動き回るものが多く,しかも小さいので,詳細を撮影するには繊毛虫と同等かそれ以上に困難なものもあります。極端に薄く封じてつぶれる寸前のものを撮影すればいいのですが,天然試料を検鏡する場合は夾雑物の影響でそこまで薄く封じられないので,自由に泳ぎ回る藻類を延々と追いかけて,休んでいるところを撮影することになったりします。

きょうの画像はマルロモナス。画像のものは淡水産で細胞の長さは20μmくらいです。表面に薄いシリカの鱗片を持っていますが,珪藻ほど厚く丈夫なものではありませんので,撮像はかなり難しいです。画像一枚目はいろいろな向きから撮影したもので,細胞の断面をとらえているものは,細胞回りに鱗片をまとっているのがわかるかと思います。表面にも鱗模様が部分的に見えているものもあります。

画像二枚目は泳いでいるときの様子。追いかけながら流し撮りをしたものです。長い鞭毛をくねらせ,その鞭毛の方向に泳ぎますが,高NAでの撮像はとても難しく,これまで撮れたのは対物NA=0.75までです。低NAの絞り込みや位相差+ストロボなら長い鞭毛も比較的楽に写りますが,藻体が小さいので詳細がわからなくなります。長い鞭毛と藻体を同時にあるレベルで表現するのは難しい課題です。

画像三枚目,四枚目は止まった個体の超拡大。表面構造と内部構造をそれぞれ表しています。5倍の投影レンズで1インチCMOSに像を転送しています。表面の鱗片模様と,鱗片の付き方が断面からわかります。この鱗片はゆるく覆っているようで一つ一つは動きます。珪藻のようにかっちり固定されているものではないようです。

鱗片表面には,珪藻と似たような整然とした構造があります。生きている細胞ではわずかに見えるものと見えないものがあって,珪質化の度合いかあるいは種による微細構造の違いを反映しているのかもしれません。ほんの少しだけ解像しているのが画像五枚目と六枚目。表面の鱗片にピントをあわせています。解像の様子からは微細構造の全てではなく,ある構造の群レベルを見ているような気がします。こういった構造を見ると高分解能イメージングをムラムラとやりたくなってきます…。

もちろん電子顕微鏡レベルなら微細構造も余すことなく見えます。Naoji Yubuki博士による素晴らしい作例が こちら にあります。ぜひご覧いただければと思います(画像/MWS)。








2018年11月24日






これは未同定の繊毛虫。ぱっと見た感じはユープロテスを連想させますが,おでこの部分がないし,動き方も違います。スチロニキアの方が構造的に近いように見えますが,詳細な同定資料を持っていないので不明ということにしています。ゆっくり移動したかと思えば高速で飛びはねて視野から消えるので追い回すのが大変です。行動範囲が狭いのが幸いで,数百μm程度の範囲をスキャンすると見つかります。そこで無謀にも高倍率で追跡したのです。

撮影は透過明視野絞り込みです。対物NAは1.2,コンデンサ絞りは0.6-0.4の間で調節して多数撮影しました。透過明視野は消光光学系を含まないので,光源の輝度を上げれば高速シャッターを切ることができます。この繊毛虫は1/1000程度のシャッター速度でどうにかなりそうだったので,ISO800で絞りを調節し,1/500〜1/2000で撮影を試みました。被写体ブレという点では歩留まりはよかったですが,高速で移動する物体なので置きピンにするしかなく,その点が問題でした。

得られた画像は低コントラストなので,画像処理によって各部の構造が見やすくなるように調整しています。微分干渉や位相差光学系を使えば高コントラストの絵を得ることもできますが,高速シャッターを切ることができなくなるので,ストロボ撮影が必要になります。単純な透過明視野法は,明るさも充分で被写体ブレを防ぐことができ,コントラストは画像処理で補うことができますから,考え方によってはひじょうに強力な撮影法という見方ができます。

今回のような被写体の場合,対物レンズの解像限界を狙うような絵を作るのはムリがあるので,対物レンズの解像限界の1/2〜2/3のところに目標を置きます。物体を止めた上で適切な画像処理を施し,無効拡大になりそうな場合は適切な縮小処理を施し,見苦しくない絵を作れば,深い被写界深度と繊毛も写るコントラスト,それにある程度の解像感のある画像を得ることができます(画像/MWS)。








2018年11月23日






これはアメーバが丸まったところです。細胞分裂前に丸い団子状態になることがあり,そのときの様子に似ています。普段は動き回っているアメーバも,細胞分裂の直前は丸まって立ち止まります。きょうの個体はかなり大型で,カバーグラスに貼り付いてくれましたので,ガラス面に仮足が貼り付いた様子を見ることができました。

これらのアメーバは,バルコニーで増やしていた珪藻入りのペットボトル中に出現したものです。最初はほとんど見かけませんでしたが,日数がすすむに連れてまず珪藻が増え,その珪藻が死滅し始めるタイミングでアメーバが大量発生しました。アメーバは珪藻が大好物なので,池の水などを培養して珪藻を増やすと,追いかけるようにアメーバも増えるのかもしれません(画像/MWS)。








2018年11月22日






いくら珪藻が好物とはいえ,これは無謀では…。巨大アメーバが大型珪藻のスリレラをごっくんしようとしているところです。あまりに大きな獲物なので最後まで包み込むことができず,結局は取り込めなかったもよう…(画像/MWS)。








2018年11月21日








高倍率の対物レンズ(NA=1.2)でワムシを追いかけるなどというのは酔狂な人間がやることなのかもしれませんが,MWSライブセルイメージングセンターで撮像中にワムシが視野を横切ったので,当サービスの誇る顕微ステージ操作能力を活かし連続撮影。ピントを合わせてステージ操作をしてシャッターも手押しなので,千手観音になりたい気分…。

このような被写体は写ることが第一なので粒状性とか細かいことは言ってられません。画像サイズはスモールを選択してISO感度は上げ,高速シャッターで歩留まりを上げます。あとはひたすら追いかけて撮像。露出も難しいですがだいたい+1.5-2.5EV辺りに最適ポイントがあることが多いです。

撮像できたら画像処理。ヒストグラム調整でもいいですが,明るさ/コントラストでの調整でもいいです。見たい構造がはっきり表現できるように調整します。

できあがった絵は,なんだかこの世のものとも思えず,現代アートみたいな感じがしますねえ(画像/MWS)。








2018年11月20日




きょうもMWSライブセルイメージングセンターでのお仕事。このセンターは筆者の顕微鏡デスク後方1メートルのところに設置されていて,実体顕微鏡操作やパソコン作業から離れて直ちにライブセルイメージングに着手できるようになっています。問題はライブセルの入手が面倒なことで,自然に乏しい都心では,どこかに出掛けないと豊かな生物群集に出会うことが難しいです…。

きょうの画像は珪藻の横向きの姿。珪藻は殻の正面から見て分類することが多いので,側面から見たときの情報はそれほど多くありません。しかし生体を見慣れている人ならば,横向きの珪藻を見ても一発で種名がわかることもあろうかと思います。きょうの画像は 難易度:低 の問題。知っている人は一目で種名がわかるでしょう。考えてみてください。正解しても賞品はありませんが…。

こういった細胞の向きを直すには,カバーグラスの脇から補水したり,カバーガラスを針などでつついて動かしたりします。けっこうな確率で転がってくれます。根気さえあれば,同じ細胞の違った向きを撮影することも可能です(画像/MWS)。








2018年11月19日






バルコニーに置いてある小さな生き物ペットボトルを検鏡したところクンショウモを発見。珪藻がほぼ死滅してしまう厳しい夏の高温を乗り越えるたくましさを持っているようです。数はそれほど多くありませんがちらほら見られます。種名は何でしょうねえ。さっぱりわかりませんが,Pediastrum integrumによく似ています。クンショウモは細胞が抜け落ちていく感じになるので,全部揃っていて「勲章」の形に整っているものはそれほど多くありません。たまにみかけても汚れていたり,バクテリアがいたりしてきれいな視野になりません。きょうの画像はたまたま良い位置にいたので,しばらくつつき回してさらに良い場所まで移動させて撮影したものです。

色はいじっています。Nikon1J5の場合,緑藻の緑色がPCモニタでうまく再現されません。sRGBの外側にある色なのかもしれません。色調や彩度をかなり調整しないと,「それっぽい色」になりません。いじり方の一例がきょうの画像二枚目。全体の色調をいじってしまうことになりますが,修正量は大きなものでなく,珪藻の色再現にもほとんど影響がないのでよしとしています。

適切な処理量がわかったので,18日付けのミカヅキモ,15日付のミドリムシの画像も色補正したものに差し替えました(画像/MWS)。








2018年11月18日




ミカヅキモの細胞末端には液胞があって,その中に石ころが入っています。顕微鏡で見ると石ころがブラウン運動的にチラチラしていて気になる存在です。過去の研究によれば,この石ころは硫酸バリウムとされていて,一部の種では硫酸ストロンチウムも作るらしいです。なぜ環境中からバリウムを選んだのかは不思議なところです。

で,こういったチラチラする小さなものは大変気になるので(笑),ついつい高分解能イメージングに没頭してしまったりします。きょうの画像はミカヅキモの一種で,これの分類は大変難しいのですが,たぶんClosterium praelongumかなぁ(自信なし)というところです。細胞末端のチラチラする硫酸ストロンチウムは,楕円形をしていることがわかります。個人的には,なんとなく,ほっとする絵ですねこれは(画像/MWS)。








2018年11月17日




この珪藻はネイディウム。泥の上などで見つかる淡水産のやや大型の珪藻です。縦溝の中央付近がフック状になっているのが特徴的で,ここにピンとをあわせるとネイディウム感が増します(笑)。きょうの画像に写っている細胞は,表面に大量のバクテリアをまとっていましたが,珪藻自体は弱っている様子などはなく,バクテリアもおとなしく付着しているだけでした。ひょっとして共生関係にあったりするのでしょうか?

この珪藻は移動速度がけっこう速いので,普段はISO160(最低感度)から動かさない筆者も,ISO800で撮影しました。そのままですと少しざらつくかもしれないので,画像ピクセル数を1/2にしてあります。こうすると隣接する画素をひとまとめにしているようで,いくぶんかざらつきが減るような気がしています(詳しくは調べていません)。

むかしは珪藻被殻の微細構造は,珪藻を処理して殻だけにして,高屈折率封入剤で封入しないと見えないというのが教科書的な教えでした。しかし現代では,高度に収差が補正された水浸対物レンズが利用可能な上,微分干渉法を初めとした各種のコントラスト法も充実し,光源波長の選択も自由自在です。さらには高感度デジタル素子を使って動く珪藻でさえも高精細に撮像できるようになりました。

そうやって得られた画像を処理すればさらにコントラストエンハンスメントができるわけで,ライブセルイメージングでも,珪藻被殻の微細構造が見えるようになってきたと言っても過言ではなくなりつつあります。もちろんそれを実現するためには,顕微鏡光学に関する基本的な勉強は必要ですけれども,そのハードルはそれほど高いものではありません。時代は変わりつつあるのです(画像/MWS)。








2018年11月17日(2)




16日は書籍絶版の2周年記念日でした。珪藻を採集し,処理して,種ごとに拾い上げ,顕微鏡下で並べて封入し,完成した作品を顕微鏡写真撮影。その画像に文章とコメントを付した写真集。もちろん,これらの全ての作業を筆者一人で行ったものです。このような写真集の制作依頼に応えられる人は,たぶん世界中探しても,数人いるかどうかでしょう。書籍のデザインは小川さんという,とても繊細な感性をお持ちの方が担当してくれて,誰もが欲しくなる写真集に仕上がったのは周知の通りです。小川さんには心から感謝しています。

著者の一存でこの本を絶版にしたことについては,本当に申し訳なく,入手できなかった皆様にはお詫びを申し上げるしかありません。すみません。皆様にご迷惑をおかけしてしまった見返りに,寝る前に思い出して,この不愉快な経験を反芻する日々をほぼ毎日過ごしています。

出版以降を振り返ってみると,本書を出版して少しでも楽しかったことがあるとすれば出版直後のわずかな期間で,(予想通りに)出版社が無連絡で債務不履行を行った春以降は,契約解除のために民法を勉強したり,世の中の報酬不払いへの対応を調べたりという日々でした。筆者はあまりお金に固執してこない人生を送ってきたこともあって,債務不履行でも「損するから支払って欲しい」という気分は皆無でした。「著者に対する評価を行わないなら,今までの売上げも印税も全部あげるから,仕事は引き上げますよ」というのが正確なところで,事実その通りにしました。

書籍ができあがり,見本を持ってきた日のこと。

「出版契約書は,ウチはやっていません」
「信頼関係でやっています」

このときの担当者の言葉が震えていたのを筆者が聞き逃すはずはありません。そもそも,最初の段階から本ができあがるまでの間に,契約に類することを話題にすることを避けて一切文章化しなかった時点で,支払う気がないだろうというのは予想できたことですし。契約書を発行しないというのは,「ウチは黙って不払いします」という意思表示のようなものです。

企画出版における原稿や画像というのは,筆者の考えでは,編集者に対するプレゼントです。出版を思いついて社内で企画を通した編集者に対して,可能な限りの努力をして,編集者を喜ばせてあげようというのが筆者の仕事に対する姿勢です。その結果がどうなったかは自己評価しにくい面もありますが,きょうの画像のように,amazonの書籍全体の順位で322位というのは,それが瞬間最大であっても並大抵のことではありません。販売から2ヶ月を過ぎた時点で,編集者は「はじめて売れる本が作れた」と喜んでいて,営業さんは「増刷を考えています」とのことでした。結果は出ていたと見るべきですね。

この「結果」に対して評価・感謝を形にして表したものが「支払」ともいえます。支払いは評価そのものです。適切な評価を行えば,共同作業で築き上げてきた信頼をさらに深めることができるので,ビジネス上はとても重要なチャンスでもあります。ですから,「評価」はたとえ支払いができなくとも何らかの形で行わなくてはいけません。

もし債務不履行になりそうなのであれば事前に詫びた上で丁寧に説明して,事情を相手に納得してもらえば信頼関係は維持できるでしょう。そのようにして相手に対する評価をきちんと表現すれば,相手から信頼され,債務不履行に関して相手から友好的な協力をしてもらうことすら可能になるかもしれません。

信頼関係が維持できていれば,筆者はこの出版社をさらに多くの方に紹介するつもりでしたし,著者として適当な人材も多数知っているので担当者に紹介して将来の仕事の参考にしてもらうつもりでした。もちろん,自著に関してもさらに売れるようにマスコミ系などに情報が乗るように工夫したでしょうし,テレビ取材などがあれば積極的に紹介したものと思います。

でも,連絡はしない,支払いはなし,契約書はなし,契約内容も不明。それでいて会社の専門分野は労働問題。これではさすがに,この出版社や担当者を人に紹介することはできません。筆者が編集者を喜ばせようと身を粉にして働いて原稿と画像を納品差し上げた会社は,自分でも会いたくない,とても人に紹介できないような振る舞いをするところだったのです。そしてそのまま債務不履行を継続し,校了/入稿から一年たっても何の連絡もよこさなかったので,「ダメだこりゃ」となり,人にお勧めできない出版社は自分にもお勧めできないわけなので,切ったのです。

いろいろな方から「もったいない」とか「ほんとに一円ももらってないの?」など,ご意見を頂戴しました。自分でも契約解除にした理由をスマートに説明しにくいのです。たとえて言えば,いちばん近いのは「離婚」かもしれません。あ,この人と暮らすことはできないわ,と思ってしまったら,婚姻関係という「契約」を解消するしかありません。そこには損得の感情とか金銭上の利益などというものを超越した判断があります。それと似ていて,あ,この会社ダメだわ,となれば,出版継続という関係を解除して,別世界に暮らすという判断になるのです。。

ですので,この出版社は別世界でしっかりやって頂ければいいのです。今後はぜひ,この出版社には信頼関係の維持を第一優先に仕事をしてもらいたいものです。特に編集者は会社の窓口でもありますし,書籍出版に対する全権を持っているわけなので,仕事の提案から実際の実務,契約を確実に行うことはもとより,著者に対する支払いの完了まで全てを自発的に見届ける必要があります。もちろん不備があればすみやかに連絡して信頼関係を崩さないようにしなければなりません。一流の編集者は自分で発生させた仕事については,著者に与えたどんな細かい負担も見逃さず,最後の完了プロセスまで見届けるものです。そのようにしないと次の仕事につながらないことを知っているからです。そういった作法に見習っていただき,出版契約の法務手続き問題で業界をリードする会社に生まれ変わって頂きたいものです。

もっともこういったビジネス上の振る舞いは個人の人格に属していることが多く,平気で不払いを起こすような事業体なら人材の入れ替えをしないと難しいかもしれません。「支払い」というのは「評価」に他ならないので,「連絡」をよこさずに不払いを行う会社は取引先を評価していない,ということになります。同時に,取引先からも,「評価されない」ということになります。こういった基本的なことがわかっていない編集者は,業界の悪い体質に染まりすぎているので,今から教育したところで,誠意ある仕事をするまともな人に生まれ変わるのは難しい気もします。

信頼関係を優先せず,社内の現金残高を維持することを優先すれば何を失う可能性があるものなのか,参考になるリンク先を一つ紹介しますので(こちら),ご覧になってみてください(画像/MWS)。








2018年11月16日




アメーバは思ったより動きが速く,光から逃れるように逃げていってしまうので意外にきれいに撮影できなかったりします。しかしよいところもあって,カバーグラスに貼り付いて移動してくれるヤツもいて,そういったものはピント面がきれいにあった絵にできます。きょうの画像のアメーバもきれいな平面が出て大変よろしいですが,色つきの藻類などを取り込んだ様子がほとんどなく,何を食べていたのでしょう? アメーバ自体は色素胞などは持っていないので,藻類などが取り込まれていないと,まるでモノクロの世界です。カラー撮影なのに白黒に見えます…。

ところで,ここ数日の画像は,さすがは微分干渉法と思わせるコントラストと写り…と思った方もおられるかもしれません。が,じつは微分干渉法は使っていません。すべて偏斜照明法によるものです。LWDコンデンサに拡散板を仕込み,照明光を遮ることによって,拡散板の一部を二次光源として使い,マイルドな偏斜照明にしているものです。この方法は本ページでも何度も書いてきましたが,最近では2017年2月に考え方を述べてあります。顕微鏡は機材の運用次第でいろいろな景色をみせてくれるので,いじり甲斐があります。ぜひ本ページの読者のみなさまも,顕微鏡をお持ちでないなら,えいやっと買ってしまい,無限に続く微生物の風景を楽しんで頂ければと思っています(画像/MWS)。








2018年11月15日






こちらのミドリムシ君はのびのびと屈伸運動中…。

デジタルカメラの色再現性はむかしに比べればだいぶよくなっていますが,紫,緑,深紅辺りは微妙な色再現のものもある気がします。このミドリムシも,いつ撮影しても,何かが違う気がします。光源はハロゲン。フォトスイッチ設定でNCBを入れ,カメラはプリセットホワイトバランスでの撮影。教科書通りのスタンダードな使い方ですが,どうも緑がピンときません。露出がまずいのかしらとも思いますが,カメラの機種によっても色が違う感じがして,どうしたものかと思っています。何せ藻類には緑色のものが多いので。

ところでミドリムシというと,これを培養して健康食品を売りつつ,航空機燃料を作って飛行機を飛ばす(採算ラインにのせる)と息巻いているベンチャー企業が有名ですね。筆者はこの話を聞いた瞬間に,新手の詐欺的商売が現れたかと苦笑しました。もし,少しでも熱力学の初歩が分かっていれば,この光合成生物を培養して油を作るのに,平均日射量(kW/日)を想定してどれだけの面積が必要なのか想像するだけで不可能なことが明らか。ミドリムシの油が燃料になるとしても,それはもともと太陽光の光エネルギーが数十分の1から百分の1くらいの光合成効率で固定されたもの。そこから分離のコストがかかるとエネルギーの投入産出比はマイナスになるかもしれません(笑)。

こういった最初から無理とわかっていることを掲げて企業が成長し,株価が上がったりして会社が10年も存続できるとは,なんて日本の経済界はバカが多いんだろうと不思議で仕方がありません。ツッコミを入れて熱力学的に実現不可能と証明するのは,大学1〜2年生くらいのよいレポート課題になるでしょう。そんなレベルです。

ミドリムシってのはバイオ燃料にしたりラーメンに入れて食べたりするもんじゃーありません。顕微鏡で覗いて楽しむもんですよ(画像/MWS)。



*1 詐欺的と書いたのは,詐欺ではない可能性があるからです。詐欺とは故意が立証されないと成立しないので,もしミドリムシのベンチャーさんが航空機燃料の実用化を固く信じていたとすれば,それが科学的でないにせよ,詐欺にはならないというのが日本の法律というのが筆者の解釈です。

*2 しかしその場合,詐欺ではなくなりますが,プラント作るのに熱力学の初歩もわからないという,途方もない馬鹿,という評価を受けてしまう可能性が極めて高いですね。

*3 この手の商売は,知能というものが存在しているのか怪しい役人が「補助金」を出してしまうことにも問題があるような気がします。役人が「何言ってんの?いい加減にしろよ」の一言で却下すれば無駄なカネが流れずにすむわけですが,実際には,最初から無理とわかっているプロジェクトに対して,そのことが理解できない文系の役人がOKを出して(?) 多額の税金が投入されたりしています。特にエネルギー関係の研究開発にそういったことが多いような気がしています。






2018年11月14日






こちらのウロレプタス君は選り好みせずにいろいろ食べているようです。珪藻を丸呑みしたかと思えばミドリムシもごっくん。さすがはどこでも見かけるしぶとい繊毛虫だけのことはあります。この子は一旦停止しながら動いてくれるので,撮影はしやすいですね。でも繊毛虫を撮影するときはストロボ使いたくなりますね…。高速シャッターよりもさらに早い露光タイムになるので,繊毛などの動きを確実にとめることができます(画像/MWS)。








2018年11月13日






これはたぶんカイアシ類のノープリウス幼生。池の水サンプルに入っていたものです。瞬間移動するように動き回り一瞬で視野から消えます。数秒たりともじっとしていることはなく,追いかけてフレーミングを行うのはほとんど無理。自由に泳ぎ回るこのような物体を撮影するのは,フィルム時代だと大変なことでした。

しかしデジタル撮影の現代にあっては,何百枚写してもいいので,無理な条件でも気長に延々と写していると「まぐれ当たり」が起こります。きょうの画像はそうやって撮影したもの。シャッター速度は1/40程度です。写し止めるのは不可能ですが,たまたま止まってくれたときに遭遇すればぶれずに写ります。

この手の撮影のときには,高NA低倍率の条件で視野を広く取り,あとからトリミングで対応するのが効率的によろしいと思います。きょうの撮影ではNA=0.45,0.75の対物レンズですが,途中で0.7倍のレンズを挟んで倍率を落として視野を広げてあります。動き回る被写体には,倍率を下げるのは結構効果的に感じます。

ところでこのノープリウス君は,どうやらミドリムシがお好きな様子。ぱっとみた感じでは,食べたのはミドリムシばかり,という感じに見えます。彼にとっては健康食品なのでしょうか…(画像/MWS)。








2018年11月12日






当室での顕微鏡イメージングではUV領域から赤外線まで各種の光源を使います。昔はバンドパスフィルターを使っていたのですが,UG-1などでハロゲンランプから365nmを取り出しても出力が弱く実用上は問題がありました。かといって超高圧水銀灯を持ち出すのも面倒で,フィルターワークでごまかしていることが多かった記憶があります。しかし近年では各種のLEDが利用できますので,波長純度はよくなり輝度も高くなり,夢の時代に突入といった感じです。

問題はランプの差し替えが面倒なこと。ハロゲンバルブと同じ差し込み式にしてもいいのですが放熱不足になりやすいので,当室ではランプハウス毎に526nm,443nmなどと専用のLED照明にしています。一台の顕微鏡で4,5台のランプハウスを使うことになるのですが,フィルタ交換的な感覚で手間にもならず便利です。使い分けは大雑把に,演色性優先の場合はハロゲン,デリケートな藻類等のライブセルイメージング等では高演色・電球色LED,コントラスト優先では526nmのLED,分解能優先では短波長のLED,暗視観察では850nmのLEDなどです(画像/MWS)。








2018年11月11日




当室での顕微鏡イメージングでは,ほとんどの場合でLED光源を使っているのですが,高い色再現が求められる場合はハロゲンランプを使います。高演色,超高演色のLEDも手持ちがありますが特定の色で抜け落ちることがあり植物色素系では演色性は高いに越したことはありません。

手持ちのランプハウスはほとんどをLED化しているので,ハロゲンを使うのは面倒なのですが仕事ですから仕方がありません。適当なランプハウスを選んで,顕微鏡の光学系にふさわしいランプを選びます。顕微鏡の機種が決まれば,ハロゲンランプの品番も決まってしまうのですが,顕微鏡光学がわかっていれば他のランプも使えます。何もわからず当てずっぽうにランプを選ぶと結像性能が著しく低下することもあるので注意が必要です。

きょうはフィリップスのFocusline 7027系が必要になったので,電球箱をひっくりかえしてみました。在庫がほとんどなくなっていて焦りましたが,一応は7027が3個見つかってほっとしました。オスラムの縦フィラメントでも使えるものがありますが,フィラメント面積とコレクタレンズの相性の関係から,7027の方が好ましいので,今回は7027をつけました。

この電球の問題はなかなか深いものです。同じ7027でも,フィラメントの巻き方で使えるものと使えないものがあって,不良品は避けなければなりません。フィラメントが斜めになっているものや巻き線間隔が前後でおかしなものは照明ムラを生じたり,瞳変形を生じたりするので使えないことがあります。電気街などで安価に店頭売りされているハロゲンランプは,幾つか買って試したところでは,使えないこともないですが,それほどよろしいものでもありませんでした。

ただの電球一個ですが,これの挿し方を間違えれば,それだけで性能が出なくなることがある。それが光学顕微鏡というものであることは,知っておいて損はないかと思います。もっとも,ダメなランプを間違って挿しても性能低下を感じないように,拡散板でごまかしている機種もあるのですが(画像/MWS)。








2018年11月10日




一台だけ持っている無限遠補正系の顕微鏡は購入後まもなく調子が悪くなり,ここ数年は粗動を動かすとガチャガチャ音がするという有様です。しかし仕事で使う機会がほとんどなく,たまに使ってもお客さまへのデモ程度なので,そのまま放置していました。しかしここのところ仕事上の必要性が生じてしまい,イメージングを続けていたところ,どうにも粗動の調子の悪さに我慢がならなくなり,しぶしぶメンテに手をだしてみようかと思いました。

この機種はアクセスポイントがほとんどなく,ひっくり返して裏蓋をあけてもうまくなさそうです。ステージ昇降装置のベアリングまで届きません。かすかに見える部分にはグリスが見えず,まさかグリスなしでベアリングを使うということはあり得ないと思ったのですがよくわかりません。

そこでステージをホルダごと外してみてみると,どこにもネジがなく手が出ないようになっています。しかし安っぽい黒い部分を指で押すと凹みます。なんと単なる化粧板が接着してあるだけです。そうなると,この化粧板を破壊しながら剥がすしか方法がないというわけです。それで剥がしたのがきょうの画像。まったくふざけた設計で,この顕微鏡はいじる度にむかむかするのですが,今回もまた,です。

さてベアリングを見るとやはりグリスが見えません。そんなことってあるのでしょうか? よくわかりませんが,グリスをつけたところで壊れることもなさそうだったので針金を使って追加。そのあと摺動を繰り返し。上下動は滑らかになりましたが,ガチャガチャするのは治りません。見当違いだったようです。これは修理に出すよりほかなさそうですね。数えるほどしか使っていないのに(画像/MWS)。








2018年11月9日




8日は業務打ち合わせで外回りでした。遠いところなら出張気分で旅の雰囲気を味わいながらの往復がストレス解消によかったりもするのですが,今回は歩いていけるところに用務先があったので,食後のさんぽの気分でした。。昨年頃から,仕事先が都内になることが多く,徒歩圏内になることもしばしば発生してコンパクトに仕事ができています。忙しいときは悪くないですね。きょうの画像は打ち合わせ部屋からの眺め。ビルばかりの都区内でも,住宅専用地域に隣接していれば,5階くらいからの眺めは悪くありませんね(画像/MWS)。








2018年11月8日




イメージングの仕事がありましたので,その合間に,目の検査も行いました。プランアポクロマート10倍でケーラー照明位置,物体を外し,きれいな超広視野接眼レンズで覗きます。コンデンサはLWD拡散板仕込み。最初はコンデンサ開放で,だんだん絞り込んでいくと,硝子体内部の残片が投影されて見えてきます。光学配置的には脈理検査の一種です。

結果をスケッチしたのがきょうの画像。これまではCに該当する毛細血管以外は見えていませんでした。ところが先週の土曜日を堺に新たな構造物A,B,Dが生じました。この図では中心が黄斑と考えてください。構造物Aは黄斑を取り囲むように生じた細線のリングです。後部硝子体膜が網膜から剥離している途中の部分を見ているものと思われます。Bの顆粒は赤血球で間違いなさそうに見えます。もともとあった毛細血管の周辺に生じています。図では少なく描いていますが実際にはもっと大量で,三次元的に分布しています。構造物Dは,位置的にはおそらく乳頭神経突起付近です。

この観察結果は,「黄斑部分は(硝子体膜は)剥がれています」「視神経乳頭付近はまだかもしれません」「出血していますが量も少ない」という眼科医の言葉と一致します。

筆者の右目は,後部硝子体剥離が黄斑付近で進行するときに,視神経乳頭付近から硝子体内部に迷い込んだ毛細血管が切れ,血球がばらまかれたという感じですね。自己診断ですけど,こうして直接見えると説得力がある気がします。

…というように,顕微鏡は使い方によっては硝子体内部の様子を知ることができる検査機器でもあります。裸眼で白い紙や空を見るよりも,遙かに鋭敏な観察ができますので,本ページの読者の方々は日頃から飛蚊症の様子を観察して把握しておくことをお薦めします。何かが生じたときに,すぐにわかりますからね(画像/MWS)。








2018年11月7日




今年はミクロ系の出版物が豊作といえる状況ですが,また素晴らしい書籍が出版されました。それがきょうの画像です。先月末に出たばかりで,当室では5日の夜にジュンク堂に出向き,大量展示されているところから一冊連れ帰りました。

著者はマクロ撮影から顕微鏡まで様々な小さなものをイメージングするオールラウンドな方ですが,本書は特に身のまわりにふつうに見られる昆虫類を中心に精選された画像を惜しみなく投入し,じつに見応えのあるものとなっています。本書はうまいストーリー仕立てになっていて,それぞれの写真にまつわる説明を読んでいると自然に知識が身に付いて,またそれだけでなく,何か,ルーペを持って野山に駆け出したくなるような臨場感があります。

編集は上質です。おそらく編集者の手腕と思われますが,独特のセンスで明快な紙面作りを行っています。必要な情報は漏れなく記載しながらも,うるさくならない空間配置で,こういった構成はとても難しいのです。タイトルには英文表示もあり,生物の名前には学名表記もなされているのに,本文には振り仮名が添えてあり,つまりは大人も子どもも楽しめるように配慮されています。

本文のクイズ形式は子どもに向けたものと思いきや,大人が読んでも全然違和感がありません。疲れたときにゆっくり眺めても,和んだ気分とともにゆっくりと読めてしまうふしぎな文体は,著者の優しさがにじみ出ているかのようです。筆者は51ページの文章を読んでいて,思わずニヤリとしました。

筆者が本書を特筆大書して勧めたい理由はもう一つあります。この本は主に昆虫系でまとめてありますが,後半の最後のところに,顕微鏡の世界と断った上で,プランクトンの美麗な画像を載せているのです。そこには珪藻の美しい暗視野画像や,ミジンコや,各種の幼生などが暗視野で紹介されています。さりげなくプランクトンの世界に誘うやり方は誰にも思いつかないもので,パラパラとページをめくって最後にプランクトンが出てきたときは胸を打たれました。

著者は顕微鏡写真撮影の名手で,特に中倍率域の微分干渉テクニックは最上級のものをお持ちで,たくさんの優れたストック画像があったはずです。それにもかかわらず,本書には微分干渉の絵は一枚も使わずに暗視野で統一しているのは,本書を手にした子どもたちが,本書と同じ絵が見られるようにとの配慮に違いありません。もちろん,ほかの昆虫の画像などでも,ほとんどは標準的な撮影法で得た自然な絵で,誰でも「ルーペで覗いてみたら」同じような絵が見えるように配慮されています。

この姿勢で貫かれた本書こそが,スモールワールドの名にふさわしいものです。けばけばしい色彩の物体を深度合成すれば読者の目をひくだろうなどという写真コンテストの審査姿勢とは対極に位置するものです。身のまわりにあるものを自然な絵で拡大して示し,「あなたも,いつでもこれが見られるんですよ」と誘ってくれる本書こそが,真に読者に役立つものと確信します。

本書は子どもと大人が同時に楽しめる本として,どんな方にもお薦めできます。学校図書館には必須の決定版です。ぜひリクエストを出してください。お子様へのプレゼントにも最適な本ですので,クリスマスプレゼントの一冊として,今から準備しておいてもよいでしょう。もちろん,小さな顕微鏡やルーペも一緒に添えて。

amazonのページは こちら です。

本書の著者により撮影された画像は『ずかんプランクトン(技術評論社)』にも掲載されています。情報豊富なブログを永く運営されていて,そこでは,微分干渉による海産プランクトン等のハイレベルな画像を見ることもできます。ぜひ こちらのブログ もチェックしてみてください(画像/MWS)。








2018年11月6日






11月3日の19時頃,筆者にとってはわりと重要な仕事中だったのですが,隣席右側の女性に顕微鏡の説明をしている最中に右目の右斜め下に飛蚊症の突発を認めました。やっちまったなーとは思いましたが,楽しい仕事であったこともあり,まったく気にせずその日は過ごせました。帰路,駅構内で電車をまっているとき,右目のなかに何かが走るのを感じました。視野最周辺に流星のようなものが走ります。眼球の運動と連動しています。深夜に帰宅し,念のため家人に症状を報告。ウチでは体調に関することはどんな些細なことでも情報共有することにしているのです。

さて症状からして,これは飛蚊症と光視症であることが明らかです。この症状が突然起きて,時間の経過とともに悪化していくようなことがあれば,網膜裂孔や網膜剥離に結びつく場合もありますので,要注意であることは確かです。翌日は日曜日でほとんどの眼科は休診でしたので,まずは自分で勉強しておきました。といっても,筆者は眼科系(と心臓血管系,脳梗塞関係)は日頃から勉強していますので,半分は復習です。

まず右目の飛蚊症の症状をチェック。黄斑近くに顆粒を認めます。そこから15〜30度右斜め下の位置にぼんやりと環状のもやもやがあり,その外周部近くに繊維状のヒモがひとつ。飛蚊症の症状の増悪は認めない。視力は飛蚊症発生の前後で変化なし。視野狭窄は感じられない。視野の微小な部分的欠損も感じない。

以上の症状と,発生時間を特定できることから,筆者の右目に起きたことは,「後部硝子体剥離」であり,それにともない「飛蚊症」と「光視症」が発生したと推測することができます。黄斑近くに見える顆粒状の粒子は硝子体剥離の前後で何らかの原因で発生した出血で,赤血球がばらまかれたものと推測。粒子数は増えないので出血はすでに止まっていると判断。ぼんやりとした環状のものは,視神経乳頭付近の剥離で生じるとされるWeissリング(グリア環)と推測。

視野内の視力をチェックして,以前と相違がないことから,網膜剥離は起きていないと判断。しかし光視症があるので,未剥離の硝子体によって網膜が牽引されているという状態であることが考えられる。そうすると,自分で感知できない部分に網膜裂孔が生じている可能性は否定できない。これが結論。

さてこのような結論を得たら,眼科にいけばいいわけですが,どのような眼科にいけばいいのかというと,オートレフケラトトノメーター,細隙灯検査装置,レーザー装置,視野検査装置,眼底カメラ,OCT程度がそろっているところ。あとは当然ですが,旧来の視力検査表も必要です。

そのくらいの機材があれば,視力は当然として,眼圧はわかりますし,角膜,水晶体の大雑把な様子は見えますし,視野欠損も調べられます。眼底の状態も見えますので黄斑の状態や網膜剥離も発見できますし,その度合いはOCTでいっそう明瞭になります。もし網膜裂孔が見つかっても,場所と程度によっては,その場でレーザーを打ってもらい人工やけどを起こして網膜を周囲組織に癒着され,剥離の進行を防ぐこともできます。

近所にその程度のことができる眼科があったので,翌日に行くことにして,日曜日の晩はふつうに酒を飲んで寝ました。自己診断が正しければ多少の飲酒は関係ないだろうし,寝られなくて睡眠不足の状態が継続する方がずっと目には悪いだろうと思ってのことです。

そして月曜日(5日)午後に早速受診。病院にいくのは8年2ヶ月振りでした。病院に頼らない生活をしている筆者も,眼科は別です。各種光学検査をしないとわからないことが明白ですし,場合によっては失明に結びつくので可及的すみやかに受診しなくてはと思っています。

さて担当の先生には,「新規の飛蚊症発生」「視軸から右下方向に輪っかのような構造,その外側に繊維状」「視野中心近くに顆粒のようなものが見えるので出血していて血球が見えているかもしれない」と伝えました。

各種検査ののち,眼底カメラ,細隙灯,そして眼底を見るための,見たことのないヘッドオンタイプ光学機器(虹彩拡大用のレンズを目に当てて,ヘッドオンのメガネを通して眼底を見る)で先生が診断。

「そうですね〜。確かに少し出血しています。しかし量も少ないし,クスリは必要ないと思います。経過観察ですね。あと一ヶ月後に来てください」

こちらがそれなりの知識とわかっていて簡素な説明にしたのか,説明が面倒だったのか,ちょっと雑だなと思ったので,

「えーと私の個人的な判断ですが,これは硝子体剥離に伴って何らかの原因で出血して,飛蚊症が発生して,そしてまだ硝子体が眼球の周囲部分で付着しているので,そこで牽引されて光視症になっているという理解なのですが,それであっていますか?」

「まあそうでしょうね」

「硝子体は,黄斑部分はすでに外れていますか?」

「はずれています」

「視神経乳頭部分も外れていますか」

「そこはまだ少しくっついているかもしれません」

「このくらいの状態だとOCTは撮るまでもないですか?」

「撮っても何も出ないと思いますよ」

「今回は,網膜剥離もないと思いましたけれども,網膜裂孔だけは自分ではわからないので,調べてもらいたくて検査にきましたが,裂孔もないと解釈していいのですね」

「裂孔はありません」「ただ,このタイミングで網膜剥離になりやすいので,経過観察ですね。一ヶ月後に来てください」

「はいそれは承知です。日頃顕微鏡を使って仕事をしているので,今回は問題なしとのことでほっとしました」

「それはよかったですね」

ということで診察終了になりました。



自己診断は正しかったわけで一安心ですが,硝子体剥離が進行中であるので,場合によっては網膜剥離や裂孔が起こる可能性を排除できません。「現在は大丈夫」というお墨付きをもらったので,これからは日々,飛蚊症の状況や光視症の様子を観察しながら,悪い方向への変化がないかを探す日々となります。

もし,視野内にボケた部分が発生したり,影が出たり,飛蚊症が悪化したり,顆粒が大量に出現したりすれば,それは網膜剥離や,硝子体出血などの眼球内部網膜近傍での出血の可能性もあり,直ちに硝子体手術のできる眼科医にかかる必要があります。

筆者はこれまでも,外を散歩するときや,顕微鏡を覗くときは眼の状態チェックを欠かしません。遠景の広視野をみて異常の有無をみたり,夕方の薄暗い空をみて硝子体内部の残片のようすを見たりしています。顕微鏡では,透過明視野でケーラー照明の状態にして,視野中に何もないところにあわせ,傷のない接眼レンズを完全に清拭したうえで,コンデンサを絞り込んでいき,飛蚊症のようすをチェックしています。

また,顕微鏡の講義などでは,飛蚊症もちの人が検鏡するときに,少しでもらくになるような条件をお話したりもしています。高NA低倍率でコンデンサを開くというのが一つの条件で,これを達成しやすいのが微分干渉法です。透過明視野小絞りでは飛蚊症の人は,網膜に硝子体内部の残片を投影しているようなものなので,かなり気になります。もう一つよろしい方法は暗視野検鏡です。この場合は背景が暗黒になるので飛蚊症は気になりません。望遠鏡で星をみていても飛蚊症に気がつかないのと同じです。

顕微鏡の講義では,飛蚊症が急速に出現したり悪化した場合は,網膜剥離につながる恐れがあるので直ちに眼科医にかかること,ということも,12年前から講じてきました。その結果,眼科医にかかった第一号が自分自身になってしまったわけですが,まぁ,勉強しているとある種の安心感もあって,よかったよなと思っています。あとは変な形で進行しないようにと願うばかりです。

きょうの画像はプランクトンハンドブックと自分の目。眼底検査では虹彩を開くために点眼しますが,目薬が効くまでに20分を要しますので,その間の読書用にプランクトンハンドブックを持参したわけです。落ち着いて読書する状況でもないので,パラパラと眺められる本がいいのです。最初のページからパラパラとみていって,ボルボックスを過ぎた辺りで診察に呼ばれました。

帰宅してまず行ったことは,自分の目を撮影すること。点眼でどのくらい瞳孔が開くのか興味津々。なぜなら天文屋さんの間では,暗順応して瞳孔がどれだけ開くかで極限等級が変わってくるので,瞳がきっちり開くことは重要なのです。でも悲しいことに若いときは7mmくらいまで開いた瞳孔も,中年を過ぎるころには5mmくらいというデータもあるらしいのです。そこをクスリで強制的に広げたらどうなるかというのがきょうの画像二枚目。瞳孔が開ききってニャンコ状態です。7mmどころではない。これはすごい。この目薬を天体観望で使ってみたい。わはは(画像/MWS)。



*1 今回詳しくレポートしたのは,このような現象は,本ページをごらんの皆さんにも起こる可能性があるからです。体調に異変が起きたときに,それを的確にとらえて,何をすべきかわかっていれば,それ以上の悪化を防げる可能性が上がります。網膜は,周囲が剥離しても黄斑部分が剥がれていなければ視力は温存できることが多いです。ので,網膜剥離の可能性があれば,それが進行して黄斑部まで届く前に一刻も早く手術等の治療をしなくてはいけないのです。

*2 硝子体が黄斑部分ですでに外れているかどうかを医者に尋ねたのは,黄斑円孔の可能性を知りたかったからです。もし黄斑部分ですでに硝子体が外れているのなら,黄斑円孔にはならないだろうといえます。すると筆者の右目は周囲にできた網膜裂孔や剥離が成長して黄斑部分まで剥がれた場合に,視力を大幅に損なうか失う可能性があるということです。黄斑円孔は避けられている,というのは今後の安心材料としてよろしいものです。

*3 院長先生は,「聞けば答えてくれる」タイプの先生でした。こういった人の場合,「患者力」が問われます。日頃勉強していれば,自分の目に何が起きているのかいろいろ質問できるでしょう。筆者は日本プランクトン学会では質問の鬼として知られていますが,病院でも,聞きたいことは何でも聞かなくては損だと思っています。

*4 それにしても,なぜこのタイミングでこんなことになったのかはちょっと謎。10月はパソコン仕事で大変な作業量だったので,それが悪かったのかしら。硝子体剥離は仕方ないにしても,少し出血したのが面白くないところ。。

*5 お勉強に役立つホームページとして,山王台病院附属眼科・内科クリニック院長 栗原勇大の眼科ブログを特に推奨致します。

*6 網膜剥離では眼球内に器具を突っ込んで硝子体を吸い取り,剥がれた網膜を復位する手術が一般的です。しかし硝子体手術のできる眼科は限られていて,どこにでもあるというほどにはなっていません。本ページの読者の方々は,ぜひ,万一の場合はここで硝子体手術をやってもらおう,という眼科を探しておくことをお薦めします。いざというときに慌てずに済みます。定評ある施設で硝子体手術等を年間最低でも100件程度はこなすというのが,よい眼科の目安です。技量が高く手術時間が短いような先生にかかれば,手術中の照明光の影響も低く抑えられ,術後に残る光傷害も少ないことでしょう。






2018年11月5日




台風さんが南の方で粘ってくれた?結果,木枯らしが吹かずに過ごしやすい日々が続いています。暑くもなく寒くもなく,相対湿度が40-55%くらいというと,これはレンズメンテナンスに向いている感じですね。大切にしている対物レンズは,メンテナンスの日も選んでいるのです。このくらいの条件だと,清拭がきれいに決まることが多い気がします。

対物レンズの清拭に使う紙は,当室ではもっぱらWhatmanの105です。高価すぎるという欠点はありますが,紙質は文句ありません。1パックで25枚のところを3分割して75枚にして使っています。それでも多量のレンズ清拭やJシリーズの完璧な拭きを行うと何パックも消費するという恐ろしいことになります。

使い終わったWhatman105の紙パックは捨てずに保管します。最上の品質の紙を保管できるパックなわけですから,メンテナンス用のチリの少ない作業台になるわけです。きょうの写真のように,Whatmanの紙の上に対物レンズをそっと置いて,LED照明を駆使しながらレンズの汚れをみつけ,完璧に拭き上げるのです(画像/MWS)。








2018年11月4日




微分干渉法の特徴はピントの浅さにあるわけです。この特徴によりスライスするように光学的な断面を見ることができて便利なわけですが,珪藻の全体像をみたいときなどはピントが浅すぎて一部しかみえないこともしばしば。絞り込むなどして瞳面積を小さくしても限界があり,ピントの深い検鏡は無理です。しかし高度に平面的な珪藻というのもいて,そういった種は微分干渉法の高コントラストを広い面積で味わうことができて幸せです。きょうの画像はそんな一例。海産の沿岸性付着珪藻です(画像/MWS)。








2018年11月3日




天体写真などの天文系ブログは数え切れないほどあるのに,なぜか顕微鏡系ブログはひじょうに少なく,その状況はここ10年くらいでもあまり変化がない感じです。アマチュアレベルの天体望遠鏡では,がんばっても数十万の星が見えるに過ぎないですが,顕微鏡さえ入手すれば,見るものは無限大です。この面白さに気づく人が増えることを願って筆者は仕事をしているのです…。

最近はたぶんSNS方面に人が流れているのでブログはますます流行らず,顕微鏡画像等もSNSで披露する方向なのかもしれません。でもブログやホームページのように,何の制限もなく発信者が思いのままにまとまった情報をアップしてくれれば,その方がSNSなどよりも遙かに役に立ちますし,教育的にもよろしいでしょう。なぜ人はSNSに流れるんでしょうね? よくわかりません。

こういった逆風?の中でもブログに顕微鏡記事を書き続けている方には敬意を表したいと思います。顕微鏡道楽さんは楽しい記事がたくさんで,中でも顕微鏡デスクを自作したというお話には驚嘆しました。

エビ水槽のチビたんさんのブログは,原生生物が次々とアップされています。顕微鏡ははじめたばかりというお話ですがとてもそうは思えない質の高い画像を楽しめます。こんな画像はそうそう撮れません。

どちらのブログの管理人さんも,自然豊かなところにお住まいのようで羨ましいですね。東京都区内は仕事には便利ですが,自然がまるきりない状態なので,日常では公園の人工池の水をみてみるのがせいぜいのところです。だからこうした自然豊かなところで顕微鏡系ブログを更新してくださるのは,目の保養になってとてもよろしい気がします。有り難いのです(画像/MWS)。








2018年11月2日




ことしは何だか歯車が噛み合わない一年になりつつあるような気がします。1月は電気電子産業系のお仕事,2月は身内の不幸があり仕事が止まりましたがこれは仕方がありません。3月はシンポジウムの準備と年度末注文への対応。4月は電気電子産業系のお仕事。5月は訪問対応や外回りの仕事が多く,後半は特注品の試料処理。6月には標本製作に戻れましたが,7月にはイベント対応と学会準備。そこから異常高温が続き標本製作は完全ストップ。8月は電気電子産業系の仕事と学会用のイメージング。9月は学会と特注品の準備。 10月は〆切のあるパソコン仕事で暮れました。

こうして振り返るとけっこう忙しい日々だったのですが,「本業」がまともにできていないことが問題です。ここ数年,Jシリーズ製作時期になると期限付きの仕事が舞い込み,標本製作の時間を奪い取ることの繰り返しです。かといって個人事業主というのは,基本的にはできる仕事は引き受けなければならないので,仕事を依頼してくれることに感謝して丁寧に応えて行かなくてはいけません。

こうしてみると,今後は仕事のやり方を根本的に見直さないといけないような気がします。どこをどうすればいいのかはよくわかりませんが,仕事を発注してくれる方々が,筆者がどれほどの困難を乗り越えてJシリーズを作っているかなどということを知るはずもないので,事情を話して納得してもらうという方法は無駄でしょうね。黄砂が降り注ぐ時期に製作するというのも無謀だし,秋から冬にかけての製作時期をきちんと確保するにはどうしたらいいのかなぁ。年中空気がきれいなところに顕微鏡デスクがあればいいのだろうけれども…

画像はそんな話題とは何の関係もない夏の想い出。釣山公園から望む一関市街地方面です。東北に行きたいなぁ(画像/MWS)。








2018年11月1日




きのう,透過明視野絞り込みの像が表面と内部の重ね合わせであることを述べましたが,その実例を示してみました。右の画像はクチビルケイソウ(Cymbella janischii)の被殻表面構造ですが,別の被殻を用いて透過明視野絞り込みにしたのが左の画像。まったく別物のように見えます。このように顕微鏡の像というのはどこを見ていて何を示しているのかを注意深く解釈しなければならないこともあります。珪藻などは表面が凸凹に見えても,じつは滑らかだったりするので要注意です(画像/MWS)。









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