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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


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お知らせ
 

作業時間確保のため,当面の間,在庫販売のみとさせていただきます。在庫についてはお問い合わせ下さい。お急ぎのお客様には個別に対応しますので,メールにてご連絡下さい。リサーチグレード,教育用セットの実質的な販売再開は4月末頃?となる見込みです。DL-TESTにつきましても当面の間,販売休止します。以上,ご了承下さい。






2017年4月30日


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29日は相模湾方面でサンプリングでした。ほしい試料はいろいろありますが,室内作業に追われて一ヶ月ぶりとなってしまいました。今回は磯の生物でバイオミネラル系の何かよいものないかしらん,という感じの探索です。筆者はとても鈍感で不勉強なタイプの人間なので,勉学によってなにかを積み上げるのは難しそうです。目的があやふやな段階であっても現場に出向いて,海を眺めて,テッポウエビやギンポと遊び,ナベカの可愛い姿にうれしくなり,見たことのないカニさんに喜び,久しぶりに見つけたアオウミウシに心洗われる重いがしてと,そんなことが大事なのです。こういった現場感覚は,あとになってきっと役立つという実感があるのです。当日は風が少し強めでしたが,暖かくて天気もよく,収穫はさっぱりでしたが大変気分良く帰宅しました。これで交通費がもっと安く済めば文句ないのですが…(画像/MWS)。








2017年4月29日


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多摩六都科学館,静岡科学館で開催中の企画展において,当サービスのJシリーズ(珪藻)が展示中です。直接顕微鏡を覗いて,プレパラートの真ん中にマウントされた小さい世界を見ることができます。どちらの企画展も,ゴールデンウィーク期間中までで,展示終了です。あと一週間ほどで終わりになりますので,連休の機会に覗いてみるのもよいかもしれません。どちらの科学館も,科学展示では定評のあることろで,Jシリーズ以外にもたくさんの興味深い展示を見ることができます(画像/MWS)。








2017年4月28日


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ニコン携帯顕微鏡H型はニップル球という豆電球が光源なのですが,暗く,色温度が低く,フィラメントは電球によりまちまちの位置で,お世辞にも使いよいとはいえません。演色性はよいですが。電力消費も甚だしく,すぐに電池がなくなります。そこでLED化するわけですが,そのまま使えるよいものがありません。

白LEDでニップル球と同じ形をしたものはあって,入力も1-5V対応で,付け替えればそのままLED化できて,明るくなり,電池寿命は延び,照明ムラも減るという優れたものがありますが,残念なことに,色温度が異常に高く,赤が欠損していて,緑も足りなくて,演色性は悪いと言わざるを得ません。もしおなじ形で電球色のものがあれば,文句ないのですけど,なぜかニップル球と同じ形のLEDで,電球色というのはありません。

しかし低電圧LEDで,同じE10の口金で,電球色のLEDはあります。これをニコン携帯顕微鏡H型につけると,アームに引っかかって使えません。。そこで仕方なく工作となるわけです。

まずはアームに収まるように,LEDのレンズ部分を切断します。それから先端をドーム状に整形します。ある程度整形できたら,板に凹面を掘って,そこに耐水ペーパーをはめ込んで,簡易研磨皿にして,先端をレンズ状にします。整形できたら耐水ペーパーを順次細かくしていって,つや出しをしておしまいです。これで一応は携帯顕微鏡H型で利用可能な電球色のLEDとなりましたが,輝度があまり高くなくて,不満も多いですね。口金買って,超高輝度の電球色LEDを仕込んで自作した方が,よいものができそうな気がします(画像/MWS)。








2017年4月27日


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夏が近づいてきている。ながーく伸びたふきが入荷した。画像は処理済みのもの。





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もちろん葉っぱはつくだ煮風にしなければならない。葉っぱを一度ゆでこぼして短時間水にさらし,水を切ったら酒,しょうゆで煮るだけだ。おむすびの具材にこれ以上のものはない。




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ふきが入荷した以上は,ぜんまい(会津)を戻さなくてはならない。誰に教わったわけでもないのに,ぜんまいとふきをあわせたくなるのは,野生の本能なのか。。。




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きのこもチンして,人工香料を飛ばさなくてはならない。




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油揚げと,そこいらへんに転がっていたちくわも加えて,味付けは酒(多め)としょうゆだけで蒸し煮にする。世の中にこれ以上おいしいものがあるとは思われない…\(^^)/(画像/MWS)。








2017年4月26日


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25日はニコン携帯顕微鏡H型の午後となりました。携帯顕微鏡H型の使用法,メンテナンス,活用法等を教えて欲しいとのことで先月からお申し込み頂いて,ようやく実現しました。ながいつき合いとなる生物系の研究者です。H型を手にして一ヶ月ほどの時間のわりには,ずいぶん使いこなしておられ,機器についても深く理解しているように見受けられました。もちろん,そのレベルにない方は,当サービスへ出向かれても門前払いになる確率が高いのですが…。

備忘録的に記せば,まずメカの説明。裏蓋を開けて,プリズム部や電気系の説明,照明のくふう,コンデンサの使い方,ミラーの調整などごく一般的な項目の説明を行ったあと,ホールグラスの使い方,偏光顕微鏡としての活用法,Nikon1とCマウントリレーを用いた撮影,偏光撮影などを行いました。試料はケイ皮酸の結晶と,ナマコの骨片を使いました。

じつに楽しい時間であっというまに夕方も近くなり,今度は顕微鏡を水浸微分干渉に変更して,先生から指導を受けながら鞭毛の観察を行いました。はじめてみる藻類でじつに興味深く,いつまでも見飽きない光景でした。要するに大人が高級なおもちゃで遊んでいる原生生物のトップレベルの研究者と標本製作の職人が顕微鏡の何たるかを追求するじつに有意義な時間だったのでした。お世話になりました先生には,遠くからお越し頂きましたこと,貴重な教示を多数得たことに心より御礼申し上げます(画像/MWS)。








2017年4月25日


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ニコン携帯顕微鏡H型の特別付属品に,ホールグラスというものがあります。実物を見たことがありませんが,どういうものかはわかります。それがきょうの画像。携帯顕微鏡H型は倒立顕微鏡の構成,つまり対物レンズが上を向いているのですが,対物レンズは鏡筒長160mmでカバーグラス厚さ0.17mmで設計されているとされています。つまり,標本は,カバーグラス面を下に向けてステージにセットするのです。

そのようにすると面白くないことがあります。水を一滴垂らしてカバーグラスをかけたような一時的プレパラートは,下に向けるとカバーグラスがふらふら動き出すこともありますし,カバーグラスからはみでた液面がステージに接触すれば毛細管現象で吸い取られてしまうこともあるでしょう。観察どころではありませんし,海水サンプルの検鏡では,本体の腐食に結びつくこともあります。カバーグラスを小さなものに変えれば問題ありませんが,そうすると観察範囲は狭くなりますし,何より,特注の小さなカバーグラスなど,持っている人の方が珍しいでしょう。

ということがあって,「ホールグラス」が必要になるわけです。これは孔のあいたスライドグラスにカバーグラスを貼り付けたもので,小さなチャンバになっています。顕微鏡にセットして,上から試料を滴下して,そのまま検鏡すればいいわけです。蒸発を嫌う場面では,シリコンなどでパッキンを作ることもできますし,そうしなくても,上からカバーグラスでフタをしてしまえば,けっこう長時間検鏡できます。

また携帯顕微鏡H型は,コンデンサのついているアームが持ち上がりますので,「ホールグラス」を使えば,アームを上げて天空光で検鏡しながら,目的とする生物を吸い上げたり,解剖したりと,顕微操作を行うこともできます。

きょうの画像のホールグラスは筆者製作のもの。青板ガラスにダイヤモンドチップで孔をあけて,ダイヤの回転工具で孔をひろげて整形します。ある程度のバリは細かいシリコン研磨パッドで取り去ります。ガラスの外側の縁は全て研磨して,滑らかな手触りにして,顕微鏡にセットしたときに起きがちな欠け,割れ防止機能とします。

孔あけ工作が終われば,きれいに洗って清拭し,カールツァイス社の提供するハイパフォーマンスカバーグラスを貼り付けます。本来は耐水性の接着剤を使うべきですが,そう頻繁に使うものでもないので,今回はそこいらへんに転がっていた接着剤を使用しました。これで顕微鏡の光学的性能を損なわずに,生きたプランクトンなどを検鏡できる「ホールグラス」のできあがりです。

なお当然のことですが,このホールグラスは,ふつうの倒立顕微鏡でも使えます。カバーガラス厚さが0.17mmなので,通常の生物顕微鏡の対物レンズが使用でき,高NAでの検鏡が可能です。顕微鏡の性能をフルに発揮したいときには必需品ともいえるかもしれません。もっとも,携帯顕微鏡H型はコンデンサNA=0.9での運用が可能ですが,一般の倒立顕微鏡はコンデンサNAを上げられないものも多く,分解能は携帯顕微鏡H型よりも劣るケースも希ではありませんが…(画像/MWS)。








2017年4月24日


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日曜日は天気がよかったので桜の木の下で昼飯にしました。歩いて15分くらいのところにまとまった緑があるので,ときどき空気を吸いに行っているところでもあります。禁煙なので,タバコの煙を気にすることもなく,ちょっと一息つける時間となったのでした。こういったリフレッシュがあると,帰宅して顕微鏡デスクに戻っても,やるぞーという気になるから不思議です。ガラスを磨いて放散虫をつつき回してと,積み上がった仕事ではありますが,楽しく作業することができました。こういう気分転換を経験すると,自然を眺めるということは,ホント大事なものだなぁと思うのです(画像/MWS)。








2017年4月23日


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きのうの画像はバルバドスの小型放散虫でしたが,きょうも同じサンプルから出てきたもの。球状放散虫はそのままでは中心部の構造が見えませんが,これは絶妙に割れています。真ん中の構造をきちんと残しながら,周囲がはぎ取るように割れていて,しかも中心部を見るときに断面構造がわかるようになっているものは,とても少ないのです。数えたことがありませんが,数十万粒に一つあるのか?といった頻度かもしれません。

そういったものを見つけるとうれしくなって,放散虫在庫に加えるわけです。そして,いちばん観察しやすい面が対物レンズに向くようにあれこれ考えて固定し,動くなよ〜とお祈りしながら封入するのです。うまくいけば,きょうの画像のように見えるわけです。ただ,これだけですと断面図でおしまいなので,全体像を見るためには,完全な形のものがもう一つ欲しいところです。

ところがこれが難物なのです。中身が見えないということは,ひょっとすると別種かもしれないという危険を排除することができません。外見はよく似ていても,割ってみたら中身が違ったという話は実際にあるのです。。ということで次の解決策は,標本を裏側から見ることです。長作動対物レンズを用いて,スライドグラス側から,補正環を回しながら検鏡してベストの像を出してやれば,この放散虫の外側の構造を理解できるでしょう。

当サービスのJシリーズは,スライド側から覗いても問題ないように,傷のない欠陥のほとんど認められないスライドグラスを使用していますので,像が劣化することはありません。暗視野で完全黒バックを実現することを目標に作られていますが,こういった実用上の利点もあるのです(画像/MWS)。



*1 Jシリーズの標本面が,スライドグラスの中央にないのを不思議に思った方もおられるかもしれません。これは,マウント時に,スライドグラス表面を精査して,もっとも欠陥の少ないところを探して,そこにちょうど標本面がくるようにしているからです。同様の理由で,カバーグラスの中央に物体が載っていないものがあることに気づいた方もおられるかもしれません。それは近くに存在しているかもしれない,小さな傷を避けているのです。




2017年4月22日


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まだまだ試験封入は続いており,一般向けの在庫を溜めるところまで到達していません。すみません。

試験封入にはいろいろな目的があって,その一つは特注品に対応するということがあります。検査板などではコントラスト調整が必要になるのですが,珪藻を試料にしてしまうと,屈折率差を縮めるには低屈折率の封入剤が必要になり,これがとんでもない難物なのです。この難物を,特注品対応の機会にケリをつけてやろうということがあります。それとは別の目的として,研究開発があります。種々の樹脂で試験封入を行い,知見を蓄積すれば幅広くいろいろなことに対応できるようになります。

そしてまた別の目的としては,精算休止中のC-TESTを再開したいということがあります。主に光学メーカーさんからC-TESTの希望があって,対応しなければならないと思っています。C-TESTは優れた検査板ではありましたが,あまりにも歩留まりが悪く,製作した半数以上が廃棄となることもしばしばでした。このために生産継続は不可能でした。今回,新しい工程を考えて,歩留まりが向上してコントラストも選べるようなものを作れればと思っているのです。

顕微鏡を正しく使い性能をきちんと出すには正しく設計製作された珪藻標本で検鏡技術を磨くことが必要です。ひつようというのは「必ず要る」ということです。一部の光学メーカーさんを除けば,まだまだこのようなことが知られていませんし,当サービスの認知度も低いようです。努力を続けなくてはなりません(画像/MWS)。








2017年4月21日


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ここのところ,花正系列のお店に「ボラ」が出回っています。大きめで,見るからにうまそうなボラの半身です。そのまま刺身を引いてわさび醤油でもいいのですが,ショウガ,ネギとしょう油で漬け込みにするのも大変うまい! のです。お年を召した世代の方々は,ボラというと顔をしかめます。刺身など絶対に手を出さないという人もいるかもしれません。1960年代頃の,水質汚濁の激しかった時代は,ボラやスズキなどの淡水と海水を行き来する魚は,とても食べられない臭気だったといいます。

しかし時代は変わったのです。まだ高度に富栄養化した内湾もありますが,全体的にみて,沿岸域の水質汚濁は改善に向かっています。21世紀に入ってボラを何度も刺身で食していますが,食えないものに当たったことがありません。どれも十分においしい。養殖魚が嫌いな筆者にとっては,養殖のタイやブリ,サーモンなどよりはるかに上等に思えます。高知県で食した沖ボラもうまかったし,きょうの画像の大阪湾のボラも十分においしいのです。まだ手を出したことのない方も,一度試してみるのもよいかもしれません(画像/MWS)。








2017年4月20日


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これはオニギリ型のミスミケイソウを横からみたところ。珪藻の上殻と下殻が組み合わさっているわけですが,その間にバンドがあります。このバンド(ガードルバンドとも呼ばれます)もケイ酸でできていて殻の一部です。六角形のハニカム構造のように見えるこのバンドは開口部がとても小さいらしく,封入剤がとにかく入りません。粘度の低めのものを用いても,空気が残ってしまいます。画像の中でコントラストが強く出ている粒粒の部分が空気です。珪藻プレパラートを作るときには,珪藻を含む溶液を滴下して乾燥させ,それから封入剤を垂らして封じるわけですが,たぶん乾燥したときには既に穴ぼこがふさがっているのだろうと思います(画像/MWS)。








2017年4月19日


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海に浮かんでいる放散虫の中には,こんなものもいます。うんと細いシリカの毛のようなもので骨格ができています。もはやこの領域になると,タンパク質やキチンやほかのもので骨格を作った方がよいのでは?と思うほどで,なぜ,大した強度もないほどの細いシリカで構造を作るのか謎なのです。DNAがシリカをあきらめきれないのでしょうか(画像/MWS)。








2017年4月18日


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テスト封入のあいまに,過去に封入した試料の経時変化追跡。当サービスで供給している放散虫は比較的,太い骨格のものが多いのですが,放散虫の中にはきわめて脆弱な骨格のものもいます。こうしたものは通常の乾燥法では,乾燥する段階で破損しますのでマウントできません。また採集段階でだんごになっており,乾燥させたら,ほぐして放散虫を分散させることはできません。

そのような試料は,水置換して,水系の封入剤に置換していってマウントしますが,これが大変な作業です。ごみにまみれた中から放散虫を探し,水ですすぎながらあらってほぐして,封入剤に浸けていきます。水系の封入剤は硬化がおそく,完全硬化しないともいわれ,カバーグラスがずれたりしますし,封入剤も時間をかけて痩せていきます。封入剤の量を間違えると放散虫はつぶれてばらばらになります。

そういった試料がきょうの画像。2年前に封じたものです。脆弱な放散虫がなんとか封じられていますが,完全な形ではありません。画像二枚目は封入剤の量が少なく,つぶれてしまいました。画像が位相差であることからわかるように,これらの放散虫はほとんどコントラストを生じないので,作業は大変です。こういった繊細なものも散布標本で供給できれば面白いのですが,たぶん,無理…です(画像/MWS)。








2017年4月17日


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のらぼうをいまごろ買いに行ったのはよいタイミングを待っていたからでもあります。雨続きで日射が少なければ水っぽい味の薄いものになりかねませんし,晴れ続きでカンカン照りだとスジが固くてよくないわけです。そこで,雨が数日続いたあとに,晴れが3日間続いたところで買いに行ったのです。たっぷりと水を吸ったのらぼうがぐーんと伸びているところのものを頂戴したわけです。

このねらいはばっちり成功です。例年よりも味が濃く,鮮度も抜群,茎もやわらかく,最高です。2分くらい茹でただけで十分おいしく,何もつけずにバクバク食べられます。釜揚げしらすで和えれば季節の出会いもの。定番の菜焼きはいつも通りに酒,しょうゆだけで味つけ。文句なしで,酒もすすむのです(画像/MWS)。








2017年4月16日


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土曜日の午後はのらぼうを探す旅でした。休日らしい休日となり,のびのびとしました。桜が満開のころに,あきる野市〜五日市方面でのらぼうを探してぶらり旅というのが例年の行事となりつつあります。桜も見られるし,電車にも乗れるし,本も読めるし,のらぼうも手に入る。じつによいことです。オプションとして九州ラーメン桜島でみそワカメとギョウザを食べるというのもあります…。

のらぼうはカキ菜の一種と思ってもらってよいのですが,もともとは五日市方面特産の菜っ葉だったと思います。いまでは,ほかの地域でも栽培されるようになって,たまには都心近くまで入ってきていることもあります。ところが,これが似て異なるもので,以前,荻窪駅近くで見かけた近県産の「のらぼう」は,固くてスジだらけで食べられるものではありませんでした。ああいうものを出荷する姿勢に大きな疑問を感じましたが,その近県産の地域では,もともとこのようなものは栽培していなかったはずなので,本物の「のらぼう」がどのようなものか知らないのかもしれません。

五日市方面ののらぼうは,個人的には品質は最上だと思います。特に武蔵増戸方面のものがよくて,昔からのらぼうを育てている農家が,のらぼうを知り尽くして最良のものを供給してくれています。おそらく朝露,朝霧がある程度降りてくる谷津で育てているのではないかと思いますが,大きく伸びていてもやわらかくって,深い甘味があって,香りもすばらしく,最高うまいのです。もし以前にのらぼうを食べて,大したことないなと思った方は,ぜひ本場物ののらぼうをお試しいただければと思います。のらぼう祭りはもう終わってしまいましたが…。

秋川駅近くのスーパーオザムでは,地場ものコーナーがあって,土曜日に行くと朝どれっぽいのらぼうが置いてあります。まったく有り難いことなのです。のらぼうは,アスパラガス並に味の変化が早く,朝に収穫したものをその日のうちに処理するのがよいのです。日頃とおくから輸送されて元気のない野菜ばかり食べている都心の人間には,朝どれのらぼうは,この上ない御馳走なのです(画像/MWS)。








2017年4月15日


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2月下旬から始まった封入試験はまだ続いています…。今年に入って7種の樹脂を検討していますが良い結果がなかなか出ずに,4月に入って少し結果が出始めたというところです。樹脂は一つ一つ特性が異なるので使い方も変わります。樹脂ごとの,微化石の封入方法などという説明書はこの世に存在しないので,自分で特性を探り,樹脂の使い方を探っていきます。膨大な作業量です。困ったことは作業量が膨大なだけでなく,一般封入用の樹脂以外はいずれも高価で,投資も膨大になります。どこかでよい結果がでてくれないと,カネと時間を捨てたことになります。個人事業主はどれほど研究をしても,科研費には申請できないので,研究も自腹,学会発表も自腹,機材購入も自腹です。資本がなくなればお仕舞いです。

さういうわけで,結果が出るまで踏ん張って散財を続け,次に結びつけなければなりません。きょうの画像は試験封入した放散虫。南極のものです。どうも放散虫というのは,産出した場所や時代によって微妙に屈折率が違うようです。うんと古ければ生物ケイ酸は変質し,たとえばクリストバライト,石英,といったように変化しますので屈折率が変化してもふしぎではありません。が,それほど変成していないだろう比較的新しいものでも,微妙に違う感じがするのは,果たして変成なのか,生成したときにすでに違うのか,謎な気がします(画像/MWS)。








2017年4月14日


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完全な標本を用いて,レンズを完璧に調節して,球面収差ゼロの画像取得に成功したとしても,そこで終わってはいけません。観賞用ならそれで満足して眺めるのも一つの方法ですが,研究や,検鏡技術の訓練でイメージングしているのであれば,取得した画像にどれだけの情報が含まれているのかを調べなければなりません。

人間の感覚は対数的にできていて,カメラの受光素子はリニアな特性をもっています。このため,人間の目に見えているものと,カメラに見えているものは異なります。カメラでとらえた一枚の画像は,ひじょうに狭い輝度範囲の情報が記録されているに過ぎませんが,そこにはリニアな輝度の情報が数値化されて記録されています。もし物体の構造情報が輝度の差として記録されていれば,どんな小さな差でも,これを演算して引き延ばしてやれば目に見えない情報も可視化できることになります。その実例をみてみましょう。

きょうの画像1枚目は,コスキノディスクスの超低コントラスト標本を撮影したもの。目で見ても,視野に珪藻を入れるのが困難で,カメラでピントを合わせるのも至難の業という感じです。画像でも,ほとんど見えないものになっています。この画像を処理して,ヒストグラムを切りつめて,珪藻構造付近のヒストグラムだけをぎりぎりまで拡大してやると,画像2枚目のようになります。一枚目でまったく見ることのできなかった構造がはっきりと視認できます。からっぽに見えた一枚目の画像にも,これだけの情報が含まれていたのです。

このようなことがあるので,イメージングで良い絵が得られたら終わり,ではありません。むしろそこは出発点で,そのデジタル画像の中に,どんな情報が埋もれているか執拗に探し画像処理を繰り返すのが,現代の顕微鏡写真術といっても過言ではありません。

やっていることは電気的増幅です。高感度マイクを使って,聞こえない音を拾ってアンプを通して,人の耳に聞こえるようにする,それと同じことを目でやっているわけです。目では見えない低コントラスト像をCMOSやCCDを使って記録し,その電気信号を増幅して目に見えるようにする,ということです。このような方法は伝統的にビデオエンハンスコントラスト(VEC)と呼ばれていて,1980年代頃からの,比較的歴史のある手法となっています。現代では単に画像処理と呼ばれることも多くなってきたようです。

画像処理を使って新たな構造を発見できたときは,「見えないものを見る」領域に到達したわけで,顕微鏡ユーザーとしてはワンランク上に行けた,とも言えるでしょう。ぜひ当サービスのユーザーさんには挑戦して欲しいものと思っています。特にDL-TESTやJシリーズのユーザーさんは,完璧な標本を持っているわけですので,このような技術を習得するのに使えます。もちろんそれだけでなく,光学系の完全な調整,照明系の正しい運用が重要なことは言うまでもありません。

種々のパラメータを確実に追い込んでパーフェクトのデジタル画像を得る。そして画像処理によって記録されている情報を余すことなく表現する。これこそが真のエキスパートと言えるでしょう(画像/MWS)。








2017年4月13日


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生物顕微鏡用の対物レンズはふつう,厚さ0.17mmのカバーグラスを使用したときに完全な像を結ぶように設計されています。NA=0.65以下の開口数ではカバーガラスの多少の厚みの違いはほとんど問題になりませんが,高開口数の対物レンズを用いたときは,カバーグラスの厚みが0.02mmも異なれば,巨大な球面収差が発生し,レンズが壊れたのではないかと思うほどに像が劣化します。このようなことは上級の顕微鏡ユーザーには当たり前の知識でもあります。しかし不思議なことは,この0.17mmの厚さのカバーグラスは,たやすくは入手できないのです。

近年販売されているふつうのものは,たとえばNo.1のもので0.12〜0.17mmと書いてあります。しかしこのカバーグラスを約1万枚程度使ってきた経験から言うと,0.17mmのものが入っていたことがありません。取り扱ったほぼ全数が,0.14-0.15mmの厚みだと感じています。これでは,NA=0.65以上の高開口数顕微鏡対物レンズの性能が活かせません。補正環付きで,正確に補正環を調整できればOKですが…。

むかしはNo.1S(0.15-0.18mm)という規格があったのですが,だいぶ前に姿を消してしまい,いまでは18×18mmのカバーグラスでNo.1Sという規格を見かけることがなくなってしまいました。

このような事情があって,当サービスのプレパラートでは,リサーチグレード,エデュケーショングレードではNo.1のカバーグラスを使用しています。これはだいたい,厚さ0.14mmくらいです。NA=0.75の対物レンズくらいから,球面収差を感じるようになりますので,それ以上の開口数で使用する場合は,補正環つきのものでベストの像を出して頂く必要があります。油浸の場合は光路長一定になりますので,ガラスに貼り付いている珪藻を観察すればそれがベストの像になっています。

Jシリーズ,DL-TESTでは最高のものを提供したいので,カールツァイス社が供給しているハイパフォーマンスカバーグラスを切って使っています。それがきょうの画像ですが,筆者の夜なべの一コマです。このカバーグラスは,厚みが0.17mm±0.005mmとなっていて,このカバーグラスに物体を貼り付ければ,生物顕微鏡対物レンズの性能をフルに発揮できます。一枚10円以上するかなり高価なものですが,像にこだわる方は導入する価値はあると思っています。カールツァイス社のカタログ価格で,1000枚単位で10800円となっています。

球面収差が完全に除去された像を知らない人は,ぼやけて霞んだ像をみても,こんなものか,とそこで納得してしまいます。特に高級機材を使っている人にそのような判断がある傾向もしています。最高級のオレの機材が間違っているわけがない,というバイアスがかかっているからだと思います。しかしカバーグラスは光学系の一部であり,物体も光学系の一部にほかなりませんので,そこを忘れてはなりません。

もし最高の顕微鏡標本があるとすれば,それは光学技術者が設計製作したものだろうと思います。当サービスは,そこを一つの目標にしています(画像/MWS)。








2017年4月12日


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春もすすみつつあるようだ。ふきが入荷した。





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ふきが入荷なら,ぜんまい(会津)を戻さなくてはならない。




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こんにゃく,油揚げも刻まなくてはならない。




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味付けは酒としょうゆだけで蒸し煮にする。世の中にこれ以上おいしいものがあるとは思われない…\(^^)/(画像/MWS)。








2017年4月11日


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珪藻や放散虫などの物体を封入剤で封じると,透明なものの中に透明なものを置く,ということになります。物体と封入剤の屈折率が大きく異なれば,そこで不可避的に反射や散乱,回折などが起こるので,物体は容易に視認することができます。空気中に置いた氷が何の問題もなく見えるのと同じです。けれども,物体と封入剤の屈折率が小さくなってくると,だんだんと物体は透明になってきて,やがてほとんど見えなくなります。氷を水の中に入れれば,ほとんど見えなくなってしまいます。

その見えなくなってしまう状況を再現してみたのがきょうの画像の一枚目。お馴染みのクモノスケイソウですが,封入剤の屈折率を珪藻被殻の屈折率に近づけてありますので,散乱も屈折も回折も偏光も弱くなっていて,かすれたようにしか見えません。こういったものを高コントラストで見るには,工夫が必要になるわけです。顕微鏡操作では照明系やコントラスト法をどのように使いこなすかが重要といわれるのはこのためです。

画像二枚目は,位相差法で撮影したもの。位相差法というのは,物体を通過した光のうち,結像に寄与する成分の位相を調節することによって,生成する像のコントラストを上げる方法のことです。同じ対物レンズで同じ物体を撮影しているにも関わらず,明視野と位相差法ではコントラストの大きな違いが生じています。

ここまでは,当たり前の説明です。問題は,ここからなのです。

コントラスト法によって,こういった違いがあるということは顕微鏡観察のエキスパートには当たり前のことです。しかし,実際に検鏡している試料で,「これは位相差で見るべき」「明視野で十分」「微分干渉で見てみるべき」「暗視野を使う方がいい」などの判断を,正確に迅速にできるかというと,それはけっこう難しいのです。ついつい,目の前の見ている像に引っ張られるのです。これでいいや,見えてるじゃん,となってしまいがちなのです。

顕微鏡の望ましい(≒正しい)使い方は,「まだ何か見えるかも知れない」「まだ見えていない構造があるかもしれない」と疑いつつ,あらゆる方法を試し,同時に観察能力も鍛えること,と表現できるかもしれません(画像/MWS)。








2017年4月10日


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にちようびの都内は雨降り模様で花見も終わりの感じです。また来年まで満開の桜は見られませんので,夕方に桜を眺めてきました(本当は油揚げとゴボウを買いに行った…)。

曇天の空を背景に満開の桜を撮影すると,目で見た感じの華やかさがなく,くらい感じの写真になります。これを見た目のイメージに近づけるのはけっこう難しい気がします。まず露出補正は+1程度。空を露骨に白飛びさせたくないので+1以上は難しいかもしれません。撮影した画像はまずガンマ(+1.7),次に明るさ(-15%),コントラスト(+15%)と調節します。これで暗部を持ち上げて,持ち上がりすぎてコントラストが低下した暗い部分を引き締めています。

こんな感じで少しは見た目に近くなりますが,でも,少し近づいただけで生の光とはほど遠い感じもします…。むずかしいものです(画像/MWS)。








2017年4月9日


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イメージングのトレーニングをしていて嬉しいのは,見たことのない光景が現れること。日頃,練習に用いているスライドはJ166,珪藻が140種くらい載ったものです。カバーグラスが傷だらけなので販売できず,自分で使っているものです。これを使い始めてだいぶ経ちますが,時々,見たこともない光景が現れます。きょうの画像もその一つです。Amphitetrasという珪藻ですが,まるでイオンエンジンが噴射しているかのようなカッコイイ絵が撮れました。

無色透明の珪藻が顕微鏡下で色づくのは,光学的な何かが起きているわけですが,その原因はそれほど詳しく分かっているわけではないようです。周期構造の場合は回折が効いていることは確かでしょう。単純な格子構造の場合などが分かりやすいかと思います。しかし周期構造ぽくないものでも色が出るものもあって,それはたぶん,レーリー散乱が効いているのではないかといった話もあります。レーリー散乱ぽい色がつくのはいろいろありますが,確証が持てるものをまだ見つけていません。ほかに,偏光も効いているという話もあります。明視野で色が出るアクチノキクルスなどは,まだ詳細は不明な気がします。

というわけで,何気なく撮った一枚の絵の中にも,珪藻の微細構造と発色という物理現象に関するヒントがあるかもしれないのです。このイオンエンジンのような青は,果たして回折光の青なのか,レーリー散乱の青なのか,両方なのか…などと考えると興味も尽きません(画像/MWS)。








2017年4月8日


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きょうの画像はプランアポ油浸で撮影したナマコの骨片。直接焦点です。ナマコの骨片は意外に小さなものもあって,100倍対物レンズで拡大しても視野からはみ出さないものが多数あります。適当なサイズのものを選んで撮影すれば大した迫力です。簡易偏光での撮影ですが,ポラライザをくるくる回すだけで,同じ物体が刻々と変化して見飽きない,素晴らしい物体だと思います。

でも,3年ほど前にナマコ骨片を販売したときには,ぜんぜん人気がなくて,一部の先端的な方々が喜んでくれただけ…という惨状だったのでした。それでしばらく放置プレイしていましたが,先月の微化石研究集会でナマコ骨片研究者と一時間も立ち話してしまい,そのときに何か新しい可能性を感じて,先月上旬からまたナマコ骨片をつついています。それでまた独りよがりで骨片の標本を作ると,誰も見向きもしないという現実に直面し…,の繰り返しになる可能性を感じつつ,しかしまぁ,いつやるの?いまでしょ,という考え方もあるので,少しは時代が変わったことを祈りつつ,愚直な作業が続くのです(画像/MWS)。








2017年4月7日


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6日は技術維持の時間と決めて午後をまるまる,夜まで油浸検鏡の連続としました。ここのところ油浸検鏡を行う機会があまりにも少なく,超高分解能イメージングの技術にも影響が出てきているかもしれません。機材点検の意味もありますし,技術を忘れていないことの確認も必要ですし,更なる高みを目指すことも必要です。仕事としては収益を生み出さなくても,職人の能力がアップすれば上等です。そんな時間としたのです。画像はそこで撮影した一枚。光学顕微鏡は光の透過性を用いて透明体のいろいろな部分を見ることができます。きょうの画像は可能な限り表面だけをみようとしたもので,大型のキンベラ被殻の,開口部の形状が明らかになっています(画像/MWS)。








2017年4月6日


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レンズの汚れを落とすのに最もよいのは唾液,という話を何度か見聞きしたことがあります。また「本当にそうなの?」と聞かれたこともあります。これに応えるのはなかなか難しいのですけど,確かに汚れが落ちるけども推奨はしない,とお返事しています。

その理由の一つがきょうの画像。スライドグラスに唾液をとって乾燥したものです。画像一枚目にみられるように,結晶化している部分があります。これの成分は不明ですが有機物かもしれません。画像二枚目以降は簡易偏光のクロスニコルですが,微結晶が光っていることがおわかりいただけるかと思います。これはおそらくカルサイトでしょう。乾燥させればこういったものが析出する液体でレンズを拭くことが好ましいとは思えません。

このほかにも,液体状態で検鏡すれば,口腔内の細胞が剥がれ落ちたもの,何らかの顆粒,多少のバクテリアなども見ることができます。いくら清拭だからといって,これら有機物の塊をレンズに塗りたくるというのは,やはり好ましくないように思えます。極微量の有機物が残存しただけで,カビの発生率は格段に上がると思います。レンズをきれいにできても,カビが発生しやすいようではよい拭きとはいえないでしょう。

では水系の溶媒で何がよいか,と問われれば,中性洗剤を薄めたもの,と返事をすることにしています。家庭用の中性洗剤です。清浄にあらったミニカップに数mlの精製水を入れ,そこに一滴中性洗剤を垂らします。この,うんと薄めた中性洗剤で,数十年も放置された顕微鏡のレンズを清拭して,特に問題を感じたことはありません。アルカリ,酸性のタイプはいずれもよろしくないです。コーティングを傷める可能性がありますし,金枠の腐食に結びつく可能性もあります(画像/MWS)。








2017年4月5日


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武蔵野の原風景を見ながら育ったことで,都内をさんぽしていても,視線は武蔵野を切り取るようになっている。武蔵野風景の神髄は葉を落とした広葉樹の凛とした佇まいと,そこはかとなく感じられる農山村のような,人の手が入った自然。そんな感じだろう。いちばん古い記憶は4歳頃のものだ。枯れ木を前景に満月があがってきた光景を神々しいと感じて眺めていた。美的感覚というのは幼稚園の頃にはすでに形成されているらしい。そしてそれが後年,人生に影響を与える。不思議なものだ(画像/MWS)。








2017年4月5日(2)


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先月末に,有害・有毒藻類研究者が40人ほど集まってある先生の祝賀会を行いました。日本の赤潮生物研究をリードしてきた先生の祝賀会ですからこの上なく盛り上がりました。その先生とは個人的なつながりがあり,筆者にも声がかかったので,喜んで参加させて頂きました。参加者のほぼ全てが名前は知っている方々で,半分以上はお話ししたことのある先生方でしたので,なんとなく同窓会的な気分も感じつつ楽しかったのでした。

その宴会中に,数名の方から,珪藻美術館の絶版についてコメントをいただきました。そろそろ絶版から5ヶ月になろうかという頃ですが,まだまだ反響があり,多くの皆様にご迷惑をおかけしたことを心苦しく思う次第です。ある大学の先生の,「胸くそ悪い話や」というお言葉が,事態を簡潔に表現しているようにも思いました。

現代では,web上に,書籍化すれば売れる材料がいくらでも転がっています。ヒット作をつくって一儲けしたい出版社は,web上を漁って素材を探し出し,企画会議を通して,webサイトの製作者に出版の話を持ちかけます。サイトの製作者からOKが出れば,素材や原稿を提出してもらい,本をつくります。

本ができあがれば,出版社は,企画出版の仕事に協力頂いたことに謝意を表し,貴重な仕事を使わせてもらったことへの対価として契約通りに著作権使用料を支払います。著者は出版社に対し,オファーを頂いたこと,よい本が出来上がったことに謝意を表し,契約内容通りに著作権使用料が支払われたことを確認し,出版社への信頼を深めます。

こうして仕事が一回転して,出版社,著者ともに信頼関係が深まり,本も売れて,よかったよかったということになって,では次の仕事もよろしくお願いします,ということになるのが,正常な出版社と著者の関係です。

なぜあの出版社は,仕事を一回転させずに,途中で止めたのか。お互いがよい仕事をして,素晴らしい成果物ができたのに,なぜそれを称え合って信頼関係を深めようとしなかったのか,なぜ出版してから一年弱の期間を経ても不払いを続け,一切の連絡をしてこなかったのか,不思議というほかはありません。

信頼関係こそがよい仕事を生み出す源泉なのは,仕事のできるビジネスマンには自明のことでしょう。取引先との信頼関係を失うことはビジネス上,もっともやってはいけないことです。たとえ未払い金が生じようとも,契約不履行になろうとも,誠心誠意,連絡を取り,信頼関係を維持できた例はたくさんあります。お互いの信頼関係が維持できれば,そこからまた質の高い仕事が生まれます。

なーんの連絡もよこさずに,一方的に契約不履行。しかもその中身が,著作権使用料の不払い。それでいて書籍の販売は継続。売上げは自社の懐に入れて自分たちのお金。印刷屋さんなどの法人には支払い,自分たちも給料をもらい,本の著者には連絡一本よこさない。なるべくお金を払いたくないから,契約書も作らない。

しかもその仕事は,もともと出版社が著者にオファーを持ちかけて,働かせたのです。いやがる著者を説得して膨大な仕事をさせて,お金は自発的には払わない。客観的に,起きたことを書けばこうなります。

すごいですね。信頼関係という概念が存在しないかのような振る舞いです。

こういうことが担当者の独断で決まっているとすれば,その人はまともな人間でないと判断するに十分でしょう。出版社の方針として決まっているなら,詐欺集団なのかといったレベルです。

まさに「胸くそ悪い」話ですね。

なぜこのような話を読むと気分が悪くなるのかというと,そこに人間どうしなら当然あるべきと予期される共通感覚が見られないからです。つまりこれを読んで胸くそ悪くなる人は,正常な感覚の持ち主とも言えます。詐欺師や金の亡者の素質がある人は,きょうの話を読んでも,たぶん何とも思わないでしょう。

ということできょうは,信頼関係がビジネスの基本,というお話しでした(画像/MWS)。



*1 もし筆者が編集者で,会社の方針で不払い,連絡するな,を命ぜられたら,言うことを聞きませんね。自分でたてた企画で著者に仕事をさせて,とてもよい仕事をして頂き,評判のよい本ができあがったのに,沈黙して不払いなんて,著者が怒るに決まっています。そのような,著者に対してひじょうに無礼な行為は,「人間として」耐えられませんね。。

ではどうするか。まずは不払いになる前に,著者に連絡をとって現状をもれなく伝え,誠心誠意,謝罪するとともに,今後の見通しを示し,期日を決めて代替案を示すことになろうかと思います。代替案というのは,個人口座からの立て替え払いも含みます。

会社側が強硬に支払いを拒否するようならば,辞表を叩きつけて,別の出版社に行くか,自営で編集業務をはじめるかもしれません。そうした上で,著者に版権を引き上げてもらい,自分の会社に版権を移して,好条件で対価を支払うことも検討するでしょう。編集者にとって著者との人間関係は財産であり,最優先で維持しなければならないものだからです。





2017年4月4日


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そこそこの価格で使いよいピンセットはないものかと,幾つか試しています。gootのTS-xxシリーズはとにかく安くて,雑な利用には最適なのだけれども,精密ピンセットの代用とするにはちょっとつらい…。研いで研いで大改造しても,どことなくぼってりとしています。エンジニアのPT-04はよく考えられた形。持った感じは悪くありません。ただ全体的に精度は高くありません。顕微鏡下で刃先をあわせても,ねじれが残っていて微少なズレが生じます。

ホーザンのP-840は,けっこうよい形で使いやすそうな感じです。国産と思って買ったのだけれども,スイス製…。RubisのDURAX-3Cも形はよく考えられていて,精密な作業にも無難に使えそうです。これもスイス製…。なぜか使いやすいピンセットはスイス製が増殖していくような気がします。これら中価格帯のピンセットも,いずれも仕上げが粗く,ねじれ剛性が弱い感じがします。単純につまむ用途にはよいのですが,紙を巻き付けるときに刃先がずれるので気分がよくありませんし,紙粉の発生にもつながります。

その点,FONTAXの3番はしっかりとしていてねじれません。格が違う感じがします。FONTAXの3番はいろいろな分野で定番らしく,知人でもこれを使っている人は多いです。使いやすさの秘密がどこにあるのかはまだ未解明ですが,全体の剛性,チップ溶接部分のテーパーと,握り部分の角度と研磨仕上げなどが高いレベルでバランスしているように感じます。ほかのピンセットを削って似たような形に持ち込んでも,ふしぎと使い勝手が異なります。こうして散財,浪費は続くのです…(画像/MWS)。








2017年4月3日


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2日,にちようびの都内の様子。気象庁は桜の満開宣言を出したようですが,じっさいには3分というところ。ほかにもいっせいに花が咲き始め,寒くもなく,歩いているだけで春だなぁと感じるいちにちでした。桜並木のところでは宴会組みも多数。大勢の人が桜を見に来ていました。こんな日は,山菜と煮魚でもつまんで,熱燗でちびちびやって,平穏な日々に生きていることの,幸せを噛みしめるに限ります…(画像/MWS)。








2017年4月2日


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春はランドに行くのがよいらしいので,ランド方面に出向いて,ピンセットなどを眺めつつヒロセテクニカルに寄ると,まもなく閉店のようで全品50%引きセールをやっていました…。品物はほとんどなく,めぼしい工具は全て売り切れ。秋葉原はここのところ閉店ラッシュのようで,名物店が次々と消えていますが,ヒロセテクニカルがなくなるのは困る…。顕微鏡の修理などでは,うんと細いドリルとか,そこいらへんでは転がっていない工具などが必要になることがあって,何度もお世話になったお店でした。照明の自作でも,コネクタ類が豊富でよく探しにいったものでした。ざんねんという他はないのです。

ネット販売業者である筆者が言うのでは説得力がありませんが,なんでも通販で買うと,世の中がこうなってしまうのです。どんどん実店舗がなくなり,通販部だけが残ることになります。そういった時代が進むと,どんどん人間がバカになっていってしまいます。一視野で1000点もの品物が見え,知っているものもしらないものでも瞬時にアクセスできるのは実店舗ならではです。パソコン上ではそうは行きません。こうして人間の経験量,知識が減っていき,宅配業者は疲弊し,道路は混雑し,中東から運んできた化石燃料を浪費して…と,よくないことの連鎖が続くのです(画像/MWS)。








2017年4月1日


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ことしも今頃から夏にかけて,昼間に大潮の干潮が訪れるようになります。シーズン開幕なのです。皆様をミクロワールドに誘うためには,珪藻や放散虫,海綿骨針,ナマコ骨片,貝形虫,有孔虫などの魅力的なバイオミネラルが必要です。水のあるところに出動を繰り返し,材料を確保せねばなりません。

31日の相模湾は,最初北風が吹いていたのでけっこう引いてくれるかと思ったら,あまり引きませんでした。かなり場荒れしている感じで,海藻が異常に少なく,生物相も貧弱な感じがしました。何があったのでしょう。試料はゼロ。途中から雨が降り出し,カサを持参しなかったので,全身ずぶぬれで帰ることとなりました。珍しいほどの完全敗退ですが,ふしぎと悪い気はしません。海の空気は脳内を浄化してくれるのです(画像/MWS)。









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