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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
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お知らせ
作業時間確保のため,当面の間,在庫販売のみとさせていただきます。在庫についてはお問い合わせ下さい。お急ぎのお客様には個別に対応しますので,メールにてご連絡下さい。リサーチグレード,教育用セットの実質的な販売再開は来春となる見込みです。DL-TESTにつきましても当面の間,販売休止します。以上,ご了承下さい。
2017年1月31日
ダニは珪藻在庫をあちこち動き回ってかき回すのですが,どうも好みの?珪藻があるようで,その珪藻が集中的に狙われます。一つはディディモ(Didymosphenia geminata)です。これを体中にまとって歩き回り,珪藻在庫をばらばらにして,一部はどこかに連れ去ってしまいます。この珪藻は北海道の一部河川でのみ生息が確認されていて,手持ちのものも北海道在住の顕微鏡観察家の協力でやっとのことで入手できたものです。一粒たりとも無駄にはできません。。
もう一つはギョロメケイソウ(Auliscus)です。これは干潟の海側で見かけるものですが,まとまって出ることはなく,10〜20粒入手するだけでも大変な努力を必要とします。。干潟は泥の塊ですから,試料の処理も難しく,やっとのことで珪藻在庫に加わったギョロメケイソウをダニに誘拐されてはたまったものではありません。
きょうの画像はこれら2種を救済して新たなガラス板にのせたもの。もととなる在庫の26x60のガラス板にまんべんなく広がっていたものを集積したものです。ガラス板の表だけでなく,裏側にも回りこんでいるので,それらもはがして拾い集めています。いったいオレは何をやっているのだと思わないこともないような,不毛感ただよう作業です。しかしこれをやっておかないと,次に行けません(画像/MWS)。
2017年1月30日
これがダニにやられてしまった珪藻…。ダニのフンがこびりついています。わざわざここで用を足さなくてもよいのに,どういうわけか珪藻の上でフンばってくれるのです。。このフンは,そこいらへんのプラスチックくらい固く,そこいらへんの接着剤くらい強固に付着しているので,顕微鏡下で外すことはできません。被害はフンだけでなく,何かが染み込んだような感じに汚染されることもあります。画像ではプレウロシグマがその症状です。こういった被害がいつでも確認されるので,珪藻在庫はよくチェックして,いつもよい状態に保たなければならないのです。恐るべき面倒さで,気合いがないとできない作業です…(画像/MWS)。
2017年1月29日
きれいに洗った珪藻の山から,無傷の半被殻を拾い出してガラス板上に整理・保管したものを珪藻在庫と呼んでいる話は以前も書きました。珪藻はガラス質ですからホコリをよけて保管すれば何年でも使えます…といいたいところですが,そうは問屋が卸しません。種ごとに整理した数千被殻がのっている珪藻在庫の珪藻たちは,どんどん動いていくのです。最初は謎の現象でしたが,あるときダニの仕業ということが発覚しました。小さなダニが珪藻在庫の上を歩き回り,珪藻を蹴散らしていくのです。せっかくの珪藻をフンで汚されてしまうこともよくあります。残念なことに防ぐ方法はなく定期的にチェックするしかありません。
そしてまた謎なことに,鮮度の高い試料だと封入剤が浸透するのに,保管したものだと浸透しないという現象があります。理由はさっぱりわかりませんが,表面の開口が極端に小さな穴の種でこのようなことが起こりやすい気もしています。ひじょうに新鮮な殻は,一定数のシラノール基が露出していて,これが大気中の何かを吸着して,表面の性質が変化してしまうのかもしれません。これも防ぐ方法がありません。一度,回収して洗い直したことがありますが,うまくいかない上に恐ろしい労力の無駄遣いになったのでした。。
こういった現象があるので,珪藻在庫は定期的にチェックして整列し直さないといけません。これを個人的に『引っ越し』と呼んでいます。きょうの画像のように,古い左側のストックから,新しい右側のガラス板に,使えそうな珪藻を種ごとに移し替えます。この画像の珪藻は,2008年〜2010年頃の在庫ですが,多くの珪藻がすでに使用不可能になっています。古いものほどダメになった珪藻が多いので,標本を作るときにはどうしても鮮度の高いものを優先的に使うことになります。すると古いストックがどんどん溜まるという悪循環になってしまいます。
それで『引っ越し』をして在庫の整理をするのです。移す珪藻の数はたぶん数千になるので,考えるのもいやになる作業です。かといって全部捨ててしまうのはもったいないだけでなく,貴重種を失うことになるので,できないのです。こうしてJシリーズは,やればやるほど大変な泥沼に入り込んでいくのです…(画像/MWS)。
2017年1月28日
これはふだん使っているノートパソコンの画面。ホコリが付着しています。珪藻を並べている横にこのパソコンがあるわけですが,いたずらに拭き取ると粉塵が舞い上がってしまい事故の元になります。ピュアな標本を作りには,ホコリを完全に排除するのではなく,いまどこに粉塵があって,どうすればそれをよけられるかを考えるのが大事です。。
さてこの画像を掲載したわけは,中央下に移っている右上がりの直線にあります。これはクモが糸を吐き出しながら真っ直ぐ歩いた形跡に違いありません。そしてこの直線,最初はほとんど目立たなかったのですが,一日,二日と経つうちにホコリがまとわりついて太くなってきたのです。そしてこの直線より下側のホコリが少ないことにも注目です。あのノートパソコンの画面に付着しているホコリは,単にくっついているのではなく,滑走して下に移動していたのです。クモの糸がホコリをせき止めたことにより,ホコリの滑走落下運動が疑いなく明らかになりました。じんせいながねん生きてきて,また新しい発見です(画像/MWS)。
*1 ホコリの滑走的落下運動は見たことがあるのですが,それはたまたまだと思っていました。こんなに平均的に起きている現象とは思いもしませんでした。現象を見ていながら,脳みそはいい加減に動作しているものだと,つくづく呆れます。
2017年1月27日
これが未だに現役のEPIgas,PS型コンロ。そういえば自分のコンロの名前も知らなかったよなとweb上を漁ると,こんな 素敵なページがヒットして,感謝してもしきれません。ありがとうございます〜。
このPS型コンロ,1978年販売開始ということですから,筆者が日常使用しているフルオフォトやCF対物レンズのデビューの頃と同世代のものです。買ったのはうろ覚えだけれども,1984年にはすでに使っていた覚えがあるので,その頃に入手したことは間違いなさそうです。高校一年生…が,月に5千円の小遣いを節約して,どこに行っても5,800円よりも安くならなかったPS型コンロを,釣具屋さんで買い求めたのです。。
画像のように,30年以上使ってきたので,フレームはだいぶ錆びていますが,機能そのものにはどこにも問題がなく,さすがは英国製と思ってもよいのかしらという感じです。もともとは家庭用のメーカーさんだったらしいので,堅牢であることが重要だったのかもしれません。現在の山用バーナー製品からみれば考えられないくらい重くてごついですが,信頼性を第一とする筆者としては,このバーナーを手入れして使うのが安心な気もしています。ほんと,どこにも不安要素がないのです。
お湯を沸かせるだけでも山歩きは格段に楽しくなります。お昼ご飯も,冷えたおにぎりを頬張るとお腹が冷えてしまいますが,そこに温かい汁物でもあれば天国の飲み物といった感じです。このPS型コンロを使ってずいぶんいろいろなものを作りました。夏に沢に入り込んで,そうめんを茹でて沢水そうめん。ツクシとフキのとうをつまみながら山に登り,山頂でごま油炒めにして頬張るおにぎりのおいしさ。秋に山に入ってとれたてのハナイグチをぐつぐつ茹でて作ったきのこ汁の叫びたくなるうまさ。山の頂上で作る焼きそばの幸せな味。大晦日に日本酒持って登り寒い中で燗酒をなどということもやったりしました。。
当時は山道具はみんな高価で手が出ないものばかりでしたが,今はいろいろなものが安くなって,とりあえず買って試してみるという体験が気軽にできるのはよいことですね。
本ページをごらんの若い人たちに言うべきことがあるとすれば,彼/彼女を連れて山の中で鍋焼きうどんをやりなさい,鍋焼きうどんには,生卵1個と餅1個を投入することを忘れずに,ということです。きっと数年後には,二人は一緒に暮らしていることでしょう(画像/MWS)。
2017年1月26日
さむさも厳しくなってきて,マナスルの燃焼画像やプリムスの画像やピークワンが火だるまになった画像などが恋しくなってきた今日この頃です。本日掲載している画像は,【ガス詰め替えアダプター】というもの。世の中からよいものを紹介している本ページにおいて,これは知っておいてよいのでは? と思う製品です。家庭用のガスコンロなどに使用するガス缶(CB缶)とアウトドア用のガス缶(OD缶)でガスの詰め替えが可能になるというアダプターです。
ガス缶の詰め替えは,非推奨行為ですので,一般に広く奨める意図はありません。本ページをごらんの方々は自然科学の素養がある方々ですし,アウトドアのスキルもハイレベルな方々が多いとお察ししますので,情報の一つとして掲載する次第です。本ページの読者であれば,画像を見ただけで全てを理解すると思いますので,詳細の説明はいたしません。守るべき要点は,充填オーバーは厳禁なので計量しながら移し替えること,作業は必ず屋外でやること,ガス缶の加温はお湯で行うことです。amazonのレビューを見ると,ガス缶の加熱をドライヤーで行っている人を散見しますが,もうバカかとアホかと,恥を知れよと言いたくなります…。
このアダプターを使うと,市販のCB缶のガスをOD缶に移すことができます。また中途半端に余ったOD缶数本の中身を1本のCB缶に移して有効に利用することもできますし,CB缶にまとめたガスをもう一度,1本のOD缶に戻して使うこともできます。要するに,ガスの有効利用に役立つのです。また,OD缶はやや高価ですが,CB缶は安価なので,OD缶にCB缶のガスを移して使うことで燃料代の節約にもなります。
さらに,OD缶のガス残量が出先で少なくなったときでも,CB缶ならどこでも入手できます。このアダプターがあれば,移し替えて使うことができますから,旅先での緊急対応策として知っておいて損はないように思います。もちろん災害時でも有効で,このアダプターがあれば,OD缶とCB缶の行き来ができますから,例えば知人の携帯コンロのガスがなくなったときにガスを分与することもできるわけです。
筆者がこれを入手したわけは,OD缶とバーナー(EPI)を持っていたことにあります。30年以上使用しても,どこにも不安のない信頼性。OD缶はネジでの接続なので,パッキンが生きてることを確認してきっちりネジを締めれば不安がありません。一時,CB缶を使った携帯コンロを使ってみたこともあるのですが,ガスとコンロの接続口が確実性に欠けるもので,ごくわずかな危険性でも認めない筆者には「不合格」と判定される製品でした。安価な海外製品などはとくに危険です。市販の安全とされるカセットコンロでも,筆者的には,使いたくない部類の完成度で,実際,持っていません。使用条件によってはガス缶が加熱されてしまうようなものもあります。
そういうわけで,ながねん使っているEPIのバーナーは,鉄鋳物製ガスコンロに匹敵する単純さで,もっとも安全に使うことができると思っています。CB缶を使う携帯コンロは,わずか数回の燃焼試験を経て不合格の判定を下され,お蔵入りとなっています。すると,手元のCB缶のガスがいつまでも使われないままに何年も保管されることになってしまい気分がよくないので,このガスアダプターを導入したというわけです。この製品,日本製というところもよい点で,加工がしっかりしていて確実に動作します。
この製品を本ページで紹介したくなった理由の一つが説明書です。正しく使ってもらうために,とてもていねいに,いろいろなことを想定して書かれています。優秀です。とくに,「液体は下から上へは流れません」という説明にはシビれました。ちゃんとバカが使うことも想定しているのです(画像/MWS)。
*1 こう書くと,じゃオマエ,液体ヘリウムの超流動はどうなの?などと反射的に思い浮かべる学者の方々も多数いらっしゃることは存じております…と念のため記しておきます。。
2017年1月25日
珪藻の殻は種により全部構造が違うので,封じやすいものと封じにくいものがあるのは当然なのですが,なぜ封入トラブルが起こるのかはよくわかりません。殻を輪切りにして断面のSEM画像でもみればわかるのかもしれませんが,とにかく,複雑な構造の行き止まりがあるような種の場合,封入剤が入りにくいことがあるような気もしています。あるいは,そのような行き止まりは,完璧に洗っても,何かが残っていて,表面の物性がケイ酸とは異なるものになっているのかもしれません。きょうの画像は封じにくくて困ったちゃんのディプロネイス。コントラストも高くて独特の形状が人気でもあるのですが,これがトラブルのもとで面倒なんです。。それで毎年,封入試験を何度かやって,少しでもまともなものになるように努力しているのです…(画像/MWS)。
2017年1月24日
珪藻を拾ったり並べたりするには落下物が少ない必要があるので真冬でも空調は使いません。しっかり着込んで足は寝袋に突っ込んで湯たんぽという感じで何とかしのぐのです。この時期は室温が10℃くらいまで下がるのですが,体調的にはまったく問題ありません。ただ顕微鏡が冷えすぎて困ります。手が冷えてしまうと微細な操作に支障が出ますし,ステージやピントのハンドルも固くなります。封入剤も温度によって流動性が変わります。
そこで顕微鏡を20℃〜30℃に加温する必要が出てくるわけですが,きょうの画像は解決策のひとつ。23Wのヒーターを顕微鏡の下に潜り込ませて,その上昇気流で顕微鏡のベース部分を温めます。温度調節は原始的に,スイッチのオン/オフによって行います。もっと高級な装置を組んでもいいのだけれども,何しろハンダゴテは安い!ので,こんなところに落ち着いてしまうわけです。もちろん効果は絶大で,凍えるようだった顕微鏡がほんわか温かくなって,封入剤もやわらかくなり,いろいろな作業の確実性がアップしたのです(画像/MWS)。
*1 6V15W〜30Wの照明が使えればよかったのだけれども,サイズ的に顕微鏡の下に潜りませんでした。残念…。ハンダゴテは細いので楽勝で使えました。なお,しばらくから焼きしてから使うのがよいです。最初は煙が出るので,顕微鏡のレンズを汚しかねません。
2017年1月23日
現在拾い集め中…。がんばってもこの試料からは主要4種類と,少数の珪藻が10種類くらいが関の山。効率が悪いことこの上もないという感じですが,状態のよいスタウロネイス,ピンヌラリア,スリレラの在庫が確保できるので,作業しないわけにはいきません。Sellaphora americanaも少し入っていて,これがたくさんとれると嬉しいのだけれども,そううまくはいかないんだよなー(画像/MWS)。
2017年1月22日
ジュウジケイソウ(Stauroneis)をみつけたときの喜びは,きのこ狩りでマイタケを見つけたときよりも嬉しかったような気がします…。マイタケは,マイタケご飯で食べればお仕舞いですが,ジュウジケイソウはいつまでも,その輝きを拝めるのです。いまから15年くらい前の話です。
ではそれから15年,珪藻類を自由自在に採集してたくさんの種を集めることができているかというと,答えはNOです。うんと細かい,分類も面倒な種は,そこいらへんにいくらでもいるのですが,並べてみてばっちりとコントラストの出る,ある程度の大型種は,そんな簡単に一攫千金にはならないのです…。画像のジュウジケイソウも,約10年前に採集したサンプルを大事に保管し,少しずつ使っているのです。
当サービスは基本,現生の珪藻類を提供することを基本としています。それは,購入してくださった皆様が,自分で採集して同じようなものを見つけて追体験できるようにという配慮でもあります。化石種ならば,よい珪藻土を入手して,適当な処理をすれば,特定の種についてはたくさん入手できます。しかしそれを供給しても,それは○○の××という珪藻,というだけで,その後の展開が難しい気がしています。それで現生にこだわるのです。
珪藻を拾って並べるマウンターたちは,19世紀から,主に化石の珪藻を並べてきたフシがあります。その理由はいろいろありますが,まずは入手が容易なこと。現生の珪藻で200種集めようとすると,結構面倒なのです。細かい種ならば簡単ですが,そうすると今度は,それらを分類して並べるのが困難なのです。並べるときには油浸は使えないので,低NAで作業しますが,例えばNA=0.1では,ある程度の大きさがないと種の判別もできないのです。化石種でごっついでかい種ばかりを選べば並べるのも楽なのです。
もう一つの理由は,現生種は,被殻が風化していないので,表面にあいている穴がきわめて小さいのです。ものによっては,数十ナノメートルだろうと思います。この穴から封入剤を入れるには,完璧に洗浄して完璧に乾燥することが必要で,その作業がこの世のものとも思えないくらい難しいのです。化石の珪藻ならば,風化して穴が大きくなっているので,封入剤は容易に浸透します。化石珪藻で封入が難しいと思うことは少なく,作業が簡単なのです。そんな理由で過去のマウンターたちは,化石珪藻や現生の大型種を並べてきたのだと思っています。
当サービスは,簡単な方で妥協したりはしません。簡単な方でよいものを作り安定供給することも大事ですが,身近な生物をきれいにマウントして,本当の姿をごらん頂くことも大事です。魅力的なものがあれば,それをどうマウントするか,この思考が大事だと思っています。これからも挑戦は続くのです。
画像は拾い出したジュウジケイソウ。完璧に洗って,完璧に清拭したガラス基板の上にのせたものをMPlan60x 0.70 210/0 ELWDで,軸外偏斜落射暗視野で撮影しています。ガラス基板に密着させると剥がすのが面倒になるので少し傾けて浮かせてあります。画像処理は縮小のみです。顕微鏡写真コンテスト的には特殊技法を駆使して撮影,ということになるのでしょうが,当サービスでは日常の一コマです。へんてこりんな隙間産業の仕事ですからね(画像/MWS)。
2017年1月21日
これはニセコアミケイソウの一種。タラシオシーラと言った方がプランクトン屋さんには通じやすいかもしれません。整然と並んだハニカム構造に感心させられます。よく整った構造物を「人工的」などと言いますが,人類が誕生するよりもはるか以前に,よく整ったものは自然の中にあったのですよね。これからはよく整った周期構造を言い表す言葉として,「珪藻的」という表現を用いるとよいのかもしれません。。
撮影はフルオフォトのダイレクトCマウント化三眼鏡筒。NCF PlanApo40x 0.95 160/0.11-0.23による直接焦点。画像処理は背景減算,コントラストと明るさ補正に50%縮小,アンシャープマスクです。カメラはNikon1J1です。このカメラ,2012年夏に顕微鏡専用に購入し,撮像素子を下に向けてキャップを外して顕微鏡に装着し,以後現在まで,アダプターを付け替えるときなども一度も上に向けていません。そのため素子がきれいなままで,絞り込んでもそれほどゴミが投影されません(画像/MWS)。
2017年1月20日
ジュウジケイソウ(Stauroneis)がなくなってきたので在庫確保中…。画像にうつっている小さなひし形がジュウジケイソウ。こうやって画像で見ると,ひたすら地道な作業だなぁと呆れます。顕微鏡を覗いているときは,そんなことは思わないのですが。。
ジュウジケイソウは泥の上にいるので,昔からある池の泥の上などで見つかります。これの採集は泥ごと採るという感じになるので,サンプル処理がたいへんです。泥の鉱物粒子,特にアロフェンのようなものが,いつまでたってもポロポロ崩れてきて微粒子が発生しきれいになりません。きれいな被殻を得るのは至難といってもいいくらいです。画像のジュウジケイソウも2008年に採集したもので,あまりきれいにできなかったので,泥ごと保管しておいたものです。8年前よりは処理も拾いもうまくなったので,だいぶきれいな被殻を在庫にすることができそうですが,歩留まりからいうとまだまだといったところです。どれだけやっても難しい,これは趣味的には飽きないための要素でもあってよいのですが,商売的には((((;゜Д゜)))という感じです(画像/MWS)。
2017年1月19日
海上保安庁のシンボルマークはコンパス+北極星だ。確か東京商船大学もこんな感じのデザインだっと思う。東京水産大学は六芒星だった。これがかっこよかったんだな。今でも船にコンパスマークがついていると気になって,ついつい眺めてしまうのです(画像/MWS)。
2017年1月18日
フルオフォトの三眼鏡筒をダイレクトCマウント化した話は2016年11月7日付けの記事に書きましたが,その頃にはすでに積もる仕事に追いつめられており,ゆっくりイメージングする時間は皆無でした。その後もまともに顕微鏡をいじれてなく,まいにち顕微鏡にまみれて仕事をしつつも顕微鏡を思い通りに使えていないという矛盾が発生しています。。そこに舞い込んだ検品作業があったのでこれ幸いとダイレクトCマウントを使ったイメージングを行いました。画像はそのときに撮影したもの。淡水産のナビキュラで,ピントを変えたものを2枚。
カメラはNikon1J1にリモコン。LEDは高演色のYuji_LEDを使い,C4程度のフィルタを噛ませてホワイトバランスプリセット。対物レンズは単独倍率60倍乾燥系,NA=0.95補正環付き(NCF PlanApo 60x 0.95 160/0.11-0.23)で,直接焦点です。画像は切り出し,BGチャンネル取り出しグレースケール,ヒストグラム引き延ばし。50%縮小にアンシャープマスク。
撮影時は非矯正視力でしたが,カメラ光路とのピントのずれは珪藻の厚みの数分の1程度でした。ダイレクトCマウントの改造結果は光学的に問題なく,できあがった画像をみても,この程度の仕上がりなら合格です。検品の間にほっとしたのです…(画像/MWS)。
2017年1月17日
Fontaxのtaxal No.3は万能的にじつに使いよいピンセットなのだけれども,これで何でもつまめるかというとそうでもありません。当サービスにはたまに,かなり特殊な仕事が舞い込みます。光学結晶の基盤にバイオミネラルをマウントせよという注文などはその一例で,フッ化バリウムの板が届いたりします。さすがにこれをtaxalでつまんだらひとたまりもないでしょう。あまり硬くない材質で,しっかりと周囲をホールドできるようなものがよいのですが,そんな都合のよいものはありません。市販のピンセットを試してみても,接触面が安定せず,つまんだものが飛んでしまう可能性があるので,安易に使えません。
そこまでわかっていれば,道具は自分で作るしかないわけです。当サービスの誇る小中学生レベルの工作技術で作ったのが画像の竹ピンセット。材質はセブンイレブンの箸。学会出張でこの箸を持ち歩くのですが,何セットか溜まってきたので,そのうちの一つを使ったものです。
設計図はなく,現品合わせでつくります。どうやったらピンセットになるのかを考えつつ,ハイスの自作小刀で削り,形をつくって行きます。ホーザンなどでの市販品もありますが,そういったものは一切参考にしません。先端の望む形状が全く違うので,使いにくいことがわかっているからです。そこで先に先端を作り,その先端をどうやればあわせることができるか考えて削りました。テンションの調節はどうやってよいかわからなかったので,アーチを作ってみましたがこれが良い感じです。削る量でテンションを調節できます。
形ができたら輪ゴムで仮組みして使ってみます。問題なく合格。というより,かなり使いやすい良い感じです。それで細かいところを削って調整し,木工用ボンドを塗って,輪ゴムで押さえて形を整えて接着。くっついたら使ってみて,細かいところを微調整して,転がしてみて当たるところがあれば面取り。最後にもう一度先端をあわせて完成。
この7-11型ピンセットは,FontaxのNo.3を参考に形を作ったこともあり,見た目はアレですがとても使いよく重宝しています。軟らかいものをつまむために,ideal-tekの707番も持っていますが,使いやすさは断然竹製です。数ミリ程度の光学結晶やレンズを扱うには最適な感じです。もともとが「箸」なので,手のひらの中で転がしても違和感がなく,しっくりくる感じもあって,ゴミ箱に入る運命だった箸も,もはや捨てられない大事なものに変化したのです(画像/MWS)。
2017年1月16日
対物レンズのアイボリーホワイトのラインが剥離していて気になっていたわけです。どうにかしないとなあと思いつつ,色合わせをはじめると大変になりかねないので放置していました。そんなあるとき,顕微鏡の補修ペイント用に買い,色合わせで敗北したペンが雑貨箱から発掘され,ぴんと来たので塗ってみるとごらんの通り…。このラインの剥離がある/なしで性能に変化は皆無ですし,見た目の情報量も変わりませんが,気分が違うのです。こういったことを気にすると,ほかのことも気になって,結果としてレンズ群のこまめな手入れに結びつくような気もしています。レンズの維持方法はいろいろあるでしょうが,適当な状態を適当に維持するよりは,最高の状態を維持した方が末永く性能を発揮してよろしいかと思います。…などと言い訳をして,レンズを修復して喜んでいたりするのです(画像/MWS)。
*1 などと書いてみましたが数ヶ月前の話です。。いまは時間がありません。早く仕事を片づけてゆっくりと新年を迎えた気分で機材いじりでもやってみたいものです。
2017年1月15日
これは,ある本に掲載したPinnularia acrosphaeriaの画像です。長さ54μmの小さなもので,生きている状態の絵です。近所の池から採集し,かなりよい試料だったので汚れの少ない視野を探して水マウントを繰り返し,水浸対物レンズに液浸コンデンサの組み合わせで偏斜照明を施して撮影したものです。使用した水浸対物レンズはCFI PlanApo60x VC 1.20 ∞/0.15-0.18というハイエンドのものです。コンデンサは微分干渉用のAAコンデンサを改造して偏斜ができるようにしています。カバーグラスはカールツァイス社のハイパフォーマンスカバーグラス0.17mm±0.005mmという,ショット社の高級ホウケイ酸ガラスを使用したもの。
撮影はCF PL を噛まして拡大撮影系として,Nikon1J2,リモコン。ホワイトバランスプリセット。照明はハロゲン+NCB10+熱カット多数枚重ね。画像処理はコントラスト,彩度を調節して見た目に近く,しかしコントラストはあげています。S/Nをあげるために画像は11枚の合成,しかし焦点は一つで,全焦点画像ではありません。
これ一枚撮影するのに1日の時間,しかし準備は顕微鏡の購入,レンズの購入,コンデンサキャリアの改造,コンデンサの改造と膨大な費用と手間がかかっています。その結果,明視野の偏斜照明によるものとしては,世界最高レベルの絵と言って問題ないものになっています。書籍に収録するからにはと,気合いを入れて世界一の絵を得る。顕微鏡で仕事をしているのですから,皆さんのお手本になるような絵を載せないといけないのです。微分干渉法を使えばよりハイコントラストの絵にできますが,一般書籍に微分干渉法の絵は載せたくなかったので,より難しい明視野で勝負したのです。
その本は世の中からあっさりと姿を消しました。本ページでは,論文や書籍などに使用した絵は,あまり載せない方針で日々更新していますが,書籍自体が消滅したので本ページで詳しく紹介することとしました(画像/MWS)。
2017年1月14日
常連のお客様から,1/12付けのクモノスケイソウ暗視野画像について「ものすごくすばらしい とうてい到達できない」とのお褒めの言葉を頂きました。有り難いことです。本ページの特徴は超ハイレベルの画像でも特に断りなしにふつうに掲載しているところにあります。。
しかしお客様のレベルが高いのです。1/12の画像のレベルについて,一目でわかるということは,かなりの経験を積んでいることは間違いありません。自分で撮影を試みた経験がないと,暗視野画像だな〜という感じでしょう。けれども,このレベルを実現するには機材選択や珪藻個体の選別,レンズやカメラとの相性なども問題になってくるので,それほど簡単ではありません。
きょうの画像は明視野。クモノスケイソウというのはじっくりみると,ゴージャスな感じがしていいですね(画像/MWS)。
2017年1月13日
様々な仕事が降りかかって同時作業が進行中…。これはだいぶ昔に採集したカロネイスの群集。知らない人が見ればゴミに珪藻が混じっているように見えるでしょうが,知っている人が見れば,ひっくり返るほどピュアなサンプルです。カロネイスは小さいものが多く,これの拾い出しはひどく面倒です。また砂地にいることが多いので,サンプルにはどうしても鉱物の微粒子が入ってきて,珪藻の殻を汚してしまいます。それを何とかしようとして悪戦苦闘中なのです。画像の状態でも実際に拾ってみると,歩留まりはかなり悪いと思います。またこの珪藻は,表の面がかなり平坦で,ガラス板上に拾い出し用のサンプルを散布すると,密着して貼り付いてしまい無理に剥がすと壊れます。そういった特性も考えつつ,作業を進めるのです…(画像/MWS)。
2017年1月12日(2)
ふだんキーホルダーにぶら下げているMWSクリスマスツリーガラスビーズがほつれてきたのでビーズ職人さんに修理に出したところ,きれいになって戻ってきた。そしておまけに,お魚デザインが入っていた……。恐るべき完成度。スワロフスキーガラスの,銀のビーズが本物の魚の鱗のように輝くのです。銀鱗なのです。もったいなくて,使えない…気がしていますが有り難く活用することにします。こういったちょっとした小物があると,じんせいはさらに面白くなるのですー(画像/MWS)。
2017年1月12日
ある情報筋によると,今年の7月に神戸で,国際分子珪藻シンポジウムが開催されるとのことです。珪藻研究は永らく日の当たらないところで細々と続けられてきた印象がありますが,ここ10年くらいでずいぶんと人前に出てくるようになったように感じます。このシンポジウムでも,そうそうたる大学者達が珪藻研究の最先端について披露してディスカッションを続けるものと思います。で,このシンポジウムをここで紹介した理由は,ポスターがさすがの出来映えなのです。
こちら
プロの研究者が作るものはひと味違いますね。感心するのです。ぜひみなさまもごらん下さいませ(画像/MWS)。
2017年1月11日
同じ用途のレンズを時代別に並べてみたのがきょうの画像。但し19世紀から20世紀までです。左は120年以上むかし。真ん中は,たぶん40年くらい前。右は30年ものかしら…という感じです。時代が進むにつれて,バレルが長くなって,収差補正機構が付加されてと,進化しているのがわかります。レンズを眺めても,最初はコーティングなし,次はコーティングあり,その次も,もちろんコーティングありで,反射防止膜の進化が伺えます。色収差補正は時代が進むにつれてよくなっていますし,プラン性も新しい方が遙かによいのです。古いレンズを光源にむけて透かしてみると,盛大な内面反射とゴーストが見えます。
では古い方がよいことがあるのかというと,一つは軽さです。小さくてコンパクトなので扱いやすいです。もう一つはメンテナンス性。いちばん古いものは分解して各エレメントのメンテナンスが可能です。40年もののレンズも,大事な先玉や二枚目辺りはメンテナンスが可能になっています。30年もののツァイスレンズは,分解がひじょうに面倒で,アプローチできる光学面も素人的には限られます。これを分解メンテナンスしろと言われたら,一ヶ月の休みが欲しいと思うくらいです。実際の作業は一日で済むかもしれませんが,心の準備にそれだけかかる感じなのです。途中までしかバラしたことがありませんが…。一般的には,まずバラすこと自体が不可能です。どこをどうすれば分解できるのかわからないように組み上げられています。
もう一つ,古い対物レンズのよい点があるかもしれません。それは,100年経過しても使えるということは,あと100年使える可能性もそれなりにあるかもしれないということです。メーカーさんによっては,1980年代のレンズがどんどん劣化しているというケースもあります。新しいものは,出荷時には素晴らしい性能なのですけれども,耐久性はわかりません。100年経過しても使えるレンズというのは耐久試験をクリアしているわけなので,今後もそれなりに使える可能性は高いのです。
もっとも,100年経過したレンズを研究用途レベルで使えるようにメンテナンスするには対物レンズに関する高度な知識と,メンテナンス技術,研磨技術,そしてイメージング技術とテスト技術が必要になるのですが…ということは言っておかねばなりません。技術を習得するために古書店に通って顕微鏡を覗いて手技を追求して…という労力を考えると,新品の同スペックレンズを購入して,さっさとミクロの驚異を拝んだ方が幸せになることは,たぶん確実であろうと思います。一部の,手を動かすこと自体に喜びを見いだす人を除いては…(画像/MWS)。
2017年1月10日
昨年いちばん使った顕微鏡対物レンズは,たぶんこれ…というのがきょうの画像(一枚目)。ライツの10番です。昨年は古い対物レンズの精査を行った関係で,100年以上前の顕微鏡対物レンズを十数本テストしました。その関係もあって,ライツの液浸を多用することとなりました。この時代のレンズはコーティングもなく,プランでもなく,現代の同スペックのレンズと比較するとかなり見劣りしますが,視野中心のごく小さな領域の像は,現代のものと比較してそれほど劣るものではありません。その部分を集中してみていると,当時の学者が見ていたものを追体験できるような気がして,このレンズを使ってしまうのでした。画像二枚目のツヅミモはその一例。アプラナートコンデンサ液浸で偏斜照明。
古いレンズをついつい使ってしまうのは鏡基の問題も大きいです。このレンズと似た60万円もする最新のレンズも持っていますが,所有している鏡基が物理的にも光学的にも劣悪な設計で,性能を出すにも面倒で,出番が激減しています。圧倒的な性能差があれば出番も増えますが,実測の開口数は同じですので,それほどの性能差が出るはずもなく,そうなると使い勝手で出動回数が決まってしまいます。古いレンズは劣化が大きくて使い物にならないものもたくさんありますが,分解しやすくメンテナンスはしやすいので,よいものであれば,まだまだ現役で使えるものと思っています。接着剤の劣化などでレンズがポロリと落ちればお終いですが,そうなるまで使い倒してみようかとも思っています(画像/MWS)。
2017年1月9日
枕元に置いて小さな幸せを発生させている透明方解石は少しずつ増殖中…。光学実験に使えるクラスの,高透明の方解石は年々少なくなり,ミネラルショーなどでもほとんど見かけなくなりました。7,8年前には,それなりの大きさのものが手頃な価格で売っていたのですが,ここ2,3年は,見かけること自体がまれで,あっても小さなものばかりです。そして価格は上昇の一途で,むかしの数倍ちかくになっているような気がします。
そういうわけですので,透明方解石は見かけたら買っておくのが正解だと思っています。きょうの画像はそうやって集めてきたもの。いちばん小さなものは,十数年前にかはくショップで入手したもので,確か315円?525円?とにかく安かったのです。次に小さなもの2個は,昨年末に入手したもので,これでも1個1000円です。次の大きさのものは3150円だったか。。その次は6000円でしたが,店主が5000円にまけてくれました。いちばん大きなものは8400円でしたが,今では5万円でもこのサイズのものは手に入らないかもしれません。どこでも見かけないのです。
どっかで鉱脈が発見されて,大きな方解石が安価に供給される日が来て欲しいと願っていますが,どんなもんでしょうかね。その方面の知識がまったくないので,動向も相場もわかりません。
方解石は所有するだけで満足感が大きく,これの複屈折で遊ばなくても十分,存在意義があるような気がします。。が,たまには,ライティングを工夫して虹を作ってみたりしても面白いものです。うまく照明すると画像2枚目のように,まるでアンモライトのような鮮明な虹色が出るのです(画像/MWS)。
2017年1月8日
ホーザンのP-893は手に馴染まないことが直ちに判明したので,新年初研磨の材料にしました。画像一枚目が購入時の形。その下が研磨後です。角を落として,先端から中間に至るカーブを滑らかなものにしています。同時に全体のバリ取りを行い,付け根の部分を調整してコシをFontaxのNo.3と同じに調整しています。先端は軽く揃えて鏡面化しています。鏡面化した方が,相手先に傷をつける可能性が小さくなるからです。ビフォー/アフターは画像で見るとほんの少しの違いですが,これだけで使いやすさは格段にアップします。
使いやすくなる理由の一つは,手のひらの中で転がせる,これが大きいのです。FontaxのNo.3が使いやすく評価が高いのは,Taxalだからというわけではなく,全体の形とバランスが絶妙だからなのだと思っています。このピンセットは手のひらで自由に転がすことができ,ニードルのようにつまむこともでき,大ざっばな力を入れたつまみかたもできます。丸みを帯びた先端と,そこから自然に流れる曲線的なボディーが,ハンドリングのよさを生みだしているのです。
さういうわけで,買ったばかりのP-893も,ダイヤの砥石でごりごりと削られて形を変えられてしまったのでした。理想的にはもっと細身にして,もっと短くしたいのですが,時間がかかりそうなので今回はここでやめて,しばらく使ってみることにします(画像/MWS)。
2017年1月7日
昨年から引きずっている仕事が終わる気配をみせず,そこに法人関係の事務作業やら何やらが舞い込み,仕事を減らしているのか増えているのかわからない状況…。年は明けたけれども,昨年が終わっていない…この気分はどうにかなりませんかね。6日も朝から手紙を書いたりメール対応したり過ごしているうちに夕方になってしまい,ガラス一枚磨けていません。。
日が暮れる頃,運動不足解消と切れていたボタン電池を買いに秋葉原へ。自転車で往復50分台の時間消費で何とかなります。秋月電子で安売り電池を買い,作業性向上のためにピンセットを千石で物色。とりあえずTS-11は2本買って,もう一つ,柔らかめのピンセットが欲しいなあ,でも竹ピンセットは作業性悪いんだよなあ,プラスチックのピンセットはコシが弱すぎなんだよなあと悩んでいたところ,ホーザンのP-893が目に飛び込んできました。真鍮製ピンセットは以前から気になっていたものですが,リン青銅の方が少しばかりコシがあってよさげな気もします。連れて帰ることにしました…。
何に使えるのかは,これからピンセットが教えてくれるでしょう。まずは使ってみて,適合した作業を見つけて,ピンセットを研いで,「出番」が確定していくものと思っています(画像/MWS)。
2017年1月6日
あけたばかりのキムワイプ(S-200)は,引っかかってまともに出てこない。一度に二枚出てきたり,千切れたり,両端が毛羽立ったりする。これはキムワイプS-200が欠陥のあるまま販売されているからで,何年経っても変わらない不思議でもあります。市販のちり紙は,ちゃんと一枚ずつ出てくるように設計されていて,両端が毛羽立ったりすることはありません。
(注:2018年1月に,S-200の欠陥が改善されたことを確認しました。現在の製品は良好です)
ということで,キムワイプS-200を開封したら,画像2枚目のように,出口両端の箱をカットします。するりとキムワイプが出てきて,一枚ずつとれて,毛羽立たない程度にカットするのが理想です。こうすれば作業効率も上がりますし,ストレスは減りますし,室内のホコリの量も減ります。よいことばかりなのです。こういうことに気がつかないようでは完璧な封入はできません…とまではいいませんが,目の前に問題があるのに気づきながら放置したとすれば,職人としては何かが足りない,とは言えそうな気がします(画像/MWS)。
2017年1月5日(2)
よっぱらいの記事だけではあまりに内容がなさすぎるので,もう一度更新。これは先日販売したバルバドス放散虫標本の原料。すでに薬品処理済みのもので非沸騰蒸留水で洗浄して乾燥してあります。7つの山があって,そこから状態のよい放散虫を拾い出して在庫を作り,並べています。18x18のカバーグラスに敷き詰められているのが在庫です。まだだいぶ残っているので,種数があまり多くないものであれば製作できる状態です。
この7つの山はほとんど放散虫でできていて,もしこれの状態が全てよければ,拾い出しの作業も楽になるのですが,かき分けてみると種によってはほとんどが壊れていて,よい個体を探し出すのに大変な時間と労力を必要とします。そしてこの7つの山から,せいぜい10個体くらいしか見つからない貴重なものもあって,そういったものを優先的にマウントすると,この7つの山はすぐに役に立たなくなってしまいます。
今回販売したバルバドス放散虫は,こうした山の中から精選された優良個体がマウントされています。専門家からは,これがバルバドス放散虫の普通の状態と思わないで欲しいとのアドバイスを頂いています。まったくご指摘の通りで,20〜30個の放散虫が並んでいる簡素なプレパラートでも,数千万粒の破片から選ばれた超エリートたちなのです(画像/MWS)。
2017年1月5日
酒によって気分がよくなったことは皆無で悪くなったことは数えきれず…という学習経験により,夕方から酒を飲むことはまず,ないのです。しかし悪魔の誘いによって,正月くらいはと,17時から酒を飲んだ結果,ぐるんぐるんと天動説の世の中が生じました。なんとか地動説にしようと,水を飲みながら数キロ歩いてアルデヒドをカルボン酸にする反応を促進しますが,飲み過ぎたようです。。一時間歩いて効果がないので,さらに水をのんで,さらに30分,自転車で疾走しました。。が,まだアルデヒドが残存しています。みなさま,人体は生化学反応による生命体ですので,よけいな物質はなるべく摂取しないことを推奨する次第です。。ホントに久しぶりの昼酒の部類でしたが,これはいかんです…(画像/MWS)。
(追記) その後もう一度,有酸素運動に出て夜のうちに回復しています…。そういえば,だいぶ昔には酒酔いの記事を何度か書いた気がしますが,最近ひどく酔っぱらうことが少なくなった気がします。歳のせいなのか…
2017年1月4日
顕微鏡がひしめきあうところで生きているわけなので,ふだんは油ものを調理しません。また市販品は劣化しているので,買って食べることも少ないのですが,正月は思いっきり?油ものを食べられる数少ない機会です。以前も書きましたが,年明けの休業を挟んで開店したお店の揚げ物は,油を入れ替えているので,新しい油の揚げたてのものを食することができるのです。近所の,日本一のカキをフライにすることで有名な店の近くのスーパーでも,1月2日の天ぷらとから揚げは,まぁ,お腹にも優しくおいしいのでした。
画像は専門店のスキルを持つお宅で頂戴したもの。さすがにレベルは2ランクくらい上です。たまにはこういう上等なものを食べて,脳みそのなかに検量線をひいておかないと,ジャンク慣れしてしまう恐れもあるのではと思っています。顕微鏡の標本でもそうなのですけど,上には上のレベルがあるので,低いレベルで安心するわけにはいきません。これが本当のうまさ,というのは,たまには味わうべきなのかもと思ったりもします(画像/MWS)。
2017年1月3日
正月は通常の仕事に加えて正月行事も加わりますのでいつもよりも忙しくなります。けれども,年が明ければ,何かに追われる感じ,というのが少しだけ(ホント少しだけですが)減りますので,売れ残ったバルバドス放散虫を物体として顕微鏡写真でもとなるわけです。
きょうの画像はだいぶ前からやろうと思っていた照明法によるもの。中学校に転がっているような学習用顕微鏡を使い,対物レンズ(NCF PlanApo4x,Leitz No.1)の直接焦点でNikon1J2のCMOSに投影。顕微鏡の円盤(円孔)絞りと反射鏡をあやつりつつ,超高品質光源の特性を活かして像をつくります。標本も超高品質ですから,写りも申し分ありません。大きな画像もアップしますので,ぜひ等倍でごらんください。
J457 (Nikon NCF PlanApo4x) −ミクロワールドサービス
この画像は撮ったそのままで手を加えていません。実際にこのように見えます。本ページの読者レベルでしたら,ははん,アレをつかってああやって撮影したんだな,と直ちに見抜くだろうと思います。楽しみを奪ってはいけませんので,テクニックの詳細は書きません。何より大事なのは光を読むこと。顕微鏡を覗きながら,あっちからこっちから光を当てて,いろいろなバランスを調整ながら,好みの像をつくるのは楽しいものです。
J457 (Leitz No.1) −ミクロワールドサービス
こちらは122年前くらいの,ライツのレンズで直接焦点です。こちらは画像処理しています。コーティングがない時代ですし,内面反射の処理も甘いのでフレアが出ます。そこでコントラストと明るさを調節し,無効拡大にならない程度に縮小し,アンシャープマスクをかけています。倍率と放散虫の大きさのバランスがよく見映えがする感じがします。バルバドス放散虫は19世紀には知られていましたので,当時の学者たちも,この不思議な世界を見ていたわけです。そして放散虫の多様な形態に夢中になっていたのであろうことは想像に難くありません(画像/MWS)。
2017年1月2日
武蔵野冬景色 (画像/MWS)。
2017年1月1日
当サービスは開業日から休むことなく「本日の画像」を毎日更新しています。開業初日を見ると2007年の9月ですから,今年は10周年といってよい感じになっています…。プレパラートの販売をはじめた当初,筆者のことをバカにした人は一人や二人ではなかったように記憶しています。それらのご意見は当たっていると思うので,有り難く拝聴しながらも,しかし他のことをできる能力もなく,愚直に続けた時間が10年にもなってしまいました。10年たって変わったことはあまりないような気もしますが,バカにされることは,ほぼなくなった気もしています。
それはきっと皆様のお陰なのです。10年前から今までお付き合い頂いている方々。これは商売上の宝物のようなものです。お客様にいろいろ教えて頂くことも多いですし,貴重な原料を恵与下さるお客様もいらっしゃいます。事業の継続が人間関係を幅の広いものにしていることは,これだけは確かなことです。
ということで,当サービスは今年もミクロワールドを追求して参ります。皆様,2017年もよろしくお願い申し上げます。画像は年末ぎりぎりに製作したバルバドス放散虫特注品。筆者とバイオミネラルの格闘はまだまだ続きます(画像/MWS)。
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