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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
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2018年1月31日
もう1月も終わり…。仕事が進んでいないことに愕然とするのです。多くの方から発注を受けたままになっておりまして,本当に済みません。一つずつ処理するより他はないので,こつこつと進めてまいります。なお納品日の関係で優先度の高い法人系の発注を先に処理しなくてはいけないこともございます。個人のお客様をお待たせすることになってしまいますが,どうか,もう少しお時間を頂きたく伏してお願い申し上げます。
でも少し幸いなことは,12月中旬から寝られるようになって,不眠まつりの日がいまのところありません。じゅうぶんな睡眠がとれています。カゼひかない記録もまもなく満9年を迎えようとしています。病気もせず睡眠もとれれば仕事は進んでいくでしょう(画像/MWS)。
2018年1月30日
Frusutulia amphipleuroidesの微細構造。ほぼ一つの平面内で構造が浮き上がり表現しやすい形です。このようにすっきりとした絵になるのは光学系の調整が追い込まれていることはもちろんですが,それより何より,標本が正しく設計製作されていることが大事です(画像/MWS)。
2018年1月29日
あるイベントで特別枠を用意したから来てくれと大学院時代の可愛い後輩に言われ,いそいそと重い腰を上げて参加してきました。一度お会いしたことのあるまさかなさんという知人の講演でしたが,アクションを継続し事実を積み上げるその作法に学ぶところが多く,お話は大変価値のあるものでした。貴重な話を頂いたことに感謝です。
その会場で,二年半ぶりに山猫だぶさんともお会いして,ちょっとした顕微鏡話が面白かったのでした。詳しい方と話をしていると,機種名もパーツもみんな頭に入っているので,BX51がどうとかE600がどうとかマイクロフォトがどうとか,ストレスがありません。
そのだぶさんから帰り際に書籍絶版の経緯を聞かれました。本ページでも時々書いていたのでご存じかもと思いましたが,それはこちらの勝手な思いこみであることがわかりました。。それでもはや定番ネタとなった,版権引き上げ物語を話しつつ,駅まで歩いて,だぶさんの降車駅までお話ししたのでした。だぶさんクラスになると,出版社との引き合いも多いと思うので,契約上のトラブル対処について実例を示すことは参考になるだろうと思ってのことです。
だぶさんとバイバイしたあとは,浜松町から三田線まで歩いて帰ろうかと思いましたが,秋葉原で買い物があるのを思い出して千石電商に立ち寄りました。いつもは自転車でいくのですが,駅から歩いていっても,何だか自転車モードの気分で駅に戻る気がしません。それでいつものコースを歩いて家まで帰りました。50分かからないくらいでした。
きょうの画像は本の出版に向けた大詰めの作業中のもの。この画像をもう少しどうにかならないかというリクエストに応じて撮り直したもの。実際はもっとたくさんとっています。ガラス板にホコリをつけずに,うまく照明し,物体面に存在する小さな珪藻を浮き上がらせ,しかも同時にスライドグラス全面も表現する,これがどれだけ撮影テクニックを要するかは,本ページの読者であれば想像できるでしょう。デザイナーさんも交えて検討の結果,これらの撮影画像は使われず,画像処理でガンマ補正するのが最良との結論になりました。
こうして一点一点,可能な限りの努力をして製作した原稿や画像を納品しても,あらたまった契約の話は一切しない。こちらが指摘するまで契約書などこの世にないものかのように振る舞う,まぁその時点で先が読めますよね。「うちは契約書はやっていません。信頼関係でやっています」。それでいて,支払期日に入金なし。事前も事後も連絡なし。おいおい,何を信頼しろって言うんだよ。典型的な「フリーランスを舐めた対応」でしたので納品したお仕事は全て引き上げて廃棄したのです(画像/MWS)。
2018年1月28日
きょうの仕事は高分解能の検鏡。顕微鏡を応用光学研究センター仕様から,高解像珪藻イメージング仕様に組み替えての撮影です。コンデンサもLEDもステージもカメラもみんな付け替えます。これの時間がバカにならないところが問題です。組み替えにはそれほど時間がかかるわけではありませんが,仕事に使うにはまず性能テストをして照明の光軸調整やカメラの設定などを全てチューニングして最良のイメージが得られるようにしなければなりません。午後から作業をはじめましたが,イメージング開始は三時のコーヒータイムを過ぎた頃となりました。。
でもご覧の通りに,顕微鏡の限界性能をきちんと出したといえる高解像イメージになっているわけで,調整にかかった時間は無駄にはなっていません。ホントは高解像専用,反射照明専用,微分干渉専用などと専用機がずらっと並んでいるのがいちばんラクなのですが,せまいウサギ小屋暮らしではそんな贅沢はできませんです…(画像/MWS)。
2018年1月27日
未だに昨年の仕事をしているというのはもはや恒例行事のようになりつつあります…がよろしくありません。注文製作品を作っていてどうしても解決したい問題があって,封入試験だけで3日を費やしてなお失敗中です。。解決したい問題はたくさんあるのですが,その一つがプレウロシグマのある種の封入。封入剤が入りにくくきれいな封入になりません。きれいにできたと思ってもどこからか脱ガスなのか真空の泡なのかが発生して濁ります。その状態でもテストプレートとして十分使えますが,見映えの問題は重要なのでどうにかしたいと思うのです。
プレウロシグマはメガネケイソウの和名もあって,これはレンズテストに使われてきた珪藻という意味なのだそうです。そういった顕微鏡観察上の重要な種ですから,100年前のプレパラートにもちゃんと封入されています。いろいろ見たところでは,散布スライドでは概ね良好ですが,珪藻を並べたスライドになるとプレウロシグマがきれいに封入されているものは相当珍しくなってきます。封入作業との相性がわるいらしく,全体に均一に封入剤が入らないものを見かけます。昔の人が悩んできたことをそう簡単に解決できるはずもありませんが,どうにかならんかなと,もう10年近くも挑戦しているのです…(画像/MWS)。
2018年1月26日
いつもいろんなことを教えて頂いている知人から,シリウスを流し撮りするとカラフルだという記事(こちら)を教えてもらいました。筆者はSNSの類には手を出さないのでこういったことを教えてもらえて有り難かったのでした。
で,この画像をみて,これは大気分散でスペクトルにわかれた面積体となっているシリウスの光に,部分的に温度の異なる気流の揺らぎが当たり,スペクトルの一部がカメラに届いたことによって起きる現象だろうと思いました。そうだとすると,低空で起こりやすく,シーイングが最悪で常に星がチカチカ瞬いているときに最もよく見られるだろうと考えられます(当たっているかどうかは知りません。画像をみて反射的にそう思っただけです)。
ちょうど25日の夕方はこの条件を満たしていたため,18時過ぎから南の窓をあけて部屋の中からシリウス撮影をしてみました。きょうの画像はそこから一枚です。カメラはNikon1J5,レンズはTokina AT-X 90mmF2.5で絞りはF4です。三脚につけて,露出は1.3〜1.6秒で,水平方向に流し撮りです。素子の感度はISOで160-200辺りを使っています。ホワイトバランスは曇天日陰です。理由はおわかりでしょう。
70枚くらい撮影したので,ほかの画像もオリジナルの横サイズで置いておきます(一枚目,二枚目,三枚目)。
これらを見ると,まあ何とか写っていますね。1.6秒の間に無数に点滅していて,一つのスペクトルでとどまっていないので,目で見て色がつくことが希だと思います。実際,シンチレーションがひどいときに望遠鏡で低空の恒星をみても,瞬間的に赤っぽかったかな?とか青っぽかったかな?という程度で,鮮やかな色が見える感じはほとんどありません。分散で縦に引き延ばされた虹色に見えることは普通ですが。。
残念なのは,使ったレンズがg線程度から大きくぼけること。スーパーアポクロマートを使って撮影すれば,もっとカラフルに,特に青が鮮明に写るはずなのです。。
関東地方では明日も寒くて星がチカチカしそうな気配です。夕方のひととき,シリウスを撮影して光学現象について考えてみるのもよいかもしれません(画像/MWS)。
2018年1月25日
ズームで自由に倍率が変えられる実体顕微鏡はJシリーズの製作には欠かせません。放散虫ではせいぜい120倍程度まで,珪藻なら240倍くらいまで使うことがあります。低い方は20倍くらいから。これをレボルバで段階的に変えていたらやってられません。。
このズーム機構,ふつうはズーミングしてもピントが保持されるように作られているものですが,それを知らない人がけっこういるようだということが最近わかってきました。かなり顕微鏡に詳しい人でも,ズームして倍率を変えるとピントは合わせ直すもの,という先入観があるらしい。あるいは,安い実体顕微鏡はズームするとピントがずれるから高級機を買わないといけない,と思っている人もいるのかもしれません。。
説明書を読めば書いてあることなのですが,実体顕微鏡はまず標本をセットして物体にピントを合わせ,左右の目幅を調整して,視度も左右であわせて,それからいちばん高倍率にズームするのです。このときは微動粗動を使ってピントを合わせます。ピントがあったら,こんとはフォーカスはそのまま触らずに,いちばん倍率が低くなるまでズームします。なんかピントがずれてるな,と思ったら,両目の視度補正を回して調節するのです。
そこでOKとなれば,そのままズームしてみます。ピントがずれなければOK。ずれた場合は,ピントを合わせてから低倍に戻して視度補正,再び高倍率にズームしてピント合わせ。これを繰り返して追い込みます。なおこの作業をするときは,裸眼かメガネ着用かを決めておきます。このようにすれば,まともなメーカーの実体顕微鏡ならほとんどピントがずれないはずなので,困っている方はぜひ試してみるとよいでしょう。もっともその前に,説明書くらい読めよ,という話ではあるのですが。
上記の作業を行ってもうまくいかない顕微鏡もあります。筆者所有のSMZ800もそんな感じで,付属の接眼レンズと筆者の裸眼の組み合わせだと調整範囲を超えてしまい,ズームでピント位置が不動にはできません。メガネ使用前提なのです。まことに残念なのですが,そのくらいで諦めたりはしません。視度調節範囲の広い別の接眼レンズを種々試して多少の改造も施して,裸眼の場合でもズームでピント位置不動を達成しています。テレビを見た人はオリジナルと違った接眼レンズがついていたことに気づいたかもしれませんね(画像/MWS)。
2018年1月24日
Jシリーズのようなひじょうに高度な製品になると,カバーグラス一枚でも宝石のように扱っていかなる傷もつかないように管理しなければなりません。そのためには適切なケースやピンセットなどが必要になるのですが,マツナミさんのカバーグラスは紙製のケースになってしまったのでJシリーズ基準を満たしません。そこでマツナミさんの古いプラケースや,ソーラボさんのプラケース,あるいは他の小物入れなども活用しています。
ソーラボさんのプラケースは中に入っているスポンジがダメダメな感じがするので,マツナミさんの紙ケースに入っている発泡樹脂に交換してあります。適当に切ってはめこんでいます。そこにツァイスさんの18x18mmのカバーガラスを入れて使っています。移し替えや取り出しは全てピンセットを用いて行い,ガラスのカット時も素手で触ることはありません。こういった細かい工夫を自然に思いついて管理水準を維持できないようでは高度なものは作れません(画像/MWS)。
2018年1月23日
この顕微鏡は常設でJシリーズを展示できるように作ったもの。過去にも一度掲載していますが,NIKKENの顕微鏡をベースに,当サービスの誇るペットボトル工作技術を使い,標本面のホコリよけと照明光路の保護,ホコリよけを施しています。標本面のホコリよけはペットボトルの注ぎ口がちょうど対物レンズの直径に近かったので採用したものです。標本の衝突防止にもなりますし,密封すればどんな細かなチリも入らないので,完全透明なJシリーズの真価を伝えることができます。
コンデンサは当サービスの誇る現品合わせ光学設計能力を活かし,ダイソーのスーパーLEDズームライトから採取した高性能レンズと,もともと顕微鏡についていた単玉コンデンサの組み合わせで,中心遮光法の暗視野コンデンサとしています。この場合,単玉コンデンサ表面の傷が光ってしまうと背景が明るくなりますので,単玉コンデンサには切ったカバーグラスを光学接着してガラス面を完璧に清拭し,レンズ裏側も完全に清拭して,さらに背景に当たる部分に植毛紙を仕込んで,完全暗黒を達成しています。
対物レンズはオリンパスのPlan10x,接眼レンズはニコンのHKW15xですがこれでコンペンになっています。撮影画像をみてもわかるように,接眼レンズからコリメート法で撮影したとは思えない,よい像になっています。暗視野コンデンサは高NAの方が色を出しやすいですが,この設計ではだいたいNA=0.6-0.8程度の輪帯照明になっています。
照明は電球色LEDにLBDフィルタをのせたもの。LEDには安価な双眼鏡を分解して採取した接眼レンズをのせてコレクタレンズの代わりにしてあります。これで光を正確に暗視野コンデンサに導き,十分な明るさと適切な演色性をもつ照明を実現しています。LEDは放熱板にのせたものを金属板に貼り付け,さらに金属板は本体底部に接着して,本体側に熱を逃がす設計になっているので,熱的な心配は皆無です。電源はAC-DCアダプタとして,制限抵抗(セメント抵抗)を挟んで接続。セメント抵抗は熱をもつので直接触れないようにプロテクタをつけておきました。
接眼レンズは簡易接着。ピント位置は追い込んであり,誰でも微動をあわせてシャープな像を拝めるようにしてあります。箱は修理して鍵をつけ,取り外しのドライバーとホコリを払うためのブロワをつけました。
なんでこんな顕微鏡を作ってしまったのかというと,出版社から販売促進に使いたいので顕微鏡を貸出してほしいと言われ,それに応じたからなのです。出版時にも,イベントなどで実物展示できないかと聞かれていて,それはたぶんできる,と答えていました。ジュンク堂などでの1,2日程度のイベントならその場に行って設置もできますしメンテナンスも清拭もできるので,手持ち機材の持ち込みで済むだろうと思っていたからです。ところが依頼は,大型書店で数ヶ月設置したいというものでした。Jシリーズはチリ一つついてもあのクリヤな視野が台無しになってしまうので,数ヶ月安定して常設展示できる顕微鏡となると,一から作らないといけません。その大変さは想像を絶するものです。それで多大な時間を費やして製作したのでした。
この顕微鏡は出版社の営業用として無期限貸出としました。そのときに出版社には,一つだけ約束を守って欲しいと口頭で伝えました。それは,「この顕微鏡の設置先を必ず連絡すること」というものです。どのように使われるかわかりませんし,電源トラブルも可能性としてはあるので,メンテナンスしなければいけないからです。当初の計画では埼玉県内の大型書店という話を聞いていましたので,それならば十分に対応可能とも思っていました。担当者は,ハイわかりました。それはもちろんです,という感じの受け答えでした。さてそれでどうなったか。出版社は,あの書籍が絶版になるまでの間,ただの一度も連絡をよこしませんでした。
その後この顕微鏡がどうなったか。ウチに返却されてもムカつき放射装置になるだけなので困ります。そこでこの顕微鏡は,(企画展が予定されている)静岡科学館に送るように契約解除書類に記しました。送料相当分は普通為替で同封しました。その後,出版社は機材を静岡科学館に送付したので,寄贈手続きをとり,静岡科学館に受け容れてもらいました。
とゆーことで,Jシリーズの常設用顕微鏡はこれからも静岡科学館で運用されるものと思われます。近いところでは昨年の企画展で利用されました。またそのうちに展示に使われることと思います(画像/MWS)。
2018年1月22日
オプチフォトのパワーLEDも交換。MWS応用光学研究センターの仕事がかなりヘビーで高度な照明技術を要することがわかったので,LEDも良いものに交換です。いままでは秋月電子のパワーLED緑を使っていましたが,正直言ってジャンクレベルで,レンズの軸が合っておらず,照明の完全なセンタリングができず,拡散板でだまして使っていたのでした。もちろんそれはわかってやっていることで,拡散板のごまかしによる効果も把握した上でのイメージングでしたから,結果には何ら問題ありませんでした。
でも交換したのは,最後の最後で輝度が重要になる場面が予想されたからです。消光光学系を介したイメージングでは,検出感度を決めるポイントが素子のS/Nと照明輝度だったりすることがあるので,先に手を打っておこうということです。今回は千石電商の3W緑を使いましたが以前のものよりはるかに良好です。700mAまで流せますが,最大500mA程度で使っています。
ホントに欲しいのは5W〜10Wクラスの緑LEDで,発光体の結晶面積が大きなものです。しかしそのような製品は見あたらないので,3Wで我慢しています。むかしはLumiledsから5Wのシリーズがあって,大きな結晶面積で470nmには非常によろしかったのです。526nmがあったかどうかは覚えていません。時代がすすむにつれていろんなものが淘汰され,5Wクラスの大結晶のものは見かけなくなりました。顕微鏡の照明系は,ハロゲンランプやタングステンランプの巻き線の面積を出発点にして光学設計されていますので,これらのランプをLEDに改造するときは発光体の面積を確保することがひじょうに大切です。単に交換すればOKというものではありません(画像/MWS)。
2018年1月21日
スーパーLEDズームライト(ダイソー)は,このようにしてニコンS型の電源として使っています。このライトのLEDを外し,そこに電線をハンダ付けして,その電線を顕微鏡の光源に接続しています。顕微鏡光源には6V30Wのタングステンランプを改造して作ったLED照明を使っています。千石電商で購入した3W電球色のLEDに放熱板として銅板を貼り付け,発光部分には水道用のテフロンシールを被せています。このテフロンシールは完全拡散面として使えるひじょうに優れたもので,これをつけることによりLEDの色ムラが取り除かれ輝度も均一になり,そして発光面積が増加します。
この照明は視野内の均一な照明,低倍から高倍率まで大きな照明範囲を確保できるという点では,ニコンS型のオリジナル設計よりも優れています。改造するのですから劣化させてはいけません。理論分解能を出せる素晴らしい顕微鏡を開発製造してくれた設計者とメーカーに感謝して,その性能が引き続き高い次元で維持できるように改造するのが礼儀だと思っています。
そしてその高い次元で性能を維持するのに使えるのが,スーパーLEDズームライトだったりするのです。これのLED取り付け基板には抵抗が仕込んであって,新品の電池を入れてもだいたい70mAくらいしか流れない感じです。少しへたった電池で実測したら45mAでした。このため小さな放熱板でじゅうぶんで,LEDが焼けることはありません。
S型はコンパクトな設計でありながら限界性能を発揮できる優れた顕微鏡です。そのコンパクトさを活かして移動用にも使うことが多いのですが,トランスが大きく重くて可搬性を損ないます。だいぶ前からLED化して使ってきましたが,発光体面積の大きなものの方が光学設計上はよいので,いつかはパワーLEDでまともなものにしようと思っていました。それがスーパーLEDズームライトで一挙に解決してしまいました。改造したのは昨年夏頃ですが,使ってみて問題なく,出先に運んで実演しても好評です。
LEDは交換式にしてあり,405nmの照明も可能になっています。昨秋に出先で405nmを使いギョロメケイソウの目玉の点紋をその場で解像してデモすることに成功しています。人間でいえば中年をとっくに過ぎたニコンS型ですが,スーパーLEDズームライトという強力な援軍を得て,時代を超えて活躍するのです(画像/MWS)。
2018年1月20日
本ページでも何度か取り上げた驚異の製品,スーパーLEDズームライト(ダイソー)ですが,スイッチの接触不良が発生しやすいのが欠点でした。ニコンS型の電源として便利に使っているのですが,LEDなのにちらつきが発生するようになったのでスイッチの分解修理を行いました。
やってみてびっくり。このスイッチは分解可能なように作ってあるのです。スイッチは簡単に手で外せるのですが,スイッチ自体も簡単にばらせます。カッターの刃とか研いだマイナスドライバーなどを差し込めばスイッチの接触部分がすぐに露出し,構造も簡単なのでメンテナンスも容易です。ふつう,この手のプラスチックのデバイスは溶着してあるのが常で,破壊的に開封しないと接点を見ることなどできないのですが…。ありがたいことです。
このスイッチ,ホントに電機メーカーが作ったの?と思うような簡素な作りで,素材もこれでいいの?と思うような,衣服のボタンの流用のようなものが仕込まれているだけというもの。接触点の電気抵抗を低く保とうなどとは考えていないように見受けられます。目視では劣化は見えませんでしたが,油膜,酸化膜の存在を疑いましたので,#5000の耐水ペーパーで接触部の各部を磨き,エタノールで清拭して,接点復活剤コンタクトZを塗布して組み直しました。組み立てるのもはめこみだけなので簡単です。大助かりです。
これを元通りにハウジングに組み込んでスイッチを動作させてみれば,あっさりとなおってしまいました。通電良好。ちらつきなし。いやーじつに素晴らしい。スーパーLEDズームライトは,度の強い大口径レンズ,パワーLED,電池ボックス,フォーカス機能つきボディに分解メンテナンス可能なスイッチがついて100円。信じられません。これなら何本あってもよい感じです(画像/MWS)。
2018年1月19日
発作的にカバーグラスの厚みを測定したくなり,やってみたのがきょうの画像。被検物は22×22mのサイズで,厚みは0.170±0.005という規格のもの。超高精度カバーグラスです。何かのおまけでもらったことのある人もいるかもしれません。超高精度カバーグラスはカールツァイスマイクロスコピー(株)やソーラボなどで取扱がありますが高価で,まだまだ一般的ではありません。
まず測定にあたって,ミツトヨのマイクロメータを清拭します。いつもきれいにしていますが,ホコリ一本が付着しているだけで測定値が狂います。ので,アンビルとスピンドルでWhatman105レンズペーパーを挟んで,テンションを適切に調節して,すーっと引いて清拭します。乾拭きです。これがきょうの画像1枚目。
次にカバーグラスを乾拭き→溶剤拭きの順で仕上げます。カバーグラスはそのまま測定してはいけません。接着防止に粉体が塗布してあり正確な値が出ない恐れがあります。またメーカーによっては,切断時のガラス粉が飛び散って挟まっていることもよくあります。そのまま測定するとマイクロメータに傷をつける恐れもありますし測定値も狂う可能性があるので清拭は必須です。
準備ができればカバーグラスをアンビルとスピンドルに挟んでラチェットをカチャカチャと回します。この回し加減で測定誤差がでるので回転速度はつねに一定になるように,また何も挟んでいないときにゼロになるように練習しておきます。測定は数回行い平均値を取るのが賢明です。今回は0.174/0.173/0.173/0.174/0.173といった感じでした。カタログ値通りに収まっていることが測定値から確認することができました。
測定を終えたらスピンドルを回転して緩めカバーグラスを抜き取ります。合わせ面が汚れていないことを確認し,必要なら清拭して,スピンドルとアンビルの間にごくわずかな隙間をあけた状態でロックをかけて仕舞います。これが筆者の使い方。習った覚えはないんですが,こうやらないと落ち着かないという感じがして作法が自然にうまれます。
なおカバーグラスの厚さは,顕微鏡でも測定できるかもしれません。きれいなスライドグラスにきれいなカバーグラスをのせて,適当な金属対物またはノーカバー対物を選んで,カバーグラス表面にピントを合わせます。その場所でカバーグラスを取り除いて,スライドグラスにピントを合わせます。このときに微動の移動量を読み取ればそれが厚みに相当します。微動感度1μmの機種は多いことと思いますので,カバーグラスの厚みもそれなりの正確さをもって測定できると思います。やったことはありませんが…(画像/MWS)。
2018年1月18日
きょうの画像はお客様から頂戴したもの。12月販売分のバルバドス放散虫でJ517デザイン系です(J519)。販売時には時間がなくて簡易撮影で済ませてしまいましたが,お客様から,このようにばっちりと素晴らしく表現して頂き,やっと真価が自分でもわかったような気になっています。白バックでも黒バックでも大変みやすい画像に仕上がっており,ヒストグラム調整のチューニングが絶妙な気がします。一つのお手本になるかと思います。こういう絵をもらって,よかったなぁとほっと一息つくのは,仕事上も大事な貴重な時間に思えます。「素材を売る」商売の面白いところかもしれません(画像/MWS)。
2018年1月17日
16日は電気電子関係の研究開発案件で打ち合わせでした。MWS応用光学研究センターまで会社代表と技術顧問にお越し頂き顕微鏡の午後となりました。電気電子関係でも顕微鏡レベルの欠陥構造などを判別できる検鏡テクニックが求められることもあり,そのテクニックが相当にハイレベルなものだったのでどこの会社も対応できずに失敗し,当サービスへとやってきたのでした。筆者の検鏡テクニックによれば,十分にソリューションを提案できる範囲内でしたので,証拠の画像を準備して,リアルタイムで実演もできるように用意して,打ち合わせとなったのです。
久しぶりに工学系の方と技術の話で過ごす時間でしたが,とても有意義に感じましたし,こちらのソリューションご提案も相手先の役に立ちそうで,ほっとしたのでした。これでほんの少しですが応用光学研究センターの仕事に一区切りつけることができ,次の仕事をわっせわっせと急がなくてはいけません。もう2018年の1/24が過ぎてしまいましたから…(画像/MWS)。
2018年1月16日
これはミローの干渉法でみた金属板の表面。ニコンのDIレンズによるものです。この絵はMWS応用光学研究センターの仕事で多忙を極めている筆者の脳みそを表している気もします…。あるいはこのけばけばしい下品さは,スモールワールドの何たるかを全く理解しないニコンのコンテストに応募するにも最適かもしれません。誰かパクって賞をゲットしてください…。物体は100円ショップの絵の具皿の裏面です(画像/MWS)。
2018年1月15日
悪あがきは失敗ですね。バックアップ電池の劣化が故障原因の第一かと予想したのですが,これを交換してもまったく反応なしでした。出力信号が出ていません。各ケーブルの接続を見直してもダメ。基板清掃も行いましたが関係ない感じ。すると電子部品の劣化,特に電解コンデンサの寿命が考えられますが,数が多すぎる上,電解コンの劣化による故障部分を判定する能力を持たない筆者にはお手上げです。これは専門家送りとなりそうです。。
大事なときに専用装置が壊れるほど困ったことはありません。でも,ビデオエンハンスの本質が分かっていれば,あり合わせの機材でも同様の効果を出すことはできます。今度は手持ちの画像関連機材を組み合わせてリアルタイムビデオエンハンス装置の組み上げです。CCDの出力をDVD録画機器に入力して画像変換器との同期をとった出力をつくり,画像コンバータへ入力してからモニタへ接続。画像コンバータとモニタとCCDカメラの3つでそれぞれ輝度調整が可能。うち2つでガンマとコントラストも調整可能。これで広い輝度範囲でビデオエンハンスができてチップ積算で平均画像も得られる装置ができるはず。。減算できないのは致命的だけど…。と,アイデアが浮かんでしまったらやらないわけにはいきません。こうして年明けの時間はどんどん消費されていくのです…(画像/MWS)。
2018年1月14日
MWS応用光学研究センターの仕事が続いていますが,大事なときに機器の故障が判明する現象が起こりました…。旧式の画像演算装置なのですが立ち上がってくれません。この機器,ふるいものの,フレーム蓄積可能なカメラと組み合わせると,ひじょうに広い範囲の輝度に対してビデオエンハンスができるので便利なのです。カメラはせいぜい40万画素ですが拡大率を適正にとれば理論分解能を表現可能です。
しかしさすがにゲジゲジ(IC,LSI)だらけの回路は手も足も出ない感じです。メーカーさんも,パソコン一つで同等の機能を実現できる現在では修理してくれないでしょう。困った困った。悪あがきはしてみますが今回はさすがにむずかしい感じがします。そしてこうして,忙しいときに限って無駄な時間が過ぎゆくのです…(画像/MWS)。
2018年1月13日
新幹線の台車亀裂問題に関していろいろ記事を書きたかったところですが忙しすぎて時事ネタにまで手を出せなかったのでした。まだ仕事が積み上がっていますが,とりあえずJシリーズの山を片づけてテレビ騒ぎも終わって,忙しさの質が変化したこの機会に一言。
JR西の対応も,報道も,迷走状態な感じがしています。いろいろと原因究明,対策案などが述べられていますが,大切なものが抜けているように感じるのです。それは,客商売の基本ができていないということです。新幹線の台車の状態が普段と異なることを最もよく知っているのは旅客です。動き回っている車掌ではありません。機器を理解しているエンジニアでもありません。いつも新幹線を利用し,座席に長時間身を沈め,列車の音や振動,空調の匂いなども全て頭に入っている乗客こそが,異変を的確に感知できるのです。その乗客が車掌に向かって異変を知らせてくれたなら,何をさておいても,この乗客の意見を重視して対応するべきなのです。
乗客ほど優れたセンサーはないのに,それを無視したJR西の対応は論外です。そして再発防止策に「乗客の意見を最優先する」という事項が入っていないとすれば,大事な何かが欠落したまま今後も新幹線が運行されるということになるでしょう。自分たちが客商売をしているということに,いつになったら気がつくのでしょうか。
一部でJR東海の対応を賞賛する向きもあります。しかしこれも疑問符がつく気もします。次の名古屋で止めようという判断が甘いのです。その間に破壊が進行したらどのようなことになったか,そこを反省点にしなければなりません。今回はJR西が指令の判断で運行を続けた点が重罪に匹敵するものですが,JR東海も「ひかり291号事故」という極めて重大な事故を引き起こしています。この事故は車輪が固着してレールとの間で火花を散らしている状況を知りながら,指令が新幹線を三島まで運行させたというもので,三島到着時には車輪が10cmすり減っていたという,じつに恐ろしい,故意に引き起こされた事故です。この事故はほとんど報道されないというおまけまでついていて,筆者が知ったのもその後に出版された書籍によってでした。
このようにJR西だろうが東海だろうが,指令の頭が腐っているということは起こりえます。まずこの人たちの権力を剥奪して,乗客の意見を上位に持ってくれば,安全運行に寄与するだろうと思います(画像/MWS)。
2018年1月12日
筆者も協力したNHKの番組は,本放送,再放送ともに無事に放映されたようで安心しました。テレビはうちには置いていないので放映は見なかったのですが,データを届けて頂いたので,後半の小池先生と筆者の部分だけざっと見ました。小池先生は筆者の先輩であって学会でお会いする関係でもあります。まずは先生のお元気な様子をみてうれしくなったのでした。
さて筆者の部分に関して幾つか説明をしましょう。珪藻を毛先で拾っている場面,並べている場面がありますが,この場面は筆者の撮影です。前者がNikon1J2にTokina AT-X 90mm F2.5 + Macro extenderでの動画撮影(HD,60fps)です。後者はNikon1J5,SMZ-800での動画撮影(HD,60fps)です。さすがのNHK業務用カメラ(600万円+レンズ)をもってしても,筆者の業務用機材(1/100の価格)には及びません。珪藻を写すにはそれなりの機材とセットアップが必要なのです。
珪藻を並べている場面は,仮組みの場面です。このようにして大きさを揃えます。このまま封じることもできますが,通常は行いません。テレビ用の撮影では,高コントラストで珪藻がばっちり写り,しかも限られた時間の中で何をやっているかわかるように表現しなくてはいけないので,乾燥試料を用いての,フリーハンドでの珪藻の操作場面を用意しました。詳しくはチェックしていませんが,番組では,並べる最初の瞬間だけ1倍速,その後は数倍速で画像を回しているように感じました。実際の封入用の並べ作業はもっとのろのろと精密に位置決めしながらやることがほとんどです。えらい時間がかかり複雑な工程な上に,企業秘密も写り混む危険性も考えられるので,とても放映用には使えません。ということで並べ作業は,いろいろの方法の一つとしてとらえていただければと思います。
これに対して拾い作業は,通常業務そのものの姿を撮影しています。空気を完全に落ち着かせた状態でチリの落下の少ないことを確認し,動画を撮りながら大型珪藻を拾いました。簡単そうに見えますが,毛先への静電気の与え方,珪藻の吸い付け方,落とし方,珪藻のかき分け方,珪藻の良否の判断など,ノウハウは書ききれないほどにあります。それらを全てコントロールしながらあの速度で作業を行うのには,慣れが必要です。初めての方に体験してもらうと顕微鏡下で毛先を探し出すことも困難…なくらいのむずかしさです。
顕微鏡下で拾う操作をしている筆者も写っていますが,操作しているフリのやらせではなく,カメラの前で実際に作業をしています。カメラが回っていようがディレクターさんが背後にいようが,いったん顕微作業を始めれば指先は狂いもなく作業できます。そのときの作業に没頭している様子は普段と何ら変わらなかったものと思います。カメラの存在を忘れひたすら良質な個体を拾うことに集中しました。
限られた時間なので大したことはできませんでしたが,それでも,夜のゴールデンタイムを利用して,多くの方々に珪藻というものの一つの側面をご覧頂いたことは,当サービスの仕事としても意義あるものだったのではないかと感じております。これをきっかけに,珪藻やミジンコなどのプランクトンや小さな生き物の世界に興味を持つ方々が増えれば有り難いことと思います(画像/MWS)。
2018年1月11日
これはトリケラチウムという珪藻。砂地の海底にいるらしく砂浜の近くなどのサンプルに入ってきます。この珪藻,肉厚で穴ぼこも大きく見えるのでさぞかし封入も容易だろうという見かけなのですが,粘度の高い封入剤はうんと入りにくいのです。それは内部に極小の穴があって,そこがふさがってしまうと封入剤が通過しなくなるからなのです。封入剤が入らなかった部分は空気の泡として巨大なコントラストを生み出し残念な姿になってしまいます。この珪藻は化石でも出てきますが,化石のものは封入が容易です。すすっと封入剤が入ります。風化で内部の穴が広がっているようなのです。こうして単なる標本製作の場面でありながら,珪藻の構造に関する間接情報が得られていたりします。このような間接情報の蓄積は技術上はけっこう大事です(画像/MWS)。
2018年1月10日
【お知らせ 再放送】
1月11日明け方前の時間,03時40分〜04時10分に放送されるNHKの番組,『所さん!大変ですよ(再放送)』はプランクトンをメインに扱った内容となっています。ミジンコや珪藻などの動物・植物プランクトンがメインコンテンツとして放送されることは大変珍しいと思います。当サービスも番組作りに協力しており,珪藻プレパラート関連の内容も放映されることになっております。プランクトンや珪藻に興味を持つよい機会にもなりますので,ぜひ多くの方にご覧いただければと思います。NHKのHPによる再放送予定を見ると再放送時間は30分となっていて,本放送よりも2分間長いのが気になります…。
きょうの珪藻もディプロネイスの仲間。この仲間にはいろいろな形態のものがいます。画像のものは海の珪藻で,やや砂地っぽいところで採集したものです。やはり数は少なく,多量のサンプル中に数個なんてこともあります。標本数枚作ればお仕舞いとなってしまいます…(画像/MWS)。
2018年1月9日
お客様とお話ししていて,たまに好みの珪藻を教えて頂くことがあります。どんな珪藻もそれなりの構造があって見応えのあるもので,優劣はなかなかつけにくい気もしますが,そんな中で何人かの人のお気に入りがきょうの画像。この珪藻はディプロネイス属の一種で,海の珪藻です。沿岸の石がごろごろしているようなところや磯のタイドプールの中にある石ころなどの上でよくみられます。分厚くて丈夫,複雑な三次元形状の被殻を持っていますのでコントラストが高い像を作りやすく,それも人気の一つかもしれません。見つけるだけなら簡単ですが,どうも単独行動?している感じで一攫千金的に大量採取はできたことがありません。大量の試料から一個一個探して拾って集めることしかできない仲間です(画像/MWS)。
2018年1月8日
照明を少しいじれは,この通りです…。もちろん,このように見えることを想定して種を選んでデザインしているのです…(画像/MWS)。
2018年1月7日
これも昨年秋に作ったもの。南極,佐渡島,相模湾などの試料から色の出る珪藻を集めて並べたもの。明視野で絞り込むと鮮やかな色が出るので,人気の高いスライドです。これだけの数を投入すると拾い出した在庫が一気に減るので,その意味では作りたくないもの。でも見た感じはとてもよろしいので作りたいもの。なかなか複雑な気持ちになるのです…(画像/MWS)。
2018年1月6日
これは昨年秋に作ったもの。こういったものを作るときに難しいのは大きさのそろった珪藻を集めておくこと。予め原料から珪藻を拾い出して,大きさ別に並べておいて,その中からさらに,ほぼ同じ大きさのものを集めて組み合わせを決めます。こういった作業はとても時間を使うので作業はフリーハンドで行います。珪藻をまつげの毛先で転がして,大きさ別に揃えて,仮組みしてみていけそうだとなったら,完璧に清拭した基盤上で本製作に入るのです(画像/MWS)。
2018年1月5日
珪藻は種を選ぶと,照明により刻々と変化する標本が作れます。作る立場からはとても魅力なのですが,そのような珪藻はそれほど多くないというところが悩みです。ヒトツメケイソウ属の仲間は照明を絞ったり斜めに当てたりすると種々の色が出るのでたくさん集めていますが,試料は南極のものだったり,山奥の珪藻土だったり,たまにしかとれない沿岸のサンプルだったりします。欲しいものはいつでも遠くにあるものなのかもしれません(画像/MWS)。
2018年1月4日
【お知らせ】
1月4日夜,20時15分〜20時43分に放送されるNHKの番組,『所さん!大変ですよ』はプランクトンをメインに扱った内容となっています。夜のゴールデンタイムにミジンコや珪藻などの動物・植物プランクトンがメインコンテンツとして放送されることは大変珍しいと思います。当サービスも番組作りに協力しており,珪藻プレパラート関連の内容も放映されることになっております。プランクトンや珪藻に興味を持つよい機会にもなりますので,ぜひ多くの方にご覧いただければと思います。
3日は挨拶回りでした。列車で往復三時間ちょいの距離ですからさほど遠くはないのですが,何だかんだと一日暮れてしまいます。こうしてすでに2018年も1/100が経過してしまったのです。うかうかしていると仕事が全然進まないうちにどんどん時間が過ぎゆきます。それにしても正月っていうのはよろしくありません。忙しさが増加するだけでまったく休まりません。。
今年はすでに一年過ごせそうな仕事が溜まっていて,それは有り難いことでもあるのですが,標本製作の立場から見るともう少し時間に余裕が欲しいところです。Jシリーズのような細かいものを作るには,急かされていると面白くないのです。じゅうぶんな時間があるときに,さて,今度はどんなものを作ってみようかしらと珪藻をつつき回し,丹念な作業,十分な準備を行うと,新たな発想がわいてきてよいものができるような気もするのです。クリエイター的な活動をするには,ある種の余裕が必要で,積み上がった仕事を順次片づけるという勤め人的な仕事の仕方は向いていないような気がします。ま,そういっても忙しくなったのは自分がわるいのですが…(画像/MWS)。
2018年1月3日
新年あけまして,次の仕事を進めなければなりません。すでに仕事が山積みで大丈夫なんだろうかという状況ですが,心配するよりは前に進むことが大事です。まずは顕微鏡デスクを片づけて,Jシリーズ製作仕様からMWS応用光学研究センター仕様に模様替えしなくてはなりません。簡単なようでいて,こまごまとしたものの片づけ,整理に大変時間をとられます。1月1日は各種事務作業で一日が終わってしまい,1月2日になってようやく整理がはじまったところです…。正月なんてありはしません。
きょうの画像は整理中のもの。数十年間放置されていたと思われる対物レンズ群。これの仕分けと清掃,整理。うんざりするような仕事ですが,頭を使う必要はないので,まぁ何とかなります。たっぷり半日使ってしまいましたが一応は完了。こういった邪魔者を片づけてすっきりしないと,応用光学センターのエレガントな仕事には具合がわるいのです。
しかしまぁ腹が立つのは,対物レンズやケースにベタベタとガムテープ,ビニールテープを貼るデリカシーのなさ。べたつくものもあれば粉を吹き出すものもあり,個人的にはケースやレンズにテープ類を貼るのは愚の骨頂と思っています。どこの誰が貼り付けたのか知りませんが,オマエの雑な仕事のおかげで,オレの人生の時間がこびりついて固化したガムテープを剥がすために費やされたんだぞ,誰が責任とるんか! と小部屋に監禁して説教を施したあげく,重厚な顕微鏡講義を7日間連続でこれでもか!これでもか!と受講させてやりたくなります…。出先機関でもときおり見かけますが,機材や電気コードにガムテープなどをベタベタ貼ってラベル代わりにしている研究室は,仕事の質が低い気がします。頭の中が雑なんでしょう。
こういった汚らしいレンズ群はどう取り扱うかというと,まず,ケースを洗うのです。ケースとレンズを別々にして,こびりついたテープなどをEE-3310に漬け込んでから拭くなどして落とします。ケースは中性洗剤とお湯を入れて超音波洗浄します。そのあとにお湯ですすいで,キムワイプで水滴をとってから乾燥させます。こうしてケースがきれいになってから,レンズを清掃して,ケースに収めて,ケースはレンズ箱などに乾燥材とともに入れて保管するのです。
このような作業は大変な手間がかかりますが,結果的には,メンテナンス後のレンズが即戦力となるわけで,かえって効率的なのです。当サービスの所有する対物レンズ群はかなりの数になりますが,どれも直ちに使える状態で保管されており,いちいち状態を確かめたり清拭し直したりすることがありません。そのような状態に保たれたものを 道具 と呼ぶのだと思います。
対物レンズを拭くのが大事だと知っていても,対物レンズケースを清掃したことのある人は少ないかもしれません。レンズケースの底にはプラスチックの屑やホコリ,チリなどが堆積して真っ黒などというのは頻繁に見かけます。そういうことに気が付かないで,そこに直接レンズを放り込んで保管して平気な神経の持ち主は,例えば培養実験や化学分析をまともに行えるのだろうかと心配になります。大きなお世話かもしれませんが…(画像/MWS)。
2018年1月2日
古いCCDカメラや特殊な撮像管をつないで使うRCA接続のモニタを探していましたが適当なものがなく,ずーっと困っていました。ところが最近,秋葉原のあきばおーで,「パイナップル マルチ液晶モニター 10.1インチ HDMI・VGA・RCA入力」などというものが8000円くらいで販売されているのを見つけ,これは使えそうだと飛びつきました。一応ちゃんと写り,CCDカメラが生き返り仕事に使えそうだとの確信を得ました。
ただ,このモニタ,BEEP音が桁外れに大きく下品で昼間の室内でも操作するのをためらうほどです。音を解除する方法がなく,カメラの選択や輝度の調整をするたびに馬鹿でかい音が鳴り響き精神衛生上よろしくありません。そこでエキスパートエンジニアさんにお願いしてBBEP音を解除してもらいました。内部スピーカーから鳴っているなら断線してもらい,専用ブザーが鳴っているなら外してもらうという方針でお願いしたところ,基板にブザーが取り付けてあることがわかり,外してもらいました。
これで操作しても無音,しかし内部スピーカーは生きたままのRCA接続モニタとなりました。高感度CCDを接続して,マイクロニッコールをつけて,R64フィルタをつけてM42,M41に向けたところ,両者ともに確認できました。安かろう悪かろうの投げ売り品のような品物ではありますが,手を入れて,仕事機材として活用できるのは有り難いことです。エキスパートエンジニアさんにも毎度のことながら感謝なのです。画像は内部基板のようす。端っこにブザーがついているのがわかります。扇風機などにも似たものが入っているのを見かけたことがありますが,コイツがピッピとうるさいんですよね…(画像/MWS)。
2018年1月1日
個人事業者といくのは泳いでいないと生きていけないマグロやサメのようなもので,労基法は適用されませんし,休日などという結構なものもありません。忙しければひたすら作業作業の日々が続くのです。親戚筋に自転車屋さんがおりますが,やはり年中無休です。しかし雨の日はシャッターを下ろしています。うまい!と心から感心します。残念なことに,プレパラート屋さんには雨も風も関係ありません…。
ということで,秋の学会以来休みらしい日がなく走り続けてきて,年末も大晦日の夜までぎりぎり作業を続けていて,新年になってしまいます。。実質的には平日の延長ですが,それでも新年というのは目出度いものらしく,各方面への挨拶等,さらに仕事が増えるのです…。
しかし今年は犬です。わんこ系人間である筆者としては,可愛いわんこを見る機会が増えるだろうと思うと大変よろしいのです。ホントは時間があれば,つくばわんわんランドのわんわんパーク・ふれあい広場で一日中わんこを転がしていたいくらいなのです。。
しかしそれも叶わぬ現在のじょうきょう。これが人生というやつです。仕方なく中年オヤジは,暖房もつけない冷え切った部屋で,画像のようなわんこ膝掛けを使いながら,新年もこつこつと仕事を続けるのです。皆様どうぞことしもよろしくお願い申し上げます(画像/MWS)。
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