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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します
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2020年10月31日
【お願い】
10月31日の朝日小学生新聞では珪藻アートの特集記事が新聞の見開き一面全部を埋め尽くします。公式のアナウンスも出ました。
SNSをお使いのみなさま, こちら の情報を可能な限り広めていただきたくよろしくお願いいたします。
どんなに重要な記事でも,素晴らしい企画でも,それが人々に知られなければ存在していないことと同じです。そうして貴重な情報が伝わらずに紙くずとして捨てられるのは損失以外のなにものでもありません。子どもたちに美しい世界を紹介しよう,珪藻の世界を知って欲しいと願う皆様,ぜひ情報拡散にご協力下さい。
そしてもし可能なものであれば,本ページ( こちら )も拡散いただけると状況がより理解されやすく,有り難いです。よろしくお願いいたします。
一人でも多くの小学生,あるいは大人の方々に,筆者と記者さんとデザイナーさんで8月から取り組んできたこの記事を見て頂き,そしてポスターとして飾って欲しいです。
繰り返しになりますが,朝日小学生新聞は一部単位での購入が可能です。朝日新聞の販売店に行き,必要部数を告げて支払いするだけの簡単なものです。駅の売店で新聞を買うようなものです。近くの朝日新聞販売店にお電話しても応えてもらえますし,フリーコール0120-415843に電話しても入手できるようです。
ぜひ,本ページの皆様も,この特集記事をごらん下さい。入手できなかった方は図書館で見られる可能性があります。また,小学校では購読しているところが多いです。司書さんや教員の方は,ぜひこの記事を子どもたちに紹介してください。よろしくお願いいたします。
今回の紙面は本当に本当に貴重なものです。こんな企画を発想できること自体,奇跡のようなことです。どうかお見逃しのないように…(画像/朝日小学生新聞・Twitter)。
2020年10月30日
【お知らせ】
10月31日の朝日小学生新聞では珪藻アートの特集記事が掲載されます。新聞の見開き一面全部が珪藻アートに関する記事となる斬新な企画です。新聞紙面の見開き全部で珪藻の記事というのは聞いたことがなく,おそらく世界初のものとなると思います。
この見開き全面は,そのままポスターとして飾れるようにレイアウトされていますので,珪藻アートのポスターを安価に購入できるチャンスでもあります。みなさま,ぜひこの機会に朝日小学生新聞をお買い求め下さい。
購入方法は こちら を参考にしてください。新聞販売店に出向いて一部単位で買うことができます。
今回の紙面は本当に貴重なものとなりますので,ぜひ二部三部,予備をお手元に置かれるとよろしいかと思います。どうかお見逃しのないように…(画像/MWS)。
2020年10月29日
【お知らせ】
10月29日の読売新聞夕刊で珪藻アートの記事が掲載予定です。科学欄,snap shotというコーナーで,画像付きの記事となる見込みです。
読売新聞夕刊は主に愛知県以東で発行されているとのことで,愛知県以西では入手できないところもあるかもしれません。
珪藻が良いものとして全国紙に掲載される機会は滅多にありませんので,ぜひみなさまお見逃しなく(画像/MWS)。
2020年10月28日
26日に掲載した月面はモノクロでも撮影していました。月面はそれほどカラフルでなく,ほとんどグレーの物体と見なせるので,デジタルカメラの素子のRGBに均等に光が入ります。ので,モノクロモードで表現すると解像感がよくなった感じに見えてよろしいです。シンチレーションでぼやけた分は縮小とシャープで処理して,しゃっきりするようにしてみました。屈折経緯台でこんなにお手軽に月面が写せるとはいい時代になったものです(画像/MWS)。
2020年10月27日
さて風呂から出るかとタオルで顔を拭いているとタオルに毛がついている。おっとこれは眉毛だ。かなりいい感じの眉毛なので保存候補。ということでお風呂中にもかかわらず眉毛を外して洗面台の上にそっと置いて,風呂から出てから専用容器に保管しました。この画像のような,剛毛でありながら先がすっと細くなっている毛は「コシ」があるので珪藻を扱うのに都合がよいのです。歯ブラシの毛もむかしから使われてきましたが,あれは先が細いものだとコシが足りなくてふにゃふにゃです。かといって太いものを選ぶと太すぎて小さな繊細な珪藻は扱うことができません。いろいろ試しても結局のところ,筆者の眉毛とまつげの選別品が最も良好な感じです。
眉毛やまつげに限らず,動物の毛は脂質を含んでいるので脱脂の必要があります。良好な毛はけっこう丈夫で溶剤でごしごし拭いても大丈夫です。そして耐久性もあり1本の毛が数年は使えます。たいてい,ダメになるときは何かに挟むか孔に突っ込んで抜けなくなるかして,毛先が折れてしまうことによるものです。手持ちでも長いものは10年ちかく使っているものがあります(画像/MWS)。
2020年10月26日
月は一日経過しただけで姿を変えて位置も変えます。きょうの月はきのうの約24時間後の撮影ですがずいぶん景色が異なります。この光の当たり具合のときにだけはっきりと見える直線壁も画像二枚目中央左側写っています。全体の大きな画像は こちら です。
ずいぶん大きく月が写っているように思えますが,直線壁の長さは110kmくらいあるとされ,小さなつぶつぶのクレーターでも数kmのサイズになってしまいます。見ているもののサイズはずいぶんビッグです。
対物レンズ Kasai NERIUS127EDT,鏡筒 BORG125アクロ,Nikon1J2。リモコン使用。J5はリモコンが使えないので振動によるぶれがひどく撮影に難儀しますがJ2はリモコンがあるのでらくらく撮影できてよろしいです。でも画質はJ5の方が上なんだよなー(画像/MWS)。
* 記事は書いていたのにアップし忘れました。すみません。
2020年10月25日
上限の月。24日夕方撮影。対物レンズ Kasai NERIUS127EDT,鏡筒 BORG125アクロ,Nikon1J5。シンチレーションがひどく細部はあまり写らない。少し大きな画像は こちら にありますのでごらん下さい(画像/MWS)。
2020年10月24日(2)
10月24日の毎日小学生新聞では珪藻アートの特集ページが掲載されています。多くの子どもたちに顕微鏡下の世界をご案内できることは筆者にとっては有り難いことです。これで国内の子どもたちは,世界平均よりもずっと早い時期から,珪藻や珪藻アートを知ることができます。ちょっとした新聞記事ですがその意味は大きいのです。皆様もぜひ記念に?ごらんになってみてください(画像/MWS)。
2020年10月24日
珪藻を暗視野で撮影すると薄い殻の珪藻と分厚い殻の珪藻では輝度が違いすぎて同時に表現することが難しくなります。薄い殻の珪藻が見えるようにすると分厚い殻の珪藻は白飛びしてしまうし,分厚い殻の珪藻に露出を合わせれば薄い殻の珪藻はコントラストを生じなくなってしまいます。ガンマ補正で救済できますがそれでも表現には限界があります。
一つの対応策はHDR合成機能のついたカメラを使うことです。最近のスマホにはほとんどHDRが搭載されているので何も考えずに珪藻の暗視野をコリメート法で撮影するだけで広いダイナミックレンジの絵ができあがります。粒状性や解像感はさすがにデジタルカメラよりも劣ることが多いですが,露出に関しては優秀なのです。
筆者の手持ちでHDR合成ができるカメラはNikon1J5のみです。しかしこのカメラはボディだけではHDRが使えません。FT-1を介しても使えません。純正レンズをつけたときだけHDR機能が働くようになっています。不便ですね…。
きょうの画像はNikon1J5に1Nikkor32mmF1.2をつけて顕微鏡(バイオフォト)にCFW10x接眼レンズを介してコリメート法で撮影したもの。HDR合成にしてあります。さらにガンマ補正と彩度調整をしています。輝度の低い珪藻も高い珪藻も一応は同時に表現できています。
Nikon1J5でのHDR合成はカメラレンズの収差が上乗せされるのでどうしても画質が低くなります。CF対物レンズの直焦点画像と比較するとどうしても劣化が感じられ,web掲載程度なら問題ありませんが印刷用原稿には使いたくない感じです。うまくいかないものです(画像/MWS)。
2020年10月23日
22日は新聞社の取材で珪藻アートの午後となりました。リモート取材でのお申し込みだったのですが,珪藻アートのなんたるかがリモートで伝えられるはずはなく,もしリモートでやったら「本物をみたことのない人が記事を書く」ことになりかねず,とてもまずいと思いました。そこで筆者には珍しく,リアルでの取材をお願いして当室まで来てもらいました。
記者さん曰く,このご時世なのでリアルで取材を申し込んでもほとんど断られてしまう,とのこと。それでリモートでの打診でお願いするしか方策がない,といったことでした。そして,リアルで受けていただけるならそんなに有り難いことはない,とのこと。記者さんも大変ですね。こちらとしても,珪藻アートのなんたるかはリアルでしか伝えられないので,お越し頂いて有り難かったのでした。
そして当室の標準案内コースにしたがって,室内の説明や珪藻のサイズ感,いじり方,最高級標本の完璧な見えなどをご体験いただき,記者さんからのご質問にも講演形式でお応えして,あっという間の三時間半が経過したのでした。そこで伝えた情報をリモートで伝えるなら,何時間あっても足りないでしょう。
『珪藻美術館(福音館書店)』を暗記するかのようによく読んでからお越し頂いた感じで,ご専門も自然科学系とのこともあって,話がじつにスムーズに伝わる感じで,筆者としてもとても楽しい時間を過ごすことができました。お忙しい中に当室までお越し頂いた記者さんには心より御礼申し上げたい気分です(画像/MWS)。
2020年10月22日
顕微鏡関連のブログは相変わらず少ないままの世の中が続いていますが,新たなブログが誕生したとの報告をもらいました。タイトルは「まんま顕微鏡のある生活」です。ブログは こちら です。まだオープン間もないブログですが,管理人さんは珪藻の観察歴も長いので今後が楽しみです。ブログは訪問客があってなんぼのものですので,ぜひ本ページの読者の方々ものぞいてみて下さい(画像/MWS)。
2020年10月21日
料理にはあら熱を取る,という工程がしばしばあります。茹でた枝豆を冷ますとか,酢飯を作るときに団扇で扇ぐとか,ブロッコリーに風を通すとかといったことです。この用途に大変便利なのが100円ショップで売っている電池式扇風機。これを調味料などと同じ場所に置いておけば,すぐに手にとってブーンを風を送ってあら熱がとれます。水で冷やすと水っぽくなってよくない野菜類などは電子レンジ加熱+100円扇風機の組み合わせで便利においしく調理できます。誰でもやってそうなことですが,でもキッチンで見かけることのないアイテム。料理好きな方は手にするのもよいかもしれません(画像/MWS)。
2020年10月20日
きのう本ページを更新してからパソコンいじりをして,さて寝ようかと思い外をみてみるとオリオン座が南中していた。都心の空に星が見えることはそう多くないので,2,3時間前に撮影したばかりだけれどもまたカメラを空に向けました。
画像1枚目はオリオン大星雲M42付近。画像2枚目はシリウスからM41にかけて。画像3枚目はどの辺りかお分かりでしょうか? 天文屋さんならまず一目でわかる星の配列があります。誰もがあこがれて撮りたくなるバラ星雲付近です。
それにしても子どもの頃に覚えた星の位置関係って忘れないものですね。この日は肉眼でカシオペア座もわからない光害状況でしたが,カメラでカシオペア座を探し出したあとは,ペルセウス座の二重星団やアンドロメダ大星雲なども見えないのに簡単に導入できました。バラ星雲はもっと簡単です。オリオン座は見えるので,そこからこいぬ座のプロキオンまで直線をひき,その中点辺りから少し下がったところを探せばみつかります。M41もシリウスが目安になるのでらくに見つかります(画像/MWS)。
2020年10月19日
17日は望遠鏡で星でも見ようかと計画していたのですが一日中の雨。この程度のことはまぁ筆者の人生的にはふつうのことで運が悪いうちには入りません。さて翌日になってみれば夕方から雲もなくなり夜には快晴の条件。月もなく暗夜だし,どこか空の暗いところで望遠鏡を振り回したら最高なのになぁという感じでした。
そこで夕飯後の夜のうんどうから帰ってきて,デジタル観望をすることにしました。都心の空は明るく,二等星もほぼ見えないひどさです。…と書いても,地方の自然豊かなところにお住まいの方々にはイメージがわかないかもしれませんが,北斗七星やカシオペア座のWが見えないくらい,といえばわかってもらえるでしょうか。。
そんなひどい空でも,カメラのセンサーには微弱な光度差を見分ける能力があるので,見たいところを撮影して,あとからパソコンモニタで観望しよう,というやり方があるのです。きょうの画像はその一例。火星を写しつつ空の明るさを表現した一枚。秋の風物詩すばる。牡牛座付近。カシオペア座のW。これは探すのに手間取った。アンドロメダ座の大星雲M31,ペルセウス座の二重星団。この星々は,もし光害のない暗い空で見たならば,その明滅する光が脳に焼き付いていつでも思い出せる,そんな光なのです。
本ページの読者の皆様もデジタルカメラをお持ちでしょう。三脚にのせて,空に向けてシャッターを開けてみて,星が写る条件を探ってみましょう。ちょっとくらい星が流れてもいいではないですか。何光年,何十光年,何百万光年かけて地球まで届いた光が貴方のカメラのセンサーに,確かにとらえられたのですから(画像/MWS)。
2020年10月18日
このところ塩鮭を焼いて食べたためしがない。ほとんどは煮る素材になっています。筆者の料理は「味付け」ということをほとんどやらず,素材の味を混ぜておしまい,といったものが多いので,塩鮭は便利なのです。
きょうの画像は塩鮭を使ったパスタ。塩鮭は骨から外して一口大に切っておきます。まず,外した骨をチンして火を通して,そこに残っている身を食べてみます。これで塩気を判定。「甘塩」などと書いてあっても信用してはいけません。食べて判定するのです。
その塩気に合うように,タマネギときのこを用意します。タマネギはバターで炒め,しんなりしたら上に塩鮭,きのこをのせてフタをして蒸し焼きにします。焦げ付くことがあるので日本酒をカップ半分ほど加えるとよいでしょう。あとはお好みで黒コショウを少々。火が通ったら塩鮭をへらでつぶしておきます。これを一晩寝かせます。これでパスタソース?具?の完成。
あとはゆであがったパスタと,この塩鮭ソースをさっと和えてエキストラバージンオリーブオイルで仕上げます。するときょうの画像のようなものができます。クリームや豆乳などを加えて鮭クリーム風にしてもよろしいでしょう。
この料理は難しい「味付け」が必要なく,ただ塩味の濃度調整だけ気を遣えばよいので簡単に作れます。甘みが欲しければタマネギを多くして長めにソテーするとか,ちょっとした工夫で味のチューニングができます。パスタはふつう塩水で茹でますが,ソースの塩加減によっては真水で茹でた方がよいこともあります。その辺りも工夫のしどころでしょう。
使うタマネギやきのこの量にもよりますが,だいたい,塩鮭一切れでパスタ100gがちょうど釣り合う分量の感じです。なお,塩鮭は,ふつうの鮭(シロザケ)か紅鮭を推奨します。銀鮭は養殖ですので脂が強すぎて風味が悪くなります。それほど脂のないシロザケか紅鮭にバターとオリーブオイルで深みを出す感じが上品でよろしいです(画像/MWS)。
2020年10月17日
きょうも筆者の血を吸いに来た奴がいたので捕獲して『蚊の墓場』送りになった。蚊は叩きつぶすほか,手づかみや輪ゴムで撃ち落とすなどして捕獲する。数を集めるのは大変なので蚊のサンプルは貴重品でもあります(画像/MWS)。
2020年10月16日
ニコン スモールワールド顕微鏡写真コンテストの結果が発表されています(こちら)。相変わらずケバケバしい下品な絵のオンパレードですが,それでも,今年は例年に比べてすこしはまともな選考がなされた感じも漂っています。むすんだ毛髪,トックリヤドリミミズの明視野像,ナイロンストッキングの偏光画像など,身近な素材をありきたりの機材で撮影したものもちゃんと選ばれていて,そこは評価に値すると思います。
ところで,きょうは少し言い訳を書かなくてはなりません。このコンテストのImages of Distinctionのところで筆者の名前を見ることができます。筆者は本ページで,すでに10年以上前に,ニコンの顕微鏡写真コンテストには応募する気はない,審査委員としてなら参加してもよいかも,ということを表明しています。にもかかわらず,応募者に筆者の名前が出ているのはおかしいわけです。
じつはこの画像の投稿者は筆者ではなくて,シュワルツさんという米国在住の方です。一度お会いして話をしたこともあるので知人でもあります。この方が,日本国内のJシリーズユーザーさん経由で,筆者製作のスライドを入手したのでした。それをDICで撮影して深度合成してコンテストに応募したようなのです。そして親切にも,標本製作者として筆者の名前も投稿者に加えて下さったのです。
筆者は投稿の事実そのものを知らなかったので,コンテストの結果をみてはじめて自分の名前を発見したのでした。そしてシュワルツさんの優しい心遣いに恐縮したのでした。画像は一目見れば自分がつくった標本ということはわかるので,あ,誰かが応募したなというのはすぐにわかりました。が,そこに自分の名前があるとは思いませんでした。
筆者がコンテストに応募しないのは,「どうだすごいだろう」という自己顕示欲がまったくないのです。有名にはなりたくありません。人物にフォーカスをあてられても迷惑なだけです。でももし,匿名で応募していいのなら,出すかもしれません。対象そのものの面白さはぜひ見て欲しいからです。珪藻を並べていると,「珪藻を並べる人物」ばかり採り上げられて「珪藻そのもの」に関心を寄せる人が少ないです。本当に困ったことだと思っています。
さてきょうの画像はニコン スモールワールド的なものをのせることにしました。先ほど,食後にささっと20分くらいで撮影したものです。大きな画像は こちら に置きましたのでぜひごらん下さい。縮小以外の画像処理は一切行っていません。撮って出しの一枚撮りです。画像処理でゴテゴテ,彩度あげすぎのけばいコンテストの絵と比べれば,これこそ見た目の感じになっています。こっちの方がスモールワールドです。コンテストの絵は,スモールワールドレタッチコンテストですね…。
だから,コンテストなどに出さずに,自分のwebサイトに出し続けた方がよろしいですね(画像/MWS)。
2020年10月15日
筆者の血を吸うなどという行為に及んだ蚊は許さない。もれなく処刑される。乾燥処理を経てパーツごとに切断され,むごたらしい最期をとげることになる。ときには羽を外され,ときには頭部をギロチンにされる。またあるときは口器を分解されて数本のパーツにばらされる…のです(画像/MWS)。
2020年10月14日
カラフルな珪藻アートを見た人からは,「これは色をつけているんですか?」という質問が高率で発せられます。無理もありません。それほど鮮明に色がついているのです。ステンドグラスのように色つきのガラスを並べたと思う方が自然なのかもしれません。
もちろん,珪藻はほぼ純粋なガラス質の殻を持っていて色素成分などは入っていません。ほんの少量のタンパク質を含むくらいです。だから無色透明なのですが,あまりにも細かな構造があるので,そこをくぐり抜ける光が回折してしまうのです。回折格子のようなものです。
回折格子というと難しいですが,音楽CDの記録面に照明をあてると虹色に分光するのは誰でも見たことがあるでしょう。あんな感じだと思っていただければ,いい線行っているのではと思います。個々の珪藻の詳細な発色メカニズムは筆者にもわかりません。珪藻によっては,回折では説明できない色が出るものもあります。
きょうの画像は同じ標本で照明角度を変えてみた例。どれも暗視野照明ですが,照明角度や入射方向を変えるだけでさまざまな色に変化することがわかります(画像/MWS)。
* 14日23時追記。アップし忘れたようです。すみません。このところ深夜にメールを書いていることが多く当日の記事を書くと安心してしまいアップしないでパソコンを切ってしまうことがしばしば発生しています。。
2020年10月13日
職人というのは大長考をすることもあるのですが先に手が動く人種でもあります。えーいやってみよう。とりあえずやってみて細かいことはあとから考えよう。そんな感じです。けっこう大雑把なものですが,しかしこれ,とても良い方法なんです。何もせずに延々と考えるのと何でもいいから手をつけてみて考えるのでは頭の働きが違うのです。手を動かして失敗を重ねてみると次々とやるべき課題が出てきて解決の方向に向かっていきます。
ということで先端の平面ガラスの切り出し。20回ほど失敗して無事に1枚作ることができました。液浸対物レンズの窓にあたる部分なので直径の誤差があると接着がまともにいかないので何枚も切り出してサイズ調整をしました。誤差は0.05mm以下にしないと厳しいのですがガラスをこの精度で円形にカットするのは簡単ではないのです。
さて,ここまでできればあとはいつでも修理できます。ので,このあとは気が向いたときにやることとします。対物レンズとガラスをセットにして保管しておきます。何しろこのレンズは分解がかなり面倒なので。
ガラスを貼り付けるだけですから修理は簡単そうに思えますが,このレンズ,窓が除去されたことによって内部にオイルが回っており,分解してオイルを除去しないとまともな状態にはなりません。またガラスを貼り付ける,といっても,この部分は本来パテを使うのですけれどもレンズ用のパテなど持ち合わせがありません。他の接着剤を使うにしても,耐水性,耐油性,耐グリセリン性をもつものを使う必要があります。
ゴム系は防水的にも魅力ですが接着作業がとても難しいですし,バルサム系もよいのですがエイジングに時間がかかります。アクリル系やエポキシ系は耐水性に不安があるものもあり,また再度の分解ができなくなる恐れもあります。さーてどうやって接着するべきか,また大長考の場面が出現したのです(画像/MWS)。
2020年10月12日
顕微鏡対物レンズ増殖の法則により,またこんなものがタダで入荷…。タダほど恐ろしいものはないのですが,このレンズもそのようで何かがおかしい。よく見ると第一面がない。ご丁寧に防水のパテまでほとんど取り除いてある。所有者によれば海外中古市場からの入荷とのこと。特に問題のない品として売られていて,入札でも値が上がらず安かったとのこと。
この第一面は平行平面ガラスなのですが,このガラスを切り出してはめ込むのは至難の業といってよろしいかと。硝子材,ガラス厚さに関するデータもありません。石英のような気もするんですが。さて,これ,どうするべえとレンズを目の前にすると脳みそがるぐるぐと自動回転し,いくらでも時間が過ぎ去ります。将棋の世界で一手打つのに何時間も考えることを大長考といいますが,筆者の場合は1枚のガラスを切り出して貼り付けて修理するにはどうしたらいいか,大長考してしまったりするのです…(画像/MWS)。
2020年10月11日
10日は都内で顕微鏡観察会でした。筆者が整備したダイアフォト微分干渉で淡水微生物の生サンプル検鏡・4Kモニタ投影の贅沢な観察会となりました。最初に筆者が放散虫スライドを用いて顕微鏡の調整を行い,次にチャンバー閉じ込め試料を用いての観察。1,2滴程度の閉じ込められた空間ににもかかわらず,多数の珪藻が生きたまま小さな生態系になっている姿をごらんいただきました。
次に鮮度の高いプランクトンネット採集サンプルの検鏡タイム。大量のミドリムシを含む希有なサンプルで,渦鞭毛藻,ミジンコなど見飽きない時間でした。微分干渉の具合も良好で,本来は使えないはずのプランアポできれいにDICがかかったのは驚きでした。倒立顕微鏡ならではの高開口数・低球面収差の像を参加者全員で楽しみました。
新型コロナ感染対策として全員不織布マスク着用,飲食物は個別持ち込みで個別に,常時換気,適切に距離をとるなどのルール下での観察会でしたが,皆さんよく事情を理解され,何の問題もなく,少しも楽しさが損なわれることもなく,愉快に過ごせました。飛沫発生がないということは標本や光学系を扱う上でもよいことです。
とても楽しいあっというまの時間でした。お世話になった先生,参加者の方々に心より御礼申し上げます(画像/MWS)。
2020年10月10日
ベーリング海の海底にいた有孔虫ふたつを透過明視野で(画像/MWS)。
2020年10月9日
福島・会津若松から新米が届いた。MWSには何の前触れもなく地方の物産が送られてくることがあるのだけれども,今回もその一例。筆者にとっては厄災続きの一年が続いていますが,こんな有り難いこともあるのです。。
これまで食べたご飯で記憶に残っているのが二つあります。一つは栗駒山の「いこいの村栗駒」で食べたご飯。信じられないほどおいしいご飯でした。そしてもう一つは会津若松の新米を会津若松で食べたときの記憶。この二つが忘れられない味です。
その会津若松の新米は農家から直接購入しているとのことで,今回それを直送いただいたのですから,これはもう天の恵み以外の何者でもありません。早速まじめに炊いて夕飯としました。そして「記憶の味」の再現にほぼ成功しました…。
ふつうは会津のお米を東京で炊いてもおいしくないのです。というのも,「水」が違うからです。この20年で東京都区部の水道水質はずいぶん改善しましたが,それでも,「まずくはなくなった」という程度で,地方の良質な水源の水道水とはまったく比較になりません。その低レベルな水でお米を研いで炊くと味が落ちてしまうのです。
十数年前にも会津若松の新米を送って頂いたことがあったのですが,そのときに東京の水道水で研ぎ,浄水器を通した水で炊いたのですが論外な味になりました。浄水器を通した水で研いで浄水器の水で炊いても今ひとつな味でした。会津の水で炊いたものとはどうみてもランクが落ちることは明らかでした。
そんな経験を経て,筆者流の新米のおいしい炊き方は次のようになったのでした。
水は市販のペットボトルの天然水を準備。オススメの銘柄は「富士山」「谷川山系」です。ほかのものでも良いです。たぶん。お釜にお米を計量したらそこに天然水を注ぎ手早くかき混ぜます。米が指先にざらざらと触れる程度の力具合でシャカシャカ混ぜたらすぐに水を捨てます。混ぜ時間10秒程度でしょうか。とにかく手早く行います。
もう一度水を注ぎ同じことを繰り返します。この時点でもまだ水が相当に濁るので,あと2回くらい同じことを繰り返します。そうすると水が少し濁る程度になるので,そこでとぎはおしまいです。「米をとぐ」といいますが,現在は精米技術が優れているので「米をすすぐ」程度で十分です。もし力を入れてごしごしといだら米の風味が失われてヤマト糊みたいなへんな炊きあがりになってしまいます。
水を切った米に天然水を必要量だけ注ぎます。30分以上,1〜2時間程度吸水させてから炊きます。炊くのは炊飯器でもアルミ鍋でも土鍋でもよいですが,匂いの残っていない鍋を使うこと。できれば完全に無臭であることが望ましく,鍋でも釜でもよく洗って風乾しておきます。使わないときでもフタをせずに置いておけば匂いは抜けやすいです。
炊きあがったら,すぐに混ぜてはいけません。野崎さんが こちら で言うように,お米は炊きあがった表層がいちばんおいしいのです。新米の,さらにいちばんおいしいところをいただきましょう。
いろいろ書いてきましたが,コツは,良質な天然水を使うこと。ごく軽く手早く研ぐこと。匂いの移らない釜を使うこと,最初は表層を食べること,こんなくらいです。新米の時期なので,まだこのような工夫をしたことのない方は,真似してみてください。
水道水でそのまま炊いてもおいしい地方もあります。東京都内なら昭島市がダントツでしょう。小作浄水場管内の八王子市や西側方面もよいでしょう。東北地方の山沿いはよいところが多いですし,富士山の裾野もよい水道水が供給されています。そういったところでは,市販の天然水で炊いても違いはわからないかもしれません。
他方,河川水水源で下流域から採水している大都市,湖沼を水源としている都市など(東京,千葉,茨城,神奈川の一部,京都,大阪など)では水道水と市販の天然水では依然として大きな違いがあります。
また,水道水はいつも同じ水質の水が流れているわけではありません。降雨後などは原水となる河川水が汚濁するために塩素添加量が増えることもあります。昨日はよくても今日はダメだったということがあるので注意が必要です(画像/MWS)。
2020年10月8日
7日は都内で小さな私的研修会の講師を務めました。心臓外科の領域ではライブ手術というのがあって,術者が実際に手技を行っているところをライブで聴講者が見ることができます。インタラクティブに,手技の意味を解説したり,予期せぬ事象への適切な対処法を学んだりすることもできます。それと似たような感じで,倒立顕微鏡の分解メンテナンスのライブ実演,といった内容の仕事でした。
材料はニコン・ダイアフォト,位相差・微分干渉フルセットです。状態は聞いていません。午後に現場入りして,まずは外部清掃ののちに診察。ものすごいカビです。全機カビまみれです。これは壮絶な戦いになりそうです。結局,作業開始から約7時間,1回のトイレと2回お茶を口に含んだ以外は全くノンストップでの連続作業となりました。ひじょうにたくさんの作業をこなしましたが,光学面について主なところを記せば次のようなところです。
・光路分割プリズム,カビ取り,仕上拭き
・導光ミラー,カビ取り,仕上拭き
・photoポートリレーレンズ清拭(両面)
・レボルバ側リレーレンズ清拭(両面)
・中間リレー系清拭(第1面,2面,3面,6面,7,8,9,10面)
・マグニファイヤ清拭(1面,4面)
・ベルトラン部清拭(1面,4面)
・双眼ユニットプリズム清拭→ひどすぎて断念
・双眼ユニット交換
・CFW10x清拭
・レボルバ内部レンズ清拭,
・対物レンズ清拭(NCF4x,CF Plan10x, CF Plan20x, CF PlanApo 20x, CF Plan 40x)
・アナライザカビ取り,仕上拭き
・DICスライダカビ取り,清拭
・コンデンサレンズ清拭(両面)
・DICプリズムカビ取り(両面)10x,20x,40x
・DICプリズム仕上拭き
・λ板カビ取り,仕上拭き
・ポラライザカビ取り,仕上拭き
・フィールドレンズカビ取り,清拭
・照明系ミラー清拭
・照明系レンズ清拭
・コレクタレンズ清拭
こう書くと簡単そうですが,この顕微鏡を知る人であれば,これはリングネジを回してレンズを取り出す作業を伴う難易度の高いものであることが理解できると思います。特に光路分割プリズムを出た後の,像をリレーする光学系は最高度の拭き技術が求められます。像面とほぼ共役の面があってレンズ上のいかなるゴミもそのまま見えてしまうところがあるのです。そういった細かいことも知っていることがメンテナンスを確実に行う上で重要です。
作業後は組み上げてテスト検鏡。最初は10xのDICで放散虫を検鏡。まず最初に偏光方向を精密に合わせて消光最大の位置にセット。次にDICモードにしてDICスライダを回し,DICのかかり方の均一性をチェックします。今回はほぼ一発でOK。それぞれの対物での見え方を珪藻テストプレートで確認して作業は終了。
7時間40分ほどの仕事を終えて帰路につきました。10時間ほど何も食べないで460mlのお茶を飲んだだけ,といった感じでしたが,こういった作業に没頭していると空腹などまったく気になりません。これから拭かなければならないレンズが目の前に山と積まれている状況でもまったくイヤな気はしません。淡々と一個一個,確実なステップを踏んで生き返らせていく,という感じでしょうか。
自分で作業していてもふしぎです。あっというまに一日が過ぎ去ります。そして自宅にたどり着くとお腹が空いてきて,バクバクバク〜と遅い夕飯をパクつくことになるのですー(画像/MWS)。
2020年10月7日
6日は火星が大接近。天気は曇りだろうと思って撮影の予定はなかったのですが22:30頃に外を見ると晴れている。あれれ。急遽5インチトリプレットアポを組むことにする。といっても普段は眼視専用なので火星のような小さな物体を撮影するセッティングにはなっていない。はて,どうするか。
さすがに127mm F7.5の直焦点ではツライので,2インチバローを組み込み,さらに延長筒をつけてCMOSに投影することに。鏡筒を組み立てて三脚を立ててバルコニーに出して,メモリーカードの内容を吸い出して容量確保。さて撮影するかと空を見れば雲が迫っている…。なんてことだ。
という状況でたった数分だけ撮影できたのがきょうの画像。経緯台での撮影。追尾していないので少しぶれています。が,なんとか極冠が写っていて,大接近ならではの雰囲気も少しあるので,きょうはこれでよしとしませう(画像/MWS)。
2020年10月6日
顕微鏡光源などに使うニップル球(タングステン電球)やLED豆電球は,そのままでは色温度が低すぎたり高すぎたり演色性が低かったりするので,適当なフィルターで補正したいところですがあまりに小さいので組み込みにするうまい方法が見つかりませんでした。しかし今年の春頃に,なんとなくひらめくものがあって,電球そのものを演色性や色温度別に多数作ればよいということに気づいて,それで作ってみたのがきょうの画像。
LED豆電球やニップル球にフィルターをつけてテープでとめただけの単純なものですが,これは一つの正解の気がしました。作るのは簡単ですしフィルターが劣化したら交換するのも容易です。フィルターを重ねることもできるので演色性の細かな調整も可能です。
画像はニップル球にLBDフィルタの組み合わせ(Ra=100)と,白LED豆電球に複数のフィルター(Ra=90程度),白LEDに単色グリーンフィルタをつけたもの。ぞれぞれ,高演色対応,高輝度対応,モノクロ対応の光源となります。小学生の工作レベルの思いつきですが実用上は悪くありません(画像/MWS)。
2020年10月5日
アジやサバやサンマの南蛮漬けが食べたければ,スーパーで揚げた魚を買ってきて,南蛮漬けを作ると簡単です。これは学生の頃に思いつきました。近所のスーパーでサバの竜田揚げが売っていたので,それをグリルでもう一度あぶって脂を落として,市販のダシつゆ,穀物酢,七味唐辛子に漬け込んだらそれっぽい味になりました。以後,タマネギやニンジンの千切りも加えて今日に至ります。
しかし問題なのは,揚げた魚というのはそれほどどこでも売っているものでもないということ。何でもあるはずの東京都心でも小アジの唐揚げは滅多にみません。サンマはたまにみかける程度。南蛮漬けそのものもたまに売っていますが,砂糖を入れすぎでとても食べる気がしません。。
…という状況の中で発案されたのがきょうの画像。厚揚げの南蛮漬けと,油揚げの南蛮漬けです。この両者はどこでも売っていますし,当室の冷蔵庫にはほぼ常備されています。
厚揚げは薄く切りじっくりグリルで焼いてこんがりさせます。これを魚の代用品にしてつけ込みます。厚揚げの代わりに油揚げでもOK。
つけ汁は,市販の濃縮ダシつゆに穀物酢を加え,水を加えて火にかけ沸騰させます。沸騰したら火を止めて,タマネギ,ニンジンの千切りを放り込みよく混ぜます。これがしんなりしてきたら油揚げ,あるいは厚揚げにかけて漬け込みます。何度かよく混ぜます。お好みで一味あるいは七味唐辛子を加え,冷蔵庫で寝かせます…といった感じ。
これが手軽にできる割には,南蛮漬けっぽい味にちゃんとなっているので,じゅうぶんおかずになります。冷蔵庫の中身とにらめっこして手持ちの材料だけで何が作れるか毎日真剣勝負をしていると,こんなものが生まれたりするのです(画像/MWS)。
2020年10月4日
きのうの月の画像は画像処理もそこそこに掲載したので,きょうは少し追い込んだ画像を掲載。最大エントロピー法で微細構造を強調し,Gチャンネルを取り出してグレースケールにしてコントラストをあげています。ほんのすこしの違いに感じられるかもしれませんが,なまくらな絵とぴしっとした絵では,印象が異なるものです。
大きな画像は こちら に置いてあります。
ところで,月の撮影時には筆者やホワイトバランスをデーライトにしています。月は太陽光に照らされているからです。でもこれ,正しいのだろうか…。見た目にはけっこうイイ線いっている気がするのですが(画像/MWS)。
2020年10月3日
うんどう不足を解消するために夕食後に近所の上り坂を歩いていると,仕事帰りのお姉さんっぽい人がデジタルカメラを上に向けている。建物でも撮っているのかと思えば,雲間から月が出ていた。
筆者はこのところいろんな仕事が詰まっていて余裕がなく,中秋の名月を愛でる気分もなかった。OLのお姉さんの姿をみて大いに反省したのでした。帰宅後パソコンに向かい,そのあとに空を見れば先ほどまでの雲はどこかに行っている。ので,久々に月を撮影(2020.10.02 23:43)。
大きな画像は こちら に置いてあります。BORG100EDカーボン,FT1,Nikon1J5,ISO160,オート,露出-0.7EV,セルフタイマー10s,固定三脚での撮影です。月は明るいのでこの程度の撮影であれば赤道儀で追尾しなくても写せます(画像/MWS)。
2020年10月2日
ホッケのウロコはカップに集めて水ですすぎ沈殿させて上澄みを捨てます。中性洗剤を注ぎぐるぐるとかき混ぜてから水を注ぎ,沈殿させて上澄みを捨てます。これを数回繰り返すとそこそこきれいなウロコになります。
きょうの画像はこれをスライドグラスにのせて水を数滴垂らしてカバーガラスをかけたもので撮影したもの。魚のウロコは大きなものが多く厚みもあって顕微鏡観察には不向きなこともありますが,ホッケのウロコは小さくて薄くて,顕微鏡観察には適しているように思います。それでも大きなミジンコくらいはあるので,4倍対物レンズで視野から少しはみ出すほどです。
画像1枚目は偏斜照明,2枚目は微分干渉もどきの撮影で,対物レンズは4倍です。それ以降は20倍対物レンズ使用で微分干渉法です。本来は色をつけて検鏡しませんが,きょうの画像では一つの表現としてカラーモードで撮影しました。小さな魚のウロコでも部分部分によって構造が異なることがわかります。これの詳細な意味を調べるのは魚類学者のお仕事です(画像/MWS)。
*1 筆者のお仕事はよいお魚を見極める,さばく,調理する,食べる,後片付けする,たまに顕微鏡で写真を撮る,ここまでです(笑)。ウロコや耳石の詳細はお魚屋さんにまかせます。
2020年10月1日
本ページで「市販のサクを洗ってから刺身に切る」「干物のウロコをとって水洗いしてから焼く」といった話を最初に書いたのはいつだったか覚えていませんが,5,6年以上前くらいだったと思います。「刺身のサクを洗う」方はすぐに反応をいただき,洗った方がうまい刺身は確かにある,というご意見でした。が,干物の方は特に反応もないままでした。
しかし先月,旧知の方と電話で話をしていたところ,「干物を洗うのは参考になった。たしかに魚本来の風味が感じられる」とのご意見をいただくことができました。魚種を聞きそびれましたが…。
筆者が一番最初に洗った干物は「ホッケ」だったと記憶しています。ホッケはよいものからわるいものまでピンキリで,一般市販品の平均値は中の下,といったところです。悪いものにあたってしまうとマズイし,風味が悪いし,ひどいものになると食後に胃がチリチリします。ホッケ自体は大変おいしい魚なのに,業者さんの取り扱いのせいで品質低下を招いているのです。ばからしい話です。
それである日,劣化箇所を除去すればすこしはマシになるのでは?とウロコを落として全体を歯ブラシでごしごしして,水気をしっかりとってから焼いてみたのです。するとあの魚を放置したような臭気は消え去り,ふんわりと焼き上がったまともな干物が目の前に現れたのでした。
それ以来,ホッケはもとより,赤魚,金目鯛などはウロコをていねいに落として歯ブラシ洗いしてから焼いています。アジなどでも品質の劣化を感じた場合はさっと洗ってからよく水気を拭き取ってから焼きます。料理はなんといっても風味が第一。干物の表面には過酸化脂質やウロコに付着している粘液が劣化したものなどがついていますので,これらをざっと除去するだけでも風味がよくなるのです(画像/MWS)。
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