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2020年9月30日








これはLED懐中電灯にピンホールをつけたもの。ピンホール部分はカールツァイス社の顕微分光装置に使われていた本物のピンホールで,孔径は0.25mmです。

望遠鏡対物レンズの光軸確認では点光源が必要になるわけです。理想的な点光源の一つは夜空にまたたいている恒星なのですが,光源特性がよくても,曇っていれば見せませんし,日周運動で動いていくのでじっくりと見るには赤道儀が必要です。またシンチレーションの大きさによっては点光源として役立たないこともあります。

ので,室内で作業できるようにこのようなものを作るわけです。ピンホールはLEDライトにつけてもよいですし,LEDを研磨して発光体付近に配置すればさらに良いものができます。この場合はシュリーレン法の光源に使えます。

ピンホールの大きさは小さければ小さいほどよさそうに思えますが,実際に使ってみるとそうでもなく,0.25mmが最も使いやすいです。アルミテープなどに孔をあけたものでも使えますが,きれいに丸い孔をあけるのはけっこう難しいです。ので,ツァイスのピンホールがあると大助かりなのです(画像/MWS)。








2020年9月29日




これは顕微鏡対物レンズの先端付近の画像。液浸対物ですが,ごらんのように金属が劣化して孔食が起きています。素材はステンレスなのでこの孔食は塩化物イオンと溶存酸素の存在下で放置されたものと推測されます。生体保護液で観察を行ったか海水で液浸にして放置したか…そんなところかもしれません。

これだけ劣化してしまうと研磨修復は不可能なので,清掃後に樹脂で欠陥部分を埋めてそれ以上の劣化が進まないようにするしかありません。

顕微鏡で海水サンプルを検鏡することはごくふつうのことですが,乾燥系対物レンズでも海水に触れてしまったり,わずかな飛沫が付着することはあるので,腐食の原因になります。むかしの対物レンズは先端部分に真鍮を使っていることが多いので,この場合は緑青を吹き出すような劣化になります。見つけたらすぐに拭き取って研磨しておきます。

対物レンズはとても高価なもの。劣化させないように時々は点検し,金属部分は水拭きをして,必要であれば薄めた中性洗剤で拭き,そのあと水拭きして,よく乾燥させて良い状態を保ちましょう。手脂などは溶剤で拭いても落とせますが,印刷面を劣化させるので最低限にしたほうがよいです(画像/MWS)。








2020年9月28日






むかしの有限鏡筒長時代のレンズは,特に補正環つきのものがそうですが,取り付け部分や補正環部分にローレット加工がしてあって,とても確実な取り扱いができる優れものでした。が,一つ問題があって,このローレット加工をいじっていると,だんだん皮脂などで汚れていくのです。手垢が溜まる,というやつです。

ので,レンズの分解メンテナンスをするときは,この手垢落としが重要な項目だったりします。何人もの研究者の手垢にまみれたレンズも風格があるものですが,完璧にメンテナンスして気分一新して使いまくりたいときには,すかっと晴れた青空のようにレンズもピカピカになっていた方が興が乗るというものです。

きょうの画像は大量の手垢がおとされたローレット加工や刻印部分の絵と,同じレンズシリーズの記念撮影。

同期の仲間がそろったら思わず写真を撮るように,顕微鏡対物レンズも同窓会と記念撮影が必要なのです。かつてドイツで生産され,ドイツ,アメリカ,日本に渡って仕事をしてきたレンズが,すべて筆者のメンテナンスを受けて,ひとつに終結したのですから,これはなかなか大変なことだと思います。

よしよし,よく来た。ニッポンの中年おっさんがかつての輝きを取り戻してあげますよー,というのは言い過ぎかもしれませんが,素晴らしいレンズを開発してくれたZEISS社に敬意を表して,できるだけのことはするのです(画像/MWS)。








2020年9月27日






珪藻などの小さなものを素晴らしく鮮明に観察するには顕微鏡対物レンズを最上の状態に保つ必要があります。先端レンズは特に汚れやすく注意が必要ですし,後ろ側にも,ちりやほこりの落下が像質を劣化させるので点検メンテナンスが欠かせません。

当室はさまざまな顕微鏡を使っていますが,機材にかけるお金はそれほどないので,基本は有限鏡筒長時代の古い機材を大事に使っています。中古品を購入してメンテナンスして使うこともよくあります。

きょうは久しぶりの液浸対物レンズの分解メンテナンス。マルチイマージョンのレンズですが,第一群が腐食・劣化しており,第二群のレンズ表面も油滴で濁っています。後ろ側のレンズも曇っています。これでは使い物になりません。…ということで修復を試みています。

このレンズは分解を考慮せずに組み立てられているのでバラすのは大変です。どこから手をつけてよいのかもさっぱりわかりません。むかしこのシリーズのレンズを分解メンテナンスしたことがありますが,バラす方法を見つけるまで三ヶ月もかかりました。。

今回の修復はかなり無理筋なのでいったんはきれいにできそうですが,継続使用可能な状態まで持ち込めるかはかなり怪しいです。しかしこの名レンズをどうにか復活させたくて,悪あがきしてみるつもりです。

なおいつも申し上げていますが,対物レンズを分解すれば高い確率で破壊します。まだ見えるレンズなら我慢して使った方が賢明なことも多々あるでしょう。ので,本日の画像のような対物レンズの分解などということは,よい子はぜったいに真似してはいけません…(画像/MWS)。








2020年9月26日




なんとあの「いわいどり」が近所に存在するという重要情報がもたらされ先週に調査員が潜入。ピーコックというお店だそうです。良いものを選んでいるんですねえ。ただ,お値段は高級魚に近い設定になっています。。

さっそく当店の常法(2020年9月5日の記事)によって試食。うーん。一関市で食べる「いわいどり」とはちょっと違います。身質は脂身も少なく,フレーバーは「よいエサを食べている」感じがします。その点,そこいらへんのブロイラーよりもランクは上ですが,少しぱさつきがあって,再調査が必要かもしれません。スーパーアルプス(八王子市)で調達した「いわいどり」の方が現地に近い味でした。

鶏肉はふしぎな商品で,ブランド鶏が優れているわけでもありません。名無しの「国産鶏」がそこいらへんのブロイラーよりもずっと優れていることもあります。最近の調査では,東武ストアに置いてある産地不明の国産鶏(もも)がひじょうに優れていて,どこのものなんだろ?と思っています。

同じことは過去にも何度もあって,エネルギースーパーたじま系列に置いてある名無しの国産鶏が,九州の有名ブランドの鶏よりもはるかによいダシが出てウマかったですね。ほかにも,大手スーパーの格安唐揚げが輸入鶏を使っているのだけれども,味わいはそこいらへんのものよりまとも,という現象も起きています。

ほんと,食材というのは奥が深くて面白いです。

都心に入荷して,それなりの品質を保っていて,ブランド名がわかるもので,オススメは何かなあ。個人的な経験で語るのは偏りがあるので話半分で聞いてほしいのですが,「つくばどり」がいいかな,とも思います。

つくば方面に6年間通った経験があるのですが,同室の研究者につくばどりを使う焼き鳥屋さんを教えてもらい,確かにそこの焼き鳥屋はとってもまともでした。何人か,来客を連れていきましたが,「あれはよかった」「ほっくりしているね,つくばは鶏が名物なの?」という感想をいただきました。

まぁでも,鶏肉は取り扱いによってどうにでもなってしまうので,一般的にはブランドはあまり関係がないかもしれません。いちばん重要なのは鮮度で,流通過程での積算温度や購入後の取り扱いが鮮度を左右します。「いわいどり」など,現地で食べればびっくりの味わいです。が,東京まで来ると少し落ち,買ってから一日保管しようものならさらに味が落ちます。

まーでも,塩焼きで甘い火の通りで食べるなら品質は最重要でしょうが,濃い味の唐揚げや,甘辛味の照り焼きになってしまえば,ブランドの違いはわからなくなってしまうでしょう。味の追求をするのもよろしいし,唐揚げや照り焼きに満足するのも,それもまた人生でしょう…。筆者は素材の味を知りたいという欲求があるので,味付けのうまさよりは,最低限の味付けで食べられるうまさにこだわります(画像/MWS)。








2020年9月25日(2)






塩蔵わかめは長期保存できるのに,適切に取り扱うと風味もよろしく実に便利なものです。岩手県産のものが特に高品質で気に入っています。

さてきょうの画像は,このわかめのおいしい食べ方。パックの説明を読むとじつに謎なのです。わかめの塩を洗い流して水を切り,そのあとにたっぷりの水に漬けてから切る…。私の知っている日本語では,この方法だと水でびちゃびちゃのわかめになるはずなのだけれども,それが岩手県でのおいしい食べ方なのでしょうか…。これだけ自信満々に書かれると,書き間違いとも思えない気が…。

ちなみに当室でのわかめの取り扱いは次の通りです。まず塩蔵わかめをざっと水道水で洗い塩を落とします。次に十分量の水道水にわかめを浸します。約5分経過したら水から引き上げてS字フックにつるします。最低5分以上つるして可能な限り水を落とします。…といった感じです。コツは水に浸す時間と,つるして水抜きの時間を見極めることです(画像/MWS)。








2020年9月25日




すでに数回書きましたが,当室はいつも地方応援で,特に東北支援は日常のことです。新型コロナの関係で今年の東北旅行は(危険度はないけど地元に不快感を与えたくないので)見合わせましたが,それでもアンテナショップで東北の酒,ホヤ,ワカメ,サンマなど海産物を仕入れていたりします。

アンテナショップは銀座周辺にたくさんあるので,東北以外,たとえば山口県ショップからの入荷もあります。それがきょうの画像。冷凍シロサバフグの一夜干しが格安だったので買ったとのこと。

その話を聞いた瞬間に,それは中国産のシロサバフグじゃないの?と聞き返します。購入者は品物を眺めて,がっかり…,というのがきょうの画像です。ダマされたと悔しがっていました。。

各県のアンテナショップは地元の良いものを選別して売っているのが前提です。当室は主に東北系統のアンテナショップを巡りますが,ほかにも山梨や熊本にも寄ったりします。どこのアンテナショップでも,ちゃんと地物が置いてあるのですけれども,山口県ショップのこれはちょっとひどすぎますね。こんなひどいものははじめて見ました。

下関はふぐ(ふく)の本場だから,ふぐが売り物で,その原料はどこから仕入れてもいいだろ,という姿勢なら,それは単なる商社であって儲け第一主義です。歴史も文化も無視した破壊行動にほかなりません。それでも,下関ブランドを傷つけない超高品質なら「さすが」と思うところですが,この購入品は,8/7と書かれている加工日からは想像もできない劣化した味で,おい何ヶ月冷凍庫に入れたんだ!というひどい味です。下関のふく文化を冒涜している販売品です。

そのまま焼いたらこの世の物とも思えない味でしたので,次は流水解凍して何度も水洗いして絞り,キッチンペーパーで水を吸い取り,弱火でじっくり焼いて身を縮ませて水を抜き,通常は表,裏と焼くだけですが,さらにひっくり返して焼きました。

これで何とか筆者が嚥下できるものにはなりました。。。それでも遠くに「これは食べてはダメだ」シグナルを感じます。。シロサバフグというのは無毒で毒の心配もなく,安価な割にはとってもおいしい魚なのですが,こんなにマズイ最悪なシロサバフグははじめて食べました。

あまりにもひどかったので,製造元の大日本パール工業を調べてみれば,なんだ,この会社は。。。という状態なのでした。たとえば( こちら )。経済性に優れた業務用素材を扱うところなのでした。。筆者個人の感覚からは,これは少なくとも,山口県のアンテナショップに出向いてふるさとの味をもとめに来た人への背信行為に近いような気がします。。それとも,山口県民は,ふだんから,大日本パール工業のような劣化した製品になれていて,これがふるさとの味なのでしょうか。

この会社を検索してみると面白いです。まともな検索結果がほとんど出てきません。山口県のアンテナショップはこのような面白い商品を置くところということで,なかなか興味深いところでもあります。ほかのアンテナショップではこれほどの商品を見たことがないですね。

念のために書いておけば山口県のアンテナショップの品物が全部ひどいというわけでは,まったくありません。山口県のアンテナショップにも,素晴らしくいいものがたくさんあります。小イカの干物などこれまで食べたものの中で最上級の味わいでした。

…というように世の中の食品の闇について少し書きましたがアンテナショップに行かない方にはあまり縁がなくてぴんとこない話に感じるかもしれません。ので,居酒屋やスーパーに行く人には「ああ,あれか」と思うような例を書いておきます。居酒屋のメニューに「ホッキ貝サラダ」とか「たこわさ」を見かけたことのある人も多いでしょう。「お通し」でもよく出てきます。これ,いろんなバリエーションがあるのですよ。筆者は一口たべて(見るだけでも)わかりますが。。

これはこれでおいしいと思う人もいるだろうし衛生管理もしっかりできていると想像するので好ましい点もあります。でも,どこでも同じ味ですし,調味料たっぷりの素材の味を殺したものに感じます。それでいいと思う人には安価でよいつまみです。

でも,これが全国どこでも,こんな感じのものが出てきたら,うんざりしませんか? 筆者は十数年以上むかしに,この流通機構を見抜いたので,飲み屋にはいかなくなってしまいました。。まともな飲み屋を探すのが難しすぎるのです。そのむかし,三崎港の寿司屋でたこわさを頼んだらこのパックたこわさが出てきたことがあり,怒りに全身が震えました…。

「お通し」でも「一品料理」でも,真空パックから搾り出したものを配膳するだけなら料理人は不要です。自動販売機で十分です。東横インの一階に「たこわさ300円」「ホッキ貝サラダ300円」という自動販売機があれば,筆者はそれを喜んで押しますね。こんなものを開発してくれた企業努力をすこしは評価するからです。味の方は,アミノ酸入れすぎ,甘味料入れすぎで,ゴミ箱に入れたくなりそうな感じもありますが。

…という話で言いたかったことは,適材適所,という感じかな。そこいらへんの激安ショップとかスーパーに中国産シロサバフグが転がっていてもなんとも思いません。でも,郷土の物産を扱う専門店に置いてあったらそれは詐欺に近いですね。「山口県アンテナショップ」に「ふくの干物」が置いてあったら,ほとんどの人は地物のふぐを思い出すことでしょう。

そこを利用して劣化した中国産を売る大日本パール工業さんは,もう少しよいしなものを開発していただき,ほかの店舗におろしていただきたいところですね。。なお,この系統のお話は,山口県に限ったことではないのだろうと思います。アンテナショップではまだ見つけていませんが,地物と思いつつ,海外産という経験はいろんなところであります。珍しいものでもないのです(画像/MWS)。








2020年9月24日(2)




それでビワマスの干物はどうだったのか,早く報告しろ! と本ページの読者の数人は思っていることでしょう(笑)。もう食べちゃいました。

ビワマスの干物(半身)は身側から焼きます。強火です。これで焼け具合を見ながら音を聞きながら,7割程度火が入った頃合いにひっくり返します。表は弱火で焼いて皮目をこんがりとさせます。途中で皮がぷくっとふくれてくるのでつぶして地ならしします。脂がおもてに出てきて皮がうっすら焦げ目がついたら皿に盛り付けます。このあと,香りを出すために,皮の表面をバーナーでさっと炙ります。

これを酔仙(岩手)でつまんだわけです。

干物の塩加減も焼き加減も最上で製造者の処理がよく劣化は皆無でした。もちろん日本酒との相性もいわずもがな。味わいの表現はなかなか難しいですね。きめ細かな身質に淡く感じる脂。皮目は炙ったので淡水魚の風味は消えていますが,身にはわずかに「淡水を泳いでいたな」とわかる風味があります。身に味があるのはサケ科の感じですが,イワナのようなテイストとは違います。

サクラマスともまったく違う感じです。サクラマスは遠くにイワシの風味を感じ脂も比較的のっています。ビワマスはそこまで脂はのっていません。何を食べていたのだろう。「天然」と書いてあったのでモロコを食って育ったのだろうか。。。でも遠くに共通する味がします。身のきめ細かい感じですかね。

いずれにしても上等な干物でした。送付いただいた代表取締役さんのおかげで,一つ大きな勉強をさせていただきました。感謝です(画像/MWS)。








2020年9月24日




東京都心もやっと涼しくなり,出版騒ぎも少し落ち着いてきて,サンプルに手をつけられるかもしれないという状態になってきました。今年は様々な厄災,トラブル,事故が降りかかり,散布スライド以外の標本製作はお休み状態が続いています。まぁたまにはそんな年もあるだろうとあきらめ気味に過ごしていますが,小規模なものなら手をつけられるときに作っておこうかと思う今日この頃です。

珪藻や放散虫はガラス質なので保管による劣化は少ないのですが,それでもゆっくりと劣化していくものもあります。封入剤などは刻々と物性が変化するので扱いが面倒です。おまけに,筆者の身体も日々劣化していくのでもとの状態に戻す努力をしなくてはいけません。

きょうは顕微鏡を覗いて放散虫をいじりましたが,それでわかったことは,長期間の厄災モードですっかり身体が「パソコンに向かうフォーム」になってしまっていました。「顕微鏡作業をするフォーム」とは頸と背骨の使い方が違うので作業しているとすぐにわかります。これはマズイ。たぶんどこかの筋肉が落ちている。身体をもとに戻さないと作業に支障がありそうです。仕事をしなくても,仕事のまねごとだけでもやっておくべきだったか…(画像/MWS)。








2020年9月23日






プランクトン,というのは一般的には水の中にいる小さな生き物と思われています。まぁだいたいそれで話が通じてしまう世の中なのですが,学問的には正しくありません。プランクトンというのは「水の中を漂っていて水流に逆らってどこかに逃げることのできない生物」くらいの感じが学術上の定義です。

これも相対的な話なので,どこまでがプランクトンでどこからが別のカテゴリーなのかというのは,曖昧です。何かにくっついて生きている生き物は付着性生物(ベントス)と呼ばれますし,アメンボのように水面を漂うものはニューストンとも呼ばれます。

こういう区分けが面倒と思う人もいるかもしれませんが,地球というのは大気,水,地殻,マントルという,密度の異なる流体で構成されていますので,どの流体にどんな存在形式なのかという分類は結構いい線行っている感じもあります。ちょっと例を考えれば,

水面を漂うものは船舶,空を飛ぶものは航空機,水面下を航行するものは潜水艦…,こんな感じになってますね。

さてそれで今日の画像は何かというと,「プランクトン」を採取する方法の一コマ。海の表層のサンプリングでは,バケツを投げ込んで表層水を採集するという原始的な方法があります。プロの間でも「バケツ採水」という用語で通用します。バケツにほどけないようにヒモをむすんで,海に投げ込み,表面海水をバケツに満たして採水するのです。

この方法では,ネットを使わないので,小さなプランクトンも採集できます。プランクトンネットは,使う生地にもよりますが,せいぜいNXX13(オープニング100μm)とか,それより細かくても数十μmがいいところでしょう。大きな動物プランクトンには効率的ですが,小型の植物プランクトンや,繊毛虫類にはそれほどよくありません。

ので,細かなプランクトンを調べるには水ごと採集するのです。そしてその水をとても細かいフィルターでろ過するか,または沈殿させて,必要ならば固定して,検鏡試料とするのです。沈殿させるときは冷蔵庫で低温を保ちます。そうしないと,沈殿してきたプランクトンに一斉にバクテリアが沸いてサンプルの状態が刻々と変化してしまいます。

おっと,この説明でも今日の画像の含蓄はわかりませんね。バケツ採水で大事なことがいくつかあります。第一は,バケツにヒモを結びつけますが,ほどけないように結ぶこと。第二に,バケツを海に放り投げるわけですが,ヒモのもう片方を何かに結ぶなりしていないと,サンプリングのつもりで,単に,「バケツを海に投げ入れただけ」という楽しいイベントが生じます。

これは学生実習などでよく生じるのですが,水質分析などの実習で表層採水を命じると,ヒモをむすんだバケツをそのまま海に放り込みヒモもそのまま海中に沈み,とても楽しくバケツが沈んでいく様子をみんなで観察できます(笑)。

この話,こうやって書けば笑い話なのですけれども,「ステップを踏んでいない」という意味では,「致命傷」です。

ステップを踏む,というのがどういう意味かを説明するのはとても難しいのですが,たとえば,心臓外科医が狭心症のバイパス術をしている最中に,ステップを踏まずにいい加減にやったら,患者は高確率でまずい状態になります。網膜剥離の患者に硝子体オペを行っている最中に,ステップを飛び越して処置を施したら患者の視力は回復しないかもしれません。

甘く見てはいけないのです。

ので,採水時にはまず,自分が落下して水死する危険を減らして可能な限りの安全を確保することをまず第一に,確実に採水できてサンプルロスのないような作業を組み立てることが大事です。

本ページをごらんの方は,採水,あるいはプランクトンネットなどでサンプリング活動をしておられる方々も多いことと存じます。皆様,ぜひ,ステップを踏むことの大事さを実感していただき,日々の安全管理に役立てていただければと思います(画像/MWS)。








2020年9月22日




本ページがこのところ料理サイト化しているからか,お世話になっている会社の代表取締役から驚異的なものが届きました。これは…。ありがとうございます。

ヤマメは筆者の人生を左右したお魚。9歳頃にみた「きょうの料理」に載っていた郷土料理のページにあったヤマメの写真があまりにも美しくて,人生の進路が水環境寄りになったのでした。大学も,小学生の頃に「ヤマメとイワナと会えそうな大学」ということで図鑑にのっていたところに,悩むこともなくそのまま進学してしまいました。。

もちろん食べるのも好きで,ヤマメの塩焼きや味噌焼きは最高のごちそうですし,サクラマスは同期の仲間が釣りものを北海道から送ってくれました。御徒町の「吉池」でサクラマスの干物を買って食べたりもしました。

が,まさか,ビワマスの干物にありつけるとは。。

そんなものが存在するという想像すらしたことがなかったので,やられた〜という気分です。これはぜひ東北の佳酒を用意して,一杯やらねばなりません。ほんとうに貴重な体験ができそうです。感謝感謝なのです(画像/MWS)。








2020年9月21日




JR各社が大減益になっている。まぁ人と会うことが制限される世の中なので,売り上げ低下は避けられないところ。かといって大規模にかつてのように利用するというのも現実解とはなりそうもない。海外の入国者はほぼいないし,GOTOのような政策を施しても,お金と時間を持っている60代より上の世代が新型コロナの死亡率が高いので動きにくい。ので効果は限定的。

うーんこのような状況でJRを支える方法があるんだろうか。とりあえず思いつくのは,交通系ICカードを買い上限までチャージすることかな。100万人がこれをやれば100億円レベルでの支援にはなるのかも。

これと似た考え方で,JRさんは「未来乗車券・特急券(回数券タイプ)」というのを発売したらどうかしら。有効期限は2年後から2年間,お値段は現在の料金の半額。払い戻しなし。国の認可が下りるかわかりませんが,これで資金調達できればそんなに悪い方法ではないように思います。

ほかにどんな方法がありますかね。むずかしいですね…(画像/MWS)。








2020年9月20日








19日は昼間もけっこう涼しかったので,初詣に行くことにしました。行き先は,歩いて10分のところにある,筆者によいことばかりをもたらすところです。

ここにはショーケースがあって,これが絶妙な位置に配置されているのでありまして,信号待ちの街ゆく人々がけっこうショーケースをチラ見したり,のぞいたりしているのです。筆者もショーケースを覗いてみましたが,そこには,『珪藻美術館』なる,驚異的な書籍が,『ぐりとぐらカレンダー』と一緒に展示されていました。いやほんと,有り難いことです。

小さなお子様がお母様と手をつないで,ショーケースをのぞき込む場面にも遭遇しました。こういった展示は,じつはけっこう効果があるのかもしれません。

何しろ,本屋がこの20年で半減し,本屋さんに行くこと自体が困難になってきているからです。…であるならば,全国の本屋さんは,こういったショーケースまたはそれに類したものを「道路」に面したところにおいて,通行人に直接見えるようにして,本屋に行かなくてもベストセラーくらいの情報は得られるようにするのも,戦略の一つかと思ったりもします。

『珪藻美術館(福音館書店)』は,年齢層問わず,誰が見ても楽しめる本ですし,「珪藻」という生き物を知って損なことなど何もありません。世の中に,小っちゃいけれども,「プラス」を付加する本なのです。

一人でも多くの人に見てほしいですし,「珪藻」という存在を知ってほしいです。多くの人は,月面のクレーターを見て感激し,土星の輪っかをみて感動しますが,それに匹敵するのが顕微鏡でみた珪藻の精細な姿です。

その,珪藻の精細な姿や珪藻という生き物の面白さを,最低限の価格で,誰にでもわかりやすく,美麗な印刷で,世界最高の技術で表現したのが『珪藻美術館(福音館書店)』なのです。

顕微鏡をお持ちの方は,そのことが理解されると想像しますが,一般の方々には,「顕微鏡下でゴミのない視野」というものが通常あり得ない世界ということが実体験としてないので,あまり気をひかない存在に甘んじているものとなっているのかもしれません。

この状況を打破するには,影響力のある方が,このミクロの世界の素晴らしさをアナウンスしてくれることが必要に思うのですけれども,実際問題としては,なかなかうまく進まない気もしています。うーん,どうすればいいのでしょう(画像/MWS)。








2020年9月19日








「勉強なんてなんの役に立つの?」という問いに対する答えがきょうの画像です。

??? と思う人が大半かもしれません。勉強なんかするよりもネット対戦ゲームをする方が遙かに面白いし,勉強していろんな問題がとけても学校の成績がよくなるだけ何の役にもたたない。子ども時代にはそう思うものです。

でも,それは間違っているんですね。その子ども時代の判断がなぜ間違いなのかというと,多くの人にとって,「人生は思っていたより長い」のです。長い時間を楽しく過ごすには,知識が必要なのです。年老いてもゲームばかりピコピコしているわけにはいかないのです。

一生かけても決して解けることのない難しい課題に挑戦していくことこそが,人生をゆたかにするコツ,なのかもしれません。少なくとも,根気さえあれば飽きるということはありません。そうやって,将棋・囲碁の棋士は歴史をつないでいき,大山・羽生・藤井聡太という傑物を生み出してきたのです。

学問分野でも同じです。宇宙創成などどうやっても解けそうもありませんが,先人の積み重ねによって,インフレーション宇宙論やGUT理論,ヒモ宇宙などの物語が構築され,また一方でパイオニアやガリレイ,マリナー,アポロ,ハヤブサなどの探査機による宇宙の解けない謎の解明が続いてきました。これは人類をゆたかにしてきた挑戦です。

これは狩猟民族の基本的な振る舞いかもしれません。見たことのない土地に侵入して狩りを行うというのは,解けることのない難しい課題に挑戦するのと同じです。次々と現れる場面に対処していく必要があるのです。そのためには,過去の記憶,経験の蓄積がなければ,前に進めないでしょう。「過去の記憶,経験の蓄積」というのは,みんなが嫌いな「勉強」というやつに他なりません。

そんな話題ときょうの画像がどんな関係にあるのか。

カミさんがカツオのブロックとモンゴウイカの刺身をぶら下げて帰ってきて,「きょうは刺身がけっこうあった,カイワリというのもあった」と一言。筆者は直ちに,「カイワリ食いたかった…,カイワリは上等な魚」と伝え,カミさんの「じゃ買ってくるか」という一言を引き出しました。何しろ歩いて2分のスーパーなのですぐに調達可能です。

カイワリが食いたいと思ったのはいまから22年前頃です。きょうの画像で写っている「海の幸」という本に記載されていた記事を読んで,あーこれは上等な白身でうまみもあってさっぱりして最上級だなーということが想像できたので,機会をうかがっていたのです。東京都心のスーパーに鮮度良好なカイワリの刺身が入荷するのは珍しいのでえらい時間がかかってしまいました。

でもちゃんと筆者がカイワリをゲットできたのは,「勉強が役に立った」からなのです。それは間違いのないところですよね。その証拠に,このカイワリは素晴らしい見かけとは裏腹に,20時過ぎでも売れ残って半額になっていたのです。「勉強していない人には価値が理解できない」のです。なんともったいない。

「八海山」「一ノ倉」と一緒にカイワリの刺身をいただきましたが,脂も甘くまことにおいしい白身の刺身でした。ウマすぎないところが良いのです。想像通りの味で,こんな魚が釣れるところに住んでいたら夕飯のおかずに毎日,釣りに出向きたいくらいです(画像/MWS)。








2020年9月18日




17日は聞けば誰でも知っている大企業の幹部2名をお迎えしての会議となりました。当室までお越しいただいたということは,とうぜん,顕微鏡分野での案件に関する内容となります。相談内容が絞り込みにくく,ブレーンストーミング的な要素もあったので,可能な限りの準備をしてのぞみました。結論を出すような会議ではありませんでしたが,将来への材料となる知見,体験をある程度はお持ち帰りいただけたものと思います。大量の試料,資料をひっくりかえしての時間でしたので終わったあとはおもちゃ箱をひっくりかえしたような状態でした。

ところで,いつも本ページで書いていることですが,通常は企業でも何でも,「見学」とか「ご訪問」などといった案件は原則お断りとなっています。その理由は簡単で,単にこちらが時間を失うだけだからです。たとえば今日の会議の場合,準備に4時間,会議に4時間15分,片付けに2時間,合計10時間15分の労力です。

そこに手土産を持って企業の方が来て,様々な相談事にこたえ,専門知識を授けて仕事を終えたとします。このとき,企業の方は「仕事」として会社からその日の給与は保証されていますが,筆者は単に無料サービスで働いて,完璧に整備した高度な機材を無料で使わせて,時間を失い,その時間で作れるはずだった賃金を失っています。手土産はいただいても,トータルで見れば大損失以外の何者でもありません。

こんな馬鹿な話があるかと思うわけですが,給与所得者の方々は個人事業主の生活を知っているはずがないので,訪問して帰っても,相手に損害を与えたとは想像できない人がほとんどです。この種のことをいちいち説明するのも面倒なので,「見学」「ご訪問」などというのはお断りということになります(もちろん,メールでの「ご相談」はいつでも誰でもOKです。)

しかしそれでもきょうのように「ご訪問」を引き受けるケースがあるのは,いくつかの理由があります。特に大事だと思った案件,断る理由のない取材案件,共同研究者の研究上の理由での訪問,大学等の集中講義などの打ち合わせ,当室のお客様が具体的な用事をお持ちで来る場合,教育上必要と思われる案件,そのほか,筆者がなんとなく気が向いた案件,会ってみたいと思わせた相手の場合,などです。

きょうの大企業の方は,お客様でもあり,以前仕事をいただいた方でもあり,気が向いた感じもあり,会ってもみたい方で,しかも大事な案件でしたので訪問OKとなりました。そして筆者の読みは当たりました。こんなに熱心で,こんなに楽しそうに顕微鏡を喜んで覗く方々には本当に久しぶりに会いました。そして筆者の能力を活用していただき,4時間以上の間,本当にたのしい時間を過ごさせていただきました。

あまりにも楽しかったので,なんかほんわかした気分で,大量の物品の後片付けもなんとかなりました。おそらく,目指す方向が似ているのかもしれません。お話をしていても,まるで旧知の方と意見を交わしているようで,まったく違和感がありませんでした。これはその企業の方の対人スキルのなせる技でもあるのでしょうが,顕微鏡を覗いている姿からは,それ以上の何かを感じました。当室にいらした経験が今後のお仕事の役に立つことを願うばかりです(画像/MWS)。








2020年9月17日




もよりのスーパーから のどぐろの干物が入荷。このスーパーはふだんあまりやる気を見せないんだけれども,たまにぴかっと光るものが置いてある。のどぐろの干物は限られた産地でのみ作られるもので,おそらくほとんどが職人による手作りだと思います。柿の葉サイズくらいの可愛いのどぐろでしたが,鮮度は抜群に見えたので,購入翌日には消費したのでした。じつに滋養のある味わいでよろしかったです。

干物は保存がきくと思っている方もおられるかもしれません。確かに,腐敗しないという点では干物は保存がききます。チルド室に放り込んで一週間でも平気でしょう。でも実際は干物のおいしさは鮮度に大きく左右されます。すぐに焼いて食べた方がいいのです。

水揚げされたばかりの鮮魚をすぐにさばいて塩水に漬けて低温乾燥したできたての干物をすぐに焼いて食べると,いままで食べていた干物はなんだったのかということになるかもしれません。東京都心に流通している干物はピンキリで,個人的な経験の範囲では,ほとんどが,「中の下」くらいの味わいのものです。

通常は冷凍品として流通しているので,見た目で善し悪しを区別することはほとんどできません。ので,買ってみて食べてみて,「うーむこれはいまいち」という経験を繰り返すことになります。

そんなわけなので,干物の上手な買い方は,信用あるメーカー品のものを選ぶ,というのが第一選択となります。アジやキンメの干物であれば,沼津・サスヨグループのものが広く流通しており,品質も保たれています。サスヨ水産のwebサイトは こちら です。

ほかの干物の場合はどこがよろしいか,まだ経験不足でわかりません。ハタハタで高品質のところがあるとうれしいですが。それに最近はすっかり見かけなくなったエボダイ。まぁでも東京都心で贅沢を言ってはいけませんね。おいしい干物を食べたければ小田原〜沼津方面に行けばいくらでも地元でよいものがありますからね。

最近のweb情報では,冷凍干物は凍ったまま焼くことが推奨されています。が,筆者的にはあまりオススメしません。当店の焼き方は,チルド室に寝かせて解凍したものを常温近くにもどして,グリルで身側を中火くらいで焼き,反対面まで緩く火が通るまで我慢してからひっくり返して皮目を焼きます。このときは弱火。皮が一面こんがりとやけたらできあがりです。魚焼きグリルには水を入れずに,代わりにアルミホイルをしいています。

干物をさらにおいしく焼く当店テクニックの一つは,水洗いをすることです。アジは微妙でやらない方が良いものが多いですが(ぼろぼろになるので),ホッケ,大きいキンメ,赤魚などはウロコを落として全体を流水でブラシ掛けして水洗いします。そのあとにキッチンペーパーなどで水気を十分に拭き取り,つるして風乾します。これを焼きます。お好みで日本酒を塗って焼きます。表面の酸化脂質が取り除かれるだけでなく,ウロコもないので皮もおいしく食べることができ,まことによろしいのです。

もう一つの技は,煮魚とかムニエルにしてしまうことです。アジならぜいごを取って,ネギ,ショウガ,日本酒で酒蒸しにします。干してある上に開いてあるので火の通りも早く調理は簡単。生魚を使ったものとは違う仕上がりになりますが悪くありません。煮魚の方が身離れがよいので食べやすいという向きもおられるでしょう。

干物は食べたあとの骨や頭もつかいみちがあります。筆者はよく,忙しいカミさんのために,干物を焼きほぐしておくのですが,そうすると数匹分の骨や頭が残ります。これは,「良い干物であれば」とても良いダシが出るので,捨てずにそのまま鍋に放り込みます。背骨は関節ごとに曲げておきます。そこに日本酒,水を加えて30分ほどことこと。鍋にはりついて,へらで繰り返し骨を押しつぶします。

やがて白濁した白湯スープのようになってきます。味見をして,薄いようなら煮詰めます。塩は加えないことが多いです。ちょうどよいところまで煮詰まったら,茶こしを使いスープを濾します。

スープは一度放冷します。表面に油膜が浮くのでこれをすくって捨てます。酸化脂質が多いかもしれないからです。これを加熱して,刻みネギを加えて上卓します。じつに上品なスープになります。アジ,キンメがオススメです。ほかの魚種ではカレイ,タイくらいしかやったことがありません。。

このスープ,そうめんをくわえてにゅうめんにするか,中華めんを加えてラーメンにしてもひじょうによくあいます。ただ,2,3匹の干物からとれるスープだと,麺の量は50〜80グラム(乾麺)といったところで,少量しかできません。

焼きほぐした身はもちろんそのまま食べるのですが,翌日も食べる場合は日本酒を振りかけておき,「焼き漬け」にするのも乙なものです。塩鮭やアジの干物,ホッケの干物の場合は最初から焼き漬けにすることもあります。この場合は,日本酒を加えて一晩寝かせることが大事。当日は食べません。こなれたマイルドな味になります。脂が強いものなどは,酒のほかにしょうゆを加えても良いです(鮭ハラスなど)。

ということで,きょうはお魚大好きな筆者の干物ワンポイントだったのでした(画像/MWS)。



*1 干物を焼きほぐすのは面倒と思うかもしれません。確かに面倒な作業です。でもこの面倒な作業をこつこつとこなすことが生活上の充実感につながっているような気もします。料理というのは総じて面倒ですが,その先に完成形があるので,やる気も起きるというものです。焼きほぐしは,焼いて,ほぐせば終わりです。料理としてはかなり単純です。あとでらくらく食べられるので,干物を骨から外しながら食べるよりもトクしている感じもあります。

*2 干物や焼き魚を焼きほぐすときには,先の細い箸を使うとやりやすいです。一説によると,日本の箸が尖っているのは,魚の骨と骨の間に先端が突っ込めるようになっているから,とのこと。ことの真偽はしりませんが,先端が細い箸がやりやすいです。なお,ピンセットも有用で,筆者は昔から,K-3 GG やTS-11というピンセットを使って小骨をとったりしていました。日本料理でも毛抜きはふつうにつかうので,ピンセットも使ってもおかしくなさそう?と思っています。ひょっとすると筆者が知らないだけで専用の道具があるのかもしれませんが。

*3 焼き漬けは新潟名物かもしれません。「鮭の焼漬」というのを中学生くらいのときに親父が土産物として持ち帰り食べましたが,なかなか忘れがたい味でした。それから数年後に理解したことは,あれは鮭の脂と酒としょうゆが生み出すハーモニーということでした。ので,鮭のハラスを日本酒としょうゆで漬けても同一ラインの味が出ますし,鮭はらこも,日本酒(煮きり)としょうゆで漬け込むと同一ラインの味が出るのでした。





2020年9月16日




15日は新聞社の取材対応でした。当サービスはネットショップであって実店舗は存在しませんので,通常は直接お客様対応をすることはありません。しかし取材の場合は仕事場を覗きたい,と言われてしまうわけなので,しぶしぶ? 応じることとなっています。作業場は自宅でもあり,機材が積み上がっていてとても人様をお迎えできるような感じではないので,取材ともなると片付けや準備に膨大な労力が必要になります(自分が悪いのです…)。きょうはちょっとくたびれてしまい,そろそろバタンQ状態ですが,こういった労働も『珪藻美術館(福音館書店)』を皆様に認知していただくためには仕方のないことなのかもしれません(画像/MWS)。








2020年9月15日




料理は最低限の調味料と素材の組み合わせで味を決めていくことが大切だと思っています。しかし現代日本では,何にでも,砂糖どばどば,グルタミン酸ソーダをどばどば…といった感じで,筆者の料理哲学とは正反対の様相を呈しています。一つの考え方ですが,工業的に製造した精製結晶を放り込んで調味するというのは,食文化というよりは経済合理性の追求ともいえます。うまければなんでもいいだろーという人が増えるほど,本来の素材を用いた料理は減り,食品工業により製造された万能調味料での味付けが流行するでしょう。

豚の生姜焼きといった単純な料理でも,調味料どばどば系から,ごく単純な調味料だけで済ませるものまで多様です。筆者は最低限の調味料と素材の組み合わせで,素材の味を殺さずに食べるものがよい料理と思っているので,調味料どばどばはやりません。

豚肉はしょうゆ(よいもの),ショウガに漬け込んでおきます。味は少し濃いめです。これをテフロンのフライパンで,油を使わずに加熱します。絶えずかき混ぜながら,お肉の色が変わった時点ですぐに火をとめ,別の容器に開けて冷まします。あら熱が取れるとたくさんの肉汁が出てくるので,この肉汁だけをフライパンに戻します。絞るように,一滴残らず戻します。

そこにタマネギ,電子レンジで加熱済みのきのこを加えて弱火でフタをして加熱します。肉汁のうまみと塩気でタマネギときのこをソテーするわけです。この工程できのこのうまみも引き出され,タマネギには甘みが出ます。じゅうぶん火が通って,汁気が完全になくなったら,火を止め,そこに豚肉を加えてかき混ぜてできあがりです。

使う調味料はしょうゆだけですが,ショウガの風味,タマネギの甘み,きのこのコクが加わり,豚肉にもしっかり味がしみていて,また火加減の関係で柔らかいです。一度汁気をしっかり切っているので,片栗粉や小麦粉を使う必要もありません。(もちろん,すこしくらい使ってもいいですが)

砂糖もみりんも入れないので,わざとらしい甘ったるい感じもしません。甘みはタマネギの素材の味がするだけです。これがしょうゆの塩気をマイルドにして仕上がりを上品にします。

味には好みがあるので,この筆者式の生姜焼きも,口が曲がるほどマズイと感じる御仁もおられるかもしれません。ので安易な真似はしない方がいいです。が,世界的に見れば,何にでも砂糖やみりんの甘みを入れる和食は特異な位置にあります。

海外の方が安い日本料理を食べれば砂糖とみりんでごまかした味に辟易としているかもしれません。あるいは日本人でも,ふだんから甘い物などを食べずに味覚を鍛えておられる方々は,砂糖どばどばの市販の煮物などゴミ箱に放り込みたくなっていることでしょう。

そんな方々には,こういった,最低限の味付けで素材の味を食べる料理は,受け入れやすいかもしれません。何より,身体に優しいです。砂糖はもとより,オイルさえも使わないんですから(画像/MWS)。








2020年9月14日




公園の人工池が水抜きされて干上がっていました。それがきょうの画像。本ページをごらんの皆様は,この白い物体が何なのかはお分かりのことと思います。

そうです,珪藻の殻です。小さなガラス質の殻の集合体です。

珪藻は生きているときは茶色っぽいのですが,乾燥して直射日光で焼かれると光漂白という現象が起きて色が抜けます。細胞の中身はほとんどが水分なので乾燥すればガラスの殻が残されます。

このような場面は多くの方々がどこかで目にしているものですが,残念なことに,日本では珪藻を教育の現場で扱うことはほとんどなく,誰も気にすることなく通り過ぎていきます。もし知識があれば,この白い粉のような物体は,いろいろな形をしたガラスの粉であることが想像できて,楽しみが増え,人生がゆたかになります。

筆者はこの池を永年眺めていますが,こんなに見事に真っ白になったのは初めてみたので,「おおっ」と思いました。すかさずNikon1J2の出番となったのです。

学校ではほとんど習わない珪藻のお勉強をするには,『珪藻美術館(福音館書店)』がもっとも良い入門書でしょう。自信を持ってオススメします。amazonさんのサイトは こちら です。どうぞご活用ください(画像/MWS)。








2020年9月13日






きのこは当室の食生活を支える重要食材で,一週間に5-10パックくらいを二人で消費してしまいます。日々きのこを食していると,カゼをひかなくなり,明らかに健康状態の改善に貢献しているようです。

きょうの画像のきのこ,皆さんはなんだかお分かりでしょうか。食べたことはあるでしょうか。

このきのこは「しめじ」と書いてありますが正式には「ヒラタケ」といいます。じつはこのヒラタケ,市販のきのこの中でいちばん美味といって差し支えない,濃いうまみをもったきのこです。貝類の煮汁にも似たような深いコクのあるダシが出ます。

この「ヒラタケ」は,30年ほど前までは,どこのスーパーにも置いてあるごくふつうのきのこでした。この時代にきのこといえば,シイタケ,ヒラタケ,エノキダケ,ナメコ,マッシュルーム,キクラゲくらいしかありませんでした。ヒラタケは大変メジャーなもので,「しめじ」として売られていました。

ところがその後,ブナシメジが登場し,1990年代頃からマイタケが登場して,さらにエリンギも登場し,現在ではハタケシメジやヤナギマツタケまで栽培品が出回っています。これらに押されて,いちばん味が良い「ヒラタケ」がどんどん衰退して,スーパーでもたまにしか見かけなくなってしまいました。

大手栽培メーカーでも,たとえばホクトさんは「霜降りひらたけ」という,食べ頃のヒラタケをパックした魅力的な商品を開発しています。しかし残念なことに,この「霜降りひらたけ」は,筆者には人工香料の臭気を感じます。電子レンジで加熱して香料を飛ばしてもわずかに残存します。これがせっかくの製品を台無しにしているのです。料理は風味が命です。余計な香料が入っているとじつにやりにくいのです。そういいつつ,時々買って食べていますが。

このホクトさんの霜降りひらたけは,育ち具合も,うまみも文句ないだけに,残念さが際立ちます。たぶん,菌床に香料を加えているか,そうでなければ育種選抜そのほかでこのような香りの菌を作り出したか,どちらかでしょうか(*1)。子どもの頃から天然のヒラタケを山ほどみてきましたが,このような香りがするものは存在しません。本来の姿のものを供給してほしいものです。

きょうの画像はヒラタケ本来の風味が味わえる製品です。これと同じような製品に「清澄しめじ」というものもあってこちらも優秀です。育ち具合も絶妙です。

ヒラタケのうまみを味わうには,日本酒,しょうゆだけの味付けでから煎りするのがよろしいかと思います。あるいは,バター醤油炒めでもいいです。それだけで料理として完成された味わいです。

とてもよいダシが出るので,鍋物に入れるのはよろしいです。特に,鶏肉との相性が抜群なので,長ネギ(たくさん),鶏肉(もも一枚),ヒラタケ(2パック),藻塩,日本酒だけで水を使わずに煮込む鍋物はぜひお試しいただきたいですね。単純な具材でありながらじつに深い味わいです。煮物に入れると良いダシが出るのでこれもおすすめです。

そろそろ秋なので,きのこご飯でもというときにも,ヒラタケをたっぷり使うと味がよろしいです。米一合に一パックはほしいところですね。これに鶏肉,ごぼう,こんにゃくを加えて日本酒,しょうゆで炊き込みごはんにしてもいいし,具材だけ濃いめに味付けて煮汁がなくなるまで煮ておき,炊きたてのご飯と混ぜ混ぜするのも良いでしょう。

市販のきのこ,みんな同じではないですよ。一つ一つ味を知ると使い分けが楽しくなります。マイタケはベーコンやソーセージなどの燻煙製品との相性が良いとか,エリンギはごろごろ輪切りにして日本酒としょうゆで煮詰めると貝柱風味になるとか,エノキダケは酒蒸しにしてレモン汁を絞るとさっぱりしておいしいとか,それぞれ使いどころがあります。

いま筆者が密かに考えているのは,日高式アクアパッツアを作るときに,アサリの代わりにヒラタケを使えないか,ということです。ヒラタケはオイスターマッシュルームという名前もあるくらいでアミノ酸に富んだ味なので,使えるかも,という感じです。誰かやった人はいるのかな? (画像/MWS)。



*1 いまから20〜30年前は,いろいろなきのこに人工香料が添加されていたように感じています。特にひどかったのがエノキダケとブナシメジです。きのこ本来の風味をマスクするようなエステルやテルペン類のひどい匂いのきのこがふつうに売られていました。おそらく菌床に加えていたのだと思います。マイタケもひどいものがありましたし,エリンギでもそうです。

*2 これらの人工香料は電子レンジで加熱することによってある程度は除去できます。除去できるというのが添加香料の特性でもあります。きのこ本来の香りなら加熱くらいでは飛びません。加熱の目安は,500Wで4分/一パック という感じです。もし加熱後に大きく匂いが変化したら,そのきのこには人工香料が入っていた可能性があります。

*3 この加熱して人工香料を飛ばす方法は下ごしらえとして適当です。この処理をしたきのことしないきのこでは,料理のできばえが全く異なります。人工香料の入ったきのこを生のまま吸い物に放り込めば,香料の香りが抜けずに,ひどい料理ができあがります。炒め物でもパスタでも同じことです。生のきのこの匂いをかいで,人工香料の有無が判別できない人は,きのこを電子レンジで加熱してから料理に使うようにするといいです。ワンランクアップしたほんらいの風味が豊かな料理になります。

*4 理由はわかりませんが,ここ5年ほどで,市販のエノキダケ,ブナシメジの香料添加事例は減ってきています。これは不況が原因なのか,それともほかの要因があるのだろうか,不思議です。

*5 日本は添加物には寛容な国で,あらゆる食品に平気で添加物が加えられています。添加物が加わると,それは「その食品の本来の味」からはずれるので,「その食品の本来の味」を知る人が減ることになります。これは文化の破壊に他なりませんが,そういったことまで頭を使う民族でもないようで,何でもありの状態が長く続いています。





2020年9月12日




「珪藻美術館 ちいさな ちいさな ガラスの世界(福音館書店)」は好評発売中ですが,まだまだ日本人口の1/10000くらいの方々しか,発売されたことを知らないのではと思います。世の中のほぼすべて,といっていいくらいの方々は,このような本が存在することなど考えたこともなく,日常を暮らしているものと思われます。

でもこのような本と巡り会えたことで,幸せな時間を過ごすことができた人が存在することは,雑誌版(たくさんのふしぎ2019年6月号)で証明されています。ほんとうに評判が良く,皆様から愛された本でした。

ので,必要なことは,こんな本があるよ,ということを,まだ知らない人に何らかの形で伝えることなのです。知った上で気に入らないなら無視すればいいし,気になるなら手にとって見ればいいし,気に入ったなら連れて帰ればいいのです。存在を知る,ということが大事です。

などという状況にあるわけですが,福音館書店さんが,この本の紹介用の動画を作ってくださいました。これが見るだけでも価値のある(と筆者には感じられる)ものに仕上がっていて楽しくなります。 こちら の画像をぜひごらんになってください。そして気に入ったらいろいろなひとに広めてくだされば有り難いです。

Youtubeでも見ることができます。 こちら でご確認くださいませ。

『珪藻美術館 ちいさな ちいさな ガラスの世界』の紹介サイトは こちら です。

特設サイトは こちら です。今回のハードカバー版には,たくさんのふしぎ2019年6月号で収録されていた「作者のことば」はカットされています。物語に深く入り込んでほしいとの出版社のポリシーによるものです。しかし,たくさんのふしぎ2019年6月号で筆者が書いた『作者のことば』はひじょうに評判がよかったので,福音館書店さんの取り計らいで,こちらの特設サイト経由で読めるようにしていただきました。雑誌版をお持ちでない方は,ぜひこちらもアクセスしてみてください。

amazonさんのサイトは こちら です。在庫は十分にあるようですので,ぜひ,個人用,プレゼント用にご活用ください(画像/MWS)。



*1 記事を書いたら安心してしまったらしくFTPを忘れました。。ここのところいろいろ忙しく,それに比例して寝酒の量が増えています。いかんいかん。




2020年9月11日




10日午後は新聞社の取材でした。当室は原則としては人をお迎えすることはないのですが,「珪藻美術館(福音館書店)」関連の取材となれば断るわけにもいきません。自分では取材に値するような人間とも思っていないフシがあり,なんだか困るのですが,中年おっさんになったこともあり,だんだんと図太く取材を受けられるようにはなりました(笑)。

いつもの定型手順にしたがって,仕事の案内,珪藻標本の観察,Jシリーズを最高にチューニングされたBIOPHOTでの観察。その後は事情聴取(インタビューともいう)。さらに写真撮影。どんな記事になりどこに貼り出されるのか…。

「珪藻」はもっと人に知られてもいいと思うし,「珪藻美術館(福音館書店)」は広く普及してほしいと思います。しかし,筆者個人は少しも有名になりたくありません。世の中の片隅でひっそりと生きていればいいのです。そんなわけですから,人物に焦点をあてた取材というのは困る…んです。有名になりたくありませんから。

皆さん,宣伝するときは,ぜひ,「珪藻」や「顕微鏡」や「珪藻美術館(福音館書店)」を宣伝してください。よろしくお願いいたします…。

ところで,一つ報告です。今回出版した「珪藻美術館(福音館書店)」についてですが,9月2日に著作権使用料が振り込まれていました。福音館書店さんは前回もそうだったのですが経理処理がひじょうにきっちりしていて,「出版と同時に」著作権使用料の支払い処理が完了しています。まるでご飯を食べてその場で代金を払うような明快さです。出版社さんとの信頼関係は深まる一方です。

このような,出版契約を寸分の狂いもなく履行する優れた出版社さんだからこそ,数々のヒット作,ながく読み継がれる名作を作れるのだなあと,預金通帳を眺めながら思うのです。今回出版の本も,出版社さんとの良好な関係を築きながら,長期にわたって出版継続できればと思っています(画像/MWS)。








2020年9月10日




この夏は東北旅行に行けなかったので,東京で東北支援を継続しています。毎晩東北のお酒を飲むことはもとより(笑),東北の物産を多量消費しています。特に今年は宮城ショップ,岩手ショップで「ホヤ」を大量購入して,例年以上にホヤを食する日々となっています。

関東以西にお住まいの方はホヤとは縁が遠いかもしれません。宮城以北の沿岸だとごくありふれたものです。夏が旬で,気仙沼のスーパー辺りだと,とれたてのホヤが一個100円くらいで売っていたりします。特別な食べ物ではありません。

ホヤは独特の味わいで,生のまま,あるいは蒸したものを食べても,甘・酸・苦・辛・塩のじつにバランスのとれた味わいで,そのままで料理として完成しています。ので,あまり調味しないほうがホヤ好きにはおいしいと思います。ホヤとキュウリの三杯酢というのは定番ですが,筆者的にはやりすぎな気がします。ホヤとキュウリを合わせるなら,ほんの少し塩味を加えるか,しょうゆで補うか,少量のポン酢程度で,ホヤの味をマスクしない程度がよろしいかと。

ホヤの塩辛というものも最近は流通するようになってきました。これがまたおいしいものでありまして,「塩辛」と思って食べると肩すかしをくらいます。イカの塩辛などに比べて塩分ははるかに低いです。そのままつまんで食べても十分イケます。適度な塩味があるので薄切りキュウリと合わせても結構。「塩辛」というよりは下味のついたホヤ,という感じです。

ホヤの風味は好き嫌いがはっきりわかれるといいますが,どんなもんでしょう。食わず嫌い,見た目がだめ,という理由はあるでしょうが,目をつむって食べたらおいしいと思いますよ。まだ食べたことのない人は,「ホヤの燻製」が入門には良いかも。次に「ホヤの酒蒸し」。両方ともまことに味わい深い東北の食べ物です。栄養的にもひじょうに優れているので試してみる価値大です。

当室の冷凍庫にはまだまだホヤが眠っています。東北支援はまだまだ続くのです(画像/MWS)。








2020年9月9日




8日は筆者が世の中に出てきた日と聞いていて,保険証にも身分証にもその日付が記されています。おたんじょうび,というやつです。中年おっさんくらいになると,ぜんぜん目出度いということもなく,まぁほとんど日常の一コマなのですが,でもまだ死なずに生きていることを祝ってもよいのかもしれません。例年はプレゼントらしいものもほとんどなく,義母が有り難いことに,フルーツ詰め合わせを届けてくれるのが目立ったところくらいなものです。

ことしはそれでもちょっとしたプレゼントっぽいものがあった気もしています。その一つ目がきょうの画像。出版されたばかりというのに,もうレビューがついている( こちら )。読者の方々の全幅の信頼を感じて頭があがりません。心より感謝申し上げます。

そして二つ目は こちら の情報。京都丸善さんです。書店店員さんの大事な仕事に棚作りがあります。著者としては,専門用語で「平積」が最終目標みたいなものですが,この演出は明らかに「平積」を超えています。レジ近くの特等席での特集…。これは,たとえば村上春樹さんとかの人気作家さんの本が出たときにやるやつではないですか。。恐れ多い。。

京都近郊にお住まいの方,ぜひこれを目撃してください。Jシリーズユーザーの方は,顕微鏡と標本を持ってこのコーナーの前で観察会を開いたらいろんな方と交流ができて楽しいかも…などと妄想が膨らみます。素晴らしい展示を作ってくださった京都丸善のTさん,ありがとうございます。

さらに三つ目は こちら の情報。名古屋みなと 蔦屋書店さんです。書店というのは単に書籍を販売するだけの場所ではなく,エンターテインメントの空間でもあります。この書店さんの演出はいろいろな書籍を求めに来た様々な客層の方々の目に触れるような工夫になっていて素晴らしいです。感謝感謝です。名古屋近辺にお住まいの皆様,書店員さんのこのような演出・努力も見てあげてください。

ほかにもたくさんの書店さんが本書の紹介に努めてくれているようです。どうもありがとうございます。

本ページの読者の皆様には,このような努力をしてくれている書店さんの活動を,どうか一人でも多くの方に「拡散」してくださるようお願い申し上げます。ツイッターでもインスタグラムでもフェイスブックでもブログでもメールでもかまいません。

出版不況と呼ばれて久しいですが,この20年で全国の書店数は半減(22,000→11,000)しています。一万一千軒の本屋さんが消えてなくなっているのです。そのほとんどが街の本屋さんのような小規模書店です。

書店数の半減に伴い,業界の規模も半減しています。つまり書籍の販売を担っていたのは街の小さな本屋さんであり,これをつぶしたら,いくら都市部に大型書店を作っても,全体の売り上げは減ったのです。

この状況の中,適切な棚作りをしてお客様に最適な情報提供を心がけて出版不況と正面から戦っている書店さんは本当に貴重な存在です。本ページの読者の皆様も,意欲的な本屋さんは大事にしてあげてください。

「大事にする」ということは単に本を買うだけでなく,SNSで宣伝することが大きいです。書店が潰れて,多くの人が本屋さんにアクセスしにくくなったので,どんな本が出ているかもわからない世の中になったからです。いま,本屋さんはスマホの中に存在するのです。良い本,良い本屋さんはどんどんSNSで宣伝し,情報を共有し,出版文化を守りましょう! (画像/amazonさんより)。








2020年9月8日
























週末はカミさんがまとめ買いをするので,兼業主夫たる筆者は食材と戦う休日の午後となるのです。きょうの画像は日曜日午後に処理した食材の例。ヤナギダコ一パック,きのこ類5パック。もやし一パック,枝豆一パック,豚しゃぶ一パック,なす一パックのほかに,タマネギ,キャベシ,ソーセージ,昆布,早煮昆布,めかぶ,しらす,レタス,トマト,油揚げ,キムチ…と食材を捌いていきます。そうしないと,冷蔵庫に入りきらないので…。

13品くらいをつくるのに2時間かかりました。ということは一品9分くらいだからけっこうインスタントな料理ばかりです。電子レンジ待ちの時間が発生するので,これ以上の速度で作ることができません。。

ヤナギダコはキッチンペーパー処理法で水を抜いたのちに少々のしょうゆと昆布で和えたところ,見違えるような上等な品に変化しました。ミズダコよりもうまみが薄く以前は敬遠していたのですが,ちょっとした処理で生まれ変わりました。安いし,これならいいですね。

マイタケとブナシメジはチンして鎌倉ハム(ソーセージ)と和えます。そして塩,コショウ。仕上にエキストラバージンオリーブオイル(最近入荷)。マイタケとソーセージの燻煙風味が絶妙にマッチします。ベーコンでももちろんOK。

ブナシメジとナメコは,チンしてしょうゆを加えて仕上のチン。余計な調味料が入らない味はきのこのおいしさをダイレクトに感じます。

なすは縦に裂いて電子レンジでチン。出てきた水を捨て,市販のダシつゆ原液にくぐらせます。3分程度。そしたら取り出して盛り付けます。インチキですがけっこうおいしい。

さてきょうの本題は豚しゃぶ。パックを開いてそのまま昆布だしでしゃぶしゃぶしてもいいのですが,よりおいしくする方法を考えました。濃いめの食塩水を作り豚肉に振りかけます。塩の度合いは,そのまましゃぶしゃぶして食べると,少し薄い塩味を感じるくらいです。下味をつける感覚で良いです。振り塩だと塩が均等に回らないので,食塩水(〜50ml)を振りかけます。

振りかけたらよく混ぜます。そのまま数十分以上放置してから,しゃぶしゃぶします。この方法はお魚などの 立て塩−霜降り の応用です。これをやると,お肉がパサパサせずにぷるるんと仕上がるのです。この豚しゃぶはあら熱をとってゆずポン+ネギで食すればまことに洗練された味わいです。

しゃぶしゃぶに使った昆布だしはお肉のうまみも出ているので,タマネギとキャベシを加えて煮込み,ついでに豆腐も加えて,味噌汁にするのが良いでしょう。

こうして兼業主夫の休日の午後は暮れていくのです。このくらいの品数になると,米は食べられません。それぞれのおかずをつまんでいると満腹になります。ただ,米の代わりに,米を使って生まれた液体はいただくのですが(画像/MWS)。








2020年9月7日




これは東京湾・お台場付近を漂っていた珪藻。浮いているので浮遊珪藻ともいいます。Chaetocerosの仲間で,Chaetoceros lorenzianusの近縁種だろうと思います。まだ生きている細胞で,細胞質の様子をみれば,元気な感じです。細胞から伸びている針のようなものは(先日も書きましたが)刺毛といいまして,これもガラス質でできています。ただの針ではなくて,電子顕微鏡で観察すると,くるくる巻いていたり,梯子のような構造があったりと,種により特徴的な構造があります。

こういった,とても繊細な珪藻を壊さずにサンプリングして観察するには,採水法が良いことも多いです。プランクトンとなるとすぐに,「プランクトンネット」をひいて採集というイメージがあるかもしれませんが,とても小さかったり,壊れやすいものなどは採水法によることも多いです。

採水は簡単で,バケツで水を汲めばいいのです。その水をペットボトルなどに入れて持ち帰ります。帰宅後,適当な容器に入れて放置すると珪藻などが沈みますので,そこに沈んだ珪藻をスポイトなどで取り出して,小さな容器に移します。そこでもう一度沈殿させます。そのようにして濃縮したサンプルを一滴とって検鏡すれば,きれいな珪藻の群体が観察できることが多いです。

あまり長い時間放置すると,バクテリアが大量に出てきて珪藻が死滅しますし,動物プランクトンに珪藻が食べられてしまいますので,観察は採水当日で数時間以内に済ませるのがコツともいえます。温度が高いときは冷蔵庫にサンプルを保管します。

きょうの画像はライツFluoreszenz 25xW によるもの。残存収差は画像処理で補正しています(画像/MWS)。








2020年9月6日




『珪藻美術館(たくさんのふしぎ傑作集)』が販売開始となりました。早くもお手元に届いた方もおられるかもしれません。全国の書店でお求めになれますので,大きな書店さんの児童書コーナーで現物をみてみるのもよろしいかと思います。小さな書店までは行き渡らないと思いますので,大型書店に出向くのが困難な方はamazonさんでお求めになるのも一法です。この本は珪藻の世界を案内する入門書でもありますが,カタログのような,美術書のような一面もあります。ので,プレゼント用にも向いているのではと思われます。

amazonさんのページは こちら です。ぜひ多くの方に,「このような世界がある」ということを「見て」ほしいと思います。

きょうの画像はカザグルマケイソウ。北海道の海底にいた珪藻です。『珪藻美術館』には,こういったふしぎで精密な形をした珪藻たちが満載です(画像/MWS)。








2020年9月5日












きのう(4日)は本ページへのご意見をいろいろいただいた珍しい日でしたが,そのうち3件が料理記事への反響でした。ここのところぽつぽつ料理記事への反響があるのですが,その多くが「共感」といったところの内容で,なかなか心強いのです。料理研究家からもコメントをいただいたのはうれしかったです。本来なら恐縮するところですが,この料理研究家は大学院時代の後輩なので,恐縮はしないことにします(笑)。彼女のサイトは こちら と こちら です。私の記憶が確かならば,彼女は海洋物理学をやっていたはずだけれども,海洋物理は料理の勉強に役立つのかも。。 筆者は当時海洋化学だったけど,いまは珪藻,顕微鏡,料理。。まぁ似たようなもんだ(笑)

ということで,女の子に弱い筆者はこれに気をよくして,きょうも料理の話を書くのです…。きょうは鶏もも肉の焼き方。

鶏もも肉は皮から焼きます。当店の焼き方の場合は下処理はしてもいいし,しなくてもいいです。テフロンのフライパンに,油を使わずに,そのまま皮を下にしてもも肉を置きます。火をつけて強火にします。ジューと音が聞こえてきたら弱火にします。ごく弱火です。この状態で放置します。

やがて皮と皮と身の間にある脂身から,脂が搾り出されてきます。このまま放置すると,この脂で皮が揚げ物の状態になるのです。ので,じっくり放置します。フライパンにフタはしません。

脂がじゅうぶんに搾り出されると皮がこんがり焼かれた状態になります。ここまで来たら,フライパンに溜まった油を除去します。除去の方法はいくつかありますが,筆者はお肉を押さえてフライパンを傾けて別の容器に流し出します。このとき,油だけであることを確認することが大事です。水分がある場合は,それは肉汁なのでうまみです。流して捨てない方が好ましいです(細かいことを気にしない場合は流してOKです)。

で,油を除去したらお肉をひっくり返して焼きます。このときもフタをしません。色を見て,肉汁の流れ具合を見て,焼けた色具合と肉汁がほとんど出なくなったら焼き上がりです。…というのが当店の鶏もも肉の標準的な焼き方。

この焼き方の場合,フタをしないので,つねに片面は温度が低い状態が保たれます。しかし片面はしっかり焼けます。ので,中央はほどよい焼き加減になります。これによって,肉汁を保持しながら,皮はぱりっと焼けて,お肉はやわらかという焼き上がりを実現できます。

この焼き方は,素焼き,塩焼き,つけ込み焼きのどれでも対応できます。素焼きの場合は網焼きや炭火焼きの方がおいしいのでそちらがよいかもしれません。軽く塩コショウをして1時間くらい放置してこの方法で焼いてもおいしいですし,生醤油で30分くらい漬け込んでこの方法で焼いても,とてもうまいです。素材の味がよくわかります。鶏肉ってこんなにウマかったんだーという焼き加減にできます。

この方法はいまから10年弱?くらい前にどこかのHPをみて,ウチと同じことをしてるんだーと感動して,その後は自信を持って自己開発してきたものです。

焼いて出てきた油は捨てることもありますが,もったいないので料理に使うことも多いです。その一例がきょうの画像5枚目。タマネギときのこのソテーですが,当室はソテー用の油は原則おいてありませんのでから煎りが基本。そこに鶏油があるわけですから,それを注ぎます。これでおいしさアップなのです。

ほかに,きんぴらごぼうとか,なす焼きとか,鶏油の使える場面は多いので,もも肉を焼いたときはその油も有効利用しましょう。究極の?技は,ニセ鴨そばに使うことです。ネギ・きのこをダシつゆで煮ておき,もも肉ソテー油を注ぎます。ここにそばを投入し,ニセ鴨そばの完成です。これがまことに「ニセ鴨そば」の味なのでございまして,食べれば納得かもしれません。

当室は台所作業をする皆様を応援しています。みなさん,楽しくお料理しましょう(画像/MWS)。








2020年9月4日






ミズダコは比較的手頃な価格だし味もわるくないので有り難いのですが,当店自慢の薄切りタコにすると,どうしてもミズがじゃぶじゃぶ出てきてよろしくありません。これの対策として昆布〆とか,昆布和えなどを試してきました。どの方法も有効ではありましたが,タコ本来の味に昆布の味が加わることになり,素材本来の味を楽しみたいときには邪魔なものでもありました。

そうした試行錯誤を経てたどり着いた処理法がきょうの画像。ミズダコは薄切りにしてキッチンペーパーを2,3枚重ねたものの上に置いていきます。わりとすんなり水が抜けるので,5分も放置すれば十分です。これを適当な容器に盛り付ければOK。しっかり水を抜きたいときはペーパーを多めにして,2回水を抜けばいいです。

ミズダコから水を抜くなど神を冒涜するような行為かもしれませんが,食べてみるとこれがなかなか侮れないものでありまして,ミズダコでもない,さりとてマダコでもない,水っぽくもない,十分にうまみを感じるタコを食することができます。

料理というのはこうやって一つ一つ自分で発見していくのが楽しいですね。プロのレシピをまねて作るのも良いのですが,筆者は手探りで思いついたことを試してみるのが好きです。小学校にあがる前から「実験」というのが好きだったのですが,料理はまさに「実験」の現場です。結果を予想してチャレンジしてみるその作業自体が楽しいのです。

あ,楽しいと書きましたが,これは,何でもウマイウマイと食べてくれる人の存在が不可欠です。ウチのカミさんは何でもウマイウマイと食べるので,料理を作る筆者も楽しく作業ができるわけです。

不幸にして,出された料理に手をつけずに,「きょうはこんなものを食べる気分じゃない」と別のものを自分で作って食べたり,作ってもらった料理を一口食べて文句だけつけるような人だったり,ちょっと口に合わないからと残してゴミ箱に捨てるような人と暮らしていたら,料理を作る時間は単なる苦行になってしまいます。

そういう残念な人と一緒に暮らしている人は,そんなバカとはさっさと相手と別れた方が良いです。なぜって? バカは死んでも治らない可能性が高いので,いずれは分かれることになるからです。ならばさっさと分かれて,何でもウマイウマイと食べる人と暮らせば良いのです。

おっと,ミズダコの話が心理学の話になってしまいました。いかんいかん(画像/MWS)。








2020年9月3日




いよいよ『珪藻美術館(たくさんのふしぎ傑作集)』の流通がはじまりました。筆者のところには,見本分+著者購入分が9月2日に倉庫から届きました。…ということは,大型書店などで早いところでは,9月2日か3日あたりが入荷日かもしれません。そのあとに整理されて販売が5日頃になるかと思います。東日本と西日本で流通速度に差があることがあるので,西の方は少し遅れるかもしれません。

いずれにしましても,来週初め頃には,全国の書店で販売開始となります。店頭でお手にとって見ることができますので,児童書コーナーに立ち寄ってもらえれば有り難いです。分厚いハードカバーの表紙はとても豪華な仕上で品格を感じます。これなら誰にでもプレゼントとして喜ばれそうな気がします。書店になかなか行けない,という方はアマゾンさんで予約受付中でまもなく販売開始なので こちら からご利用ください(画像/MWS)。








2020年9月2日




新型コロナウイルスを撃退するわんこ (画像/MWS)。








2020年9月1日




珪藻アートの製作はホコリやチリとの戦いですが,じつは撮影でも同等かそれ以上にホコリとチリとの戦いになります。特別に難しいのは,プレパラートの広い範囲を暗視野で撮影するという作業です。ガラスへの映り込みを防ぐために暗幕を貼ったりいろいろと工夫が必要ですし,チリ対策も重要です。

きょうの画像は顕微鏡にセットして,ホコリよけの穴あきシャーレをかぶせて,対物レンズで観察状態にして,仕事終了後に顕微鏡にビニールカバーをかぶせてから二日経過したものです。さすがに繊維のホコリのようなものは一切落ちていませんが,カバーガラス上面には無数のチリが付着しています。対策していてもこのような状態です。ふつうのご家庭で空調などが動いていれば,チリは秒速で積もっていきます。

これを完璧に拭くのがとても難しい作業となります。そして完璧に拭けても,写真撮影中に次々とチリが落下してきてプレパラートを汚すのです。ので,このような作業を行うときには空調を止めて窓を閉め切って8時間以上経過した部屋を使います。空気を乱さないようにそーっと動きながら撮影するのです。

でもいまは真夏です。東京都心で冷房を切って8時間,そのあとに作業…というのは生命にかかわりますので現実的ではありません。ので気休めに,作業前に空調を切って撮影をするわけですが,やはりチリはほとんど秒速で降り積もります。

これを完璧に除去することは不可能なので,なるべく追い込んだ絵を撮影して,あとはパソコン画面上でひらすらゴミ掃除…ということになるのです。

そんなわけで空調を使うシーズンは嫌いです。真冬なら完璧に拭き上げた標本をさくさく撮影して得られる絵も,真夏だと一枚得るのに二日かかることも珍しくありませんので(画像/MWS)。









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