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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
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2021年12月31日
きょうの画像は誰でも知っているクンショウモ。(有)グレンデルさんから粗培養を培地とともに分与いただいたものです。
さすがに培養株で新鮮なものなので群体の状態がよろしいものが多く画像記録として残しておくことにしました。
画像一枚目は水浸・微分干渉(対物60x,NA=1.2)です。いかにもクンショウモ(勲章藻)といったふぜいです。画像二枚目は糸を射出する部分で,水浸・微分干渉(対物100x,NA=1.2)です。低コントラストながら突起の先端から糸が出ていることがわかります。画像三枚目はそのコントラスト強調。糸が遠くまで伸びているのがわかります。
画像4枚目は位相差によるもの(対物20x,NA=0.75)。DMレンズですので微弱なコントラストの検出に向いていますが,糸がはっきりと見えています。画像5枚目は別の群体の様子ですが,位相差の環状照明によるピント深さと相まって,射出された糸が明瞭に判別できます。
このように検鏡法をいくつか試して見ると,「その構造を見るために適した手法」が存在することがわかります。微分干渉法は検出感度の高い優れた方法ですが,それでも位相差法の方が優位な物体も数多く存在します。
いろいろな検鏡法で水中の微生物を見ているとこれまで見えなかったものに気づくこともあり,まさに水中探検しているような気分になります(画像/MWS)。
2021年12月30日
29日も発送をこなして,夕飯後の顕微鏡タイムでは隣町の池の水からツヅミモ,ミドリゾウリムシ,ミドリムシの分離を試みました。当室は手狭でインキュベータは導入していないので分離培養といってもテンポラリーなものです。いわゆる「窓際培養」というものです。それでも,いつでもミドリムシが見られる生活が訪れればそれはたぶん楽しいものです。
きょうの画像はその池の水に入っていた謎の生物。復刊が望まれる世紀の名著『淡水微生物図鑑』を見ると,ポンフォリクソフリスというのがいちばん近い感じがします。
こういった物体を撮影するときに悩むのが対物レンズの選択です。高NAではコントラストが低くなりピント平面も薄いものです。低NAであればコヒーレンスの関係でコントラストは比較的高くなりしかし微細構造は潰れます。
きょうの画像は最初の二枚がNA=1.2,次の二枚がNA=0.8です。違う個体を撮影していますし,前者はカバーガラス水浸,後者はディッピング水浸です。読者の皆様はどちらの画像が好みでしょうかね。筆者的には前者なのですが(画像/MWS)。
2021年12月29日
28日はかなり手のかかる(時間のかかる)特注案件を処理しました。MWSは専従一名の個人事業主ですから指揮命令系統というものがありません。ぜんぶ自分の考えで仕事をしていけばいいので,相手先の要求に細やかにこたえることができます。ただ時間は有限なのがむずかしいところです。お役に立てることは何よりなのですがすぐに作業が飽和してしまい別の仕事が遅れることになります。ま,でも閑古鳥が鳴くよりはずっと良いですね。
夜飯を食べたあとは,少し疲れた感じがしたのでぼーっとしたあとに22時からの顕微鏡タイム。隣町の池の水があります。これを眺めていると脳みその疲れがとれるのです。。
きょうの画像はぼーっと眺めていて突然視野に現れたウチワヒゲムシ君。見た感じではPhacus gigasではないですね。パラミロン粒をたくさんため込んで,これは越冬するときの姿なのかしらなどと思ったりもしました。都内とはいえ結氷する程度の小さな池なので底層は4゚C近辺だろうと思います。珪藻なら元気な温度ですがミドリムシやウチワヒゲムシには低すぎるでしょう。
きょうの画像はライツの古い水浸対物100xによる撮影。微分干渉で直接焦点です。倍率色収差が盛大に残存していますが画像処理によって補正しています。1枚の画像をRGBに分解して,それぞれの画像の大きさを調節し,最後に加算合成すればRGBレベルでは補正できます。1枚の画像だけで修正ができるので動く物体でも問題なく,そこが軸上色収差補正と異なるところです。軸上色収差の補正には色ごとにピントを合わせた画像を取得することが必須だからです(画像/MWS)。
2021年12月28日
やっと在庫処分セール関連の作業が一段落しました。。いやーキツかったー。何しろ二十数枚の標本をスライドケースに収めるだけでも4時間近くかかります。。1枚1枚点検してスライド全体の清掃を行い,最後に標本面の仕上げ拭きをしてチリが付着する前に収納します。発送作業も慣れているとはいえ大量になると何時間もかかります。中でも時間を浪費するのが請求書の入力です。これをやると発送が遅れてしまうので今回は後回しにしました。
現在,標本がお手元にある方には全て請求書をPDF送付しております。もし請求書が届いていない,紙で発行し直して欲しい,という方がおられましたらめーるにてご連絡下さい。ezweb系からのご注文もありましたので,こちらからのメールがカットされている可能性があります。
さてセール関連の作業が一段落したものの,気分的には「これでようやく仕事ができる」という感じです。あれも仕事,これも仕事で片付けるのに時間のかかるものが山積みです。なんだか頭が重いのです。ので,少しでも年内に作業をすすめて,年明けに明るい気分になるようにいたしましょう…といった感じです。
きょうの画像はコアミケイソウの比較表面の微細構造。高分解能撮影で,だいたいこのくらいが光学顕微鏡NA=1.4の限界付近です。顕微鏡をいじりはじめた頃はコンデンサを開け閉めするくらいしかやることがなく手も足も出ない感じの学生でしたが,勉強すればするほど,1つの物体には驚くほど試すべき手法があって,どんどん構造も見えてきたのでした。使い方によって自分の見たい像を作れる,これが光学顕微鏡の良いところでもあります(画像/MWS)。
2021年12月27日
きのうの在庫処分セールは21時07分頃からはじめましたが夜中にぽつぽつと注文が入り朝までには半分程度が売約済みになっていました。その後も順次注文が入り,一日を待たずして円石藻スライド以外が全て完売しました。よって,実質,セールは終了です。ご覧頂いた皆様,ご注文いただいた皆様ありがとうございます。
J594,J632,J633以外のご注文につきましては発送処理を完了しております。明日か明後日にはお届けできる見込みです。今回は配達速度を重視したため請求書は同梱されておりません。後ほどメール添付にてPDFの形で請求書を送付させていただきます。紙の請求書が必要な方はお申し付け下さい。どうぞよろしくお願いいたします。
お届けした新たなスライドで皆様の顕微鏡ライフが充実したものになりますように。きょうの画像はナマコ骨片。偏光,位相差,微分干渉,いろいろな検鏡法で眺めて楽しい物体です(画像/MWS)。
2021年12月26日
ただいまから在庫処分セールを行います。今回はセール品のみのご注文を受け付けます。各種検査板やリサーチグレードなどのプレパラートは出荷停止中ですので同時注文は受けられません。ご承知下さい。いつもと同じように,品番と郵便番号,住所,氏名,電話番号,請求書の宛先を書いてメールにてお申し込み下さい。セールは こちら です。ブラウザで正しく反映されないことがあるので,その場合はリロードして下さい。どうぞよろしくお願いいたします(画像/MWS)。
2021年12月25日
よのなかはクリスマスらしいのでカラフルな珪藻を。むかしシネドラに分類されていた珪藻のように見えます。落射明視野での撮影で,条線内部の縦条線や先端付近の唇状突起の孔も見えています(画像/MWS)。
2021年12月24日
珪藻の山から被殻を拾っていると薄膜のようなものが見つかることがあります。たいていは殻帯片(ガードルバンド)のように見えますが,全然違う超薄いものもあって何だろうと思っています。珪藻が有性生殖時に作るペリゾニウムというシリカの膜かもしれません。
そんな薄膜をマウントして暗視野で検鏡するときょうの画像のように鮮やかな構造色を呈することがあります。対物NA=0.4でこれだけ色の濃い構造色が見られる珪藻は多くありません。ので,こんな薄膜も拾ってストックしておいてマウントしたくなります(画像/MWS)。
2021年12月23日
コアミケイソウ(Coscinodiscus属)の被殻表面に存在する微細構造の世界。落射明視野。まるで花火を見ているかのようです(画像/MWS)。
2021年12月22日
このところ約2ヶ月,リサーチグレードの珪藻プレパラートが出荷できなくなっています。お待たせしているお客様には本当に申し訳なく,お詫び致します。
散布スライドに使っている封入剤はPleuraxというものなのですが,この封入剤が謎の変質を起こして原因究明・対処中です。この封入剤はとてもデリケートです。汚い封入でいいなら何も考えずに使っても十分な見えですが,夾雑物のないきれいな視野を達成しようとすると,とてつもなくハイレベルの化学的センスを求められるような気がします。この封入剤を使って26,7年以上が経過していますが,まだよくわかりません。
購入するロットでまったく品質が異なり,透過率も,顆粒の混入率も,顆粒の粒径も異なります。リサーチグレードではPleuraxのろ過品を使って封入していますが,このろ過作業が言語に絶する難しさです。グラスファイバーフィルターしか使えないのですが,ロットによっては粒子がこれを通過するものがあるので,精製できないのです。吸引濾過が精密さでは優れていますが封入剤を薄めて粘度を低くする必要があります。これを再濃縮するとトラブルが起きます。
かといって粘度が高いものを加圧濾過すると,ろ過装置の漏れやガラスファイバーの破損,混入などいろいろな問題が生じてろ過実験しているだけで何日も消費して資材もなくなっていきます。。ろ過の成功率はここでは書けないほどのものです。
マジ疲弊しました。
その疲れたときに事故は起こります。深夜に左手にPleuraxをどばっとこぼしてしまいました。おおよそ考えられる最大級の悪夢といってもいいかと思います。この封入剤を扱ったことがある人なら多少は理解できるかもしれません。拭うことさえ困難なのです。
化学的な選択肢は三択です。エタノールで手を洗う,アセトンで手を洗う,ジクロロ,あるいはクロロホルムで手を洗う,といったところです。実際は有機塩素系溶媒は当室では使わないので,エタノールかアセトンとなります。仕方なくエタノールで手を洗い,脱脂した手にワセリンをすりこんで寝ました。
その後も濾過装置をひっくり返したり,ろ過システムから漏れが生じたりフィルターが破れて破局的な展開になったりして,どうしようもない展開となっています。まともにろ過できる方法も知っているのですが,そのやり方を使うと装置がコンタミしてしまい洗浄するのに大量の有機溶媒を必要とします。それを避けたくてコンパクトな方法で実験していますがダメですね。。
当サービスのリサーチグレード標本は愛用者も多いのですが,これの製作の影には,こんな感じの開発物語?があったりするのです。Pleuraxは屈折率の高い便利な封入剤ではありますが,その使いこなしは登場から100年経過しても,まだ難しいような気がしています
きょうの画像はそんな話題とは関係のないカザグルマケイソウ。低屈折率の封入剤でのマウントですが壊れていてなお優美なものです(画像/MWS)。
2021年12月21日
ミドリムシは新鮮なサンプルだと伸び伸びしているのだけれども,翌日見ると「あれ,いない」と思うほどに見当たりません。よく見ると緑色のボールがたくさん転がっていて,どうやらミドリムシが丸まっているようです。たぶん,緊急避難的に休眠したのでしょう。
他方,ウチワヒゲムシは丸まっているのを見ることはありません。細胞はそんなに変形できないくらいの丈夫さを持っていてそのままの形で泳ぐしかなさそうです。両者ともにパラミロンやそれに類似したグルカンを持っているように見えるので,耐久的に生き残る貯蔵物質はありそうです。
こういった違いが生き残りに与える影響はどんなものでしょうか。ミドリムシは冷蔵庫で保管してもしばらくは生きている感じがあります。ウチワヒゲムシはよくわかりません。
こういったところでちょっとした差があると,100年,1000年の時間の中では優位な方が生き残りそうなものですが手持ちのサンプルの中では両者なかよく?見つかります。天然の条件ではさらにパラメータが多く,単に暗条件や栄養条件だけでは計り知れないものがあるのでしょうね(画像/MWS)。
2021年12月20日
先ほど顕微鏡警察からメール連絡があり,なんでも,渋沢栄一を扱ったNHKの大河ドラマの一場面で顕微鏡が出てきたとのこと。しかし対物レンズがついていないのではないか? 主役は顕微鏡を覗いた風の演技をしているだけではないのか? という疑念が生じたとのことでキャプチャ画像が鑑定用に送られてきました(笑)。それがきょうの画像。
なるほどこれは偏光顕微鏡に見えます。フォーカスノブの形状とアナライザの方解石プリズムの形状を見るとライツの1900年代初頭くらいのものかもしれません。ただ,対物レンズの心出しネジは別方式のものもあったはずなので,ライツと似た別のメーカーかもしれません。ステージは回転型。コンデンサはニコルプリズム入りに見えます。
顕微鏡警察の意見通り,対物レンズはないように見えます(ネジはRMSに思えるのでこんなに薄型のレンズはありません)。コンデンサの位置も下げすぎに見えます。鏡筒長調節の目盛りは見えず,ミラーの角度は光源側を向いていないように見えます。標本は乗っているものの,この顕微鏡を覗いても物体像は見えないと判定されます。
こんなレベルでテレビドラマの作り込みをしているとすれば悲しいレベル。SF映画などでも,顕微鏡のセッティングがおかしい場面を見かけた記憶がありますが,現場指導のレベルが低いのですね。
今から四十年以上前に,「スープを飲む演技は簡単だ。本当においしいスープを飲めばいいのだから」といった映画監督がいましたが,これと同じことが顕微鏡にもいえます。完璧なセッティングの顕微鏡でホームランレベルの標本を覗けば物体そのものに没頭できるので演技などほとんど必要なくなるでしょうし,あるいはまた演技のコツを役者なら一瞬で掴むことでしょう。
世の中いろんなところで顕微鏡警察が目を光らせています。時代劇で小物を使う際はじゅうぶんご注意を。
(追記 09:00) その後の顕微鏡警察からの情報で,この場面はプランクトンを覗いているところだったのだそうです。うーむいくらなんでもそれはあり得ない。。これをセットした方々は少なくとも自然科学系が専門ではないと思いますが,自分たちが何を知らないかということにも気づいていない…。それで「おままごと以下」の仕事をしてその不自然さに誰も気づかず,これが全国放映されてバカがバカを生み出す構造になってしまっています。
テレビドラマなんてそんなもん,なのかもしれませんが,例えば外科医が手術する場面ならどこかに監修者がいて,もうちょっとマシなのではないかしら,などと思ってしまいました(画像/読者からの頂き物)。
2021年12月19日
そろそろクリスマスが近いですが,福音館書店さんが こんな 紹介をして下さいました。多くの方に広めたいの拡散して頂けますと幸いです。よろしくお願いいたします。
きょうの画像はプレウロシラ。一枚目は殻の表面,二枚目は殻の内側。孔は表と裏でつながっています。表面の孔の開口が小さいのはウイルスなどが容易には入れないようにしているものと想像されますが,内部の開口が大きくなっているのは何故なのでしょう。ハニカム構造で強度を保ちつつ,材料を減らして節約しているのでしょうか(画像/MWS)。
2021年12月18日
プレウロシグマといえば,三本の線が等しい角度で交わるような構造が有名で分類の指標にも使われてきました。この構造は被殻の裏側のハニカム構造を見ているのかもしれません。反射光を拾って表面を見てみると,なんと直線のスリットが整列する他にはなかなか見られない独創的な構造が現れるのでした。これを見つけたときには信じられず,何度も何度もピント面を確認して,たぶんこれだろうと思う像面を撮像しています。比較表面の開口はけっこう多様性があり,ほかのプレウロシグマでは極小の点だったりします。検鏡テクニックとイメージング技術が身につくほど,自然の多様性の世界に足を踏み入れることができるようになる気がします(画像/MWS)。
2021年12月17日
16日は旧知の顕微鏡関係者3名の訪問をいただき「顕微鏡の夜」となりました。正直にいえば「酒と顕微鏡の夜」だったのですが…。面倒くさい感染症のために一年ぶりの再会となりましたが,その間,皆様独自の進化を遂げていて新しい情報を交換できる夜となりました。
後半は「筆者の作る夕食を食べる会」みたいな変なことになりましたが,当室の調査員Aの強力なバックアップもあり,四川料理屋さんの餃子が本当にうまいのか? 判定会も開かれ,国立大学名誉教授,会社の代表,数々の受賞歴を誇る研究員からOKを頂いたのでした。
きょうの画像は前半戦でご覧いただいたヒトツメケイソウの「一つ目」の部分。気合いのイメージングをすると,こんな素敵な構造が出てくるんですね。うっすらとは認識していましたが,こんなにはっきり画像にできたのは初めてです。もう10年以上も見ている珪藻ですが,まだまだ見ていないものがあるのです。油断大敵です(画像/MWS)。
2021年12月16日
いかにもガラスに包まれている…という感じがするのはピンヌラリアかなぁ。池や沼の泥の上で見つかることの多い淡水産の珪藻です(画像/MWS)。
2021年12月15日
いつ見ても和むウチワヒゲムシ。これ,培養して商品化できないかしら。おっきくて緑色が優しい感じで教材にも最適な気がします。培養の専門家に依頼したくなる気分(画像/MWS)。
2021年12月14日
お魚さんの体表面についているグアニン結晶は包丁でゴシゴシやらないと採取できませんが,ゴシゴシの過程で破壊されるものも相当あるだろうと思います。きょうの画像はタチウオのグアニン結晶(と思われるもの)を透過暗視野で撮影したもの。暗視野照明の結像特性により結晶の輪郭のみが浮かび上がっていますが,バキバキに折れているものがたくさんあるように見えます。。
結晶が重なったところで色が出ていますが,これはたぶん,入射光と結晶層の間で干渉が起きて色が出て,その色により近傍の結晶が照明され,輪郭に色がついたものと想像しています。入射側からみれば明るくカラフルになっているのだろうと。
珪藻でも暗視野で鮮やかな色が出るものがいますが,回折や干渉によって生じた色が周囲を照らして散乱光になったものもあるだろうと思います。色の出るメカニズムは奥深いものです(画像/MWS)。
2021年12月13日
グアニン結晶の屈折率は一説によると1.83程度あるそうで,これはとんでもない屈折率ですね。そこいらへんのお金持ちが特注したツァイス製の高屈折率メガネよりも高いのです。なんでこんなに高い屈折率が必要なのかというと,それは垂直入射に対する反射率を稼ぐためでしょうね。水中でミラーのような輝きを持てば,周囲の光環境と区別が付きにくくなり,存在を消せる可能性が高まります。
きょうの画像1枚目は落射明視野によるものですが,さすがの屈折率で薄っぺらい結晶でも光を跳ね返し,近隣の結晶と重なったところでは干渉を生じて色が出ています。このような現象が起こるのも,水(1.33)の屈折率よりも遙かに高い屈折率をグアニン結晶が持っているからです。
しかしそんな結晶も恐ろしく薄いので透過光を使うとコントラストが出ません。画像2枚目は微分干渉の像ですが,屈折率差の割にはコントラストが出ていません。結晶はうんと薄いのです。偏光ではほとんど見えませんし,位相差ではDMでちょうど良いくらいのコントラストの低さです。
顕微鏡観察の面白さはこんなところにもあります。物体を見て,コイツをどう料理すれば美味しくなるか,そんな感じで最適なコントラスト法を即時に思いついて実行してイメージングする。これは獲物を捕らえるような感じかもしれません。狙い通りにできたときには,「ほほっ」と思うくらいには達成感?があります(画像/MWS)。
2021年12月12日
はるばる南国からやってきた先生は筆者の特性を勘案して砂糖を含有しない各種手みやげを持参下さいました。自然の果実と,果実のドライ品と,根菜のドライ品です。素晴らしいですね。そういった食料品に加えて持参頂いたのが大学構内の池の水の沈殿物。これまた素晴らしいものですね。東京都心の池の水はときどきみていますが,南国の池の水はそんなに見る機会がないので,未体験のものを見ている気分です。双眼顕微鏡の視野の出来事ですがつかの間の小旅行といった感じもあります。きょうの画像のような緑藻類が次々と出現して一服の清涼感を味わえます。種名なんて調べていません。きれいだなあ〜と眺めていればいいじゃないですか(画像/MWS)。
2021年12月11日
10日はMWSライブセルイメージングセンターのお仕事でした。南国より空路はるばるやってきた大学の先生をお迎えして,その大学のイメージング設備では対応できない微細藻類を,当室の水浸対物イメージング技術によって解決しようという共同研究案件です。対象となる微細藻類はとても小さく,きょうの画像の目盛りの半分くらいの細胞幅です。細胞幅からみるとほとんど円石藻サイズで,このような小さな,コントラストの出ない物体は当サービスの高いイメージング技術が威力を発揮します。
13時半から始まった顕微鏡の午後は,途切れることのない研究のディスカッションと平行しながら18時過ぎまで続き,目的の画像は取得できました。しかし当センター的に見るとまだまだ追い込みが足らず,検討項目は多岐にわたります。微細藻類を預かり,海水に植え継ぎ,海水+シリカ溶液に植え継ぎして様子をみています。この種の仕事は「良い細胞を得る」ことが何より大事ですが,培養試料は変形細胞が多数を占めることも珍しくないので,コンディション調整が必要になることが多いのです。
南国の先生を巣鴨駅まで見送ったあと,ライブセルイメージングセンターの明かりはついたまま。現在25時27分ですが,独身だったらこのまま翌日までイメージングしているだろうなぁという勢いで作業をしています。時間を忘れて仕事に没頭できるのは本当に幸せです。はるばるいらっしゃった南国の先生にはほんと,感謝なのです。
この仕事が入ったため,現在ほかの作業は一時的に中断しています。一部の発送等がさらに遅れますがどうかご容赦下さい。すみません(画像/MWS)。
2021年12月10日
きょうの画像は特に薄い珪藻被殻の破片。微分干渉法でもこのくらいのコントラストしか生じません。ほとんど透明な膜のように見えます。等倍で切り出しすると画像2枚目のように微細構造が弱くコントラスト生成しています。このような物体こそ光学テストに向いているのですが数が入手できません。。
十年以上前に,日本を代表する光学メーカーさんに,この薄膜をテスト物体として提案させて頂いたことがあります。メーカーさんいわく,「これほどのものはこちらは求めていませんでしたが,覗いてみてコントラストが気に入りましたので買わせて頂きます」との対応をいただいたことがあります。「コントラストが気に入りました」 いやーしびれる言葉です。さすがはトッププロ集団の現場なのだなとあらためて感心したことを思い出します(画像/MWS)。
2021年12月9日
きょうの画像も珪藻被殻の破片。これで一部分なのですからひじょうに巨大な珪藻だっただろうことは想像できます。この破片の穴ぼこには特徴があるので,おそらくはイスツミアという珪藻の破片だろうと思います。しかしどのくらい大きい細胞のどこの部分の破片かは判然としません。海外の珪藻化石の写真集などを見ていると,大きな珪藻でも壊れずに全体像を捉えているものがあります。いったいどれほど保存の良好なサンプルだったのか? それをどんなテクニックできれいに処理したのか? まだ見ぬ世界があることを思い知らされます(画像/MWS)。
2021年12月8日
珪藻の形態はたぶん基本となるものがあって,それの変種という感じでバリエーションが増えるのだろうと想像します。たとえばある種の三角形の珪藻が基本で,四角形,五角形,六角形が存在するなどです。バリエーションの形は基本形よりも少なくなるのが常なので出会うのが難しくなります。筆者の経験では,たとえばトリゴニウム(ミスミケイソウ)では三角形はふつうで,四角形になるとやや少なく,五角形になるとこの10年で2回,六角形は一度しか見たことがありません。きょうの画像の珪藻も初めてみたもので,基本形は傘内部の放射状模様がもっと少ないのです。そして珍しい珪藻あるあるなのですが,完全な形で出てくることは滅多になく,必ずどこか欠けていたり,孔があいていたりするのです…。大型種の場合でこれが顕著で,特に化石珪藻を発掘していると,なんじゃこりゃというような大型の珪藻被殻が出てくることがありますが,完全体を見たことがありません。みんな破片になっていて,それも一部だけです。まぁ当然,堆積時にも壊れるでしょうし,ベントスやプランクトンにバリバリと噛み砕かれたらひとたまりもないですよね…(画像/MWS)。
2021年12月7日
ふだん顕微鏡とは関係のないくらしをしている方々に顕微鏡を覗いてもらうときいちばん大切なことは,接眼レンズが「ハイアイ・広視界」であることだろうと思っています。覗きやすさは何より重要なことです。一般の方々は例えば望遠鏡のOr4mmを覗くような訓練はしていませんので,狭い視界でぎりぎりのアイポイントの接眼レンズでは頭の定位は無理ですし,目を接眼レンズに衝突させたりもします。観察どころではありません。お子様でも事情は似ていて,鏡筒を握って覗こうとします。頭が動くので定位にしようという本能かもしれません。
このようなことがあるので,初心者には,倍率色収差補正や良像範囲などはほとんどどうでもよく,ハイアイで広視界であることが「覗いてもらって像を確認する」までの第一歩としてとても大切なのです。昨日の更新でヘンゾルトのタミちゃんをハイアイ広視界にできて喜んだのも,そんな背景があるからです。
きょうの画像は日本光学の携帯顕微鏡H型。付属の接眼レンズでは視野も狭くハイアイではないので,筆者は展示用では必ずHKW接眼レンズを持参して使っています。HK.5,HKW8,HKW10,HKW15を持って行けば,倍率も明るさも変えられますしハイアイで広視界で遙かに覗きやすくなります。
小学校などの学校教育用顕微鏡でも,のぞきにくい接眼レンズを採用したものは多いです。そういった機種はいち早く捨てて,ハイアイ,広視界接眼レンズで快適に観察できる中国製の顕微鏡などを導入した方がよろしいかと思います。扱いづらさが原因で観察対象への興味を失ったとすれば,こんなに大きな損失もないことでしょう。この辺りのことは顕微鏡メーカーさんにもじっくり考えていただきたい課題です(画像/MWS)。
2021年12月6日
ねざけを飲みながら顕微鏡をなで回していると突然のひらめき。ヘンゾルトのタミちゃんの接眼筒を外すと,そこにHKW15xがすっぽりはまる。見え味も問題なく,広視界でハイアイになりました。うれしい…。画像2枚目はその状態でコリメート法による撮影。窓際の散光照明ですので像が少し乱れていますが,軸上色収差,倍率色収差ともに見えません。珪藻の微細構造も見えていて,このくらい見えればフィールド持ち出し用としても考慮に値します。100年前でも良いものは良い。さすがはドイツ製品です(画像/MWS)。
2021年12月5日
コントラストが異なる物体を一緒に並べるとちぐはぐな見栄えになって見劣りすることがあります。現生の放散虫などはひじょうにコントラストが低いものがあり珪藻と一緒に並べるとバランスが取れないことも多いです。しかしなぜか化石試料の場合,珪藻も放散虫もどちらもじゅうぶんなコントラストが出ることがあり,一緒に並べてもじゅうぶん使い物になることもあります。あまり新しい化石だとダメで,最低でも1000万年前以上,もっと古いとよいです。きょうの画像はニュージーランドの化石試料ですが,5千万年前近くでしょうか? 日本近海の珪藻化石よりもだいぶ古いものですが,珪藻と放散虫が似たようなコントラストで見えています(画像/MWS)。
2021年12月4日
きょうの画像は珪藻の休眠胞子(resting spore)です。Chaetoceros属などの一部の珪藻はきょうの画像のような分厚い殻をもつ休眠胞子を作ります。これは重いのですぐに沈降して海底で眠りにつくことになります。そのまま目覚めることなく化石になってしまうものもあり,珪藻土の中にはこのような休眠胞子が見つかることもあります。
それらを拾い上げて並べてみたのがきょうの画像ですが,分野外の方々には何か並べたんだなーと思う程度のものかもしれません。しかしこの分野の専門家が見れば仰天するようなものです。集めることの大変さも,並べることの難しさも,封入剤の浸透の困難さも,何もかもがむずかしいのです。筆者の学位論文は浮遊珪藻類の休眠胞子形成に関するものでしたので,視野一杯に休眠胞子が見えると,特別の感情が生じるような気がします(画像/MWS)。
2021年12月3日
ヒトは緑色との相性が良いらしく人工物でも自然物でも緑色に好印象を抱くと品田穣先生の本に書いてあった気がします。森林の緑でなくても,水田とか畑でもかまわないそうです。
さて顕微鏡観察でも同じようなことがいえる気がします。生きた珪藻は茶褐色的な感じなので,これをずっと眺めていても脳が色彩的には刺激されません。そこに緑色の藻類が視野を占めるようになると意味もなく眺めてしまいます。なんだか良いもの(色)をみている気になるのです。一般的には「アオミドロ」と呼ばれて忌避されているような藻類でも顕微鏡で見ればよい眺めのような気がします。
ルビー(赤),サファイア(青),エメラルド(緑)を並べたら,どれをずっと眺めているでしょうか。筆者的には断然エメラルドです。小学生低学年の頃,岩石・鉱物の本のエメラルドを眺めていた記憶があります。同じ頃,かんらん石なら自分で見つけられるんじゃないかと,毎日下をみて歩き,気になった石ころを拾っては金槌で割って緑色の鉱物を探したりもしていました。
そういえばハゼの目玉は深い緑色のものが多くこれも眺めて見飽きないものでした。フグにもそんなのがいたかと思います。中学生ではじめて買ってもらったスポーツタイプの自転車「ロードマン」は,なんとメタリックグリーンでした。
中年オッサンになってから人生を振り返ると,人生を操っているパラメータみたいなものが見えてくる気もします。筆者にとって緑色はそのひとつなのかもしれません(画像/MWS)。
2021年12月2日
とん汁に入れる芋類の中で最高なのは「むかご」です。いまから20年くらい昔に発見しました。秋になればきのこ狩りと自然薯のムカゴを取りに出かけたものです。八王子西部の山猿だった筆者にとってはムカゴなどいくらでもとれます。
あるとき,カミさんをつれて秘密のムカゴ場所で収穫していたら,ヤブから親くらいの年齢のオヤジさんが出てきて,「ムカゴ,とったかー」と一言。30代そこそこの若造の筆者は,それでも傘をさかさまに広げての本格的ムカゴ採りです。オヤジさんは収穫を見せて自慢げに,「これをフライパンでバターで転がしてつまみにするとこたえられない」と一言。そこで筆者はすかさず,「ウチでは,芋の代わりに豚汁に入れるんですよー」と。オヤジさんの顔色が変わり絶句。ちょっとの沈黙のあとに声が若干震えながら「それは…うまそうだね」の一言。
自然の恵みを収穫していると,こんな感じのやりとりが結構あります。今風の言葉でいえばマウント合戦ですが,そんなにつまらないものでもなく,耳学問もできて楽しいものです。こういった瞬間勝負は,「相手より上手の情報を一瞬で提供する」ことで勝利が決まるので,人のわるい筆者はついつい,勝負に出てしまいます(笑)。だってムカゴなんて小学生の頃から食べているんだもん。
でも,勝つのが目的ではないんですよ。情報を与えるのが目的です。「うまそうだね」とすぐに肯定してくれた人の好いオヤジさんはきっと,豚汁に自然薯のムカゴを投入したはずです。そして,この煮崩れしない,皮目の風味が残ったムカゴならではの味わいに膝を打ったのかもしれないと,勝手に想像しています。
とろろ芋のムカゴはスーパーなどにも売っていますので,ちょっとお値段が気になるのは別として,本ページの読者の皆様も試して見ても面白いかもしれません。山菜好きの方などには納得のお味かもしれません。ムカゴは皮ごと食べるので,洗ってそのまま放り込めば大丈夫です。
お庭のある方は,スーパーのムカゴ,あるいは自然薯のムカゴをとってきて庭にまいておけば,2年後からムカゴが収穫できるようになりますよ。バルコニーでの栽培も可能ですが水やりが結構大変です…。
きょうの画像は最近作ったムカゴとん汁。材料はタマネギ2個,にんじん,ゴボウ,バラ肉,エノキダケ,ブナシメジ,キャベツ,ムカゴ,鰹節(8g),仙台味噌,水少々です。えらい料理人たちは味噌を溶いて煮込むと風味が飛ぶので二回に分けて入れたりしていますが,個人的には邪道です。ウチのとん汁は野菜が崩れるほど充分に煮込んでダシが出たところに味噌を加えてさらに煮込みます。具材のダシがしっかり効いているので味噌の風味などという些細なことはどうでもいいです。画像をみてもお分かりいただけるかと思いますが,味噌汁の概念からは逸脱していて,「鍋物」の域に侵攻しています。ので,味噌を入れて煮込んでいいのです(画像/MWS)。
2021年12月1日
サワラのグアニン結晶。まさにマイクロミラーという視野をみつけて撮影。なんというか,こういった結晶を眺めるのは清涼感があるような気がします。脳みそがクールダウンします(画像/MWS)。
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