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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
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2021年11月30日






てもちの試料のなかには干潟のものがあって,この泥だらけの試料はどうしても珪藻がきれいになりません。長い立派なニッチアが入っているのですが多くは汚れています。可能な限りきれいな珪藻をマウントするのが当サービスの仕事でもあるので,そのまま使うわけにもいきません。かといって捨てるのももったいないです。他の試料には入っていないニッチアなので。。

などという試料が数年間,十年間も放置されていたりするのですが,拾い出しをしていてなんとなく,このニッチアを切り刻んでみたくなりました。このサイズのものを自由に切り刻んだら楽しいだろうなぁと。それで切刃が30μm弱くらいのマイクロナイフを作ってみました。それでニッチアを切り刻んだ結果がきょうの画像。まー簡単とはいえませんが,やればできるものですね。うまく刃を当てることができれば,ポン!という感じではじけ飛ぶように折れます。

テストプレートでは珪藻の周期構造がはっきり見えればいいので,このような切った珪藻被殻でも充分利用可能ですし,平面性の高い部分を密着できる利点もあって,材料として使えるのではないかと思ったりもしています(画像/MWS)。








2021年11月29日






ことしに入ってから? いくつかのブラウザが,それまで参照していなかったExif情報を表示に反映させるようになりました。このせいで,Exif情報によらず,「画像の回転」などでレイアウトを決めていた本ページは表示がぐちゃぐちゃになり大打撃を被りました。横表示のものがひっくりかえったり,クリスマスツリーが倒れたりと,「本日の画像」もメチャクチャな表示になって本当に困り,また腹立たしく思いました。影響の大きなことが起きるのはわかりきっているのに,勝手に仕様変更するなよバカヤロー,と思うのです。

Exif情報を書き換える(削除する)ファイルが膨大な数になるのでずっと放置してきましたが,28日は重い腰をあげて,過去10年分以上の画像ファイルを精査してExif情報を修正しました。これでぐちゃぐちゃになってしまった本ページも,ようやく大部分が元通りになったものかと思います。マジ疲れました……。

きょうの画像はそんな話題とは関係のない,9年以上前に撮影したもの。お世話になっている先生にAOの干渉顕微鏡ユニットを貸してもらい干渉像が出るかどうかをテストしていたときに撮影したものです。あるポイントで視野が鋭敏色になるところがあり,そのときに干渉像っぽい絵が見えました。しかしユニットの構成を完全には理解できていなくて,この絵を得たときも,たとえば適当なところにλ板を突っ込んだり,アナライザを回したりということに考えが及ばず,この干渉顕微鏡のたった一断面しか見えない絵を得て終わってしまいました。

手持ちでは古い微分干渉顕微鏡がありますが,もっと欲しいのはJamin-Lebedefの干渉顕微鏡です。何度か方解石を切って研磨して自作を試みましたが干渉像を出すには至っていません。かといってそこいらへんに中古が転がっているものでもないので,オークションを探すのと自作とでは,どちらが早いかもわからないというレアなものです。

干渉位相差顕微鏡も状態の良いものを入手したいと思っていましたが,何度か現物を入手して,いずれも劣化が激しくて入手はあきらめました。

どうして干渉顕微鏡って,遠い存在なんでしょうねえ。いちばん簡単なのは,金属顕微鏡の干渉対物を手に入れることかもしれませんね…(画像/MWS)。








2021年11月28日














グアニン結晶といえばサワラよりもタチウオを思い浮かべる人が多いでしょう。全身銀色のおいしいお魚で,身にまとっている銀色の粉は初期の模造真珠に使われていたことを知ったのは小学校4年生の頃。43年も前の話です。当時の釣り雑誌は教養書としても通用するようなレベルの高いものがあり,単に釣り情報だけでなく魚にまつわるいろいろな科学も紹介してくれていました。

さてそれでタチウオの表皮を包丁でこそげとって水に溶けば,それは見事な銀色塗料のようなものができます。さぞかし立派なグアニン結晶だろうと顕微鏡にかけてみれば,サワラよりもずっとわかりにくい形態のものだったのでした。。

サワラの場合は六角形的ないかにも結晶を思わせる形態を確認できるのですが,タチウオの場合はぺらぺらの薄板という感じで,どれも折れており,末端がどのような構造なのかを知ることができません。タチウオは連続的にグアニンの薄板を成長させ続けるようなメカニズムを持っているのでしょうか…多重反射についてはサワラと同じ感じで,結晶が積み重なったところであちこちに干渉色を生じつつも平均的には入射スペクトルをそのまま返している感じです。

グアニン結晶の形は種ごとに決まっているのでしょうか。同じ銀色でも異なる結晶の形を使うとすればそれは何のためなのでしょう。観察が新たな興味を生み出します(画像/MWS)。








2021年11月27日














サワラを食べたかったのは顕微鏡観察したかったからというのが影の理由。約10年前にもみていますが当時よりシステム構成がよくなった感じなので新しく撮影したくなったわけです。撮影対象はサワラの体表面にある結晶。包丁でこそげ取って水で溶き,そのまま少量をカバーガラスで封入して検鏡します。

画像1枚目は反射率の高い部分の構造。細長い結晶が折り重なって多重反射による高い反射率を実現しているようです。そして反射率を調節しているのか,均等に黒い光吸収物質が存在しています。画像2枚目はやや反射率が落ちている部分。結晶が正六角形に近い感じで結晶の幅は大きくなっています。ここも同じように黒い粒があります。画像3枚目はさらに反射率が落ちている部分。結晶はさらに大きくなっています。

画像4〜6枚目はばらけて水に分散した結晶を撮影したもの。いずれの結晶もグアニンだと思われますがその形態が多様であることがわかります。きわめて薄い結晶ですが垂直反射率が高く相当な高屈折率物質であることが想像されます。平面性がきわめてよく,結晶が重なるとそこここで干渉縞が発生します。

すべての画像で干渉色が見えていますが,ランダムな重なりで干渉色が出ているだけなので反射光は平均的に見れば入射光とだいたい同じスペクトルになるようです。干渉色の制御ができれば鮮やかな発色も可能なはずで,じっさい,生きているときは鮮明なカラーでも死ぬとすぐに色あせてしまう魚類は多いです。グアニン結晶の積層構造が発色に効いているからだといわれています。

グアニン結晶は古くは模造真珠の製造,新しくは機能性材料として常に注目を浴びてきた存在です。web上にも面白い資料が こちら とか こちら とか こちら に転がっています。

しかしそれにしても自然は偉大というか何というか。大海原の有光層を泳いでいるお魚さんは腹部が銀色のものがとても多いのですけれども,隠れるもののない水中で身を隠すには自分の体をミラーにして周囲の環境に対して保護色にするしかないのでしょう。そしてそのためにグアニンという生物素材としては例外的な高屈折率の結晶をミラーとして使い全身にまとっているのです。銀色の魚は全身を結晶平面ミラーで覆われた光学的物体でもあるのです(画像/MWS)。








2021年11月26日




すっかり秋の風物詩となった藤原財団の第13回ナチュラルヒストリーフォトコンテストの締め切りが迫ってきています(11/30)。誰でも応募でき,応募方法も簡単で,ケバケバしくない画像でもきちんと審査して選定してくれる素晴らしいコンテストです。読者の皆様のHDDに眠っているナチュラルヒストリーを公開するにも良い機会かもしれません。応募の詳細は こちら です。この週末の一仕事としてみてはいかがでしょうか。

きょうの画像はそんな話題とはあまり関係がなさそうなクモノスケイソウの中央部分。光でさえも振動方向によっては通過できないほどの細いスリットが放射状に並んでいます。自然が生み出した造形でありこれもナチュラルヒストリーを感じさせるものですが,一般には,「顕微鏡写真」という「特殊分野」と見る向きが強く,肉眼世界とミクロ,マクロ,望遠の世界がどれも区別なく同じ存在として認識されるにはまだ時間がかかりそうですね(画像/MWS)。








2021年11月25日










へんな魚おじさん(youtuber)が秋はサワラがうまいと言っていたのでサワラが入荷。家庭用の大きめのまな板でもはみ出すサイズですがサワラとしてはまだ子どもでサゴシとも呼ばれます。これが一本で398円。どう考えても送料以下の価格。「塩焼き,煮付けに最適」とありますが,筆者は能書きを信用せずに食材と対話します。サワラのお顔,皮の輝き,身の張り具合を見れば,「お刺身OKですよー」の情報が得られます。だいぶ前に,近所の工業大学の先生に教わったのですがサワラの刺身はなかなか良いものなんです。

さっそくおろしてみればワタ焼けも少なく刺身でじゅうぶんOKでした。ので三枚におろして皮を引いて刺身にしました。皮を引くときに船行を使ったのが敗因で身が一部ぼろぼろになりましたが,それはネギとたたきにしました。引いた皮とアラ,カマ,アタマは酒を振りかけてしょうゆとショウガを加え,電子レンジでチンしてあら煮になりました。とても400円とは思えないボリュームのある刺身とたたき,あら煮になりました。

サワラは焼くだけでも煮るだけも美味しいですし漬け込んで焼いてもよろしいです。ご家庭でももっと利用されてよい魚と思いますがスーパーのパックコーナーにはなかなか並びませんね。魚臭さが出にくい感じもあるので,お弁当や,お子様の焼き魚,煮魚入門などにも良いかと思いますよ(画像/MWS)。








2021年11月24日




ビドゥルフィアの穴ぼこの内部構造。落射明視野による像で,通常は電子顕微鏡で観察するサイズ領域です。『驚異の珪藻世界』という本の45ページでこの珪藻の走査型電子顕微鏡の写真がありますが,やはり穴ぼこの中に何らかの構造があります。電子顕微鏡の図版と自分が撮影した画像を比較して「答え合わせ」をするのは楽しい時間です(画像/MWS)。








2021年11月23日




ひとつのナマコ個体からいろいろな形の骨片が出てきます。きょうの画像はその例。この他にも棒状のものや網目状のものなどが出てきます。人間の骨とおなじように形態には意味がありそれぞれの役割を果たしているものと思いますが,ナマコのような変幻自在の生物だと想像するのは難しいですね。生きているナマコを実体顕微鏡で観察すると,これらの骨片が表皮付近に存在している様子がわかります。ナマコが縮んだときに微妙に固い手触りになりますが,炭酸カルシウムの硬い骨片はその原因にもなっているのかもしれません(画像/MWS)。








2021年11月22日






ナマコ骨片(クロナマコ系)の画像。上はクロスニコル,下はパラニコルです。手持ちのナマコ骨片は偏光検鏡で鮮やかに色づく希少なものです。この骨片は消光位があってクロスニコルでも見えなくなる方位があります。しかし,その方位で長時間露光すると見えていない部分にも色がついています。…ということは,全体が完全な結晶ではなくて,波長板程度のものが挟まって成長した結晶ということになるのでしょうか? 全体としてはまるで一つの結晶のように振る舞うのでそのように思っていましたが,消光位での撮影ではちょっと違った結果が得られた気がしています。誰か詳しい人が追試してくれることでしょう(画像/MWS)。








2021年11月21日




きのうの月食は薄雲を通しての撮影で食の最大の頃はほとんど月が目視できず,撮影できたタイミングはわずか数分程度でした。雲が一瞬薄くなるところがあり,雲の流れを読みながらいまは見えない月も10分後には出てくるだろう,そんな感じの撮影でした。

その月食の画像の彩度を上げて色をわかりやすくしたのがきょうの画像。地球の大気を通過して青色成分を失った光で照らされている食の部分,その隣はオゾン層で赤色が減衰した光で照らされている食の部分(ターコイズフリンジ),そして宇宙空間をそのまま飛んできて月面を照射した太陽光,3つの色がきれいに出ています。

月食はこれまでも何度も撮影しターコイズフリンジも狙っていましたがきれいに表現できたことはありませんでした。なぜか今回,薄雲を通して撮影したS/Nの悪い月面ではターコイズフリンジが写りました。狙って撮ったわけではありません。たまたまです。

でもこんな現象が表現できると嬉しいですね。月面から見れば周囲が真っ赤な大気層をもつ黒い地球が太陽を隠しており,そして赤色が突然ブルーに輝いて見えたと思うと日食が終わるわけです。月に行きたいとは思いませんがそんな現象を見てみたいという思いはありますねえ(画像/MWS)。








2021年11月20日






月食とサファイア。きょうは生物顕微鏡と実体顕微鏡と天体望遠鏡を使う楽しい一日でした(画像/MWS)。








2021年11月19日






サファイアを同じ屈折率のメディアで封入すると境界面での乱反射が消えてインクルージョンがとてもよく見えるようになります。このことは10年くらい?前から書いていますが,この封入法を行うとサファイアの縁が赤色に見える現象が生じます。肉眼でも見えます。なぜ色が付くのかというとこれは分散によるのです。サファイアと封入剤の屈折率が「同じ」と書きましたが,実際には「同じになるのは一つの波長」です。屈折率の波長による差(=分散)は物質固有ですから,サファイアと封入剤なら,一致する屈折率がどこかにあっても他は微妙に異なるのです。

さてここで白色光を垂直入射で照射してみましょう。屈折率が一致しているわけですから光はそのまま直進して出てきます。分散により屈折率が一致しない波長でも反射成分はごく少ないでしょう。

では斜入射で白色光を入れたらどうなるでしょう。屈折率が一致している波長ではそのまま光が直進します。しかし分散により屈折率が異なる波長の成分はある角度で屈折されて分光してしまいます。つまり色がつくのです。

きょうの画像はその一例。マウントメディアで封じた穴虫のサファイアを斜入射で撮影したもの。サファイアがこのような色なのではなくて,斜入射の照明で色をつけているわけです。そのことが分かるように二つの方向から照明してみました。

…とえらそうに書いていますが,こんなこと,10年前に気づいていないといけないですね。最近,海外の知人にサファイアの封入標本を届けたのです。すると彼女はすぐにきれいに色づいたサファイアの画像を送ってきました。その画像をみて反省。そうだよね,分散で色づくならまじめに斜入射の照明で追い込むべきだったのだよね。分散には気づいていながらそれを表現の技法としてまじめに検討しなかった筆者の脳みそは,ほんとうに惚けているのではと思う鈍重さです。

あまりのひどい惚け具合に嫌気がさしましたが,10年遅れでもきちんとケリをつけておかないといけません。世の中,web上の知識だけで頭でっかちになっている人々が溢れているように感じられますが,そっちの世界に行ったら職人はお仕舞いです。自分の目で確かめて,手を動かして,技術として神経細胞に定着させないと進歩がないのです。そのことを教えてくれた海外のお姉ちゃんには感謝しています(画像/MWS)。








2021年11月18日










ひさしぶりのナマコ骨片。まるでペンキで塗ったかのような鮮明な色ですが実際にこのように見えます。すべての骨片がこのように色づくわけではなく,手持ちの一部の骨片だけがこのように色を出すことができます。なぜなのかはわかりません。画像一枚目と二枚目は微分干渉,画像三枚目は偏光パラニコル,四枚目は偏光クロスニコルです。ナマコ骨片はけっこう小さく,大型珪藻よりもずっと小さなサイズです。ので,きょうの画像撮影には40倍対物レンズを使用しています(画像/MWS)。








2021年11月17日




16日は何かあった日だよなーと思い起こすに,そーいえば珪藻アートの写真集(著書)の絶版記念日(2016年)だったのでした。5年も経過すると筆者の雑な脳みそからはほとんどのことが揮発しており出版契約不履行の一件も日常で思い出すことは少なくなっています。当時は少なからぬ損失もありましたが『珪藻美術館(福音館書店)』というさらにすばらしい書籍の刊行によって損失分を上回る多くの方々からのご支持をいただいております。ありがたいことです。

現在では旧著への問い合わせもなくなり切り捨てて正解だったと思います。個人事業主は経営者でもあるので取引不成立の相手先は問答無用で切るのも一法です。いい加減な仕事をする取引先とつきあいを続けて良いことはあまりないような気がします。

ただ,だからといって恨みが継続しているわけでもありません。相手先の損失が最小になるように配慮して切りましたし,こちらの気分としては,「今後は,こんな雑な仕事はするなよ」といったメッセージを送った気分です。5年も経過しましたし,相手先の会社は,担当者も会社も,きっちり契約履行する法務に忠実な会社に生まれ変わっているのではないかと思ったりもしています(画像/MWS)。








2021年11月16日




プレパラートを油浸で検鏡したときの油の拭き取りは面倒なものですが,そのままにするわけにもいきません。多量のオイルを使ったときは,ガラスに傷をつけないことがわかっているペーパー(レンズクリーニング用など)を使い大部分のオイルをゆっくり吸わせて除去します。時間がかかってよいならばペーパーを巻き付けて数日放置してもかまいません。そのあとに溶剤で拭きます。油浸オイルの拭き取りはツァイス社のレンズクリーニング溶液やオリンパス社のEEシリーズなどがありますが,極性溶媒を含むものは封入剤を溶かすことがあるので手技に注意が必要です。

大半の封入剤を溶かさずにエタノールよりもきれいに油浸オイルを拭き取りできる溶媒がきょうの画像,石油ベンジンです。n-ヘキサンが主成分で,ドラッグストアなどで染み抜き用としてふつうに売っています。もともと蒸留して作っているので蒸発残留物は極小です。ただ非極性溶媒なので極性物質の拭き取りは困難です。塩類などを含むときは,水系溶媒で拭いた後に石油ベンジンで拭くのも一法でしょう。

n-ヘキサンは近年,有害指定されたので,毒性は微弱ながらも注意して取り扱うべきです。換気のよいところで風上側に立ち臭気を感じることのないように扱えば完璧です。清拭後のレンズペーパーなどもn-ヘキサンを大気放散させるか換気扇の下に置いて成分を室外に逃がしましょう。

この石油ベンジンは少し前までガラス瓶で売られていたのですが最近は樹脂製のボトルに入っています。ガラスからヘキサンに溶出する成分は皆無ですが,樹脂からは可塑剤が溶出する可能性があるので拭き取ったあとにシミが残るのではと,精密な拭きをするものとしては気になります。しかし使ってみるとそれは杞憂で内容物はきれいなようです。そればかりか,フタが改良され,ボトルのまま一滴ずつ使用することができるようになりました。このボトルを使って油浸オイルの拭き取りをしてみると以前よりも結構便利になった感じがします。

油浸オイルの拭き取り,レンズのメンテナンスは専用溶媒を必要とするので筆者もいつも手探りで作業しています。きょうの画像のような古い対物レンズではエタノール厳禁のものがあり,エタノールで拭くとそのときには大丈夫でも後日,壊れることがあります。このような古いレンズはキシロールで拭くことになっていますが石油ベンジン系でもレンズを破損することはないように思います(個人的経験)。

石油ベンジンは当サービスの標本,リサーチグレードや教育用のもの,Jシリーズなどに使われている封入剤を溶かすことはないので油浸用の拭き取りに安心して使えます。

専門的には,非極性溶媒と極性溶媒で拭いた表面は物性的に違いがあるように感じます。例えば,ある封入剤を使うとして,その封入剤を使う直前の拭きは水かエタノールはヘキサンかで,接着性や信頼性に違いがあるように感じるのです。ので,一般検鏡での清拭で石油ベンジンがいいよとは言えますが,全ての用途でOKではないので,その辺りはユーザー様のセンスに任せることになります(画像/MWS)。








2021年11月15日




ちかくの四川料理屋テイクアウトの調査はまだ継続しています。何しろ年に一度くらいしか反応しない筆者のアンテナがピコピコしたのです。だいたい週一のペースで調査員Aが偵察に行き抜き取り調査を行います(笑)。酢豚の材料なのに真っ黒な料理で味は食べたことのないエスニックなものに脳みそが混乱したり,全身があつくなるくらい辛い油がかかっている鶏料理で入力と出力が痺れたりと,ふだん優しい和食しか食べない筆者にも面白い経験になっています。

今週は餃子とレバニラ。餃子はテイクアウトを見たことがないので注文できますかと(調査員Aが)訪ねてみればOKとのこと。大きな餃子が5個入ってふだんは380円?くらいらしいのだけれども,タイムセールで290円で良いという。大丈夫なんだろうかこのお店。レバニラはいつも通りの430円。たっぷり入っています。

お味の方はさすが四川料理屋さんでレバニラの処理はじつに丁寧ですし,餃子は下味の薄さが絶妙な加減でレベル高いです。廃業した『九州らーめん桜島』の餃子が日本一だと思っているのですが,それに匹敵する餃子を探しても似た方向性がなく,ハナマサの冷凍餃子で我慢している話は以前にも書きました。それよりもワンランク以上アップの味わいで,こんなに近くに餃子のおいしいテイクアウトできるお店(温かいまま食べられます)ができたなんて,コロナの世の中でも良いことはあるなぁと思ったりもするのです(画像/MWS)。








2021年11月14日




きょうの画像はディプロネイスという珪藻の縦溝の横に並んでいる穴ぼこ。この穴ぼこの中にはごにょごにょした構造があります。透過照明(斜入射)で撮影した画像は2015年2月28日に掲載がありますが,落射明視野で撮影するとこんな具合に見えます。透過で見える重ね合わせの絵と落射で見る表面の絵との間には違いがあるようです(画像/MWS)。








2021年11月13日




テスト撮影。ミスミケイソウ(Trigonium)の三角形の頂点,粘液を出す部分です。ここには小さな穴ぼこがありますが,単純な穴ぼこではなく穴を補強する支柱があるのです。これを撮影できたのは今日が初めてかもしれません。極限的なイメージングなので気づかなければそれで終わりです。見えれば勝ちです。勝敗を決めるものは,光学的な知識とそれを実現する標本製作技術です。世の中に標本屋さんはたくさんいますが,光学製品レベルの標本を作れる業者さんは,たくさんはいないような気がします。光学用語で仕様を伝えてその通りに作ってくれる標本屋さんはもっと少ない気がします。技術と知識の足りない業者さんの作った標本をいくら頑張って検鏡しても,ダメな標本なら見えるものも見えなくなります。

当サービスの標本は顕微鏡の主要メーカーさんからも絶大な支持を得ていますが,それは光学的な知識と経験に裏打ちされた超高精度の標本を提供てきるからなのです。なぜそんなことが個人事業主のオッサンにわかるのかというと,それはきょうの画像を見て下さい…という風にいえるのです。顕微鏡光学が理解でき,イメージング技術があり,標本製作技術がなければこのような絵は得ることはできません。顕微鏡の結像理論は数学,物理学,光学の世界です。理論値通りに顕微鏡と観察物体の両方を操れる職人は世界でもそんなに多くないのです(画像/MWS)。








2021年11月12日




ミクロワールドサービスは専業一名の個人事業主であって家内制手工業ともいえる小規模事業です。できることは手広くやっていますが,ちょっとしたことで仕事が飽和してしまうので,標本の販売は国内のみとなっています。とても海外需要には対応できません。海外では英国でケンプさん,イタリアでバロスさんが頑張ってくれているのでそちらにお任せです。

国内のみというのには他にも理由があって筆者は日本人にこの世界を広めたいのです。中学生の頃から感じていたのですが,日本人は自分たちの足下を観察しません。どんな土地に住んでどんな生態系のもとに恵まれてどんな生物多様性のもとに生きているのかを考えもしない人が多いと感じてきました。そんなことよりも,目先の受験勉強とか,バイクの免許とか,ゲームピコピコして遊ぶとか,テレビドラマにのめり込むとか,日本のことを何も知らずに海外旅行に没頭するとか,筆者的には本当に下らないことに多くの人が「人生の時間」を費やしているような感じがするのです。

世の中SNSが全盛になってきて,ようやく,プランクトンの世界や,鉱物の美しさや,寄生虫の面白さなどが一般に拡散されるようになり,自然の奥深さが理解されるようになってきて,これは本当に良いことだなあと感じています。もちろん珪藻の認知も進んでいるようです。

海外との取引はしないという原則がありますが例外もあります。筆者の知人であること,あるいは,ひじょうに希少なサンプルを供与頂けることなどを条件に,こちらからサンプルあるいはスライドを物々交換として送付することはあり得ます。お金のやりとりはしません。国際送金は管理が面倒ですしペイパルのアカウントも作っていません。

きょうの画像は例外の1枚。ひさしぶりの鉱物マウントですがドイツからの注文で制作発送したもの。このほかに特別制作品を4枚発送しました。注文先からは筆者が入手することのできない希少サンプルの物々交換が過去にも成立しています。こうして入金を一切心配することのない取引が行われます。

海外発送を行わない理由はもう一つあります。この分野の専門家の何人もの方々から指摘されていますが,筆者の制作するJシリーズは,種々の検鏡法で検鏡したインパクトにおいて世界最高品質らしいです。もちろんその評価は筆者も納得するところで,完全黒バックの暗視野の視界を達成した標本は自分で作ったもの以外は見たことがありません。この品質のものを欧米の方々が見てしまったら注文が殺到してクビが回らなくなります。まだ地球上の大部分の人が気づいていないうちに,日本国内の方々に,「国産」の気合いの入った世界最高品質のスライドを入手頂きたい=ご覧いただきたいという思いがあるのです(画像/MWS)。








2021年11月11日




10日は教育関係情報誌の取材対応でけんびきょうの午後となりました。今年に入って人に会うのは4人目,5人目という感じで,7月の来客以来のお客様でした。狭い当室では取材対応がほんとうにたいへんで,荷物整理や顕微鏡の準備などで数日くらい簡単につぶれてしまいます。そうなると仕事上は多大な影響があるわけです。そこで筆者はどのように考えるかというと,引き受けてしまった以上は,最大限の効果が生まれるように全力投球します。軽い気持ちで来て,いいかげんな取材をして,適当な記事を書かれるくらいなら取材を断った方が遙かにマシです。他方,全力で取材していただき,当室の仕事を見ていろいろなことを感じ取って頂いて,熱量のある記事を書いて下さったのであれば,そして記者さんや編集者さんの人生が少しでも豊かになったのであれば,引き受けた甲斐があったというものです。

こんかいは2名の女性でしたので,事前に「包丁研ぎ」について聞いてみたところ興味はあるとのこと。それで使っている包丁を持ってきてもらい,当室標準の包丁研ぎ実習を行いました。お持ち頂いた包丁は昭和中頃の家庭用ステンレス包丁と,misonoのペティーナイフと,黒打ちの特殊な包丁。いずれも当室の砥石群でていねいに研ぎ上げて切れ味は復活しました。

完璧に切れるようになった包丁でテストピースを切ってもらいます。そのあとに刃先をさっと#2000の砥石に包丁の自重だけで舐めてからもう一度テストピースを切ってもらいます。切れ味は完全に失われています。その包丁を受講者が研ぎ直して切れるように復活させます。筆者が手取り足取り教えますので誰でも一回で研ぎ技術が身につき,理解でき,包丁の切れ味は復活します。テストピースをすぱっと切れるようにできれば試験は合格です。

お二人の方に4本の包丁を使いながら理論,技術の講習・実技を行い,研ぎをマスターできるまで1時間しかかかりませんでした。わずか一時間ですが,この時間は今後の人生を楽しくするはずの重大な一時間でもあります。そうなってくれることを願っています。

研ぎが終われば超広視野の暗視野顕微鏡で最高級の珪藻標本Jシリーズをご覧頂き,撮影会を行って,こんどは珪藻アートに関するプレゼンがはじまります。話題はいくらでもあるので時間が足りませんが,13時から始まった取材は18時まで続きお開きとなりました。たくさんご質問も頂き,研ぎも珪藻アートも充実した時間のように感じられました。記者さん編集者さんの何かのお役にたてると良いのですが。

当日は昼食に食べてしまったそうめんとネギがよくなかったようで昼過ぎから胃痛を抱えながらの対応となりましたが,目の前に人がいてするべき仕事があると痛みを忘れることができ何とかなりました…。お客様がお帰りになってからお腹いたい〜と吠えていました。これだから小麦粉製品を常食できないんですよね。突然くるのです。パンで苦しむこともあるし,うどんでダメだったこともあります。取材の前はごはんにするか,納豆でも食べておけばよかったと反省です。。

その胃痛も21時にはコントロールでき,いまは寝酒を飲むべきか悩んでいるところです(笑)…(画像/MWS)。








2021年11月10日




マイクロニッコール55mmF3.5は混ぜご飯ばかりでなく対物レンズもよく写ります。きょうの画像は本ページの機材大好き読者向けのもの。水浸対物だけがついたレボルバです。新型コロナの関係でサンプリングにまったく出向いていないので出番が減っていますので習熟運転のためにも使っているものです。多様な検鏡法の技量を維持するには自然に体が動く程度に扱いに慣れていないといけませんが,大量の機材があるとこれが案外難しいものです(画像/MWS)。








2021年11月9日




このガスコンロは2013年1月に中古品を譲ってもらったものなので8年半以上も使用していることになります。製造は2004年なので17年もの。なぜこんな古いガスコンロを使っているのかというと,火力調整ができないSiセンサーが死ぬほど嫌いで,センサーコンロを買ってはみたものの二日使って捨てたのです。その辺りのいきさつは本ページの2013年1月に詳述してあります。

現在でも,リアルタイム検索などで「Siセンサー」と打ち込むと,多くの人がこのセンサーに苦しめられて料理を失敗したりしています。センサーを無効にする改造をしている例も無数に見られますし,使用をあきらめて一口コンロ(センサーなし)を使っている人も見られます。素人料理系のユーチューバーでも,気まぐれクックとか素潜り漁師マサル辺りは一口コンロや鋳物コンロを使っています。

そんなわけで筆者はSiセンサーのない,この古いガスコンロを大事にメンテナンスしながら末永く使うことにしているのです。保守用パーツは取り寄せてありますし,どういった運の巡り合わせか,ゴミ捨て場に同じタイプのガスコンロが捨ててあったりもしたので消耗品は廃品回収しています。

いつも手入れしていても,さすがに毎日8年間も使うと劣化は進みます。ガスコンロの劣化部分は魚焼きグリルの保温囲いと輻射板がサビによって劣化して崩壊してしまうパターンと,バーナーヘッドが痩せて崩れてしまうパターンと,バーナーヘッドを受ける部分が食品の塩分などで腐食してしまい機能を果たさなくなるパターンが主なところです。このため,バーナーヘッドは複数の予備,天板も予備を入手済みでごとくも受け皿も予備があります。

魚焼きグリルの保温囲い部分は本体そのものなので部品として入手はできません。入手したときから,味噌汁でもこぼしたのかサビが進行していました。これを削り取って手入れして使ってきましたが,高温に曝され,水分にも曝される悪条件で8年も経過するとさすがに腐食は進行します。ので,きょうはワイヤーブラシでサビを丁寧に落として掃除機で吸い取り,腐食が進行している部分には耐熱塗料を塗って,排気ファンをつけて乾燥させました。

数時間乾燥させたあとの食後に魚焼きグリルを着火して塗装の焼き付けを行いました。弱火で5分,強火で10分ほど。強固に焼き付いて匂いもなくなりました。グリルのガラス窓に焼き付いた汚れはミクロトーム用のカーボンスチールナイフで削り取りきれいになりました。この種のガラスに焼き付いた汚れは洗っても落ちないので削るのです。

これでグリル部分は少し延命できたかな,という感じ。バーナー部分はいつも掃除していることもあってまだ健全。何も知らなかった頃は13年でガスコンロを使い潰してしまいましたが,いまのコンロはあと何年使えるでしょうか…(画像/MWS)。








2021年11月8日








きょう入荷したばかりの生サンプルを水浸対物レンズ(water dipping)で観察しました。このレンズは先端を水にドボンして使うものです。作動距離が2mm程度あるものが多く物体をカバーガラスで封じないので繊細な生物を傷めることなく観察できます。

きょうの被写体はマルロモナス,和名はミノヒゲムシというらしいです。これまではカバーガラスで水封入したものを検鏡していましたが,水浸対物レンズ(water dipping)を使うと気のせいか,マルロモナスも伸び伸びとしているような気がします。細いシリカのヒゲがいつもよりもふさふさと広がっている感じがします。

コントラストはひじょうに低いので,対物NA=0.8,コンデンサNA=0.9として,拡散板偏斜照明を施してあります。画像はコントラストと明度を調整して彩度を下げています。このくらい写れば及第点というところでしょうか。

水浸対物レンズ(water dipping)はこのように便利なものですが弱点もあります。浮遊して沈まないものは観察困難ですし,WDが2mmもあると水が濁っていてはフレアが出ます。ので,筆者はチャンバーに「おいしい水」を満たしておいて,そこに濁った泥サンプルなどを滴下して,物体が沈殿した頃を見計らって検鏡します。

画像のマルロモナスはこの操作によって環境変化のためしばらくはじっとしていました。そこをすかさず撮影。一時間も経過すると元気を取り戻して泳ぎ始めました。こうなると追いかけるのが精一杯で撮影は不可能です…(画像/MWS)。








2021年11月7日




マイクロニッコール55mmF3.5はだいぶ古いレンズなんだけれども,まぜご飯を撮影するには最適なレンズの一つかもしれません(笑)。

鶏モモ肉は脂身をフライパンに入れ,あとはみじん切りにしておきます。ごぼうはささがきにしてにんじんはみじんぎり,ヒラタケ2パックはよくばらしておきます。ごぼうとにんじんを鶏の脂身と加熱して火を通し,上からヒラタケともも肉のみじん切りを加えてフタをします。素材から水気が出てぐつぐつ音がしてきたら日本酒(一ノ倉)としょうゆを加えてよーくかき混ぜます。あとは煮込んで汁気を飛ばせば具材のできあがり。

米はさっとといで「おいしい水」を分量分よりちょっと多めに加えて,上に利尻昆布を数枚敷いておきます。2時間程度吸水させてから「白米急速」モードで炊飯します。3合が35分程度で炊きあがります。炊けたら昆布を取り出して,できたばかりの具材をまぜまぜして保温モードでむらします。これで筆者特製のまぜごはんのできあがり。

ポイントは具材の組合せ。鶏肉にひらたけ,ごぼう,にんじん,日本酒,しょうゆは得も言われぬハーモニーを生み出します。そこに昆布で炊いたご飯が合わさることによって中毒性ある美味しさが生じてしまいます。セブンイレブンのおにぎりで登山客に人気なのが「鶏五目」ですが,あれを軽く超えるおいしさです。そのおいしさが少しでも伝わるように,マイクロニッコール55mmF3.5の登場となったわけです。カメラはNikon1J5で,照明はCCSの超高演色(Ra98)LEDです(画像/MWS)。








2021年11月6日




せんじつの衆院選は個人的には最悪の開票結果で残念な気分です。何が最悪なのかというと与野党の開票結果はどうでもよく投票率が低かったことです。日本人の半分は新型コロナ騒動程度では政治は人ごとで反民主主義的な振る舞いをするわけですから,もうつける薬はないのかもしれません。永遠に組織票に操られて一部の方々の利権を優先し,30年のデフレが40年も50年も続いて,医療崩壊も放置して,ただでさえ国際比較ではひじょうに少なくなっている公務員をさらに削減して,足りない人員はパソナに丸投げして,医療機関を潰し,公共施設を潰して…という,現政権や維新系の政治が続くのでしょう。やれやれです。

きょうの画像は愛知一区の議員のweb魚拓(こちら)からのもの。以前も紹介しました。このような人間は,筆者のごく個人的な感覚では人間のクズのように思えてしまいますが,この衆院選で当選してしまいました。愛知一区でこの人に投票した人たちの脳みそは大丈夫なんでしょうか。ぞれとも自民党さんは人格高潔とはほど遠いこのような人を好んで議員にするのでしょうか。

この人のページを読んでいても「政治家になりたい」という信念が感じられるだけでどこにも「世の中をよくしたい」意気込みが読み取れません。女性教員に爆竹を投げ込み,気に入らない活動家に生卵を投げつけて,個人的な腹いせに賃貸部屋の壁に穴をあけるような人間のクズみたいな人が政治家に向いているとは個人的にはおもえませんが,理念がないからこそ,政党の主張をそのままウイルスのようにばらまいて周囲を洗脳するのには良いのかもしれません。

しかし個人的には,子ども時代にこのような人の道を外したような振る舞いをしてきた人が政治家を続けるのは勘弁してほしいですね。親の育て方が悪かったことが露骨に現れており,心の奥底で人を舐めていることが明らかです。自分の地位を維持するための活動は活発にできるでしょうが困った人々を助ける活動をするには才能が足りません。中年オッサンはそう思いますよ(画像/MWS)。








2021年11月5日




gigazineのヘッドラインニュースを見ていたら,メールアドレスのフリガナを書かせる書類が話題になっていました(こちら)。しかしこれは(手書きなので)まだ理解できる範囲です。世の中にはもっと恐ろしい凶悪な書類があります。その一例がきょうの画像。筆者は個人事業主ですので,相手先によっては登録業者にならなくてはなりません。そのときに求められる書類に時々,血が逆流して怒髪が天を突きあまりのことにぐったりとなってしまうようなものがあるのです。

エクセルでメール添付で送られてきたこの書式には,すでにメールが通じているにもかかわらず,メールアドレスのフリガナが要求されています。筆者はこれを見ただけで厭世的になり,この法人さんと取引するのが嫌になり,数万円の支払いをあきらめようかとさえ思いました。大げさに感じるかもしれませんが,この種の無駄な書類(過剰な申請書や誓約書)の作成には多大な手間がかかります。時間的にもバカにならないし精神的に消耗するのが何より頭にきます。しかもこのエクセルの書類をPDF化してメール添付で返信せよとの命令付きです。そして正本は郵送で別便で送れとのこと。そしてその送り先も書いてない。

怒髪が再び天を突きます。

ほんと,日本の法人さん,特に国立系のところの組織はバカの巣窟です。筆者の知っている優良企業,たとえばサイエンスのキーとなる技術を開発しているような大企業さんは,請求書一本送るだけです。購入した標本に対しては素早く送金してくれます。多くの私立大学もそうで多数の登録書類を求められるところは少ないです。対して国立系の法人さんは七面倒くさい書類を要求してくるところがまだまだ多いです。そしてこの意味のない事務作業により,その法人さんも,筆者も,「一切の価値を生み出さず時間と資源を浪費するだけ」という悲惨なことになっています。

先月は請求書の書き直しとか様式変更とか登録作業とか本当にくだらない仕事が多々あって消耗しました。こっちはちゃんと品物作って納品して請求書発行しているんだから,何が問題なんだよ,いい加減にしろよ,これから余計な事務作業を要求する法人は製品価格+2万円を申し受けます,とでもいうことにしようか,などと弱小の立場の中年オッサンは嘆いたりもするのです(画像/MWS)。








2021年11月4日




すこし前に紹介した四川料理のテイクアウトは相変わらず続いているようです。店内に客がいなくても常に10パックくらい並んでいて,要するに店内に客が入らなくても店外で売れればいいやと,売れるたびに販売物を補充しているような感じです。そこで数回転もすれば,店内で着席してくれなくても,ちゃんと利益があがるわけですし,暇な時間の有効活用にもなります。そしてパックを持ち帰るだけの客なら,スペースも占有しないし,品数も必要ないし,皿洗いも必要ない。ので,テイクアウトは大盛りにして安くしてある。さすがですね。

それで興味を示した調査員Aがこんどは酢豚を連れて帰ってきました。四川料理の酢豚はどんな味なんだろうと食べてみれば,どこからどう評論しても酢豚としかいえないスタンダードなものでした。一つだけ特徴があるとすれば,お肉と野菜の比率がおかしい…気がすること。ふつうは肉と野菜は半々か野菜が若干多めという印象があるのだけれども,ここの酢豚は肉だらけの間に野菜が顔を覗かせるというもので,本当にこんなんで利益が出るのだろうかと思うレベル。ビタミンBの補給にもなるしお肉大好きな人にはよさそうですね。

さて,次は何が入荷するのか…。日々料理を続ける兼業主夫にとっても,たまにもたらされるテイクアウトは楽しみなのです(画像/MWS)。








2021年11月3日








あまりにも暑いと蚊の活動は鈍り出てこなくなります。今年の夏も蚊はあまり見かけませんでした。ところが10月から数日に一度の頻度で蚊を見かけます。窓や扉の開け閉めは最低限にしていますし,換気扇も止めたらすぐにフタをしています。いったいどこから入ってくるのか不思議でなりません。わずか数秒の玄関の開け閉め,バルコニーの出入りで入っているのかもしれません。

当室に入ってきた蚊の運命は哀れです。多くの蚊は,筆者のゴム鉄砲により粉々に粉砕されます。壁などに止まっている蚊を見つけたら逃がしはしません。ゴムゴムに強力なエネルギーを蓄えて瞬時に顕微鏡レベル以下の破砕物になっていただきます。筆者めがけて飛んできた蚊は,全身全力で叩きつぶします。

きょうの画像1,2枚目は,先ほど叩いた蚊。服の上で叩いたので原型を止めていました。全く動かないので記念撮影しましたが死んでいないのは知っています。蚊は「死んだふり」をするのです。このまま一時間も置いておけば復活してどこかに飛び去っていきます。ので,エタノールを一滴垂らして昇天していただきました。

画像一枚目はMicro Nikkor 55mmF3.5によるもの。二枚目はひさびさのTokina AT-X M90mmF2.5 Macro Extenderによるもの。いずれも古いレンズで後者は30年ちかく使っていますが,筆者にマクロを教えてくれた大事なレンズです。そしてデジタル時代になってフィルム時代よりも解像限界を写しやすくなって便利に使っています(画像/MWS)。








2021年11月2日




ひさしぶりのクチビルケイソウ・油浸・偏光・クロスニコルです。明視野も良いのですが偏光の絵はトーンが落ち着いた感じになって,画像にするとずっと眺めていられるような気がします。レクチファイアのついていないふつうの偏光クロスニコルですから異常解像が起きていて微細構造の再現は正しくないですが画像を縮小してしまえば目立ちません。見ているものはクチビルケイソウというよりはクチビルケイソウの偏光を主体とした像ですが,こんなのも表現の一つとしてはアリなのではとも思います(画像/MWS)。








2021年11月1日




そろそろ冬が近づいてきましたので顕微鏡も冬に備えなければいけません。顕微鏡は主に冬に壊れます。きょうの画像はオプチフォトのステージとコンデンサキャリアですが,この部分は最も壊れやすいことで有名です。冬にグリースが固まっているところに無理に力をかけてコンデンサを上下しようとするとギアを損傷します。このラックピニオン的なギアは金属製のものと樹脂製のものがありますが,どちらも壊れやすいです。ので,筆者は冬でも夏でも,コンデンサを上下するときはコンデンサキャリアに手を添えて動かしたい方向に力を加えつつ,ゆっくりと上下ハンドルを操作します。こういった心がけだけで顕微鏡の破壊を防げるのなら習慣化すべきです。

グリースの固化にも注意が必要です。ハンドルが重くなってきたらリチウムグリースの固化が起きている可能性があります。分解して丁寧に拭き取り,あたらしい柔らかめのグリースを塗布して適切な状態に戻します。組み上げたら必ずテスト検鏡します。ケーラー照明で視野絞りのピントを精密に観察して,微分干渉,偏光,位相差などで一通り観察してみて,コンデンサも換えてみて,OKとなれば通常運用に戻ります。これで冬場もオプチフォトを破壊せずに使えるはずです(画像/MWS)。









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