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2021年10月31日






サファイアに引き続いて微少な鉱物を100粒ほど封入しました。封入時にはなんの鉱物かほぼわからないので見た目の感覚でいろんな種を詰め込んだつもりになって封入してしまいます。それをクロスニコルなどで検鏡すると透過明視野では区別のつかないものでも違いが見えてきます。きょうの画像は数少ない鮮やかな偏光色を呈する鉱物。画像一枚目はクロスニコル,二枚目は平行ニコルです。何の鉱物かは知りませんがこんなに鮮やかな偏光色を呈するものはたくさん集めて並べたくなりますね…(画像/MWS)。








2021年10月30日






ひさしぶりにサファイアを封入しました。インクルージョン観察用です。結晶などの内部構造を観察するには片面を平面研磨して窓を作るか,結晶と同じ屈折率のメディアで封入して結晶表面での光の屈折をなくします。そうすれば表面の凸凹に遮られて見えなかった構造が明瞭に見えるようになります。

サファイアの屈折率は約1.75付近で,こんなに屈折率の高いメディアはあまりありませんが,珪藻用の封入剤マウントメディア(=Pleurax)はうまく使いこなせば1.73程度の屈折率が出ますので使えます。加熱操作で封入可能でカバーガラスもかけるので生物顕微鏡で観察可能になります。但し,結晶内部を観察する場合は光学的厚さが問題になるので,NA=0.5以上の観察では補正環があったほうがより良い像にできます。

きょうの画像はいくつか封入した中の一粒。これだけ明瞭にインクルージョンが見えれば標本としては合格です。酸化アルミニウムの結晶に閉じ込められた液体と気体がはっきり見えて,気体の表面には微細な結晶が析出している様子もわかります。画像二枚目はNA=0.7,補正環を操作しての撮影です。

石英や水晶などのインクルージョンはグリセリンや油浸オイルなどの屈折率1.5付近の液体で濡らすだけでもだいぶ効果があります。肉眼サイズの結晶で凹凸が大きな場合はオイルを垂らしてカバーガラスを貼り付ければ平面窓ができて内部が見やすくなるでしょう(画像/MWS)。








2021年10月29日




かけた歯の破片は一日,過酸化水素に漬け込んでおいたら白くなりました。かなり時間がかかったので,これを自分の歯で試したくはないですね。たとえ歯科でやるとしても歯への負担は相当なものになりそうです。歯に含まれる有機物まで酸化漂白されてしまうので。

きょうの画像は表面を反射光で撮影してコントラスト強調してみたもの。石灰化が規則正しく一方向に揃っているように見えます。しかし貝殻などの柱状炭酸カルシウム結晶とは異なり,かなり細かな構造に見えます。豊富なカルシウムと炭酸イオンに囲まれて暮らす海とは異なり,カルシウムもリン酸も希少資源で体内から少量ずつ使うという環境制約から来る構造の違いでしょうか…。硬組織は専門外なのでよくわかりません(画像/MWS)。








2021年10月28日






むし歯ができない生活を維持できる筆者でも口腔内がノートラブルというわけではありません。中年以降の方々はよく知っていると思いますが,そのむかし,「リンゴを食べると歯茎から血が出ませんか?」というテレビCMがありました。小学生の頃は笑ってみていましたが,大学生の頃にはすでにリンゴを食べると血が出ていました。。それどころか,バナナを食べても血が出ていました。いくら歯磨きをしても治らないので歯茎が弱い体質なのかもと思っていました。

30代に入ると歯磨きでも出血するようになり,重点的に磨いたりもしていましたが治りませんでした。痛みも腫れもないので日常困ることはありませんでしたが,歯を磨くたびに少量の出血があるのは不愉快なものでした。

歯周病が進めば歯を失うことは明らかなので何とかならんものかなとwebをほじくってみても,「歯医者に行け」としか出てきません。歯周病治療の具体例も見つかりません。原因となる汚れを取り除く,歯磨き指導する,くらいの感じです。しかしもしそんなことで歯周病を治すとするならば,毎週あるいはもっと多くの頻度で歯医者にいかなくてはいけない気もします。何しろ毎日いろんなものを食べて歯周病菌のエサを大量供給しているわけですから,たまに歯医者にいって治療という名の清掃をしてもらっても追いつくはずがないと思うからです。

それでいろいろ考えてフロスを使うようにしました。それが40代半ばのことです。30代にもフロスを使おうとしたことがあったのですが,あまりにも歯がキツキツでフロスが入らなかったのでダメでした。が,40代になっていつのまにか使えるようになっていたのです。

歯磨きには電動歯ブラシのほかに,きょうの画像のような小型のブラシや極細のブラシをときどき併用して使います。歯磨き粉は三種類で一つは液体歯磨きです。最初に研磨剤入りの歯磨き粉で磨いて次に研磨剤なし,次に液体歯磨きの順で,途中水で口をすすぐことはしません。液体歯磨きで磨いて歯ブラシは終わりです。そのあとにフロスに「システマ」をつけて歯と歯の間と歯茎に潜り込んでいる部分を掃除します。これを一日一回はやります。たまにフロスを忘れてしまったときなどは,次回のフロスのときに「システマ」の代わりに歯磨き粉をつけてフロスで歯磨きをします。研磨抵抗で微細な付着物が取れたのがわかります。

…というようなことを自分で考えて実行し数ヶ月を経過した頃,歯を磨いて出血することはほとんどなくなりました。歯周で起きていた炎症が沈静化したものと想像されます。そしてまた,リンゴをかじっても血が出ることはまったくなくなりました。それから7,8年が経過しましたがいまのところ問題はないようです。

ただ,これで歯周病が治ったわけではないと思います。歯磨きとフロスを手抜きすれば,フロス時に出血がぶり返すことがあるからです。日々手入れすれば炎症は起きないけれども放置すればすぐに復活するようなものと思っています。フロスをし初めて歯が変形しているところを2カ所見つけましたが,そういった場所は再度炎症を起こしやすい気がします。毎日のお手入れが大事ですね(画像/MWS)。








2021年10月27日




よなかに寝酒と睡眠剤のからあげを食べていたら歯が欠けた感じがしました。。フォークを使って食べたのが敗因です。金属製のフォークは廃止したほうがよいのかもしれません。。

欠けた破片はとこにいったのかしらと探しても見つかりません。それから二日後くらいに,みかんを食べているときに違和感を感じて注意深く取り出すと2mmくらいの破片が採取できました。無事に回収。からあげでヒビが入り,後日に脱落したようです。

ので,記念撮影。ステインの部分を撮りましたが,こうしてみると,ステインというのは表面が染まっているのではなくて歯の結晶組織の中に深く入り込んでいるのですね。虫歯が進行して脆化した組織が再石灰化するときにステイン物質も一緒に取り込んで沈着するのかもしれません。お茶が大好きで毎日何杯も飲んでいたので。。これを削って無理にとろうとすると歯が痩せてしまうことが予想されます。漂白剤ならよさそうですが。偏光で見ると明らかな偏光性があります。細かくはみていませんが,柱状結晶の集合体な感じがします。貝殻なんかと似た構造なのかもしれません。

この欠けた歯は,30年前に作ってしまった虫歯の一部です。当時は小麦粉を練ったもの(スナック類など)や甘いものもふつうに食べていましたし飴もなめていました。いまから振り返ると最悪の食生活でした。筆者が虫歯を作ったのはこのときだけです。死ぬほど忙しい大学院生の頃に,研究室に年間何十泊も寝泊まりして栄養も充分とらずにこき使われていました。知らないうちに歯の色と同じ歯石ができていて,気がついたときには歯が深く掘れていました。食生活が悪いときに歯石ができてその内部で酸ができるような条件になると,歯が溶けて大穴が開くのはほんとうに短い期間です。数ヶ月もかかりません。

その頃から放置した虫歯ですが,甘いものを食べずに,小麦粉製品を食べずに,野菜を多食して和食中心にすれば虫歯になることはありません(体質によりますが)。じじつあれから30年,まだ人生で(幼少の頃に親に連れられて行った以外は *1)一回も歯医者に行ったことがありませんが,この虫歯もまだ温存していて,歯が染みたことも痛みが出たこともありません。

ただ困ったことは穴ぼこがあいているので,穴の中をきれいに磨くのが難しいこと。劣化は30年で徐々に進行してはいますが,できれば,歯の裏側が欠けて欲しいと思っていました。そうすれば風通しがよくなって,穴ぼこも歯磨きすることができるからです。そうなればこれ以上の劣化は食い止められるはずです。

…とこのように思っていたところ,その部分が見事に欠けてくれたので,今回はじつに有り難いことになったのでした。

筆者の世代だと虫歯がない人は20歳の時点で1000人に一人くらいでしょうか。小中学校のときに虫歯のない人は全校で数人程度だった記憶があります。現在の筆者の年齢で歯医者に行ったことのない人間はたぶん10000人に一人もいないでしょうね。。

でも行かないのには理由があるのです。虫歯を作ってしまった1990年代中頃の歯医者は,それはほんとうにひどいもので,虫歯を見れば削って削って神経を抜き,最後は歯も抜いてしまいます。被害者は山ほど見ていますし,その後に所属した事業団での歯科検診でも「うーん,これは神経に届いているかも・などと脅されたりもしました(*2)。自己判断でも30年間無症状で不具合がなく歯を温存できているなら間違いとはいえません。歯医者に行っていたなら,とっくの昔に削られて症状悪化して,神経抜かれて,神経を抜いた歯はその後に抜けるので(*3),今頃は「歯抜けジジイ」になっていたことでしょう。

いまではインターネットもありますし,さまざまな歯科治療の方法があって,何でも削って歯を抜くヤブ医者にあたる確率は下げられる可能性も出てきたかもしれません。それに,虫歯を治療するのも手だけれども,専門家の監督のもとで虫歯をそのままにして経過観察するのも間違ってはいない,という報告などもあがってきて,虫歯の治療一つでも多様なアプローチになってきています。良い時代になったものです。

個人的な意見を記せば,虫歯だらけの人は栄養状態不良です。歯科医はよく口腔内環境のことを言いますが,たぶんそれはあたっていません。じゅうぶんなバランスのとれた栄養をとることが大事で,それがあって初めてカルシウムの沈着も正常に機能するのかと。簡単に言えば偏食なんです。口当たりのいいもの,スナック菓子,甘い飲料,カップ麺,煎餅などに偏っているのです(*4)。フッ素入り歯磨き信仰に入信する前に,じゅうぶんなカルシウム(小魚),野菜,魚介類を摂取して,これらの良い効果を減じてしまう砂糖ブドウ糖果糖などの「甘いもの」をやめて,小麦粉製品(クッキーやケーキや麺類など)をやめて,だらだら食べるのをやめて一日二食くらいにして,あとは一日二回くらいは歯磨きして,一回くらいはフロスをすれば,虫歯なんてものはできないと思います。体質によりますが。

本ページは北から南までの多くの歯医者さんがご覧になっていることは知っています。いいたいことはたくさんあるかと思われますが,何とぞ,個人的な体験談としてご笑覧いただけますと有り難いです。。歯医者に行くな,という話をしているわけではございませんので。「むかしの(一部の)歯医者はひどかった」というのは実体験としてあるのですが…(画像/MWS)。



*1 このときは6-7歳だったかと思いますが,乳歯に虫歯があったらしく,そんなものはどうでもいいのに麻酔を打たれて抜かれました。当時はそんなもんだったのですね。

*2 このときは30代だったのですが,歯をチェックしてくれたご年配の先生が筆者の歯を診て驚愕の表情をしたことが忘れられません。治療痕のない歯を滅多にみることがなかったからでしょうね。奥歯の歯面にC1を付けていましたが,その後にプローブでそこをひっかいたら,筆者が昼間に食べたお手製弁当の出し殻昆布が外れて,C1は消しゴムで消されていたのでした。

*3 神経を抜いた歯はしばらくはそのままですがやがて抜けてしまいます。昔はそんなことは医者もよく知らずにいい加減な治療が行われているところもありました…

*4 虫歯が進行中の,虫歯で歯を失ってしまった人は,ほぼ例外なく,しょっちゅう風邪をひきます。偏食,栄養不良の何よりの証拠ですね。





2021年10月26日




イエローにブラック,レッドの組合せは自然界的には警告色です。アシナガバチとかスズメバチとかジョロウグモなどを見れば明らかでしょう。危ないぞ,命に関わるぞ,ど脅しているわけです。それで無意識にも振り向き注視すれば なぜ蕎麦にラー油を入れるのか のメッセージ。注意を引きつけ,答えのない問いに気になった通行者は蕎麦(=炭水化物)とラー油(脂質)の呪縛に誘い込まれて蟻地獄に落ちていくという寸法です。これ,筆者が単に思いついただけのことを書いていますが,意図しているかどうかは別にして,本当にそのような効果はあるものと思います。考えた人はさすがだなあと感心するのです(画像/MWS)。








2021年10月25日








うんどうも兼ねて巣鴨信用金庫大塚支店に各種振込に出向いて,そこから大塚駅方向に歩いて行くと,キッチンABCの並びに中華料理屋ができていた。。この並びは激戦区で衰退激しい場所で,だいぶ前に寿司屋が閉店して以来,周囲の数軒が何度も入れ替わっていて定着しません。そば屋ができたかと思えば潰れて韓国料理になって潰れて焼き肉になったり,シュウマイになったり,覚えきれないほどの変化です。両隣には「福しん」と「キッチンABC」とラーメン屋が入っていて,このトリオが強力すぎて新規の飲食店が排除され続けています。

そこに参入してきた中華料理。ほんとうにこれで勝負できるんだろうかと他人事ながら心配になります。筆者は外食しないので応援したくてもできませんし…。と思っていたら,テイクアウトの品物がずらっと並んでいた。そのパックを一目見て滅多なことでは働かない筆者のセンサーがピーピー鳴りました。たっぷり入っているように見える中華料理がどのパックも430円。激安です。ので,後日,買い物担当のかみさんに偵察に行かせて一品気になったものを買ってきてもらいました。

それを土曜日の夕飯(晩酌)のおともにしたのですが,骨付きの鶏肉にかなり辛い野菜あんがかかっている感じの料理で,骨付き肉を食べていると遠いむかしに食べた記憶があるような感じがしてしばし考えていました(*1)。そして思い出しました。鶏ガラの味ですこれは。ももとむね肉以外を鍋に放り込んでスープをとったあとの残骸です。スープは麻婆豆腐とかほかの料理に使い,余っただしがらを素材として一品に仕上げてあるのです。なるほどこれは低価格への工夫で町中華では見かけません。

感心しました! ちゃんとおいしいのです。そしてこの味はいわゆる日本の町中華の味ではないように感じました。体全体を温めるような辛さのこの味は本格的な四川料理です。これは,この味が合う人には常連になるような感じです。劣化した食品にうるさい筆者の胃も文句はいいませんでした。さっそく日曜日もうんどうを兼ねて散歩して二つ仕入れてきました。それがきょうの画像の三枚目。二つあわせて700グラム以上の量です。調理済みの中華料理が100グラム100円前半というのはかなり安価な部類です。これを見てしまうとセブンイレブンの底上げおかずはもう買えません…(^^;

食べてみるとやはり町中華の味ではありません。素材の組合せも,肉や魚介の「油通し」の技も,430円パックなのに手抜きしていません。鶏肉は皮がついていない。きっと鶏油に使っているんでしょう。ちゃんと仕事してる。ざく切りの唐辛子も四川っぽい。それにほかほかの状態で売られています。作っては店頭に出しているようです。このテイクアウトをめがけてお店に来たお客さんも見かけました。

毎日料理をする筆者にとっては,こういった市販の料理は味が強く油も多くて優しくない感じもしますが,でもたまにはがつんとおいしい四川料理を食べるのもいいもんだと思いました。この430円パックとサトウのごはんがあれば,すげえボリュームの一食になります。アジア的な陽気な雰囲気を振りまいているお店のおばちゃん,祖国を離れて東京で勝負をかけている。商売繁盛して一日も長くお仕事が続けられますように(画像/MWS)。



*1 7〜10歳くらいのころ父親がラーメンをよく作っていて鶏ガラでスープをとっていました。煮込んだガラは筆者にエサとして与えられ,お腹を空かせることが仕事だった筆者は喜んでガラをむしって食べていました。肺,あばら,頸,いろんな部位をしゃぶっていたわけで,そのときの記憶がよみがえったわけです。




2021年10月24日




きょうの画像の左のレンズは1964年生まれで筆者よりも年上です。右側のレンズは1996年生まれで筆者が学位(博士(水産学))を取得した年です。30年以上の年月で設計思想は大きく変化してレンズは大型化して重くなりました。

では各種の収差補正が劇的に改善したかというと,そうとも言いがたいものがあります。まず軸上色収差補正は当然,新しいレンズの方がよろしいです。これは分かる人がみればはっきりと認識できるほどの違いです。しかし一般の方が染色標本を見たらまずわからないでしょう。そんなレベルです。

球面収差の色による差は新しいレンズで大きく改善しています。レンズが大型化して選択できる硝子材も多くなったのですからこれは当然です。ので,単色光でイメージングする場合は新しいレンズの方がよろしいでしょう。ただ,極端なことをしなければ,そんなに違いはわかりません。

では発売当時の顕微鏡に装着して検鏡したときの解像限界はどうでしょうか。物体と検鏡法によりますが位相物体の微細構造なら,同等あるいは古い方のレンズが高解像を叩き出す可能性が大きいといえます。1964年当時の顕微鏡は照明系もコンデンサも細かな調節が可能で,さらに偏斜照明が標準でできました。1996年では,照明系はプリセットで,偏斜照明は不可能で,油浸NA=1.4の精密な照明は不可能な鏡基が堂々と売り出されていました。それを補正するレンズもカタログには記載がありましたが,何のためのレンズかは書いてなかったので,このレンズを買って精密な照明を行った研究者はごくごく一部に過ぎなかったというのが実際のところと思います。

光学顕微鏡は光を操って見たい像を自分で作る装置です。いかに時代が進んでも装置の特性を見抜いて完全な運用を心がけなければ,30年前の古物よりも劣る像を作ることになってしまいます。そのことを知っているトップクラスの主にアマチュアの方々は,旧式の顕微鏡を使いながらも,すばらしい切れ味の絵を得ています。100年前の機材ですら,追い込んでチューニングすれば素晴らしい絵ができます。趣味で顕微鏡を扱う醍醐味の一つでもあるかと思います(画像/MWS)。








2021年10月23日




いまは25時40分。深夜のレンズテストタイムです。共同研究者から依頼されたものです。レンズテストは一般ユーザーにはまず行うことができません。理由はいろいろありますが,そのレンズを完璧に正しい方法で扱うことができるかが第一点。完璧に正しい方法というのは完璧な標本や機材,消耗品を要求しますので,それらを全部持っていることが大前提。これらが満たされても,目の前の像質を判断できなければテストにはなりません。チェックする項目はたくさんあります。

像質判断は長い検鏡経験が求められるものです。完全に壊れたジャンク品は誰が見ても一目で「ダメだ」とわかりますが,レンズの劣化は徐々に進行するものも多く,「何かがおかしい気がするがとりあえず見えている」ということもよくあります。この微妙な差を見分ける能力は絶対音感みたいなものです。

そんなわけで研究歴の長い大御所の共同研究者でも自己判定できないものはウチに送ってきたりするのです。まことに正しい判断と言うよりほかはなく,このような,自分でできないことを理解していてさっさと依頼することができる人が,大学の先生になって出世するんだなぁと思ったりもするのです。筆者にそのような能力はほとんどなく,貧乏な身で何でも自力で解決しようとするクセがついていて,だからこそ職人として世の中の片隅でひっそりと暮らしているのかもしれません。わはは(画像/MWS)。








2021年10月22日






きょうの画像は高解像微分干渉法で撮影したほかの珪藻。本ページの読者なら「あまりぱっとしないなぁ」というご感想をお持ちのことと思います。これまで掲載してきた斜入射による作例と比べるとどうしても見劣りします。原因は複数あって,使用しているレンズが40年以上前のものであり使用波長での球面収差が大きいということと,微分干渉法の制約によって解像限界付近のコントラストが落ちていることが大きいでしょうね。

それでも一応は構造が見えているのですが,低コントラストで見えているのと,高コントラストで見えているのとでは,撮像素子のS/Nもあいまって見栄えがまったくことなります。可能な限り原画で良い絵を得ておくべきなのは天体写真と一緒です。ですので,珪藻のイメージングでは,高解像の解像限界を狙うときには,19世紀から現在まで,斜入射の照明(偏斜照明など)が基本となるのです(画像/MWS)。








2021年10月21日(2)




なんか夜になって木枯らし的な風が吹いている。時期的には半月ほど早いしまさかとはおもうのだけれども,風の音が筆者に「木枯らしに似ている」と語りかけます。でも26時になったらぴたっと止んだ。木枯らし前奏曲という感じでしょうか。
画像は25時半くらいに,大気の状態を知るべく,シリウスを流し撮りしてシンチレーションの状態を記録したもの。低高度の大気の微分分散+空気の微分的密度変化を表したものと思っていますが,けっこうふらつきが大きく,暖気と換気の入り交じりでメラメラしていることは確かな感じです(画像/MWS)。








2021年10月21日






ピーマンの肉詰めなる料理は自分で作った覚えがない。けれども冷蔵庫をのぞくと豚しゃぶしゃぶ用とピーマンが二袋。あとはタマネギとキュウリとナスくらいしかない。キュウリは浅漬けにしてナスはごま油しょうゆコショウの煮含め風にするならば,残った材料はピーマンの肉詰めにするくらいしかないような気がした。

ので,作ってみるかと取りかかる。この段階でもレシピは一切見ません。時間の無駄です。自分で目の前の素材を考えながら「ピーマンの肉詰め」になるように手を動かした方が早いし,限られた材料ですからもともとレシピ通りに作ることなどできないのです。とはいっても,ピーマンの肉詰めに,本当は何を詰め込むのかを知らずに始めるのはちょっと無謀な感じもしますが…。でも目の前には豚肉とタマネギしかないんだもん。この両者は相性が悪いはずはないのです。

ということで,肉はよく研いだ包丁で細かい挽肉にしてしまいます。タマネギはみじん切りにしてから電子レンジで充分にチンして甘味を出しておきます。この両者を混ぜ混ぜして,塩,コショウ,若干の片栗粉の雪を降らせて混ぜ混ぜ。これで具材は完成。

ピーマンは半分に割ります。膨らんだところの頂点でカットすると肉詰めしやすいということを今回発見しました。こうして頭を使いながら作業をするのが大事。種とへたとワタをとって水気を切ります。そこにバターナイフで肉を詰めていきます。

テフロンのフライパンに,肉面を下にして並べ,フタをして弱火で焼きます。油は使いません。表面がきつね色になったらひっくり返してさらに焼きます。筆者的にはピーマンはクタクタに加熱した方が消化が良いので,よく焼きます。焼ければそのままお皿に平行移動。できあがりです。

この作り方は,何のレシピも見ずに勝手に考えたものなので料理人が見たら腹を抱えて笑うような代物かもしれません。。そこはご勘弁を。でも,料理は創作でもあって,目の前の素材をいかに食えるようにするかが全てです。

今回は,タマネギを事前に加熱しておくことにより,豚肉に火が通ればすぐに食べられる+肉とタマネギがよくなじむ,という効果を狙ったものです。タマネギは柔らかさアップと甘味付与,コクの増加を狙って加えています。肉面から焼いてひっくり返したのは,肉を焼くと肉汁が出るので,先に肉の表面を焼いておき,ひっくり返して焼くことで,出てくる肉汁をピーマンという器で受け止めるという作戦です。肉汁ブシャーを狙ったのです。

下味が薄くついているので,そのまま食べてもOK。からし醤油でもOK。からしだけでも,ケチャップでもOK。ふつうにおいしいピーマンの肉詰めでした。カミさんもウマイウマイと食べていました。

こうして,レシピも見ることなく,時間の無駄もなく,材料を目の前に脳みそをぐるぐるしながら作業をするのが筆者流の料理です。きっとボケ防止には良い効果があることと信じています(笑)。マジです。

あ,そうそう,画像にはありませんが,この具材をシソの葉で包んで,電子レンジでチンして食べるともっと簡単です。もちろん,ピーマンに詰めてから電子レンジでチンでもOKです。今回は本ページに掲載する関係で焼き目をつけたかったのでフライパンで焼きましたが,加熱はグリルでも,オーブンでも,何でもいいでしょう(画像/MWS)。








2021年10月20日




もよりの床屋さんが利益も出ないから店仕舞いする,といって閉店してしまったのは5年前くらいだったかな。せっかく常連になって気軽にいける床屋を見つけたのに…とうなだれて,オバさんにどうにかしてくれ〜と泣きついたところ,オバさんの自宅でカットしてもらえることになったのです。何でも,店舗の家賃で売り上げが相殺されるので店仕舞いするけれども,むかしからのお得意さん(主に女性)は,自宅でカットすることで納得してもらったとのこと。「でも,男の人は洗髪があるからねえ」「いやいや,歩いて一分だから帰ってすぐにフロ入りますよ」と言って納得してもらったのです。

そんなわけで床屋さんは1階の店舗から6階の眺望のよい部屋にかわり,スカイツリーを眺めながら散髪してもらうという贅沢なことになっています。オバちゃんは「カットだけだから2,000円でいいわよ」と激安価格を提示してくれましたが,それではあまりに申し訳ないので2,500円支払って,最近は気分的に3,000円払っています。調髪料金は客が決めるのです(笑)。

というのも,オバさんのご自宅に一通りの設備は整っていますが,床には新聞紙を敷き詰めて髪の毛が飛び散らないようにして,客が帰れば掃除もたいへんでしょう。一人の客をさばくための労働量はけっこう膨大です。2,000円では本当に申し訳ないのです。…などということを考えるようになったのも自分が商売を始めたから,というのもあるかもしれません。

なんとなく,何かがシンクロするようなものがあるような気がしていて,あるとき旅行の話で筆者が東北出身で宮城から一ノ関・気仙沼方面によくいく話をしたら,なんとそのオバさんは栗駒山のふもとのご出身だったのでした。筆者もわずかな回数乗車した栗原電気鉄道(くりでん)の沿線にお住まいだったとのことです。そして,ご親族のお墓は八王子に移したとのこと。八王子は筆者の育ちのふるさとです。なるほどそれでどこか遠くに東北なまり(宮城近辺)を感じていたのかもしれません。

自宅営業の床屋さんですが,ハサミやカミソリの切れ味に不満を感じたことがありません。これはけっこうたいへんなことです。床屋のハサミは,いまでは安価でもそれなりのものもありますが,むかしは1本5万から9万円くらいという感じで,取り扱いも難しく,自分で研いでいる人は少なく,業者に出してメンテナンスが常でした。

「このハサミよく切れますけどメンテしてますか?」「専門業者に出してます」「ハサミはひねりがあるから自分でやるのは難しいですね」「そうなの〜」なるほど〜ですね。むかし通っていた床屋はハサミの切れ味にムラがあって,髪の毛がハラハラと落ちていくような切れ味のときと,そうでないときがありました。いま通っているオバさんはもう結構,ご高齢なのですが,切れ味至上主義を守っているようです。そして仕事が早い。

「ハサミも寿命があるでしょう」「そうですね」「減ってくると,業者がこれもうダメだよと言ってくるの」「裏がつくれなかったら終わりだもんね」「でも買い換えると1本6万円とかするでしょう?」「床屋さんのハサミは高いよね。でも一流の板前さんの刺身包丁は安くて三万円,高いと十万円。」「道具ってそうなのよねー」「でも包丁って時々捨ててあるから拾えるんですよ。」「あの挟んでこするだけの砥石,あれは一瞬しか切れないよね」「あれはダメです。アゴが研げないので包丁が変形しますし切れません。それで引っ越しのときなんかに包丁を捨てる人が多いんです。ウチは拾った包丁ばっかりで最近は人にあげてます。」などと研ぎ談話が盛り上がります。

「最近は日本剃刀を研いで自分で使っているんですよー」「そんなことしてんの,あはは。日本剃刀は肌を傷つけないので女性の顔を剃るときにいいのよー」「確かに当たりが優しいですよね」 さすがはプロです。筆者がweb上をほじくり出してようやく見つけたような答えが即答で返ってきます。

「研ぎはできるんですけど,レザーは私は怖くて使えません。日本剃刀は可動部がないから安心できますけどレザーはダメです。」「レザーは難しいですよ。でも日本剃刀はすぐに切れなくなるんですよね。レザーの方が長く切れますよ。」「刃の厚みが違うので日本剃刀は刃先が鈍ったら食い込まないのでダメですね。レザーは薄いので多少刃先が鈍っても食い込んでくれますよね」「あーそうそう,そうなの。」

などというたいへん愉快な話をしながら散髪してもらっていたら,ちょっと手をとめてバルコニーへ。何か用事でもあるのかな。スズメのえさが切れたのかな,などと思ってみていると,大きなブロックを4つ抱えてきました。「これね,むかし使っていたやつなんだけれども…見てみる?」「見せて下さい。あーこれはただのレンガ。あーこれはキングの赤煉瓦と言われた砥石,包丁に使っていましたね?。これは青砥だと思います。」「主人が残したものがいろいろあってだいぶ処分したんだけれども,まーだ一杯残っているのよね。捨てられなくて。よかったら持って行ってくれる? 捨てるところだったんだから。」「持って行きます持って行きます。捨ててあっても拾います笑。」

などというさらに面白い展開になって,散髪をしてもらうは,調髪料金以上のお土産をもらうことになるわ,新型コロナで引きこもりの世の中にあっても,愉快な日常というのはあるものです。

頂戴した砥石はかなり凹んでいたので,まずはコンクリートブロックで粗く削って,そのあとに,赤い砥石の両面と青砥っぽい砥石の片面で「三面法」によって平面出ししました。それがきょうの画像。赤い砥石はキングの通称・赤レンガに近い感じがしましたが,もう少し硬い感じです。厚みもたっぷりで,気軽にざくざく使える中砥として役立ちそうです。それ以上に興味深いのが青砥?で,これは筆者の知っている青砥ではありません。かなり粗い針気があり,石質は硬く,赤レンガで擦っても全然減りません。青砥は多かれ少なかれ泥っぽさがあるものですが,それがなく,荒々しく,これは中荒の感じです。細かいことは刃物を当ててみないとわかりませんが,京都の青砥と呼ばれるものでこのようなものはまだ見たことがありません。

こんな楽しい思いをさせていただいて,お土産までもらって,散髪までしてもらって2,000円はあり得ません。中年オッサンの必殺技「お金は物に払う物でなく人に払うもの」を実践してきてよかったなあ,そう思うのです(画像/MWS)。








2021年10月19日






ギョロメケイソウの目玉の微細構造が当室の高解像微分干渉で解像できたということはアミバリケイソウ(Amphipleura pellucida)の格子構造は余裕で解像できるはずです。ので,寝酒を飲みながら試してみました。その結果がきょうの画像。NAobj=NAcond=1.3の条件です。波長はλ=443nmです。対物の倍率は100倍,鏡筒倍率は1.25倍,投影レンズの倍率は2.5倍です。撮影はNikon1J5です。

画像はいずれも二枚コンポジット。高解像の方はバックグラウンド減算もしています。そののちにヒストグラムを引き伸ばしています。

画像一枚目は通常の微分干渉法です。横条線の270nmは余裕で解像していますが,縦条線の200nm付近の構造は,解像し始めてはいるものの完全解像にはほど遠いものです。微分干渉法は高解像な検鏡法と勘違いされているフシがあるのですが,そのまま使うと検出感度が高い一方で珪藻のような物体に対しては解像限界はそれほど高くありません。その理由は互いに直交する2本のビームを使うという点と背景光の存在です。スライダを調整して背景光をゼロに近くもできますがその領域は偏光光学系特有の偽解像の起こるところなので検出感度は高い一方で物体の構造を忠実に再現してはいません。

画像二枚目は筆者考案の高解像微分干渉法による作例。微分干渉法の同じ珪藻の同じ部分を撮影しています。かなり球面収差残存を感じる絵ですが200nmの縦条線の解像は明らかです。Amphipleura pellucidaの格子構造を微分干渉法で解像した例を見たことがありませんが,その気になればまぁできます。

と,この例でわかるように,顕微鏡は見たい像を自分で作る装置です。市販の微分干渉顕微鏡は200万円もするような高価なプロ用機材ですが,そのまま何も考えずに使えば大したことはできません。少しでも顕微鏡光学を勉強して,お勉強の成果をイメージングに反映させていくと,だんだんとコツのようなものな見えてきて,物体を見ればどんな照明法を使うべきか頭に浮かぶようになってきます。

こうして,またもや骨董品遊びの楽しい時間で夜もふけていくのです(画像/MWS)。








2021年10月18日






きのうに引き続いてギョロメケイソウの目玉と物体としてイロハのハの試験をしてみました。照明/対物ともにNA=1.3の条件です。しかし難しいですね。一枚目の画像は通常の微分干渉によるもの。二枚目は独自考案した高解像微分干渉によるもの。解像限界はほんの少ししか変わっていない印象です。しかし解像限界付近のコントラストは劇的に上昇しています。画像は5枚コンポジット。切り出して1/3に縮小したのみです。ので,画像処理を行えばこれ以上のものにできます。

ただ原画の段階でじっくりみていると軸上色収差や倍率色収差をはじめとして球面収差の波長による差なども感じるので,この古いレンズの限界はこの辺りなのかな,という気もします。一般に信じられている光学顕微鏡の性能からみれば十分すぎる絵になっていますが,筆者的には「その先」を考えますので,うーんと思っているところです。

こうして,骨董品遊びの楽しい時間で夜もふけていくのです(画像/MWS)。








2021年10月17日






ふだん使っている微分干渉顕微鏡は有限鏡筒長のオプチフォトの初期型のもので,ほとんど骨董品に近い古いものです。たまに使う微分干渉顕微鏡はダイアフォトでこれも同じく古いものです。この頃のニコンの生物顕微鏡では微分干渉に対応するレンズがPlan10x, 20x, 40x, 100xがメインで,プリズムとのマッチングの関係でPlanApoは使えませんでした。装着して使うことはできますが,正常な微分干渉像にはならずに,背景光が極端に偏り,検出感度の調整も部分的にしか行えないものとなっていました。

その後もニコンでは有限鏡筒長の微分干渉顕微鏡では使えるレンズがほとんど増えませんでした。LWD系などでDIC可能なものがあるのと,プランアポ油浸でオプチフォト-2で専用プリズムを使うもの(NTF-2システム)があるくらいです。

このため筆者はいつも四苦八苦して,この使いにくい初期型のオプチフォトDICにイメージングや画像処理技術を組み合わせて何とか見られる絵作りをしています。最新の微分干渉顕微鏡を買えばそんな苦労は必要なく,プランアポでもきれいな像が出て快適なことは知っていますが,欲しいシステムを組もうとすると百数十万円はするので,それなら技術でカバーと,大学院生の頃からの涙の努力が続いていたりするのです…。

きょうの画像もそんな涙ぐましい努力の一例。まったく予期せぬレンズでも,倍率とプリズムに対するマッチングさえよければ微分干渉で使えます。これまでもニコンのカタログには載っていないけれども,これ使えるんじゃね? というレンズを発見しています。きょうも発見しました。油浸領域のNA=1.3でしたので高解像微分干渉が可能か試験しました。きょうはイロハのイの試験です。

画像一枚目はコアミケイソウの表面構造(カラー),二枚目はギョロメケイソウの目玉の微細構造(モノクロ443nm)。切り出して50%の縮小のみの画像です。短波長で球面収差を感じますが許容範囲内です。これは「使える」と判定していいレンズですね。オプチフォトDICで使えるレンズが一つ増えました。これはほんとうに貴重なことです(画像/MWS)。








2021年10月16日




いきなり衆院解散総選挙です。国民に考える時間を与えない欺瞞的な感じが漂いますが,賢明な国民はだまされないでしょう。

特に支持する政党もなく,投票先に悩んでいる方々もおおくいらっしゃることかと思います。そんな方々に一つのヒントを差し上げます。「やってほしくないことをやりそうな政党には投票しない,あとはどこでもよい」という方法です。政党で選ばず政策で選んで投票するのですから無責任な方法ではありません。立派な意思表示です。

では,どんなことを「やってほしくない」のか。

これまたヒントを差し上げますと,たとえば,「水道民営化」などはいかがでしょう。これを推進しそうな政党には投票しない,という選択はけっこう現実味があると思います。

水道民営化については,こちら とか こちら とか こちら を参考にしていただくのも一法です。民営化すると地方公営企業法との関係がどうなるのかひじょうに心配ですし,簡易水道がどんな扱いを受けるのか本当に心配ですし,日本独自に培ってきた生物ろ過法(こちら)の技術なども企業にとっては邪魔なものなので急速ろ過や膜ろ過などの企業側がおいしいもの(国民には有り難くないもの)に変わる可能性もあります。

上水道は生活上の生命線です。現在の地方公営企業法にも問題は山ほどありますが,PFI方式とはいえ民営化して改善するほど簡単な問題とはとうてい思えません。国鉄が民営化して地方がどうなったか。水道が民営化して簡易水道がどうなるのか,本当にマズいのです。しかも結果は10年,20年後にわかるのです。そのときにはもう手遅れかもしれません。

よーく考えて衆院選に一票を投じましょう(画像/MWS)。








2021年10月15日(2)


これこそ報道機関の役割を果たした素晴らしい仕事。専用機を飛ばして事実をありのままに見せる。本当に素晴らしい(こちら)。この取材にかかわった皆様に心より御礼申し上げたい気分です。

映像の途中で引きの場面があるのですが,両方の島で,周囲の海水が濁っています。これは火山活動の状況からみて物理的な濁り,つまり火山噴出物による濁りだけではないように見えます。では何なのかというと,噴出物は海水に対して,可溶性の鉄,シリカ,リンなど「植物プランクトンの栄養」の供給源となるので,強い日射も相まって,火山島周囲でプランクトンの増殖が起こっているものと筆者は判断します。何が増えているのか顕微鏡で見てみたいなー。

こうしたダイナミックな天文学的,地球物理的な活動と生物活動が相まって46億年の地球史を造り上げてきたかと思うと,それはほんとうに奇跡としかいえないバランスの上に成り立ってきたと感じます。皆さんもこの動画を見て鼓動する地球を感じてみて下さい(画像/MWS)。








2021年10月15日






むかしの画像をチェックしていたらこんなものが出てきました。この画像の放散虫は骨格がとても細くてコントラストが出ません。珪藻はヒトツメケイソウとトリケラチウムの高コントラストなものを使っていますのでよくみえます。すると全体のバランスがとりづらく,照明に工夫が求められます。画像一枚目は工夫した例。画像二枚目は単なる暗視野像。見た目が全然違います。顕微鏡観察や写真撮影では照明がキモなのです(画像/MWS)。








2021年10月14日




このところ検査板関係の仕事が続いています。注文主は開発関係,研究関係,教育関係と多様です。顕微鏡を使いこなす,性能テストを行うための評価用物体の重要性が認識されてきているようで良い傾向です。きょうの画像はお世話になっているマツナミさんの画像。ここの中の人には,マツナミさんのガラスについてひじょうに詳しく教えてもらいました。仕事上重要な情報もあり当サービスの製品の品質維持,向上に役立っています(画像/MWS)。








2021年10月13日




ガラスの骨格を表現するには,微分干渉もよいけれども,やっぱりいろんな光を混ぜ混ぜした明視野の方が質感が出てよいなーという気もします。きょうの画像は人工照明は使っていません。窓際に置いた顕微鏡で自然光を利用して落射や透過光のバランスをとったものです(画像/MWS)。








2021年10月12日




ことし最後に電車に乗ったのは半年以上前かもしれない…。これはながねん生きてきて最高記録かもしれません…。その分,使わなかったお金を利用して鉄分補給しなければ…(画像/MWS)。








2021年10月11日




ことしも会津若松から新米が届きました。京子ちゃんありがとう〜。オプチフォト,ダイアフォト,BX50の使い手ですが,もう15年のお付き合いになります。最初は顕微鏡の講義,そしてダイアフォトの分解メンテナンスと担当して来ましたが,最近はお世話になってばっかりです。実に恐縮なのですが,でも東北の新米はうまいに決まっているので嬉しくもあるのです。

新米ですし最近の精米器は高性能ですので,米はザルに計量して,ざっと水で流すだけで研ぎません。2回も水替えすればじゅうぶんです。それで気持ち水を少なめにして炊きました。今年最初の新米なので刺身定食にすることにして,カツオ,ホウボウ,キンメダイ,イサキ,ミズダコを仕入れておかわりをしながらの夕飯となりました。引きこもりの生活をしながらでも,こんな素敵な差し入れがあると豊かな気分になれますね。顕微鏡で生きていく人生はこんな実りをもたらしたりするのです(画像/MWS)。








2021年10月10日




なつやすみが開けて学校が始まりデルタ株のクラスターが発生して感染者が増える懸念がありましたが,感染者数は急速に減少し,ゼロに向かうかの勢いです。多くの専門家がまともに説明できないこの現象を筆者の目から見てみましょう。

まず,感染者の激減を考えるには,それ以前の7-8月になぜ感染者が激増したのかを分析することが必要です。筆者の目には,

・感染者数が減らない段階で緊急事態宣言を解除したこと
・そのタイミングでオリンピックをやるんだという政府の判断があったこと
・それなら旅行くらい行ってもいいや
・それならBBQくらいやってもいいだろー
・それなら宴会くらいかまわないだろう
・それなら帰省くらいいいだろー
・デルタ株の蔓延
・気温の上昇に伴い冷房の使用,換気の低下

これらが7-8月の感染者激増の原因です。教員からの聞き取りでは7月後半に多くの小学生が家族と地方に旅行に行っていたことが明らかになっています。一定割合の家庭は自粛などしていなかったのです。これらの人の動きや,オリンピックという判断がハイリスク層を刺激してさらに活発にウイルスをまき散らすことになったのだろうとみています。

さて,急速な減少はどこに原因があるのでしょう。これもいろいろありますが,

・あ,やっぱしマズかったと思う中間層の存在
・医療崩壊したのでハイリスク層がびびって自粛した
・それ以外の層はロックダウンなみの徹底対策をした
・地方では帰省以外に感染経路がなかった
・気温が下がって換気できるようになった
・雨が多くウイルスが洗い流された

といった点があげられます。しかし9月に入ってからの急速な感染者の減少はほかにも原因があるように見えます。そこでヒントになるのが,市中感染率と,これまでの第1〜第5波のピークの推移,そして感染経路です。

兵庫県の調べでは,現在の市中での抗体保有率は約2%とされています。この数字を全国に適用できるとして,98%の国民は新型コロナに感染していません。そして,これまでの5回の波は,全て,国民の0.0何%程度が感染した段階で収束しています。第5波だけピークが高かったですが,これはオリンピック効果とデルタ株の特性です。それでも国民の多くが感染する前に収束するのです。

このことが何を意味するのかというと,わずかな数の感染者が出た段階でマスコミ等が危機を報じ緊急事態宣言が出るので,賢明な国民は自衛して新型コロナにかからないということです。報道情報がひじょうによく浸透するのです。そして,それにもかかわらず,何回も波が押し寄せるのは,報道情報も感染症対策も一切気にしないハイリスク層が存在していて,その人たちが毎回,国内に感染症を広げているということです。

社会的にはこうです。新型コロナウイルスは,あたかも,「日本国民全員」に広まっているように毎日報道されていますが,じつは,このウイルスは感染症対策をきちんと実行できる人には感染できないのです。感染症対策などまったく気にしないハイリスク層だけが,その周囲に感染を広げているのです。そして,ここが大事なところなのですが,ハイリスク層とそうでない人との間は,家庭内・職場・通勤経路など以外は社会的には分断されています。利口な人はバカとはつきあいません,と言った方がわかりやすいでしょうか(*1)。ハイリスク層はハイリスク集団の中で生きているのです。

そしてじつはハイリスク層も互いに交流があるわけではありません。性風俗系ハイリスク,キャバクラ系ハイリスク,宴会大好きおじさん系ハイリスク,ホストクラブ系ハイリスク,カラオケ系ハイリスク,路上飲みハイリスク,大家族法事系ハイリスク,BBQ系ハイリスク,フィットネスクラブハイリスク,教会合唱系ハイリスクといったそれぞれの集団は,互いに交流があるわけではありません。個別に浮遊して島宇宙化しているのです。

日本国民に占めるハイリスク層の割合は,筆者の目では,多く見ても10%は存在しません。したがって日本国内では新型コロナは,適切な情報が与えられている現状にあっては,全国民に広がるものでなく,ハイリスク層のわずか数百万人の間だけで流行する特殊な感染症ということがいえそうです。

さてここまでの前提が正しければ,9月から10月にかけての急速な感染者数の減少が理解できます。個別のハイリスク集団とその家庭内の感染が行き渡ったのが8月で,あとはそこから外側にはほぼ広がらないので,ウイルスが行き場を失ってしまったのです。このウイルスはバカから利口には移らないので,新たな感染者を探しているうちに鮮度が落ち,感染力を失ってしまったのです。

もう少し詳しく説明すれば,全国民で見れば,集団免疫などほど遠い状況の中で,島宇宙化した個別の集団の中では集団免疫が成立しつつあるともいえます。それぞれのハイリスク集団の中では濃厚接触機会のある人はすでに感染済みということです。それぞれのハイリスク集団で抗体保有検査をすれば2%ということはないでしょう。でも日本は後進国なので,そんな調査をするアイデアもないし,感染研はまともな仕事ができる人材も予算もないので,真実は明らかにされないままなんでしょうねえ。

これが現状に対する筆者の説明です。全国の,感染拡大防止に協力した方々に心より感謝申し上げます。皆さんのおかげでこの類い希なるデルタ株の押さえ込みに成功しつつあります。日本人は季節性コロナとの交差免疫が効いているという説もあり,またBCG仮説もありますが,それらが充分効いていれば第5波の急峻な立ち上がりになるのはちょっと疑問で,やはり行動抑制が大きく効いているのではないかと考えられます。

さて,ここでの考察が概ね正しい場合,次に何が起こるでしょうか。いくつか考えられます。再び感染拡大になるには,

・ハイリスク層を刺激する政策(GoToなど)
・新規株の移入(デルタプラスなど)
・密閉空間(暖房開始)
・接触機会多数(忘年会)

このような条件があれば再び感染は拡大します。12月になるでしょう。しかし,上記の考察で明らかなように,感染を広げるのはハイリスク層集団だけです。ので,オリンピックのようなハイリスク集団を刺激する政策がなければ,次の感染拡大のピークは第5波よりも低くなると予想します。バカはバカのまま。利口はさらに利口になるので,よほどの失策がない限りは,(オリンピックという)失策があった第5波よりはピークが上がらずに済むと考えられます。

ここでの考察は短期的な政策にも示唆を与えます。この10月,11月にPCR検査を徹底し,しらみつぶしに感染者を追跡していけば,一時的に(報告値的に)ゼロコロナに近い状態に持って行くことができそうです。緩めていた入国者の隔離を再び強化し,「火だね」を徹底的につぶすようにすれば,培養曲線でいうLag Phaseをひきのばすことができるので,医療関係者にとってはほんとうに貴重な時間となります。PCRを無駄だという人もいますが,とにかく感染者を減らすことが重症者を減らすことで,医療関係者の負担を減らすことになるので,PCRのような高感度で特異度の高い検査で「火だね」を探して消すことは大事なのです。

問題はワクチンです。現行のワクチンは感染防止にはあまり効力がなく重症化防止には数ヶ月の高い効果があります。これを接種したことで,ある種の安心が生まれる方々が生じることは避けられません。それがワクチンというものだからです。しかしその「安心」は 利口→バカ のベクトルを持つもので個人の死亡確率を下げるものとしては有効でも,それ以上に感染拡大に寄与すると,世の中全体での防疫にマイナスの作用を生じてしまいます。ワクチンで新型コロナをどうにかしようとした国は全部失敗しているので,今のところは,行動抑制が大きなアドバンテージがあるものと思います。

ほかにもいろいろ言いたいことがありますが時間が参りました。ここで述べたことは仮説ではありますがグラフを読んでの結果なのでそんなにいい加減とも思っていません。これ以上の説得力ある論理をお持ちの方はぜひご披露下さい。とにかくこの面倒な感染症は叩きつぶさないといけないので…

きょうの画像は一週間まえの秋葉原のようす。若者で一杯です。人出もあまり以前と変わりません。でも,感染症は減るのです。日本人にはお利口な方々が多いからです…(画像/MWS)。



*1 筆者と近い考えの方がSNS上にもおられます。すべてに同意するわけではありませんが, こちら の方と考え方はよく似ています。




2021年10月9日




すこし前にテンヨのビミサンが話題になっていました(こちら)。本ページでは数回目の登場かと思いますが,くどい甘さがなくてじつに使いやすい万能ダシつゆです。記事でも触れられているように「甘くなくておいしい」のです。多くの甘いつゆに慣れてしまった人は「そういうもんだ」と思い込んでいて,甘くないものがいかに中庸な味なのかを忘れてしまっています。そんな方々がビミサンを試すと,「すっきりしている」「甘くなくておいしい」となるのです。現在市販のつゆの多くはコカコーラよりも糖度が高いのです。そんな馬鹿らしいものをいつまでも食べていないで,ビミサンをぜひ皆さん試して欲しいですね。食べて納得ですよ。

当室では常用していますが,数ヶ月前に在庫がなくなり,しかし山梨ショップが緊急事態宣言のためお休みで入手方法がありませんでした。ビミサンは関東地方では売っていないのです。それで創味のつゆを使っていましたが,筆者にはあれでも甘いです。バランスはとれていると思いますが,つゆの主張が前面に出るので,料理がみな同じ感じの味になります。そこがちょっと使い方の難しいところです。それでビミサンをどうにかしたかったのですが,とうとう見かねたカミさんがamazonをポチしていました。当室では十割蕎麦をよく食べるのですが,つゆが甘いと蕎麦の味が台無しになってしまいます。ぜひともビミサンを使いたいところなのです。

SNSではそうめんにビミサンが絶賛されていましたが,まぁ,基本の組合せですね。筆者のオススメは,ビミサンを水の代わりに生卵で薄めます。そこに薬味を投入してよくかき混ぜます。そうめんは水気をしっかり切って,ビミサン卵の中に投入し,よーくかき混ぜます。ここで一度味見します。薄いようなら,ビミサン,またはしょうゆを加えてよくかき混ぜます。これは病気回復食として食べることが多いもので,炭水化物とタムパク質がとれて,味もおいしいし言うことなしです。漬け汁方式ではないので,汁(卵)も余すことなく食べられます。なおそうめんは この方式 で茹でます。

ビミサンは少し薄いかな?と思うくらいの量で使うのがコツかもしれません。用途は万能です。キュウリに振りかけてジップロックで放置すれば浅漬け風になります。縦に4分割くらいのなすをチンするか焼くかして,ビミサンを振りかけてなじませれば焼き浸しになります。茹でたモロヘイヤに少量かけて和えてもよろしいですし,千切りのタマネギとニンジンにビミサンと穀物酢,唐辛子を入れて漬け込めば南蛮漬けのもと風味になります。

めんつゆの代用としてもよく,むしろめんつゆよりもこれがめんつゆなのでは?と思うほどです。ゆだめ,釜揚げうどん,蕎麦,ひやむぎ,そうめん,何でもOKです。ダイコンおろしにビミサンを加えて高遠そば的に食するにもビミサンはよろしいです。ほんと,なんでこれが全国銘柄にならないのか,しないのか,テンヨ武田の営業方針が不思議で仕方がありません(画像/MWS)。








2021年10月8日










とろみをつけたいときは水溶き片栗粉を使うのが常識ですが,あんまり好みではありません。料理が水で薄まってしまいますし,手間が増えますし。薄まるのを回避するために水溶き片栗粉に調味料を加えておく手法もありますが,かえって手間が増えます。かといって片栗粉を直接投入するとダマになってとろみどころではありません。

そこで考案した方法がきょうの画像。茶こしに片栗粉を入れて,指ではじきながら振ると,片栗粉の雪を降らせることができます。細かい粒子として降り注いでいるのでダマになることはありません。これをよくかき混ぜて焦げ付かないようにとろ火で煮ればちゃんととろみがつきます。片栗粉の雪を降らせるときは火は消しておきます。これで手数が減り,料理を水で薄めることもなく,とろみをつけることができます。

できあがったマーボもどきは,マルチャンの焼きそばの麺を電子レンジでチンしたものの上にのせて,あんかけ焼きそばとして頂きます。手抜きの極みみたいなもんですが,これでいいんです。昭和の人間としては「ソフト麺」を思い出します…

ところで,先ほどの地震ですが,筆者は顕微鏡デスクに座っていました。直下型っぽい,しかし深い感じの地震で,だんだん揺れが大きくなるのが不気味でした。ただちに 強震モニタ で確認して規模と最大震度を推定。顕微鏡群は放置でOK,珪藻在庫だけを守る体制に入りさらなる揺れに備えました。だいたい読み通りの経過で,資材が積み上がった当室でも被害はゼロでした。体感的には震度は4から5弱の間くらいに感じました。余震,あるいはこれを引き金としたさらに大きな地震に警戒しましょう(画像/MWS)。








2021年10月7日












きのうから酒を解禁して一ノ倉をたくさんいただき,深夜に寝て昼前に起きる,という筆者独自の睡眠回復法を実践したところ爆睡して睡眠不足が一挙に解決しました。一ノ倉の力は偉大です(笑)。胃もまったく問題ないので,夜飯はマーボもどきでも作ることにしました。これの作り方は本ページの2015年10月21日に記載があります。

これを作るときに豆腐を細かく切りたいのですが,よく切れる包丁でけっこう慎重に切らないと豆腐の細切れはできません。もっと手軽にやる方法はないものかと思っていたら,ハタとひらめきました。それがきょうの画像。豆腐を取り出して横倒しにして薄く切ります。これを一度容器に戻すのです。そうしたら容器の中に包丁を突っ込んで切れば崩れることもないので簡単に細かく切ることができます。なんでこんな簡単なことに気づかなかったのだろーかと恥ずかしいレベル。

この細切れの豆腐は丼物には食べやすくてとてもいいです。あとは汁物ですね。豚汁とか,なめこ汁に小さな豆腐が入っているとお上品ですし,食べてもなめらかでよろしいです。このところの不況のせいか,豆腐は年々水分が増えている感じがしていて,切るのがどんどん難しくなっている気がします。そんな状況にあって,きょう紹介した方法は,水増し豆腐でも細かく切れてしかも安全なよい方法かと思います(画像/MWS)。








2021年10月6日




Manabe先生がノーベル物理学賞を授賞。地球物理学が「物理学」として認められるのにこんなに時間がかかりました。。。先生の業績は筆者が学生の頃にはすでに輝かしいものになっていましたから,授賞はあと20年早くてもおかしくなかったと思いますが,モデルが予測する数値と実際の観測結果のマッチング度合を見ていたのでしょうか…。まぁでも,正当に評価されたことは喜ばしいと思います。いつまでも長生きして頂きたいものです。

ふと気になるのは,化学賞の場合「地球化学」は入ってくるのでしょうか。生物学の場合「古生物学」は入ってくるのでしょうか。どの分野にも相当な「大物」はたくさんいらっしゃいます。ノーベルは珪藻土にニトログリセリンを吸わせると安定化することを発見して,それから工夫を重ねて高性能で安全性の高い爆薬を発案して特許を取り,莫大な財産を築きました。ノーベルが億万長者になった影には珪藻土がありますが,珪藻学者にノーベル賞が与えられる日は来るのでしょうか…。

たとえば こんな 研究があるのですが,これが世の中の人々を救うようになったとして,この研究を主導した研究者はノーベル医学賞をとったとすると,この研究に最適な珪藻を見つけた研究者には果たして賞はどうなるんでしょう。地道に基礎を支えている方々への評価というのはちょっと気になるところです(画像/MWS)。








2021年10月5日




さすがに胃痛で酒を飲むことはありません。胃痛が治ってもしばらくの間は禁酒生活です。これが胃痛なみにしんどいのです。飲まないこと自体は精神的にはなんともありません。が,ぱったりと夜寝られなくなります。昨晩もそんな感じで,胃痛でほとんど寝ていなかったので期待したのですが,22時から30分ほど寝たのが最後で,あとは横になっていてもまったく寝られる気配がありません。02,03,04,05時と意地でも横になっていましたが断念して0547に起きました。

こういうときは「朝の毒食べ」といって,ジャンクフードを食べるとその後に猛烈に眠くなって寝られることがあるのです。そのための「ペヤング」はつねに常備しています。普段は一切食べませんが,不眠症の治療のときに食べるのです。

しかし今回は前日が胃痛でしたから,「ペヤング」なんか食べようものなら大打撃を喰らいます。そこでおとなしそうなものを食べて横になってみますが,全然眠気が来ません。ので,仕方なく起きてのろのろと暮らしているのが実際のところ。寝酒さえ飲めれば睡眠不足も解消して健康になるんだけれども…いつから解禁すべきか…(画像/MWS)。








2021年10月4日




サンマの竜田揚げなる商品を南蛮漬けにして食したところ(今年10回目?くらい),胃が張る感じがしてこれはまずいかなと思ったら食後2時間後に胃痛に発展。チリチリと焼けるような痛みで,酸化魚油系の症状です。どうにかしたいのですがこの時点では毒物が胃に入っているわけなので胃薬はまったく効きません。吐けばよかったのかしれませんが,吐きけはまったくありませんでした。

消化がある程度進んだかな,という23時過ぎにスクラートを一服。まったく効きません。横になっても痛みで寝ることはできません。そろそろ消化したかなと01時過ぎにスクラートを追加。効きません。のたうちまわりながら絶えて02時半にM2ブロッカーを一服。ほんの少し効く感じがしましたが気のせい程度でした。さらに転げ回って05時にスクラート。これも,ほんの少し効いた感じがしましたがすぐに戻ってしまいました。。

この時点でも胃にはサンマのカスが残っているような感じです。筆者の胃は優秀で,食べ物ではないものをいつまでも消化せずに胃の中に転がしておきます。これにより何が原因物質なのかがわかるのです。その昔,居酒屋でビブリオにあたったときはいろいろ食べたのに,翌日になってからワカメとタコだけをはき出しました。。

ので,朝からサンマのカスをはき出そうと努力してもぜんぜん出てきません。かといって,毒物が胃の中に入っているときはどんな薬を飲んでも効きません。お腹を抱えて転がっているしかないのです。

09時半まで我慢して,そろそろ胃も空になったかとM2ブロッカーを一服。これでようやく効きました。一時間ほどようやく睡眠。その後12時にスクラートで粘膜を保護。16時におかゆ。19時にもおかゆなどで夕飯。まだお腹はだらんとしている感じ。

散々な休日になりました。20年ほど前は,こういった体験をよくやっていました。それは市販の干物や缶詰やおそうざいの品質が低かったからで,食べていい店,銘柄など細かく見極めていました。しかし最近はどこのスーパーでもそれなりの品質を維持するようになったので,売っているものを食べてひっくり返るようなことは少なくなりました。それがスーパーライフだと一度も問題なかったのに,東武ストアのサンマだとひっくり返ってしまいました。。現在の日本は没落の一途を辿っているようにも見えるので,再び,そこいらへんのものを食べると苦しむことになる生活が待っているのでしょうか…(画像/MWS)。








2021年10月3日




珪藻の場合は壊れていると残念なのですが,放散虫は壊れていると内部構造が見えるようになるものがあって,そんな壊れ方をしたものは逆に価値が出てきたりします。見えないものが見るようになるので価値が生じるわけです。きょうの画像はそんな一例。「十」のような形態の放散虫ですが,2本の腕が壊れて「一」のような形になっています。腕がもげた穴からは内部が見えるので,その方向にマウントしたものです。球状放散虫の内部構造と似た構造が見えています(画像/MWS)。








2021年10月2日




おおよそ20年前の風景。画像整理の過程で発掘されたものです。当時所属していた研究関係の法人では,研究予算で購入可能なものは消耗品(5000円未満)のみで,備品の購入はできませんでした。特別研究員として着任して,まともな培養庫もなければ顕微鏡もない,まぁ首にはされないだろうけれども,「研究」は当面できないよね,という大いなる無駄。ポスドク10000人計画から来る歪みを受けた第一世代である筆者は,当時の政権の広報誌(新聞社)に苦言を送りつけたこともあります。

画像に写っている顕微鏡はすべて給料で買ったもの(中古品)とゴミ置き場から拾ったものです。それをすべて分解整備して使えるようにして,研究に使えるようになったのが着任してから15ヶ月頃。任期付きの研究員ですから残り時間はあまりないですね。本当に無駄なことですね。

このように書くと,なんだかグチのように聞こえてしまうかもしれませんが違うのです。この画像で大きく写っている顕微鏡は日本光学のバイオフォト・フルオフォトです。たまたま縁があって,多摩光顕サービスさんからバイオフォトのアポフルセットを買ったのです。この顕微鏡で,自分で採取してきた珪藻Diatomaを検鏡してみたところ,何かがひらめきました。この珪藻の微細構造は電顕写真でよくみています。それがこのバイオフォトなら見えるのではと思ってしまったのです。

当時,顕微鏡観察時間を増やすために,自宅にもバイオフォトを設置していました。研究テーマを一部,顕微鏡観察にシフトさせて,研究所でも自宅でもえんえんとバイオフォトを覗いていました。同時に光学系のお勉強も継続していて,その結果,この顕微鏡が妥協を排して手抜きのない,とにかく良い顕微鏡写真が得られることを目的として設計されたことを理解しました。特に優れているのが照明系の設計で,フィリップスの7023を使ってここまで高精度の照明ができる顕微鏡はバイオフォト・フルオフォトの他には,ごく少数あるだけでしょう。

数ヶ月の修行期間を経て,Diatomaの微細構造は解像することができました。おそらく世界初です。これはプランクトン学会で発表しました。筆者の「見えるのでは」のカンは正しかったのです。

筆者は大学院を出てから有期雇用しか経験したことがなく「正社員」になったこともありません。それを目指したこともないような気もします…。そういった不安定な身分の中で,この素晴らしい設計の顕微鏡「バイオフォト」を使った経験は大きなものでした。この機材を使って仕事がしたい。そう思ったのです。

そして数年後,有期雇用の期限も切れたとき,筆者は先輩の非常勤雇用の話も断ってあっさりと退職して無職になりました。

博士の学位を持ったものが「自分はなにものでもない」という無職の時間を過ごすのはつらいものでもあります。しかし筆者はその無職時間になにをしていたか,それは,バイオフォトとフルオフォトを毎日いじっていて,「自分に何ができるか」を考えていたのです。その間,多くの人が離れていきましたが,多くの人が助けてくれました。世の中,「所属」を見る人と,「人物」を見る人がいるのです。

そして「バイオフォト」と過ごす人生を考えた結果,顕微鏡に関連した仕事をすることが良いとの結論にたどり着き,2007年9月に開業となるのです。本ページ「本日の画像」は,その開業時から,絶対に毎日更新を貫く姿勢でやってきました。「バイオフォト」による世界を紹介できるというのもあります。

こうしてつらつらと書いてみるに,筆者の人生は,「日本光学」の影響を受けていることは否定のしようがありません。それが良かったのかどうかはわかりませんが,民間の一企業でも,多くの市井の人々の人生に影響を与えているんだなあと思うのです(画像/MWS)。








2021年10月1日




すでに秋の風物詩として定着した,ナチュラルヒストリーフォトコンテストの受付がはじまりました(こちら)。

毎年,様々な分野からの応募があり,ネイチャーフォトコンテストの1つとしても,いろいろなシーンを見せてくれるという意味でとても楽しみなコンテストです。本ページの読者様も複数入選されています。ナチュラルヒストリーですから,顕微鏡サイズから天文現象までを包括します。こんなに懐の広いコンテストも珍しいでしょう。

ぜひみなさま応募をご検討下さい。SNSで画像をばらまくのも現代的ですが,きちんと選者の存在するコンテストで,ほかの応募者の作品とともにレベルの揃った画像群として披露するのはまた違った意味があります。良い作品というのは,それを紹介するに相応しい場があるというものです(画像/MWS)。









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