画像のご利用について   サイトマップ





本日の画像

ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


【2021年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月
【2020年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2019年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2018年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2017年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2016年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2015年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2014年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2013年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2012年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2011年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2010年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2009年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2008年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2007年】  9月  10月  11月  12月

【今月にもどる】 




『珪藻美術館』(福音館書店) 好評発売中!
 



『珪藻美術館 ちいさな・ちいさな・ガラスの世界』
(たくさんのふしぎ傑作集)

 奥 修 文・写真
 福音館書店,48ページ,1300円+税 
もらったら嬉しい気持ちになる科学絵本です。大人でも子どもでも楽しんでいただけます。プレゼントにも最適です。全国の書店やネット書店,amazonさん などでお買い求めいただけます。





2021年6月30日(2)


本ページ6月の全記事を誤ってすべて削除してしまいました。そこで全ページを新たに書き起こしました。その後,読者様のご協力で削除前のデータの復活ができました。現在表示されているページはもともとのオリジナルです。7月2日に新たに書き下ろしたバージョンは こちら になります。記録として両方残します(画像/MWS)。








2021年6月30日




これまで販売してきた実績の集計はしていないので脳内の話なのですが,当サービスの分解能検査板の販売傾向は顕微鏡ユーザーさんによって偏りがあるのかもしれないと感じています。RL-TESTは個人ユーザーさんからの発注が多い気もしていて,次に研究関係の法人さん,その次に企業関係の法人さん,という感じかもしれません。DL-TESTはまんべんなくご注文頂いている感じです。

大雑把な傾向ですけれども,アマチュア顕微鏡観察家などの非常に高い技量をお持ちの方は限界まで腕前を試したいと思い,日常的に顕微鏡を業務で扱う方々は限界性能よりも日々の運用状態をチェックする目的で検査板を使うのかもしれません。

DL-TESTは生産ラインなどで使われることもあり,RL-TESTは開発現場で利用されることも多いので,棲み分けができている感じです。こういったことも,ながねん商売を続けないと判らないことで,継続の力を感じますね。脳内の話ですが(画像/MWS)。








2021年6月29日










すこしの気の迷いで3本も購入した船行包丁はその後も気に入って使っています。一本は知人のお祝いにスペシャルな研ぎを施して進呈しました。

包丁の切れ味はいろんな要因によって決まる複雑なもので,良い包丁を買えばおしまい,というほど簡単なものではありません。刃先がカミソリのように鋭利でも,切刃が狭すぎたり,表面がざらついていたりすると,固い食材の場合は食い込みが極端に悪くなり,切るときの抵抗が大きくなり,柔らかいものは切れるのに固い物が切れないといった現象が発生します。

固い物が切れないのは,包丁が「切る」から「割る」道具になっているからで,たとえばカボチャを切って断面を見てみれば,切れているのではなくて,割れているということがわかるかもしれません。V字型のものを押し込んで食材を「割って」いるのです。「切る」には薄い刃が必要です。

なぜか家庭用包丁はそれなりの刃厚のものが多く,うんと薄いものは探さないといけません。切れ味を追求するなら,刃の厚みは薄ければ薄いほどよくて,鋼材は硬い方がよく,そして切刃面積は広い方が抵抗が少なくてよく切れるのです。

本焼きの包丁などはあまり薄くすると折れる心配がありますし,合わせの片刃包丁でもあまりにも薄いと鋼材に軟鉄が引っ張られて反ってしまい,研ぎに難儀することになるでしょう。だから何でも薄ければいいというものではないのですが,割込の場合は狂いが少ないし折れる心配も少ないので,薄くしてしまえばいいのです。食い込みはよくなり,驚くほど軽く切れるようになります。

その例がきょうの画像。この包丁は安価なだけあって永切れするような素材ではないような気もします。しかし研いだ瞬間は食材に吸い込まれていくような切れ味です。最近は週に一度,しのぎから切刃をしっかり研ぐようにしています。そして徐々にしのぎを上げていって,切刃を薄くして,食い込みをよくするようにしています。

きょうの画像の研ぎ前と研いだあとを見比べれば,切刃面積が広がり,刃が薄くなり,食い込みが改善しているだろうことがお分かりいただけることと思います(画像/MWS)。








2021年6月28日






つくった検査板を暗視野で見てみると何かがおかしい。右から二番目のGyrosigmaが玉虫色に輝いている。ふだんはこんな色ではない。まぁ見た瞬間に何が起きているのかはわかるのだけれども,これは同じ大きさの殻が二重になっているときの現象。作っているときは低NAの対物を使っているので,珪藻が二重になっているのに気がつかないことがあるのです…。

ということでこの検査板はB品となり自分用に使っています。検査板は製作が最も難しいもので,ミスするとがっくりするのですが,今回の失敗は二重の殻の間で起こる光の干渉を眺めることができたわけで,そんなにつまらない気分でもない感じです(画像/MWS)。








2021年6月27日






ギンガメアジが入荷。たぶん食べるの初めて。断面はみたことのない魚。細かくサシが入った柔らかな身質。食べてみるとブリともカンパチともシマアジとも違う不思議な味わい。身にしっかり味がありますがくどさはないので飽きの来ない感じです。これは寿司にするか海鮮丼の材料にするとさらに良さそうですね(画像/MWS)。








2021年6月26日






クンショウモと珪藻の大きさの違い,超小型の珪藻とバクテリアの大きさの違いの一例(画像/MWS)。








2021年6月25日












Jシリーズなどの特注品を研究会や展示会,大学や高校の実習やクラブ活動などに活用している例は結構あります。このような用途の場合,どうしても標本は外気に直接触れることとなり,クリーンルームで扱うことも通常できませんので,使用後は汚れることとなります。きょうの画像はそういった利用後に標本がどうなるのかを示した例。メンテナンス依頼品です。

9x9mmのカバーガラス全面に大量の付着物が見られます。ガラスに曇りも生じています。画像で示してはいませんが,スライドグラスもこれ以上の汚れが付着しています。汚れを顕微鏡で見ると,極小のチリの粒子,おそらく天井から落下したと思われる鉱物系粒子,皮膚の角質,唾液の飛沫,皮脂などでびっしり覆われています。

この画像の様子をみて筆者がどのように感じるかというと,「この標本はおそらくかなり経験を積んだ人が学生さん等に使わせたのだろう」「標本を検鏡するにあたって,取り扱いの注意事項をきちんと説明して,実際に実演したのだろう」ということです。

そのように感じる理由は幾つかあって,まず第一に,スライドグラス標本面に傷が入っていません。標本面以外の部分には傷が入っています。これはつまり,標本を顕微鏡のステージにのせて滑走させるとガラスに傷が入るのでダメ,ということをきちんと指導していることを意味します。

次にスライドグラスを眺めると,指紋が両端を中心についていて,正しいハンドリングをしていることを示しています。顕微鏡のプロでも,標本をべったりガラス面を指で挟んで持つ人が多いのですが,これは間違いです。ガラス面が皮脂で汚れるということは,その皮脂でステージも汚染されるということです。それは高精度な標本をステージにセットするときに汚損することにもなりますし,皮脂はカビの大好物なので顕微鏡や標本の劣化を促進してしまいます。

さらに,落下している粒子数と唾液飛沫を見ると,その数はひじょうに少ないです。展示会などで2日も経過すれば,スライドグラスには無数の飛沫を観察することができます。そこから見れば,講義という特殊性はあったにせよ,静かな雰囲気でクリーンな状態で検鏡したことがうかがえます。

何の気遣いもなく標本を検鏡してもらったら,汚れはこんなもんではありません。。

さて,こういった汚れたものはまず水拭き,次に溶剤拭きですが,これが非常に高等な手技を必要とします。プレパラートを区画ごとに分けて拭きますが,この程度の汚れでも出荷時に戻すには大変な作業となります。たった10枚の標本を拭くのに,休憩も含めて3時間半もの時間を要しました。

Jシリーズのユーザーさんで,どうしても自分ではメンテナンスしたくないけれども,きれいにしてほしい,という方がいらっしゃいましたら,有償にてメンテナンス致しますのでメールにてご連絡下さい。価格は設定しておりませんが,メンテナンス料金は1枚2,200円程度であとは状態をみて,と考えています。少し高いと思う方もおられるかもしれませんが,作業時間が1枚20分程度でも,その前に換気をとめて数時間室内の粒子落下物を低下させる時間が必要なので,単なる手技だけでなくけっこう大がかりな作業になるのです。基盤に結晶が出ていた場合には研磨作業も必要なこともあります。

まー自分でも,なんてちまちました家内制手工業なの,と思いますが,でも珪藻アート,微化石アートというのは,これ以外の手法では作るの,難しいと思います。誰も知らない隙間産業の一つです(画像/MWS)。








2021年6月24日




きのうの深夜に立花隆氏が亡くなった(亡くなっていた)とのニュースが流れた。さすがにショックだった。。

氏の書籍からは本当に多くを学ばせて頂きました。難解な分野を誰にでもわかりやすくしかしごまかすことなく文章化してしまう才能はほかに見当たらないもので,代表的な著作の多くを読ませていただきました。一冊だけをあげるとすれば,『脳死』(中公文庫)が最高峰。筆者は環境倫理学や応用倫理学の一環として脳死問題についてはかなり深く勉強していた経緯があって,医学書なども読んでいましたが,なぜかジャーナリストが書いた「脳死」は,脳死臨調のレポートなどと比べても,ほとんど医学書といって良いレベルのものでした。

政治,経済,宇宙,科学など種々の分野で記事を書いておられましたが,廃刊になった科学朝日系の記事なども本当に楽しみなものでした。

立花氏は読書家としても非常に有名で,書籍で床を抜いてしまった経験から,コンクリートの建物をたてて,そこで本に埋もれるように生活していました。その建物は猫ビルというのですが,筆者の徒歩圏内にあるのです。ので,筆者はこの20年で立花さんに2,3回,会ったことがあります。

一度目はだいぶ昔。猫ビルの近くでばったり出くわしてしまい,書類を抱えてすたすたと歩く立花さんを見て,20年来の読者としては知人が目の前にいるような気がして,ついつい頭を下げてしまった記憶があります。立花さんははいはいという感じで気にもせずにこやかに駅の方に向かっていました。

2,3年前にも猫ビルの近くでばったり出くわして,たくさんの買い物袋を下げて帰宅の途中でした。だいぶ前にがんを患ったので心配だったのですが,まだまだお元気な姿を拝見できて嬉しかったのです。

訃報に接してなんだか寂しくなり,先ほど商品を郵便局で発送するついでに,猫ビルまで足を伸ばしてきました。23時もだいぶ過ぎて,主を失った猫ビルは明かりも消えてひっそりとしていました。ふと足下をみると,玄関に白い細長いものがありました。最初はおりたたみの傘かな,と思ったのですが,近づいて見ると,レースの繊維にくるまれた一輪の白い花でした。 立花さんのファンが気持ちを抑えられずに置いていったものでしょうか。あたたかくもありさびしくもありました。

きょうの画像は立花さんも見たであろう後楽園の夕景。猫ビルは後楽園からちょっと歩いたところにあるのです。立花さんはどんな『臨死体験』をして,今頃あの世を楽しんでおられるのでしょうか。ご冥福を祈りたいと思います(画像/MWS)。








2021年6月23日




youtubeに珪藻屋さんの動画があがっていました。海産珪藻の分離培養で世界に貢献する(株)SeedBankの石井代表取締役による熱い想いを聴くことができます。かんたんな珪藻の講義みたいな内容にもなっていますので,時間のあるときにでも眺めていると良いかもしれません ( こちら )。

世の中をひっくり返すような大きな仕事は,案外,このような地道で小さな取り組みから生まれるものなのかもしれません。本ページをお読みの製薬関連などの新規物質探索事業に取り組まれている方は,(株)SeedBankさんから珪藻を入手して材料にするのも面白いかもしれません。

石井取締役とは15年ほどのお付き合いとなります。ちょうど筆者が研究職を辞めた翌年,無職の身分でプランクトン学会に出席してポスター発表していました。内容は珪藻類休眠胞子の微速度撮影,発芽特性についてで,パソコンで微速度撮影の動画による休眠胞子の発芽過程を流していました。

その講演を聴きにきてくれたのが石井(現)取締役でした。あのときの,動画をのぞき込んで目をまん丸にした表情は忘れられません。なぜなら,休眠胞子の発芽過程を微速度撮影の動画にするには,顕微鏡の運用技術としても珪藻類の扱いにしても,ひじょうに高いレベルが求められ簡単にはできないからです。目をまん丸にした,ということは,動画を見てそのレベルを一瞬で理解したということにほかならず,相当な苦労とトレーニングを積んできたのだろうということが理解されました。

その後,彼の要請によって顕微鏡の集中講義を行ったりもしました(2010年8月の記事を参照)。研究を支えるベースには深い知識と技術が必須であることをよく理解した研究者で,彼は筆者の顕微鏡講義の教え子でもあり,また(株)SeedBankさんの倒立顕微鏡の一台は筆者が分解メンテナンスしています。ですので,youtubeにあがっている動画に出てくる珪藻の画像もひじょうにレベルの高いものになっていて安心して見ていられます。

きょうの画像は東京湾に出現したChaetoceros compressusの水浸対物レンズによる作例(微分干渉像)。きっと(株)SeedBankさんには,この培養株のストックもあることでしょうね。海産の珪藻で,世界中の沿岸域で見られます。日本沿岸でもふつうに出現し,関東なら東京湾でも相模湾でも見つかります(画像/MWS)。








2021年6月22日




7月10日〜9月5日の日程で開催される特別展において,珪藻アートの顕微鏡観察展示・実物の現物標本が行われることが決まりました。場所はなんと釧路です。ここのところ,どうやったらJシリーズがセットされた暗視野顕微鏡を釧路に無事故で一発で送れるのか検討していました。その甲斐あって,顕微鏡が無事に釧路に到着したので,本ページでのご案内となりました。

釧路市立美術館の特別展示で,多くのガラス工芸作家に混じって,ミクロのガラスを扱う筆者の作品も展示されます。有り難いことです。

詳細は こちら をごらん下さい。「珪藻アートの実物をみたい」というご意見は山ほど頂いています。今回はそれが実現するチャンスです。お近くの方,ご旅行の方,ぜひ,釧路市立美術館でガラスに触れるひとときもご検討下さい(画像/MWS)。








2021年6月21日












ウチの調査員Aは夕飯と一杯が済んで気が大きくなると,最寄りのスーパーを探索して値引き品を連れ帰るという習性があります。そしてたまにはおおっと思う収穫があったりします。それがきょうの画像。

マアナゴはそこいらへんの魚屋さんでも見かけないので,なかなか食べるチャンスがないのです。コロナ前の世の中であれば,たとえば塩竃の「しらはた」とか「すし哲」で特上の穴子寿司を食することもできましたし,気仙沼の「横田魚店」とかお魚市場などで上質なアナゴを食することも簡単だったのです。

それが歩いて2分のスーパーに転がっていて,しかも破格,タダ同然のお値段です。こんなものが緊急入荷したりするのです。夕飯が済んでいても,この食材を無駄にすることはできません。マアナゴは一日置くだけでも風味が劣化します。ただちに食べるのが生命に対する礼儀です。

マアナゴの皮には大量の「ぬめり」がついていて,これを落とすと佳品となります。いまから20年前に料理人に習ったのです。包丁で鱗を落とすような感じでマアナゴの皮をこそげると粘液が包丁にくっつきます。これを除去するのが大事。

除去できれば,あとはそのまま白焼き。串を打つのを忘れたので,追加でバーナーで炙って焦がし風味にします。これにわさびを添えて生醤油でいただきます。もちろん,お猪口には一ノ倉を注いでいます。

こうして緊急入荷したマアナゴは,24分後には無駄なく本来の役割を果たしたのでした。それにしてもスーパーライフ,どうしたのでしょう。マアナゴをさばける有能な人材と,仕入担当を採用できたことは間違いなく,ほんとうにびっくりびっくりです(画像/MWS)。








2021年6月20日




ひきこもりが得意な筆者は先月に引き続き今月も家から出ない生活を続けています。玄関扉から外に出た回数はたぶん10回未満,総外出時間は7時間以内といったところです。人と会った回数は床屋さんが一回,仕事の打ち合わせが一回だけ。2021年で直接会った人を数えてもまだ10人に達しません。このような仙人暮らしにはむかしから慣れているので心身に異常を来したりはしません。

おととい,久しぶりに外出したのです。それは各種の振込が必要だったからです。ネットバンキングを使用しないのには理由があって,銀行振込は筆者の「運動」機会なのです。室内作業ばかりの自営業は運動不足になるので,運動する理由を作らないといけません。その一つが銀行振込だったりします。たいていは,近くのATMには行かずに,うんと遠いATMまで歩いて運動します。

きょうの画像はそんな合間に撮った画像。知らないうちにアジサイも終わりに近づいていたようです(画像/MWS)。








2021年6月19日




みんな大好き2倍レンズ。高倍率撮影が難しいと思っている方々も手を出しやすそうと考えがちなのが低倍の対物レンズ。鉱物屋さんには必要な倍率なのだけれども,これを使いこなすのはそんなに簡単でもないような気がします…(画像/MWS)。








2021年6月18日




これが何だか知っている方は,かなり年季の入った顕微鏡マニアかもしれません。あるいはプロ。

いまから20年ほどむかしに,ニコンのクールピクス9xx系というカメラがあって,これが総合画質性能では当時かなり良いものでした。このカメラをリレーレンズを介して顕微鏡につけてしまおうというのがこのMDCレンズなのでした。当時の価格表には,COOLPIXミクロシステムXという名前がついていました。

そのシステムが,デジタルカメラ(E995)とMDCレンズ,各種ケーブルに,8MBのCFカード,パソコン接続キッドが付属して228,000円という,なかなかとんでもないものでした。この価格なら,フィルムカメラ(FM10)のP-Vセット(173,000円)を買う方が安かったのです。

筆者はこのCOOLPIXミクロシステムXを発見してもちろん欲しいと思いましたが,手元にはE990,E995がありますので,MDCレンズだけが欲しかったのです。でもこのメーカーさんは,抱き合わせ販売のみで,レンズ単品では売らない,とのことでした。

このシステムと同等のものを,CFWN10xとビクセンのアダプタで組み上げていた筆者にとっては,買えなくても実用上の問題は皆無でしたが,そうでないユーザーさんは,マイクロネットさんやmecanさんの製品に流れることとなりました。これって,機会損失になるのではと思うのです。もしこのメーカーさんが各社のデジタルカメラに適合する簡易アダプタを提供していれば,それは顕微鏡の売れ行きアップとも直結することで,経営判断としては大事なことだと考えるのですが。。

そして最近,20年まえに欲しかったMDCレンズがついに筆者のもとに転がり込んで来ることとなりました。じつに感慨深いです。いまではE995あるいはE4500の出番は数年に一度の頻度まで低下していますが,MDCレンズの入荷により,また新たな使用方法が見つかるかもしれません。

中年おっさんの必殺技,いつまでも忘れない,を発動すると,欲しいものはいつか転がり込んでくるのです(画像/MWS)。








2021年6月17日




たかさき絵本フェスティバルで使用した顕微鏡が手元にもどってきました。この顕微鏡を組み上げて半年が経過しますが,ノートラブルでの運用状態の良い子ちゃんでした。標本にはチリが一つもついてない状態で,密封が完全であることを示していました。

この珪藻アート現物展示用顕微鏡は,この夏に二ヶ月弱ほど,企画展で展示される計画が進行中です。また多くの方々に珪藻の生の光をご覧頂くことができそうです。詳細は決まり次第,本ページでお知らせいたします(画像/MWS)。








2021年6月16日






あるいて2分くらいのところにあるスーパーは,あまり良い魚がなくて,これまではキンメダイのアラとマグロのアラを中心に買うくらいでした。ところが,今年に入って仕入担当が変化したのか,驚くべき品物が並んでいたりします。週半ばくらいの夜に鮮度良好のサクが低価格で並んでいるのです。20年以上利用している身としては本当にびっくりです。

「ハチビキ」は関東人にはなじみのない魚なので売れ残っていたのだろうと思います。赤黒い色がまずそうに見えるからでしょう。でも食べてみれば上等な白身魚の味です。身に深い味わいがあるので刺身で美味ですね。もちろん加熱してもよろしいです。「カンパチ」はこれ,神経締め?と思うような高鮮度で,そこいらへんのご家庭の包丁では切れないだろうと思わせるくらい身が締まっていました。

こういった魚を見るに,時代は移り変わるのだなあと思います。20年前は,魚と言えば北辰水産で,次に魚力,中嶋水産といった感じでしたが,新型コロナの影響もあって,そこいらへんのスーパーでも,鮮魚専門店と同等以上のものが並ぶようになりました。こまめなチェックは欠かせないですね(画像/MWS)。








2021年6月15日






『われから』は肉眼サイズの海産甲殻類で,沿岸の海藻のすきまに生息しています。むかしは,塩蔵わかめの塩抜きをしているとよく出てきたものですが,最近はすっかり見なくなりました。甲殻類アレルギーを警戒する関係もあって,わかめはきれいに洗っているのかもしれません。

この生き物は,なじみ深いところでたとえるなら,カマキリとかナナフシが近い感じかもしれません。可愛らしいものです。海藻がたくさん生えている磯などに行って,海藻を海水でじゃぶじゃぶ洗うとわれからが脱落してきます。その水を茶こしで濾せば簡単に集められます。

この珪藻以上に知られていない『われから』が絵本になったときには驚きました。でも少し考えれば,われからは身近で観察しやすく,顕微鏡も不要で,ルーペがあればとりあえずは間に合います。自然の奥深さを体験するにはうってつけの素材かもしれません。

このようなことから,絵本『われから』は,学級文庫として各クラスに一冊常備するのが一つの有効な使い方のように考えられます。ぱらぱらと手にとって『われから』を知ってしまったお子様は,帰宅してお父さんお母さんに,「われから取りに行きたい」と言うかもしれません。

われからを知らないお父さんお母さんは,子どもの知識欲に感心するとともに,すぐにスマホをピコピコして,われからについて学習します。絵本→児童→保護者への【逆教育】です。こうして世の中は,少しずつですが良くなっていくのです。

子どもに負けたくないお父さんお母さんは,先に『われから』を買って,リビングルームにでも転がしておくのが良いかもしれません。この本は二段階の作りになっていて,本論の部分は,われからという生き物をすーっとわかるようにすまーとに説明したもの。前後の資料はステップしたい方のための詳しい情報です。仮説社さんの本はいつもそうなのですが,本文読んでお仕舞い,ポイ,というようにはならない作りになっていて,いつまでも使えます。

このたぶん世界でも珍しい絵本,われからは,amazonさんでは こちら です(画像/MWS)。








2021年6月14日




検査板の真上1cmのところにA4版の下敷きを被せてホコリよけにして48時間ほどエイジング。取り出して顕微鏡でみてみればこの通りです。びっしりと落下物に覆われています。露出の関係で小さな粒子は写っていませんが粒子の実数はこの数倍です。黄砂が少し入っているっぽい感じのする,微少な鉱物粒子が多いです。

この観察から,粒子を避けるには何かを被せるだけではだめで,密閉性を高めて粒子の供給を断つことが必要なことがわかります。

作業中は部屋を閉め切り暑い中を我慢していますが,室温が28゚Cくらいあるとさすがに寝苦しいので夜は換気をします。換気というのは新鮮な外気を採り入れることではありますが,筆者にとっては大量の粒状物で室内を汚染することでもあります。

例年の6月頃の空気はそれほど汚くないのですが,今年は落下物が多いように感じます。換気を停止して部屋を閉め切っても数時間は粒子の落下が続きます。このような状況で精密な標本を製作するのは困難です。

このように粒子まみれになってしまった標本をきれいに清拭するのは大変難しく高度な手技を要します。出荷にも一苦労です。

いつでも作業可能なチリの少ない空気のある,森に囲まれた研究室で,落下物を気にすることなく珪藻や放散虫などをいじってみたいものです…(画像/MWS)。








2021年6月13日








できるだけ色収差を低減したレンズで撮影した放散虫(画像一枚目)と,それをグレースケールにした画像(二枚目)を比較すると,何かが違います。それぞれの差分をとったのが画像三枚目。ごくわずかですが,一枚目に色情報の残存があることがわかります。ヒトの目はこれを感じ取って質感として感じ取るのですから大したものです。

色の発生はレンズの色収差だけではないので,どの辺りに正解があるのか見極めるのは至難です。筆者は色収差のある顕微鏡の世界に慣れているので,色収差のない世界像はまだ理解道半ばです…(画像/MWS)。








2021年6月12日




いぜん載せたミドリゾウリムシの分裂シーンは,あまりにも色が悪くてうなだれていたのですが,画像処理で多少は救済(ごまかしともいう)できることがわかったのでいじってみました。それがきょうの画像。どことなくわざとらしい感じもありますが,じっと眺められる絵に近づいたように思っています。こんな感じで,ダメだと思っていた画像がよみがえることがあるので,画像処理をダメ元でやってみる,ということは大事です。フィルム時代の黄ばんだプリントなども少しは修正がかけられることもあります。デジタル時代の恩恵ですね(画像/MWS)。








2021年6月11日




シシャモを焼くとお腹が破けるとお嘆きの奥様,シシャモは魚焼きグリルで,弱火でじっくり焼くとよいですぞ。しっとりふっくらとうまみを閉じ込めた焼き上がりになります。強火で焼いて爆発させたシシャモとは別次元の味わいです(画像/MWS)。








2021年6月10日










新型コロナ分科会・尾身会長:「そもそも今回のオリンピック、こういう状況の中で、一体、何のためにやるのか。目的。そういうことが明らかになってないので、このことを私はしっかりと、はっきりと明言することが、人々の協力を得られるかどうか非常に重要な観点だと思う。なぜやるのか。あるいは五輪委員会の人が、どれだけ汗をかくのか。そういうことが明確になって、初めて、一般の市民は“それならこの特別な状況を乗り越えよう”と。協力しようという気になると思うが、はっきりした、国なのか、オリンピック委員会が“なぜやりたいのか”。これは誰が決めるのかわからないが、関係者が、しっかりとしたビジョンと理由を述べることが、私は極めて重要だと思う」




オリンピックをやる目的,その一部をきょうの画像で示しました(笑)。筆者は知っていましたよ。20年前から。平和の祭典と感動の名の下に借金し放題,環境破壊やりたい放題な下品なイベントに成り下がってしまっていることを。

でも,尾身さんは知らなかったのだろうなあ。それで素朴な意見を述べたら,歴史に残る名演説になってしまった。じつに面白い状況です。政府は困っただろうね。右往左往。緑のタヌキは物陰に隠れて出てこない。さすが。

JOCの経理部長さんが列車にひかれて死亡したというニュースは,ネット上のみで流されて,テレビでは一切放映されません。放映しようとしたら急遽差し替えなどという現象も起こっています (こちら) 。オリンピックを開催するためにはネガティブな情報は隠されるのです。

平和の祭典のサイフを預かる経理部長さん,なぜ死ななければならなかったのでしょう。可愛そうに。

いまオリンピックを開催しても,日本人の能力的に,様々な段取りがグダグダになって,放映中もあらゆる部分にミスやほころびが出て,ぐちゃぐちゃな結末しか予想がつかないんだけれども,関係者たちは大丈夫と思っているんだろうか。

お台場のウンコ水問題は何一つ解決していないし,解決できるはずもないのですが,本当に各国選手をあの汚いウンコ水の中で泳がせるのでしょうか? 

今回の新型コロナ騒動で,多くの方々が,オリンピックと利権の問題に気づいたことはよかったかな,と個人的に思っています。でも,ここまで深刻な騒動にならないと誰も利権のことなどに見向きもせずに,オリンピックを楽しんでいたんだろうな〜と思うと,暗澹たる気もします。というのが,こんな変な祭典はそろそろやめましょうよ,と20年前から思ってきた中年オッサンの気分です。

きょうの画像は大阪オリンピックに反対していた自治体職員からもらった冊子からのもの。幸いにして大阪オリンピックはなくなり,筆者も大喜びしたのですが,まさかそのあとにオリンピックが東京に来るとは想像しませんでした。電通さんとパソナさんが潰れても多くの日本国民は困りません。土建屋さんにはすでにカネが流れましたし,憎らしい関係者が重点的に損するこのタイミングでオリンピック中止という,乙な決定を見てみたいものです(画像/MWS)。








2021年6月9日




ぶたやまさんといえば,ぶたやまライスなのだけれども,『やり過ごしごはん』(こちら)が発売になったこともあり,全国でぶたやまライスが発生している状況になっている。

筆者は買い物担当ではないので,ぶたやまライスが作りたくても作ることはできない。合い挽き肉と,ナンプラーと,各種野菜があってご飯を炊かなくてはならない。その条件が当室に生じるのは20年に一度あるかないかの頻度なので,作ることはないのである。

しかし,日曜日の夜,検査板二枚を作ってすっかり夜になってから作業部屋を出て台所に行くと,そこにぶたやまライスが鎮座している。カミさんによると「本を読んだら作ってみたくなった」とのこと。それで挽肉を買ってナンプラーを買って,ぶたやまライスを作ったとのこと。

カミさんいわく,「ぶたやまライスは冷やし中華だね」とのこと。なるほどそれは当たっている気がします。動物性タンパク質に野菜が加わり,適度な酸味もあって,加熱直後の炭水化物に自由に好きなだけ添えて食べるお作法は冷やし中華に似ていなくもない。「作るのは簡単だったよ」とのこと。

初めて食べるその味は形容しがたいもので,これはやってみてとしかいいようがありません。画像を見ると,野菜ばかりのっかって,濃い漬け物でもないとご飯が食べられないじゃないか,という御仁もいらっしゃるかもしれません。でも食べてみるとふしぎとこれで調和がとれている気もします。

個人的には,合い挽きを買うと牛脂がきつすぎるので若い人向けかな,という気もしました。好みの豚肉を買って作った方がより洗練されるかも。そしてトッピングですが,タマネギのマリネが良い仕事している感じがありましたが,肉肉しいので,良質な白菜キムチを載せるのもよさそうかな,と思いました。

こうして,それぞれの家庭でそれぞれのアレンジのぶたやまライスができていくのですね。書籍出版からまだ一ヶ月も経過していないのに,その波及効果は恐るべきものがあります(画像/MWS)。








2021年6月8日














奈良県・二上山産のサファイアのインクルージョン観察例(画像2枚目〜6枚目)。結晶成長に伴いついに閉じられた空間に液体と気体が共存している様子はなんとも不思議なものです。硬い鉱物内部に水が閉じ込められているのです。この水はたぶん,何億年か前に海から地中に染みこんだ,あるいは含水鉱物として深部に運ばれたものでしょう。掘りにいこうとしても決して到達できない未知の場所です。その意味では,この小さな鉱物とそれに含まれる液体や気体は,まるで宇宙から落下してきた隕石にも匹敵する貴重なもののように感じられます(画像/MWS)。








2021年6月7日






きのうの投稿を反省して,あらためてクンショウモの群体を見ると5角形の横には7角形が存在しているのが確認できる…。ヒキガエルさんがたくさん集結することで有名な池から頂いたクンショウモと,本ページの読者からのメール(デンマーク在住)は,はじめて自分の顕微鏡を持ってから40年になろうとする中年オッサンの認識をあらためてくれたのでした(画像/MWS)。








2021年6月6日




クンショウモの細胞を見ると,6角形型と5角形型が共存している。珪藻の場合は組合せが破綻するのを回避するように5角形の横には7角形が存在したのに,クンショウモではそうならない。これは細胞壁が柔らかくて変形できるために微妙に形を変えて隙間を埋められるからでしょうか…

と書いてアップしたら,7角形ありますよとのメールが読者から舞い込みました。ご指摘にしたがって眺めてみると,たしかに7角形が存在していて,一つの細胞の周囲を7個の細胞が取り囲んでいる。珪藻で見られた法則はクンショウモでも成立しているようなのでした。そして,筆者が酒を飲みすぎて認知能力が低下していたことも如実に明らかになってしまったのでした(画像/MWS)。








2021年6月5日






バルコニーの1リットルほどの小さな池ではクンショウモが調子よく,たくさんの群体が観察できます。緊急事態宣言下の東京都心でもこんな緑を,家から一歩も出ずに見ることができて有り難い限りです。

このクンショウモ,細胞の中身が抜けて空っぽになるまえに,細胞質が変色して黄色っぽくなるように感じます。その一例を示したのがきょうの画像。これって,陸上植物で言うところの紅葉みたいなもんでしょうか…(画像/MWS)。








2021年6月4日






きのうに引き続き放散虫の撮影練習。頭の中で予想している理想とする表現に近づいていますが,できあがった絵を見ると,まだまだだなーという気もします。改善点はいくらでも浮かびますが,それを解決する技術的な方法は簡単には浮かんでこないので考える日々となります(画像/MWS)。








2021年6月3日




ほうさんちゅうを扱い初めて7年が経過。今頃になってようやくこのような表現ができることを思いつくに至る。似たような表現は7年前もやっていましたが追い込みが甘かった気がします。ガラス質の放散虫骨格を表現するには,ガラスの透明感と輝きをいかにしてコントロールするかが重要です。やり方はいろいろあるので思いついたら一つ一つ潰していかなければなりません。

きょうの画像の表現法は先月ふと思いついたものですが,6月に入って酒を解禁したことにより十分な睡眠がとれ,身体が軽くなり撮影意欲が出てきたのでやってみたものです。やっぱし顕微鏡写真撮影に必要なものは,「酒」ですね(^^;  (画像/MWS)。








2021年6月2日




よるごはんを食べ終わったら何もしたくないという方も多いと思いますが,筆者は汚れた食器がそのままの方がイヤな気がするので食後ただちに洗い物をします。そして冷蔵庫をチェックして,新たな入荷物で処理した方がよさそうなものは,食後にもかかわらず料理したりもしています。ゴールが見えている作業が面白い,というのもあるのかもしれません。

きょうの画像はその一例。22時頃から作り始めたおかず。これ,3品ありますが,じつは一つの鍋で作っています。作り方は次のごとくです。

鶏手羽はテフロンフライパンにきれいに並べます。その上にショウガを散らして,ブナシメジをばらまきます。その上にダイコンのやや厚めの薄切りを隙間なく敷き詰めます。水少々,日本酒一合くらい,しょうゆはお好みで加えて,フタをして弱火で煮込みます。煮汁がなくなったらできあがり。だいたい60分くらいでしょうか。煮上がったらダイコンとブナシメジと鶏手羽を別々に盛り付ければ3品のできあがり。

料理に詳しい本ページの読者の方々には解説は不要でしょうが蛇足的に書いておけば,この料理は,きのこのダシとダイコンの甘味で鶏肉を煮て,鶏肉のうまみをダイコンときのこに移す調理法です。そしてダイコンは落としぶたの役割をしているので,フライパンにフタをして煮込んだだけで,鶏手羽には味がよく染みてホロホロになるまで柔らかくなります。

鍋一つで60分ですが3品できれば一品あたり20分です。3品に分ける意味は,鶏手羽が骨付きなので取り出す必要があるからです。ダイコンときのこは一緒でもかまいませんが,別々にすると用途に広がりがあります。この味付ききのこはサラダに入れてもいいのです。

…という手抜き料理の紹介でした。

ところで一つご報告。5週間の禁酒期間を経て,じんましんも大丈夫っぽい感じなので,酒を解禁しました。せっかくなので大量に飲んで(といっても4合弱ですが)寝てみたところ,朝まで目が覚めませんでした。酒のせいで少し頭がぼーっとしましたが,寝不足の重さに比べれば100倍マシといったところ。身体も軽くなり,よいことばかりです。この一ヶ月以上,いかに睡眠不足であったかが一瞬で理解されました。「おいしい睡眠液体」はやっぱりその通りで,よく寝られたのでした(画像/MWS)。








2021年6月1日






お祝いごとによい包丁や砥石を差し上げるのは悪くない選択かもしれないと個人的には思っています。これまで,結婚祝い,退職祝い,新築祝い,出版祝いなど,知人に大きな節目のお祝いがあったときには包丁をお祝いの品物にしてきました。状況に合わせての品物選びとなりますが,たいていは刺身包丁となります。

一般的なご家庭で「柳刃」「蛸引き」「ふぐ引き」などの刺身包丁を持っているところは希でしょう。210mmの短い柳刃を持っているご家庭はたまに散見されますが,まともに研げているものをまだ見たことがありません。釣りが趣味の方やかつて料理人だった方などのご家庭には柳刃や蛸引きがふつうにありますが,これもまともに研げているものは希です。包丁を買うのは簡単です。本焼きの10万円クラスの柳刃でも簡単に購入できます。でも,それをちゃんと研いで性能を発揮するのは簡単ではありません。

で,聞いてみれば,刺身包丁を一度は使ってみたいという「思い」は,それはもういろんなご婦人から聞きました。

…ということで,筆者は贈答品に使う包丁は量産品の柳刃などを使っています。刃が曲がったりしのぎが掘れていたと大変ですが,素材として扱って,大きく削って形を作ってしまいます。そうやってできあがった包丁は,仕入れ原価は安いけれども,研ぎ上がったものは超一流に匹敵するものになるのです。鋼材と焼き入れの違いは超えられませんが。

きょうの画像は後輩のお祝いに送った土佐黒打ちの刺身包丁。両刃の黒打ちです。ヤスキハガネ,一説によると白一とのことですが,真偽はさておき非常によく切れます。筆者の研ぎ人生でも上位片手に入るくらいの驚異的な切れ味です。但し永切れは試していません。

このくらい切れれば本焼きのふぐ引きに匹敵するかもしれません。刃厚が少しあるので食い込みでは負けているかも。マダコの薄切り,コチの薄切り,ビンチョウマグロの薄切りを試してみれば,そこいらへんの刺身包丁との違いがわかるかもしれません(画像/MWS)。









Copyright (C) 2021 MWS MicroWorldServices All rights reserved.
(無断複製・利用を禁じます)
本ページへの無断リンクは歓迎しています(^_^)/


トップに戻る



.