MWS 本日の画像





本日の画像

ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


【2024年】  1月
【2023年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2022年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2021年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2020年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2019年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2018年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2017年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2016年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2015年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2014年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2013年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2012年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2011年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2010年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2009年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2008年】  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
【2007年】  9月  10月  11月  12月

【今月にもどる】 



2024年1月31日




きのうの記事で書いた原作者さんのことは,ほんと残念で,いろんな関連記事をみては何とかならなかったものかと嘆いています。きのうリンクで示したご本人の言葉を見るに,随所にSOSを感じるからです。誰かが味方になり,何とかできなかったものかと考えてしまいます。作家は孤独で,しかも個人事業主でしょうから,追い詰められたときに守ってくれる組織がありません。孤独の戦いが綴られた文章を読むとどれだけのストレスに耐えてきたのか恐ろしいものがあります。

同一性保持権の侵害は言葉では言い表せないほど気持ちが悪いものです。筆者もかつて販売用ポスターに提供した画像に無断で勝手に部分着色されたことがありました。それを見たときには身の毛がよだつほどぞっとしました。高度な顕微鏡写真技術により最高の1枚を提供したものを勝手に塗り絵(それも個人的には下手くそに感じる)にされたのです。しかしクレジットは筆者の名前になっています。すぐに連絡を入れ,改編物の著作権を放棄するとともに,色を塗った責任の所在を明記させました。

画像1枚でこれですから,作品のストーリーや登場人物のキャラもいじられて,毎回毎回,原作の意図が歪められて改悪された脚本と向き合うのは恐ろしい苦痛だったことは間違いないでしょう。しかも一回限りなら許せても,最初から最後まで連続10回も数ヶ月にわたって原作者の申し入れを無視した苦行の連続となれば疲弊しきってしまうのも無理はありません。

都内在住の作者さんがSNSでのもめ事からまもなく,なぜ川治ダムで亡くなったのか。それはこれ以上ストレスに耐えられないことを自覚して前々から死に場所を予め決めていたのでしょう。SNSの騒ぎは最終的な引き金にはなったかもしれませんが原因ではないと思います。

自宅で死ねば住民ほかに迷惑がかかります。ビルから飛び降りても周囲に多大な迷惑がかかります。鉄道への飛び込み自殺でも同じことです。確実に目的が達成できて,個人の事故死で済ませることができ,住居の周囲の方々にも迷惑がかからない方法を周到に考えて川治ダムを選んだように見えます。どこまでも繊細でどこまでも優しい他人に配慮を欠かさないタイプの方は最期まで周囲への影響まで考え続けたのだろうと思います。こんな悲しいことがあるでしょうか(画像/MWS)。



追記: こちら の記事によれば今回の事態が起きる前から,雑誌連載の休載が決定していたとのこと。トラブルに疲れ果てて創作活動を行う余力などまったく残されていなかったのでしょう。








2024年1月30日




とても残念な事件が起こったのでひとこと。人気作家の漫画家さんが,原作のテレビドラマ実写化のごたごたに巻き込まれ,ついには自ら命を絶ったという悲しい事件です (こちら)。

ごたごたの内容は こちら にご本人の言葉が残されています。これを読むと,筆者独自の解釈からは,最後の力を振り絞って,今後の創作活動は不可能であることを暗示するメッセージを婉曲に表現したものに見えます。もう少しいえば,辞世の句にも見えます。表現者がここまでの文章を書くのは,とてつもない覚悟が必要です。創作意欲が完全に失われていることが読み取れます。

この文章からはほかのことも読み取れます。なぜ微妙な心の動きを表現する原作を執筆できたのか,なぜそれを絶対に守りたかったのか,そこには作者がくぐり抜けてきた厳しい環境があったからでしょう。作者はたぶん虐待サバイバーであり,そこから生き残ったことが自分のもっとも誇れるものだったのだろうと想像します。

原作に存在するその心の微妙な動きを実写版では否定され,面白おかしく加工され,似ても似つかぬものになったなら,虐待サバイバーには耐えがたい,踏みにじられた感情を抱くかもしれません。

しかしテレビ屋さんは心理学の専門家ではありません。原作がどのような微妙な心の動きからできあがったものなのか,それを理解するには同じような体験をした人間が必要です。そんな人間が都合よく実写化スタッフに存在することはないだろうと思います。つまりは,脳天気に視聴率を気にしながら楽しい番組を作りたいスタッフは,下手すると無意識に原作者を虐待する可能性があるのです。

この事件は防ぐことができました。どうやって防ぐかというと,関係の人間がすべて著作権法について勉強するのです。

原作者の作品が勝手に改変されることは許されていません。それは二次利用でも同じです( こちら )。このことを知らない人が多いのですが必ず原作者の意向を伺い許可が必要です。著作者の力は強いのです。原作者がこれはダメだと思えばテレビの実写化でも止められます。原作者がそのことを知っていればと思いました。でも多くの作家は著作権法をそれほど読み込んでいません。原作者の「強さ」を認識することも大事です。放映中の番組を中止させても,原作者が生きていることの方が大事です。もし原作者が「同一性保持権」を深く理解していたらと思います。

問題はとても初歩的なものです。まず,作家が著作権法を勉強していないケースが多いです。その状況で,小学館の担当編集もたぶん,著作権法の素人だと思います。小学館のような大手出版社には法務部があるので,そこが微妙な案件を扱います。末端の編集者が細かい法務まで知っていることは,そんなにないような気がします。

そして日本テレビ側。個人的な経験からでも,プロデューサーレベルで出版関係の法務を熟知している人はまずいないだろうと感じます。そういったプロデューサーが間に入って番組制作になると厄介なことになります。実際は,プロデューサーやチーフレベルの方は原作者と直接連絡を取らず,さらに無知な事務担当の部下が連絡を取ることが多いと思います。そうすると,原作者からの要望がダイレクトにチーフプロデューサーには届かずに,情報が薄まる危険性が出てきます。

今回の問題で驚くべきことは,脚本家が原作を破壊するほどに改編しているにもかかわらず,インスタで悪びれる様子もなく,最終話の9,10がダメだったのは原作者が脚本をやったからと言わんばかりの書き込みをしたこと。100歩ゆずって放映作品の評価がその通りだったとしても,原作者の要望を無視して改編を継続したことが免責されるはずはありません。この脚本家も著作権法を知らないように見えます。

テレビは,面白ければいい,という価値観なんでしょうが,小説,マンガは異なります。まるで理解できない暗雲のような世界で物語が終わることもあるのです。自己肯定感の低い人間では,同じ風景をみていてもふつーの人とは違う消耗する人生が待ち受けています。それを内包している作品なら表現はじつに繊細なものになっているでしょう。

今回の問題は,原作者が著作権を勉強し,小学館担当編集が著作権を勉強し,日テレのプロデューサーが著作権法を知り,脚本家のシナリオライターが著作人格権を熟知していたなら防げた可能性が高い事態なのです。

同じような体験で苦しめられている方々はたぶん結構おられるかと思います。ぜひ著作権法を学んで,ご自身のもつ権力を行使して,当たり前の日常を取り戻して頂きたく思います。当方もむかし,対価を払わなかった取引先を出禁にしたことがあります…。著作権というのは契約解除にまで持ち込めるほど強く著者の持つ特権です。死ぬほど苦しいくらいなら,実写化を取りやめた方がずっと健全です。

テレビ側,脚本家が作品の微妙な心の動きを理解する資質を持たずに浅い理解で作品を単なるたたき台の台本として扱い,内容をぐちゃぐちゃに改編して作品のアイデンティティーを滅失させ,度重なる著者の抗議も無視され,著者はこの段階で作品を創り出す力を奪われてしまったように見えます。虐待サバイバーが唯一生き残る手段だった表現者としての生活が破壊されたのです。それが最悪の結果を招くことになったのでしょう。

失われたものは戻りません。残念この上ないことです。関係者はいったい自分たちが何をしてしまったのか著作権法や心理学を学ぶべきですね(画像/MWS)。








2024年1月29日




けっこう色も出るし微細構造も見える,そんないっけん相反する条件にも例外というものは存在します。そこが珪藻のもつ層状微細構造のなせる魔法なのかとも思います。きょうの画像はその一例なのですが,大きな画像は こちら にあります。微細構造が見えるのに色も出ている。これはいったい何なのだと,筆者もその理由を光学的に説明できない感じです。そういった未知の現象が1枚のプレパラートの中にたくさんあるはずで,そこを探っていくのも楽しみの1つなのです。制作者としては(画像/MWS)。








2024年1月28日












Jシリーズが思うように色が出ないと思っている方々は,たぶん,思い込みで顕微鏡を使っているのかもしれません。良いレンズならよく見えるだろう,高級な暗視野コンデンサならきっと抜群に見えるだろう,LED照明にしたらよく見えるだろう…などなど。でも顕微鏡は思い込みで使うものではありません。光学理論を学び,そこに経験が加えられ,技術が育っていくものです。

そしてJシリーズをきれいに表現する方法の答えは本ページにいくらでも書いてあるので,「本日の画像」を全部読めば答えにたどり着くはずなのです。たとえば,高級な暗視野コンデンサなど必要なく,ほかの方法でもきれいな暗視野照明が行えることは2009年12月の本ページで詳述してありますし,透過暗視野での色の出方の傾向なども記事にしてありますので,それらをお読みになった人はすぐにでも真似することができるでしょう。

きょうの画像は自作暗視野コンデンサの例。絞り羽根が劣化して除去したハネノケコンデンサを素材として,入射側のレンズの両面に円形にカットした植毛紙を貼り付けたもの。もちろん植毛紙の直径は効果的な暗視野になるようなサイズにします。たったこれだけで暗視野コンデンサのできあがりです。工作時間は10分もあれば充分でしょう。

この自作暗視野コンデンサはある種の珪藻の色表現において,ニコン純正の乾燥系暗視野コンデンサよりも上位に位置します。画像3枚目がその作例ですが,珪藻ディディモスフェニアの色が鮮明な赤色系に表現できています。画像4枚目はニコン純正の乾燥系暗視野コンデンサによるものです。赤色はひじょうに出にくいです。

画像5枚目は20倍対物によるもの。純正暗視野コンデンサと同じく何ら不都合なく暗視野観察できます。純正品とは光束の入射角分布が異なるので微妙に見え方も違うのが面白いところです。

自作のコンデンサじゃだめだろう,という「思い込み」で工作を放棄したらこのような絵を得ることはできません。光学理論に基づき暗視野コンデンサを自作し,実装して検鏡してみて経験が加えられ,新たな表現が可能になり1つの技術となるのです。

筆者もまだまだ勉強中ですが,手を動かすことはとても大事だと思っています(画像/MWS)。








2024年1月27日




Jシリーズを買ったけど見本のような色が出ない! どうしてくれるんだ! というご意見を頂いたことはありませんが,でもたぶん,そう思っているユーザーさんは一定数おられると思います。なぜなら,筆者が撮影した条件と完全に同一条件を探すには試行錯誤が必要だからです。

しかし落ち込むことはありません。筆者が販売ページなどに掲載している画像は特殊機材を用いたものはありません。どの画像もアマチュアの工夫の範囲内でできることばかりです。同じような表現ができないとすれば,単に無限にある照明の組合せに到達していないだけです。

先日も,当室でフルオフォト超広視野で最高級の標本をご覧頂いた方がJシリーズをお買い上げになり,しかしその方はアルファフォトの所有者だったので自分の顕微鏡ではフルオフォトのようには見えないと思い込んでいました。でもそんなことはなく,狙い通りの照明を施せばアルファフォトでもちゃんと,鮮明に発色した珪藻群が浮かび上がるのでした。

アルファフォトでできることは,とうぜん,オプチフォトでもバイオフォトでもマイクロフォトでもエクリプスでもBH-2でもBXシリーズでもニコンS型でもできるのです。発色の条件を探せていないだけです。

もちろん筆者も完全な発色条件など探せていません。販売時の見本画像も妥協したものです。きょうの画像のように,限られた検鏡時間の中,適当な条件のもとで得られた画像を掲載しているに過ぎません。ユーザーさんが工夫するなら,当サービスの販売ページを上回る表現がきっと可能なはずなのです(画像/MWS)。








2024年1月26日




Jシリーズはいつでも売りたくないのですが,前回販売でもっとも売りたくなかったのはきょうの画像のやつかもしれません。価格を5倍くらいにした方がよかったかもしれません…。ある企業向けの案件とテレビ放映用に制作したものですが,どちらも見向きもされませんでした。

しかしこの標本は相模湾とニュージーランド・オアマル湾化石の唯一無二なもので,破片でなくてはできない表現に加え,完璧な封入により信じられない色が出ます。なんだか,この世のものではないようなものを見ている感じでずっと眺めてしまいます。

でも売れたから残念かというとそれも違います。価値がわかる人の手元が安住の地となり,さまざまな照明で標本の魅力をひき出して頂けるのならこれ以上の喜びもないものと思います。実際,納品先から見たこともないような表現の画像をいただくこともあります。有り難いことです(画像/MWS)。








2024年1月25日




クラウス・ケンプさんが珪藻を並べ続けてくれたからこそ,いまの筆者があるのです。ケンプさんのことは四半世紀前から知っていましたがその頃は世界でただ一人,職業的に珪藻を並べていたのです。そのケンプさんの作品を目にすることがなかったら,いまごろ筆者は何をしていたのでしょうか。たぶん庖丁研ぎ師としてそこいらへんのスーパーの軒先で,出入りの買い物客と交流して別のたのしい人生を送っていたかもしれません。

きょうの画像は筆者制作のもの。大きな画像は こちら です。昨日掲載したケンプさんの作品は,たぶんケンプさんが50代の頃のもの。きょうの画像は筆者が50代のもの。作品の内容に大きな違いがあります。

ケンプさんはビクトリア朝時代の豪華絢爛を基調とした幾何学パターンを追求しています。筆者は全ての珪藻が同一平面に存在し背景には何も存在しない光学検査板を追求しています。

どちらをどう評価するのかはユーザーさんの問題です。ケンプさんの偉大さを評価する方もおられるでしょうし,光学的に完璧な面と,すっきりした視野を追求したMWS製品を好む方もおられるでしょう。それは,どちらでもいいのです。

この種のものを制作できる筆者としては,ケンプさんの作品が,ゴミが入っていたり,固定剤がモロ見えだったり,封入剤の顆粒が多すぎたりといった問題は,多少はもったいないねという感情はありますが,しかしそれ以上にこの作品に賭けた時間や情熱がわかるので,同業者としてそのご努力に感嘆する面もあります。

ところで,この筆者制作のJシリーズが現在,群馬県高崎市で見ることができます こちら 。実物展示はまれなので,ぜひともこの機会をご利用下さい。このツイッター情報を多くの方が拡散してくれることを期待しています。よろしくお願いいたします(画像/MWS)。








2024年1月24日




クラウス・ケンプの芸術その2。これも知人コレクターから借りている標本で状態は最高レベルです。世界最高峰のデザインと並べ技術。大きな画像は こちら です(画像/MWS)。








2024年1月23日




クラウス・ケンプの芸術。知人コレクターから借りている標本で状態は最高レベルです。大きな画像は こちら です(画像/MWS)。








2024年1月22日




マグロの刺身は(というか刺身一般は)筋や繊維と直角に切り分けるのがセオリーとされています。どこの料理屋でも寿司屋でもマグロの年輪が美しく見えるように切り出されています。筆者はこれがむかしからの疑問で,筋や繊維に平行に切りつけたときがいちばんなめらかで味も良いと感じています。ので,むかしから,セオリー通りの切り方はあまりやらずに,普通では見たことのないような切り方で食していました。このことは以前も何回かこのページに書いた気がしますが,直近では2023年3月12日に切り方の例を画像で載せています。

で,これは中年オッサンのこだわりで勝手にやっていたのだと思っていたのですが,昨年の春頃に,この切り方は「はがし」という伝統技法であることを知りました。筋から身を剥がすので「はがし」というのでしょうね。

「はがし」がどんなものなのかは,こちら と こちら をご覧頂ければなんとなくわかるでしょう。

きょうの画像は近所のスーパーで298円/100gで売られていたメバチマグロの赤身として売られていたサク(40%値引き品)を筆者が切りつけたもの。スジだらけなので売れ残り値引きになったようにみえました。そして手にしてみれば,「赤身」のはずなのに,片方は赤身,片方は中トロでした。

脳みそを使わなければ,ただ切って食べてお仕舞いでしょう。しかし筆者は職人・市民研究者・兼業主夫・まれに大学非常勤講師という自由人です。マグロのさくが入荷すればまずそれはいったい何なのかを観察分析するところからはじまります。そしてこのスジだらけのおいしそうなサクは,「はがし」の技法によって1つの筋もない中トロと,多少は筋のある赤身に切りつけられたのでした。それがきょうの画像。

もちろんはがした筋は塩コショウして電子レンジでチン。おいしいつまみのできあがりです。ムダにはしません。

そして本命の赤身と中トロですが,せっかくなのでご飯を炊いて酢飯にして,小寿司にして食べました。小寿司とは,茶碗に酢飯を少量よそって,通常の寿司一貫の1/4から1/8程度の酢飯に,切りつけたネタをのせて巻き巻きして食べる当室独自の食べ方です。酢飯で腹がふくれることもありませんし,ネタと酢飯のバランスを考えると,ちまたの寿司というのはご飯が多すぎる気がします。味のバランスという点でも秀逸なのです。

この日はほかにホウボウの薄造りもあったのですが,どのネタも最高でした。「はがし」の中トロは歴代マグロ人生の中でも上位にランクする味わいのように思いました。メバチマグロはとても中庸な味わいでウマすぎないのが最高です。個人の好みですがクロマグロよりも身体に合っている感じがします。釣りもののキハダマグロには負けるかもしれませんが…(画像/MWS)。








2024年1月21日




20日午後は納品も兼ねての外回りでした。Jシリーズの納品もあったのですが納品先のユーザーさんが暗視野コンデンサをお持ちでないので,販売ページと同等の見えを実現するのは簡単ではありません。しかしそんなに安くもないJシリーズをお買い上げで,あの風景を見たい,というわけですので,今回は知人だったこともあり,納品とともに暗視野で最良の発色を実現する実装法を直接実演してご覧いただくことができました。ユーザーさんの所有機材をお借りして実演展示したので,ご帰宅しても同じ風景が見られるはずです。こうして大きな仕事の1つがまた終わりました(画像/MWS)。








2024年1月20日






きょうから10日間の日程で,たかさき絵本フェスティバル 第30回絵本原画展がはじまりました(こちら)。今年は田中陵二先生の超人気作『石は元素の案内人』も出展されます。28日午後には先生の講演も予定されています。

もちろん販売コーナーもあり,『珪藻美術館 ちいさな・ちいさな・ガラスの世界』も並んでいるはずです。福音館書店さんと時をつむぐ会さんのご厚意で,珪藻アートの実物を観察できる暗視野顕微鏡も設置されました。

伊与原新さんの短編集『八月の銀の雪』で珪藻アートが紹介されて以来,実物をこの目で見たい,という方々が増加中です(こちら)。珪藻アートの実物展示は滅多に行われませんので,ぜひともこの機会をご利用下さい。SNSなどで拡散していただき,いろいろな方々に周知いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします(画像/MWS,福音館書店)。








2024年1月19日




この画像を見れば誰でも宇宙に浮かぶ地球生命系をイメージできるかもしれません。なんの説明がなくてもそう思えるのは,暗黒の宇宙と,賑わいのある地球のイメージが潜在意識に組み込まれているからなのかもしれません。まーでも,そういった意識とは関係なく,宇宙に浮かぶ地球生命系というのは奇跡の存在なんですよね(画像/MWS)。








2024年1月18日






かべの温度計は9゚Cを指しています。東京は温かいので冬場の寒いときでもこんなもんですね。これなら空調を使うまでもなく暮らすことができます。この日は上半身の重ね着が6-7枚,脚はあったかズボンを3枚重ね着。靴下は3重にしてその上からあったかスリッパを履いています。これで寒さを感じることはなく,少し動けばぽかぽかするくらいです。しかしパソコンなどでじっとしているとこれでも寒くなるので,下半身はさらに寝袋に潜り込んでいます。それでも寒いときはペットボトル湯たんぽを使います。

熱は頭部,特に耳と頸から逃げていきますので,耳が冷たくなったら『くまモン ネックピロー』を使います。これは頸にはめ込んで,さらにくまモン帽子つきの優れものです。防寒には最高で,頸から耳がほかほかしてきます。この『くまモン ネックピロー』は寝るときもつけたままです。くまモン帽子の部分はアイマスクになるようにできていて,室温10゚Cでも目の冷却を防ぐことができ,暗くなるので朝でもよく寝られます。

こうして筆者は暖房や空調を使わなくとも芯から温まった生活を維持しているのです。そして外は寒いのに身体が温まっていることが確認できている生活,というのは健康に良いことばかりです。身体を冷やさないので風邪をひきません。体調も悪くなりません。空調を使わないので空気が汚れません。吸い込むほこり,チリの量は格段に少なくなるので気管支,肺にもよろしいです。また室温を上げないので加湿器の必要がなく,適度な相対湿度が保たれます。

就寝時は重ね着したまま寝袋数枚を重ねた布団で寝ます。これには寒さ対策以外の理由があります。突然の地震災害などで外に飛び出しても,もともと防寒具を身につけて寝ているので問題ありません。重ね着で落下物から身体を守れるかもしれません。もっともくまモンを被った中年オッサンが突然避難してきたら何じゃアイツは!ということにはなろうかと思いますが。

こんな暮らしをしながらも,とくに不自由なく健康で,毎日おいしいものを食べて寝酒までいただけるのですから,なんて豊かな生活なんだろうと,江戸時代の大名以上の暮らしができている現実を毎日有り難がっているのです(画像/MWS)。








2024年1月17日






あらゆるデータが新型コロナの感染拡大を示しています。札幌市の下水データは過去最高値と同等になり,リアルタイム検索ではコロナ陽性の報告が数分おきにあがっています。入院患者数も増加の一途で,過去最大値の半分くらいまで来ているとの報告もあります。

その一方で,N抗体のデータからは約4割の人はまだ一度も感染していないか,あるいは感染していても獲得免疫ができるまでもなく新型コロナを撃退しています。

つまり,残りの6割の人間が何度も感染して,新型コロナを「維持」しているとの見方もできます。

政府が新型コロナを5類化して,マスコミも新型コロナを報じなくなり,避けようと思えば避けられる感染症を蔓延させることになっているように見えます。

本ページの読者は賢明な方々ばかりと想像します。現状を認識してきちんと対策をとり,この下らない感染症とは無縁の生活を送っているものと想像します。今後もそのような生活を継続し,健康な毎日が続くことを祈念しております(画像/札幌市,ヤフー)。








2024年1月16日










まぐろは血合いぎしとか筋の近くがゼラチン豊富でおいしいのだけれども,なぜかスーパーなどではこのおいしい部分がアラ扱いになっていたりします。ずっしりとした重さでたっぷり入って300円。どこかの海を泳いでいたマグロが捕獲されて冷凍されて輸送されて切り分けられてパック詰めされて300円。これ,冷却維持の電気代と輸送代だけでももっとかかるんじゃないのと思うほどです。つまり,このマグロを買うということは,経費や価値から考えると,300円払うものの,じつはマグロ+200円をもらっているようなものかもしれないのです…。

さて当室の料理長たる筆者は大晦日の忙しいときにこんなものが入荷してもフンフンとさばきます。筋の部分は丁寧に切り出して軽く塩コショウ。そこに刻みネギを加えて,フライパンで軽く炒ります。油は使いません。これが一品目。ネギとマグロと塩コショウのハーモニーが最高で,お酒のお供にも好適。ごはんのおかずにも向いています。

二品目は筋を丁寧に取り除いた赤身の部分。これはそのまま刺身としていただきます。酒のつまみとしていただくときには軽くしょう油に漬け込んで,海苔で巻いて食べます。このとき,海苔で巻いてから5分以上置いて海苔がしっとりとしてマグロと馴染んだころにいただきます。このマグロの海苔巻きは熱燗のお供にこれ以上のものはないのでは?と思うほどの調和のとれたお味。

この二品で300円なのですから愉快この上ありません。こうして2023年最後の酒盛りをして一年が過ぎ去っていったのでした。もう半月も前の話になってしまいました(画像/MWS)。








2024年1月15日




よなかに蛍光顕微鏡で検品作業をしていると,なんとなく子どもの頃に学者に憧れて研究ごっこをやっていたときを思い出したりします…。高級な機材を使いこなすというのは子どもの頃もわくわくしましたが,それは大人になってもそんなに変わらないんですね。画像はひさしぶりに顕微鏡デスクに復活したフルオフォト。40年以上経過した顕微鏡ですが当時の高級機の造りのよさはさすがです。いまいじっても惚れ惚れします(画像/MWS)。








2024年1月14日




このところ蛍光検査板の制作に取り組んでいるのですがこれがなかなか歯ごたえのあるものでして難儀しています。散布スライドなので簡単に思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし現実はそんなに甘くはありません。硬くて重い粒子を均一に散布すること自体が難関ですし,粒径をある程度そろえることも簡単ではありません。無蛍光の封入剤を使うのですがこれがまた面倒なのでして,固まるのにいったいどれだけの時間がかかるの?と思うほどです。カバーガラスは動きませんが内部はまだ流動性があるので粒子が動きます。動く粒子を制御しつつ光学条件を逸脱しないようにコントロールしなければなりません。数時間に一回くらい蛍光顕微鏡で確認しつつ何が起きているのかを判断して対策を考える時間が続いています。製作時期も問題でした。いつもは夏場に作るのです。封入剤は柔らかいし溶媒の蒸発も早いので時間短縮ができます。真冬はさすがに条件が悪すぎました…(画像/MWS)。








2024年1月13日




プロというのはすべてを管理できてこそなのです。野球のプロなら道具の管理から体調管理まで細やかな生活上の配慮が求められるはずです。顕微鏡のプロなら,その顕微鏡を最大限に活かすシステム構築はもとより,日々降り注ぐチリやホコリの対策,周辺機器の整備,基準標本による性能チェックなど,ただ置いてある顕微鏡でもやることはたくさんあります。しかしそのようなことは知られていないのです。

過去に見てきた訪問先の顕微鏡は,それはもうひどいもので,あまりにひどいので後日に出張旅費を工面して泊まり込みのオーバーホール目的で伺ったことも複数あります。ひどい顕微鏡は筆者が大学院生の頃から所属の大学でもみていて,そのときに気づいたことは,まともに「拭き」ができている面は見たことがない,ということです。

筆者の当時の在学中の大学でも,接眼レンズがまともに拭けているレンズは一度も見たことがありませんでした。もちろん,対物レンズは拭かれた形跡すらないものがほとんどで,それはそれでいいのですが,盛大に汚れていることも珍しくありませんでした。

そんなわけなので,そのあとにポスドクになって小遣いで自分の顕微鏡を買うことになり,多摩光顕サービスの塚越さんを訪問したときのことは忘れられません。この人は筆者が最初に出会った「拭き」ができるかもしれない人だったからです。購入予定のバイオフォトプランアポセットを見せてもらい,こんなこともあろうかとポケットに入れていた珪藻標本をセットして検鏡しましたが,鏡基内部はそのまま,鏡筒もそのまま,しかし接眼レンズや鏡筒の射出面,鏡基のフィールドレンズなどはレベルの高い拭きが施されていました。

驚いた筆者は,完璧に拭ける日はどのくらいありますか?と聞いてみましたが,年に数回あるかないか,ということでした。本当にその通りです。使う溶媒,レンズペーパー,湿度,気温,表面の汚れ具合,それらの極性,無限に近いパラメータがあるのです。

さてハイレベルに話しがそれましたが,筆者が訪問したなかでこれならまぁまともかな,と思った研究室はそれほど多くはありません。みかんで有名な県のあの大学は顕微鏡の知識は低レベルでした。そのチャンバを使うと必ず見えが悪化する,そんな方法で研究していました。

干し芋とかレンコンがおいしい地方のあの大学は,そもそも顕微鏡の何たるかが全然わかっていませんでした。UVの蛍光顕微鏡にただのアクロマートが付いていて外して確認すれば光路は茶色に焦げていました。こんなもん見えるはずがありません。学生さんは蛍光染色した細菌が見えないので,みんなが帰ったあとに部屋の照明を消して段ボールを被って遮光して細菌数をカウントしていたとのことでした。こんなもの,研究でもなんでもありません…。この状況ではボスが無能なので,苦しんでいる大学院生を見かねて,蛍光検鏡できるプランアポを2本タダで置いてきたこともあります。

筆者は個人事業主なのですけれども学会的には研究者扱いされていて論文の査読が舞い込むこともあります。研究員時代は海洋化学と浮遊珪藻の論文査読が多かったですが,開業後には主に珪藻関係の論文査読が多いです。中には顕微鏡法の論文もあります。いろいろみていても,うーん,うどんで有名なあの地方の大学は,顕微鏡法的には初歩の初歩以下でした。

インバウンドの中核地点ともいえる関西のある地方の大学では3機ほどみましたが,2機はひどいものでした。が,管理人がまともな人で,ダメなことがわかっていて筆者に整備を依頼してきたので完璧に整備して差し上げたこともあります。

ここはまともだなあ,顕微鏡がわかっているなあ,ちゃんとしているなあと思った研究室は少ないですね。1990年代に東大理学部植物の部屋に何度かお邪魔したことがあるのですが,当時はツァイスとニコンが設置されていました。しかし整備状況はかなりおかしなもので,後日レンズ整備にお伺いしたことがあります。そこのフルオフォトを磨いたのは30年前になるのかな。Zeissの倒立も同時に磨きました。まー簡単に言えば,30年前から筆者は気になる顕微鏡を磨いていた,いまとさして変わらない変なおじさんだったのですねえ。自覚はなかったのですが…。

数少ないまともな研究室は,中野時代の東大海洋研・微生物学教室ですね。ここは機器管理がずば抜けていた印象があります。何度か訪問し研究員からのSOSに応じたこともありますが,この研究室は根底に,カメラ好きかまたはカメラあるいは光学が分かっている指導者がいるのかな,そんな感じがしていました。もう一つまともだったのは国立環境研究所です。整備にお伺いしたことがありますが多少の劣化はあれど,使いかたや機材の管理などは,分かっている人が使っているという感じでした。

あ,そうそうあとから思い出しましたが,東工大もまともでした。ここは何しろ教員が自前の機材を教室に持ち込んでいるようなおもちゃ広場のようなところで,こういったことはわかっている人にしかできないので,機材をチラ見して「さすが」と思ったことでした。

企業はピンキリですね。訪問先では顕微鏡を完璧に理解して使用している企業は見たことがありません。しかし,少しでも理想に近づこうと努力している企業はあります。小田原にある企業さんは当時の社長さんが超優秀で,若手を育てるにはどうしたらいいか考えて教育プログラムを組んでいました。

似たようなことは大学でもあって,試される大地や日本一短い駅名に近い大学や,ゆずの村で有名になったある県の大学など,いずれも国立大学大学院ですが,「このままではまずい」を実感して,顕微鏡法の集中講義を開催するなどして技術レベルの向上を実現しています。

きょうの画像は近所の大学のもの。ここの機材も管理状況は良好でした。ただ,あまり使われていない感じでそこがもったいない気がしました。抜群によく見える蛍光微分干渉プランアポセットなんですが…(画像/MWS)。








2024年1月12日






このお花デザインに使っている細い茎。これも珪藻です。正体は何なのかわかりません。細長い種のような気もしますが,折れたものしか出てこないので,珪藻の刺毛である可能性もあります(それにしては現生種と比較して太すぎますが)。そして刺毛によく見られるように周期的な刻印があり,それがもとでこの茎の部分も暗視野で色が出るようになっています。昨年は色をテーマに珪藻を並べましたが,こんな細かいところにも中年オッサンのこだわりがあったりします…(画像/MWS)。








2024年1月11日




くまモン自動増殖の法則によって当室ではつねにくまモンが増殖しています…。昨年12/23にある素敵な女性から手渡された手提げにはくまモンカレンダー。そしてきょうレターパックで届いた身内からのギフトの数々のひとつにくまモンカレンダー。わはは。いくらあってもいいです。くまモンのニコニコは何度眺めてもいいモンです。同じカレンダーがあると前月,来月の確認用に使えるのでその点でもいいですね(画像/MWS)。








2024年1月10日




きょうの地震は都内も揺れました。気づいた人はほとんどいなかったかと思いますが。長周期の揺れで感じにくいですがぶら下がっているものはかなり長い間ゆらゆらと揺れていました。このモードのときは超高層ビルなどでは,震度は0〜1でも,ゆらゆらと揺さぶられたことと思います。きょうの画像の右側に見られるように,震源地で揺れが収まっていても関東平野はまだ揺れています。ちょっと固いくらいの豆腐の上に大都市が形成されているのですが,この含水率豊富な河川の氾濫源の大地は豆腐のようにプルプルと揺れるのだろうと思います。

今回の地震に関して,気象庁は,今後一ヶ月は注意とか,過去の統計に即した会見を行っていますが,それが当てはまるかどうかはわかりません。筆者は以前からこの地震に注目していましたが,メカニズムはさっぱりわからず,しかし群発地震の様相なので少なくとも10年レベルでの警戒は必要だろうなとは思っていました。

地震は基本,直前予知はできません。しかし,大地ががどのように動いているのか,歪みがどこに溜まっているのかは,データの蓄積ができるようになってきました。その観点から見ると,近年の能登半島の地震活動は放置してよいレベルではなかったのかもしれません。そのことを論文や雑誌記事をもとに構成している動画があります こちら 。

この動画が正しいかどうかはその後に検証されるでしょうが,恐ろしいことは,この動画がすべて正しく,地震予知が可能だったとしても,横方向2800ガル,縦方向1000ガルの揺れが不意に襲ったらなすすべもないということです。筆者は20110311の地震で こちら を少し上回る地震動を経験しましたが,今回の能登半島の地震はこれの数倍に地震動になるかと思います。対処のしようがありません。

そんな土地でも人は住むことはできます。今回の地震でも耐えた建物は多く存在します。このクラスの揺れがくることがわかったならそれに適応した建築物を作ればいいのです。

しかし絶対安全が要求される産業構造物は厳しいものがあります。たとえば稼働中の原子力発電所がこの揺れに遭遇したら厳しいものがあります。仮に地震動に耐えたとしても,わずか数秒の間に4mも隆起してしまったら冷却水の確保が難しくなります。もし冷却水が問題なく正常運転が継続でも,流体力学を知れば隆起分の4m分の損失水頭はバカになりません。そしてこれだけ揺れれば外部電源系統との接続は保証できず,全部切断されればタービントリップして,ディーゼル電源で炉心冷却の綱渡りになるかもしれません。

それどころか,横2800ガルでの制御棒挿入は想定されていないと思います。無事にスクラムならいいのですが,制御棒が折損,落下,破損その他の状況での緊急スクラムとなれば,無事に停止できればいいですが,そうならない,想像したくもない事態も想定されます。

3.11から時間もすぎ「はよ原発再開」などと言っている市民の方々も多くいらっしゃいますが,20年にも満たない間に柏崎も,志賀も,福島も想定以上の地震動や隆起にさらされている現状をどう思っているのですかね。たぶん,何にも考えていないのでしょう。自分の生きている時間軸で考えていて,自分が不自由しなければいい,経済発展すればいいという発想で,贅沢な無尽蔵なエネルギー供給を望んでいるのかもしれません。

べつにそのこと自体は,不勉強な,しかしこの社会を支えて下さっている方々の意見でもあるので民主主義的にはそうだよね,ということになるかもしれません。でも,未だに福島県の一部が汚染され続けているように,貴重な国家の一部の生産能力を失い,ふるさとを失い,人々を拒絶する空間が現時点でもあるのです。こんな不幸なことをこれ以上増やしてはいけないということについては誰でも同意してくれるだろうと思います。

世の中には2つのタイプの方々がいるのかもしれません。1つは,自分さえ満足に暮らせればそれが何より,2つめは自分はほどほどでいいから将来世代までずっとこの地球生命系が続いて欲しい,そんな感じ。これはどちらも正しいのです。前者は自分の幸福を追求してほかの優先順位が低いので子孫繁栄に結びつく可能性があります。後者は公害,環境問題や人が生きていける条件に敏感なのでよい環境に導く可能性があります。

どちらも正しいのです。生きようとしているのですから。でも,原子力災害は可住地面積を減らしますし,実際,農漁業に壊滅的な損失をもたらしました。未だに回復していません。

これ以上書くと夜更かしになるのできょうはこの辺りにしましょうかね(画像/スクリーンショット)。








2024年1月9日




きのう重ね着の重要性について書いたのですが,体内の熱産生についても記しておきます。まず十分な食事を摂ることが重要です。このときに,可能な限りカミカミして運動量を増やしましょう。これが熱産生に効果的です。そして緊急時なので,タンパク質ももちろん必要ですが,炭水化物中心でも差し支えありません。可能ならGI値が低いもののほうがトラブルは少ないかと思います。小麦粉を練ったような食糧は食べたときはいいのですが,血糖値が乱高下して体調維持に問題があることがあります。ごはん,サツマイモ,ソバなどの炭水化物であれば作用はマイルドなので比較的マシかと思います。小麦粉なら素麺よりはパスタの方がいいかもしれません。

被災者支援としてどうなのか,という声もあるかと思いますが「日本酒」はかなり有効な支援物質だと思います。そのまま飲むとろくなことはありませんが,熱燗にして一合程度を飲むのであれば,その血管拡張効果は他の食材を超えるものがあり,全身が温まるのを実感できることもあるでしょう。そのタイミングで着ぶくれして毛布にくるまって段ボールの上で寝るのです。温まった身体の体温が下がるタイミングで眠りに落ち,少なくとも数時間は寝られると思います。熱燗にできないという意見もあるかもしれませんがそこは工夫です。小さな容器に移して半日,懐で温めましょう。人肌なら充分効果があります。

コロナ騒ぎ以降,筆者は夫婦別室で顕微鏡に囲まれながら寝袋で生活しています。いまもです。これはある意味,就寝に限っては,被災者生活の軽微なバージョンという感じかもしれません。仕事上の関係で贅沢に布団で寝ることはできませんし,なるべくホコリのない寝袋の生活が欠かせないのです。これを3年もやると,寒さのしのぎ方とか,いろいろわかってくることもあるのです。日本酒の熱燗を飲んで寝袋に潜るのは安眠確保に有効です。

被災地に酒? なんじゃそりゃと思った方もおられるかもしれませんが,単なるアル中の話ではありません。「日本酒」の血管拡張効果の話です。これは熱燗で飲む限りでは本当に効くのです。10歳で50ml,15歳で100ml,18歳以上で200ml程度の熱燗を飲んで,一日一度でいいので,足の指先からあたまのてっぺんまで「あったまったー」という時間を過ごすことが健康に悪いはずはありません。

被災者のみなさん,萎縮することはありません。遠慮は必要ありません。支援物資だろうが何だろうが酒だろうが,存分に飲み食いして身体を温めて下さい。住居を失い故郷の崩壊を目にしつつ暮らす被災者さんがどんな贅沢をしたところでそれは贅沢でも何でもありません。現状は厳しいでしょうが今後はおいしいところをつまみ食いして下さい。そうして少しは元気になり,身体が芯から温まっている日々を継続できれば必ず未来は開けます(画像/MWS)。








2024年1月8日




能登の地震の避難所を見ていて気になることがいくつもあります。できれば筆者も現地入りして指導を行いたいところですが,筆者に指導を仰ぎたい人は現時点で皆無だろうと思うのでここに記しておきます。

まず,避難所のどの画像をみても避難者が薄着すぎます。これは完全な間違いです。

人体は内部から発熱しています。これが保たれればいいのです。そのためにはどうすればいいのか? 方法は2つあります。

ひとつは,熱を逃がさないこと

もう一つは 周囲の温度を上げて熱が逃げにくくなるようにすること

これは熱力学的には同じことを言っているのですが行動としては異なります。もし低体温になるのを防ごうと思うのなら室温を26゚C程度に上げる必要があります。病院の入院病棟くらいの室温です。しかしそれはエネルギーのムダですし今回のような災害においてはまったく現実的ではありません。避難所はこれまで暮らしてきた室内とは異なり,熱的には「そと」です。そこで薄着をして寒い寒いと言っている方々は,被災者といえども頭を使わなさすぎです。

ではどうするのかというと,徹底的に重ね着をするのです。現在の能登地方の気温は5゚C以下でしょうから,最低でも7〜8枚の重ね着をしてさらに毛布や寝袋に潜り込み,2Lのペットボトルに入れたお湯を数本,湯たんぽ代わりにするのです。頭部からも冷やされるので帽子をかぶるか布を巻き付けるなどして保温します。ズボンも何枚も重ねて履き,もちろん靴下も何枚も履くのです。床から熱を奪われるので段ボールや新聞紙などを重ねて敷いてその上に寝るようにします。可能なら段ボールを筒状にしてその中に毛布とともに潜り込みます。身体が冷えたと感じたら運動するのが良いのですがそうもいかない場合は2Lのペットボトルにお湯を入れて重ね着したお腹の辺りに潜り込ませます。

そうして身体が冷えていないことを自覚できれば健康上問題はありません。これが東京とはいえ冬にも暖房を使わずに15年以上過ごしてきた筆者からのアドバイスです。筆者は気温に応じて常に重ね着をして顕微鏡デスクに寝袋を置いて潜り込み,湯たんぽを入れて着座して毎日仕事をしているのです。

地震発生から一週間が経過した現在,このくらいのことはできるはずです。誰か熱の専門家が現地入りして,「体温を奪われないというのはどういうことなのか」を徹底的に指導してくれませんかね。(画像/MWS)。








2024年1月7日




としあけ早々,カミさんが風邪症状で寝込んでいたので看病の二日でした。まだ完治はしていないように見えますが本人は元気そのもので鼻水を垂らしながらもふつうに活動しています。もちろんマスクをしています。

ので,兼業主夫でもある筆者もそろそろ仕事モードに復帰ですが,昨年はとにかく標本制作の毎日だったので顕微鏡をのぞく時間がなかったのです。いや,標本制作時には顕微作業なので覗いてはいるのですが,完成物の精密検鏡などそんな時間はなかったのです。それでここ二日はちょっとだけですが検鏡タイムとなっています。

照明はいつでも難しいですね。ほんの少し微調整したり,薄い拡散板を仕込んだりしただけで見た目が劇的に変化します。この標本はこんな風にも見えるのかーという情報は,本来は制作者が知っておくべきものかもしれませんが,開業から十数年が経過して,未だに新しい検鏡法を見つけたりしているのですからダメですね。でもまあ光の織りなす世界は脳内で予想できるような簡単なものではないのかもしれません。そうだとするとそこが面白みでもあるので,ま,そんなもんか(画像/MWS)。








2024年1月6日




webショップで商売するということはまぁ商品の画像撮影が欠かせないということです。ので,撮影技術はもちろん要求されます。とびっきりおいしい寿司がまずそうに写っていたら誰も注文しないでしょう。それと同じで,どんなに希少な標本でも汚らしく写っていたら誰も見向きはしません。そこいらへんの商品撮影なら筆者も写真歴は40年を超えるので下手でもまぁ何とかなります。しかし顕微鏡標本は物体の性質によってコントラストの強弱が決まってしまうので,どんなに腕の立つ写真家でも肉眼で見た通りには表現できないことがあります。

そこでHDRの出番となりますが,HDRでも不足する場面があるのは経験的に明らかです。肉眼は輝度に対して簡単には飽和しませんが,デジタル素子はすぐに飽和してしまうので表現ができない場面が多すぎるのです。スマホやパソコンの白画面を最大輝度にしてもまぶしくもありません。そんな程度の輝度範囲で表現できることなどたかが知れています。

そこでニセHDRの出番です。通常のHDRでは露出を変えた複数枚の画像から暗部を持ち上げ明部は飽和しない程度に圧縮した画像を合成します。JシリーズのニセHDRでは,一枚の少し飽和気味の画像から,必要部分の暗い珪藻はγ補正+で処理して,飽和した珪藻はγ補正マイナスで処理します。ガンマ補正に伴って変化した背景はもとの背景と同じになるように調整します。

このニセHDR法は原画にレタッチしたものですが,個々の珪藻を動かすこともなく,肉眼のダイナミックレンジに近づける作業をしているだけなので,輝度に関する主観は入りますが,作り物のニセ画像というわけではありません。見た目には,デジタルカメラがはき出した画像よりも自然な感じがします。大きな画像は こちら です。

このニセHDR法が有効なのはJシリーズならではかもしれません。何しろ背景が完全黒バックを実現しているのです。もし背景にノイズがあったら,ガンマ補正の段階でノイズが強調され,それを消すのにとほうもない労力を消費することになります。Jシリーズなら暗黒の背景なのでガンマ補正でも暗黒は暗黒です。多少持ち上がったとしても補正は簡単なのです(画像/MWS)。








2024年1月5日




すこし前に消化管アレルギーで二枚貝が食べられないという話を書きましたが,どうもそれに追加される食材があるような感じです。夕食後に煮リンゴの皮を食べたところ一時間半後に症状出現。体調は問題なく腹痛もほとんどありませんが腸が激しく2回ほど反応。直ちにペットボトル湯たんぽで腹部を保温。すべての症状はきれいに消失しました。ので予定通り寝酒開始,といった感じです。

夕飯はすべて手作りですし食材も安全性が確認されているものばかり。鶏肉,ダイコン,昆布,鎌倉ハム,ちくわ,タマネギ,マカロニ少々,中華麺1/2パック,ブナシメジ,油揚げ,ベーコン,白菜,どれも毒性のないものばかりです。ので,犯人はリンゴの皮と推定。もともとリンゴはお腹がポンポンいいやすく警戒はしていたのですが,とうとう症状出現。たぶん,大丈夫なリンゴとダメなリンゴがあるのですがしばらくは自粛です。症状的には軽いので,間を開けて負荷試験をすることはあり得そうです。二枚貝は症状が重いのでまだ食べる気がしません。。

きょうの画像は大きさも形もいろいろな珪藻たち。オプチフォトDICでの撮影です。40年ものの顕微鏡で,DIC対応のレンズがプランしかありません。ので色収差のない画像を得ることはできないのですが,デジタル時代ではRGBごとにピントをかえて撮影し,それぞれのチャンネルを取り出して加算合成すれば軸上色収差は消えますし,倍率色収差はレンズによって補正表を作っておき,一枚の画像からでもRGBのそれぞれのチャンネルのサイズ調整をしてから加算合成すれば消すことができます。画像を見ればわかるように,CF Plan20xとは思えないような絵になっています(画像/MWS)。








2024年1月4日




Jシリーズは透過暗視野法での検鏡を標準に制作していますが,ほかの検鏡法でも「おおっ」と思う像を見せたりします。販売ページの通りにならない〜と残念に思った方こそ朗報です。販売ページは制作後の時間が少ない中でわずか数分から数十分だけの間で得た画像です。画像処理もしていません。デジカメの味付けの影響はありますが。

いろいろ試して見ると,発色の条件のようなものが理解されてくると思います。思い通りにならないと感じたからこそ次のステップがあるのです。

と偉そうに書きましたが,じつは筆者の技術を超越したユーザーさんもおられるのです。そういった方々からは逆に,「うーむこうやるのかー,それは考えもしなかった」という貴重な勉強の時間を頂いたりもしています。

まぁ何はともあれ,一心不乱に検鏡することが大事なのかもしれません(画像/MWS)。








2024年1月3日




このページにはときどきくまモンが登場するのです…(画像/MWS)。








2024年1月2日






地震発生から3時間ほど強震モニタを見ているのですが,地震の合間も揺れがなくなりません。有感かどうかはさておいてずっと揺れ続けています。ということは地下での岩盤の破壊は連続して継続中ということです。そして地震発生のエリアが佐渡方面から能登半島の西側まで約100kmのエリアに広がっており,いままでの珠洲市周辺での地震活動よりもずっと範囲が広がりました。不気味以外の何者でもありません。

以前も書きましたが,今回震度6強を記録した珠洲市は原子力発電所の建設が計画されていたところです。珠洲市の地震後の動画や画像を見ると,1000ガル程度の揺れが襲ったように感じられます。これは地面に置いてあるものが飛び上がって落下するようなエネルギーなので,もし原子力発電所が稼働中なら原子炉スクラムは困難だったろうと思います。珠洲原発が計画されていた頃,この地域でのM7クラスを含む群発地震はまったく想定されていなかったはずです。原子力発電所の立地選定の難しさを思い知らされます。

震度7を記録した志賀町にも原発があります。こちらの原発も休止中だったので難を逃れました。しかし一度でも震度6-7クラスの地震動を経験してしまうと,設備の復旧は並大抵のことではないでしょう。

しかし石川県には神様がついているのでしょうが。もし珠洲市に原発ができ,志賀原発も稼働中だったら,いったいどのようなことになったのか想像もつきません。

今回の地震の被害についてはまだ情報不足です。とにかく被害や二次被害が最小限で済み,現地のみなさまがふだん通りに暮らせるようになることを祈念します(画像/MWS)。








2024年1月1日






新年早々,素晴らしいニュースです。あの,またたくまに売れてしまい在庫がなくなっていた福音館書店,『たくさんのふしぎ 石は元素の案内人(田中陵二 文・写真)』が傑作集としてハードカバー化されました。しかも大量の画像と新たな文章も追加された改訂増補版となっています(40 → 48ページ)。福音館書店さまの特別な取り計らいにより刷り上がりの見本を読ませていただきましたが素晴らしいです。書籍化されたので売り切れれば増刷がかかることになり,これから末永く出版継続されることでしょう。これで安心ですね。まもなく発売になりますが こちら で現在予約受付中です。

  これで『石は元素の案内人』『珪藻美術館』の特異ともいえる科学絵本が傑作集となりました。4,5,6歳といった幼少期にこんな本に出会えたら,きっと素晴らしい体験になるのではと思います。まだ理解できなくてもいいのです。この2冊は高度な内容を含んではいますが,他方,感性に訴えかけるようにも作られています。ぺらぺらページをめくってみて,なんだかキレイ! と眺めていたくなったのなら,それが科学への入り口となっているのです。

『珪藻美術館』の話ですが,2歳の女の子が喜んで眺めているとか,5歳の男の子が全部読んで理解してしまい顕微鏡まで買ってしまったとか,いろいろ報告が届いています。絵本と出会うタイミングを大人が決めてはいけません。年齢に関係なく,小さなころから身の回りにこのような絵本が転がっていれば,ふと手にしたときに自発的な経験,学習がはじまるのです。

ぜひともこれらの科学絵本を活用いただければと思います(画像/MWS)。









Copyright (C) 2023 MWS MicroWorldServices All rights reserved.
(無断複製・利用を禁じます)
本ページへの無断リンクは歓迎しています(^_^)/


トップに戻る



.