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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
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『珪藻美術館』(福音館書店) 好評発売中!
 



『珪藻美術館 ちいさな・ちいさな・ガラスの世界』
(たくさんのふしぎ傑作集)

 奥 修 文・写真
 福音館書店,48ページ,1300円+税 
もらったら嬉しい気持ちになる科学絵本です。大人でも子どもでも楽しんでいただけます。プレゼントにも最適です。全国の書店やネット書店,amazonさん などでお買い求めいただけます。





2022年10月31日






ながねん感じていた違和感の正体の一部がわかった感じかしています。Jシリーズを作って画像を得てwebで掲示してという感じで皆様にはご覧頂いていたのですが,どの画像もカメラの制約と筆者の怠慢で矩形(四角形)のものでした。これがなんかみすぼらしいなぁとずっと思ってきたのです。顕微鏡を覗いている感じがまったくないのです。

それで顕微鏡の視野と同じ感じに円形にカットしてみると,だいぶ良くなる感じがします。それは当然で,筆者は顕微鏡の円形視野を見ながらこういった作品を制作しているのです。Jシリーズでなかなか売れないものも,お買い上げ頂いたお客様からはその完成度にいつも評価をいただいております。???と思っていたのですが,お客様は顕微鏡の円形視野でご覧いただいていたのだろうと思います。

きょうの画像,お好みもありますが,個人的には円形視野=作ったときのイメージがずっと優れている感じがします。…という言い方は(たぶん)不適切で,顕微鏡は円形視野なので筆者の作るものは円形視野で最適化のものに自動的になるのかもしれません(画像/MWS)。








2022年10月30日




ヨーロッパ方面から来日中の大学の准教授?先生が包丁研ぎを習いたいとのことで来室。ひさしぶりの研ぎの午後となりました。鍛冶屋と刃付け屋の研ぎの違い,刃厚と食い込み,三面法による厳密な面出し,本刃付け,切刃の研ぎ方,しのぎのつけかた,裏の研ぎ方,超仕上げでの研ぎ方,切れ味試験方法,刃先の繊細さ,小刃のつけかた,牛刀の研ぎ,小出刃の研ぎ,鉋刃の平面性の話,ハサミ研ぎなど盛りだくさんの内容でした。幸いなことに日本語OKでしたので日本語とわんこ言葉しか話せない筆者も困ることはありませんでした。先生は独学で研ぎを行っていたそうですが,筆者の実演を見るといろいろなところに違いがあることに気づかれたようでした。帰国後にすぐ復習すれば直ちに技術は上達することと思います。

そのあとは先生と歩いて新宿方面へ。バーで旧知の方々のみで顕微鏡談義。二次会はワインのお店でちょっとハイソなおつまみをつまみながらリアル対面な時間を過ごしました。ふだん人と会わない生活をしている筆者は,今年数回目といった感じの人とあう機会でした。特殊な組合せの顕微鏡や展示,眼科領域の話などじつに興味深い話題があり久々に時間の感覚を忘れたひとときとなりました。楽しい時間を頂いたこと,来日中の先生を初めとして関係者の皆様に御礼申し上げます(画像/MWS)。








2022年10月29日










さいしょの画像はたぶんカマスかもしれません。そのくらいならなんとなく想像できます。次の画像はフグだろうね。これもわかる。では3枚目の画像はというとまったく見当もつきません。4枚目の画像もさっぱりわかりません。しらす干しの中には未知の世界が広がっているのです…(画像/MWS)。








2022年10月28日




どんなに忙しくても毎日の料理は欠かしませんので,本ページも忙しければ忙しいほど?料理の記事が増える感じです。これを良からぬコトと思っている御仁と,わーいきょうもMWSきょうの料理だーと思っている御方と,どうも両方存在しているようです。筆者の作る料理は「無害」「簡単」「素材優先」を徹底していますので,身体に優しい食事を好む人には良いかもしれません。一方で,がつんとおいしいラーメンや中華の外食を好む方にはあっさりしすぎて物足りないだろうとも思います。

きょうの画像はニセロールキャベシです。ロールキャベツなる食べ物を作った経験がありませんし作ろうとも思わないわけですが,ある日,冷蔵庫に大きなキャベシとベーコンがありました。これをそのまま煮込んでもいいのですが,もっと簡単にどうにかならんかなと思って作ってみたもの。

キャベシは葉っぱをはがして密閉容器に入れ,電子レンジでクタクタになるまで加熱します。大きな葉っぱ5枚で600wで10分くらいでしょうか。この葉っぱに市販のベーコンを巻き巻きします。ベーコンの代わりにソーセージでもいいです。巻き巻きしたらこれをさらに電子レンジで加熱。こんどは600Wで3分。おしまいです。簡単。ブイヨンで煮なくても,最後の加熱で肉汁が出るのでちゃんとダシの効いた味になります。このままだと大きいので,すこし冷まして3つくらいにカットすればいいでしょう。

これならお子様もキャベシの葉っぱを二枚も三枚も食べてくれるかもしれません。大人向けには軽くコショウを振ってから巻き巻きしてもよいかもしれません。こうして筆者は冷蔵庫に日々入荷する食材を料理に変換するゲームを楽しんでいるのです(画像/MWS)。








2022年10月27日






よい品質のしらす干しならいくらあっても困りません。しらすは塩味とうまみの調味料として使えばいろいろ応用がきくことはこれまでも書いてきました。きょうの画像は一気に大量消費したいときのメニューです。冷蔵庫の在庫をみて勝手に考案したものです。豆腐(小)一パック,玉子2個,たくさんのしらす干し,材料はこれだけ。よく混ぜ混ぜして電子レンジで600W,4分半で出来上がり。とても簡単です。味付けの必要すらありません…。

これがなかなか高栄養なおかずになります。わさびをすこしのせて食すればちょっと洗練された味わいです。小魚のカルシウムは比較的吸収が良いとされていますし,豆腐に鶏卵の高タンパクで栄養補給にも最適でしょう。三つ葉を刻んで混ぜてもおいしそうですね(画像/MWS)。








2022年10月26日








さいきんのしらす干しは送風機などで軽い甲殻類などを飛ばして除去していて混ざり物がとても少なくなっています。アレルギー対策的には良いことと思っていますが,四十数年前からしらす干しに混じっているタコとかエビとかを楽しみにしていた筆者的には楽しみがへった気もしていました。ところが数日前に近所のスーパーに最高品質のしらす干しが入荷していて,これは漁獲してそのままっぽい感じだったのです。すぐに調査員Aに依頼して追加のパックをゲットしました。

よりわけてみると,なんか,水族館状態でお魚の発色もよくて品質の高さを感じます。スポット入荷の特売品でしたがここ数年で最高品質のしらす干しでした。なぜこれが日々入荷しないのかとうらめしい思いです(画像/MWS)。








2022年10月25日




これからの冷え込む時期にはなめこ汁がおすすめです。なめこ小袋2パック,豆腐(小)1パックで4杯分です。なめこはそのままどんぶりにあけて電子レンジでチンしておきます(600Wで4分)。小鍋においしい水と早煮昆布一本を入れて火にかけます。沸騰したら2,3分煮て昆布は引き上げます。そこに削り節4〜8gを入れます(取り出さずそのまま食べます)。次になめこサイズに刻んだ豆腐を入れて沸騰させます。そこにお好みの味噌を溶いて味を決めます。なめこ汁はすこし塩味がある方が味がダレません。味噌がしっかり溶けたら加熱済みのなめこを投入して沸騰すればできあがりです。ネギは刻んでお椀に入れておきます。吸い口というよりは具材と言うくらい入れた方がおいしいです。そこになめこ汁を注いでよくかき混ぜてからいただきます。なお,味噌は仙台味噌(ジョウセン)を推奨します。きのことの相性がよいお味噌です。

これが筆者特製のなめこ汁の作り方です。この作り方を真似ればその合理性に気がつく方もおられるかもしれません。味噌汁は味噌を最後に加えるものなのですが,なめこ汁ではそれではダメなのです。そこでなめこを電子レンジでチンしておく工程を追加することにより,じつはかえって簡単に短い時間で作ることができるようになるのです。

味は? きょうの画像のようにできれば,どこの料亭で出しても恥ずかしくないですよー。じつに滋養に富む感じがしてお椀から手が離れません(画像/MWS)。








2022年10月24日




ざんねんながらことしも東北旅行には行けなかったのですが,なんと日曜日に最寄り駅で「一ノ関ミート」が出店していました。早速カミさんがハムとソーセージをつれて帰り,ビールとともに午後のおやつになりました。これで二千円もするだけあって,ちょっとしたステーキでも頂いたような贅沢な気分になりました。有り難いことです(画像/MWS)。








2022年10月23日




ことしも標本製作によいシーズンになってきました。適度な温度,澄んだ空気,特に黄砂の少ない時期は落下物が少ないので精密な標本製作には欠かせない条件です。珪藻と珪藻の間の空間に何も存在しない,そういったものを作り出すにはたんに技術だけではだめで環境条件が大事になってきます。あとは集中力なんですがこれは睡眠が大事。できれば酒を飲まずに熟睡できる条件を見つけたいのですが。いまのところは「一ノ蔵」に頼る毎日です(画像/MWS)。








2022年10月22日






クンショウモと珪藻。ただいま深夜のお料理中で鶏とゴボウとダイコンとこんにゃくを煮ているのでこれいじょうのコメントはありません…(画像/MWS)。








2022年10月21日




いつも見慣れた標本でも,ちょっと対物レンズをいじり照明との組合せを考えれば見たことのない光景が広がります。日常みているものとは違い,顕微鏡では観察法(≒照明法)によって像が変わります。きょうの画像は,10年前に気づいていてもいいなーと思うものですが,鈍感な筆者は今月実装したのです。理論的にはこうなるだろうなーとは想像していました。でも実際に確かめてそうなるのかどうかはやってみないと分からないのです。。。

…ということで珪藻標本をお持ちの貴方。油浸で解像限界を追うのも本道の最高な楽しみですが,レンズをいじりながら,低倍率領域の暗視野の発色を眺めるのもなかなかいいものですよ,というのがきょうの画像の主張です(画像/MWS)。








2022年10月20日








だいぶひさしぶりに見ることができたAmphipleura pellucida(アミバリケイソウ)の生細胞。まだ生きています。筆者では採集することが不可能な遠隔地のものですがいつもお世話になっている知人研究者から恵送いただきました。輸送に伴い多くの生物が弱っていましたが詳細に調べると珪藻類と緑藻類,原生生物の多くはまだ何とか生きているように見えましたので,早速バルコニーで粗培養に移しました。培地は植物栄養剤と市販の天然水です。しばらくして緑藻が生えてくる培養ボトルと珪藻が生えてくる培養ボトルに分かれました。初期条件で培養は様々に変化します。

珪藻ボトルを詳細に検鏡したところ,たぶん十数年ぶりに生きている細胞に出会ったのでした。前回も撮影していたはずなのですが画像がどうしても見つからず,今回,はじめての掲載となります。ほんとうに繊細で,脆弱な珪藻です。きょうの画像では,画像3枚目のものが細胞の状態がよいように見えます。スケールは一目盛り10μm。細胞幅がそれ以下ということがわかります。細くて小さな珪藻なのです。

こんなものを見つけて,顕微鏡対物レンズの限界試験に用いてきたのですから,先人の観察眼と知恵と努力は並大抵のものではないだろうと思います。感心するばかりです。しばらくはバルコニーでこの珪藻を維持したいと思っています。夏場の高温下では無理ですが,これから来春にかけての寒い時期ならば,培養液を補給すれば何らかの珪藻は生きて残ります。Amphipleura pellucidaは,経験的には富栄養でもそうでなくてもそれなりに生きている感じなので,このまま維持できないかな〜と楽観的な展望を持っています。

筆者の採集経験では,フィールドでは水の動きのあまりない,池や沼で,水に沈んだ葉っぱや水草に付着している感じです。しかしそんな池や沼が関東地方にはほとんどないので,採集場所を探すだけでも一苦労です。そんなこともあって本種を探す旅は近年ずっとサボっていました。知人研究者には感謝の一言です(画像/MWS)。








2022年10月18-19日






みなさん「うに」はお好きですか? 筆者は都区内在住ですがウニをすすんで食べることはありません。でも,東北旅行に出かけると,気仙沼辺りで殻から外したてのウニが並んでいるのでそれは喜んでいただきます。きょうの画像はそんな,キタムラサキウニを中心とした絵本『ウニ』です。仮説社の新刊です。

編集者さんとはそろそろ旧知ともいえる仲なので年内に新刊が出ることは聞いていました。が,先月末にご丁寧にも見本誌を恵送いただき一足早く『うに』を読むことができました。当日はスライド作成などで忙しく,深夜になってから東北の銘酒「一ノ蔵」を頂きながら『うに』を開きました。

本書は表紙をめくったところからフルパワー全開で情報提供がはじまります。海洋生物学の専門書なら難しくて覚える気も起こらないようなウニの生物学が,じつに適切な解説とイラストによってすーっと頭に入ってきます。この段階で心を掴まれた感じがしました。説明の内容はけっこう高度なんですがそう感じません。同じ内容を図鑑などで読んでみれば違いはすぐにわかるでしょう。大昔に読んだ知識がさび付いていて使えないことも認識しましたが,この絵本で一から学習した方がよほど身につくとも思いました。

本編の絵本は少年が東北の海辺でウニと出会う物語です。これがじつに見事に「東北の夏」を表現した絵とともに進行するのです。そして東北ですからもちろん東北弁なのです。これが困りました。読み進めるとわけの分からない感情が突き上げるように生じて,目から水が出てくるのです。疲れていたからなのか,酒を飲んでいたからなのか,それとも筆者が東北生まれだからなのか,あるいは絵本の少年と同じくらいのときに宮城沿岸で殻付きのウニを初体験したからなのか。それとも絵本に描かれている柱時計の時刻をみてスイッチが入ったのか。絵本を読んで泣いたのは初めてです。。

筆者がまだ少年だった頃,東北の海辺の民宿近くを散歩していたところ,民宿の裏庭に中身のないキタムラサキウニの殻がコンテナに入って積まれていました。保育園の頃からウニくらいは知っていましたし,ウニが食用なことも知っていましたからこれが夕飯に出るのかな,と思いそのまま通り過ぎようとしました。が次の瞬間,殻が動いている気がしました。あれっと思ってコンテナに戻りよーくみてみると,中身が空っぽのウニの殻から出ているトゲトゲが動いているのです。生命を支える実質が抜き取られているのに,なぜかトゲは動いている。子ども心にぞーっとしました。その晩に出てきたたぶん焼きウニだったと思うのだけれども,あまり食べられませんでした…

話を絵本に戻しますと,物語では,ここ十数年の東北沿岸の様子が海藻とウニを中心に語られます。これは少年を通してみた体験でもありますが,実際に起きたことでもあります。つまり沿岸生態系の最新の研究成果がストーリーの骨子になってもいるのです。

本書の表紙裏からはじまるふろくの内容は「ウニの生物学」ですが,本編の物語と後半の付録は「海洋生態学」の内容になっています。「生態学」というのは,生物と生物,あるいは生物とそれをとりまく環境の関係を研究する学問です。『うに』を読むと,ウニの生物学を目にすることになり,そして海藻−ウニ−海洋環境という「海洋生態学」を目にすることになります。そして後半のふろくでは,ウニと他の生物の多様な関係性が詳述されるとともに,ウニの利用についても手抜かりはありません。とにかく情報満載の絵本なのですが少しも押しつけがましいところがなく,もっと読みたい!と思う楽しい仕上がりになっています。

個人的には,この本は奇跡のようなもので,絵本業界での1つの「事件」のようなものかもしれません。著者のお二人は研究者なので,このような仕上がりの絵本,という具体的な展望やそれを実現するノウハウは持っていないと思います。絵の担当者がテーマを与えられただけで「あらめ」の姿を正確に描くことなどできそうにもありません。にもかかわらず本編の途中で出てくる褐藻類はもちろんのこと,サンゴ藻(石灰藻)の色使いは特筆ものといってもよろしいかと思います。筆者自身,沿岸で海藻やウニを見つめてこの十数年暮らしてきたので,その目線から見てもこの本の絵の仕上がりは驚異的です。

内容は詳細に吟味されたもののように見えます。ウニの生物学としても海洋生態学としても第一級の資料になっています。そしてこの本には「知ることの楽しさ喜びを味わって欲しい」という雰囲気を随所に感じます。たぶんこれは編集者さんのなせる技で,編集者さんは良い意味で先入観がなくウニについても勉強したことはなかったのではと思います。そして真の専門家からウニと海洋生態学の手ほどきを受けて,ご本人がおそらくは感動して楽しくてわくわくして,そしてその気分をそのままに絵本に盛り込んだのだろうと想像します。

これは並の編集者にできる仕事ではないように思います。ヘンに頭が良いといろんな雑念が入り込み,こんなホットな本は作れないのです。『うに』は著者さん,絵描きさん,編集者さんのチームワークが最高次元で発揮され生まれたものと筆者には感じられます。そこが「奇跡」であり「事件」だと感じる部分です。リモート取材や机上で書かれた浅薄な本ではありません。現場で足を棒にしてつかみとった,顔をつきあわせて何日も合宿しなければできない泥臭さのある立派な本です。

そして重要なことは,『うに』は絵本という技法でなければ伝えることができない情報のパッケージになっているのです。紙の本ならではの作り込みが素晴らしい。動画やwebサイトではこのような表現はできません。その一方で,要所にはQRコードが埋め込まれていて,絵本では伝わらない方言のイントネーションなどをデジタルデータで補完しています。恐るべき細やかな配慮です。

さぁ皆さん,この優れた絵本を入手しない手はありません。10月14日から発売となっております。仮説社のオンラインショップは こちら です。amazonさんは こちら です。1冊なんて言わずに2冊でも3冊でもどうぞ。筆者は大変気に入ったのでカミさんに頼んで仮説社の店舗から20冊をゲットしました。

さて,『うに』をお買い求めの方にお願いがあります。1つはぜひともSNSなどを利用してあるいは口コミを利用して本書の出版情報を流していただきたということ。こんなに良い本が倉庫に積まれたままなんて,最も想像したくないことです。読めば喜ぶ人はいくらでもいます。なるべく多くの方々がこの本と「出会う」ようにご協力いただければと思います。

もう一つのお願いは,お子様にプレゼントしたり,学校などで読み聞かせを行う場合は,『うに』の前に,『わかめ』を先行させて欲しいのです。多くのお子様にとって,沿岸で遊ぶことも海藻類の知識を得ることも縁遠いことです。まずは『わかめ』で海と海藻について学んでいただき,そのあとで『うに』を読んでウニと海藻の生態学的関係を学べば,重層的な知識となり,読書体験としても,あるいはこれからの生活でわかめやウニとかかわる上でも,良いことばかりです。

最後に,こんな素晴らしい絵本を作り上げてくれた著者,絵描き,編集者の皆様,正確な色再現を実現した印刷所のスタッフさん,ほか協力してくれた関係者の皆様に御礼申し上げます。筆者は博士(水産学)の学位を持ち海洋生態学の素養は持っています。その立場から見てもこの素晴らしい本は,多くの方々に手にとってもらいたいと心から思います。誰でもいいです。そこいらへんのお寿司屋さんにこんな本が転がっているようになれば,それは明るい未来じゃないでしょうか(画像/MWS)。



※ 多くの方にご覧頂きたいので2日間トップに掲載いたします。18日昼に一部加筆修正しています。




2022年10月17日






ウチには味の素(グルタミン酸ナトリウム)は置いていません。ので,一般的な町中華のような味付けはできません。それどころか,サラダ油もないし,砂糖もみりんもないので,味付けは江戸以前の和食に遡るかもしれません。。でもそれでもまったく不自由していません。なぜなら,きょうの画像のような早煮昆布が常備してあって,これが味の素の代わりなのです。湯どうふはもちろん,煮物に放り込んでもいいし,鍋物のダシにも使えます。

豚しゃぶ,むね肉しゃぶしゃぶをするときには,早煮昆布の水でしゃぶしゃぶします。あまった水にはタマネギとキャベシを放り込んで塩や味噌で調味。じつにおいしいスープのできあがり。取り出した昆布は繊維方向に細切りにして,油揚げ,きのこと混ぜ混ぜして,ビミサン(ダシつゆ)を垂らしてから電子レンジでチン。これで田舎のおばあちゃんが作るような素朴なおかずのできあがりです。味の素の代わりに昆布を使うと料理が3品に増えます。昆布も食材ですからね。

べつに味の素を否定しているわけではありません。子どものころはよく振りかけていました。が,おいしくする粉,というのが気に入らずいつのまにか使わなくなってしまいました。たぶん大学に入る頃には使っていなかったと思います。イタリア料理のyoutubeなどをみていると味に深みを出すのにトマトやドライトマトをよく使っています。あれはグルタミン酸を添加しているのです。同様に日本料理では昆布が登場します。同じくグルタミン酸です。味の素は日本で生まれた調味料ですが,人類はそれ以前からグルタミン酸を欲していたのかもしれません。

グルタミン酸の代わりに昆布を使うと,いろんな制約があって,中華料理などはたぶんうまくいかないことも多いかと思います。町中華の味を出したければ味の素を使うのがたぶん賢明です。他方,昆布を使うといいこともあります。食物繊維が豊富ですし,もちろんグルタミン酸もとれますし,ヨウ素も摂取できます。バセドウ病の方には大量は禁忌ですが。

…とうことできょうは早煮昆布のお話でした。早煮昆布はいろんな銘柄があって,きょうの画像のものは品質が揃っていて使いやすいですが,ノーブランドでも同じようなものはあります。目を鍛えましょう。

コンプのパッケージにはしばしば,軽く水で洗って下さいとか書いてあるのですがとんでもない。昆布表面の「白い粉」は塩分とうまみ成分です。筆者は四半世紀,昆布を洗ったりしたことはありません。。もったいなさすぎます(画像/MWS)。








2022年10月16日




きのう掲載した放散虫群は,研究者の目から見ると,分類困難な宝箱のようなものらしいです。ひょっとすると新種の山かもしれないのです。で,それを見抜いた研究者から,きのうのサンプルへの多大な興味のメールを頂戴し,それは意訳すれば,その試料送って頂戴,ということなので心理学が専門の筆者は多大な時間を費やして純粋な放散虫試料に調整したものを,その研究者に送ることにしました。一般販売も大事。でも研究も大事。その狭間で揺れ動きますが,原料はまだあるので筆者が死ななければ同じ処理済みサンプルはまたできるはずなのです(画像/MWS)。








2022年10月15日














あらった放散虫は精製水に浸して保管中です。封入すればきれいに撮影できますが封入は面倒なので当面先のことになるかもしれません。。しかし中身はざっとみてみたいので,先ほど簡易撮影をしてみました。スライド上に水ごと放散虫を垂らして,厚い水を通しての撮影です。こういった簡易撮影ではNA=0.25程度までの対物レンズが適当です。ちゃんと見たいなら水浸対物の出番ですが…。

ということで学習用顕微鏡にセットした能登の珪藻土に含まれる放散虫の光景。放散虫,海綿骨針,鉱物,珪藻が視野一面に広がる世界はすこしばかり日常からワープして異空間に入り込んだような世界を感じることができます。顕微鏡観察の面白さといえるかもしれません(画像/MWS)。








2022年10月14日








こんげつ初めの「博物ふぇす」で放散虫ブース(RC_GEARさん)の目玉商品が"放散虫チャレンジ"でした。放散虫を豊富に含む能登の珪藻土とスライドグラスなどのセット品が信じられない価格で放出されていたのでした。売れ残りがあったら欲しかったのですが残念ながら完売。でもRC_GEARさんからは,有り難いことに,能登の珪藻土は恵与頂いています。

…ということで放散虫チャレンジ,,というか当サービス的には放散虫ルーチン,とでもいう作業を行ったのがきょうの画像。見渡す限りの放散虫と海綿骨針と若干の鉱物。球状放散虫とスポンジタイプが大量に入っている,まさに日本海の化石放散虫という試料でした。。ふしぎなことに三本足のナセラリアは少ない印象です。

原試料は珪藻土なので大量の珪藻と珪藻の破砕物が入っています。これが処理に邪魔なので放散虫目的のときは珪藻を破壊してもよいような強い処理を施し,沈殿分離で珪藻を除去してしまいます。そうするときょうの画像のように放散虫だらけの視野を見ることができるようになります(画像/MWS)。








2022年10月13日




























きょうのお話はプランクトンネット。動物プランクトン採集には特に欠かせないものです。近年のものの多くはナイロン製かと思いますが織る技術が特殊で超高級な布でもあります。気軽に「分けてくれ」などという不埒な人もたまにはいますが,ものによっては1mで2万円超えともなると,プランクトンいじりが専業みたいな筆者でも購入に躊躇するほどです。

プランクトンネットは目合い(オープニング)と材質によって細かい分類があります。目合いはそのネットを通過する最大の大きさのようなもの,といった感じです。四角の開口ならその対角線の数値に近いものになると思います。開口の形状にもよるので,メーカー公称値をみて,まぁだいたいこんなものかな,と判断して購入を考えるといった感じです。目合いはGG54とかXX13とか呼ばれ,ナイロン素材の場合はNGG54とかNXX13などと呼ばれますが,これを覚えるよりも目合いを調べて判断する方が確実だと思います。

きょうの画像はプランクトンネットの一部を撮影したもの。実際にはもっと多くの種類があります。撮影倍率はきょうの画像全てで同一で画面横幅は3.12mmです。

上から順にプランクトンネットのオープニング(μm)を書くと,315,100,75,62,50,45,41,35,30,20,10です。じつにいろいろな開口があり,編み方があり,繊維の組み方とその角度があり,様々な技術が込められていることが想像されます。

その次の画像は,スカートなどの裏地に使われているさらさらの布です。おそらくは肌触りなどを考慮して最良の素材が選ばれているものかもしれませんが,これを顕微鏡で見ると,プランクトンネットの代替品としてまったく問題ないことがわかります。オープニングを見ると40〜70μmくらいかもしれません。動物プランクトンなら大半のものはOKですし,植物プランクトンでも大きな珪藻や緑藻は問題なく捕まります。本ページでたびたび紹介しているウチワヒゲムシの大きなものもたぶん大丈夫でしょう。

で,この裏地の布は,洗濯できることからもわかるように親水性なのでろ過にはとても好適です。プランクトンネットでも水を弾くようになるとろ過はできなくなってしまいます。表面が水になじむことはとても大事なのです。その点からもこの布は推奨できます。よく使われているものにストッキングがありますが,あれは目合いが粗すぎて大型のミジンコなどにはとても良いですが小さい原生生物にはそんなに適していません。

この布の優秀さと手軽さは ずかんプランクトン の85ページでも紹介したのですが,今ひとつ浸透していない感じがしています。もちろん数万円払ってプロ用のプランクトンネットを各種そろえれば効率も良く仕事ができるに違いありませんが,身の回りの使えるものでタダ同然で楽しむこともできるなら,「試しにやってみよう」というのが世の常でもあります。

さて最後の画像は放散虫。きょうの画像は全部同じ倍率で撮影しているので,裏地布でろ過すれば,放散虫は大きいので,大部分は布の上に捕まるだろうということがわかります。こうして大きさの比較をしながら,何を捕まえるには何を使えば良いかを考えるのは筆者の日常です。なお付言すると,化石放散虫の多くは大変重いのですぐに沈殿します。ので,上澄みを棄てれば沈殿物に放散虫が濃縮されています。ネットによるろ過だけが正しいと思ったら大間違いになります。他方,現生の放散虫は軽く,沈殿分離は難しい種もいます。こういったものにはネットが有効です。状況に応じて使い分ける必要があります(画像/MWS)。








2022年10月12日




バルバドス放散虫のニセ散布スライドはいったん制作を終了しました。次回は原石処理からとなりますので当面先となります。大量の放散虫を一気に消費してしまうのでかなり贅沢品ですし原石には限りがあるのでいつまで供給できるかは不明です。一方,放散虫を並べたJシリーズは継続して供給できる見込みです。こちらは放散虫を一気に大量消費することはありませんが,たくさんの種を拾い出すのにとにかく膨大な作業が必要となります。そのストックから並べる作業も簡単なものではなく時間もかかりますが,できあがったもののピュアな輝きは他に代わるものがありません。やるだけの価値があると信じて制作を続けるのです(画像/MWS)。








2022年10月11日




【お願い】 メールサーバーとメイラーの不調により大量のメールを喪失しました。これまでほぼ全てのメールに返信をしていますので大きな障害はない見込みですが,10月7日〜9日の間は,受け取ったメールが自動的に消去された可能性があります。この期間にメールを送り,筆者からの返事がない方は,お手数をおかけいたしますがメールを再送いただけますと助かります。よろしくお願いいたします(画像/MWS)。








2022年10月10日




ならべることが可能な珪藻はむしろ限られていて,並べられない珪藻がたくさん存在します。並べられない理由はいくつかあります。あまりにも希少で見つからないもの。小さくて拾い上げることが困難なもの。極端に薄い殻で拾うと壊れてしまうもの。処理中に壊れてしまい歩留まりが極端に低下するもの。コントラストが低すぎて拾うときに視認できないもの。拾うときに分類上の違いを見分けられないもの。並べるために位置をずらそうとすると壊れるもの。こんなところでしょうか。

きょうの画像はたぶん並べることはできますが,処理中に壊れやすいものの例。この類いの種は,ぽっきり折れることがあるのです。うまく処理できても全長が長すぎて取り扱いはひじょうに繊細なものになります。こういった試料はどうやって洗おうかと,その段階から悩みます(画像/MWS)。








2022年10月9日








ひさしぶりのソライロラッパムシらしきもの。明視野と微分干渉で。それにしてもでかい…(画像/MWS)。








2022年10月8日






ミカヅキモとクチビルケイソウ。たまには?珪藻ものせないと…(画像/MWS)。








2022年10月7日




するどい観察眼をお持ちの読者の方は,きのうのミカヅキモの輪郭に色がついていることに気がついたかもしれません。レベルの高い方々の中には,「おっ,倍率色収差バリバリの画像を出して恥ずかしくもないのか?」と疑問に思った方もおられるかもしれませんし,いないかもしれません…。

もっと鋭い方は,ミカヅキモの円弧の部分をトレースして,発色が逆転していることを見つけて,「これは倍率色収差ではないね」と思っているかもしれません。

さらに鋭い方は,核やその他の構造の色ずれがないことを根拠に,ミカヅキモ輪郭の色づきは倍率色収差ではないとの結論を出しているかもしれません。

もっともっと考える方は,これは微分干渉像だね。なんでこんな色が出るのかと,屈折,散乱,分散,偏光などに思いを馳せるでしょう。

その上に位置するひとはこのような現象を日常観察して自分なりの結論を得ていることでしょう。

もっとすごいひとはこの現象について研究して論文を書いていることでしょう。まだ見つけていませんし探してもいませんが,たぶん研究しているひとはいると思います。

このミカヅキモはNikon CF Plan 20x (0.4) 160/0.17のDIC直焦点(鏡筒倍率1.25x)で撮影したものです。物体は視野中央で輪郭の色ずれは倍率色収差ではないと判断しています。本ページは顕微鏡光学を理解するとこんな絵が得られるということを開業時からのコンセプトにしていますので,2007年9月21日から現在まで,断りなく,倍率色収差の残存する絵を掲載したことはありません。

…ということで,きょうの画像は透明体の位相物体が微分干渉観察で鮮やかな色が出ることの一例。いままで掲載してきた画像でもこの現象が見られるものが多数あります。光の世界は奥深いのです(画像/MWS)。








2022年10月6日




ミカヅキモが視野に現れるとなんかほっとした気分になります。そこいらへんにいるただの藻なのですが,チラチラと動く硫酸バリウム結晶や,鮮やかな色素体,並ぶピレノイド,いろんなところに目が行っていつまでも眺めていられます。そんな風景を皆様にも感じていただきたくきょうは大きな画像にしてみました(画像/MWS)。








2022年10月5日




この画像をみて,食べてみて魚種がわかるひとがいたとすれば超ハイレベルです。筆者はまったくわかりません。それもそのはず初体験なのです。もよりのスーパーは,サクは,昔はマグロくらいしか置いてなかったのに,ここ数年,いろんな魚種が並んでいるのです。きょうの画像はヒゲソリダイです。小ぶりの個体です。

はじめての魚はわさびをつけないで少量のしょうゆで身の味を確かめます。身にはいささかのクセも匂いもなく,それでいて味はあり,もっちりとした歯ごたえがあってダレている感じはしません。なかなかおいしい白身です。背側はもっちりですが腹側はすこしこりっとした感じもありうまみも強めです。背びれ下の脂には甘味も感じられ,全体的にはウメイロを想像させるような味わいでした。

一時期,新型コロナの関係で値崩れしていた高級魚も少しずつ値段を回復してきています。飲食店などでの需要もすこしは戻ったのと,沿岸魚の不漁の関係で値上がりしているものと想像しています。ヒゲソリダイなんて南の方でしか捕れない魚です。そんなものが歩いて3分かからないスーパーに転がっているのですから,高かろうとも有り難くいただきます。また1つ良い経験をさせていただきました。鮮魚のコールドチェーンを支えている多くの方々に感謝です(画像/MWS)。








2022年10月4日






すうねんに一度くらいの感じで修理案件が舞い込みます。顕微鏡の修理などは一切受け付けておりませんが,自分で制作した標本は破損品の修理を請け負うこともあります。きょうの画像は超高級品の放散虫プレパラートのカバーガラスが真っ二つにひび割れたもの。まず標本全体を丁寧に清掃してから観察。その結果,カバーガラスに打撃痕があり,樹脂には柔軟性があるのでガラスへの応力が限界に達してひび割れたものとわかりました。接着は強固なのでひび割れは途中で止まっていましたが,肝心の物体マウント面の中心部を通過するというまことに不幸な状態でした。

これは光学理論上,あるいは材料工学上,完全修理は不可能です。しかし現在の状態よりも改善することはできる可能性があるので,筆者の脳みそはぐるぐると回り始めます。こういった重度の修理案件が持ち込まれると,「さーてコレをどう料理しようか…」と挑戦したくなりうずうずずるのです。職人の性かもしれません。

今回の破損は対物レンズが下がりすぎていることに気づかずに標本をセットしてY軸方向に動かして,カバーガラスの側面に衝突したことが原因と推測されます。あるいは電動AFの顕微鏡で物体を検知せずにカバーガラス側面に対物レンズが衝突した可能性も若干あるかな,という感じです。

このような悲惨な状態になる事例もあることを認識いただき,Jシリーズのユーザーの皆様は,ぜひこれからも丁寧に標本を取り扱い下さいませ。制作者からのお願いです(画像/MWS)。



閑話休題 今年のノーベル医学生理学賞が発表されました。まぁ妥当なところです。世の中ではカタリン・カリコが授賞するのではという憶測が流れましたが個人的にはあり得ないと思っていました。カリコ氏の秀逸な研究は評価に値するものですが,それが社会に適用されてしまったので,応用後の世界を評価しなければならないからです。それは青色LEDのノーベル賞とも似ていて,発見から応用,社会的な貢献,すべてを評価しての授賞に見えます。そういったお作法がカロリンスカ研究所の標準です。せっかちにリアルタイム評価して発表するのはノーベル平和賞くらいなものと思っています。文学賞のことは知りません。どうあがいても文学を評価するなどできそうにないと個人的には思われるからです。




2022年10月3日









3日の日曜日は新宿・薬王寺での秋祭りで行われた顕微鏡展示を見学に行くという久々の顕微鏡の午後でした。地区の秋祭りで珪藻や放散虫を並べたプレパラートを観察するというのは聞いたことがなく,きわめて珍しい試みではないかと思います。(株)カールツァイスの田中先生の深い経験と幅広い人脈あってこそのものだと思います。本来はバーのママが飲み物を販売するスペースなのですが,珪藻アートを気に入ったバーのママの希望で展示が実現したとのことです。

でもこれって,本当に画期的なことだと思いました。何しろ地区のお祭りの主役は「子ども」なのです。多くの10代未満の子どもたちが秋祭りで食べ物飲み物を楽しみながら嬉々として顕微鏡を覗いている。奇跡的な時間です。もちろん保護者の方々も一緒にご覧いただき,それまで人生で一度も考えたこともなかった「珪藻」というものを知ってしまうのです。

田中先生,バーのママには大変お世話になりました。また多くのお子様,住民の方々にもご覧頂き感謝です。筆者としてはじつに意義深い時間となりました(画像/MWS)。








2022年10月1-2日




















きょうの画像は10月1日,2日に開催される「博物ふぇす」で販売する品物です。ご興味のある方は参考にしていただけますと幸いです。このほか,『珪藻美術館(福音館書店)』を若干数,持ち込みます。どうぞよろしくお願いいたします。

ところで,今回販売の放散虫のなかに,







このような形態の種が入っているスライドが2つあります。先ほど放散虫の世界的専門家から入った連絡によると,この形態の種は論文などの記載を追う限りでは130年ぶりのものかもしれないのだそうです。確かに筆者の放散虫人生でも滅多に見かけない希少なものであることは確かです。

その後の情報によると,130年ぶりの種はこの画像のものとは微妙に異なるとのこと。しかしそれでもレアな個体であることは間違いありません。

さらにその後の情報によると,この個体は新種の可能性もあるとのこと。

今回販売のスライドは希少性などを考えないことにして,当室の放散虫在庫から惜しげもなくレアな個体を投入して多様性を確保しています。その結果,ほぼ誰も巡り会わない種までマウントできてしまった可能性が出てきました。エキスパートの助言がなければわからなかったことです。でも微化石の世界はこんなもんです。当室には未記載種の在庫もたくさんあります。まだまだ「わからない」ことに満ちていて,そこいらへんの石ころがお宝だったりすることがたまには起きるのです。今回販売品はその一例かもしれません。

一日目が終わりました。多数のお客様にお越しいただきました。ありがとうございます。ニセ散布スライド,Jシリーズともにまだ在庫はございますので日曜日もよろしくお願いいたします。日曜日は15時頃?に以下のJシリーズが追加できるかもしれません。





この放散虫Jシリーズは「顕微鏡で見る宝石」のようなものをイメージしていただければと思います。小さなプレパラートがウン万円?と思うかもしれません。でもこの種のアートのプレパラートは,本当に価値の高いものは軽く100万円を超えるのです。600万円というのも聞いたことがあります。今回販売しているものも究極の完成度ですので価値はひじょうに高いです。

(追記) 博物ふぇす,無事に終了しました。大変多くの方々にお越しいただきありがとうございます。放散虫の本物の姿をご覧いただけたことを嬉しく思っております。RC_GEARさんのお店に間借りしての販売でしたが,Jシリーズ数枚,ニセ散布スライド完売,『珪藻美術館』が22冊の売上でした。品物には絶対の自信を持っております。顕微鏡で心ゆくまで眺めていただければと思います(画像/MWS)。









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