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2022年2月28日




この珪藻は開業当初に相模湾沿岸で一回だけ採集できたもの。何がよかったのかはわかりません。在庫もほぼなくなり,ストック種数が減るのは仕事上は致命的なので困っています。この十数年,サンプリングした珪藻の中身をみていても,開業当初がもっとも多様性が豊富で,近年になると貧弱なサンプルを持ち帰ることが多くなりました。おそらくは海面の平均水温上昇というベース的な問題に加えて磯焼け,津波,台風などの影響で多様性の維持が困難になっているのかもしれません。化石サンプルを使えば種の多様性は確保できますが,それではヨーロッパで作られてきた珪藻アートのまねごとになりかねないので,なるべく現生種を多く保持したいと思っています(画像/MWS)。








2022年2月27日




ときどき,「本日のおかず」とか「本日の料理」になってしまう本ページですが,今月はまじめに?珪藻画像をのせることとなりました。関心のある方には参考になった事例もあるかと思いますが,珪藻にはそれほど関心のない方々にはつまんない一ヶ月だったかもしれません。やっぱし「おかず」の画像もたまにはのせた方がいいのかもしれません。。きょうの画像はフリッケアの末端部の溝。縦溝の末端に横溝があるということは,この付着珪藻は直進運動だけでなく回転運動もできるのではないかと想像します。生体を見たことがないのでわかりませんが…。珪藻は何万種もいるので,個々の生体はわかっていないことの方が遙かに多いのです(画像/MWS)。








2022年2月26日






きょうの珪藻はたぶんCylindrothecaのなかま。幅広い水温,塩分で増殖可能な海の付着珪藻で,表層水の栄養が枯渇したような海域でも沿岸の付着物に大量に入っていたりします。画像に写っているのは被殻の中央部で,両端は針よりも糸よりも細いガラスの毛です。被殻表面の模様はごく微弱なものでDICで観察してもはっきりしません。

こういった物体はDICで撮影したあとにコントラスト強調を行うと,肉眼観察やただのデジタルイメージングでは見えなかった構造が出てくることがあります。ビデオエンハンスと呼ばれる手法ですが,DICや偏斜照明と相性がよいことが経験的に知られています。DICを使っていても,撮影したら終わりではありません。その先もしっかり行って,画像に潜んでいる情報を可視化しないといけません(画像/MWS)。








2022年2月25日




きょうの珪藻はGomphoneisのなかま。ゴンフォネイスと言うべきかゴムフォネイスというべきか…そんな感じの名前です。主に河川で見られ手持ちではかなり数が少ないものです。相模川水系,荒川水系,あとは北海道の河川で見かけたことがあるような気がします。これらの河川に共通することがあるのかないのかわかりませんが,勝手な直感としては,ニジマスが多量に放流されているような河川では見かけるような気がします。一度,各地のニジマス養魚場の珪藻群集を調べてみたいものです(画像/MWS)。








2022年2月24日






このところのせている珪藻画像は本ページのサイズ(横700pixel)に縮小したときに適正な拡大率になるように撮影したものです。もとの画像は5568x3712という大きなもので,縮小せずに切り出せば画像2枚目のごとくです。対物レンズは100倍,鏡筒倍率1.25倍,投影レンズ倍率2.5倍です。解像限界を表示する,という意味では多くの珪藻種で無効拡大です。

しかしこれまでも何度も書いてきましたが,デジタル画像では縮小は自在なので,無効拡大は有効なのです。無効拡大であれば,サンプリングの定理から,微細構造の取りこぼしがありません。拡大率が不足していて微細構造が表現できなかったということを防げます。そしてコントラスト強調などを行って微細構造をあぶり出し,その画像処理で生じたざらつき(ノイズ)を縮小によって平均化してなめらかにする。じつに合理的なのです。

本ページは毎日レベルの高い珪藻画像を掲載できる希有なサイトであるわけですが,それを支えるのはプロ用機材とかそんなものではありません。目的に対して最適解をはじきだす総合力とでもいうべきものが本ページのレベルを支えているのです。たぶん…(画像/MWS)。








2022年2月23日




これは干潟にいた珪藻。むかしニッチア属だったと思いますが今はどうでしょうか。調べていません。油浸で見ると一部のピンヌラリアのように条線内部に微細構造が現れる種です。このような「低倍率と高倍率では違う風景が見える種」は顕微鏡愛好家にとっては欲しくなるもののような気がします。撮影条件は昨日と同じで,アクロマートを使ったアポクロマート画像です(画像/MWS)。








2022年2月22日








きょうの珪藻はフルスツリア・アンフィプレウロイデスという淡水産のもの。どこに好んで棲んでいるのかはよくわかりませんが筆者は河川上流部から採集したことがありますし,湧水起源のゆるい流れからも見つけたことがあります。画像2枚目はこの珪藻のGチャンネルでのピント。画像3枚目はR,Bチャンネルでのピント。両方の画像からそれぞれのチャンネルを取り出して加算合成したものがきょうの画像の1枚目。ピント合わせが完全に決まると,アクロマート色補正のレンズを使ってアポクロマートを超える画像を作れることがよくわかります。

使用した対物レンズはCF Plan100x 1.25 160/0.17です。良いものを選別して使いこなせば,なかなかいいレンズだと思います(画像/MWS)。








2022年2月21日






きょうの珪藻はクリマコスフェニア,海産のけっこう大きな(細長い)珪藻です。沿岸性で石ころや海藻やいろんなものに付着しているようです。この珪藻には画像1枚目のように周期的な格子構造があるので対物レンズテスト用に使いやすくDL-TESTに使うことがよくあります。この微細構造部分は薄いので壊れやすいのが難点です。せっかくマウントしたら部分的に孔があいていた…などということもたまにあります… orz

周期構造のピッチとしては乾燥系の高NA対物レンズから対応するという感じです。解像は比較的簡単です。また解像目的以外なら,NA=0.8〜0.95程度の暗視野透過照明で,対物レンズのNAを0.1〜0.3とすれば,鮮やかな青色を観察することができます。あまり知られていないのは,この珪藻の太い方の末端にはトゲがあること。そんなに小さなトゲではありませんが,ちゃんとイメージングするのはそんなに簡単でもありません。こういったちょっとした部分でもさくっと画像が撮れるように訓練しておくと,例えばきのこの胞子などの小さくて微細な表面構造を持つような物体にもさくっと対応できるようになります。

もちろん,「対応できるようになる」まで,そうですね,一万枚か二万枚くらいの撮影はこなしていただきたいところですが…(画像/MWS)。








2022年2月20日






てもちのDIC対応の油浸対物レンズはCF Plan 100 DIC 1.25 160/0.17しかありません。実際にはCF Plan 100 1.25 160/0.17も同じ設計のようですので選別すれば使えます。このレンズで大型のピンヌラリアを撮影したのがきょうの画像。Plan対物ですから色収差補正はアクロマートです。そのため軸上色収差が残存しています。この対物レンズはその軸上色収差の出方がちょっと変わっていて,条線部分のフォーカスのあっている部分は薄い緑に見えますがその外側はピンクのような紫のような色に見えます。

波長別のピントを調べてみると,どうもこのレンズはそのような設計のようです。緑を基準にすると,赤と青の波長が同時に同じだけ後方にずれています。赤と青を加算すると紫になるので,撮影画像で起きている現象を説明できている感じです。

このタイプのレンズの場合は,緑色の位置でピントを合わせて(カラーで)撮影して,次に青の位置でピントを合わせて(カラーで)撮影して,前者の画像のGチャンネル,後者の画像のR,Bチャンネルを取り出して加算すれば色ごとのピント面のそろった画像にできます。撮影が二回でいいのでラクです。そうやって作った画像がきょうの2枚目。軸上色収差は激減しています。

本ページではむかしから何度も指摘して,「珪藻美術館 ちいさな ちいさな ガラスの世界」(福音館書店)でもこういったテクニックを使った画像をたくさん投入しています。当サービスが最新の機器を贅沢に使える実験所だったならそんな面倒な作業は必要ないだろうと思いますが,何しろ数十年を経過した中古機材を多用していますので,足りない分は知識と技術と経験で補うしかないのです。でも,ちゃんとやると,これならプランアポいらないね,と思うような絵をつくれることもありますし,最新機材でもたぶん簡単には真似できないだろうというテクニックが生まれたりもして,中古機材での悪あがきは無駄なことではないような気もします(画像/MWS)。








2022年2月19日




この珪藻はナビキュラなのですが先日掲載のものとは結構形が違います。こちらのナビキュラさんはすこし強度に重点を置いた殻の設計になっているようで,見た目も丈夫そうですが,毛先でつついてみても他のナビキュラよりはずっと壊れにくいです。これがたくさんいるサンプルが欲しいのですがまだ見つけていません。むかし採取したサンプルを後生大事に少しずつ拾い出しして使っています。もったいないので散布スライドなんて作れません(画像/MWS)。








2022年2月18日




この珪藻は干潟の泥から見つかったもの。名前は思い当たるものがありません。ちゃんと調べてもいませんが…。こういった「見たことのないもの」に出会えるのがまた珪藻観察の面白いところです。有名で一度はみてみたい珪藻に出会えた気分と,そこいら片の試料にはのっていないマイナーな種に出会えた気分は異なるものです。

ところで,埼玉県立川の博物館で「こんなところに、珪藻!」というスロープ展示が行われています(こちら)筆者はみていませんが,ここには珪藻研究者がいるはずなので,珪藻がどんなところからどんな種が見つかるのか,実際の顕微鏡写真で展示してくれているものと想像しています。珪藻の展示自体がひじょうに珍しいものなので,お近くの方はふらっと立ち寄って見るのもよいかもしれません(画像/MWS)。








2022年2月17日




きょうの画像はクチビルケイソウ。もちろん淡水産の珪藻で,じつにいろんなところにいます。きのうのエンキオネマと比較すると,殻の中心を走る溝が,殻の末端で反対方向を向いています。分類屋さんはよくこんな細かいことに気づいて整理してきたなと関心(画像/MWS)。








2022年2月16日




きょうの画像はエンキオネマ。淡水産の珪藻で渓流でも都会の池でも見かけたことがあります。この珪藻,よくクチビルケイソウと間違われるのですが,よくみると一カ所違う部分があります。さてどの部分でしょう(画像/MWS)。








2022年2月15日




このところ微細構造の再現とコントラストを考えてモノクロ画像を多用していますが,質感優先ならばカラー画像の方が好ましい場面も多いです。きょうの画像がその一例でピンヌラリアです。条線部分が光っていますが,これはこの部分に超微細な構造があってそれが構造偏光を発するので微分干渉法で明コントラストを生成したものと思われます。このコントラスト生成が人間の目にはなぜかガラスを思わせる錯覚を生じるように思えます。ガラスっぽく見えるのです(画像/MWS)。








2022年2月14日




よのなかはチョコレートが飛び交うバンアレン帯の日らしいですが筆者にはそんなものは関係ありません。筆者のバンアレン帯の話を書こうものなら「全米が泣いた」となってしまうのでここに書くことはできません(笑)。そこできょうも珪藻のお話です。

珪藻を並べるならぜひとも代表的な種というものは取りそろえておきたいものです。ところがこれが難しいのです。たとえばナビキュラという珪藻は,淡水珪藻を代表するようなものでどこにでもいます。寿司ネタでいうならイワシくらいな感覚です。誰でも知ってて珍しくもないのです。そのどこにでもいる珪藻を集めてきて拾い出しをしようとすると,むやみやたらに小さくて,とても拾うことなどできないのです。。

そこである程度の大きさのあるナビキュラを探すことになりますが,そんな都合のよいサンプルは簡単には見つかりません。現在は湧水起源の流れから採集したサンプルから細々と拾い出しをしています。ナビキュラの被殻はほとんどの種で極薄です。ので簡単に破損します。拾えるほどの大きさで丈夫な種はほんのすこししかいません。。

きょうの画像は珍しくもないナビキュラですが,筆者の珪藻在庫の中ではナビキュラは貴重なものです。そのコレクションからほんのすこししかない被殻をマウントしたもの。幸い割れずにマウントでき,横条線と縦条線がはっきり見える標本にできました(画像/MWS)。








2022年2月13日




テストプレートにマウントされているプレウロシグマ君は海中ではこんな姿でいるのです。微細な点紋,多数の色素体,ちいさなちいさなガラスに包まれた生命体がこうして今日も水の中に暮らしていることを不思議に思います。JPGの撮って出しで,トリミングと回転以外の画像処理はしていません。適切な条件のもとでは実際にこんなふうに見えます。

珪藻はその気になればどこからも見つかるので,珪藻テストプレートなる高価な製品を買わなくても顕微鏡の検査はできます。でも,生きている珪藻だと水封入なので水浸対物のテストにはよいけれども,油浸対物には不向きです。どこにでもいる珪藻でも,顕微鏡光学に沿った運用ができる標本は,ちゃんと理論に従って制作するしかありません。もちろんご自身で制作してもOKで,よいものができれば長い間,基準となる標本として使えます。

ただ問題は,自分で作れる人はすでに顕微鏡の技量が高い人なのですよね。これから顕微鏡を始める,技術を磨きたいからテストプレートが欲しい,そういった人は先にテストプレートを入手して技量を磨いた方が効率的かもしれません。よい標本が入手できれば,それが見えないのは技術の問題なので,パラメータをいじって追い込むのが簡単になるのです。

顕微鏡の技量向上が目標ではなく,とにかく顕微鏡のいろんなことを知りたいと思う人は,テストプレートを買わずに,全部自作,全部勉強で独学の道をひたすら進むのがよいかもしれません。何かの製品などを買うとそれに影響されます。勉強を全方向360度に広げたいのであれば全部独学は悪くはありません。

そんな余計なことを書くのは筆者がそのタイプかもしれないからです。珪藻テストプレートなんて売ってなかったし,ケンプさんのものをはじめて入手したときには(*1),あれ?この検査板は球面収差がある…というのを一目で見抜きましたし。必死になって解像限界に迫ろうと努力してwebをほじくるような人は,たぶん努力の方向が間違っているような気がします。

というのも,筆者が高解像検鏡の手法を探っていた20年前,やっていたことと言えば,職場と自宅に同じ顕微鏡を設置して,とにかく時間があれば一つの珪藻を検鏡して,その像特性を体に叩き込んでいたからです。一つの珪藻をものすごい時間検鏡すると封入剤の種類によっては光で焼けるということもこの頃経験しました。webの情報など何の役にもたちませんでした。20年前は。顕微鏡光学を勉強しつつ,とにかく検鏡。微妙な像の変化も見逃さない。そのことの重要性は今でも変わるはずがなく,たぶんそこに顕微鏡法の未来はあるんだろうと思っています(画像/MWS)。



*1 ケンプさんのスライドでも球面収差を感じないという話を聞いたこともありますし,筆者もそうですが,この種の仕事をしている人はいろんな工夫をしているので,あるときに購入した製品と別の機会に購入した製品の仕様が変化していることは普通です。ケンプさんの製品はその芸術性においては世界最高峰ですし現在でも歴史の流れを受け継いだ職人として筆頭の位置にあることは疑いがありません。




2022年2月12日




きょうの画像はクラチキュラという珪藻。淡水産でちょろちょろとした小川のようなところでよく見かけます。ひじょうに繊細な格子構造があり油浸の微分干渉法で撮影してもこんな感じに見えます。今月3日にもクラチキュラが登場していますが,それとは別種です。きょうの珪藻の方が格段に薄くて脆弱で拾い出しにもマウントにも困難さがつきまといます。これまでマウントに成功した数はたぶん10個くらいかもしれません。あまりにも薄い被殻なので表裏の判別が難しく,一発で決めないと高い確率で破損するので位置決めも祈るような気分です。でも,こんな繊細な珪藻がずらっと並んだ標本があったら見事だろうなあとも思うので,今後もあきらめずに安定したマウントができるようにと思っています(画像/MWS)。








2022年2月11日










きのうフリッケア(Frickea lewisiana)のスリット構造で解像の方向性が検証できると書きましたが,実例を載せた方がよいだろうと思ったので別のスライドを使って撮影してみました。検鏡法はオプチフォトDICによる微分干渉法です。画像の最初の三枚はλ=526nm,最後の画像はλ=443nmです。対物レンズはCF Plan 100x (1.25) 160/0.17です。

どの画像もDICのシャーは横(X軸)方向です。このシャーの方向に対して直角にスリット構造を配置するとDICの2本のビームによる光路差が効果的に働き高コントラストな像となります。それが画像1枚目。ステージを回転させてシャーに対して平行にスリット構造を配置すると,2本のビームによる光路差がなくなってしまうのでスリットは薄く消えかかった像になってしまいます。点紋列の像もX軸方向のみ高い解像になっています。スリットや点紋列を適性に解像するためにステージを回転させて約45度の配置にしたのが画像3枚目と4枚目。スリットと点紋列が同時に適切なコントラストで撮像されています。

本ページで珪藻が斜めだったり横倒しだったりいろんな構図で写っているのは単に表現上の問題だけでなく,DICや偏斜照明による解像の方向性までも加味しているのです。技量の高い方々には当たり前のことですが,最近はメーカーさんも微分干渉顕微鏡に回転ステージをつけないという暴挙?を行っている例も散見されるので,ここであらためて記事にしてみた次第です。ぎりぎりの解像を狙うにはいろんなパラメータを制御できないといけないのです。

DL-TESTなどでフリッケアをお持ちの方はきょうの画像を参考にして真似してみるのもよいかもしれません。スリット構造のある表面にピントを合わせる技量,各種の構造に対して最適なコントラストを与える技量,いろんなことがチェックできるかと思います(画像/MWS)。








2022年2月10日




きょうの画像も検査板にのっているシリーズでフリッケア(Frickea lewisiana)。この種は幻の珪藻…とまでは言われないかもしれませんが見たことのある人は少ないです。当サービスが開業した頃,googleさんにフリッケアと聞いてみてもまったくヒットしませんでした。今ではすこしは出てきますが,それでもすこしだけです。この珪藻のエレガントな姿を掲載しているサイトは本ページが筆頭かもしれません。

この珪藻は干潟種です。ので,干潟を探さないと入手できません。おそらく世界的に分布しているのだろうとは思いますが,干潟の,それも人が近づきがたいようなところに生息している可能性があり,まとまった群体が見つけられないのかと想像しています。筆者の経験では,東京湾(荒川河口),有明海沿岸(熊本県)で少数のフリッケアを見つけていますが被殻の状態などからみて,どこからか流されてきたもののように思えました。

現在使用している試料は南国のマングローブ林から採集されたものでフリッケアの群集をとらえた希有なものでした。干潟のサンプルというのは経験者ならわかりますが,泥だらけで,微少な鉱物が大量に入ってきて,これに雲母が加わってそこいらへんに貼り付き,本当にやってられないものなのです。でも,この南国のサンプルを処理して顕微鏡で覗いたとき,あまりの驚きにぶっ飛びました。うまいたとえが思いつきませんが,裏の畑でポチが鳴いて正直ジイサンが掘ったらば大判小判がざっくざく,そんな感じかもしれません。

そんないきさつがあって,フリッケアは現在は安定供給の時代が続いています。でもいつかはなくなりますので,これは仕方のないところです。数量限定なので散布スライドには使えません。Jシリーズと検査板限定での販売ですが,SEM用,TEM用に欲しいというリクエストには対応を検討します。ただこの場合でも乾燥被殻で一個単位の提供となります。それほど貴重なのです。

フリッケアには適度な微細構造があり,また長軸に直行するスリット構造もあるので,単に解像限界を追求するだけでなく,たとえば偏斜照明や微分干渉法の解像の方向性を調べたりする用途にも適しています。個人的には,フリッケア,フルスツリア,アンフィプレウラといった格子構造が整然とした種は検鏡していてある種の爽快感があるような気がしています。眺めていて安らぐ感じがします(画像/MWS)。








2022年2月9日




きょうの画像は検査板にのっているピンヌラリア。「おいっ,数日前にもピンヌラリアをのせたばかりだろ!」という読者の声は,たぶん聞こえてこないでしょう。同じピンヌラリア属でも,種が違いますし,見た目にも形態が全然違います。

ピンヌラリアは複雑怪奇な分類群でたくさんの種が含まれます。その一端は こちら のサイトでも確認できますが画像で記録されているものはわずかです。有名なのはきょうの画像のような大きな典型的なものなのですが,うんと小さな種もいて,サイズの感覚で判断するととんでもないことになります。巨大なピンヌラリアの横に超小型のピンヌラリアを並べたら,茶碗の横に豆粒を置いたような感じかもしれません。

きょうの画像のピンヌラリアはたぶん,いちばん目につきやすい感じの種です。わかりやすさがある感じです。歴史ある池や沼の泥の上でよく見つかりますが,意外なところでは個人宅の金魚池やメダカを買っている瓶のなかからも見つかったりもします。この珪藻が滑走する様子はなかなか面白く,なんとなくバスが走っている感じもあって,ピンヌラリアがすれ違うとバスを思い出してしまったりします(画像/MWS)。








2022年2月8日




きょうの画像は検査板にのっているライレラ。「おいっ,数日前にもライレラをのせたばかりだろ!」という読者の声が聞こえてくるような気がしますが,きょうの画像のライレラは数日前のものとは違う被殻なのです。。どこで採集しても,国内だろうが国外だろうが,同じ種なら同じものにみえてしまいます。まるで工業製品のようですが,そこが珪藻の面白いところです。

「同じものに見える」と書きましたが,たとえば,この珪藻にある縞模様のピッチ,つぶつぶの間隔,これも顕微鏡レベルでぴったり一緒です。特に海の珪藻では形態がよく揃っているように感じます。そんなわけで,いろんなライレラを撮影しても同じものに見えてしまうので,本ページの話題としては使いづらいことになります…。

このライレラ君,海の珪藻ですが見つけるだけならそんなに難しくありません。海岸を歩いて磯の場所を探し,干潮時にできる潮だまりで岩に付着しているものを歯ブラシ採取などすれば,少数ならとれることが多いでしょう。場所が悪ければ空振りのこともありますが…。海底が砂利のようなところで,砂利に付着している珪藻を採取しても結構見つかることもあります。

ライレラは驚く大きさのものから,なんだよコレと思う小さなサイズまでいろんな大きさがありますが,大きなものは滅多にお目にかかれません。探し方が悪いのか,季節の問題なのか,よくわかりません。ちいさなものは毛先で拾っていても並べていても毛先に負けそうなサイズです。微細構造の撮影用には小さな方がいいのですが取り扱いは大きな方がいいのです。久々にライレラの調達にどこかにいきましょうかね(画像/MWS)。








2022年2月7日




この珪藻も古くからテストプレートに使われてきたもの。Gyrosigma balticumと呼ばれる種で干潟の泥の上にいる珪藻です。19世紀頃なら,世界のどこでも干潟があってこの珪藻を採取するのは容易だったでしょうね。身近なところの種を使っただろうことは想像できます。

しかし現在これを日本で真似しようと思うと,まず干潟そのものが絶滅寸前なのです。歴史的に見れば国家事業的に干潟は無価値なものとされてきた疑いがあり,日本各地の干潟が埋め立てられ,工業地帯や農地に改変されていきました。東京湾など世界に冠たる干潟の宝庫だったはずですが今ではカミソリ護岸の海となっており干潟など探すのが大変なほどです。

この珪藻はツリーを制作するときに使うので数が必要なのです。一枚のツリー制作で10個以上を消費するので,ツリーを20個作ると200の被殻が必要になります。他に検査板にも必ず入れているので,とにかく数が欲しいのです。でも,関東沿岸で大量確保はなかなか難しい課題です。現在は関東沿岸の試料に加えて,南の海のマングローブ林のサンプルを使ってこの珪藻を確保しています。

南の海のサンプルは筆者の顕微鏡講義を受講した大学院生がその後に研究者になり,研究活動の一環で南に出向いたときにとったサンプルを恵与頂いたものです。これがびっくりする中身のサンプルで,珪藻の一粒も無駄にはできないと何年もかけて拾い出しをしています(画像/MWS)。








2022年2月6日




ではどんな珪藻ならば比較的簡単に見つかるかと言えばピンヌラリアでしょうか。きょうの画像の珪藻です。淡水産で池や沼の泥の上でよく見つかります。河口域の干潟の泥などにもたくさん入っていることもあります。ので,見つけるのはそんなに困難ではないように思います。うまくいけばほんの少量のサンプリングでピンヌラリアがざくざくということもあります。

ただ問題は,ピンヌラリアといっても多くの種があり単一種を多量に得ようとするとそんなに簡単ではないこともあります。とても小さな種もいますが拾い出しが困難な領域です。また泥の上で生活しているらしくサンプルは泥そのものですので,処理を施してきれいな被殻を得るのはやはり簡単ではありません。鉱物まみれになりやすいのです。

このように書いていると,よくこんな面倒なことをやってきたなーと思います。実際マジ面倒なのです。でも気分が乗って作業ができるときにはただ淡々と手を動かしているだけですし,処理が完了したら「珪藻の山」というご褒美が待っているわけなので,おそろしく手間はかかっているのだけれどもそれを意識していない時間があります。そうでなければ,とてもやってらんないくらいちまちまとした面倒な作業であることは確かです。

こういった繊細な作業をしていて,「うわーっもういやだー!! となって珪藻をひっくり返したくなることありませんか?」とこれまで何人もの方々に聞かれました。そのくらい面倒に感じられる仕事であるわけです。

それに対する筆者のこたえは,「もし,ひっくり返すことで十分な何かのメリットがあるのでしたらひっくり返すでしょうね」「でも,そのメリットを思いついたことは一度もありませんね」というものです。一般人と職人の間の感覚の違いがこのやりとりに内包されているかもしれません…(画像/MWS)。








2022年2月5日




テストプレートとして利用される珪藻種を顕微鏡光学の観点から見れば特に決まりはありません。求められる微細構造(空間周波数)があり,あまり複雑でない立体構造であればいいのです。にもかかわらず特定の珪藻が利用されています。ギロシグマ,ライレラ,スリレラ(旧分類),ニッチア,スタウロネイス,プレウロシグマ,フルスツリア,アンフィプレウラがその代表的なものです。J.D.メラーが選んだ伝統が受け継がれていることと,顕微鏡対物レンズのNAが0.1,0.25,0.4,0.65,1.25といった飛び飛びの値を持っていることが原因としてあげられるでしょう。

しかしこれらの原因も本質的なものではありません。ほかの珪藻でもじゅうぶん役目を果たすものがいくらでもいます。入手のしやすさから言っても,ギロシグマ,スリレラ,ニッチア,プレウロシグマ,アンフィプレウラはそんなにやすやすと手に入るものでもありません。単にJ.D.メラーがたくさん持っていただけかもしれません。対物レンズのNAは確かに飛び飛びですが,照明波長を変えれば解像限界は変わりますし,解像限界は照明法でも変化します。特定の珪藻が必要な根拠にはなりません。

そんなわけで当サービスのテストプレートは筆者が適当と考える珪藻を並べています。使いやすい珪藻はほかにもいろいろありますし,検鏡法によっても必要とされる珪藻は変化します。最近のプレートでは,ギロシグマ,ニッチア,プレウロシグマ(通常よりも繊細な種),アルディッソニア,クリマコスフェニア,スタウロネイス,フリッケア,ライレラ,ディディモスフェニア,ピンヌラリア,キンベラ・ジャニスキー,キンベラ2,メロシラ・バリアンスを並べています。

この組合せは結構強力で,低NAから油浸領域まで幅広く対応できる上に,落射照明や透過暗視野の超高NA照明など,各種の検鏡法の解像限界にも対応しています。メロシラ・バリアンス表面には無数の小さな孔がありますがこれは波動光学を意識しない一般検鏡では見えないものなので,先端的な技術を目指す方々にも利用できる物体です。

あの小さな検査板にはそんな想いが込められているのですが,それでも,伝統的な種類がいくつも入っています。ギロシグマ,ライレラ,ニッチア,スタウロネイス,プレウロシグマです。これらの種がなくても同様の検査板は成立しますが,やはり伝統というものを無視してはいけません。伝統は,「みてみたい」を生み出しますので,それを裏切ってはいけないのです。かつて日本を代表する光学企業さんから制作を依頼されたとき,「種類はこだわらないが,十字の模様があるやつ,あれだけは入れてくれ」といわれたことがあります。スタウロネイス(ジュウジケイソウ)のことです。そのひとことが筆者には重く,以後の判断基準になっています。

きょうの画像はライレラ。この珪藻もテストプレートとして150年以上の歴史があるかと思います。ので,仕方なく集めるのですが,そんなに簡単ではありません。浅い海底の石ころの上などにいるのですが,まとまった量をとるのが面倒なのです。一度のサンプリングで数千はとりたいのですが,じっさいは数百といったところです。そんな数ではすぐになくなってしまいますので,地道に集めてストックするしかないのです。

これを見た賢い人は,培養した方が早いのでは?と思うかもしれません。しかし専門の会社に分離培養を頼んで運良くそれが可能になったとしても,一株で50万円の費用として,当室が扱う200種以上を達成するには一億円の費用が必要です。筆者にとっては,一億円を調達するよりも,地道にこつこつと活動して200種を得た方が早いし実現可能性が高いです(笑)。珪藻を並べる仕事はどこまでも現実主義で手先を動かすしかないのです(画像/MWS)。








2022年2月4日




このところ供給している検査板は珪藻13種を並べています。それなりの注文があって品質を保ちつつ制作していますがこれはなかなか大変なことなのです。たとえば,一年で30枚の発注があったとしましょう。その注文に応えるには,13種類の珪藻の被殻が30個,在庫がなくてはならないのです。実際には品質管理の観点から,その倍の被殻をストックしないとダメなのです。

そんな非合理な仕事が存続できるはずはなく世の中から消えていったわけですが,たまには変人が現れて苦もなくそんな仕事をしていたりします。筆者もその「変人」の一人なのかもしれません。。中学生の頃から変人扱いは慣れているので,まあいいや(画像/MWS)。








2022年2月3日




なにか顕微鏡で見る物体をプレパラートに仕立てる職業(職人)をマウンター(マウントする人)というのですが,筆者はマウンターとして暮らして十数年になります。この仕事は案外古いもので19世紀には存在していたようです。そして珪藻を並べるような特殊なマウンターも現在までに数えられるほどの人数がいたようです。その一端は こちら の有名なサイトで確認できます。明らかに,歴史的にみれば筆者など先人たちの最後尾から垂れる蜘蛛の糸を掴んであがいているような存在です。

職人というのは技術をぺらぺら喋ったりしないものです。そもそも喋って伝えても伝わるかもわからない技術というものもあります。珪藻を並べる職人たちは,多くの人が自分で考案した技術で制作しているようです。そしてその方法は他人に明かしたりしません。世界最高峰の技術を持っていたと言われるメラーさんも,現代の神様と思われているケンプさんも,独自の秘法で制作しています。

もちろん筆者も独自考案の方法で制作を続けています。過去の制作者たちのものを見てみると,「珪藻を並べる」「デザインに凝る」というところに主眼が置かれているように感じられます。もちろんこれは珪藻並べの最重要な項目です。そしてそれを極めているように思えます。筆者が珪藻を並べてみて気がついたことは,「宇宙」です。

珪藻を並べるという作業は,完全にきれいなカバーガラスと,完全にきれいな接着剤,完全にきれいな封入剤,完全にきれいなスライドグラスが揃うと,何も見えない空間に珪藻を配置するということになるのです。何も見えない空間に珪藻が置いてあれば,暗視野でみればそれは宇宙に存在しているように見えるのです。

そう感じていた頃に,ニコンさんの品質管理部門から検査板の特注品依頼があり,とにかくバックがきれいなテストプレートが欲しいとの注文を受けました。十数年前のことです。筆者にとって「ニコン」は特別な存在ですので,完璧にバックがきれいになるような製品づくりに取り組みました。それまでも充分ハイレベルなものを制作していましたが,「ニコン」のひとことに筆者は,「これは究極のものを作らないといけない」と「勘違い」してしまったのです。

それからの耐久試験の時間はけっこう凄まじいものでした。大量のスライドグラスや封入剤,カバーガラス,研磨剤,あらゆるものをテストして背景光が最小になるようなものを目指しました。封入剤の精製法を発見し,使えるガラスを見つけて,ガラスの欠陥を取り除く方法を開発してと,短期間に膨大な作業を行いました。幸いなことに,当時は知名度も少なく,仕事も暇だったので開発作業に没頭できたのです。

この経験でステップアップしたJシリーズが現在の超高品質のもととなっています。もともと究極を追求する性質の筆者の仕事なのでいつかはこのレベルに到達したのかもしれませんが,「ニコン」さんの発注でレベルが急速にアップしたことは間違いないです。ユーザーさんの真にプロフェッショナルな観点からの注文が職人を育てるのです。筆者は「ニコン」に育てられたのです。中学生の頃にニコンのカメラで写真の楽しさを覚えて,大学院の頃にニコンの顕微鏡で顕微鏡光学の勉強をはじめて,中年オッサンになってニコン顕微鏡の品質管理部門さんにテストプレートの仕様をご教示いただいたのです。ほんと頭があがりません。

それにしてもニコンさんは素晴らしいですね。開業まもなくの個人事業主にいきなり電話してきて検査板を作ってくれと注文できる。それは現場で現状に不満を感じていたからで,つねに現場を改善したいと考えなければそんなことはしないでしょう。本当に感心します。同じように行動の早い企業は「キーエンス」ですね。開業まもなくの頃からのお付き合いです。いろいろと厳しい仕様の製品開発依頼もお受けしておりますが,その内容が顕微鏡光学的にまったく理にかなったもので,そんな注文はぜひとも実現したく腕が鳴りますね。

きょうの画像はそんな話題と関係のある,最近つくったもの。背景が驚異的にきれいなのは,十数年前のニコンさんのアドバイスもあっての成果といってもおかしくありません。いつも「宇宙」を目指してるからです。これだけは,そこいらへんの珪藻並べの方々とは「違いがある」部分かもしれません(画像/MWS)。








2022年2月2日








すこし前に発見した貴重な標本の持ち主さんは,何人かのご協力もあって,無事に標本の保護をして下さり,顕微鏡観察も進行しているようです(こちら)。筆者にとってはこれ以上ない嬉しい展開で,ぜひともこの貴重な標本を末永く大切にして欲しいと思います。

この標本の制作者であるJ.D.メラーさんは珪藻並べ界隈でも飛び抜けた存在です。19世紀半ばにトップを独走して未だに誰も追いつけない,そんな感じの偉人です。彼がそんな業績を残せたのはもちろん彼自身の類い希なる才能によることは間違いありません。これに加えて時代背景も大きいのです。当時は珪藻学が発展の最中で,その時代の最先端の珪藻学者がこぞってメラーに最良のサンプルを提供していたようなのです。珪藻並べには何をさておいてもよい材料が必要なので,近隣諸国から最良のサンプルが舞い込んだメラーは幸せだったとも思います。

そのサンプルたちの一端が,極東の島国である日本まで届いて,セットが温存されているというのは奇跡的なことです。メラーはこれらのサンプルを散布スライドにして販売すると同時に,状態のよいものは珪藻並べに使ったに違いありません。じつに興味深い標本と言わざるを得ません。

きょうの画像はそんな話題とすこし関係あるかもしれない淡水珪藻。この子はなぜか核染色をして蛍光顕微鏡で見ると核が丸くないのです。珪藻では多くの種で丸か楕円といった感じに写るのですが,この種は膨らんだ棒状,サツマイモみたいな形,という感じでしょうか。なぜこんな格好をしているのかわかりませんが,珪藻類の多様性を思い知らされる気分です(画像/MWS)。








2022年2月1日






しらすを酢飯の上にのせて海苔をかけてしらす丼にして食事を済ませることがたまにあります。これが結構中毒性のある味わいで中年太りを警戒しなければならない中年オッサンにはおかわり禁止です(笑)。このしらすの中に,どうみてもカタクチイワシには見えないけれども,なんだかわからない稚魚が入っていて,むかしから気になっていました。お腹に黒いつぶつぶがあるのです。

そんな疑問を一挙に解決する驚異的な本がきょうの画像2枚目です。これはとにかく驚異的な仕事としかいいようのないもので,恐るべき執念でまとめられた大量の写真と添えられたスケッチにより,しらす干しに入っている不明な生物をただちに照合できるようになっています。この本をぱらぱらと見慣れておけば,しらすを食べながら何種類の魚を食べたかがわかるようになるかもしれません(笑)。

ちなみに,筆者が気になっていた魚は,「エソ」の仲間であろうということになりました。子どもの頃から40年以上も疑問に思ってきたことがこの本を手に取ったことで一気に氷解です。とにかく素晴らしい本ですので,しらすを食べるご家庭にはぜひ一冊取りそろえたいところです。各家庭にこんな本が一冊転がっているだけで,想像できないほど理科教育上の好影響があるのだろうと思うほどです。amazonさんは こちら です(画像/MWS)。









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