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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
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【今月にもどる】
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2022年3月31日
おい,今月はありきたりな記事ばかりでレンズの話がなさ過ぎるだろ! という読者の方々がおられることは想定しています。ので,今月最後はレンズの画像。手元に第一面の平面平行ガラスが欠損した多重液浸対物レンズがあるのですが,これの修理を行いました。有限系のZEISSのPlan-neofluar対物レンズですが,顕微鏡対物レンズのハイエンドといっても過言でない尖ったスペックのレンズです。
できれば分解修理をしたかったのですが,なぜか分解アプローチ部分に特殊な接着剤が塗られており,ひょっとしたら素人分解の修理品みたいな感じがしました。この部分を分解すると途方もない手間になる上にリスクもあるので分解は見合わせて,先端部分の修理に取りかかることにしました。平面平行ガラスは本来,両面,多層膜コーティング品を使うべきですが当室には真空蒸着の設備はないので,ホウケイ酸ガラスを切り出してそのまま貼り付けることにしました。
ガラスの切出しは±0.02mmの精度が必要なので簡単ではありませんし円形に切らないといけないので試行錯誤が必要です。手持ちのガラスカッターは0.01mmくらいの精度でスコアーを調整できるので何とか切り出すことはできました。まあ,このように一行で書くことができるほど簡単ではありませんでしたが。。特にスコアーを入れてもそのあとの切り抜きに技術がいるのです。直径4mmφの薄板ガラスを切り抜く,といえばガラス屋さんには難易度がわかってもらえるかもしれません。
ガラスを切り抜いてもただガラスがあるだけです。このガラスを完璧に清拭するにはどうしたらいいのでしょう。考えることは山ほどあります。きれいにふけたとしても,ではどうやってガラスを固定すればいいでしょう。しかも水浸・グリセリン・油浸対物なので耐水性,耐油性が求められます。パテを使う?接着剤? 油浸の拭き取りのときはどうするの? 固定方法が決まってもどうやるの? 「のりしろ」は0.1mmもありません。どうやってくっつけるの?
本体の清拭もたいへんです。分解せずに拭くので各種の厚さのこよりを用意して攻めていくのです。今回は完璧には拭けなかったような気がしています。実用的には十分な拭きですが。
こうしていろんな技術と経験を投入して平面平行ガラスが装着され,対物レンズは「液浸」できる姿に生まれ変わりました。テストはまだですが,もしダメだったらこの作業はエンバーミングですね…。それも大事なことです。何しろ天下のツアイス多重液浸対物レンズですから。このレンズ,状態のよいものなら素晴らしい見え味なんです。ピント平面は同業他社と変わらないかもしれませんがZ軸方向で何かが違うのです。
ということで,修復作業が終わったレンズを撮影。画像だけ見れば今にでも素晴らしい像を結びそうなレンズに見えます。レンズのデザインも素晴らしいと思います。
この多重液浸対物レンズは,水浸,グリセリン浸,油浸が可能になっていて,そのための球面収差をキャンセルするための補正環があります。画像3,4枚目を見ると,W,Glyc,Oilの文字が見えて記号が書いてあります。2年ほど前に,当サービスの技術研修員の方から,「この記号の意味は何ですか」と聞かれて,とっさには答えられませんでした。説明書も読んだことがないのです。
しかし今ならわかります。記号をよく見るとわかるのですが,水浸では,カバーガラス水浸,デッピング水浸の両方が可能です。グリセリンでもカバーガラスあり,ディッピングの両方が可能。オイルでは均質液浸なのでもとより両方が可能。そう読める記号ですよね。実際に水浸でカバーガラスあり,ディッピングの両方を試しましたが両方とも問題ありませんでした。作動距離は短いものの,このレンズはサンプルにドボンできるのです。補正環の強みを活かした素晴らしい設計です。
この設計が理解できたからこそ今回の修理があります。先端ガラスのデータもないのに勝手に貼り替えて見えなくなるだろ,と普通は思うのですが,この広範囲の補正環があるために平面平行ガラスによる球面収差は補正可能なはずなのです。補正範囲の両端では場合によってはダメかもしれませんが,中間部分のグリセリン浸液の部分なら充分使えるはずです。そういった見込みがあれば修理も可能というものです。
それにしても,どういうわけか,ZEISS Plan-neofluarの多重液浸対物レンズの故障品とは縁があります。これで修理は3個目です。一個目は25xの明視野・蛍光用。二個目は40xの明視野・蛍光用,今回は位相差,蛍光位相差用でした。デリケートなレンズなので故障しやすいというのはあるだろうと思います。故障内容はいずれも第一面の平面平行ガラスに関するものでした。最初の二つは修理できましたが,今回はどうかなー。結果は一週間後にわかるだろうと思います(画像/MWS)。
2022年3月30日
29日はカミさんが平日休める唯一の日だったので桜の名所に出向きました。満開のときは例年,大変混雑するのですが今年はとても空いていてゆっくりと桜を眺めることができました。画像一枚目は雑木林の中に一本だけ咲いている品種不明の桜で,高さは20m近くあるでしょうか。誰も入ってこない場所ではるか頭上なので誰にも見てもらえない桜ですが,この名所ではいちばん鮮やかで華やかに見えました。遠いので810mm望遠レンズで撮影しました(画像/MWS)。
2022年3月29日
まいとし恒例の夜桜さんぽ@文京区内。都内はただいま満開です(画像/MWS)。
2022年3月28日
へってきているのは珪藻在庫の一部だけでなく放散虫在庫も同様です。在庫自体は大量にあるのですが種別に見ると希少な特定の種からなくなっていくのです。そして目が肥えると希少な種も持っていないと満足できなくなり,えんえんと試料をつっついて希少な種を確保しようとします。しかしそれにも限界があります。一山から数個くらいしか出てこない種は,わずか数枚のスライド製作でなくなります。追いつかないのです。
ならばと,希少種は一個体で数万円にしようかとも思うのですが,希少種とはあくまでも筆者の手持ちで希少ということであって,どこかにはざくざく眠っているかもしれないのです。学問的な希少種とは全てが重なるわけではありません。となると価格で解決できるものでもなさそうです。
このへんの事情は放散虫でも珪藻でも同じようで,だからこそ,過去100年以上の標本製作家たちはみんな,バルバドスの化石試料やオアマルの化石試料を好んで使ったのでしょう。少量の化石から多様な種が得られるので,種別のストックを作る労力を節約できるのです。
当サービスはそこんところを一歩進めて,化石種ももちろん使いますが,現生種を多用することで過去にないものを作るように努力しています。現生種は殻の薄いものが多く,処理も拾い上げもたいへんですが,過去の人たちと同じものを作っていても仕方がないので,当サービスの個性が出るようなものを作るようにと思っています(画像/MWS)。
2022年3月27日
くまモンが膨大な試行錯誤を経て誰からも愛されるデザインにチューニングされている話を紹介しましたが,その話を読んだときにピンと来たことがあります。それがきょうの画像のこと。お顔のデザインを作っていると,パーツの角度が1度とか2度とか傾いたり,距離をほんのわずかいじったりすると表情が全然違うものになってしまうのです。それでバランスがとれるようにパーツの間隔や角度を何度もいじってようやく見られるものになるのです。これはくまモンの試行錯誤をやっているのとそんなに変わらない気がします。その意味では「お顔」デザインはパーツ数も少なく単純なものに見えますが,作るのは飛び抜けて難しいものです。最近はパーツもなくなり,サンプリングからやり直さないといけない感じです(画像/MWS)。
2022年3月26日
すっきりみえる顕微鏡画像を作るには背景のノイズをいかに抑えるのかが重要です。これは経験を積まないとわからない問題でもあるので厄介です。きょうの画像一枚目は,放散虫を位相差で撮影してみたもの。筆者は1枚撮影して違和感感じました。ノイズが出るはずのないところに影がでていることに気づいたからです。
すぐに原因究明して,縮小リレーレンズの上にホコリがのっていることが原因と判別できました(見た瞬間にわかります)。すぐにブロワーをして組み直して撮影したのがきょうの画像二枚目。気になる影は消えています。このように,起きている現象をただちに読み取って対応する技量が身につけば,すっきりみえる画像を得られる機会も増えます。
画像の対象はバルバドスの放散虫化石のなかにはいっていたもの。「土星」の名がついている放散虫ですが,残念ながら「輪」が破損しているので土星ではなくなっています。壊れたパーツをばらけないように慎重に組んでなんとか原型を保ちました…(画像/MWS)。
2022年3月25日
いいたいこと,書きたいことはいくらでもあるのに,画像がなくて,時間もなくて,本ページで情報提供がうまいかない日が一年に何回かあります。きょうがそんな感じなのかもしれません。そういうときには,可愛いケロケロさんに助けてもらって急場をしのぐことにします。ケロケロ(画像/MWS)。
2022年3月24日
くまモン関連商品の売り上げが一兆円を超えたとの発表が熊本県からありました。くまモン大好きな筆者には喜ばしい報道でもあります。当室に起こし頂いた方々ならおわかりと思いますが,くまモンが玄関でお出迎えしてくれて,室内にもくまモンシールがあちこちに存在しているのです。それだけでなく,無暖房生活を続けている筆者はうんと寒い日には,くまモン・ネックピローを被って寝ているのです(笑)。
さて,なぜくまモンがこれほどまでにみんなに愛されているのか。これには理由があるのです。デザインの勝利なのです。猫がキュウリを見て飛び上がるように(こちら),人間もよいもの悪いものを瞬時に見分けることができます。見た瞬間に好印象を与えるデザインが確立できれば勝利は約束されています。そしてそれを実現できた希少な例がくまモンなのです。
こちら をご覧頂ければ納得いただけるかと思います。
でも,最後のチューニング作業は些細なことです。くまモンのベースとなるデザインを発案できたデザイナーさんが恐るべき慧眼というべきですね。そのベースの上にくまモンが成り立っているわけですので。
加えていえば,人間の表情はコンマ何ミリかの微妙な視覚的バランスの上に成り立っています。聞くところによれば,好印象の表情を作るために鏡を前に表情の作り方をえんえんとトレーニングしておられる方々も(世界的に)多いそうです。筆者は顔面の筋肉の使い方がまったく分からないので周囲の人間によれば楽しいときもつまらない顔をしているらしいですが,トレーニングを積んだ方々なら,楽しいときに楽しい顔になるんだそうです。筆者には理解不能。わはは(画像/MWS)。
2022年3月23日
22日は『まん延防止』が明けた日。都内のPCR陽性者は数千人規模で陽性率は30%ともいわれる中での解除です。死者数も高いレベルのまま。現状での感染拡大は保育園,小学校,介護施設などですので,飲食業を狙い撃ちにした『まん延防止』に意味がなかったといえばそれまでですが,ならばなぜ,保育園,小学校,介護施設等に関して適切な介入をしなかったのか謎です。
新型コロナが国内に入って二年以上が経過したのに,無症状者は民間の検査が受けられるのに,発熱患者の検査は要予約でなかなか受けられず,感染してもほぼ治療・入院は無理で自宅療養。濃厚接触者の追跡はやめて,さらに濃厚接触者の自宅待機も求めない方針のようです。
最初からあまり大したことはできずに,しかし国民が優秀なので欧米のような感染拡大にはならないのをよいことに,政府は感染対策を放棄して国民に丸投げしたようです。
仕組みさえ作ればできたことはいろいろあったと思うのですが,なぜか政府は保健所経由の管理に固執して,検査一つでさえも改善しようとしていないように見えます。民間のPCR検査のキャパシティーは20万件/日くらいあると言われているので,保健所経由とあわせて25〜30万件の検査が可能なはずです。仕組みを変えれば,発熱患者も予約という負担なしにすぐに検査してその後の方針を決めるということができるのに,なぜかそういったことはやらない。
そして自治体の『品質』によって生命が左右されるようなことにもなっています。新型コロナによる死亡率が高いのは関西方面で,大阪,京都がよくない数字をはき出しているように見えます。自治体の緊縮財政とかそんなくだらない『思想』によって受けられる治療も受けられないとすれば,こんなにくだらない話もありません。
さて,陽性率30%(つまり検査不足)での対策放棄,吉と出るか凶と出るか。現時点で国民の約5%が新型コロナのPCR陽性者になっています。諸外国の中でも少ない方です。優秀な国民の努力で感染拡大が食い止められるか,対策放棄とその先のGoToで再び「火だね」が全国に散らばり延々と感染拡大が続くのか。どうなるんでしょうね(画像/MWS)。
2022年3月22日
ときどき思いついたように掲載される対物レンズ画像。なぜこんな画像が掲載されるのか,おそらく一般の方々には理解が難しいかもしれません。そのような方は次のような想像をしてみてください。鉄道マニアの方々は,鉄道車両をいつまでも見ていられます。それと似ていて,写真機材マニアの方々は,カメラレンズやレンズ構成図などをいつまでも眺めていられます。そして顕微鏡病にかかってしまった患者さんは,顕微鏡が鑑賞対象になってしまうのです。。この病気の治療法はほとんどなく,だんだんと重症化します。重症になると対物レンズを眺めないとセロトニンが出にくくなったりします(笑)。もはや対物レンズが精神安定剤になっているのです。本ページの読者も,なんとなく心当たりがあるのでは? と密かに思ったりもしています(画像/MWS)。
2022年3月21日
20日は突然,八王子方面からのらぼうが入荷。もうだいぶ伸びている。たっぷりのお湯で4分ほどゆがいて初物をいただく。茎が甘くてじつに美味です。そして同じタイミングで近所のスーパー「しまだや」から富山湾産の最上級ホタルイカが入荷。「しまだや」はここ数年,ホタルイカは富山湾産を仕入れていますが,品質良好なのに,他のスーパーの同等品よりもなぜか低価格という設定です。ぷっくりとしたホタルイカにのらぼうの組合せはこれこそ春の訪れという感じで,顕微鏡デスクから半径5mの範囲で暮らしている筆者にもついに春が訪れたのです。みなさん,「のらぼう」の時期ですよ。わずか一ヶ月くらいの短い期間の季節ものです。あきる野市,五日市方面,八王子西部で入手できます。急げ急げ(画像/MWS)。
2022年3月20日
せんじつ本ページでご案内いたしました珪藻に関する企画展が無事にはじまりました(こちら)。期間中,いろいろなイベントが用意されていてどれも面白そうです。川のことが学べる博物館で珪藻のことも見聞きできるのは素晴らしい機会です。皆様ぜひこの企画展を覗いてみてください(画像/MWS)。
2022年3月19日
3月19〜21日の間,新幹線の不通区間に臨時快速列車が設定されることになりました(こちら と こちら)。那須塩原←→仙台と仙台←→盛岡です。本数は少ないですが接続をとってあり,東京と仙台,盛岡が効率的に移動可能となります。
このような臨時列車は気づかれないことが多く,必要な人に情報を回す仕組みがあればと思います。ぜひ,東北方面の移動で困っている人にこの情報を教えてあげて下さい。
18きっぷのシーズンですので,乗り鉄の方々がたくさん押し寄せるでしょう。新幹線開業で分断されて不便になった在来線区間に長距離移動できる快速列車が設定され,数日前よりも遙かに効率よく移動できるわけですからこれはある意味当然です。乗り鉄の人もビジネスの人も同じ乗客ですので仲良く乗車しましょう。
このようなときには,乗り鉄は邪魔だから来るな論争が必ず起きますが,筆者は乗り鉄も乗客の一人であって排除する必要はないと考えています。そもそも運行事業者が排除していません。若くてカネのないときでも,18きっぷを握りしめて鉄道で遠くに行く,貴重な体験じゃないですか。新型コロナでいろいろな自粛を求められてきた生徒さん,学生さんが春休みに(感染対策を施した上で)はねを伸ばしても何ら問題はありません。
すでにSNS上ではこの臨時快速列車(救済臨)の話題でいっぱいです。積み残しが出るほどになるかはわかりませんが,乗車率によってはJRとしても対策を考える必要が出てくるだろうと思います。せっかく設定された臨時列車が空気輸送になるよりは,たくさんの人を運んで賑わった方がよいでしょう。一人でも多くの方に周知されますように。
きょうの画像はキハ100系。仙台-盛岡の間で運行される快速はキハ110系の2連だそうです。どこにでも入線できてフレキシブルな運用が可能ですね。那須塩原-仙台で運行される車両はE653系と伝えられています。特急車両使用の快速列車となるわけで,とても快適に移動できそうです(画像/MWS)。
2022年3月18日
この二年,カミさんの職場では新型コロナの発症者が断続的に出ています。最初は2020年の3月終わり頃,2022年の3月でもまだ発熱患者がいるのだから困ります。夫婦共倒れはまずいので周囲の感染者の状況を見ながら,カミさんを無症状感染者と仮定して家庭内隔離を行うことになります。同じ部屋で寝ると空中浮遊物経由の感染確率が高まりますので別々に寝るしかありません。筆者は顕微鏡デスクの下に寝袋を重ねて布団代わりにして寝ています。
ホコリの発生が増えて仕事に大きな支障があるのですが,それ以上に問題なのが地震です。顕微鏡デスク(メイン)にはオプチフォトDICとSMZ800がのっています。顕微鏡デスク(サブ)には4台の重量級顕微鏡が載っていて,筆者はその横で寝ているのです。もし500ガルを超えるような大地震があれば,オプチフォト落射が筆者の頭蓋骨を粉砕し,CFI60の重量級顕微鏡が筆者の肺を挫滅させて心臓破裂を起こし,バイオフォトとダイアフォトが内臓破裂と複雑骨折を引き起こして即死でしょう。
そうなることはわかっているので,地震動の振幅と方向を予測してストッパーなどの対策をしてはありますが,中越地震や岩手・宮城内陸地震のような地震動が起きれば何の意味もありません。顕微鏡はデスクをジャンプして落下してくるでしょう。他方,カミさんが寝ている部屋も本棚が林立していてこれが直撃すれば軽傷では済まないでしょう。こちらも対策はしてありますが,大きな地震動があればひっくりかえります。
大きな地震は必ずいつかは起こるので,顕微鏡や本棚に潰される前に根本的な対策をしなければなりません。ずっとそう思っていたのですが,今月の13日に方針を決めて対策を施したのでした。本棚が倒れても生き残るように大きな座卓を常設すること。その上に重量級の顕微鏡を保管して,顕微鏡デスク上の顕微鏡群を減らすこと,顕微鏡デスクの顕微鏡は十分な振幅にも耐えられるマージンをとり,適切なストッパーを設置して人間側には落下しないようにすること,そんな感じの対策です。
これで顕微鏡が落ちてきて死ぬこともなくなったかも,と安心していたら,3日後に大きな地震がやってきたのでした。対策には明らかに意味があったことを認識できました。都心の狭い暮らしの中ではものを積み上げるのは普通です。できれば顕微鏡は全部床に置きたいくらいですがそんな贅沢は許されません。いろいろ知恵を絞って対策するしかありません(画像/MWS)。
2022年3月17日(2)
当室では初期微動の段階から関知して,強震モニタを見ていました。当初震度4,M6.0との表示で安心して見ていましたが,S波が到達すると様子がおかしいです。明らかに大地震の揺れかたです。強震モニタを信じても仕方がないので,画面を見つつも次の一手を考えていました。やがて大きめの揺れがおさまり一段落したかと思いました。するとまもなく次の初期微動のような揺れがやってきてひじょうに大きなS波が来ました。揺すられるような大きな揺れで危険なので顕微鏡デスクの実体顕微鏡を床に下ろして,珪藻在庫が落下しないように押さえました。かなりの震幅で棚などは大きく揺れて書籍類とカメラのフィルタセットがごっそり落下しました。
この間,強震モニタは最大震度を5弱に訂正しただけで,表示もリセットを繰り返し,何が起きているのかを理解するのには役立ちませんでした。
筆者の感覚では,M6規模かそれ以上の地震が数分以内に立て続けに2連続で起きたように感じています。現時点でのYahoo!での最大震度表示は6強となっています。23:34,23:36と連続して地震が起きたように見えます。納得いく表記です。仙台や塩竃周辺は相当ひどい揺れだったと想像します。被害が少しでも少なくなるよう祈念します。
追記:文京区方面で規模の大きな停電の模様。後楽園方面のビル群が消灯。当室周辺は文京区,豊島区とも影響なし。福島方面の発電所が緊急停止したため,管内での周波数低下が起きてUFRが作動したもよう。発電所の停止状況については こちら 。大規模停電防止のためのUFRシステムについては こちら に説明があります。
追記:今回の地震は前回の東北地震,その前の3.11に比較しても,局部的には大きなエネルギーだったと感じています。福島県沖のM7.3で当室がこれほど揺れることは経験にありません。揺れの方向によっては甚大な被害が発生していてもおかしくありません。たとえば こちら をごらん下さい。今回の揺れならばあり得ることです。ここの石積みは緻密で優れていたものですがこの現状です。明日以降,被害状況が明らかになるでしょうが,祈りたくなるような気持ちです(画像/MWS)。
2022年3月17日
やっと富山湾のホタルイカが入荷。解禁から二週間ちょっとです。兵庫県産のものと何もかも違う高品質です。同じ日本海を泳いでいてこれだけ品質が異なるのは不思議ですが,たぶんブランド化するための処理方法が大きい気がします。ホタルイカはやや強めの塩分でしっかり茹でた方がおいしいのです。が,出回っている兵庫県産は塩分もゆで加減もまちまちです。富山湾産のものはバラツキがすくなくいつでも同じ感じです。今年もあと10回は楽しみたいところです。
ところで新型コロナの状況ですが,相変わらずカミさんの職場では感染者が発生しており,3/16にも発症者が確定しています。カミさんはこの発症者と3/14に数時間接触しているので濃厚かどうかはさておき接触者であることは間違いありません。数日の経過観察を行い,無症状の場合も加味して10日程度の家庭内隔離を行わなくてはなりません。都内はこんな状況です。
感染者が減っているという報道もありますが,国が検査数そのものを通達を出して減らしているので,全国的に「感染者が大幅には増えることはない」仕組みになっています。陽性率は高止まりですし,検査拒否も相変わらずどこでも見られるので,実質は感染者数が減っているというよりは横ばい程度の感触です。実際に身近にも感染者が見られる状況が続いています。
感染の実態もよくわからない状況のままですから都民としても対応が難しいものがありますね。今後もずっとおとなしく引きこもっているしかなさそうです(画像/MWS)。
2022年3月16日
プランターのミツバの感じでは,やっと冬が終わったというところかな。このところ急に暖かくなって『のらぼう』のタイミングを見るのが難しくなっているのだけれども,今月下旬にはけっこう伸びた『のらぼう』が出荷されていそうな気がします。この2年,年中ひきこもりで暮らしてきた筆者でものらぼう探しには出かけるのです(画像/MWS)。
2022年3月15日
この2,3年,物忘れがひどくなった感じはまったくないのだけれども,ものを紛失することが増えた気がします。何でもなくすわけではなくて,なくなるものは決まったもの,LED,カメラのリング類です。なぜかこの2つが,どこかに行ってしまうのです。LEDは専用照明の自作のもので,各波長そろえてあります。日頃ふつうに使っているのに,ある日突然なくなります。どう考えても半径2m以内に存在していることは明らかなのですが発見に至りません。カメラのリングも日常使っているものが必要なときに限って出てきません。これも半径2m以内には存在しているはずですが…。
この特定のものが消えてなくなるメカニズムは何なんだろう。無意識の動作はほとんど行わないので,取り外したLEDもリングもそこいらへんにほっぽり投げたりはしていないはず。にも関わらず消えるのは,意識下の動作でも,そのときの短期記憶がなくなれば手がかりがなくなるのかもしれません。でも所定の場所にあれば短いステップで探し出せるはずです。どこをほじくっても出てこない場合は,ものの移動と短期記憶の消失が二重三重に起きた結果のようにも思えます。膨大なものに囲まれていると必要な部品を探し出すだけでえらい時間を浪費することがありますが,そのようなことを最小限にするにはどうしたらいいのでしょう? (画像/MWS)。
2022年3月14日
きのうは集合する話を書いたのだけれども,この人たちは用事が済めばさっさと帰って行きます。これもまた不思議です。遠くから来た人は遠くに帰るようで,水場とは反対方向を向き,じっと前方を眺めたかと思えばぴょんぴょんと跳ねて帰って行きます。たぶん縄張りのようなものがあるのだろうけれども,どうやって自分の居所まで帰るのか,あるいは適当に帰っているだけで毎年住所が変わるのか,個体識別して調べたくなりますね。近所の公園のカエルさんは毎年同じ場所にいたので,たぶんもとのところに戻るのだろうと思っています。きょうの画像は帰宅途中の人。これから住宅街を歩いてどこかの物陰にたどり着かねばなりません。晩秋からごはんも食べていないだろうに,生物というのはほんとうにたくましいなあと感心するのです(画像/MWS)。
2022年3月13日
なぜこの人たちはまったく同じタイミングで1つの水場を目指して歩くことができるのか本当にふしぎです。かなり遠くからも歩いてきているらしく,おそらく半径100〜200mくらいの範囲から集合しているようです。いったい何を感知して同じタイミングで現れるのか…,積算温度? 湿度? 鳴き声? 嗅覚? なになのでしょう。そしてアスファルトの舗装路を歩いてでも,正確に目的地にたどり着けるのもふしぎです。道路が舗装されようが,壁ができようが,目的地へのコースはこの人たちの頭の中には入っているのです。これ,「記憶」を頼りに歩いているのかしら。人間の1/15の体長とすれば,200m歩くのは人間なら2,3kmの道のりに匹敵するのです。そのコースを間違えない。
12日夜がそのタイミングとの連絡が入ったので,Nikon1J5を持って撮影に出向きました。1Nikkor 32mm F1.2に高演色LED照明を持参して舗装路を歩くヒキガエルさんをぱちり。適度に動かないこの人たちはじつに撮影しやすいです。姿からは想像もつかないほど穏やかで可愛らしいケロケロという鳴き声を聞きながら,この二年間引きこもりで生活している筆者にも自然の営みが感じられて心和む時間になったのでした(画像/MWS)。
2022年3月12日
きょうは特筆大書すべきアナウンスです。埼玉県立 川の博物館の春期企画展としまして,「珪藻(けいそう) -水の中の小さな住人-」が開催されます。詳細は こちら です。開催期間は3/19〜6/19で,3ヶ月ものあいだ,珪藻の企画展が継続するという夢のようなお話です。
プレスリリースによると,「特別に制作した淡水産珪藻のアートスライド」も直接観察できるようです。淡水産珪藻は小さいものが多く,これを並べるアートスライドの制作など,歴代の珪藻アート制作者でも敬遠しがちな難易度の高いものです。制作者は完成後にぶっ倒れてしばらく寝込んだらしいです(笑)。
この博物館には日本珪藻学会員の珪藻の専門家が在籍しているはずですので,今回の企画展も期待がもてますね。直接顕微鏡が覗ける展示というのは本当に大変なものなのですが,それに挑戦するというのも素晴らしいことです。機会があれば筆者も見学したいと思っています。
博物館は寄居にあります。春の開催ですので,桜のシーズンに行けば花見とあわせて素晴らしい一日になるかもしれません。この辺りは新緑も素晴らしいですし,博物館を覗いたあとはスーパーライフに寄ってお弁当を買って,荒川河川敷に下って,マスクを外して胸一杯新鮮な空気を吸ってランチタイムというのもよろしいかと。もちろん珪藻採取もできます。
珪藻アートの展示は,昨年1月の高崎,7月の釧路以来です。ひじょうに貴重な機会ですが,関東地方での開催ということもあって多くの方にご覧いただけることと思います。開催期間も長いので,ぜひみなさま,お誘い合わせの上で「珪藻」というふだんは気にもとめない微少な生き物について楽しんでいただければと思います(画像/MWS)。
2022年3月11日
あの日も確か金曜日だった。今年も金曜日。二度とあんなことは起きないで欲しいが,起きるのが現実なので,いつでも対応できるよう備えておくことが大事です。
大震災を目の当たりにして,少しでも復興の手助けになればと毎年東北旅行に出向いていましたが新型コロナの感染拡大でそれも不可能になりました。でも,毎年の東北旅行で出向く「新鮮館おおまち」が通販をやっているのでそれを利用すれば,例年の店舗でのお買い物のまねごとはできます。それがきょうの画像。セットメニューの買い物ですが,まるでそこいらへんのスーパーで買い物したかのような品々で嬉しくなります。品物に添えて店長さんの直筆のお手紙と,お料理レシピなども添えられていて,これが東北なんだよなぁという段ボールを開けて泣きたくなるような心遣いなのです。
「おおまち」は震災以前は知りませんでした。震災翌年に東京から鈍行で一ノ関まで出向き,はじめて降り立った街なのでホテルにチェックインせずに街の様子を確かめるべく,ぐるぐるとあてもなく歩いたのです。そこで見つけた「おおまち」。すっかり気に入って毎年寄っていますし,一ノ関経由で気仙沼に行くときは行きも帰りも寄っていきます。震災によって生じた小さなご縁です。コロナ騒ぎが収まれば,また出向いて農家のおばちゃんが持ち込む新鮮野菜を買いに行きたいと思っています(画像/MWS)。
2022年3月10日
たぶん皆さんの方がお詳しいと思いますが,だいぶ前からgoogle検索の劣化が止まりません。欲しい情報を探そうにも,ほとんど役に立たないサイトばかりが上位に表示されて有用な個人サイトなどを見つけるのが難しくなってきています。きょうの画像は「珪藻」と検索サイトに放り込んでみた結果を示したもの。googleでは当サイトは39位に表示されています。こんな順番では誰も見ないし気づかれません。1〜38位の間にはどうみても「こんなのが上位なの?」というサイトが大量に存在しています。
googleの劣化は2015年頃からひどくなっていて,それ以前は「珪藻」とgoogle検索すれば当サイトは常に1位から3位の間で表示されていました。「検索で見つけました」と注文をくれるお客様もおられました。それが現在では「検索で見つけました」というお客様はほぼいない,そんな状況になっています。
google以外の検索サイトで「珪藻」と放り込むとどうなるのかというと,duckduckgoという検索サイトでは当サイトは3位,Bing検索でも3位です。それがきょうの画像の2枚目と3枚目です。上位のランキングは妥当なサイトが並んでいます。
20年以上前のgoogleは検索精度がよくてちゃんとフレーズを拾ってくれたので本当に便利でした。しかし現在は検索結果に人為的な介入も行っており,youtubeなどでは方針にそぐわないと判定されたアカウントはどんなに優れた内容でも問答無用に削除されてしまったりしています。このような情報操作をする企業になってしまったgoogleには魅力がほとんどないだけでなく,有用でない検索結果をはき出すということは,検索した人の時間を無駄に奪い誤った情報を与えるという意味で「有害」ですらあります。
有害なサービスはこの世の中から駆逐されて消えて欲しいのですが,googleが大企業となって権力を持ってしまった以上,今後も有害な毒をまき散らして多くの人々が時間を無駄に浪費することになるだろうと思います。こんなクソサービスはなるべく使わずに自衛しないといけません(画像/MWS)。
2022年3月9日
ことしはさっさと確定申告を終わらせる予定だったのに,そのタイミングで2週間全ての仕事がストップする出来事があり,いまもまだ税金の計算に取りかかっていません。。確定申告というのは「めんどくせえ,やりたくないなぁ〜」とうじうじする時間が10日間くらい必要で,やっと重い腰をあげて取りかかると案外早く終わるという性質のものです。毎年なぜこれほどの「嫌気」が発生するのか不思議で不思議で仕方がないのですが,その作業の非生産性と,年に一度なので手順を覚えていられないということと,毎年すこし改正点があってチェックするのに時間がとられるというのがあるかと思います。筆者は面倒なことが大嫌いなので,所得から見て過納税すれば面倒な手順が全て免除,という制度があれば喜んで利用しそうです。しかし俗世間を眺めれば,一円でも払いたくないという人が多いらしく,筆者は世間の価値観とは遠く離れたところで生きているようです。。
そういえば学生時代にサイフの中に5000円くらいしか入ってなかったときに,品川駅の雑踏の中の階段で一万円札が落ちていたのを見つけたのでした。しかしそれを拾うのも面倒で気づかぬふりをしてまたいでしまいました。その後ろを歩いていた若いサラリーマン三人組がそれを見つけて狂喜乱舞していて,人種が違うんだなあと思ったことでした。後日,研究室で品川駅に一万円が落ちていたことを茶飲み話で話題にしたら,数年下の女子大学院生が狂ったように怒りだし,「なんで一万円を拾わないの? バカなの? 死ぬの?」という勢いで説教されました。ああ,一般人?の脳みその中はこのような拝金主義で汚染されているんだなあと思ったことでした。
きょうのレンズは対物レンズ。もし品川駅に水深対物レンズが落ちていたら筆者は必ず拾います(笑)。それどころか,お金を拾った夢は一度も見た覚えがありませんが,道ばたに対物レンズが落ちていたり,小学校の階段にツァイスの対物が落ちていたり,倉庫を片付けていたらたくさんの顕微鏡と対物レンズが出てきたり,土にまみれたオリンパス対物レンズがたくさん出てきてポケットに詰め込んだり,そんな夢はかなりの頻度で見ています。一万円拾って狂喜乱舞するような人生よりも,こっちの方が遙かに面白いと思いますね(^^; (画像/MWS)。
2022年3月8日
ことしは氷見のブリが大不漁で近所では一度も見かけませんでした。それに続いてホタルイカもほとんど見かけません。。日本海の水温分歩が例年と異なっているのかもしれません。カキもアサリもホタテも食べられなくなってしまった筆者にとってはイカタコは数少ない軟体動物のごちそうです。例年通りにホタルイカをつまんで栄養補給と行きたいところですが,今年はまだ冷凍の古いものと,新物っぽいやつをハナマサで見かけただけです。漁がはじまってしばらくたつのでそろそろ見かけてもよい頃なのですが。豊漁を祈念することといたします…(画像/MWS)。
2022年3月7日
2,3日前に砥石が自動増殖することを述べたら,日曜日の午後には自動増殖したのでした。いつもお世話になっている京都の社長さんからのお品もの。有り難いことです。それがきょうの画像。砥石のハンコでわかるように亀岡直送なのですが,このような石は丹波周辺では産出しないはずです。どこか遠くの凝灰岩なのです。
なんで凝灰岩と判別したのかというと,これは筆者の勝手な経験則なのですが,砥石に水を与えたときの匂いなのです。凝灰岩は独特のやすらぐ香りがするのです。これは産地にはあまり依存しない感じで,東北の凝灰岩でも四国のものでも同じ方向性の匂いがします。
凝灰岩系の砥石は,天草?,備水,五十嵐?,伊予?,不明1,不明2など,いくつか持っていますが,恵送頂いたものはどこの石とも異なる感じです。刃当たりが異なれば使う場面も変わるわけで,使い分けができる人にとっては有り難い話です。
そんなに砥石を持っていてどうすんの? というご意見もわかりますが,刀を研ぐのにたくさんの砥石を使うのと同じように,包丁でも切り出しでも鉋でも,あーこれがいいなーという石はあるのです。凝灰岩系の石は研磨力が弱く食いつきが強いので鏡面的な研ぎになりやすいです。その仕上具合も面白いところです。当面は包丁のタッチアップ用に使ってみて様子をみたいとおもいます(画像/MWS)。
2022年3月6日
そこいらへんのPlanアクロマート対物レンズでもR,G,Bごとにピントを合わせた画像を得て,それぞれのピントのあったチャンネルを合成すればアポクロマート級の画像が得られることを先月の画像で示してきました。でもどうやってR,G,Bのピントを合わせるの? と思った方もおられるかもしれません。もっとも安価にできるのがきょうの画像の方法です。
100円ショップで入手できる色セロハンを使い,赤,青,緑で別々にピントを合わせて,撮影時にはセロハンを抜きます。これで色ごとにピントの合った画像が撮れているので,あとは画像処理ソフトでそれぞれのチャンネルを取り出して「加算合成」すればお仕舞いです。このとき大事なことは露出はマニュアルで固定にしておくことです。
アクロマートをアポクロマートにというと何か高度な技を駆使しているかのように思えたりもしますが,やっていることは光学理論通りの当たり前のことで,それをタダ同然の資材を使って実現していたりするのです(画像/MWS)。
2022年3月5日
まるで画像処理を施したような絵ですが,じつは一枚撮りのピンヌラリアの絵なのです…。ピンヌラリアはこんな感じに分裂していくのです(画像/MWS)。
2022年3月4日
このページは365日年中無休で13年以上更新を続けてきました。以前から原発を上回るバックアップシステムを意識していてそのことを書いたこともあります。システムは二重三重になっていてパソコンがクラッシュしても更新継続,「起きうること」への予測システムも万全で,身内の死亡,実親の死亡,本人の病気(帯状疱疹)などで影響を受けることもなく更新が続いています。ほとんど社会のインフラを目指しています(笑)。
ので,大事なものは全て二重化しています。主なところでは顕微鏡。これは三重四重五重六重…n重…n+1重という数列状態です。対物レンズも二重三重になっています。もちろん接眼レンズも。パソコンも最低二重化していて緊急時に起動できる古いものも含めれば三重四重になっています。勝手に増殖するものもあって,包丁は二重どころか何本あるのかわかりません。砥石も使い切れないほどあります。
…ということで,筆者にとって大事なクラブラメールはとうぜん二重化するのです。それで予備も一緒に購入してあるのです。大学生の頃には想像もできなかった買い物の仕方ですね。一つはカミさんに献上して,将来の部品とり用のバックアップとしても使うのです。
このクラブラメールは,左がサファイアグラス,右がスモークサファイアグラスです。断然,右が好みなのです。発売当時「懐かしさが新しい」とのフレーズでしたが,懐古趣味的なデザインでありながら,21世紀になっても古びない,枯れて完成しているデザインが素敵です。スモークサファイアの落ち着いたコントラストは,文字盤そのものよりも「時刻」そのものへ目を向けさせます。そこがまた素晴らしいのです。
たとえていうなら,古い文庫本を読んでいるようなコントラストで目に優しいのです。なぜ大学一年生の18歳が,この時計を選ぶことができたのか,その美意識の陰には何があるのか,とても不思議な気がします(画像/MWS)。
2022年3月3日
クラブ・ラメールを眺めていると80年代後半から90年代にかけての世相がなんとなく浮かび上がってきます。どんなことでもコストカット優先の現在とは異なり,コストがかかってもよいものを作るという当たり前の姿勢が生産現場では貫かれていた時代です。手抜きのないカメラが売られ手抜きのないステレオセットが売られていました。顕微鏡も同じで,もの作りの良心が残った最後の時代だったのかもしれません。当室で現在も主力で使っているオプチフォトシリーズは,クラブ・ラメールと同時代のものです。昭和生まれの筆者は,昭和生まれの時計をして,昭和生まれの顕微鏡を使って仕事をしているのです…。そしてその組合せは,令和の時代から見ても悪くないのです(画像/MWS)。
2022年3月2日
1996年頃から使ってきたエコドライブ(左)が低温時の遅れ,キャパシタの容量低下,2秒運針など信頼性が怪しくなってきたので腕時計を新調しました。それが右側のもの。新調といってもこの時計は1986年〜87年頃に販売されていたシチズン・クラブラメールですので,こういうのなんて言うのでしょう。「旧調」という言葉もありませんし。。
腕時計は毎日使うものなので本当に気に入ったものでないと買う気がしません。画像のクラブラメールは,じつは大学一年生から博士課程の終わり頃まで使っていたものと同一デザインです。大学の合格祝いに頂いたお金を叩いて新宿のさくらや時計館で購入したのです。高校生の頃から欲しかったあこがれのものでしたから,すっかり気に入って大切に使っていましたが,現カミさんとラーメンを食べていて,食事中は時計を外すという筆者の作法により紛失しました…。
あれから25年以上が経過して,代わりに購入したエコドライブもくたびれてきた頃,ヤフオクでクラブラメールを見つけたのでした。全分解のO/H品でしたので安心して購入しました。発売当時の半額くらいの価格でした。本当に有り難い世の中だと思いました。
手元にやってきて「やっぱこれだなー」と思う何かがありました。到着したその日から違和感なく自分のもの,という感じがするのです。10代後半から20代終盤まで毎日腕につけていた時計は50代の中年オッサンにも自然に感じます。子どもの頃から派手なものが嫌いで地味な渋いデザインが好きでしたが,このクラブラメールのデザインは個人的には最高です。となりのエコドライブと比較してもなんとなく感じますが,「時計」としての機能とデザインはエコドライブよりもクラブラメールの方が遙かに優れているように感じます。
いまは猫も杓子もスマホの時代で腕時計すら廃れつつあるようですが,気に入ったデザインの腕時計,悪くないですよー(画像/MWS)。
2022年3月1日
このところ温度的には完全にきょうの画像のヤツが出没してもおかしくない都内の状況。しかし日中の湿度が20%台は厳しい。ほんのすこしでいいのでざっと雨が降って一時的に湿度が上昇すれば一斉に出てくるように予想しています。こういうとき,この人たちはもう起きていてじっと外をみて雨を待っているのだろうか。。東京は今後一週間は晴れの予想。果たして結果はどうなるのだろうか(画像/MWS)。
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