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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
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『珪藻美術館』(福音館書店) 好評発売中!
『珪藻美術館 ちいさな・ちいさな・ガラスの世界』
(たくさんのふしぎ傑作集)
奥 修 文・写真
福音館書店,48ページ,1300円+税
もらったら嬉しい気持ちになる科学絵本です。大人でも子どもでも楽しんでいただけます。プレゼントにも最適です。全国の書店やネット書店,amazonさん などでお買い求めいただけます。
2022年6月30日
あまりにも暑いので画像だけでも涼しそうなものを。麺が見えませんが「冷やし」です。具材はナス,ピーマン,キュウリ,トマト,わかめ,ザーサイ,生姜焼きです(画像/MWS)。
2022年6月29日
28日も暑くてだらだらした一日でした。暑さに身体を慣らすために空調も扇風機も使わずに夕方まで過ごしました。作業っぽいことは何もしていないのでこの温度なら死ぬことはなさそうです。ただ,気温の急変によってどのくらい水分摂取をすべきか,どのくらい塩分をとるべきか,尿量や色を見ながら身体と相談します。水分は一ヶ月前の2倍はとらなくてはいけない感じで,食事の塩分が少なかったときは夕方に梅干し2個を食べました。塩分取り過ぎでただちに死ぬことはありませんが,塩分足りなすぎだと即死することがあるので,熱中症の時期には塩分は多めで構いません。ついでにカリウムも野菜から摂取しましょう。
きょうの画像は先ほど夕方の室内温度。一日一回くらいは室内の空気を完全に入れ換えないと健康に悪いので夕方に換気扇を回して換気したのです。すると室温は32.2゚Cから33゚Cに上昇しました。17時半の時点で外気温は35゚Cあって,換気すればたった16分で0.8度も上昇するのです。しかもこの温度計は換気しても気流が当たらない空気がよどんだところに設置してあるものです。
まさに東京熱地獄です。全国的なものなので「東京」とつけるのは相応しくないかもしれませんが,この17時半で35゚Cという気温は,過去の政治によって誤った都市計画が進められコンクリート・アスファルトジャングルと化した関東地方のヒートアイランド化によるものが大きいのです。もし高層建築物がなく植樹もたくさんで健全な水循環,蒸散が行われていたら少なくともあと2゚Cは低い気温を達成できたことでしょう。
残念ながら拝金主義がまん延している日本ではヒートアイランド防止という生命に直結する最重要課題すら,ほとんどの人が認識していません。政治が教育を劣化させ愚民を育てた国では,国民が何が起きているのかもよくわからないまま,みんなが「茹でガエル」になって最後は悲惨な世の中になるのでしょう。
それを防ぐには民主主義というものを正常に機能させるため,まずは国民が選挙に行くことが必要なのですが,政権が投票率が低くなりそうな最悪な暑そうな日を選び,カネのない人は立候補もできない供託金システムを温存し,体制側だけが優位に維持されるシステムが続いている現状に加えて,選挙前になると選挙から人々の関心を奪うような事件が偶然か必然か起きたりして,いつになっても投票率は低いままの状態が続いています。
こうして悲惨な世の中に向かい,一部の利権側は甘い汁を吸い,愚民はそのことに気づかない「茹でガエル型搾取システム」が維持されます。次回の参院選ではそうならないことを祈りたいですが,選挙権を持つ前からずっと政治ウオッチングを続けてきた筆者としては,この国の,「政治に無関心な国民を政権が喜ぶ」ようすを数十年間みてきたので,ま,期待はできないと思っています。皆さん,ヒートアイランド,どうにかしたいと思いませんか? どうすればよくなると思いますか? 最後は政治に行き着くのですよ(画像/MWS)。
2022年6月28日
この時期に梅雨明けなどという冗談はやめて欲しいのですが,当室周辺は本駒込気象台の計測値によれば日曜日は37゚C,月曜日は38゚Cの最高気温となって,梅雨明けだろうがそうでなかろうが殺人的な高温になっています。室内温度は昼には31゚Cくらいになり15時には32゚Cを超えるので熱中症予防の観点から空調を入れて室温を30゚Cくらいにしないといけません。こうなると落下物は激増して本当に困ったことになります。標本製作はお休みすればいいだけのことですが,パソコンモニタはホコリがつきますし顕微鏡も同様です。空調をつけると落下物粒子は10〜100倍に増える感じがしています。しばらくは精密な業務はお休みですね。
さてきょうの画像はノンアルコールビール。これまでいろいろ試してきましたが,完全ノンアルコールのなかではこれがいちばん自然な味がします。いままでは人工甘味料を含有する製品を飲んでいたのですが,独特のえぐい甘味が苦手でした。きょうの画像の製品は納得の味です。筆者ののどが「これは飲んでイイ」とOKを出します。不自然な味がしないので,アルコールに弱くてよなよな一本で酔っ払うような方が,このノンアルで薄めて飲んでもよろしいかと思います。
ノンアルコールビールというとビールの代用品のように思っている方もおられますが,筆者にとっては日常の水分補給の液体です。生茶デカフェばかりでもなんだなーと思ったら,平日の昼間でもノンアルコールビールで水分補給をしていたりします。甘い飲料が嫌いな方には日頃の飲み物としてよろしいかと思います(画像/MWS)。
2022年6月27日
きょうの画像はディプロネイスとアンフィテトラス。ディプロネイスは縦溝があって移動できる珪藻ですがアンフィテトラスは粘液で群体を作り移動性はない珪藻です。分類学的には疎遠なのですが,この両者はしばしば同じところから見つかります。低潮線下の,簡単にいえば海底の石ころに付着しているのです。どちらの種もそんなに珍しいものではありませんが,大量に発生することは希です。これにはいろんな条件があるのかもしれません。生物相が豊かな海底の石ころはたいてい,貝類が歯舌で珪藻を舐めとっているので小型種の強固に付着した珪藻ばかりといったこともあります。アンフィテトラスの群体は潮流がキツければばらけてなくなってしまうでしょう。ちょっとした物理的,生物学的なバランスでどれだけ増殖できるかが変わるようです。筆者も各地の定点観測をしていますが,同じ場所なのに同じ珪藻が採れないことが多く,環境変化を実感することとなっています(画像/MWS)。
2022年6月26日
サンカクガサネケイソウ(ヒドロセラ)はなんともいえないシンプルな形態と可愛らしさがあるように見え,浴衣のデザインに応用できるのではないかしらなどと思ったりもします。この珪藻は基本,淡水性なのですがけっこう塩分が入っているところでも増殖できます。ので,湖や河川のような淡水から,下流の汽水域でも見つかりますし,河口域近くでも増殖するので,その河川が注ぎ込む湾内の泥からも見つかったりします。広塩性の代表的な珪藻といえそうです(画像/MWS)。
2022年6月24-25日
23日はひさしぶりの外回りで福音館書店さんに出向いての午後でした。みなさまのおかげで,『珪藻美術館 ちいさな ちいさな ガラスの世界』は増刷を重ねまして現在3刷になっております。その増刷の見本誌を受け取りに出向いたわけです。『たくさんのふしぎ』からはじまって,『たくさんのふしぎ傑作集』に選定され,さらに増刷で3刷ということは,世間の皆様からそれなりに愛されている書籍ということができ,本当に感謝の気持ちで一杯です。ありがとうございます。
さてきょうの画像は,あと一週間後に刊行されるたくさんのふしぎ8月号『石は元素の案内人』です。筆者がお世話になった編集者さんが試読用に用意して下さったのです。おお,これは有り難いと福音館書店さんのお部屋で精読させていただきました。田中さんも編集者さんも共通の知人ですし田中さんが試読OKを出して下さったとのことです。感謝感謝です。編集者さんは,筆者が読んでいる間は席を外して下さり,そのお心遣いもさすがだなあと思いながらこの希有な著作を読ませていただいたのでした。
その内容は,田中さんが書くものなので何の心配もしていませんでしたが,やはり児童書の老舗の手にかかると,田中さんのもつ技術・経験・知識が子ども向けに洗練された形でデザインされ,内容の吟味やストーリーの展開も堅実で,色校正や印刷もすばらしく,文句のつけようのない,澄み切った快晴の空を見るような爽快感のある仕上がりになっていました。
この本はとても不思議な雰囲気の漂うものになっています。鉱物学の雰囲気を感じ,結晶化学の雰囲気を感じ,宇宙地球化学の雰囲気を感じ,無機化学・工業無機化学の雰囲気も感じるとともに化学実験入門の感じもします。最先端の知見が盛り込まれているかと思えば,歴史的な記述も抜かりはありません。そしてどことなく鉱物コレクターの雰囲気を感じ,超絶に近いマクロ撮影の技術も感じ取れます。
なぜそんな雰囲気を感じるのかというと,たぶんそれは著者の田中さんが一人の個人の経験として全部を体験してきて,その融合された情報がアウトプットされたからでしょう。本は著者の個性の表出とはよくいわれますが,この本はまさにそんな感じで,このようなワイドバンドな本を書ける人は国内ではほんの一握りかと思います。
筆者の個人的な感想では,この本は何のためらいもなく,心のそこから,とにかく子どもたちに届いてほしいと願います。8〜12歳くらいのお子様の机の上に,この本がポンと置かれていたら,お子様は「ん?」と思ってこの本を開き,ヒットしたお子様ならページをめくる手が止まらなくなるはずです。筆者も6〜8歳くらいに岩石集めをしていたのでその頃にこんな本に出会えていたら,夢中になって読んだだろうなとも思います。
全体としてひじょうによく作り込まれた本で,厳しく見ても気になる点はほとんどありませんでした。ごく一部の部分で文章がちょっと急ぎすぎてるかな,と思う感じ(個人の感覚です)があったのと,同じ画像が二カ所に出てきているのかな?と思った箇所があったくらいです(これも個人のこだわりの範囲です*1)。
『たくさんのふしぎ』は毎回,どうやってこんな著者を探してきたのだろうという感じで,その道の第一線,というか変態の領域に突入した著者によるワンダーワールドが繰り広げられるわけですが,『石は元素の案内人』はそのなかでも突出したものであり,しかもその内容がサイエンスの重要な部分と直結するという点において2020年代の判断としては素晴らしい著作であることは疑いがありません。
7月1日,全国発売開始です。書店さん,amazonさん,ヨドバシドットコムさん,いろんなルートでお求め頂けます。雑誌形態なので,売り切れれば入手困難になります。今回の雑誌版はきれいなポスターもついているので,ぜひとも入手したいところです。たった770円です。一家四人分のマグロの刺身夕飯分の半額です。そんなとるに足らない価格で,ひょっとしたら人生を左右しかねない良質な情報が入手できるかもしれないのです。
みなさま,ぜひともこの著作を店頭なりでご確認下さい(画像/MWS)。
*1 元素を示す意味での画像なのでむしろ同じ画像を使った方が親切です。ので,どこもおかしことではありません。でも筆者は謎のこだわりがあって,ついつい別の画像を貼り付けたくなる習性があるのです。それが「個人のこだわり」の意味です。
*2 この記事は特別に重要と思いますので2日間連続で掲載いたします。ご了承下さい。
2022年6月23日
はるか彼方で水平線が空と融合している。こんなものを見ると何か異空間的な情緒を感じてしまいます。なんか,心がざわざわするのです。梅雨時はときどき見られる光景ですがサンプリング自体がひさしぶりだったのでだいぶご無沙汰の風景です。こんな時間を過ごすと日常生活で蓄積した脳内のストレス物質が除去されていくような気がします。自然に囲まれて五感を使うというのが本来,人間には必要なことなのかもしれません(画像/MWS)。
2022年6月22日
きょうの画像は石川県珠洲市の珪藻土に入っていたカザグルマケイソウの一種です。このところ珠洲市を震源とする群発地震が続いていてとても心配になります。珠洲市は珪藻土の上にあるようなもので,地盤が強固とはいえないですし,大きな地震では風化した珪藻土が割れて落下する露頭のようなところもあるかと思います。今後が平穏でありますようにと願わずにはいられません。
ところで,今回の地震の震源地である珠洲市の寺家地区付近では原子力発電所の計画があって,もう一カ所珠洲市内の高屋地区とあわせて2機,合計出力135万kWの原発が建設される予定でした。しかし住民は反対し,土地買収が完了せず,また推進派が不正選挙を行うなどの不祥事もあり,永年の闘争の末に電力会社は2003年に原発建設を凍結しました。
原発の建設予定地なのですから,当然,地震は少なく,活断層もなく,最適な立地と判断された土地です。もし原発が建設され稼働していたなら,その最適な立地とされた場所の直下で,活断層でもない,原因不明の群発地震が起きて,600ガルもの地震動に曝されたことになっていたわけです(こちら)。
原発が無事に今回の600ガルの地震動に耐えたとしても,当然緊急停止の措置をとらないわけにはいかず,群発地震のメカニズムが解明されて完全に収束が確認できるまでは再稼働も難しいでしょう。そうすると,数兆円投資した原発が不良資産になってしまいます。
したがって事実経過を見るに,建設に反対した住民たちは結果的に電力会社を救ったのです。電力会社は建設に反対した住民に一時感謝金を10万円ずつ配布してもよいくらいです。我が社を救って頂いた,と。
今回の地震はさすがに現代の地震学でも想定外に近いものでしょう。しかし,「想定外」という言葉を使えば原子炉事故を許容してよくなるはずはありません。想定外だろうが何だろうが,放射性物質の大規模漏洩事故が許されるはずはありません。今回の地震は原子力発電所の立地選定の困難さを教えてくれているように思います。教訓にすべきです(画像/MWS)。
2022年6月21日
サンプリングの合間に目を楽しませてくれた花たちです(画像/MWS)。
2022年6月20日
ひものは無事にサンプリングできたけれども珪藻は…。きょうの画像の通りで,細っこい珪藻ばかりで,こういった珪藻はメッシュでろ過すると通過してしまいますので,うーむといった感じです。でも何も採れなかったわけではないのでOK。オオヘラケイソウがそれなりにとれたので,クリスマスツリーの幹の材料がようやく確保できたことになります。このサンプルを今年中に珪藻在庫まで持って行ければいいのですが(画像/MWS)。
2022年6月19日
ひものは魚焼きグリルで皮から焼いています。そしてひっくり返して身側を焼いて,そのまま身側を上にして皿に出します。このようにすると,皮が身から出た水分を受け止めてくれるのでしっとりとした焼き上がりになりますし,身が上になっているので食べやすいです。
ところで,ひものを焼くと皮が縮んで反り返ってしまう現象というのがありますが,これは簡単に防げます。そのことを示したのがきょうの画像で,グリルにひものをセットするときに尻尾を網の下に潜らせておくのです。たったこれだけで画像2枚目のように,そのまま平面を維持した焼き上がりになります。これをひっくり返してもう片面焼いても反ってしまうことはありません。ひものを反り返らせていた全国の皆様,ぜひ参考にして下さいませ(画像/MWS)。
2022年6月18日
17日は三浦半島方面でサンプリングでした。3年ぶり?くらいの感じで海の様子はだいぶ変わっていました。巨大なブロックが動いていたので大荒れのときもあったようです。紅藻類に珪藻はほとんどついていない感じで,海底の砂にもあまり珪藻が入っていません。石ころを歯ブラシでごしごししたものには小型の付着珪藻がたくさん入っていましたが本命のディプロネイスとライレラはなかなか見つかりません。。でもまぁ,ひさしぶりの現場で干からびそうになっていたアオウミウシくんに遊んでもらい,不思議と頭の中は有意義な一日だったような気がするのです(画像/MWS)。
2022年6月17日
16日は大潮で雨もあがったので小田原起点で西側方面にサンプリングでした。サンプリングといっても珪藻は何が取れるか分からないし相模湾西部は磯焼けがひどいのでおまけみたいなものです。本命は「干物」なのでした。
サービス悪化の一途を辿るJR東日本には課金する気にならないので泣く子も黙る東海道新幹線で小田原に行きました。大混雑の上野東京ラインでグリーン車に1000円の課金をするくらいなら,東海道新幹線の自由席に1700円の課金をする方が,比べるのもバカらしいほどに有意義であることを実感しました。東海道新幹線は素晴らしい乗り物です。
珪藻もサンプリングしましたが顕微鏡で覗くまでは採れたかどうかもわかりません。でも,干物はちゃんとゲットできました。
干物なんて保存食品なんだから都内で買っても産地で買っても同じなのでは? と思う方々もおられると思います。その疑問は冷凍品のある銘柄には当てはまります。しかし大多数の都内で売られているものは産地で食べるものとは異なるものが流通しているのです。証拠も何も持っていませんが食べればすぐにわかります。
都内と産地の差は品質だけではありません。品数そのものが違います。都内では「エボダイ」の干物は十数年前に姿を消してしまい滅多に見ることがありません。十数年前でも,都内のエボダイの干物は中国産だったのですが,よく処理されていて美味なものだったのです。中国がエボダイのおいしさに気づいて輸出のパワーバランスが崩れたのではないかと思っています。ので,もともと流通していた産地に出向いて入手しなければいけなくなったのです。本来の姿に戻ったわけで利便性は悪化したかもしれないけれども,これでいいのです。
この美味なるエボダイの干物は,東海道線でいえば小田原〜湯河原の間でふつうに入手可能かと思います。小田原では多少は目利きが必要かもしれません。早川なら運がよければよい干物がずらっと並んでいます。根府川の干物屋さんでもいいものはあるでしょう。真鶴はむかしの賑わいがなくなってしまい多くの魚屋さんや干物屋さんが廃業してしまったのでよい店は数件しかないような感じです。湯河原は観光地になってくるので,別の意味での注意が必要です。熱海は観光客相手の店もあるので,目利きができる人ならよい買い物ができるかもしれません。
干物を買うときのコツはたぶん,生干しのできたてか,そうでないかを見抜くことかもしれません。前者はそのまま買ってその日の晩に炙って食べれば最上でしょう。そうでないものは冷凍品を展示しているお店が誠実な感じがしています。鮮魚類は劣化が避けられないので干物といえども,よいものができたら瞬時に冷凍して販売するというのが現代では最良の方法のような気もします(画像/MWS)。
2022年6月16日
ちかくの魚屋さんにウメイロが入荷。カミさんが連れ帰り無事に料理長(筆者)のもとへ。食べたことのない魚種はわくわくしますね。見るからにおいしそうな身。包丁を入れてみれば緻密な繊維を感じる締まりのよい身質。こういうものは刺身で食べるだけでなく,酢飯と一緒に食べるのが重要。で,そのお味は?というと,これは白身魚でも最上級のものと感じました。ちょっと似ている魚は思い浮かばない感じです。フエダイ系はどれもおいしいですが,東京で食べると身が柔らかくなっているものが多く,オナガダイなどもそうです。ウメイロは鮮度抜群な感じのする締まった身質で,それでいて身にしっかり味があります。その味はホウボウともコチともヒラスズキとも異なります。メジナとも違うし,タイでもない。オナガダイやチビキ系は近い感じがするけれども,でも違います。こういった,しっかり味のある白身魚は筆者の大好物で,滅多に入荷しないとはいえ,ウメイロは今後も食べたいと思うのです(画像/MWS)。
2022年6月15日
フリーハンドで封入時に珪藻を扱う専用の毛先が折れてしまいました。10年くらい使ってきたものなので手になじんでいて使い良かったのです。あまりの残念な気分に,折れた先端部分を研いでみました。毛先を研ぐ。もはや何を言っているのかわかりません状態ですが,思いついたらやってみるのです。顕微鏡を覗きながら毛先の先端を研磨すると,ひじょうにゆっくりですが研げる感覚があります。きょうの画像は何とか先端を丸めたもの。これでまたこの毛先が使えるかもしれません。そうなると毛先の研磨法もちゃんとした技術にする必要が出てきます。こうして何から何まで手先で解決する膨大な作業量を抱えることになるのです(^^; でもまあ職人なんてそんなもんでしょう(画像/MWS)。
2022年6月14日
このところ封入試験の日々が続いています。究極の完成度を誇るプレパラートJシリーズですが,制作法は試行錯誤の闇の中です。毎回,様々なトラブルと戦いながら製品に持ち込んでいます。珪藻の被殻はとても細かい構造があって,そこに封入材が浸透しないというのは日常茶飯事にあることなのですが,それをお客様に供給するのもよろしくないと今は思っています。ほんとうは封入剤の浸透はどうでもよく,珪藻が並んでいること自体が大変なことなのですが。
完璧な完成度にこだわると,並んでいる珪藻の一個が脱落してもダメで全ての珪藻がコントロールされていることが大事だと思うようになります。それがエスカレートすると,マウントされている被殻にいささかの欠けや傷があることも気になるようになります。さらに重症になると,完璧にマウントされた被殻でも,その多数ある穴ぼこの1つにでも気泡が残存してしまえば,「こーんな大失敗,粉々にしてやる…」という感情がわき上がってくるのです。
その破壊的感情は間違っています。あのKlaus Kempさんは,珪藻が2,3個飛んでいようが,珪藻に封入剤が入らずに汚れていようが出荷を続けたのです。その姿勢によってこの世界を知る人が維持されたのです。世の人々が求めるものは必ずしも「完璧」なものではありません。完璧を知らないのですから
Kempさんの作品を覗いたあとに筆者の作品を覗いた人はこれまで,100%の方々が,筆者の作品を選びます。それはそのはずです。筆者の作品は顕微鏡光学を考慮したうえで歴史上存在しないレベルの高品質なものを作っているからです。
でも,その方々が,なぜ筆者のJシリーズを覗いているのかといえば,それはかつてKemp氏が作っていた珪藻標本からつながるご縁があるからなのです。筆者制作の標本を褒めて頂くことは有り難いですが,そこにつながるKempの標本が縁の下に存在したのです。これは大変なことなんです(画像/MWS)。
2022年6月13日
「かわはく」の『珪藻展』がラスト一週間となりました。筆者の知るかぎり,企画展示で大規模な珪藻展示が行われることは滅多になく,2004年と2019年の東京学芸大,そして2022年の「かわはく」となります。次回このような催しが開催されるのは果たしていつになるのか想像もつきません。貴重な機会ですのでぜひお立ち寄りいただきたく思います。19日まで開催中の『珪藻展』,公式サイトは こちら です(画像/MWS)。
2022年6月12日
さいきんの納品から一枚。法人さんへの納品でした。大型のプレウロシグマを完璧に封入するのはとても難しく,ほかにもトリケラチウムやトリゴニウムも封入剤が浸透しにくいので完璧な封入が難しいです。きょうの画像の標本はほぼパーフェクトにできた一例。ひとつの被殻を完璧に封入するだけでも難しいのに,大量の被殻が完全にきれいに封入できるというのは確率的にはけっこう困難なことになります。しかしその難しさを技術力で乗り越えるのが職人魂といえるかもしれません。プレウロシグマを完璧に封入できる条件,トリケラチウムを完璧に封入できる条件,トリゴニウムを完璧に封入できる条件,それぞれを追求していき,「プレウロシグマもトリケラチウムもトリゴニウムも全部完璧に封入できる条件」を見つけてしまうのです(画像/MWS)。
2022年6月11日
顕微鏡デスクに座っている筆者は高感度センサーにもなっています。振動や音,落下物,臭気,あらゆるものに敏感に反応します。ふつうの人は感じることのない微小地震にも反応します。その実例がきょうの画像で,おおっと思ってリアルタイムに こちら のサイトで確認しています。
筆者の所在地は東京都豊島区ですから震度ゼロの無感ということになりますが,実際の震度分布にはムラがあって,当室は豊島区公表の震度よりも+1〜1.5というのが実際のところです。大昔に川が流れていたところを埋め立てた上に立地しているので,豆腐の上にマンションが建っているようなもので,地震のときにはよく揺れるのです。
東日本大震災のときは豊島区公表で震度5弱だったと思うのですが,実際の揺れは, こちら と同等またはそれ以上あったので,公表震度はあてになりません。
立地的に揺れるのは高解像イメージングで困ることがあります。RL-TESTの高解像検鏡などで撮像が必要なときに,近所で道路工事やマンション建設が行われていると震動が止まらず仕事ができないことがあります。超高解像のイメージングでは筆者の心臓の鼓動も影響するほどのものなので,近くをクルマが通過したり,ヘリコプターが通過したりといった震動はもろに画質に響きます。
二光束干渉の検鏡をしているときも同様です。つねにプルプルと震えていて,大都会の震動を皆無にするには困難の連続という気もします。それを逆用して,超微小地震計を作りたいなという気分も出てきたりもします(笑)。研究の実例を知らないのですけれども,干渉計で超微小の震動をモニタすると何が得られるのでしょうか。興味あります。
当サービスではこの研究は難しいです。一階に居住と思われる元気のよいお子様が毎日飛び跳ねて元気の良さを教えてくれます。一階の震動が三階に伝わるのですから,ハトヤのCMみたいにピチピチとした元気なお子様なんでしょう。その他,個別の居住者の震動が定期的にあるので地震動の測定には不向きな感じです。夜中から明け方の地震動ならOKな感じですが(画像/MWS)。
2022年6月10日
Kempさんのデザインにはきょうの画像のような感じのものが多くあります。豪華絢爛さを出すためには大量の珪藻が必要で,その調達が難しく,制作可能なデザインが限られる中でこんな感じのデザインに到達したのだろうということは同業者としては推測できます。しかしまぁこれを作るのは呻吟するほどに難しいもので,制作後は布団にバッタリと突入したくなるほどのぎりぎり限界なものを感じます。
珪藻を並べている最中は,個々の珪藻は固定されているわけではなくそこに置いてあるだけなので,もしたとえ10μmでも顕微操作を間違えれば玉突き事故によって全体の形が崩れてしまうのです。そうなればデザインのやり直しです。一個一個しんちょうにはめ込むように配置しますがその操作は極度の緊張感の中で行われます。でもあまり緊張しすぎると身体がこわばってしまい,顕微操作の精度が落ちます。肩の力を抜いて身体はリラックスさせつつ,目と手を連動させて最高精度を出すように心がけるのです。
Kempさんが発案したような並べ器具を用いればもう少しラクに作れるかもしれません。でもそのようにすると制作に必要なステップが増加して,時間もかかるようになり,結果として落下物による汚染が多くなります。究極の透明度を追求する筆者としては,Kempさんの真似をするよりも独自性を優先させています。筆者がKempさんと同じデザインのものを作ったとしても,顕微鏡のプロが見れば,制作法が異なる別カテゴリーのものであることはすぐに判別できます。
筆者がKempさんと同じものを作ることはできないのです(画像/MWS)。
2022年6月9日
このページをお読みの読者の方々は筆者が弱音を吐かないキャラであることはご存じのことと思います。過去を振り返ってもこれはつらいと書いた覚えがあるのは3.11大震災関連のことくらいです。たぶん。
そこから約10年ぶりくらいに「つらい」と書かねばならないのは,Klaus Kempさんの訃報です。ご高齢でしたし,順番から言っても世の中の平常なのですが,筆者にとっては「人生に影響を与えた人物」の死去なわけです。その「影響」というやつも,単なるそこいらへんに転がっているようなものではなく,超絶な職人技で成り立っている関係のものだったわけです。
連絡を取り合う間柄ではなくても世界で数人程度しか存在しない難易度の高い仕事をしていると自然と連帯感を感じるのです。筆者はむかしからヨーロッパ方面はKempさんに任せたよ,と思っていたのです。一人で全世界を相手にするのは荷が重すぎますので。
そのKempさんがいなくなってしまった。なんて表現したらいいのかわかりません。でもつらいです。苦しいです。あのKempがもういない。それは分かっていても信じたくない感情があるような気もします。もういい年した中年オッサンなので,お別れはそれなりに経験してきました。その中でも,Kempさんのとのお別れは別格な感じがします。
彼は何を伝えたかったのだろうか。彼なき今は,私は何を伝えるべきなのだろうか…,毎晩の一ノ倉の酒量が増えている気がします。さすがにこの状況は筆者といえども「ツライ」のです(画像/MWS)。
2022年6月8日
ひさしぶりのナマコ骨片。40倍対物レンズでこの程度の大きさなので珪藻と比べても結構ちいさいです。厚みは珪藻の比ではなく炭酸カルシウムの微結晶でできた塊になっています。ので重いです。すこし凸になっているものが多く基板との接触面積が小さくて扱いづらいものです。
そのナマコ骨片を直線偏光フィルターで挟んで直交偏光でのぞくと,きょうの画像のように見えるものがいます。形状からマナマコ・クロナマコ系の骨片ですが,この画像のような色が出ないものも多いです。どんな仕掛けでこの色が出るようになっているのかわかりませんが,目で見えない自然界の中にはこんなものがあるのです。そして顕微鏡さえ持っていれば,それが見えるようになるのです(画像/MWS)。
2022年6月7日
「かわはく」として有名な埼玉県立川の博物館では『珪藻展』が今月19日まで開催中です。珪藻のなんたるかをじっくりとご覧いただける展示になっています。豊富なパネル展示に工芸品の展示,貴重な標本や雑誌も見ることができ,直接顕微鏡で珪藻を見ることもできます。本館展示場のほかにスロープ展示というものもあって,そこでも珪藻がけっこうどこにでもいることがわかる資料が並んでいます。
博物館は荒川に面していて,敷地の中にも川が流れています。さすがは「かわはく」です。とてものどかなところで,敷地内はとても広く,すべての展示や施設などを見ようと思うと相当な時間がかかります。平日は学校の見学などがなければ来館者が少ないと思いますので,ゆっくりと見学することができると思います。
19日まで開催中の『珪藻展』,公式サイトは こちら です(画像/MWS)。
2022年6月6日
きょうの画像の一枚目を見れば,よほどの変人でもなければピンぼけの珪藻画像と思うでしょう。そのピンぼけの珪藻画像からRGBのBチャンネルだけを取り出したのが二枚目の画像。誰が見てもピントは合っているでしょう。デジタルカメラというものは,ピンぼけ画像の中に埋もれているジャスピン画像を掘り起こすこともできるのです。これが何の役に立つのかは,皆さん,お分かりですよね(画像/MWS)。
2022年6月5日
おなじ珪藻種を暗視野で検鏡していても使用する機材を選ぶことにより表現を変えることができます。その例がきょうの画像で,コンデンサは乾燥系でNA=0.80-0.95,対物レンズは上からNA=0.55,0.2,0.1となっています。コンデンサと対物NAの差が大きいほど色鮮やかになる様子がわかります。対物レンズの開口数を下げるわけですから微細構造は解像しません。それと引き替えに「色」が表現できるわけです(画像/MWS)。
2022年6月4日
このページの珪藻画像をみていると,当サービスのJシリーズを入手すればいとも簡単にきょうの画像のような絵を得られると錯覚しがちです。まことに残念なのですが,そんなにかんたんなことでもありません。標本としては完璧なのですが使う技術が完璧でないと狙った絵にはなりません。その意味では,Jシリーズを入手するというのは,完璧な表現に50%近づいた,というようなことになります。
あとの50%はユーザーさんががんばってもらわなくてはなりません。顕微鏡は自分で見たい像を作る装置です。そこが面白いところでもあり,難しいところでもあるのです(画像/MWS)。
2022年6月3日
すばらしい本が出版されるという情報をいただきました。それがきょうの画像。田中さんといえば「よくわかる元素図鑑」や「結晶美術館」,「色材の博物誌と化学(自費出版,同人誌)」などの名著で知られる真の専門家ですが,その田中さんが,あの「たくさんのふしぎ」から一冊刊行されるというのです。
「たくさんのふしぎ」編集部には筆者も大変お世話になっていますが,ここの出版物の著者になるには,「ほかに代わりのいない何かを持っている人物」であることが重要で,しかも読者層(小学生)に対して有意義なメッセージを与えられるポテンシャルをお持ちで,さらには福音館書店さんのそれはそれは厳しい判定を通過する必要があります。筆者はたまたま,誰もやっていない仕事をしていたので著者になる機会を恵まれましたが,田中さんの場合は違います。化学屋さんは山ほどいますし,石ころ屋さんはもっとたくさんいます。実験マニアも世の中にはけっこう多数生息しています。珪藻並べと比較するととんでもなくメジャーな世界なわけですが,その中で,田中さんが「たくさんのふしぎ」の著者に選ばれたのはひとえに,田中さんが人生を賭けて活動してきた結果なんだろうと思ったりもしています。
田中さんとは日頃連絡を取り合うくらいの間柄で,これまで4回ほどお会いしたことがあります(うち3回は酒の席…)。ので,田中さんが児童書の執筆に苦しんでいたのは知っています。なかなか大変な作業だったことと思います。しかしあまり心配はしていませんでした。それはなぜかというと,とにかくいくらでも言いたいことや書きたいことを持っている著者は,大事なのは編集サイドとの「摺り合わせ」で,それさえうまくいけばどうにでもなるのです。
田中さんの結晶美術館や色材の博物誌と化学を読んでいると,昭和中期の上質な随筆を読んでいるかのような錯覚に陥ります。それは歴史をひもときながら膨大な情報を整理してくれていることもあるのでしょうが,でもそれだけではないような感じがします。著者自身,令和の時代に生きながら,昭和の作法で生きているような気もします。筆者もそのタイプなので,文章を読むと昭和の世界に入り込む感じがします。うまくいえませんが,團伊久磨とか山本素石のような独特の文体があるのです。
その田中さんが子ども向けにどんな本を出すのか,今から楽しみです。皆さんも,これは買うしかありません。筆者が書いたたくさんのふしぎ,『珪藻美術館』は実質三ヶ月で売り切れました。田中さんの本はもっと早く売り切れるかもしれません。何しろ, こんな 大盤振る舞いなのです。発売開始から入手するよりも,ネットをご利用の方はamazonで予約を入れるのがいちばん確実です。店頭販売だと書店により入荷状況が異なりますし,遠隔地だと配送遅延が生じます。今からわかっていることなので,一ヶ月先を楽しみにして,amazonさんで予約をいれてしまいましょう。 こちら で予約可能です(画像/MWS)。
こちら で「販促」してもらったとのレスポンスを頂いたのですが,別に筆者は「販促」などしてません。促進したいのは「本当に皆さんにご覧頂きたい新しい世界」なのであって,単に本が売れればいいということではありません。田中さんが書くものが「本当によい」と思っているので,「よいものを世界から精選してお届けしている」本ページにて紹介したまでです。
だから筆者がやっていることは「販促」ではありません。経済学的には「販促」ですが,本心は,「この世の中の素晴らしさを多くの方にご理解いただきたい」ということであって,たまたまその情報が「雑誌」という形態で出されたので,「買って下さい」という「販促」になっただけです。「販促」という商売用語は,たぶんこの本には不適当な気がします。
自信をもってこのように書けるのは,筆者自身,自分の商品の販促をしたことがないからです。Jシリーズはスゴい,これは買うべき!とかそんな記述を見た覚えのある読者はいないでしょう。販促をしたことがないのですから。
そんなことは必要ないんです。みてくれている人はきっといます。超絶なハイレベルのものを制作供給していれば,必ずお客様は現れます。だからこの記事の本も,必ず手にしたいと思う方々は大勢いらっしゃると思います。筆者は「本物」を紹介しているだけです。安っぽい「販促」なんかじゃありません。
2022年6月2日
ながねんいろんな珪藻種を眺めていると,殻の構造にはある種の法則性のようなものがあるのかも,と感じます。きょうの画像の一枚目はトラキネイス(Trachyneis)属珪藻の一種ですが,中央部に帯のように見える構造があり,画像二枚目のジュウジケイソウ(Stauroneis)に似た構造となっています。トラキネイスは沿岸などで見かける海の珪藻,ジュウジケイソウは主に池や沼の泥の上にいる珪藻で住んでいる環境はまったく異なります。にもかかわらずこんな感じの構造になるのは,構造力学的に中央部分に何か仕掛けをしないといけないのでしょうか。でもこの構造がない珪藻もたくさんいるので,構造だけで生き残り戦略が決まるものではないでしょう。多数のパラメータが存在する中での1つの結果なのでしょう(画像/MWS)。
2022年6月1日
たくさん☆(Star pattern)のスライドを作っていたケンプさんは星になるのが似合っているのかもしれません。海外でも珪藻愛好家が悲しんでいるようです(こちら)。皆さん深く嘆き悲しんでおられますが筆者も例外ではありません。かなしいというよりも,なんか,とんでもないことが起こった,そんな感覚です。とてもたとえることができませんが,日本から富士山が消えた,そんな感じが近いのかもしれません。
うろたえるのです。なんか,落ち着かない。何ができるわけでもない。でもケンプさんはもうこの世にはいない。珪藻並べの仕事が高い次元でできる人は少ないので,海外はケンプさんにまかせて,日本は筆者が面倒見るよ,そんな感覚でやってきたのです。どこかに,ケンプさんがいてくれる安心感のようなものがありました。でも,もうそれもありません。なんか,心の安定に必要だった大事なものが突然失われた感じがするのです。
ケンプさんとは,過去にメールでやりとりしただけでお会いしたことはありません。でも,筆者の中での存在感は大きかったのだなぁと今更ながら認識するのです。しばらく,意味もなくうろたえる日々が続きそうです。個人的には,近所で災害が起こって手出しができないような,そんなもどかしさの感じがします。まーでも,あと数十年もすれば筆者もそちらの世界に行きますので,そのときはケンプさん,メラーさん,Ted Clakeさん,いろんな方を交えて珪藻並べ談義をやりましょう。あの世でも英語やドイツ語が必須だったらうまくいかないかもだけれども(笑)。
うろたえる不穏な心の動きは死後の再会の楽しみに昇華することにしましょう。いまは珪藻並べという1つの仕事を世の中で維持することが大事です…と思うことにします(画像/MWS)。
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