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2022年5月31日






クラウス・ケンプ(Klaus Kemp)氏が入院中の病院で亡くなりました(こちら)。ご高齢ではあったのですが,同じ仕事をする者として本当に残念で言葉もありません。まずはケンプさんのご冥福をお祈りしたいと思います。

ケンプさんは言わずと知れた珪藻並べの世界第一人者でした。J.D.メラーの作品を参考にして,対称性を重視し,ビクトリアン朝の雰囲気を漂わせた豪華絢爛な作品はケンプさんの独壇場でした。さまざまなサンプルを保有していることでも有名で希少な珪藻化石を使った作品も多く作りました。珪藻だけでなく,蝶の鱗粉を並べる技術も卓越していて,きょうの画像のような作品も制作販売していました。

珪藻を並べるという仕事は労力に対して見返りがありません。だから世の中から珪藻を並べる人はどんどん姿を消していき,20世紀後半から21世紀はじめにかけては,ケンプさんが世界でただ一人,専業で珪藻を並べ続ける仕事をしていました。その精神力に心より敬意を表したいと思います。もしケンプさんが早々と珪藻並べをやめてしまったならば,世界中から珪藻を並べるという仕事がその時点で消滅したはずなのです。

そのケンプさん制作のスライドを筆者が手にしたのは20年前ころです。当時東大におられたK先生からの問い合わせで珪藻テストプレートを探しているとの連絡が入り,筆者がK先生にケンプさんのことを伝えると,K先生は早速多数枚購入して一枚を恵与いただいたのです。

そのテストスライドを最初にみたときにはぞっとしました。猛烈に小さな珪藻8種が整然と並んでいる。魔法のようにも思いました。でも心のどこかで,「これなら作れるかも」という感情もありました。何しろ「お手本」が手元にあるのです。筆者が現在,珪藻を並べたJシリーズを供給し続けていることの原点には,ケンプさんのスライドを入手できたという偶然が働いていることは間違いないだろうと思います。

珪藻を並べる仕事をしている人たちは,独自で技法を開発し,それを秘密にして明かすことはありませんでした。J.D.メラーのスライドも制作法はよくわかっていません。これまでは,ケンプさん,バロンさん(イタリア),筆者の三人が専業で珪藻並べをしてきたわけですが,この三人も別々の独自の技法で作っています。そこにケンプさんがいなくなってしまったので,これまで世の中に三種類あった技法の1つが失われたことになります。

ケンプさんの技法でなければ作れないもの,バロンさんの技法でなければできないもの,筆者の技法でなければできないものがそれぞれあります。1つの技術が失われたことは想像以上に大きな損失なのかもしれません。

ケンプさんは過去に,自分が死んだら作り方は家族が公開することになっている,と述べています。その言葉通りなら,どこかに彼の技術が詳細にレポートされるはずです。しかし果たしてその技術書をみて,ケンプさんと同じように珪藻を並べられるでしょうか。ケンプさんと同じような作品を生み出すことができるでしょうか。

筆者の手元には,ケンプさんが確かに手を動かして珪藻を並べた,鱗粉を並べたスライドがあります。彼の人生の一部です。宝物としてこれからもときどき覗いて,多くを学びたいと思います(画像/MWS)。








2022年5月30日






きょうの画像はピンヌラリアとフリッケア。この二種を並べてみたのは,似たようなサイズの珪藻ですが暗視野ではまったく色が異なることを示すためです。ピンヌラリアは暖色系の色が出ることが多くフリッケアは青と決まっています。

色素を含まないガラスの殻になぜ色がつくのかは,回折と干渉によるものでしょうが,その詳細が明らかになっているわけではありません。照明の入射角によって色が変化するものがいるので回折が絡んでいるだろうことは予想できます。他方,明視野でも絞り込むと色が出る珪藻がいたりするので,干渉も絡んでいるものがいるだろうとも思います。回折と干渉が複雑に絡み合っているものもいるかもしれません。

構造から発色予想ができれば有り難いですがそう簡単ではないようです。ので,筆者は経験を通して色を覚えるようにして,その情報を制作に活かすようにしています。単純な格子構造の珪藻では「青」が出やすい傾向があります。フルスツリア,ニッチア,フリッケア,プレウロシグマ,クリマコスフェニアなどです。暖色系の発色をする珪藻は構造との関係が今ひとつよくわかりませんが,ピンヌラリア,カロネイスや,ギロシグマが該当します。

いろいろな珪藻で各スペクトル色を表現できればいいなーと永年思っていますが,その実現は困難極まりない道のりです(笑)。まーでも地道に集めていればすこしは前に進むはず…です。こうして中年オッサンは楽天的に年をとっていくのです…(画像/MWS)。








2022年5月29日




さいきんの納品から1枚。0.88φ程度の円内に43種43被殻の珪藻をまとめたもの。珪藻は種により封入難易度が異なり,プレウロシグマ,トリケラチウム(三角,四角),トリゴニウム(三角,四角),コスキノディスクスなどは完璧な封入がひじょうに難しい種です。それらの種を含みつつ,ほぼ全ての種で完璧に封入できた希有な標本です。

このくらいきれいに封入できると油浸検鏡が楽しいですね。油浸で覗きながら次々と視野に現れる珪藻のピント面が揃っているという現象は,まずふつうの人は体験したことがないだろうと思います。しかも現れる被殻がどれも傾きのない破損も少ない状態のよいものとなればなおさらです。

43被殻というと少ないように感じられる方もおられるかもしれませんが43種の珪藻をゴミのない視野で完璧な形でイメージングしようと思ったら,ふつうの散布スライドを数十枚検鏡する必要がでてきます。それがたった一枚のスライドで足りてしまうのですから,Jシリーズというのは単に見た目が洗練されているだけでなく,観察者の時間を節約するものでもあるのです(画像/MWS)。








2022年5月28日




27日はひさしぶりの顕微鏡の午後となる取材対応でした。以前にもお世話になったことのある編集者さんで,はじめてお会いしましたがメールでの堅実なやりとりから想像される通りのお人柄で,本当に有意義で楽しい時間を過ごさせていただきました。4時間半以上の取材時間でもまだ足りない感じで,こちらもあっというまに時間が過ぎゆく感じで,じつに充実したひとときを過ごさせてもらいました。筆者は自分の仕事や標本を取材等で紹介させていただく時間がおやつの時間みたいなもので,たのしい時間が瞬時に過ぎゆくのです。こういったご縁をいただけるのは本当に有り難いことで,当方の仕事を見つけて下さった編集者さんには心より御礼申し上げたい気分なのです(画像/MWS)。








2022年5月27日






きょうの珪藻は沿岸性の付着珪藻,トリゴニウムです。和名ではミスミケイソウと呼ばれ,3つの隅があるからなのかなと思っていますが,この珪藻,四隅にも五隅にもなるのです。筆者が現場の生サンプルを見たところでは三角型がもっとも多く,四角型がたまに出る感じで,五角形はまだ見たことがありません。化石サンプルでは五角形のものを幾つかみています。

この珪藻の和名をミスミケイソウとした方が誰だが存じ上げませんが,まじめな方なのかもしれません。筆者なら,トリゴニウムの三角型には「オニギリケイソウ」,四角型には「ショクパンケイソウ」という和名をつけたくなります。

実際には,どちらも同じ種なのでオニギリケイソウ,ショクパンケイソウという名前の付け方はできませんが…。命名法の不自由なところですね。オニギリケイソウ(ショクパンタイプ)というのも変な表現ですし(画像/MWS)。








2022年5月26日(3)


オトナの事情というものがあるのであんまり文句をいいたくないんだけれども,なんで沈没船の引き上げにフロートをつけなかったのか疑問。それに20mまで引き上げたら,海水温は低いけれどもダイバーが潜行できる領域なので落下防止の補強を行うこともできたはず。今回の船は手入れがされていないことはわかっていたので,船底は多数の石灰性の付着性物でヤスリのような状態だったでしょう。鋼鉄のワイヤーなら簡単には切れませんが布製のベルトなら度重なる摩擦で断裂するでしょう。そして曳航中の落下は想定内なのに,なぜ水深が30〜50mの領域を曳航しなかったのかも謎。急に深くなる海域なのでそれが無理だったのか,それとも底引き網があったのか。

そして最初に出てきたのがニッポンサルベージなのも謎。筆者は,これは深田サルベージの出番かなと思って見ていました。この辺りにも「契約」の謎が潜んでいる気がします。

そして沈没船が落下したら,その引き上げに恐るべきスピードで深田サルベージの無人潜水艇が使われ,ニッポンサルベージの船も現場に出たまま。ちょっと考えられない絵で政府も動転しているのかそれとも深田サルベージが予備として契約していたのか。

とにかく謎だらけなんだけれども,まともな取材力をもつジャーナリストさんとか民放さんはこの謎をどうにかしてくれませんかね(画像/MWS)。








2022年5月26日(2)






25日はひさしぶりの外回りでした。埼玉県立川の博物館で開催中の『珪藻展』を見るためです。「見る」というのは仕事の半分で,あとの半分は,淡水珪藻だけを並べた珪藻アート標本を直接のぞける顕微鏡が設置されているのですが,その顕微鏡の設定が明視野中央絞りだったので,現場で暗視野に改造してきました。

知人に制作してもらった「暗視野の素」という3Dプリンター出力素材があるのでそれを持参して,ちょとした工夫を現場で施して,得意の「小学校レベルの工作」を駆使して,コンデンサ入射瞳面に近い位置に遮光板を配置して,対物NA=0.4ならじゅうぶんな条件での暗視野コンデンサができました。

それにしてもこの博物館はいい立地です。筆者は川のほとりで育ったので,海よりは川の方が親和性があります。川の博物館は,その立地も最高で,なんか,そこにいるだけで幸福な時間が過ぎゆく感じです。平日の午後で来館者はごく少数,その中で展示担当者の方とあーでもないこーでもないと珪藻や顕微鏡の話をえんえんと続けて,個人的には至福の時間を過ごしたのでした。

珪藻展は6/19までの開催です。写真や物品展示が主で,ふーんという感じで流して見れば10分で終わりという感じの展示ですが,1枚1枚の写真や制作物をじっくり見ると,すぐに30分は経過するだろうという感じの展示です。写真撮影はOKということなので,貴重な展示物を撮影させてもらえるという意味ではなかなか希有な機会です。大学生の頃から珪藻に魅了され,博物館で展示を実現してしまったその「熱い想い」に心から敬意を表したいと思いました。筆者は完璧な標本を作ることはできますが,こんな展示を企画開催する能力は皆無です(画像/MWS)。








2022年5月26日






Jシリーズを入手されたお客様から何度見ても感動する感動が薄れない,といようなお言葉を頂戴することがあります。そのご感想にはまったく同感なのです。作っている立場でも,こんなものは本当に希有なもので,よくできたものは宇宙に浮かぶ天体のようなのです。月面を望遠鏡で見ればいつでも新鮮な驚きがあるように,Jシリーズはいつでも新鮮な視野を観察者に提供するものなのかもしれません。じっさい,作っている筆者自身が,1枚できるたびに感動しているのです(画像/MWS)。








2022年5月25日




このところの珪藻画像はCF LWD 40x 0.55 DIC 160/0-2 という対物レンズで撮影したものです。もともとは倒立顕微鏡用で厚板ガラスを通して検鏡することを念頭においた設計です。Planでもないし,もちろんApoでもありません。像面湾曲は残っていますし軸上色収差もかなり盛大なものです。

このレンズを用いてRGB分解撮影を行って軸上色収差を補正しています。するとApoに匹敵する絵になりますし,NA=0.55のピントの深さによりプランアポ40x(0.95)では絶対にできない作画ができます。使った感じではこのレンズの球面収差は素直な感じがするので可視波長の範囲では三色分解撮影してもおかしなことにはならず,むしろ,黒バックにすっきりとした絵になるというのが結論です。

こういったことは理想的な標本を前にテストしないと決して理解できないものです。素性のよくわかった完璧な標本を前にレンズをテストしていくと,安価なレンズの中でも工夫すれば素晴らしい絵が得られるものもあります。CF LWD 40x 0.55 DIC 160/0-2と言うレンズはたぶん40年ものくらいの古い設計のものですが,いくらレンズの設計が古くても,それは軸上色収差と球面収差のバランスがとってあり,そのバランスの取り方は設計者の生真面目さが反映されています。g線は飛ばして曲げても(球面収差が大きくても)いいや,という設計者もいれば,g線をとばしつつも曲げるのは気に入らないとか,いろいろあるでしょう。

このLWD40xレンズは珪藻程度の厚みのものに適した性能だったので以前から勝負のときにはよく使っています。最近では,『珪藻美術館 ちいさな ちいさな ガラスの世界(福音館書店)』の珪藻画像取得に使いました。暗視野で珪藻単体が写っているページですが,本ページを読むことなく,このページと同じ画像を得るのはたぶん,ふつうの顕微鏡使いには無理だろうと予想します。

他方,普通でない顕微鏡使いには,そのページを読んで,収差の度合を判定して,そこいらへんのレンズで単に撮影しただけではないということを見抜き,その条件探しに入るでしょう。レンズというのは収差が理解されてくると使いこなしも格段に上達すし,やることがいっぱいになってきて,その結果えられる画質はますます向上,ということになるのです。収差論じ体は泥沼のような世界ですが,基本的な収差を覚えて,実際の取得画像の中で判別経験を積んでいけばある程度は収差のコントロールはできるようになります。

本ページでは,軸上色収差,球面収差,像面湾曲,周辺減光,歪曲収差などに関しては日頃から最適化できるように心がけております(画像/MWS)。








2022年5月24日




クリマコスフェニアという珪藻は殻の表面にひじょうに微細な構造を持っていて,本ページでもたびたび紹介してきました。この殻は複雑な構造をしていて,内部には補強構造のようなシリカの構造物があります。きょうの画像がそれで,微分干渉でほんのすこし内部にピントを合わせたものです。肉抜きしつつも強度をもたせるような構造に見えます。橋なんかでこんな感じの構造を見たことがある気もします。珪藻は誰に教わったわけでもないのに最小の材料で高い強度を実現する様々な構造を実現しているように見えます。珪藻の構造を模倣した建築物というのは過去からありますが,3Dプリンターで何でも出力できるようになった現在こそ,珪藻の構造をまねた建築物を作り,その強度の秘密などいろいろなことが分かってくるように思えます。どこかで誰かが研究してくれているといいのですが(画像/MWS)。








2022年5月23日






カザグルマケイソウは国内でもおなじみのものですが,いつでもどこでも出会える感じでもありません。なんとなく海底に沈んでいて荒天のときに舞い上がってくるような感じの印象をもっています。きょうの画像はカザグルマケイソウの二種です。RGB分解撮影+合成と,2焦点の合成です。カザグルマケイソウは波打った感じの構造なので構造を1枚で表現したいときには合成するのも一法です(画像/MWS)。








2022年5月22日






きょうの画像はおなじみのクモノスケイソウ。2つの画像はどちらも同じ倍率で撮影しています。クモノスケイソウは大きな被殻と小さな被殻でこんなにも差があるのです。

珪藻の殻はガラス質で硬く,膨らむことはできませんので,細胞分裂するときは必ずもとの殻の内側に新しい殻ができます。「内側」ですからとうぜん,すこしだけ小さな殻になっています。これの繰り返しで細胞分裂を続けていくと,どんどん殻は小さくなります。でもあるときこの殻を脱ぎ捨てて,ぷーっと膨らんだ大きな殻を作り,サイズは復活するのです。

ふしぎなことは,大きな被殻と小さな被殻でそれほど差がない珪藻もいること。大型種は小さくなる余裕があるのに対して,小型種はそれ以上小さくなれないので,そんな制約が効いているかもしれません(画像/MWS)。








2022年5月21日






サンプリングで相模湾方面に向かうとき,以前は,大船・逗子方面に行くときでも,小田原・熱海方面に行くときでも,東京駅から始発の東海道線に乗れば問題ありませんでした。あるいは東京駅から横須賀線でもよかったのです。それが上野東京ライン開業後に東京駅からの始発列車がなくなり,相模湾方面へのアクセスは格段に悪化しました。

たとえば朝に東京駅から小田原以遠に向かうときには「熱海行」の列車に乗らなくてはなりません。この列車は宇都宮とか籠原とかとんでもなく遠いところが始発で,東京駅到着時点でぎゅうぎゅう詰めになっています。しかもひどいことに通常15両編成のところを,いちばん遠くまで行くいちばん混んでいる列車を10両にしているうえに,熱海行きは20分に一本しかないので,あらゆる駅で客が待っており,どこまでいっても空くことがありません。

たくさんの乗客と密着しながら重たいリュックを抱えて一時間も二時間も立ったままということになります。実際,東京から乗り込んで平塚で奇跡的に座れたこともありましたが,多くの乗客は小田原付近まで立ったままでした。サンプリングでは3時間ほどかけて10km歩くことも珍しくないので,こんな電車に乗っていたら現場に着く前に疲労困憊になってしまいます。ほんとうにひどい,ふざけたことですが,JR東日本としては短い編成の列車を遠くから直通させることによって,常に満員を達成でき,乗客を家畜以下と思っているこの会社としては「大成功」なんだろうと思います。

最近は日光線で朝のラッシュ時に車両数を減らした上に,運行本数も削減して,輸送量を50%も削減して地元の通勤通学客が満員であふれるような嫌がらせをしていますし,東北本線でも黒磯方面で運行本数を削減して,なんと16時台には一本も列車が走らないということになっています。いくらなんでもひどすぎる,と筆者は思いますが,最近のJR東日本は,「列車を走らせたくない鉄道会社」になっていて,確信犯的に利用者に迷惑をかけ続けています。ほんとうに不思議な会社ですね。

そんなわけで,サンプリングに向かうにもグリーン車に乗るしかありません。良質なサービスを継続して提供してくれている会社なら喜んでグリーン料金も払いますが,列車をぎりぎりまで減らして混雑する状況を作り出しておいて,着席したければ金払えといわんばかりのJR東日本のグリーン車には,なんか課金したくないですね…。これから小田原方面に用事があるときは,極力,JR東海(新幹線),小田急(ロマンスカー)に課金しようかと思う今日この頃です(画像/MWS)。








2022年5月20日




コンデンサはなるべく斜入射にして(=高NA),対物レンズはなるべく低NAにすると,暗視野をバックに多くの珪藻が鮮やかに色づきます。対物レンズは4倍(NA=0.1),10倍(NA=0.25)を用いて,コンデンサはNA=0.9程度を使うとよい結果が得られることが多いです。倍率をあげて開口数が大きくなると珪藻の色づきは薄くなっていき代わりに微細構造が見え始めます。

しかし一部のひじょうに細かい構造を持っている種や複雑な立体構造をしている種では開口数が大きくなってもなお暗視野で色を見ることができます。きのうのドラヤキケイソウもそうですが,きょうのササノハケイソウ(Nitzschia)もその一例です。有明海の干潟の上にいた大型種ですが,40倍LWD対物レンズ(NA=0.55)でみても深いブルーの輝きを見ることができます。なんともいえない色合いで,ついぼーっと眺めてしまいます(画像/MWS)。








2022年5月20日(2)






19日は大潮でしたので相模湾方面へサンプリングに出向きました。干潟の珪藻(ギロシグマなど)と,海藻類に付着している珪藻を狙ってのサンプリングでしたが,磯焼けしているところが多く紅藻類が少なく,よいサンプルが採れそうな場所はごく限られたところか,潜らないとダメな感じでした。

しかし現場は風も穏やかで気温もちょうどよく,平日なので人も少なく,マスクを外して潮風をいっぱい吸い込みながら海岸線を歩き,日光も浴びてビタミンDもできて有意義な一日でした。

画像二枚目は筆者のサンプリング時の食事の取り方。リュックの中にゴハンとおかずを広げてそこにお箸を突っ込んで食べます。これが海岸での基本的な食事の方法。なぜこんなことをするのかというと,ふつうに食べていると, こんな ことになってしまうからです(画像/MWS)。








2022年5月19日




あらたに制作した標本を使って暗視野撮影の練習。ドラヤキケイソウ(Hyalodiscus)を40倍対物レンズで撮影。この色やピント深さを表現するための最適な機材の組合せがあります。しばらくやらないと忘れてしまうので,たまに撮影して画像品質をチェックします(画像/MWS)。








2022年5月18日




ひじょうに残念なことに都内ではターャジスが絶滅危惧種になっています。あんなにみんなを喜ばせたものが社の方針で除去されるというのは納得いきません。地方ではまだ生き残り組があるとのことで広島県尾道市のターャジス警察からご連絡をいただきました。そのうちにドクターイエローよりも貴重なものになりそうです。いずれ絶滅することは確定しているので,皆さん,カメラに収めるのは今のうちですよ(画像/MWS)。








2022年5月17日




こんなものを作ることを仕事にしてだいぶ年月が経過しました。当初は鼻歌交じりに?気楽に並べていたような気がしますが,年々,「ひょっとして自分はとんでもない恐るべきことを仕事にしてしまったのでは?」と思うようになってきています。たぶんその理由は,常に最上のものを作ろうとしているからのような気がしています。開業当初は並んでいるだけで嬉しくて,まだまだいろんなことがコントロールできていませんでした。しかし現在は並べる技術はもとより,ガラス基板の状態や封入剤との接着性,封入時の平面性,珪藻被殻の状態,封入剤の浸透率,扱える珪藻や放散虫の種数,視野のクリアさ,落下物粒子の数,標本の耐久性など,あらゆる項目について「最上」を目指しておりコントロールしています。するとたった数個の珪藻被殻を並べるだけでも,作業工数は過去とは比較にならないほどのものとなるのです。

これらの取り組みによって製品のレベルは格段に上がりました。顕微鏡観察の上級者ならその違いに驚くくらいの差があります。そういうものを作ってしまったので,これからも作り続けないといけないことになっています。品質の低下だけは避けなければなりません。

そこに新型コロナです。相変わらず家庭内のゆるい隔離は続いており狭い当室ではこれが標本製作の障害となります。簡単に言えば「時間が足りなくなる」ということです。時間が足りないなら,何日も何週間も何ヶ月もかけて一枚の標本を作ればいいのでは?と思うかもしれません。確かにその方法もあります。しかしその方法には致命的な欠点が一つあります。それは,製作途中の標本が外気と触れる時間が長くなるため,どうしても落下物粒子による汚染が避けられないのです。日本は一年を通して黄砂が降り注いでおり,ディーゼルやガソリンの内燃機関の燃焼ガスも都心では普通ですから,カーボンその他の落下物が常にあるのです。そのサイズは1/1000mmといった感じのもので,製作作業中に掃除して取り除くこともありますが,珪藻が50個以上並んだ大型標本ともなれば,中心部に落下した粒子の除去は困難です。

このレベルの粒子除去はおそらくHEPAフィルターを使っても無理だと思います。空気清浄機を使うと風が起こるのでそもそも珪藻を扱うことはできませんが…。

究極のものを作ろうと努力すればするほど困難な壁がつぎつぎと出てきて,同じものを作っているのに作業は飛躍的に難しく時間のかかるものとなってしまいます。本当に恐るべき仕事です(画像/MWS)。








2022年5月16日




15日は標本撮影の仕事。撮像素子に対して最適な倍率で投影して,暗視野で珪藻の色を鮮やかに出そうとすると必要なレンズの組合せは膨大になるので,あっというまに机の上がレンズ類で埋め尽くされます。顕微鏡も組み替えないといけませんし。これ,本当に手間がかかります。「面倒くさい」という言葉はあまり好きではないので使いたくないですが,でもめんどうです。。どうにかしてもっと効率的な運用ができないかと思うのですが,そうすると,専用の顕微鏡を増やす,という方向しか解がなく,顕微鏡だらけになってしまいます。するとこんどは置き場がなくなってしまいます。難しいものです(画像/MWS)。








2022年5月15日






14日は発送2件,振込関係4件,レターパック40部購入,などの関係でひさしぶりに都内散歩。雨上がりの曇天だったのでカメラもおともに連れて行きました。カメラのホワイトバランスの設定は「曇天」にします。決して「オート」を使ってはいけません。曇天の空は太陽光が拡散光に変換されて,しかも大面積の無影灯ライトみたいな感じで,じつにマイルドで撮影的にはよい条件なのです。むかしから写真をやっているカメラオヤジは曇天の空が大好きなのです。

きょうの画像はそんな散歩中の二枚。一枚目は立花隆さんの猫ビル近くのマンションの生け垣。雨上がりの曇天だとマンションの生け垣でもみずみずしく写ります。二枚目は文京区内の古いマンションの基礎部分。なぜかこのマンションの基礎部分は一面に苔むしていて,カビとか大丈夫なんだろうかと心配になりますが,いつみてもコケがきれいなので撮影してしまったもの。これも曇天の空に照明されて素直な緑が表現されていて目に優しい感じがします(画像/MWS)。








2022年5月14日




つい最近納品したスライドに入っている放散虫個体。4枚の画像を比較暗合成してネガ反転,コントラスト調整で表現。深度合成ソフトを使っていませんが初心者の習作くらいの画像はできます。この放散虫はバルバドスのサンプルですが,ついに散布スライドの調製試料がなくなりました。また原料から処理しないと,あのニセ散布スライドは作れません。ニセ散布スライド(バルバドス)は大変好評で数量も出たので今後も供給する予定ですが製作には時間がかかりますのでお客様にはお待ちいただくことになりそうです…すみません(画像/MWS)。








2022年5月13日




スーパーオオゼキにはいまでも富山湾産ホタルイカが入荷しています。そろそろシーズン終わりなのですが有り難いことです。夕食後にカミさんがコレをぶら下げて帰宅するので,このホタルイカは筆者の晩酌のお供となります。一ノ倉を顕微鏡集中講義の受講者から頂いた湯飲みに注ぎ,電子レンジでチンしてぬる燗にして,ホタルイカをいただきながら本日の画像を更新するわけです。

これは日常の一コマでもあるわけなのですが,どう考えても徳川家康どころではない贅沢な暮らしをさせてもらっています。筆者はテレビも持たず,携帯電話もスマホもいじったことがなく,自動車とも縁がない人間ですが,それでも,毎日健康な暮らしができて,食べたいものが食べられて,飲みたいものを飲んで,やりたいことをやって暮らせるだけで,ほんと感謝の念で一杯になるのです。

世の中あれもできないこれもできないと不満たらたらの方々もおられますが,どうしたらそんなメンタルになるんだろうと思います。不満が不満を呼ぶような生活をしてもストレスが溜まるだけでよくありません。こんなに恵まれた世の中で暮らしていけるのですから平和を噛みしめて,健康で生きていること自体に喜びを感じた方がオトクだと思うのですけれども。

こんなことを思うのも,2004年から2006年にかけて絶不調の時期があったからなのかもしれません。体調を崩して毎日がつらく病院に行っても原因は分からず,研究員もやめて無職になってしまいました。

あとから振り返れば,結婚して食生活が変化して,甘いものを常食して,野菜の摂取量が少なく,炭水化物と脂質過多の生活がビタミン類などの不足を招き,あらゆる体調不良を引き起こしていたのでした。原因追及は困難を極めましたが,2007年春に砂糖を一切食べない,甘いものを(果物以外)食べない生活をスタートして,野菜を増やして,魚を増やして,油を減らして,炭水化物はお米優先にして粉ものを減らして,海藻を増やし,きのこを常食するようになって,たちまち体調は回復しました。

あー人間は食べたものからできているんだなあというのを知識として知ってはいましたが,うまく活用できていなかったことに「バカだったなー」と思いました。

大学生の頃,あるスーパーに入って買い物をしていたとき,「人間はたったこれだけの食材で生きていくんだ」と驚いたことがありました。つまり,これらの食材で何十年も健康が維持できるんだ,と。しかし具体的にその食材をどのような頻度で購入してどうやって食べれば健康が維持できるのかは,どこにも書いていないし,教えてもらっていないし,手探りするしかありません。それでも若いウチは無理がききますが,結婚してカミさんの影響で甘いものを多量に食べるようになり,太り,食生活が変化したことで,たった4年半で身体が壊れたのでした。

よく,中年になると疲れやすくなるよとか身体が思うように動かなくなるよとかいいますが,たぶんそれは偏食により徐々に身体が悪い方向に行っているサインかもしれません。筆者は30代よりは40代,40代よりは50代の方が総合的に見て体調がよいように感じています。自分の身体に合った食生活を見つけたからでしょうか(画像/MWS)。








2022年5月12日






そのむかし,サバの水煮は品質の差がけっこうありまして,煮汁に浮かぶ魚油が黄変して食べるとお腹が痛くなるものもありました。しかしこの10年ほど,そのようなひどい製品はすっかり見なくなり,各メーカーさんのどのサバの水煮も品質良好になっています。とてもよいことです。

そうなってくると,サバ缶の煮汁を捨ててはいけません。これはDHA豊富な滋養に富むものなので,茶碗に受けて,そこにネギを放り込み,すこし水で薄めて電子レンジでチンすれば,サバカンネギスープのできあがりです。ネギがない,という場合はコショウを振って下さい。格段に風味がよくなります。

よく煮汁を切ったサバ缶の身はスプーンなどで潰してたっぷりのコショウとマヨネーズ少々でよく混ぜておきます。このサバ缶ドレッシングをレタスにのせて食するといくらでも食べられます。マヨが嫌いな人はマヨを入れなくてもOK。コショウは必須。なければ刻みネギか,タマネギスライスを混ぜるとよろしいです。お好みでわかめを加えてもよろしいです。

このサバ缶サラダ的な食べ方は大学生の頃に開発したもの。当時はよくツナ缶を食べていたのでツナ缶で作っていましたが,それより安くてボリュームもあるサバ缶でも風味調整すれば十分使えることがわかり現在に至ります。一人暮らしの方などにはサバ缶は便利な食材です。栄養も豊富だし,野菜と一緒に食べておいしいし,どこでも手に入り,保存もできる。こんなに優れたものを常備しない手はありません。当室には常時10個くらいのサバ水煮の缶詰が在庫しています(画像/MWS)。








2022年5月11日




『このあな なんじゃ(ひがたのいきもの へん)』は子どもが楽しむと同時に大人の認知機能テストにも使えるという恐ろしい絵本だったわけですが(*1),なんとなんと,これの続編が出ました。それがきょうの画像の右側。『このあな なんじゃ(つちのなかのいきもの へん)』です。まだ発売前ですが編集者さんから恵送いただきました。ありがとうございます〜。

それにしても驚きました。『このあな なんじゃ』は木村妙子先生の単発の作品だと思っていたので,まさか続編が出るとは思いもしませんでした。でも考えてみれば,土の上にもいろんな穴ぼこがあるわけで,なるほど同タイトルで続編が出来上がってしまうわけです。そして前作と今作の表紙をじっくり見ると,最初から続編を作ることが想定されたデザインになっています。この辺りは編集者の腕前というべきか,さすがです!

さて つちのなかのいきもの へん の中身ですが,これはもう安定の品質という感じです。みぞぐちともやさんの独特なわかりやすさの絵と仕掛け絵本の工夫で大人も子どもも楽しめます。筆者はひがたのいきものではハズレを連発しましたが,つちのなかのいきものにはちょっとした経験もあったのでほとんど予想できました。小学校1年生くらいの頃に泥だらけになって裏山を這いつくばって虫取りした経験が,中年オッサンになってもなお役立つことを『このあな なんじゃ』で再確認することができました。有り難いことです。

『このあな なんじゃ(つちのなかのいきもの へん)』はまもなく発売です。『このあな なんじゃ(ひがたのいきもの へん)』とあわせて購入して知人のお子様向けのプレゼントなどいかがでしょう。ひじょうにこだわった作りの本で丈夫です。なんじゃなんじゃと仕掛けを開くときの瞬間がたまりません。「なんじゃ」という言葉をタイトルにしたのは大正解な気がします。こういった語感は大事ですね。

『このあな なんじゃ』はシリーズで持っていた方が面白いと思います。amazonさんのリンクも掲げておきます。 こちら と こちら です(画像/MWS)。



*1 この記事を書こうとひさしぶりに『このあな なんじゃ(ひがたのいきもの へん)』を読み返したところ,ほとんどの情報は筆者の脳みそから揮発していて,認知症状,記憶力の悪化が進行していることが判定されました。構成が単純な絵本だけにごまかしはききません。こんなかんたんなパターンすら記憶が定着しないようです。。これが年をとるということなのか。これからも加齢の判定材料として役立ちそうです(笑)。




2022年5月10日




きょうの画像のような太陽の反射光から海底の反射光までが含まれる輝度差の大きい被写体は,そのむかし,フィルムカメラにカラーネガフィルムを入れて撮影している分には何も考える必要はありませんでした。ネガカラーフィルムはとんでもないラチチュードを持っていて,暗部から輝度の高いところまで,「それなりに」再現してくれるものだったからです。そのことの詳細については,有名なサイトの店主が こちら で説明してくれているのでごらん下さい。

デジタルカメラの場合は通常ラチチュードはうんと狭いので,このような場面を撮影するには多少の工夫が必要です。撮影画像をガンマ補正してみやすい絵にすること,カメラに搭載されているダイナミックレンジを広げる方法を試すことなどです。もしHDR(ハイダイナミックレンジ合成)モードがあれば,ぜひそれを試すべきです。きょうの画像はNikon1J5のHDRモードで撮影したもの。水面での太陽の反射光と水中の海色が同時に再現されています。

写真はスマホからはじめた,という方々も多いことかと思います。現在のスマホにはほとんどHDRモードが標準搭載されていて何もしなくても勝手にHDR合成の画像を作ってくれます。ので,きょうの画像のような風景を写すと,無設定のデジタルカメラよりもスマホの方がきれいに写るということが起こります。それを何も知らずに過ごしても幸せですが,画像表現の幅をもたせるためには,きれいに写っている原因を知っておくことも大事でしょう(画像/MWS)。








2022年5月9日






サンプリングで得た試料は検鏡の結果あまりよろしくないかんじでした。海藻類の付着珪藻は数が少なく,すこし前に海が荒れて洗い流されたようでした。泥っぽいところから採集したサンプルにはプレウロシグマが少数いましたが一回の処理で果たして何被殻とれるか…という感じでした。珪藻は水のあるところならたいていどこにでもいますが特定の種を狙って大量に採取するとなると話は簡単ではありません。

気のせいかどうかわかりませんが開業当時と現在を比較すると近県でのサンプリングの効率は格段に低下した感じがしています。空振りが多いのです。こうなる原因にはいろいろあると思いますが,磯焼け,海水温の上昇,異常気象による荒天,人為的な攪乱などが思い当たるところです。多様な珪藻が入手できないと筆者の仕事は成り立たないので,どうかこれ以上の効率低下は起こらないで欲しいところです(画像/MWS)。








2022年5月8日




だれもいない郊外の農村に出かけて息抜きしてきました……それがきょうの画像,というのはウソで,この画像が撮影されたのは上野公園,不忍池です。「写真」は真実を写したものではありますが,それを掲載する人間はいくらでも作為を紛れ込ませます。まして銀塩フィルムは「写真」といえたかもしれませんがデジタル時代では撮影された時点ですでに加工されたものなので「写真」というよりは「デジタル記録」という感じがします。

写真にしろ画像にしろ部分を切り取ることは容易です。部分を切り取ることによって真実を表さないことになる可能性もあります。本ページの読者はハイセンスの方々ばかりなのでだまされることもないでしょうが,ネット上,SNS上には,出所不明の画像が添付されているだけで真実と思ってしまう純朴な方々がおられます。世の中には悪意に満ちた情報もふつうに流通しているので,だまされないようにしたいものです(画像/MWS)。








2022年5月7日




なんと近所の石材店にこんなものが。筆者は自分の墓は不要と思っているタイプの人間ですが,コレは欲しいかも。墓石の代わりにコレを置けば訪問する人も楽しいよね(画像/MWS)。








2022年5月6日






きのうも掲載したこの貝を現場で見て,ウミニナの仲間っぽいな,思った自分にすこし驚きました。貝類はほぼ勉強したことがなく,図鑑も2冊くらいしか持っていませんし,それを最後に開いたのはおそらく20年前くらいのこと。市場に並ぶような貝はみてわかりますが,それ以外の貝の名前はほとんど頭に入っていない気がします。にも関わらずウミニナっぽい感じがしたのは,ひょっとすると 干潟ベントスしたじき を日々眺めていた成果なのかもしれません。

覚えるという動作は不思議なもので,一生懸命おぼえようとしても,翌日にはすっからかんになっていることが珍しくありません。その一方で,覚えようとしたこともないのに,絵を見た瞬間に魚の名前が浮かんできたり,貝の名前が浮かんできたりすることもあります。たぶん,日々ぼーっと眺めていると自然に頭の中に入るんじゃないかと想像しています。

そんなわけですから,干潟ベントスしたじき はマジおすすめです。大人はもちろんのこと,お子様にも最高のプレゼントかと思います。これを日々使っていると知らず知らずのうちに干潟の生き物が脳みそに浸透します。そして現場で使える耐水性の下敷なので,干潟に行ったときの答え合わせもできますし,逆にこの下敷に載っている生物探しゲームを干潟で行うのも面白いと思います。

今年も大潮で昼間の干潮が幾度となくあります。近年ではよく潮が引く予想となっていて海辺で遊ぶには最適時期です。ぜひ皆さん干潟ベントスしたじきを持って干潟にGo! なのです(画像/MWS)。








2022年5月5日




れんきゅう初日(3日)はホヤの夕べだったのですが,4日は大潮なので仕事です。2年ぶりに相模湾方面にサンプリングに出向きました。ちょうどカミさんも休みだったので助手として同行願いまして,その代わりに,アジ寿司とアジフライで定評のあるお店に誘導しました。。

干潮は12時半だったので現地でサンプリングを行い,それから昼食。後に他のサンプリング地点を回りながら夕方まで歩きました。昨日は都心を歩き回って2万歩(14km),きょうはサンプリングで1.8万歩(12km)。ふだん顕微鏡デスクの前から動かない筆者にはかなりのオーバーロードでした。でもまあ,帰宅して相模湾のお土産とともに一ノ倉でも飲めば疲れもとれるというものです。

きょうの画像はたぶんウミニナの一種。干潟などで淡水と海水が入り交じったところなどで見られます。こういったところは生産性も高いので干潟の珪藻が採取できる可能性もありよいところです。相模湾では東部でも西部でもウミニナは見られますがそこで採取できる珪藻は異なります。地道に目的の珪藻,たとえばギロシグマとかプレウロシグマとかがまとまって採取できるところを探さないといけません(画像/MWS)。








2022年5月4日




お世話になっている先生から,近所のスーパーにホヤが入荷との情報。これがタダのホヤではありません。朝どれの石巻のホヤが午後には近所のスーパーに並ぶという話なのです。なぜそんなことが可能なのかというと,だいぶ前から,こんな 感じの取り組みが東北,北陸方面ではじまっていたからなのです。ただ,この手の商品はお高い料亭に行くのが常で,筆者には縁がないものと思っていました。ところが朝のメールで先生いわく,石巻の朝どれのホヤが新幹線輸送で近所のスーパーにならぶとのことなのでした。なんということでしょう。

3日は郊外にでも散歩に行こうかと思っていましたがなんとなく方針変換。当室から春日,根津,上野に歩いて買い物を済ませ,上野から御徒町,本郷,後楽園と歩いて買い物を済ませて,茗荷谷,新大塚と歩いて用事を済ませて,ホヤのあるスーパーに到着。なるほど一目見て鮮度の高いホヤの色です。同時にカキも入荷していました。

両者を購入して食べましたが,ホヤは文句のない鮮度のもの。ただ,朝どれはちょっと言いすぎかな,という気もしました。前日取れて朝に箱詰め,という感じかなという推測。カキも朝どれではないですね。水揚げは済ませていて,鮮度のよいものを朝に出荷,という感じでした。

そんな講評ができるのは石巻の漁師さんから直送でカキを送ってもらったこともありますし,気仙沼で朝どれのホヤを目撃したこともあるからです。でも,今回の品物はどちらも生きている新鮮なものでしたので現地で食するのと遜色はまったくありませんでした。連休で東北にでも行きたいなーと思っていたら,東北からカキとホヤがこっちに来たのでした。有り難いことです。

ホヤはすでに調理済みのものを買いましたが,下に敷いてある海藻が乾燥品を戻したものでちょっとダメダメだったので,当室御用達のわかめとキュウリ,それに馬路村のポン酢しょうゆで食しました。まことに明るい味わいで,ホヤ二個分がすぐに消えてなくなりました。もちろんなくなったのはホヤだけでなく,「八海山」と「一ノ倉」も同時に消えたのです (画像/MWS)。








2022年5月3日






きょうもホタルイカがんまい。富山湾産のものですが,画像1枚目をみて鋭い人ならおわかりのように,ほんのすこしだけ鮮度が低いです。なんていうか,色がやや暗く,手触りではぬめりが出てきて,すこし柔らかくなっています…。このまま生食で食べられないことはありませんが,鮮度を気にしながら食べるのは馬鹿らしいので調理します。

小鍋にお湯を沸かして塩を入れ,ホタルイカを投入して30秒ほど茹でます。これをざるにあけて水を切ります。その間に小鍋にバター,こしょう,しょうゆを入れて火にかけて水分を飛ばします。完全に水気がなくなり焦げ付く寸前のところでホタルイカを投入して15秒ほど転がします。これでできあがり。すでに湯通しは終わっているのでソースを絡めるだけでOKです。湯通しで劣化成分は洗い流されているので風味はよくなり,身も縮みませんし,水分も出ませんし,よいことばかりです。

生食するものは鮮度が今ひとつと感じたら一手間加えるのがよろしいです。おいしくないものを我慢して食べるより,ずっと気分もよろしいですし,衛生上もよろしいのです(画像/MWS)。








2022年5月2日




テストプレートを販売している関係で十数種類の特定の珪藻を多量に消費します。たとえば100枚出荷したとなると,ジュウジケイソウが100,ハネケイソウが100,メガネケイソウが100…というように消費するわけですが,それだけの数の珪藻を常にそろえておくのはじつに大変なことなのです。きょうはライレラが足りなくなってきたので補充のための拾いだしをしました。

拾い出しのついでに新しく作った毛先のツールを試しました。筆者はなぜか耳の穴の中から2本だけ毛が伸びてくるのですが,この毛の特性がずっと気になっていました。それで伸びるたびに採取を試みていましたが毛を折ってしまったりカールさせてしまったりとうまくありませんでした。ところが先日,毛根付近が折れた以外は問題のない毛が耳の穴からとれました。さっそく顕微鏡で見ると状態は良さそうで,毛の硬さを指先で調べるとまゆ毛よりも硬そうです。この硬くてコシがあって先が尖っているという毛は少ないのです。

早速エタノールで脱脂してピアノ線に接着しました。一日乾燥させて,お気に入りのシャーペンにセットしてできあがりです。使ってみるとやはりコシと硬さのバランスがよく,ガラス板に貼り付いて取れなかった珪藻を外すこともできるようになりました。珪藻を拾うには「耳毛」が最適です(笑)。

それにしても,珪藻いじりに最適な毛先がまつ毛やまゆ毛でよかったと思います。耳毛も許容範囲かな。もし「陰毛」とか「ケツ毛」だったりしたら,『珪藻美術館 ちいさな ちいさな ガラスの世界』という格調高い本の中に,筆者のあそこの毛が最適なのです!などとは書けませんよね…。わはは。実際試したこともありますが,陰毛も腕の毛も足の毛もコシが弱くて不向きな感じがしました…(画像/MWS)。








2022年5月1日




ながねん商売を続けているといろいろな方々に助けていただいたり,情報を頂いたりする場面も多くなります。有り難いことです。きょうは予告なしにウチのポストに六角レンチのイモネジが放り込まれていました。このイモネジを利用するとニコン顕微鏡の心出し工具ができるのですぐに作りました。それがきょうの画像の真ん中。今まで予備がなかったのでじつに助かりますし,心出し工具は通常3方向から心出しするので,工具も2本あったほうが効率的なのです。

このほかにも,とつぜん読者から著名なお店の煎餅が届いたり,砥石が届いたり,LEDが届いたり,地酒が届いたり,干物やしらすが届いたり,DC-DCコンバータが届いたり,ピンセットが届いたり,オリジナルデザインの手ぬぐいや箸置きが届いたり,著書が届いたり,といろいろあります。これらのような時に匿名の善意の頂戴物があるばかりでなく,筆者とひさしぶりに対面する来客が両手に一杯のお土産を抱えて登場したり,燗酒がおいしそうな湯飲みをお土産に来訪したりして,ただ蛸壺の中で本ページを更新し続けているタコ筆者としては有り難いやら恥ずかしいやらという気もします。

きょうの画像もイモネジだけでなく,隣に移っているクラブラメールの腕時計は開業当初からお世話になっている最高峰レベルの顕微鏡使い手さんのご助力によって入手できたものですし,背景のZEISS書類ケースもこの十年以上お世話になっているカールツァイスの卓越した技量をもつマネジャーのところに訪問時に記念に頂いたものです。

筆者はなんにもしていないのです。でも,なぜか,ニコンさんとか,オリンパスさんとか,ツァイスさんとか,ライカさんとか,キーエンスさんとか,三啓さんとか,メイジテクノさんとか,他にもいろいろとあるのですが,たくさんのメーカーさんとの関係ができて,助けていただくことも多いのです。個人,法人の区別なく,当方の活動に注目して下さる方々には,ほんと,この誰にも知られないような小さな業界の仕事を見つけて下さってありがとうございます,という他はないのです(画像/MWS)。









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