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2023年12月31日








ことしはとにかく働きました。2015年頃から,まるで標本制作を妨げるかのように,出版依頼やいろんな仕事が秋〜冬に舞い込んで時間がなくなり,精密な作業ができないことが多かったのです。それでも放散虫を中心に標本制作は継続してきました。2019年はイベント協力と出張講義でけっこう消耗しました。2020-21年は新型コロナ騒ぎで顕微鏡に囲まれて寝袋で寝る生活となり,ホコリ,チリ対策ができずに標本制作数は減りました。しかしいつまでも状況にのみ込まれても仕方がないので,2022年は技術開発の一年として,今後,比類なき最高峰の標本を継続して作るにはどうしたらいいのかを検討し続けました。これはケンプさん亡き時代に珪藻を並べ続ける筆者の責任のようなものでもあります。結果,放散虫の最高級スライドの制作もできました。

そして2023年,つもりにつもった「満足に仕事ができない」ストレスを開放するかのように,1月からサンプルいじりを続けました。今年の販売点数からわかるように,これだけの販売数をそろえて,そしてそれがチリひとつない世界最高峰の標本とすると,自分で言うのも何ですが人間業とは思えません。企業案件や特注品も含めるとさらに数十枚制作しています。これを写真撮影や販売も含めて全部一人で作業しているので作業量は膨大になります。マジ大変です。

しかし自宅兼用仕事場なので通勤時間はないし,疲れたらいつでもお布団で横になれますし,自分で作った栄養満点の食事をとることもでき,カミさんが毎週買ってきてくれる一ノ蔵・無鑑査を大量に呑んで「もうこれ以上は寝られない」と思うまで存分に寝ることもできています。

ので,なかなか忙しいのではありますが充実しているといった方がよろしいかもしれません。筆者は仕事ができないストレスと仕事が忙しすぎるストレスを比較すると,前者のストレスが嫌いなので何かをしていたいのです。今年はそれがけっこう実現した一年だったかもしれません。ただ,身体的にはどうだったのかはわかりません。2021年と2023年の画像を見比べると,後者の画像で白髪が大量に増えています。この白髪増加は今年3月の時点で確認されているもので,その後にまともに仕事ができたので,増加が食い止められていればいいかなーとちょっと希望的な気分。

今年の制作物は過去のものと比較しても上位に位置するものです。Jシリーズは生まれたときからけっこう宇宙的だったのです。でも一桁番台などのものは,破片は入っているし,気泡が残っているし,現在から見ると完成度が低いものもありました。それが100番台くらいから改善し,200番台からまた変化して,500番台からまた違うものになり,600番代以降はまた次元の異なる完成度に近づいているのです。

これ,自画自賛ではありません。背景の漆黒の闇をみていただければそのことはご理解いただけるかと思います。そして現時点でも,まだまだ実現できていない課題が山ほどあります。Jシリーズはこれからどこに向かうのでしょうか。それは作っている筆者もわからないのです。

今回,うんよくJシリーズを入手できたみなさま,年末年始の顕微鏡ライフのお供に,ぜひともご活用下さいませ。本年は本当にお世話になりました。ありがとうございます(画像/MWS)。








2023年12月30日






ねんまつの「吉池」なんて戦場のようなところなんだけれども,でも一年の疲れを回復せしめるためにはアジフライが必要なので出向きました。当室から歩いて御徒町まで。予想通り大混雑。レジには20人を超える長蛇の列。これを9分以内に捌くのですから吉池のスタッフは超優秀です。そして無事にゲットした巨大なアジフライを魚焼きグリルに入れて弱火で加熱。パン粉が焦げないように,しかしちゃんと温まるように表裏を加熱します。これにからしを塗ってしょう油を滴下してがぶり。いやー吉池は期待を裏切らない。これは「優勝」です。アジの身質が最高です。そして一枚で充分満足できるボリューム。何もかもが最高のアジフライです(画像/MWS)。








2023年12月29日




ことしのJシリーズのテーマは「色」でしたが,入手して顕微鏡にセットすれば望み通りの像が見えるわけではありません。暗視野でも暗視野でも,使用対物レンズ,コンデンサの選択,絞りの設定やスリットの自作,いろいろやることがあります。何をすべきかは観察眼のある人ならわかります。あーこうすれば色が濃くなるとか,こうすると色がなくなるとか,法則性を見つけられます。

とうぜん,光学技術者であればその辺りはお手の物でしょう。分光学の大家,テクノ・シナジーさんは こんな 作例と こんな 作例を披露されています。筆者の販売ページの画像と比較しても同等かそれ以上に見えます。機材を最適化して照明条件を見つけないと得られない画像です。さすがです。

…と感心していたところ,さらに度肝を抜くような画像を披露されています。 こちら の画像なんですが,追い込みが素晴らしい。こんな風景を見てみたいです。でも売ってしまった…。自分用に作るか〜(画像/MWS)。








2023年12月28日








27日は都内の大学で納品とデモ・研究交流の時間でした。ずいぶんひさしぶりに大学の中に入りました。本ページの読者の中にはかつて在学し,懐かしさを感じる建物もあるでしょう。用件は特に明示されてはいなかったので何をしたらいいのかわからないのでケンプさんの標本とJシリーズそれにコンデンサ2種を持ち込み,珪藻アートの何たるかをデモできる程度の準備はして行きました。まぁそれが当方の仕事ですからね。

結果,大学院生,研究員,初対面の教授先生とこの上ない充実した時間を過ごすことができ,顕微鏡さえいじっていれば上機嫌の筆者も最良のときを過ごしました。1,2時間くらいかなと思っていたら昼過ぎに入室したはずなのに外はすっかり暗くなっていました。

そのあとに浜野顕微鏡に出向き,浜野社長は不在でしたが店の前で物納だけでもと担当者さんが出てくるのを待っていると,奇跡的に浜野さんが帰還。ほんの数分だけ立ち話して今年のテレビ収録でお世話になった御礼を渡すこともでき,滅多に人と会わずに暮らしている筆者にしてはじつに充実した時間を過ごすことができました。きょうお相手下さったみなさま,本当に楽しかったです。ありがとうございます(画像/MWS)。








2023年12月27日




Jシリーズのあたらしい標本たちはそろそろ新天地に着いてご主人さまに迎えられ,しっかりとその姿をみてもらい,その後に温かいお部屋で大切に小箱に収納されて,すやすやとお休みになっている頃でしょうか。制作者は数分から数十分しか見ることのできなかった標本たち。これからは各地で末永く人目を楽しませてくれることと思います(画像/MWS)。








2023年12月26日




なんとかがんばって,直接手渡し分の標本以外は発送を完了しました。これで26件分の処理ができたことになりますが,いやーたいへん。珪藻を並べるだけでマジ猛烈な労働&ストレスなんですが,発送の事務作業はそれを超えるひどい作業です。

なぜって?

その理由は簡単です。珪藻を並べるのはもう本当に厳しい超精密作業で疲れ果てるのですが,それでも何か価値を生み出しているだろうと思います。

そのあとに控えている事務作業は何も価値を生み出してはいないのです。発送作業はマイナスの時間なのです。

まぁそれを見込んで収益調整するのが商売なんですけれどもね(画像/MWS)。








2023年12月25日




ずっと発送作業にかかりきりですがまだ発送までたどり着けません。とにかく清拭に時間をとられるのです。きょうは出荷分のスライドを全面清拭するだけで一日が過ぎゆきました。作り溜めた標本は制作後数ヶ月以上経過したものもあり,またすべての標本は写真撮影しているので,どうしても汚れがあります。これを可能な限りきれいにするのですが難関中の難関です。おそらくは,珪藻や放散虫を並べることができる人でも,完璧な「拭き」ができる人はごく一部だろうと想像します。そのくらい難しいです。

明日には発送したいのですがまだ見込みはたっていません。レターパック等の資材はすべて揃っていますが,事務作業に時間をとられます。発送を終えたらメールにて連絡しますので,お買い上げいただいた方々はいましばらくお待ち下さい(画像/MWS)。








2023年12月24日




ことしも何とか販売にこぎ着けて少しほっとしています。昨日のセール以外にも企業案件などもあったので年間制作枚数としてはたぶん過去最高クラスだろうと思います。そしてそれ以上に重要なことは,品質も過去最高だろうということです。

Jシリーズの最大の特徴は何かと問われれば,それは暗視野での「背景の暗さ」に尽きると思います。並べている珪藻の種類や数,デザインなどは二の次で,それらの存在を際立たせる完全な暗闇の「背景」こそが作品を際立たせるもっとも重要な部分なのです。

このことは,過去に存在した珪藻並べの制作者たちの標本を見ればわかります。背景が完全黒バックのものを筆者はまだ見たことがありません。基板には傷があり,固定剤が濁ってみえ,珪藻には汚れや含浸不十分があり,封入剤には微粒子やチリ,ときにはホコリがあり,カバーガラスは汚れや傷があるのが普通です。

これらの問題を排除する努力は,珪藻を並べる労力と比較すると,次元が異なります。

…とここまで書いて,中学生の頃,「美化委員」だったことを思い出しました。役目を果たさないとと思い日々,校舎の掃除に努めていました。

高校に入り,夜間と昼とが同じ校舎だったので,夜間部のチンピラが教室を汚し放題で,朝登校するとポテトチップスとかスナック菓子とかいろんなものが床に転がっていて「なんなんだこれは」の世界でした。しかし誰も気にもしない。

ので,筆者は始業40分くらい前に登校して,誰もいない教室で一人で掃き掃除をしてみんなが登校する前にはきれいな教室になるようにしていたのでした。そうしたら,京子ちゃんとか,香苗ちゃんとか,数人の女子が少し手伝ってくれるようになりました。

古典の年老いた先生が,「8組さんはきれいですねー」と何度も言っていたのが忘れられません。この安達先生は,誰かがこの教室を掃除しているということを見抜いていたのです。ほかにはそれを指摘した先生はいませんでした。

その高校の頃,黒板の使い方がうまい先生がいました。何が上手いかというと,書いたものを綺麗に消すのです。綺麗に消された黒板ならあらたに書かれた情報に集中できます。そのことに気づき,もと美化委員の筆者が朝の掃除に加えて,黒板もきれいにするようにしました。これがけっこう難しく,黒板消しの汚れ具合と滑走角度,蓄積した汚れの落とし方,ノウハウは山ほどあったのです。

そういえばその頃に流行したドルビー,カセットテープのヒスノイズを覗くものですが,あれも教室掃除とか黒板掃除と同じですね。暗黒であるべき背景に不要なノイズがある。だからそれを消そう。背景は透明で暗黒なほどよい,その発想は音楽でもビジュアルでも同じです。

大学に入っても同じで,ラッシュを嫌って朝6時とか5時半とかに家を出て教室に始業70分前に入って黒板をきれいにしたりしていました。

で,こういった感じのエピソードはこれだけにとどまらずに山のようにあるんだけれども,きょうここで書いてみて気づいたことは,筆者はノイズを嫌う特性を持っていて,その特性自体は誰にでもある普通のものだけれども,それを放置せずに行動し続けた,という点が普通の人ではなかったのですね。

ので,開業まもなくNikonさんから,バックがきれいな並べ標本がほしいといわれて,中年オッサンが「よーしやってやろう」と俗世間とは異なる異常なこだわりで完全黒バックに近い標本を実現してしまい,それ以来,Jシリーズは世界最高峰を目指し,そういった評価を得て,それを維持する方向に向かっているのです(画像/MWS)。








2023年12月23日




金曜の夜に忘年会にも参加せず本ページをご覧頂いている顕微鏡ファンの皆様に朗報です。ただいまより今季制作のJシリーズセールを行います。今年は放散虫,海緑石,珪藻を販売いたします。ご購入をお考えの方はお早めにごらん下さい。購入予定のない方も,世界最高峰の多様な世界を画像で見ることができますので,ぜひともアクセスして下さい。

なお,今回販売はJシリーズのみです。ほかのスライドとの同時購入はできません。ご注文はいつものようにメールでお願い致します。セールのページは こちら です。

プロの方がご覧になればお分かりいただけると思いますが,すべて一点もので,価格はつけようがないものです。今回価格の数倍でもまったくおかしくありません。試料そのものの調達が難しいものも多いです。また永年の技術と経験が詰め込まれている点でも貴重です。彫刻家の作品を購入するようなものともいえますが,それらよりはずっと低価格で入手できるのが当サービスのスライドです。ぜひこの世界を生の光でご覧頂きたく思います(画像/MWS)。








2023年12月22日




きのうの画像もきょうの画像も使った対物レンズは CF Plan20x 0.4 160/0.17 です。オプチフォトDICでの撮影です。軸上色収差が感じられませんが,それはRGBごとにピントを変えて撮影してそれぞれのチャンネルを合成しているからです。合成した画像はプランアポで撮影した1枚の画像よりも優美な感じがします。確かめてはいませんが,たぶんそれは,球面収差図の素直さに関連するものと想像しています。アクロマート系のレンズは,軸上色収差は大きいのですが球面収差は小さめのものが多いのです。ので,球面収差が小さなレンズで軸上をそろえればすっきりした絵になるはずなのです。実際問題としてはNAの違いなどいろいろな問題がありますが大枠としてはまぁ,そんなもんかもとも思っています(画像/MWS)。








2023年12月21日




とってもクリアーな世界を実現といいたいところですが微少な破片はどうしても入ってしまいます…。でもまあコレを気にしすぎるとノイローゼになって倒れてしまうので「ま,こんなもん」と思って次に行くことにしています(画像/MWS)。








2023年12月20日




できるだけ完璧なものを作るよう限界に挑戦していますが,それでも瑕疵のあるものはできます。きょうの画像はテスト封入品ですが,カバーガラスの標本面にヒケ,それも顕微鏡レベルの傷が入っています。このレベルの傷は透過明視野では見えませんし透過暗視野でもほぼ段差がないのでコントラスト生成しません。もちろん制作中にはまったく見えません。微分干渉でも回転ステージを使わないと発見できず,位相差でははっきり見えるという厄介者です。

この傷がどの段階で生じたのかはわかりません。ダウンドロー法で作られたD263の基板でも,カット時に飛び散ったガラス片を挟み込んだ状態でカバーガラスは出荷されていることが多いです。特にツァイスの製品はそうです。松波硝子工業と比較してカット技術が全く未熟です。それが傷のもとになりますし,すでに傷が入っていることもあります。

ガラスの粉が表面についているので,これらの影響を受けないようにそっと清拭するのですが,その段階でも傷が入る可能性はゼロではありません。もちろんマウント時には表面チェックを行って傷がないことを確認していますが,位相差までは使っていません。

清拭後のカバーガラスを位相差でチェックしてからマウントすべきでしょうか…。この種の瑕疵の発生率は1/200以下であることがわかっていますが,大物作品で生じれば損害は甚大です。はて,どうするべきなんでしょうか。

念のために付け加えれば,過去に制作されてきた世界中の珪藻アート作品は,たぶん,瑕疵だらけというか,もっとひどいぶん投げたくなるものがたくさんあるかと思います。筆者の作るものが普通と思わないで欲しいです。それぞれの制作者が命をかけて作ってきたものには,それぞれの個性があり価値があります。筆者は珪藻アートというよりも,完全無欠の光学製品を作りたいという動機なので,戦っている土俵が違うのです(画像/MWS)。








2023年12月19日




たぶん回折角の関係なんだろうけれども暗視野で赤を出すのは難しいのです。理論的には回折格子のピッチが連続的に分布しているのなら,色も連続的に出るのだろうと想像するのですが実世界のサンプルをみているとピッチには不連続な面があるのかもとも思っています。ただ,珪藻の殻は単純な薄膜の回折格子とは異なり,ピッチも構造も異なる回折格子の重ね合わせのようなことになっているので,赤色が出にくい原因はほかにもあるのかもしれません(画像/MWS)。








2023年12月18日




Jシリーズを制作するということは,世界でまだ誰も見たことのない風景をいちばん早く見られるということでもあります。これはある意味,制作者にとっての報酬のようなものかもしれません。作業時は照明法が限定されますし写真撮影用の顕微鏡にはセットできないので,完成後の姿はわからないのです。もちろん過去の経験を活かして設計しているのである程度の予想図は頭の中にはあります。しかし完成後に検鏡すると,その想像を超えた世界が広がります。そしてたまには残念な欠陥が見えることも…。きょうの画像はむかしから扱ってきた珪藻ですが,こんな表現ができるとは思ってもいませんでした。経験不足,観察不足を痛感する瞬間であるとともに,「こう見えるのかー」と発見の嬉しさもあるのです(画像/MWS)。








2023年12月17日




どんなデザインを考えついたとしても,それを実現する材料がなければなにもできません。そこが珪藻アート制作の厳しい世界です(画像/MWS)。








2023年12月16日




Jシリーズは基本,暗視野検鏡で完璧な見えを追求するという,光学技術者からみれば「もっとも想像したくない」条件に挑戦し続けているものです。ガラス表面は完璧になめらかな必要がありますし,封入剤や固定剤には屈折率の異なるいかなる粒子の混入も許容できません。空気中から次々と落下するチリ,ホコリ,黄砂などを避けなければいけませんし,もし落ちればその汚染された部分を掃除するか,マウントしたものを全部お引っ越しするかしないといけません。

粒子は珪藻自体にも付着していてマウント作業中も次々と粒子が視野を汚していきます。そうならないように手技をつねに改良していますが限界があります。混入物がない条件を達成できても,こんどは珪藻の選別の問題があります。きのうの記事のように,高いコントラストの珪藻の横に低いコントラストの珪藻を配置すると穴が開いたような感じに見えてデザイン上はよろしくありません。しかし制作時に珪藻を選別しているときは,どの珪藻被殻も乾燥状態で保管されていますので,封入してどのくらいのコントラストになるのかはわかりません。

このようなことがあるので過去の経験値を活かして珪藻種を選別するのですが,コッコネイスの殻はどれも似ていて,これでいいだろうと封入してみるとあれれ,ということになったりするのです。

きょうの画像は極端に高コントラストの超大型珪藻の周囲に,小型でもそれなりのコントラストの珪藻を配置できた例。この組合せを思いつくことが大変なのです。本当に大変です。でも,ここ数日,過去の制作品を眺めて脳内をスキャンした結果,突然に最適解が生み出され,オマエはこれをこうしろ,と脳が命令するのでその通りにしたのです。オレの脳みそは通常は大した指令を出さずだらけたダメ人間であることを受け入れているのですが,たまに覚醒して大仕事をしろ,と命令してくるのです。わはは(画像/MWS)。








2023年12月15日




すこし前にも掲載したこの画像,まん中の珪藻・コッコネイスのコントラストが低くなっています。透過暗視野でコントラストを生じない理由を光学的に考えると,段差などの構造がない,微細構造がない,屈折率が封入剤に接近している,スポンジ状のスカスカの構造のところに封入剤が含浸している,といった条件が思い浮かびます。

さてこの画像をよーく見てみると,コッコネイスの殻の最周辺が光っていません。この部分は段差に相当するので,透過暗視野の光学的特性からみれば必ずコントラストが生じる部分です。ここが光らない原因が構造にあるとすると,縁辺部が刃物の刃先のように薄くなっている必要がありますが,操作している感覚からはそのようなことはありません。

表面が平滑で微細構造があまりない,ということはあるかもしれません。

屈折率が封入剤に接近している,のかどうかはわかりませんが,その可能性はけっこう高い感じがします。しかし通常,珪藻被殻の屈折率は1.43程度のことが多く,顕微鏡用の封入剤であるところの1.5とか1.55とかの種類は見たことがありません。

スカスカのスポンジ状の構造かどうかはポロシティーといいますが,これは顕微鏡で見ながらいろんな屈折率の液体を含浸させてみればわかりますが,みていてそんな感じはしません。

そうすると,このコッコネイスの殻は屈折率が高いのかな,との推測が成り立つのですがどうなんでしょう。珪藻被殻の屈折率は同じ種でも産地によって異なることは筆者も確認しています。種が異なれば屈折率が異なることは過去から知られています。

珪藻の殻の場合,屈折率が高い≒緻密で丈夫 といえます。コッコネイスは例えば河川では洪水が起ころうが何だろうが激流,急流の渓流でも岩に貼り付いて増殖できる種です。そういった珪藻種が殻を硬くしている可能性はあるかもしれませんが,学問はまだその解明まで到達していないかもしれません。

さて,真相はどうなんでしょうか(画像/MWS)。








2023年12月14日




この種の組み付け系の標本がいちばん体力を消耗します。制作中はとにかく玉突き事故を警戒し最小限の操作と力で珪藻と珪藻を接触させます。熱中して精密な操作を追求しようとすると操作時はついつい身体に力が入ってしまいます。これが大変よくないもので,いまから10年前に大物を制作したら翌日から腕がしびれて回復するのに半年かかりました。ほんとうはからだの力みを抜いて,ごく軽い力でするのが良いのです。それを実現するには単に力を抜くのではだめで,心の力も抜くのです(画像/MWS)。








2023年12月13日




あさ起きたら左目にトラブル発生。けっこう巨大な飛蚊症。視野中央ではないのでまぁそんなに悪運でもなかったか。すぐに暗い部屋に移動して目をつむって眼球を素早く動かすと眼内に稲妻が走ります。光視症です。これで筆者の目玉は右も左も後部硝子体剥離がはじまり,飛蚊症がおきて,光視症も伴うこととなりました。視力低下や視野欠損の兆候は感じないので眼科には行きません。

きょうの画像は能登半島の珪藻土から出現した超大型珪藻の薄膜。たぶん珪藻本体ではなく増大胞子の一部かもしれません。破片しか出てこないので推測ですが,ぜんぶつなぎ合わせると2mmを超える巨大な細胞に見えます。そしてこの薄片に存在する整然とした単純な周期構造は,これこそ回折格子の最たるもので,照明を工夫すると鮮明な色が出るのです。ので,破片であっても超大切な希少なものなのです(画像/MWS)。








2023年12月12日




やっと黄砂はいなくなったようだ。仕事再開。やるべきことが山のようになっている…(画像/MWS)。








2023年12月11日




この大事な時期に黄砂ほかで仕事が完全ストップ。絶好調で仕事をしていると妨害が入るのが標準の人生を過ごしてきましたが,中年おっさんになってもこの亡霊はまだ出現するのかと,そのしつこさに呆れ,感心もしています。うー 集中しきって仕事がしたいー。

きょうの画像は珪藻化石を封じた一例。珪藻土に入っている珪藻の大部分は壊れているのですが,丹念に探せば無傷のものも見つかります。しかしその頻度が極端に低い種というのもあって,きょうの画像のような珪藻はほとんどが欠けているものです。

しかしそれなりの数が出ますし,特徴があってぜひとも見て欲しいので欠けたものばかりで標本を作ったところ,これがなかなか反響のあるものでした。『珪藻美術館(福音館書店)』に収録されていますが,この画像,「若い女性」にヒットしたようなのでした。男性からの反響はゼロでした。

作るのは大変です。壊れた殻しか出てこないということは,壊れやすいということです。破片が飛び散ってゴミだらけになれば見栄えが低下します。そして壊れている破片を扱うのは,無傷の破片を扱うのよりも難しいのです。なぜなら,壊れている破断面の近くをいじると簡単に割けたり割れたりするからです。

まーでも,15年くらいやっていれば,トラブル対処もできるようになり,なんとか同じものを再現性たかくつくれるようにはなった気がしています(画像/MWS)。








2023年12月10日




コスキノディスクスの一種でこんな赤色を出すことができるとは…。何度も封入してきた珪藻ですがほんと照明は奥が深いです…(画像/MWS)。








2023年12月9日




10月くらいから1月下旬くらいまでは一年でももっとも空気がきれいなのですが,今年は何かがおかしいです。この時期に大量の黄砂が降ることはほとんどないのですが,きょうは夕方から黄砂が激増しました。春の黄砂がひどいときと同等以上の落下量です。このくらいの落下量になると標本制作は困難で,試料いじりもできず,完成品の写真撮影もできません。暗視野で撮影中に黄砂の粒子が落下してノイズとなるからです。この大事な時期に困った困った。酒でも飲もう! (画像/MWS)。








2023年12月8日




このまえ食べたキンメダイ(湯引き)。脂ののりも申し分なくこれだけの分量があって1,280円は格安です。キンメダイはそのむかし,煮付け用の魚だったのです。スーパーなどで刺身用として売っていることはまずありませんでした。それが20年くらいまえからかな,寿司ネタで使われるようになり,のちに鮮魚店でも刺身用が出回ることになりました。コールドチェーン的には,40年前でも刺身用が流通できたのかもと思いますが,なぜ近年になって定番の刺身魚になったのかちょっと不思議です(画像/MWS)。








2023年12月7日




ときわ食堂のアジフライ調査。ついでにエビフライも。十数年ぶりくらいのエビフライです…。エビは資源的に問題があるので25年前くらいからあまり食べていません。平均して年に数回あるかないか,というところです。

さて,ときわ食堂のフライはどうだったかというと,さすが人気店だけあって,じゅうぶん満足できるさくさくしたフライでした。

しかし,アジフライを追求するものとしては,都内の現状ではやはり『吉池』が優勝です。鮮魚店だけあって,アジの品質が申し分なく,身の厚みがすばらしく,それでいて安価なのです。これだけ手がこんでいたら一枚500円でも納得と筆者は思うのですが300円台後半です。持ち帰りが面倒な方は, こちら のお店で同じものが食べられるように見えます。巨大なアジフライが二枚ついて,ごはんと味噌汁がついて1050円。いやー信じられない価格ですね。

この情報,東京近郊などの方には参考になるかもしれませんが,ほかの地域ではどうかしら。相模湾沿岸では神奈川〜静岡方面で最高なアジフライを入手するのは容易です。しかもこの方面ではアジだけでなくカマスとか,フライにして美味な魚種を味わえます。吉池に行くまでもないです。ただ,アジフライの巨大さにおいては,吉池は暫定一位です。

筆者が食べた過去最高クラスのアジは,気仙沼のスーパー片浜屋で売られていたものでした。フライ用に頭を落として開いて売っていたアジでしたが,どうみても朝どれの最高のアジで,こりゃ刺身で食うベきだなと買い込み,筆者の強大な爪で骨抜きをして,オルファのナイフでカットして刺身にしたのでした。このアジを,別のスーパーで買ってきたにぎり寿司のネタを外して,載せ替えをして食べたのですが最高でした。

アジフライ用のアジを買って刺身で食べてしまったので,気仙沼では一度もアジフライを食べたことがありません。あの鮮度のアジをフライにしたならとんでもない極楽浄土が待っていると思うのですが…(画像/MWS)。








2023年12月6日




いつも念頭にあるのは「宇宙的」であること。望遠鏡でまぶしい月面を見ているような,淡い散開星団をみてるような,宇宙を感じる作品をいつも目指しています。たまにコミカルで品のない?ものも作りますが…(画像/MWS)。








2023年12月5日




さらにこんな色にも変化します。小学生の頃にこんなものを見たら,それこそ何時間でも飽きずに眺めていただろうなぁと思います…(画像/MWS)。








2023年12月4日




こんな色にも変化します。暗視野照明時の珪藻の発色は,珪藻の構造に依存する面もありますが,主には照明光の入射角と対物レンズ開口数と,照明光のスリット幅,照明光のコヒーレンスに依存しているように見えます。濃い色を出したいときには低NAの対物を選択して,照明光のコヒーレンスを高めて,適当な入射角に調節すると良いのです。いじれるパラメータがいくつもあるので,見え方はまさに多彩です(画像/MWS)。








2023年12月3日




ことしのテーマは「色」です。でも難しすぎて無理なテーマ設定です…(画像/MWS)。








2023年12月2日




たかいコントラストの珪藻群(画像/MWS)。








2023年12月1日




ちかいうちにセールができればいいなーとの希望を抱いておりますがまだ標本制作の日々で何の準備もできていません。画像もとれていません。。今年も予告なく,体調の良い日に突然販売するかもしれません。入手を希望される方はこまめに本ページをチェックした方がよいかもしれません。何かトラブルがあれば販売は遅れると思います。今年は前半に販売予定だったのですが,大企業からの注文案件で時間をとられ,またテレビ対応などでも相当に時間を吸い取られました。夏過ぎから全力投球の毎日で標本を溜め込んでいます。珪藻中心の予定ですが,海緑石,放散虫も準備できればと思っています(画像/MWS)。









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