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ミクロワールドサービスが顕微鏡の世界を伝えるコーナーです。
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お知らせ
 

9月中旬までは,不定期に夏休みを頂くことと,まだ終わらない仕事があるので,ゆっくりモードで標本関係の作業させていただきます。発送までお時間を頂くこともございます。ご了承ください。お急ぎのお客様には個別に対応できることもございますのでご相談下さい。






2017年9月30日


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きょうの画像は,昨日掲載した珪藻と同じ種(たぶん)の暗視野像。標本は違うものを使っていて,試料の出所も違っていて封入剤も異なりますが,さすがは珪藻。どこで採れても同じ形態です。

きのうの検鏡法は微分干渉法,きょうは暗視野法です。対物レンズのNAは,きのうは0.95,きょうは0.55です。顕微鏡は検鏡法によってまるで異なる像になることがよくわかると思います。この違いを頭に入れて,どんな絵を作りたいかを考えて機材選択して,望み通りの絵に持っていければ顕微鏡使いとしては上級の部類に入ることと思います。そういった技術習得の練習には,どんな標本でもある程度は使えますが,レベルが上がれば,各種の微細構造をもっていたほうがよいので,珪藻標本が適しているといえましょう(画像/MWS)。








2017年9月29日


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いつも珪藻在庫の種数を増やしたいと思っているのですが,なかなかむずかしくて,仕事が進まない状況です。新たに試料を起こしてみても,入っている珪藻はたいてい,すでに持っているのと同じ種ばかりで,明らかに形態のことなるカッコイイ種がたくさん入った試料,などというものにはなかなか行き当たりません。大きな干潟にいって山ほど試料処理をするとか,東京湾の海底泥を処理するなどすれば幾らか集まることはわかっていますが,こんどはゴミだらけ粘土だらけで綺麗な殻をつくるのに難儀します。よい方法はなかなかなく,一攫千金をねらって気が向いたときにサンプリングに行くくらいがちょうどよいのかもしれません。

きょうの画像の珪藻も,国内沿岸でふつうに見かけますが,大量に見ることがあまりありません。だいぶ前に四国の瀬戸内側の河川感潮域で採取された試料にたくさん入っていましたが,それ以来,大量に拾い集められるほどのものは見ていません。そうかといって,この種を集めるだけの努力も無駄な気もします。ギョロメケイソウほどのインパクトがないですからね…。

過去にも珪藻を並べて標本を作った人はたくさんいますが,そのほとんどが,手近な池などで採取した大型の淡水珪藻か,珪藻土に入っている大型の珪藻化石を使っています。その理由は入手が簡単で,取扱が簡単だからです。現生の珪藻を数多く集めようとすると,それだけで桁違いに面倒になってしまいます。

じゃぁ多種類を培養してきれいな殻の珪藻を大量入手したら,ずっと使えるし,粘土鉱物もないし,いいのでは?という提案をよく頂くのですが,それは無理なのです。一般に殻の厚い大型珪藻の培養はかなり難しいです。相当大きなスケールで培養しないとどうしようもないと思います。また培養可能な種でも,培養すると殻が薄くなり,天然の細胞よりも壊れやすいものになりますし,培養サンプルだからきれいかというと,処理の過程で謎の沈殿物などが大量に生じて洗うのに難儀したりします。

要するに都合のよさげな方法はないということですね…。ま,だから面白いともいえるのですが(画像/MWS)。








2017年9月28日


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どうやら秋の不眠まつりが開催されているらしく,先々週くらいからまともに眠れない日々。身体が寝たがっているのに脳みそが入眠を拒否するかのように短時間で目が覚めてしまいます。ま,不眠まつりは長くても数ヶ月で終わるはずなので,ぼんやり過ごして体調を崩さないようにします。。

そんなわけで工作の日々が続いたりするわけなのですけれども,たまっている案件が結構片づいたりして,悪いことばかりではありません。先日は,LEDの簡易な放熱用に,小さな銅板が欲しいなあ,切るの面倒だから短冊状のものがないかなあと,アキバハラをうろうろしていたら,なんと望みの銅板が道ばたに転がっているではありませんか。さっそく連れて帰って,切って,工作がとなるのです。。

こんな小さな銅板でも,ないよりはずっとマシ。電流を制限して,この銅板で放熱すれば,LEDの焼けの進行もゆっくりと進み長期間安定して使えることでしょう(画像/MWS)。








2017年9月27日


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この絵は,見たことのある人も多いことと思うが,富士山から北東方向に存在するどこかの山から眺めた感じであることはわかるのだけれども,それがどこなのか,気になる…(画像/MWS)。








2017年9月26日


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演色性を考えれば,顕微鏡の照明はタングステンランプやハロゲンランプが優れていて,取扱も容易だし,ここいちばんの勝負では今でも出番があります。しかし電球はフィラメントが蒸発したり,謎の小爆発とともにフィラメントが飛び散ったりと,断線がしばしば起こるのが面白くないところです。きょうの画像一枚目は,ニコンS型で使っていたタングステンランプですが,あれよあれよという間に真っ黒になってしまいました。これはいったい何なのだー。

しかし,断線で今までならゴミ箱に放り込んでいた電球も,LED時代にあっては貴重なランプホルダーとなります。テープなどでガラス部分を巻いて,さらに新聞紙などでぐるぐる巻きにしてから管球部を割り,ガラス片を取り除きます。フィラメントもカットして取り除き,支持部分を広げればLEDホルダーのできあがりです。ガラスや金属のエッジでに触れて手を切らないように,口金部分はヤスリで磨き,内部はホットボンドで埋めておくとよろしいです。

ここにお好みのLEDをハンダ付けすれば,顕微鏡の心出し機構をそのまま使えるLEDランプの出来上がりです。もちろん,電源は別に製作しなければなりませんし,放熱を考慮して電流制限をしなければいけません。高出力で使う場合はけっこう面倒な調整が必要ですが,輝度を押さえて発熱を低く保つなら,驚くほど簡単な工作でできてしまうものでもあります。

十数年前からこのような工作をしていて,未だに進歩がなく似たようなことをやっているわけですが,筆者に進歩がなくても,LED素子の方が勝手に進歩してくれているので,同じような工作をしていても当時よりも遙かにマシなものが遙かに安価にできるのは有り難いことです。そういったことがあるので,顕微鏡用のLEDは,1,2年に一度くらい,思い出したように交換されたりするのです(画像/MWS)。








2017年9月25日


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シュリーレンで遊んでいたのは約一年半前の寝不足の日々だったので,画像があちこちに散っており,光学配置図を探すのに手間取りました。。きょうの画像は当時のようす。あり合わせのレンズと光源を並べただけということがお判りいただけることと思います。ナイフエッジに至っては,作るのが面倒なのでスパチュラで代用しているといういい加減さです。でも,こんな適当な配置でも,ピンホールの大きさ,レンズの位置,軸合わせ,ナイフエッジの効果的な位置を探し出せば立派なシュリーレンになってしまいます。

シュリーレンのよいところは,「わかってしまえば難しくない」こと。最初は軸合わせやピンホール径やナイフエッジ,撮影レンズの相性や焦点距離,F値など,手探り状態でしょう。でも,だんだんとコツがわかってきてシュリーレン像を出せるようになると,そこから先は,いつでもできるようになります。

シュリーレン法は,視認困難な光路差をはっきり可視化するので,ガラスの脈理やプラスチックの歪み,大気や液体の温度差,密度差などの構造,空間内部の微少なゴミの存在,非晶質中の結晶の存在など,いろいろなものを可視化して見つけることができます。まだまだ全ての分野のものが見尽くされたとはいえません。本ページの読者も,自分で組んだシュリーレンで身の回りを点検すれば,そこに潜んでいた現象を暴き出すことができるかもしれません(画像/MWS)。








2017年9月24日


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なにごとにも自信のない筆者は,自信のもてることだけで仕事をできればと思い現在の仕事をしているともいえるわけです。その意味からは薄っぺらくないはずですけれども,そもそも社会と隔絶されたところでヒキコモリ寸前で生きているわけで,世の中の人前に出てみれば,薄っぺらいのに自信満々に振る舞っているかもしれません。それでたまにはこんな本でも読んでみて,自分はどうなのか判定してみませう。

で,測定結果はたぶん「判定不能」なのかも…。この本はどうやら,スマホを日常的に使ってツイッターやLINEなどに貼り付いて,集団として群れている人たちを相手にしているらしく,テレビもなく携帯電話もなくスマホも持ったことがなくツイッターやLINEなどのSNSに何かを書き込んだこともない筆者は,対象外かもしれません…。まぁ,いいや。

そしてまた光とレンズのことがどのくらいわかっているのか,こんな,入門書を装ったような本を買ってみたりもするのです。この本,頭のいい人が書く典型的なもの,という感じで,あたまの悪い筆者にはどうもなじめませんでした。ざっと眺めて判明したことは,筆者がすでに高校数学ができなくなっているという厳然たる事実でした。。しかし同時に,『高校数学ができなくてもわかる光とレンズ』という本を書く能力ならありそうだ,という気もしました…。

この本,数学的厳密さはいいのですけれども,幾何光学からはじまって,波動光学から分解能の式に辿り着くまでがあまりにもかったるく,数学そのもの,数式そのものが好きな人以外には,とても役に立たないだろうというのが率直な感想です。光とレンズが好きな人には,現象そのものの紹介から入り,それを理論で裏打ちするといった方法で説明した方がずっと面白いし,実用上も役立つと思います。そしてそのような手法で書かれた,同じ名前の書籍『光とレンズ』(鶴田匡夫 著)という本が存在します。両者を見比べてみると,そのアプローチの違いに,教育法というものの多様さについて考えさせられます(画像/MWS)。








2017年9月23日


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これから冬まで断酒の期間に入りたいわけなのですけれども,気温が高いと眠ることができず困ります。02時就寝0430覚醒0830就寝1100覚醒などという病人のような生活をしたりもしています。個人事業主のよいところはそれでも生きていけることで,睡眠の合間に何かを1ミリメートルでも進めればいいのです…。

とはいえ,そんな睡眠状態ではあまり細かいことはできません。正確にいえば,できるのですけど,頭が重たい状態でやっても楽しくないのです。そんな状態で仕事を続けると,脳みそが勝手に仕事をつらい物,苦しいもの,と認識してしまうので,珪藻拾いとか並べるなどという作業は,身体がつらいときには避けるようにしています。すると必然的にメンテナンス系の作業をやることになるわけです。

で,きょうの画像はアンプ内蔵スピーカーの配線修理。このスピーカー,たぶん15年以上前に,秋葉原で600円で買ったものです。音はひどいものですが,一応はステレオだし,アンプも内蔵だし,パソコン用にはこれでいいやと使っていたものです。回路はエキスパートエンジニアさんの考案した方法で一部変更して低音寄りに振っています。

このスピーカー,ジャックを深く差し込むと片側からしか音が出ないというひどい代物で,少しジャックを抜いて使っていました。接点不良なのだろうと接点磨きをすることもしばしばでした。ところが…です。ピンのハンダ部分を切り裂いて配線を確認してびっくり。なんとGNDがLにつながっていますorz…。なるほど"接点不良"の症状が出るわけだと納得すると同時に,こんなことってあるのかーと思いました。

ま,そもそも安価な海外のジャンク品を購入した自分が悪いわけで,そのまともでないものを15年以上使った自分の馬鹿さ加減に笑いました。。なぜ笑ったのかというと,自分が阿呆という自覚はあって,それが証明されたから…ということと,音がおかしいことは最初からわかっていたのに,それを放置し続けた自分のいい加減さが証明されたからなのですorz 。

ということで,不良のピンは取り外して,ほかのヘッドホンのコードにハンダ付けしての修理となりました。コード細い! やりにくい!と昔なら呻吟しつつ放り投げたかもしれない作業ですが,ふしぎなことに今はできるのです。なんでだー。細い細い銅線をむき出しにして,ヤスリで磨いて被覆を取り除き,予備ハンダでメッキして,ハンダどうしを結合。なんとなく,この作業は血管吻合を思い起こさせる感じです…。

通電を確認したらテフロンシールテープでそれぞれの線をぐるぐる巻きにして,さらにそれをまとめて巻いて,一本の線にもどします。この作業もけっこう細かいので,精密ピンセットの出番となります。最初gootのTS-11を使っていましたが,途中から別のピンセットにしたら効率はどうなんだろうとFontaxのNo.3 Taxalに替えたところ,3倍の速度で同じことができるという驚異的な事実に直面して面白かったのでした。なぜこんなに差が出るのかわかりませんが,動線に違いがあるように思えます。

…というように,ムチャクチャな睡眠状態の日でも,それなりに楽しく暮らせるよ,というお話しでした(画像/MWS)。








2017年9月22日


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100円ショップの虫眼鏡でもシュリーレン法は可能ですが,きょうの画像のようになってしまいます。。虫眼鏡をみても欠陥はよくわかりませんが,シュリーレンあるいはシャドウグラフの配置にすると研磨痕が目立ってしまい,それが物体像に重なるので,いちじるしく劣化した情報となってしまいます。上の画像はガスライターから出てくるブタンガス,下の画像はスライドグラスの歪みですが,背景ノイズがうるさくてよろしくありません。この背景ノイズ,減算法では消せません。物体があるとその部分の光路長が変わるので減算されずに,物体像に重なって残ります。ので,シュリーレン法に使うレンズは,それなりにまともに磨いた,収差補正良好なものがよろしいのです。どこからか良質な大口径レンズがタダで転がり込んでこないかと,中年オヤジの必殺技「いつまでも忘れない」が発動されるに至るのです…(画像/MWS)。








2017年9月21日


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シュリーレン法は点光源をレンズで平行光束にして,もう一度レンズで点光源像をつくってそこにナイフエッジを置けばOKなので,光源側は顕微鏡の光源+コレクタレンズが使えるかも…と思ったそこの貴方,その意見は正しい。そのことを示したのがきょうの画像で,バイオフォトのランプハウスを使い,光源はLEDにして,平行光束を作っています。それをケンコー(kenko-tokina)のクローズアップレンズACで結像させてナイフエッジ(といっても適当なものがなかったのでスパチュラで代用)を置いて撮影したもの。物体はガスライターから噴出するブタンガス。エレガントな感じとはほど遠い,ひどいものだけれども,シュリーレン像にはなっていることがわかります(画像/MWS)。








2017年9月20日


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シュリーレン法によれば,ガラスの歪みもこの通り。これはマツナミのスライドグラスS7213ですが,Jシリーズなどの製作時に検査落ちしたもの。Jシリーズはひじょうに厳しい基準で製作しているので,ガラスが大きく歪んでいることは許されないのです。目で見てもほとんどわからないものもありますが,何となくおかしいなと思ったら検査落ちにします。それをシュリーレンで見れば,こんなことになっていたりするのです(画像/MWS)。








2017年9月19日


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レンズがたくさんある生活をしていると,いろいろな実験がやりたくなってきます。ちょっとしたレンズと,光源と,ありあわせのもので光学実験はかなりのものができます。シュリーレン法もその一つで,自宅でできる光学実験の例といえます。昨年春頃に分光関係の会社代表から,100円ショップの虫眼鏡でやったけどうまくいかなかったと聞き,「うまくいかないことの実態」を確かめたく思って,いろいろ検討してみた結果,少しまともなレンズを使えば十分できることが判明したのです。

きょうの画像には示していませんが,確かに,100円ショップの虫眼鏡だと研磨痕が大きくて,きれいなシュリーレン像にできませんでした。像そのものは問題なく出せるのですが,虫眼鏡の表面の荒れと,光路中の物体像が重なってしまい,明快な絵にならないのです。シュリーレンには良質な鏡やレンズが必要なことは自明ですが,自分で確かめて,やっぱしまともなレンズが必要だなあと思ったことでした。それで手持ちの「ケンコークローズアップレンズAC」を使ってみると,これで十分でした。

LEDでピンホール光源を準備して,ピンホールを通した光をクローズアップレンズACに導きます。このときピンホールはレンズの焦点位置の光軸上において,レンズから出た光を平行光束とします。これを,同じクローズアップレンズACで受けて,ピンホール像を造ります。ピンホール像は,適当なナイフエッジ(の代用品)で,その大部分を隠します。ピンホール像のうしろに明るい望遠レンズをつけたカメラを置き,クローズアップレンズACをのぞき込みます。平行光束になっている区間が,サンプル配置場所です。ここは平行光束なので,ピントがありません。どこでも同じピントになります(が,フォーカスはしっかりチェックします)。

そのような,簡易に組んだシュリーレン法で撮影したのがきょうの画像。可視化しているのはライターから出てくるブタンガスです。目ではほとんど見えないガスの流れも,シュリーレン法ならはっきりと可視化できています。

この撮影でいちばん難しかったのは,光学系の調整などではなく,きれいなガスの流れを作ることと,タイミング良くシャッターを切ることでした。動画でとれば問題ありませんが,静止画の場合,カメラのタイムラグの影響をもろに受けてしまいます。何十回とシャッターを切って,絵になるガスの噴流を作り,タイミングを合わせてシャッターを切り続けたことが懐かしく思い出されます(画像/MWS)。








2017年9月18日


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包丁もピンセットも研いで自分の仕事用の形に仕上げるわけですが,包丁とピンセットは微妙に違う点もあるような気がしています。包丁は本来の形状を活かして使うのが普通で,修正するのは切刃のラインとかしのぎの滑らかさとか,両刃なら刃付けの角度とか,そんなところですが,ピンセットの場合は全く異なる形に研いでしまうこともあります。細いピンセットを研ぎ潰して太くて丈夫な刃先にすることもありますし,用途によっては逆に刃先をうんと細くしてしまうこともあります。

そうすると困ったことがおきます。包丁ならば最初の形を崩さずにそのまま使うことができますが,ピンセットの場合は,最初の形に戻れなくなるのです。研ぎ潰して形をかえたピンセットを,購入時の状態に戻すのは,お手本がない限りはまず無理です。そこで,リファレンスとして一本は新品のまま残す必要が生じてきます。

Fontax No.3 Taxalを使い続けてきて分かってきたことは,この形には全て意味があるということでした。素材の厚み分布,テンションと刃先硬度のバランス,面取りの角度,テーパーのつけかた,刃先の合わせ角,刃先を閉じたときの各種寸法,開いたときの各種寸法,表面仕上げ粗さ,刃先の甲部分の面取り,全部に意味があります。Fontax社はすでにピンセットの生産は終了しているので新品の入手は困難なわけですから,この会社の職人が超精密ピンセットの一つのあるべき姿を追求して作り上げたこの形状は,一つはお手本として残すべきと考えています。そんなわけで,No.3,No.5などの主要ピンセットはリファレンスを残してあります。

FontaxといえばTaxalが代名詞みたいなものですが,筆者の用途では熱をかけてもせいぜい300℃未満ですから,オーバースペック気味ではあります。ではinoxでよいかというと,inoxのものは形状が違うのです。素材硬度に合わせて形状を変えてあるようなのです。比較すれば,Taxalの使いやすさに分があります。そしてまたTaxalのよいところは,それなりに硬い素材なのに弾性が大きい感じで,曲げに強く,変形した場合に微調整しながら修復しやすいのです。

Fontax社のHPを見ると,最大の市場は日本だったと書いてあります。なぜほかの国でそれほど伸びなかったのかはよくわかりません。日本でよく売れた理由の一つは,科学機器総合カタログの存在だと思います。研究室には必ず分厚いこのカタログが置いてあって,ピンセットのページを見れば,FontaxのNo.3が必ず目に入ったものです。そしてそれは,そんなに高価だという印象でもなかった。そういった時代がけっこう長く続いたので,年度末の研究予算でFontaxを,その素性を知らず「なんとなく」入手したという人が多かったのではないかと思っています。筆者もその一人です。

使い始めてその性能に驚愕したわけですが,同じように感じた人も多かったのではないかと思います。精度に感心した人もいるでしょうが,たぶんFontaxの本領は握りやすさにあると思っています。たくさんのピンセットを使ってみて,これほど手になじむ形状のものはほかにありません。そしてそれが事故発生率を下げるのです。

Fontaxの刃先は他社よりも直線的であり,この姿はなんとなく箸を連想させる気もします。すっと直線が出ていて,使っていて芯がある感じがします。ひょっとするとこの辺りも,日本人と相性がよかった原因なのかもしれません(画像/MWS)。








2017年9月17日


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思いがけずもホヤが入荷した。巨大だ。天然物ではないかとのことだけれども,確かに。。養殖物はこのサイズではなかなか出荷しないし,全体の風格が天然物っぽさを醸し出してもいる。このくらい大きいと食べ応えがあってよろしい。東北うまれの筆者は,巨大なホヤが入荷しても怯んだりはしない。




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全体をたわしで洗ってから(風味をよくするため),水の出入り口をカットしてざーっと流してから二つにカット。ふつうの包丁でも切れるけれども,念のため出刃包丁でカット。切ったときに鮮度はわかるのだけれども,活きがよくて,外見の色の退色からみた鮮度よりはずっと良好。今晩はこれを使って蒸しホヤ。薄く水を入れたフライパンで,殻を下にして蒸す。身には酒を振っておく。そのまま蒸していいのだけれども,茶色の部分は取り除いておく。ホタテのウロを除去するのと似たような感じ。




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大きいので沸騰してから7,8分。ごらんの通り。荒熱がとれたら,汁気を切って,しょうゆを数滴たらしていただく。ぷりぷりむちむちとした食感に,海の風味とかすかな渋み,それに鮮度からくる甘味が感じられ,これは至高の食べ物。ホヤって見た目はアレなんだけれども,じつに味わい深い海の幸なんです(画像/MWS)。








2017年9月16日


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『深海2017』にようやく行ってきました。ゴールドの招待券を持ってはいたのですが,7月の開催から全く時間をとることができず,8月は他の仕事に明け暮れて,9月になってようやく時間ができたというところです。やれやれなのです。なぜ招待券を持っていたのかというと,『深海2017』の展示物に顕微鏡写真の提供という形で協力したからで,担当者の先生のやさしいお気遣いでチケットをゲット…ということになったのです。

自分が協力したところの展示にもちゃんと人がいて説明を読んでくださっていて安心しました。もし,この部分だけ人が素通り…などということになれば責任重大で睡眠障害がさらに悪化するかもしれませんので。。たまたま,そこにいらした方に,簡単に説明申し上げたら,サイエンス畑の方々で話がちょっと盛り上がりました。名刺をもっていたので配って,ささやかな営業活動をしてきました。

前回の『深海』も素晴らしかったですが,今回の『深海2017』も飽きさせない展示でした。とくにモニタを多用した映像が素晴らしく,また地質研究者,微化石系の方々の展示も多く,前回とは違った観点で楽しめるものとなっていました。個人的には,おっこの画像はIさんのやつだ,この深海映像はOさんのやつだ,この有孔虫はKさんのやつだ,この深海映像はLさんのやつだ,などと,展示をみただけで誰の仕事かわかるものが多く,その点でもじつにじつに興味深いものなのでした。知人の展示をみると,なんかうれしいのです。

『深海2017』をのぞいたあと,『地球館』『日本館』も見学できますので,せっかくだから覗いて帰ることにしました。折良くマリモの展示があって,おっこれはTさんの展示では?と思いつつ,見たこともないような巨大なマリモ(本物)に圧倒されたのでした。マリモは中学生の頃に飼っていた?ことがありますが,管理がたいへんでした。培養技術がなかった当時では,いい加減に飼っていて,ときどき絞ってやるのですが,中心が腐敗してしまうのです…。

このあとミュージアムショップによって,ミルシルのバックナンバーが豊富に揃っていることに安心して,手持ちの在庫がなくなってきたものの補充をして,博物館をあとにしました。その足で秋葉原に行き,小物を仕入れて,歩いて自宅まで帰りました。半分仕事みたいなものですが,ずいぶん久しぶりに,のんびりと一日を過ごすことができました。たまにはこんな時間も必要ですね(画像/MWS)。








2017年9月15日


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博物館や科学館に納品したものは,展示が終わるまでは全体像を出さないように心がけています。本ページで確認してから現物を見に行く,というのもよろしいのですが,やっぱり初見で印象を残して頂きたいと思っています。きょうの画像はだいぶ前に中京地区の科学館に納品したもの。各地の珪藻土試料からエース級の殻を拾い出して,明視野,暗視野での色づきを考慮して設計製作した豪華なものです。色のついた珪藻がまんべんなく散りばめられているのはそのように設計したからです。多くの方にご覧頂いたことと思いますので,ひょっとすると見覚えがある人もいらっしゃるかもしれません(画像/MWS)。








2017年9月14日


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ここは駐車場だったはずなのだけれども,いつのまにか高層建築物になり,1階には列車の顔(本物)が…。何なのだこれは(画像/MWS)。








2017年9月13日


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ひょっとするときょうはターャジスに出会うかもしれないと,珍しくカメラを持って外出したある日。数分もせずに目の前に登場。地震予知は100年かかっても無理かもしれないけれども,ターャジス予報は可能かもしれない。

しかし,この位置からでは,これは断じてターャジスではない。




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うわっ,やられたー。 交差点では難易度高い。。 ショックでかい…(画像/MWS)。



*1 ターャジスハンターは,『ターャジス』とともに『車両番号』そしてそれが『くらいめ京東』の所属なのかを識別できなければならない。厳しい決まりだ。したがってこの画像は失格で使い物にならない。




2017年9月12日


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中身はからっぽの珪藻の殻なのだけれども,ふたつ並ぶとなにか物語性が出てくるような気がする…のは,ふつうの人も同じように思うのか,それとも珪藻の有性生殖を思い浮かべてしまう人だけが感じることなのか,そこが気になる(画像/MWS)。








2017年9月11日


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ある人から,『ショートランチャー9』のLED交換(白LED→電球色LED)ってどれくらいかかるの? と質問を受けました。うーん大体30分くらいかしら,一時間はかならないと思う,というような感じで(よく覚えていない)適当に返事をしました。そんなにずれているとは思えないけれども,実際どのくらいかかるのか知りたい人もたくさんいるだろうし,やってみることにしました。

これまで何度も書いていますが,白LEDの光は440nm付近の成分が多く,目に対してそれほどよいものではありません。多くの顕微鏡などにも採用されていますが,それが正しいことを意味するわけではありません。

白LED→電球色LEDの交換作業には,1)ブルーライト低減による目の保護,2)演色性の向上による正しい色再現,といった明確なメリットがあります。演色性はおおまかにRa=70→Ra=90にできます。こういったメリットがあるので,LED交換作業は単なる遊びではありません。【高性能化】のための作業です。

画像は適当に材料をばらまいたところ。時刻は15時46分。でははじめましょう。




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まず『ショートランチャー9』のLED部分を外します。電池側から基板を木などで叩き出します。『ショートランチャー9』には色々なバージョンがあって,抵抗がハンダ付けされているもの,なにもないものなどあります。その辺りを十分注意して,抵抗のあるものはそこを避けて叩き出します。抵抗を叩くと壊れて点灯しなくなります。抵抗なしのタイプは適当に叩き出せば外れます。




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画像は叩いて外したところ。はめ込みのストッパーとなっているプラスチックと,LED部分が抜き取れています。このあと,LEDの反射鏡を引っこ抜きます。ただ引っ張るだけです。




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ハンダゴテで基板の裏のLEDハンダ付け部分を加熱し,LED側からは指で傾けるように力を加えて,LEDを抜き取ります。真ん中の一つは,極性確認用に残します。配線図を書き起こしているのであれば全部抜き取っても,もちろん問題ありません。




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足を短く切った電球色LEDを差し込み,基板の裏から熱してLEDをセットします。前のハンダが残っているので,そのままでは刺さりません。指で押さえつつ加熱してLEDを押し込む感じです。これを外周部の8個について行い,極性が揃っていることを確認して,中心部に残しておいた白LEDを抜き取ります。中心部もLEDを差し込んではめ込みます。

はめ込みが完了したら,LEDを下にして基板を置き,全ての接点をきれいにハンダ付けしていきます。ハンダゴテは20〜40W程度で十分です。ハンダは細いものの方がやりやすいと思います。全ての接点がきれいにハンダで結ばれたら,LED側からみて傾きなどがないか点検します。傾いていれば修正します。必要であればハンダし直して位置を修正します。




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ハンダが終わったら,LEDの表面をエタノールなどを使ってきれいに拭き取ります。砲弾型LEDの先端は「レンズ」でもあるので,きれいになっていることが大事です。拭き取りが終わったらミラーをはめ込みます。この状態で仮組みしてみて点灯試験をします。全部のLEDが点灯すればLED交換はうまくいっています。ので,もう一度,LEDのレンズを拭いて組み込みます。




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組み付けは,はめ込むだけなので簡単ですが,プラスチックを傷つけないように押す必要があります。顕微鏡のJIS鏡筒用のホコリよけのフタなどはサイズ的にぴったりで,これを使って押すこともできます。接眼レンズの筒+適当な紙などでも使えます。均等に押してセットしましょう。

基板の縁の導電部分が胴体の金属と接触することにより回路が形成されますので,十分な力でしっかりと押してください。もしはめ込んで不点灯の場合は,LEDのハンダ不良だけでなく,基板と胴体の接触不良も疑ってみてください。…ということでしっかり押し押しします。

そして点灯。陽性かくにん! よかった。




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さて交換に使った電球色LEDは,OSM54K5111Aで,秋月電子などで売っているものです。10個入りで200円という驚異的な安さですが,『ショートランチャー9』の改良に使うと,一個あまるのです。このあまった一個をそのまま放置するのもいいですが,工作で重要なことの一つに「勢い」というやつがあります。イケイケゴーゴーなのです。ハンダゴテが冷えないうちに,あまった一個も活用しましょう。

最良の活用法の一つは,LEDポイントライトの載せ替えを行うことです。このライトにはクリップがついていて,初級顕微鏡などで軸外から反射照明を行うのに便利なのです。108円で入手できます。現在売っているものは白LEDのようなので,電球色に載せ替えます。




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これの分解はねじって押すだけというもので,説明の必要がありません。。




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小さな基板が出てくるので,ハンダゴテで加熱してLEDを抜き取り,電球色LEDに交換すれば作業は終わり。あまりにも簡単です。。これで2個のLEDライトのLED交換が終わり,時計を見てみれば,16時15分。




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ということでご理解いただけましたように,30分あれば『ショートランチャー9』のLED交換はできるかも,というお話しでした。この作業速度は,初心者には「はやいなあ」と感じ,電気屋さんには「おっせえ〜」と思うくらいの感じだと思います。よゆうをみて,片づけまで入れて,一時間半もみておけばまずは十分ではないでしょうか。

こういった簡単な電子工作は,やる前は気が重くてどのくらい時間がかかるかも,なかなかわからないものですが,意を決してやってみると,あっけないほどにあっさりと終わったりします。本ページを読みながらも,まだ電球色改造を終えていない人は,この記事を参考にやってみるのもいいかもしれません。

照明光源の波長組成が変わるだけで,驚くほど見えが変わります。生きている珪藻なら,より本物っぽい色(デーライト下でみるような)になりますし,微化石系であれば,軸上色収差の派手な青色が減少して,すっきりした感じになります。偏光色や干渉色系の観察では,明らかに赤の鮮明さが増して,全体的に色が鮮やかになります。その効果は一目瞭然といってよいほどです(画像/MWS)。








2017年9月10日


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このような大型珪藻が単独で存在している,などということはなく,ふつうは小型珪藻との混合群集となっています。しかし大型珪藻は丈夫で立派で沈降速度も速く,小型珪藻との分離は難しくありません。粘土鉱物などよりもずっと早く沈みますので,きれいにしやすいという利点があります。うんと目の細かいメッシュを持っていれば,それで洗うのも効果があります。大変な時間がかかりますが。。

そうやってきれいになった珪藻がきょうの画像です,といいたいところですが,残念ながらそうなっていませんね。被殻の左下をよくみると,殻の内側にニッチアが入り込んでいますorz  これ,けっこうな頻度で起こるのです。貼り付いているのかどうなんだか知りませんが,えんえんと洗ったサンプルからも一定の数,出てきます。拾うときは注意深くよけますが,死角に貼り付いていることもあって,紛れてしまうこともあります。透過明視野では見えてしまいますから,がっくりなのです。

ということで,微分干渉のカラーモードで撮影してニッチアに目がいかないようにしてみたりもするのです(画像/MWS)。








2017年9月9日


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2日の午後に破壊された筆者の腰は,8日午後にはわずかな違和感を感じる程度まで回復しました。十数キロの顕微鏡なら運ぶこともできるようになりました。これも芍薬甘草湯を適切に服用したためで,日頃の勉強と準備がいかに重要かについて,身をもって示すこととなりました。。速やかな回復には安静よりも運動が大切なので,夜にはリハビリがてら本屋にさんぽ…とでかけたところ,なんとキンモクセイの香りがどこからともなく漂ってきました。これ,驚異的に早い記録です。だいたい9/30頃というのが例年なのですが,三週間近く早いです。

キンモクセイはきのこと連動しているという見方もあって,これが咲くと言うことは,マイタケ(都心でも出ます)やホンシメジなど,きのこ関係が本格化する時期ということを示してもいるのです。なんということでしょう。もう秋も深まっているのです。。もっとも,秋が来たことは,筆者が酒を飲んだとはいえ,3日連続で夜寝られたという今期新記録を達成したことからも明らかなのですが…。

さてきのうの記事に書きたかったけど時間切れだったことをメモ。なんと熱力学第二法則が量子力学的状態との結合がOKっぽいのです。これってみんなうすうす感づいていたけれども証明できなくて困っていたやつで,証明技法がちょっとテクニカルな感じもするけれども,ノーベル賞的な大研究の気がします。でもNatureじゃなくてPRLなんですね。興味ある方は こちら をごらん下さい。難しいのですけれども,宇宙際タイヒミューラー理論よりははるかに簡単です。

画像は,そんな話題とは何の関係もない珪藻。カロネイス属の一種と思います。数学や物理学で頭がこんがらがる人(筆者のことです)は,こんな物体をみて,その整然とした構造であたまをすっきりさせましょう(画像/MWS)。








2017年9月8日


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7日午後は出版関係者の訪問を受けまして顕微鏡の午後となりました。かつて研究者をやっていたときには,出版関係者やマスコミ取材を受けることなどなかったように記憶していますが,自前で仕事をはじめるようになってまもなく,こういった仕事を面白がる人が訪問下さるようになり現在に至ります。多いときは年に数回程度,会社の社長さんとか,出版関係者とか,美術関係者とか,顕微鏡関係者がやってくるのです。

珪藻にご興味のある方がウチに来るわけですから,面白くないはずがなく,話題がつきないのが常でありますが,最近は定番の話題であるところの,「いかなる経過によってあの本の版権を引き上げたのか」でも盛り上がることが多く,今回もそうなりました。トラブル対応というのは,現場に直面した人間の判断力,倫理,理性などいろいろなものが問われる,人の心理に直結したものでもあります。出版関係者であれば,まずは聞きたいネタでもあることでしょう。で,ついつい盛り上がってしまったりするのです。。筆者としても,人物評価の材料にして頂けるというメリットもあるので,何でもお話ししてしまいます。

いつもお客様には,無限遠補正系のお飾り顕微鏡(外見だけがよい研究には使い物にならない顕微鏡)を使って珪藻をご覧頂くのですが,今回は,腰が完全に治ったかどうか不明だったので,少しは軽いオプチフォトにしました。それでまず珪藻を暗視野でご覧頂き,倍率をかえてスキャンしていただき,微分干渉で高倍率(NA=0.95)にして,珪藻の精妙な姿をご覧いただきました。

最後は簡易顕微鏡を使って,顕微鏡の使い方の時間。とてもセンスのよい方で,飲み込みがはやく,いろいろな経験をたくさん積み上げてきたであろうことがわかりました。ショートランチャー9を光源にした実習用顕微鏡で,明視野,暗視野を体験頂き,ガラスの質感を確かめていただきました。こうやって遊んでいるとあっというまに時間が過ぎて数時間たってしまいます。話が尽きないかんじでしたので,適当な頃合いをみてお開きにしました。楽しい時間を頂いたことに感謝したいと思います。

画像は,そんな話題とは関係のない微化石標本。先月製作したもので,中山層から出てくるシリカ系微化石を拾い集めてまとめたものです。放散虫,珪藻,海綿骨針などですが,形が多様で,全部がガラスでできていて,なかなか貴重なものとなっています。すでに手元にはありませんが,所有者はきっとこれから活用してくれるのではと思っています(画像/MWS)。








2017年9月7日


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「あー今晩はなんの夕飯にしよう。おっくん何かよいメニューない?」「肉豆腐なんてどうですか? 挽肉と豆腐ときのこを出しつゆで煮て片栗粉いれるだけ。結果が同じなら料理はできるだけ手抜きした方がいいです。」「そうよそうよ。おっくんの料理は手抜きができていいわぁ」

などという会話がむかしの職場でなされていたりしたのでした。食事は身体のメンテナンスなのでいい加減なものを食してはいけませんが,まともなものを追求するあまりに手を掛けすぎて時間が失われれば,その分,人生の余暇が減ります。ので,結果が同じなら可能な限り手抜きをするのです。手抜き,という言葉がよろしくなければ時間短縮,といいかえてもいいと思います。

毎日の作業なので効率はとても大事です。まとめて刻みものをしたり,たくさん作り置きしたりして,時間の節約をはかります。時間短縮に重要なのが包丁。切れない包丁では料理をするのも面倒になります。うんと切れればサクサクと作業がすすみ,面倒どころか楽しくなります。画像は面倒なときによくやる野菜盛り。キュウリ,トマト,ミョウガ,ショウガを細かく切って盛り,ごま油としょうゆでドレッシングの代わりにします。加熱したきのこ(ブナシメジ)やワカメを入れてもよろしいです。こういったものを食べて疲れをとるのです(画像/MWS)。








2017年9月6日


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これはなかなか素晴らしい本だ。活字を大きくして,見出しを特大にして,文章と同じ意味の図を挿入してページ数を水増して1500円で売りつけようという角川の姑息な販売手法という致命的な欠点を除けば,ぜひとも皆さんお手にとって欲しいような内容。但し,この本の中身が素晴らしいと思うには,多少の心理学的な修行をかいくぐり人間関係に本気で悩んだ経験が必要かもしれない。

この本はビジネス書またはその関連書に分類されているのだろうけれども,それは大きな間違いの気がする。この本は,心理学や教育学の棚に置かれるべきもので,本書の内容を学級運営に応用できる教員が現れたら,どんなに多くの学校現場で素晴らしい方向に変化が起こるか,想像もできないくらいだ。見出しには「非常識」などという言葉が書いてあるけれども,内容にもどこにも不思議な点も非常識な点もなく,いちいち頷けることばかり。そして考えを実行する力には感嘆する他はない。

この人は,会社組織の中で構成員の「心」の在り方をどうすべきか常に考えている。

そういった思考に到達するには,よほど苦しい経験があって,巨大な反面教師がいて,「ぜったいにオレはあんなふうにはならない」という強烈な思いが心の中に生じているはずである。苦しい経験と反面教師の存在なら,筆者も,そこいらへんの人では直面しないであろう経験を持っているので,そういったことが想像できる。ので調べてみた。 こちら のような記事が見つかった。まあそうだろう。こういった経験がなければ,こういう人物は生まれない。

そんな内容の重要書籍が,どこの本屋さんに行っても置いてなくて,池袋のジュンク堂にさえなかった。あちこち探し回って神田神保町の三省堂で一冊だけ置いてあって,それを買って帰ってきた。一時間から二時間で読み終えるような軽い本だけれども,背景を想像できる人には大きな収穫があるかもしれない(ないかもしれない)。ので,ここで紹介することにした。

なお気にする人もいるかもしれないので書いておきますが,筆者がある出版社との関係を「切った」ことがあるのは,本ページの読者には周知のことと思います。あのケースでは「嫌な取引先を切った」という感じではないように思っています。「取引先」というのは一度でも取引完了したことのある相手先だと個人的には思っていて,契約書も持ってこず,納品後一年間も入金もなく,一切連絡もしてこないような相手先は「取引先」にまで昇格していないと判断しています。「嫌な取引先になる前に切った」のです。

『嫌な取引先は切ってよい』の中で,「お客様の規模ならびに取引金額の大小に関係なく尊敬出来るお客様だけとお付き合いをさせて頂くというのが会社としての方針です」と中里社長は言う。心から共感できる言葉です。このベースがあってこそ,職人は,誠心誠意よいものを作ろうとするからです(画像/MWS)。








2017年9月5日


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リハビリがてら歩いていった,工藤淳さんと関連の深い本屋では,光学の棚がこんなことになっていました。こういうの見るとうれしいですね…。本ページの読者には見覚えのある本かと思います。田所先生の数ある御著書のうち,ビジュアルに特化して作られた名著です。じつはこの2冊,筆者も協力したりしていたので,こういった形で「評価」が見えるとやっぱりうれしくなるのです。先週の顕微鏡/光学関係の集中講義で,この御本にも収録されている「光の実験」をいくつか実演したところ,参加者は光の不思議さに直面することとなり,好奇心がくすぐられてもっと勉強してみたくなった…との評価を頂戴するに至っております。

ということは,これを読んでいる貴方も,この本を買えば好奇心をくすぐられていろいろ遊びたくなるということです。あるいはこれを読んでいる先生方は,この本の実験例を採用することで,効果的に講義をすすめることもできるわけです。だから手元におかないのはもったいない,そんな本なのですが,こういうふうにたくさん書棚に並べてくれているとホント,助かりますね。まだ手元にない方,ぜひどこかの書店でお手にとって見ることをオススメします(画像/MWS)。








2017年9月4日


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破壊した筆者の腰は,骨の位置を調べると腰椎の下部で典型的なぎっくり腰でした。まあ,位置を調べなくても,荷物をエレベータに積み込もうとしたときにぐきっとやってしまった自覚があるわけですが。。

まず芍薬甘草湯で筋肉の収縮を止めたことで,患部の被害拡大は最小限で済みましたが,夜に痛みがでてきたので芍薬甘草湯を追加しました。そして酒を飲んで寝ました。ぎっくり腰に酒は厳禁で,このようなことは論外なのですが,なぜそれでも飲んだのかというと寝るためです。こういったときは寝ない方が遙かに身体に悪いのです。そしてもう一つ。芍薬甘草湯により,患部の被害拡大が食い止められているので,患部の炎症部位は小さく,大きな炎症が広がっているわけではないので,酒を飲んだところで悪化はしないだろうとの予想があったからです。

結果は正解でした。一晩寝たくらいで良くなるはずもありませんが,悪くもなっていない。なんとか寝返りをうつこともできたし。起床したときも布団から起きあがることもできた。患部は少し痛みがあるが,立ち歩く分には,姿勢を注意すれば何とかなる。重いものは持てません。特に手を前方に出しながら重いものを持つと患部に激痛が走ります。あとはくしゃみがマズイ。そんな感じです。

ここで病人になってはいけません。整形外科や整骨院に行くと,ぎっくり腰は絶対安静などと指示されますが,そんなことをしたら患部のコリが固定され,みすみす治りを遅くするようなものでしょう。それほど痛くならない範囲で身体を動かして,患部の,通常と変わってしまった筋肉を「日常」に戻すように動いた方がよいに決まっている,というのが筆者の個人的判断です。ということで,まずは半日様子をみて,午後はそろりそろりと歩いてみて,芍薬甘草湯を一服してから,リハビリがてら本屋に行ってきました。ちょっと腰がこわかったですし,いまもこわいですが,とりあえずゆっくりなら歩ける,という自信を得ました。これが大事です。一週間もすれば,だいぶよくなるでしょう。

きょうの画像はそこで発見した本。深海生物の写真集のようなものですが,黒バックに鮮明な深海生物の画像,手に取りやすい小さな本で,価格も1300円と手頃。ページ数も80ページくらいの重すぎない感じです。藤倉先生の監修ならまず間違いない内容だろうし,中身は「なんじゃこりゃー」の生物のオンパレード。説明もけっこう丁寧です(ちょっと説明的すぎる気もしますが)。ということで,即買いとなったものです。子どもへのプレゼントとして最適なんじゃないかしら,と思う感じです。フリー編集者の持ち込み企画のような雰囲気の本ですが,こういう本がじゃんじゃん売れて,著者も出版社も懐が潤ってニコニコになってくれると良い世の中になるなあと,今後の売れ行きが気になるのです(画像/MWS)。








2017年9月3日


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2日はひさしぶりに包丁研ぎの午後となりました。お世話になっている先生から,講習会に使った機器の返却があり,そのついでに包丁研ぎを指南して欲しいという依頼です。先生には大変な労働をお願いしてしまったので,研ぎ技術でおかえしできるのなら好都合です。

荷物の搬入では,筆者が腰をひねってしまい,腰を破壊しました。破壊が進行しないように,直ちに(数分以内に)芍薬甘草湯を2包頓服し,30分ほど座っていました。痛みの進行が止まりやがて緩和に向かいます。放置すれば寝込んで一週間コースでしたが,一時間ほどで立って作業できるようになりました。ので,そのまま研ぎの実演を行いました。

当室に訪問したことのある女性であれば,研ぎ講習を受けたこともあるでしょう。今回は先生に,筆者の効率的な研ぎ伝習法によって,包丁を最高の切れ味にする方法を指南しました。まず,切れるとはどういうことかを体験してもらいます。これには独自開発のテストピースを使います。次に,切れなくなるとはどういう現象なのかを体験していただきます。そして,切れなくなった包丁が切れ味回復する様子を実演し,回復した切れ味を確かめて頂きます。同時に,持ち込んで頂いた包丁の切れ味も確かめていただきます。今回は,完全に切れ止んでいて,ただの金属板という状態に近いものでした。

次は研ぎ実習です。先生に包丁を持たせ,筆者がよこにはりついて,研ぎ法を伝授です。時々手を添えて,角度や刃の向き,刃の当て方などを修正します。この作業が大事です。口先で行ってもまず伝わりません。手を握り,指を押さえて「形」をきちっと決めてやらなくてはなりません。ふしぎなことに,「形」がきちっと決まると,教わっている方も納得してその形を維持するようになります。こうして受講生の形をつくりつつ,研ぎ作業を進め,ついにはシャープな切れ味の刃をつけるに至るのです。

ここで一息ついたあと,持ち込みの包丁を研ぎます。まず,全体サビ落としの方法を見て頂きます。今回は,杉板を敷き,そこに刃をのせて,コルク栓と耐水ペーパーでヘアライン的に研磨して錆を落としました。40〜50年ものの菜切りですが,刃の焼き入れ具合はよいように感じました。錆を落としたら,シャプトンオレンジで切刃を作ります。ほとんど研がずに放置されていたので,形を作りやすい感じでした。薄い刃なので切刃はそこそこにして,本刃付けします。このとき,表はシャプトンオレンジ,裏はグリーンで研いで,次に表はグリーン,裏もグリーン,という順番にすると効率的です。この段階でカエリは無理にとらず,自然に落ちていくのを待ちます。

シャプトングリーンのあと,丸尾山の合さをかけて,さらにスエヒロのGC#8000をかけます。ピカピカになります。これで研ぎは終了。雑誌の紙で微細なカエリをとり,洗って試し切りをして作業は終わりです。そのあと,関孫六のステン割り込みを研ぎ,これは丸尾山の合さで仕上げて終了。両者とも切れ味は問題ありません。購入してから数十年の間,一度も本物の切れ味を発揮せずに過ごしてきた包丁が,ようやく筆者のところまで辿り着いて,究極の切れ味に生まれ変わったわけです。

このあと砥石談義,刃物談義が続き,夕方になってお開きとなりました。研ぎというのはじつに面白く,あっというまの時間でした。当サービスの充実した研ぎ施設を使っての実習ですから,条件としては申し分ないでしょう。。

先生は帰宅後さっそく木屋のコスミック鋼の包丁を研いで,テストピースが難なく切れた,との報告を頂きました。この,「帰宅後さっそく」というのが大事なのです。教わってすぐに真似をして身につける,これがいちばん効率がいいのです。あらゆる意味で。さすがは先生だなあと思ったことでした(画像/MWS)。








2017年9月2日


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顕微鏡の講義や講習会を担当したときは必ず授業評価をアンケートと称してとっています。必ず無記名式で行い,スタッフの誰かに集めてもらいます。無記名式にするのは,こちらが読むときにバイアスがかかるのを避けたいのと,書き手がどんな辛辣なことでも安心して書けるようにとの考えに基づきます。本ページの読者であれば,筆者が「いいね」など不要な人間であることをご存じかと思います。自分が行った仕事の価値は自分でわかっています。イイに決まっています。ですから筆者が欲しいのは,具体的な意見や批判です。

さて先日の大規模な顕微鏡の講義/実習では,じつにいろいろなことをやったのですが,授業評価をとってみると,「この授業のよかった点」に「ピンセットの研ぎ」が上位にランキングということになりました。顕微鏡実習のはずがピンセットが…というガクガクブルブルな状態です(笑)。まあでも,それでいいのです。ピンセットを使えなければ,顕微鏡は使えませんから。

ということできょうの画像は,ピンセットメンテナンス実習に用いたgootブランドのTS-11と,筆者の常用ピンセット,FontaxのNo.3です。TS-11は筆者が皆の前で実演しながら研いだものです。FontaxやEREMといった超精密ピンセットも実習室に多数持ち込み,受講生に実際に触れてもらいました。良いものとはどんなものか,一度でも触れてみることが大事だからです(画像/MWS)。








2017年9月1日


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RXT203の電球色改造を行いました。これで4台目です。ふだん改造作業などは当サービスの顕微鏡デスクで行いますが,今回はたまたま出先でハンダゴテとLEDを持っていたので,出先での改造となりました。作業を見たいという見学者がいたので簡単に説明付きでLEDの交換を行いました。ネジを外し,レンズのリングネジを外し,上部,下部,電池ボックスのフタを外したあとに「開き」にしてしまい,電子回路を出します。回路を外してLED差し替えが本筋ですが,そこまでまじめにやる必要のない構造ですので,LEDの足を切り,そこに電球色LEDを直接ハンダで接続してしまいます。

作業は長くとも15分ほどあればOKなはずでしたが,説明しながら行ったので数分オーバーしました。見学者には,改造前,改造後の見えの違いも体験してもらいましたが「全然違う」とのことでした。以前はみていられなかったのに改造するとみていられる,ということなのだそうで,まさに正確な感想だなあと感心しました。画像は電球色載せ替え終了後のRXT203を並べたところ。もう一つはすでに手元にはありません。これで世の中に,電球色で見やすくなったRXT203が合計4台存在することとなりました…。

…などと筆者が軽々しく書くはずがありません。本ページを見て,さっそくLED交換している人が,たぶん世の中に10人くらいはいらっしゃるのです。ですから電球色交換のRXT203は,少なくとも十数台はすでに発生していると見るべきです\(^o^)/ハッハ。世の中には大変おそろしい技術をお持ちの方々が生息している,ということを学んできた中年オヤジは,だんだん用心深くなってきたのです…(画像/MWS)。









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