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MWSが顕微鏡下の世界を伝えるコーナーです。
日々の業務メモやちょっとした記事もここに記します


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2009年7月31日


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これは相模湾で採取した名前のよくわからない(調べていない)珪藻です。中心に無紋域らしきものが見えますが,こういった珪藻をみると,イメージングの意欲がもくもくと湧いてきます。中心部には何かあるぞーと思うわけです(笑)。きょうは乾燥系対物レンズNA=0.95での画像ですが,上の画像は肉眼に近いイメージです(波長550nm)。下の画像は波長400nmの照明で中心部を見たもので,点紋が少し延長しているのがわかります。油浸で見ればもっと微細な構造が見えるかもしれません(oblique, 撮影/MWS)。





2009年7月30日


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これはプレウロシグマ(Pleurosigma)に属する珪藻です。Sの形にひねったような格好をしているのは昨日のギロシグマと同じですが,被殻には斜めに交差する線と横線の3方向あります。高倍率でこれらを確認すればギロシグマとの違いは明らかなのですが,100倍程度の倍率で珪藻を選別していると,ギロシグマだかプレウロシグマだか判別がつかないほど似ているように見えることもあります。ピックアップしてギロシグマとプレウロシグマを並べたつもりが,両方ともプレウロシグマだったということもあります。低倍率では条線が見えないのですから仕方がないとはいえ,判別方法はあるはずです。実際,白色光を当てて同じ角度で干渉色を見れば,色の出方が違うのです(DF/oblique, 撮影/MWS)。





2009年7月29日


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これはギロシグマ(Gyrosigma)に属する珪藻です。おそらく,Gyrosigma balticumでしょう。Sの形にひねったような格好をしており,条線が縦横に走っているのが特徴です。ギロシグマの仲間は淡水や汽水に多くいます。これとそっくりの形態をしながら,条線が斜めに交差するように走っている珪藻もいて,それはプレウロシグマ属ということになっています。全体の形は似ているのに,微細構造が異なるというのには,どんな理由があるのでしょう。強度にも当然差が出てくるように思います。毛先でつついている感触では,ギロシグマは縦に裂けるように割れやすいですが,プレウロシグマは縦に裂けることは滅多にありません(DF/oblique, 撮影/MWS)。





2009年7月28日


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これはナビキュラ属の一種を油浸検鏡した画像です。少し偏斜気味に照明していますが,画像処理は縮小+アンシャープマスクのみです。コントラスト強調などはしていません。それにもかかわらず珪藻のコントラストが高いのは,封入剤に秘密があります。この封入剤は鶏冠石といい化学組成はAs4S4です。ヒ素も硫黄も屈折率の高い原子ですから,この化合物も他にない高屈折率(nd=2.4)です。珪藻の屈折率は1.43程度なので,屈折率の差が1にもなります。これが高いコントラストの理由です。この封入剤は,現在ではほとんど使われませんが,150年ほど前にはよく使われていました。そのため,過去の文献を読んでいると,通常の検鏡法ではほとんど見えない構造が描かれていることがあります。鶏冠石で珪藻を封入すると,現在普及しているどの封入剤よりもよく見えます。しかし封入には高温(400℃弱)を要し,技術も必要で,一般的なものではありません(oblique, 撮影/MWS)。





2009年7月27日


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仮説実験授業,夏の全国大会in雫石に小さなお店を出す予定です。販売物はDVDに教育用プレパラートと,あまり代わり映えしないものですが,顕微鏡を用いて観察ができますので一般の方には貴重な機会だと思います。お近くの方はぜひお立ち寄りください(筆者はいません)。この関係で,現在は販売物の製作に追われています。小さくてもショップを構えるということは,並べるものがなければなりませんので,まとまった数の商品を製作する必要があります。しかしDVDを焼くのは時間がかかりますし,プレパラートもそれほど簡単にできるものでもありません。コツコツと取り組んでいます。そんな合間に顕微鏡で珪藻を見ると,忙しさも忘れ,天の川でも眺めているかのような別世界に浸れます。珪藻観察はリラクゼーションに最適なのです(DF, 撮影/MWS)。





2009年7月26日


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顕微鏡による観察やイメージングでは,コンデンサ絞りの操作に注意が求められます。絞り込みの度合い一つで像が変わってしまうからです。きょうは40倍対物レンズ(NA=0.65)を用いての作例ですが,上は絞り側NA=0.65,下はNA=0.1です。同じ物体が絞り込みで全く異なる絵になることがわかります。絞り込みで消えてしまう構造は,その対物レンズで解像できる限界周波数から,その2倍のサイズまでです。それ以上の大きな構造は,解像という点では影響を受けません。例えば,きょう使用した対物レンズの解像限界は0.5μmです。絞りを開けば0.5μmを解像できますが,完全に絞り込めば0.5〜1μm付近までの微細構造が消えるということになります。このレンジの微細構造に気が付かない観察者は,絞り込んで構造を消していることにも気づかないということになります。物体を観察/撮影するときには,絞りを決めるよりも前に,そこに構造があるのかないのかをはっきりさせておくことが大切です(BF, 撮影/MWS)。





2009年7月25日


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暗視野で珪藻の干渉色を撮影するには低倍率(低開口数)の対物レンズが適しています。きょうの作例では開口数0.05の2倍対物レンズを使用していますが,多くの珪藻の干渉色が捉えられています。もう一つ大事なことは光源の選択です。干渉色は光源の光がスペクトルに分けられたものですから,もとの光源に入っていない色は出ません。上の画像は白LED(Lumileds)使用で,下の画像はハロゲンランプ+NCB10フィルタです。光源の大きさによる照明開口数の変化があるので,厳密な比較は困難ですが,LEDでは青から紫にかけての色が濃く,ハロゲンランプでは赤系の色が鮮明です。これは光源のスペクトル特性を反映したものと考えられます。よく見比べてみてください(DF, 撮影/MWS)。





2009年7月24日


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ここ2日のサンプリングでは合計約2リットルの試料を採取しましたが,これは珪藻試料としては膨大な量といってよいでしょう。ふつうは,付着物を掻き落としたり,沈殿物をすくったりしても数十ミリリットルもあれば十分です。これだけ大量の試料を採取したのは,希少種について調べるためです。下の画像をみてもわかるように,珪藻はあまりいません。珪藻試料調製の立場からはゴミだらけです。この試料を処理して濃縮し,0.1ミリリットルほどにします。その中に含まれる数万〜数十万以上の被殻をよりわけて探します。すると数粒から十数粒程度見つかる種がいくつかいるのです。こうした希少種は,ふつうに試料採取して散布スライドを作成しても,まず見つかることはありません(Pol/oblique, 撮影/MWS)。





2009年7月23日


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22日の東京湾は朝からの雨が残り霧雨の中のサンプリングとなりました。ねらいは砂層表面の珪藻で,画像中段のような,水面下砂上の沈殿物を採取します。それほど数が入っているわけではないので,相当たくさんの試料を採取して処理しなければならないのです。22日は日食でしたが,食の最大時刻と干潮時刻が同じでした。しかし悪天候のためサンプリングに 集中することができ,たいへん助かりました。駅までの帰路,わずか5分間だけ雲を通して太陽が確認できました。すかさず持参のND64フィルタを使い,欠けた太陽を撮影することができました(撮影/MWS)。





2009年7月22日


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21日は小雨の降る中のサンプリングとなりました。7月に入り昼間の干潮も終わりに近付き,引き潮のピークは09-10時頃でした。早めに現場に入り,砂礫上の珪藻採取を行いました。防波堤により荒波が遮られている漁港で,砂礫の底質となっている場所です。干潮ピークを狙い海に入り,低湿表面の砂礫をすくい取り,よくかき混ぜて懸濁物を浮遊させ,水と一緒に採取します。ほとんどは貝類など海洋生物のフンですが,そこから出てくる栄養物で増殖する珪藻も混じっています(撮影/MWS)。





2009年7月21日


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20日は海の日でしたので,夜の海を散歩してきました。というのは少しいい過ぎで,ちょうど昼の大潮(干潮)が最後の時期に当たりますので,来年のサンプリング地点候補を探しているのです。珪藻の種をたくさん集めてくると欲しい種が限定されてきて,自ずと採集海域も限られてくるというわけです。1時間ほど歩いているとすっかり暗くなり,岩場からはいろいろな生き物が顔をのぞかせています。画像のカニさんをはじめとして,ドンコやアナゴ,ゴンズイなど魚類もいろいろとみられました(撮影/MWS)。





2009年7月20日


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顕微鏡に求められる要素を最小限盛り込むならば,開口数を制御できる照明器,それに見合った対物レンズ,しっかりとした鏡基にピント合わせの粗動と微動,ハイアイポイントで広い視界の接眼レンズ,このくらいでしょうか。上はそのような装備の顕微鏡の一例です。簡素な作りではありますが,照明を上手に行えば,開口数0.85のレンズを用いて0.4マイクロメートル付近まで見ることができます。油浸検鏡を行わないのであれば,十分な性能を有しています(撮影/MWS)。





2009年7月19日


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これはキンカンの葉につくカイガラムシです。種名までは調べていません。大きさは画像の個体では一ミリメートルもありません。小さい個体では0.1ミリメートル程度で,目でやっと見える程度です。鉢植えのキンカンに定期的に発生してきます。この憎い小虫は新芽の基部にとりついて芽を枯らしてしまいます。今年は気づくのが遅かったので,多数の新芽がやられて落ち,丸坊主寸前になってしまいました。駆除には農薬が使えますが,鉢植えのキンカンに薬剤散布も大げさなので,今年はピンセットで一つ一つ除去しました。そのついでに検鏡したわけです。このカイガラムシ,白LEDの光ではじっとしていますが,紫LED(400nm)の光を強く照射すると,とたんに起きあがって逃げ回ります。ひょっとすると光照射で駆除が可能かもしれません(DF, 撮影/MWS)。

追記:ミカンワタカイガラムシのようです。





2009年7月18日


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珪藻プレパラートを製作していて困ることは,狙った種や個体が含まれない,というケースがあることです。大型で華麗な珪藻などは誰が見ても美しいと感じるもので,ぜひとも数多く作りたいのですが,そんなにつごう良くカバーグラスに載ってきません。せっかく載っていても,傾いていたり,重なっていたりするとせっかくの貴重な珪藻を失うことになり残念です。こういった貴重な個体は,一個一個拾い出して,カバーグラス上に並べてしまった方が確実で無駄が出ません。その代わりいろいろな作業が必要になります。楽する方法はなかなかないものです(DF, 撮影/MWS)。





2009年7月17日


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昨日まで紹介してきた初級顕微鏡には,5x,10x,30xと書かれた対物レンズがついていますが,開口数の記載はなく,実際の性能は外観からはわかりません。照明がまともに行えないので,そのままでは性能も何もありませんが,果たして対物レンズはまともなものがついているのでしょうか。こうした疑問解消には珪藻プレパラートが役立ちます。対物レンズを30xにセットし,照明系を改造してレンズの性能が最大限引き出されるように工夫し,デジタル撮影を行います。その結果,上に見られるライレラ(珪藻)の点紋が分解できることがわかりました。この点紋は約0.7マイクロメートルです。ということは,照明波長を500nmとすると,開口数は0.44付近ということになります。一応,レンズはこの程度の性能があるわけです。しかしその性能が出ないような設計になっています。困ったものです(oblique, 撮影/MWS)。





2009年7月16日


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この顕微鏡には,対物レンズがプレパラートと衝突しないようにステージの上限を決めるストッパーとなるネジがついています。当然,このネジを締めすぎれば(押し込みすぎれば),ピントが合う前にストッパーが効いてしまい,観察はできなくなります。このことに気づかずに,「ピントが合わない」「見えない顕微鏡がある」と授業中に大騒ぎして,結局その顕微鏡では何も見ることができずに授業を終えたという実話があります。まるで冗談みたいな話ですが,複数の教員が別の授業で使っても気づかなかったそうです。説明書を読めば1分で理解できることも,先生方には想像の範囲外だったのでしょう。このように,顕微鏡の取扱など,全く知らない教員が授業を行っているという実態があるのです。ただ,これは教員の資質に問題がある,というのとはちょっと違います。授業では顕微鏡を扱うことなど,ごくふつうのことですが,その操作などを一切知らなくても教員になれてしまう現在の教員養成課程が問題なのです。理科的な素養のない教員を「わざと養成して」しまう現在の教育のあり方がまずいのです(撮影/MWS)。





2009年7月15日


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初級顕微鏡にはコンデンサレンズが省略されているものがあります。これが省略されていても,上手に照明を行えば,そこそこの観察像を得ることは可能です。しかし初級機には,あとは凹面鏡のミラーがついているだけです。光源は適当に探しなさい,ということでしょうが,説明書をみても光源サイズに関する記載がありません。もし蛍光灯を利用したライトボックスを利用できればそれなりに見えるようになりますが,このレベルの顕微鏡を備品として揃えるような教育機関には,置いてないでしょう。すると,天井の蛍光灯か,理科室の窓を光源として利用することになりますが,残念ながらそのような条件でまともな像を結ばせるのは至難です。この顕微鏡は,コンデンサレンズや円盤絞りを省略して,子どもも扱いやすいように配慮したつもりなのでしょうが,操作する部分が減っても,よく見えないのであればそれは配慮とはいえません。むしろ手抜きといった方が適当でしょう(撮影/MWS)。





2009年7月14日


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これは教育機関においてふつうに見られる顕微鏡の一例です。見かけは異なっても,この機種と同等の光学設計の顕微鏡は日本国内に広く分布しています。ミラーは凹面鏡,コンデンサーレンズは省略,3レボルバで対物レンズの倍率は5, 10, 30倍,接眼レンズは10倍です。微動は省略され,粗動のみです。粗動と微動の中間にもなっていません。総合倍率300倍で正確にピント合わせをすることは,相当に難しい作業です。接眼レンズの視野は驚くほどに狭く,対象を見つけるにもたいへん苦労します。スライドグラスを移動させて視野中央に物体を持ってくるには名人芸的な器用さが要求されます。光学設計も不十分で,照明に関する専門的な知識と経験,それを判定する観察物体がなければ,良い像を得ることは不可能です。子どもはもちろんのこと,学校教員であっても,この顕微鏡を使いこなせる人はまず見当たらないでしょう。国内の児童や生徒は,このような,まともに使用するのが困難な顕微鏡を使わされ,見づらい観察像をスケッチして提出することを強いられているのです(撮影/MWS)。





2009年7月13日


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きょうは機材運用の練習日としました。顕微鏡の性能を限界まで引き出すには,定期的に珪藻を用いて性能チェックを行うとともに,よりよい操作法を目指して習熟しなければなりません。上の画像は当サービスのSKT-01に含まれるスケレトネマ属の珪藻で,分類が難しく,検鏡もなかなか難しいものの一つです。この珪藻を乾燥系対物レンズでどこまで観察できるか繰り返しテストを行っています。通常は油浸観察が基本ですが,乾燥系対物レンズでぎりぎりまでチューニングを行うと,油浸系を用いると確実にその先が見えますので,あえて分解能の低いレンズを用いて見にくい条件を設定し,練習するのです(oblique,撮影/MWS)。





2009年7月12日


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昆虫の体表面には微毛が生えています。毛というのはどんな役割があって生えているのでしょう。このショウジョウバエにも,体表面に千分の数ミリメートル程度の細かい毛が生えています。また複眼(画像の赤い部分)の一つ一つからも,毛が出ています。目から毛が出ているというのも変ですが,昆虫の複眼は顕微鏡で見ると毛が生えていることがかなりあります。これは飛翔中にホコリなどが直接衝突することを防ぐためなのでしょうか?(DF,撮影/MWS)。





2009年7月11日


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同じショウジョウバエを材料に,こんどは胸部と複眼の画像を作成しました。2,3ミリメートルほどの小さなハエなのに,たいへんな迫力です。昆虫は大型で厚みもあります。このような大型試料の写真は,かつては走査型電子顕微鏡の独壇場でしたが,死んで乾燥した試料を観察するのが標準でしたから,生きているときのような姿形を撮影することは簡単ではありませんでした。いまではデジタル画像の合成ができますので,生きている状態の新鮮な試料を深いピントで表現できます。しかもカラー情報も含まれますので,電子顕微鏡画像よりも優れた面もあります。画像合成法では,必要な部分だけピントを抽出することができますので,電子顕微鏡画像のような雑然とした背景もカットすることができます。これも作画上は優れた点といえるでしょう。それにしても,ショウジョウバエ一匹,拡大すると凄い存在感です(DF,撮影/MWS)。





2009年7月10日


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これはショウジョウバエの羽を拡大したもので,昨日と同じ試料です。斜めからLEDライトの光を当てると非常に美しい色彩が見られます。生物は様々な方法で色彩を作り出します。この羽は干渉色を巧みに利用しているようです。干渉色というと難しそうですが,音楽CDやホログラムシートが虹色に光るのと同じです。光の波長に近いサイズの細かい溝が刻まれていて,これにより光の回折・干渉が起こり色が発生するのです。それにしてもこのショウジョウバエ,何のためにこのような干渉色を発達させたのでしょうか。単なる偶然でしょうか (DF,撮影/MWS)。





2009年7月9日


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目の前を横切る煩わしい小虫も,顕微鏡観察にはとてもよい対象です。上の画像はショウジョウバエの一種ですが,目の前をうろちょろ飛んでいたので,手づかみで捕獲したところ,思いの外,状態がよかったのです。早速スライドグラスの上に載せ,エタノールの蒸気で動きを止め,観察試料となりました。生物は何でもそうですが,生きているときが最も美しいのです。羽や複眼が美しく見えるように照明を調節し,全焦点画像を作成したところ,上の画像となりました。硬い光の照明と,スライドグラスに載せたことが原因で背景が黒く抜けてしまいました。ちょっと品のない絵ですが,乾燥標本にはない質感があります(DF,撮影/MWS)。





2009年7月8日


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これは南極の珪藻(AAC-01)に含まれている珪藻で,Fragilariopsis属の一種と思われます。この穴や肉抜き構造がどのような必然性から生まれたのか,なかなか興味深い形です。珪藻を顕微鏡で見るということは自然界が生み出した種々の意味ある形態を観察することに他なりません。珪藻の構造はデザイン分野では1世紀以上も前から利用されています。建築方面でも,この構造に学ぶことはいろいろあると思います。珪藻の被殻は単に眺めても美しいですが,研究材料としても大きな広がりを持っています(BF,撮影/MWS)。





2009年7月7日


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これはピカールという研磨剤の拡大像です。細かな粒子は1/1000ミリメートル以下のサイズです。このピカールで金属を磨くとピカピカ光るようになるので,筆者の愛用品です。昔はこれでロードレーサーを輝かせながら走っていました(笑)。いまは刃物研磨に使うことが多くなりました。適当な紙にピカールを塗り,それで刃先を研磨して仕上げるのです。昨日の画像撮影に使った切り出しは,ピカールを塗った紙で仕上げたものです(oblique,撮影/MWS)。





2009年7月6日


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鋼(ハガネ)の刃物は非常に鋭く,毛髪さえも裂くことができます。つまんで垂直に立てた毛髪を,刃先でそっと撫でるように引くと刃先がすっと毛髪に入ります。上の画像は青紙一号という鋼材でできた切り出しで裂いた毛髪ですが,刃先が斜めに鋭く切れ込んでいることがわかります。この毛は約0.05ミリメートルの太さですから,刃先(刃道)はもっと細いことでしょう。きちんと刃先が合っていないと,このようなことはできません。毛髪の弾力だけで刃先が切れ込むかどうかを調べるのは,鉋や切り出しの仕上げチェックとしては有用です(DF,撮影/MWS)。





2009年7月5日


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筆者の研磨歴は,研磨面の美しさに魅了されて高校生の頃に始まりましたが,中年にさしかかってからは刃研ぎに技術の本質を感じ,その魅力にとりつかれています。刃物を研ぐという行為は,様々な感覚や思考が要求されます。ある人が,たとえ趣味であっても研ぎの達人ならば,きっと本職も凄腕なのだろうと考えたりもします。そのくらい,研ぎとは難しい,終わりのない技術だと思います。上の画像は筆者がホームセンターで買った安価な台鉋でカマボコ板を削った鉋屑で,厚さは25マイクロメートル(1000分の25ミリ)です。このくらい薄くなると光を通しますので,検鏡用試料になります(下の画像)。木材はセルロースの結晶が配向していますので,偏光顕微鏡試料としても適しています。ところで,この鉋屑,へたくそな見本として掲げたのです。鉋を究極まで調整できる人は,2〜4マイクロメートルの鉋屑を出せるのです。鋼の材質も違うのでしょうが,今の1/10の厚さに削るのは,筆者には全く想像できない別世界です。日本にはとんでもない技術をお持ちの方々が多数棲息しています。興味ある方は「削ろう会」で検索してみてください(PL,撮影/MWS)。





2009年7月4日


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これもまた別の天然仕上砥石の拡大像です(上の画像)。産地は不明です。一連の砥石シリーズと同じ倍率です。触った感じでは中硬な感じで,研ぐと硬めです。砥粒は緻密で詰まっているように見えます。この石は鉋を研いでも黒い砥汁がなかなか出ません。しかし筆者の技量が足りないので,石が悪いのか,研ぎ技術が不足しているのか,まだ判断することができません。このような性質の砥石をあと3つほど持っているのですが,それらがよい石なのかハズレなのかを明らかにできるのは,何年先になるかわかりません。

こうした粒度の細かい仕上げ砥石は,陸地から遠く離れた海の真ん中で,風により運ばれてくるミクロの鉱物粒子と,海に棲息している放散虫の遺骸が沈殿して形成したものです。堆積速度は千年に一ミリとも言われます。この石ころは形成に万年単位の時間をかけ,そしてプレートに乗って日本列島に運ばれるまで億年の時間をかけ,そして筆者のわずかな小遣いをかけ,ようやく手元に到着したのです。小学校に入る前から,石ころを拾うのが好きだった筆者には,この砥石がたとえハズレでも,捨てられませんねえ(epiDF,撮影/MWS)。





2009年7月3日


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これも天然仕上砥石の拡大像です(上の画像)。産地は不明です。一連の砥石シリーズは同じ倍率で撮影しています。触った感じではかなり硬い砥石で,研いでも同じ感触です。砥粒は緻密で詰まっているように見えます。このように硬い砥石は平面が崩れにくいため,特に鉋のような完全平面が要求される刃物の研ぎには適しています。しかし使い方も難しく,黒い研汁を出すことができるようになるまでに,相当期間の修行が必要なこともあると言われます。筆者はこの砥石で鉋やノミ,小刀を完璧に仕上げる自信がありません(仕上げられますけどね)。硬い砥石を使いこなせないというのは,研ぎの素人を告白しているようなものですが,筆者は木工職人ではないので,硬い砥石で鉋が研げなくても不自由することはありません。では何を研ぐのかというと,針先やピンセット,切れなくなったカッターの研磨に使うのです。極小の刃物は,刃先さえ合わせることができれば切れるので,大きな刃物を平面に研ぐよりも簡単です(インチキ研ぎができるという意味です)。また硬い砥石は和包丁の裏押しや糸刃をつけるのにも使えます(epiDF,撮影/MWS)。





2009年7月2日


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これは天然仕上砥石の拡大像です(上の画像)。残念ながら産地は不明で,おそらく京都産と思います。一連の砥石シリーズは同じ倍率で撮影しています。砥粒は,昨日の人造砥石とはかなり異なる趣です。角の丸い非常に小さな砥粒が,ほぐれやすそうな感じに存在しています。実際,研ぎ味は軟らかく,砥汁もすぐに出て,研削力も優れています。柔らかめなので面修正は頻繁に必要ですが,この砥石で研いだ刃物の切れ味は抜群です。特に平鉋やノミはすばらしい切れ味になりますので,ついついこの砥石に頼ります。刃物研ぎをする人は皆知っていますが,天然仕上げ砥石は一つ一つ違いがあり,研ぎ味も,仕上げた刃物の切れ味も異なるのです(epiDF,撮影/MWS)。





2009年7月1日


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これはスエヒロというメーカの「化学仕上砥石#8000」の拡大像です。先月の砥石シリーズと同じ倍率で撮影しています。砥粒は非常に小さく,2,3マイクロメートル以下でしょうか。この小さな粒で,粒径よりもずっと小さい傷を付けながら研ぎが進むと想像されますが,もはや目に見える領域ではなくなります。こんなに番手の細かい砥石が必要なのかと思う方もいらっしゃると思います。刃物によっては必要ないことも多いのですが,贈答品を鏡面に仕上げたり,カンナに鋭い刃をつけたいときなどは,このクラスを使わないと仕事ができないこともあります。カンナの名人は10マイクロメートル以下の鉋屑を出すことができますが,すると刃先はもっと細かい精度で仕上がっていなければならないわけです(epiDF,撮影/MWS)。





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